説明

焼付乾燥炉

【課題】ワーク塗装面に塵埃を付着させることなく炉内温度を迅速に降下させることが可能な焼付乾燥炉を提供する。
【解決手段】加熱空気を生成する燃焼室と、燃焼室で生成された加熱空気を吸入し、焼付乾燥炉に送り込んでワーク塗装面を焼付、乾燥させて燃焼室に循環させる循環装置を備えた焼付乾燥炉において、焼付乾燥炉内の温度を下降させる場合にあっては、燃焼室での加熱空気の生成を止めると共に、焼付乾燥炉とは異なった空間の空気を濾過した状態で取り入れ可能な空気取入れダクトを少なくとも熱風循環ファンの吸入側、或いは焼付乾燥炉に設けるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、焼付乾燥炉に関するものであり、さらに詳しくは、炉内温度が迅速に降下するように冷却機能を強化した焼付乾燥炉に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、焼付乾燥炉は、自動車関係も含め多くの工業製品の塗装ラインに設置されているものであって、ワークに塗布した硬化前の塗料を焼付、乾燥するために炉内温度が通常110℃〜200℃となるように構成されている。そのため、焼付乾燥炉内で何らかのトラブルが発生した場合には、高温の炉内温度を作業者が炉内に立ち入ることができる温度(例えば、40℃前後)にまで迅速に降下させる必要がある。
【0003】
そこで、図4に示されるように、従来、焼付乾燥炉1内の温度を降下させる場合、ガスバーナ2へのガス供給を停止して燃焼室3での加熱空気の生成を止め、バーナブロア4吸入時に濾過してから燃焼室3に送り込んだ焼付乾燥炉1周辺の常温の空気A1を燃焼させることなくそのまま熱風循環ファン5によって焼付乾燥炉1に送り込んで熱交換させる。そして、炉内の熱気A2を循環ファン5によって燃焼室3に循環させた後、図4中の破線矢印で示されるように、パージダンパ6の開動作によりライン外(工場外)に排出するようにした冷却方法が用いられていた。
また、上述した方法に併用して、図5に示されるように、焼付乾燥炉1のワーク搬入搬出口7,8を閉めきるメンテナンス用ドア9を開放して、図5中の破線矢印で示されるように、炉内の熱気A2を直接、炉外に排出するようにした冷却方法が用いられることもある。なお、図4,5中に付された符号Wは、ワークを示している。
【0004】
しかしながら、上記した従来の焼付乾燥炉の冷却方法にあっては、次のような問題があった。すなわち、前者の冷却方法にあっては、図4に示されるように、焼付乾燥炉1、燃焼室3、熱風送気ダクト10及び熱風循環ダクト11は保温力を高めるため断熱材12(図中にあっては斜線で示す部分)によって被覆されている。そのため、バーナブロア4によって吸入された常温の空気A1は、焼付乾燥炉1に到達するまでの間に燃焼室3、送気ダクト10からの輻射熱によって加熱されてしまうので焼付乾燥炉1内部の温度を短時間で下降させることは困難であった。
そして、そのために、作業者が炉内に立ち入ることができる温度にまで降下させるには、例えば、極端に冷却効率の悪い山型の炉体にあっては約7時間かかってしまうこともあった。
【0005】
また、後者の冷却方法にあっては、前者の冷却方法と併用することで炉内温度の早期降下が見込めるものの、熱気A2の排出に伴って炉内に流れ込む空気A1は、バーナブロア4によって吸入される空気A1とは異なり濾過していないため、炉内には空気A1と共に大量の塵埃が流れ込んでしまうという問題があった。そして、炉内に流れ込んだ塵埃が硬化前のワークWの塗装面に付着すると塗装品質が大きく荒れてしまうため、甚大な被害を被ることになってしまう。
ところで、特許文献1には、装置本体に冷媒を通すことによって急速冷却する急速冷却機能付きの加熱装置が提案されているが、このような装置は、コストやメンテナンスの面で自動車用などの大型の焼付乾燥炉には適さないという問題がある。
【0006】
【特許文献1】特開平09−189692号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、ワーク塗装面に塵埃を付着させることなく炉内温度を迅速に降下させることが可能な焼付乾燥炉を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため請求項1に記載の発明は、加熱空気を生成する燃焼室と、前記燃焼室にて生成された加熱空気を吸入し、焼付乾燥炉に送り込んでワーク塗装面を焼付、乾燥させて前記燃焼室に循環させる循環装置とを備えた焼付乾燥炉において、
前記焼付乾燥炉内の温度を下降させる場合にあっては、前記燃焼室は加熱空気の生成を止めると共に、前記焼付乾燥炉とは異なった空間の空気を濾過した状態で取り入れ可能な空気取入れ手段を少なくとも前記循環装置の吸入側、或いは前記焼付乾燥炉に設けたことを特徴とする。
【0009】
上記目的を達成するため請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明の構成に加えて、前記燃焼室は、該燃焼室内に加熱空気を生成するための前記焼付乾燥炉周辺の空気を濾過した状態で送り込み、且つ前記焼付乾燥炉内の温度を下降させる場合には前記循環装置と共に稼動して、前記焼付乾燥炉に濾過した空気を送り込む送風手段を備えることを特徴とする。
【0010】
上記目的を達成するため請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明の構成に加えて、前記空気取入れ手段は、ワークに塗装を施す塗装ブースの上部に連通し、前記塗装ブースに濾過された状態で送り込まれた空気を取り入れることを特徴とする。
【0011】
上記目的を達成するため請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明の構成に加えて、前記塗装ブースは、塗装ブース用給気空調機にて風量調整及び調圧された空気が供給されることを特徴とする。
【0012】
上記目的を達成するため請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4に記載の発明の構成に加えて、前記焼付乾燥炉は、該焼付乾燥炉に送り込まれて温度上昇した空気を屋外に排出可能とする排気手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、焼付乾燥炉内の温度を下降させる場合、燃焼室は加熱空気の生成を止めると共に、循環装置の吸入側、或いは焼付乾燥炉には焼付乾燥炉とは異なった空間の空気、つまり炉外の空気が空気取入れ手段によって濾過された状態で送り込まれる。この濾過された空気は、燃焼室を経ることなく直接的、且つ短時間で焼付乾燥炉に送り込まれるため、輻射熱により温度上昇するのが抑制される。これにより、高温の焼付乾燥炉内部は、空気取入れ手段から送り込まれる清浄でしかも常温とさほど変わらない温度の空気によって冷却されるので、焼付乾燥炉のワーク搬入搬出口を閉めきったままでも、焼付乾燥炉内の温度を迅速に下降させることができる。しかも、硬化前のワーク塗装面に塵埃が付着する心配はなく、塗装品質が損なわれることはない。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、焼付乾燥炉内の温度を降下させる場合、送風手段によって濾過された空気は、未燃焼のまま燃焼室内に送り込まれて輻射熱によって加熱されるが、空気取入れ手段によって濾過された炉外の空気と混合するためにその温度上昇は極めて小さくなる。これにより、請求項1に記載の発明の作用効果に加えて、ほぼ常温の空気が増量して焼付乾燥炉に供給されるので、焼付乾燥炉内部をより短時間で冷却することができるようになる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、空気取入れ手段は、塗装ブース内に送り込むにあたって一度濾過されている空気のなかでも比較的溶剤濃度の低い空気を再度濾過してから焼付乾燥炉に送り込む。これにより、請求項1に記載の発明の作用効果に加えて、炉外の空気を焼付乾燥炉内に送り込む際に懸念される塵埃の存在を極限まで低下させることができ、硬化前のワーク塗装面に塵埃が付着するのを未然に防止することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、塗装ブース用給気空調機から供給される空気が塗装ブースに供給される。これにより、請求項3記載の発明の作用効果に加えて、塗装ブース用給気空調機から給気される風量及び圧力を利用することによって焼付乾燥炉内の熱気をより早く炉外に排出することができるので、焼付乾燥炉内の温度をより迅速に下降させることができる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、焼付乾燥炉に送り込まれて温度上昇した空気は排気手段によって屋外に排出される。これにより、請求項1乃至4に記載の発明の作用効果に加えて、焼付乾燥炉内の熱気がスムーズに屋外に排出されるので、焼付乾燥炉内の温度降下を促進することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
焼付乾燥炉周辺の空気を濾過したのち焼付乾燥炉に直接的、且つ短時間で送り込むことによって、塵埃の心配がなく、しかも焼付乾燥炉を閉めきったままでも炉内温度を迅速に降下させることが可能な焼付乾燥炉が実現した。
【実施例1】
【0019】
以下、本発明の実施例1について図面を参照して説明する。図1は、本実施例1に係る焼付乾燥炉を説明するための構成図である。なお、従来と同様の構成部材については同一の符号を付して説明する。
【0020】
図1に示されるように、本焼付乾燥炉1は、自動車関係も含め多くの工業製品の塗装ラインに適用されるものであって、加熱空気を生成する燃焼室3と、燃焼室3にて生成された加熱空気を吸入し、焼付乾燥炉1に送り込んでワーク塗装面を焼付、乾燥させて燃焼室3に循環させる循環装置としての熱風循環ファン5と、熱風循環ファン5と焼付乾燥炉1とを連通し加熱空気を炉内に送り込むための熱風送気ダクト10と、焼付乾燥炉1と燃焼室3とを連通し炉内の熱気を燃焼室3に送り込むための熱風循環ダクト11とを備えて構成されている。さらに、これら燃焼室1、焼付乾燥炉3、熱風送気ダクト10及び熱風循環ダクト11には図示しない断熱材(図4参照)が被覆されており、保温力が高められている。
【0021】
燃焼室3には、加熱空気を生成するための燃焼用ガスを供給するガス供給管13と、焼付乾燥炉1とは異なる空間の空気、例えば焼付乾燥炉周辺の常温空気A1を図示しないエアフィルターによって濾過した状態で供給するバーナブロア4とが接続されている。さらに、この燃焼室3には、燃焼用ガスを燃焼することによってバーナブロア4から送り込まれた空気A1や焼付乾燥炉1から送り込まれた熱気A2を加熱するためのガスバーナ2が備えられている。このガスバーナ2は、焼付乾燥炉1内の温度を下降させる場合にあっては、加熱空気の生成を止めるように構成されていると共に、燃焼用ガスの供給が停止してもバーナブロア4からの空気A1の供給は止めないようになっている。
【0022】
熱風循環ファン5は、バーナブロア4と共に稼動、或いは単独での稼動が可能とされているものであって、その吸入側は、連結ダクト14を介して燃焼室3に連通していると共に、排気側は、熱風送気ダクト10を介して焼付乾燥炉1内に連通している。この熱風送気ダクト10には、ダクト内を通過する設定温度以上の加熱空気を屋外に排出可能とするパージダンパ15付き屋外排気ダクト16が分岐して設けられている。
【0023】
このパージダンパ15は、焼付乾燥を行っている状態にあっては、少なくとも燃焼室3の出口温度、熱風循環ファン5の吸入側温度、或いは排気側温度の何れか1つが予め設定された設定温度(例えば、110〜200℃)よりも高くなると開制御されて加熱空気を屋外に排出し焼付乾燥炉1の過熱を防ぐと共に、それ以外は閉制御されて加熱空気を屋外に排出しないようになっている。さらにまた、このパージダンパ15は、焼付乾燥炉1の温度を降下させる状態にあっては、常時開制御されるのが好ましいが、これに限られたものではない。
【0024】
焼付乾燥炉1は、燃焼室3内で生成された加熱空気及び炉内の輻射熱によって、塗装ブース17(図2に図示)から移送されてきたワークWの硬化前の塗装を焼付、乾燥するように構成されているものであって、そのワーク搬入搬出口7,8には、炉内を閉めきるための折れ戸状のメンテナンス用ドア9が開閉可能に設けられている(図5参照)。このメンテナンス用ドア9は、炉体内のメンテナンス作業を行う以外には、焼付乾燥を行っている状態、焼付乾燥炉の温度を降下させる状態の何れであっても炉内を常時閉めきるように設定されており、炉内に濾過していない空気A1が入り込まないように防止している。
また、この焼付乾燥炉1の左右側壁下部には、熱風送気ダクト10の吹出口18が設けられていると共に、左右側壁上部には、燃焼室3に連通した熱風循環ダクト11の吸込口19が設けられている。
【0025】
これにより、熱風循環ファン5は、通常の稼動状態にあっては、燃焼室3内にて生成された加熱空気を吸入し、焼付乾燥炉1に送り込んでワークWの塗装面を焼付、乾燥させて燃焼室3に循環させることが可能とされている。また、焼付乾燥炉1内の温度を下降させる状態にあっては、燃焼室3内の空気A1を吸入し、焼付乾燥炉1に送り込んで炉内温度を低下させたのち燃焼室3に循環させることが可能とされている。
【0026】
さらに、熱風循環ファン5の吸入側、例えば、燃焼室3と熱風循環ファン5とを結ぶ連結ダクト14には、焼付乾燥炉1内の温度を下降させる場合にあっては、管路内に設けた開閉用ダンパ20が開動作して、焼付乾燥炉1とは異なる空間の空気、例えば、焼付乾燥炉1周辺の空気A1を一体的に設けた濾過フィルタ21によって濾過して塵埃を取り除いた状態で取り入れ可能な空気取り入れ手段としての筒状の空気取入れダクト22が設けられている。
なお、この空気取入れダクト22は、熱風循環ファン5の吸入側に設けられるだけのものではなく、例えば、焼付乾燥炉1内に直接給気可能とする送風装置としての送気ファンに一体的に設けることが可能である。
【0027】
かかる構成による焼付乾燥炉1によれば、焼付乾燥炉1内の温度を下降させる場合、燃焼室3は加熱空気の生成を止めると共に、熱風循環ファン5の吸入側、或いは焼付乾燥炉1には焼付乾燥炉1とは異なった空間の空気、例えば、焼付乾燥炉1周辺の空気A1が空気取入れダクト21によって濾過された状態で送り込まれる。この濾過された空気A1は、燃焼室3を経ることなく直接的、且つ短時間で焼付乾燥炉1に送り込まれるため、輻射熱により温度上昇するのが抑制される。これにより、高温の焼付乾燥炉1の内部は、空気取入れダクト21から送り込まれる清浄でしかも常温とさほど変わらない温度の空気A1によって冷却されるので、焼付乾燥炉1の搬入搬出口7,8を閉めきったままでも、焼付乾燥炉1内の温度を迅速に下降させることができる。しかも、硬化前のワーク塗装面に塵埃が付着する心配はなく、塗装品質が損なわれることはない。
【0028】
また、焼付乾燥炉1内の温度を降下させる場合、バーナブロア4によって濾過された空気A1は、未燃焼のまま燃焼室3内に送り込まれて輻射熱によって加熱されるが、空気取入れダクト21によって濾過された空気A1と混合するためにその温度上昇は極めて小さい。これにより、ほぼ常温の空気A1が増量して焼付乾燥炉1に供給されるので、焼付乾燥炉1内部をより短時間で冷却することができるようになる。
また、焼付乾燥炉1内の熱気A2は、パージダンパ15が開動作することによって排気ダクト16から屋外に排出される。これにより、熱気A2がスムーズに屋外に排出されるので、焼付乾燥炉1内の温度降下を促進することができる。
【実施例2】
【0029】
次に、本発明の実施例2について図面を参照して説明する。図2は、本実施例2に係る焼付乾燥炉を説明するための構成図である。
【0030】
図2に示されるように、本焼付乾燥炉1にあっては、空気取入れダクト22は、ワークWに塗装を施す塗装ブース17の上部に塗装ブース内空気取入れダクト23を介して連通していると共に、塗装ブース内空気取入れダクト23のダクト内に設けられた開閉用ダンパ24を開動作することによって塗装ブース17に濾過された状態で送り込まれた空気A3を取り入れることができるように構成されている。さらに、この塗装ブース17に供給される空気A3は、塗装ブース用給気空調機25(図3に図示)によって風量調整及び調圧されていることが可能とされている。
【0031】
かかる構成による焼付乾燥炉1によれば、空気取入れダクト22は、塗装ブース17内に送り込むにあたって一度濾過されている空気A3のなかでも比較的溶剤濃度の低い空気A3を再度濾過してから焼付乾燥炉1に送り込む。これにより、実施例1の作用効果に加えて、炉外の空気A3を焼付乾燥炉1内に送り込む際に懸念される塵埃の存在を極限まで低下させることができ、硬化前のワーク塗装面に塵埃が付着するのを未然に防止することができる。
【実施例3】
【0032】
次に、本発明の実施例3について図面を参照して説明する。図3は、本実施例3に係る焼付乾燥炉を説明するための構成図である。
【0033】
図3に示されるように、本焼付乾燥炉1にあっては、空気取入れダクト22は、焼付乾燥炉1内に直接給気可能とする送風装置としての送気ファン26に一体的に設けられているものであって、その排気側は焼付乾燥炉1内に連通している。また、送気ファン26の吸入側は、濾過フィルタ21及び塗装ブース内空気取入れダクト23を介して塗装ブース17内に連通している。そして、塗装ブース内空気取入れダクト23に設けた開閉用ダンパ24を開動作することによって、塗装ブース用給気空調機25によって風量調整及び調圧された空気A4が、ブース空調給気ファン27によって吸い込まれたのちブース空調給気ダクト28を介して塗装ブース17内に送り込まれる際に濾過され、その濾過されて送り込まれた塗装ブース17内の空気A3を取り入れることができるように構成されている。
【0034】
かかる構成による焼付乾燥炉1によれば、塗装ブース用給気空調機25から供給される空気A4が塗装ブース17を介して焼付乾燥炉1に供給される。これにより、実施例1,2の作用効果に加えて、塗装ブース用給気空調機25によって風量調整及び調圧された空気A4を利用することによって焼付乾燥炉1内の熱気A2をより早く炉外に排出することができるので、焼付乾燥炉1内の温度をより迅速に下降させることができる。
【0035】
これらの結果、ワーク塗装面に塵埃を付着させることなく炉内温度を迅速に降下させることが可能な焼付乾燥炉を提供することができる。このため、焼付乾燥炉内でトラブルが発生した時の事故復旧時間が短縮でき、生産性への影響を極小とすることができる。しかも、炉体内冷却を図る時にワークWの塗装品質に与える影響も最小限にすることができる。さらにまた、既存の焼付乾燥炉を大幅に構造変更することなく容易に適用することができるので、低コストな焼付乾燥システムが実現できる。
なお、本焼付乾燥炉は、自動車用の大型焼付乾燥炉に適用されるだけのものではなく、小型の焼付乾燥炉にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施例1に係る焼付乾燥炉を説明するための構成図である。
【図2】実施例2に係る焼付乾燥炉を説明するための構成図である。
【図3】実施例3に係る焼付乾燥炉を説明するための構成図である。
【図4】従来の焼付乾燥炉を説明するための構成図である。
【図5】従来の焼付乾燥炉内のワーク搬送経路を示した模式図である。
【符号の説明】
【0037】
1 焼付乾燥炉
3 燃焼室
4 バーナブロア(送風手段)
5 熱風循環ファン(循環装置)
16 屋外排気ダクト(排気手段)
17 塗装ブース
22 空気取入れダクト(空気取入れ手段)
25 塗装ブース用給気空調機
A1 焼付乾燥炉周辺の常温空気
A2 炉内の熱気
A3 塗装ブース内の空気
A4 塗装ブース用給気空調機によって風量調整及び調圧された空気
W ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱空気を生成する燃焼室と、前記燃焼室にて生成された加熱空気を吸入し、焼付乾燥炉に送り込んでワーク塗装面を焼付、乾燥させて前記燃焼室に循環させる循環装置とを備えた焼付乾燥炉において、
前記焼付乾燥炉内の温度を下降させる場合にあっては、前記燃焼室は加熱空気の生成を止めると共に、前記焼付乾燥炉とは異なった空間の空気を濾過した状態で取り入れ可能な空気取入れ手段を少なくとも前記循環装置の吸入側、或いは前記焼付乾燥炉に設けたことを特徴とする焼付乾燥炉。
【請求項2】
前記燃焼室は、該燃焼室内に加熱空気を生成するための前記焼付乾燥炉周辺の空気を濾過した状態で送り込み、且つ前記焼付乾燥炉内の温度を下降させる場合には前記循環装置と共に稼動して、前記焼付乾燥炉に濾過した空気を送り込む送風手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の焼付乾燥炉。
【請求項3】
前記空気取入れ手段は、ワークに塗装を施す塗装ブースの上部に連通し、前記塗装ブースに濾過された状態で送り込まれた空気を取り入れることを特徴とする請求項1に記載の焼付乾燥炉。
【請求項4】
前記塗装ブースは、塗装ブース用給気空調機にて風量調整及び調圧された空気が供給されることを特徴とする請求項3に記載の焼付乾燥炉。
【請求項5】
前記焼付乾燥炉は、該焼付乾燥炉に送り込まれて温度上昇した空気を屋外に排出可能とする排気手段を備えることを特徴とする請求項1乃至4に記載の焼付乾燥炉。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−118784(P2006−118784A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−306567(P2004−306567)
【出願日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】