説明

照射装置、ヘッドユニット、液滴吐出装置

【課題】電磁波の照射領域を規制し、不要な箇所への照射を防止し、インク等の劣化を抑制する。
【解決手段】照射装置11に、電磁波を照射する照射部20と、基板13に形成された貫通孔17を有する規制部21を備え、照射された前記電磁波の照射方向を規制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照射装置、ヘッドユニット、液滴吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電磁波の照射によって硬化するインクを噴出するヘッド部と、電磁波を照射する照射部と、を有する液滴吐出装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−1437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された液滴吐出装置では、電磁波を照射したとき、不要な箇所にも照射してしまい、インクの劣化等を引き起こしてしまう、という課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例にかかる照射装置は、電磁波を照射する照射部と、照射された前記電磁波の照射方向を規制する規制部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、照射された電磁波の照射方向は、規制部によって規制されながら照射される。従って、規制部を所望の形状に形成することにより、所望の領域にのみ電磁波を照射させることができるので、不要な場所への電磁波の照射を抑制することができる。
【0008】
[適用例2]上記適用例にかかる照射装置の前記規制部は、基板と、前記基板に形成された貫通孔と、を有し、前記照射部は、前記貫通孔を介して電磁波を照射すること特徴とする。
【0009】
この構成によれば、照射された電磁波の照射方向を、貫通孔によって規制させることができる。
【0010】
[適用例3]上記適用例にかかる照射装置の前記規制部には、照射された前記電磁波を集光させる集光部を備えたことを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、電磁波の照射方向を確実に規制するとともに、電磁波の照射強度を高めることができる。
【0012】
[適用例4]上記適用例にかかる照射装置では、前記照射部が前記貫通孔毎に対応して設けられたことを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、貫通孔が複数形成された場合、貫通孔毎に対応して照射部が設けられる。そして、各照射部を適宜制御することにより、無駄な消費電力を低減させるとともに、作業性を向上させることができる。
【0014】
[適用例5]本適用例にかかるヘッドユニットは、上記の照射装置と、前記電磁波の照射によって硬化する機能液を液滴として吐出する吐出ヘッドと、を備えたことを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、吐出ヘッドから吐出された機能液に対して効率よく電磁波を照射させ、機能液を硬化させることができる。なお、照射された電磁波の照射方向は、規制部によって規制されるため、不要箇所への電磁波の照射が防止され、塗布された機能液の劣化等を抑制することができる。
【0016】
[適用例6]上記適用例にかかるヘッドユニットの前記規制部は、前記吐出ヘッドのノズルプレートであることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、ノズルプレートに形成されたノズル孔を利用して、電磁波の照射方向を規制することができる。
【0018】
[適用例7]上記適用例にかかるヘッドユニットでは、一方の前記吐出ヘッドと他方の前記吐出ヘッドとの間に、前記照射装置が配置されたことを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、装置の構成を簡略化させることができる。
【0020】
[適用例8]本適用例にかかる液滴吐出装置は、上記のヘッドユニットを搭載したことを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、優れた描画を行う装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】液滴吐出装置の構成を示す概略図。
【図2】ヘッドユニットの構成を示し、(a)は側面図、(b)は平面図。
【図3】照射装置の構成を示す概略図。
【図4】液滴吐出装置の動作を示す説明図。
【図5】変形例にかかる照射装置の構成を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態について説明する。
【0024】
まず、液体吐出装置の構成について説明する。図1は、液体吐出装置の構成を示す概略図である。図1に示すように、液体吐出装置1は、媒体送り機構2、ヘッド走査機構3、ヘッドユニット4及びコントローラー5等を備える。液体吐出装置1は、例えば、シリアルヘッド方式のインクジェット印刷方式の装置である。
【0025】
媒体送り機構2は、ガラスやフィルム、IC、ICパッケージ等の印刷対象物となる記録媒体6を載置するステージ7、およびステージ7を予め定められた媒体搬送方向(Y軸方向)に搬送するフィード軸8を備える。そして、媒体送り機構2は、記録媒体6の搬送を指示する搬送指令がコントローラー5から出力されると、ステージ7に記録媒体を保持させ、フィード軸8にステージ7を媒体搬送方向に搬送させることで、記録媒体6を当該媒体搬送方向に搬送する。
【0026】
ヘッド走査機構3は、媒体送り機構2の上方に配置されており、ヘッドユニット4を媒体搬送方向と直交するヘッド走査方向(X軸方向)に沿って往復させるヘッドスキャン軸9を備える。そして、ヘッド走査機構3は、ヘッドユニット4の往復を指示する往復指令がコントローラー5から出力されると、記録媒体6が印刷幅搬送されるたびに、ヘッドスキャン軸9にヘッドユニット4を往復させることで、記録媒体6の上方をヘッドユニット4が往復する。
【0027】
次に、ヘッドユニット4の構成について説明する。図2は、ヘッドユニット4の構成を示し、(a)は側面図であり、(b)は平面図である。図2に示すように、ヘッドユニット4は、外枠のキャリッジ10と、キャリッジ10に配置された吐出ヘッド12(12a,12b)および照射装置11を備えている。
【0028】
吐出ヘッド12は、機能液を液滴として吐出するものであり、本実施形態では、電磁波(例えば、UV)を照射すると硬化する機能液を液滴として吐出する。本実施形態では、X軸方向(ヘッド走査方向)に第1吐出ヘッド12aと第2吐出ヘッド12bとが並んで設置されている。そして、吐出ヘッド12a,12bのノズルプレート13に形成されたノズル孔17から液滴が吐出されるように構成されている。
【0029】
照射装置11は、電磁波(例えば、UV)を照射するものである。本実施形態では、吐出ヘッド12a,12bから吐出された機能液に対して電磁波を照射することにより、機能液を硬化させることができる。そして、照射装置11は、第1吐出ヘッド12aと第2吐出ヘッド12bとの間に配置されている。
【0030】
次に、照射装置の構成について説明する。図3は、照射装置の構成を示す概略図である。図3に示すように、照射装置11は、電磁波を照射する照射部20と、照射された電磁波の照射方向を規制する規制部21とを備えている。規制部21は、基板と、基板に形成された貫通孔と、を有し、照射部20は、貫通孔を介して電磁波を照射するように構成されている。さらに、本実施形態では、基板に複数の貫通孔が形成され、照射部が貫通孔毎に対応して設けられている。なお、本実施形態における規制部21は、基板としてのノズルプレート13と、ノズルプレート13に形成された貫通孔としてのノズル孔17とから構成されている。そして、コントローラー5から各照射部20に対して駆動信号が送信され、各照射部20は、送信された駆動信号に基づいて、駆動(照射)するように構成されている。照射された電磁波は、ノズル孔17を通過して外部に照射される。すなわち、ノズル孔17によって、電磁波の照射方向が規制される。これにより、電磁波の照射領域を規制することができる。
【0031】
次に、液滴吐出装置の動作について説明する。図4は、液滴吐出装置の動作を示す説明図である。所定の動作プログラムに基づいて、コントローラー5から搬送指令が媒体送り機構2に出力され、往復指令がヘッド走査機構3に出力される。そして媒体送り機構2およびヘッド走査機構3によって、記録媒体6が媒体搬送方向に印刷幅分ずつ搬送され、印刷幅分搬送されるたびに、記録媒体6の上方をヘッドユニット4が一往復する。また、上記動作に連動してコントローラー5から印刷指令が吐出ヘッド12に出力される。そして吐出ヘッド12によって、記録媒体6の上方をヘッドユニット4がヘッド幅ずつ移動するたびに、任意のノズル孔17から記録媒体6の上面に液滴Dが適宜吐出される。吐出された液滴Dは記録媒体6上に液滴ドットdとして塗布される。また、照射装置11によって、ヘッドユニット4が往復移動されているときに、所定のノズル孔17を通して電磁波が照射され、電磁波が照射された液滴ドットdが硬化する。このようにして、記録媒体6上に画像が形成される。
【0032】
以上、上記実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
【0033】
(1)照射装置11は、照射部20とノズルプレート13に形成されたノズル孔17とが設けられ、照射部20から電磁波が照射されると、電磁波は、ノズル孔17を介して、機能液に照射される。すなわち、照射された電磁波光の照射方向が規制され、これにより、照射領域が規制される。従って、不必要な領域エリアへの電磁波の照射が抑制されるため、塗布された機能液の劣化等を防止することができる。
【0034】
(2)照射装置11のノズル孔17の配置を、吐出ヘッド12a,12bにおけるノズル孔17の配置と同じにしたので、電磁波光を塗布された液滴ドット位置に精度よく照射させることができる。
【0035】
(3)ノズル孔17毎に照射部20を設置したので、ヘッドユニット4の走査毎に照射領域を設定することができ、さらに、効率よく電磁波を照射できるとともに、消費電力を低減させることができる。
【0036】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良などを加えることが可能である。変形例を以下に述べる。
【0037】
(変形例1)上記実施形態の照射装置11において、照射された電磁波を集光させる集光部を備えてもよい。図5は、変形例にかかる照射装置の構成を示す概略図である。図5に示すように、例えば、貫通孔としてのノズル孔17の開口部分に、電磁波の照射方向に対して凸形状を有する凸レンズ30を形成する。このようにすれば、さらに、効率的に電磁波の照射方向、照射領域を規制することができるとともに、容易に照射強度を高めることができる。
【0038】
(変形例2)上記実施形態では、複数のノズル孔17が形成され、各ノズル孔17に対応して照射部20を設けたが、これに限定されない。例えば、形成されたノズル孔17の数よりも照射部20の数が少なくてもよい。このようにしても、電磁波の照射方向を規制することができる。
【符号の説明】
【0039】
1…液体吐出装置、4…ヘッドユニット、5…コントローラー、6…記録媒体、10…キャリッジ、11…照射装置、12(12a,12b)…吐出ヘッド、13…基板としてのノズルプレート、17…貫通孔としてのノズル孔、20…照射部、21…規制部、30…凸レンズ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波を照射する照射部と、
照射された前記電磁波の照射方向を規制する規制部と、を備えたことを特徴とする照射装置。
【請求項2】
請求項1に記載の照射装置において、
前記規制部は、
基板と、
前記基板に形成された貫通孔と、を有し、
前記照射部は、
前記貫通孔を介して電磁波を照射すること特徴とする照射装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の照射装置において、
前記規制部には、照射された前記電磁波を集光させる集光部を備えたことを特徴とする照射装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の照射装置において、
前記照射部が前記貫通孔毎に対応して設けられたことを特徴とする照射装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の照射装置と、
前記電磁波の照射によって硬化する機能液を液滴として吐出する吐出ヘッドと、を備えたことを特徴とするヘッドユニット。
【請求項6】
請求項5に記載のヘッドユニットにおいて、
前記規制部は、前記吐出ヘッドのノズルプレートであることを特徴とするヘッドユニット。
【請求項7】
請求項5または6に記載のヘッドユニットにおいて、
一方の前記吐出ヘッドと他方の前記吐出ヘッドとの間に、前記照射装置が配置されたことを特徴とするヘッドユニット。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか一項に記載のヘッドユニットを搭載したことを特徴とする液滴吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−187530(P2012−187530A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−54016(P2011−54016)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】