説明

無線電話端末および終話制御方法

【課題】通話相手に不快感を与えることなく、簡単なボタン操作で礼儀正しく終話可能とする。
【解決手段】操作検出部13により通話中に終話ボタン13Cの操作が検出された場合は、呼制御部16Aにより、当該検出から所定の切断遅延時間だけ経過した後、通話の切断を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線電話技術に関し、特に終話操作に応じて通話を切断する際の呼制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信技術の発達により、携帯電話機やコードレス電話機などの無線電話端末が、飛躍的に利用されつつある。例えば、携帯電話機では、携帯電話機と携帯電話網の基地局との間に無線区間が設けられ、この無線回線を介して音声データや制御データが送受信される。また、コードレス電話機では、公衆交換電話網(PSTN:Public Switched Telephone Network)などの交換機に接続された親機と子機との間に無線区間が設けられ、この無線回線を介して音声データや制御データがやり取りされる。
【0003】
このような無線電話端末では、送受機が設けられている端末本体や子機を携帯して通話を行うことから、ダイヤルボタンに加えて発信や終話などの操作を行うための各種操作ボタンが、端末本体や子機と一体に設けられている。
したがって、例えば発信する場合には、端末本体や子機のダイヤルボタンを操作して、相手電話番号を入力した後に端末本体や送受機の発信ボタンを操作する。これにより携帯電話機の場合には、端末本体から無線回線を介して携帯電話網へ発信要求が送信される。またコードレス電話機の場合には、子機から無線回線を介して親機へ発信要求が送信され、これに応じて親機から公衆交換電話網へダイヤル信号が送出される。
【0004】
また、通話を終話する場合には、端末本体や子機の終話ボタンを操作する。これにより携帯電話機の場合には、端末本体から無線回線を介して携帯電話網へ切断要求が送信される。またコードレス電話機の場合には、子機から無線回線を介して親機へ終話要求が送信され、これに応じて親機から公衆交換電話網へ切断要求(直流ループ解放)が送信される。
【0005】
このような終話操作に応じて通話パスを切断する際の呼制御技術として、WLL(Wireless Local Loop:無線ローカルループ)システムを構成する加入者装置において、WLL固定電話により終話操作としてオンフック操作が行われてから所定期間経過内にオフフック操作された場合には、接続信号を網側に送出して、加入者交換機で終話状態となっている呼を通話状態へ戻す技術が提案されている(例えば、特許文献1など参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2000−188635号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような従来技術では、無線電話端末において終話操作を行った場合、この終話操作に応じて直ちに切断メッセージや切断信号が網側へ送信されて通話が切断されるため、通話相手に対して不快感を与える場合もあった。
【0008】
一般的な固定電話機では、通話を終了する場合の終話操作として、送話器を置くというオンフック操作が行われるため、通話相手と通話を終了する際の挨拶を交わしてから、終話操作により実際に通話が切断されるまでに、オンフック操作に要するある程度の時間が存在する。このため、通話相手が送話器を耳から話した後、実際に通話が切断される場合がほとんどであり、意識することなくオンフック操作をしても通話相手に不快感を与えることは少ない。
【0009】
これに対して、無線電話端末では、通話を終了する場合の終話操作として、オンフック操作に代えて終話ボタンを押すという操作が行われるため、通話相手と通話を終了する際の挨拶を交わしてから、終話操作により実際に通話が切断されるまでの時間がほとんどなく、終話ボタン操作に応じて直ちに通話が切断される。
【0010】
したがって、通話相手が送話器を耳から話した後に通話を切断するというように、礼儀正しく通話を切断するには、通話相手からの音声を注意深く確認して終話ボタンの操作タイミングを図るなど、終話側の操作負担も増加するという問題点があった。
また、無線電話端末で終話ボタンにより終話操作を行った場合、通話相手が送話器を耳に当てている状態で通話切断が行われる可能性が高く、このような場合には、網側から通話相手に対してビジートーンが送出される。このため、通話相手は、相手が先に通話を切断したことや、比較的大きな音量のビジートーンが突然到来したことに起因して、不快感を感じる可能性が高い。
【0011】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、通話相手に不快感を与えることなく、簡単なボタン操作で礼儀正しく終話を行うことができる無線電話端末および終話制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような目的を達成するために、本発明にかかる無線電話端末は、電話網を介して相手電話機と接続して通話を行う無線電話端末であって、通話の終話を指示するための終話ボタンの操作を検出する操作検出部と、所定の切断遅延時間だけ計時する計時部と、操作検出部により通話中に終話ボタンの操作が検出された場合は、計時部により計時を開始し計時の終了に応じて通話の切断を行う呼制御部とを備えている。
【0013】
この際、呼制御部で、通話について所定の条件が成立する場合にのみ計時終了に応じて通話を切断し、成立しない場合には終話ボタンの操作検出に応じて直ちに通話を切断するようにしてもよい。
【0014】
この条件は、相手電話機の電話番号が所定の指定番号と一致するという条件を含んでもよく、相手電話機の電話番号が固定電話機であるという条件を含んでもよく、あるいは、通話が相手電話機からの着信であるという条件を含んでもよい。
【0015】
また、呼制御部は、計時の開始から終了まで相手電話機に対する送話音声として所定の無音データを送出するようにしてもよく、計時の開始から終了まで相手電話機に対する送話音声の音量を徐々に小さくして送出するようにしてもよい。
【0016】
また、本発明にかかる終話制御方法は、電話網を介して相手電話機と接続して通話を行う無線電話端末の終話制御方法であって、呼制御部により、通話中に終話ボタンの操作が検出された場合は、当該検出から所定の切断遅延時間だけ経過した後、通話の切断を行うようにしてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、通話中に終話ボタンの操作が検出された場合は、当該検出から所定の切断遅延時間だけ経過した後、通話の切断が行われるため、利用者により終話ボタンが操作されても、直ちに通話が切断されず、終話ボタンの操作から切断遅延時間後、自動的に通話が切断される。
【0018】
これにより、通話相手からの音声を注意深く確認して終話ボタンの操作タイミングを図るなどの気遣いを必要とすることなく、通話相手が送話器を耳から話した後に通話を切断することができ、終話ボタンを押下するという通常の簡単な操作で、礼儀正しく終話することが可能となる。
また、通話相手がオンフックするまでの間にビジートーンが網側から相手電話機へ送出される可能性が低くなるため、相手が先に通話を切断したことや、比較的大きな音量のビジートーンが突然到来したことに起因して、通話相手が不快感を感じる可能性を低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる無線電話端末について説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる無線電話端末の構成を示すブロック図である。
この無線電話端末1は、携帯電話機やコードレス電話機など、無線区間を介して音声データや制御データを送受信する無線通信端末からなる。
本実施の形態は、通話中に終話ボタンの操作が検出された場合は、当該検出から所定の切断遅延時間だけ経過した後、通話の切断を行うようにしたものである。
【0020】
以下、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる無線電話端末の構成について詳細に説明する。なお、本実施の形態では、無線電話端末が携帯電話網と無線回線を介して接続される携帯電話機からなる場合を例として説明する。
この無線電話端末1には、各種機能を実現する機能部として、無線通信部11、表示部12、操作検出部13、音声処理部14、記憶部15、および制御部16が設けられており、これらは任意にデータをやり取りするためのバス17に共通接続されている。
【0021】
無線通信部11は、アンテナ10を用いて、携帯電話網(図示せず)と無線回線を介して音声データや制御データを送受信する機能を有している。
表示部12は、LEDやLCDなどの表示装置からなり、制御部16からの指示に応じて着信表示や終話表示などの各種表示を行う機能を有している。
操作検出部13は、各種操作ボタンやスイッチからなる操作入力部13Aを用いて、利用者の操作を検出する機能を有している。操作入力部13Aには、主な操作ボタンとして、発信時に操作される発信ボタン13B、終話時に操作される終話ボタン13C、電話番号入力時に操作されるダイヤルボタン13Dが設けられている。
【0022】
音声処理部14は、マイク14Aから入力された音声信号を符号化し音声データとして無線通信部11へ出力する機能と、無線通信部11で網側から受信した音声データを音声信号に復号してレシーバ14Bへ出力する機能と、制御部16からの指示に応じて、着信音などの各種信号音をスピーカ(図示せず)から出力する機能とを有している。
【0023】
記憶部15は、メモリ回路などの記憶装置からなり、制御部16での処理に用いる各種処理情報やプログラムを記憶する機能を有している。記憶部15で記憶する主な処理情報として、呼制御情報15Aと設定情報15Bがある。呼制御情報15Aは、通話を行う相手電話機の電話番号や、当該通話が相手電話機からの着信により開始されたかどうか、などの通話に関する通話管理情報の他、当該無線電話端末1の動作状態や電話番号などの情報が含まれる。
【0024】
設定情報15Bは、当該無線電話端末1の機能に関する設定状態を示す情報からなり、操作検出部13で検出された利用者の操作に応じて制御部16により設定される。
図2は、設定情報のうち切断遅延機能に関する要部を示す説明図である。この例では、「切断遅延」という設定項目により、切断遅延機能を利用するか否かが「オン/オフ」のいずれかで設定される。また、この切断遅延機能には、「切断遅延時間」、「通話先指定」、「固定電話」、「着信時」などの詳細設定項目が用意されており、利用者の好みに応じて切断遅延機能の詳細な動作が設定可能となっている。
【0025】
詳細設定項目の「切断遅延時間」は、終話ボタンの操作検出から実際に通話を切断するまでの時間を設定する項目であり、「2秒/3秒」のいずれかが選択設定される。この場合、複数の固定値のいずれかを選択設定してもよく、利用者が任意の時間を設定可能としてもよい。
また、「通話先指定」、「固定電話」、「着信時」は、切断遅延機能を適用する条件を設定する項目であり、それぞれ個別に「有効/無効」のいずれかが選択設定される。
【0026】
このうち「通話先指定」は、相手電話機の電話番号が「指定番号」と一致するという条件を設定するための項目である。この項目には、「指定番号」という設定項目が付属して設けられており、利用者が任意の電話番号をダイヤルボタン13Dや記憶部15に設定されている電話帳データ(図示せず)から設定できる。
「固定電話」は、相手電話機の電話番号が固定電話機であるという条件を設定するための項目である。
「着信時」は、終話対象となる通話が相手電話機からの着信により開始されたものという条件を設定するための項目である。
【0027】
制御部16は、CPUなどのマイクロプロセッサとその周辺回路からなり、記憶部15のプログラム(図示せず)を読み込んで実行することにより、上記ハードウェアとプログラムとを協働させて各種制御機能部を実現する。制御部16で実現される主な制御機能部としては、呼制御部16Aと計時部16Bがある。
【0028】
呼制御部16Aは、記憶部15の呼制御情報15Aや設定情報15Bを参照して、携帯電話網を用いた無線電話端末1での発信、着信、および通話に関する動作を制御する機能と、操作検出部13により通話中に終話ボタン13Cの操作が検出された場合は、計時部16Bにより計時を開始し当該計時の終了に応じて通話の切断を行う終話制御機能とを有している。計時部16Bは、上記ハードウェアのタイマー機能を用いて、設定情報15Bに設定されている「切断遅延時間」に相当する期間だけ計時する機能を有している。
【0029】
[第1の実施の形態の動作]
次に、図3を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる無線電話端末の動作について詳細に説明する。図3は、本発明の第1の実施の形態にかかる無線電話端末の終話制御処理を示すフローチャートである。
以下では、相手電話機から無線電話端末1に対する着信に応じて携帯電話網を介した通話が開始された場合の動作を主に説明し、無線電話端末1から相手電話機に対する発信に応じて通話が開始された場合の動作を補足的に説明する。
【0030】
無線電話端末1の制御部16は、無線通信部11により網側から着信メッセージを受信した場合、呼制御部16Aにより、着信動作を実行する。呼制御部16Aは、まず、表示部12を制御してLEDを点滅させるなどの着信表示を行うとともに、音声処理部14を制御して着信音をスピーカから出力する。この際、呼制御部16Aは、着信メッセージで通知された相手電話番号を記憶部15の呼制御情報15Aに格納する。なお、発信時には、発信ボタン13Bの操作に応じて網側へ通知した発信メッセージで指定した相手電話番号を呼制御情報15Aに格納すればよい。
【0031】
着信表示に応じて利用者が発信ボタン13Bを押下し、この操作が操作検出部13により検出された場合、呼制御部16Aは、表示部12および音声処理部14での着信表示を停止し、無線通信部11を介して網側へ応答メッセージを送出するとともに音声処理部14を制御して、相手電話機との間で通話路を確立し、通話を開始する(通話状態)。この際、呼制御部16Aは、当該通話が相手電話機からの着信により開始された旨を記憶部15の呼制御情報15Aに格納する。なお、発信時には、網側への発信メッセージで指定した相手電話番号を呼制御情報15Aに格納すればよい。
【0032】
この後、利用者が終話ボタン13Cを押下し、この操作が操作検出部13により検出された場合、呼制御部16Aは、図3の終話制御処理を開始する。
呼制御部16Aは、まず、記憶部15の設定情報15Bのうち、図2の切断遅延機能に関する設定内容を参照し、「切断遅延」の設定内容を確認する(ステップ100)。ここで、「切断遅延」が無効に設定されている場合(ステップ100:NO)、直ちに通話切断処理を実行し、切断メッセージを無線通信部11から網側へ送信して通話を切断(呼切断)し(ステップ108)、一連の終話制御処理を終了する。
【0033】
一方、「切断遅延」が有効に設定されている場合(ステップ100:YES)、呼制御部16Aは、切断遅延機能を実行する条件の1つである「通話先指定」の設定内容を確認する(ステップ101)。ここで、「通話先指定」が有効に設定されている場合(ステップ101:YES)、記憶部15の呼制御情報15Aに格納した相手電話番号と「指定番号」に設定されている電話番号とを比較する(ステップ102)。
【0034】
ここで、両者が一致した場合(ステップ102:YES)、呼制御部16Aは、計時部16Bを制御して「切断遅延時間」での設定時間の計時を開始することにより、切断遅延時間だけ待機し(ステップ107)、計時部16Bでの計時終了に応じてステップ108へ移行し、通話切断処理を実行した後、一連の終話制御処理を終了する。
これにより、終話ボタン13Cの操作から切断遅延時間だけ経過した後、実際に通話の切断が行われることになる。
【0035】
一方、ステップ101において「通話先指定」が無効に設定されている場合(ステップ101:NO)、あるいはステップ102において、相手電話番号が指定番号とは異なる場合(ステップ102:NO)、呼制御部16Aは、切断遅延機能を実行する条件の1つである「固定電話」の設定内容を確認する(ステップ103)。
【0036】
ここで、「固定電話」が有効に設定されている場合(ステップ103:YES)、記憶部15の呼制御情報15Aに格納した相手電話番号と携帯電話機の電話番号「090」や「080」を比較するなどして相手電話番号が固定電話機のものか確認する(ステップ104)。
この際、相手電話番号が固定電話機のものであった場合(ステップ104:YES)、呼制御部16Aは、ステップ107へ移行して切断遅延時間だけ待機した後、ステップ108へ移行し、通話切断処理を実行した後、一連の終話制御処理を終了する。
【0037】
一方、ステップ103において「固定電話」が無効に設定されている場合(ステップ103:NO)、あるいはステップ104において、相手電話番号が固定電話機のものではない場合(ステップ104:NO)、呼制御部16Aは、切断遅延機能を実行する条件の1つである「着信時有効」の設定内容を確認する(ステップ105)。
【0038】
ここで、「着信時有効」が有効に設定されている場合(ステップ105:YES)、記憶部15の呼制御情報15Aに格納した当該通話が相手電話機からの着信によるものか否かを確認する(ステップ106)。
この際、当該通話が相手電話機からの着信によるものであった場合(ステップ106:YES)、呼制御部16Aは、ステップ107へ移行して切断遅延時間だけ待機した後、ステップ108へ移行し、通話切断処理を実行した後、一連の終話制御処理を終了する。
【0039】
一方、ステップ105において「着信時有効」が無効に設定されている場合(ステップ105:NO)、あるいはステップ106において、当該通話が当該無線電話端末からの発信によるもので、相手電話機からの着信によるものではなかった場合(ステップ106:NO)、呼制御部16Aは、ステップ108へ移行し、通話切断処理を実行した後、一連の終話制御処理を終了する。
【0040】
このように、本実施の形態は、通話中に終話ボタン13Cの操作が検出された場合は、当該検出から所定の切断遅延時間だけ経過した後、通話の切断を行うようにしたので、利用者により終話ボタン13Cが操作されても、直ちに通話が切断されず、終話ボタン13Cの操作から切断遅延時間後、自動的に通話が切断される。
【0041】
これにより、通話相手からの音声を注意深く確認して終話ボタンの操作タイミングを図るなどの気遣いを必要とすることなく、通話相手が送話器を耳から話した後に通話を切断することができ、終話ボタンを押下するという通常の簡単な操作で、礼儀正しく終話することが可能となる。
また、通話相手がオンフックするまでの間にビジートーンが網側から相手電話機へ送出される可能性が低くなるため、相手が先に通話を切断したことや、比較的大きな音量のビジートーンが突然到来したことに起因して、通話相手が不快感を感じる可能性を低減できる。
【0042】
また、本実施の形態では、当該通話について所定の条件が成立する場合にのみ切断遅延時間経過後に通話を切断し、成立しない場合には終話ボタンの操作検出に応じて直ちに通話を切断するようにしたので、特定の通話に対してのみ切断遅延機能を利用することができる。
この際、条件として、相手電話機の電話番号が所定の指定番号と一致するという条件、相手電話機の電話番号が固定電話機であるという条件、あるいは通話が相手電話機からの着信であるという条件を、単独あるいは任意に組み合わせて用いてもよい。
【0043】
[第2の実施の形態]
次に、図4を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかる無線電話端末について説明する。図4は、本発明の第2の実施の形態にかかる無線電話端末で用いられる設定情報のうち、切断遅延機能に関する要部を示す説明図である。
第1の実施の形態では、通話中に終話ボタン13Cの操作が検出された場合は、当該検出から所定の切断遅延時間だけ経過した後、通話の切断を行う場合について説明した。この際、切断遅延時間だけ待機している待機期間においては、マイク14Aから入力された音声信号が音声処理部14により音声データに符号化され、無線通信部11から相手電話機へ送出される。
【0044】
本実施の形態では、図3のステップ107において、切断遅延時間だけ待機している期間に相手電話機へ送出される音声に対して所定の音声処理を行う場合について説明する。なお、本実施の形態にかかる無線電話端末における、音声処理以外の構成および動作については第1の実施の形態と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0045】
音声処理としては、待機期間にマイク14Aから入力された音声信号に代えて、所定の無音データを送出する処理が考えられる。この場合には、音声処理部14により、切断遅延時間の計時開始時に予め記憶部15に登録しておいた所定の無音データを読み出して、切断遅延時間の計時終了すなわち通話切断まで、無線通信部11から相手電話機へ送出すればよい。これにより、終話操作から通話を切断するまでの間、通話相手に切断遅延機能の利用を意識させなくすることができる。この無音データとしては、無音データとしてまったくの無音でもよいが、背景ノイズを含む無音のほうが自然な感覚を与えることができる。
【0046】
他の音声処理としては、待機期間にマイク14Aから入力された音声信号の音量を徐々に小さくして相手電話機へ送出するフェードアウト処理が考えられる。この場合には、音声処理部14により、切断遅延時間の計時開始時から計時終了すなわち通話切断まで、マイク14Aから入力された音声信号の音量を徐々に小さくて音声データに符号化し、無線通信部11から相手電話機へ送出すればよい。これにより、終話操作から通話を切断するまでの間、通話相手に切断遅延機能の利用を意識させなくすることができる。
【0047】
待機期間における音声処理の有無は、第1の実施の形態と同様に、記憶部15の設定情報15Bで設定すればよい。
図4は、設定情報のうち切断遅延機能に関する要部を示す説明図である。この例では、図2の詳細設定項目に「音声処理」が追加されている。
「音声処理」は、切断遅延時間の間、相手電話機への送話音声に対する音声処理の内容を設定する項目であり、「無音(背景ノイズ)/フェードアウト」のいずれかが選択設定される。
【0048】
呼制御部16Aは、図3のステップ107において、計時部16Bにより切断遅延時間の計時開始時に、設定情報15Bの「音声処理」で「無音(背景ノイズ)/フェードアウト」のいずれの音声処理が選択されているか確認し、その選択設定内容に応じた音声処理を実行すればよい。
【0049】
このように本実施の形態は、計時の開始から終了まで相手電話機に対する送話音声として所定の無音データを送出し、あるいは、計時の開始から終了まで相手電話機に対する送話音声の音量を徐々に小さくして送出するようにしたので、終話操作から通話を切断するまでの間、通話相手に切断遅延機能の利用を意識させなくすることができる。
【0050】
[実施の形態の拡張]
以上の各実施の形態では、本発明の無線電話端末が、携帯電話網との間に無線区間が設けられた携帯電話機からなる場合を例として説明したが、これに限定されるものではなく、無線区間を介して音声データや制御データを送受信する無線通信端末に対して、前述と同様に各実施の形態を適用できる。
【0051】
例えば、公衆交換電話網(PSTN:Public Switched Telephone Network)などの交換機に接続された親機と子機との間に無線区間が設けられているコードレス電話機では、無線電話端末1の構成を子機に適用すればよい。この際、網側との呼制御については、一般的なコードレス電話機と同様に親機で実行することになる。例えば、図3のステップ108における切断処理では、終話要求メッセージを子機の無線通信部11から親機へ送信し、これに応じて親機から公衆交換電話網へ切断要求(直流ループ解放)を送信すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる無線電話端末の構成を示すブロック図である。
【図2】設定情報のうち切断遅延機能に関する要部を示す説明図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態にかかる無線電話端末の終話制御処理を示すフローチャートである。
【図4】設定情報のうち切断遅延機能に関する要部を示す説明図である。
【符号の説明】
【0053】
1…無線電話端末、10…アンテナ、11…無線通信部、12…表示部、13…操作検出部、13A…操作入力部、13B…発信ボタン、13C…終話ボタン、13D…ダイヤルボタン、14…音声処理部、14A…マイク、14B…レシーバ、15…記憶部、15A…呼制御情報、15B…設定情報、16…制御部、16A…呼制御部、16B…計時部、17…バス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話網を介して相手電話機と接続して通話を行う無線電話端末であって、
前記通話の終話を指示するための終話ボタンの操作を検出する操作検出部と、
所定の切断遅延時間だけ計時する計時部と、
前記操作検出部により通話中に前記終話ボタンの操作が検出された場合は、前記計時部により前記計時を開始し前記計時の終了に応じて前記通話の切断を行う呼制御部と
を備えることを特徴とする無線電話端末。
【請求項2】
請求項1に記載の無線電話端末において、
前記呼制御部は、前記通話について所定の条件が成立する場合にのみ前記計時終了に応じて前記通話を切断し、成立しない場合には前記終話ボタンの操作検出に応じて直ちに前記通話を切断する
ことを特徴とする無線電話端末。
【請求項3】
請求項2に記載の無線電話端末において、
前記条件は、前記相手電話機の電話番号が所定の指定番号と一致するという条件を含むことを特徴とする無線電話端末。
【請求項4】
請求項2に記載の無線電話端末において、
前記条件は、前記相手電話機の電話番号が固定電話機であるという条件を含むことを特徴とする無線電話端末。
【請求項5】
請求項2に記載の無線電話端末において、
前記条件は、前記通話が前記相手電話機からの着信であるという条件を含むことを特徴とする無線電話端末。
【請求項6】
請求項1に記載の無線電話端末において、
前記呼制御部は、前記計時の開始から終了まで前記相手電話機に対する送話音声として所定の無音データを送出することを特徴とする無線電話端末。
【請求項7】
請求項1に記載の無線電話端末において、
前記呼制御部は、前記計時の開始から終了まで前記相手電話機に対する送話音声の音量を徐々に小さくして送出することを特徴とする無線電話端末。
【請求項8】
電話網を介して相手電話機と接続して通話を行う無線電話端末の終話制御方法であって、
呼制御部により、通話中に終話ボタンの操作が検出された場合は、当該検出から所定の切断遅延時間だけ経過した後、前記通話の切断を行うことを特徴とする終話制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2008−109555(P2008−109555A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−292199(P2006−292199)
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】