説明

焦点調節装置を備えたカメラ

【課題】一度合焦させた後に再度焦点調節動作させる場合は、部分的にサーチさせて焦点調節に要する時間を短縮できる動焦点調節装置を備えたカメラを提供する。
【解決手段】合焦サーチ範囲内において焦点調節レンズ群を移動しながら被写体像のコントラストを検出して合焦位置を検出する合焦サーチ機能およびこの検出された合焦位置に前記焦点調節レンズ群を移動するレンズ駆動機能を備えた焦点調節装置と、前記焦点調節レンズ群を合焦位置に移動したときに前記撮像手段により撮像した合焦時の画像を記憶手段と、その後に前記焦点調節装置が作動するときは、焦点調節レンズ群を移動する前に撮像してその撮像した画像と前記記憶した合焦時の画像とを比較する比較手段とを備え、前記焦点検出装置は、この比較手段が前記合焦時の画像と現在の画像とが一致乃至所定の一致度内であると判定することを含む所定の条件を満足したときは、合焦サーチ範囲を現在の焦点調節レンズ群位置を含む所定範囲内に限定して動作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焦点調節装置、より詳細には画像コントラスト方式の焦点調節装置を備えたカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、焦点調節レンズ群を、近端(最短合焦位置)または無限遠端(無限遠合焦位置)から無限遠端または近端までサーチして焦点状態を検出する画像コントラスト方式の焦点調節装置を備えたデジタルカメラにおいて、サーチ途中でコントラストのピークが出現した場合にそのピークを合焦位置としてサーチを停止させるものが知られている(特許文献1)。かかるデジタルカメラは、通常レリーズボタンの半押しで前記サーチを開始する。さらに、サーチ時間を短縮するために、現在の焦点調節レンズ群の位置が無限遠端に近い場合は無限遠端からサーチを開始し、近端に近い場合は近端からサーチを開始するデジタルカメラが知られている(特許文献2)。
また、手振れ補正装置を備えたカメラにおいて、ジャイロセンサの出力に基づいてチルトまたはパーンなのか、あるいは手振れなのかを検出して、チルトまたはパーンの場合は自動焦点調節動作を実行するカメラが知られている(特許文献3)。
【特許文献1】特開2002-311325号公報
【特許文献2】特開2002-072074号公報
【特許文献3】特開平06-153053号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら従来のデジタルカメラでは、一度サーチして合焦した後、被写体がほとんど変わらない状態で再度レリーズボタンが半押しされた場合であっても、再度近端または無限遠端からサーチさせるので、被写体が存在しない範囲についてのサーチ時間を要してしまう場合がある。
【0004】
そこで本発明は、画像コントラスト方式の焦点調節装置を備えたカメラにおいて、一度合焦させた後に再度焦点調節動作させる場合は、部分的にサーチさせて焦点調節に要する時間を短縮できる動焦点調節装置を備えたカメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる課題を解決する本発明は、設定された合焦サーチ範囲内において焦点調節レンズ群を移動しながら撮像手段により撮像して得た複数位置の画像のコントラストに基づいて合焦位置を検出する合焦サーチ機能と、この検出された合焦位置に前記焦点調節レンズ群を移動するレンズ駆動機能を備えた焦点調節装置と、前記焦点調節レンズ群を合焦位置に移動したときに前記撮像手段により撮像した合焦時の画像を記憶する記憶手段と、その後前記焦点調節装置が作動するときは、焦点調節レンズ群を移動する前に前記撮像手段により撮像してその撮像した画像と前記記憶した合焦時の画像とを比較する比較手段とを備え、前記焦点検出装置は、この比較手段が前記合焦時の画像と現在の画像とが一致乃至所定の一致度内であると判定することを含む所定の条件を満足したときは、合焦サーチ範囲を現在の焦点調節レンズ群位置を含む所定範囲内に限定して動作すること、に特徴を有する。
【0006】
実際的には、前記合焦サーチ範囲の限定は、限定した合焦サーチ範囲内において焦点調節レンズ群を移動しながら撮像手段により撮像して得た複数位置の画像のコントラストに基づいて現在の焦点調節レンズ群位置を合焦位置と判定できる範囲以上とする。前記焦点調節装置が前記合焦検出に使用する画像は、所定の焦点検出エリアに含まれる画像とする。
好ましい実施形態では、前記制限された合焦サーチ範囲をサーチするときは、前記焦点調節レンズ群を近位置側から無限遠位置方向にステップ移動させる。
【0007】
実施形態において、所定の条件として、以下のいずれかの条件を含ませることができる。前回合焦時から所定時間以上経過していないこと、前記撮像手段は被写体輝度が所定以上の場合と所定値未満との場合とで異なる動作モードで撮像動作をし、前記所定の条件は前記撮像手段が、前回合焦したときの撮像と今回の撮像とで同一の動作モードで動作したこと、前回合焦時の被写体輝度と今回の被写体輝度との差が所定値以内であること、前回合焦時に前記焦点調節レンズ群を停止させた位置が全合焦サーチ範囲内の所定範囲内であること、その所定範囲内は、全合焦サーチ範囲内の中央位置を含む1/3の範囲内であること、撮影モードとして接写モードが選択されていないこと、である。
【0008】
さらに、搭載されたカメラの振動、チルトおよびパーンを検出する振動検出センサを備えていて、前記所定の条件として、該振動検出センサがチルトまたはパーンを検出しないことを含ませる。
他の実施形態では、焦点調節装置は、前記制限する合焦サーチ範囲を、前記比較手段が判定した一致度が高い程狭く設定する。
前記比較手段が比較する画像は、焦点検出エリア内の被写体の画像を画素単位で二値化した被写体パターンとする。
【0009】
より実際的には、前記焦点調節装置は、前記焦点調節レンズ群をステップ移動させながら撮像手段により撮像して画像のコントラストを求める処理を繰り返し、直前の連続した複数位置におけるコトンラストの中に1個のピークが存在したときのそのピークが得られた焦点調節レンズ群の位置を合焦位置として検出し、この検出された合焦位置に前記焦点調節レンズ群を移動する。ここで前記限定する合焦サーチ範囲は、前記合焦検出に使用した複数位置を含む。
【発明の効果】
【0010】
以上の通り本発明によれば、一度合焦した後に再度AF処理をするときは、合焦サーチ範囲を所定の条件下で合焦位置を含む限定したサーチ範囲とするので、被写体が存在しない範囲をサーチすることが無く、再び合焦させるまでに要する時間を短縮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明について、添付図面に示した実施形態を参照して詳述する。図1は、本発明を適用した、コントラストAF方式の焦点調節装置を備えたデジタルカメラの要部構成をブロックで示す図である。
【0012】
このデジタルカメラは、焦点調節レンズ群L1を含む撮影レンズLにより被写体像を、撮像手段としての撮像素子(CCDイメージセンサ)11の受光面に形成する。撮像素子11は、所定間隔で縦横に配置された多数の画素(光電変換素子)を有し、受光した被写体像を各画素が電荷に変換し、蓄積(積分)する。露光が終了すると、蓄積した電荷を画素単位で画像信号として画像信号処理回路13に出力する。画像信号処理回路13は、入力した画像信号についてホワイトバランス調整等所定の調整処理、A/D変換処理を施してデジタル画像データをCPU15に出力する。つまり、画像信号処理回路13において所定の処理が施され、画素単位でデジタル変換された画像データが、CPU15に出力される。CPU15は、スルーモード(モニタモード)のときは入力した画像データをLCD(モニタ)17で表示可能な画像信号に変換してLCD17により表示し、コントラストAF処理のときは設定されたエリア内の画像データを取り込んで一時的に内部RAM(画像キャッシュメモリ)15aにメモリして処理し、記録モードのときは所定フォーマットの画像データに変換して画像メモリ制御回路19を介して画像メモリ21に書き込む。
【0013】
さらにこのデジタルカメラは、カメラボディの振動、チルトおよびパーンを検出できる振動センサとしてジャイロセンサ31を備えている。このジャイロセンサ31は、カメラボディが正位置に構えられた状態で、光軸0が上下方向および左右(水平)方向にぶれるぶれを検出できる。CPU15は、このジャイロセンサ31に出力に基づいて、カメラボディが手振れで振動しているのか、チルトまたはパーンされているのかを検出できる。
なお、このジャイロセンサ31は、カメラがいわゆる手振れ補正装置を備えている場合はその手振れ補正装置を構成するセンサを利用できる。
【0014】
図2には、マルチ測距に対応した撮像素子11の受光面(撮像面)12と焦点検出エリアとの一例として、5個の焦点検出エリアMM0、MM1、MM2、MM3、MM4およびこれらのエリアをサポートする6個のサポートエリアMS0、MS1、MS2、MS3、MS4、MS5の関係を示してある。図2(A)には、焦点検出エリアMM0乃至MM4およびサポートエリアMS0乃至MS5が含まれるフォーカス枠12aを示し、図2(B)には、焦点検出エリアMM0乃至MM4およびサポートエリアMS0乃至MS5オーバーラップ状態を模式的に示してある。
【0015】
この実施形態では、焦点検出エリアMM0乃至MM4をそれぞれ、一部のエリアを隣り合う焦点検出エリアMM0乃至MM4とオーバーラップさせ、さらに各焦点検出エリアMM0乃至MM4についてそれらを挟むサポートエリアMS0乃至MS5の一部の領域をオーバーラップさせて設定してある。
【0016】
焦点検出エリアMM0乃至MM4とサポートエリアMS0乃至MS5のオーバーラップおよび補完関係は次の通りである。
焦点検出エリアMM0は、サポートエリアMS0、MS1によりサポートされ、焦点検出エリアMM1は、サポートエリアMS0、MS2によりサポートされ、焦点検出エリアMM2は、サポートエリアMS1、MS3によりサポートされ、焦点検出エリアMM3は、サポートエリアMS2、MS4によりサポートされ、焦点検出エリアMM4は、サポートエリアMS3、MS5によりサポートされる。
各焦点検出エリアMM0乃至MM4およびそのサポートエリアMS0乃至MS5を一組のエリアとして焦点検出状態の検出に使用する。
【0017】
図3には、スポット測距に対応した、受光面12と1個の焦点検出エリアSM0およびこのエリアをサポートするサポートエリアSS0、SS1の関係を示してある。図3(A)には、焦点検出エリアSM0およびサポートエリアSS0、SS1が含まれるフォーカス枠12bを示し、図3(B)は、焦点検出エリアSM0とサポートエリアSS0、SS1のオーバーラップ状態を模式的に示している。
【0018】
この実施形態において、サポートエリアは、オーバーラップする焦点検出エリアの検出精度を高めるため、つまりオーバーラップ部分を含む焦点検出エリアとサポートエリアの両方に含まれた被写体のコントラストの検出精度を高めるために使用し、検出エリアの選択には使用しない。またこの実施形態では、スポット測距用のフォーカス枠12bの方がマルチ測距用のフォーカス枠12aよりも狭い。
【0019】
撮像素子11の受光面12には、詳細は図示しないが、各画素(光電変換素子)より被写体側に、原色フィルタとしての赤(R)フィルタ、緑(G)フィルタおよび青(B)フィルタが配置されていて、各画素は、被写体光束中、各原色フィルタR、G、Bを透過した赤、緑および青成分を受光して光電変換し、電荷として蓄積(積分)する。所定時間蓄積した電荷は、画素単位で読み出され、画像信号として出力される。なお、原色フィルタの配列はいわゆるベイヤ配列であって、2×2個の画素を1ブロックとして構成されている。
【0020】
読み出された画像信号は、公知のアルゴリズムにより処理される。例えば、コントラストAF処理では、各焦点検出エリアMM0乃至MM4内において隣り合う画素の輝度差の和をそのエリアのコントラスト値として算出する。
【0021】
また、本実施形態のコントラストAF処理では、被写体の明るさに応じて、CCD高速モードおよび小画素加算モードと、CCD低速モードおよび多画素加算モード(VGA)のいずれかに切り換わる。被写体が明るい場合は、撮像素子11の露光時間が短いCCD高速モードで動作し、さらに輝度差を求める際に1画素単位で輝度の差を求める小画素加算モードで動作する。
被写体が暗い場合は、撮像素子11の露光時間が長いCCD低速モードで動作し、さらに例えば互いに隣接する4ブロック分16個の画素の輝度を加算し、あるいは各ブロックを中央とした4×4個分の画素の輝度を加算して加算値の差を求める多画素加算モードで動作する。
【0022】
この実施形態において、コントラストAF処理のときにCPU15は、モータドライバ27、AFモータ25、レンズ駆動機構23を介して焦点調節レンズ群L1をステップ駆動しながら撮像素子11により撮像し、撮像した画像信号中、予め設定された検出エリアMM0乃至MM4内の画像信号を入力して各検出エリアMM0乃至MM4内のコントラスト値を求め、コントラストデータとして内蔵RAM15aに記憶する。CPU15は以上の処理を、焦点調節レンズ群L1を一方の移動限界位置となる近位置(至近合焦位置)または∞位置(無限遠合焦位置)から他方の移動限界位置となる∞位置または近位置方向にステップ駆動しながら繰り返す、サーチ処理を実行する。
【0023】
図4の(A)、(B)、(C)、(D)に焦点調節レンズ群L1の位置とコントラスト値の関係および焦点調節レンズ群L1の移動軌跡をグラフで示した。
【0024】
この実施形態では、焦点調節レンズ群L1の位置を、近位置(至近合焦位置)および∞位置(無限遠合焦位置)を原点センサ23a、23bで検知し、各位置からの駆動パルス数としてカウントする。駆動パルスは、例えばAFモータ25の出力軸に装着されたフォトインタラプタ等のエンコーダ26が出力するパルスとして定義する。なお、通常は、焦点調節レンズ群L1を近位置から∞位置まで駆動するのに数百パルスあるいはそれ以上要するが、説明を簡単にするために本実施形態におけるコントラストAF処理では、数パルスまたは数十パルス単位でステップ駆動(撮像)するものとし、1ステップが1個の駆動パルスおよび位置パルスに対応するものとする。
【0025】
また、この実施形態では、駆動および位置パルスをPN、初期位置(この実施形態では近位置)を0とし、∞位置方向に1ずつ増加するものとする。近位置から∞位置方向にサーチする場合も、無限位置合焦位置から近位置方向にサーチする場合も、初期位置における位置パルスを0、初期位置から他の位置にステップ駆動するときは位置パルスを加算し、初期位置方向にステップ駆動するときは位置パルスを減算するものとする。
【0026】
図6の(A)、(B)に、ピークチェックの様子を示した。この実施形態では、1個前位置(PN-1)から5個前位置(PN-5)までの連続5個位置のコントラスト値が、2回連続して増加しかつ2回連続して減少した場合に中央位置(PN-3)をピークと判定する。ピークの判定は、コントラスト値が通常a回連続増加かつb回連続減少したか否かで行い、この実施形態では、通常条件としてa=b=2、サーチ途中停止の条件としてa=b=3に設定してあるが、他の設定も可能である。
【0027】
『サーチ途中停止』
本実施形態のデジタルカメラは、コントラストAF処理において、サーチ途中でコントラストのピークが出現したときは、所定条件下でサーチ処理を途中停止させることにより、誤合焦することなく焦点調節時間の短縮を図ることができる。また、被写体が明るい場合と暗い場合とでは異なるアルゴリズムにより、以下の処理を実行する。
【0028】
「被写体が明るい場合」
被写体が明るい場合は、CCD高速駆動モード、小画素加算モードおよびシングル出現停止モードで動作する。
【0029】
被写体が明るい場合は、撮像素子21の露光時間が短く、画素加算数も暗い場合に比べて少ないため、検出エリア外のコントラストを拾ったり拾わなかったりすることが少ない。そこで、マルチ測距モードの場合は焦点検出エリアMM0乃至MM4のいずれかにコントラストのピークが出現したときにサーチ処理を途中停止させ、スポット測距モードの場合は焦点検出エリアSM0にコントラストのピークが出現したときにサーチ処理を停止させる。このサーチ処理途中停止により、焦点調節に要する時間をより短縮できる。
【0030】
「被写体が暗い場合」
被写体が暗い場合は、CCD低速駆動モード、多画素加算モードおよび複数出現停止モードで動作する。
【0031】
被写体が暗い場合は、撮像素子21の露光時間が長いため、サーチ処理中に手ぶれなどにより焦点検出エリア外のコントラスト値を拾ったり拾わなかったりし、また多画素加算モード(VGA)により画素数が増えるので焦点検出エリア外のコントラスト値を拾ったり拾わなかったりすることが多く、偽ピーク出現の可能性が高い。そこで本実施形態では、マルチ測距モードの場合は焦点検出エリアMM0乃至MM4およびそのサポートエリアMS0乃至MS5のいずれかに同時にコントラストのピークが出現したとき、スポット測距モードの場合は焦点検出エリアSM0およびそのサポートエリアSS0、SS1のいずれかに同時にコントラストのピークが出現したときにサーチ動作を停止させる。1個の焦点検出エリアにコントラストのピークが出現したときにサーチ動作を終了させるよりも、偽ピークを検出する可能性が低く、誤合焦する可能性が低い。
【0032】
なお、採用するサポートエリアMS0乃至MS5、SS0、SS1におけるピークの出現は、連続した2パルス位置または3パルス位置の範囲内としてもよい。この場合、サポートする焦点検出エリアMM0乃至MM4、SM0を選択、至近距離位置を選択、または中間位置を選択する設定にしてもよい。
【0033】
『サーチ方向』
電源ONして最初の処理、合焦が確認されていない場合などは、次のようにサーチ方向を設定したサーチ処理を実行する。
焦点検出エリアが広い、あるいは1個の焦点検出エリアは狭くても広範囲に複数が分布している場合、つまりマルチ測距の場合は、焦点調節レンズ群L1の現停止位置にかかわらず、サーチ方向を近位置から∞位置方向に固定する(図4(A)、(B)参照)。複数の焦点検出エリア内に遠近異なる距離の被写体が含まれることがあるので、サーチ方向を近位置から∞位置方向に固定することにより、近距離の被写体に優先的に合焦させることができる。
焦点検出エリアが小さい場合、例えばスポット測距の場合は、焦点調節レンズ群L1の現停止位置に応じて、サーチ方向を∞位置から近位置方向(図4(C))、または近位置から∞位置方向(図4(D))とする。スポット測距のときは、遠近の被写体が焦点検出エリアに含まれることが少ないので、サーチ処理を開始してコントラストのピークが出現したときにサーチ処理を停止させることにより、焦点調節時間が短縮される。
【0034】
『部分AFサーチ処理』
以上のサーチ処理によれば、最初に合焦させる場合の所用時間が短縮される。しかし、一旦合焦させた後に再度サーチ処理する場合において、主要被写体が変化していないか変化が少なくても、いずれかの可動端からサーチ処理をするので、主要被写体が存在しない範囲までサーチ処理してしまう。
【0035】
そこで本実施形態では、一旦合焦した後に再度AFサーチ処理を実行するときは、合焦直後の測距エリア内の被写体像と、AFサーチ処理を再実行するときの同測距エリア内の被写体像を比較処理して一致度を求め、一致している場合および一致度が所定値よりも高い場合はAFサーチ処理範囲をその被写体の前後領域に狭めて部分AFサーチ処理(部分AF処理)を実行することとし(図5(B)参照)、所要時間の短縮を図った。図5(A)には最初のAFサーチ処理の様子を示した。
【0036】
『画像比較処理』
図7に、合焦に使用した焦点検出エリア内の画像データ(輝度データ)を二値化した様子を示した。図では、7×7画素分を二値化した被写体パターンを示している。図7の(A)はAFサーチ処理を実行して焦点調節レンズ群L1を合焦位置に移動した直後に撮像した画像データを二値化した被写体パターンである。
【0037】
図7の(B)乃至(E)には、再度AF処理をするときに取得した画像データの二値化分布(被写体パターン)の実施例を示してある。この実施例の被写体パターンは、合焦時の被写体パターンに対して、(B)は完全に一致して一致度最高であり、(C)から(E)に向かって一致度が低くなっている。本実施形態では(C)の被写体パターンまでを許容範囲としている。一致度の許容範囲は、例えば、二値化した画素数比で、一致していない画素数が20パーセント以下、図7では一致していない画素数が9個以下であること、とする。
【0038】
また、ズームレンズを備えている場合、焦点距離によって許容範囲を変えることが好ましい。例えば、焦点距離が短い場合は許容範囲を狭く、焦点距離が長くなる程許容範囲を広くする。
【0039】
次に、このデジタルカメラにおけるコントラストAF動作について、図8乃至図16に示したフローチャートを参照してより詳細に説明する。図8は、このデジタルカメラのメインシーケンスをフローチャートで示す図である。このメインシーケンスには、バッテリ(図示せず)が装填されたときに入る。
【0040】
メインシーケンスに入ると、先ずステップ(以下「S」と略する)101において現在電源がONしているか否かをチェックする。現在電源がONしていない場合(S101:NO)はメインスイッチSWMがOFFからONに変化したかどうかをチェックし(S103)、変化していなければ(S103:NO)、S103に戻る。つまり、メインスイッチSWMのチェック処理を繰り返す。メインスイッチSWMがONに変化していれば(S103:YES)、内部RAM、ポート、変数などハード、ソフト的な初期化を実行し(S105)、電源をオンして各部材に電源を供給する電源ON処理を実行し(S107)、S109に進む。
【0041】
S109では、メインスイッチSWMがOFFからONに変化したかどうかをチェックし、変化していなければ(S109:NO)、測光スイッチSWSがONしているかどうかチェックする(S111)。測光スイッチSWSがONしていなければ(S111:NO)、S101に戻る。電源ON状態でS101に戻るので、現在電源ONと判定し(S101:YES)、S109に進む。つまり、電源ON状態の間は、メインスイッチSWMがOFFからONに変化するか、測光スイッチSWSがONするまでS101、S109のチェック処理を繰り返す。このチェック処理中にメインスイッチSWMがOFFからONに変化すると(S109:YES)、電源OFF処理を実行して(S121)、S101、S103のメインスイッチSWMのチェック処理に戻る。
【0042】
測光スイッチSWSがONすると(S111;YES)、コントラストAF処理を実行して焦点調節レンズ群L1を所定の被写体に対して合焦させ(S113)、合焦後直後の合焦に利用した焦点検出エリア内の被写体パターンを取得して画像メモリに記憶する(S115)。さらに測光スイッチSWSがONしているかどうかチェックし(S117)、測光スイッチSWSがONしていればレリーズスイッチSWRがONしているかいなかチェックし(S119)、レリーズスイッチSWRがONしていなければS117に戻って測光スイッチSWS、レリーズスイッチSWRがONしているかどうかのチェックを繰り返す。
【0043】
レリーズスイッチSWRがONすると(S119:YES)、撮像処理を実行し(S121)、S101に戻る。測光スイッチSWSがOFFすると(S117:NO)、そのままS101に戻る。
【0044】
次に、S113で実行されるコントラストAF処理の詳細について、さらに図9に示したフローチャートを参照して説明する。
【0045】
コントラストAF処理に入ると、まず各変数等の初期化を実行する(S201)。例えばこの実施形態では、各ステータスのクリア、コントラスト値のクリア、レンズ位置パルス数PNの初期化(PN=0)、コントラストの最大値=0、最小値=FFFFFFFF、途中停止確認フラグのクリア、途中停止OKフラグのクリア、焦点距離に応じたエリア数設定等を実行する。
【0046】
ここで、変数等は次の通り定義される。
コントラスト値は、各焦点検出エリア、サポートエリア内の画素から得られた実際に得られたコントラスト値である。
レンズ位置パルス数PNは、焦点調節レンズ群L1が初期位置である近位置にあるときを0として、∞位置方向にAFモータ25を駆動したときにエンコーダ26から駆動パルスが1個出力される毎に1カウントアップする変数である。CPU15は、これをレンズ位置パルスPNとしてカウントする。なお、AFモータ25を初期位置方向に駆動したときはエンコーダ26から駆動パルスが1個出力される毎に1カウントダウンされる。
コントラストの最大値、最小値は、実際に得られたコントラスト値の最大値、最小値である。
途中停止確認フラグ(PerhapsOKフラグ)は、AFサーチ処理の途中停止を確認するか否か決定するフラグであって、"0"は途中停止無し、"1"は途中停止有りである。
途中停止OKフラグ(StopOKフラグ)は、AFサーチ処理の途中で停止を許可するフラグであって、"0"は不可、"1"は許可である。
途中停止チェックフラグ(StopCheckフラグ)は、各焦点検出エリア、サポートエリアについて途中停止の条件をチェックするか否かを決定するフラグであって、"0"は否、"1"はチェックである。
部分AFフラグは、AFサーチ処理を部分的に実行するか否かを識別するフラグであって、"0"は否、"1"は肯定である。
【0047】
次に、途中停止方法を決定する(S203)。つまり、コントラストのピークが、複数エリア同時出現したときに停止するか、1エリアでも出現したときに停止するかを決定する。
途中停止方法を決定する条件は、被写体輝度もしくは被写体輝度に連動したCCDの駆動モードとする。
【0048】
次に、フォーカスイニシャライズ処理1を実行する(S205)。フォーカスイニシャライズ処理1は、部分AFチェック処理を実行して被写体パターンを取得して内部RAM15aにメモリすると共に、部分AFを実行するか否か設定する。最初のAF処理であった場合等部分AF処理を実行しない場合は、部分AFフラグに"0"をセットして、現在のフォーカス位置(レンズ位置)とフォーカスエリアに応じた初期位置に焦点調節レンズ群L1を移動させる処理を実行する。
【0049】
本実施形態では、スポット測距の場合は、現在の焦点調節レンズ群L1の位置から近い方の端点(近位置または∞位置)に焦点調節レンズ群L1を移動させ、多点測距の場合は現在の焦点調節レンズ群L1の位置にかかわらず近位置に焦点調節レンズ群L1を移動させる処理である。二度目以降のAF処理であった場合において所定の条件を満足していた場合は、部分AFフラグに"1"をセットして、部分AF処理における初期位置、つまり現在の停止位置からnパルス分近位置側に焦点調節レンズ群L1を移動させるとともにサーチ処理を終了する終了位置として現在の停止位置からnパルス分∞位置をセットする。このnパルスは、ピークチェックをx回連続アップかつx回連続ダウン、としている場合は、n=>xを満足する値を設定し、通常はn=x+1、を設定する。つまり、少なくとも現在のレンズ位置を合焦位置と判定できる範囲を含むように部分サーチ範囲を決定する。
【0050】
次に、サーチ初期位置における画像データを取得してコントラスト値算出処理を実行する(S207)。つまり、撮像素子11から入力した画像データに基づいて、初期位置におけるコントラスト値P[0]を算出し、コントラスト値の最大値、最小値を更新する。そうして、レンズ位置パルスPNを1インクリメントし(S209)、AFモータ25をサーチ終了端方向に1ステップ駆動する(S211)。
【0051】
そうして、撮像素子11から入力した画像データに基づいてコントラスト値P[PN]を算出し、コントラスト値の最大値、最小値を更新するコントラスト値算出処理を実行する(S213)。
【0052】
次に、得られたコントラスト値P[PN]が設定条件を満足するピーク値であるかどうかをチェックするピークチェック処理を実行する(S217)。コントラスト値算出処理(S213)およびピークチェック処理(S215)は、S201で設定された全ての焦点検出エリアおよびサポートエリアについて実行する。
【0053】
途中停止OKフラグ(StopOKフラグ)が"1"であるか否かをチェックする(S217)。途中停止OKフラグが"1"でない場合(S217;NO)は、サーチ終了端であるか否かをチェックする(S219)。サーチ終了端でない場合(S219;NO)はS209に戻ってS209乃至S217、S219の処理を、焦点調節レンズ群L1をサーチ終了端方向にステップ駆動しながら繰り返す。
【0054】
途中停止OKフラグに"1"がセットされるか(S217;YES)、焦点調節レンズ群L1がサーチ終了端に達するか(S219;YES)、AFモータ25を停止させる(S221)。そうして、S207からS219のループ処理で得た、ピーク値が得られた5位置分のコントラストデータに基づいて、ピーク値を近似演算するピーク算出処理を実行する(S223)。つまり、ステップ位置毎に求めたコントラスト値のピーク値の前後に真のピーク値が存在する可能性があるので、近似演算によってより正確と推定されるピーク値およびその位置を近似演算する。
【0055】
そうして、マルチ測距の場合は焦点検出エリア毎に得たピーク値に基づいて、最も近距離の値が得られた焦点検出エリアを合焦エリアとし、その焦点検出エリアおよびレンズ位置を選択するエリア選択処理を実行する(S225)。さらに、合焦または非合焦の結果、CCD駆動モード、時間をメモリするAF結果確保処理を実行する(S227)。そうして、部分AFフラグに"1"がセットされ、かつ非合焦であるか否かチェックする(S229)。いずれかで無ければ(S229:NO)、つまり部分AFフラグに"1"がセットされていて合焦している場合、部分AFフラグに"1"がセットされていない場合は合焦、非合焦に拘わらず、前記選択された合焦エリアにおいてピーク値が得られたレンズ位置に焦点調節レンズ群L1を移動させる合焦駆動処理を実行して(S239)、リターンする(RETURN)。
【0056】
部分AFフラグに"1"がセットされかつ非合焦の場合(S229;YES)は、再びS201と同様の初期設定処理を実行し(S231)、S203同様の途中停止方法決定処理を実行し(S233)、部分AFフラグに"0"をセットし(S235)、フォーカスイニシャライズ処理2を実行して(S237)からS207に戻る。フォーカスイニシャライズ処理2は、部分AFチェック処理を実行しないことを除き、フォーカスイニシャライズ処理1と同様である。
つまり、部分AF処理を実行して非合焦であった場合は、通常の合焦処理を実行する。
【0057】
『途中停止方法決定』
ステップS203およびS235で実行される、途中停止方法決定処理の詳細について、図10に示したフローチャートを参照して説明する。
途中停止方法決定処理に入ると、まず、CCDモードが高速駆動モードかどうかをチェックする(S251)。撮像素子11は、被写体輝度が所定値よりも高いときは高速駆動(短時間露光)モード、被写体輝度が所定値未満のときは低速駆動(長時間露光時)モードで動作する。
【0058】
CCDモードが高速駆動モードの場合(S251;YES)、つまり被写体が明るい場合は、停止方法としてシングル出現停止チェックを設定してリターンし(S253)、CCDモードが高速駆動モードで無い場合(S251;NO)、つまり被写体が暗い場合は停止方法として複数出現停止チェックを設定してリターンする(S255)。
シングル出現停止チェックは、ピークが焦点検出エリアMM0乃至MM4、SM0に出現したときにサーチ処理を停止するモードである。複数出現停止チェックは、ピークが焦点検出エリアMM0乃至MM4、SM0と、対応するサポートエリアMS0乃至MS5、SS0、SS01のいずれかに同時に出現したときにサーチ処理を停止するモードである。
【0059】
『フォーカスイニシャライズ処理1、2』
ステップS205で実行されるフォーカスイニシャライズ処理1、S237で実行されるフォーカスイニシャライズ処理2について、さらに図11に示したフローチャートを参照して説明する。フォーカスイニシャライズ処理1、2の相違は、フォーカスイニシャライズ処理1では部分AFチェック処理を実行するのに対して、フォーカスイニシャライズ処理2では実行しないことである。
【0060】
フォーカスイニシャライズ処理1から入ると、まず、部分AFチェック処理を実行する(S301)。部分AFチェック処理により、所定条件を満足している場合に部分AFフラグに"1"がセットされる。
【0061】
次に、部分AFフラグに"1"がセットされているか否かチェックする(S303)。部分AFフラグに"1"がセットされている場合(S303:YES)は、焦点調節レンズ群L1を現在の位置(PN)から近位置側に、nパルス分移動させる駆動処理を実行し(S321)、サーチ終了端として、現在のレンズ位置にnパルス分加算した位置(PN+n)を設定し(S323)、サーチ方向に近位置側から∞位置方向を設定して(S325)、S327に進む。S327では、AFモータ25をnパルス分近位置方向に駆動してAFモータ25を停止させたかどうかチェックし、停止したら(S329:YES)、リターンする。
【0062】
S321におけるAFモータ駆動は、図示しない割込処理によって制御される。S321の処理が終了したときの焦点調節レンズ群L1は、例えば図5(B)に示した実施例ではレンズ位置パルス(PN-n)の位置になる。そうして部分AF処理では、このレンズ位置パルス(PN-n)をサーチ開始端として、∞位置方向に、(PN+n)までサーチ処理を実行する。
【0063】
部分AFフラグに"1"がセットされていない場合(S303:NO)は、S305乃至S319の処理を実行する。つまり、先ずマルチ測距(多点測距)か否かチェックする(S305)。マルチ測距の場合(S305;YES)は、近位置駆動処理(S315)を実行する。近位置駆動処理は、AFモータ25を近位置方向に駆動して焦点調節レンズ群L1を近位置まで移動させる処理である。次に、サーチ終了端に∞位置を設定し(S317)、サーチ方向を近位置から∞位置方向に設定し(S319)、S327に進む。
【0064】
マルチ測距で無い場合(S305;NO)、つまりスポット測距の場合は、現在のレンズ位置は近位置に近いか否かチェックする(S307)。近位置に近い場合(S307;YES)は、近位置駆動処理(S315)を実行し、サーチ終了端に∞位置を設定し(S317)、サーチ方向を近位置から∞位置方向に設定してS319)、S327に進む。近位置に近く無い場合(S307;NO)は、∞位置駆動処理(S309)を実行する。∞位置駆動処理は、AFモータ25を∞位置方向に駆動して焦点調節レンズ群L1を∞位置まで移動させる処理である。そうして、サーチ終了端に近位置を設定し(S311)、サーチ方向を∞位置から近位置方向に設定して(S313)、S327に進む。
【0065】
S309またはS315の処理は、図示しない割込処理によって実行される。そうして、S327では、焦点調節レンズ群L1が近位置または∞位置に達してAFモータ25を停止させたら(S327:YES)、リターンする。
【0066】
以上のフォーカスイニシャライズ処理1、2により焦点調節レンズ群L1が、部分AF処理を実行する場合は現在のレンズ位置からnパルス分近位置に移動され、部分AF処理を実行しない場合であって、マルチ測距の場合は焦点調節レンズ群L1の位置にかかわらず近位置に移動され、スポット測距の場合は現在のレンズ位置に近い方の端点である近位置または∞位置に移動される。そうして各移動後の位置を初期位置(サーチ開始端)とし、設定されたサーチ終了端方向にサーチ処理が実行される。
【0067】
『部分AF処理』
次に、S301で実行される部分AF処理について、図12に示したフローチャートを参照してより詳細に説明する。部分AF処理に入ると、先ず、撮像素子11により撮像して、選択した焦点検出エリア(合焦した被写体が含まれる焦点検出アリア)内の画像データを入力して、その画像データを二値化して被写体パターンを取得する(S401)。この実施形態では、図7に示したような被写体パターンが取得される。
【0068】
次に、記憶してある合焦時の被写体パターンと現在の被写体パターンとの一致度を比較する(S403)。一致度が低い場合、または合焦時の被写体パターンを記憶していない場合(S403;NO)は、部分AFフラグに"0"をセットして(S417)リターンする。
【0069】
被写体パターン一致度が高い場合(S403:YES)は、前回のコントラストAF処理で合焦したか否かチェックし(S405)、合焦していなかった場合(S405:NO)は部分AFフラグに"0"をセットして(S417)リターンする。
【0070】
前回のコントラストAF処理で合焦していた場合(S405:YES)は、前回合焦からの経過時間が所定時間未満であるか否かチェックする(S407)。所定時間未満でなかった場合(S407:NO)は部分AFフラグに"0"をセットして(S417)リターンする。所定時間以上経過すると、構図、被写体が変わっている場合が多いからである。所定時間は、例えば2乃至3秒程度が適当である。
【0071】
前回合焦からの経過時間が所定時間未満であった場合(S407:YES)は、前回のCCD駆動モードと同じであるか否かチェクする(S409)。同じでなかった場合(S409:NO)は部分AFフラグに"0"をセットして(S417)リターンする。CCD駆動モードが変化するのは被写体の輝度が大きく変化した場合であり、被写体、構図が変わっている場合が多いからである。CCD駆動モードチェックに変えて、被写体輝度の変化が所定値よりも小さいかどうかとしてもよい。
【0072】
前回のCCD駆動モードと同じである場合(S409;YES)は、焦点調節レンズ群L1が所定範囲内に停止しているか否かチェックする(S411)。
この実施形態では、焦点調節レンズ群L1が近側に停止している場合は、マルチ測距、スポット測距共に近側からサーチするので大きな時間短縮は見込まれないため、部分AFは行わない。例えば、全サーチ範囲における近側1/3内に停止している場合を設定する。
焦点調節レンズ群L1が∞位置側に停止している場合は、パターン一致度で回避できないような被写体が近位置側に入った場合に、部分AFを行うと近側優先にならない場合が発生するので、遠距離被写体に対して合焦していた場合は部分AFを行わない。例えば、全サーチ範囲における∞位置側1/3内に停止している場合を設定する。
つまり、この実施形態では、全サーチ範囲の中央1/3内に停止しているか否かチェックする。焦点調節レンズ群L1が所定範囲内に停止していなかった場合(S411:NO)は部分AFフラグに"0"をセットして(S417)リターンする。
【0073】
焦点調節レンズ群L1が所定範囲内に停止していた場合(S411:YES)は、撮影モードが接写モードでは無いか否かをチェックする(S413)。接写モードの場合(S413:NO)は部分AFフラグに"0"をセットして(S417)リターンする。接写モードの場合は、僅かな動きで対象となる被写体、構図が大きく変動するからである。撮影モードが接写モードでは無い場合(S413:YES)は、部分AFフラグに"1"をセットして(S415)リターンする。
【0074】
以上のS403乃至S413の全ての条件を満足した場合に、部分AFフラグに"1"をセットし、S321乃至S325の部分AF処理を実行する。S403乃至S413のいずれかを満足しなかった場合は、部分AFフラグに"0"がセットされるので、S305乃至S319の通常のAF処理、合焦サーチ処理が実行される。
【0075】
さらに本実施形態では、部分AFを実行する条件として、ジャイロセンサ31がチルトおよびパーンのいずれも検出していないことを含めてもよい。チルトまたはパーンしている場合は構図が変わり、被写体も変わると考えられるからである。
【0076】
また、図示実施形態では、部分AFを実行する場合は被写体パターンの一致度にかかわらず合焦サーチ範囲を(PN-n)から(PN+n)の範囲としたが、一致度の条件範囲内においても、一致度が低い場合は|n|を大きく設定してもよい。いずれの場合も、現在のレンズ位置およびその前後位置が合焦位置であった場合にそれらのレンズ位置を合焦位置と判定できる範囲を含む範囲となるように|n|を設定する。
さらに、一部の条件を満足すれば部分AF処理を実行する構成としてもよい。
【0077】
さらに、本発明の実施形態において、被写体パターンの比較において一致していた場合は、被写体も構図も変化していないと考えられるので、合焦サーチ処理をしない構成にしてもよい。
【0078】
『ピークチェック処理』
ステップS217で実行されるピークチェック処理について、図9および図10に示したフローチャートを参照して説明する。このピークチェック処理は、焦点調節レンズ群L1をステップ駆動させながら得たレンズ位置パルス数PN毎のコントラスト値P[PN]から、焦点検出エリア毎にピークを求める処理である。この実施形態では1ステップ単位で得た連続した5位置分のコントラスト値P[PN]について、サーチ開始初期位置側からサーチ終了端側に順に隣同士で比較して、コントラスト差が第1の所定回数である2回連続して増加し、かつ第2の所定回数である2回連続して減少したかどうかをチェックする。そうして、コントラスト値が2回連続して増加し、かつ2回連続して減少していた場合は、そのときの最大のコントラスト値P[PN]をピークコントラスト(極大値)と判定する。
【0079】
ピークチェック処理に入ると、まず、レンズ位置パルスP[PN]に現在のレンズ位置パルス数PNを代入する(S501)。
【0080】
次に、焦点検出エリア、サポートエリアごとに設定された途中停止チェックフラグを全て初期化("0"をセット)する(S502、S503、S504)。
【0081】
次に、レンズ位置パルス数PNが5を超えているかどうかチェックする(S505)。つまりピークチェックに必要な連続した5位置以上においてコントラスト値が得られる範囲であるかどうかチェックする。レンズ位置パルス数PNが5を超えていない場合(S505;NO)はS523に飛ぶ。レンズ位置パルス数PNが5を超えている場合は、全焦点検出エリアMM0乃至MM4、SM0についてS507乃至S521の処理を繰り返す(S506、S522)。
【0082】
直前位置(1個前位置)(PN-1)から5個前位置(PN-5)までの計5個のコントラスト値について、2回連続して増加しかつ2回連続して減少したかどうかをチェックする(S507)。5個のコントラスト値が2回連続して増加しかつ2回連続して減少していない場合は次の焦点検出エリアに進む(S507;NO、S506)。
【0083】
5個のコントラスト値P[PN-5]からP[PN-1]が2回連続して増加しかつ2回連続して減少していた場合(S507;YES、図6(A))は、極大値となるレンズ位置(PN-3)におけるコントラスト値P[PN-3]の80パーセントの値を求めて下限値dat0に代入する(S509)。そうして、信頼性条件の一つである、極大値を決定した両端位置のコントラスト値P[PN-5]、P[PN-1]のいずれかが下限値dat0未満であるかどうかをチェックする(S511)。つまり、ピークのコントラスト値と両端位置のコントラスト値との差が十分大きいかどうかをチェックする。両端位置のコントラスト値P[PN-5]、P[PN-1]のいずれかが下限値dat0未満でないときは次の焦点検出エリアに進む(S511;NO、S506)。コントラストの変化が小さく、信頼性が低いと推定されるからである。
【0084】
両端位置のコントラスト値P[PN-5]、P[PN-1]のいずれかが下限値dat0未満の場合(S511;YES)は、二番目の信頼性条件である、ピークのコントラスト値P[PN-3]と、これまでの処理で得たコントラスト値の最小値との差がピークのコントラスト値P[PN-3]の10パーセントより大きいかどうかをチェックする(S513)。ピークのコントラスト値P[PN-3]とコントラスト値の最小値の差がピークのコントラスト値P[PN-3]の10パーセントより大きくない場合は次の焦点検出エリアに進む(S513;NO、S506)。この場合はピークのコントラスト値が低いので信頼性が低いと推定されるからである。
【0085】
ピークのコントラスト値P[PN-3]とコントラスト値の最小値の差がピークのコントラスト値P[PN-3]の10パーセントより大きい場合(S513;YES)は、さらに三番目の信頼性条件である、ピークのコントラスト値P[PN-3]がコントラストの最大値以上かどうかをチェックする(S515)。
【0086】
ピークのコントラスト値P[PN-3]が最大値以上ではない場合(S515;NO)は、次の焦点検出エリアに進む(S506)。ピークのコントラスト値P[PN-3]が最大値以上の場合(S515;YES)は、位置インデックスIndexにピークのコントラスト値P[PN-3]が得られたレンズ位置パルス数(PN-3)を代入し、ピーク存在フラグStatusに"1"をセットして(S517)、S519に進む。
【0087】
なお、位置インデックスIndexは、合焦位置として焦点調節レンズ群L1を停止させる位置パルスが入る変数であって、サーチ停止後、セットされた位置インデックスIndexのレンズ位置パルス数に焦点調節レンズ群L1を移動させる。ピーク存在フラグStatusはピーク値が得られたことを識別するフラグである。
【0088】
S519では、ピークチェックした両端位置のコントラスト値P[PN-5]、コントラスト値P[PN-1]が、さらに前後位置のコントラスト値P[PN-6]、コントラスト値P[PN]よりも大きいかどうかをチェックする。つまり、ピークのコントラスト値P[PN-3]が3回連続して増加し、かつ3回連続して減少するピーク値であるか否かをチェックする(図6(B))。コントラスト値が3回連続して増加しかつ3回連続して減少するピーク値であった場合(S519;YES)は、途中停止チェックフラグに"1"をセットして(S521)S523に進む。同ピーク値でなかった場合(S519;NO)は次の焦点検出エリアに進む(S506)。途中停止させる場合は条件を厳しくしているので、誤合焦が少ない。
【0089】
全ての焦点検出エリアMM0乃至MM4またはSM0についてチェックしたら、ステップS523に進む(S506、S522)。ステップS523では、停止方法が複数出現停止チェックかどうかをチェックする。複数出現停止チェックでなければS543に飛び(S523;NO、S543)、複数出現停止チェックであればS525に進む(S523;YES、S525)。S525乃至S542の処理は、S505乃至S522と同様の処理を、サポートエリアMS0乃至MS5またはSS0およびSS1に対して実行するものである。
【0090】
S525では、レンズ位置パルス数PNが5を超えているかどうかチェックする。つまりピークチェックに必要な5レンズ位置以上のコントラスト値が得られる範囲であるかどうかチェックする。レンズ位置パルス数PNが5を超えていない場合(S525;NO)はS543に飛ぶ。レンズ位置パルス数PNが5を超えている場合は、全サポートエリアMS0乃至MS5、SS0およびSS1についてS527乃至S541の処理を繰り返す(S526、S542)。
【0091】
直前(1個前)位置(PN-1)から5個前位置(PN-5)までの計5個のコントラスト値PS[PN-1]乃至PS[PN-5]について、2回連続して増加しかつ2回連続して減少したかどうかをチェックする(S527)。5個のコントラスト値PS[PN-1]乃至PS[PN-5]が2回連続して増加しかつ2回連続して減少していない場合(S527;NO)は次のサポートエリアに進み、最後のサポートエリアのチェックを終了したのであればS543に進む(S446、S442、S443)。
【0092】
5個のコントラスト値PS[PN-5]乃至PS[PN-1]が2回連続して増加しかつ2回連続して減少していた場合(S527;YES)は、極大値となるレンズ位置(PN-3)におけるコントラスト値PS[PN-3]の80パーセントの値を求めて下限値dat0に代入する(S529)。そうして、信頼性条件の一つである一番目の信頼性条件として、極大値を決定した両端位置のコントラスト値PS[PN-5]、PS[PN-1]のいずれかが下限値dat0未満であるかどうかをチェックする(S531)。つまり、ピークのコントラスト値と両端位置のコントラスト値との差が十分大きいかどうかをチェックする。両端位置のコントラスト値PS[PN-5]、PS[PN-1]のいずれかが下限値dat0未満でないときは次のサポートエリアに進む(S531;NO、S526)。コントラストの変化が小さく、信頼性が低いと推定されるからである。
【0093】
両端位置のコントラスト値PS[PN-5]、PS[PN-1]のいずれかが下限値dat0未満の場合(S531;YES)は、二番目の信頼性条件である、ピークのコントラスト値PS[PN-3]と、これまでの処理で得たコントラスト値の最小値との差がピークのコントラスト値PS[PN-3]の10パーセントより大きいかどうかをチェックする(S533)。同10パーセントより大きくない場合は次のサポートに進む(S533;NO、S526)。この場合はピークのコントラスト値が低いので信頼性が低いと推定されるからである。
【0094】
ピークのコントラスト値PS[PN-3]とコントラスト値の最小値の差がピークのコントラスト値PS[PN-3]の10パーセントより大きい場合(S533;YES)は、さらに三番目の信頼性条件である、ピークのコントラスト値PS[PN-3]がコントラストの最大値以上かどうか、つまり最大値であるかどうかをチェックする(S535)。ピークのコントラスト値PS[PN-3]が最大値未満の場合は次のサポートエリアに進む(S535;NO、S526)。ピークのコントラスト値PS[PN-3]が最大値以上の場合(S535;YES)は、位置インデックスIndexにピークのコントラスト値PS[PN-3]が得られたレンズ位置パルス数(PN-3)を代入し、ピーク存在フラグStatusに"1"をセットして(S537)、S539に進む。
【0095】
ステップS539では、ピークチェックした両端位置のコントラスト値PS[PN-5]、コントラスト値PS[PN-1]がさらに前後位置のコントラスト値PS[PN-6]、コントラスト値PS[PN]よりも大きいかどうかをチェックする。つまり、ピークのコントラスト値PS[PN-3]が3回連続して増加し、かつ3回連続して減少するピーク値であるか否かをチェックする。ピーク値であった場合(S539;YES)は、途中停止チェックフラグに"1"をセットしてS543に進む。同ピーク値でなかった場合は次のサポートエリアに進む(S539;NO、S526)。途中停止させる場合は条件を厳しくしているので、誤合焦が少ない。
【0096】
ステップS543では、停止方法がシングル出現停止チェックか否かチェックする。シングル出現停止チェックであった場合(S543;YES)はシングル出現停止チェック処理(S545)を実行してリターンし、シングル出現停止チェックでなかった場合(S543;NO)は複数出現停止チェック処理(S547)を実行してリターンする。
【0097】
『シングル出現停止チェック処理』
ステップS545で実行されるシングル出現停止チェック処理の詳細について、図15に示したフローチャートを参照して説明する。この処理に入ると、まず、途中停止確認フラグに"0"がセットされているか否かをチェックする。最初は"0"がセットされているので(S601;YES)、S602乃至S606のループ処理に進む。
【0098】
ステップS602乃至S606のループ処理では、エリアごとに、途中停止チェックフラグに"1"がセットされているか否かチェックする(S603)。途中停止チェックフラグに"1"がセットされているのは、コントラスト値が3回連続して増加しかつ3回連続して減少していて、ステップS541で"1"がセットされたエリアである。途中停止チェックフラグに"1"がセットされていない場合(S603;NO)は、次のエリアについて同様にチェックする(S606、S602)。
【0099】
途中停止チェックフラグに"1"がセットされていた場合(S603;YES)は、条件(a)、(b)、(c)の全てを満足しているか否かチェックする(S605)。条件(a)、(b)、(c)は、次の通りである。
(a) 他の焦点検出エリアにおいてピークが存在しない。
(b) 他の焦点検出エリアにおいて近側にピークが存在しない。
(c) 他の焦点検出エリアにピークが存在しても±1パルス位置内。
【0100】
条件(a)、(b)、(c)の全てを満足しないとき(S605;NO)は、次のエリアについてチェックを行う(S606、S602)。全てのエリアが条件(a)、(b)、(c)の全てを満足しなかったときはリターンする(S602、S606)。いずれかのエリアが条件(a)、(b)、(c)の全てを満足したとき(S605;YES)は、途中停止確認フラグに"1"をセットし(S607)、そのエリア番号をエリア番号ANoに代入して(S609)リターンする。リターンすると、ステップS227においてこのエリア番号ANoの焦点検出エリアが選択される。
【0101】
途中停止確認フラグに"1"がセットされている場合(S601;YES)は、エリアANoにおいて、現在位置のコントラスト値P[PN]が1個前のコントラスト値P[PN-1]未満であるか否かチェックする。未満である場合(S611;YES)は、途中停止OKフラグに"1"をセットして(S613)リターンする。未満でない場合(S611;NO)はそのままリターンする。なお、途中停止確認フラグに"1"がセットされているのは、シングル出現停止チェック処理に入るのが2回目以降であって、S607にて途中停止確認フラグに"1"がセットされた、ピーク位置が検出された場合である。さらに現在位置のコントラスト値P[PN]が1個前のコントラスト値P[PN-1]未満の場合は、コントラスト値がピークから連続して4回減少している場合である(図6(B))。
【0102】
『複数出現停止チェック処理』
ステップS547で実行される複数出現停止チェック処理について、図16に示したフローチャートを参照して説明する。
この処理に入ると、まず、途中停止確認フラグに"0"がセットされているか否かをチェックする。最初は"0"がセットされているので(S701;YES)、S702乃至S708のループ処理に進む。
【0103】
ステップS702乃至S708のループ処理では、各エリアについて順に、途中停止チェックフラグに"1"がセットされているか否かチェックする(S703)。途中停止チェックフラグに"1"がセットされているのは、コントラスト値が3回連続して増加しかつ3回連続して減少していて、ステップS541で"1"がセットされたエリアである。途中停止チェックフラグに"1"がセットされていない場合(S703;NO)は、次のエリアについて同様にチェックする(S702、S703)。
【0104】
途中停止チェックフラグに"1"がセットされていた場合(S703;YES)は、その焦点検出エリアに対応する2個のサポートエリアについての途中停止チェックフラグに"1"がセットされている否かチェックする(S705)。いずれのサポートエリアにも途中停止チェックフラグに"1"がセットされていなかった場合(S705;NO)は、次の焦点検出エリアについて同様にチェックする(S702乃至S705)。
【0105】
いずれかのサポートエリアの途中停止チェックフラグに"1"がセットされていた場合(S705;YES)は、条件(a)、(b)、(c)の全てを満足しているか否かチェックする(S707)。条件(a)、(b)、(c)の全てを満足しない場合(S707;NO)は、次の焦点検出エリアについて同様のチェック処理を繰り返す(S708、S702)。全ての焦点検出エリアが条件(a)、(b)、(c)の全てを満足しなかったときは(S707;NO)、リターンする(S702、S708)。
【0106】
条件(a)、(b)、(c)の全てを満足していたとき(S707;YES)は、途中停止確認フラグに"1"をセットし(S709)、その満足していた焦点検出エリアのエリア番号をエリア番号ANoに代入して(S711)、リターンする。リターンすると、ステップS227においてこのエリア番号ANoの焦点検出エリアが選択される。
【0107】
途中停止確認フラグに"1"がセットされている場合(S701;YES)は、エリアANoにおいて、現在位置のコントラスト値P[PN]が1個前のコントラスト値P[PN-1]未満であるか否かチェックする。未満である場合(S713;YES)は、途中停止チェックフラグに"1"をセットして(S715)リターンする。未満でない場合(S713;NO)はそのままリターンする。なお、途中停止確認フラグに"1"がセットされているのは、複数出現停止チェック処理に入るのが2回目以降であって、S709にて途中停止確認フラグに"1"がセットされた、ピーク位置が検出された場合である。さらに現在位置のコントラスト値P[PN]が1個前のコントラスト値P[PN-1]未満の場合は、コントラスト値がピークから連続して4回減少している場合である(図6(B))。
【0108】
以上のシングル出現停止チェック処理または複数出現停止チェック処理によって途中停止OKフラグに"1"がセットされた場合は、コントラストAF処理にリターン後、S217からS221に抜けて、合焦サーチ処理を終了する。
【0109】
本発明の実施形態によれば、一旦合焦した後は、所定条件下で部分AF処理を実行するので、再び合焦させるまでの時間を大幅に短縮できる。
また、部分AF処理を実行しない場合は、マルチ測距の場合は、焦点調節レンズ群L1の現在位置にかかわらず近位置から∞位置方向にサーチ処理を実行するので最短距離の被写体を確実に検出して合焦させることができる。スポット測距の場合は焦点調節レンズ群L1の位置に応じて近い方の合焦位置まで移動させて他方の合焦位置に向かってサーチ処理を実行するので、最短距離の被写体を検出する時間の短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の焦点検出方法を適用したデジタルカメラの実施形態の主要構成をブロックで示す図である。
【図2】同デジタルカメラにおける撮像素子の受光面とマルチ測距の場合の焦点検出エリアとの関係を示す図であって、(A)は焦点検出エリアが分布するフォーカス枠を示す図、(B)は焦点検出エリアとサポートエリアとの関係を模式的に示す図である。
【図3】同デジタルカメラにおける撮像素子の受光面とスポット測距の場合の焦点検出エリアとの関係を示す図であって、(A)は焦点検出エリアが分布するフォーカス枠を示す図、(B)は焦点検出エリアとサポートエリアとの関係を模式的に示す図である。
【図4】同コントラストAF処理において、マルチ測距の場合およびスポット測距の場合の焦点調節レンズ群の動きをグラフ化して示す図であって、(A)、(B)はマルチ測距において焦点調節レンズ群が∞位置に近い場合、焦点調節レンズ群が近位置に近い場合を示す図であり、(C)、(D)はスポット測距において焦点調節レンズ群が∞位置に近い場合、(焦点調節レンズ群が近位置に近い場合を示す図である。
【図5】本発明のコントラストAF処理における焦点調節レンズ群の動きをグラフ化して示す図であって、(A)は1回目のコントラストAF処理を、(B)は合焦した後の再コントラストAF処理を示す図である。
【図6】同コントラストAF処理により、合焦位置として検出されるコントラストの例を(A)、(B)にコントラストと焦点調節レンズ群の位置との関係をグラフ化して示す図である。
【図7】本発明のコントラストAF処理により、合焦に使用した焦点検出エリア内の画像データ(輝度データ)を二値化した様子を示し、(A)は合焦した直後の画像データに基づく被写体パターンを示す図、(B)乃至(E)は再AF処理開始時の画像データに基づく被写体パターンの例を示す図である。
【図8】本発明を適用したデジタルカメラのメインシーケンスの実施形態をフローチャートで示す図である。
【図9】同メインシーケンス中で実行される、本実施形態の焦点検出方装置におけるコントラストAF処理をフローチャートで示す図である。
【図10】同コントラストAF処理中の途中停止方法決定処理をフローチャートで示す図である。
【図11】同コントラストAF処理中のフォーカスイニシャライズ処理1、2をフローチャートで示す図である。
【図12】同コントラストAF処理中の部分AFチェック処理をフローチャートで示す図である。
【図13】同コントラストAF処理中のピークチェック処理の前半部分をフローチャートで示す図である。
【図14】同コントラストAF処理中のピークチェック処理の後半部分をフローチャートで示す図である。
【図15】同ピークチェック処理中のシングル出現停止チェック処理をフローチャートで示す図である。
【図16】同ピークチェック処理中の複数出現停止チェック処理をフローチャートで示す図である。
【符号の説明】
【0111】
11 撮像素子(撮像手段)
13 画像信号処理回路
15 CPU(比較手段、焦点検出装置)
15a 内部RAM(記憶手段)
17 LCD
19 メモリ制御回路
21 画像メモリ
23 モータドライバ
23a 原点センサ
23b 原点センサ
25 AFモータ
26 エンコーダ
27 レンズ駆動機構
L1 焦点調節レンズ群


【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定された合焦サーチ範囲内において焦点調節レンズ群を移動しながら撮像手段により撮像して得た複数位置の画像のコントラストに基づいて合焦位置を検出する合焦サーチ機能と、この検出された合焦位置に前記焦点調節レンズ群を移動するレンズ駆動機能を備えた焦点調節装置と、
前記焦点調節レンズ群を合焦位置に移動したときに前記撮像手段により撮像した合焦時の画像を記憶する記憶手段と、
その後前記焦点調節装置が作動するときは、焦点調節レンズ群を移動する前に前記撮像手段により撮像してその撮像した画像と前記記憶した合焦時の画像とを比較する比較手段とを備え、
前記焦点検出装置は、この比較手段が前記合焦時の画像と現在の画像とが一致乃至所定の一致度内であると判定することを含む所定の条件を満足したときは、合焦サーチ範囲を現在の焦点調節レンズ群位置を含む所定範囲内に限定して動作すること、を特徴とする焦点調節装置を備えたカメラ。
【請求項2】
請求項1記載の焦点調節装置を備えたカメラにおいて、前記合焦サーチ範囲の限定は、限定した合焦サーチ範囲内において焦点調節レンズ群を移動しながら撮像手段により撮像して得た複数位置の画像のコントラストに基づいて現在の焦点調節レンズ群位置を合焦位置と判定できる範囲以上である焦点調節装置を備えたカメラ。
【請求項3】
請求項1または2記載の焦点調節装置を備えたカメラにおいて、前記焦点調節装置が前記合焦検出に使用する画像は、所定の焦点検出エリアに含まれる画像である焦点調節装置を備えたカメラ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項記載の焦点調節装置を備えたカメラにおいて、前記焦点調節装置は、前記制限された合焦サーチ範囲をサーチするときは、前記焦点調節レンズ群を近位置側から無限遠位置方向にステップ移動させる焦点調節装置を備えたカメラ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項記載の焦点調節装置を備えたカメラにおいて、前記所定の条件は、前回合焦時から所定時間以上経過していないことを含む焦点調節装置を備えたカメラ。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項記載の焦点調節装置を備えたカメラにおいて、前記撮像手段は被写体輝度が所定以上の場合と所定値未満との場合とで異なる動作モードで撮像動作をし、前記所定の条件は前記撮像手段が、前回合焦したときの撮像と今回の撮像とで同一の動作モードで動作したことを含む焦点調節装置を備えたカメラ。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項記載の焦点調節装置を備えたカメラにおいて、前記所定の条件は、前回合焦時の被写体輝度と今回の被写体輝度との差が所定値以内である焦点調節装置を備えたカメラ。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項記載の焦点調節装置を備えたカメラにおいて、前記所定の条件は、前回合焦時に前記焦点調節レンズ群を停止させた位置が全合焦サーチ範囲内の所定範囲内であることを含む焦点調節装置を備えたカメラ。
【請求項9】
請求項8記載の焦点調節装置を備えたカメラにおいて、前記所定範囲内は、全合焦サーチ範囲内の中央位置を含む1/3の範囲内である焦点調節装置を備えたカメラ。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項記載の焦点調節装置を備えたカメラにおいて、前記所定の条件は、撮影モードとして接写モードが選択されていないことを含む焦点調節装置を備えたカメラ。
【請求項11】
請求項1乃至10記載の焦点調節装置を備えたカメラは、該カメラの振動、チルトおよびパーンを検出する振動検出センサを備えていて、前記所定の条件は、該振動検出センサがチルトまたはパーンを検出しないことを含む焦点調節装置を備えたカメラ。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか一項記載の焦点調節装置を備えたカメラにおいて、前記焦点調節装置は、前記制限する合焦サーチ範囲を、前記比較手段が判定した一致度が高い程狭く設定する焦点調節装置を備えたカメラ。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか一項記載の焦点調節装置を備えたカメラにおいて、前記比較手段が比較する画像は、焦点検出エリア内の被写体の画像を画素単位で二値化した被写体パターンである焦点調節装置を備えたカメラ。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか一項記載の焦点調節装置を備えたカメラにおいて、前記焦点調節装置は、前記焦点調節レンズ群をステップ移動させながら撮像手段により撮像して画像のコントラストを求める処理を繰り返し、直前の連続した複数位置におけるコトンラストの中に1個のピークが存在したときのそのピークが得られた焦点調節レンズ群の位置を合焦位置として検出し、この検出された合焦位置に前記焦点調節レンズ群を移動する焦点調節装置を備えたカメラ。
【請求項15】
請求項14記載の焦点調節装置を備えたカメラにおいて、前記限定する合焦サーチ範囲は、前記合焦検出に使用した複数位置を含む焦点調節装置を備えたカメラ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−58559(P2008−58559A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−234932(P2006−234932)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【Fターム(参考)】