説明

照明装置及び操作スイッチ装置

【課題】意匠パネルの透過照明を均一化することが可能な照明装置及びこの照明装置を備えた操作スイッチ装置を提供する。
【解決手段】照明装置は、表示意匠3aが形成される意匠パネル3と、表示意匠3aを照明する発光素子4bとが実装される回路基板4と、回路基板4の表面に少なくとも発光素子4b周辺を除いて形成される光反射性の反射部4dと、発光素子4b周辺に設けられる低反射部4eと、を備えてなることを特徴とする。低反射部4eは、発光素子4bを中心とした円形状に形成されてなる。反射部4dは、白色である。反射部4dはシルク印刷によって形成されてなり、低反射部4eはシルク印刷がなされない個所からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置及びこの照明装置を備える操作スイッチ装置に関し、特に照明の均一化に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車速,エンジン回転数,水温,油圧等の様々な車両の走行状態(以下、車両情報という)を表示する車両用計器としては、例えば駆動本体に指針が装着され、前記指針を表示板上で回動させることで前記車両情報を示す計測量を表示するアナログ式表示部や液晶表示パネル等からなるデジタル式表示部を単一のケース体内に収納してなり、車両に通常搭載されるコンビネーションメータとは別に前記車両情報をより詳細に監視するいわゆるアフターメータがある(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−38593号公報
【特許文献2】特開平2−155136号公報
【特許文献3】特開2000−340061号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
かかるアフターメータにおいては、前記車両情報の記憶及び再生やピーク値の表示などの多機能を有することが一般的であり、これらの機能や表示の操作を行うために単数あるいは複数の操作スイッチを有する操作部を備える必要がある。
【0004】
前記操作部を前記ケース体内に一体に設ける場合には前記表示部の表示領域が狭くなるため小型のアフターメータにおいては前記操作部を有する操作スイッチ装置を別体に設ける場合がある。かかる操作スイッチ装置は、夜間使用のためやアフターメータとの一体感を演出するためにスイッチの操作機能に応じた表示意匠が形成される意匠パネルがLEDなどの発光素子によって透過照明される。また、照明には効率化及び均一化が求められており、従来は特許文献2に開示されるようにスイッチ及びLEDが実装される絶縁基板上全面に白色シートを設ける方法や、特許文献3に開示されるように拡散板を設ける方法などが知られている。しかしながら、アフターメータに用いられる操作スイッチ装置は、取り付けスペースに自由度を持たせるべく更なる薄型化及び小型化が求められており、そのために前記意匠部とLEDとの間隔が近くなると従来の方法ではLEDの実装個所付近で照明の輝度が高くなりすぎ、照明にムラが生じてしまうという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明は、上述した課題に着目してなされたものであり、機器に備えられる意匠パネルの透過照明を均一化することが可能な照明装置及びこの照明装置を備える操作スイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するため、表示意匠が形成される意匠パネルと、前記表示意匠を照明する発光素子とが実装される回路基板と、前記回路基板の表面に少なくとも前記発光素子周辺を除いて形成される光反射性の反射部と、前記発光素子周辺に設けられる低反射部と、を備えてなることを特徴とする。
【0007】
また、前記低反射部は、前記発光素子を中心とした円形状に形成されてなることを特徴とする。
【0008】
また、前記反射部は、白色であることを特徴とする。
【0009】
また、前記反射部はシルク印刷によって形成されてなり、前記低反射部はシルク印刷がなされない個所からなることを特徴とする。
【0010】
また、前記意匠パネルと前記発光素子との間に、前記発光素子からの光を拡散させる拡散板を設けてなることを特徴とする。
【0011】
本発明は、前記課題を解決するために、スイッチを操作するための光透過性のスイッチノブと、前記スイッチノブの前面側に設けられ操作機能に応じた表示意匠が形成される意匠パネルと、前記スイッチ及び前記表示意匠を照明する発光素子とが実装される回路基板と、前記回路基板の表面に少なくとも前記発光素子周辺を除いて形成される光反射性の反射部と、前記発光素子周辺に設けられる低反射部と、を備えてなることを特徴とする。
【0012】
また、前記低反射部は、前記発光素子を中心とした円形状に形成されてなることを特徴とする。
【0013】
また、前記低反射部は、前記スイッチノブの少なくとも一部と対向するように形成されてなることを特徴とする。
【0014】
また、前記反射部は、白色であることを特徴とする。
【0015】
また、前記反射部はシルク印刷によって形成されてなり、前記低反射部はシルク印刷がなされない個所からなることを特徴とする。
【0016】
また、前記意匠パネルと前記発光素子との間に、前記発光素子からの光を拡散させる拡散板を設けてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、照明装置及びこの照明装置を備える操作スイッチ装置に関し、意匠パネルの透過照明を均一化することが可能となるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の照明装置を車両用計器における各種機能の切り換えまたは確定等の各種操作を行うための操作スイッチ装置に適用した実施の形態につき添付図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は操作スイッチ装置の外観及び断面図を示している。操作スイッチ装置は、スイッチケース1と、スイッチノブ2と、スイッチパネル(意匠パネル)3と、回路基板4と、から主に構成される。なお、5はスライドスイッチであり、6はスライドスイッチ5を操作するためのスライドスイッチノブである。
【0020】
スイッチケース1は、ABS等の樹脂材料からなる上ケース1a及び下ケース1bとからなり、操作スイッチ装置を構成する各部材を収納するものである。
【0021】
スイッチノブ2は、光透過性を有するアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等からなり、上ケース1aに設けられる開口部に配設され、押圧することによって回路基板4に実装されるスイッチ4aを操作可能な形状に形成されている。また、スイッチノブ2にシボ加工を施すなどしてスイッチ照明用LED4bからの光を拡散させる機能を持たせてもよい。
【0022】
スイッチパネル3は、スイッチノブ2の前面側に設けられ、操作スイッチ装置の操作機能に応じた文字や図形等からなる光透過性の表示意匠3aが印刷等の方法で形成されてなるものである。また、スイッチパネル3は、警告や機能の実行等を発光表示にて報知する発光表示部3bが形成されている。
【0023】
回路基板4は、スイッチケース1に収納されるものであって、スイッチノブ2の配設位置に応じて配置されるスイッチ4aと、スイッチパネル3の表示意匠3aを透過照明するためのスイッチ照明用LED4bと、スイッチパネル3の発光表示部3bを照明するための発光表示部照明用LED4cと、が実装されてなるものである。また、回路基板4には配線パターンが形成されており、接続コードAを介して被操作機器である前記車両用計器と電気的に接続される。スイッチ4aは、例えばタクトスイッチ等からなる押しボタンスイッチであり、スイッチノブ2の押圧によって操作され、前記車両用計器における各種機能の切り換えまたは確定等の各種操作が実行される。
【0024】
また、回路基板4は、図2に示すように、スイッチ4a及びスイッチ照明用LED4bの実装面側に、スイッチ照明用LED4bの周辺を除いて形成される光反射性の高い反射部4dとスイッチ照明用LED4bの周辺に設けられる低反射部4eとを有する。反射部4dは、本実施形態においてはシルク印刷によって形成される白色層からなる。低反射部4eは、反射部4dよりも光反射性が低く形成されるものであり、本実施形態においてはシルク印刷がなされない個所、すなわち反射部4dの非形成個所からなる。また、本実施形態ではスイッチ照明用LED4bは列状に配置される3つのスイッチ4aの間に配設されている。そのため、低反射部4eは、スイッチ照明用LED4bの実装位置を中心とした円形状に形成されている。スイッチ照明用LED4bから発せられる光は全周方向に向けられるため、低反射部4eを円形状にすることでスイッチパネル3の表示意匠3aのうちスイッチ照明用LED4b及びその周辺と対向する部分が過度に明るくなることを抑制可能である。また、低反射部4eはスイッチノブ2の一部と対向するように形成されており、利用者に注視されやすいスイッチノブ2と対向する表示意匠3aで照明ムラが生じることをより確実に抑制可能である。なお、低反射部4eとしては前記白色層とは別に低反射性の黒色層等を印刷形成するものであってもよい。また、反射部4dと低反射部4eとの境界部分をシルク印刷をドット状や網目状に形成するなどして反射性を徐々に変化させるようにしてもよい。また、回路基板4には、低反射部4eと同様にシルク印刷がなされない個所からなり上ケース1a等が接触する個所を示す指標部4fが設けられており、上ケース1aの実装作業の効率を向上させることが可能となっている。
【0025】
以上の各部によって操作スイッチ装置が構成されている。
【0026】
本実施形態における照明装置及びこの照明装置を適用した操作スイッチ装置は、回路基板4に表示意匠3aを照明するスイッチ照明用LED4bの周辺においては過剰な明るさを抑制する低反射部4eを形成し、明るさを増す必要のあるスイッチ照明用LED4bの配置位置から離れた個所においては反射部4dを形成することによって、小型化及び薄型化によってスイッチパネル3とスイッチ照明用LED4bとの間隔が近くなる場合であっても、照明のムラを抑制し、表示意匠3aを均一な明るさで照明することが可能となる。
【0027】
なお、本実施形態においては、スイッチパネル3とスイッチ照明用LED4bとの間にスイッチ照明用LED4bからの光を拡散させる拡散板を設けてもよく、拡散板によってより照明の均一化を行うことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、前述の実施形態であげた操作スイッチ装置のほか表示意匠を有する意匠パネルを透過照明する構造に広く適用可能であり、例えば車両用計器における文字板照明に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態である操作スイッチ装置を示す外観図及び断面図。
【図2】同上の操作スイッチ装置の回路基板を示す図。
【符号の説明】
【0030】
1 スイッチケース
1a 上ケース
1b 下ケース
2 スイッチノブ
3 スイッチパネル(意匠パネル)
3a 表示意匠
4 回路基板
4a スイッチ
4b スイッチ照明用LED
4d 反射部
4e 低反射部
A 接続コード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示意匠が形成される意匠パネルと、前記意匠パネルの背面側に配設され前記表示意匠を照明する発光素子が実装される回路基板と、前記回路基板の表面に少なくとも前記発光素子周辺を除いて形成される光反射性の反射部と、前記発光素子周辺に設けられる低反射部と、を備えてなることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記低反射部は、前記発光素子を中心とした円形状に形成されてなることを特徴とする請求項1の照明装置。
【請求項3】
前記反射部は、白色であることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項4】
前記反射部はシルク印刷によって形成されてなり、前記低反射部はシルク印刷がなされない個所からなることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項5】
前記意匠パネルと前記発光素子との間に、前記発光素子からの光を拡散させる拡散板を設けてなることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項6】
スイッチを操作するための光透過性のスイッチノブと、前記スイッチノブの前面側に設けられ操作機能に応じた表示意匠が形成される意匠パネルと、前記スイッチ及び前記表示意匠を照明する発光素子とが実装される回路基板と、前記回路基板の表面に少なくとも前記発光素子周辺を除いて形成される光反射性の反射部と、前記発光素子周辺に設けられる低反射部と、を備えてなることを特徴とする操作スイッチ装置。
【請求項7】
前記低反射部は、前記発光素子を中心とした円形状に形成されてなることを特徴とする請求項6の操作スイッチ装置。
【請求項8】
前記低反射部は、前記スイッチノブの少なくとも一部と対向するように形成されてなることを特徴とする請求項6に記載の操作スイッチ装置。
【請求項9】
前記反射部は、白色であることを特徴とする請求項6に記載の操作スイッチ装置。
【請求項10】
前記反射部はシルク印刷によって形成されてなり、前記低反射部はシルク印刷がなされない個所からなることを特徴とする請求項6に記載の操作スイッチ装置。
【請求項11】
前記意匠パネルと前記発光素子との間に、前記発光素子からの光を拡散させる拡散板を設けてなることを特徴とする請求項6に記載の操作スイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−107654(P2010−107654A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−278368(P2008−278368)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】