説明

熱交換器の製造方法

【課題】全熱交換型換気装置に使用する熱交換器の製造方法において、量産性を向上することができ、また製造コストを低減することができ、また省資源化することができ、また気流の漏れを防止することができる熱交換器の製造方法を提供することを目的としている。
【解決手段】伝熱板4と伝熱板4の間隔を保持するための間隔リブ6a、6aaと気流の漏れを遮蔽するための遮蔽リブ7a、7aaとを樹脂にて一体成形して単位素子2aを形成し、この単位素子2aを複数積層することにより伝熱板4間に通風路5が形成され、一次気流と二次気流を通風路5に流通することにより、伝熱板4を介して熱交換するようにした熱交換器1aの製造方法において、単位素子2aを樹脂成形する金型にランナーレスにする手段を備えた熱交換器1aの製造法を得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭用の熱交換型換気扇やビルなどの全熱交換型換気装置に使用する積層構造の熱交換器の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の熱交換器は、通風抵抗や熱交換効率などの基本的機能を向上しつつ製造コストを抑えるために、伝熱板とスペーサーとを接合せずに積層することによって熱交換器を形成したものもある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、その熱交換器について、図20(a)、(b)、図21を参照しながら説明する。
【0004】
図に示すように、合成樹脂よりなるスペーサー101は、伝熱板102間の間隔を保持する間隔リブ103と、間隔リブ103同士を連結する連結リブ104と、間隔リブ103および連結リブ104上に配置された小突起105と、上下に積層したスペーサーの相対する面に、互いに嵌合する凸部106と凹部107を一体成形することによって得られる。伝熱性と透湿性または伝熱性のみを有する伝熱板102は、位置合わせ用穴108を備えたものである。また、位置合わせ用穴108は、スペーサー101と伝熱板102を積層した際に小突起105と嵌合するものである。
【0005】
熱交換器109はスペーサー101を交互に90度ずらしながら積層し、スペーサー101間に伝熱板102を介在させることによって得られる。また、熱交換器109はスペーサー101の四隅に設けた凸部106と凹部107が嵌合しながらスペーサー101同士を連結保持する。
【0006】
上記構成において、一次気流Aと二次気流Bを流通すると、伝熱板102を介して一次気流Aと二次気流Bの間で熱交換する。
【特許文献1】特許第3023546号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような従来の熱交換器109はスペーサー101と伝熱板102を接合せずに積層したものであるため、積層のずれに起因する密封性の低下による気流の漏れが増加するという課題があり、積層のずれに起因する密封性の低下による気流の漏れを防止することができる熱交換器の製造方法が要求されている。
【0008】
また、スペーサー101は射出成形などの成形手段を用いて合成樹脂から形成されるが、溶融樹脂が注入される注入口においてバリが発生した場合、スペーサー101を積層した際に隣接するスペーサー101同士が干渉し、スペーサー101と伝熱板102または隣接するスペーサー101との間に隙間ができ、密封性の低下による気流の漏れが増加するという課題があり、バリによって生じる単位素子間の隙間を無くすことによる気流の漏れを防止することができる熱交換器の製造方法が要求されている。
【0009】
また、熱交換器109は合成樹脂よりなるスペーサー101と伝熱板102の二つの部品を別々に用いて形成されるため、部品点数が多く、加工工程が多くなるため、製造コストが高く、量産性が低くなるという課題があり、製造コストを低減することおよび量産性を向上することができる熱交換器の製造方法が要求されている。
【0010】
また、スペーサー101は射出成形などの成形手段を用いて合成樹脂から形成されるが、射出成形用金型からスペーサー101を製品として取り出す際に、金型の成形材料の流路の一部で円錐形の部分(スプル)および金型においてキャビティに溶融樹脂を流し込む径路のうち、スプルからゲートまでの部分(ランナー)が廃材として出るため、製造コストが高く、省資源化ができないという課題があり、製造コストを低減することおよび省資源化することができる熱交換器の製造方法が要求されている。
【0011】
また、スペーサー101は射出成形用する際、金型から製品としてスペーサー101と、廃材としてスプル・ランナーを取り出す必要があり、成形サイクルが短縮できず、量産性が低くなるという課題があり、成形サイクルを短縮することによる量産性を向上することができる熱交換器の製造方法が要求されている。
【0012】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、量産性を向上することができ、また成形サイクルを短縮することによる量産性を向上することができ、また製造コストを低減することができ、また樹脂材料削減による製造コストを低減することができ、また樹脂材料削減による省資源化することができ、また気流の漏れを防止することができ、またバリによって生じる単位素子間の隙間を無くすことによる気流の漏れを防止することができる熱交換器の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の熱交換器は上記目的を達成するために、伝熱板と前記伝熱板の間隔を保持するための間隔リブと気流の漏れを遮蔽するための遮蔽リブとを樹脂にて一体成形して単位素子を形成し、この単位素子を複数積層することにより前記伝熱板間に通風路が形成され、一次気流と二次気流を前記通風路に流通することにより、前記伝熱板を介して熱交換するようにした熱交換器の製造方法において、前記単位素子を樹脂成形する金型にランナーレスにする手段を備えたものである。
【0014】
この手段により樹脂材料削減による製造コストを低減することができ、また樹脂材料削減による省資源化することができる熱交換器の製造方法が得られる。
【0015】
また他の手段は、ランナーレスにする手段として、ホットランナーを使用したものである。
【0016】
この手段により成形サイクルを短縮することによる量産性を向上することができ、また樹脂材料削減による製造コストを低減することができ、また樹脂材料削減による省資源化することができる熱交換器の製造方法が得られる。
【0017】
また他の手段は、オープンゲート式のホットランナーを使用したものである。
【0018】
この手段により成形サイクルを短縮することによる量産性を向上することができ、また樹脂材料削減による製造コストを低減することができ、また樹脂材料削減による省資源化することができる熱交換器の製造方法が得られる。
【0019】
また他の手段は、バルブゲート式のホットランナーを使用したものである。
【0020】
この手段によりバリによって生じる単位素子間の隙間を無くすことによる気流の漏れを防止することができる熱交換器の製造方法が得られる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば量産性を向上することができるという効果のある熱交換器の製造方法を提供できる。
【0022】
また、成形サイクルを短縮することによる量産性を向上することができるという効果のある熱交換器の製造方法を提供できる。
【0023】
また、製造コストを低減することができるという効果のある熱交換器の製造方法を提供できる。
【0024】
また、樹脂材料削減による製造コストを低減することができるという効果のある熱交換器の製造方法を提供できる。
【0025】
また、樹脂材料削減による省資源化することができるという効果のある熱交換器の製造方法を提供できる。
【0026】
また、気流の漏れを防止することができるという効果のある熱交換器の製造方法を提供できる。
【0027】
また、バリによって生じる単位素子間の隙間を無くすことによる気流の漏れを防止することができるという効果のある熱交換器の製造方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の請求項1記載の発明は、伝熱板と前記伝熱板の間隔を保持するための間隔リブと気流の漏れを遮蔽するための遮蔽リブとを樹脂にて一体成形して単位素子を形成し、この単位素子を複数積層することにより前記伝熱板間に通風路が形成され、一次気流と二次気流を前記通風路に流通することにより、前記伝熱板を介して熱交換するようにした熱交換器の製造方法において、前記単位素子を樹脂成形する金型にランナーレスにする手段を備えたものであり、樹脂成形金型にランナーレスにする手段を備えたことにより、樹脂成形時に廃材となるスプル・ランナーが出ず、樹脂材料費削減により製造コストを低減することができ、また省資源化することができる。
【0029】
また、本発明の請求項2記載の発明は、ランナーレスにする手段として、ホットランナーを使用したものであり、ホットランナー成形は樹脂成形金型のランナー・ゲート部をヒータで加熱制御して常に流動化状態に保てるため、樹脂成形時に廃材となるスプル・ランナーが出ず、樹脂材料費削減により製造コストを低減することができ、また省資源化することができる。また成形品の単位素子のみを金型から連続的に取り出せるので成形サイクルの短縮ができ、量産性を向上することができる。
【0030】
また、本発明の請求項3記載の発明は、オープンゲート式のホットランナーを使用したものであり、オープンゲート式のホットランナー成形は樹脂成形金型のランナー・ゲート部をヒータで加熱制御して常に流動化状態に保てるため、樹脂成形時に廃材となるスプル・ランナーが出ず、樹脂材料費削減により製造コストを低減することができ、また省資源化することができる。また成形品の単位素子のみを金型から連続的に取り出せるので成形サイクルの短縮ができ、量産性を向上することができる。
【0031】
また、本発明の請求項4記載の発明は、バルブゲート式のホットランナーを使用したものであり、バルブゲート式のホットランナーはゲート開閉機能を有するので、溶融樹脂が金型から注入される単位素子の注入口においてバリができないため、単位素子を積層した際に隣接する単位素子同士がバリによって干渉することがなく、隙間無く単位素子を積層することができ、気流の漏れを防止することができる。
【0032】
(実施の形態1)
図1は熱交換器の概略斜視図、図2(a)はX方向から見た単位素子の概略斜視図、図2(b)はY方向から見た単位素子の概略斜視図、図3は熱交換器の概略分解斜視図、図4(a)は単位素子を正しく積層した熱交換器の概略斜視図、図4(b)はA−A断面の熱交換器の概略斜視図、図4(c)はA−A断面の熱交換器の概略拡大斜視図、図5(a)は単位素子を誤って積層した熱交換器の概略斜視図、図5bは熱交換器の概略拡大斜視図、図6(a)は単位素子を正しく積層した熱交換器の概略斜視図、図6(b)はB−B断面の熱交換器の概略斜視図、図6(c)はB−B断面の熱交換器の概略拡大斜視図、図7(a)は単位素子を誤って積層した熱交換器の概略斜視図、図7(b)はC−C断面の熱交換器の概略斜視図、図7(c)はC−C断面の熱交換器の概略拡大斜視図、図8は伝熱板の概略斜視図、図9(a)は単位素子を正しく積層した熱交換器の概略斜視図、図9(b)はB−B断面の熱交換器の概略斜視図、図9(c)はB−B断面の熱交換器の概略拡大斜視図、図10(a)は単位素子を誤って積層した熱交換器の概略斜視図、図10(b)はC−C断面の熱交換器の概略斜視図、図10(c)はC−C断面の熱交換器の概略拡大斜視図、図11は熱交換器の概略量産工程図、図12は射出成形金型の概略断面図、図13(a)は単位素子を正しく積層した熱交換器の概略斜視図、図13(b)はB−B断面の熱交換器の概略斜視図、図13(c)はB−B断面の熱交換器の概略拡大斜視図である。
【0033】
図1、図2(a)、(b)、図3、図4(a)、(b)、(c)において、熱交換器1aは一辺が120mmの方形で厚みが2.5mmの単位素子2aを交互に90度回転しながら積層し、支持棒3にて単位素子2a同士を結束することにより構成され、伝熱板4の間に形成された通風路5に、一次気流Aと二次気流Bを流通すると、一次気流Aと二次気流Bとは伝熱板4を介して直交しながら熱交換を行う。
【0034】
図2(a)および図2(b)の単位素子2aは、伝熱板4のX方向表面に間隔リブ6a、遮蔽リブ7a、遮蔽リブ凹部8、貫通穴9、貫通穴凸部10、積層確認凸部11、位置決め凸部12、位置決め貫通穴13a、遮蔽リブ注入口14a、間隔リブ注入口15を備え、伝熱板4のY方向表面に間隔リブ6aa、遮蔽リブ7aa、貫通穴9、位置決め貫通穴13aa、遮蔽リブ凸部16、貫通穴凹部17、積層確認凹部18、位置決め平面部19を備え、間隔リブ6a、6aaおよび遮蔽リブ7a、7aaが伝熱板4を間に挟むように、樹脂にて一体成形して得られる。
【0035】
伝熱板4のX方向表面において、間隔リブ6aは高さ1mm、幅1mmで所定間隔に6本形成し、遮蔽リブ7aは伝熱板4の向かい合う一組の両端で間隔リブ6aと平行に高さ1mm、幅5mmに形成する。遮蔽リブ凹部8は遮蔽リブ7aの上面に、凹高さ0.5mm、幅2.5mmに通風路5に沿って凹形状に形成し、遮蔽リブ7aと遮蔽リブ凹部8の断面は階段状に形成される。遮蔽リブ注入口14aは台形状で遮蔽リブ7aと連結し、通風路5内に形成し、遮蔽リブ凹部8と同じ凸高さに形成する。貫通穴9は単位素子2aの四隅であって、遮蔽リブ7aに穴を設け、この貫通穴9の穴の周囲に凸高さ0.4mmの貫通穴凸部10を設ける。積層確認凸部11は貫通穴凸部10に連結し、方形の単位素子2aの対角する2箇所に凸高さ0.4mmで設ける。位置決め凸部12は間隔リブ6aの上面に凸高さ1.7mmで2個設け、位置決め貫通穴13aは間隔リブ6aに凸高さ1.0mmで2個の円筒を設け、間隔リブ注入口15は間隔リブ6aの上面に凹高さ0.5mmに間隔リブ6aの段を落とすような形状に形成する。
【0036】
伝熱板4のY方向表面において、間隔リブ6aaは間隔リブ6aと直交し、高さ1mm、幅1mmで所定間隔に6本形成し、遮蔽リブ7aaは伝熱板4の向かい合う一組の両端で間隔リブ6aaと平行に高さ1mm、幅5mmに形成する。遮蔽リブ凸部16は遮蔽リブ7aaの上面に、凸高さ0.4mm、幅2.4mmに通風路5に沿って凸形状に形成し、遮蔽リブ7aaと遮蔽リブ凸部16の断面は階段状に形成される。貫通穴9は単位素子2aの四隅であって、遮蔽リブ7aaに穴を設け、この貫通穴9の穴の周囲に凹高さ0.5mmの貫通穴凹部17を設ける。積層確認凹部18は貫通穴凹部17に連結し、方形の単位素子2aの対角する2箇所に凹高さ0.5mmで設ける。位置決め平面部19は伝熱板4を挟んで位置決め凸部12の反対側に凸高さ1.0mmの円柱を2箇所設け、位置決め貫通穴13aaは伝熱板4を挟んで位置決め貫通穴13aの反対側に凸高さ1.0mmで2個の円筒を設ける。
【0037】
図4(a)、(b)、(c)に示すように、間隔リブ6aと間隔リブ6aaは単位素子2aを交互に90度回転しながら積層した時に、隣接する間隔リブ6aと間隔リブ6aaが重なり合うように形成され、伝熱板4を一定の間隔に保持する働がある。本実施の形態では、間隔リブ6aおよび間隔リブ6aaの凸高さを1mmとしたので、伝熱板4は2mm毎に積層される。
【0038】
図4(a)、(b)、(c)に示すように、遮蔽リブ7aと遮蔽リブ7aaは単位素子2aを交互に90度回転しながら積層した時に、隣接する遮蔽リブ7aと遮蔽リブ7aaが重なり合うように形成され、熱交換器1aの通風路5を流通する一次気流Aおよび二次気流Bが熱交換器1aの端面から気流が漏れないように遮蔽する働きと、伝熱板4を一定の間隔に保持する働きがある。
【0039】
なお遮蔽リブ7a、7aaは熱交換器1aの伝熱板4を一定容積内で広く取るために、方形の単位素子2aの両端部に形成する構成としたが、熱交換器の設計や量産性などにより適宜決定する。
【0040】
図4(a)、(b)、(c)に示すように、遮蔽リブ凹部8と遮蔽リブ凸部16は単位素子2aを交互に90度回転しながら正しく積層した時には、隣接する遮蔽リブ凹部8の凹部と遮蔽リブ凸部16の凸部が嵌合するよう形成される。熱交換器1aは遮蔽リブ7aおよび遮蔽リブ7aaに設けた遮蔽リブ凹部8と遮蔽リブ凸部16の嵌合により、単位素子2a同士が互いに固定化され、且つ単位素子2aを積層する際に発生する位置ずれを防止する。熱交換器1aの側面における気流の遮蔽は、図4(c)に示すように隣接する遮蔽リブ7aおよび遮蔽リブ7aa同士が重なり合うことにより行われ、遮蔽リブ凹部8の凹部と遮蔽リブ凸部16の凸部の嵌合も気流の遮蔽を行う。この明細書では、金型の製造精度と樹脂成形の精度を考慮して、遮蔽リブ7aおよび遮蔽リブ7aaは必ず重なり合うようにし、遮蔽リブ凹部8と遮蔽リブ凸部16の嵌合は、気流が漏れない程度に高さ方向に0.1mmの積層逃がし部20aを設けた。なお0.1mmの高さ方向の積層逃がし部20aを設けたが、単位素子2aを正しく積層した時には、熱交換器1aの側面における気流の遮蔽と単位素子2a同士の嵌合ができれば良く、熱交換器の設計や製造精度により適宜決定する。
【0041】
図5(a)、(b)に示すように、単位素子2aを交互に90度回転せず、誤って積層した時には、遮蔽リブ凸部16の凸部は隣接する間隔リブ6aと干渉し、隣接する単位素子2a同士が嵌合できず、熱交換器1aの側面から確認すると単位素子2a同士に隙間があり、容易に単位素子2aの積み間違いを確認することができる構成となっている。
【0042】
なお遮蔽リブ凹部8および遮蔽リブ凸部16は単位素子2aの遮蔽リブ7aおよび遮蔽リブ7aaに設けたが、単位素子を正しく積層した時には隣接する単位素子の凹部と凸部が嵌合し、誤って積層した時には凸部と隣接する単位素子の一部が干渉する構造であれば、その他の構成の熱交換器を用いても同様の作用効果を得ることができる。
【0043】
この明細書における干渉とは、単位素子2aを誤って積層した時に凸部と隣接する単位素子2aの一部が当たり、隣接する単位素子2a同士が嵌合できず隙間ができる状態のことである。また、単位素子2aを正しく積層するとは、単位素子2aに備えた凹部と凸部の嵌合構造が互いに嵌合し、気流の漏れが無く、熱交換器の基本性能が発揮できる状態のことであり、単位素子2aを誤って積層するとは、単位素子2aに備えた凸部と単位素子2aの一部が干渉し、隣接する単位素子2aの間に隙間ができ、気流の漏れが有り、熱交換器の基本性能が発揮できない状態のことである。
【0044】
図6(a)、(b)、(c)に示すように、貫通穴凹部17と貫通穴凸部10は単位素子2aを交互に90度回転しながら正しく積層した時には、隣接する貫通穴凹部17の凹部と貫通穴凸部10の凸部が嵌合するよう形成される。熱交換器1aは単位素子2aの四隅に設けた貫通穴凹部17と貫通穴凸部10の嵌合により、単位素子2a同士が互いに固定化され、且つ単位素子2aを積層する際に発生する位置ずれを防止する。熱交換器1aの四隅における気流の遮蔽は、図6(c)に示すように隣接する遮蔽リブ7aおよび遮蔽リブ7aa同士が重なり合うことにより行われ、貫通穴凹部17の凹部と貫通穴凸部10の凸部の嵌合も気流の遮蔽を行う。この明細書では、金型の製造精度と樹脂成形の精度を考慮して、遮蔽リブ7aおよび遮蔽リブ7aaは必ず重なり合うようにし、貫通穴凹部17と貫通穴凸部10の嵌合は、気流が漏れない程度に高さ方向に0.1mmの積層逃がし部20bを設けた。なお0.1mmの高さ方向の積層逃がし部20bを設けたが、単位素子2aを正しく積層した時には、熱交換器1aの四隅における気流の遮蔽と単位素子2a同士の嵌合ができれば良く、熱交換器の設計や製造精度により適宜決定する。
【0045】
なお貫通穴凹部17および貫通穴凸部10は単位素子2aの単位素子2aの四隅に設けたが、単位素子を正しく積層した時には隣接する単位素子の凹部と凸部が嵌合し、間隔リブまたは遮蔽リブの少なくとも何れか、または間隔リブまたは遮蔽リブの少なくとも何れかに連結する構造であれば、その他の構成の熱交換器を用いても同様の作用効果を得ることができる。
【0046】
図6(a)、(b)、(c)に示すように、積層確認凹部18と積層確認凸部11は単位素子2aを交互に90度回転しながら正しく積層した時には、隣接する積層確認凹部18の凹部と積層確認凸部11の凸部が嵌合するよう形成される。熱交換器1aは方形の単位素子2aの対角する2箇所に設けた積層確認凹部18と積層確認凸部11の嵌合により、単位素子2a同士が互いに固定化され、且つ単位素子2aを積層する際に発生する位置ずれを防止する。熱交換器1aの四隅における気流の遮蔽は、図6(c)に示すように隣接する遮蔽リブ7aおよび遮蔽リブ7aa同士が重なり合うことにより行われ、積層確認凹部18の凹部と積層確認凸部11の凸部の嵌合も気流の遮蔽を行う。この明細書では、金型の製造精度と樹脂成形の精度を考慮して、遮蔽リブ7aおよび遮蔽リブ7aaは必ず重なり合うようにし、積層確認凹部18と積層確認凸部11の嵌合は、気流が漏れない程度に高さ方向に0.1mmの積層逃がし部20cを設けた。なお0.1mmの高さ方向の積層逃がし部20cを設けたが、単位素子2aを正しく積層した時には、熱交換器1aの四隅における気流の遮蔽と単位素子2a同士の嵌合ができれば良く、熱交換器の設計や製造精度により適宜決定する。
【0047】
図7(a)、(b)、(c)に示すように、単位素子2aを交互に90度回転せず、誤って積層した時には、積層確認凸部11の凸部は隣接する遮蔽リブ7aaと干渉し、隣接する単位素子2a同士が嵌合できず、熱交換器1aの側面から確認すると単位素子2a同士に隙間があり、容易に単位素子2aの積み間違いを確認することができる構成となっている。
【0048】
なお積層確認凹部18および積層確認凸部11は単位素子2aの対角にそれぞれ2個設けたが、単位素子を正しく積層した時には隣接する単位素子の凹部と凸部が嵌合し、誤って積層した時には凸部と隣接する単位素子の一部が干渉する構造であれば、その他の構成の熱交換器を用いても同様の作用効果を得ることができる。
【0049】
図8に示す伝熱板4は一辺が119mmの方形で、厚さが0.2〜0.01mm、好ましくは0.1〜0.01mmの和紙、防燃紙、伝熱性と透湿性と気体遮蔽性を有する特殊加工紙、透湿膜、または伝熱性のみを有するポリエステル系、ポリスチレン系のABS、AS、PS、ポリオレフィン系のPP、PEなどの樹脂シート、樹脂フィルムなどで構成される。伝熱板4の四隅には貫通穴9を4個設け、方形の伝熱板4の一つの対角線上に位置決め穴21を2個設け、この伝熱板4を樹脂金型に挿入し、インサート射出成形を用いて単位素子2aを一体成形する。伝熱板4を樹脂金型内に挿入する際、伝熱板4を位置決め、固定するためのピンを樹脂金型に設けておき、樹脂金型のピンと伝熱板4の位置決め穴21によって伝熱板4の位置決めを行う。
【0050】
図9(a)、(b)、(c)に示すように、位置決め貫通穴13a、13aaは伝熱板4の位置決め穴21の周囲に形成され、位置決め凸部12の凸部は単位素子2aを交互に90度回転しながら正しく積層した時には、隣接する位置決め貫通穴13a、13aaと嵌合するように形成され、位置決め平面部19は隣接する位置決め貫通穴13aの穴を塞ぐように形成される。
【0051】
熱交換器1aは単位素子2aの対角線上に設けた位置決め貫通穴13a、13aaと位置決め凸部12の嵌合により、単位素子2a同士が互いに固定化され、且つ単位素子2aを積層する際に発生する位置ずれを防止する。熱交換器1aの中央部における気流の遮蔽は、図9cに示すように隣接する位置決め平面部19と位置決め貫通穴13aおよび位置決め凸部12の凸部下面と位置決め貫通穴13aaが重なり合うことにより行われ、位置決め貫通穴13a、13aaの穴と位置決め凸部12の凸部の嵌合も気流の遮蔽を行う。この明細書では、金型の製造精度と樹脂成形の精度を考慮して、位置決め平面部19と位置決め貫通穴13aおよび位置決め凸部12の凸部下面と位置決め貫通穴13aaは必ず重なり合うようにし、位置決め貫通穴13a、13aaと位置決め凸部12の嵌合は、気流が漏れない程度に高さ方向に0.3mmの積層逃がし部20dを設けた。なお0.3mmの高さ方向の積層逃がし部20dを設けたが、単位素子2aを正しく積層した時には、熱交換器1aの中央部における気流の遮蔽と単位素子2a同士の嵌合ができれば良く、熱交換器の設計や製造精度により適宜決定する。
【0052】
図10(a)、(b)、(c)に示すように、単位素子2aを交互に90度回転せず、誤って積層した時には、位置決め凸部12の凸部は隣接する位置決め平面部19と干渉し、隣接する単位素子2a同士が嵌合できず、熱交換器1aの側面から確認すると単位素子2a同士に隙間があり、容易に単位素子2aの積み間違いを確認することができる構成となっている。
【0053】
なお、位置決め貫通穴13a、13aa、位置決め凸部12および位置決め平面部19は単位素子2aの対角線上にそれぞれ2個設けたが、単位素子を正しく積層した時には隣接する単位素子の穴と凸部が嵌合し、誤って積層した時には凸部と隣接する単位素子の一部が干渉する構造であれば、その他の構成の熱交換器を用いても同様の作用効果を得ることができる。
【0054】
図6(c)と図8に示すように、伝熱板4と樹脂を一体成形して形成された単位素子2aにおいて、伝熱板4の貫通穴9は遮蔽リブ7a、7aaの貫通穴9と同じ位置で、単位素子2aに貫通する穴が形成され、この穴の周囲に貫通穴凸部10および貫通穴凹部17が形成される。
【0055】
図6(c)と図9(c)に示すように、貫通穴9、貫通穴凸部10および貫通穴凹部17は遮蔽リブ7a、7aaに連結する位置に構成し、位置決め貫通穴13a、13aa、位置決め凸部12および位置決め平面部19は間隔リブ6a、6aaに連結する位置に構成しているため、一回の樹脂成形でこれらを有する単位素子2aが形成できる。
【0056】
なお、貫通穴9、貫通穴凸部10および貫通穴凹部17は遮蔽リブ7a、7aaに連結する位置に形成し、位置決め貫通穴13a、13aa、位置決め凸部12および位置決め平面部19は間隔リブ6a、6aaに連結する位置に形成したが、貫通穴9、貫通穴凸部10、貫通穴凹部17、位置決め貫通穴13a、13aa、位置決め凸部12および位置決め平面部19は間隔リブ6a、6aaまたは遮蔽リブ7a、7aaの少なくとも何れか、または間隔リブ6a、6aaまたは遮蔽リブ7a、7aaの少なくとも何れかに連結する位置に設け、伝熱板4と樹脂を一体成形して単位素子2aを得る際に、一回の樹脂成形で一体に形成できれば良く、その他の構成を用いても同様の作用効果を得ることができる。
【0057】
図11、図12に熱交換器1aの製造工程および製造方法を示す。切断工程22は伝熱板4を所定の大きさに切断する。
【0058】
次の成形工程23は伝熱板4を射出成形金型24に挿入し、射出成形機にて伝熱板4と樹脂を一体成形するインサート射出成形工法で単位素子2aが得られる。この樹脂としては熱可塑性樹脂を適用し、樹脂の種類としては、ポリエステル系、ポリスチレン系のABS、AS、PS、またはポリオレフィン系のPP、PEなどが用いられる。また熱可塑性樹脂の中にガラス繊維または炭素繊維の無機充填剤を添加した樹脂を用いても良い。無機充填剤の添加量は樹脂の重量に対して1〜50重量%、更に好ましくは10〜30重量%であり、樹脂に無機充填剤を添加すると、樹脂成形品の単位素子2aは強度と反りや収縮性の物性が向上することと、一体成形する伝熱板4と樹脂との接着性が向上する。これは化学結合による接着性が向上するのではなく、無機充填剤と伝熱板4との繊維の絡まりが強くなった物理結合が向上するものである。無機充填剤の添加量は樹脂の重量に対して多く混入すると、樹脂成形品の強度と反りや収縮性の物性が向上するが、50重量%以上になると、射出成形する時の溶融した樹脂の流動性が低下するため、樹脂成形品が得られない場合があり、無機充填剤の添加量は樹脂成形品の必要強度、樹脂物性、射出成形機の仕様などにより適宜決定する。
【0059】
この成形工程23は、溶融した樹脂を伝熱板4のX方向からから射出成形金型24内に射出すると、樹脂流路を通り、金型のゲート部から単位素子2aに設けた遮蔽リブ注入口14aおよび間隔リブ注入口15から流入し、更に溶融した樹脂は射出圧力が高いため、伝熱板4のX方向表面の間隔リブ6aおよび遮蔽リブ7aを成形すると共に、和紙などの紙類で構成された伝熱板4を貫通し、伝熱板4Y方向表面の間隔リブ6aaおよび遮蔽リブ7aaと連結する形で形成することができるので、一回の成形で伝熱板4と間隔リブ6a、6aaと遮蔽リブ7a、7aaを有する単位素子2aを形成することができる。
【0060】
単位素子2aを樹脂成形する射出成形金型24はランナーレスにする手段を備え、ランナーレスにする手段として、オープンゲート式またはバルブゲート式のホットランナーを使用する。ヒータ25によりランナー・ゲート部を加熱制御して溶融樹脂を常に流動化状態に保てるため、樹脂成形時に廃材となるスプル・ランナー26が出ず、樹脂材料費削減と省資源化することができる。また成形品の単位素子2aのみを射出成形金型24から連続的に取り出せるので成形サイクルを短縮することができる。
【0061】
この明細書のスプルとは、射出成形金型24において成形材料の流路の一部で円錐形の部分を指し、ランナーとは射出成形金型24においてキャビティに溶融樹脂を流し込む径路のうち、スプルからゲートまでの部分を指す。
【0062】
またバルブゲート式のホットランナーはゲート開閉機能を有するので、溶融樹脂が射出成形金型24から注入される単位素子2aの遮蔽リブ注入口14aおよび間隔リブ注入口15においてバリができないため、単位素子2aを積層した際に隣接する単位素子2a同士がバリによって干渉することがなく、隙間無く単位素子2aを積層することができる。
【0063】
次の積層工程27は単位素子2aを交互に90度回転しながら積層し、単位素子2aの四隅に設けた貫通穴9に支持棒3を挿入する工程である。
【0064】
次の結束工程28は貫通穴9に挿入した支持棒3の両端に止め具を付設し単位素子2a同士を結束することによって熱交換器1aを得る工程である。また、支持棒3は熱可塑性樹脂などよりなるものであって、支持棒3の両端を熱によって溶融し単位素子2a同士を締め付けた状態で固化させることにより結束するものであってもよい。なお本発明における結束とは、単位素子2a同士を機械的拘束により固定化したものである。
【0065】
熱交換器1aは間隔リブ6aおよび遮蔽リブ7aに連結する位置に溶融樹脂を注入する遮蔽リブ注入口14aおよび間隔リブ注入口15を備え、間隔リブ6a、6aaおよび遮蔽リブ7a、7aaが何れかで連結している構成である。また遮蔽リブ注入口14aおよび間隔リブ注入口15は、単位素子2aを積層した時に隣接する単位素子2aが干渉しないように逃がす手段を備え、逃がす手段として、間隔リブ6aおよび遮蔽リブ7aに段落としを設ける。また段落としとして遮蔽リブ7aに連結し、通風路5内に遮蔽リブ注入口14aを設ける。
【0066】
図4(a)、(b)、(c)に示すように、遮蔽リブ注入口14aは通風路5内に段落としを設けたことにより、溶融樹脂が金型から注入される遮蔽リブ注入口14aにおいてバリが万一発生しても、単位素子2aを積層した際に隣接する単位素子2a同士は段落しによってバリを逃がすことにより干渉せず、更に前記バリは通風路5内に位置するため、隣接する単位素子2aとの通風路5空間によってバリを逃がすことにより更に干渉せず、隙間無く単位素子2aを積層することができる。
【0067】
図13(a)、(b)、(c)に示すように、間隔リブ6aに設けた間隔リブ注入口15は単位素子2aを交互に90度回転しながら正しく積層した時には、隣接する間隔リブ6aaと重なり合うが、間隔リブ注入口15は間隔リブ6aの上面に凹高さ0.5mmに間隔リブ6aを段落しするような形状のため、溶融樹脂が金型から注入される間隔リブ注入口15においてバリが万一発生しても、単位素子2aを積層した際に隣接する単位素子2a同士は逃がす手段によってバリを逃がすことにより干渉せず、隙間無く単位素子2aを積層することができる。
【0068】
この明細書における段落しとは、溶融樹脂が金型から単位素子2aに注入される注入口において、バリが万一発生しても、単位素子2aを積層した際に隣接する単位素子2a同士が干渉しないように、周囲の樹脂リブより凸高さを下げることである。
【0069】
なお、間隔リブ注入口15の段落しは間隔リブ6aの上面に設け、遮蔽リブ注入口14aの段落しは遮蔽リブ7aに連結するように設けたが、溶融樹脂を注入する注入口は、間隔リブ6aまたは遮蔽リブ7aの少なくとも何れかに連結し、通風路5内に設け、バリを逃がすように段落しにする構成であれば良く、その他の構成を用いても同様の作用効果を得ることができる。
【0070】
上記構成により、熱交換器1aは、単位素子2aを積層した際に積み間違いが分かる手段として、遮蔽リブ7a、7aaに遮蔽リブ凹部8と遮蔽リブ凸部16を備えたことにより、単位素子2aを正しく積層した時には隣接する単位素子2aの遮蔽リブ凹部8の凹部と遮蔽リブ凸部16の凸部が嵌合し、誤って積層した時には遮蔽リブ凸部16の凸部と隣接する単位素子2aの一部(間隔リブ6a)が干渉するため、単位素子2aの積み間違いを容易に確認することができ、積み間違いを修正することによって生産工程の不良を低減することができ、量産性を向上することができる。また単位素子2aの積み間違いに起因する密封性の低下を防止することができ、気流の漏れを防止することができる。また遮蔽リブ凹部8の凹部と遮蔽リブ凸部16の凸部は単位素子2aを積層した際に凹部と凸部が嵌合することにより、単位素子2a同士が互いに固定するため、単位素子2aのずれに起因する密封性の低下を防止することができ、気流の漏れを防止することができ、また前記嵌合構造が単位素子2aを積層する際に発生する位置ずれを防止することにより、量産性を向上することができる。
【0071】
また単位素子2aの積み間違いによって、伝熱板4毎に同じ方向に通風路5が形成され、一次気流Aと二次気流Bを熱交換器1aに流通すると、誤って積層した部分については熱交換がされない。単位素子2aを積層した際に積み間違いが分かる手段を備えたことにより、単位素子2aの積み間違いによって、伝熱板4毎に正しく通風路5が形成できないことに起因する熱交換効率の低下を防止することができる。
【0072】
また熱交換器1aは、単位素子2aに貫通穴9と、第一の凹部(1)と第一の凸部(1)として貫通穴凹部17および貫通穴凸部10と、第二の凹部(2)と第二の凸部(2)として積層確認凹部18および積層確認凸部11を備えたことにより、第一の凹部(1)と第一の凸部(1)は単位素子2aを積層した際に貫通穴凹部17と貫通穴凸部10が嵌合することにより、単位素子2a同士が互いに固定するため、単位素子2aのずれに起因する密封性の低下を防止することができ、気流の漏れを防止することができる。また貫通穴9の周囲に設けた前記第一の嵌合構造が、単位素子2aを積層する際に発生する位置ずれを防止することにより量産性を向上することができる。更に第二の凹部(2)と第二の凸部(2)は単位素子2aを正しく積層した時には隣接する単位素子2aの積層確認凹部18と積層確認凸部11が嵌合し、誤って積層した時には積層確認凸部11と隣接する単位素子2aの一部(遮蔽リブ7aa)が干渉するため、単位素子2aの積み間違いを容易に確認することができ、積み間違いを修正することによって生産工程の不良を低減することができ、量産性を向上することができる。また単位素子2aの積み間違いに起因する密封性の低下を防止することができ、気流の漏れを防止することができる。また第二の凹部(2)と第二の凸部(2)は単位素子2aを積層した際に積層確認凹部18と積層確認凸部11が嵌合することにより、単位素子2a同士が互いに固定するため、単位素子2aのずれに起因する密封性の低下を防止することができ、気流の漏れを防止することができ、また前記第二の嵌合構造が単位素子2aを積層する際に発生する位置ずれを防止することにより、量産性を向上することができる。
【0073】
また熱交換器1aは、単位素子2aを積層した際に貫通穴9に支持棒3を通し、単位素子2a同士を結束したことにより、単位素子2aのずれに起因する密封性の低下を防止することができ、気流の漏れを防止することができる。
【0074】
また熱交換器1aは、伝熱板4に位置決め穴21を備え、単位素子2aに位置決め貫通穴13a、13aaと位置決め凸部12と位置決め平面部19を備えたことにより、金型内に伝熱板4を挿入してから射出成形するインサート射出成形を用いた場合、伝熱板4に設けた位置決め穴21の穴は、樹脂金型に伝熱板4を挿入する際の位置決めを容易に行うことができ、量産性を向上することができる。また単位素子2aを正しく積層した時には隣接する単位素子2aの位置決め貫通穴13a、13aaの穴と位置決め凸部12の凸部が嵌合し、誤って積層した時には位置決め凸部12の凸部と隣接する単位素子2aの一部(位置決め平面部19)が干渉するため、単位素子2aの積み間違いを容易に確認することができ、積み間違いを修正することによって生産工程の不良を低減することができ、量産性を向上することができる。また単位素子2aの積み間違いに起因する密封性の低下を防止することができ、気流の漏れを防止することができる。また貫通穴と凸部は単位素子2aを積層した際に位置決め貫通穴13a、13aaの穴と位置決め凸部12の凸部が嵌合することにより、単位素子2a同士が互いに固定するため、単位素子2aのずれに起因する密封性の低下を防止することができ、気流の漏れを防止することができ、また前記嵌合構造が単位素子2aを積層する際に発生する位置ずれを防止することにより、量産性を向上することができる。
【0075】
また熱交換器1aは、単位素子2aの間隔リブ6a、6aaおよび遮蔽リブ7a、7aaは何れかで連結しているため、間隔リブ6a、6aaおよび遮蔽リブ7a、7aaを有する単位素子2aが一回の樹脂成形で一体に形成でき、量産性を向上することができ、更に金型内に伝熱板4を挿入してから射出成形するインサート射出成形を用いると、一回の成形で伝熱板4と間隔リブ6a、6aaと遮蔽リブ7a、7aaが一体成形され、単位素子2aを形成できることにより加工工程が少なくでき、更に量産性を向上することができ、また、部品点数が少なく、製造コストを低減することができる。
【0076】
また熱交換器1aは、溶融した樹脂を伝熱板4のX方向からから射出成形金型24内に射出すると、樹脂流路を通り、金型のゲート部から単位素子2aに設けた遮蔽リブ注入口14aおよび間隔リブ注入口15から流入し、更に溶融した樹脂は射出圧力が高いため、伝熱板4のX方向表面の間隔リブ6aおよび遮蔽リブ7aを成形すると共に、和紙などの紙類で構成された伝熱板4を貫通し、伝熱板4Y方向表面の間隔リブ6aaおよび遮蔽リブ7aaと連結する形で形成することができるので、一回の成形で伝熱板4と間隔リブ6a、6aaと遮蔽リブ7a、7aaを有する単位素子2aを形成することができることにより、加工工程が少なくでき、量産性を向上することができ、また、部品点数が少なく、製造コストを低減することができる。また伝熱板4X方向表面の間隔リブ6aおよび遮蔽リブ7aと伝熱板Y方向表面の間隔リブ6aaおよび遮蔽リブ7aaがインサート射出成形する際に伝熱板4を間に挟んで一体形成されるので、気密性の高い単位素子2aが形成でき、この単位素子2aを積層することにより、気流の漏れを防止することができる熱交換器1aが得られる。
【0077】
また熱交換器1aは、単位素子2aの間隔リブ6a、6aaおよび遮蔽リブ7a、7aaは何れかで連結し、且つ樹脂で構成されているため、間隔リブ6a、6aaまたは遮蔽リブ7a、7aaの少なくとも何れか、または間隔リブ6a、6aaまたは遮蔽リブ7a、7aaの少なくとも何れかに連結する位置に貫通穴9を設けたことにより、間隔リブ6a、6aaと遮蔽リブ7a、7aaと貫通穴9を有する単位素子2aが一回の樹脂成形で一体に形成でき、量産性を向上することができる。
【0078】
また熱交換器1aは、単位素子2aを方形に構成したために、一つの単位素子2aを90度回転しながら交互に積層するだけで熱交換器1aが形成できるため、一つの金型を設けるだけでよく、製造コストを低減することができる。
【0079】
また熱交換器1aは、貫通穴9を方形の単位素子2aの四隅に設けたことにより、単位素子2aを誤って積層した時には、貫通穴9の周囲に設けた積層確認凸部11と隣接する単位素子2aの一部(遮蔽リブ7aa)が干渉している状態が、熱交換器1a側面から容易に確認することができ、積み間違いを修正することによって生産工程の不良を低減することができ、量産性を向上することができる。
【0080】
また熱交換器1aは、単位素子2aの間隔リブ6a、6aaおよび遮蔽リブ7a、7aaは何れかで連結し、且つ樹脂で構成されているため、間隔リブ6aに間隔リブ注入口15を設け、遮蔽リブ7aに連結する位置に遮蔽リブ注入口14aを設けたことにより、成形工程23において、伝熱板4を射出成形金型24に挿入し、射出成形機にて伝熱板4と樹脂を一体成形するインサート射出成形工法で単位素子2aを成形する際、間隔リブ注入口15および遮蔽リブ注入口14aから溶融樹脂が注入することによって、間隔リブ6a、6aaおよび遮蔽リブ7a、7aaを有する単位素子2aが一回の樹脂成形で一体に形成でき、量産性を向上することができる。またインサート射出成形工法を用いたことにより、一回の成形で伝熱板4と間隔リブ6a、6aaと遮蔽リブ7a、7aaが一体成形され、単位素子2aを形成できることにより加工工程が少なくでき、更に量産性を向上することができ、また、部品点数が少なく、製造コストを低減することができる。
【0081】
また間隔リブ注入口15および遮蔽リブ注入口14aは、単位素子2aを積層した際に隣接する単位素子2aが干渉しないように逃がす手段として、間隔リブ6aおよび遮蔽リブ7aに段落としを備えているため、溶融樹脂が射出成形金型24から注入される単位素子2aの間隔リブ注入口15および遮蔽リブ注入口14aにおいてバリが万一発生しても、単位素子2aを積層した際に隣接する単位素子2a同士は逃がす手段によってバリを逃がすことにより干渉せず、隙間無く単位素子2aを積層することができ、気流の漏れを防止することができる。
【0082】
また遮蔽リブ注入口14aの段落としは、遮蔽リブ7aに連結し、通風路5内に設けたことにより、溶融樹脂が射出成形金型24から注入される単位素子2aの注入口においてバリが万一発生しても、単位素子2aを積層した際に隣接する単位素子2a同士は段落しによってバリを逃がすことにより干渉せず、更に前記バリは通風路5内に位置するため、隣接する単位素子との通風路5空間によってバリを逃がすことにより更に干渉せず、隙間無く単位素子2aを積層することができ、気流の漏れを防止することができる。
【0083】
また単位素子2aを樹脂成形する射出成形金型24にランナーレスにする手段を備えたことにより、樹脂成形時に廃材となるスプル・ランナー26が出ず、樹脂材料費削減により製造コストを低減することができ、また省資源化することができる。
【0084】
またランナーレスにする手段として、ホットランナーを使用したことにより、射出成形金型24のランナー・ゲート部をヒータ25で加熱制御して常に流動化状態に保てるため、樹脂成形時に廃材となるスプル・ランナー26が出ず、樹脂材料費削減により製造コストを低減することができ、また省資源化することができる。また成形品の単位素子2aのみを射出成形金型24から連続的に取り出せるので成形サイクルの短縮ができ、量産性を向上することができる。
【0085】
またオープンゲート式のホットランナーを使用したことにより、射出成形金型24のランナー・ゲート部をヒータ25で加熱制御して常に流動化状態に保てるため、樹脂成形時に廃材となるスプル・ランナー26が出ず、樹脂材料費削減により製造コストを低減することができ、また省資源化することができる。また成形品の単位素子2aのみを射出成形金型24から連続的に取り出せるので成形サイクルの短縮ができ、量産性を向上することができる。
【0086】
またゲート開閉機能を有するバルブゲート式のホットランナーを使用したことにより、溶融樹脂が射出成形金型24から注入される単位素子2aの間隔リブ注入口15および遮蔽リブ注入口14aにおいてバリができないため、単位素子2aを積層した際に隣接する単位素子2a同士がバリによって干渉することがなく、隙間無く単位素子2aを積層することができ、気流の漏れを防止することができる。
【0087】
(実施の形態2)
図14は熱交換器の概略斜視図、図15(a)はX方向から見た単位素子の概略斜視図、図15(b)はY方向から見た単位素子の概略斜視図、図16(a)は単位素子を正しく積層した熱交換器の概略斜視図、図16bはD−D断面の熱交換器の概略斜視図、図16cはD−D断面の熱交換器の概略拡大斜視図、図17(a)は単位素子を誤って積層した熱交換器の概略斜視図、図17(b)はE−E断面の熱交換器の概略斜視図、図17(c)はE−E断面の熱交換器の概略拡大斜視図、図18(a)は単位素子を正しく積層した熱交換器の概略斜視図、図18(b)はF−F断面の熱交換器の概略斜視図、図18(c)はF−F断面の熱交換器の概略拡大斜視図、図19(a)は単位素子を誤って積層した熱交換器の概略斜視図、図19(b)はG−G断面の熱交換器の概略斜視図、図19(c)はG−G断面の熱交換器の概略拡大斜視図である。
【0088】
実施の形態1と同一部分は同一番号とし、同一の作用効果を有するものとし、詳細な説明は省略する。
【0089】
図14、図15(a)、(b)、図16(a)、(b)、(c)において、熱交換器1bは一辺が120mmの方形で厚みが2.0mmの単位素子2bを交互に90度回転しながら積層し、支持棒3にて単位素子2b同士を結束することにより構成され、伝熱板4の間に形成された通風路5に、一次気流Aと二次気流Bを流通すると、一次気流Aと二次気流Bとは伝熱板4を介して直交しながら熱交換を行う。
【0090】
図15(a)および図15(b)の単位素子2bは、伝熱板4のX方向表面に間隔リブ6a、間隔リブ凸部29、遮蔽リブ7a、貫通穴9、貫通穴凸部10、位置決め凸部12、位置決め貫通穴13a、遮蔽リブ注入口14b、間隔リブ注入口15を備え、伝熱板4のY方向表面に間隔リブ6aa、間隔リブ凹部30、遮蔽リブ7aa、貫通穴9、位置決め貫通穴13aa、貫通穴凹部17、位置決め平面部19を備え、間隔リブ6a、6aaおよび遮蔽リブ7a、7aaが伝熱板4を間に挟むように、樹脂にて一体成形して得られる。
【0091】
伝熱板4のX方向表面において、間隔リブ6aは高さ1mm、幅1mmで所定間隔に6本形成し、遮蔽リブ7aは伝熱板4の向かい合う一組の両端で間隔リブ6aと平行に高さ1mm、幅5mmに形成する。間隔リブ凸部29は間隔リブ6aの上面の両端に、凸高さ0.4mm、幅1mm、長さ15mmに凸形状に形成する。遮蔽リブ注入口14bは台形状で遮蔽リブ7aと連結し、通風路5の外側に、伝熱板4から凸高さ0.5mmに形成する。貫通穴9は単位素子2bの四隅であって、遮蔽リブ7aに4箇所穴を設ける。貫通穴凸部10は貫通穴9の4箇所の穴の一部として、方形の単位素子2bの対角する2箇所に、貫通穴9の穴の周囲に凸高さ0.4mmの凸形状を形成する。位置決め凸部12は間隔リブ6aの上面に凸高さ1.7mmで2個設け、位置決め貫通穴13aは間隔リブ6aに凸高さ1.0mmで2個の円筒を設け、間隔リブ注入口15は間隔リブ6aの上面に凹高さ0.5mmに間隔リブ6aの段を落とすような形状に形成する。
【0092】
伝熱板4のY方向表面において、間隔リブ6aaは間隔リブ6aと直交し、高さ1mm、幅1mmで所定間隔に6本形成し、遮蔽リブ7aaは伝熱板4の向かい合う一組の両端で間隔リブ6aaと平行に高さ1mm、幅5mmに形成する。間隔リブ凹部30は間隔リブ6aaの上面の両端に、凹高さ0.5mm、幅1mm、長さ15.1mmに凹形状に形成する。貫通穴9は単位素子2bの四隅であって、遮蔽リブ7aaに4箇所穴を設ける。貫通穴凹部17は貫通穴9の4箇所の穴の一部として、方形の単位素子2bの対角する2箇所に、貫通穴9の穴の周囲に凹高さ0.5mmの凹形状を形成する。位置決め平面部19は伝熱板4を挟んで位置決め凸部12の反対側に凸高さ1.0mmの円柱を2箇所設け、位置決め貫通穴13aaは伝熱板4を挟んで位置決め貫通穴13aの反対側に凸高さ1.0mmで2個の円筒を設ける。
【0093】
図16(a)、(b)、(c)に示すように、間隔リブ6aと間隔リブ6aaは単位素子2aを交互に90度回転しながら積層した時に、隣接する間隔リブ6aと間隔リブ6aaが重なり合うように形成され、伝熱板4を一定の間隔に保持する働がある。本実施の形態では、間隔リブ6aおよび間隔リブ6aaの凸高さを1mmとしたので、伝熱板4は2mm毎に積層される。
【0094】
図16(a)、(b)、(c)に示すように、間隔リブ凸部29と間隔リブ凹部30は単位素子2bを交互に90度回転しながら正しく積層した時には、隣接する間隔リブ凸部29の凸部と間隔リブ凹部30の凹部が嵌合するよう形成される。熱交換器1bは間隔リブ6aおよび間隔リブ6aaに設けた間隔リブ凸部29と間隔リブ凹部30の嵌合により、単位素子2b同士が互いに固定化され、且つ単位素子2bを積層する際に発生する位置ずれを防止する。熱交換器1bの伝熱板4を一定の間隔に保持する構成は、図16cに示すように隣接する間隔リブ6aおよび間隔リブ6aa同士が重なり合うことにより行われ、間隔リブ凸部29の凸部と間隔リブ凹部30の凹部の嵌合も伝熱板4を一定の間隔に保持する。この明細書では、金型の製造精度と樹脂成形の精度を考慮して、間隔リブ6aおよび間隔リブ6aaは必ず重なり合うようにし、間隔リブ凸部29と間隔リブ凹部30の嵌合は、高さ方向に0.1mmの積層逃がし部20eを設けた。なお0.1mmの高さ方向の積層逃がし部20eを設けたが、単位素子2bを正しく積層した時に、熱交換器1bの伝熱板4が一定の間隔に保たれれば良く、熱交換器の設計や製造精度により適宜決定する。
【0095】
図17a、17b、17cに示すように、単位素子2bを交互に90度回転せず、誤って積層した時には、間隔リブ凸部29の凸部は隣接する遮蔽リブ7aaと干渉し、隣接する単位素子2b同士が嵌合できず、熱交換器1bの側面から確認すると単位素子2b同士に隙間があり、容易に単位素子2bの積み間違いを確認することができる構成となっている。
【0096】
なお間隔リブ凸部29および間隔リブ凹部30は単位素子2bの間隔リブ6aおよび間隔リブ6aaに設けたが、単位素子を正しく積層した時には隣接する単位素子の凹部と凸部が嵌合し、誤って積層した時には凸部と隣接する単位素子の一部が干渉する構造であれば、その他の構成の熱交換器を用いても同様の作用効果を得ることができる。
【0097】
図18(a)、(b)、(c)に示すように、貫通穴凹部17と貫通穴凸部10は単位素子2bを交互に90度回転しながら正しく積層した時には、隣接する貫通穴凹部17の凹部と貫通穴凸部10の凸部が嵌合するよう形成される。熱交換器1bは方形の単位素子2bの対角する2箇所に設けた貫通穴凹部17と貫通穴凸部10の嵌合により、単位素子2b同士が互いに固定化され、且つ単位素子2bを積層する際に発生する位置ずれを防止する。熱交換器1bの四隅における気流の遮蔽は、図18(c)に示すように隣接する遮蔽リブ7aおよび遮蔽リブ7aa同士が重なり合うことにより行われ、貫通穴凹部17の凹部と貫通穴凸部10の凸部の嵌合も気流の遮蔽を行う。この明細書では、金型の製造精度と樹脂成形の精度を考慮して、遮蔽リブ7aおよび遮蔽リブ7aaは必ず重なり合うようにし、貫通穴凹部17と貫通穴凸部10の嵌合は、気流が漏れない程度に高さ方向に0.1mmの積層逃がし部20fを設けた。なお0.1mmの高さ方向の積層逃がし部20fを設けたが、単位素子2bを正しく積層した時には、熱交換器1bの四隅における気流の遮蔽と単位素子2b同士の嵌合ができれば良く、熱交換器の設計や製造精度により適宜決定する。
【0098】
図19(a)、(b)、(c)に示すように、単位素子2bを交互に90度回転せず、誤って積層した時には、貫通穴凸部10の凸部は隣接する遮蔽リブ7aaと干渉し、隣接する単位素子2b同士が嵌合できず、熱交換器1bの側面から確認すると単位素子2b同士に隙間があり、容易に単位素子2bの積み間違いを確認することができる構成となっている。
【0099】
なお貫通穴凹部17および貫通穴凸部10は貫通穴9の4箇所の穴の一部として、方形の単位素子2bの対角する2箇所に設けた。例えば、貫通穴9の4箇所に貫通穴凹部17の凹部と貫通穴凸部10の凸部を設けた場合、誤って単位素子2aを積層した時にも隣接する単位素子2aの貫通穴凹部17の凹部と貫通穴凸部10の凸部が嵌合し、単位素子2aの積み間違いが分からないため、貫通穴凹部17および貫通穴凸部10は貫通穴9の4箇所の穴の一部に備えた。この明細書では貫通穴9の4箇所の穴の一部として、方形の単位素子2bの対角する2箇所に設けが、貫通穴9の穴の一部とは、単位素子を正しく積層した時には隣接する単位素子の凹部と凸部が嵌合し、誤って積層した時には凸部と隣接する単位素子の一部が干渉する構造であれば、その他の構成の熱交換器を用いても同様の作用効果を得ることができる。
【0100】
熱交換器1bは単位素子2bを積層した時に隣接する単位素子2bが干渉しないように逃がす手段を備え、逃がす手段として、遮蔽リブ7aに連結し、通風路5の外側に遮蔽リブ注入口14bの段落としを設けた構成である。
【0101】
図14に示すように、遮蔽リブ注入口14bは通風路5の外側に段落としを設けたことにより、溶融樹脂が金型から注入される遮蔽リブ注入口14bにおいてバリが万一発生しても、単位素子2bを積層した際に隣接する単位素2b同士は段落しによってバリを逃がすことにより干渉せず、更に前記バリは通風路5の外側に位置するため、隣接する単位素子2bとの空間を大きくでき、バリを逃がすことにより更に干渉せず、隙間無く単位素子2bを積層することができる。
【0102】
なお、遮蔽リブ注入口14bの段落しは遮蔽リブ7aに連結するように設けたが、溶融樹脂を注入する注入口は、遮蔽リブ7aの少なくとも何れかに連結し、通風路5の外側に設け、バリを逃がすように段落しにする構成であれば良く、その他の構成を用いても同様の作用効果を得ることができる。
【0103】
上記構成により、熱交換器1bは、単位素子2bを積層した際に積み間違いが分かる手段として、間隔リブ6a、6aaに間隔リブ凸部29と間隔リブ凹部30を備えたことにより、単位素子2bを正しく積層した時には隣接する単位素子2bの間隔リブ凸部29の凸部と間隔リブ凹部30の凹部が嵌合し、誤って積層した時には間隔リブ凸部29の凸部と隣接する単位素子2bの一部(遮蔽リブ7aa)が干渉するため、単位素子2bの積み間違いを容易に確認することができ、積み間違いを修正することによって生産工程の不良を低減することができ、量産性を向上することができる。また単位素子2bの積み間違いに起因する密封性の低下を防止することができ、気流の漏れを防止することができる。また間隔リブ凸部29の凸部と間隔リブ凹部30の凹部は単位素子2bを積層した際に凹部と凸部が嵌合することにより、単位素子2b同士が互いに固定するため、単位素子2bのずれに起因する密封性の低下を防止することができ、気流の漏れを防止することができ、また前記嵌合構造が単位素子2bを積層する際に発生する位置ずれを防止することにより、量産性を向上することができる。
【0104】
また熱交換器1bは、単位素子2bに貫通穴9を備え、この貫通穴9の一部の周囲として、方形の単位素子2bの対角する2箇所に貫通穴凹部17および貫通穴凸部10を備えたことにより、単位素子2bを正しく積層した時には隣接する単位素子2bの貫通穴凹部17と貫通穴凸部10が嵌合し、誤って積層した時には貫通穴凸部10と隣接する単位素子2bの一部(遮蔽リブ7aa)が干渉するため、単位素子2bの積み間違いを容易に確認することができ、積み間違いを修正することによって生産工程の不良を低減することができ、量産性を向上することができる。また単位素子2bの積み間違いに起因する密封性の低下を防止することができ、気流の漏れを防止することができる。また単位素子2bを積層した際に貫通穴凹部17と貫通穴凸部10が嵌合することにより、単位素子2b同士が互いに固定するため、単位素子2bのずれに起因する密封性の低下を防止することができ、気流の漏れを防止することができ、また前記嵌合構造が単位素子2bを積層する際に発生する位置ずれを防止することにより、量産性を向上することができる。
【0105】
また遮蔽リブ注入口14bの段落としは、遮蔽リブ7aに連結し、通風路5の外側に設けたことにより、溶融樹脂が射出成形金型24から注入される単位素子2bの注入口においてバリが万一発生しても、単位素子2bを積層した際に隣接する単位素子2b同士は段落しによってバリを逃がすことにより干渉せず、更に前記バリは通風路5の外側に位置するため、隣接する単位素子2bとの空間を大きくでき、バリを逃がすことにより更に干渉せず、隙間無く単位素子2bを積層することができ、気流の漏れを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、家庭用の熱交換型換気扇やビルなどの全熱交換型換気装置に使用する積層構造の熱交換器の製造方法に関するものである。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の実施の形態1による熱交換器の概略斜視図
【図2】(a)同X方向から見た単位素子の概略斜視図、(b)同Y方向から見た単位素子の概略斜視図
【図3】同熱交換器の概略分解斜視図
【図4】(a)同単位素子を正しく積層した熱交換器の概略斜視図、(b)同A−A断面の熱交換器の概略斜視図、(c)同A−A断面の熱交換器の概略拡大斜視図
【図5】(a)同単位素子を誤って積層した熱交換器の概略斜視図、(b)同熱交換器の概略拡大斜視図
【図6】(a)同単位素子を正しく積層した熱交換器の概略斜視図、(b)同B−B断面の熱交換器の概略斜視図、(c)同B−B断面の熱交換器の概略拡大斜視図
【図7】(a)同単位素子を誤って積層した熱交換器の概略斜視図、(b)同C−C断面の熱交換器の概略斜視図、(c)同C−C断面の熱交換器の概略拡大斜視図
【図8】同伝熱板の概略斜視図
【図9】(a)同単位素子を正しく積層した熱交換器の概略斜視図、(b)同B−B断面の熱交換器の概略斜視図、(c)同B−B断面の熱交換器の概略拡大斜視図
【図10】(a)同単位素子を誤って積層した熱交換器の概略斜視図、(b)同C−C断面の熱交換器の概略斜視図、(c)同C−C断面の熱交換器の概略拡大斜視図
【図11】同熱交換器の概略量産工程図
【図12】同射出成形金型の概略断面図
【図13】(a)同単位素子を正しく積層した熱交換器の概略斜視図、(b)同B−B断面の熱交換器の概略斜視図、(c)同B−B断面の熱交換器の概略拡大斜視図
【図14】本発明の実施の形態2による熱交換器の概略斜視図
【図15】(a)同X方向から見た単位素子の概略斜視図、(b)同Y方向から見た単位素子の概略斜視図
【図16】(a)同単位素子を正しく積層した熱交換器の概略斜視図、(b)同D−D断面の熱交換器の概略斜視図、(c)同D−D断面の熱交換器の概略拡大斜視図
【図17】(a)同単位素子を誤って積層した熱交換器の概略斜視図、(b)同E−E断面の熱交換器の概略斜視図、(c)同E−E断面の熱交換器の概略拡大斜視図
【図18】(a)同単位素子を正しく積層した熱交換器の概略斜視図、(b)同F−F断面の熱交換器の概略斜視図、(c)同F−F断面の熱交換器の概略拡大斜視図
【図19】(a)同単位素子を誤って積層した熱交換器の概略斜視図、(b)同G−G断面の熱交換器の概略斜視図、(c)同G−G断面の熱交換器の概略拡大斜視図
【図20】(a)従来の熱交換器109のスペーサー101をX方向から見た概略斜視図、(b)従来の熱交換器109のスペーサー101をY方向から見た概略斜視図
【図21】従来の熱交換器109を示す概略斜視図
【符号の説明】
【0108】
1a 熱交換器
1b 熱交換器
2a 単位素子
2b 単位素子
3 支持棒
4 伝熱板
5 通風路
6a 間隔リブ
6aa 間隔リブ
7a 遮蔽リブ
7aa 遮蔽リブ
8 遮蔽リブ凹部
9 貫通穴
10 貫通穴凸部
11 積層確認凸部
12 位置決め凸部
13a 位置決め貫通穴
13aa 位置決め貫通穴
14a 遮蔽リブ注入口
14b 遮蔽リブ注入口
15 間隔リブ注入口
16 遮蔽リブ凸部
17 貫通穴凹部
18 積層確認凹部
19 位置決め平面部
20a 積層逃がし部
20b 積層逃がし部
20c 積層逃がし部
20d 積層逃がし部
20e 積層逃がし部
20f 積層逃がし部
21 位置決め穴
22 切断工程
23 成形工程
24 射出成形金型
25 ヒータ
26 スプル・ランナー
27 積層工程
28 結束工程
29 間隔リブ凸部
30 間隔リブ凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝熱板と前記伝熱板の間隔を保持するための間隔リブと気流の漏れを遮蔽するための遮蔽リブとを樹脂にて一体成形して単位素子を形成し、この単位素子を複数積層することにより前記伝熱板間に通風路が形成され、一次気流と二次気流を前記通風路に流通することにより、前記伝熱板を介して熱交換するようにした熱交換器の製造方法において、前記単位素子を樹脂成形する金型にランナーレスにする手段を備えたことを特徴とする熱交換器の製造方法。
【請求項2】
ランナーレスにする手段として、ホットランナーを使用したことを特徴とする請求項1記載の熱交換器の製造方法。
【請求項3】
オープンゲート式のホットランナーを使用したことを特徴とする請求項2記載の熱交換器の製造方法。
【請求項4】
バルブゲート式のホットランナーを使用したことを特徴とする請求項2記載の熱交換器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2007−255755(P2007−255755A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−78433(P2006−78433)
【出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】