説明

無線通信端末

【課題】より消費電力を低減しつつ、通信時に無線通信モジュールを起動することができる。
【解決手段】直流電力を供給可能な電源部15と、アンテナ18と、アンテナ18を介して外部の端末に通信データを送信する無線通信部17と、アンテナ18を介して受信される電磁波を直流電力に変換するとともに、変換された直流電力が所定の電力値以上になった場合に起動信号を生成して出力する起動信号出力部13と、起動信号出力部13から起動信号が出力された場合、電源部15から無線通信部17に直流電力を供給させるよう制御する制御部14とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
医療・ヘルスケア分野では、各種センサを備えた端末を用いて人体表面または体内から生体データを収集し、端末が収集した生体データを蓄積装置に転送して蓄積することで、蓄積装置が蓄積した生体データを健康管理や、病気の診断や、治療などに役立てようとする取り組みが盛んに進められている。このような用途では、生体データを転送するために端末と蓄積装置との間を有線ケーブルでつなぐと行動の自由が制限されてしまうため、無線通信で生体データを転送するようにし、端末を自由に持ち歩くことができるようにすることが望ましい。このようなニーズは、医療分野、特に植込み型医療機器ではより大きい。
【0003】
植込み型医療機器は、一般に電力を電池から得て動作する。従って、電池が消耗し電圧が低下した場合には電池交換が必要となる。植込み型医療機器の電池交換には手術が必要であり、患者への負担が大きく感染症等の副作用も発生するため、電池の消耗は極力避けたいとの要望がある。このような要望に対して、振動や、温度差や、光や、電磁波などから電力を生成する技術の検討が進んでいる。例えば、無線通信技術と、電磁波から電力を生成する技術とを組み合わせた製品の例として、データを送信する無線送信部と、無線送信部とは別に存在する消費電力の小さい無線受信部とを備え、無線受信部で受信した起動信号に基づいて、無線送信部を起動させる非接触ICタグシステムやICカードシステムなどの無線通信システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−205205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の無線通信システムでは、通信時に無線送信部を起動させる無線受信部は、待ち受け時においても小さいとはいえ消費電力が必要となってしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、より消費電力を低減しつつ、通信時に無線通信モジュールを起動することができる無線通信端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、直流電力を供給可能な電源部と、無線通信アンテナと、前記無線通信アンテナを介して外部の端末に通信データを送信する無線通信モジュールと、前記無線通信アンテナを介して受信される電磁波を直流電力に変換するとともに、前記変換された直流電力が所定の電力値以上になった場合に起動信号を生成して出力する起動信号出力部と、前記起動信号出力部から前記起動信号が出力された場合、前記電源部から前記無線通信モジュールに前記直流電力を供給させるよう制御する制御部と、を有することを特徴とする無線通信端末である。
【0008】
また、本発明の無線通信端末において、前記起動信号出力部は、前記電磁波を整流して前記直流電力に変換する整流部を有し、前記整流部が変換した直流電力が所定の値以上になった場合、前記起動信号を出力することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の無線通信端末において、前記起動信号出力部は、前記電磁波から特定の周波数帯域の電磁波を抽出するフィルタ部を更に有し、前記整流部は、前記抽出された周波数帯域の電磁波を整流することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の無線通信端末において、前記起動信号出力部は、前記電磁波を用いて送信される識別子を復調する復調部を更に有し、前記復調部で復調された識別子が所定の識別子である場合、前記起動信号を出力することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の無線通信端末において、前記復調部は、前記整流部が変換した前記直流電力を用いて動作することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の無線通信端末において、前記起動信号出力部は、前記電磁波を用いて送信される識別子を復調する復調部を更に有し、前記復調部で復調された識別子が所定の識別子である場合、前記起動信号を出力することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の無線通信端末において、前記復調部は、前記整流部が変換した前記直流電力を用いて動作することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の無線通信端末において、前記無線通信端末は、体内に設置される端末であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の無線通信端末において、前記無線通信端末は、体外に設置される端末であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、起動信号出力部は、無線通信アンテナを介して受信される電磁波を直流電力に変換するとともに、変換された直流電力が所定の電力値以上になった場合に起動信号を生成して出力する。また、制御部は、起動信号出力部から起動信号が出力された場合、電源部から無線通信モジュールに直流電力を供給させるよう制御する。これにより、直流電力に変換した際に所定の電力値以上となる電磁波を受信した場合、電源部から無線通信モジュールに直流電力が供給されるので、より消費電力を低減しつつ、通信時に無線通信モジュールを起動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態における生体データ監視システムの構成を示した概略図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における無線センシング端末の構成を示したブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態におけるデータ収集端末の構成を示したブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施形態における起動信号出力部の構成を示したブロック図である。
【図5】本発明の第2の実施形態における起動信号出力部の構成を示したブロック図である。
【図6】本発明の第3の実施形態におけるデータ収集端末の構成を示したブロック図である。
【図7】本発明の第3の実施形態における起動信号出力部の構成を示したブロック図である。
【図8】本発明の第4の実施形態における起動信号出力部の構成を示したブロック図である。
【図9】本発明の第5の実施形態における起動信号出力部の構成を示したブロック図である。
【図10】本発明の第6の実施形態における無線センシング端末の構成を示したブロック図である。
【図11】本発明の第6の実施形態におけるデータ収集端末の構成を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図を参照しながら説明する。図1は、本実施形態における生体データ監視システムの構成を示した概略図である。生体データ監視システム1は、無線センシング端末10と、データ収集端末20とを備える。無線センシング端末10は、各種センサを使って人体表面または体内から血圧、脈拍、心電、心拍、血中酸素濃度、体温、尿糖、血糖等の生体データを取得する。また、無線センシング端末10は、各種センサを使って無線センシング端末10が備える各部の状態を示す機器状態データを取得する。また、無線センシング端末10は、取得した生体データ及び機器状態データをデータ収集端末20に無線伝送する。データ収集端末20は、無線センシング端末10から無線伝送される生体データ及び機器状態データを収集して保存する。なお、無線センシング端末10は体内に設置される。また、データ収集端末20は体外に設置される。
【0019】
なお、本実施形態では、無線センシング端末10とデータ収集端末20とが1対1で無線通信を行うものとして説明を行うが、1対N、M対1、M対Nのいずれの関係においても、本発明は適用可能である(NおよびMは自然数)。
【0020】
次に、無線センシング端末10の構成について説明する。図2は、本実施形態における無線センシング端末10の構成を示したブロック図である。図示する例では、無線センシング端末10は、センサ部11と、保持部12と、起動信号出力部13と、制御部14と、電源部15と、電源開閉部16と、無線通信部17(無線通信モジュール)と、アンテナ18(無線通信アンテナ)とを備える。
【0021】
センサ部11は、人体表面または体内に設置され、血圧、脈拍、心電、心拍、血中酸素濃度、体温、尿糖、血糖等をセンシングして生体データを取得する。また、センサ部11は、電源部15の電圧など、無線センシング端末10が備える各部の状態をセンシングして機器状態データを取得する。以下、センサ部11が取得する生体データや機器状態データなどを収集データと記載する。また、センサ部11は、収集データを保持部12に対して出力する。
【0022】
保持部12は、センサ部11が出力した収集データを取得して保持し、保持した収集データを制御部14の制御に従って無線通信部17に対して出力する。起動信号出力部13は、アンテナ18を介して、データ収集端末20から送信される電磁波を受信した場合、受信した電磁波から起動信号を生成する。また、起動信号出力部13は、起動信号を生成した場合、生成した起動信号を制御部14に対して出力する。起動信号出力部13の詳細な構成については後述する。
【0023】
制御部14は、起動信号出力部13から起動信号が入力された場合、保持部12を制御し、保持部12が保持している収集データを無線通信部17に対して出力させる。また、制御部14は、起動信号出力部13から起動信号が入力された場合、電源開閉部16を制御し、電源部15から無線通信部17に対して電力を供給させる。また、制御部14は、無線通信部17がデータの送信を完了した後、電源開閉部16を制御し、電源部15から無線通信部17への電力の供給を停止させる。
【0024】
電源部15は、センサ部11に電力(直流電力)を供給し、さらに電源開閉部16の制御に基づいて無線通信部17に電力を供給する。電源開閉部16は、制御部14の制御に従い、電源部15から無線通信部17への電力の供給を制御する。無線通信部17は、電源部15から電力が供給されると起動する(動作を開始する)。また、無線通信部17は、アンテナ18を介して、保持部12から入力された収集データを、電磁波を用いてデータ収集端末20に対して送信する。
【0025】
次に、データ収集端末20の構成について説明する。図3は、本実施形態におけるデータ収集端末20の構成を示したブロック図である。図示する例では、データ収集端末20は、無線通信部21と、データ処理部22と、記憶部23と、表示部24と、アンテナ25とを備える。
【0026】
無線通信部21は、無線センシング端末10から収集データの受信を開始する場合、アンテナ25を介して、無線センシング端末10に対して、電磁波を用いてデータ要求信号を送信する。なお、無線センシング端末10に対してデータ要求信号を送信するタイミングは、ユーザからの指示や、所定のタイミングなど、どのようなタイミングとしてもよい。
【0027】
また、無線通信部21は、無線センシング端末10から電磁波を用いて送信された収集データを、アンテナ25を介して受信し、受信した収集データをデータ処理部22に対して出力する。データ処理部22は、無線通信部21から入力された収集データのデータ形式を記憶用のデータ形式に変換して記憶用データを生成し、生成した記憶用データを記憶部23に対して出力する。また、データ処理部22は、無線通信部21から入力された収集データを文字や画像などの表示データに変換し、変換した表示データを表示部24に対して出力する。記憶部23は、データ処理部22から入力された記憶用データを記憶する。表示部24は、データ処理部22から入力された表示データを表示する。この構成により、データ収集端末20は、無線センシング端末10から送信された収集データを表示部24に表示させることができ、記憶部23に記憶させることができる。
【0028】
次に、無線センシング端末10が備える起動信号出力部13の構成について説明する。図4は、本実施形態における起動信号出力部13の構成を示したブロック図である。図示する例では、起動信号出力部13は、整流部131と、起動部132とを備える。整流部131は、アンテナ18を介して、データ収集端末20から送信された電磁波を受信する。そして、整流部131は、受信した電磁波を整流して直流電圧に変換し、変換した直流電圧を起動部132に対して出力する。起動部132は、整流部131から入力された直流電圧を用いて動作する。また、起動部132は、整流部131から入力された直流電圧の電圧をモニタし、直流電圧が一定の閾値以上になった場合に起動信号を出力する。これにより、起動信号出力部13は、データ要求信号を送信するために用いた電磁波をデータ収集端末20から受信した場合、起動信号を出力する。なお、一定の閾値は、固定値であっても、環境に合わせて任意に設定できるようにしてもよい。
【0029】
上述したとおり、データ収集端末20は、無線センシング端末10から収集データの受信を開始する場合、無線センシング端末10に対して、電磁波を用いてデータ要求信号を送信する。また、無線センシング端末10の起動信号出力部13が備える整流部131は、データ要求信号を送信するために用いた電磁波を整流して直流電圧に変換する。また、起動信号出力部13が備える起動部132は、整流部131が変換した直流電圧が一定の閾値以上になった場合に起動信号を出力する。また、制御部14は、起動部132が起動信号を出力した場合、保持部12を制御し、保持部12が保持している収集データを無線通信部17に対して出力させる。また、制御部14は、起動信号出力部13が起動信号を出力した場合、電源開閉部16を制御し、電源部15から無線通信部17に対して電力を供給させる。また、無線通信部17は、保持部12から収集データが入力された場合、電源部15から供給される電力を用いて、アンテナ18を介して、電磁波を用いて収集データをデータ収集端末20に対して送信する。また、制御部14は、無線通信部17が収集データの送信を完了した後、電源開閉部16を制御し、電源部15から無線通信部17への電力の供給を停止させる。また、無線通信部17は、電源部15からの電力の供給が停止されると動作を停止する。
【0030】
このように、無線通信端末10は、データ収集端末20から送信される、データ要求信号を送信するために用いた電磁波から起動信号を生成する。そして、無線通信端末10は、生成した起動信号に基づいて無線通信部17に電力を供給することで無線通信部17を起動する。従って、無線通信端末10は、より消費電力を低減しつつ、通信開始時に無線通信部17を起動することができる。また、無線通信端末10は、通信開始時に無線通信部17を起動するため、待ち受け時において消費電力を低減することができ、電源部15の消耗を抑制することができる。
【0031】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について図を参照しながら説明する。本実施形態における生体監視システムは、第1の実施形態と同様に、無線センシング端末とデータ収集端末とを備える。本実施形態と第1の実施形態とで異なる点は、無線センシング端末が備える起動信号出力部の構成である。なお、本実施形態における無線センシング端末が備える他の構成は、第1の実施形態における構成と同様である。また、本実施形態におけるデータ収集端末は、第1の実施形態におけるデータ収集端末20と同様の構成である。
【0032】
次に、無線センシング端末が備える起動信号出力部の構成について説明する。図5は、本実施形態における起動信号出力部33の構成を示したブロック図である。図示する例では、起動信号出力部33は、フィルタ部331と、整流部131と、起動部132とを備える。フィルタ部331は、アンテナ18を介して、外部から送信される電磁波を受信し、受信した電磁波のうち、所定の周波数帯域の電磁波のみを整流部131に対して出力する。なお、所定の周波数帯域は、データ収集端末から送信される、データ要求信号を送信するために用いられる電磁波の周波数帯域を含む周波数帯域である。これにより、データ収集端末以外から送信される電磁波が整流部131に対して入力されることを制限することができる。
【0033】
整流部131は、フィルタ部331から入力される電磁波を整流して直流電圧に変換し、起動部132に対して出力する。起動部132は、第1の実施形態における起動部132と同様である。
【0034】
上述したように、無線センシング端末の起動信号出力部33は、フィルタ部331を備えることにより、データ要求信号を送信するために用いられる電磁波の周波数帯域外の干渉信号や電磁波などを抑圧した上で、無線通信部17を起動するための起動信号を出力することができる。従って、無線センシング端末は、データ収集端末が近くに存在しない場合に、データ収集端末以外から送信される干渉信号や電磁波などにより、誤って無線通信部17を起動してしまうことを防ぐことができ、電池の消耗をより減らすことができる。
【0035】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について図を参照しながら説明する。本実施形態における生体監視システムは、第1の実施形態と同様に、無線センシング端末とデータ収集端末とを備える。図6は、本実施形態におけるデータ収集端末60の構成を示したブロック図である。図示する例では、データ収集端末60は、無線通信部21と、データ処理部22と、記憶部23と、表示部24と、アンテナ25と、ID変調部61とを備える。
【0036】
データ処理部22と、記憶部23と、表示部24と、アンテナ25とは、第1の実施形態における各部と同様である。無線通信部21は、無線センシング端末から収集データの受信を開始する場合、アンテナ25を介して、無線センシング端末に対して、電磁波を用いてデータ要求信号を送信し、ID変調部61に対して通信開始指示信号を出力する。ID変調部61は、無線通信部21から通信開始指示信号が入力された場合、通信相手である無線センシング端末を一意に特定するID情報(識別子)を変調し、ID変調信号を生成する。そして、ID変調部61は、アンテナ25を介して、データ要求信号の送信に用いる電磁波と同じ周波数帯域の電磁波を用いて、無線センシング端末に対してID変調信号を送信する。
【0037】
次に、無線センシング端末が備える起動信号出力部の構成について説明する。図7は、本実施形態における起動信号出力部53の構成を示したブロック図である。図示する例では、起動信号出力部53は、整流部131と、起動部132と、ID復調部531(復調部)とを備える。
【0038】
整流部131は、アンテナ18を介して、データ収集端末60から送信される、ID変調信号およびデータ要求信号を送信するために用いられる電磁波を受信する。また、整流部131は、受信した電磁波を整流して直流電圧に変換し、起動部132とID復調部531とに対して出力する。ID復調部531は、整流部131から入力された直流電圧を用いて動作する。また、ID復調部531は、アンテナ18を介して、データ収集端末60から送信されたID変調信号を受信する。また、ID復調部531は、受信したID変調信号を復調してID情報を取得する。また、ID復調部531は、予め定められている自端末を一意に特定するID情報と、取得したID情報とを照合する。そして、ID変調部61は、照合の結果、ID情報が一致した場合には、一致したことを示すID一致情報を起動部132に対して出力する。なお、ID変調部61は、照合の結果、ID情報が一致しない場合には、ID一致情報を出力しない。
【0039】
起動部132は、整流部131から入力された直流電圧を用いて動作する。また、起動部132は、ID変調部61からID一致情報が入力された場合、整流部131で変換された直流電圧をモニタする。そして、起動部132は、モニタしている直流電圧が一定の閾値以上になった場合に起動信号を出力する。
【0040】
上述したように、無線センシング端末の起動信号出力部53は、ID復調部531を備え、受信したID情報と、自端末を一意に特定するID情報とが一致した場合にのみID一致情報を起動部132に対して出力する。また、起動部132は、ID復調部531からID一致情報が入力された場合にのみ、整流部131で変換された直流電圧をモニタする。そして、起動部132は、モニタしている直流電圧が一定の閾値以上になった場合に起動信号を出力する。従って、無線センシング端末は、自端末を一意に特定するID情報を受信しない場合には無線通信部17を起動させないため、消費電力をさらに削減することができ、電池の消耗をより抑制することができる。
【0041】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について図を参照しながら説明する。本実施形態における生体監視システムは、第3の実施形態と同様に、無線センシング端末とデータ収集端末とを備える。本実施形態と第3の実施形態とで異なる点は、無線センシング端末が備える起動信号出力部の構成である。なお、本実施形態における無線センシング端末が備える他の構成は、第3の実施形態における構成と同様である。また、本実施形態におけるデータ収集端末は、第3の実施形態におけるデータ収集端末と同様の構成である。
【0042】
次に、無線センシング端末が備える起動信号出力部の構成について説明する。図8は、本実施形態における起動信号出力部73の構成を示したブロック図である。図示する例では、起動信号出力部73は、フィルタ部331と、整流部131と、起動部132と、ID復調部531とを備える。フィルタ部331は、アンテナ18を介して、外部から送信される電磁波を受信し、受信した電磁波のうち、所定の周波数帯域の電磁波のみを整流部131とID復調部531とに対して出力する。なお、所定の周波数帯域は、データ収集端末から送信される、データ要求信号およびID変調信号を送信するために用いられる電磁波の周波数帯域を含む周波数帯域である。これにより、データ収集端末以外から送信される電磁波が整流部131とID復調部531とに対して入力されることを制限することができる。
【0043】
整流部131は、フィルタ部331から入力される電磁波を整流して直流電圧に変換し、起動部132とID復調部531とに対して出力する。起動部132とID復調部531とは、第3の実施形態における各部と同様である。
【0044】
上述したように、無線センシング端末の起動信号出力部73は、フィルタ部331を備えることにより、データ要求信号およびID変調信号を送信するために用いられる電磁波の周波数帯域外の干渉信号や電磁波などを抑圧した上で、ID変調信号を復調することができる。
【0045】
また、無線センシング端末の起動信号出力部73は、ID復調部531を備えることにより、受信したID情報と、自端末を一意に特定するID情報とが一致した場合にのみID一致情報を起動部132に対して出力する。また、起動部132は、ID復調部531からID一致情報が入力された場合にのみ、整流部131で変換された直流電圧をモニタする。そして、起動部132は、モニタしている直流電圧が一定の閾値以上になった場合に起動信号を出力する。従って、無線センシング端末は、自端末を一意に特定するID情報を受信しない場合には無線通信部17を起動させないため、消費電力をさらに削減することができ、電池の消耗をより抑制することができる。
【0046】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について図を参照しながら説明する。本実施形態における生体監視システムは、第4の実施形態と同様に、無線センシング端末とデータ収集端末とを備える。本実施形態と第4の実施形態とで異なる点は、起動信号出力部が備えるフィルタ部の位置のみである。なお、本実施形態における無線センシング端末が備える他の構成は、第4の実施形態における構成と同様である。また、本実施形態におけるデータ収集端末は、第4の実施形態におけるデータ収集端末と同様の構成である。
【0047】
次に、無線センシング端末が備える起動信号出力部の構成について説明する。図9は、本実施形態における起動信号出力部93の構成を示したブロック図である。図示する例では、起動信号出力部93は、フィルタ部331と、整流部131と、起動部132と、ID復調部531とを備える。フィルタ部331は、アンテナ18を介して、外部から送信される電磁波を受信し、受信した電磁波のうち、所定の周波数帯域の電磁波のみをID復調部531に対して出力する。なお、所定の周波数帯域は、なお、所定の周波数帯域は、データ収集端末から送信される、データ要求信号およびID変調信号を送信するために用いられる電磁波の周波数帯域を含む周波数帯域である。これにより、データ収集端末以外から送信される電磁波がID復調部531に対して入力されることを制限することができる。
【0048】
整流部131は、アンテナ18を介して、データ収集端末から送信された電磁波を受信する。また、整流部131は、受信した電磁波を整流して直流電圧に変換し、起動部132とID復調部531とに対して出力する。ID復調部531と起動部132とは、第4の実施形態における各部と同様である。
【0049】
上述したように、無線センシング端末の起動信号出力部93は、フィルタ部331を備えることにより、データ要求信号およびID変調信号を送信するために用いられる電磁波の周波数帯域外の干渉信号や電磁波などを抑圧した上で、ID変調信号を復調することができる。
【0050】
また、無線センシング端末の起動信号出力部93は、ID復調部531を備えることにより、受信したID情報と、自端末を一意に特定するID情報とが一致した場合にのみID一致情報を起動部132に対して出力する。また、起動部132は、ID復調部531からID一致情報が入力された場合にのみ、整流部131で変換された直流電圧をモニタする。そして、起動部132は、モニタしている直流電圧が一定の閾値以上になった場合に起動信号を出力する。従って、無線センシング端末は、自端末を一意に特定するID情報を受信しない場合には無線通信部17を起動させないため、消費電力をさらに削減することができ、電池の消耗をより抑制することができる。
【0051】
また、無線センシング端末の起動信号出力部93は、アンテナ18と整流部131との間にはフィルタ部331を設けていないため、データ収集端末以外から送信される干渉信号や電磁波などを含めた電磁波を整流して直流電圧に変換することができ、より多くの直流電圧を起動部132とID復調部531とに供給することができる。
【0052】
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態について図を参照しながら説明する。本実施形態における生体監視システムは、第1の実施形態と同様に、無線センシング端末とデータ収集端末とを備える。なお、第1の実施形態〜第5の実施形態では、データ収集端末から無線センシング端末に対して、電磁波を用いてデータ要求信号を送信することで、無線センシング端末の無線通信部を起動させていたが、本実施形態では、無線センシング端末からデータ収集端末に対して、電磁波を用いて収集データを送信することで、データ収集端末の無線通信部を起動させる。
【0053】
次に、無線センシング端末の構成について説明する。図10は、本実施形態における無線センシング端末100の構成を示したブロック図である。図示する例では、無線センシング端末100は、センサ部11と、保持部12と、電源部15と、無線通信部17と、アンテナ18とを備える。
【0054】
センサ部11は、第1の実施形態におけるセンサ部11と同様である。保持部12は、センサ部11が出力した収集データを取得して保持し、保持した収集データを無線通信部17に対して出力する。無線通信部17は、アンテナ18を介して、データ収集端末に対して、電磁波を用いて収集データを送信する。なお、無線通信部17が無線センシング端末に対して収集データを送信するタイミングは、ユーザからの指示や、所定のタイミングなど、どのようなタイミングとしてもよい。
【0055】
次に、データ収集端末110の構成について説明する。図11は、本実施形態におけるデータ収集端末110の構成を示したブロック図である。図示する例では、データ収集端末110は、無線通信部21(無線通信モジュール)と、データ処理部22と、記憶部23と、表示部24と、アンテナ25(無線通信アンテナ)と、起動信号出力部111と、制御部112と、電源部113と、電源開閉部114とを備える。
【0056】
起動信号出力部111は、アンテナ25を介して、無線センシング端末100から送信される電磁波を整流して直流電圧に変換する。また、起動信号出力部111は、変換した直流電圧が一定の閾値以上になった場合に起動信号を生成し、制御部112に対して出力する。制御部112は、起動信号出力部111から起動信号が入力された場合、電源開閉部114を制御し、電源部113から無線通信部21に対して電力を供給させる。また、制御部114は、無線通信部21がデータの受信を完了した後、電源開閉部114を制御し、電源部113から無線通信部21への電力の供給を停止させる。
【0057】
電源部113は、電源開閉部114の制御に基づいて無線通信部21に電力を供給する。電源開閉部114は、制御部112の制御に従い、電源部113から無線通信部21への電力の供給を制御する。無線通信部21は、電源部113から電力が供給されると起動する(動作を開始する)。また、無線通信部21は、無線センシング端末100から電磁波を用いて送信される収集データを、アンテナ25を介して受信する。また、無線通信部21は、受信した収集データをデータ処理部22に対して出力する。データ処理部22と、記憶部23と、表示部24とは、第1の実施形態における各部と同様である。
【0058】
上述したとおり、データ収集端末110の起動信号出力部111は、データ収集端末100から送信された電磁波を整流して直流電圧に変換する。また、起動信号出力部111は、変換した直流電圧が一定の閾値以上になった場合に起動信号を出力する。また、制御部112は、起動信号生成部111が起動信号を出力した場合、電源開閉部114を制御し、電源部113から無線通信部21に対して電力を供給させる。また、無線通信部21は、電源部113から電力が供給されると起動する(動作を開始する)。また、無線通信部21は、電源部113から供給される電力を用いて、無線センシング端末100から送信される収集データを受信する。また、制御部112は、無線通信部21が収集データの受信を完了した後、電源部113から無線通信部21への電力の供給を停止させる。また、無線通信部21は、電源部113からの電力の供給が停止されると動作を停止する。
【0059】
このように、データ収集端末110は、無線センシング端末100から送信される、収集データを送信するために用いる電磁波から起動信号を生成する。そして、データ収集端末110は、生成した起動信号に基づいて無線通信部21に電力を供給することで無線通信部21を起動する。従って、データ収集端末110は、より消費電力を低減しつつ、通信開始時に無線通信部21を起動することができる。また、データ収集端末110は、通信開始時に無線通信部21を起動するため、待ち受け時において消費電力を低減することができ、電源部113の消耗を抑制することができる。
【0060】
以上、この発明の第1〜第6の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。例えば、第1〜第6の実施形態においては、無線センシング端末とデータ収集端末とが1対1で無線通信を行うものとして説明したが、1対N、M対1、M対Nのいずれの関係であっても本発明を適用することができる(NおよびMは自然数)。
【符号の説明】
【0061】
1・・・生体データ監視システム、10,100・・・無線センシング端末、11・・・センサ部、12・・・保持部、13,33,53,73,93,111・・・起動信号出力部、14,112・・・制御部、15,113・・・電源部、16,114・・・電源開閉部、17,21・・・無線通信部、18,25・・・アンテナ、20,60,110・・・データ収集端末、22・・・データ処理部、23・・・記憶部、24・・・表示部、61・・・ID変調部、131・・・整流部、132・・・起動部、331・・・フィルタ部、531・・・ID復調部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電力を供給可能な電源部と、
無線通信アンテナと、
前記無線通信アンテナを介して外部の端末に通信データを送信する無線通信モジュールと、
前記無線通信アンテナを介して受信される電磁波を直流電力に変換するとともに、前記変換された直流電力が所定の電力値以上になった場合に起動信号を生成して出力する起動信号出力部と、
前記起動信号出力部から前記起動信号が出力された場合、前記電源部から前記無線通信モジュールに前記直流電力を供給させるよう制御する制御部と、
を有することを特徴とする無線通信端末。
【請求項2】
前記起動信号出力部は、前記電磁波を整流して前記直流電力に変換する整流部を有し、前記整流部が変換した直流電力が所定の値以上になった場合、前記起動信号を出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信端末。
【請求項3】
前記起動信号出力部は、前記電磁波から特定の周波数帯域の電磁波を抽出するフィルタ部を更に有し、前記整流部は、前記抽出された周波数帯域の電磁波を整流する
ことを特徴とする請求項2に記載の無線通信端末。
【請求項4】
前記起動信号出力部は、前記電磁波を用いて送信される識別子を復調する復調部を更に有し、前記復調部で復調された識別子が所定の識別子である場合、前記起動信号を出力する
ことを特徴とする請求項3に記載の無線通信端末。
【請求項5】
前記復調部は、前記整流部が変換した前記直流電力を用いて動作する
ことを特徴とする請求項4に記載の無線通信端末。
【請求項6】
前記起動信号出力部は、前記電磁波を用いて送信される識別子を復調する復調部を更に有し、前記復調部で復調された識別子が所定の識別子である場合、前記起動信号を出力する
ことを特徴とする請求項2に記載の無線通信端末。
【請求項7】
前記復調部は、前記整流部が変換した前記直流電力を用いて動作する
ことを特徴とする請求項6に記載の無線通信端末。
【請求項8】
前記無線通信端末は、体内に設置される端末である
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信端末。
【請求項9】
前記無線通信端末は、体外に設置される端末である
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−256959(P2012−256959A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127279(P2011−127279)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】