説明

無線通信装置及び信号検出回路

【課題】周波数利用効率を向上出来る無線通信装置及び信号検出回路を提供すること。
【解決手段】第1通信チャネルとなる第1周波数帯域と、前記第1通信チャネルと該第1通信チャネルに隣接する第2通信チャネルとを含む第2周波数帯域とを用いて通信可能な無線通信装置であって、前記第1周波数帯域と前記第2周波数帯域とにおいて干渉信号の有無を監視し、第1検出信号と第2検出信号とを出力する干渉信号検出部と、前記第1検出信号及び前記第2検出信号に基づいて、前記干渉信号がいずれの通信チャネルに存在するかを判定する干渉信号判定部とを具備し、前記干渉信号判定部は、前記干渉信号検出部から前記第2検出信号が出力され且つ前記第1検出信号が出力されない場合に、前記干渉信号が前記第2周波数チャネルに存在すると判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置及び信号検出回路に関する。例えば、無線LANシステムにおける周波数の効率的な利用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線LANシステムにおいては、レーダの監視を行うことが電波法によって規定されている。このレーダとは、例えば気象庁が使用するレーダである。無線LANシステムが使用する通信帯域にこのレーダが発見されると、無線LANシステムは通信帯域を変更する必要がある。
【0003】
従来のIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11aの無線LANシステムでは、20MHzの周波数帯域を用いて無線通信を行う。そのため、レーダ信号の監視においても、20MHzの周波数帯域に対して行えばよい(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかし最近の無線LANにおける伝送速度を高速化する方法として、周波数帯域を拡張することがIEEE802.11nにおいて検討されている。IEEE802.11nでは、従来の20MHz帯域に加えて、40MHz帯域での無線通信が可能とされる。すると、従来のレーダ検出方法では、いずれか一方の帯域についてしかレーダを監視出来ない。従って、レーダが発見された場合には通信を中断するか、または通信チャネルを変更しなければならず、周波数利用効率が低下するという問題があった。
【特許文献1】特開2005−210616公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、周波数利用効率を向上出来る無線通信装置及び信号検出回路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る無線通信装置は、第1通信チャネルとなる第1周波数帯域と、前記第1通信チャネルと該第1通信チャネルに隣接する第2通信チャネルとを含む第2周波数帯域とを用いて通信可能な無線通信装置であって、前記第1周波数帯域と前記第2周波数帯域とにおいて干渉信号の有無を監視し、前記第1周波数帯域において前記干渉信号を検出した際に第1検出信号を出力し、前記第2周波数帯域において前記干渉信号を検出した際に第2検出信号を出力する干渉信号検出部と、前記第1検出信号及び前記第2検出信号に基づいて、前記干渉信号が前記第1通信チャネルと前記第2通信チャネルとのいずれに存在するかを判定する干渉信号判定部とを具備し、前記干渉信号判定部は、前記干渉信号検出部から前記第2検出信号が出力され且つ前記第1検出信号が出力されない場合に、前記干渉信号が前記第2周波数チャネルに存在すると判定する。
【0007】
また、この発明の一態様に係る信号検出回路は、デジタル信号である入力信号の周波数を、予め定められた発振周波数の発振信号を用いて変換する周波数変換部と、前記発振周波数に等しいカットオフ周波数を有し、前記周波数変換部において前記周波数の変換された前記入力信号の一部を抽出するフィルタ部と、前記フィルタ部において抽出された前記入力信号の強度を測定する測定部と、前記測定部における測定結果に基づいて、前記入力信号におけるパルス信号の有無を判定する判定部とを具備する。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、周波数利用効率を向上出来る無線通信装置及び信号検出回路を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。この説明に際し、全図にわたり共通する部分には共通する参照符号を付す。
【0010】
[第1の実施形態]
この発明の第1の実施形態に係る無線通信装置及び信号検出回路について、図1を用いて説明する。図1は本実施形態に係る無線LANシステムの概念図であり、IEEE802.11規格に従った無線LANシステムを示している。
【0011】
図示するように本実施形態に係る無線LANシステムは、無線基地局101と無線端末局102、103とを含み、これらの間で無線通信が行われる。無線基地局101と少なくとも1つの無線端末局から構成される単位は、IEEE802.11規格においてBSS(Basic Service Set)と呼ばれる。なお図1では、BSS内に含まれる無線端末局が2つである場合を示しているが、無線端末局の数には特に制限はない。更に無線端末局102、103は、データストリームを送受信可能な複数のアンテナを備えていても良い。また、複数のアンテナを備えた無線基地局101と、単一アンテナを備えた無線端末局103が混在するBSSであってもよい。また、無線基地局101や無線端末局102、103に実装されるアンテナの本数は、無線LANシステムにおける通信方式に応じて1本でも良いし、複数実装されていてもよい。
【0012】
図2は、本実施形態に係る無線LANシステムにおいて使用される周波数帯域を示すバンド図である。図示するように、無線LANシステムは、互いに重複する第1周波数帯域と第2周波数帯域とを使用する。第1周波数帯域は、a[MHz]から(a+20)[MHz]までの20MHzの帯域幅を有している。以下、この第1周波数帯域に相当する帯域を第1通信チャネルと呼ぶ。また第2周波数帯域は、a[MHz]から(a+40)[MHz]までの40MHzの帯域幅を有している。以下、(a+20)[MHz]から(a+40)[MHz]までの間の帯域を第2通信チャネルと呼ぶ。
【0013】
すなわち、第2周波数帯域は、第1通信チャネルと、第1通信チャネルに隣接する第2通信チャネルとを含んでいる。従来のIEEE802.11a規格等では、第1周波数帯域での無線通信のみが可能とされていたが、IEEE802.11n規格では、第1周波数帯域だけでなく第2周波数帯域を用いた無線通信も可能とされる。
【0014】
また、a[MHz]から(a+20)[MHz]までの20MHzの帯域幅を第2通信チャネルとし、(a+20)[MHz]から(a+40)[MHz]までの間の帯域を第1通信チャネルと定義してもよい。更に、本実施形態では第1周波数帯域の帯域幅が20MHzであり、第2周波数帯域の帯域幅が40MHzである場合を例に説明するが、これは一例にすぎない。例えば第1周波数帯域の帯域幅が40MHzであり、第2周波数帯域の帯域幅が80MHz等であっても良い。
【0015】
本実施形態に係る無線基地局101は、上記の無線通信を実現するための無線通信装置を備えている。図3は、無線基地局101の備える無線通信装置のブロック図である。
【0016】
図示するように無線通信装置200は、アンテナ201、無線部202、受信部203、送受信データ処理部204、送信部205、第1レーダ検出部206、第2レーダ検出部207、レーダ検出判定部208、周波数切替部209、及びチャネル情報記憶部210を備えている。
【0017】
アンテナ201は、BSSにおける無線端末局102、103から送信された無線信号(RF信号:アナログ信号)を受信し、また無線端末局102、103へ向けて無線信号を送信する。
【0018】
無線部202は、第2周波数帯域(40MHz)で無線通信を行う際には、周波数切替部209の命令に応じて、40MHz帯域幅の無線信号を受信及び送信するように動作する。また第1周波数帯域(20MHz)で無線通信を行う際には、周波数切替部209の命令に応じて、20MHz帯域の信号を受信及び送信するように動作する。そして無線部202は、無線信号の受信時には、アンテナ201で受信した5GHz帯の無線信号をベースバンド信号にダウンコンバートして受信部203へ供給する。また送信時には、送信部203から与えられるベースバンド信号を5GHz帯の無線信号にアップコンバートしてアンテナ201から送信する。
【0019】
受信部203は、無線信号の受信時において、無線部202から与えられるベースバンド信号をアナログ信号からデジタル信号に変換する。更に、デジタル信号に変換したベースバンド信号につき復調処理を行って、その結果得られる復調信号を送受信データ処理部204へ供給する。また、デジタル信号に変換したベースバンド信号を、第1レーダ検出部206及び第2レーダ検出部207へ供給する。
【0020】
受信部203の詳細について、図4を用いて説明する。図4は受信部203のブロック図である。図示するように受信部203は、A/D変換部(以下、ADC部と称する)203a、フィルタ部203b、203c、選択部203d、復調部203eを備えている。
【0021】
ADC部203aは、無線部202から与えられるベースバンド信号を、アナログ信号からデジタル信号へ変換する。そしてADC部203aは、デジタル信号へ変換された無線信号(以下、単にデジタル信号と呼ぶことがある)を、フィルタ部203b、203cへと供給する。
【0022】
フィルタ部203bは、ADC部203aから与えられるデジタル信号のうち、20MHzの帯域の信号のみを通過させ、フィルタ部203cは40MHzの帯域の信号のみを通過させる。フィルタ部203b、203cを通過したデジタル信号は、第1、第2レーダ検出部203b、203cへとそれぞれ与えられる。またその両方が選択部203dへと与えられる。
【0023】
選択部203dは、第1周波数帯域を用いた無線通信時にはフィルタ部203bの出力を復調部203eへと供給し、第2周波数帯域を用いて無線通信時にはフィルタ部203cの出力を復調部203eへと供給する。フィルタ部203b、203cのいずれの出力を選択するかは、例えば復調部203eの命令によって判断される。
【0024】
復調部203eは、選択部203dから供給されるデジタル信号につき、IEEE802.11規格の無線LANシステムで規定される復調処理を行う。例えば、直交周波数分割多重(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)復調及び誤り訂正復号を行って、ベースバンド受信信号を得る。そして、得られたベースバンド受信信号を送受信データ処理部204へ供給する。
【0025】
図3に戻って説明を続ける。送受信データ処理部204は、送受信データにつきベースバンド処理を行う。例えば無線信号の受信時には、受信部203より受信したベースバンド受信信号からMAC(Media Access Control)ヘッダを取り除き、パケットを組み立てる。パケットとは、パーソナルコンピュータ等において扱えるデータ構造に組み立てられた送受信データのことである。逆に送信時には、送信すべきデータにMACヘッダを付加してフレームを組み立てる。フレームとは、無線通信により通信可能に組み立てられた送受信データのことである。そしてフレームを送信部205へ出力する。
【0026】
送信部205は、送受信データ処理部から受信したフレームにつき、IEEE802.11規格の無線LANシステムで規定される変調処理を行う。例えばOFDM変調及び誤り訂正符号化を行って、ベースバンド信号を得る。更に、ベースバンド信号をデジタル信号からアナログ信号へ変換し、得られたアナログ信号を無線部202へと供給する。
【0027】
第1レーダ検出部206は、受信部203のフィルタ部203bから与えられるデジタル信号につき、20MHz帯域においてレーダを検出する。そして検出結果をレーダ検出判定部208へ出力する。すなわち、第1通信チャネルにレーダが存在するか否かを検出する。そしてレーダを検出した際には、第1検出信号をレーダ検出判定部208へ出力する。
【0028】
第2レーダ検出部207は、受信部203のフィルタ部203cから与えられる無線信号につき、40MHz帯域においてレーダを検出する。そして検出結果をレーダ検出判定部208へ出力する。そしてレーダを検出した際には、第2検出信号をレーダ検出判定部208へ出力する。従って、第1レーダ検出部206によって第1周波数帯域(20MHz)におけるレーダの有無を検出出来、第2レーダ検出部207によって第2周波数帯域(40MHz)におけるレーダの有無を検出出来る。
【0029】
レーダ検出判定部208は、第1レーダ検出部206及び第2レーダ検出部207の出力信号に基づいて、レーダが第1通信チャネルと第2通信チャネルとのいずれに存在するのかを判定する。この判定の結果、現在使用中の周波数帯域においてレーダが検出されると、レーダ検出判定部208は、通信を行う周波数帯域の変更、若しくは通信チャネルの変更が必要と判断する。そしてレーダ検出判定部208は、周波数切替部209へと周波数変更指示信号を出力する。更にレーダ検出判定部208は、送受信データ処理部204に対してデータの送信停止を命令する。
【0030】
周波数切替部209は、レーダ検出判定部208から与えられる周波数変更指示信号に応答して、周波数帯域または通信チャネルの変更を行う。そして変更を行った際には、その旨を無線部202へと通知する。周波数切替部209における周波数帯域や通信チャネルの変更は、チャネル情報記憶部210内の情報に従って行われる。すなわち周波数切替部209は、チャネル情報記憶部210から取得したチャネル情報を無線部202に設定することによって、新しい通信チャネルに切り替えるように無線部202に指示する。例えば、40MHz帯域による通信中に当該帯域中にレーダが発見され、20MHz帯域による通信へと変更する場合、周波数切替部209はその旨を無線部202へと通知する。そして、無線部202において20MHz帯域での通信が可能となるよう、無線部202の設定を変更する。これにより無線部202は、40MHz帯域の信号を受信する動作から、20MHz帯域の信号を受信する動作へと切り替わる。
【0031】
無線部202が動作を切り替えると、無線部202は切替完了の旨を周波数切替部209へ通知する。その通知を受理すると周波数切替部209は、通信チャネルの変更あるいは周波数帯域幅の変更を送受信データ処理部204へ通知する。これにより、送受信データ処理部204は、現在BSSで占有している周波数帯域幅を認識した上で、データの送信処理を行うことが可能となる。
【0032】
チャネル情報記憶部210は、無線LANシステムで利用可能な周波数帯域内における複数の通信チャネル情報を記憶している。IEEE802.11規格に従った無線LANシステムでは、使用可能な周波数帯域が複数あり、さらに各帯域の中に複数の通信チャネルが存在する。本実施形態における無線LANシステムは、これらの複数の通信チャネルの中から、使用可能なチャネルを選択し、通信を行うことができる。
【0033】
図5は、本実施形態に係る無線LANシステムで使用可能な周波数帯域を示す概念図であり、特にレーダ検出の必要な周波数帯域を示している。通常、無線LANシステムで使用できる周波数帯域は5.15GHzから5.25GHzの帯域、5.25GHzから5.35GHzの帯域、そして5.47GHzから5.725GHzの帯域である。これらの周波数帯域の中で、5.25GHzから5.35GHzの帯域内の通信チャネルと5.47GHzから5.725GHzの帯域内の通信チャネルは送信電力が大きく、屋外でも使用可能である。従って、この帯域はレーダに干渉する可能性があるので、これらの帯域を使用する場合はレーダを検出する必要がある。そしてこれらの帯域では、レーダが存在しない通信チャネルを選択する場合に限り、その通信チャネルを使用することができる。
【0034】
図6は、チャネル情報記憶部210が記憶するチャネル情報の概念図である。チャネル情報記憶部210は、本実施形態に係る無線LANシステムにおいて使用可能な通信チャネルに関する情報CH−a〜CH−oを保持する。これらの通信チャネルは、電波法で使用可能とされている周波数帯域から選択可能な通信チャネルである。
【0035】
本実施形態では、図5に示す5.25GHz〜5.35GHzまでと、5.47GHz〜5.725GHzまでの周波数を利用可能とされ、チャネル情報記憶部210はこの周波数エリアからチャネル情報として取得する。一例として、個々の通信チャネルの帯域幅は、図2を用いて説明したように20MHzである。従って、5.25GHz〜5.35GHzまでのうちの利用可能な通信チャネルは5個である。すなわち、5.25〜5.27GHzの帯域、5.27〜5.29GHzの帯域、…5.33〜5.35GHzの帯域が、それぞれ通信チャネルとなる。また、5.47GHz〜5.725GHzまでのうちの利用可能な通信チャネルは12個である。すなわち、5.47〜5.49GHzの帯域、5.49〜5.51GHzの帯域、…5.69〜5.71GHzの帯域が、それぞれ通信チャネルとなる。
【0036】
従って、第1周波数帯域を用いた通信を行う際には、上記通信チャネルのいずれかを第1通信チャネル(図2参照)として用いて、20MHz帯域での通信が行われる。他方、第2周波数帯域を用いた通信を行う際には、隣接する2つの上記通信チャネルを用いて40MHz帯域での通信が行われる。この際、2つの通信チャネルのうち、低周波数側の通信チャネルが第1通信チャネルとなり、高周波数側の通信チャネルが第2通信チャネルとなる。そしてチャネル情報記憶部210は、上記20MHz帯域の各通信チャネルに関する情報を、情報CH−a〜CH−oとして保持する。
【0037】
また通信チャネルの選択方法は上記に限らず、低周波数側の通信チャネルを第2通信チャネルとし、高周波数側の通信チャネルを第1通信チャネルとしてもよい。
【0038】
周波数切替部209は、上記情報CH−a〜CH−oを用いて無線部202及び送受信データ処理部204を制御する。また周波数切替部209は、通信チャネルを変更する場合には、通信チャネルをランダムに選択しても良いし、または高周波数の通信チャネルから優先的に選択しても良い。または各通信チャネルを第1、第2、第3チャネルと番号付けした際に、そのうちの偶数チャネルを選択、または奇数チャネルを選択するようにしても良い。通信チャネルの選択手法は特定のアルゴリズムを使用する等、適宜選択可能である。
【0039】
次に、上記構成の無線通信装置200における、レーダ検出から周波数切り替えまでの動作の詳細を、図7を用いて説明する。図7は、無線通信装置200の動作の流れを示すフローチャートである。
【0040】
まず、無線通信装置200はある通信チャネルを用いて第2周波数帯域(40MHz帯域)を用いて通信を行っているとする。無線基地局101の無線通信装置200におけるレーダ検出判定部208は、第1レーダ検出部206及び第2レーダ検出部207からの検出信号を監視する。そして、第1レーダ検出部206及び/または第2レーダ検出部207においてレーダを検出した場合(ステップS0)、レーダ検出判定部208は送受信データ処理部204に対して送信停止を指示する。これに応答し、送受信データ処理部204は送信を停止をする(S1)。引き続きレーダ検出判定部208は、第1レーダ検出部206及び第2レーダ検出部207が出力するそれぞれの第1検出信号及び、第2検出信号を確認する(S2)。
【0041】
以下では、第1検出信号及び、第2検出信号につき、信号が出力された場合を“1”、出力されなかった場合を“0”と表記する。そして、第1、第2検出信号の検出結果の組み合わせを(0、1)、(1、0)、(1、1)で示す。
【0042】
まず、レーダ検出判定部208における検出結果が、(第1検出信号、第2検出信号)=(0、1)である場合(S3、{0、1})、について説明する。この場合には、第1周波数帯域においてレーダが検出されず、第2周波数帯域においてレーダが検出された場合に相当する。するとレーダ検出判定部208は、第2通信チャネルにレーダが存在すると判定する(S4)。この場合、第2通信チャネルを用いた通信の継続ができない。つまり、当該第2通信チャネルを含む第2周波数帯域を用いた通信が不可能である。しかし、第1通信チャネルにレーダは存在しないので、第1通信チャネルのみを使用した(すなわち20MHz帯域による)通信は可能である。
【0043】
例えば図6において、5.25〜5.27GHzの帯域のチャネル(CH−a)を第1通信チャネル、5.27〜5.29GHzの帯域の通信チャネル(CH−b)を第2通信チャネルとして、40MHz帯域通信を行っていたとする。(第1検出信号、第2検出信号)=(0、1)であったということは、5.27〜5.29GHzの帯域の第2通信チャネルにおいてレーダが検出されたことを意味する。従ってこの場合には、5.25〜5.27GHzの帯域の第1通信チャネルのみを用いた通信(20MHz帯域通信)に切り替えるか、または別の通信チャネルに切り替えて40MHz帯域通信を行う。別の通信チャネルに切り替えるという意味は、5.25〜5.29GHzの帯域を使用しない別の通信チャネルを用いるという意味である。例えば5.29〜5.33GHz帯域を使用して、40MHz帯域通信を行う。この場合には、5.29〜5.31GHz帯域の通信チャネルが第1通信チャネルとして使用され、5.31〜5.33GHz帯域の通信チャネルが第2通信チャネルとして使用されることになる。
【0044】
そこでレーダ検出判定部208は、現在使用している通信チャネルを別の周波数帯域の通信チャネルに切り替えるか否かを判定する(S5)。
【0045】
別の通信チャネルに切り替える場合(S5、YES)には、レーダ検出判定部208は無線部202及び送受信データ処理部204に対して、その旨を命令する。例えば5.29〜5.33GHz帯域を使用する場合には、チャネル情報記憶部210内から情報CH−c、CH−dを読み出し、この情報に基づいて無線部202を設定する。これにより、無線通信装置は異なる通信チャネルを用いて、40MHz帯域の通信を再開する(S6)。
【0046】
別の通信チャネルに切り替えない場合(S5、NO)には、レーダ検出判定部208は、使用する周波数帯域を第2周波数帯域から第1周波数帯域へと変更し、第1通信チャネルのみで無線通信が再開する決定をする(S7)。次に周波数切替部209は送受信データ処理部204及び無線部202に対し、周波数帯域の変更の旨を送出する。この結果、無線基地局101は第1周波数チャネルのみで通信を再開する(S8)。
【0047】
次に、レーダ検出判定部208における検出結果が、(第1検出信号、第2検出信号)=(1、0)である場合(S3、{1、0})、について説明する。この場合には、第1周波数帯域においてレーダが検出され、第2周波数帯域においてレーダが検出されなかった場合に相当する。このようなケースは、無線通信装置200が正常に動作している限り起こらないはずではあるが、検出結果の組み合わせとしては存在し、また何らかの原因によりこのような検出結果が得られる場合も無いとは限らない。従って、本実施形態では(第1検出信号、第2検出信号)=(1、0)の場合の方策も用意している。
【0048】
この場合には、レーダ検出判定部208は、第1通信チャネルにのみレーダが存在すると判定する(S9)。従って、第1通信チャネルを用いた通信の継続ができない。つまり、当該第1通信チャネルを含む第2周波数帯域を用いた通信が不可能である。勿論、ステップS7の場合と異なり、周波数帯域を20MHzに変更しての通信も不可能である。そこでレーダ検出判定部208は、当該第1通信チャネルとは異なる通信チャネルを用いて、40MHz帯域通信を再開する(ステップS10)。この処理は、上記のステップS6と同様である。
【0049】
次に、レーダ検出判定部208における検出結果が、(第1検出信号、第2検出信号)=(1、1)である場合(S3、{1、1})、について説明する。この場合には、第1周波数帯域においてレーダが検出され、且つ第2周波数帯域においてもレーダが検出された場合に相当する。この場合、レーダ検出判定部208は、第1通信チャネルのみ、もしくは第1通信チャネルと第2通信チャネルとの両方でレーダが検出されたと判定する(S11)。
【0050】
この場合における検出結果によると、レーダが第1通信チャネルと第2通信チャネルのいずれに存在するのかを特定できない。従ってレーダ検出判定部208は、第1通信チャネル及び第2通信チャネルの両方の使用を中止する。
【0051】
よってレーダ検出判定部208は、当該第1、第2通信チャネルとは異なる周波数の通信チャネルに切り替える(S12)。すなわち、前述のように5.25〜5.27GHzの帯域のチャネル(CH−a)を第1通信チャネル、5.27〜5.29GHzの帯域の通信チャネル(CH−b)を第2通信チャネルとして、40MHz帯域通信を行っていたとする。(第1検出信号、第2検出信号)=(1、1)の場合には、5.25〜5.29GHzに含まれる2つの通信チャネルが使用禁止とされる。よってレーダ検出判定部208は他の通信チャネル、例えば5.29〜5.33GHz帯域を使用して、40MHz帯域通信を行う。
【0052】
また、ステップS0の判定において、第1、第2レーダ検出部206、207の両方においてレーダが検出されなかった場合(つまり、(第1検出信号、第2検出信号)=(0、0)に相当する)、周波数チャネルや周波数帯域を変更することなく無線通信が継続される(S13)。
【0053】
上記のように、本実施形態に係る無線通信装置であると、下記(1)の効果が得られる。
(1)通信周波数を効率的に利用出来る(その1)。
従来の例えばIEEE802.11a規格では、無線通信に使用する周波数帯域の帯域幅は20MHzとされていた。従って、レーダの監視も20MHzの帯域で行っていれば十分であった。
【0054】
しかし、IEEE802.11n規格では、20MHzの帯域だけでなく、40MHzの帯域での通信が行われる。すると、例えば40MHzの帯域でのみレーダを監視していた場合、例えレーダが第1通信チャネルにのみ存在する場合であっても、必ず通信チャネルを変更しなければならない。従って、通信周波数の利用効率が低下すると共に、通信チャネルの変更処理により、動作速度が低下するという問題があった。
【0055】
しかし、本実施形態に係る無線通信装置200であると、20MHz帯域でレーダを監視する第1レーダ検出部206と、40MHz帯域でレーダを監視する第2レーダ検出部207を備えている。従って、レーダ検出判定部208は、レーダが第2通信チャネルにのみ存在することを把握することが出来る。すなわち、第1レーダ検出部206でレーダが検出されず、第2レーダ検出部207でレーダが検出されれば、この場合には第2通信チャネルにのみレーダが存在すると把握出来る。この場合には、第1通信チャネルのみを使用した20MHz帯域通信が可能となるため、周波数の利用効率が向上する。更に、第1チャネルのみを使用した20MHz帯域通信を行う場合には、通信チャネルの変更が不要となるため、無線通信装置200の動作速度の低下を防止出来る。
【0056】
[第2の実施形態]
次に、この発明の第2の実施形態に係る無線通信装置及び信号検出回路について説明する。本実施形態は、上記第1の実施形態において2つのレーダ検出部を1つにしたものである。図8は、本実施形態に係る無線通信装置のブロック図である。
【0057】
図示するように、本実施形態に係る無線通信装置200は、上記第1の実施形態で説明した図3の構成において、第1、第2レーダ検出部206、207を廃して1つのレーダ検出部212を設け、更に受信部203を受信部211に置き換えたものである。その他の構成については上記第1の実施形態と同様であるので、説明は省略する。
【0058】
図9は、受信部211のブロック図である。図示するように受信部211は、第1の実施形態で説明した図4の構成において、フィルタ部203b、203c、及び選択部203dを廃し、フィルタ部203fを新たに設けた構成を有している。
【0059】
フィルタ部203fは、レーダ検出部212の命令に応じて、ADC部203aから与えられるデジタル信号のうち、20MHz帯域または40MHz帯域の信号を通過させる。すなわちフィルタ部203fは、通過帯域が可変のフィルタである。そして、フィルタ部203fを通過したデジタル信号が、復調部203e及びレーダ検出部212に与えられる。無線通信装置200が第1周波数帯域(20MHz)を用いて無線通信を行う際には、フィルタ部203fは、20MHz帯域の信号のみを通過させる。他方、第2周波数帯域(40MHz)を用いて無線通信を行う際には、20MHz帯域の信号、または40MHz帯域の信号を通過させる。
【0060】
上記フィルタ部203fは、第2周波数帯域(40MHz)を通過させるフィルタと、第1通信チャネルに相当する第1周波数帯域(20MHz)を通過させるフィルタと、第2通信チャネルに相当する20MHzを通過させるフィルタとを含む。そして、いずれかのフィルタが、レーダ検出部212の命令によって有効とされる。以下では、フィルタ部203fが40MHzの帯域幅の周波数成分を通過させるように動作している状態を第2周波数帯域モードと呼び、20MHzの帯域幅の周波数成分を通過させるように動作している状態を第1周波数帯域モードと呼ぶことにする。また、第1周波数帯域モードのうち、第1通信チャネルに相当する帯域を通過させるように動作している状態を第1チャネルモードと呼び、第2通信チャネルに相当する帯域を通過させるように動作している状態を第2チャネルモードと呼ぶ。
【0061】
レーダ検出部212は、受信部211から与えられるデジタル信号につき、レーダの検出を行う。そして検出結果をレーダ検出判定部208へ出力する。そしてレーダ検出部212は、フィルタ部203fが第1周波数帯域モードである場合にレーダを検出した際には、第1検出信号を出力する。他方、第2周波数帯域モードである場合にレーダを検出した際には、第2検出信号を出力する。またレーダ検出部212は、第2周波数帯域において通信を行う際には、40MHzの帯域でレーダを検出した場合に、フィルタ部203fに対して20MHz帯域のみを通過させるように命令する。
【0062】
次に、上記構成の無線通信装置200における、レーダ検出から周波数切り替えまでの動作の詳細を、図10を用いて説明する。図10は、無線通信装置200の動作の流れを示すフローチャートである。
【0063】
まず、無線通信装置200において、使用する周波数帯域の決定前、すなわち無線通信を行うための通信チャネルを決定する前、若しくは無線通信中には、フィルタ部203fは第2周波数帯域モードで動作しているものとする(S20)。
【0064】
従って、レーダ検出部212は第2周波数帯域においてレーダを検出する。またレーダ検出判定部208は、レーダ検出部212からの検出信号を監視する。そして、レーダ検出部212においてレーダが検出された場合(ステップS21、YES)、レーダ検出判定部208は送受信データ処理部204に対して送信停止を指示する。これに応答し、送受信データ処理部204は送信を停止する(S22)。
【0065】
次に、第2周波数帯域内においてレーダ信号を検出されたことをレーダ検出判定部208が判定すると、レーダ検出部212は、第2周波数帯域モードから第1チャネルモードに切り替わるよう、フィルタ部203fへ指示を与える。この指示により、フィルタ部203fは第1チャネルモードに切り替わる(S23)。
【0066】
そしてレーダ検出部212は、自身が保持するタイマーにレーダ観測時間TO1を設定し、TO1の期間だけ、レーダ検出を行う(S24)。タイマーを設ける理由は次の通りである。すなわち、レーダはある一定の周期で継続的に与えられるパルス性の信号である。従って、レーダの観測時間が短すぎると、レーダでないパルス性の信号をレーダと誤認識する恐れがある。また、例えば熱雑音により得られる誤検出も考えられる。そこで、レーダ検出部212は予めレーダ観測時間TO1を設定し、この期間に一定の周期で継続的に与えられるパルス性の信号があった場合に、それがレーダであると判断する。レーダ観測時間TO1は、例えば30〜70[msec]程度である。
【0067】
第1チャネルモードでレーダが検出されると(S25、YES)、レーダ検出判定部208は、第1通信チャネルのみ、もしくは第1通信チャネルと第2通信チャネルとの両方でレーダが検出されたと判定する(S26)。従ってレーダ検出判定部208は、当該第1、第2通信チャネルとは異なる周波数の通信チャネルに切り替える(S27)。ステップS26、S27の処理は、第1の実施形態で説明したステップS11、S12に相当する。
【0068】
レーダの検出は、レーダ観測時間TO1が経過するまで継続される(S25、NO、S28、NO)。そして、TO1が経過してもレーダが検出されなかった場合(S28、YES)、レーダ検出部212は、レーダは検出されなかったと判断する(S29)。この結果を受けてレーダ検出判定部208は、第2通信チャネルにレーダが存在すると判定する(S30)。そこでレーダ検出判定部208は、現在使用している通信チャネルを別の周波数帯域の通信チャネルに切り替えるか否かを判定する(S31)。
【0069】
別の通信チャネルに切り替える場合(S31、YES)には、レーダ検出判定部208は無線部202及び送受信データ処理部204に対して、その旨を命令する。これにより、無線通信装置は異なる通信チャネルを用いて、40MHz帯域の通信を再開する(S32)。別の通信チャネルに切り替えない場合(S31、NO)には、レーダ検出判定部208は、使用する周波数帯域を第2周波数帯域から第1周波数帯域へと変更し、第1通信チャネルのみで無線通信が再開する決定をする(S33)。この結果、無線通信装置200は第1周波数チャネルのみで通信を再開する(S34)。
【0070】
上記のステップS30〜S34の処理は、第1の実施形態で説明したステップS4〜S8に相当する。
【0071】
ステップS21の判定において、レーダ検出部212にてレーダ信号を検出していないと判定した場合には、周波数チャネルを変更することなく無線通信を継続する(S35)。
【0072】
次に、ステップS20において、フィルタ部203fが第1周波数帯域モードで動作している場合について説明する。この場合には、無線通信装置は第1通信チャネルのみを使用して通信を行っている。そしてレーダ検出部212は、第1周波数帯域においてレーダの有無を検出する(S36)。
【0073】
レーダ検出部212がレーダを検出すると(S36、YES)、レーダ検出判定部208は送受信データ処理部204に対して送信停止を指示する。これに応答して送受信データ処理部204は送信の停止をする(S37)。またレーダ検出判定部208は第1通信チャネルにおけるレーダの存在を把握し(S38)、異なる通信チャネルへの切り替えを行う(S39)。ステップS36の判定において、レーダが検出されなければ(S36、NO)、無線通信は継続される(S35)。
【0074】
上記のように、この発明の第2の実施形態に係る無線通信装置であると、上記第1の実施形態で説明した(1)の効果に加えて、下記(2)の効果も得られる。
(2)無線通信装置の回路規模を縮小できる(その1)。
本実施形態に係る構成であると、フィルタ部203fが、40MHz帯域通過用フィルタとして機能する(第2周波数帯域モード)と共に、20MHz帯域通過用フィルタとしても機能する(第1周波数帯域モード)。そして、40MHz帯域においてレーダを検出する際には、フィルタ部203fが第2周波数帯域モードで動作する。また20MHz帯域においてレーダを検出する際には、フィルタ部203fが第1周波数帯域モードで動作する。従って、1つのレーダ検出部212により、上記第1の実施形態と同様のレーダ検出が可能となる。その結果、第1の実施形態に比べて、無線通信装置200の回路規模を縮小出来る。
【0075】
[第3の実施形態]
次に、この発明の第3の実施形態に係る無線通信装置及び信号検出回路について説明する。本実施形態は、上記第2の実施形態において、更に第2通信チャネルにおけるレーダ検出を行うものである。
【0076】
本実施形態に係る無線通信装置200の構成は、第2の実施形態で説明した図8及び図9と同様であるので説明は省略する。但し、第2の実施形態と異なりレーダ検出部212は、第2周波数帯域内でレーダを検出した場合、フィルタ部203fに対し、第1チャネルモードだけでなく第2チャネルモードにも遷移するように命令する。
【0077】
次に、上記構成の無線通信装置200における、レーダ検出から周波数切り替えまでの動作の詳細を、図11を用いて説明する。図11は、無線通信装置200の動作の流れを示すフローチャートである。
【0078】
まず、上記第2の実施形態で説明したステップS20〜S25の動作が行われる。これらの動作は第2の実施形態で説明したとおりであるので説明は省略する。また、ステップS20において第1周波数帯域モードであった場合のステップS36〜S39の動作、及びステップS21でNOと判断された場合のステップS35の動作も第2の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0079】
ステップS25において、レーダが検出されると(ステップS25、YES)、レーダ検出部212は第1検出信号を出力する。更にレーダ検出部212は、フィルタ部203fに対して第1チャネルモードから第2チャネルモードへの移行命令を出力する(S40)。これにより、フィルタ部203fは第2チャネルモードへ移行し、第2チャネルに相当する第1周波数帯域(20MHz)を通過させる。その後、レーダ検出部212はタイマーにレーダ観測時間TO1を設定し(S41)、レーダ信号の監視を行う(S42)。
【0080】
第2チャネルモードでレーダが検出されると(ステップS42、YES)、レーダ検出部212は再び第1検出信号を出力する。この結果を受けてレーダ検出判定部208は、第1通信チャネルと第2通信チャネルとの両方にレーダが存在すると判定する(S43)。従ってレーダ検出判定部208は、当該第1、第2通信チャネルとは異なる周波数の通信チャネルに切り替える(S44)。ステップS43、S44の処理は、第1の実施形態で説明したステップS11、S12に相当する。
【0081】
ステップS42のレーダの検出は、レーダ観測時間TO1が経過するまで継続される(S42、NO、S45、NO)。そして、TO1が経過してもレーダが検出されなかった場合(S45、YES)、レーダ検出部212は、レーダは検出されなかったと判断する(S46)。この結果を受けてレーダ検出判定部208は、第1通信チャネルにのみレーダが存在すると判定する(S47)。そこでレーダ検出判定部208は、現在使用している通信チャネルを別の周波数帯域の通信チャネルに切り替える(S48)。
【0082】
ステップS25において、レーダが検出されなかった場合(ステップS25、NO、ステップS49、YES)、レーダ検出部212は第1検出信号を出力しない。更にレーダ検出部212は、フィルタ部203fに対して第1チャネルモードから第2チャネルモードへの移行命令を出力する(S50)。これにより、フィルタ部203fは第2チャネルモードへ移行し、第2チャネルに相当する第1周波数帯域(20MHz)を通過させる。その後、レーダ検出部212はタイマーにレーダ観測時間TO1を設定し(S51)、レーダ信号の監視を行う(S52)。
【0083】
第2チャネルモードでレーダが検出されると(ステップS42、YES)、レーダ検出部212は再び第1検出信号を出力する。この結果を受けてレーダ検出判定部208は、第2通信チャネルのみにレーダが存在すると判定する(S53)。そこでレーダ検出判定部208は、現在使用している通信チャネルを別の周波数帯域の通信チャネルに切り替えるか否かを判定する(S54)。
【0084】
別の通信チャネルに切り替える場合(S54、YES)には、レーダ検出判定部208は無線部202及び送受信データ処理部204に対して、その旨を命令する。これにより、無線通信装置は異なる通信チャネルを用いて、40MHz帯域の通信を再開する(S55)。別の通信チャネルに切り替えない場合(S54、NO)には、レーダ検出判定部208は、使用する周波数帯域を第2周波数帯域から第1周波数帯域へと変更し、第1通信チャネルのみで無線通信が再開する決定をする(S56)。この結果、無線通信装置200は第1周波数チャネルのみで通信を再開する(S57)。このステップS54〜S57の処理は、第2の実施形態で説明したステップS30〜S34に相当する。
【0085】
ステップS52のレーダの検出は、レーダ観測時間TO1が経過するまで継続される(S52、NO、S58、NO)。そして、TO1が経過してもレーダが検出されなかった場合(S58、YES)、レーダ検出部212は、レーダは検出されなかったと判断する(S46)。この場合、第1通信チャネルにおいても第2通信チャネルにおいてもレーダが検出されなかったことに相当する。しかし、ステップS21においてレーダが存在すると判定されているので、この判定を尊重してレーダ検出判定部は、第1通信チャネル及び第2通信チャネルにレーダが存在すると判定する(ステップS59)。従って、レーダ検出判定部208は、現在使用している通信チャネルを別の周波数帯域の通信チャネルに切り替えるか否かを判定する(S60)。
【0086】
上記のように、本実施形態に係る無線通信装置であると、上記第1、第2の実施形態で説明した(1)、(2)の効果に加えて、下記(3)の効果が得られる。
(3)正確なレーダ検出が可能となる。
本実施形態に係る無線通信装置であると、フィルタ部203fが第2周波数帯域モードである際にレーダが検出された場合、フィルタ部203fを第1チャネルモードだけでなく第2チャネルモードとして、レーダの検出を行う。
【0087】
すなわち、まず40MHz帯域においてレーダの検出を行い、次にその40MHz帯域における低周波数側の20MHz帯域(第1通信チャネル)でレーダの検出を行い、更に高周波数側の20MHz帯域(第2通信チャネル)でレーダの検出を行っている。従って、第2の実施形態と同一の構成により、より正確なレーダ検出が可能となる。
【0088】
[第4の実施形態]
次に、この発明の第4の実施形態に係る無線通信装置及び信号検出回路について説明する。本実施形態は、上記第2または第3の実施形態において、レーダ検出部にフィルタを設けることにより、受信部213からフィルタを廃したものである。
【0089】
図12は、本実施形態に係る無線通信装置200のブロック図である。図示するように、基本的な構成は第2及び第3の実施形態と同様である。但し、本実施形態では受信部とレーダ検出部の内部構成が第2及び第3の実施形態と異なるため、以下、受信部213及びレーダ検出部214と呼ぶ。
【0090】
図13は、本実施形態に係る受信部213のブロック図である。図示するように、本実施形態に係る受信部213は、上記第2の実施形態で説明した図9の構成において、フィルタ部203fを廃した構成を有している。従って、ADC部203aから出力されるデジタル信号が、直接レーダ検出部214に入力される。なお、ベースバンド信号はADC部203aでデジタル信号に変換されることで、実数部と虚数部とに分離される。
【0091】
図14は、本実施形態に係るレーダ検出部214のブロック図である。図示するようにレーダ検出部214は、周波数変換部214a、帯域制限フィルタ部214b、信号強度測定部214c、パルス性判定部214dを備えている。
【0092】
周波数変換部214aは、ADC部203aから与えられるデジタル信号につき、周波数変換を行う。より具体的には、デジタル信号の周波数をプラス方向及びマイナス方向に、所定の値だけシフトさせる。帯域制限フィルタ部214bは、周波数変換部214aで周波数が変換されたデジタル信号の一部の成分のみを通過させて、信号強度測定部214cへ出力する。信号強度測定部214cは、ADC部203aから与えられるデジタル信号と、帯域制限フィルタ部214bで通過されたデジタル信号との強度を測定する。更にパルス性判定部214dは、信号強度測定部214cにおける測定結果に基づいて、パルス性の信号の存在の有無、すなわちレーダの存在の有無を判定する。
【0093】
図15は、上記周波数変換部214aの内部構成を示すブロック図である。図示するように周波数変換部214aは、発振部216及び複素乗算部217を備えている。発振部216は、所定の発振周波数f1を有する発振信号を発生する。この発振信号の実数部を実数部215cと呼び、虚数部を虚数部215dと呼ぶ。
【0094】
複素乗算部217は、デジタル信号の実数部215a及び虚数部215bと、発振部216から出力される発振信号の実数部215c及び虚数部215dとを乗算する。その結果、デジタル信号の周波数が変換される。
【0095】
次に、上記構成のレーダ検出部214における動作の詳細について説明する。
まず周波数変換部214aについて説明する。図15で説明した発振部216が出力する発振信号の発振周波数f1は、例えば±10MHzである。すなわち、ADC部203aから与えられるデジタル信号の周波数をプラス方向へ10MHzシフトし、またはマイナス方向へ10MHzシフトする。また発振部216において、発振信号は例えばサンプリング周波数f2=40MHzによりサンプリングされる。そして、f2によりサンプリングされた発振信号が複素乗算部217に与えられる。なお、発振周波数f1とサンプリング周波数との関係は、両者の絶対値の比が2の冪乗分の1、つまり、|f1|/|f2|=1/2であれば良い(但しnは自然数)。これにより、発振信号の虚数部215dを示すサイン(sine)波のうち、“0”、“1”、“−1”の値のみが、発振部216から出力される。この様子を図16に示す。図16は、発振信号の虚数部215dの波形図である。図示するように、サイン波の周波数は10MHzであり、そのサンプリング周波数が40MHzである結果として、1周期あたり4つの値(“0”、“1”、“0”、“−1”)が、発振部216から出力される。
【0096】
そして、デジタル信号の実数部215aと虚数部215bは、複素乗算部217において、発振信号の実数部215c及び虚数部215dと乗算される。その結果、デジタル信号の周波数が±10MHzシフトされる。周波数変換について、図17(a)、(b)、図18(a)乃至(c)、及び図19(a)乃至(c)を用いて説明する。図17(a)はデジタル信号の周波数分布を示すグラフであり、図17(b)は発振信号の発振周波数の周波数スペクトルを示すグラフである。図18(a)及び図19(a)はデジタル信号の周波数分布を示すグラフであり、図18(b)及び図19(b)は発振信号の発振周波数の周波数スペクトルを示すグラフであり、図18(b)及び図19(c)は複素乗算部217における乗算結果の周波数分布を示すグラフである。なお、図17(a)乃至図19(a)では、デジタル信号の帯域幅が40MHzの場合について示しているが、これは説明の簡単化のためであり、40MHzよりも広い帯域のデジタル信号であっても良いし、それが通常である。
【0097】
まず図17(a)に示すようなデジタル信号が複素乗算部217に入力されたとする。つまり、帯域幅が40MHzであり、その低周波数側の20MHzが第1通信チャネルであり、高周波数側の20MHzが第2通信チャネルに相当する。そして、デジタル信号の中心周波数が、第1通信チャネルと第2通信チャネルとの境界部分に相当する。また、発振部216の発生する発振信号の発振周波数f1は、図17(b)に示すように+10MHz及び−10MHzであり、適宜選択可能である。
【0098】
まず、発振周波数f1が+10MHzであった場合について図18(a)乃至(c)を用いて説明する。発振周波数f1が+10MHzの発振信号とデジタル信号とを複素乗算することで、図18(c)に示すように、デジタル信号の周波数は+10MHzだけシフトする。つまり、−10MHz〜+10MHzの間に第1通信チャネルが位置する。
【0099】
次に、発振周波数f1が−10MHzであった場合について図19(a)乃至(c)を用いて説明する。発振周波数f1が−10MHzの発振信号とデジタル信号とを複素乗算することで、図19(c)に示すように、デジタル信号の周波数は−10MHzだけシフトする。つまり、−10MHz〜+10MHzの間に第2通信チャネルが位置する。
【0100】
以上のように周波数変換により得られた図18(c)及び図19(c)に示すデジタル信号が、帯域制限フィルタ部214bへと供給される。なお、上記では発振周波数f1を±10MHzとすることで、周波数を±10MHzだけシフトさせる場合について説明した。しかし、サンプリング周波数との関係が2のべき乗分の1となる値であれば±10MHzには限らず、例えば±20MHzでもよい。この場合には、周波数のシフト量も±20MHzである。
【0101】
次に帯域制限フィルタ部214bの詳細について説明する。図20は、帯域制限フィルタ部214bの周波数特性を示すグラフであり、横軸は周波数を示し、縦軸は信号の透過率を示している。なお、図20では簡単化のために正側の領域のみを示しているが、同様の特性が負側にも存在する。図示するように帯域制限フィルタ部214bは、カットオフ周波数の絶対値が10MHzであり、発振周波数f1と同じ値とされたローパスフィルタである。また、発振周波数と同じ値であれば、カットオフ周波数の絶対値は10MHzに限らない。また、本実施形態に係る帯域制限フィルタ部214bは、ロールオフフィルタを用いたローパスフィルタである。
【0102】
従って、周波数変換部214aで周波数変換されたデジタル信号は、帯域制限フィルタ部214bにより、中心周波数から±10MHzの成分だけが抽出される。この様子を図21(a)、(b)を用いて説明する。図21(a)、(b)は、周波数変換されたデジタル信号と、帯域制限フィルタ部214bにおいて通過される周波数帯域とを示すグラフであり、(a)図は発振部216の発振周波数f1が+10MHzである場合、(b)図は−10MHzである場合について示している。
【0103】
まず図21(a)に示すように、発振周波数f1が+10MHzとされてデジタル信号の周波数が+10MHzだけシフトされた場合には、前述の通り−10MHz〜+10MHzの間には、デジタル信号の中心周波数から−20MHzの間の成分、つまり第1通信チャネルが位置する。従って帯域制限フィルタ部214bは、デジタル信号のうち、第1通信チャネルに相当する周波数成分のみを通過させる。
【0104】
また図21(b)に示すように、発振周波数f1が−10MHzとされてデジタル信号の周波数が−10MHzだけシフトされた場合には、前述の通り−10MHz〜+10MHzの間には、デジタル信号の中心周波数から+20MHzの間の成分、つまり第2通信チャネルが位置する。従って帯域制限フィルタ部214bは、デジタル信号のうち、第2通信チャネルに相当する周波数成分のみを通過させる。
【0105】
次に、信号強度測定部214cについて説明する。帯域制限フィルタ部214bを通過したデジタル信号、または受信部214のADC部203aから直接与えられるデジタル信号は、信号強度測定部214cに入力されて、その強度が測定される。信号強度測定部214cでは、次の計算を行うことで、デジタル信号の信号強度を測定する。
Σ(I+Q
但し、Iはデジタル信号の実数部であり、Qは虚数部である。
【0106】
次にパルス性判定部214dについて説明する。パルス性判定部214dは、信号強度測定部214cで測定された強度に基づいて、当該デジタル信号がパルス性を有するか否かを判定する。そしてパルス性を有すると判定した場合には、当該デジタル信号がレーダを含むと判断する。パルス性を有するか否かの判断方法の一例について、図22を用いて説明する。図22は、デジタル信号の強度の時間変化を示すグラフである。
【0107】
例えば信号強度I1に着目すると、I1が、I1の観測時刻よりも3μs前の信号強度I2に対して10dB以上大きく、且つI1の観測時刻の10μs後の強度I3よりも10dB以上大きい場合に、パルス性が有ると判断する。
【0108】
次に、上記構成の無線通信装置200における、レーダ検出方法の詳細について、図23を用いて説明する。図23は、無線通信装置200の動作の流れを示すフローチャートである。
【0109】
まず、信号強度測定部214cは受信部213のADC部203aから直接与えられるデジタル信号を取り込む。そして取り込んだデジタル信号の強度を測定し、その強度に基づいてパルス性判定部214dがレーダの有無を判定する(S70)。本実施形態に係る構成であると、上記第1乃至第3の実施形態と異なり、受信部213内にフィルタは設けられていない。従って、ステップS70では、デジタル信号の全周波数帯域におけるレーダ検出が行われる。
【0110】
ステップS70の結果、レーダが存在しないとパルス性判定部214dによって判定された場合には(S71、YES)、通信は継続される(S72)。他方、ステップS70の結果、レーダが存在すると判定された場合には(S71、YES)、信号強度測定部214cは、帯域制限フィルタ部214bから与えられるデジタル信号を取り込む(S73)。そして、帯域制限フィルタ部214bから与えられるデジタル信号につき、まず初めに第1通信チャネルにおけるレーダ検出を行う。
【0111】
すなわち、周波数変換部214aにおける発振部216の発振周波数f1が+10MHzに設定される(S74)。そして複素乗算部217が発振信号とデジタル信号との複素乗算を行って、デジタル信号の周波数を+10MHzだけシフトさせる(S75)。ステップS74、S75の処理は、図18(a)乃至(c)を用いて説明した通りである。
【0112】
また帯域制限フィルタ部214bは、周波数変換されたデジタル信号のうち、第1通信チャネルに相当する周波数成分のみを通過させる(S76)。ステップS76の処理は、図21(a)を用いて説明した通りである。そして信号強度測定部214cは、レーダ観測時間TO1をタイマーに設定して、TO1の期間だけ、帯域制限フィルタ部214bから出力されるデジタル信号の強度を測定する。すなわち、第1通信チャネルに相当する周波数成分の強度を測定する(S77)。
【0113】
この際、無線通信装置200が20MHz帯域での通信を行っていた場合には(S78、NO)、パルス性判定部214dによりレーダが存在すると判定された段階で(S79、YES)、第2の実施形態で説明したステップS37へ進む。すなわち、別の通信チャネルを用いた通信に変更される。他方、レーダが存在しないと判定されると(S79、NO)、ステップS72に進み、通信が継続される。
【0114】
無線通信装置200が40MHz帯域での通信を行っていた場合には(S78、YES)、レーダ検出部214は次に第2通信チャネルにおけるレーダ検出を行う。
【0115】
すなわち、周波数変換部214aにおける発振部216の発振周波数f1が−10MHzに設定される(S80)。そして複素乗算部217が発振信号とデジタル信号との複素乗算を行って、デジタル信号の周波数を−10MHzだけシフトさせる(S81)。ステップS74、S75の処理は、図19(a)乃至(c)を用いて説明した通りである。
【0116】
また帯域制限フィルタ部214bは、周波数変換されたデジタル信号のうち、第2通信チャネルに相当する周波数成分のみを通過させる(S82)。ステップS82の処理は、図21(b)を用いて説明した通りである。そして信号強度測定部214cは、レーダ観測時間TO1をタイマーに設定して、TO1の期間だけ、帯域制限フィルタ部214bから出力されるデジタル信号の強度を測定する。すなわち、第2通信チャネルに相当する周波数成分の強度を測定する(S83)。
【0117】
そしてレーダ検出判定部207は、少なくともいずれかの通信チャネルにレーダが存在した場合、すなわち、ステップS77、S83の少なくともいずれかにおいてレーダが存在すると判定された場合(S84、YES)、送信停止を送受信データ処理部に命令する(S85)。その後、第1の実施形態で説明したステップS3に進む。なお本実施形態では、ステップS3における第1検出信号=“1”が、第1通信チャネル(ステップS77)でレーダが存在すると判定された場合に相当する。また第2検出信号=“1”が、第2通信チャネル(ステップS83)でレーダが存在すると判定された場合に相当する。
【0118】
ステップS84においてレーダが存在しないと判定された場合には、第3の実施形態で説明したステップS59に進む。
【0119】
上記のように、本実施形態に係る無線通信装置であると、下記(4)乃至(7)の効果が得られる。
(4)通信周波数を効率的に利用出来る(その1)。
本実施形態に係る無線通信装置200であると、20MHz帯域と40MHz帯域との両帯域で通信可能な無線通信装置200において、レーダ検出部214が、20MHz帯域単位でレーダの検出を行っている。より具体的には、20MHz(±10MHz)の通過帯域を有する帯域制限フィルタ部214bによって、デジタル信号を20MHz帯域に制限して、レーダの検出を行っている。従って、レーダが検出された場合に、当該レーダが第1通信チャネルと第2通信チャネルとのいずれに存在するかを把握することが出来る。従って、第1の実施形態において説明した効果(1)と同様に、周波数の利用効率が向上する。更に、第1チャネルのみを使用した20MHz帯域通信を行う場合には、通信チャネルの変更が不要となるため、無線通信装置200の動作速度の低下を防止出来る。
【0120】
(5)レーダ検出部214の特性を向上出来る。
本実施形態では、受信部213内に設けられた前記ADC部213aにて、ベースバンド受信信号がアナログ信号からデジタル信号に変換される。そして、このデジタル信号においてレーダが存在するか否かを検出している。
【0121】
この点、アナログ信号からレーダを検出しようとすると、レーダの検出するための回路の回路構成や動作が、デジタル信号を用いる場合に比べて複雑となる。なぜなら、アナログ信号を用いる際には、RF回路において複雑な複素演算を行うことで中心周波数とその通過帯域変更を行い、レーダが存在する周波数チャネルを絞り込むからである。その結果として、デジタル回路の場合に比して処理に長時間を要する。
【0122】
これに対し、デジタル信号を用いることで、無線信号は実数部と虚数部に分離され、複素演算が容易となる。そして周波数変換は、発振部216の出力する発振信号との乗算だけで済み、処理時間を高速化出来ると共に、その精度を向上出来る。よって、レーダ検出部の特性を向上出来る。
【0123】
(6)無線通信装置の回路規模を縮小できる(その2)。
本実施形態では、発振器216における発振信号の発振周波数f1とサンプリング周波数f2とを、|f1|/|f2|=1/2の関係を満たすように設計している。例えばf1=±10MHz、f2=40MHzとしている。その結果、発振信号の虚数部におけるサンプリング点の値は、“0”、“+1”、“−1”と簡素化される。
【0124】
従って、発振部216の構成を簡略化出来、無線通信装置200の回路規模を縮小出来る。また、このようにサンプリング点における値を簡素化することは、周波数変換部214aの動作高速化にもつながる。
【0125】
なお、前述の通り発振周波数f1とサンプリング周波数f2とは2のべき乗分の1の関係を有していれば良いので、例えばf1=±20MHz、f2=40MHzとしても良い。この場合には、サンプリング点における値は“0”のみとなる。
【0126】
(7)無線通信装置の回路規模を縮小できる(その3)。
本実施形態に係る構成であると、帯域制限フィルタ部214bのカットオフ周波数(±10MHz)が、発振部216における発振周波数f1と等しくされている。従って、帯域制限フィルタ部214bの構成を簡略化出来、無線通信装置200の回路規模を縮小出来る。
【0127】
また、上記(5)で説明したように、デジタル信号からレーダを検出することで、レーダ検出部214を縮小出来る。すなわち、アナログ信号を用いた場合には、無線信号を正の周波数成分と負の周波数成分に分離する際の演算が複雑化し、複素演算器が必須となる。この為、必要以上に回路規模が大きくなる。しかし本実施形態ではデジタル信号を用いて、その中心周波数を変動させるため、帯域制限フィルタ部214bには静的デジタルフィルタを用いれば良く、回路構成を簡略化出来る。
【0128】
更に、本実施形態ではデジタル信号を使用することにより、帯域制限フィルタ部214bとして静的なロールオフフィルタを使用出来る。このロールオフフィルタを用いることで、インパルス応答が無限長にならないように設定される。そのため、帯域制限フィルタ部214bを構成するフィルタ係数(タップ重み)には定期的に“0”が存在する。従って、帯域制限フィルタ部214bにおける演算量を削減出来、帯域制限フィルタ部214bを縮小化出来る。
【0129】
[第5の実施形態]
次に、この発明の第5の実施形態に係る無線通信装置及び信号検出回路について説明する。本実施形態は、上記第4の実施形態において、レーダ検出部において周波数変換部214aの前段に、更に帯域制限フィルタ部214を設けたものである。図24は、本実施形態に係るレーダ検出部214のブロック図である。
【0130】
図示するように、本実施形態に係るレーダ検出部214は、上記第4の実施形態で説明した図14の構成において、帯域制限フィルタ部214eを更に備えている。帯域制限フィルタ部214eが通過させる周波数帯域は、帯域制限フィルタ部214bが通過させる周波数帯域よりも広く、例えば40MHzである。
【0131】
また周波数変換部214aは、帯域制限フィルタ部214eを通過したデジタル信号について、周波数変換を行う。更に信号強度測定部214cは、帯域制限フィルタ部214b、214eを通過したデジタル信号について、強度測定を行う。
その他の構成は第4の実施形態と同様であるので、説明は省略する。
【0132】
図25は、帯域制限フィルタ部214b、214eの周波数特性を示すグラフであり、横軸は周波数を示し、縦軸は信号の透過率を示している。なお、図25では簡単化のために正側の領域のみを示しているが、同様の特性が負側にも存在する。図示するように帯域制限フィルタ部214bは、カットオフ周波数の絶対値が10MHzであり、第4の実施形態と同様である。これに対して帯域制限フィルタ部214eのカットオフ周波数の絶対値は、例えば20MHzである。
【0133】
次に、本実施形態に係る無線通信装置200におけるレーダ検出方法の詳細について、図26を用いて説明する。図26は、無線通信装置200の動作の流れを示すフローチャートである。
【0134】
図示するように、まず帯域制限フィルタ部214eが、受信部213のADC部203aから与えられるデジタル信号のうち、40MHz(±20MHz)の周波数成分のみ通過させる(ステップS90)。
【0135】
次に信号強度測定部214cが、帯域制限フィルタ部214eを通過したデジタル信号を取り込む。そして取り込んだデジタル信号の強度を測定し、その強度に基づいてパルス性判定部214dがレーダの有無を判定する(S91)。すなわち、帯域制限フィルタ部214eを通過した第2周波数帯域におけるレーダ検出が行われる。
【0136】
ステップS91の結果、レーダが存在しないとパルス性判定部214dによって判定された場合には(S71、YES)、通信は継続される(S72)。他方、ステップS91の結果、レーダが存在すると判定された場合には(S71、YES)、レーダ検出判定部208は、送受信データ処理部204に対して送信停止を命令する(ステップS92)。その後は、第4の実施形態で説明したステップS73に進み、第4の実施形態と同様の処理を行う(図23参照)。但し、図23におけるステップS85は不要である。なぜなら、この処理はステップS92で済んでいるからである。
【0137】
上記のように、この発明の第5の実施形態に係る無線通信装置200であると、上記第4の実施形態で説明した(4)乃至(7)の効果に加えて、下記(8)の効果が得られる。
(8)レーダの検出効率を向上出来る。
本実施形態に係る構成であると、周波数変換部214bの前段に、帯域制限フィルタ部214bよりも広帯域な帯域制限フィルタ部214eを設けている。従って、ステップS91において信号強度測定部214c及びパルス性判定部214dにおいて検出すべき周波数帯域が、上記第4の実施形態に比べて狭まる。そのため、ステップS91においてレーダが存在すると判定された場合には、現在使用中の周波数帯域にレーダが存在する可能性が高まる。
【0138】
例えば、上記実施形態で説明したように、帯域制限フィルタ214eの通過帯域を第2周波数帯域に等しい40MHzとすれば、ステップS91でレーダが存在すると判定された瞬間、40MHz帯域通信を行っている場合には現在使用中の周波数帯域にレーダが存在することになる。換言すれば、現在使用中の周波数帯域以外にレーダが存在する場合には、ステップS92以降の処理を行う必要が無い。従って、レーダの検出効率が向上する。また、レーダ検出部214において、無駄なレーダ検出処理を行う頻度を削減出来る。
【0139】
なお、帯域制限フィルタ部214eは少なくとも40MHzの帯域幅を有していれば良く、例えば隣接する別の周波数チャネルをも含む通過帯域を有していても良い。
【0140】
[第6の実施形態]
次に、この発明の第6の実施形態に係る無線通信装置及び信号検出回路について説明する。本実施形態は、上記第5の実施形態に係るレーダ検出部を複数設けたものである。図27は、本実施形態に係る無線通信装置200のブロック図である。
【0141】
図示するように、本実施形態に係る無線通信装置200は、上記第4の実施形態で説明した図12の構成において、3つのレーダ検出部214−1〜214−3を備えている。また、無線通信装置200は、レーダ検出部214−1〜214−3の各々に対応した3つのアンテナ201−1〜201−3を備えている。すなわち、アンテナ201−1〜201−3で受信された無線信号は、受信部213を介してそれぞれレーダ検出部214−1〜214−3へと供給される。
【0142】
各レーダ検出部214−1〜214−3は、上記第5の実施形態で説明した図24の構成を有している。そして、レーダ検出部214−1は第1通信チャネルにおけるレーダ検出を行い、レーダ検出部214−2は第2通信チャネルにおけるレーダ検出を行う。レーダ検出部214−3は予備として設けられている。本実施形態に係る無線通信装置200の基本的な動作は、上記第4、第5の実施形態と同様であるので、以下では第4、第5の実施形態と異なる点についてのみ説明する。
【0143】
次に、上記構成におけるレーダ検出部214−1、214−2の動作について、図28を用いて説明する。図28は、レーダ検出部214−1、214−2の各々におけるレーダ検出動作のフローチャートである。
【0144】
図示するように、レーダ検出部214−1、214−2の各々において、上記第5の実施形態で説明したステップS90、S91、S71、S92、及びS73の処理が順次実行される。
【0145】
ステップS73の後、レーダ検出部214−1、214−2の各々における周波数変換部214aの発振部216の発振周波数f1が、それぞれ+10MHz及び−10MHzに設定される(S93)。そしてレーダ検出部214−1、214−2の各々における複素乗算部217が、発振信号とデジタル信号との複素乗算を行って、デジタル信号の周波数をそれぞれ+10MHz及び−10MHzだけシフトさせる(S94)。ステップS93、S94の処理は、図18(a)乃至(c)及び図19(a)乃至(c)を用いて説明した通りである。
【0146】
また、レーダ検出部214−1、214−2の各々における帯域制限フィルタ部214bは、周波数変換されたデジタル信号のうち、それぞれ第1通信チャネル及び第2通信チャネルに相当する周波数成分のみを通過させる(S95)。ステップS95の処理は、図21(a)及び(b)を用いて説明した通りである。そして、レーダ検出部214−1、214−2の各々における信号強度測定部214cは、レーダ観測時間TO1をタイマーに設定して、TO1の期間だけ、帯域制限フィルタ部214bから出力されるデジタル信号の強度を測定する。すなわち、レーダ検出部214−1、214−2の各々における心境強度測定部214cは、それぞれ第1通信チャネル及び第2通信チャネルに相当する周波数成分の強度を測定する(S96)。
その後は、第5の実施形態と同様にステップS78に進む。
【0147】
上記のように、本実施形態に係る無線通信装置であると、第4、第5の実施形態で説明した(4)乃至(8)の効果に加えて、下記(9)の効果が得られる。
(9)無線通信装置の回路規模を縮小できる(その3)。
本実施形態に係る無線通信装置200であると、複数のアンテナ201−1〜201−3毎にレーダ検出部214−1〜214−3を設けている。そして、アンテナ201−1〜201−3の各々で受信した無線信号におけるレーダ検出を、それぞれレーダ検出部214−1〜214−3で行っている。この際、レーダ検出部214−1〜214−3の構成を上記第5の実施形態で説明した図24の構成として、各レーダ検出部214−1〜214−3でレーダを検出すべき周波数帯域を、周波数変換部214aで制御している。
【0148】
より具体的には、例えばレーダ検出部214−1における発振部216の発振周波数f1を+10MHzとすることで、レーダ検出部214−1はデジタル信号の中心周波数から−20MHzの範囲においてレーダを検出する。また、レーダ検出部214−2における発振部216の発振周波数f1を−10MHzとすることで、レーダ検出部214−1はデジタル信号の中心周波数から+20MHzの範囲においてレーダを検出する。
【0149】
このように、各レーダ検出部214−1〜214−3の回路構成を共通化することが出来るため、アンテナが複数設けられる場合であっても、無線通信装置200全体としての回路規模を縮小出来る。
【0150】
なお、複数のレーダ検出部214−1〜214−3のうち、不要なレーダ検出部214−3を動作停止状態とすることで、無線通信装置200の消費電力を低減することが可能となる。また上記第6の実施形態では、アンテナ及びレーダ検出部の数が3つである場合について説明したが、勿論、この数に限定されるものでは無い。
【0151】
以上のように、この発明の第1乃至第6の実施形態に係る無線通信装置であると、第1通信チャネルと、第1通信チャネルに隣接する第2通信チャネルとを含む周波数帯域(第2周波数帯域9を使用して無線通信を行う際に、第1通信チャネルにおけるレーダの有無だけでなく、第2通信チャネルにおけるレーダの有無も検出出来る。従って、第2チャネルにのみレーダが存在する場合には、第1通信チャネルのみを用いた無線通信に移行することで、通信チャネルの変更が不要となる。従って、周波数帯域の利用効率を向上出来ると共に、無線通信装置の動作速度を向上出来る。
【0152】
なお、上記第1乃至第6の実施形態では、無線通信を実行中にレーダを検出する場合を例に挙げて説明した。しかし、無線通信の開始前にレーダを検出しても良い。この場合には、通信チャネルを選択する前にレーダの検出を行い、予め、レーダの存在しない通信チャネルを把握しておく。そして、無線通信を開始する際には、レーダが存在しない通信チャネルを選択する。
【0153】
また無線基地局101は、新たな通信チャネルに移行する場合に、その旨をBSS内の無線端末局102、103へ通知しても良い。この場合、無線基地局101は通信チャネルの移行前に、所定のデータを無線端末局102、103へ送信する。
【0154】
更に、上記第1乃至第6の実施形態における各ブロックは、アナログまたはデジタル回路のハードウェアとして実現しても良いし、またはCPUによって実行されるソフトウェアにより実現しても良い。
【0155】
また上記第1乃至第6の実施形態では、レーダが検出された場合に通信チャネルを移行すること、または周波数帯域を40MHz帯域から20MHz帯域へと狭める例について説明した。しかし、レーダが検出された際の対応方法は、上記実施形態の場合に限定されるものでは無い。すなわち、例えば周波数切替部209により別の通信チャネルへ移行した後に、20MHz帯域幅で通信を開始するか、40MHz帯域幅で通信を開始するかは、占有する新規の周波数帯域幅がレーダが検出された周波数帯域とは異なれば問題はない。つまり、どちらの帯域幅を選択するかは無線基地局101が実装するアルゴリズムによって決定されて良い。
【0156】
また、上記第1乃至第6の実施形態において、第1周波数帯域幅を20MHz、第2周波数帯域幅を40MHzと定義したが、帯域幅はこれに制限されない。つまり、第1周波数帯域幅を20MHz、第2周波数帯域幅を80MHzとした組み合わせでもよいし、第1周波数帯域幅を40MHz、第2周波数帯域幅を80MHzとした組み合わせでもよい。
【0157】
また、上記第6の実施形態においては、レーダ検出部214−1〜214−3が第5の実施形態で説明した図24の構成を有する場合を例に説明した。しかし、第4の実施形態で説明した図14の構成を有していても良い。この場合には、図28におけるステップS92の処理は、ステップS84においてレーダが存在すると判定された後(ステップS84、YES)に行われる。
【0158】
また、上記第4、第5の実施形態におけるレーダ検出部214は、無線通信装置におけるレーダ検出のための構成として限定されるものでは無い。すなわち、ある周波数帯域におけるパルス性の信号を検出する信号検出回路としても適用出来る。このような場合であっても、入力信号をデジタル信号とすることで、周波数変換部や帯域制限フィルタ部の構成を簡略化出来、更にパルス性の信号の検出速度や検出精度を向上出来る。
【0159】
更に、上記実施形態ではレーダを検出する場合を例に挙げて説明した。しかし、電波法で規定されている上記レーダに限らず、通信に干渉する干渉信号一般を検出する場合にも、上記実施形態は適用出来る。
【0160】
なお、本願発明は上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出されうる。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出されうる。
【図面の簡単な説明】
【0161】
【図1】この発明の第1実施形態に係る無線LANシステムのブロック図。
【図2】この発明の第1実施形態に係る無線LANシステムが使用する周波数帯域について示すバンド図。
【図3】この発明の第1実施形態に係る無線通信装置の一例を表すブロック図。
【図4】この発明の第1実施形態に係る無線通信装置の有する受信部のブロック図。
【図5】この発明の第1実施形態に係る無線LANシステムにおいて使用可能な周波数帯域を示すグラフ。
【図6】この発明の第1実施形態に係る無線通信装置の有するチャネル情報記憶部に記憶される情報の概念図。
【図7】この発明の第1実施形態に係る無線通信装置の動作を示すフローチャート。
【図8】この発明の第2実施形態に係る無線通信装置のブロック図。
【図9】この発明の第2実施形態に係る無線通信装置の有する受信部のブロック図。
【図10】この発明の第2実施形態に係る無線通信装置の動作のフローチャート。
【図11】この発明の第3実施形態に係る無線通信装置の動作のフローチャート。
【図12】この発明の第4実施形態に係る無線通信装置のブロック図。
【図13】この発明の第4実施形態に係る無線通信装置の有する受信部のブロック図。
【図14】この発明の第4実施形態に係る無線通信装置の有するレーダ検出部のブロック図。
【図15】この発明の第4実施形態に係る無線通信装置の有する周波数変換部のブロック図。
【図16】この発明の第4実施形態に係る無線通信装置の有する発振部から出力される正弦波の波形図。
【図17】この発明の第4実施形態に係る無線通信装置の周波数変換部における信号の波形図であり、(a)図はデジタル信号の波形図、(b)図は発振信号の周波数スペクトル。
【図18】この発明の第4実施形態に係る無線通信装置の周波数変換部における信号の波形図であり、(a)図はデジタル信号の波形図であり、(b)図は発振信号の周波数スペクトル、(c)図は複素乗算部における乗算結果。
【図19】この発明の第4実施形態に係る無線通信装置の周波数変換部における信号の波形図であり、(a)図はデジタル信号の波形図であり、(b)図は発振信号の周波数スペクトル、(c)図は複素乗算部における乗算結果。
【図20】この発明の第4実施形態に係る無線通信装置の備える帯域制限フィルタの周波数特性を示すグラフ。
【図21】この発明の第4実施形態に係る無線通信装置において、複素乗算部における乗算結果と帯域制限フィルタの周波数特性とを示すグラフであり、(a)図は第1通信チャネルを通過させる場合、(b)図は第2通信チャネルを通過させる場合。
【図22】この発明の第4実施形態に係る無線通信装置の備えるパルス性判定部に入力される信号強度の時間変化を示すグラフ。
【図23】この発明の第4実施形態に係る無線通信装置の動作のフローチャート。
【図24】この発明の第5実施形態に係る無線通信装置の有するレーダ検出部のブロック図。
【図25】この発明の第5実施形態に係る帯域制限フィルタ部の周波数特性を示すグラフ。
【図26】この発明の第5実施形態に係る無線通信装置の動作のフローチャート。
【図27】この発明の第6実施形態に係る無線通信装置のブロック図。
【図28】この発明の第6実施形態に係る無線通信装置の動作のフローチャート。
【符号の説明】
【0162】
101…無線基地局、102…無線端末局、103…無線端末局、201、201−1〜201−3…アンテナ、202…無線部、203、211、213…受信部、203a、213a…A/D変換部、203b、203c、203f…フィルタ部、203d…選択部、203e、203e、213b…復調部、204…送受信データ処理部、205…送信部、206、207、212、214、214−1〜214−3…レーダ検出部、208…レーダ検出判定部、209…周波数切替部、210…チャネル情報記憶部、203a…ADC部、214a…周波数変換部、214b、214e…帯域制限フィルタ部、214c…信号強度測定部、214d…パルス性判定部、215a、215c…実数部、215b、215d…虚数部、216…発振部、217…複素乗算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1通信チャネルとなる第1周波数帯域と、前記第1通信チャネルと該第1通信チャネルに隣接する第2通信チャネルとを含む第2周波数帯域とを用いて通信可能な無線通信装置であって、
前記第1周波数帯域と前記第2周波数帯域とにおいて干渉信号の有無を監視し、前記第1周波数帯域において前記干渉信号を検出した際に第1検出信号を出力し、前記第2周波数帯域において前記干渉信号を検出した際に第2検出信号を出力する干渉信号検出部と、
前記第1検出信号及び前記第2検出信号に基づいて、前記干渉信号が前記第1通信チャネルと前記第2通信チャネルとのいずれに存在するかを判定する干渉信号判定部と
を具備し、前記干渉信号判定部は、前記干渉信号検出部から前記第2検出信号が出力され且つ前記第1検出信号が出力されない場合に、前記干渉信号が前記第2周波数チャネルに存在すると判定する
ことを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
受信した無線信号のうち、前記第1周波数帯域に相当する成分のみを通過させる第1フィルタと、
受信した前記無線信号のうち、前記第2周波数帯域に相当する成分のみを通過させる第2フィルタと
を更に備え、前記干渉信号検出部は、前記第1フィルタを通過した前記無線信号において前記干渉信号を検出する第1検出部と、
前記第2フィルタを通過した前記無線信号において前記干渉信号を検出する第2検出部と
を備えることを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
【請求項3】
第1通信チャネルとなる第1周波数帯域と、前記第1通信チャネルと該第1通信チャネルに隣接する第2通信チャネルとを含む第2周波数帯域とを用いて通信可能な無線通信装であって、
無線信号を受信し、受信した前記無線信号をアナログ信号からデジタル信号に変換する受信部と、
前記受信部で前記デジタル信号に変換された前記無線信号につき、前記第1通信チャネルと前記第2通信チャネルとにおいて干渉信号を検出する干渉信号検出部と
を具備し、前記干渉信号検出部は、前記受信部において前記デジタル信号に変換された前記無線信号の周波数を、予め定められた発振周波数の発振信号を用いて変換する周波数変換部と、
前記発振周波数に等しいカットオフ周波数を有し、前記周波数変換部において前記周波数の変換された前記無線信号の一部を抽出することにより、前記第1通信チャネルに相当する周波数成分、または前記第2通信チャネルに相当する周波数成分を通過させるフィルタ部と、
前記フィルタ部において通過された前記無線信号の周波数成分の強度を測定する測定部と、
前記測定部における測定結果に基づいて、前記干渉信号の有無を判定する判定部と
を備えることを特徴とする無線通信装置。
【請求項4】
デジタル信号である入力信号の周波数を、予め定められた発振周波数の発振信号を用いて変換する周波数変換部と、
前記発振周波数に等しいカットオフ周波数を有し、前記周波数変換部において前記周波数の変換された前記入力信号の一部を抽出するフィルタ部と、
前記フィルタ部において抽出された前記入力信号の強度を測定する測定部と、
前記測定部における測定結果に基づいて、前記入力信号におけるパルス信号の有無を判定する判定部と
を具備することを特徴とする信号検出回路。
【請求項5】
前記発振周波数の値は、前記入力信号の周波数の2のべき乗分の1であること
を特徴とする請求項4記載の信号検出回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2009−49901(P2009−49901A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−216033(P2007−216033)
【出願日】平成19年8月22日(2007.8.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】