説明

無線ICタグ及び無線ICタグの制御方法

【課題】子供見守りシステム等に用いられる無線ICタグ無線ICタグの電池切れを防ぐ。
【解決手段】CPU11及びメモリ12と、メモリ12に記憶されている情報を外部に無線送信する送信部14と、外部から無線送信されてくる情報を受信する受信部13と、CPU11、メモリ12、及び送信部14に電力を供給する電池18と、18電池から送信部14への電力供給状態を制御する電力供給状態制御部413と、を有する無線ICタグ10に、送信部14への電力供給が停止しており、かつ、受信部13が、第1の情報を受信した後、第2の情報を受信した場合に送信部14への電力供給を開始させ、送信部14への電力供給が行われており、かつ、受信部13が、第3の情報を受信した後、第4の情報を受信した場合に送信部14への電力供給を停止させるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線ICタグ及び無線ICタグの制御方法に関し、とくに子供見守りシステム等に用いられる無線ICタグの電池切れを防ぎ、システムの機能停止を防ぐ技術に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、通学途中などにおいて子供が犯罪に遭う事件が多発しており、そのような犯罪から子供を守るための対策が模索されている。そのような対策の1つとして、例えば特許文献1には、児童の所持品(安全帽等)に児童IDを記憶している無線ICタグを取り付け、児童の自宅及び児童の通う学校に無線ICタグから児童IDを読み取る無線読み取り装置を設け、児童が自宅を出発する際、無線読み取り装置が児童IDと登校開始時刻をサーバ装置に送信し、サーバ装置が登録された行動予定データと受信した登校開始時刻から児童の登校完了予想時刻を計算し、児童が学校に到着して学校の無線読み取り装置を通過した際に読み取った児童IDとその時刻である登校完了時刻をサーバ装置に送信し、サーバ装置が児童IDと登校完了時刻を受信した場合に児童が登校を完了した旨の通報を保護者が所持する端末装置等に送信し、サーバ装置が登校完了予想時刻を超えて所定時間経過しても児童IDと登校完了時刻を受信できない場合に、児童がいまだに登校を完了していない旨の通報を端末装置に送信するシステムが記載されている。
【0003】
また非特許文献1には、児童などの見守り対象者に無線ICタグを携帯させ、登下校時等の外出時に何らかの問題があった場合に見守り対象者が無線ICタグの通報ボタンを押すと無線ICタグの付近にある見守りスポット(無線ICタグの電波を受信する受信機)に電波が送信され、近所の保護者や警備員が助けに来たり、見守り対象者が見守りスポットのそばや校門を通過すると保護者宛に通過情報がメールで通知される子供見守りシステムが開示されている。
【特許文献1】特開2005−182468号公報
【非特許文献1】株式会社NTTデータ/東急セキュリティ株式会社/イッツ・コミュニケーションズ、”2005年ニュースリリース,アイセイフティ「子供見守りサービス」実証実験の結果報告について”、[online]、平成17年9月30日、[平成18年10月27日検索、インターネット、<URL: http://www.nttdata.co.jp/release/2005/093001.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、無線ICタグを用いたこれらのシステムにおいては、無線ICタグの電池が切れてしまうとシステムが停止してしまう。とくに前述のような子供の安全確保を目的とするシステムでは、機能停止という事態は許されず、電池切れを防ぐための仕組みが必須である。
【0005】
本発明はこのような背景に鑑みてなされたもので、子供見守りシステム等に用いられる無線ICタグの電池切れを防ぎシステムの機能停止を防ぐことが可能な無線ICタグ及び無線ICタグの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、無線ICタグであって、CPU及びメモリと、前記メモリに記憶されている情報を外部に無線送信する送信部と、外部から無線送信されてくる情報を受信する受信部と、前記CPU、前記メモリ、及び前記送信部に電力を供給する電池と、前記電池から前記送信部への電力供給状態を制御する電力供給状態制御部と、を有し、前記電力供給状態制御部は、前記送信部への電力供給が停止しており、かつ、前記受信部が、第1の情報を受信した後、第2の情報を受信した場合に、前記送信部への電力供給を開始させ、前記送信部への電力供給が行われており、かつ、前記受信部が、第3の情報を受信した後、第4の情報を受信した場合に、前記送信部への電力供給を停止させることとする。
【0007】
本発明の無線ICタグは、例えば、前述の見守り対象者によって携帯される。前記送信部が外部に無線送信する前記情報は、無線ICタグを特定するための識別情報(タグID)であり、前述の見守りスポット(無線ICタグの電波を受信する受信機)などによって受信される。
【0008】
前記受信部が受信する第1の情報及び第2の情報は、前記送信部への電力供給を開始させたい場所に配置された2台の送信機のそれぞれから無線送信されてくる情報であり、本発明の無線ICタグは、第1の情報を受信した後、第2の情報を受信すると、送信部への電力供給を開始させる。また受信部が受信する第3の情報及び第4の情報は、送信部への電力供給を停止させたい場所に配置された2台の送信機のそれぞれから無線送信される情報であり、本発明の無線ICタグは、第3の情報を受信した後、情報を受信すると、送信部への電力供給を停止させる。
【0009】
従って、無線ICタグを携帯する者が、電力供給を開始させたい場所を通過すれば自動的に送信部への電力供給が開始され、電力供給を停止させたい場所を通過すれば自動的に送信部への電力供給が停止される。このため、例えば自宅の入り口に第1の情報を無線送信する送信機を設置しておき、自宅の門に第2の情報を無線送信する送信機を設置しておくようにすれば、登校に際し無線ICタグを携帯した子供が自宅を出ると無線ICタグの送信部への電力供給が自動的に開始されることとなる。また例えば校門に第3の情報を無線送信する送信機を設置しておき、校舎入口に第4の情報を無線送信する送信機を設置しておけば、登校に際し無線ICタグを携帯した子供が校舎に入ると無線ICタグの送信部への電力供給が自動的に停止されることとなる。
【0010】
このように、本発明の無線ICタグによれば、送信部への電力供給が必要な登校中の間のみ、送信部への電力供給が行われ、子供が自宅に居る間や学校に居る間等は送信部への電力供給が停止され、電力の無駄な消費を抑えることができるとともに、電池切れを有効に防ぐことができる。
【0011】
なお、前述した子供見守りシステム等に用いられる無線ICタグの送信部は、動作中に識別情報を繰り返し送信するため、無線ICタグの構成要素の中でもとくに電力消費が大きな部分である。このため、送信部への電力供給を停止させることにより無線ICタグ全体の消費電力が大幅に低減され、電池切れを有効に防ぐことができる。また送信部への電力供給の開始は、第1の情報と第2の情報の双方を受信した場合に行われるので、誤動作により送信部への電力供給が開始されてしまうのを防ぐことができる。また送信部への電力供給の停止は、第3の情報と第4の情報の双方を受信した場合に行われるので、誤動作によって送信部への電力供給が停止されてしまうのを防ぐことができる。
【0012】
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の無線ICタグであって、前記第3の情報は前記第2の情報であり、前記第4の情報は前記第1の情報であることとする。
このようにすることで、第3の情報を送信する送信機、第2の情報を送信する送信機を用い、第4の情報を送信する送信機として第1の情報を送信する送信機を用いることができる。すなわち、第1の情報と第2の情報のいずれを先に受信するかによって送信部への電源供給を制御するため、送信機として、第3の情報を送信する送信機、及び第4の情報を送信する送信機を用意する必要がなくなる。
【0013】
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の無線ICタグであって、前記電池の電圧を測定する回路と、前記電池の電圧が所定値以下となった場合に、その旨を示す情報を出力する回路と、を有する。
本発明によれば、電池電圧が所定値以下となった場合には、その旨を示す情報が液晶ディスプレイなどの表示装置やスピーカなどの音声出力装置に出力される。すなわち、電池切れの前に警告が出てユーザに電池の交換又は充電を促すので、登下校中等の無線ICタグの使用時に電池切れになってしまう事を防ぐ事ができる。また本発明と送信部への電力供給を停止することによる前述の省電力機能とによって、使用中の電池切れをより確実に防ぐことができる。
【0014】
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の無線ICタグであって、前記電池の電圧を測定する回路と、前記電池の電圧が所定値以下になると、その旨を示す情報を前記送信部から無線送信する回路とを有する。
例えば、登下校中に電池切れになり、無線ICタグからの識別情報を取得できなくなった場合には、子供見守りシステム側ではそれが事故によるものか電池切れを判定することが困難だが、本発明のように、無線ICタグが電池電圧が低下している旨を自動的に送信することで、子供見守りシステム側で識別情報を取得できなかった原因が電池切れによるものであることを知ることができる。
【0015】
本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の無線ICタグであって、入力装置と、前記入力装置に対して行われる操作入力に応じて音を発する音声出力装置と、をさらに有し、前記電力供給状態制御部は、前記受信部が、第1の情報を受信した後、第2の情報を受信した場合に前記音声出力装置への電力供給を開始させ、前記受信部が、第3の情報を受信した後、第4の情報を受信した場合に前記音声出力装置への電力供給を停止させることとする。
ここでいう音声出力装置とは、例えば、警報ブザーであり、子供等の見守り対象者が身の危険を感じた際に大音を発して周囲の人に危険を知らせる危険通報装置である。前述の発明では、消費電力低減のために電力供給を停止させる対象を送信部としているが、このような音声出力装置を備える無線ICタグの場合には、さらにこの音声出力装置を電力供給を停止する対象とすることができる。
【0016】
本発明の請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の無線ICタグであって、ハードウエアスイッチと、前記CPUによって制御されるソフトウエアスイッチとを有し、前記CPU、前記メモリ、及び前記受信部には、前記ハードウエアスイッチを介して前記電池から電力が供給され、前記送信部には、前記ソフトウエアスイッチを介して前記電池から電力が供給されることとする。
送信部への電力供給の制御は、例えばこのようなソフトウエアスイッチによって容易に実現することができる。
【0017】
本発明の請求項7に記載の発明は、CPU及びメモリと、前記メモリに記憶されている情報を外部に無線送信する送信部と、外部から無線送信されてくる情報を受信する受信部と、前記CPU、前記メモリ、及び前記送信部に電力を供給する電池と、前記電池から前記送信部への電力供給状態を制御する電力供給状態制御部と、を有する無線ICタグの制御方法であって、前記送信部への電力供給が停止しており、かつ、前記受信部が、第1の情報を受信した後、第2の情報を受信した場合に前記送信部への電力供給を開始させ、前記送信部への電力供給が行われており、かつ、前記受信部が、第3の情報を受信した後、第4の情報を受信した場合に前記送信部への電力供給を停止させることとする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、子供見守りシステムなどに用いられる無線ICタグの電池切れを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態につき詳細に説明する。図1に本発明の一実施形態として説明する子供見守りシステム1の概略的な構成を示している。同図に示す子供見守りシステム1は、学校の登下校時等に際し安全帽やランドセルなどに取り付けて子供に携帯させる無線ICタグ10と、通学路やその周辺地域を含む複数の場所に設置されている基地局30と、これら基地局30が通信可能に接続しているサーバ40と、サーバ40とインターネット等を介して通信可能に接続されるコンピュータである監視装置50と、を含んで構成されている。
【0020】
サーバ40は、例えば、子供見守りシステム1を運営する組織によって運用されるコンピュータである。監視装置50は、例えば、子供の保護者が所有する携帯電話機やパーソナルコンピュータである。
【0021】
無線ICタグ10は、自身に記憶されている識別情報(以下、タグIDと称する。)を、所定の短い時間間隔(例えば数msごと)で繰り返し無線送信する。無線ICタグ10の周辺に存在する基地局30は、無線ICタグ10から無線送信されるタグIDを受信すると、受信したタグIDと基地局30ごとに付与されている識別情報(以下、基地局IDと称する。)をサーバ40に送信する。
【0022】
サーバ40は、基地局IDと、基地局IDの位置を示す情報(以下、位置情報と称する。)とを対応づけて記憶しており、サーバ40は、基地局IDとタグIDとを受信すると、受信した基地局IDに対応する位置情報を取得し、取得した位置情報を無線ICタグ10の現在位置として特定し、特定した位置情報を電子メールやWebページなどにより監視装置50に提供する。すなわち、これにより保護者等は、無線ICタグ10を携帯している子供等の見守り対象者の現在位置をリアルタイムに知ることができる。
【0023】
また無線ICタグ10は、不審者等が現れた際、自動的に緊急通報を行う機能を備えている。無線ICタグ10に対して所定の操作が行われると、タグIDを含む緊急通報が無線ICタグ10から無線送信され、基地局30は、緊急通報及びタグIDを受信すると、受信したタグID、自身の基地局ID、及び緊急通報をサーバ40に送信する。サーバ40は、基地局30から緊急通報を受信すると、緊急通報に付帯して受信した基地局IDに対応する位置情報を取得し、緊急通報を発した無線ICタグ10の現在位置を取得する。さらにサーバ40は、位置情報と、緊急に現場に駆けつける支援者(以下、駆けつけ支援者と称する。)に関する情報(以下、支援者情報と称する。)とを対応づけて記憶しており、緊急通報を受信すると、取得した上記位置情報に対応する支援者情報を取得し、支援者情報から特定される連絡先(電子メールアドレスや電話番号)に、電子メールや自動電話により緊急通報があった旨及び緊急通報を発した無線ICタグ10の現在位置(発生場所)を通知する。
【0024】
以上のように、本実施形態の子供見守りシステム1によれば、保護者等は、子供の現在位置をリアルタイムに知る事ができる。また緊急時は現場周辺に存在する駆けつけ支援者を現場に急行させる事ができるので、子供を犯罪等から守ることができる。このように、子供見守りシステム1によれば、登下校時等の外出時における見守り対象者を監視することができ、見守り対象者の安全を確保することができる。
【0025】
図2に無線ICタグ10のハードウエア構成を示している。無線ICタグ10は、いわゆるアクティブタイプのRFIDタグ(RFID:Radio Frequency IDentification)であり、内蔵電池等のエネルギーによって電波を発するタイプのICタグである。無線ICタグ10は、CPU11、メモリ12(RAM/ROM)、外部から送信されてくる情報を受信する受信部13、メモリ12に格納されている識別情報(タグID)等を外部に送信する送信部14、ユーザからの操作入力を受け付ける入力装置15、無線ICタグ10の動作状態(電源オン、スタンバイ、オフ等)や電池残量等の各種情報が表示される表示装置16、警告音等の音声を発する警報ブザー等の音声出力装置17、乾電池や二次電池等の電池18、電池18からCPU11、メモリ12、受信部13への電源供給を手動制御するハードウエアスイッチ19、電池18から送信部14への電源供給をCPU11の制御によってソフトウエア的に制御するソフトウエアスイッチ20、電池電圧を取得する電圧取得部21等を含んで構成されている。
【0026】
図2において、実線はバスライン101を、破線は電源供給ライン102を示している。同図に示すように、CPU11、プログラムや識別情報(タグID)等が記憶されるメモリ12、受信部13、送信部14、入力装置15、表示装置16、音声出力装置17、ソフトウエアスイッチ20、及び電圧取得部21は、バスライン101を介して互いに通信可能に接続されている。電池18からCPU11、メモリ12、受信部13、及び電圧取得部21への電力供給は、ハードウエアスイッチ19を介して行われる。また電池から送信部14、入力装置15、表示装置16,音声出力装置17、ソフトウエアスイッチ20への電力供給は、ソフトウエアスイッチ20を介して行われる。なお、ハードウエアスイッチ19は、「電源オン」、「スタンバイ」、「電源オフ」の3つの接点を有している。
【0027】
図3にハードウエアスイッチ19又はソフトウエアスイッチ20によって行われる、無線ICタグ10の電力供給状態の制御を説明する状態遷移図を示している。同図に示すように、無線ICタグ10は、電源オフ310、スタンバイ320、電源オン330の3つの電力供給状態を取る。
【0028】
同図において、電源オフ310の状態では、ハードウエアスイッチ19及びソフトウエアスイッチ20からの電力供給が停止する。この状態の時、消費電力はゼロである。スタンバイ320の状態では、ハードウエアスイッチ19からの電力供給は行われるが、ソフトウエアスイッチ20からの電力供給は停止する。この状態の時、送信部14、入力装置15、表示装置16、及び音声出力装置17の消費電力はゼロである。電源オン330の状態では、ハードウエアスイッチ19及びソフトウエアスイッチ20の双方から電力供給が行われる。この状態では、電池の電力を必要とする無線ICタグ10の全ての構成要素に対して電力が供給される。
【0029】
図3に示すように、電源オフ310の状態と電源オン330の状態と間の直接的な遷移は、ハードウエアスイッチ19の設定を「電源オフ」から「電源オン」にした場合(S311)、又はハードウエアスイッチ19の設定を「電源オン」から「電源オフ」にした場合(S312)に生じる。また電源オフ310の状態とスタンバイ320の状態との間の直接的な遷移は、ハードウエアスイッチ19の設定を「電源オフ」から「スタンバイ」にした場合(S313)、又は「スタンバイ」から「電源オフ」にした場合(S314)に生じる。またスタンバイ320の状態と電源オン330の状態との間の直接的な遷移は、ハードウエアスイッチ19の設定を「スタンバイ」から「電源オン」にした場合(S315)、又は「電源オン」から「スタンバイ」にした場合(S316)に生じる。なお、後述するように、スタンバイ320の状態と電源オン330の状態との間の直接的な遷移は、ソフトウエアスイッチ20によっても自動的に行われる。
【0030】
図4に無線ICタグ10のソフトウエア構成図を示している。なお、同図に示す各機能部は、CPU11がメモリ12に記憶されているプログラムを実行することにより実現される。
【0031】
同図に示す機能のうちタグID送信処理部411は、電源オン330の状態になっている際、送信部14からタグIDを所定の時間間隔(数ms間隔等)で繰り返し無線送信(間欠送信)する。なお、スタンバイ320の状態では送信部14は機能していないため、タグIDの送信は行われない。
【0032】
緊急通報処理部412は、入力装置15に緊急通報のための所定の操作入力が行われた場合に緊急通報をタグIDとともに送信部14から無線送信する。電力供給状態制御部413は、無線ICタグ10の電力供給状態の制御を行う。具体的には、電力供給状態制御部413は、外部から受信した情報に基づいて、スタンバイ320の状態から電源オン330の状態、又は電源オン330の状態からスタンバイ320の状態に自動的に遷移させる。
【0033】
電圧監視部414は、電圧取得部21によって取得される電池電圧をリアルタイムに監視しており、電池電圧が所定の閾値を下回ると、その(電池切れが近付いている旨)を示す情報が表示装置16又は音声出力装置17に出力する。また電圧監視部414は、電池電圧が所定の閾値を下回る旨を示す情報を、タグIDとともに送信部14から無線送信する。なお、この情報及びタグIDはこれを受信した基地局30によってサーバ40に送信され、サーバ40はこの情報を電子メールやWebページにより監視装置50に提供する。
【0034】
次に、電力供給状態制御部413が、外部から送信されてくる情報に応じて行う、スタンバイ320の状態から電源オン330の状態、又は電源オン330の状態からスタンバイ320の状態への自動的な切り換え制御の仕組みについて詳述する。ここで外部から無線送信されてくる情報は、スタンバイ320の状態から電源オン330の状態、又は電源オン330の状態からスタンバイ320の状態に自動的に遷移させたい場所に予め設置されている送信機から無線送信される。
【0035】
図5Aは、スタンバイ320の状態から電源オン330の状態への自動的な切り換えを行わせたい場合の送信機の設置例である。同図に示すようにそのような場所には2台の送信機(以下、それぞれ第1の送信機61、第2の送信機62と称する。)を設置する。なお、これら2台の送信機61,62は、各々から送信される電波が干渉しないように所定の間隔をおいて設置する。同図に示す円は、各送信機61,62から送信される情報の受信可能範囲を示している。
【0036】
同図に示すように、第1の送信機61からは第1の情報を所定の間隔(数ms間隔等)で繰り返し無線送信(間欠送信)し、第2の送信機62からは第2の情報を所定の間隔(数ms間隔等)で繰り返し無線送信(間欠送信)する。同図において、矢印の方向に無線ICタグ10が通過した場合、無線ICタグ10の受信部13は、第1の情報を受信した後、第2の情報を受信する。この際、無線ICタグ10がスタンバイ320の状態になっていれば、電力供給状態制御部413は、無線ICタグ10の状態をスタンバイ320の状態から電源オン330の状態に自動的に切り換える。
【0037】
図5Bは、電源オン330の状態からスタンバイ320の状態への自動的な切り換えを行わせたい場合の送信機の設置例である。同図に示すように、そのような場所には2台の送信機(以下、それぞれ第3の送信機63、第4の送信機64と称する。)を設置する。なお、これら2台の送信機63,64は、各々から送信される電波が干渉しないように所定の間隔をおいて設置される。同図に示す円は、各送信機63,64から送信される情報の受信可能範囲を示している。
【0038】
同図に示すように、第3の送信機63からは第3の情報を所定の間隔(数ms間隔等)で繰り返し無線送信(間欠送信)する。第4の送信機64からは第4の情報を所定の間隔(数ms間隔等)で繰り返し無線送信(間欠送信)する。同図において、矢印の方向に無線ICタグ10が通過した場合、無線ICタグ10の受信部13は、第3の情報を受信した後、第4の情報を受信する。この際、無線ICタグ10が電源オン330の状態になっていれば、電力供給状態制御部413は、無線ICタグ10の状態を電源オン330の状態からスタンバイ320の状態に自動的に切り換える。
【0039】
図6に、以上の制御に際し無線ICタグ10によって行われる処理の詳細を示している。同図に示すように、電力供給状態制御部413は、受信部13が情報を受信したかどうかをリアルタイムに監視している(S611)。受信部13が情報を受信すると(S611:YES)、電力供給状態制御部413は、受信した情報が第1の情報又は第3の情報であるかどうかを調べる(S612)。受信した情報が第1の情報であった場合には(S612:第1の情報)、S613に進み、第3の情報であった場合には(S612:第3の情報)、S614に進む。
【0040】
なお、第1の情報である場合(S612:第1の情報)は、無線ICタグ10の所持者が図5Aにおいて矢印の方向に移動した場合であり、第3の情報である場合(S612:第1の情報)は、無線ICタグ10の所持者が図5Bにおいて矢印の方向に移動した場合である。
【0041】
S613では、電力供給状態制御部413は、現在の状態がスタンバイ320の状態かどうかを判断し、スタンバイ320の状態であれば(S613:YES)、S615に進む。そうでなければ(S613:NO)、S611に戻る。
【0042】
S615では、電力供給状態制御部413は、受信部13が何らかの情報を受信したかどうかを判断する。そして、何らかの情報を受信した場合には(S615:YES)、受信した情報が第2の情報かどうかを調べる(S616)。受信した情報が第2の情報であった場合には(S616:YES)、無線ICタグ10の電源制御状態を、スタンバイ320の状態から電源オン330の状態に切り換える(S617)。一方、受信した情報が第2の情報でない場合は(S617:NO)、S615に戻る。S617の後は、S611に戻る。
【0043】
一方、S614では、電力供給状態制御部413は、現在の状態が電源オン330の状態であるかどうかを判断し、電源オン330の状態であれば(S614:YES)、S619に進む。そうでなければ(S614:NO)、S611に戻る。
【0044】
S619では、電力供給状態制御部413は、受信部13が何らかの情報を受信したかどうかを判断する。そして、何らかの情報を受信した場合には(S619:YES)、受信した情報が第4の情報かどうかを調べる(S621)。受信した情報が第4の情報であった場合には(S621:YES)、無線ICタグ10の電源制御状態を、電源オン330の状態からスタンバイ320の状態に切り換える(S622)。一方、受信した情報が第4の情報でない場合には(S621:NO)、S619に戻る。S622の後は、S611に戻る。
【0045】
ところで、以上に説明した処理において、第3の情報を第2の情報とし、第4の情報を第1の情報としても、すなわち、第3の送信機63から第2の情報を、第4の送信機64から第4の情報を送信するようにしても、無線ICタグ10の電力供給状態を同様に制御することができる。このようにする事で、無線ICタグ10にかかる判断処理が単純化されて処理負荷が軽減される。また第3の情報や第4の情報の管理が不要となり、システムの管理負担を軽減できる。以下、この場合の処理を図7とともに説明する。
【0046】
電力供給状態制御部413は、受信部13が情報を受信したかどうかをリアルタイムに監視している(S711)。受信部13が情報を受信すると(S711:YES)、電力供給状態制御部413は、受信した情報が第1の情報又は第2の情報であるかどうかを調べる(S712)。受信した情報が第1の情報であった場合には(S712:第1の情報)、S713に進み、第2の情報であった場合には(S712:第2の情報)、S714に進む。
【0047】
S713では、電力供給状態制御部413は、現在の状態がスタンバイ320の状態かどうかを判断し、スタンバイ320の状態であれば(S713:YES)、S715に進む。そうでなければ(S713:NO)、S711に戻る。
【0048】
S715では、電力供給状態制御部413は、受信部13が何らかの情報を受信したかどうかを判断する。そして、何らかの情報を受信した場合には(S715:YES)、受信した情報が第2の情報かどうかを調べる(S716)。受信した情報が第2の情報であった場合には(S716:YES)、無線ICタグ10の電源制御状態を、スタンバイ320の状態から電源オン330の状態に切り換える(S717)。一方、受信した情報が第2の情報でない場合は(S716:NO)、S715に戻る。S717の後は、S711に戻る。
【0049】
一方、S714では、電力供給状態制御部413は、現在の状態が電源オン330の状態であるかどうかを判断し、電源オン330の状態であれば(S714:YES)、S719に進む。そうでなければ(S714:NO)、S711に戻る。
【0050】
S719では、電力供給状態制御部413は、受信部13が何らかの情報を受信したかどうかを判断する。そして、何らかの情報を受信した場合には(S719:YES)、受信した情報が第1の情報かどうかを調べる(S720)。受信した情報が第1の情報であった場合には(S720:YES)、無線ICタグ10の電源制御状態を、電源オン330の状態からスタンバイ320の状態に切り換える(S721)。一方、受信した情報が第1の情報でない場合には(S720:NO)、S719に戻る。S721の後は、S711に戻る。
【0051】
ところで、以上に説明した機能を有する無線ICタグ10を子供に携帯させ、例えば図8Aに示すように、子供の自宅の入り口に第1の情報を送信する第1の送信機61を、自宅の門に第2の情報を送信する第2の送信機62を設置するようにすれば、登校時に子供が自宅から外に出る際、無線ICタグ10の状態をスタンバイ320の状態から電源オン330の状態に自動的に切り換えることができる。
【0052】
また同図に示すように、学校の門に第2の情報を送信する第2の送信機62を設置し、校舎入り口に第1の情報を送信する第1の送信機61を設置しておけば、登校時に子供が校舎に入る際、無線ICタグ10の状態を電源オン330の状態からスタンバイ320の状態に自動的に切り換えることができる。
【0053】
一方、下校時には上記動作は登校時の場合と全く逆になる。すなわち、下校時に子供が校庭から外にでると無線ICタグ10は自動的に電源オン330の状態になり、自宅に戻ると自動的にスタンバイ320の状態になる(図8Bを参照)。
【0054】
このように、無線ICタグ10は、登校時又は下校時には自動的に電源オン330の状態になり、在宅時や在校時には自動的にスタンバイ320の状態になる。このため、在宅時や在校時等の無線ICタグ10を利用していない時間における電池の消費電力を抑えることができる。また無線ICタグ10の電源を意識的にオンオフする必要がないので、無線ICタグ10の取り扱いが楽になり、電源の切り忘れや電源の入れ忘れを防ぐことができる。
【0055】
ところで、以上の実施形態の説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0056】
例えば、以上の実施形態の説明では、2つの送信機から送信される第1の情報及び第2の情報を受信した場合に電力供給状態を制御する場合について説明したが、さらに多くの送信機を設置し、各送信機から送信される情報を所定の順番で受信した場合にスタンバイ320から電源オン330、又は電源オン330からスタンバイ320への切り換えを行うようにしてもよい。
【0057】
基地局30に第1の情報や第2の情報を送信する前述した送信機の機能を持たせるようにしてもよい。また送信機から送信される第1の情報や第2の情報を受信できず、基地局30から送信されてくる所定の情報を受信した場合にスタンバイ320から電源オン330に自動的に切り換えるようにしてもよい。これにより、例えば、多数の子供が同時に校門を通過するなどして第1の情報又は第2の情報を受信できなかった場合でも、確実に無線ICタグ10を電源オン330の状態に切り換えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の一実施形態として説明する子供見守りシステム1の概略的な構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態として説明する無線ICタグ10のハードウエア構成を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態として説明する無線ICタグ10の電力供給状態の制御を説明する状態遷移図である。
【図4】本発明の一実施形態として説明する無線ICタグ10のソフトウエア構成を示す図である。
【図5A】本発明の一実施形態として説明する、スタンバイ320の状態から電源オン330の状態への自動的な切り換えを行わせたい場合の送信機の設置例を示す図である。
【図5B】本発明の一実施形態として説明する、電源オン330の状態からスタンバイ320の状態への自動的な切り換えを行わせたい場合の送信機の設置例を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態として説明する、電力供給状態制御に際し無線ICタグ10によって行われる処理を説明するフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態として説明する、電力供給状態制御に際し無線ICタグ10によって行われる処理を説明するフローチャートである。
【図8A】本発明の一実施形態として説明する無線ICタグ10の適用例を示す図である。
【図8B】本発明の一実施形態として説明する無線ICタグ10の適用例を示す図である。
【符号の説明】
【0059】
1 子供見守りシステム 10 無線ICタグ
11 CPU 12 メモリ
13 受信部 14 送信部
17 音声出力装置 18 電池
19 ハードウエアスイッチ 20 ソフトウエアスイッチ
21 電圧取得部 30 基地局
40 サーバ 50 監視装置
101 バスライン 102 電源供給ライン
310 電源オフ 320 スタンバイ
330 電源オン 411 タグID送信処理部
412 緊急通報処理部 413 電力供給状態制御部
414 電圧監視部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CPU及びメモリと、
前記メモリに記憶されている情報を外部に無線送信する送信部と、
外部から無線送信されてくる情報を受信する受信部と、
前記CPU、前記メモリ、及び前記送信部に電力を供給する電池と、
前記電池から前記送信部への電力供給状態を制御する電力供給状態制御部と、
を有し、
前記電力供給状態制御部は、
前記送信部への電力供給が停止しており、かつ、前記受信部が、第1の情報を受信した後、第2の情報を受信した場合に、前記送信部への電力供給を開始させ、
前記送信部への電力供給が行われており、かつ、前記受信部が、第3の情報を受信した後、第4の情報を受信した場合に、前記送信部への電力供給を停止させること
を特徴とする無線ICタグ。
【請求項2】
請求項1に記載の無線ICタグであって、
前記第3の情報は前記第2の情報であり、
前記第4の情報は前記第1の情報であること
を特徴とする無線ICタグ。
【請求項3】
請求項1に記載の無線ICタグであって、
前記電池の電圧を測定する回路と、
前記電池の電圧が所定値以下となった場合に、その旨を示す情報を出力する回路と、
を有すること
を特徴とする無線ICタグ。
【請求項4】
請求項1に記載の無線ICタグであって、
前記電池の電圧を測定する回路と、
前記電池の電圧が所定値以下になるとその旨を示す情報を前記送信部から無線送信する回路と、
を有すること
を特徴とする無線ICタグ。
【請求項5】
請求項1に記載の無線ICタグであって、
入力装置と、
前記入力装置に対して行われる操作入力に応じて音を発する音声出力装置と、
をさらに有し、
前記電力供給状態制御部は、
前記受信部が、第1の情報を受信した後、第2の情報を受信した場合に、前記音声出力装置への電力供給を開始させ、
前記受信部が、第3の情報を受信した後、第4の情報を受信した場合に、前記音声出力装置への電力供給を停止させること
を特徴とする無線ICタグ。
【請求項6】
請求項1に記載の無線ICタグであって、
ハードウエアスイッチと、
前記CPUによって制御されるソフトウエアスイッチと、
を有し、
前記CPU、前記メモリ、及び前記受信部には、前記ハードウエアスイッチを介して前記電池から電力が供給され、
前記送信部には、前記ソフトウエアスイッチを介して前記電池から電力が供給されること
を特徴とする無線ICタグ。
【請求項7】
CPU及びメモリと、
前記メモリに記憶されている情報を外部に無線送信する送信部と、
外部から無線送信されてくる情報を受信する受信部と、
前記CPU、前記メモリ、及び前記送信部に電力を供給する電池と、
前記電池から前記送信部への電力供給状態を制御する電力供給状態制御部と、
を有する無線ICタグの制御方法であって、
前記送信部への電力供給が停止しており、かつ、前記受信部が、第1の情報を受信した後、第2の情報を受信した場合に、前記送信部への電力供給を開始させ、
前記送信部への電力供給が行われており、かつ、前記受信部が、第3の情報を受信した後、第4の情報を受信した場合に、前記送信部への電力供給を停止させること
を特徴とする無線ICタグの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図5A】
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【図5B】
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【図8A】
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【図8B】
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【公開番号】特開2008−123226(P2008−123226A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−305855(P2006−305855)
【出願日】平成18年11月10日(2006.11.10)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】