熱交換器
【課題】熱媒体流路内にインナーフィンを複数段設けた熱交換器において、熱交換効率を向上させる。
【解決手段】流路管3内に、熱媒体流路30を複数の細流路333に分割するとともに、熱媒体と電子部品2との熱交換を促進するインナーフィン33を設け、インナーフィン33を、流路管3と電子部品2との配置方向に複数段積層し、複数段のインナーフィン33のうち、電子部品2に最も近い側に位置するインナーフィン33Aにおける熱媒体の通過抵抗を、他のインナーフィン33Bにおける熱媒体の通過抵抗よりも低くする。
【解決手段】流路管3内に、熱媒体流路30を複数の細流路333に分割するとともに、熱媒体と電子部品2との熱交換を促進するインナーフィン33を設け、インナーフィン33を、流路管3と電子部品2との配置方向に複数段積層し、複数段のインナーフィン33のうち、電子部品2に最も近い側に位置するインナーフィン33Aにおける熱媒体の通過抵抗を、他のインナーフィン33Bにおける熱媒体の通過抵抗よりも低くする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路管内部を流通する熱媒体と、流路管外部に配置された熱交換対象物との間で熱交換を行う熱交換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の熱交換器において、熱交換性能を向上させるために、熱媒体が流通する流路管内に、熱媒体と流路管との伝熱面積を増大させて熱媒体と熱交換対象物との熱交換を促進するインナーフィンを設けたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−191527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本出願人は先に特願2010−98753号(以下、先願例という)にて、この種の熱交換器において、流路管内にインナーフィンを複数段積層配置したものを提案している。この先願例では、複数段積層された各インナーフィンの仕様(フィンピッチやフィン高さ等)は共通になっている。このため、熱交換性能のさらなる向上を図るための対策は採られておらず、改善の余地がある。
【0005】
本発明は上記点に鑑みて、熱媒体流路内にインナーフィンを複数段設けた熱交換器において、熱交換効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、流路形成部材(3)内には、熱媒体流路(30)を複数の細流路(333)に分割するとともに、熱媒体と熱交換対象物(2)との熱交換を促進するインナーフィン(33)が設けられており、インナーフィン(33)は、流路形成部材(3)と熱交換対象物(2)との配置方向に複数段積層されており、複数段のインナーフィン(33)のうち、熱交換対象物(2)に最も近い側に位置するインナーフィン(33A)における熱媒体の通過抵抗が、他のインナーフィン(33B)における熱媒体の通過抵抗よりも低いことを特徴としている。
【0007】
このように、複数段のインナーフィン(33)のうち、熱交換対象物(2)に最も近い側に位置するインナーフィン(33A)における熱媒体の通過抵抗を、他のインナーフィン(33B)における熱媒体の通過抵抗よりも低くすることで、熱交換対象物(2)に最も近い側に位置するインナーフィン(33A)により分割された細流路(333A)の熱媒体の流量が、他のインナーフィン(33B)により分割された細流路(333B)の熱媒体の流量よりも多くなる。これにより、熱交換対象物(2)に近い側の細流路(333A)に流入する熱媒体の流速を増加させることができるので、熱交換効率を向上させることが可能となる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の熱交換器において、インナーフィン(33)は、熱媒体の流れ方向に垂直な断面形状が、凸部を一方側と他方側に交互に位置させて曲折する波形状に形成されており、断面形状にて、一方側と他方側のうちの同一側で隣り合う凸部の中心同士の距離をフィンピッチ(FP)としたとき、複数段のインナーフィン(33)のうち、熱交換対象物(2)に最も近い側に位置するインナーフィン(33A)のフィンピッチ(FP)が、他のインナーフィン(33B)のフィンピッチ(FP)よりも粗いことを特徴としている。
【0009】
このように、複数段のインナーフィン(33)のうち、熱交換対象物(2)に最も近い側に位置するインナーフィン(33A)のフィンピッチ(FP)を、他のインナーフィン(33B)のフィンピッチ(FP)よりも粗くすることで、熱交換対象物(2)に最も近い側に位置するインナーフィン(33A)における熱媒体の通過抵抗を、他のインナーフィン(33B)における熱媒体の通過抵抗よりも低くすることができる。これにより、熱交換対象物(2)に近い側の細流路(333A)に流入する熱媒体の流量を増加させることができるので、熱交換効率を向上させることが可能となる。
【0010】
また、請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の熱交換器において、インナーフィン(33)は、熱媒体の流れ方向に垂直な断面形状が、凸部を一方側と他方側に交互に位置させて曲折する波形状に形成されており、インナーフィン(33)における配置方向の寸法をフィン高さ(FH)としたとき、複数段のインナーフィン(33)のうち、熱交換対象物(2)に最も近い側に位置するインナーフィン(33A)のフィン高さ(FH)が、他のインナーフィン(33B)のフィン高さ(FH)よりも高いことを特徴としている。
【0011】
このように、複数段のインナーフィン(33)のうち、熱交換対象物(2)に最も近い側に位置するインナーフィン(33A)のフィン高さ(FH)を、他のインナーフィン(33B)のフィン高さ(FH)よりも高くすることで、熱交換対象物(2)に最も近い側に位置するインナーフィン(33A)における熱媒体の通過抵抗を、他のインナーフィン(33B)における熱媒体の通過抵抗よりも低くすることができる。これにより、熱交換対象物(2)に近い側の細流路(333A)に流入する熱媒体の流量を増加させることができるので、熱交換効率を向上させることが可能となる。
【0012】
また、請求項4に記載の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の熱交換器において、インナーフィン(33)は、熱媒体の流れ方向に延びるとともに細流路(333)を分割する板部(331)と、隣り合う板部(331)間を繋ぐ連結部(332)とを有し、熱媒体の流れ方向に直交する断面形状が波状となるとともに、配置方向から見た際に板部(331)が熱媒体の流れ方向に波形状に屈折するウェーブフィンであり、インナーフィン(33)の、配置方向に直交し、かつ、細流路(333)における配置方向の中心部を通る断面における、板部(331)の波形状の振幅方向における寸法をウェーブ深さ(WD)としたとき、複数段のインナーフィン(33)のうち、熱交換対象物(2)に最も近い側に位置するインナーフィン(33A)のウェーブ深さ(WD)が、他のインナーフィン(33B)のウェーブ深さ(WD)よりも浅いことを特徴としている。
【0013】
このように、インナーフィン(33)をウェーブフィンとするとともに、複数段のインナーフィン(33)のうち、熱交換対象物(2)に最も近い側に位置するインナーフィン(33A)のウェーブ深さ(WD)を、他のインナーフィン(33B)のウェーブ深さ(WD)よりも浅くすることで、熱交換対象物(2)に最も近い側に位置するインナーフィン(33A)における熱媒体の通過抵抗を、他のインナーフィン(33B)における熱媒体の通過抵抗よりも低くすることができる。これにより、熱交換対象物(2)に近い側の細流路(333A)に流入する熱媒体の流量を増加させることができるので、熱交換効率を向上させることが可能となる。
【0014】
また、請求項5に記載の発明では、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の熱交換器において、インナーフィン(33)は、熱媒体の流れ方向に延びるとともに細流路(333)を分割する板部(331)と、隣り合う板部(331)間を繋ぐ連結部(332)とを有し、熱媒体の流れ方向に直交する断面形状が波状となるとともに、配置方向から見た際に板部(331)が熱媒体の流れ方向に波形状に屈折するウェーブフィンであり、インナーフィン(33)の、配置方向に直交し、かつ、細流路(333)における配置方向の中心部を通る断面における、板部(331)の波形状のピッチをウェーブピッチ(WP)としたとき、複数段のインナーフィン(33)のうち、熱交換対象物(2)に最も近い側に位置するインナーフィン(33A)のウェーブピッチ(WP)が、他のインナーフィン(33B)のウェーブピッチ(WP)よりも粗いことを特徴としている。
【0015】
このように、インナーフィン(33)をウェーブフィンとするとともに、熱交換対象物(2)に最も近い側に位置するインナーフィン(33A)のウェーブピッチ(WP)を、他のインナーフィン(33B)のウェーブピッチ(WP)よりも粗くすることで、熱交換対象物(2)に最も近い側に位置するインナーフィン(33A)における熱媒体の通過抵抗を、他のインナーフィン(33B)における熱媒体の通過抵抗よりも低くすることができる。これにより、熱交換対象物(2)に近い側の細流路(333A)に流入する熱媒体の流量を増加させることができるので、熱交換効率を向上させることが可能となる。
【0016】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施形態に係る積層型熱交換器1を示す正面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】第2実施形態における流路管3近傍を示す拡大断面図である。
【図4】第3実施形態における流路管3近傍を示す拡大断面図である。
【図5】第4実施形態における流路管3近傍を示す拡大断面図である。
【図6】第5実施形態におけるインナーフィン33を示す拡大断面図である。
【図7】第6実施形態における流路管3近傍を示す拡大断面図である。
【図8】第6実施形態におけるインナーフィン33を示す拡大断面図であり、(a)は外側インナーフィン33Aを示しており、(b)は内側インナーフィン33Bを示している。
【図9】第7実施形態におけるインナーフィン33を示す拡大断面図であり、(a)は外側インナーフィン33Aを示しており、(b)は内側インナーフィン33Bを示している。
【図10】第8実施形態に係る熱交換器を示す分解斜視図である。
【図11】第8実施形態に係る熱交換器を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0019】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について図1および図2に基づいて説明する。図1は、本第1実施形態に係る積層型熱交換器1を示す正面図である。
【0020】
図1に示すように、本実施形態の積層型熱交換器1は、熱交換対象物としての複数の電子部品2を両面から冷却するもので、熱媒体を流通させる熱媒体流路30(図2参照)を形成する流路形成部材としての複数の流路管3と、複数の流路管3を連通する連通部材4とを備えている。複数の流路管3は、扁平形状に形成されており、電子部品2を両面から挟持できるように複数個積層配置されている。
【0021】
本実施形態では、電子部品2として、IGBT等の半導体素子とダイオードとを内蔵した半導体モジュールを用いている。当該半導体モジュールは、自動車用インバータ、産業機器のモータ駆動インバータ、ビル空調用のエアコンインバータ等に用いるものとすることができる。なお、電子部品2としては、上記半導体モジュール以外にも、例えば、パワートランジスタ、パワーFET、IGBT等を用いることもできる。
【0022】
また、熱媒体としては、空気、水、油などの流体を用いている。より具体的には、例えば、この積層型熱交換器1を自動車に搭載した場合、熱媒体としては自動車の冷却水やオイル等を用いることができる。なお、本実施形態では、熱媒体として、エチレングリコール系の不凍液を混入させた水を用いている。
【0023】
図2は図1のA−A断面図である。図2に示すように、本実施形態の流路管3は、いわゆるドロンカップ構造となっている。すなわち、流路管3は、一対の外殻プレート31を有して構成されており、一対の外殻プレート31の間に熱媒体流路30が形成されている。流路管3内には、熱媒体流路30を複数の細流路333に分割し、熱媒体と電子部品2との熱交換を促進するインナーフィン33が設けられている。このインナーフィン33の詳細については後述する。
【0024】
図1に戻り、電子部品2は、流路管3の外部の一部に配置されている。具体的には、電子部品2は、流路管3の一対の外殻プレート31それぞれに対して2個ずつ設けられている。各外殻プレート31に設けられた2つの電子部品2は、それぞれ熱媒体の流れ方向に直列に配置されている。なお、本実施形態では、電子部品2は各外殻プレート31に2個設けられているが、電子部品2は1個であってもよいし、3個以上設けられていてもよい
また、流路管3の外殻プレート31における長手方向両端部には、外側、すなわち隣り合う他の流路管3側に突出する略円筒状のフランジ部300が形成されている。そして、隣り合う流路管3のフランジ部300同士をろう付けにより接合することにより、複数の流路管3を連通する連通部材4が形成されている。
【0025】
複数の流路管3のうち積層方向最外側に配置される流路管3を外側流路管3aとしたとき、2つの外側流路管3aのうち一方の外側流路管3aの長手方向両端部には、熱媒体を積層型熱交換器1に導入するための熱媒体導入口401と、熱媒体を積層型熱交換器1から排出するための熱媒体排出口402とがそれぞれ接続されている。熱媒体導入口401および熱媒体排出口402は、ろう付けにより一方の外側流路管3aに接合されている。なお、本実施形態の流路管3、連通部材4、熱媒体導入口401および熱媒体排出口402は、アルミニウム製である。
【0026】
熱媒体導入口401から導入された熱媒体は、連通部材4を通って長手方向における一方の端部から各流路管3に流入し、それぞれの熱媒体流路30内を他方の端部に向かって流れる。そして、熱媒体は、連通部材4を通って熱媒体排出口402から排出される。このように、熱媒体が熱媒体流路30を流通する間に、電子部品2との間で熱交換を行って、電子部品2を冷却するようになっている。
【0027】
図2に示すように、インナーフィン33は、熱媒体の流れ方向、すなわち流路管3の長手方向に垂直な断面形状が、凸部を一方側と他方側に交互に位置させて曲折する波形状に形成されている。具体的には、インナーフィン33は、流路管長手方向に延びるとともに細流路333を分割する板部331と、隣り合う板部331間を繋ぐ連結部332とを有し、流路管長手方向に直交する断面形状が台形波状に形成されたストレートフィンである。
【0028】
インナーフィン33は、1つの流路管3内に、流路管3と電子部品との配置方向、すなわち、流路管3の積層方向に3段積層されている。本実施形態では、各段のインナーフィン33は、別体として形成されている。
【0029】
ここで、3段のインナーフィン33のうち、電子部品2に最も近い側に位置するとともに外殻プレート31に隣接する2つのインナーフィン33を外側インナーフィン33Aといい、2つの外側インナーフィン33Aの間に配置された1つのインナーフィン33を内側インナーフィン33Bという。このため、1つの流路管3内には、2つの外側インナーフィン33Aと、1つの内側インナーフィン33Bが設けられている。
【0030】
また、インナーフィン33の流路管長手方向に直交する断面形状にて、一方側と他方側のうちの同一側で隣り合う凸部、すなわち連結部332の中心同士の距離をフィンピッチFPという。外側インナーフィン33AのフィンピッチFP1は、内側インナーフィン33BのフィンピッチFP2よりも粗くなっている。本実施形態では、外側インナーフィン33AのフィンピッチFP1は、内側インナーフィン33BのフィンピッチFP2の約2倍になっている。
【0031】
以上説明したように、外側インナーフィン33AのフィンピッチFP1を、内側インナーフィン33BのフィンピッチFP2よりも粗くすることで、外側インナーフィン33Aにより分割された細流路333(以下、外側細流路333Aという)における熱媒体の通過抵抗が、内側インナーフィン33Bにより分割された細流路333(以下、内側細流路333B)における熱媒体の通過抵抗よりも低くなる。これにより、外側細流路333Aの熱媒体の流量が、内側細流路333Bの熱媒体の流量よりも多くなる。すなわち、電子部品2に近い側の細流路333Aに流入する熱媒体の流速を増加させることができるので、熱交換効率を向上させることが可能となる。
【0032】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図3に基づいて説明する。本第2実施形態は、上記第1実施形態と比較して、インナーフィン33のフィン高さFHが異なるものである。図3は本第2実施形態における流路管3近傍を示す拡大断面図であり、第1実施形態の図2に対応する図面である。
【0033】
ここで、インナーフィン33における流路管3と電子部品2との配置方向、すなわち流路管積層方向の寸法をフィン高さFHとする。すなわち、フィン高さFHは、インナーフィン33の流路管長手方向に垂直な断面形状における一方側の凸部から他方側の凸部までの距離をいう。
【0034】
図3に示すように、本実施形態では、外側インナーフィン33Aのフィン高さFH1が、内側インナーフィン33Bのフィン高さFH2よりも高くなっている。本実施形態では、外側インナーフィン33Aのフィン高さFH1は、内側インナーフィン33Bのフィン高さFH2の1.75倍になっている。
【0035】
以上説明したように、外側インナーフィン33Aのフィン高さFH1を、内側インナーフィン33Bのフィン高さFH2よりも高くすることで、外側インナーフィン33Aにより分割された外側細流路333Aにおける熱媒体の通過抵抗が、内側インナーフィン33Bにより分割された内側細流路333Bにおける熱媒体の通過抵抗よりも低くなる。これにより、外側細流路333Aの熱媒体の流量が、内側細流路333Bの熱媒体の流量よりも多くなるので、上記第1実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
【0036】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図4に基づいて説明する。本第3実施形態は、上記第1実施形態と比較して、インナーフィン33の積層段数が異なるものである。図4は本第3実施形態における流路管3近傍を示す拡大断面図であり、第1実施形態の図2に対応する図面である。
【0037】
図4に示すように、本実施形態では、インナーフィン33は、1つの流路管3内に、流路管3と電子部品との配置方向、すなわち、流路管3の積層方向に4段積層されている。
【0038】
より詳細には、1つの流路管3内における電子部品2に最も近い側には、外側インナーフィン33Aが設けられている。外側インナーフィン33Aは、外殻プレート31のそれぞれに隣接するように1つずつ配置されている。したがって、1つの流路管3内には、2つの外側インナーフィン33Aが配置されている。また、2つの外側インナーフィン33Aの間には、2つの内側インナーフィン33Bが配置されている。
【0039】
上記第1実施形態と同様に、外側インナーフィン33AのフィンピッチFP1は、内側インナーフィン33BのフィンピッチFP2よりも粗くなっている。本実施形態では、外側インナーフィン33AのフィンピッチFP1は、内側インナーフィン33BのフィンピッチFP2の約2倍になっている。
【0040】
本実施形態によれば、外側インナーフィン33Aにより分割された外側細流路333Aにおける熱媒体の通過抵抗が、内側インナーフィン33Bにより分割された内側細流路333Bにおける熱媒体の通過抵抗よりも低くなる。これにより、外側細流路333Aの熱媒体の流量が、内側細流路333Bの熱媒体の流量よりも多くなるので、上記第1実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
【0041】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図5に基づいて説明する。本第4実施形態は、上記第1実施形態と比較して、電子部品2の配置およびインナーフィン33の積層段数が異なるものである。図5は本第4実施形態における流路管3近傍を示す拡大断面図であり、第1実施形態の図2に対応する図面である。
【0042】
図5に示すように、本実施形態では、電子部品2は、流路管3の一方の面にのみ接触するように配置されている。すなわち、1つの流路管3の一対の外殻プレート31のうち、一方の外殻プレート31にのみ電子部品2が接触している。
【0043】
インナーフィン33は、1つの流路管3内に、流路管3と電子部品との配置方向、すなわち、流路管3の積層方向に2段積層されている。ここで、2段積層されたインナーフィン33のうち、電子部品2に近い側に位置するインナーフィン33を第1インナーフィン33Cといい、電子部品2から遠い側に位置するインナーフィン33を第2インナーフィン33Dという。このため、1つの流路管3内には、1つの第1インナーフィン33Cと、1つの第2インナーフィン33Dが設けられている。
【0044】
また、第1インナーフィン33CのフィンピッチFP1は、第2インナーフィン33DのフィンピッチFP2よりも粗くなっている。本実施形態では、外側インナーフィン33AのフィンピッチFP1は、内側インナーフィン33BのフィンピッチFP2の約2倍になっている。
【0045】
本実施形態によれば、第1インナーフィン33Cにより分割された細流路333(以下、第1細流路333Cという)における熱媒体の通過抵抗が、第2インナーフィン33Dにより分割された細流路333(以下、第2細流路333D)における熱媒体の通過抵抗よりも低くなる。したがって、第1細流路333Cの熱媒体の流量が、第2細流路333Dの熱媒体の流量よりも多くなる。すなわち、電子部品2に近い側の第1細流路333Cに流入する熱媒体の流速が増加するため、熱交換効率を向上させることが可能となる。
【0046】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について図6に基づいて説明する。本第5実施形態は、上記第1実施形態と比較して、インナーフィン33の形成方法が異なるものである。図6は本第5実施形態におけるインナーフィン33を示す拡大断面図である。
【0047】
図6に示すように、本実施形態の3段のインナーフィン33は、1枚の金属板を、2箇所の折り返し部35を設けて折り返すことにより形成されている。具体的には、1枚の金属板を、2箇所の折り返し部35のうちの1箇所で流路管積層方向の一側に向かって折り返すとともに、2箇所の折り返し部35のうちの他の1箇所で流路管積層方向の他側に向かって折り返すことで、3段積層されたインナーフィン33が形成されている。
【0048】
本実施形態では、1枚の金属板を折り曲げることにより3段のインナーフィン33を形成しているので、上記第1実施形態と同様の効果を得つつ、部品点数を低減することが可能となる。
【0049】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について図7および図8に基づいて説明する。本第6実施形態は、上記第1実施形態と比較して、インナーフィン33としてウェーブフィンを用いた点が異なるものである。図7は本第6実施形態における流路管3近傍を示す拡大断面図であり、第1実施形態の図2に対応する図面である。
【0050】
図7に示すように、本実施形態のインナーフィン33は、流路管長手方向(熱媒体の流れ方向)に延びるとともに細流路333を分割する板部331と、隣り合う板部331間を繋ぐ連結部332とを有し、流路管長手方向に直交する断面形状が波状となるとともに、流路管積層方向(流路管3と電子部品2との配置方向)から見た際に板部331が熱媒体の流れ方向に波形状に屈折するウェーブフィンである。これにより、流路管3内に流路幅方向の熱媒体流れを形成することで熱媒体の混合を促進することができる。
【0051】
図8は、本第6実施形態におけるインナーフィン33の、流路管積層方向に直交し、かつ、細流路333における流路管積層方向の中心部を通る断面を示す拡大断面図である。また、図8(a)は外側インナーフィン33Aを示しており、図8(b)は内側インナーフィン33Bを示している。ここで、インナーフィン33の、流路管積層方向に直交し、かつ、細流路333における流路管積層方向の中心部を通る断面における、板部331の波形状のピッチをウェーブピッチWPとする。
【0052】
図8に示すように、外側インナーフィン33AのウェーブピッチWP1は、内側インナーフィン33BのウェーブピッチWP2より粗く形成されている。このため、外側インナーフィン33Aにより分割された外側細流路333Aを流通する熱媒体に生じる圧力損失が、内側インナーフィン33Bにより分割された内側細流路333Bを通過する熱媒体に生じる圧力損失より小さくなる。
【0053】
したがって、外側細流路333Aの熱媒体の流量が、内側細流路333Bの熱媒体の流量よりも多くなる。すなわち、電子部品2に近い側の外側細流路333Aに流入する熱媒体の流速が増加するため、熱交換効率を向上させることが可能となる。
【0054】
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態について図9に基づいて説明する。本第7実施形態は、上記第6実施形態と比較して、インナーフィン33のウェーブ深さWDが異なるものである。
【0055】
図9は、本第7実施形態におけるインナーフィン33の、流路管積層方向に直交し、かつ、細流路333における流路管積層方向の中心部を通る断面を示す拡大断面図である。また、図9(a)は外側インナーフィン33Aを示しており、図9(b)は内側インナーフィン33Bを示している。ここで、インナーフィン33の、流路管積層方向に直交し、かつ、細流路333における流路管積層方向の中心部を通る断面における、板部331の波形状の振幅方向における寸法をウェーブ深さWDとする。
【0056】
図9に示すように、外側インナーフィン33Aのウェーブ深さWD1は、内側インナーフィン33Bのウェーブ深さWD2より浅く形成されている。このため、外側細流路333Aを流通する熱媒体に生じる圧力損失が、内側細流路333Bを通過する熱媒体に生じる圧力損失より大きくなる。
【0057】
したがって、外側細流路333Aの熱媒体の流量が、内側細流路333Bの熱媒体の流量よりも多くなる。すなわち、電子部品2に近い側の外側細流路333Aに流入する熱媒体の流速が増加するため、熱交換効率を向上させることが可能となる。
【0058】
(第8実施形態)
次に、本発明の第8実施形態について図10および図11に基づいて説明する。本第8実施形態は、本発明の熱交換器を、熱交換対象物としての半導体素子に放熱用の金属体を接続したものを封止材により封止してなる半導体実装体を備え、当該金属体の放熱面を熱媒体で冷却するようにした熱交換器に適用したものである。
【0059】
図10は本第8実施形態に係る熱交換器を示す分解斜視図、図11は本第8実施形態に係る熱交換器を示す断面図である。図11に示すように、半導体実装体51は、半導体素子としての第1半導体チップ511および第2半導体チップ512と、金属体としての下側ヒートシンク520および上側ヒートシンク530と、これらの間に介在する導電性接合部材としての各はんだ541、542と、さらに、封止材としてのモールド樹脂550とを備えて構成されている。
【0060】
本実施形態の半導体実装体51では、第1半導体チップ511と第2半導体チップ12とが互いに並列に平面方向に配置されている。なお、図11では、半導体チップは2個設けられているが、半導体チップは1個であってもよいし、3個以上設けられていてもよい。
【0061】
それぞれの半導体チップ511、512の裏面(図11中の右面)と下側ヒートシンク520の上面との間は、第1はんだ541によって接合されている。また、それぞれの半導体チップ511、512の表面(図11中の左面)と上側ヒートシンク530の下面との間は、第2はんだ542によって接合されている。本実施形態において、これら各はんだ541、542としては、一般的に用いられている各種のはんだ、例えば、Sn−Pb系はんだや、Sn−Ag系はんだなどの鉛フリーはんだを採用することができる。
【0062】
これにより、上記した構成においては、第1半導体チップ511および第2半導体チップ512の表面では、第2はんだ542および上側ヒートシンク530を介して放熱が行われ、第1半導体チップ511および第2半導体チップ512の裏面では、第1はんだ541から下側ヒートシンク520を介して放熱が行われる。
【0063】
このように、下側ヒートシンク520および上側ヒートシンク530は、第1半導体チップ511および第2半導体チップ512と熱的に接続されこれら各半導体チップ511、512からの熱を伝達する金属体として構成されている。そして、下側ヒートシンク520においては、図11中の右面が放熱面521として構成され、上側ヒートシンク530においては、図11中の左面が放熱面531として構成されている。そして、各放熱面521、531は、モールド樹脂550から露出している。
【0064】
ここで、第1半導体チップ11としては、特に限定されるものではないが、例えばIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)やサイリスタ等のパワー半導体素子から構成することができる。また、同じく第2半導体チップ512は、たとえば、FWD(フリーホイールダイオード)等からなるものにできる。また、具体的には、上記第1半導体チップ511および第2半導体チップ512の形状は、たとえば矩形状の薄板状とすることができる。
【0065】
また、本実施形態の各半導体チップ511、512の表面および裏面には、図示しない電極が形成されている。そして、この電極は、各はんだ541、542と電気的に接続されている。
【0066】
このように、本実施形態においては、第1半導体チップ511および第2半導体チップ512の裏面側の電極は、下側ヒートシンク520に対して、第1はんだ541を介して電気的に接続され、第1半導体チップ511および第2半導体チップ512の表面側の電極は、第2はんだ542を介して上側ヒートシンク530に対して、電気的に接続されている。
【0067】
ここで、下側ヒートシンク520および上側ヒートシンク530は、例えば、銅合金もしくはアルミ合金等の熱伝導性および電気伝導性の良い金属で構成されている。また、下側ヒートシンク520および上側ヒートシンク530は、例えば、全体としてほぼ長方形状の板材とすることができる。
【0068】
本実施形態の熱交換器は、上記構成の半導体実装体51におけるヒートシンク520、530の放熱面521、531が熱媒体により冷却されるようになっている。したがって、ヒートシンク520、530の放熱面521、531が、本発明の熱交換対象物に相当している。
【0069】
図11に示されるように、本実施形態の熱交換器は、半導体実装体51におけるモールド樹脂550の一部が、熱媒体冷媒が流れる熱媒体流路30として構成されたものとなっている。モールド樹脂550は、半導体チップ511、512およびヒートシンク520、530を封止する封止部551と、この封止部551の周囲に設けられ先端部がヒートシンク520、530の放熱面521、531よりも突出する壁部552とから構成されている。本実施形態は、壁部552は、放熱面521、531を取り囲むように環状に設けられたものである。
【0070】
また、封止部551のうちヒートシンク520、530の放熱面521、531と壁部552との間の部位に、貫通穴553が設けられており、この貫通穴553が熱媒体流路30として構成されている。
【0071】
図10に示すように、本実施形態の熱交換器は、半導体実装体51が複数個連結されたものとして構成されている。具体的には、半導体実装体51が複数個(図示例では3個)積層されて連結されているとともに、それぞれの貫通穴553は、互いに連通している。
【0072】
積層体における一端側の半導体実装体51には、熱媒体の入口61および出口62を有する第1蓋材60が連結されており、これら入口61および出口62と貫通穴553とが連通している。また、積層体における他端側の半導体実装体51には、第2蓋材70が連結されており、貫通穴553が、この第2蓋材70により閉塞されている。こうして、入口61、出口62および貫通穴553が接続され、入口61から流入した熱媒体が貫通穴553を通って出口62から流出するようになっている。
【0073】
なお、壁部552の端面にて、個々の半導体実装体51の連結および半導体実装体51と蓋材60、70との連結が行われており、この壁部552における各々の連結は、図示しない接着剤を介した接着により行われている。また、蓋材60、70は、ともに、例えば、樹脂、金属、セラミックなどの材料から成形、プレス加工などにより作成することができる。
【0074】
ここで、積層された複数個の半導体実装体51において、互いの放熱面521、531が対向するように配置されており、この対向する放熱面521、531の間も熱媒体流路30として熱媒体が流れるようになっている。また、半導体実装体51の放熱面521、531と蓋材60、70との間にも、熱媒体流路30が形成されている。したがって、対向する放熱面521、531、モールド樹脂550および蓋材60、70が、本発明の流路形成部材に相当している。
【0075】
ヒートシンク520、530の放熱面521、531の表面には、隣り合う半導体実装体51の間、および半導体実装体51と蓋材60、70との間に形成された熱媒体流路30を複数の細流路に分割するとともに、熱媒体とヒートシンク520、530の放熱面521、531との熱交換を促進するインナーフィン33が設けられている。本実施形態では、インナーフィン33としてストレートフィンを用いている。
【0076】
より詳細には、隣り合う半導体実装体51同士の間には、インナーフィン33が、半導体実装体51の積層方向に3段積層されている。すなわち、隣り合う半導体実装体51の互いに対向する放熱面521、531間に、インナーフィン33が、半導体実装体51の積層方向に3段積層されている。
【0077】
ここで、3段のインナーフィン33のうち、放熱面521、523に最も近い側に位置するとともに放熱面521、531に隣接する2つのインナーフィン33を外側インナーフィン33Aといい、2つの外側インナーフィン33Aの間に配置された1つのインナーフィン33を内側インナーフィン33Bという。このため、隣り合う半導体実装体51同士の間には、2つの外側インナーフィン33Aと、1つの内側インナーフィン33Bが設けられている。また、外側インナーフィン33Aのフィンピッチは、内側インナーフィン33Bのフィンピッチよりも粗くなっている。
【0078】
また、半導体実装体51と蓋材60、70との間には、インナーフィン33が、半導体実装体51の積層方向に2段積層されている。すなわち、半導体実装体51の積層方向両端部に配置された半導体実装体51の放熱面521、531と蓋材60、70との間に、インナーフィン33が、半導体実装体51の積層方向に2段積層されている。
【0079】
ここで、2段積層されたインナーフィン33のうち、放熱面521、531に近い側に位置するインナーフィン33を第1インナーフィン33Cといい、放熱面521、531から遠い側に位置するインナーフィン33を第2インナーフィン33Dという。このため、半導体実装体51と蓋材60、70との間には、1つの第1インナーフィン33Cと、1つの第2インナーフィン33Dが設けられている。また、第1インナーフィン33Cのフィンピッチは、第2インナーフィン33Dのよりも粗くなっている。
【0080】
以上説明したように、放熱面521、531に隣接する外側インナーフィン33Aのフィンピッチを、放熱面521、531から遠い側に配置された内側インナーフィン33Bのフィンピッチより粗くすることで、外側インナーフィン33Aにより分割された外側細流路(図示せず)における熱媒体の通過抵抗が、内側インナーフィン33Bにより分割された内側細流路(図示せず)における熱媒体の通過抵抗よりも低くなる。これにより、外側細流路の熱媒体の流量が、内側細流路の熱媒体の流量よりも多くなる。すなわち、放熱面521、531に近い側の細流路に流入する熱媒体の流速を増加させることができるので、熱交換効率を向上させることが可能となる。
【0081】
さらに、本実施形態では、放熱面521、531に隣接する第1インナーフィン33Cのフィンピッチを、放熱面521、531から遠い側に配置された第2インナーフィン33Dのフィンピッチより粗くすることで、第1インナーフィン33Cにより分割された第1細流路(図示せず)における熱媒体の通過抵抗が、第2インナーフィン33Dにより分割された第2細流路(図示せず)における熱媒体の通過抵抗よりも低くなる。これにより、第1細流路の熱媒体の流量が、第2細流路の熱媒体の流量よりも多くなる。すなわち、放熱面521、531に近い側の細流路に流入する熱媒体の流速を増加させることができるので、熱交換効率をより向上させることが可能となる。
【0082】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。例えば、以下のように種々変形可能である。
【0083】
(1)上記第1〜第7実施形態では、熱交換対象物として電子部品2を採用した例について説明したが、熱交換対象物はこれに限定されない。例えば、流路管3の外表面に接合されるとともに、流路管3と流路管3外部を流れる外部流体(空気)との伝熱面積を増大させるアウターフィンを熱交換対象物として採用してもよい。
【0084】
(2)上記第1〜第7実施形態では、熱交換器として、流路管3をいわゆるドロンカップ構造とし、隣り合う流路管3のフランジ部300同士をろう付けにより接合することにより複数の流路管3を連通する連通部材4を形成した積層型熱交換器1を採用した例について説明したが、熱交換器はこれに限定されない。例えば、流路形成部材としての複数本のチューブ、この複数本のチューブの両端側に配置されてそれぞれのチューブを流通する熱媒体の集合あるいは分配を行う一対の集合分配用タンク等を有する、いわゆるタンクアンドチューブ型の熱交換器を、熱交換器として採用してもよい。
【0085】
(3)上記第1〜第7実施形態では、流路管3を複数設けた例について説明したが、これに限らず、流路管3は1つであってもよい。
【0086】
(4)上記第3実施形態では、インナーフィン33を4段積層して配置した例について説明したが、これに限らず、インナーフィン33を5段以上積層してしてもよい。
【0087】
(5)上記第8実施形態では、隣り合う半導体実装体51同士の間にインナーフィン33を3段積層して配置した例について説明したが、これに限らず、インナーフィン33を4段以上積層してしてもよい。また、上記第8実施形態では、半導体実装体51と蓋材60、70との間にインナーフィン33を2段積層した例にについて説明したが、これに限らず、インナーフィン33を3段以上積層してもよい。
【0088】
(6)上述の各実施形態は、可能な範囲で適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0089】
2 電子部品(熱交換対象物)
3 流路管(流路形成部材)
30 熱媒体流路
33 インナーフィン
33A 外側インナーフィン
33B 内側インナーフィン
331 板部
332 連結部
333 細流路
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路管内部を流通する熱媒体と、流路管外部に配置された熱交換対象物との間で熱交換を行う熱交換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の熱交換器において、熱交換性能を向上させるために、熱媒体が流通する流路管内に、熱媒体と流路管との伝熱面積を増大させて熱媒体と熱交換対象物との熱交換を促進するインナーフィンを設けたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−191527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本出願人は先に特願2010−98753号(以下、先願例という)にて、この種の熱交換器において、流路管内にインナーフィンを複数段積層配置したものを提案している。この先願例では、複数段積層された各インナーフィンの仕様(フィンピッチやフィン高さ等)は共通になっている。このため、熱交換性能のさらなる向上を図るための対策は採られておらず、改善の余地がある。
【0005】
本発明は上記点に鑑みて、熱媒体流路内にインナーフィンを複数段設けた熱交換器において、熱交換効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、流路形成部材(3)内には、熱媒体流路(30)を複数の細流路(333)に分割するとともに、熱媒体と熱交換対象物(2)との熱交換を促進するインナーフィン(33)が設けられており、インナーフィン(33)は、流路形成部材(3)と熱交換対象物(2)との配置方向に複数段積層されており、複数段のインナーフィン(33)のうち、熱交換対象物(2)に最も近い側に位置するインナーフィン(33A)における熱媒体の通過抵抗が、他のインナーフィン(33B)における熱媒体の通過抵抗よりも低いことを特徴としている。
【0007】
このように、複数段のインナーフィン(33)のうち、熱交換対象物(2)に最も近い側に位置するインナーフィン(33A)における熱媒体の通過抵抗を、他のインナーフィン(33B)における熱媒体の通過抵抗よりも低くすることで、熱交換対象物(2)に最も近い側に位置するインナーフィン(33A)により分割された細流路(333A)の熱媒体の流量が、他のインナーフィン(33B)により分割された細流路(333B)の熱媒体の流量よりも多くなる。これにより、熱交換対象物(2)に近い側の細流路(333A)に流入する熱媒体の流速を増加させることができるので、熱交換効率を向上させることが可能となる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の熱交換器において、インナーフィン(33)は、熱媒体の流れ方向に垂直な断面形状が、凸部を一方側と他方側に交互に位置させて曲折する波形状に形成されており、断面形状にて、一方側と他方側のうちの同一側で隣り合う凸部の中心同士の距離をフィンピッチ(FP)としたとき、複数段のインナーフィン(33)のうち、熱交換対象物(2)に最も近い側に位置するインナーフィン(33A)のフィンピッチ(FP)が、他のインナーフィン(33B)のフィンピッチ(FP)よりも粗いことを特徴としている。
【0009】
このように、複数段のインナーフィン(33)のうち、熱交換対象物(2)に最も近い側に位置するインナーフィン(33A)のフィンピッチ(FP)を、他のインナーフィン(33B)のフィンピッチ(FP)よりも粗くすることで、熱交換対象物(2)に最も近い側に位置するインナーフィン(33A)における熱媒体の通過抵抗を、他のインナーフィン(33B)における熱媒体の通過抵抗よりも低くすることができる。これにより、熱交換対象物(2)に近い側の細流路(333A)に流入する熱媒体の流量を増加させることができるので、熱交換効率を向上させることが可能となる。
【0010】
また、請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の熱交換器において、インナーフィン(33)は、熱媒体の流れ方向に垂直な断面形状が、凸部を一方側と他方側に交互に位置させて曲折する波形状に形成されており、インナーフィン(33)における配置方向の寸法をフィン高さ(FH)としたとき、複数段のインナーフィン(33)のうち、熱交換対象物(2)に最も近い側に位置するインナーフィン(33A)のフィン高さ(FH)が、他のインナーフィン(33B)のフィン高さ(FH)よりも高いことを特徴としている。
【0011】
このように、複数段のインナーフィン(33)のうち、熱交換対象物(2)に最も近い側に位置するインナーフィン(33A)のフィン高さ(FH)を、他のインナーフィン(33B)のフィン高さ(FH)よりも高くすることで、熱交換対象物(2)に最も近い側に位置するインナーフィン(33A)における熱媒体の通過抵抗を、他のインナーフィン(33B)における熱媒体の通過抵抗よりも低くすることができる。これにより、熱交換対象物(2)に近い側の細流路(333A)に流入する熱媒体の流量を増加させることができるので、熱交換効率を向上させることが可能となる。
【0012】
また、請求項4に記載の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の熱交換器において、インナーフィン(33)は、熱媒体の流れ方向に延びるとともに細流路(333)を分割する板部(331)と、隣り合う板部(331)間を繋ぐ連結部(332)とを有し、熱媒体の流れ方向に直交する断面形状が波状となるとともに、配置方向から見た際に板部(331)が熱媒体の流れ方向に波形状に屈折するウェーブフィンであり、インナーフィン(33)の、配置方向に直交し、かつ、細流路(333)における配置方向の中心部を通る断面における、板部(331)の波形状の振幅方向における寸法をウェーブ深さ(WD)としたとき、複数段のインナーフィン(33)のうち、熱交換対象物(2)に最も近い側に位置するインナーフィン(33A)のウェーブ深さ(WD)が、他のインナーフィン(33B)のウェーブ深さ(WD)よりも浅いことを特徴としている。
【0013】
このように、インナーフィン(33)をウェーブフィンとするとともに、複数段のインナーフィン(33)のうち、熱交換対象物(2)に最も近い側に位置するインナーフィン(33A)のウェーブ深さ(WD)を、他のインナーフィン(33B)のウェーブ深さ(WD)よりも浅くすることで、熱交換対象物(2)に最も近い側に位置するインナーフィン(33A)における熱媒体の通過抵抗を、他のインナーフィン(33B)における熱媒体の通過抵抗よりも低くすることができる。これにより、熱交換対象物(2)に近い側の細流路(333A)に流入する熱媒体の流量を増加させることができるので、熱交換効率を向上させることが可能となる。
【0014】
また、請求項5に記載の発明では、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の熱交換器において、インナーフィン(33)は、熱媒体の流れ方向に延びるとともに細流路(333)を分割する板部(331)と、隣り合う板部(331)間を繋ぐ連結部(332)とを有し、熱媒体の流れ方向に直交する断面形状が波状となるとともに、配置方向から見た際に板部(331)が熱媒体の流れ方向に波形状に屈折するウェーブフィンであり、インナーフィン(33)の、配置方向に直交し、かつ、細流路(333)における配置方向の中心部を通る断面における、板部(331)の波形状のピッチをウェーブピッチ(WP)としたとき、複数段のインナーフィン(33)のうち、熱交換対象物(2)に最も近い側に位置するインナーフィン(33A)のウェーブピッチ(WP)が、他のインナーフィン(33B)のウェーブピッチ(WP)よりも粗いことを特徴としている。
【0015】
このように、インナーフィン(33)をウェーブフィンとするとともに、熱交換対象物(2)に最も近い側に位置するインナーフィン(33A)のウェーブピッチ(WP)を、他のインナーフィン(33B)のウェーブピッチ(WP)よりも粗くすることで、熱交換対象物(2)に最も近い側に位置するインナーフィン(33A)における熱媒体の通過抵抗を、他のインナーフィン(33B)における熱媒体の通過抵抗よりも低くすることができる。これにより、熱交換対象物(2)に近い側の細流路(333A)に流入する熱媒体の流量を増加させることができるので、熱交換効率を向上させることが可能となる。
【0016】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施形態に係る積層型熱交換器1を示す正面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】第2実施形態における流路管3近傍を示す拡大断面図である。
【図4】第3実施形態における流路管3近傍を示す拡大断面図である。
【図5】第4実施形態における流路管3近傍を示す拡大断面図である。
【図6】第5実施形態におけるインナーフィン33を示す拡大断面図である。
【図7】第6実施形態における流路管3近傍を示す拡大断面図である。
【図8】第6実施形態におけるインナーフィン33を示す拡大断面図であり、(a)は外側インナーフィン33Aを示しており、(b)は内側インナーフィン33Bを示している。
【図9】第7実施形態におけるインナーフィン33を示す拡大断面図であり、(a)は外側インナーフィン33Aを示しており、(b)は内側インナーフィン33Bを示している。
【図10】第8実施形態に係る熱交換器を示す分解斜視図である。
【図11】第8実施形態に係る熱交換器を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0019】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について図1および図2に基づいて説明する。図1は、本第1実施形態に係る積層型熱交換器1を示す正面図である。
【0020】
図1に示すように、本実施形態の積層型熱交換器1は、熱交換対象物としての複数の電子部品2を両面から冷却するもので、熱媒体を流通させる熱媒体流路30(図2参照)を形成する流路形成部材としての複数の流路管3と、複数の流路管3を連通する連通部材4とを備えている。複数の流路管3は、扁平形状に形成されており、電子部品2を両面から挟持できるように複数個積層配置されている。
【0021】
本実施形態では、電子部品2として、IGBT等の半導体素子とダイオードとを内蔵した半導体モジュールを用いている。当該半導体モジュールは、自動車用インバータ、産業機器のモータ駆動インバータ、ビル空調用のエアコンインバータ等に用いるものとすることができる。なお、電子部品2としては、上記半導体モジュール以外にも、例えば、パワートランジスタ、パワーFET、IGBT等を用いることもできる。
【0022】
また、熱媒体としては、空気、水、油などの流体を用いている。より具体的には、例えば、この積層型熱交換器1を自動車に搭載した場合、熱媒体としては自動車の冷却水やオイル等を用いることができる。なお、本実施形態では、熱媒体として、エチレングリコール系の不凍液を混入させた水を用いている。
【0023】
図2は図1のA−A断面図である。図2に示すように、本実施形態の流路管3は、いわゆるドロンカップ構造となっている。すなわち、流路管3は、一対の外殻プレート31を有して構成されており、一対の外殻プレート31の間に熱媒体流路30が形成されている。流路管3内には、熱媒体流路30を複数の細流路333に分割し、熱媒体と電子部品2との熱交換を促進するインナーフィン33が設けられている。このインナーフィン33の詳細については後述する。
【0024】
図1に戻り、電子部品2は、流路管3の外部の一部に配置されている。具体的には、電子部品2は、流路管3の一対の外殻プレート31それぞれに対して2個ずつ設けられている。各外殻プレート31に設けられた2つの電子部品2は、それぞれ熱媒体の流れ方向に直列に配置されている。なお、本実施形態では、電子部品2は各外殻プレート31に2個設けられているが、電子部品2は1個であってもよいし、3個以上設けられていてもよい
また、流路管3の外殻プレート31における長手方向両端部には、外側、すなわち隣り合う他の流路管3側に突出する略円筒状のフランジ部300が形成されている。そして、隣り合う流路管3のフランジ部300同士をろう付けにより接合することにより、複数の流路管3を連通する連通部材4が形成されている。
【0025】
複数の流路管3のうち積層方向最外側に配置される流路管3を外側流路管3aとしたとき、2つの外側流路管3aのうち一方の外側流路管3aの長手方向両端部には、熱媒体を積層型熱交換器1に導入するための熱媒体導入口401と、熱媒体を積層型熱交換器1から排出するための熱媒体排出口402とがそれぞれ接続されている。熱媒体導入口401および熱媒体排出口402は、ろう付けにより一方の外側流路管3aに接合されている。なお、本実施形態の流路管3、連通部材4、熱媒体導入口401および熱媒体排出口402は、アルミニウム製である。
【0026】
熱媒体導入口401から導入された熱媒体は、連通部材4を通って長手方向における一方の端部から各流路管3に流入し、それぞれの熱媒体流路30内を他方の端部に向かって流れる。そして、熱媒体は、連通部材4を通って熱媒体排出口402から排出される。このように、熱媒体が熱媒体流路30を流通する間に、電子部品2との間で熱交換を行って、電子部品2を冷却するようになっている。
【0027】
図2に示すように、インナーフィン33は、熱媒体の流れ方向、すなわち流路管3の長手方向に垂直な断面形状が、凸部を一方側と他方側に交互に位置させて曲折する波形状に形成されている。具体的には、インナーフィン33は、流路管長手方向に延びるとともに細流路333を分割する板部331と、隣り合う板部331間を繋ぐ連結部332とを有し、流路管長手方向に直交する断面形状が台形波状に形成されたストレートフィンである。
【0028】
インナーフィン33は、1つの流路管3内に、流路管3と電子部品との配置方向、すなわち、流路管3の積層方向に3段積層されている。本実施形態では、各段のインナーフィン33は、別体として形成されている。
【0029】
ここで、3段のインナーフィン33のうち、電子部品2に最も近い側に位置するとともに外殻プレート31に隣接する2つのインナーフィン33を外側インナーフィン33Aといい、2つの外側インナーフィン33Aの間に配置された1つのインナーフィン33を内側インナーフィン33Bという。このため、1つの流路管3内には、2つの外側インナーフィン33Aと、1つの内側インナーフィン33Bが設けられている。
【0030】
また、インナーフィン33の流路管長手方向に直交する断面形状にて、一方側と他方側のうちの同一側で隣り合う凸部、すなわち連結部332の中心同士の距離をフィンピッチFPという。外側インナーフィン33AのフィンピッチFP1は、内側インナーフィン33BのフィンピッチFP2よりも粗くなっている。本実施形態では、外側インナーフィン33AのフィンピッチFP1は、内側インナーフィン33BのフィンピッチFP2の約2倍になっている。
【0031】
以上説明したように、外側インナーフィン33AのフィンピッチFP1を、内側インナーフィン33BのフィンピッチFP2よりも粗くすることで、外側インナーフィン33Aにより分割された細流路333(以下、外側細流路333Aという)における熱媒体の通過抵抗が、内側インナーフィン33Bにより分割された細流路333(以下、内側細流路333B)における熱媒体の通過抵抗よりも低くなる。これにより、外側細流路333Aの熱媒体の流量が、内側細流路333Bの熱媒体の流量よりも多くなる。すなわち、電子部品2に近い側の細流路333Aに流入する熱媒体の流速を増加させることができるので、熱交換効率を向上させることが可能となる。
【0032】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図3に基づいて説明する。本第2実施形態は、上記第1実施形態と比較して、インナーフィン33のフィン高さFHが異なるものである。図3は本第2実施形態における流路管3近傍を示す拡大断面図であり、第1実施形態の図2に対応する図面である。
【0033】
ここで、インナーフィン33における流路管3と電子部品2との配置方向、すなわち流路管積層方向の寸法をフィン高さFHとする。すなわち、フィン高さFHは、インナーフィン33の流路管長手方向に垂直な断面形状における一方側の凸部から他方側の凸部までの距離をいう。
【0034】
図3に示すように、本実施形態では、外側インナーフィン33Aのフィン高さFH1が、内側インナーフィン33Bのフィン高さFH2よりも高くなっている。本実施形態では、外側インナーフィン33Aのフィン高さFH1は、内側インナーフィン33Bのフィン高さFH2の1.75倍になっている。
【0035】
以上説明したように、外側インナーフィン33Aのフィン高さFH1を、内側インナーフィン33Bのフィン高さFH2よりも高くすることで、外側インナーフィン33Aにより分割された外側細流路333Aにおける熱媒体の通過抵抗が、内側インナーフィン33Bにより分割された内側細流路333Bにおける熱媒体の通過抵抗よりも低くなる。これにより、外側細流路333Aの熱媒体の流量が、内側細流路333Bの熱媒体の流量よりも多くなるので、上記第1実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
【0036】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図4に基づいて説明する。本第3実施形態は、上記第1実施形態と比較して、インナーフィン33の積層段数が異なるものである。図4は本第3実施形態における流路管3近傍を示す拡大断面図であり、第1実施形態の図2に対応する図面である。
【0037】
図4に示すように、本実施形態では、インナーフィン33は、1つの流路管3内に、流路管3と電子部品との配置方向、すなわち、流路管3の積層方向に4段積層されている。
【0038】
より詳細には、1つの流路管3内における電子部品2に最も近い側には、外側インナーフィン33Aが設けられている。外側インナーフィン33Aは、外殻プレート31のそれぞれに隣接するように1つずつ配置されている。したがって、1つの流路管3内には、2つの外側インナーフィン33Aが配置されている。また、2つの外側インナーフィン33Aの間には、2つの内側インナーフィン33Bが配置されている。
【0039】
上記第1実施形態と同様に、外側インナーフィン33AのフィンピッチFP1は、内側インナーフィン33BのフィンピッチFP2よりも粗くなっている。本実施形態では、外側インナーフィン33AのフィンピッチFP1は、内側インナーフィン33BのフィンピッチFP2の約2倍になっている。
【0040】
本実施形態によれば、外側インナーフィン33Aにより分割された外側細流路333Aにおける熱媒体の通過抵抗が、内側インナーフィン33Bにより分割された内側細流路333Bにおける熱媒体の通過抵抗よりも低くなる。これにより、外側細流路333Aの熱媒体の流量が、内側細流路333Bの熱媒体の流量よりも多くなるので、上記第1実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
【0041】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図5に基づいて説明する。本第4実施形態は、上記第1実施形態と比較して、電子部品2の配置およびインナーフィン33の積層段数が異なるものである。図5は本第4実施形態における流路管3近傍を示す拡大断面図であり、第1実施形態の図2に対応する図面である。
【0042】
図5に示すように、本実施形態では、電子部品2は、流路管3の一方の面にのみ接触するように配置されている。すなわち、1つの流路管3の一対の外殻プレート31のうち、一方の外殻プレート31にのみ電子部品2が接触している。
【0043】
インナーフィン33は、1つの流路管3内に、流路管3と電子部品との配置方向、すなわち、流路管3の積層方向に2段積層されている。ここで、2段積層されたインナーフィン33のうち、電子部品2に近い側に位置するインナーフィン33を第1インナーフィン33Cといい、電子部品2から遠い側に位置するインナーフィン33を第2インナーフィン33Dという。このため、1つの流路管3内には、1つの第1インナーフィン33Cと、1つの第2インナーフィン33Dが設けられている。
【0044】
また、第1インナーフィン33CのフィンピッチFP1は、第2インナーフィン33DのフィンピッチFP2よりも粗くなっている。本実施形態では、外側インナーフィン33AのフィンピッチFP1は、内側インナーフィン33BのフィンピッチFP2の約2倍になっている。
【0045】
本実施形態によれば、第1インナーフィン33Cにより分割された細流路333(以下、第1細流路333Cという)における熱媒体の通過抵抗が、第2インナーフィン33Dにより分割された細流路333(以下、第2細流路333D)における熱媒体の通過抵抗よりも低くなる。したがって、第1細流路333Cの熱媒体の流量が、第2細流路333Dの熱媒体の流量よりも多くなる。すなわち、電子部品2に近い側の第1細流路333Cに流入する熱媒体の流速が増加するため、熱交換効率を向上させることが可能となる。
【0046】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について図6に基づいて説明する。本第5実施形態は、上記第1実施形態と比較して、インナーフィン33の形成方法が異なるものである。図6は本第5実施形態におけるインナーフィン33を示す拡大断面図である。
【0047】
図6に示すように、本実施形態の3段のインナーフィン33は、1枚の金属板を、2箇所の折り返し部35を設けて折り返すことにより形成されている。具体的には、1枚の金属板を、2箇所の折り返し部35のうちの1箇所で流路管積層方向の一側に向かって折り返すとともに、2箇所の折り返し部35のうちの他の1箇所で流路管積層方向の他側に向かって折り返すことで、3段積層されたインナーフィン33が形成されている。
【0048】
本実施形態では、1枚の金属板を折り曲げることにより3段のインナーフィン33を形成しているので、上記第1実施形態と同様の効果を得つつ、部品点数を低減することが可能となる。
【0049】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について図7および図8に基づいて説明する。本第6実施形態は、上記第1実施形態と比較して、インナーフィン33としてウェーブフィンを用いた点が異なるものである。図7は本第6実施形態における流路管3近傍を示す拡大断面図であり、第1実施形態の図2に対応する図面である。
【0050】
図7に示すように、本実施形態のインナーフィン33は、流路管長手方向(熱媒体の流れ方向)に延びるとともに細流路333を分割する板部331と、隣り合う板部331間を繋ぐ連結部332とを有し、流路管長手方向に直交する断面形状が波状となるとともに、流路管積層方向(流路管3と電子部品2との配置方向)から見た際に板部331が熱媒体の流れ方向に波形状に屈折するウェーブフィンである。これにより、流路管3内に流路幅方向の熱媒体流れを形成することで熱媒体の混合を促進することができる。
【0051】
図8は、本第6実施形態におけるインナーフィン33の、流路管積層方向に直交し、かつ、細流路333における流路管積層方向の中心部を通る断面を示す拡大断面図である。また、図8(a)は外側インナーフィン33Aを示しており、図8(b)は内側インナーフィン33Bを示している。ここで、インナーフィン33の、流路管積層方向に直交し、かつ、細流路333における流路管積層方向の中心部を通る断面における、板部331の波形状のピッチをウェーブピッチWPとする。
【0052】
図8に示すように、外側インナーフィン33AのウェーブピッチWP1は、内側インナーフィン33BのウェーブピッチWP2より粗く形成されている。このため、外側インナーフィン33Aにより分割された外側細流路333Aを流通する熱媒体に生じる圧力損失が、内側インナーフィン33Bにより分割された内側細流路333Bを通過する熱媒体に生じる圧力損失より小さくなる。
【0053】
したがって、外側細流路333Aの熱媒体の流量が、内側細流路333Bの熱媒体の流量よりも多くなる。すなわち、電子部品2に近い側の外側細流路333Aに流入する熱媒体の流速が増加するため、熱交換効率を向上させることが可能となる。
【0054】
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態について図9に基づいて説明する。本第7実施形態は、上記第6実施形態と比較して、インナーフィン33のウェーブ深さWDが異なるものである。
【0055】
図9は、本第7実施形態におけるインナーフィン33の、流路管積層方向に直交し、かつ、細流路333における流路管積層方向の中心部を通る断面を示す拡大断面図である。また、図9(a)は外側インナーフィン33Aを示しており、図9(b)は内側インナーフィン33Bを示している。ここで、インナーフィン33の、流路管積層方向に直交し、かつ、細流路333における流路管積層方向の中心部を通る断面における、板部331の波形状の振幅方向における寸法をウェーブ深さWDとする。
【0056】
図9に示すように、外側インナーフィン33Aのウェーブ深さWD1は、内側インナーフィン33Bのウェーブ深さWD2より浅く形成されている。このため、外側細流路333Aを流通する熱媒体に生じる圧力損失が、内側細流路333Bを通過する熱媒体に生じる圧力損失より大きくなる。
【0057】
したがって、外側細流路333Aの熱媒体の流量が、内側細流路333Bの熱媒体の流量よりも多くなる。すなわち、電子部品2に近い側の外側細流路333Aに流入する熱媒体の流速が増加するため、熱交換効率を向上させることが可能となる。
【0058】
(第8実施形態)
次に、本発明の第8実施形態について図10および図11に基づいて説明する。本第8実施形態は、本発明の熱交換器を、熱交換対象物としての半導体素子に放熱用の金属体を接続したものを封止材により封止してなる半導体実装体を備え、当該金属体の放熱面を熱媒体で冷却するようにした熱交換器に適用したものである。
【0059】
図10は本第8実施形態に係る熱交換器を示す分解斜視図、図11は本第8実施形態に係る熱交換器を示す断面図である。図11に示すように、半導体実装体51は、半導体素子としての第1半導体チップ511および第2半導体チップ512と、金属体としての下側ヒートシンク520および上側ヒートシンク530と、これらの間に介在する導電性接合部材としての各はんだ541、542と、さらに、封止材としてのモールド樹脂550とを備えて構成されている。
【0060】
本実施形態の半導体実装体51では、第1半導体チップ511と第2半導体チップ12とが互いに並列に平面方向に配置されている。なお、図11では、半導体チップは2個設けられているが、半導体チップは1個であってもよいし、3個以上設けられていてもよい。
【0061】
それぞれの半導体チップ511、512の裏面(図11中の右面)と下側ヒートシンク520の上面との間は、第1はんだ541によって接合されている。また、それぞれの半導体チップ511、512の表面(図11中の左面)と上側ヒートシンク530の下面との間は、第2はんだ542によって接合されている。本実施形態において、これら各はんだ541、542としては、一般的に用いられている各種のはんだ、例えば、Sn−Pb系はんだや、Sn−Ag系はんだなどの鉛フリーはんだを採用することができる。
【0062】
これにより、上記した構成においては、第1半導体チップ511および第2半導体チップ512の表面では、第2はんだ542および上側ヒートシンク530を介して放熱が行われ、第1半導体チップ511および第2半導体チップ512の裏面では、第1はんだ541から下側ヒートシンク520を介して放熱が行われる。
【0063】
このように、下側ヒートシンク520および上側ヒートシンク530は、第1半導体チップ511および第2半導体チップ512と熱的に接続されこれら各半導体チップ511、512からの熱を伝達する金属体として構成されている。そして、下側ヒートシンク520においては、図11中の右面が放熱面521として構成され、上側ヒートシンク530においては、図11中の左面が放熱面531として構成されている。そして、各放熱面521、531は、モールド樹脂550から露出している。
【0064】
ここで、第1半導体チップ11としては、特に限定されるものではないが、例えばIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)やサイリスタ等のパワー半導体素子から構成することができる。また、同じく第2半導体チップ512は、たとえば、FWD(フリーホイールダイオード)等からなるものにできる。また、具体的には、上記第1半導体チップ511および第2半導体チップ512の形状は、たとえば矩形状の薄板状とすることができる。
【0065】
また、本実施形態の各半導体チップ511、512の表面および裏面には、図示しない電極が形成されている。そして、この電極は、各はんだ541、542と電気的に接続されている。
【0066】
このように、本実施形態においては、第1半導体チップ511および第2半導体チップ512の裏面側の電極は、下側ヒートシンク520に対して、第1はんだ541を介して電気的に接続され、第1半導体チップ511および第2半導体チップ512の表面側の電極は、第2はんだ542を介して上側ヒートシンク530に対して、電気的に接続されている。
【0067】
ここで、下側ヒートシンク520および上側ヒートシンク530は、例えば、銅合金もしくはアルミ合金等の熱伝導性および電気伝導性の良い金属で構成されている。また、下側ヒートシンク520および上側ヒートシンク530は、例えば、全体としてほぼ長方形状の板材とすることができる。
【0068】
本実施形態の熱交換器は、上記構成の半導体実装体51におけるヒートシンク520、530の放熱面521、531が熱媒体により冷却されるようになっている。したがって、ヒートシンク520、530の放熱面521、531が、本発明の熱交換対象物に相当している。
【0069】
図11に示されるように、本実施形態の熱交換器は、半導体実装体51におけるモールド樹脂550の一部が、熱媒体冷媒が流れる熱媒体流路30として構成されたものとなっている。モールド樹脂550は、半導体チップ511、512およびヒートシンク520、530を封止する封止部551と、この封止部551の周囲に設けられ先端部がヒートシンク520、530の放熱面521、531よりも突出する壁部552とから構成されている。本実施形態は、壁部552は、放熱面521、531を取り囲むように環状に設けられたものである。
【0070】
また、封止部551のうちヒートシンク520、530の放熱面521、531と壁部552との間の部位に、貫通穴553が設けられており、この貫通穴553が熱媒体流路30として構成されている。
【0071】
図10に示すように、本実施形態の熱交換器は、半導体実装体51が複数個連結されたものとして構成されている。具体的には、半導体実装体51が複数個(図示例では3個)積層されて連結されているとともに、それぞれの貫通穴553は、互いに連通している。
【0072】
積層体における一端側の半導体実装体51には、熱媒体の入口61および出口62を有する第1蓋材60が連結されており、これら入口61および出口62と貫通穴553とが連通している。また、積層体における他端側の半導体実装体51には、第2蓋材70が連結されており、貫通穴553が、この第2蓋材70により閉塞されている。こうして、入口61、出口62および貫通穴553が接続され、入口61から流入した熱媒体が貫通穴553を通って出口62から流出するようになっている。
【0073】
なお、壁部552の端面にて、個々の半導体実装体51の連結および半導体実装体51と蓋材60、70との連結が行われており、この壁部552における各々の連結は、図示しない接着剤を介した接着により行われている。また、蓋材60、70は、ともに、例えば、樹脂、金属、セラミックなどの材料から成形、プレス加工などにより作成することができる。
【0074】
ここで、積層された複数個の半導体実装体51において、互いの放熱面521、531が対向するように配置されており、この対向する放熱面521、531の間も熱媒体流路30として熱媒体が流れるようになっている。また、半導体実装体51の放熱面521、531と蓋材60、70との間にも、熱媒体流路30が形成されている。したがって、対向する放熱面521、531、モールド樹脂550および蓋材60、70が、本発明の流路形成部材に相当している。
【0075】
ヒートシンク520、530の放熱面521、531の表面には、隣り合う半導体実装体51の間、および半導体実装体51と蓋材60、70との間に形成された熱媒体流路30を複数の細流路に分割するとともに、熱媒体とヒートシンク520、530の放熱面521、531との熱交換を促進するインナーフィン33が設けられている。本実施形態では、インナーフィン33としてストレートフィンを用いている。
【0076】
より詳細には、隣り合う半導体実装体51同士の間には、インナーフィン33が、半導体実装体51の積層方向に3段積層されている。すなわち、隣り合う半導体実装体51の互いに対向する放熱面521、531間に、インナーフィン33が、半導体実装体51の積層方向に3段積層されている。
【0077】
ここで、3段のインナーフィン33のうち、放熱面521、523に最も近い側に位置するとともに放熱面521、531に隣接する2つのインナーフィン33を外側インナーフィン33Aといい、2つの外側インナーフィン33Aの間に配置された1つのインナーフィン33を内側インナーフィン33Bという。このため、隣り合う半導体実装体51同士の間には、2つの外側インナーフィン33Aと、1つの内側インナーフィン33Bが設けられている。また、外側インナーフィン33Aのフィンピッチは、内側インナーフィン33Bのフィンピッチよりも粗くなっている。
【0078】
また、半導体実装体51と蓋材60、70との間には、インナーフィン33が、半導体実装体51の積層方向に2段積層されている。すなわち、半導体実装体51の積層方向両端部に配置された半導体実装体51の放熱面521、531と蓋材60、70との間に、インナーフィン33が、半導体実装体51の積層方向に2段積層されている。
【0079】
ここで、2段積層されたインナーフィン33のうち、放熱面521、531に近い側に位置するインナーフィン33を第1インナーフィン33Cといい、放熱面521、531から遠い側に位置するインナーフィン33を第2インナーフィン33Dという。このため、半導体実装体51と蓋材60、70との間には、1つの第1インナーフィン33Cと、1つの第2インナーフィン33Dが設けられている。また、第1インナーフィン33Cのフィンピッチは、第2インナーフィン33Dのよりも粗くなっている。
【0080】
以上説明したように、放熱面521、531に隣接する外側インナーフィン33Aのフィンピッチを、放熱面521、531から遠い側に配置された内側インナーフィン33Bのフィンピッチより粗くすることで、外側インナーフィン33Aにより分割された外側細流路(図示せず)における熱媒体の通過抵抗が、内側インナーフィン33Bにより分割された内側細流路(図示せず)における熱媒体の通過抵抗よりも低くなる。これにより、外側細流路の熱媒体の流量が、内側細流路の熱媒体の流量よりも多くなる。すなわち、放熱面521、531に近い側の細流路に流入する熱媒体の流速を増加させることができるので、熱交換効率を向上させることが可能となる。
【0081】
さらに、本実施形態では、放熱面521、531に隣接する第1インナーフィン33Cのフィンピッチを、放熱面521、531から遠い側に配置された第2インナーフィン33Dのフィンピッチより粗くすることで、第1インナーフィン33Cにより分割された第1細流路(図示せず)における熱媒体の通過抵抗が、第2インナーフィン33Dにより分割された第2細流路(図示せず)における熱媒体の通過抵抗よりも低くなる。これにより、第1細流路の熱媒体の流量が、第2細流路の熱媒体の流量よりも多くなる。すなわち、放熱面521、531に近い側の細流路に流入する熱媒体の流速を増加させることができるので、熱交換効率をより向上させることが可能となる。
【0082】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。例えば、以下のように種々変形可能である。
【0083】
(1)上記第1〜第7実施形態では、熱交換対象物として電子部品2を採用した例について説明したが、熱交換対象物はこれに限定されない。例えば、流路管3の外表面に接合されるとともに、流路管3と流路管3外部を流れる外部流体(空気)との伝熱面積を増大させるアウターフィンを熱交換対象物として採用してもよい。
【0084】
(2)上記第1〜第7実施形態では、熱交換器として、流路管3をいわゆるドロンカップ構造とし、隣り合う流路管3のフランジ部300同士をろう付けにより接合することにより複数の流路管3を連通する連通部材4を形成した積層型熱交換器1を採用した例について説明したが、熱交換器はこれに限定されない。例えば、流路形成部材としての複数本のチューブ、この複数本のチューブの両端側に配置されてそれぞれのチューブを流通する熱媒体の集合あるいは分配を行う一対の集合分配用タンク等を有する、いわゆるタンクアンドチューブ型の熱交換器を、熱交換器として採用してもよい。
【0085】
(3)上記第1〜第7実施形態では、流路管3を複数設けた例について説明したが、これに限らず、流路管3は1つであってもよい。
【0086】
(4)上記第3実施形態では、インナーフィン33を4段積層して配置した例について説明したが、これに限らず、インナーフィン33を5段以上積層してしてもよい。
【0087】
(5)上記第8実施形態では、隣り合う半導体実装体51同士の間にインナーフィン33を3段積層して配置した例について説明したが、これに限らず、インナーフィン33を4段以上積層してしてもよい。また、上記第8実施形態では、半導体実装体51と蓋材60、70との間にインナーフィン33を2段積層した例にについて説明したが、これに限らず、インナーフィン33を3段以上積層してもよい。
【0088】
(6)上述の各実施形態は、可能な範囲で適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0089】
2 電子部品(熱交換対象物)
3 流路管(流路形成部材)
30 熱媒体流路
33 インナーフィン
33A 外側インナーフィン
33B 内側インナーフィン
331 板部
332 連結部
333 細流路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱媒体が流通する熱媒体流路(30)を内部に有する流路形成部材(3)を備え、
前記熱媒体と、前記熱媒体流路(30)の外部または内部に配置された熱交換対象物(2)との間で熱交換を行う熱交換器であって、
前記流路形成部材(3)内には、前記熱媒体流路(30)を複数の細流路(333)に分割するとともに、前記熱媒体と前記熱交換対象物(2)との熱交換を促進するインナーフィン(33)が設けられており、
前記インナーフィン(33)は、前記流路形成部材(3)と前記熱交換対象物(2)との配置方向に複数段積層されており、
複数段の前記インナーフィン(33)のうち、前記熱交換対象物(2)に最も近い側に位置する前記インナーフィン(33A)における前記熱媒体の通過抵抗が、他の前記インナーフィン(33B)における前記熱媒体の通過抵抗よりも低いことを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記インナーフィン(33)は、前記熱媒体の流れ方向に垂直な断面形状が、凸部を一方側と他方側に交互に位置させて曲折する波形状に形成されており、
前記断面形状にて、前記一方側と前記他方側のうちの同一側で隣り合う前記凸部の中心同士の距離をフィンピッチ(FP)としたとき、
前記複数段のインナーフィン(33)のうち、前記熱交換対象物(2)に最も近い側に位置する前記インナーフィン(33A)の前記フィンピッチ(FP)が、前記他のインナーフィン(33B)の前記フィンピッチ(FP)よりも粗いことを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記インナーフィン(33)は、前記熱媒体の流れ方向に垂直な断面形状が、凸部を一方側と他方側に交互に位置させて曲折する波形状に形成されており、
前記インナーフィン(33)における前記配置方向の寸法をフィン高さ(FH)としたとき、
前記複数段のインナーフィン(33)のうち、前記熱交換対象物(2)に最も近い側に位置する前記インナーフィン(33A)の前記フィン高さ(FH)が、前記他のインナーフィン(33B)の前記フィン高さ(FH)よりも高いことを特徴とする請求項1または2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記インナーフィン(33)は、前記熱媒体の流れ方向に延びるとともに前記細流路(333)を分割する板部(331)と、隣り合う前記板部(331)間を繋ぐ連結部(332)とを有し、前記熱媒体の流れ方向に直交する断面形状が波状となるとともに、前記配置方向から見た際に前記板部(331)が前記熱媒体の流れ方向に波形状に屈折するウェーブフィンであり、
前記インナーフィン(33)の、前記配置方向に直交し、かつ、前記細流路(333)における前記配置方向の中心部を通る断面における、前記板部(331)の前記波形状の振幅方向における寸法をウェーブ深さ(WD)としたとき、
前記複数段のインナーフィン(33)のうち、前記熱交換対象物(2)に最も近い側に位置する前記インナーフィン(33A)の前記ウェーブ深さ(WD)が、前記他のインナーフィン(33B)の前記ウェーブ深さ(WD)よりも浅いことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の熱交換器。
【請求項5】
前記インナーフィン(33)は、前記熱媒体の流れ方向に延びるとともに前記細流路(333)を分割する板部(331)と、隣り合う前記板部(331)間を繋ぐ連結部(332)とを有し、前記熱媒体の流れ方向に直交する断面形状が波状となるとともに、前記配置方向から見た際に前記板部(331)が前記熱媒体の流れ方向に波形状に屈折するウェーブフィンであり、
前記インナーフィン(33)の、前記配置方向に直交し、かつ、前記細流路(333)における前記配置方向の中心部を通る断面における、前記板部(331)の前記波形状のピッチをウェーブピッチ(WP)としたとき、
前記複数段のインナーフィン(33)のうち、前記熱交換対象物(2)に最も近い側に位置する前記インナーフィン(33A)の前記ウェーブピッチ(WP)が、前記他のインナーフィン(33B)の前記ウェーブピッチ(WP)よりも粗いことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の熱交換器。
【請求項1】
熱媒体が流通する熱媒体流路(30)を内部に有する流路形成部材(3)を備え、
前記熱媒体と、前記熱媒体流路(30)の外部または内部に配置された熱交換対象物(2)との間で熱交換を行う熱交換器であって、
前記流路形成部材(3)内には、前記熱媒体流路(30)を複数の細流路(333)に分割するとともに、前記熱媒体と前記熱交換対象物(2)との熱交換を促進するインナーフィン(33)が設けられており、
前記インナーフィン(33)は、前記流路形成部材(3)と前記熱交換対象物(2)との配置方向に複数段積層されており、
複数段の前記インナーフィン(33)のうち、前記熱交換対象物(2)に最も近い側に位置する前記インナーフィン(33A)における前記熱媒体の通過抵抗が、他の前記インナーフィン(33B)における前記熱媒体の通過抵抗よりも低いことを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記インナーフィン(33)は、前記熱媒体の流れ方向に垂直な断面形状が、凸部を一方側と他方側に交互に位置させて曲折する波形状に形成されており、
前記断面形状にて、前記一方側と前記他方側のうちの同一側で隣り合う前記凸部の中心同士の距離をフィンピッチ(FP)としたとき、
前記複数段のインナーフィン(33)のうち、前記熱交換対象物(2)に最も近い側に位置する前記インナーフィン(33A)の前記フィンピッチ(FP)が、前記他のインナーフィン(33B)の前記フィンピッチ(FP)よりも粗いことを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記インナーフィン(33)は、前記熱媒体の流れ方向に垂直な断面形状が、凸部を一方側と他方側に交互に位置させて曲折する波形状に形成されており、
前記インナーフィン(33)における前記配置方向の寸法をフィン高さ(FH)としたとき、
前記複数段のインナーフィン(33)のうち、前記熱交換対象物(2)に最も近い側に位置する前記インナーフィン(33A)の前記フィン高さ(FH)が、前記他のインナーフィン(33B)の前記フィン高さ(FH)よりも高いことを特徴とする請求項1または2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記インナーフィン(33)は、前記熱媒体の流れ方向に延びるとともに前記細流路(333)を分割する板部(331)と、隣り合う前記板部(331)間を繋ぐ連結部(332)とを有し、前記熱媒体の流れ方向に直交する断面形状が波状となるとともに、前記配置方向から見た際に前記板部(331)が前記熱媒体の流れ方向に波形状に屈折するウェーブフィンであり、
前記インナーフィン(33)の、前記配置方向に直交し、かつ、前記細流路(333)における前記配置方向の中心部を通る断面における、前記板部(331)の前記波形状の振幅方向における寸法をウェーブ深さ(WD)としたとき、
前記複数段のインナーフィン(33)のうち、前記熱交換対象物(2)に最も近い側に位置する前記インナーフィン(33A)の前記ウェーブ深さ(WD)が、前記他のインナーフィン(33B)の前記ウェーブ深さ(WD)よりも浅いことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の熱交換器。
【請求項5】
前記インナーフィン(33)は、前記熱媒体の流れ方向に延びるとともに前記細流路(333)を分割する板部(331)と、隣り合う前記板部(331)間を繋ぐ連結部(332)とを有し、前記熱媒体の流れ方向に直交する断面形状が波状となるとともに、前記配置方向から見た際に前記板部(331)が前記熱媒体の流れ方向に波形状に屈折するウェーブフィンであり、
前記インナーフィン(33)の、前記配置方向に直交し、かつ、前記細流路(333)における前記配置方向の中心部を通る断面における、前記板部(331)の前記波形状のピッチをウェーブピッチ(WP)としたとき、
前記複数段のインナーフィン(33)のうち、前記熱交換対象物(2)に最も近い側に位置する前記インナーフィン(33A)の前記ウェーブピッチ(WP)が、前記他のインナーフィン(33B)の前記ウェーブピッチ(WP)よりも粗いことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の熱交換器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−169430(P2012−169430A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−28683(P2011−28683)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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