説明

熱交換装置

【課題】蒸発器の凝縮水を適切に利用して凝縮器の凝縮能力を効果的に向上することができる熱交換装置を提供する。
【解決手段】熱交換装置(2)は、冷媒を加熱する蒸発器(10)、蒸発器を経由した冷媒を凝縮させる凝縮器(16)を有する冷媒回路(4)と、蒸発器における熱交換に伴い蒸発器から滴下する凝縮水を回収、循環させて凝縮器を流れる冷媒と熱交換させる水回路(6)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換装置に係り、詳しくは、車両用空調装置として用いて好適な熱交換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の熱交換装置は、例えば車両に搭載される空調装置として利用され、冷媒を加熱する蒸発器、該蒸発器を経由した冷媒を凝縮させる凝縮器を有する冷媒回路を備えている。
そして、特許文献1には、蒸発器における熱交換に伴い蒸発器から滴下する凝縮水を凝縮器の表面に直接に噴射し、凝縮器の凝縮能力を補助する散水装置を備えた熱交換装置が開示されている。
【特許文献1】特開2002−372385号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来技術では、凝縮器の表面に噴射された凝縮水を回収することができないため、外気温が高い場合などには凝縮水量が不足して凝縮器の凝縮能力を継続的かつ充分に確保することができないとの問題がある。
また、凝縮器の表面に凝縮水を噴射した後に凝縮器の表面の水分に塵埃が付着し、凝縮器が汚れ、凝縮器の凝縮能力が低下するおそれがある。
【0004】
更に、凝縮器の表面に凝縮水を噴射する際に、車両のエンジンルーム内に水分が飛散し、エンジンルーム内の他の部品に悪影響を及ぼすおそれがある。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、蒸発器の凝縮水を適切に利用して凝縮器の凝縮能力を効果的に向上することができる熱交換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するべく、請求項1記載の熱交換装置は、冷媒を加熱する蒸発器、蒸発器を経由した冷媒を凝縮させる凝縮器を有する冷媒回路と、蒸発器における熱交換に伴い蒸発器から滴下する凝縮水を回収、循環させて凝縮器を流れる冷媒と熱交換させる水回路とを備えることを特徴としている。
また、請求項2記載の発明では、請求項1において、凝縮器は、冷媒回路を循環する冷媒が通液される冷媒通路と、水回路を循環する凝縮水が通液される水通路とを有し、冷媒通路及び水通路はチューブに一体に形成されてなることを特徴としている。
【0006】
更に、請求項3記載の発明では、請求項2において、水回路は、蒸発器から滴下する凝縮水を一旦貯蔵するタンクと、タンクに貯蔵された凝縮水を水通路へ圧送するポンプとを有し、凝縮器における熱負荷に応じてポンプを駆動する制御手段を具備することを特徴としている。
更にまた、請求項4記載の発明では、請求項2または3において、凝縮器は、チューブが複数積層されてなり、水回路は、複数の水通路の入口に凝縮水を拡散させて水通路に流入させるノズルを有することを特徴としている。
【0007】
また、請求項5記載の発明では、請求項2乃至4の何れかにおいて、水回路は、水通路の出口に、水通路内の凝縮水を所定圧力以下に維持しつつ水通路の外部に排水する真空ポンプを有することを特徴としている。
更に、請求項6記載の発明では、請求項5において、冷媒回路は、蒸発器を経由した冷媒を圧縮し凝縮器に向けて吐出する圧縮機と、蒸発器を経由後に圧縮機に至るまでの冷媒を真空ポンプから排水された凝縮水と熱交換させる熱交換器とを有することを特徴としている。
【0008】
更にまた、請求項7記載の発明では、請求項1乃至6の何れかにおいて、水回路は、フィルタを有することを特徴としている。
また、請求項8記載の発明では、請求項3乃至7の何れかにおいて、タンクは、タンク内に貯蔵される凝縮水が所定液位以上になるとき、凝縮水をタンクの外部に排出するフロート弁を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の本発明の熱交換装置によれば、蒸発器における熱交換に伴い蒸発器から滴下する凝縮水を回収、循環させて凝縮器を流れる冷媒と熱交換させる水回路を備える。これにより、凝縮器の熱負荷が大きいときには、凝縮器にて冷媒の凝縮に供した凝縮水を回収して再利用することができるため、凝縮器の凝縮能力を継続的かつ充分に確保することができる。
【0010】
また、請求項2記載の発明によれば、凝縮器は、冷媒回路を循環する冷媒が通液される冷媒通路と、水回路を循環する凝縮水が通液される水通路とを有し、冷媒通路及び水通路はチューブに一体に形成されてなる。これにより、凝縮器において凝縮水と冷媒とを熱交換させる際に、凝縮器やその冷媒通路の表面の水分に塵埃が付着することを防止することができる。従って、凝縮器の汚れ、ひいては汚れの付着による凝縮器の凝縮能力の低下を防止することができるため、凝縮器の凝縮能力を更に確実に確保することができるとともに、凝縮器の耐久性やメンテナンス性をも向上することができる。
【0011】
しかも、凝縮器周辺の熱交換装置を構成する他の機器や部品に凝縮水が飛散することを防止することができるため、凝縮器のみならず熱交換装置全体の耐久性やメンテナンス性を向上することができる。
更に、請求項3記載の発明によれば、水回路は、蒸発器から滴下する凝縮水を一旦貯蔵するタンクと、タンクに貯蔵された凝縮水を水通路へ圧送するポンプとを有し、凝縮器における熱負荷に応じてポンプを駆動する制御手段を具備する。これにより、凝縮器における熱負荷に応じてタンクに貯蔵した凝縮水を凝縮器に適宜供給することができるため、凝縮器の凝縮能力をより一層確実に確保することができる。
【0012】
更にまた、請求項4記載の発明によれば、凝縮器は、チューブが複数積層されてなり、水回路は、複数の水通路の入口に凝縮水を拡散させて水通路に流入させるノズルを有する。これにより、各チューブの各水通路に万遍なく凝縮水を流入させることができ、凝縮器全体において凝縮水が冷媒から蒸発潜熱を効率的に奪うことができるため、凝縮器の凝縮能力を向上することができる。
【0013】
また、請求項5記載の発明によれば、水回路は、水通路の出口部に、水通路内の凝縮水を所定圧力以下に維持しつつ水通路の外部に排水する真空ポンプを有する。これにより、水通路内を凝縮水が蒸発する圧力にすることができるため、蒸発した凝縮水、即ち蒸気によって冷媒からの蒸発潜熱を効率的に奪うことができるため、凝縮器の凝縮能力を更に向上することができる。
【0014】
更に、請求項6記載の発明によれば、冷媒回路は、蒸発器を経由した冷媒を圧縮し凝縮器に向けて吐出する圧縮機と、蒸発器を経由後に圧縮機に至るまでの冷媒を真空ポンプから排水された凝縮水と熱交換させる熱交換器とを有する。これにより、蒸発器を経由後に圧縮機に至るまでの低温低圧冷媒によって、真空ポンプから排水される気液混合状態の凝縮水を確実に液相にしてからタンクに戻すことができるため、水回路における凝縮水の循環効率が向上し、ひいては凝縮器の凝縮能力を更に向上することができる。
【0015】
更にまた、請求項7記載の発明によれば、水回路は、フィルタを有することにより、水回路を循環する凝縮水の汚れを除去することができるため、凝縮器の凝縮能力及び耐久性並びにメンテナンス性を更に向上することができる。
また、請求項8記載の発明によれば、タンクは、タンク内に貯蔵される凝縮水が所定液位以上になるとき、凝縮水をタンクの外部に排出するフロート弁を有する。これにより、タンク内の余分な凝縮水はオーバーフローさせて排出することができ、タンクには凝縮器の凝縮能力、ひいては熱交換装置の熱交換能力に合致した凝縮水量が常時確保されるため、凝縮器の凝縮能力をより一層確実に確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面により本発明の一実施形態について説明する。
図1は本発明の熱交換装置の一例を模式的に示しており、この熱交換装置2は例えば車両用空調装置として用いられ、冷媒回路4と水回路6とから構成されている。
冷媒回路4は、冷媒が循環する冷媒循環路8に、冷媒の流れ方向から順に蒸発器10、内部熱交換器(熱交換器)12、圧縮機14、凝縮器16、膨張弁18が介挿されて閉回路をなしている。
【0017】
蒸発器10は、車両の車室内の空気と蒸発器10の冷媒通路10aを流れる冷媒とを熱交換させる熱交換器であって、車室内の空気を熱源として冷媒を加熱して蒸発させることにより、冷媒回路4側に車室内の空気の熱を回収し、車室内を所望の空調温度に調整している。
内部熱交換器12は、蒸発器10を経由後に圧縮機14に至るまでの低温低圧冷媒を水回路6を循環する凝縮水、詳しくは後で詳述する真空ポンプ30から排水される気液混合状態の凝縮水と熱交換させている。
【0018】
圧縮機14は、内部熱交換器12を経由した冷媒を圧縮して過熱蒸気の状態としている。
凝縮器16は、圧縮機14から吐出される冷媒を凝縮液化する熱交換器であって、凝縮器16内の冷媒通路16aに外気を送風するためのファン17を備えている。
ファン17による送風によって外気の熱で凝縮された液冷媒は、内部熱交換器12を経て膨張弁18に送出され、膨張弁18を経由して膨張、減圧された後に蒸発器10に向けて送出される。
【0019】
このように構成される冷媒回路4では、蒸発器10における熱交換に伴い、蒸発器10の冷媒通路10aの表面に車室内の空気に含まれる水分が凝縮した凝縮水が付着し、蒸発器10の下方に滴下する。水回路6は、この凝縮水を回収して循環させ、凝縮器16、即ち冷媒通路16aを流れる冷媒の凝縮液化に利用している。
詳しくは、水回路6は、凝縮水が循環する水循環路20に、凝縮水の流れ方向から順にタンク22、ポンプ24、フィルタ26、ノズル28、凝縮器16内に設けられる水通路16b、真空ポンプ30、内部熱交換器12が介挿されて閉回路をなしている。
【0020】
タンク22には、水循環路20の他、蒸発器10から延びる凝縮水の回収路32が接続され、蒸発器10から滴下する凝縮水は回収路32を介してタンク22に一旦貯蔵され、そこからタンク22に装着されたポンプ24にて水通路16b側へ圧送される。
ポンプ24は、車両や熱交換装置2を総合的に制御する図示しない電子制御装置(制御手段)に電気的に接続され、水通路16bを流れる凝縮水の温度および/または凝縮器16の周囲の温度および/または凝縮器16内における冷媒の凝縮圧力、即ち凝縮器16の熱負荷に応じて駆動され、凝縮器16における熱負荷に応じた量の凝縮水をタンク22から水通路16b側に供給する。尚、車室内の空調を含めた環境や車両の運転状況などに応じ、車室内の快適性や車両の省燃費制御などと同調させてポンプ24を駆動しても良い。
【0021】
図2のタンク22の要部拡大図に示されるように、タンク22内の上部には、タンク22内まで延びる回収路32の下端開口部32aにフロート弁34が設けられ、このフロート弁34は通常は開弁され、回収路32を流れる凝縮水は下端開口部32aからタンク22内に流入する。
一方、タンク22に貯蔵される凝縮水が所定液位を超えると、フロート弁34が凝縮水の浮力により閉弁し、下端開口部32aを閉塞する。回収路32には排水路36が接続されており、回収路32を流れる凝縮水は、フロート弁34の閉弁によってタンク22内に流入することなく排水路36を流れてタンク22の外部へ排出される。
【0022】
フィルタ26は、水循環路20を循環する凝縮水の汚れを水通路16bの上流側にて除去している。
ノズル28は、水通路16bの入口近傍にて水循環路20の流路を狭めている。
真空ポンプ30は、その圧送能力を可変に構成された例えばダイアフラム式のポンプであって、水通路16bを流れる凝縮水をタンク22に向けて圧送する。
【0023】
ここで、図3の凝縮器16の斜視図に示されるように、水通路16bは凝縮器16内で冷媒通路16aと一体化されたチューブ38内に形成され、凝縮器16は、このチューブ38の他、フィン40、分配部材42A,42Bから構成されている。
チューブ38は、その両端、即ち冷媒通路16a及び水通路16bの出入り口が開口した平板状をなして複数設けられ、フィン40を介して積層されている。
【0024】
フィン40は、波板状に形成され、積層されるチューブ38間にてこれらチューブ38に当接されるとともに、チューブ38に沿って設けられている。また、各フィン40は各チューブ38とともに分配部材42A,42Bに例えばロー付け固定されている。
ここで、フィン40を設けることにより、冷媒は凝縮水との熱交換に加え、ファン17による送風によっても効果的に冷却されるが、冷媒の蒸発潜熱はフィン40自体をも冷却するため、ファン17による送風がフィン40により冷却され、冷媒の凝縮液化を促進する。
【0025】
分配部材42A,42Bは、有底有蓋のパイプ状に形成され、各分配部材42A,42B内には各チューブ38の両端開口がそれぞれ位置づけられている。
詳しくは、図4の図3、A−A方向からみた凝縮器16の要部断面図に示されるように、チューブ38は、冷媒通路16aと水通路16bとが隔壁16cにより仕切られて構成されている。
【0026】
また、図5の図4、B−B方向からみたチューブ38の断面図にも示されるように、冷媒通路16aは複数の小通路16dに分割されている。
一方、各分配部材42A,42B内の長手方向には、冷媒通路16aが開口される空間Saと水通路16bが開口される空間Sbとを各チューブ38の隔壁16cの位置にて仕切る仕切り部材44A,44Bがそれぞれ延設され、各仕切り部材44A,44Bの一部は各チューブ38の隔壁16cの位置に差し込み固定されている。
【0027】
また、分配部材42Aには、冷媒循環路8及び水循環路20が接続部材46Aを介して接続される。即ち、冷媒及び凝縮水は、接続部材46Aを介して分配部材42Aの各空間Sa,Sbにそれぞれ流入し、各チューブの38の通路16a,16bにそれぞれ分配して流入される。この際、凝縮水はノズル28を介して空間Sbに流入されることにより、各チューブ38の各水通路16bに拡散されて流入される。
【0028】
一方、分配部材42Bには、冷媒循環路8及び水循環路20が接続部材46Bを介して接続されている。即ち、冷媒及び凝縮水は、通路16a,16bを経てそれぞれ分配部材42Bの各空間Sa,Sbに分配されて流入され、接続部材46Bを介してそれぞれ冷媒循環路8及び水循環路20に流出される。
このようにして構成される凝縮器16では、図3中では凝縮器16の右上部分から流入された冷媒及び凝縮水が右側から左側に向けて熱交換しながら並行して流れ、この際に凝縮水が冷媒からの蒸発潜熱を奪って冷媒を冷却した後に、凝縮器16の左下部分から凝縮器16の外部へ流出される。
【0029】
ここで、真空ポンプ30は水通路16bを流れる凝縮水の温度、即ち凝縮器16の熱負荷に応じて水通路16b内の空気静圧を凝縮水が蒸発される圧力に減圧している。
具体的には、凝縮水の温度が30℃〜40℃と仮定すると、水の蒸気圧曲線によれば、水通路16b内が0.5bar以下になるように真空ポンプ30を駆動することにより、凝縮水は水通路16b内において蒸発される。そして、真空ポンプ30から排出された気液混合状態の凝縮水は、内部熱交換器12にて蒸発器10を経由後に圧縮機14に至るまでの低温低圧冷媒によって液相にされた後、タンク22に戻される。
【0030】
以上のように、本実施形態では、水回路6を備えることにより、凝縮器16の熱負荷が大きいときには、凝縮器16にて冷媒の凝縮に供した凝縮水を回収して再利用することができるため、凝縮器16の凝縮能力を継続的かつ充分に確保することができる。
また、冷媒通路16a及び水通路16bをチューブ38に一体に形成することにより、凝縮器16において凝縮水と冷媒とを熱交換させる際に、凝縮器16やその冷媒通路16aの表面の水分に塵埃が付着することを防止することができる。従って、凝縮器16の汚れ、ひいては汚れの付着による凝縮器16の凝縮能力の低下を防止することができるため、凝縮器16の凝縮能力を更に確実に確保することができるとともに、凝縮器16の耐久性やメンテナンス性をも向上することができる。
【0031】
しかも、凝縮器16周辺の熱交換装置2を構成する他の機器や部品、ひいては車両のエンジンルーム内に凝縮水が飛散することを防止することができるため、凝縮器16のみならず熱交換装置2全体、ひいては車両全体の耐久性やメンテナンス性を向上することができる。
更に、凝縮器16における熱負荷に応じてタンク22に貯蔵した凝縮水を凝縮器16に適宜供給することにより、凝縮器16の凝縮能力をより一層確実に確保することができる。
【0032】
更にまた、水回路6がノズル28を有することにより、各チューブ38の各水通路16bに万遍なく凝縮水を流入させることができ、凝縮器16全体において、凝縮水が冷媒から蒸発潜熱を効率的に奪うことができるため、凝縮器16の凝縮能力を向上することができる。
また、水回路6が真空ポンプ30を有することにより、凝縮水温度が30℃〜40℃と仮定すると、水通路16b内を例えば0.5bar程度の圧力にし、水通路16b内の凝縮水を蒸発させて冷媒から蒸発潜熱を効率的に奪うことができるため、凝縮器16の凝縮能力を更に向上することができる。
【0033】
更に、内部熱交換器12にて蒸発器10を経由後に圧縮機14に至るまでの冷媒を真空ポンプから排水された凝縮水と熱交換させることにより、蒸発器10を経由後に圧縮機14に至るまでの低温低圧冷媒によって、真空ポンプ30から排水される気液混合状態の凝縮水を確実に液相にしてからタンク22に戻すことができるため、水回路6における凝縮水の循環効率が向上し、ひいては凝縮器16の凝縮能力を更に向上することができる。
【0034】
更にまた、水回路6がフィルタ26を有することにより、水回路16bを循環する凝縮水の汚れを除去することができるため、凝縮器16の凝縮能力、耐久性及びメンテナンス性を更に向上することができる。
また、タンク22がフロート弁34を有することにより、タンク22内の余分な凝縮水はオーバーフローさせて排出することができ、タンク22には凝縮器16の凝縮能力、ひいては熱交換装置2の熱交換能力に合致した凝縮水量が常時確保されるため、凝縮器16の凝縮能力をより一層確実に確保することができる。
【0035】
更に、本実施形態の凝縮器16は、従来の凝縮器の分配部材及び接続部材のみを変更することで実現でき、経済性にも優れる。更にまた、本実施形態の実現に伴い追加された部品のコストは凝縮器16の凝縮能力向上に伴う熱交換装置2のライフサイクル運転コストの節減によって充分に減価償却可能である。
以上で本発明の一実施形態についての説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更ができるものである。
【0036】
例えば、上記実施形態では、内部熱交換器12は、蒸発器10を経由後に圧縮機14に至るまでの低温低圧冷媒を真空ポンプ30から排水される気液混合状態の凝縮水と熱交換させているが、これに加えて上記低温低圧冷媒を冷媒通路16aから流出した高圧冷媒と熱交換させるようにしても良く、この場合には冷媒回路4の熱効率の更なる向上が図れて好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態に係る熱交換装置の模式図である。
【図2】図1のタンクの要部拡大図である。
【図3】図1の凝縮器の斜視図である。
【図4】図3のA−A方向からみた凝縮器の要部断面図である。
【図5】図4のB−B方向からみたチューブの断面図である。
【符号の説明】
【0038】
2 熱交換装置
4 冷媒回路
6 水回路
10 蒸発器
12 内部熱交換器(熱交換器)
16 凝縮器
16a 冷媒通路
16b 水通路
22 タンク
24 ポンプ
26 フィルタ
28 ノズル
30 真空ポンプ
34 フロート弁
38 チューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を加熱する蒸発器、該蒸発器を経由した冷媒を凝縮させる凝縮器を有する冷媒回路と、
前記蒸発器における熱交換に伴い該蒸発器から滴下する凝縮水を回収、循環させて前記凝縮器を流れる冷媒と熱交換させる水回路とを備えることを特徴とする熱交換装置。
【請求項2】
前記凝縮器は、前記冷媒回路を循環する冷媒が通液される冷媒通路と、前記水回路を循環する凝縮水が通液される水通路とを有し、
前記冷媒通路及び前記水通路はチューブに一体に形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の熱交換装置。
【請求項3】
前記水回路は、前記蒸発器から滴下する凝縮水を一旦貯蔵するタンクと、該タンクに貯蔵された凝縮水を前記水通路へ圧送するポンプとを有し、
前記凝縮器における熱負荷に応じて前記ポンプを駆動する制御手段を具備することを特徴とする請求項2に記載の熱交換装置。
【請求項4】
前記凝縮器は、前記チューブが複数積層されてなり、
前記水回路は、複数の前記水通路の入口に凝縮水を拡散させて該水通路に流入させるノズルを有することを特徴とする請求項2または3に記載の熱交換装置。
【請求項5】
前記水回路は、前記水通路の出口に、該水通路内の凝縮水を所定圧力以下に維持しつつ該水通路の外部に排水する真空ポンプを有することを特徴とする請求項2乃至4の何れかに記載の熱交換装置。
【請求項6】
前記冷媒回路は、前記蒸発器を経由した冷媒を圧縮し前記凝縮器に向けて吐出する圧縮機と、前記蒸発器を経由後に前記圧縮機に至るまでの冷媒を前記真空ポンプから排水された凝縮水と熱交換させる熱交換器とを有することを特徴とする請求項5に記載の熱交換装置。
【請求項7】
前記水回路は、フィルタを有することを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の熱交換装置。
【請求項8】
前記タンクは、該タンク内に貯蔵される凝縮水が所定液位以上になるとき、凝縮水を前記タンクの外部に排出するフロート弁を有することを特徴とする請求項3乃至7の何れかに記載の熱交換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−292318(P2009−292318A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−147997(P2008−147997)
【出願日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】