説明

無線通信システム

【課題】中継器による電界強度レベルの偽装による携帯電話など不正使用の未然防止。
【解決手段】携帯キー2から携帯電話1への電界強度レベルが閾値を越えており、ユーザ15が携帯電話1を所持していると判定する際に、相対距離が不変であるため一定である筈の、携帯電話1と店舗などに供えた固定局である固定通信装置3との間の電界強度レベルを測定する。これが大きくなっている場合は、電波中継器などによる電界強度レベルの偽装が行われていると判定して携帯電話の不正通話や決済機能の実施などが行われないよう機器の機能をロックすることで不正使用の行為を未然に防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話などの機器のセキュリティに関する発明であり、機器の置き忘れ、紛失、盗難などによって、正当なユーザ以外の者により機器の不正使用が出来ないように機器の機能を自動的に制限するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話などに金銭の決済機能を備えたものも登場してきている。このため、所有者であるユーザが機器を置いたまま席を離れたり、置き忘れ、紛失、盗難などに会った際に、ユーザ以外のものにより不正決済や不正通信が行われ、金銭的な被害額も大幅に拡大するといった心配が現実化してきている。
【0003】
このような、被保護機器(以下、機器)の置き忘れや盗難などの際に、他人による機器の不正使用を防止する構成として、無線による認証を使った方法が提案されている。
【0004】
例えば、通常は正当なユーザがキーホルダなどの形態で常時身に付けている無線装置を内蔵した無線キーと、携帯電話などの機器側に備えた無線装置との間で電波の送受信を行い、送受信した認証IDが正しく、電界強度レベルが閾値以上のレベルであることで、ユーザが機器の側近に居ることを確認している。
【0005】
しかし万が一、盗難などで機器とユーザが離れることにより、互に受信する無線電波の電界強度レベルが閾値以下に小さくなったことや、電波が途絶えたことを検知した場合には、ユーザと機器が離れたとして自動的に機器の決済機能などの重要な機能をロックして不正使用できなくする方法である。
【0006】
ところが、このような電界強度レベルを判定するセキュリティ方式では、対処できないケースも知られるようになってきている。
【0007】
現行では、上記したようなセキュリティ用の無線装置に使用される電波は、法律などで使用できうる周波数帯が制限されているため、電波の周波数帯範囲を特定しやすい。このため、実際には弱い電波を増幅して、すなわち電界強度レベルを上げて中継できるような電波中継器の製作も、周波数帯を絞れる分だけ容易になっていると考えられる。
【0008】
従って、例えばこうした電波中継器を用いれば、機器とユーザが離れたとしても、携帯キーからの電波を増幅した高い電界強度レベルで機器側の無線装置に受信させることができ、見かけ上携帯キーをもったユーザが機器の側近に居るように偽装することができる。
【0009】
すなわち、機器の機能が制限されることなく不正使用が可能となるもので、こうした電波中継器を使ったリレーアタックと呼ばれる類の犯罪の発生も危惧されるようになって来ている。
【0010】
こうしたリレーアタックの防止策の一例としては、中継の際に生じる認証IDなど一区切りのシグナルパターンを一旦デコードする際に発生する遅延時間を検出する方式が提案されている(特許文献1参照)。
【0011】
特許文献1は、車両のキーレスエントリー装置に用いられるものであり、車両から携帯キーに発信した識別ID要求電文に対する返送電文が所定時間内に返送されない場合は、車両ドアの開錠を行わないようにしたアルゴリズムにより、リレーアタックを防止する方
式となっている。このアルゴリズムでは、一旦電波中継器でデコードして増幅してから再発信した場合には、デコードから再発信までに遅延時間が発生し、この遅延時間により所定時間内に返送ができなくなることを検知するものである。
【特許文献1】特開2006−118887号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1のような比較的近距離範囲内だけでの通信を行う用途として用いられる振幅変調を用いた通信方式では、電波中継器を作成する際にはS/Nが悪くなるといった理由から、一旦電波を検波回路に通してデコードした結果を再発信する構成にする必要がある。
【0013】
この方法では、電波中継器で電文の一区切りの単位となるシグナルパターンを一度デコードしてから再発信するため、これらの処理時間分の処理遅延が発生するため、遅延時間分を比較的検出しやすかった。
【0014】
加えて、数100KHzといった比較的低い周波数の搬送波を用いておけば、シグナルパターンの到達に要する時間もより長くなることから、中継処理した際の遅延時間もより長くなり所定時間ないに電文の返送ができなくなる構成になっていた。
【0015】
ところが、数m以上離れた距離から車両の制御を行うことを想定したような周波数変調を用いた方式、例えば426MHzや429MHzといった特定小電力の周波数帯を用いる方式では、より高いシグナルレートでの情報伝送が可能であり、伝播減衰や回折などの面で到達距離が大きいなどのメリットが得られる。
【0016】
逆に、この高い周波数帯の搬送波を利用した周波数変調の方式では、電波をデコードせずにアナログのまま中継増幅することが可能となるため、シグナルパターンのデコードに要する遅延時間は殆ど発生しない。
【0017】
従って、引用文献1のように所定時間内に返送されないことを検知するアルゴリズムは適用しづらい。それでも、特許文献1のような遅延時間を検出する方法を用いようとする場合には、中継による僅かな遅延を検出する回路を実現することが必要となり、回路規模やコストの面からもデメリットが大きい。
【0018】
本発明は、上記する従来の問題を解消するためになされたものであり、その目的は例えば、機器無線装置は、携帯無線装置と機器無線装置との間で送受信した電文より計測した電界強度レベルが前記所定の閾値を越えた時刻を含んだ所定の期間中に、固定無線装置との間で送受信した電文より計測した電界強度レベルが略一定であれば、リレーアタック等による電界強度レベルの偽装が無いとして、機器の機能の制限を解除して実行できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
そこで、前記従来の課題を解決するために、被保護機器に付設した機器無線装置と、略固定個所に設置され前記被保護機器の使用に際して前記被保護機器との相対位置が略一定となる固定無線装置と、ユーザが所持する携帯無線装置とを備えた無線通信システムにおいて、前記機器無線装置は、前記携帯無線装置との間で送受信した電文を計測した第一の電界強度レベルが所定の閾値を下回った際は、前記被保護機器の少なくとも一部の機能を制限して実行できないように制御するとき、前記機器無線装置は、前記固定無線装置との間で送受信した電文を計測した第二の電界強度レベルが所定値を超えた場合には、前記携帯無線装置との電界強度レベルが所定の閾値を上回っても、前記被保護機器の機能制限を
行うようにしている。
【0020】
これにより、例えば正当なユーザが機器を置き忘れて再び取りに戻ったような際には、携帯無線装置と機器側の機器無線装置との間の第一の電界強度レベルは上昇する。一方、固定無線装置と機器無線装置と相対位置は略一定のままであるため第二の電界強度レベルは略一定である。
【0021】
ところが、リレーアタック等で、電波中継機などで携帯無線装置から機器無線装置への電波を増幅した際には、携帯無線装置から固定無線装置への電波が増幅されることにより第一の電界強度レベルは偽装されて大きくなり、機器の制限された機能が使用可能になる閾値を越えるが、同じ周波数帯を用いた携帯無線装置〜固定無線装置間の電波の第二の電界強度レベルも同時に増幅されて大きくなる。
【0022】
従って、本来略一定の筈である携帯無線装置〜固定無線装置間の第二の電界強度レベルが変動していることを検知することにより、偽装による機器の不正使用の可能性ありと判断して機器の機能を制限したままにしておくことにより、不正使用を未然に防止できうるものである。
【発明の効果】
【0023】
このように、機器無線装置と固定無線装置との間の第二の電界強度レベルの変化を監視することにより、特許文献1のような、返送電波の僅かな到達遅延時間を計測するための追加の付加回路を必要とせず、電波中継器などによる第一の電界強度レベルの偽装による機器の不正使用の危険を未然に防止する無線通信システムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
第1の発明は、被保護機器に付設した機器無線装置と、略固定個所に設置され前記被保護機器の使用に際して前記被保護機器との相対位置が略一定となる固定無線装置と、ユーザが所持する携帯無線装置とを備えた無線通信システムにおいて、前記機器無線装置は、受信した電文の電界強度を計測するRSSI計測手段を備え、前記携帯無線装置との間で送受信した電文を計測した第一の電界強度レベルが所定の閾値を下回った際は、前記被保護機器の少なくとも一部の機能を制限して実行できないように制御するとき、前記機器無線装置は、前記固定無線装置との間で送受信した電文を計測した第二の電界強度レベルが所定値を超えた場合には、前記携帯無線装置との電界強度レベルが所定の閾値を上回っても、前記被保護機器の機能制限を行うようにしている。
【0025】
このことにより、特許文献1のような、返送電波の僅かな到達遅延時間を計測するための追加の付加回路を必要とせず、電波中継器などによる第一の電界強度レベルの偽装による機器の不正使用の危険を未然に防止する無線通信システムを実現しうるものである。
【0026】
第2の発明は、第1の発明に加えて、前記固定無線装置は、前記被保護機器の内部に実装、または外部筐体に付設される形態のものであるようにしている。
【0027】
このことにより、常に固定無線装置と機器無線装置との相対位置が略一定となるので、本発明の無線通信システムの信頼性を高めることができうるものである。
【0028】
第3の発明は、第2の発明に加えて、前記固定無線装置は、前記機器無線装置または前記携帯無線装置から送信した電文を受信したときに前記機器無線装置に電文を送信して前記第二の電界強度レベルを測定させるようにしている。
【0029】
このことにより、機器無線装置および固定無線装置は、常時不要な通信を行う必要がな
く、前記第二の電界強度レベルを測定する必要のある場合のみ、すなわち、機器無線装置、携帯無線装置が付近にいるときのみ固定無線装置は電波を発信するので、省電力の効果を実現することができる。
【0030】
第4の発明は、第3の発明に加えて、前記機器無線装置は、前記携帯無線装置から送信した電文を受信して前記第一の電界強度レベルが所定の閾値を上回ったときに前記固定無線装置に要求電文を送信し、前記固定無線装置から送信した前記第二の電界強度レベルを測定するようにしている。
【0031】
これにより、前記被保護機器が機能制限を解除するかの判断を行う場合にのみ限定して前記第二の電界強度レベルを測定する電波を送信させることができ、更に一層の省電力の構成を実現できる。
【0032】
第5の発明は、第1〜4の発明に加えて、前記機器無線装置と前記携帯無線装置との間の前記第一の電界強度レベルを計測する電文の間隔、および前記機器無線装置と前記固定通信装置との間の前記第二の電界強度レベルを計測する電文の間隔の、少なくとも一方が一定間隔にならないように設定する。
【0033】
このことにより、前記機器無線装置と前記携帯無線装置が通信している期間だけ時分割的に電波中継を行い、前記機器無線装置と前記携帯無線装置の間の第一の電界強度レベルだけを選択的に増幅するような電波中継器にも対応して無線通信システムとなり、より高度なセキュリティ機能を提供できうるものである。
【0034】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、これらの実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0035】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1における無線通信システムの構成の一例を示すブロック図であり、被保護機器の一例として携帯電話に内蔵する機器無線装置1、ユーザ15が所持する携帯無線装置の一例である無線キー2、喫茶店などの飲食店や小売店などの常設個所に設置して店舗サービスとして定常的に電波を送受信する固定無線装置3のブロック図を示したものである。
【0036】
固定無線装置3は、飲食店や小売店などが設置する代わりに、携帯電話会社や被保護機器関連の事業者などが店舗と契約して設置するものであっても良いし、設置個所も店舗内に限らず、電柱や公衆電話、交通標識など公共的な設備にインフラ的な設備として設置されるものであっても構わない。
【0037】
図1の機器無線装置1は、該装置全体を制御する主制御手段6、無線での送受信を行う無線通信手段4、無線通信手段4が受信した電波の電界強度レベル(以下、RSSI)を計測する電界強度レベル計測手段(以下、RSSI計測手段5)を備える。
【0038】
主制御手段6は、マイコン及びメモリ、その周辺回路で構成し、無線での通信制御シーケンスやRSSI値に応じた制御方法などの予め記憶させたプログラムに従って動作する。
【0039】
無線通信手段4は、アナログフィルタやPLL回路、増幅回路、主制御手段6とのインターフェイス回路で構成し、RSSI計測手段5は、携帯キー2、固定無線装置3の各無線通信手段8、11から送信した電波が直接および反射や回折により無線通信手段4にて受信された際のRSSIを計測し、計測したRSSIを主制御手段6に入力できる構成と
する。
【0040】
携帯キー2および固定無線装置3も同様に、主制御手段9、12と、無線通信手段8、11を備える。
【0041】
固定無線装置3は、定期的(あるいはランダムに)無線電波を送信する。あるいは、固定無線装置3の無線通信手段8が機器無線装置2から送信される無線電波を受信したときに無線電波を送信してもよいし、固定無線装置3の無線通信手段8が携帯無線装置1から送信される無線電波を受信したときに無線電波を送信してもよい。
【0042】
また、時計手段を備えて時刻に応じて無線電波を送信したり、人検知手段を備えて人検知したときに送信するようにしてもよい。
【0043】
携帯キー2は、携帯電話の契約者であるユーザ15が携帯電話の不正な使用が行われないように所有するためのもので、ユーザ15が常時所持できうるような小型で携帯性を考慮した形状、大きさや重量に構成する。例えば、自宅の玄関キーや自転車、車のキーなどのキーホルダ形状や、財布などに格納しやすいコインやカード形状に構成すると有効である。
【0044】
以下、図2〜図5により、本実施の形態における無線通信システムの動作の概略を説明する。
【0045】
先ず、図2および図3は、ユーザ15が携帯電話1を置き忘れた場合の本実施の形態1での動作例を示すものである。図2は、本実施の形態1の無線通信システムを設置した飲食店の上視図であり、固定無線装置3は、店側の厨房コーナー16部分に設置されている。
【0046】
客であるユーザ15(破線で示す位置に居る場合)は、テーブル17部分におり、例えばキーホルダ形状に構成した携帯キー2を所持すると共に、携帯電話1を手元において使用している。
【0047】
今、携帯電話1をテーブル17に置き忘れて、飲食店の出入り口まで帰りかけた場合(実線で示すユーザ15)、ユーザ15の携帯した携帯キー2と、携帯電話1の距離が離れ、RSSI値(第一の電界強度レベル)がユーザ15が携帯電話1の近傍エリア内に居ることを判定する閾値を下回ることにより携帯電話1の機能にロックが掛けられて使用不可な状態となる。
【0048】
従って、携帯電話1を他の誰かが拾得しても、機能のロックが掛けられているため、通話や携帯電話1の決済機能での支払いなどの不正使用を行うことは出来ない。
【0049】
図3の横軸は時刻を示し、縦軸は携帯電話1のRSSI計測手段5が計測したRSSI値を示している。
【0050】
図3に太実線で示すグラフ線20は、図2で説明したように携帯キー2を携帯したユーザ15が携帯電話1を置き忘れたまま離れていった場合のRSSI値(第一の電界強度レベル)の時刻変化の一例を示すグラフ線であり、細実線で示すグラフ線21は固定無線装置3と携帯電話1間のRSSI値の時刻変化の一例を示すグラフ線である。
【0051】
グラフ線20およびグラフ線21は、実際は通信が間欠的に行われた際のRSSI値であり、離散的にサンプリングされたグラフとなるものであるが、図3では説明の便宜上連
続した値として実線で表記している。
【0052】
今、ユーザ15が携帯電話1から遠ざかったとすると、グラフ線20の携帯キー2と携帯電話1の間のRSSI値は、携帯電話1からの距離に反比例して漸次的に減少する。
【0053】
従って、図2の一点鎖線22に示す携帯電話1の近傍エリアを囲む境界位置でのRSSI値を、図3で機器近傍エリア判定閾値として図示するようにTH(RSSI)として定めておけば、RSSI値が閾値TH(RSSI)を下回った時刻T1時点で、ユーザ15が携帯電話1の近傍エリアから離れたと判定し、携帯電話の決済機能などの重要機能をロックし不正使用ができないようにする。
【0054】
ロックして不正使用できない機能としては、本実施の形態1の携帯電話1の場合は、商品の支払いの決済機能や通信料の発生する通話やインターネット接続などの機能だけであっても良いし、携帯電話1に記憶した本人や知人のメールアドレスなどの個人情報を閲覧する表示機能などを加える事もできる他、極端には携帯電話1に電源が入らず一切使用できなくするといった方法でも構わない。
【0055】
被保護機器として携帯電話以外の機器を対象とする場合はそれぞれの機器において設定するものとし、またユーザ15がロックする機能を選択し、登録・変更できうるようにしておいても構わない。
【0056】
実際の環境においては、反射や回折して伝播する電波の重畳(以下、マルチパス)によりRSSI値の時間的な変動(以下、フェージング)が発生することが考えられるため、図3の△Tに示すように、ある程度の時間幅を持たした移動平均値などの算術演算値で閾値との比較を行えば、より正確な比較判定ができうるものである。
【0057】
この際、固定通信装置3は店舗内の常設位置などに設置されて略固定されており、携帯電話1もテーブル17上の周辺にあるため、固定無線装置3と携帯電話1との相対距離は略距離である。
【0058】
従って、図3のグラフ線21に示すように、固定無線装置3からの電波を車両無線装置1のRSSI計測手段5で計測したRSSI値(第二の電界強度レベル)は略一定値となる。ただし、実際には、グラフ線21もフェージングや、携帯電話1を操作する際の動きや周囲の客が動くことによる多少の変動は発生する。
【0059】
このため、図3に示すように或る程度の変動幅△Th(rssi)以内に収まっていれば略一定値であるとするように判定すれば、より有効である。
【0060】
次に、不審者などが電波中継器30などを持ち込んでRSSI値を偽装しようとした場合の例を図4、図5を用いて説明する。
【0061】
図5のグラフ線23、24は、図2と同様にそれぞれ携帯電話1と携帯キー2間のRSSI値(第一の電界強度レベル)の時刻変化、および携帯電話1と固定無線装置3間のRSSI値(第二の電界強度レベル)の時刻変化、の一例を示している。
【0062】
図4の細短破線25、太短破線26で示すように、ユーザ15の所持する携帯キー2から携帯電話1への電波の大部分は、電波中継器30で増幅される。また、細長破線27、太長破線28で示すように、店舗内の固定無線装置3から携帯電話1への電波の大部分も電波中継機30で増幅される。
【0063】
このため、図5で例えば時刻T3で電波中継器30が電源を入れられて中継動作を始めたとすると、グラフ線23に示すように、ユーザ15は携帯電話1の近傍エリア22内に居ないにも関わらず、大きいRSSI値が計測される。
【0064】
従って、図2のグラフ線20および、図5グラフ線23のように、携帯キー2から携帯電話1への電波のRSSI値(第一の電界強度レベル)を閾値TH(RSSI)と比較するだけの従来の判定方法では、このRSSI値が閾値を越えた、つまりユーザ15が近傍エリア22に入ったと判定され、携帯電話1の機能のロックが解除され、形態電話1が不正使用されてしまうことになる。
【0065】
これを防止するため、本実施の形態1では、固定無線装置3から携帯電話1間のRSSI値(第二の電界強度レベル)の時刻変化である図3のグラフ線24を参照する。
【0066】
図2で説明したように、本来は相対的な間隔が一定距離の筈の携帯電話1と固定無線装置3の間のRSSI値(第二の電界強度レベル)は一定であるはずであるが、図4のように電波中継器30が持ち込まれた場合は、携帯キー2〜携帯電話1間のRSSI値(第一の電界強度レベル)を示すグラフ線23のみならず、携帯電話1〜固定無線装置2間のRSSI値(第二の電界強度レベル)を示すグラフ線24も電波中継器30により増幅される。
【0067】
従って、本実施の形態1では、図5の携帯キー2と携帯電話1間のRSSI値(グラフ線20および23)が閾値を越えているかどうかを判定することに加えて、このRSSI値が閾値を越える時刻を含んだ所定の期間で固定無線装置3と携帯電話1間のRSSI値(グラフ線21および24)が略一定かどうかを判定する。
【0068】
この判定結果により、固定無線装置3と携帯電話1間のRSSI値(グラフ線24)が略一定値で無かった場合は、携帯電話1の主制御手段6は、グラフ線20のRSSI値が電波中継機30などにより偽装されたRSSI値であると判定し、携帯キー2が近傍エリア22内に無い、すなわちユーザ15が側近に居ない状況で携帯電話1が不正使用出来ないようロックする。
【0069】
なお、上記では図3に示すように第二の電界強度レベルが或る程度の変動幅△Th(rssi)以内に収まっていれば略一定値であるか否かを判定したが、予め設定した正常値以上であるか否かを断定して電波中継器の存在を検知するようにしてもよい。
【0070】
以上の説明において、固定無線装置3と携帯電話1間のRSSI値の略一定を判定する所定の期間の決定方法としては、一般的には数百ミリ秒〜数10秒を設定するのが適当である。
【0071】
すなわち、所定の期間の設定は、RSSI値を1回分計測するのに要する時間を基にして、数回分のRSSI値の計測値から平均値や移動平均の処理を行うのに必要な時間幅を見込むのが適当である。RSSI値の1回当たり測定頻度の決定は、電池の寿命などシステム構成に左右されるが、我々の経験的には、最短100ミリ秒程度〜数秒のインターバルでRSSI値を計測し、数回〜5回程度の平均化などの統計処理を行うのが適当と判断している。
【0072】
なお、固定無線装置3〜携帯電話1間、および携帯キー2〜携帯電話1間は、同じ周波数帯の電波を使用することにより、フィルタの周波数特性などに違いを設けて携帯キー2〜携帯電話1間の電波のみを選択的に中継するような電波中継器30を構成することは防止できる。
【0073】
更に、携帯キー2〜携帯電話1間の通信中のみ電波中継器30の電源を入れて、携帯キー2〜携帯電話1間の電波のみを選択的に増幅するような時分割方式の電波中継器30に対しても、各無線装置間の通信内容を暗号化などしておく事でどの無線装置間の通信化を秘匿してしまう方法や、次回の通信を行う迄のインターバルを相互に通信して通信間隔をランダムにする方法により、携帯キー2〜携帯電話1間の通信を行っている時間を特定させないようにすることで防止できる。
【0074】
このように、携帯キー2〜携帯電話1間のRSSI値を判定するのと並行して、本来相対位置関係の変化しない固定無線装置3〜携帯電話1間のRSSIの変化が略一定範囲内かどうかを判定することで、RSSI値が偽装された事を検知して、携帯電話1を置き忘れた際や、紛失・盗難の際にも携帯電話1を取得した他人により勝手な通話や不正な決済処理などが実行できないよう、携帯電話1の機能にロックかけて使用不可な状態にすることで、不正使用に関わる行為を未然に防止することができる。
【0075】
最後に、図6のフロー図により本実施の形態の動作を説明する。図6では、携帯電話1からのポーリング送信電文を起点にして処理を行う例を示している。
【0076】
まず、携帯電話1の処理が開始されると、携帯電話1の主制御手段6は、まずステップS43で、携帯キー2および固定無線装置3に対して次の通信を開始するまでの待ち時間を決定する。ステップS39で、携帯キー2への通信を行う待ち時間が経過したかどうか判定し、経過していればステップS23に進んで、(短破線S41で囲んだ)携帯キー2とのRSSI値(第一の電界強度レベル)を計測する処理を行う。
【0077】
もし、待ち時間が経過していなければ(NO)、ステップS40に進んで固定無線装置3への通信を行う待ち時間が経過したかどうか判定し、経過していればステップS23に進んで(長破線S42で囲んだ)固定無線装置3とのRSSI値(第二の電界強度レベル)を計測する処理を行う。
【0078】
ステップS40で待ち時間が経過していなければ、再びステップS39に戻って携帯キー2への通信を行う待ち時間が経過したかの判定を繰り返す。
【0079】
(短破線S41で囲んだ)固定無線装置3と携帯電話1との間のRSSI値(第二の電界強度レベル)を計測する処理では、先ずステップS19で固定無線装置3に対して、認証IDを問合せる電文を送信し、この電文を受信した固定無線装置3は、ステップS18で認証IDを含んだ電文を携帯電話1に返送する。
【0080】
携帯電話1では、ステップS20で返送された認証IDが正しい場合はステップS21で、固定無線装置3が電文を返送した際の電波のRSSI値を計測して計測時刻と併せて記憶した後、ステップS22で次の計測までの待ち時間を決定してステップS39に戻る。ステップS20で認証IDが不正の場合もしくは電文が返送されない場合(認証NGの場合)は、ステップS22で次の計測までの待ち時間を決定してステップS39に戻る。
【0081】
(長破線S42で囲んだ)携帯キー2と携帯電話1との間のRSSI値(第一の電界強度レベル)を計測する処理では、先ずステップS23で携帯キー2に対して、認証IDを問合せる電文を返送し、この電文を受信した携帯キー2は、ステップS24で認証IDを含んだ電文を携帯電話1に返送する。
【0082】
携帯電話1では、ステップS25で返送された認証IDが正しい場合はステップS26で、携帯キー2が電文を返送した際の電波のRSSI値を計測し、閾値TH(RSSI)
を上回っているか(すなわち、携帯電話1の近傍エリア内に携帯キー2が有るか)を判定する。上回っていなければS44に進んで、携帯電話1の機能をロックして使用不可にする。
【0083】
ステップS26で上回っていれば、ステップS27に進んで、ステップS21で記憶した固定無線装置3〜携帯電話1のRSSI値の内、ステップS24の電文が返送された時刻tの含んだ所定期間のRSSI値が略一定、すなわち(最大値〜最小値幅)<△Th(RSSI)未満、であるかを判定する。
【0084】
略一定であれば、ステップS24で返送された電文のRSSI値は偽装されたものではなく、携帯キー2を所持したユーザ15が携帯電話1の近傍エリア内に居るとして、携帯電話1のロックされた機能を解除して使用可能な状態にする。もし、既にロック解除の場合は解除状態を維持する。
【0085】
ステップS27で、もし所定期間のRSSI値が一定でなければ、ステップS24で返送された電文のRSSI値は偽装されたもので、電波中継器30などによる不正使用が行われようとしていると判断し、携帯電話1の機能をロックして使用不可にする。
【0086】
以上の処理の後、ステップS44では次の携帯キー2と携帯電話1との間のRSSI値を計測する待ち時間を決定してステップS39に戻る。
【0087】
なお、以上の説明では、携帯電話1(機器無線装置)のみRSSI計測手段を備えた構成を説明したが、RSSI値は携帯キー2(携帯無線装置)や固定無線装置3側で測定し、携帯電話1に送信する構成や、双方で測定して送信されたRSSI値を携帯電話1側で計測したRSSI値と平均するなどの算術処理を行う方法でも構わない。
【0088】
更に、RSSI値を計測するトリガとなる電文は、携帯電話1側から送信する例を示したが、携帯キー2や固定無線装置3側で次の計測までの時間を設定し、トリガとなる電文を送信するといった構成でも構わない。
【0089】
(実施の形態2)
図7は、本実施の形態2における各無線装置の構成の一例を示すブロック図であり、実施の形態1における固定無線装置を被保護機器内に機器無線装置と共に内蔵して構成するものであり、他の構成は実施の形態1と同様にできうるものである。
【0090】
固定無線装置を被保護機器内に機器無線装置を内蔵する構成とすることにより、実施の形態1での固定無線装置1を備えていない喫茶店などの飲食店や小売店や、公衆設備に設置された固定無線装置1の無い場所や電波の届かない場所でも被保護機器の不正使用を防止することができる。
【0091】
図7において、被保護機器の一例である携帯電話46には、機器無線装置51と固定無線装置47とを備える。携帯電話46の正当な使用者であるユーザ15は、携帯無線装置の一例である携帯キー56は、キーホルダや財布に入れるカードなどの形式に構成し、ユーザ15が常時所持する。
【0092】
携帯電話46内の機器無線装置51と固定無線装置51、および携帯キー56は、それぞれ同様に主制御手段52、46、57と、無線通信手段54、50、59を備え、加えて機器無線装置51はRSSI計測手段53を備える。これら各手段の構成や動作は実施の形態1と同様にできうるものである。
【0093】
すなわち、携帯電話46内の機器無線装置51は、無線通信手段54により、携帯キー56の無線通信手段59および固定無線装置47の無線通信手段50と無線の送受信を行い、その際のRSSI値をRSSI計測手段53により計測する。
【0094】
固定無線装置47の無線通信手段50と、機器無線装置51の無線通信手段54の間の送受信される電波(短破線55の矢印でイメージを図示)は、携帯電話46の周囲の壁や家具などの周囲物からの反射、回折により伝播され、このため周囲物の配置や携帯電話46の位置が大きく変わらなければ略一定となる。
【0095】
従って、実施の形態1の構成と同様に、固定無線装置47と機器無線装置51間の電波が略一定かどうかを判定することで、携帯キー56の無線通信装置59から機器無線装置51への電波のRSSI値が電波中継器などにより増幅された(偽装された)RSSI値かどうかを判定することができうるものである。
【0096】
すなわち、実施の形態2における主制御手段の動作は、実施の形態1と同様にできうるものであり、携帯キー56と携帯電話46間の電波のRSSI値が、ユーザ15が携帯電話46の近傍エリア内に入ったと判定する閾値TH(RSSI)を時刻tに越えた場合に、時刻tを挟む所定の期間の固定無線装置47と機器無線装置51間の電波のRSSI値が略一定であれば正当なユーザ15が携帯電話46を使用しているとして携帯電話46の使用制限した機能を解除し、略一定でなければRSSI値は電波中継器などで偽装されたRSSI値であり、不正使用の危険性があるとして使用制限したままとする制御を行うものである。
【0097】
加えて、固定無線装置47と機器無線装置51間の電波のRSSI値が略一定かどうかを判断する所定の期間は、このRSSI値が、実施の形態1で店舗などに設置した固定無線装置3の場合に比べて携帯電話46自体の揺れなどの影響を受けやすいことを考慮して、実施の形態1の場合より更に短い数100ms程度の範囲までで判定できうるように構成しておけば、より有効なものである。
【0098】
また、機器無線装置51と固定無線装置47とを接続して同期制御させることで、さらに高度な判定ができる。
【0099】
例えば、機器無線装置51が携帯無線装置56から受信したRSSI値(第一の電界強度レベル)が所定値以上であったときに、固定無線装置47から電波を発信させる。この電波を機器無線装置51で受信、RSSI(第二の電界強度レベル)測定・判断させる。
【0100】
このようにすれば、固定無線装置47は必要以上に電波を送信することがなく省電力にできるとともに、機器無線装置51でのRSSI(第二の電界強度レベル)測定が第一の電界強度レベルの判定と連携してジャストタイムで行うことができる。
【0101】
もちろん、同様に、図1の形態においても、機器無線装置1と固定無線装置10とで無線通信するのであるから、これを用いて機器無線装置1から固定無線装置10に指示して必要なときのみに送信させることができるのは言うまでもない。
【0102】
更に、RSSI値(第一の電界強度レベル)が所定値以上であってから、固定無線装置47から機器無線装置51に電波を発信する迄のディレイ時間について、数ミリ秒から数秒といった範囲でランダムに変更するとか、RSSI値(第二の電界強度レベル)を測定した後、不定期に再度携帯無線装置56に電波を発射してRSSI値(第一の電界強度レベル)を計測させるなど、計測のための送受信シーケンスのタイミングを所定値にして秘匿するような構成にすれば、RSSI値(第一の電界強度レベル)のみを中継して大きく
しRSSI値(第二の電界強度レベル)は中継しない、という本願発明への対策を防御する効果がある。
【0103】
この他、機器無線装置51が携帯無線装置56に送信した電文を、固定無線装置47が同時に受信するとしてもよい。電文としては、携帯無線装置56から機器無線装置51に送信された電文に対する応答電文であっても構わないし、機器無線装置56から携帯無線装置56に対して認証IDを送信するように要求する電文のように、機器無線装置51が処理のトリガとなって送信を開始した電文であっても構わない。
【0104】
この構成では、携帯無線装置56がRSSI値(第一の電界強度レベル)を計測すると同時に、同じ電文で固定無線装置装置47がRSSI値(第二の電界強度レベル)を計測する構成となるため、RSSI値(第一の電界強度レベル)を計測する電文の送信中だけ選択的に電波中継器30を通電するといった偽装が防止できる。また、機器無線装置51にとっても、携帯無線装置56と固定無線装置47に別々に電文を送信しないで済む分、トータルの電文送信時間を低減でき、省電力の効果も期待できうるものである。
【0105】
なお、図7では携帯電話46内には固定無線装置47と機器無線装置51にそれぞれ別々の主制御手段や無線通信手段を図示しているが、これらは制御を行うプログラムや周辺回路を最適化して共通の主制御手段としても良いし、更に携帯電話46自体の主制御装置と共通化しても良い。また、無線通信手段も同時に送受信可能な構成などを適用すれば共通の無線通信手段としても構わない。
【0106】
この他、固定無線装置47は携帯電話46に内蔵する構成を示したが、内蔵せずに携帯電話46にソケットなどの固定治具で装着したり、ストラップなどで装着するなど携帯電話46の外部に後付けできる構成でももちろん構わない。
【0107】
最後に、本実施の形態1および2は携帯電話用の無線通信システムとして説明したが、例えば玄関ドアの電子錠に携帯キーを携帯して接近した場合に自動的に開錠されるシステムや、携帯キーを所持した管理者が機器の近傍エリアに居ない場合は印刷や入力が受け付けられないプリンタやパソコンなどの情報機器など、携帯電話用以外の機器への応用システムとしても広く適用できうるものである。
【0108】
なお、本実施の形態で説明した手段は、CPU(またはマイコン)、RAM、ROM、記憶・記録装置、I/Oなどを備えた電気・情報機器、コンピュータ、サーバー等のハードリソースを協働させるプログラムの形態で実施してもよい。プログラムの形態であれば、磁気メディアや光メディアなどの記録媒体に記録したりインターネットなどの通信回線を用いて配信することで新しい機能の配布・更新やそのインストール作業が簡単にできる。
【産業上の利用可能性】
【0109】
以上のように、本発明にかかる無線通信システムによれば、無線キーを所持した正当なユーザいる場合にのみ携帯電話などの被保護機器が使用できうるようにした機器セキュリティの構成において、電波中継器などを使って電界強度レベルを偽装して不正使用を行う犯罪などを未然に防止できる、より防犯性の高い無線通信システムを提供することができる。
【0110】
また、セキュリティのみでなく、自動車や住宅のドアロック等の遠隔操作においても距離を判定するときの信頼性向上に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明の実施の形態1における携帯キー(機器無線装置)、携帯電話(機器無線装置)、固定無線装置の構成の一例を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態1における携帯電話(被保護機器)を置き忘れてユーザが遠ざかる際の携帯電話(機器無線装置)と、携帯キー(携帯無線装置)および固定無線装置間のRSSI値の時刻変化の一例を示す図
【図3】本発明の実施の形態1における携帯キー(機器無線装置)、携帯電話(機器無線装置)、固定無線装置の飲食店舗での使用状況の一例を示す上視図
【図4】本発明の実施の形態1における電波中継器により電波が偽装された際の携帯電話(機器無線装置)と、携帯キー(携帯無線装置)および固定無線装置間のRSSI値の時刻変化の一例を示す図
【図5】本発明の実施の形態1における携帯キー(機器無線装置)、携帯電話(機器無線装置)、固定無線装置において電波中継器による偽装が行われる際の飲食店舗での使用状況の一例を示す上視図
【図6】本発明の実施の形態1における携帯キー(機器無線装置)、携帯電話(機器無線装置)、固定無線装置の動作内容の一例を示すフローチャート
【図7】本発明の実施の形態2における携帯キー(機器無線装置)、携帯電話(機器無線装置)、固定無線装置の構成の一例を示すブロック図
【符号の説明】
【0112】
1 携帯電話(機器無線装置)
2 携帯キー(携帯無線装置)
3 固定無線装置
4、8、11 無線通信手段
5 RSSI計測手段
6、8、12 主制御手段
15 携帯電話所有者(ユーザ)
46 携帯電話(被保護機器)
47 固定無線装置
51 機器無線装置
56 携帯キー(携帯無線装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被保護機器に付設した機器無線装置と、略固定個所に設置され前記被保護機器の使用に際して前記被保護機器との相対位置が略一定となる固定無線装置と、ユーザが所持する携帯無線装置とを備えた無線通信システムにおいて、
前記機器無線装置は、受信した電文の電界強度を計測するRSSI計測手段を備え、前記携帯無線装置との間で送受信した電文を計測した第一の電界強度レベルが所定の閾値を下回った際は、前記被保護機器の少なくとも一部の機能を制限して実行できないように制御するとき、
前記機器無線装置は、前記固定無線装置との間で送受信した電文を計測した第二の電界強度レベルが所定値を超えた場合には、前記携帯無線装置との電界強度レベルが所定の閾値を上回っても、前記被保護機器の機能制限を行う無線通信システム。
【請求項2】
前記固定無線装置は、前記被保護機器の内部に実装、または外部筐体に付設される形態の請求項1記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記固定無線装置は、前記機器無線装置または前記携帯無線装置から送信した電文を受信したときに前記機器無線装置に電文を送信して前記第二の電界強度レベルを測定させる請求項1記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記機器無線装置は、前記携帯無線装置から送信した電文を受信して前記第一の電界強度レベルが所定の閾値を上回ったときに前記固定無線装置に要求電文を送信し、前記固定無線装置から送信した前記第二の電界強度レベルを測定する請求項3記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記機器無線装置と前記携帯無線装置との間の前記第一の電界強度レベルを計測する電文の間隔、および前記機器無線装置と前記固定通信装置との間の前記第二の電界強度レベルを計測する電文の間隔の、少なくとも一方が一定間隔にならないように前記無線装置または前記携帯無線装置または前記固定無線装置の少なくとも1つの装置は電文の送信間隔を設定する請求項1〜4のいずれか1項に記載の無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−67129(P2008−67129A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−243693(P2006−243693)
【出願日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】