説明

煙道ガス流れ処理システム内において発生したエネルギーを捕えて利用する方法及びシステム

煙道ガス処理システム(100)において発生したエネルギーを利用するシステム及び方法である。本方法は、二酸化炭素が混入している溶液(142)を再生装置(136)内の圧力にさらし、これにより、二酸化炭素が混入している溶液(142)から二酸化炭素を取り除き、高圧の二酸化炭素流れ(138)を生成することを包含する。この高圧の二酸化炭素流れ(138)の少なくとも一部分は、膨張タービン(160)に導入され、これによりエネルギー(164)を発生せしめる。このエネルギー(164)は、動力(168)を発生せしめるために利用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年9月24日に出願された「煙道ガス流れ処理システム内において発生したエネルギーを捕えて利用する方法及びシステム」と題する米国特許仮出願第61/245,436号の優先権を主張し、参照によりその全内容が本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は、煙道ガス流れから二酸化炭素(CO)を取り除くシステム及び方法に関する。より詳細には、本発明は煙道ガス流れからのCOの取り除き中に発生したエネルギーを捕えて利用するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
世界において使用されているエネルギーの多くは、炭素及び水素を含有している燃料、例えば石炭、油及び天然ガスの燃焼から得られている。これらの燃料は、炭素及び水素に加えて、水分及び汚染物質、例えば灰、硫黄(しばしば、“SO”と称されている硫黄酸化物の形である)、窒素化合物(しばしば、“NO”と称されている窒素酸化物の形である)、塩素、水銀及び他の微量元素を含有する。燃焼中に放出される汚染物質による被害影響に関する意識は、パワープラント、製油所及び他の工業プロセスからの放出に対して非常に厳重な制限を強化せしめるきっかけになる。汚染物質の放出をゼロ近くに達成せしめることは、このようなプラントのオペレータに対してのプレシャーを増大せしめるものである。
【0004】
多数の方法及びシステムが、汚染物質の放出をゼロ近くに達成せしめる要望に応じて開発されている。このようなシステム及び方法には、限定されるものではないが、脱硫システム(湿式煙道ガス脱硫システム(“DFGD”)として知らされている)、微粒子フィルター(例えば、バグハウス、微粒子コレクター及び同種の装置から成る)、更には、煙道ガスから汚染物質を吸収するひとつ又はそれ以上の吸収剤の使用が含まれる。一例として、吸収剤は、限定されるものではないが、活性炭素、アンモニア、石灰石及び同種の物質から成る。
【0005】
アンモニア及びアミン溶液は、煙道ガス流れからCO及び他の汚染物質、例えば硫黄酸化物(SO)及び塩化水素(HCl)を有効に取り除くことが知られている。ひとつの特定の適用において、アンモニアを用いての煙道ガス流れからのCOの吸収及び取り除きは、低温度、例えば、0セ氏度と20セ氏度との間(0℃〜20℃)の温度で行われる。
【0006】
煙道ガス流れからの汚染物質の取り除きは、かなりの量のエネルギーを必要とする。煙道ガス流れ処理システム内においての汚染物質の取り除き及び処理中に発生したエネルギーを利用することは、システムによって要求される費用及び資力を減少せしめることができる。
【発明の概要】
【0007】
本明細書に記載した一態様によれば、煙道ガス処理システム内において発生したエネルギーを利用する方法において、二酸化炭素が混入している溶液を前記煙道ガス処理システムの再生装置へ供給すること、前記二酸化炭素が混入している溶液を前記再生装置内の圧力にさらし、これにより、前記二酸化炭素が混入している溶液から二酸化炭素を取り除き、高圧の二酸化炭素流れと減少した二酸化炭素を含有している溶液とを生成すること、前記高圧の二酸化炭素流れの少なくとも一部分を膨張タービンへ導入して、前記高圧の二酸化炭素流れの圧力を減少せしめ、これにより、エネルギーと低圧の二酸化炭素流れとを生成すること、及び前記膨張タービン内において発生した前記エネルギーを利用して、動力を発生せしめ、これにより、前記煙道ガス処理システム内において発生したエネルギーを利用することを包含する方法が提供される。
【0008】
本明細書に記載した他の態様によれば、煙道ガス流れから取り除いた二酸化炭素の処理中に発生したエネルギーを利用するシステムにおいて、二酸化炭素を含有している煙道ガス流れを受け入れるように構成した吸収装置であって、この吸収装置内で前記二酸化炭素を含有している煙道ガス流れが前記吸収装置内の二酸化炭素取り除き溶液と接触して、減少した二酸化炭素を含有している煙道ガス流れと二酸化炭素が混入している溶液とを生成するようにした吸収装置と、前記二酸化炭素が混入している溶液を受け入れるように構成した再生装置であって、高圧の二酸化炭素流れと減少した二酸化炭素を含有している溶液とを生成する再生装置と、前記高圧の二酸化炭素流れの少なくとも一部分を受け入れるように構成した膨張タービンであって、前記高圧の二酸化炭素流れの圧力を減少せしめて、低圧の二酸化炭素流れとエネルギーとを生成せしめる膨張タービンと、前記膨張タービンに接続しているジェネレータであって、前記膨張タービンからの前記エネルギーを利用して電気を発生せしめるジェネレータとを包含するシステムが提供される。
【0009】
本明細書に記載した更に他の態様によれば、煙道ガス流れからの二酸化炭素の取り除き中に発生したエネルギーを再生利用する方法において、二酸化炭素を含有している煙道ガス流れを吸収装置へ供給すること、前記二酸化炭素を含有している煙道ガス流れを二酸化炭素取り除き溶液と接触させ、これにより、前記煙道ガス流れから二酸化炭素を取り除き、減少した二酸化炭素を含有している煙道ガス流れと二酸化炭素が混入している溶液とを生成すること、前記二酸化炭素が混入している溶液を1723.9kpascalと3447.4kpascalとの間の範囲内の圧力にさらし、これにより、1723.7kpascalと3447.4kpascalとの間の範囲内の圧力を有する高圧の二酸化炭素流れと減少した二酸化炭素を含有している溶液とを生成すること、前記高圧の二酸化炭素流れの圧力を減少せしめ、これにより、68.9kpascalと689.5kpascalとの間の範囲内の圧力を有する低圧の二酸化炭素流れとエネルギーとを生成せしめること、及び前記エネルギーを利用して電気を前記吸収装置へ供給し、これにより、煙道ガス流れからの二酸化炭素の取り除き中に発生したエネルギーを再生利用することを包含する方法が提供される。
【0010】
上述した及び他の特徴は、添付図面及び下記の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】煙道ガス流れから汚染物質を取り除くために用いられる煙道ガス流れ処理システムの概略系統図である。
【図2】図1のシステムに用いられている吸収装置の一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、図面を参照する。図1及び図2は例示的な一実施形態を示し、これらの図において同一の要素には同一の符号が付けられている。
【0013】
図1に示されている一実施形態は、煙道ガス流れ120から汚染物質を取り除くシステム100を包含する。煙道ガス流れ120は、炉122における燃料の燃焼により発生させられる。煙道ガス流れ120は、多種の汚染物質、限定されるものではないが、硫黄酸化物(SO)、窒素酸化物(NO)、更には、水銀(Hg)、塩酸塩(HCl)、微粒物質、CO、及び同種の物質を含有する。図1には示されていないけれども、煙道ガス流れ120は、煙道ガス流れから汚染物質を取り除くための処理、例えば、煙道ガス脱硫プロセス及び微粒子コレクターによる処理がなされ、煙道ガスからSO及び微粒子が取り除かれるものである。
【0014】
再び図1を参照するに、煙道ガス流れ120は、また、煙道ガス流れ120が吸収装置130を通過することにより煙道ガス流れ120からCOを取り除く処理がなされる。図1には示されていないけれども、煙道ガス流れ120は吸収装置130に入る前に冷却装置を通過するように処理がなされることも考えられるものである。冷却装置は、煙道ガス流れ120を周囲温度以下の温度にまで冷却せしめる。
【0015】
図2に示されているように、吸収装置130はCOを含有している煙道ガス流れ120を(入口又は開口を通して)受け入れ、煙道ガス流れからCOを吸収することを容易にするような構成とされている。煙道ガス流れ120からのCOの吸収は、吸収装置130に供給されているCO取り除き溶液140に煙道ガス流れを接触させることにより行なわれる。一実施形態において、CO取り除き溶液140はアンモニア化溶液又はスラリーである。このアンモニア化溶液又はスラリーは、水の溶液中の溶存アンモニアとCO種とを含有し、又は炭酸水素アンモニウムの沈殿固体を含有することができる。他の実施形態において、CO取り除き溶液140はアミン溶液である。
【0016】
一実施形態において、吸収装置130は第1のアブソーバ132と第2のアブソーバ134とを包含する。吸収装置130は、この構成に限定されるものではなく、他の実施形態において、図2に示されている数よりも多い又は少ないアブソーバを包含することができる。
【0017】
図2に一層詳細に示されているように、CO取り除き溶液140は吸収装置130に導入される。一実施形態において、CO取り除き溶液140は、吸収装置130内を方向Bへ流れる煙道ガス流れ120の流れと逆の流れである方向Aで吸収装置130内に導入される。CO取り除き溶液140が煙道ガス流れ120と接触すると、煙道ガス流れ中に存在するCOが吸収されて、煙道ガス流れから取り除かれ、これにより、二酸化炭素が混入された溶液142と、減少された二酸化炭素を含有する煙道ガス流れ150とが生成され、これらの溶液142及び煙道ガス流れ150はそれぞれ吸収装置130を出る。このようにして得られた、二酸化炭素が混入している溶液142の少なくとも一部分は吸収装置130からこの吸収装置の下流の再生装置136(図1)へ輸送される。再生装置136において、二酸化炭素が混入している溶液142は再生されて、CO取り除き溶液140を生成し、この再生されたCO取り除き溶液140は吸収装置130に導入される。
【0018】
ここに例示した実施形態においては、CO取り除き溶液140が第1のアブソーバ132に導入されるものとして示されているけれども、システム100はこの構成に限定されるものではなく、CO取り除き溶液140は、第2のアブソーバ134に導入されるように、又は第1のアブソーバ及び第2のアブソーバの両方に導入されるように代えることができるものである。
【0019】
一実施形態において、吸収装置130は低温度で、特に、約20セ氏度(20℃)よりも低い温度で作動する。一実施形態において、吸収装置130は約0セ氏度と約20セ氏度との間(0℃〜20℃)の温度範囲内で作動する。他の実施形態において、吸収装置130は約0セ氏度と約10セ氏度との間(0℃〜10℃)の温度範囲内で作動する。しかしながら、システム100は、このような温度に限定されるものではない。なぜなら、吸収装置は任意の温度で作動させることができるものと考えられるからである。
【0020】
更に図2を参照するに、減少された二酸化炭素が含有している煙道ガス流れ150は、周囲に放出される前に、更なる汚染物の取り除きプロセス及びシステムによる処理を行うこともできる。二酸化炭素が混入している溶液142は、再生装置136へ供給される。
【0021】
再び図1を参照するに、再生装置136は、二酸化炭素が混入している溶液142を受け入れて、この二酸化炭素が混入している溶液からのCOの取り除きを容易にし、二酸化炭素を含有している溶液137と高圧の二酸化炭素流れ138とを生成せしめるような構成とされている、任意の再生装置とすることができる。
【0022】
図1に示されているように、再生装置136は二酸化炭素が混入している溶液142を再生装置136に導入する入口139を包含する。図1は再生装置136の特定の位置に設けられている入口139を示しているけれども、入口139は再生装置の任意の位置に設けることができるものであると考えている。
【0023】
一実施形態において、再生装置136は二酸化炭素が混入している溶液142からのCOの取り除きを容易にするために蒸気(図示せず)を用いる。他の実施形態において、再生装置136は、二酸化炭素が混入している溶液142からCOを取り除くために、約1723.7kpascal(約250psig(pounds per square inch on gauge))と約3447.4kpascal(約500psig(pounds per square inch on gauge))との間の範囲内の圧力で作動される。更に他の実施形態において、再生装置136は、二酸化炭素が混入している溶液142からCOを取り除くために、蒸気と圧力との組み合わせを用いることができる。
【0024】
図1に示されているように、再生装置136内で発生した、減少した二酸化炭素を含有している溶液137は、CO取り除き溶液140と一緒に用いるために吸収装置130に供給することができる。例示した実施形態には示されていないけれども、減少した二酸化炭素を含有している溶液137は、新鮮なCO取り除き溶液140又は吸収装置130から再循環されてきたCO取り除く溶液に混合することができる。代替的に、例示した実施形態には示されていないけれども、減少した二酸化炭素を含有している溶液137は、新鮮なCO取り除き溶液140又は吸収装置130から再循環されてきたCO取り除き溶液に混合することなしに、吸収装置130に直接供給することができる。
【0025】
一実施形態において、二酸化炭素が混入している溶液142は再生装置136内の圧力にさらされる。約1723.7kpascal(約250psig(pounds per square inch on gauge))と約3447.4kpascal(約500psig(pounds per square inch on gauge))との間の範囲内の圧力での再生装置136の作動は、高圧の二酸化炭素流れ138を発生せしめる。
【0026】
この高圧の二酸化炭素流れ138は、約1723.7kpascal(約250psig(pounds per square inch on gauge))と約3447.4kpascal(約500psig(pounds per square inch on gauge))との間の範囲内の圧力を有する。一実施形態において、高圧の二酸化炭素流れ138の圧力は、約2068.4kpascal(約300psig)と約3447.4kpascal(約500psig)との間の範囲内である。他の実施形態において、高圧の二酸化炭素流れ138の圧力は、約2068.4kpascal(約300psig)と約3102.6kpascal(約450psig)との間の範囲内である。更に他の実施形態において、高圧の二酸化炭素流れ138の圧力は、約2068.4kpascal(約300psig)である。
【0027】
図1に示されているように、高圧の二酸化炭素流れ138は、熱交換器138aへ供給され、それから膨張タービン160へ供給される。一実施形態において、高圧の二酸化炭素流れ138が熱交換器138aを通過した後、その一部分を脱水装置170へ供給することができ、高圧の二酸化炭素流れ138の残りの分離した部分が膨張タービン160へ供給される。
【0028】
脱水装置170は、高圧の二酸化炭素流れ138の一部分を再生装置136へ戻るように再循環する前に、この高圧の二酸化炭素流れ138から過剰水分を取り除く。再生装置136へ再循環された高圧の二酸化炭素流れ138の水分量は、システム及び適用に依存して、約10ppmv(parts per million by volume)と約600ppmvとの間の範囲内である。
【0029】
図示していないけれども、高圧の二酸化炭素流れ138のすべてを再生装置136から膨張タービン160へ供給することができることも考えられる。
【0030】
膨張タービン160は、高圧の二酸化炭素流れ138の少なくとも一部分を(入口又は開口によって)受け入れ、この高圧の二酸化炭素流れの圧力を減少せしめて、低圧の二酸化炭素流れ162とエネルギー164とを生じせしめるような構成とされている。
【0031】
一実施形態において、高圧の二酸化炭素流れ138の圧力は、低圧の二酸化炭素流れ162を生成するために少なくとも50パーセント(50%)減少させられる。他の実施形態において、高圧の二酸化炭素流れ138の圧力は、低圧の二酸化炭素流れ162を生成するために少なくとも75パーセント(75%)減少させられる。
【0032】
より詳細には、一実施形態において、低圧の二酸化炭素流れ162の圧力は、約68.9kpascal(約10psig)と約1066.6kpascal(約140psig)との間の範囲内である。他の実施形態において、低圧の二酸化炭素流れ162の圧力は、約68.9kpascal(約10psig)と約689.5kpascal(約100psig)との間の範囲内である。更に他の実施形態において、低圧の二酸化炭素流れ162の圧力は、約68.9kpascal(約10psig)と約620.5kpascal(約90psig)との間の範囲内である。更に他の実施形態において、低圧の二酸化炭素流れ162の圧力は、約137.9kpascal(約20psig)と約206.8kpascal(約30psig)との間の範囲内である。更に他の実施形態において、低圧の二酸化炭素流れ162の圧力は約137.9kpascal(約20psig)である。
【0033】
図1に示されているように、低圧の二酸化炭素流れ162は冷却器165へ送られ、それから、冷却された低圧の二酸化炭素流れ162aが貯蔵容器166へ送られる。低圧の二酸化炭素流れ162は、冷却器165において液化させて、約10℃と約80℃との間の温度にまで冷却させることができる。膨張タービン160における圧力膨張から得られる低圧の二酸化炭素流れ162の温度減少は、低圧の二酸化炭素流れ162の温度を液化点にまで低下させるために冷却器165により要求されるエネルギーを減少せしめる。
【0034】
一実施形態において、低圧の二酸化炭素流れ162aは、この低圧の二酸化炭素流れが使用又は他の処理のために他の場所へ輸送される前に、貯蔵容器166に常に一時的に貯蔵される。
【0035】
膨張タービン160において低圧の二酸化炭素流れ162を発生せしめるために高圧の二酸化炭素流れ138の温度を減少せしめることは、また、エネルギー164を発生せしめる。一実施形態において、このエネルギー164は膨張タービン160のシャフトを回転せしめる作動エネルギーであり、膨張タービン160のシャフトがそれから適当な装置、例えばジェネレータ167を駆動せしめるために用いられる。認識することができるように、高圧の二酸化炭素流れ138は膨張タービン160において等エントロピー膨張を受け、低い温度を有する低圧の二酸化炭素流れ162として出る。
【0036】
図1に示されているように、エネルギー164は動力168を発生せしめるためにジェネレータ167により用いられている。ジェネレータ167は、動力168を発生せしめるために膨張タービン160により供給されたエネルギー164の変換を容易にする任意の型式のジェネレータとすることができる。一実施形態において、ジェネレータ167は動力168として電気を発生せしめる発電機である。
【0037】
他の実施形態において、膨張タービン160は別の適当な装置(図示せず)、例えばポンプ、圧縮機、冷凍用圧縮機、ファン、ブロワー又は同種の装置に接続することができる。エネルギー164は、膨張タービン160に接続された装置に動力を供給するために用いることができる。すなわち、エネルギー164は膨張タービンに接続された装置の原動機とすることができる。
【0038】
ジェネレータ167により生じた動力168はシステム100内において利用することができる。例えば、動力168はパワープラント122に供給して、パワープラント122により用いることができる。他の実施形態において、動力168はシステム100内の種々の装置に供給して、これらの装置により用いることができる。これらの種々の装置には、限定されるものではないが、吸収装置130のポンプ、再生装置136に接続しているポンプ、システム100内において用いられている冷却器及び凝縮器、システム100内において用いられているファン、システム100内において用いられている湿式煙道ガス脱硫器に接続して用いられている再循環ポンプ及びボールミルが含まれる。代替的に、又は、動力をシステム100内の種々の装置へ供給するに加えて、電気の形の動力168を消費電気グリッド180又はシステム100の外部の装置若しくはシステムへ供給することができる。
【0039】
システム100内における動力168の利用は、システムの外部源から動力を得るための必要性を軽減、減少又は排除せしめる。システムの外部源から動力を得るための必要性を軽減、減少又は排除せしめることは、外部源から動力を得るシステムよりも一層効率が良く及び/又はコストを有効に減少せしめることができる。効率の向上及びコストの減少は、また、動力168がシステム100の外へ送られたときにも、例えば消費電気グリッド180のようなシステム及び装置によっても得られるものである。
【0040】
本明細書における用語“第1”,“第2”などは順番や数や重要性を示すものではなく、ひとつの要素を他の要素から区別するために用いられているものである。また、本明細書における用語“ひとつ”は数の限定を示すものではなく、このように記載された要素の少なくともひとつの存在を示すものである。
【0041】
以上本発明を種々の例示的な実施形態でもって詳述してきたけれども、当業者にとっては、本発明の範囲から逸脱することなしに、種々の変形を行うことができると共に、種々の等価物をその要素に代えることができることを理解されよう。更に、多くの変形が、本発明の本質的な範囲を逸脱することなしに、本発明の教示に対して特定の形態を工夫するために行うことができるものである。したがって、本発明は、本発明を実施するように意図した最良の形態として述べた特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明は特許請求の範囲の記載の範囲内にあるすべての実施形態を包含するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
煙道ガス処理システム内において発生したエネルギーを利用する方法において、
二酸化炭素が混入している溶液を前記煙道ガス処理システムの再生装置へ供給すること、
前記二酸化炭素が混入している溶液を前記再生装置内の圧力にさらし、これにより、前記二酸化炭素が混入している溶液から二酸化炭素を取り除き、高圧の二酸化炭素流れ及び減少した二酸化炭素を含有している溶液を生成すること、
前記高圧の二酸化炭素流れの少なくとも一部分を膨張タービンへ導入して、前記高圧の二酸化炭素流れの圧力を減少せしめ、これにより、エネルギーと低圧の二酸化炭素流れとを生成すること、及び
前記膨張タービン内において発生した前記エネルギーを利用して、動力を発生せしめ、これにより、前記煙道ガス処理システム内において発生したエネルギーを利用すること、
を包含する方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、前記二酸化炭素が混入している溶液が1723.7kpascalと3447.4kpascalとの間の範囲を有する圧力にさらされる方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法において、前記低圧の二酸化炭素流れの圧力が68.9kpascalと1066.6kpascalとの間の範囲を有する方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法において、前記低圧の二酸化炭素流れの圧力が137.9kpascalと206.8kpascalとの間の範囲内である方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法において、前記動力が電気である方法。
【請求項6】
請求項1記載の方法において、更に、前記低圧の二酸化炭素流れを冷却器へ供給することを包含する方法。
【請求項7】
請求項1記載の方法において、更に、前記低圧の二酸化炭素流れを貯蔵容器へ供給することを包含する方法。
【請求項8】
請求項1記載の方法において、前記高圧の二酸化炭素流れの圧力が1723.7kpascalと3447.4kpascalとの間の範囲内である方法。
【請求項9】
請求項1記載の方法において、更に、前記動力を吸収装置へ供給することを包含し、前記吸収装置が前記再生装置の上流に位置して、煙道ガス流れから二酸化炭素を取り除く方法。
【請求項10】
請求項1記載の方法において、更に、前記動力を消費電気グリッドへ供給することを包含する方法。
【請求項11】
煙道ガス流れから取り除いた二酸化炭素の処理中に発生したエネルギーを利用するシステムにおいて、
二酸化炭素を含有している煙道ガス流れを受け入れるように構成した吸収装置であって、この吸収装置内で前記二酸化炭素を含有している煙道ガス流れが前記吸収装置内の二酸化炭素取り除き溶液と接触して、減少した二酸化炭素を含有している煙道ガス流れと二酸化炭素が混入している溶液とを生成するようにした吸収装置と、
前記二酸化炭素が混入している溶液を受け入れるように構成した再生装置であって、高圧の二酸化炭素流れと減少した二酸化炭素を含有している溶液とを生成する再生装置と、
前記高圧の二酸化炭素流れの少なくとも一部分を受け入れるように構成した膨張タービンであって、前記高圧の二酸化炭素流れの圧力を減少せしめて、低圧の二酸化炭素流れとエネルギーとを生成せしめる膨張タービンと、
前記膨張タービンに接続しているジェネレータであって、前記膨張タービンからの前記エネルギーを利用して電気を発生せしめるジェネレータと、
を包含するシステム。
【請求項12】
請求項11記載のシステムにおいて、前記再生装置が1723.7kpascalと3447.4kpascalとの間の範囲を有する圧力で作動されるシステム。
【請求項13】
請求項11記載のシステムにおいて、前記高圧の二酸化炭素流れが1723.7kpascalと3447.4kpascalとの間の範囲内の圧力を有するシステム。
【請求項14】
請求項11記載のシステムにおいて、前記低圧の二酸化炭素流れが約68.9kpascalと1066.6kpascalとの間の範囲内の圧力を有するシステム。
【請求項15】
請求項11記載のシステムにおいて、更に、前記膨張タービンに接続している冷却器を包含し、前記冷却器が前記膨張タービンからの前記低圧の二酸化炭素流れを受け入れて、前記低圧の二酸化炭素流れの温度を10℃と80℃との間の範囲内の温度にまで減少せしめるような構成とされているシステム。
【請求項16】
請求項11記載のシステムにおいて、更に、前記膨張タービンに接続している貯蔵容器を包含し、前記貯蔵容器が前記低圧の二酸化炭素流れを貯蔵するようにしているシステム。
【請求項17】
請求項11記載のシステムにおいて、前記二酸化炭素取り除き溶液がアンモニアを含有しているシステム。
【請求項18】
請求項17記載のシステムにおいて、前記吸収装置が0℃と20℃との間の温度で作動されるシステム。
【請求項18】
請求項11記載のシステムにおいて、前記二酸化炭素取り除き溶液がアミン溶液であるシステム。
【請求項19】
請求項11記載のシステムにおいて、更に、前記減少した二酸化炭素を含有している溶液を前記吸収装置へ供給することを包含するシステム。
【請求項20】
煙道ガス流れからの二酸化炭素の取り除き中に発生したエネルギーを再生利用する方法において、
二酸化炭素を含有している煙道ガス流れを吸収装置へ供給すること、
前記二酸化炭素を含有している煙道ガス流れを二酸化炭素取り除き溶液と接触させ、これにより、前記煙道ガス流れから二酸化炭素を取り除き、減少した二酸化炭素を含有している煙道ガス流れと二酸化炭素が混入している溶液とを生成すること、
前記二酸化炭素が混入している溶液を1723.9kpascalと3447.4kpascalとの間の範囲内の圧力にさらし、これにより、1723.7kpascalと3447.4kpascalとの間の範囲内の圧力を有する高圧の二酸化炭素流れと減少した二酸化炭素を含有している溶液とを生成すること、
前記高圧の二酸化炭素流れの圧力を減少せしめ、これにより、68.9kpascalと689.5kpascalとの間の範囲内の圧力を有する低圧の二酸化炭素流れとエネルギーとを生成せしめること、及び
前記エネルギーを利用して電気を前記吸収装置へ供給し、これにより、煙道ガス流れからの二酸化炭素の取り除き中に発生したエネルギーを再生利用すること、
を包含する方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−505823(P2013−505823A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530930(P2012−530930)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/048840
【国際公開番号】WO2011/037788
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(503416353)アルストム テクノロジー リミテッド (394)
【氏名又は名称原語表記】ALSTOM Technology Ltd
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 7, CH−5400 Baden, Switzerland
【Fターム(参考)】