説明

焦点操作装置

共焦点パターン投影技術を使用して、対象物の表面の少なくとも一部の3D幾何学的形状を取得および/または測定するための手持ち式スキャナを開示する。口腔内走査およびヒトの耳の内部の走査の具体的な実施形態を与える。本発明に記載される方法および装置は、非接触型探査媒介物として光を使用して、対象物の3D表面登録を提供するためのものである。光は、光振動を提供する照射パターンの形態で、対象物上に提供される。パターンの変動/振動は、空間的、例えば、静的な市松模様パターンであってもよく、および/または、例えば、走査されている対象物にわたってパターンを移動させることによって、時変であってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面の光学3D走査のための装置および方法に関する。本発明による装置および方法の原理は、種々の状況で適用されてもよい。本発明の1つの具体的実施形態は、口腔内走査、すなわち、口腔内の歯および周辺軟組織の直接走査に特に適している。本発明の他の歯科関連実施形態は、歯科印象、石膏型、ワックス咬合、義歯、および支台の走査に適している。本発明の別の実施形態は、ヒトの耳または耳道印象の内部および外部の走査に適している。本発明は、皮膚科または審美/美容術用途における皮膚の3D構造の走査、宝飾品または宝飾品全体もしくは宝飾品の一部のワックスモデルの走査、工業用部品の走査、およびさらには可動型工業用部品の時間分解3D走査等の時間分解3D走査においても使用法を見出し得る。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
本発明は、対象物の表面幾何学的形状の3次元(3D)走査に関する。対象物表面を3次元で走査することは、周知の研究分野であり、走査する方法は、接触型方法および非接触型方法に分けることができる。接触型測定方法の一例は、触覚プローブに表面を追跡させることによって測定する座標測定機(CMM)である。利点には、優れた精度を含むが、プロセスは遅く、CMMは、大きく、かつ高価である。非接触型測定方法は、x線および光プローブを含む。
【0003】
共焦点顕微鏡法は、顕微鏡写真のコントラストを増大させるため、および/または焦点面より厚い試料中の焦点外光またはフレアを排除するために空間的ピンホールを使用することによって、3次元画像を再構築するために使用される光学的結像技術である。
【0004】
共焦点顕微鏡は、焦点外情報を排除するために、点照射、および検出器の前の光学的共役面内のピンホールを使用する。焦点面内の光のみを検出することができる。共焦点顕微鏡法では、1回に1点のみが照射されるので、2D結像は、ラスタ走査を必要とし、3D結像は、焦点面の範囲内のラスタ走査を必要とする。
【0005】
特許文献1では、複数の被照スポットを有する表面を照射することによって、共焦点顕微鏡法の原理が適用される。焦点面を変動させることによって、表面の焦点スポット特定位置を決定することができる。しかしながら、表面構造の決定は、スポットによって照射される表面の部分に限定される。
【0006】
特許文献2は、顕微鏡法における試料の光学的区分化に関し、試料は、照射パターンで照射される。画像面の焦点位置は、パターンの振動要素を特徴付けることによって決定される。しかしながら、焦点面は、試料および光学システムを相互に対して移動させることによって、すなわち、相互により近くに、または相互からより遠くに移動させることによってのみ調整することができる。したがって、焦点面の制御された変動は、顕微鏡において満たされる、制御された試料と光学システムとの間の空間関係を必要とする。しかしながら、そのような制御された空間関係は、例えば、手持ち式スキャナには適用不可能である。
【0007】
特許文献3は、走査されている対象物に入射する光ビームの最大反射強度が観測される、焦点レンズ位置からの距離が見出される、焦点スキャナを記載する。本明細書に開示される本発明とは対照的に、この従来技術は、照射パターンの所定の測度を活用せず、また、コントラスト検出を活用せず、したがって、信号対ノイズ比は、次善のものである。
【0008】
特許文献4には、交互の分割画像から成る時変パターンを生成する手段が開示されている。本文献は、2つの異なる照射プロファイル、例えば、逆位相の2つのパターンを用いて走査対象物の光学的断面を取得する、走査方法を記載する。これらの2つの画像は、光学的断面を抽出するために使用され、方法は、2つの異なる照射プロファイルのみからの画像の獲得に限定される。さらに、方法は、2つの照射プロファイル間の位相オフセットを決定する、所定の較正に依存する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2000/008415号明細書
【特許文献2】国際公開第2003/060587号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2007/0109559号明細書
【特許文献4】国際公開第2008/125605号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、本発明の目的は、手持ち式筐体等の扱いやすい筐体内に組み込まれ得るスキャナを提供することである。本発明のさらなる目的は、焦点外情報を判別し、高速走査時間を提供することである。
【0011】
これは、対象物の表面の少なくとも一部の3D幾何学的形状を取得および/または測定する方法ならびにスキャナによって達成され、スキャナは、
− センサ要素のアレイを収容する少なくとも1つのカメラと、
− 空間パターンを取り込むプローブ光を生成する手段と、
− プローブ光を対象物に向かって伝送し、それによって、1つ以上の構成のパターンで対象物の少なくとも一部を照射する手段と、
− 対象物からカメラまで戻される光の少なくとも一部を伝送する手段と、
− スキャナおよび対象物の固定した空間関係を維持しながら、対象物上のパターンの焦点面の位置を変動させる手段と、
− センサ要素のアレイから、少なくとも1つの画像を取得する手段と、
− 各焦点面位置で、少なくとも1つの画像ピクセルと加重関数との間の相関測度を評価する手段であって、加重関数は、空間パターンの構成の情報に基づいて決定される、手段と、
− データ処理手段であって
a)相関測度の分析によって、
− 焦点面位置の範囲に対する複数の画像ピクセルの各々、または
− 焦点面位置の範囲に対する画像ピクセルの複数の群の各々
の焦点位置(単数または複数)を決定することと、
b)焦点データを3D実世界座標に変換することと
を行うデータ処理手段とを備える。
【0012】
本発明に記載される方法および装置は、非接触型探査媒介物として光を使用して、対象物の3D表面登録を提供するためのものである。光は、光振動を提供する照射パターンの形態で、対象物上に提供される。パターンの変動/振動は、空間的、例えば、静的な市松模様パターンであってもよく、および/または、例えば、走査されている対象物にわたってパターンを移動させることによって時変であってもよい。本発明は、スキャナおよび対象物の固定した空間関係を維持しながら、焦点面位置の範囲にわたるパターンの焦点面の変動を提供する。走査が、スキャナおよび対象物の固定した空間関係を伴って提供されなければならないことは意味せず、単に、スキャナおよび対象物の固定した空間関係を伴って、焦点面を変動させることができる(走査することができる)ということである。これは、本発明に基づく手持ち式スキャナの解決策を提供する。
【0013】
いくつかの実施形態では、センサ要素のアレイからの信号は、光強度である。
【0014】
本発明の一実施形態は、レンズの配設等のプローブ光を対象物に向かって伝送するための第1の光学システムと、対象物からカメラまで戻される光を結像するための第2の光学システムとを備える。本発明の好ましい実施形態では、1つの光学システムのみが、対象物上にパターンを結像し、好ましくは同一の光軸に沿って、しかしながら反対の光学経路に沿って、対象物または対象物の少なくとも一部をカメラ上に結像する。
【0015】
本発明の好ましい実施形態では、光学システムは、探査されている対象物上へのパターンの結像、および探査対象物からカメラへのパターンの結像を提供する。好ましくは、焦点面は、探査対象物上のパターンの画像が、光軸に沿って、好ましくは走査領域の一方の端部から他方の端部まで、等しい段階で偏移されるように調整される。パターンを取り込むプローブ光は、光および暗所のパターンを対象物上に提供する。具体的には、焦点面が固定されている間、パターンが時間的に変動させられるとき、対象物上の焦点領域は、光および暗所の振動パターンを示す。焦点外領域は、光振動のより小さいコントラストを示す、またはコントラストを示さない。
【0016】
一般に、対象物上に入射する光が、対象物の表面から拡散的および/または鏡面的に反射される場合が熟考される。しかし、走査装置および方法は、この状況に限定されないことが理解される。それらはまた、例えば、入射光が表面を貫通する状況、ならびに反射および/または散乱される状況、ならびに/あるいは対象物内に蛍光および/またはリン光を生じさせる状況にも適用可能である。十分に半透明の対象物内の内面もまた、照射パターンによって照射され、カメラ上に結像され得る。この場合、体積走査が可能である。いくつかのプランクトン生命体が、そのような対象物の例である。
【0017】
時変パターンが適用されるとき、焦点面の異なる位置で、およびパターンの異なるインスタンスで、多数の2D画像を収集することによって、単一の副走査を取得することができる。焦点面が単一のピクセル位置で走査表面と一致する際、パターンは、高コントラストを伴って焦点が合っている表面点上に投影され、それによって、ピクセル値の経時的な大きい変動、または振幅を生じさせる。したがって、各ピクセルについて、各ピクセルに焦点が合わせられる、焦点面の個々の設定を識別することが可能である。使用される光学システムの知識を使用することによって、個々のピクセル基準で、コントラスト情報対焦点面の位置を3D表面情報に変換することが可能である。
【0018】
したがって、本発明の一実施形態では、焦点位置は、焦点面の範囲に対する複数のセンサ要素の各々の光振動振幅を決定することによって計算される。
【0019】
静的パターンでは、焦点面の異なる位置で多数の2D画像を収集することによって、単一の副走査を取得することができる。焦点面が走査表面と一致する際、パターンは、高コントラストを伴って、焦点が合っている表面点上に投影される。高コントラストは、対象物の表面上に、静的パターンの大きい空間的変動を生じさせ、それによって、隣接するピクセルの群にわたるピクセル値の大きい変動、または振幅を提供する。したがって、ピクセルの各群について、ピクセルの各群に焦点が合わせられる焦点面の個々の設定を識別することが可能である。使用される光学システムの知識を使用することによって、個々のピクセル群基準で、コントラスト情報対焦点面の位置を3D表面情報に変換することが可能である。
【0020】
したがって、本発明の一実施形態では、焦点面の範囲に対するセンサ要素の複数の群の各々の光振動振幅を決定することによって、焦点位置が計算される。
【0021】
画像データの2Dから3Dへの変換は、当該技術分野において既知の多数の方法で実施することができる。すなわち、異なる焦点面の範囲の光振幅を記録するときに、カメラのセンサアレイ内の各センサ要素またはセンサ要素の各群の最大光振動振幅に対応する面を求めることによって、探査対象物の3D表面構造を決定することができる。好ましくは、焦点面は、走査領域の一方の端部から他方の端部まで、等しい段階で調整される。好ましくは、焦点面は、少なくとも走査されている対象物の表面と一致するのに十分に大きい範囲内で移動させることができる。
【0022】
本発明は、本発明の実施形態では、時変パターンを使用し、入力画像が2つの照射プロファイルに限定されず、パターンの任意の照射プロファイルから取得することができるため、国際公開第2008/125605号とは異なる。これは、基準画像の配向が所定の較正に完全に依存せず、むしろ、入力画像獲得の具体的な時間に依存するためである。したがって、国際公開第2008/125605号は、いずれかの側から照射され、反対側が反射する際に、ガラス上クロムマスクによって物理的に実現される、明確に厳密に2つのパターンを適用する。したがって、国際公開第2008/125605号は、可動部品を使用しないという利点を有するが、比較的低い信号対ノイズ比という欠点を有する。本発明には、任意の数のパターン構成の使用の実現性があり、これは、光振動振幅または相関測度の計算をより正確なものにする。
【0023】
(定義)
パターン:外側面内に埋め込まれた空間構造を備える光信号。また、「照射パターン」と称される場合もある。
時変パターン:時間的に変動する、すなわち、埋め込まれた空間構造が時間的に変動する、パターン。また、「時変照射パターン」と称される場合もある。以下では、「フリンジ」とも称される。
静的パターン:時間的に変動しないパターン、例えば、静的市松模様パターンまたは静的線状パターン。
パターン構成:パターンの状態。特定の時間でのパターン構成の知識とは、その時間での照射の空間構造を知ることを意味する。周期的パターンでは、パターン構成は、パターン位相の情報を含む。走査されている対象物の表面要素がカメラ上に結像される場合、パターン構成の知識は、パターンのどの部分が表面要素を照射しているかの知識を意味する。
焦点面:パターンから発光される光線が走査されている対象物上に画像を形成するように集光する表面。焦点面は、平らである必要はない。これは、曲面であってもよい。
光学システム:光を伝送する、平行化する、および/または結像する、例えば、プローブ光を対象物に向かって伝送する、対象物上および/または対象物内にパターンを結像する、対象物または対象物の少なくとも一部をカメラ上に結像する、光学構成要素、例えば、レンズの配設。
光軸:光ビームの伝播によって画定される軸。光軸は、好ましくは、直線である。本発明の好ましい実施形態では、光軸は、複数の光学構成要素の構成、例えば、光学システム内のレンズの構成によって画定される。例えば、1つの光学システムがプローブ光を対象物に伝送し、別の光学システムが対象物をカメラ上に結像する場合、2つ以上の光軸が存在し得る。しかし、好ましくは、光軸は、パターンを対象物上に伝送し、対象物をカメラ上に結像する、光学システム内の光の伝播によって画定される。光軸は、多くの場合、スキャナの長手方向軸と一致する。
光学経路:光源からカメラへの光の伝播によって画定される経路。したがって、光学経路の一部は、好ましくは、光軸と一致する。光軸が、好ましくは直線である一方で、光学経路は、例えばビームスプリッタ、鏡、光ファイバ、および同等物を用いて、例えば、光が反射される、散乱される、屈曲される、分割される、および/または同様に提供されるときに、非直線であってもよい。
テレセントリックシステム:主光線が光学システムの光軸に対して平行になるように結像を提供する光学システム。テレセントリックシステムでは、焦点外点は、焦点が合っている点と実質的に同一の拡大を有する。これは、データ処理における利点を提供し得る。完全にテレセントリックな光学システムは達成することが困難であるが、しかしながら、実質的にテレセントリックまたは近テレセントリックである光学システムは、綿密な光学設計によってもたらされ得る。したがって、テレセントリック光学システムに言及するとき、近テレセントリックのみであり得ることが理解される。
走査長さ:視界の横方向寸法。プローブ先端(すなわち、走査ヘッド)が、プローブ光を、光軸に対して垂直等の異なる方向に方向付ける折畳み式光学素子を備える場合、走査長さは、光軸に対して平行な横方向寸法である。
走査対象物:走査される対象物であり、スキャナは、その表面上の情報を提供する。「走査対象物」は、単に「対象物」と称される場合がある。
カメラ:結像センサ上に入力される光に応答する複数のセンサを備える、結像センサ。センサは、好ましくは、横列および縦列の2Dアレイと整列している。
入力信号:カメラ内のセンサからの光入力信号またはセンサ入力信号。これは、暴露時間中にセンサ上に入射する光の積分強度またはセンサの積分となり得る。一般に、これは、画像内のピクセル値に変換される。また、「センサ信号」と称される場合もある。
基準信号:パターンから得られる信号。基準信号はまた、加重関数もしくは加重ベクトルまたは基準ベクトルと示される場合もある。
相関測度:基準信号と入力信号との間の相関の程度の測度。好ましくは、相関測度は、基準信号および入力信号が相互に線形関係の場合、相関測度が、それらがそうではない場合より大きい振幅を取得するように定義される。場合によっては、相関測度は、光振動振幅である。
画像:値の2Dアレイとして見ることができる画像(デジタルカメラを用いて取得される時)、または光学では、画像は、結像表面上の1点から現れる光線が、画像表面上の1点に実質的に集光するという、結像表面と画像表面との間の関係が存在することを示唆する。
強度:光学では、強度は、単位面積当たりの光パワーの測度である。複数の個々の感知要素を備えるカメラを用いた画像記録では、強度は、個々の感知要素上に記録される光信号を称するために使用される場合がある。この場合、強度は、画像記録に有する暴露時間にわたる、感知要素上の単位面積当たりの光パワーの時間積分を表す。
【0024】
(数学的表記)
A 加重関数と記録された光信号との間の相関測度。これは、光振動振幅であってもよい。
I 光入力信号またはセンサ入力信号。これは、暴露時間中にセンサ上に入射する光の積分強度またはセンサの積分となり得る。一般に、画像内のピクセル値に変換される。
f 基準信号。また、加重値と呼ばれる場合もある。
n 相関測度を計算するために使用される、カメラセンサおよび/またはいくつかのカメラセンサを用いた測定値の数。
H ピクセル数での画像高さ。
W ピクセル数での画像幅。
【0025】
記号もまた、必要に応じてテキスト中に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、本発明によるデバイスの第1の例示的実施形態の概略提示である。
【図2】図2は、本発明によるデバイスの第2の例示的実施形態(光相関)の概略提示である。
【図3−1】図3は、本発明によるパターンの例示的実施形態の概略提示である。
【図3−2】図3は、本発明によるパターンの例示的実施形態の概略提示である。
【図4】図4は、複数の(ダイクロイック)鏡および光源を使用する、大きい走査長さを有する、平らな走査先端の第1の例示的実施形態の概略提示である。
【0027】
(図5は削除)。
【図6】図6は、湾曲鏡を使用する、大きい走査長さを有する、平らな走査先端の第3の例示的実施形態の概略提示である。
【図7】図7は、回折格子を使用する、大きい走査長さを有する、平らな走査先端の第4の例示的実施形態の概略提示である。
【図8】図8は、質量平衡化焦点レンズスキャナの例示的実施形態の概略提示である。
【図9】図9は、表面形状および色の同時走査のためのデバイスの例示的実施形態の概略提示である。
【図12】図12は、ヒトの耳の外部の少なくとも一部および/またはヒトの耳の耳道の一部を走査するためのデバイスの例示的実施形態の概略提示である。
【図13】図13(a)および(b)は、スキャナ実施形態を、耳の外側および内側の両方の各々を走査するために、どのように使用することができるかを示す、概略図である。
【図14】図14は、ヒトの耳等の狭い体腔を走査するために使用される、スキャナプローブ実施形態の概略図である。
【図15】図15は、スキャナプローブとともに使用される鏡構成の実施例である。
【図16】図16は、理想的な光学システムにおける、市松模様パターンのピクセル当たりの基準信号値/加重値の概略表現である。
【図17】図17は、画像として視覚化される、融合基準信号を生成するプロセスの図示である。
【図18】図18は、上がヒトの歯を示す、投影されたパターンを有する例示的画像であり、下が、上部分の図でフレーム化されたピクセルの群での、焦点レンズ位置の範囲についての相関測度である。
【図19】図19は、口腔内風景の例示的融合相関測度画像である。
【図20】図20は、ピストル様のグリップおよび取り外し可能な先端を有する、手持ち式口腔内スキャナの実施例である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
スキャナは、好ましくは、光学経路内に位置する少なくとも1つのビームスプリッタを備える。例えば、対象物の画像は、ビームスプリッタを用いて、カメラ内に形成されてもよい。ビームスプリッタの例示的な使用法が図中に図示される。
【0029】
本発明の好ましい実施形態では、光は、レンズシステムを備える光学システム内を伝送される。このレンズシステムは、パターンを対象物に向かって伝送し、対象物からカメラに反射される光を結像し得る。
【0030】
テレセントリック光学システムでは、焦点外点は、焦点が合っている点と同一の拡大を有する。したがって、テレセントリック投影は、獲得された2D画像の3D画像へのデータマッピングを大幅に容易にすることができる。したがって、本発明の好ましい実施形態では、光学システムは、探査対象物の空間内で、実質的にテレセントリックである。光学システムはまた、パターンおよびカメラの空間内でも、テレセントリックであってもよい。
【0031】
(焦点の変動)
本発明の要所は、スキャナを走査されている対象物に対して移動させることのない、焦点面の変動、すなわち、走査である。好ましくは、焦点面は、周期的に連続して変動させられる等、変動させられ得、一方で、パターン生成手段、カメラ、光学システム、および走査されている対象物は、相互に対して固定される。さらに、3D表面獲得時間は、プローブと歯との間の相対移動の影響を低減する、例えば、振盪の効果を低減することに十分に小さくなるべきである。本発明の好ましい実施形態では、焦点面は、少なくとも1つの焦点要素を用いて変動させられる。好ましくは、焦点面は、所定の周波数によって周期的に変動させられる。周波数は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9Hz等または少なくとも10Hz等、少なくとも20、40、60、80Hzまたは少なくとも100Hz等の、少なくとも1Hzであってもよい。
【0032】
好ましくは、焦点要素は、光学システムの一部である。すなわち、焦点要素は、レンズシステム内のレンズであってもよい。好ましい実施形態は、焦点要素位置を調整し、制御するための、並進ステージ等の手段を備える。このように、焦点面は、例えば、焦点要素を光軸に沿って前後に並進させることによって、変動させられてもよい。
【0033】
焦点要素が数Hzの周波数によって並進させられる場合、これは、スキャナの不安定性をもたらす場合がある。したがって、本発明の好ましい実施形態は、焦点要素調整システムからの振動および/または振盪を低減および/または排除し、それによって、スキャナの安定性を増大させる手段を備える。これは、少なくとも一部において、例えば、カウンターウェイトを焦点要素の移動と反対に並進させることによって、焦点要素の移動を実質的に平衡させるカウンターウェイト等、焦点要素調整システムの質量中心を固定および/または維持する手段によって提供されてもよい。操作の容易さは、カウンターウェイトおよび焦点要素が接続され、同一の並進手段によって駆動される場合に達成され得る。しかしながら、これは、実質的に振動を第1次に低減するだけである場合がある。カウンターウェイト平衡化デバイスがカウンターウェイト平衡化軸の周りを回転させられる場合、カウンターウェイトによってもたらされる回転力に関連する問題が存在する場合がある。したがって、本発明のさらなる実施形態は、焦点要素調整システムからの第1次、第2次、第3次、および/またはより高次の振動および/または振盪を低減および/または排除し、それによってスキャナの安定性を増大させる手段を備える。
【0034】
本発明の別の実施形態では、焦点面を偏移させるために、2つ以上の光学要素が移動させられる。その実施形態では、これらの要素は、ともに移動させられること、および要素は、物理的に隣接していることが望ましい。
【0035】
本発明の好ましい実施形態では、光学システムは、全ての焦点面位置に対して、テレセントリック、または近テレセントリックである。したがって、光学システム内の1つ以上のレンズが、焦点面位置を変化させるために前後に偏移されるにも関わらず、光学システムのテレセントリシティが維持され得る。
【0036】
本発明の好ましい実施形態は、焦点ギアリングを備える。焦点ギアリングは、レンズの移動と焦点面位置の移動との間の相関である。例えば、2の焦点ギアリングは、1mmの焦点要素の並進が、2mmの焦点面位置の並進に対応することを意味する。焦点ギアリングは、光学システムの好適な設計によって提供することができる。焦点ギアリングの利点は、焦点要素の小さい移動が、焦点面位置の大きい変動に対応し得るということである。本発明の具体的な実施形態では、焦点ギアリングは、0.1と1との間等、1と10との間等、2と8との間等、3と6との間等、少なくとも10等、少なくとも20等の、0.1と100との間である。
【0037】
本発明の別の実施形態では、焦点要素は、液体レンズである。液体レンズは、いかなる可動部品も使用することなく、焦点面を制御することができる。
【0038】
(カメラ)
カメラは、センサ要素(ピクセル)のライン毎に1つのA/Dコンバータを有する標準CCDまたはCMOSチップを収容する標準デジタルカメラであってもよい。しかしながら、フレームレートを上げるために、本発明によるスキャナは、ピクセルのライン毎に複数のA/Dコンバータを収容する、例えば、ピクセルのライン毎に少なくとも2、4、8、または16のA/Dコンバータを収容する高速カメラを備えてもよい。
【0039】
(パターン)
本発明の別の主要な要素は、走査されている対象物上に投影される、埋め込まれたパターンを有するプローブ光である。パターンは、静的であっても時変であってもよい。時変パターンは、対象物上および/または対象物内の光および暗所の変動を提供し得る。具体的には、焦点面が固定されている間、パターンが時間的に変動させられるとき、対象物上の焦点領域は、光および暗所の振動パターンを示す。焦点外領域は、光振動のより小さいコントラストを示すか、またはコントラストを示さない。静的パターンは、対象物上および/または対象物内に、光および暗所の空間的変動を提供し得る。具体的には、焦点領域は、空間中に光および暗所の振動パターンを示す。焦点外領域は、空間的光振動のより小さいコントラストを示すか、またはコントラストを示さない。
【0040】
光は、外部光源から提供されてもよいが、しかしながら、好ましくは、スキャナは、少なくとも1つの光源と、パターンを作り出すパターン生成手段とを備える。パターンのマスクされていない部分における強度が空間中で可能な限り均一に近くなるように光源を設計することが、信号対ノイズ比の観点から有利である。別の実施形態では、光源およびパターン生成手段は、セグメント化LED等の単一の構成要素内に組み込まれる。セグメント化LEDは、静的パターンを提供してもよく、および/またはそれ自体が、異なるセグメントを順にオンおよびオフにすることによって、時変パターンを提供してもよい。本発明の一実施形態では、時変パターンは、時間的に周期的に変動する。本発明の別の実施形態では、静的パターンは、空間中で周期的に変動する。
【0041】
光源(外部または内部)からの光は、パターン生成手段を通して伝送され、それによって、パターンを生成してもよい。例えば、パターン生成手段は、少なくとも1つの半透明および/または透明パターン要素を備える。時変パターンを生成するために、不透明マスクを有するホイールを使用することができる。例えば、マスクは、好ましくは対称な順序に配設された複数の放射状スポークを備える。スキャナはまた、パターン要素を回転および/または並進させる手段も備えてもよい。静的パターンを生成するために、不透明マスクを有するガラス板を使用することができる。例えば、マスクは、線状パターンまたは市松模様パターンを備える。一般に、マスクは、好ましくは、回転および/または並進周期性を保有する。パターン要素は、光学経路内に位置する。したがって、光源からの光は、パターン要素を通して伝送されてもよい、例えば、パターン要素を通して横方向に伝送されてもよい。したがって、時変パターンは、パターン要素を回転および/または並進させることによって生成することができる。静的パターンを生成するパターン要素は、走査中に移動させる必要がない。
【0042】
(相関)
本発明の1つの目的は、短い走査時間およびリアルタイム処理を提供すること、例えば、歯列形状全体の高速走査を行えるように、スキャナのオペレータにライブフィードバックを提供することである。しかしながら、リアルタイムの高解像度3D走査は、膨大な量のデータを作成する。したがって、例えば、カート、ワークステーション、またはディスプレイへのデータ転送率を減少させるために、データ処理は、スキャナ筐体内、すなわち、光学構成要素の近くに提供されなければならない。データ処理時間を迅速化するため、および最適な信号対ノイズ比で焦点情報を抽出するために、種々の相関技術が組み込まれてもよい/実装されてもよい。これは、焦点外情報を判別するために、例えば、カメラ電子機器内に実装されてもよい。パターンは、埋め込まれた空間構造を有する照射を走査されている対象物上に提供するように適用される。焦点情報を決定するステップは、パターン自体(基準信号と称する)の変動を用いて、この空間的に構造化された光信号(入力信号と称する)の相関測度を計算するステップを有する。一般に、入力信号が基準信号と一致する場合、相関測度の振幅は高い。入力信号が小さい変動を示すか、または変動を示さない場合、相関測度の振幅は低い。入力信号が大きい空間的変動を示すが、この変動が基準信号の変動とは異なる場合、相関測度の振幅は同様に低い。本発明のさらなる実施形態では、スキャナおよび/またはスキャナヘッドは、無線であってもよく、それによって、スキャナの取り扱いおよび操作が簡単化され、困難な操作状況下、例えば、口腔内または耳内走査での接近性が改善される。しかしながら、無線操作は、生の3Dデータの無線転送を回避するために、局所データ処理の必要性をさらに増大させる可能性がある。
【0043】
基準信号は、パターン生成手段によって提供され、周期的であってもよい。入力信号の変動は、周期的であってもよく、1周期または数周期に制限されてもよい。基準信号は、入力信号とは無関係に決定されてもよい。具体的には、周期的変動の場合、振動入力信号と基準信号との間の位相は、入力信号とは無関係に既知である場合がある。周期的変動の場合、相関は、一般的に、変動の振幅に関連する。振動入力信号と基準信号との間の位相が未知の場合、入力信号の変動の振幅を決定することができる前に、入力信号の余弦部分および正弦部分の両方を決定する必要がある。位相が既知であるとき、これは不要である。
【0044】
測定値の離散集合を用いて相関測度を数学的に定義する1つの方法は、n>1要素である、センサ信号を表す信号ベクトル
【0045】
【化1】

、および基準加重の信号ベクトルと同一の長さの基準ベクトル
【0046】
【化2】

から計算される、ドット積として定義することである。その結果、相関測度Aは、以下によって与えられる。
【0047】
【数1】

信号ベクトル内の要素の指数は、異なる時間に、および/または異なるセンサで記録されたセンサ信号を表す。連続測定の場合、上記の表現は、総和の代わりに積分を有するように、容易に一般化される。その場合、積分パラメータは、時間および/または1つ以上の空間座標である。
【0048】
好ましい実施形態は、相関信号または相関測度のDC部分を除去すること、すなわち、基準ベクトル要素の合計がゼロ
【0049】
【化3】

であるときである。焦点位置は、焦点要素位置全体にわたって計算される相関測度の極値として求めることができる。この場合、相関測度は、2つの変数の間の標本ピアソン相関係数に比例することに留意する。DC部分が除去されない場合、全ての焦点要素位置にわたって、DC信号の傾向が存在してもよく、この傾向は、数値的に支配する可能性がある。この状況では、焦点位置は、好ましくは傾向除去の後に、相関測度および/またはその導関数のうちの1つ以上の分析によって、依然として求められてもよい。
【0050】
好ましくは、全体的極値が見出されるべきである。しかしながら、光学システム上の汚れ等のアーチファクトは、偽の全体的極値をもたらす可能性がある。したがって、場合によっては、局所極値を求めることが望ましい可能性がある。走査されている対象物が十分に半透明である場合、内面、またはそうでなければ閉鎖されている表面部分を識別することが可能であり得る。そのような場合、表面に対応する、いくつかの局所極値が存在し得、これは、いくつかまたは全ての極値を処理するのに有利であり得る。
【0051】
一般的に、相関測度は、デジタル画像、すなわち、有限数の離散ピクセルを有する画像として入手可能な入力信号に基づいて計算することができる。したがって、便利に、画像ピクセルまたはその群に対して、相関測度を取得するための計算を実施することができる。次いで、相関測度を擬似画像として視覚化することができる。
【0052】
本発明で適用される相関測度は、入力信号が基準信号で乗算され、指定時間にわたって積分される、ロックイン増幅器の原理に着想を得る。本発明では、基準信号は、パターンによって提供される。
【0053】
(時間的相関)
時間的相関は、時変パターンに関係する。カメラ内の個々の光感知要素内の光信号は、パターン構成が変動させられている間に数回記録される。したがって、相関測度は、少なくとも、異なる時間に記録されたセンサ信号を用いて計算される。
【0054】
周期的に変動する光信号における光振動振幅を推定するための原理は、振幅が、最初に光強度振動の余弦および正弦部分を推定することによって計算される、国際公開第98/45745号に教示されている。しかしながら、振幅を計算できるようにするために、2つのパラメータが推定されるため、統計的観点から、これは最適ではない。
【0055】
本発明の本実施形態では、各光信号記録でのパターン構成の独立した知識は、各光感知要素での相関測度を計算することを可能にする。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態では、スキャナは、パターン構成の知識を取得する手段を備える。そのような知識を提供するために、スキャナは、好ましくは、時変パターンを登録および/または監視する手段をさらに備える。
【0057】
カメラ内の各個々の光感知要素、すなわち、センサ要素は、対象物を照射する光の変動に対応する光信号の変動を見る。
【0058】
本発明の一実施形態は、パターン要素を並進および/または回転させることによって、パターンの時間変動を取得する。この場合、パターン構成は、パターン要素上の位置エンコーダを用いて、個々の感知要素にわたってパターン変動を生じさせるパターン幾何学的形状の事前知識と組み合わせて、取得されてもよい。したがって、パターン構成の知識は、異なる感知要素にわたる変動をもたらすパターン幾何学的形状の知識、ならびに3D走査中のパターン登録および/または監視の組み合わせとして生じる。パターン要素としてホイールを回転させる場合、ホイールの角度位置は、例えば、周縁部上に搭載されたエンコーダによって取得されてもよい。
【0059】
本発明の一実施形態は、並進および/または回転の周期性を保有するパターンを有する。本実施形態では、パターンが実質的に一定速度で並進および/または回転させられる場合、明確なパターン振動周期が存在する。
【0060】
本発明の一実施形態は、複数のセンサ要素の各々を、1回のパターン振動周期中に複数回サンプリングするか、好ましくは、各パターン振動周期中に2回、3回、4回、5回、6回、7回、または8回サンプリングする等、整数回サンプリングされ、それによって、1周期中の光変動を決定する手段を備える。
【0061】
光変動とパターンとの間の時間的相関測度は、1振動周期中(または少なくとも1振動周期中)に、カメラ上でいくつかの画像を記録することによって取得することができる。1振動周期中に記録される画像の数は、nと示される。全ての感知要素にわたって独立して既知のパターン変動と組み合わされた、各個々の画像についてのパターン位置の登録(すなわち、パターン構成の知識を取得すること)、および記録された画像は、カメラ内の各個々の感知要素における相関測度の効率的な抽出を可能にする。標識jを有する光感知要素では、その要素のn個の記録された光信号は、I1,j、...、In,jと示される。その要素の相関測度Aは、次式のように表現されてもよい。
【0062】
【数2】

ここで、パターン構成の知識から基準信号または加重関数fが取得され、fは、2つの指数i、jを有する。第1の指数を有するfの変動は、各画像記録中のパターン位置の知識から導出される。第2の指数を有するfの変動は、3D走査の前に決定されてもよい、パターン幾何学的形状の知識から導出される。
【0063】
好ましくは、光変動または相関測度のDC部分を抑制するために、基準信号fは、経時的に平均してゼロになる、すなわち、全てのjについて、次式の
【0064】
【数3】

であるが、必ずしもその必要はない。カメラ内の単一のセンサ要素の対象物上に焦点が合わされているパターンに対応する焦点位置は、焦点位置が値の範囲にわたって変動させられるとき、そのセンサ要素の相関測度の極値によって与えられる。焦点位置は、走査領域の一方の端部から他方の端部まで、等しい段階で変動させられてもよい。
【0065】
カメラを用いて対象物の鮮明な画像を取得するために、対象物に焦点が合わせられなければならず、カメラの光学素子と対象物とは、カメラの画像センサの暴露時間の間、固定した空間関係になければならない。本発明に適用される際、これは、パターンおよび焦点が、カメラ内でサンプリングされる各画像に対して、パターンおよび焦点を固定することができるように、すなわち、センサアレイの暴露時間中固定されるように、離散段階で変動させられるべきであることを示唆するべきである。しかしながら、画像データの感度を増大させるために、センサアレイの暴露時間を、センサフレームレートが許す限り長くするべきである。したがって、本発明の好ましい実施形態では、画像は、パターンが連続して変動しており(例えば、パターンホイールを連続して回転させることによって)、焦点面が連続して移動させられている間に、カメラ内に記録される(サンプリングされる)。これは、個々の画像は、それらが、パターンが変動しており、焦点面が移動させられている間の画像の時間積分の結果であるため、わずかにぼけていることを示唆する。これは、データ品質の劣化をもたらすと予測され得るものではあるが、実際には、パターンおよび焦点面の同時変動の利点は、欠点よりも大きい。
【0066】
本発明の別の実施形態では、画像は、パターンが固定されており、焦点面が連続して移動させられている、すなわち、パターンの移動がない間に、カメラ内で記録される(サンプリングされる)。これは、光源が、適切に点滅するセグメントLED等のセグメント化光源である場合であってもよい。本実施形態では、パターンの知識は、光感知要素にわたる変動を生じさせるセグメント化LED上の個々のセグメントの幾何学的形状の事前知識、および各記録時にLEDの異なるセグメントに印加される電流の組み合わせによって取得される。
【0067】
本発明のさらに別の実施形態では、画像は、パターンが連続して変動しており、焦点面が固定されている間に、カメラ内に記録される(サンプリングされる)。
【0068】
本発明のさらに別の実施形態では、画像は、パターンおよび焦点面が固定されている間に、カメラ内で記録される(サンプリングされる)。
【0069】
時間的相関原理は、画像分析において一般に適用され得る。したがって、本発明のさらなる実施形態は、少なくとも1つの(光電)光高感度要素における、光強度振動の振幅を計算するための方法に関し、光強度振動は、周期的に変動する照射パターンによって生成され、振幅は、少なくとも1パターン振動周期内で計算され、方法は、
− 以下の、
○ 光高感度要素をサンプリングし、それによって、光高感度要素の信号を提供するステップ、および
○ サンプリングの周期的に変動する照射パターンの角度位置および/または位相を提供するステップをパターン振動周期中に所定の数のサンプリング回数提供するステップと、
− 所定の周期関数と対応する光高感度要素の信号との積を所定の数のサンプリング回数にわたって積分することによって、振幅(単数または複数)を計算するステップであって、周期関数は、周期的に変動する照射パターンの角度位置および/または位相の関数である、ステップと
を含む。
【0070】
これはまた、次式のようにも表現されてもよく、
【0071】
【数4】

ここで、Aは、計算される振幅または相関測度であり、iは、各サンプリングの指数であり、fは、周期関数であり、pは、サンプリングiの照射パターンの角度位置/位相であり、Iは、サンプリングiの光高感度要素の信号である。好ましくは、周期関数は、パターン振動周期にわたって平均してゼロになる、すなわち、次式のようである。
【0072】
【数5】

原理を、例えば、センサアレイ内の複数の光高感度要素に対して一般化するために、特定の光高感度要素に対する照射パターンの角度位置/位相は、照射パターンに関連付けられる角度位置/位相に、特定の光高感度要素に関連付けられる一定のオフセットを加えたものから成る。それによって、光高感度要素jにおける光振動の相関測度または振幅は、次式のように表現されてもよく、
【0073】
【数6】

ここで、θは、光高感度要素jについての一定のオフセットである。
【0074】
周期的に変動する照射パターンは、対称な順序に配設される複数の放射状スポークを備える不透明マスクを有するホイールを回転させることによって生成されてもよい。それによって、ホイールの角度位置は、パターンの角度位置に対応し、この角度位置は、ホイールの周縁部上に搭載されるエンコーダによって取得されてもよい。パターンの異なる位置に対する異なるセンサ要素にわたるパターン変動は、較正ルーチンにおいて、3D走査の前に決定されてもよい。このパターン変動の知識およびパターン位置の組み合わせは、パターン構成の知識を構成する。このパターンの周期は、例えば、2つのスポーク間の時間であってもよく、この周期の単一または複数の光高感度要素の振幅は、例えば、この周期内で4回サンプリングすることによって計算されてもよい。
【0075】
周期的に変動する照射パターンは、線に対して直角に移動するロンチルーリングによって生成されてもよく、位置は、エンコーダによって測定される。この位置は、生成されるパターンの角度位置に対応する。代替として、市松模様パターンを使用することができる。
【0076】
周期的に変動する照射パターンは、線のように制御することができる、LEDの1次元アレイによって生成されてもよい。
【0077】
変動照射パターンは、LCDまたはDLP系投影器によって生成されてもよい。
【0078】
(光相関)
上述の相関原理(時間的相関)は、時変パターン、例えば、カメラ内に記録している各光レベルでのパターン構成の知識のある種の登録を必要とする。しかしながら、本発明の別の実施形態では、この登録のない相関原理が提供され得る。この原理は、「光相関」と称される。
【0079】
本発明の本実施形態では、パターン自体の画像、およびその上に投影されるパターンを有する、走査されている対象物の少なくとも一部の画像は、カメラ上で組み合わされる。すなわち、カメラ上の画像は、パターン自体、およびその上に投影されるパターンを有する、探査されている対象物の重畳である。これを異なる方法で表現すると、カメラ上の画像は、実質的に、対象物の上に投影されるパターンの画像のパターン自体との乗算であると表現される。
【0080】
これは、以下の方法で提供されてもよい。本発明のさらなる実施形態では、パターン生成手段は、不透明マスクを有する透明パターン要素を備える。プローブ光は、パターン要素を通して伝送され、好ましくは、パターン要素を通して横方向に伝送される。走査されている対象物から戻される光は、パターン要素を通して反対に再伝送され、カメラ上で結像される。これは、好ましくは、対象物を照射するパターンの画像およびパターン自体の画像が、両方がカメラ上で結像されるときに、一致するように行われる。パターンの1つの特定の実施例は、パターンが回転周期性を保有するように、対称な順序に配設される複数の放射状スポークを備える不透明マスクを有する、回転ホイールである。本実施形態では、パターンが実質的に一定速度で回転される場合、明確なパターン振動周期が存在する。振動周期を2π/ωと定義する。
【0081】
本発明の記載される実施形態では、照射パターンは、光および暗所のパターンであることに留意する。標識jを有する、カメラ積分時間δt中の積分光強度に比例する信号を有する、カメラ内の光感知要素Iは、次式の
【0082】
【数7】

によって与えられる。
【0083】
ここで、Kは、センサ信号の比例定数であり、tは、カメラ積分時間の開始であり、Tは、j番目の光感知要素上で結像される回転パターン要素の部分の時変転送であり、Sは、走査された対象物から戻り、j番目の光感知要素上で結像される光の時変光強度である。記載される実施形態では、Tは、実質的に、sin(ωt+φ)>0ではT(t)=0、およびそれ以外ではT(t)=1で定義される階段関数である。φは、j番目の結像センサの位置に依存する位相である。
【0084】
光感知要素上の信号は、パターンおよび走査されている対象物から戻される光の相関測度である。時変転送は、基準信号の役割を果たし、走査された対象物から戻される光の時変光強度は、入力信号の役割を果たす。本発明の本実施形態の利点は、相関測度を直接記録するために、これが感知要素上の強度として現れるため、強度感知要素を有する通常のCCDまたはCMOSカメラが使用されてもよいということである。これを別の方法で表現すると、相関測度の計算は、FPGAまたはPC等の電子ドメイン内で行われる代わりに、アナログの光学ドメイン内で行われる。
【0085】
次いで、カメラ内の単一のセンサ要素についての走査されている対象物上に焦点が合わせられているパターンに対応する焦点位置は、焦点位置が値の範囲にわたって変動させられる時、そのセンサ要素を用いて記録された相関測度の最大値によって与えられる。焦点位置は、走査領域の一方の端部から他方の端部まで、等しい段階で変動させられてもよい。本発明の一実施形態は、焦点面位置の範囲にわたって、複数のセンサ要素の各々を記録および/または積分および/または監視および/または記憶する手段を備える。
【0086】
好ましくは、全体的最大が見出されるべきである。しかしながら、光学システム上の汚れ等のアーチファクトは、偽りの全体的最大をもたらす可能性がある。したがって、場合によっては、局所最大を求めることが望ましい可能性がある。
【0087】
基準信号は、平均してゼロにはならないので、相関測度は、DC成分を有する。DC部分は除去されないため、全ての焦点要素位置にわたって、DC信号の傾向が存在してもよく、この傾向は、数値的に支配する可能性がある。この状況では、焦点位置は、相関測度および/またはその導関数のうちの1つ以上の分析によって依然として求められてもよい。
【0088】
本発明のさらなる実施形態では、カメラ積分時間は、パターン振動周期の整数M倍である、すなわち、δt=2πM/ωである。本実施形態の1つの利点は、ノイズの存在下で、相関測度の振幅をカメラ積分時間がパターン振動周期の整数倍ではない場合より優れた信号対ノイズ比で測定することができるということである。
【0089】
本発明の別のさらなる実施形態では、カメラ積分時間は、パターン振動周期より大幅に長い、すなわち、δt>>2πM/ωである。パターン振動時間の多数倍とは、ここでは、例えば、振動時間の少なくとも10倍、またはより好ましくは振動時間の少なくとも100倍もしくは1000倍等を意味する。本実施形態の1つの利点は、パターン振動時間と比較して非常に長いカメラ積分時間の場合、記録される相関測度は、正確な同期化から実質的に独立しているため、カメラ積分時間およびパターン振動時間の同期化の必要がないことである。
【0090】
時間的相関原理と同等に、光相関原理は、画像分析内で一般に適用され得る。したがって、本発明のさらなる実施形態は、少なくとも1つの(光電)光高感度要素における光強度振動の振幅を計算するための方法に関し、光強度振動は、変動照射パターンのそれ自体との重畳によって生成され、振幅は、少なくとも1つの光高感度要素からの信号を、複数のパターン振動周期にわたって時間積分することによって計算される。
【0091】
(空間的相関)
上述の相関原理(時間的相関および光相関)は、パターンを時間的に変動させる必要がある。光学システムおよびカメラが、対象物の走査に必要とされる横方向解像度の少なくとも2倍の横方向解像度を提供する場合、静的パターン、すなわち、時間的に変化しないパターンを用いて走査することが可能である。この原理は、「空間的相関」と称される。したがって、相関測度は、少なくとも、異なるセンサ部位で記録されるセンサ信号を用いて計算される。
【0092】
光学システムの横方向解像度は、光学システム内の光学要素、例えば、レンズシステムの、最大で特定の点までの走査されている対象物上の空間周波数を結像する能力と理解される。光学システムにおける空間周波数の結像を説明するために、一般的に、光学システムの変調転送曲線が使用される。例えば、光学システムの解像度を、変調転送曲線が、例えば50%に減少する、走査されている対象物上の空間周波数と定義することができる。カメラの解像度は、個々のカメラセンサ要素の間隔および光学システムの解像度の組み合わせた効果である。
【0093】
空間的相関では、相関測度は、時間的というよりはむしろ空間的に生じる、入力信号と基準信号との間の相関を指す。したがって、本発明の一実施形態では、測定される3D幾何学的形状の解像度は、カメラの解像度に等しい。しかしながら、空間的相関では、測定される3D幾何学的形状の解像度は、少なくとも10倍低い等、少なくとも5倍低い等、少なくとも4倍低い等、少なくとも3倍低い等、少なくとも2倍低い等の、カメラの解像度よりも低い。センサ要素アレイは、好ましくは、センサ要素の群、好ましくは、センサ要素、好ましくは隣接するセンサ要素の正方形の群等の長方形の群に分割される。したがって、走査の解像度、すなわち、測定される3D幾何学的形状は、センサ要素のこれらの群のサイズによって決定される。光信号の振動が、センサ要素のこれらの群の中に提供され、次いで、光振動の振幅が、センサ要素の群を分析することによって取得されてもよい。センサ要素アレイの群への分割は、好ましくは、データ処理段階で提供される、すなわち、分割は、物理的分割ではなく、それによって、特別に適合されたセンサアレイを必要とする可能性がある。したがって、群内の単一のピクセルが実際の物理的ピクセルであるにも関わらず、群への分割は、「仮想的」である。
【0094】
本発明の一実施形態では、パターンは、少なくとも1つの空間座標に沿った、並進周期性を保有する。本発明のさらなる実施形態では、空間周期パターンは、センサ要素のアレイの横列および/または縦列と整列している。例えば、静的線状パターンの場合、カメラ内のピクセルの横列または縦列は、パターンの線と平行であってもよい。または静的市松模様パターンの場合、市松模様の横列および縦列は、カメラ内のピクセルの横列および縦列の各々と整列してもよい。整列していることによって、カメラ上へのパターンの画像が、カメラのセンサアレイ内のセンサ要素の「パターン」と整列していることが意味される。したがって、パターン生成手段およびカメラの特定の物理的位置ならびに配向は、パターンがカメラのセンサアレイと整列しているようにするための、スキャナの光学構成要素の特定の構成を要求する。
【0095】
本発明のさらなる実施形態では、パターンの少なくとも1つの空間周期が、センサ要素の群に対応する。本発明のさらなる実施形態では、センサ要素の全ての群は、同一の数の要素を含有し、同一の形状を有する。例えば、市松模様パターンの周期が、カメラ上の例えば2×2、3×3、4×4、5×5、6×6、7×7、8×8、9×9、10×10、またはより多くのピクセルに対応するときである。
【0096】
さらに別の実施形態では、パターンの1つ以上の縁部が、センサ要素のアレイの1つ以上の縁部と整列させられる、および/または一致する。例えば、市松模様パターンは、カメラ上への市松模様パターンの画像の縁部がピクセルの縁部と一致するように、カメラピクセルと整合されてもよい。
【0097】
空間的相関では、パターン構成の独立した知識は、光感知の各群での相関測度を計算することを可能にする。空間周期的照射では、この相関測度は、光強度振動の余弦および正弦部分を推定することなく計算することができる。パターン構成の知識は、3D走査の前に取得されてもよい。
【0098】
本発明のさらなる実施形態では、標識jを有するセンサ要素の群における相関測度Aは、以下の式
【0099】
【数8】

を用いて決定される。
ここで、nは、センサの群内のセンサ要素の数であり、
【0100】
【化4】

は、パターン構成の知識から取得される基準信号ベクトルであり、
【0101】
【化5】

は、入力信号ベクトルである。正方形長さとしてN個のセンサを有する、正方形領域に群化されたセンサの場合では、n=Nである。
【0102】
好ましくは、基準信号ベクトルの要素は、相関測度のDC部分を抑制するために、空間にわたって平均してゼロである、すなわち、全てのjについて、
【0103】
【数9】

であるが、必ずしもその必要はない。カメラ内のセンサ要素の単一の群の対象物上に焦点が合わせられているパターンに対応する焦点位置は、焦点位置が値の範囲にわたって変動させられるとき、そのセンサ要素群の相関測度の極値によって与えられる。焦点位置は、走査領域の一方の端部から他方の端部まで、等しい段階で変動させられてもよい。
【0104】
カメラピクセルと整合された縁部を伴い、かつ2×2、4×4、6×6、8×8、10×10等の偶数のピクセルを有するピクセル群を有する、静的市松模様パターンの場合、基準ベクトル
【0105】
【化6】

の自然な選択は、その要素について、市松模様の明るい正方形を結像するピクセルに値1をとり、市松模様の暗い正方形を結像するピクセルに−1をとることであろう。
【0106】
他の相関原理と同等に、空間的相関原理は、画像分析内で一般に適用され得る。特に、カメラの解像度が最終画像に必要な解像度より高い状況においてである。したがって、本発明のさらなる実施形態は、光高感度要素の少なくとも1つの群における、光強度振動の振幅(単数または複数)を計算するための方法に関し、光強度振動は、空間的に変動する静的照射パターンによって生成され、方法は、
− 各光高感度要素からの信号を光高感度要素の群に提供するステップと、
− 所定の関数および対応する光高感度要素からの信号の積を、光高感度要素の群にわたって積分することによって、振幅(単数または複数)を計算するステップであって、所定の関数は、照射パターンを反映する関数である、ステップと、
を含む。
【0107】
原理を、例えば、センサアレイ内の複数の光高感度要素に対して一般化するために、群jにおける光振動の相関測度または振幅は、以下のように表現されてもよく、
【0108】
【数10】

ここで、nは、群j内のセンサ要素の数であり、Ii,jは、群j内のi番目のセンサ要素からの信号であり、f(i,j)は、パターンを反射する所定の関数である。
【0109】
時間的相関と比較して、空間的相関は、移動パターンを必要としないという利点を有する。これは、パターン構成の知識が、3D走査の前に取得され得ることを示唆する。逆に、時間的相関の利点は、ピクセルの群化を必要しないというように、そのより高い解像度である。
【0110】
全ての相関原理は、非常に高いフレームレートを可能にする画像センサを用いて具現化されるとき、わずかなモーションブラーを有する、動いている対象物の3D走査を可能にする。また、例えば、機械視覚および動的変形測定において有用なアプリケーションを用いて、経時的に移動している対象物を追跡することも可能となる(「4D走査」)。この文脈において、非常に高いフレームレートとは、少なくとも1秒当たり500フレーム、しかし好ましくは、少なくとも1秒当たり2000フレームである。
【0111】
(相関測度極値の3D世界座標への変換)
カメラセンサまたはカメラセンサ群の識別された焦点位置(単数または複数)を3D世界座標に対応させることは、光学システムによる光線追跡によって行われてもよい。そのような光線追跡を実施することができる前に、光学システムのパラメータが既知である必要がある。本発明の一実施形態は、そのような知識を取得するために、較正ステップを備える。本発明のさらなる実施形態は、複数の焦点位置での既知の幾何学的形状の対象物の画像が記録される、較正ステップを備える。そのような対象物は、平らな市松模様パターンであってもよい。次いで、較正対象物の模擬光線追跡画像を生成し、次いで、模擬画像と記録された画像との間の差を最小化するように光学システムパラメータを調整することによって、スキャナを較正することができる。
【0112】
本発明のさらなる実施形態では、較正ステップは、いくつかの異なる較正対象物の複数の焦点位置での画像、ならびに/または1つの較正対象物のいくつかの異なる配向および/もしくは位置での画像の記録を必要とする。
【0113】
光学システムのパラメータの知識を用いて、2D−>3Dマッピングを推定するために、後方光線追跡技術を採用することができる。これは、スキャナの光学システムが、好ましくは較正を通じて、既知であることを必要とする。以下のステップ
1.画像(画像センサでの)の各ピクセルから、画像センサから開始し、光学システムを通る、特定の数の光線を追跡する(後方光線追跡)。
2.それが発光する光線から、焦点、全てのこれらの光線が実質的に交差する点を計算する。この点は、2Dピクセルに焦点が合う、すなわち、光振動振幅の全体的最大をもたらす、3D座標を表す。
3.全てのピクセルについての、それらの対応する3D座標を有する、参照テーブルを生成する。上記のステップは、スキャナの動作範囲に及ぶ、多数の異なる焦点レンズ位置に対して繰り返される。
を実施することができる。
【0114】
(鏡面反射)
カメラ上の相関測度の良好な信号対ノイズ比を得るために、多くの場合、対象物上の焦点パターン画像の高空間的コントラストが必要である。これは、今度は、相関測度における極値に対応する焦点位置の良好な推定を得るために必要であり得る。この正常な走査に十分な信号対ノイズ比は、多くの場合、拡散表面およびごくわずかな光透過を有する対象物において、容易に達成される。しかしながら、いくつかの対象物では、高空間的コントラストを達成することが困難である。
【0115】
困難な種類の対象物は、例えば、対象物上の結像される空間パターンの最小特徴サイズと比較して大きい光拡散長さを有する、入射光の多重散乱を示す対象物である。ヒトの歯は、そのような対象物の例である。ヒトの耳および耳道は、他の例である。口腔内走査の場合、走査は、好ましくは、鏡面反射および光透過を低減するために、歯を噴霧することなく、および/または歯を乾燥させることなく提供されるべきである。カメラ上での対象物からの鏡面反射の優先的結像によって、改善された空間的コントラストを達成することができる。したがって、本発明の一実施形態は、鏡面的および/または拡散的に反射された光の優先的/選択的結像の手段を備える。これは、スキャナが、例えば、少なくとも1つの偏光ビームスプリッタを用いて、プローブ光を偏光させる手段をさらに備える場合に提供されてもよい。カメラ内で対象物の画像を形成するために、例えば、偏光ビームスプリッタが提供されてもよい。入射光が直線偏光される場合、対象物からの鏡面反射は、その偏光状態を保持するという特性を有するため、これは、鏡面反射を消滅させるために利用されてもよい。
【0116】
本発明によるスキャナはさらに、プローブ光および/または対象物から反射される光の偏光状態を変化させる手段を備えてもよい。これは、好ましくは光学経路内に位置する、遅延板を用いて提供することができる。本発明の一実施形態では、遅延板は、四分波遅延板である。直線偏光波は、その速軸が直線偏光方向に対して45度の配向である四分波板を通過すると、円偏光波に変形される。対象物からの鏡面反射は、円偏光波のヘリシティを反転させるという特性を有し、一方で、1つ以上の散乱事象によって反射される光は、偏光解消されるため、これは、鏡面反射を強化するために使用されてもよい。
【0117】
(視界(走査長さ))
本発明の一実施形態では、プローブ光は、光軸と実質的に平行な方向に対象物に向かって伝送される。しかしながら、患者の口腔等の小さい空間に進入させられる走査ヘッドでは、走査ヘッドの先端を十分に小さくする必要がある。同時に、走査ヘッドから出る光は、光軸とは異なる方向に走査ヘッドを離れる必要がある。したがって、本発明のさらなる実施形態は、光軸とは異なる方向にプローブ光を方向付ける、および/または対象物を結像する手段を備える。これは、好ましくは光軸に沿って位置する、光軸とは異なる方向にプローブ光を方向付ける、および/または対象物を結像するための、少なくとも1つの折畳み式要素を用いて提供されてもよい。折畳み式要素は、鏡またはプリズム等の光反射要素であってもよい。本発明の一実施形態では、光路を対象物に方向付ける折畳み式光学素子として、45度の鏡が使用される。それによって、プローブ光は、光軸に対して垂直な方向に誘導される。本実施形態では、走査先端の高さは、走査長さと少なくとも同じ大きさ、および好ましくは、ほぼ同等のサイズである。
【0118】
本発明の一実施形態は、異なる波長および/または異なる偏光を有する光源等の、少なくとも2つの光源を備える。好ましくは、また、少なくとも2つの光源を制御するための制御手段も備える。好ましくは、本実施形態は、少なくとも2つの光源からの光を組み合わせる、および/または併合する手段を備える。好ましくは、また、少なくとも2つの光源からの光を分離する手段も備える。導波路光源が使用される場合、それらは、導波路によって併合されてもよい。しかしながら、光源を併合するために、1つ以上の拡散器もまた、提供されてもよい。
【0119】
分離および/または併合は、好ましくは、光軸に沿って位置する、コーティングされた鏡またはコーティングされた板等の、部分的に光を伝送し、部分的に光を反射する、少なくとも1つの光学デバイスによって提供されてもよい。一実施形態は、好ましくは光軸に沿って変位させられる、光学デバイスのうちの少なくとも2つを備える。好ましくは、光学デバイスのうちの少なくとも1つは、特定の波長および/または偏光で光を伝送し、他の波長および/または偏光で光を反射する。
【0120】
本発明の1つの例示的実施形態は、異なる波長および/または偏光を有する、少なくとも第1および第2の光源を備え、
第1の光学デバイスは、第1の光源からの光を光軸とは異なる方向に反射し、第2の光源からの光を伝送し、第2の光学デバイスは、第2の光源からの光を光軸とは異なる方向に反射する。好ましくは、第1および第2の光学デバイスは、プローブ光を平衡方向に、好ましくは、光軸に対して垂直な方向に反射し、それによって、対象物表面の異なる部分を結像する。対象物表面の異なる部分は、少なくとも部分的に重複していてもよい。
【0121】
したがって、例えば、異なる波長(および/または偏光)の光を発光する第1および第2の光源からの光は、第1の光源からの光を伝送し、第2の光源からの光を反射する、好適にコーティングされた板を使用して、ともに併合される。光軸に沿った走査先端で、第1の光学デバイス(例えば、好適にコーティングされた板、ダイクロイックフィルタ)は、第1の光源からの光を、対象物上に反射し、第2の光源からの光を、走査先端の端部、すなわち、光軸のさらに下方の第2の光学デバイス(例えば、鏡)に伝送する。走査中、焦点位置は、第1の光源からの光が、パターンの画像を第1の光学デバイスの下の位置に投影するために使用されるように、移動させられ、一方で、第2の光源は、オフに切り替えられる。第1の光学デバイスの下の領域内の対象物の3D表面が記録される。次いで、第1の光源は、オフに切り替えられ、第2の光源は、オンに切り替えられ、焦点位置は、第2の光源からの光が、パターンの画像を第2の光学デバイスの下の位置に投影するために使用されるように、移動させられる。第2の光学デバイスの下の領域内の対象物の3D表面が記録される。2つの光源の各々からの光で網羅される領域は、部分的に重複してもよい。
【0122】
本発明の別の実施形態では、プローブ光は、湾曲した折畳み式鏡を用いて、光軸とは異なる方向に方向付けられる。本実施形態は、補正された光学的結像を提供するように、非球面であってもよい表面を有するレンズ等の1つ以上の光学要素を備えてもよい。
【0123】
本発明のさらなる実施形態は、鏡(単数または複数)を光軸に沿って並進させるための、少なくとも1つの並進ステージを備える。これは、走査長さより小さい高さを有する走査先端を可能にする。いくつかの走査を軸に沿った異なる位置の鏡(単数または複数)と組み合わせることによって、大きい走査長さを達成することができる。
【0124】
本発明の別の実施形態では、プローブ光は、走査されている対象物上のパターンの画像が伸張されるように、アナモルフィック拡大を提供する、少なくとも1つの格子を用いて、光軸とは異なる方向に方向付けられる。格子は、ブレーズされてもよい。本実施形態では、光源は、単色または半単色である必要がある。
【0125】
走査長さを増大するのに好適な上述の実施形態は、光源および焦点要素の協調を提供するための制御手段を備えてもよい。
【0126】
(カラー走査)
本発明の一実施形態は、走査されている対象物の表面トポロジ(幾何学的形状)を登録しているだけである。しかしながら、本発明の別の実施形態は、走査されている表面の色を取得するように適合されている、すなわち、走査されている対象物の表面トポロジとともに、走査されている対象物の個々の表面要素の色を登録することができる。色情報を取得するために、光源は、白色である必要がある、または電磁スペクトルの可視部分にわたって分布される色を有する、少なくとも3つの単色光源を備える必要がある。
【0127】
色情報を提供するように、センサ要素のアレイは、色画像センサであってもよい。画像センサは、Bayerカラーフィルタスキームを収容してもよい。しかしながら、画像センサが各センサ要素における色登録を提供する、Foveon型色画像センサ等の他の色画像センサタイプが提供されてもよい。
【0128】
本発明の一実施形態は、1回に1色のプローブ光を選択する、すなわち、プローブ光の異なる色の間で選択的に切り替え、それによって、異なる色で対象物を照射する手段を備える。白色光源が使用される場合、ある種のカラーフィルタリングが提供されなければならない。好ましくは、赤色、緑色、および青色のカラーフィルタ等の複数のカラーフィルタと、カラーフィルタを白色光源の前に個々に挿入する手段とを備え、それによって、プローブ光の色を選択する。
【0129】
本発明の一実施形態では、カラーフィルタは、パターン生成手段内に組み込まれる、すなわち、パターン生成手段は、実質的に単色で色付けされる、半透明および/または透明部分等のカラーフィルタを備える。例えば、不透明マスクを有する回転ホイール等のパターン要素であり、半透明/透明部分がカラーフィルタである。例えば、ホイールの3分の1が赤色であり、3分の1が緑色であり、3分の1が青色である。
【0130】
また、レーザまたはLED等の、波長スペクトルの可視部分にわたって分布される波長を有する、少なくとも3つの単色光源によって、異なる色のプローブ光が提供されてもよい。これはまた、一般に、光源を併合する手段も必要とする。例えば、好適にコーティングされた板である。導波路光源の場合、併合は、導波路要素によって提供されてもよい。
【0131】
異なる色のプローブ光を取り扱うために、光学システムは、好ましくは、実質的に無彩色である。
【0132】
本発明の一実施形態は、焦点面位置に対するプローブ光の少なくとも2つの色、好ましくは赤色、緑色、および青色等の3つの色の間で切り替える手段を備える。すなわち、単一の焦点面位置に対して、プローブ光の異なる色の間で切り替えることが可能である。例えば、異なる単色光源をオンおよびオフに切り替える(1回に1つの光源のみオンにする)ことによって、または異なるカラーフィルタを適用することによってである。さらに、各焦点面位置の各色に対する複数のセンサ要素の各々の光信号の振幅が決定されてもよい。すなわち、各焦点位置に対して、プローブ光の色が切り替えられてもよい。埋め込まれた時変パターンは、単色の振動光信号を提供し、その色に対する各センサ要素における信号の振幅が決定されてもよい。次の色に切り替えることによって、振幅が再度決定されてもよい。全ての色の振幅が決定されたとき、焦点位置が変化させられ、プロセスが繰り返される。次いで、複数のセンサ要素からの色情報を組み合わせる、および/または加重することによって、走査されている表面の色が取得されてもよい。例えば、例えば各表面要素のRGB色座標として表現される色を、最大振幅に対応する各色の振幅信号の適切な加重によって再構築することができる。この技術はまた、パターンの少なくとも一部の色が時間的に変動する静的パターンが提供されるときにも適用され得る。
【0133】
処理されるデータの量を減少させるために、結像の色解像度は、空間解像度より低くなるように選択されてもよい。次いで、データ補間によって、色情報が提供される。したがって、本発明の一実施形態では、選択されるフルカラー焦点面位置の各色に対する、複数のセンサ要素の各々の光信号の振幅が決定され、各焦点面位置の1つの色に対する、複数のセンサ要素の各々の光信号の振幅が決定される。次いで、フルカラー焦点面位置からの色情報を補間することによって、走査されている表面の色が取得されてもよい。したがって、例えば、Nの焦点位置の間隔で、全ての色の振幅が登録され、一方で、全ての焦点位置での振幅の決定のために、1色が選択される。Nは、例えば、3、5、または10であってもよい、数である。これは、表面トポロジの解像度より低い色解像度をもたらす。この技術はまた、パターンの少なくとも一部が時間的に変動する静的パターンが提供される時にも適用され得る。
【0134】
本発明の別の実施形態は、フルカラー情報を登録せず、異なる色を有する2つの光源のみを採用する。この例は、軟(歯肉)組織から硬(歯)組織を区別するために赤色および青色の光を使用する、歯科用スキャナである。
【0135】
(印象走査)
本発明の一実施形態は、歯科印象および/または耳道印象の走査等の印象走査に適合される。
【0136】
(小腔スキャナ)
本発明によるスキャナの具体的な用途は、腔、特に、体腔の走査に関する。腔内の走査は、口内の歯の走査等の腔内の対象物の走査に関する。しかしながら、例えば、耳の走査は、腔自体の内面の走査に関する。一般に、腔、特に小腔の走査は、スキャナのための、ある種のプローブを必要とする。したがって、本発明の一実施形態では、プローブ光の発光点、および反射光の集積点は、プローブ上に位置し、プローブは、体腔等の腔に進入させられるように適合される。
【0137】
本発明の別の実施形態では、プローブは、耳道等の腔の表面の少なくとも一部を走査するように適合される。耳の外部および/または耳道の少なくとも一部を走査し、耳の仮想または現実モデルを作製する能力は、最新の特別に適合された補聴器(例えば、イヤーシェルまたはイヤーモールド)の設計に不可欠である。今日、耳の走査は、最初に耳のシリコーン印象がとられ、続いて第2のステップで、外部スキャナを使用して印象が走査される、2段階プロセスで実施される。
【0138】
したがって、本発明の一実施形態は、
カメラ、パターン生成手段、焦点変動手段、およびデータ処理手段を収容する筐体と、
第1の光学システムを収容する、少なくとも1つのプローブ、好ましくは、実質的に先細のプローブと
を備える。
【0139】
好ましくは、プローブ光の発光点および走査された対象物から戻される光の集積点は、プローブ上に位置する。プローブ内の光学システムは、筐体からのプローブ光を対象物に向かって伝送するため、ならびにまた、対象物からカメラが位置する筐体に向かって戻される光を伝送および/または結像するためのものである。したがって、プローブ内の光学システムは、レンズのシステムを備えてもよい。本発明の一実施形態では、プローブは、プローブ光および/または対象物表面から戻される光を伝送/輸送/誘導するための、少なくとも1つの光ファイバならびに/あるいはファイバ束を備えてもよい。この場合、光ファイバ(単数または複数)は、プローブ内の光(すなわち、プローブ光および戻される光)を単に輸送するだけである、光リレーシステムとして機能してもよい。本発明の一実施形態では、プローブは、内視鏡である。プローブは、剛性であっても可撓性であってもよい。プローブ内に光ファイバ(単数または複数)を使用することで、例えば、小さい直径を有する可撓性プローブが提供され得る。
【0140】
本発明の一実施形態では、光は、対象物に伝送され、プローブ内の光学システム、第1の光学システムのみによって結像される。しかしながら、本発明のさらなる実施形態では、筐体はさらに、第2の光学システムを備えてもよい。
【0141】
本発明のさらなる実施形態では、プローブは、筐体から着脱可能である。したがって、好ましくは、プローブ光の第1の発光点および戻される光の第1の集積点は、プローブ上に位置し、プローブ光の第2の発光点および戻される光の第2の集積点は、筐体上に位置する。これは、筐体およびプローブの両方の中に光学システムを必要とし得る。したがって、走査は、プローブが筐体に取り付けられた状態で取得されてもよい。しかしながら、走査はまた、プローブが筐体から取り外された状態で取得されてもよい、すなわち、筐体は、それ自体が独立型スキャナであってもよい。例えば、プローブは、腔の内部に挿入され、腔の内部を走査するように適合されてもよく、一方で、筐体は、外面を走査するように適合されてもよい。プローブの取り付けは、筐体とプローブとの間での機械的および/または電気的転送を含み得る。例えば、プローブを取り付けることによって、デバイスの現在の構成を信号伝送する電気信号が、筐体内の制御電子機器に提供されてもよい。
【0142】
本発明の一実施形態では、プローブ光は、光軸および/またはプローブの縦軸と実質的に平行な方向に、対象物に向かって方向付けられる。さらなる実施形態では、プローブは、プローブ光を、光軸とは異なる方向、好ましくは、光軸に対して垂直な方向に方向付けるための、鏡等の後方反射要素を備える。プローブが取り外された状態の独立型スキャナ筐体に上述の実施例を適用する際、プローブ光は、筐体内の光学システム(すなわち、第2の光学システム)の光軸と平行な方向に、筐体を退出してもよく、一方で、プローブが取り付けられた状態では、プローブ光は、プローブの光学システム(すなわち、第1の光学システム)の光軸以外の方向に方向付けられてもよい。それによって、プローブは、腔の走査により適合される。
【0143】
本発明のいくつかの実施形態では、プローブが体腔内、例えば、口内にある時に、プローブ上で凝縮が生じないように、またはそれ程生じないように、スキャナ内で生成される廃熱が、プローブを暖めるために使用される。廃熱は、例えば、処理電子機器、光源、および/または焦点要素を移動させる機構によって生成することができる。
【0144】
本発明のいくつかの実施形態では、スキャナは、3D表面のより大きいモデルに対する後続の走査の登録が失敗するとき、ユーザにフィードバックを提供する。例えば、スキャナは、光源を点滅させることができる。
【0145】
さらに、プローブは、反射要素を、好ましくは、光軸および/またはプローブの縦軸と実質的に平行な軸の周りに回転/スピンさせる手段を備えてもよい。それによって、プローブは、好ましくは、プローブおよび/またはスキャナの回転なく、光軸および/またはプローブの縦軸の周りの360°の走査を提供するように適合されてもよい。
【0146】
本発明のさらなる実施形態では、複数の異なるプローブが筐体に合致する。それによって、異なる走査状況に対処するように、異なる環境、表面、腔等に適合される異なるプローブが、筐体に取り付けられてもよい。この具体的な実施例は、スキャナが、ヒトの耳の内部を走査するように適合される第1のプローブと、ヒトの耳の外部を走査するように適合される第2のプローブとを備える時である。第2のプローブの代わりに、これは、ヒトの耳の外部を走査するように適合される、筐体自体、すなわち、プローブが取り外された状態の筐体であってもよい。すなわち、筐体は、3D表面走査を実施するように適合されてもよい。換言すれば、プローブが取り付けられた状態の筐体は、ヒトの耳の内部を走査するように適合されてもよく、プローブが取り外された状態の筐体は、ヒトの耳の外部を走査するように適合されてもよい。好ましくは、耳の内部および外部についての3Dデータを併合および/または組み合わせる手段が提供され、それによって、ヒトの耳の完全3Dモデルを提供する。
【0147】
本発明の手持ち式実施形態では、デバイスが、質量の大部分が手および/または手首の上に置かれた状態で、オペレータの手の中に快適に置かれるため、ピストル様の設計が人間工学的である。そのような設計では、上述の後方反射要素を複数の位置に配向させることができることが有利である。例えば、プローブを走査デバイスの本体から取り外すステップを伴って、または伴わずに、後方反射要素を有するプローブを回転させることが可能であってもよい。着脱可能プローブはまた、オートクレーブ可能であってもよく、これは、例えば、医療デバイスとしてヒトに適用されるスキャナに確実に有利である。モータを用いて物理的に移動する焦点要素を実現する、本発明の実施形態では、このモータを、ピストル様の形状のグリップの内部に定置することが有利である。
【0148】
(運動、重力、および磁気センサの使用)
本発明の手持ち式実施形態は、好ましくは、加速度計および/またはジャイロ等の運動センサを含む。好ましくは、これらの運動センサは、微小電気機械システム(MEMS)運動センサのように小さい。運動センサは、好ましくは、3D内の全ての運動、すなわち、3つの主座標軸に対する並進および回転の両方を測定するべきである。利益は、以下である。
【0149】
A)運動センサは、振動および/または振盪を検出することができる。そのように影響された走査を、破棄する、または画像安定化技術を使用することによって補正することができる。
【0150】
B)運動センサは、部分的走査を相互に合成および/または登録することを助長することができる。この利点は、スキャナの視界が走査される対象物より小さい時に関係する。この状況では、スキャナは、対象物の小さい領域に適用され(1回に1つ)、次いで、完全走査を取得するように組み合わせられる。理想的な場合では、運動センサは、それらが、各部分走査において、走査デバイスの相対位置を測定するため、必要とされる部分走査の局所座標間での相対剛体運動変換を提供することができる。限定された精度を有する運動センサは、例えば、アルゴリズムの反復最近点クラスに基づき、部分走査のソフトウェアに基づく合成/登録のための第1の推測を依然として提供することができ、結果として、計算時間が短縮される。
【0151】
C)運動センサは(また)、本発明に付随するソフトウェアのための遠隔制御として(も)使用することができる。そのようなソフトウェアは、例えば、獲得された走査を視覚化するために使用することができる。今、遠隔制御として機能しているスキャナデバイスを用いて、ユーザは、例えば、視野を回転させる、および/またはパンすることができる(遠隔制御を、コンピュータ画面上の対象物が「移動する」べき方向と同一の方向に移動させることによって)。特に、臨床的用途では、手持ち式スキャナのそのような二重使用法は、オペレータが代替の手動入力デバイス(タッチ画面、マウス、キーボード等)からの汚染を回避するため、衛生的考慮のために好ましい。
【0152】
あまりに不正確なために並進運動を感知することができない場合でさえ、3軸加速度計は、走査デバイスに対する重力の方向を提供することができる。また、磁力計は、この場合、地磁界からの走査デバイスに対する方向情報を提供することができる。したがって、そのようなデバイスは、合成/登録を助長することができ、また、遠隔制御要素として機能することができる。
【0153】
本発明は、各々が、第1の言及される態様と関連して記載される利益および利点のうちの1つ以上をもたらし、各々が、第1の言及される態様と関連して記載される、および/または添付の特許請求の範囲に開示される、実施形態に対応する、1つ以上の実施形態を有する、上述および下述されるスキャナデバイス、対応する方法、デバイス、ならびに対応する方法、デバイス、使用法および/または生産手段を含む、異なる態様に関する。
【0154】
特に、対象物の表面の少なくとも一部の3D幾何学的形状を取得および/または測定するための方法が本明細書に開示され、方法は、
− 空間パターンを取り込むプローブ光を生成するステップと、
− プローブ光を光学システムの光軸に沿って対象物に向かって伝送し、それによって、パターンで対象物の少なくとも一部を照射する、ステップと、
− 対象物からカメラまで戻される光の少なくとも一部を伝送するステップと、
− スキャナおよび対象物の固定した空間関係を維持しながら、対象物上のパターンの焦点面の位置を変動させるステップと、
− センサ要素のアレイから、少なくとも1つの画像を取得するステップと、
− 各焦点面位置で、少なくとも1つの画像ピクセルと加重関数との間の相関測度を評価するステップであって、加重関数は、空間パターンの構成の情報に基づいて決定される、ステップと、
− 相関測度の分析によって、
− 焦点面位置の範囲に対するカメラ内の複数の画像ピクセルの各々、または
− 焦点面の範囲に対するカメラ内の画像ピクセルの複数の群の各々、
の焦点位置(単数または複数)を決定するステップと、
− 焦点データを3D実世界座標に変換するステップと
を含む。
【0155】
また、プログラムコード手段がデータ処理システム上で実行されるとき、データ処理システムに方法を実施させるためのプログラムコード手段を備える、コンピュータプログラム製品も開示される。
【0156】
また、その上にプログラムコード手段が記憶されているコンピュータ可読媒体を備える、コンピュータプログラム製品も開示される。
【0157】
本発明の別の態様は、対象物の表面の少なくとも一部の3D幾何学的形状を取得および/または測定するスキャナに関し、スキャナは、
− センサ要素のアレイを収容する少なくとも1つのカメラと、
− プローブ光を生成する手段と、
− プローブ光を対象物に向かって伝送し、それによって、対象物の少なくとも一部を照射する手段と、
− 対象物からカメラまで戻される光を伝送する手段と、
− 対象物上の焦点面の位置を変動させる手段と、
− センサ要素のアレイから、少なくとも1つの画像を取得する手段と、
− 手段であって、
a)
− 焦点面位置の範囲に対する複数のセンサ要素の各々、または
− 焦点面位置の範囲に対するセンサ要素の複数の群の各々、
の焦点位置(単数または複数)を決定することと、
b)焦点データを3D実世界座標に変換することと
を行う手段と
を備え、
スキャナはさらに、焦点面の位置を変動させる手段を平衡させるためのカウンターウェイト手段を備える。
【0158】
また、対象物の表面の少なくとも一部の3D幾何学的形状を取得および/または測定する方法も開示され、方法は、
− センサ要素のアレイを収容するステップと、
− プローブ光を生成するステップと、
− プローブ光を対象物に向かって伝送し、それによって、対象物の少なくとも一部を照射する、ステップと、
− 対象物からカメラまで戻される光を伝送するステップと、
− 対象物上の焦点面の位置を変動させるステップと、
− センサ要素のアレイから、少なくとも1つの画像を取得するステップと、
− 焦点位置(単数または複数)であって、
− 焦点面位置の範囲に対する複数のセンサ要素の各々の焦点内位置、または
− 焦点面位置の範囲に対する複数のセンサ要素の群の各々
の焦点位置を決定するステップと、
− 焦点データを3D実世界座標に変換するステップと
を含み、方法は、焦点面の位置を変動させる手段を平衡させるステップをさらに含む。
【0159】
本発明の別の態様は、口腔内または耳内走査で使用するための、スキャナの主光軸から30度より大きい角度のグリップを有する手持ち式3Dスキャナに関する。
【0160】
図中に描写される光線追跡およびレンズは、図示するためだけのものであり、概して記載されるシステム内の光学経路を描写することが理解されるであろう。光線追跡およびレンズ形状は、以下の図中に図示される例示的な実施形態の詳細な説明に明確に示されていない限り、その数、方向、形状、位置、またはサイズのいかなる変化にかかわらず、振幅、方向、または種々の光学構成要素を通る光線もしくは光束の焦点を含む、いかなる意味においても、本発明の範囲を限定すると理解されるべきではない。
【0161】
(図面の詳細な説明)
機能的手持ち式3D表面スキャナは、好ましくは、以下の特性、
1)走査されている対象物の空間内のテレセントリシティ、
2)テレセントリシティおよび拡大を維持しながら、焦点面を偏移させることの実現性、3)プローブ先端内ではなく、デバイスのハンドル内のみの光学構成要素の回転を有する、簡単な焦点スキーム、および
4)手持ち式走査デバイスと一致する全体サイズ。
を有するべきである。
【0162】
図1に図示されるスキャナ実施形態は、全ての構成要素を筐体(ヘッド)100内に有する、手持ち式スキャナである。スキャナヘッドは、腔に進入させることができる先端、光源110、光源からの光を収集する光学素子120、パターン生成手段130、ビームスプリッタ140、画像センサ、電子機器180、パターン、および走査されている対象物と画像センサ(カメラ)180との間で光を伝送し、結像するレンズシステムを備える。光源110からの光は、光学システム150を通って前後に往復する。この通過中、光学システムは、走査されている対象物200の上にパターン130を結像し、さらに画像センサ181上に走査されている対象物を結像する。レンズシステムは、探査対象物200上のパターンの焦点結像面を偏移させるように調整することができる焦点要素151を含む。焦点要素を具現化する1つの方法は、単一のレンズ要素を光軸に沿って前後に物理的に移動させることである。デバイスは、偏光光学素子160を含んでもよい。デバイスは、デバイスから出る光を、レンズシステムの光軸とは異なる方向、例えば、レンズシステムの光軸に対して垂直な方向に方向付ける、折畳み式光学素子170を含んでもよい。全体として、光学システムは、探査されている対象物上のパターン、および探査されている対象物からカメラへのパターンの結像を提供する。デバイスの1つの用途は、口腔内の歯の3D構造を決定することであってもよい。別の用途は、耳道および耳の外部の3D形状を決定することであってもよい。
【0163】
図1における光軸は、光学システム150内の光源110、光学素子120、およびレンズを通る直線によって画定される軸である。これはまた、図1に図示されるスキャナの縦軸にも対応する。光学経路は、光源110から対象物220へ、およびカメラ180へ戻される光の経路である。光学経路は、例えば、ビームスプリッタ140および折畳み式光学素子170を用いて、方向を変化してもよい。
【0164】
焦点要素は、走査される対象物上のパターンの画像が、好ましくは、走査領域の一方の端部から他方の端部まで、等しい段階で光軸に沿って偏移されるように調整される。パターンが固定された焦点位置に対して時間的に周期的に変動させられるとき、対象物上の焦点領域は、空間的に変動するパターンを示す。焦点外領域は、光変動のより小さいコントラストを示す、またはコントラストを示さない。探査対象物の3D表面構造は、一連の異なる焦点位置300についての相関測度を記録するときに、カメラのセンサアレイ内の各センサ、またはカメラのセンサアレイ内のセンサの各群についての相関測度における極値に対応する面を求めることによって決定される。好ましくは、焦点位置は、走査領域の一方の端部から他方の端部まで、等しい段階で移動されるであろう。
【0165】
(パターン生成)
パターン生成手段の実施形態が図3aに示されている。透明ホイールは、ホイールの中心から放射状に向くスポークの形態の不透明マスク133を有する。本実施形態では、パターンは、例えば、駆動シャフト132を用いてホイールに接続されるモータ131を用いてホイールを回転させることによって時変にされる。時間におけるパターンの位置は、回転中に登録されてもよい。これは、例えば、パターン134の周縁部上の位置エンコーダを使用することによって、またはモータ131から直接シャフト位置を取得することによって達成することができる。
【0166】
図3bは、パターン生成手段の別の実施形態を図示する。セグメント化光源135は、好ましくは、セグメント化LEDである。本実施形態では、LED表面は、調査下において対象物上に結像される。個々のLEDセグメント136は、対象物上に既知の時変パターンを提供するように、オンおよびオフにされる。時変パターンの制御電子機器137は、電気配線138を介してセグメント化光源に接続される。したがって、パターンが光源に組み込まれ、別個の光源は不要である。
【0167】
図3cは、本発明の空間的相関実施形態に適用される、静的パターンを図示する。示される市松模様パターンは、この規則的なパターンの計算が最も容易であるため、好ましい。
【0168】
(時間的相関)
図1はまた、対象物上および/または対象物内のパターンの画像がカメラ上に形成される、時間的相関の例示的図示でもある。カメラ内の各個々の光感知要素は、対象物上の照射パターンの変動に対応する信号レベルの変動を見る。変動は、例示的図示においては周期的である。各個々の光感知要素の光変動は、パターン位置に対する一定の位相オフセットを有する。
【0169】
相関測度は、少なくとも1つの振動周期中に、カメラ上でn個の画像を記録することによって取得されてもよい。nは、1より大きい整数である。各個々の画像のパターン位置の登録は、各感知要素の位相オフセット値と組み合わせられ、記録された画像は、以下の式を使用して、カメラ内の各個々の感知要素における相関測度の効率的抽出を可能にする。
【0170】
【数11】

ここで、Aは、感知要素jの推定相関測度であり、I1,j、...、In,jは、感知要素jからn個の記録される信号であり、f1,j、...、fn,jは、各画像記録についてのパターン構成の知識から取得されるn個の基準信号値である。fは、2つの指数i、jを有する。第1の指数を有するfの変動は、各画像記録中に、パターン位置の知識から導出される。第2の指数を有するfの変動は、3D走査の前に決定されてもよい、パターン幾何学的形状の知識から導出される。
【0171】
カメラ内の単一のセンサの対象物上に焦点が合わせられているパターンに対応する焦点位置は、焦点位置が、好ましくは、走査領域の一方の端部から他方の端部まで、等しい段階で値の範囲にわたって変動させられるとき、そのセンサについて記録される相関測度における極値によって与えられる。
【0172】
(空間的相関)
空間的相関スキームの実施例では、投影される市松模様パターンを有する対象物の1つの画像は、画像センサによって可能な限り高解像度で記録される。したがって、空間的相関におけるスキームは、記録される画像内のピクセルの群を分析し、パターンにおける相関測度を抽出するためのものである。取得される相関測度における極値は、焦点位置を示す。簡略化のため、センサ上のn=N×N個のピクセルに対応する周期を有する市松模様パターンを使用し、次いで、パターンの1周期内の相関測度を分析することができる(一般的な場合では、パターンは、2次N×Nである必要はない)。最良の場合では、市松模様縁部がピクセル縁部と一致するようにパターンを整合させることが可能であるが、走査原理は、これに依存しない。図16は、これをn=4×4=16である場合について示す。W×H=1024×512ピクセルを有するセンサでは、これは、1つの画像から256×128の相関測度点を取得することに対応するであろう。標識jを有するピクセルのN×N個の群内の相関測度Aの抽出は、以下によって与えられ、
【0173】
【数12】

ここで、
【0174】
【化7】

は、パターン構成の知識から取得される基準信号ベクトルであり、
【0175】
【化8】

は、入力信号ベクトルである。
【0176】
光内のいかなるDC部分も抑制するために、全てのjが以下であることが好ましい。
【0177】
【数13】

図16に描写される状況では、例えば、パターンの暗い部分に対応するピクセルについてはfi,j=−1であり、そうでなければfi,j=+1である。パターン縁部がピクセルの縁部と整合されていない場合、または光学システムが完全ではない場合(およびしたがって、全ての実際の適用において)、fi,Jは、いくつかのiでは、−1と+1との間の値をとるであろう。どのように基準関数を決定するかについての詳細な説明は、後で与えられる。
【0178】
(光相関)
光相関の実施例が図2に示されている。本実施形態では、パターン130の探査対象物200との重畳である画像が、カメラ180上に形成される。本実施形態では、パターンは、透過性性質のものであり、光は、パターンを通して伝送され、パターンの画像が対象物上に投影され、再び戻る。特に、これは、パターンを反対方向に通る光の再伝送を有する。次いで、カメラ上のパターンの画像は、ビームスプリッタ140を用いて形成される。この配設の結果は、パターン自体および探査されている対象物の重畳である、カメラ上に形成されている画像である。これを異なる方法で表現すると、カメラ上の画像は、実質的に、対象物上に投影されたパターンの画像のパターン自体との乗算であると表現される。
【0179】
例示的図示では、変動は、周期的である。対象物上の光変動と所与の焦点距離のパターンとの間の相関測度は、パターン振動時間およびカメラ積分時間の正確な同期化が重要ではなくなるように、カメラ信号を大きい数の振動周期にわたって時間積分することによって取得されてもよい。カメラ内の単一のセンサの対象物上に焦点が合わせられているパターンに対応する焦点位置は、焦点位置が、好ましくは、走査領域の一方の端部から他方の端部まで、等しい段階で値の範囲にわたって変動させられるとき、そのセンサの記録された信号値の最大によって与えられる。
【0180】
(所定の基準関数を求め)
以下では、本発明の空間的相関実施形態の基準信号fを計算するためのプロセスが記載され、図案化された方法は、図17に描写されている。
【0181】
プロセスは、例えば、好ましくは、スキャナの光軸に対して直角に配向された平らな表面上に投影される際、市松模様パターンの一連の画像を記録することによって開始する。画像は、焦点要素の異なる位置で撮像され、事実上、焦点要素の全移動範囲を網羅する。好ましくは、画像は、等距離位置で撮像される。
【0182】
焦点面が概して幾何学的面ではない際、異なる画像内の平らな表面の異なる領域に焦点が合わせられる。3つのそのような画像の例が、図17a〜図17cに示されており、1700は、焦点領域である。この図案化された図では、焦点領域と焦点外領域との間での遷移は、各々、原理をより明確に実証するために強調されていることに留意する。また、一般に、この単純な実施例で使用されるたった3つよりはずっと多くの画像が存在する。
【0183】
画像内の焦点領域は、一連の画像全体にわたる最大強度分散(最大コントラストを示す)の領域として見出される。それにわたって分散を計算する領域は、空間的相関で使用されるピクセル群寸法と同一である必要はないが、パターンの暗い領域および光領域の両方を含有するのに十分に大きくあるべきであり、シリーズ内の全ての画像について同一でなければならない。
【0184】
最後に、シリーズ(17a〜17c)の全ての焦点領域を組み合わせることによって、「融合画像」(図17d)が生成される。実際の用途では、融合画像は、一般に、黒および白の完全な市松模様ではなく、むしろ、不完全な光学システムによってもたらされる中間灰色値、およびカメラセンサと完全に整合されていない市松模様を含むことに留意する。実際の融合画像の部分の例が図17eに示されている。
【0185】
この画像内のピクセル強度は、パターンの原画像と同一の寸法を有する「加重画像」と解釈することができる。換言すれば、ピクセル値は、基準信号と解釈することができ、指数jを有するピクセル群内のn個のピクセルについての基準ベクトル/一式の加重値
【0186】
【化9】

は、ピクセル値から求めることができる。
【0187】
計算の実施における便宜のため、特に、FPGA上で行われるとき、融合画像は、ピクセル群に細分割することができる。次いで、各ピクセル強度値から群内強度平均を減算することによって、信号のDC部分を除去することができる。さらに、次いで、群内標準偏差で除算することによって正規化することができる。したがって、処理された加重値は、基準信号の代替の説明である。
【0188】
「融合画像」、およびしたがって「加重画像」の周期性性質のため、後者は、効率的に圧縮することができ、したがって、本明細書に記載されるアルゴリズムを実装することができる電子機器におけるメモリ要求を最小にする。例えば、圧縮に、PNGアルゴリズムを使用することができる。
【0189】
(「相関画像」)
「相関」画像は、「融合画像」および走査中にカメラを用いて記録された一式の画像に基づいて生成される。N×N個の市松模様パターンに基づく空間的相関では、群内相関測度は、次式であり、
【0190】
【数14】

ここで、
【0191】
【化10】

は、融合画像からの値であり、
【0192】
【化11】

は、カメラ上で記録された画像からの値であることを思い出されたい。任意のDC除去、および場合によっては融合画像がもたらされる正規化で使用されるピクセル群化は、上記の計算におけるものと同一である。したがって、焦点要素の掃引中にスキャナによって記録される各画像には、Aの(H/N)×(W/N)の値のアレイが存在する。このアレイは、画像として視覚化することができる。
【0193】
図18(上部)は、ここでは、ヒトの歯およびその縁部の一部である、1つの例示的相関測度画像を示す。6×6個のピクセルのピクセル群は、正方形1801によって印付けされる。この例示的ピクセル群について、焦点要素の掃引内の全ての画像にわたる一連の相関測度Aが、図18(十字)の下部にチャートで示されている。チャート上のx軸は、焦点要素の位置であり、一方で、y軸は、Aの振幅を示す。生のシリーズにわたって単純なガウスフィルタを実行することによって、平滑化されたシリーズ(実線)がもたらされる。図中、焦点要素は、ピクセルの例示的群に最適焦点を与える位置にある。この事実は、図面において主観的に見ることができるが、また、一連のAの最大として量的にも決定される。図18の下部の垂線1802は、全体的極値、したがって焦点位置を示す。この実施例では、平滑化されたシリーズおよび生のシリーズ内の最大の各々の位置が、視覚的に区別できないことに留意する。しかしながら、原則として、2つのレンズ位置の間であってもよく、したがって、より高い精度を提供するので、平滑化されたシリーズから最大位置を求めることが可能であり、また有利でもある。
【0194】
焦点要素の掃引において記録されたあらゆる画像について、Aの値のアレイを計算することができる。融合画像が組み合わされた方法と同一の方法で、全てのピクセル群内のAの全体的極値(全ての画像にわたる)を組み合わせることによって、(H/N)×(W/N)の寸法の擬似画像を取得することができる。これを、「融合相関画像」と呼ぶ。いくつかの歯および歯肉の融合相関画像の例が図19に示されている。分かるように、これは、視覚化に有用である。
【0195】
(視界の増大)
患者の口腔等の小さい空間に進入させられる走査ヘッドでは、走査ヘッドの先端を十分に小さくする必要がある。同時に、走査ヘッドから出る光は、光軸とは異なる方向、例えば、光軸に対して垂直な方向に走査ヘッドを離れる必要がある。本発明の一実施形態では、光路を対象物上に方向付ける折畳み式光学素子170として、45度の鏡が使用される。本実施形態では、走査先端の高さは、走査長さと少なくとも同じ大きさである必要がある。
【0196】
本発明の別の実施形態が図4に示されている。本発明の本実施形態は、走査長さ(図中にaで示される)より小さい高さ(図中にbで示される)を有する走査先端を可能にする。異なる色/波長の光を発光する2つの源110および111からの光は、110からの光を伝送し、111からの光を反射する、好適にコーティングされた板(例えば、ダイクロイックフィルタ)112を使用して、ともに併合される。走査先端で、好適にコーティングされた板(例えば、ダイクロイックフィルタ)171は、一方の源からの光を対象物上に反射し、他方の源からの光を走査先端172の端部の鏡に伝送する。走査中、焦点位置は、110からの光がパターンの画像を171の下の位置に投影するために使用されるように、移動させられ、一方で、111は、オフに切り替えられる。171の下の領域内の対象物の3D表面が記録される。次いで、110は、オフに切り替えられ、111は、オンに切り替えられ、焦点位置は、111からの光がパターンの画像を172の下の位置に投影するために使用されるように移動させられる。172の下の領域内の対象物の3D表面が記録される。110および111の各々からの光によって網羅される領域は、部分的に重複してもよい。
【0197】
走査長さ(図中にaで示される)より小さい高さ(図中にbで示される)を有する走査先端を可能にする、本発明の別の実施形態が図6に示されている。本実施形態では、折畳み式光学素子170は、補正された光学的結像を提供するように、非球面であってもよい表面を有する、1つまたは2つのレンズ要素175および176で補完されてもよい、湾曲した折畳み式鏡173を備える。
【0198】
走査長さ(図中にaで示される)より小さい高さ(図中にbで示される)を有する走査先端を可能にする、本発明の別の実施形態が図7に示されている。本実施形態では、折畳み式光学素子170は、走査されている対象物上のパターンの画像が伸張されるように、アナモルフィック拡大を提供する格子177を備える。格子は、ブレーズされてもよい。本実施形態では、光源110は、単色または半単色である必要がある。
【0199】
(困難な対象物上に投影されるパターンの高い空間的コントラストの達成)
カメラ写真に基づく高い相関測度の信号を取得するために、対象物上の焦点パターン画像の高い空間的コントラストが必要である。これは、今度は、相関測度の極値の位置に対応する焦点位置の良好な推定を取得するために必要である。この正常な走査に必要な条件は、拡散表面およびごくわずかな光透過を有する対象物において、容易に達成される。しかしながら、いくつかの対象物では、高い空間的コントラスト、またはより一般的には変動を達成することが困難である。
【0200】
困難な種類の対象物は、例えば、対象物上に結像される空間パターンの最小の特徴サイズと比較して大きい光拡散長さを有する、多重散乱を示す対象物である。ヒトの歯は、そのような対象物の例である。ヒトの耳および耳道は、他の例である。カメラ上での対象物からの鏡面反射の選択的結像によって、そのような対象物における改善された空間的変動を達成することができる。本発明の実施形態は、図1に示される偏光工業技術に適用される。本実施形態では、ビームスプリッタ140は、2つの直交偏光状態、例えば、S偏光状態およびP偏光状態を各々反映する光を伝送する偏光ビームスプリッタである。したがって、レンズシステム150を通して伝送された光は、特定の偏光状態のものである。デバイスを離れる前に、偏光状態は、遅延板160を用いて変化させられる。好ましい種類の遅延板は、四分波遅延板である。直線偏光された光波は、その速軸が直線偏光方向に対して45度の配向である、四分波板を通過すると、円偏光波に変形される。対象物からの鏡面反射は、円偏光波のヘリシティを反転させるという特性を有する。鏡面的に反射された光が四分波遅延板を通過すると、偏光状態は、対象物上に入射する状態に対して直角になる。例えば、対象物に向かって下流方向に伝播するS偏光状態は、P偏光状態で戻る。これは、鏡面的に反射された光波が、ビームスプリッタ140内の画像センサ181に向かって方向付けられることを示唆する。対象物に進入し、1つ以上の散乱事象によって反射される光は、偏光解消され、この光の半分は、ビームスプリッタ140によって、画像センサ181に向かって方向付けられる。
【0201】
別の種類の困難な対象物は、光沢のある、または金属のような外観の表面を有する対象物である。これは、磨かれた対象物または非常に滑らかな表面を有する対象物に対して特に当てはまる。宝飾品の部品は、そのような対象物の例である。しかしながら、非常に滑らかかつ光沢のある対象物でさえ、ある量の拡散反射を示す。カメラ上での対象物からの拡散表面反射の選択的結像によって、そのような対象物における改善された空間的コントラストを達成することができる。本実施形態では、ビームスプリッタ140は、2つの直交偏光状態、例えば、S偏光状態およびP偏光状態を各々反映する光を伝送する、偏光ビームスプリッタである。したがって、レンズシステム150を通して伝送された光は、特定の偏光状態のものである。対象物からの拡散反射は、その偏光を失うという特性を有する。これは、拡散反射光波の半分が、ビームスプリッタ140内の画像センサ181に向かって方向付けられることを示唆する。対象物に進入し、鏡面偏光によって反射される光は、その偏光状態を保持し、したがって、そのいかなる部分もビームスプリッタ140によって画像センサ181に向かって方向付けられない。
【0202】
(焦点要素によってもたらされる振盪の低減)
走査中、焦点位置は、好ましくは、光学システム150内の焦点要素151によって提供される値の範囲にわたって変化させられる。図8は、振動焦点要素によってもたらされる振盪をどのように低減するかの実施例を図示する。焦点要素は、並進ステージ153上に搭載されるレンズ要素152であり、モータ155を含む機械的機構154を用いて、光学システムの光軸に沿って前後に並進させられる。走査中、手持ち式デバイスの質量中心は、レンズ要素およびホルダの物理的移動によって偏移される。これは、走査中に、手持ち式デバイスの望ましくない振盪をもたらす。状況は、走査が高速である、例えば、1秒未満の走査時間の場合に悪化する。本発明の一実施では、質量中心の偏移は、手持ち式デバイスの質量中心が固定された状態のままになるように、カウンターウェイト156をレンズ要素と反対方向に移動させることによって排除される。好ましい実施では、焦点レンズとカウンターウェイトとは、機械的に接続され、それらの反対の移動は、同一のモータによって駆動される。
【0203】
(色測定)
カラー3Dスキャナの実施形態が図9に示されている。3つの光源110、111、および113は、赤色、緑色、および青色の光を発光する。光源は、LEDまたはレーザであってもよい。光は、重複するか、または本質的に重複するように、ともに併合される。これは、2つの適切にコーティングされた板112および114を用いて達成されてもよい。板112は、110からの光を透過し、111からの光を反射する。板114は、110および111からの光を透過し、113からの光を反射する。色測定は、以下のように実施される。所与の焦点位置で、上述の方法のうちの1つによって、光源の各々の探査対象物上に投影される時変パターンの振幅が、センサ181内の各センサ要素について個々に決定される。好ましい実施形態では、1つの光源のみがその時点でオンに切り替えられ、光源は、順にオンに切り替えられる。本実施形態では、光学システム150は、無彩色であってもよい。各光源の振幅を決定した後、焦点位置が次の位置に偏移され、プロセスが繰り返される。例えば、各表面要素のRGB色座標として表現される色は、最大振幅に対応する各色の振幅信号の適切な加重よって再構築することができる。
【0204】
本発明の1つの具体的な実施形態は、P焦点位置の間隔で、全ての色の振幅のみを登録し、一方で、全ての焦点位置での振幅の決定のために、1色が選択される。Pは、例えば、3、5、または10であってもよい、数である。これは、表面トポロジの解像度より低い色解像度をもたらす。探査対象物の各表面要素の色は、フルカラー情報が取得される焦点位置間の補間によって決定される。これは、多くのカラーデジタルカメラで使用されるBayerカラースキームと類似する。このスキームでは、色解像度はまた、空間解像度より低く、色情報を補間する必要がある。
【0205】
3Dカラースキャナのより単純な実施形態は、フルカラー情報を登録せず、異なる色を有する2つの光源のみを採用する。この例は、軟(歯肉)組織から硬(歯)組織を区別するために、赤色および青色の光を使用する歯科用スキャナである。
【0206】
(耳スキャナ実施形態)
図12〜図15は、共通スキャナ外装ハンドルおよび着脱可能プローブの使用によって、ヒトの耳の外(外側)部および内(内側)部の両方を走査することによる、ヒトの耳の直接走査のための時変構造化光照射系スキャナの実施形態を概略的に図示する。本実施形態は、ヒトの耳等の小さい腔に挿入されるように設計されたプローブを使用して、非侵襲性走査を可能にするという点において有利である。これは、一部において、スキャナカメラ、光源、電子機器、および焦点光学素子等のスキャナの大きく、かつ主要な部分を、耳道のしっかりと囲まれた部分の外に配置することによって行われる。
【0207】
ヒトの耳の外側および内側部を走査し、耳の仮想または現実モデルを作製する能力は、最新の特別に適合された補聴器(例えば、イヤーシェルまたはイヤーモールド)の設計に不可欠である。今日、耳の走査は、最初に耳のシリコーン印象がとられ、続いて第2のステップで、外部スキャナを使用して印象が走査される2段階プロセスで実施される。印象を作製するプロセスには、以下に簡潔に記載されるいくつかの欠点による問題がある。1つの大きな欠点は、必要とされる準備および技術のために、適格な臨床専門家によって取られる印象の品質がしばしば悪いということに由来する。不正確さは、印象材料が、硬化中に膨張することが知られているために生じる場合があり、印象におけるその変形および破壊の造成は、多くの場合、印象が耳から取り外される時に造成される。別の欠点は、刺激およびアレルギー反応、鼓膜への損傷、ならびに感染による、印象を取ることに伴う健康上の危険に関する。最後に、印象プロセスは、多くの患者、特に、多くの場合、耳道の寸法の変化に対処するために、定期的(例えば、4ヶ月毎)に印象をとることが必要とされる幼児にとって不快な体験である。要するに、耳の内部および外部を非侵襲性に走査し、耳の内面と外面との間の登録を取得することが可能な場合、これらの欠点を克服することができる。
【0208】
以下は、耳走査に限定されず、任意の小さい体腔を走査するために使用することができる。図12は、そのようなスキャナの実施形態の概略図である。スキャナは、2つの主要部分−スキャナ外装1001およびスキャナプローブ1002から成る。スキャナ外装は、例えば、耳1102の外部、または最大で最初の曲がりまでの耳道の第1の部分を走査するために必要とされる、より大きい視界を取得するように、プローブなしで使用されてもよい。スキャナ外装の大きい視界は、個々の副走査間の良好な登録および高い全体的な精度を取得するために重要である。スキャナプローブ1202をスキャナ外装1201に取り付けることによって、組み合わされたスキャナは、耳1203の内部等の小さく、かつ曲がった腔表面の走査を可能にする。このようにして、および同一のシステムを使用して、組み合わされたスキャナ外装とプローブとは、より小さい内部域とともに、より大きい外部域の両方を走査することが可能である。図12では、スキャナ実施形態1001の外部は、平行化光学素子1004を使用して平行化される発散光源1003(レーザ、LED、タングステン、または別の種類の)から成る。平行化光は、不透明パターン、例えば、フリンジをその上に有する透明対象物1005(例えば、ガラス)を照射するために使用される。パターンは、続いて、好適な光学システムを使用して走査される対象物上に結像される。パターンは、類似する光学システムおよびカメラ1006を使用して観測され、後者は、腔の外に配置される。個々のピクセル振幅に含有される、走査対象物にわたるパターンの移動によって作り出される光振動を観測することによって、2D画像から3D情報が取得される。
【0209】
パターンの移動を促進するために、一実施形態では、フリンジパターン1005は、回転する。別の実施形態では、フリンジパターンは、特定の振動周波数よって光軸に対して垂直な面内を移動する並進板上に配置される。走査対象物から、および走査対象物への光は、一実施形態では、プリズム立方体から成り、別の実施形態では、傾斜した板または膜から成るビームスプリッタ配設1007を通して投影される。ビームスプリッタは、光源をシステムのさらに下に伝送する働きをし、一方で、同時に、走査対象物から、光源およびビームスプリッタの軸に対して垂直な軸上に配置されるカメラに戻る反射光を誘導する。
【0210】
焦点面を移動させるために、スキャナ外装は、一実施形態では、単一の可動式レンズ1008から成る、焦点光学素子を含む。焦点光学素子の目的は、必要とされる走査範囲内で、および光軸に沿って、結像システム全体の焦点面の移動を促進することである。一実施形態では、スキャナ外装1101の焦点光学素子は、図13aに示されるように、追加の光学素子のいかなる使用もなく、光の焦点を直接合わせることができる、対物レンズを含む。別の実施形態では、スキャナ外装は、大きい、例えば、ヒトの耳1102の外部を走査するのに十分に大きい視界を伴って設計された広角対物レンズを備えて供給される。
【0211】
スキャナプローブの光学部分は、内視鏡的光リレーシステム1009から成り、プローブ対物レンズ1010がそれに続き、これらの両方の直径は、ヒトの耳道に適合するのに十分に小さい。これらの光学システムは、複数の光ファイバおよびレンズの両方から成ってもよく、スキャナ外装からの光を輸送し、走査対象物1014(例えば、耳の内面)上に焦点を合わせる、ならびに走査対象物からスキャナ外装に戻る反射光を平行化し、輸送する働きをする。一実施形態では、プローブ対物レンズは、フリンジパターンの走査対象物上へのテレセントリック投影を提供する。テレセントリック投影は、獲得された2D画像の3D画像へのデータマッピングを大幅に容易にすることができる。別の実施形態では、プローブ対物レンズからの主光線(各光束の中心光線)は、図13aに示されるように、カメラにゼロより大きい画角を提供するように、発散している(非テレセントリック)。
【0212】
焦点面の位置は、焦点光学素子1008によって制御され、少なくとも走査表面1014と一致するのに十分に大きい範囲内を移動させることができる。前述されるように、焦点面の異なる位置で、およびフリンジパターンの異なる位置で、多数の2D画像を収集することによって、単一の副走査が取得される。焦点面が、単一のピクセル位置で走査表面と一致する際、フリンジパターンは、高コントラストを伴って、焦点が合っている表面点上に投影され、それによって、ピクセル値の経時的な大きい変動、または振幅を生じさせる。したがって、各ピクセルについて、各ピクセルに焦点が合わせられる焦点光学素子の個々の設定を識別することが可能である。光学システムの知識を使用することによって、個々のピクセル基準で、コントラスト情報対焦点面の位置を3D表面情報に変換することが可能である。
【0213】
一実施形態では、単一の反射鏡、もしくはプリズム、または鏡の配設から成る鏡配設1011は、プローブ対物レンズ1010の後に位置する。この配設は、光線をプローブ軸とは異なる視方向に反射する働きをする。異なる例示的鏡配設が、図15a〜図15dに見られる。1つの特定の実施形態では、鏡の垂線と光軸との間の角度は、約45度であり、したがって、プローブ軸に対して90度の視野−丸角を見るのに理想的な配設を提供する。透明窓1012は、光がプローブと走査対象物との間を通過できるようにし、一方で、光学素子を外の塵粒子からきれいに保つように、鏡に隣接して位置し、プローブケーシング/外郭構造の一部である。
【0214】
スキャナオペレータによって必要とされるプローブの移動を低減するために、鏡配設は、モータ1013を使用して回転させられてもよい。一実施形態では、鏡配設は、一定速度で回転する。単一の鏡の完全回転によって、このように、プローブを物理的に移動させることなく、プローブ軸の周りに360度の被覆範囲を走査することが可能である。この場合、プローブ窓1012は、あらゆる角度を見ることができるようにするために、プローブを囲む/周回する必要がある。別の実施形態では、鏡は、特定の回転振動周波数によって回転する。さらに別の実施形態では、プローブ軸に対して傾いた鏡配設は、特定の振動周波数によって変動させられる。
【0215】
特定の実施形態は、単一の鏡の代わりに、二面鏡を使用する(図15bおよび図15d)。特別な場合では、2つの鏡の垂線は、相互に対して約90度の角を成す。二面鏡の使用は、2つの反対の表面の情報が、このように、同時に取得されるので、個々の副走査の登録を助長する。二面鏡を使用する別の利益は、360度全部を走査するために、180度のみの鏡回転が必要とされるということである。したがって、二面鏡を採用するスキャナ解決策は、単一の鏡構成よりも短い時間での360度の被覆範囲を提供し得る。
【0216】
(「ピストル様」のグリップ)
図20は、ピストル様のグリップ2001を有するスキャナの実施形態を示す。この形態は、特に人間工学的である。図20のスキャナは、歯の口腔内走査用に設計される。先端2002は、スキャナの本体から取り外すことができ、オートクレーブすることができる。さらに、先端は、スキャナの本体に対して、2つの位置、すなわち、下向き(図20のような)および上向きを有することができる。したがって、オペレータにとって、患者の上口および下口の走査が同等に快適である。図20に示されるスキャナは、試験目的のためだけのいくつかのケーブルが取り付けられた、初期の試作品であることに留意する。
【0217】
いくつかの実施形態が詳細に記載され、示されてきたが、本発明は、それらに限定されず、また、以下の特許請求の範囲において定義される主題の範囲内の他の方法でも具現化され得る。特に、本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態が利用されてもよく、構造的および機能的修正が行われてもよいことが理解される。
【0218】
いくつかの手段を列挙するデバイス請求項では、これらの手段のうちのいくつかを、ハードウェアの1つの、かつ同一のアイテムによって具現化することができる。特定の測定値が、相互に異なる従属請求項において列挙される、または異なる実施形態において記載されるという単なる事実は、これらの測定値の組み合わせを、利益をもたらすために使用することができないということを示唆しない。
【0219】
「備える(comprises)/備える(comprising)」という用語は、本明細書において使用されるとき、提示される特徴、整数、ステップ、または構成要素の存在を指定すると理解され、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、構成要素、もしくはその群の存在または追加を排除しないことが強調されるべきである。
【0220】
上述される方法、および以下の方法の特徴は、ソフトウェアに実装され、データ処理システム上で、またはコンピュータ実行可能な命令の実行によってもたらされる他の処理手段によって実行されてもよい。命令は、記憶媒体から、またはコンピュータネットワークを介して別のコンピュータからRAM等のメモリに読み込まれたプログラムコード手段であってもよい。代替として、記載される特徴は、ソフトウェアの代わりに、またはソフトウェアとの組み合わせで、配線接続された回路によって実施されてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の表面の少なくとも一部の3D幾何学的形状を取得および/または測定するスキャナであって、該スキャナは、
センサ要素のアレイを収容する少なくとも1つのカメラと、
空間パターンを取り込むプローブ光を生成する手段と、
該プローブ光を該対象物に向かって伝送し、それによって、1つ以上の構成の該パターンによって該対象物の少なくとも一部を照射する手段と、
該対象物から該カメラまで戻される光の少なくとも一部を伝送する手段と、
該スキャナと該対象物との固定した空間関係を維持しながら、該対象物上での該パターンの焦点面の位置を変動させる手段と、
該センサ要素のアレイから少なくとも1つの画像を取得する手段と、
各焦点面位置において、少なくとも1つの画像ピクセルと加重関数との間の相関測度を評価する手段であって、該加重関数は、該空間パターンの構成の情報に基づいて決定される、手段と、
データ処理手段であって、
a)該相関測度の分析によって、
焦点面位置の範囲に対する複数の画像ピクセルの各々、または
焦点面位置の範囲に対する画像ピクセルの複数の群の各々
の該焦点位置を決定することと、
b)焦点データを3D実世界座標に変換することと
を行うデータ処理手段と
を備える、スキャナ。
【請求項2】
前記対象物から前記カメラまで戻される前記光は、反射光および/または散乱光および/または蛍光および/またはリン光である、請求項1に記載のスキャナ。
【請求項3】
前記相関測度を評価する手段は、データ処理手段である、請求項1または2に記載のスキャナ。
【請求項4】
前記相関測度を評価する手段は、光学的手段である、請求項1または2に記載のスキャナ。
【請求項5】
前記相関測度は、複数の前記焦点面位置について計算される、選択的に平滑化された一連のドット積の少なくとも局所極値位置として、実質的に数学的に見出される、請求項1〜4のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項6】
各ドット積は、センサ信号を表す2つ以上の要素を有する信号ベクトルと、加重の該信号ベクトルと同一の長さの加重ベクトルとから計算される、請求項1〜5に記載のスキャナ。
【請求項7】
前記パターンは、時間的に変動している、請求項1〜6のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項8】
前記時変パターンは、時間的に周期的に変動している、請求項1〜7に記載のスキャナ。
【請求項9】
前記パターンは、静的である、請求項1〜8のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項10】
前記対象物から前記カメラまで戻される光を伝送する前記手段は、前記パターンによって該対象物の前記照射された部分を該カメラ上に結像する手段を備える、請求項1〜9のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項11】
前記対象物から前記カメラまで戻される光を伝送する前記手段は、前記パターン自体および該対象物から該カメラまで戻される光の重畳を該カメラ上に結像する手段を備えることにより、該カメラ上の画像は、該パターンによって該対象物の前記照射された部分と該パターン自体との実質的に乗算である、請求項1〜10のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項12】
前記パターンの組み込まれた空間構造は、時間的に変動している、請求項1〜11のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項13】
少なくとも1つの光源と、パターン生成手段とを備える、請求項1〜12のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項14】
前記プローブ光生成手段からの光は、前記パターン生成手段を通して伝送され、それによって、前記パターンを生成する、請求項1〜13に記載のスキャナ。
【請求項15】
前記パターン生成手段は、透明部分および不透明部分のマスクを備える、請求項13または14のいずれかに記載のスキャナ。
【請求項16】
前記不透明部分は、入射光を吸収する、請求項1〜15に記載のスキャナ。
【請求項17】
前記パターンは、並進および/または回転の周期性を保有する、請求項1〜16のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項18】
前記対象物を照射する前記パターンは、該パターンを並進および/または回転させることによって、時間的に変動している、請求項1〜17のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項19】
前記対象物から戻される光は、前記カメラ上に結像される前に、前記パターン生成手段を通して再伝送され、好ましくは、前記プローブ光とは反対方向に再伝送される、請求項13〜18のいずれかに記載のスキャナ。
【請求項20】
前記対象物を照射する前記パターンの前記画像は、該パターン自体の画像と一致している、請求項1〜19のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項21】
前記センサ要素の暴露時間をパターン振動時間と同期させる手段をさらに備える、請求項1〜20のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項22】
前記センサ要素の暴露時間は、光振動サイクルの整数倍である、請求項1〜21のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項23】
前記センサ要素の暴露時間は、前記光振動サイクルの少なくとも10倍等、該光振動サイクルの少なくとも100倍等の光振動サイクルの多数倍である、請求項1〜22のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項24】
前記光源からの光は、前記パターン生成手段を通して伝送され、それによって、前記パターンを生成する、請求項13〜23のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項25】
前記カメラの前記焦点面は、前記パターンの前記焦点面と同期して移動させられるように適合される、請求項1〜24のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項26】
前記対象物は、外耳道等の解剖学的対象物、または歯等の歯科対象物である、請求項1〜25のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項27】
前記プローブ光を前記対象物に向かって伝送するための、および/または該対象物から前記カメラまで戻される光を結像するための光学システムを備える、請求項1〜26のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項28】
光学経路内に位置する少なくとも1つのビームスプリッタをさらに備える、請求項1〜27のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項29】
前記対象物の画像は、少なくとも1つのビームスプリッタによって前記カメラ内に形成される、請求項1〜28のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項30】
前記パターンは、前記対象物から前記カメラまで伝送される反射光と同一の光軸に沿って、該対象物に向かって伝送される、請求項1〜29のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項31】
前記光学システムは、レンズシステムを備える、請求項1〜30のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項32】
1つのレンズシステムは、前記パターンを前記対象物に向かって伝送し、該対象物から前記カメラまで戻される光を結像する、請求項1〜31のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項33】
1つのレンズシステムは、前記パターンを前記対象物に向かって伝送し、該対象物から前記パターン生成手段まで戻る前記光を結像する、請求項1〜32のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項34】
前記1つのレンズシステムは、テレセントリックまたは近テレセントリックである、請求項31〜33に記載のスキャナ。
【請求項35】
前記パターンは、前記対象物から前記カメラに結像される光の反対方向に伝送される、請求項1〜34のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項36】
前記パターンは、前記対象物から前記パターン生成手段に結像される光の反対方向に伝送される、請求項1〜35のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項37】
前記センサ信号は、前記対象物の前記表面から実質的に反射される積分光強度である、請求項1〜36のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項38】
前記焦点面位置は、所定の周波数で周期的に変動させられる、請求項1〜37のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項39】
前記周波数は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9Hz等、または少なくとも10Hz等、少なくとも20、40、60、80Hz、または少なくとも100Hz等、少なくとも1Hzである、請求項1〜38に記載のスキャナ。
【請求項40】
少なくとも1つの焦点要素をさらに備える、請求項1〜39のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項41】
前記焦点要素は、前記レンズシステムの一部である、請求項1〜40に記載のスキャナ。
【請求項42】
前記焦点要素を調整、および制御する手段をさらに備える、請求項40〜41のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項43】
前記焦点要素は、単一のレンズである、請求項40〜42のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項44】
前記焦点要素の位置を調整する並進ステージをさらに備える、請求項40〜43のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項45】
前記焦点要素は、前記光軸に沿って前後に並進させられる、請求項40〜44のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項46】
前記レンズシステムは、全ての焦点面位置に対してテレセントリックまたは近テレセントリックである、請求項31〜45のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項47】
焦点ギアリングをさらに備える、請求項40〜46のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項48】
前記焦点ギアリングは、0.1と1との間等、1と10との間等、2と8との間等、3と6との間等、少なくとも10等、少なくとも20等、0.1と100との間である、請求項1〜47に記載のスキャナ。
【請求項49】
前記焦点要素調整システムからの振動および/または振盪を低減および/または排除し、それによって、前記スキャナの安定性を増大させる手段をさらに備える、請求項40〜48のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項50】
前記焦点要素調整システムの質量中心を固定および/または維持する手段をさらに備える、請求項40〜49のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項51】
前記焦点要素調整システムからの第1次、第2次、第3次、および/またはより高次の振動および/または振盪を低減および/または排除し、それによって前記スキャナの安定性を増大させる手段をさらに備える、請求項40〜50のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項52】
前記焦点要素の移動を実質的に平衡させるカウンターウェイトをさらに備える、請求項1〜51のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項53】
前記カウンターウェイトを前記焦点要素の移動と反対に並進させる手段をさらに備える、請求項1〜52に記載のスキャナ。
【請求項54】
前記カウンターウェイトと前記焦点要素とは接続され、同一の並進手段によって駆動される、請求項52または53に記載のスキャナ。
【請求項55】
前記焦点要素は、液体レンズである、請求項40〜54のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項56】
前記パターン生成手段は、不透明マスクとともに、少なくとも1つの半透明および/または透明なパターン要素を備える、請求項13〜55のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項57】
前記パターンは、静的な線状パターンまたは静的な市松模様パターンである、請求項1〜56のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項58】
前記パターン要素を回転および/または並進させる手段をさらに備える、請求項56または57に記載のスキャナ。
【請求項59】
前記パターン要素は、ホイールである、請求項56〜58のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項60】
前記マスクは、回転および/または並進の周期性を保有する、請求項56〜59のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項61】
前記マスクは、好ましくは対称な順序に配設される、複数の放射状スポークを備える、請求項56〜60のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項62】
前記パターン要素は、光学経路内に位置する、請求項56〜61のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項63】
光は、前記パターン要素を通して伝送され、好ましくは、該パターン要素を通して横方向に伝送される、請求項56〜62のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項64】
前記時変パターンは、前記パターン要素を回転および/または並進させることによって生成される、請求項56〜63のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項65】
セグメント化LED等の、少なくとも1つのセグメント化光源を備える、請求項1〜64のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項66】
前記パターンは、前記セグメント化光源(単数または複数)によって生成される、請求項1〜65に記載のスキャナ。
【請求項67】
前記時変パターンは、前記セグメント化光源(単数または複数)の個々のセグメントをオンおよびオフに切り替えることによって生成される、請求項65または66のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項68】
前記時変パターン振動をセンサ要素の積分時間と同期させる手段をさらに備える、請求項7〜67のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項69】
前記時変パターンおよび/または前記パターン生成手段の位相および/または位置および/または角度位置を登録および/または監視する手段をさらに備える、請求項13〜68のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項70】
前記時変パターンおよび/または前記パターン要素の前記位相および/または前記位置および/または前記角度位置は、該パターン要素上の位置エンコーダを用いて登録される、請求項56〜69のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項71】
複数の前記センサ要素の各々を1回のパターン振動周期中に複数回サンプリングする手段をさらに備え、好ましくは、各パターン振動周期中に2回、3回、4回、5回、6回、7回、または8回サンプリングする等、整数回サンプリングされ、それにより、次式を使用して、前記相関測度を決定し、
【数15】

ここで、nは、サンプリングされる回数であり、Aは、感知要素jの推定相関測度であり、fl,j、...、fn,jは、該サンプリングされる回数の各々における前記空間パターンの構成の情報に基づく加重関数の値であり、I1,j、...、In,jは、該サンプリングされる回数の各々において記録されたセンサ信号である、請求項7〜70のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項72】
前記対象物表面の少なくとも一部は、前記カメラ内に結像される、請求項1〜71のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項73】
前記パターンの前記対象物表面の少なくとも一部との重畳は、前記カメラ内に結像される、請求項1〜72のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項74】
前記対象物から反射される光は、前記カメラに進入する前に、前記パターン生成手段を通して再伝送され、好ましくは、反対方向に再伝送される、請求項13〜73のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項75】
最大で2回、5回、10回、20回、50回、100回、250回、500回、1000回、5000回、または最大で10000回のパターン振動周期等、複数のパターン振動周期にわたって、複数の前記センサ要素の各々を記録する手段をさらに備える、請求項7〜74のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項76】
焦点面位置の範囲にわたって、複数の前記センサ要素の各々の最大信号値を決定する手段をさらに備える、請求項1〜75に記載のスキャナ。
【請求項77】
前記測定された3D幾何学的形状の解像度は、前記カメラの解像度に等しい、請求項1〜76のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項78】
前記測定された3D幾何学的形状の前記解像度は、前記カメラの前記解像度よりも、少なくとも2倍低い等、少なくとも3倍低い等、少なくとも4倍低い等、少なくとも5倍低い等、低い、請求項1〜77のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項79】
前記センサ要素アレイは、センサ要素の群に分割され、好ましくは、隣接するセンサ要素であるセンサ要素の正方形の群等の、長方形の群に分割される、請求項1〜78のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項80】
線状パターンまたは市松模様パターン等の前記パターンの画像は、前記センサ要素のアレイの横列および/または縦列と整列している、請求項1〜79のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項81】
前記パターンの少なくとも1つの空間周期は、センサ要素の群に対応する、請求項1〜80のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項82】
前記パターンの1つ以上の縁部は、前記センサ要素のアレイの1つ以上の縁部と整列しているか、および/または一致する、請求項1〜81のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項83】
センサ要素の群内の前記相関測度は、次式によって決定され、
【化12】

ここで、Aは、標識jを有する該センサ要素の群の該相関測度であり、nは、該群内のセンサ要素の数であり、f1,j、...、fn,jは、前記空間パターンの構成の情報に基づく加重関数の値であり、I1,j、...、In,jは、該群内の該センサ要素の各々において記録されたセンサ信号である、請求項1〜82のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項84】
センサ要素の群全体にわたる前記加重関数の積分は、前記標識jを有する群については、ゼロ、すなわち、
【化13】

であり、それによって、前記相関測度のDC部分を抑制する、請求項1〜83に記載のスキャナ。
【請求項85】
鏡面的および/または拡散的に反射された光の選択的結像のための手段をさらに備える、請求項1〜84のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項86】
偏光要素等の、前記プローブ光を偏光させる手段をさらに備える、請求項1〜85のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項87】
少なくとも1つの偏光ビームスプリッタをさらに備える、請求項1〜86のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項88】
前記対象物の画像は、少なくとも1つの偏光ビームスプリッタによって前記カメラ内に形成される、請求項1〜87のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項89】
前記プローブ光および/または前記対象物から反射される光の偏光状態を変化させる手段をさらに備える、請求項1〜88のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項90】
前記光学経路内に位置する遅延板および直線偏光要素であって、四分波遅延板等の遅延板をさらに備える、請求項1〜89のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項91】
少なくとも1つの光反射要素をさらに備え、該光反射要素は、前記光軸とは異なる方向に、前記プローブ光を方向付け、および/または対象物を結像するために、好ましくは該光軸に沿って位置する、鏡等の光反射要素である、請求項1〜90のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項92】
前記光軸の方向に前記走査表面の拡張を増大させる手段をさらに備える、請求項1〜91に記載のスキャナ。
【請求項93】
異なる波長および/または異なる偏光を有する光源等の、少なくとも2つの光源を備える、請求項1〜92のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項94】
前記少なくとも2つの光源を制御する制御手段をさらに備える、請求項1〜93に記載のスキャナ。
【請求項95】
異なる波長および/または異なる偏光状態を有する光源等の前記少なくとも2つの光源からの光を組み合わせるか、および/または併合する手段をさらに備える、請求項93または94のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項96】
異なる波長および/または異なる偏光状態を有する光源等の少なくとも2つの光源からの光を分離する手段をさらに備える、請求項93〜95のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項97】
部分的に光を伝送し、部分的に光を反射する少なくとも1つの光学デバイスをさらに備え、該光学デバイスは、好ましくは、前記光軸に沿って位置する 、コーティングされた鏡またはコーティングされた板等の光学デバイスである、請求項1〜96のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項98】
前記光学デバイスのうちの少なくとも2つを備え、該光学デバイスは、好ましくは、前記光軸に沿って変位している、請求項1〜97に記載のスキャナ。
【請求項99】
前記光学デバイスのうちの少なくとも1つは、特定の波長および/または偏光で光を伝送し、別の波長および/または偏光で光を反射する、請求項97または98に記載のスキャナ。
【請求項100】
異なる波長および/または偏光を有する、少なくとも第1および第2の光源を備え、
前記光学経路に沿って位置する第1の光学デバイスは、該第1の光源からの光を前記光軸とは異なる方向に反射し、該第2の光源からの光を伝送し、
該光学経路のさらに下方に位置する第2の光学デバイスは、該第2の光源からの光を該光軸とは異なる方向に反射する、請求項97〜99のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項101】
前記第1および第2の光学デバイスは、前記プローブ光を平行方向に、好ましくは、前記光軸に対して垂直な方向に反射し、それによって、前記対象物表面の異なる部分を結像する、請求項1〜100に記載のスキャナ。
【請求項102】
前記対象物表面の前記異なる部分は、少なくとも部分的に重複している、請求項1〜101に記載のスキャナ。
【請求項103】
前記光源と前記焦点要素との協調を提供する制御手段を備える、請求項93〜102のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項104】
前記光軸に対して垂直な方向等の該光軸とは異なる方向に、前記プローブ光を方向付けるか、および/または対象物を結像するための、少なくとも1つの湾曲した折畳み式鏡をさらに備える、請求項1〜103のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項105】
非球面であってもよい表面を有するレンズ等の1つ以上の光学要素をさらに備えることにより、補正された光学的結像を提供する、請求項1〜104に記載のスキャナ。
【請求項106】
前記光軸に対して垂直な方向等の該光軸とは異なる方向に、前記プローブ光を方向付けるか、および/または対象物を結像するための、少なくとも1つの格子をさらに備える、請求項1〜105のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項107】
前記格子は、アナモルフィック拡大を提供し、それによって、走査されている前記対象物上の前記パターンの前記画像は伸張される、請求項1〜106に記載のスキャナ。
【請求項108】
前記格子は、ブレーズされる、請求項106または107に記載のスキャナ。
【請求項109】
プローブ光の発光点、および反射光の集積点は、プローブ上に位置し、該プローブは、体腔等の腔に進入させられるように適合される、請求項1〜108のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項110】
前記プローブは、口内の複数の歯等の腔内の1つ以上の対象物を走査するように適合される、請求項1〜109に記載のスキャナ。
【請求項111】
前記プローブは、外耳道等の腔の表面の少なくとも一部を走査するように適合される、請求項109に記載のスキャナ。
【請求項112】
a)前記カメラ、パターン生成手段、焦点変動手段、およびデータ処理手段を収容する筐体と、
b)第1の光学システムを収容する少なくとも1つのプローブと
を備える、請求項1〜111のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項113】
前記筐体は、第2の光学システムを備える、請求項1〜112に記載のスキャナ。
【請求項114】
前記プローブは、内視鏡である、請求項112または113のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項115】
前記プローブは、前記プローブ光および/または前記対象物表面からの前記反射光を伝送するための、少なくとも1つの光ファイバおよび/またはファイバ束を備える、請求項112〜114のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項116】
前記プローブは、前記筐体から着脱可能である、請求項112〜115のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項117】
前記プローブは、剛性または可撓性である、請求項112〜116のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項118】
プローブ光の前記発光点および反射光の前記集積点は、前記プローブ上に位置する、請求項112〜117のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項119】
プローブ光の第1の発光点および反射光の第1の集積点は、前記プローブ上に位置し、
プローブ光の第2の発光点および反射光の第2の集積点は、前記筐体上に位置する、請求項112〜118のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項120】
前記プローブ光は、前記光軸および/または前記プローブの縦軸と実質的に平行な方向に、前記対象物に向かって方向付けられる、請求項112〜119のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項121】
前記プローブは、前記プローブ光を、前記光軸とは異なる方向、好ましくは前記プローブ軸に対して垂直な方向に方向付けるための、鏡またはプリズム等の後方反射要素を備える、請求項112〜120のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項122】
好ましくは前記光軸と実質的に平行な軸の周りに、前記反射要素を回転させる手段をさらに備える、請求項1〜121に記載のスキャナ。
【請求項123】
前記プローブは、好ましくはプローブおよび/またはスキャナの回転を伴わずに、前記光軸および/または該プローブの前記縦軸の周りに360°の走査を提供するように適合される、請求項112〜122のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項124】
複数の異なるプローブは、前記筐体に合致する、請求項112〜123のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項125】
ヒトの耳の内部を走査するように適合される第1のプローブと、該ヒトの耳の外部を走査するように適合される第2のプローブとを備える、請求項112〜124のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項126】
前記筐体は、3D表面走査を実施するように適合される、請求項112〜125のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項127】
前記プローブが取り付けられた前記筐体は、ヒトの耳の内部を走査するように適合され、該プローブが着脱された該筐体は、該ヒトの耳の外部を走査するように適合される、請求項112〜126のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項128】
前記耳の内部と外部とに対する3Dデータを併合し、および/または組み合わせ、それによって、ヒトの耳の完全3Dモデルを提供する手段をさらに備える、請求項112〜127のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項129】
歯科印象および/または耳道印象の走査等の印象走査に適合される、請求項1〜128のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項130】
口腔内走査、すなわち、口腔内の歯および周辺軟組織の直接走査に適合される、請求項1〜129のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項131】
歯科印象、石膏モデル、ワックス咬合、義歯、および支台の走査等の歯科用途に対して適合される、請求項1〜130のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項132】
皮膚科または美容術用途における皮膚の3D構造の走査に適合される、請求項1〜131のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項133】
宝飾品、または宝飾品全体もしくは宝飾品の一部のワックスモデルの走査に適合される、請求項1〜132のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項134】
工業用部品の走査および/または品質管理に適合される、請求項1〜133のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項135】
可動型工業用部品の時間分解3D走査等の時間分解3D走査を提供するように適合される、請求項1〜134のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項136】
前記スキャナは、手持ち式であるように適合され、該スキャナは、少なくとも2つの部分走査を対象物の表面の3Dモデルに組み合わせるデータをもたらす1つ以上の内蔵運動センサを備え、該運動センサデータは、ソフトウェアによって見出される最適な組み合わせに対する第1の推測として使用される可能性がある、請求項1〜135のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項137】
前記スキャナは、手持ち式となるように適合され、該スキャナは、走査プロセスに関連するいくつかのソフトウェアのユーザインターフェースと対話するためのデータをもたらす1つ以上の内蔵運動センサを備える、請求項1〜136のうちのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項138】
対象物の表面の少なくとも一部の3D幾何学的形状を取得および/または測定する方法であって、該方法は、
空間パターンを取り込むプローブ光を生成するステップと、
該プローブ光を光学システムの光軸に沿って該対象物に向かって伝送し、それによって、該パターンによって該対象物の少なくとも一部を照射するステップと、
該対象物からカメラまで戻される光の少なくとも一部を伝送するステップと、
該スキャナと該対象物との固定した空間関係を維持しながら、該対象物上の該パターンの焦点面位置を変動させるステップと、
センサ要素のアレイから、少なくとも1つの画像を取得するステップと、
少なくとも1つの画像ピクセルと加重関数との間の、各焦点面位置における相関測度を評価することであって、該加重関数は、該空間パターンの構成の情報に基づいて決定される、ステップと、
該相関測度の分析によって、
該焦点面位置の範囲に対する該カメラ内の複数の画像ピクセルの各々、または
該焦点面の範囲に対する該カメラ内の画像ピクセルの複数の群の各々
の焦点位置(単数または複数)を決定するステップと、
焦点データを3D実世界座標に変換するステップと
を含む、方法。
【請求項139】
プログラムコード手段を備え、該プログラムコード手段がデータ処理システム上で実行されると、該データ処理システムに請求項1〜138に記載の方法を実施させる、コンピュータプログラム製品。
【請求項140】
自身に前記プログラムコード手段が記憶されているコンピュータ可読媒体を備える、請求項1〜139に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項141】
対象物の表面の少なくとも一部の3D幾何学的形状を取得および/または測定するスキャナであって、該スキャナは、
センサ要素のアレイを収容する少なくとも1つのカメラと、
プローブ光を生成する手段と、
該プローブ光を該対象物に向かって伝送し、それによって、該対象物の少なくとも一部を照射する手段と、
該対象物から該カメラまで戻される光を伝送する手段と、
該対象物上の焦点面の位置を変動させる手段と、
該センサ要素のアレイから少なくとも1つの画像を取得する手段と、
手段であって、
a)焦点面位置の範囲に対する複数の該センサ要素の各々、または
焦点面位置の範囲に対する該センサ要素の複数の群の各々
の焦点位置(単数または複数)を決定することと、
b)焦点データを3D実世界座標に変換することと
を行う手段と
を備え、
該スキャナは、該焦点面位置を変動させる該手段を平衡させるカウンターウェイト手段をさらに備える、スキャナ。
【請求項142】
対象物の表面の少なくとも一部の3D幾何学的形状を取得および/または測定する方法であって、該方法は、
センサ要素のアレイを収容するステップと、
プローブ光を生成するステップと、
該プローブ光を該対象物に向かって伝送し、それによって、該対象物の少なくとも一部を照射するステップと、
該対象物からカメラまで戻される光を伝送するステップと、
該対象物上の焦点面の位置を変動させるステップと、
該センサ要素のアレイから、少なくとも1つの画像を取得するステップと、
焦点位置(単数または複数)であって、
該焦点面位置の範囲に対する複数の該センサ要素の各々、または
該焦点面位置の範囲に対する該センサ要素の複数の群の各々
の焦点位置を決定するステップと、
焦点データを3D実世界座標に変換するステップと
を含み、
該方法は、該焦点面の位置を変動させる手段を平衡させるステップをさらに含む、方法。
【請求項143】
口腔または耳内走査において使用するための、前記スキャナの主光軸から30度より大きい角度にあるグリップを有する、手持ち式3Dスキャナ。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図12】
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【図13a】
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【図13b】
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【図14】
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【図15a】
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【図15b】
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【図15c】
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【図15d】
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【図16】
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【図17a】
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【図17b】
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【図17c】
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【図17d】
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【図17e】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公表番号】特表2012−530267(P2012−530267A)
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−515357(P2012−515357)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際出願番号】PCT/DK2010/050148
【国際公開番号】WO2010/145669
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(508158023)
【Fターム(参考)】