説明

熱伝導性樹脂ペーストおよびそれを用いた光ディスク装置

【課題】熱伝導率が高く、硬化重合後も所定の柔軟性を持ち、硬化前の粘度が低い熱伝導性樹脂ペーストおよびそれを用いた光ディスク装置を提供する。
【解決手段】硬化性ベース樹脂と、熱伝導性物質の粒子と、からなる熱伝導性樹脂ペースト100であって、硬化性ベース樹脂は、2官能基エポキシモノマーと単官能基エポキシモノマーとの配合重量比率を略1:3として、ポリマー連鎖を切断した構成とし、熱伝導性物質は、窒化アルミ粒子および径の異なる2種類の酸化アルミ粒子を含み、窒化アルミ粒子の平均粒径を略40μm以上、径の大きい酸化アルミ粒子の平均粒径を略10μm、および径の小さい酸化アルミ粒子の平均粒径を略0.5μmとし、窒化アルミ粒子、径の大きい酸化アルミ粒子、および径の小さい酸化アルミ粒子の配合重量比率を略5:5:1と構成し、さらに、硬化性ベース樹脂と熱伝導性物質の粒子との配合重量比率を略1:11に構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発熱体の熱を他の周辺部材に逃がす媒体として機能する熱伝導性樹脂ペーストおよびそれを用いた光ディスク装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光学記録媒体として、DVD(デジタルビデオディスク)、CD−R(書き込み可能なコンパクトディスク)、CD−RW(書き換え可能なコンパクトディスク)等の種々の光ディスクが開発されている。DVDにおいては、波長約650nmのレーザ光により情報の記録または再生が行なわれる。一方、CD−RやCD−RWにおいては、波長約780nmのレーザ光により情報の記録または再生が行なわれる。このような複数種類の光ディスクに対して情報の記録または再生を行なう光ディスク装置が提案されている。
【0003】
また、このような複数種類の光ディスクに対して情報の記録または再生を行なう光ディスク装置において、光ディスク装置に搭載される光ピックアップの光源としては、複数の異なる波長の光束を出射するレーザ素子を1つのパッケージに隣接して配置したハイブリッド型2波長半導体レーザや、1つの半導体基板に複数の波長の光源を集積化したモノリシック型2波長半導体レーザなどが用いられている。
【0004】
光源にハイブリッド型2波長半導体レーザを用いた場合、比較的光源間の間隔が広いので、光源での発熱量はあまり大きなものではないが、モノリシック型2波長半導体レーザを用いると、モノブロックでしかも光束出射位置が極めて近接しているために、極めて高い発熱量があり、光源の寿命が短くなるなどの弊害が生じることがあった。
【0005】
また、この光源は、角度の調整が必要なため、光ピックアップの結合ベース上に固定して備え付けられているのではなく、結合ベースから若干分離した状態で備え付けられている。
【0006】
光源の発熱により約80℃まで光源温度は上昇する。そのため、光源の熱を結合ベースに逃がすことが行なわれている。
【0007】
従来は、光源と結合ベースとの間の隙間に熱伝導性のあるシリコーン系グリースを塗り、光源で発していた熱を結合ベースに伝導していた。熱伝導性シリコーン系グリースでは、熱伝導性物質を配合したオイルコンパウンドであり、シリコーンは、充填剤への濡れ性もよく、多くの粒子を充填するのに適しており、高いもので約6W/m・Kの熱伝導率を有していた。
【0008】
しかし、媒体であるシリコーンオイルが経時でオイルブリードする「ポンピングアウト現象」が発生していた。そのため、オイルブリードした後は、約80℃まで上昇する発熱体の熱を伝導する機能を十分に果たすことができず、装置に不具合をもたらすおそれがあった。
【0009】
上述した問題を解決するために、従来では、硬化性のエポキシ樹脂に熱伝導性物質を配合した熱伝導性接着剤を用いていた(たとえば、特許文献1,2参照)。これにより、ポンピングアウト現象が防止され、安定した熱伝導性を確保していた。
【特許文献1】特許第1943804号公報
【特許文献2】特許第2685399号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の技術では、以下のような問題が生じていた。
【0011】
即ち、従来の熱伝導性接着剤では、熱伝導率が0.5〜2W/m・K程度であるため、それ程高くはなく、十分に発熱体の熱を吸収して、光ピックアップの結合ベースに伝導することができないという問題があった。
【0012】
また、従来のエポキシ樹脂では、硬化重合後は硬直するため、発熱体である光源の角度調整に支障を来たし、採用することができないという問題があった。
【0013】
また、従来の一般のエポキシ樹脂では、硬化前の粘度が高いため、比較的穴の大きい注入具から樹脂を挿入する必要があった。そのため、発熱体である光源と光ピックアップの結合ベースとの距離が比較的大きい場合は作業ができるが、逆に、発熱体である光源と光ピックアップの結合ベースとの距離が狭い場合は、穴の大きい注入具では狭い隙間に樹脂を挿入することができないという問題があった。
【0014】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、熱伝導率が高く、硬化重合後も所定の柔軟性を持ち、硬化前の粘度が低い熱伝導性樹脂ペーストおよびそれを用いた光ディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、硬化性ベース樹脂100重量部に対し、酸化アルミ粒子と窒化アルミ粒子の混合粒子が1000から1300重量部の範囲で充填され、かつ、混合粒子のうち窒化アルミ粒子が500から700重量部の範囲であることを特徴とする熱伝導性樹脂ペーストおよびそれを用いた光ディスク装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明は上記構成により、硬化性ベース樹脂100重量部に対し、酸化アルミ粉末と窒化アルミ粉末の混合粉末が1000から1300重量部の範囲で充填され、かつ、前記混合粉末のうち窒化アルミ粉末が500から700重量部の範囲とすることによって、熱伝導性樹脂ペーストにおける熱伝導性物質の粒子の割合を硬化性ベース樹脂に対して極めて多く含ませることができるので、熱伝導性樹脂ペーストの熱伝導率を高くすることができる。
【0017】
また、熱伝導性樹脂ペーストに柔軟性を持たせることができ、硬化重合後の熱伝導性樹脂ペーストの硬度を所定以下の柔軟性を持つものにできるので、衝撃に対する耐性が高まる。
【0018】
また、熱伝導性樹脂ペーストのゲル化状態も保たれ、熱伝導性樹脂ペーストの流動化を防止できるので、熱硬化後であっても、発熱体である光源の角度調整の障害となることなく、熱伝導性樹脂ペーストの流動化を防止しつつ発熱体の熱を十分に伝導できる。
【0019】
さらに、硬化前の熱伝導性樹脂ペーストの粘度を所定値以下に低くすることができるので、先端の細い注入具から熱伝導性樹脂ペーストを出して、狭い隙間に熱伝導性樹脂ペーストを注入する作業が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
請求項1記載の発明は、硬化性ベース樹脂100重量部に対し、酸化アルミ粒子と窒化アルミ粒子の混合粒子が1000から1300重量部の範囲で充填され、かつ、混合粒子のうち窒化アルミ粒子が500から700重量部の範囲にしたことを特徴とするものである。これにより、熱伝導性樹脂ペーストにおける熱伝導性物質の粒子の割合を硬化性ベース樹脂に対して極めて多く含ませることができるので、熱伝導性樹脂ペーストの熱伝導率を高くすることができる。
【0021】
請求項2記載の発明は、酸化アルミ粒子が、平均粒径略0.5μmの粒子と平均粒径略10μmの粒子とを混合した粒子であることを特徴とするものである。これにより、平均粒径の大きい窒化アルミ粒子だけで熱伝導性物質を構成するのではなく、窒化アルミ粒子より平均粒径の小さい酸化アルミ粒子を含め、さらに、酸化アルミ粒子の中で平均粒径の大きい酸化アルミ粒子だけではなく、平均粒径の小さい酸化アルミ粒子を含めたので、硬化前の熱伝導性樹脂ペーストの粘度を所定値以下に低くすることができる。その結果、先端の細い注入具から熱伝導性樹脂ペーストを出して、狭い隙間に熱伝導性樹脂ペーストを注入する作業が可能となる。
【0022】
請求項3記載の発明は、酸化アルミ粒子において、平均粒径が略0.5μmの粒子と平均粒径が略10μmの粒子との重量比が略5:1であることを特徴とするものである。平均粒径の大きい窒化アルミ粒子だけで熱伝導性物質を構成するのではなく、窒化アルミ粒子より平均粒径の小さい酸化アルミ粒子を含め、さらに、酸化アルミ粒子の中で平均粒径の大きい酸化アルミ粒子だけではなく、平均粒径の小さい酸化アルミ粒子を含めたので、硬化前の熱伝導性樹脂ペーストの粘度を所定値以下に低くすることができる。その結果、先端の細い注入具から熱伝導性樹脂ペーストを出して、狭い隙間に熱伝導性樹脂ペーストを注入する作業が可能となる。
【0023】
請求項4記載の発明は、酸化アルミ粒子が、表面処理剤で表面処理されていることを特徴とするものである。これにより、化学的性質の異なる無機材料である酸化アルミ粒子とポリマーとの間に界面が形成され、ポリマーとの濡れ性が向上するので、酸化アルミ粒子の分散性が向上し、高充填時の粘度上昇を抑える効果がある。その結果、酸化アルミ粒子の高充填が可能となる。
【0024】
請求項5記載の発明は、表面処理剤が、フェニル基とアミノ基を有するシランカップリング剤であることを特徴とするものである。これにより、フェニル基とアミノ基は無機材料である酸化アルミ粒子と有機材料であるポリマーとの化学結合を仲介し、シランカップリング剤による化学的性質の異なる無機材料である酸化アルミ粒子と有機材料であるポリマーとの間の界面形成が促進され、ポリマーとの濡れ性が向上するので、酸化アルミ粒子の分散性が向上し、高充填時の粘度上昇を抑える効果がある。その結果、酸化アルミ粒子の高充填が可能となる。
【0025】
請求項6記載の発明は、酸化アルミ粒子の表面形状が略球状であることを特徴とするものである。これにより、酸化アルミ粒子の比表面積が最小となり、硬化性ベース樹脂に酸化アルミ粒子を高充填した場合の樹脂粘度を低く抑える効果があるので、酸化アルミ粒子の高充填が可能となる。
【0026】
請求項7記載の発明は、酸化アルミ粒子が、20W/m・K以上の熱伝導率を有することを特徴とするものである。これにより、硬化性ベース樹脂に高熱伝導性を付与する効果がある。
【0027】
請求項8記載の発明は、窒化アルミ粒子の平均粒径が略40μm以上であることを特徴とするものである。これにより、大粒径であるほど比表面積は小さくできるので、硬化性ベース樹脂に窒化アルミ粒子を高充填した場合の樹脂粘度上昇を抑えることができる。また、熱伝導性樹脂ペースト、単位体積当たりの窒化アルミ粒子間のギャップ長は大粒径であるほど短くできるので、熱伝導性樹脂ペーストの熱伝導率を高めることができる。
【0028】
請求項9記載の発明は、窒化アルミ粒子が、表面処理されていることを特徴とするものである。これにより、窒化アルミ粒子が略球状になり、ポリマーとの濡れ性が向上するので、窒化アルミ粒子の分散性が向上し、高充填時の粘度上昇を抑える効果がある。その結果、窒化アルミ粒子の高充填が可能となる。
【0029】
請求項10記載の発明は、窒化アルミ粒子が、焼結助剤である酸化イットリウムおよび粒度制御剤である窒化ホウ素を加え高温焼結する表面処理されていることを特徴とするものである。これにより、略球状の二次粒子を得ることができ、ポリマーとの濡れ性が向上するので、窒化アルミ粒子の分散性が向上し、高充填時の粘度上昇を抑える効果がある。その結果、窒化アルミ粒子の高充填が可能となる。
【0030】
請求項11記載の発明は、窒化アルミ粒子が略球状であることを特徴とするものである。これにより、ポリマーとの濡れ性が向上するので、窒化アルミ粒子の分散性が向上し、高充填時の粘度上昇を抑える効果がある。その結果、窒化アルミ粒子の高充填が可能となる。
【0031】
請求項12記載の発明は、窒化アルミ粒子が、150W/m・K以上の熱伝導率を有することを特徴とするものである。これにより、硬化性ベース樹脂に高熱伝導性を付与する効果、および、酸化アルミ粒子との混合により、酸化アルミ粒子単独よりもさらに高い熱伝導性を付与することが可能となる。
【0032】
請求項13記載の発明は、硬化性ベース樹脂100重量部に対し、1分子中に官能性オキシラン環を2つ以上持つエポキシモノマーもしくはエポキシオリゴマーが10重量部以上配合され、かつ、1分子中に官能性オキシラン環を略1つ持つエポキシモノマーが30重量部以上配合されることで、2官能基エポキシモノマーと単官能基エポキシモノマーとの配合重量比率を略1:3にすることを特徴とするものである。これにより、単官能基エポキシモノマーを多く含む構成とすることで、ポリマー連鎖を切断し、熱伝導性樹脂ペーストに柔軟性を持たせることができるので、硬化重合後の熱伝導性樹脂ペーストの硬度を所定以下の柔軟性のあるものとすることができる。また、単官能基エポキシモノマーの配合重量比率を2官能基エポキシモノマーに対して略3:1として単官能基エポキシモノマーの比率を抑え、2官能基エポキシモノマーによるポリマー連鎖で3次元構造を形成しているので、硬化プロセス後の熱伝導性樹脂ペーストのゲル化状態も保たれ、熱伝導性樹脂ペーストの流動化を防止できる。その結果、熱伝導性樹脂ペーストが硬化重合後であっても、柔軟性を保つことで、発熱体である光源の角度調整の障害となることなく、また、熱伝導性樹脂ペーストの流動化を防止しつつ発熱体の熱を十分に伝導することが可能となる。また、エポキシ樹脂は一般的に硬化収縮率が低いため、硬化収縮に伴う被着体からの界面剥離や樹脂自体のクリープなどの熱流路を絶つ現象を回避することが可能となる。
【0033】
請求項14記載の発明は、硬化性ベース樹脂が、脂肪族に分類されるエポキシモノマーが60重量部以上配合されることを特徴とするものである。これにより、エポキシモノマーの炭素原子が鎖状に連なった骨格構造を有するので、エポキシモノマーが重合したポリマーは柔軟性に富んだ樹脂とすることができる。その結果、硬化重合後の熱伝導性樹脂ペーストに柔軟性を付与することが可能となる。
【0034】
請求項15記載の発明は、硬化性ベース樹脂が、脂肪族アミン系硬化剤が配合されていることを特徴とするものである。これにより、紫外線硬化接着剤等の光硬化性樹脂では硬化重合には熱伝導性樹脂ペーストに充分な光透過性が必要であるのに対して、光透過性が無い被着体部位であっても、環境温度や環境湿度のコントロールのみで硬化重合が可能であり、また、光透過性に劣る熱伝導性物質を高充填した熱伝導性樹脂ペーストであっても同様の理由で硬化重合が可能となる。
【0035】
請求項16記載の発明は、硬化性ベース樹脂に、脂肪族アミン系硬化剤が配合されていることを特徴とするものである。これにより、高温での処理など必要なく硬化させることができ、耐熱性の低い部材にも塗布することが可能になる。また、脂肪族アミン系硬化剤には樹脂成分と粒子間の表面エネルギーを低下させる、いわゆる界面活性剤のような作用があり、混合粒子の高充填化が可能となる。
【0036】
請求項17記載の発明は、硬化性ベース樹脂に、変性ポリアミドアミン系硬化剤が配合されていることを特徴とするものである。これにより、高温での処理など必要なく硬化させることができ、耐熱性の低い部材にも塗布することが可能になる。また、変性ポリアミドアミン系硬化剤には樹脂成分と粒子間の表面エネルギーを低下させる、いわゆる界面活性剤のような作用があり、混合粒子の高充填化が可能となる。また、変性ポリアミドアミン系硬化剤にはその分子中に大きな炭化水素グループを持つため、硬化したエポキシ樹脂は高度の可塑化された剛い熱硬化性共重合体となる。その結果、高い引っ張り強度,圧縮および曲げ強度を有すると同時に耐衝撃性の優れた強靭でかつ剛性の強い硬化物が得られる。
【0037】
請求項18記載の発明は、硬化性ベース樹脂の硬化前の粘度が20mPa・s〜500mPa・s(25℃)の範囲であることを特徴とするものである。これにより、熱伝導性物質の高充填が可能になり、且つ熱伝導性物質の充填プロセス時における熱伝導性物質の均一分散性が保てるので、熱伝導性物質の均一分散と高充填が可能となる。
【0038】
請求項19記載の発明は、硬化性ベース樹脂と、熱伝導性物質の粒子と、からなる熱伝導性樹脂ペーストであって、硬化性ベース樹脂は、2官能基エポキシモノマーと単官能基エポキシモノマーとの配合重量比率を略1:3として、ポリマー連鎖を切断した構成とし、熱伝導性物質は、窒化アルミ粒子および径の異なる2種類の酸化アルミ粒子を含み、窒化アルミ粒子の平均粒径を略40μm以上、径の大きい酸化アルミ粒子の平均粒径を略10μm、および径の小さい酸化アルミ粒子の平均粒径を略0.5μmとし、窒化アルミ粒子、径の大きい酸化アルミ粒子、および径の小さい酸化アルミ粒子の配合重量比率を略5:5:1と構成し、さらに、硬化性ベース樹脂と熱伝導性物質の粒子との配合重量比率を略1:11に構成したことを特徴とするものである。これにより、熱伝導性物質の粒子の割合を硬化性ベース樹脂に対して極めて多く含ませることができるので、熱伝導性樹脂ペーストの熱伝導率を高くすることができる。また、熱伝導性樹脂ペーストに柔軟性を持たせることができ、硬化重合後の熱伝導性樹脂ペーストの硬度を所定以下の柔軟性のあるものとすることができる。また、熱伝導性樹脂ペーストのゲル化状態も保たれ、熱伝導性樹脂ペーストの流動化を防止できる。その結果、熱硬化後であっても、発熱体である光源の角度調整の障害となることなく、熱伝導性樹脂ペーストの流動化を防止しつつ発熱体の熱を十分に伝導できる。さらに、硬化前の熱伝導性樹脂ペーストの粘度を所定値以下に低くすることができる。その結果、先端の細い注入具から熱伝導性樹脂ペーストを出して、狭い隙間に熱伝導性樹脂ペーストを注入する作業が可能となる。
【0039】
請求項20記載の発明は、硬化性ベース樹脂と酸化アルミ粒子と窒化アルミ粒子とは、真空撹拌脱泡ミキサーで混練されることを特徴とするものである。これにより、熱伝導性樹脂ペースト中に気泡残存無く、しかも熱伝導性物質が均一に分散攪拌されるので、安定した熱伝導率と被着体との高い密着性が保つことが可能となる。
【0040】
請求項21記載の発明は、硬化性ベース樹脂と酸化アルミ粒子と窒化アルミ粒子とが、混練直後、−5℃より低温で冷却され、−5℃より高くない温度で貯蔵されていることを特徴とするものである。これにより、混練後の熱伝導性樹脂ペーストの硬化重合速度が大幅に低下するため、熱伝導性樹脂ペーストのポットライフを長くすることが可能となる。
【0041】
請求項22記載の発明は、請求項1から請求項21のいずれか1項に記載の熱伝導性樹脂ペーストを具備した光ディスク装置であって、レーザ光を発光する光源と、光源の位置を規制し固定する結合ベースと、を備え、光源と、結合ベースとは、熱伝導性樹脂ペーストを介して固定されることを特徴とするものである。これにより、光源で発生した熱を効率良く結合ベースに逃がすことが可能となる。
【0042】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0043】
(実施の形態1)
図1,図2は、本発明の一実施の形態における熱伝導性樹脂ペーストを使用した光ピックアップを示す斜視図および分解斜視図である。
【0044】
図1,図2において、光源1,受光素子2および光学部材4,5はそれぞれ結合ベース3に接合されている。光源1と光学部材4,5の間には結合ベース3に設けた貫通孔3aが存在しており、光源1から出射された光は貫通孔3aを通過して光学部材4,5に入射され、光学部材5から出射された光は、少なくとも対物レンズ(図示せず)等の集光手段を通して、光ディスク(図示せず)に照射され、光ディスクに対して所定の情報記録等を行なう。
【0045】
また、光ディスクから反射してきた光は、少なくとも対物レンズなどを通過し、光学部材5に入射され、光学部材5の内部で1ないし複数回反射などを行なった後に、受光素子2に入射される。受光素子2では、入射した光を電気信号に変換し、その電気信号は信号生成系の回路部に送られ、その回路部においてトラッキングエラー信号,フォーカスエラー信号,RF信号などを生成し、それら各信号を基に、光ピックアップのトラッキング制御やフォーカス制御を行ない、更にRF信号から所望の情報を生成する。
【0046】
光源1は結合ベース3の後部から取付けられ、光源1の先端における光出射部と結合ベース3に取付けられた光学部材4が対向するように互いに結合ベース3に取付けられている。また、受光素子2の光入射面は少なくとも光学部材5の側方部と対向しており、光学部材5の底部には光学部材4が対向している。
【0047】
以下、各部ついて、詳細に説明する。
【0048】
まず、光源1について説明する。
【0049】
図3は、本発明の一実施の形態における熱伝導性樹脂ペーストを使用した光ピックアップの光源を示す斜視図であり、図4は、本発明の一実施の形態における熱伝導性樹脂ペーストを使用した光ピックアップの光源を示す斜視図である。
【0050】
光源1としては、例えば、図3,図4に示されるフレームレーザ光源が好適に用いられる。光源1としてのフレームレーザ光源は、プレート6の一部をモールド部材7で覆うように構成されている。プレート6としては、Cu,Cu合金,Ag,Ag合金,Al,Al合金,Fe,Fe合金などの金属製の板状体が好ましく用いられ、更に好ましくは、この板状体の上に半田付け性のよい材料をメッキや蒸着などの手段でコーティングすることが好ましい。なお、本実施の形態では、板状体を金属材料で構成したが、金属材料以外でも熱伝導性がよく、導電性が高い材料、例えば導電性セラミック等を用いることができる。本実施の形態では、プレート6は両方向にはみ出た、側方部6a,6bを設けており、この側方部6a,6bは放熱を促すように設けたり、あるいは他の部材への取付け性を向上させるように設けたりなどする。
【0051】
プレート6には、絶縁部を有するサブマウント8を介して半導体レーザ素子9を設けており、半導体レーザ素子9の上面はプレート6とAuなどのワイヤで電気的に接続されている。この時、半導体レーザ素子9の光出射面はフレームレーザ光源の上部に配置される。サブマウント8の基台は絶縁材料で構成され、サブマウント8の半導体レーザ素子9が形成される面には分離された電極11,12が形成され、電極11,12上に半導体レーザ素子9が電気的に接合されている。
【0052】
半導体レーザ素子9は、モノブロックすなわち、一つのブロックに1ないし複数の異なる波長の光を出射する構成となっている。本実施の形態では、波長約650nm(例えばDVD系)のレーザ光と、波長約780nm(CD系)のレーザ光を出射する半導体レーザ素子9を用いた。なお、半導体レーザ素子9から出射される光は一つでもよいし、また、三つ以上の互いに波長の異なる光を照射してもよい。本実施の形態における光ピックアップの場合、特に、複数の互いに異なる波長の光を出射する半導体レーザ素子9を用いる場合に適している。また、本実施の形態では、互いに波長の異なる複数の光を出射する場合に、半導体レーザ素子9としてはモノブロックを用いたが、一つのブロックで一つの波長の光束を出射する半導体レーザ素子9を複数個のプレート6の上に複数実装して、互いに異なる波長の光を複数出射してもよい。この場合には、光源1のサイズが大きくなる可能性はあるが、任意の異なる波長の光束を出射する半導体レーザ素子9を搭載できるので、大幅に波長の異なる複数の光束を出射する構成とすることが容易である。
【0053】
端子部13はプレート6と一体形成されている。すなわち、プレート6と端子部13は電気的に接続されている。また、端子部14,15は、プレート6および端子部13とは分離して設けており、モールド部材7にて互いに固定されている。端子部14の端部は導電性のワイヤ16を介して電極12と電気的に接合しており、端子部15はワイヤ17を介して電極11と互いに電気的に接合されている。
【0054】
例えば、半導体レーザ素子9がDVD系の光ディスクに対して情報の記録/再生の少なくとも一方を行なう光束と、CD系の光ディスクに対して、情報の記録/再生の少なくとも一方を行なう光束を出射させる場合には、端子部13はグランドに接続し、端子部14はDVD系の光束を出射させる様な電流を供給する回路に接続し、端子部15はCD系の光束を出射させる様な電流を供給する回路に接続される。すなわち、DVD系の光束を出射させる場合には、例えば電流は端子部14,ワイヤ16,電極12,半導体レーザ素子9,ワイヤ10,プレート6,端子部13の順に流れる。CD系の光束を出射させる場合には、例えば電流は端子部15,ワイヤ17,電極11,半導体レーザ素子9,ワイヤ10,プレート6,端子部13の順に流れる。
【0055】
モールド部材7は、樹脂材料やセラミック材料などの絶縁性材料が好適に用いられる。
【0056】
モールド部材7は上述のように、端子部13と一体になったプレート6,端子部14,15を互いに固定しており、しかも図3に示すように、光源1の前面においてモールド部材7は光束の出斜面側を開口させた壁部を有している。壁部内には、サブマウント8,半導体レーザ素子9,プレート6の一部,ワイヤ10,ワイヤ16,ワイヤ17,端子部14の一部,端子部15の一部が配置される。また、図4に示すように光源1の裏面には、プレート6の半導体レーザ素子9を設けた側と反対側の面の一部が露出するようにモールド部材7を設けている。前面側のモールド部材7および裏面側のモールド部材7は一体構成となっている。
【0057】
結合ベース3は、比較的、軽量,高精度での形状加工性,放熱性等を兼ね備えた材料で形成させることが好ましく、例えば、Zn,Zn合金,Al,Al合金,Ti,Ti合金などが好適に用いられる。本実施の形態では、低コストのZnダイキャストで結合ベース3を構成した。
【0058】
以上のように構成された光ピックアップにおいて、その組立て方法について図5,図6を用いて説明する。
【0059】
図5は、本発明の一実施の形態における熱伝導性樹脂ペーストを使用した光ピックアップの組立て方法を示す図であり、図6は、本発明の一実施の形態における熱伝導性樹脂ペーストを使用した光ピックアップの組立て方法を示す図である。
【0060】
図5に示すように、光源1を結合ベース3の底部側から空間部分35に挿入するとともに、側方部6b,6aが隙間38,40に配置される。また、受光素子2も側壁21,22の取付部23,24に当接させ、しかも受光素子2、あるいは取付部23,24の少なくとも一方の面に紫外線硬化接着剤を塗布しておく。そして、光源1を発光させてX軸方向に移動させてバランス調整を行ない、しかも受光素子2も、Y軸やZ軸方向に移動させて、高さ調整やS字調整を行なう。
【0061】
各部材に対して、所定の位置に調整され、光源1と受光素子2の位置関係において、確実に光ディスクへ光源1からの光が導かれ、しかも光ディスクからの光が受光素子2に入射されることがほぼ確認されたら、今度は、光源1と結合ベース3の間にアクリル系樹脂の紫外線硬化接着剤を塗布しておき、図5に示すZ軸に沿って、光源1を移動させ、例えばDVDに用いられる光のデフォーカス調整を行なう。デフォーカス調整が終了したら、紫外線を照射し、光源1と結合ベース3を仮固定する。この時、紫外線硬化接着剤は、側方部6a,6bか接合部41,42の少なくとも一方に塗布しておく。また、光源1の位置調整の際には、目視あるいは自動機械による画像認識で、観測しながら行なわれる。
【0062】
また、光源1と結合ベース3の仮固定は、機械的固定でもよい。この場合、光源1のモールド部7を加圧する方法や光源1の端子部13、14、15をクランプする方法などがある。
【0063】
光源1と結合ベース3を仮固定したら、図6に示すように、突出部36,37、39とプレート6の境界領域に、エポキシ樹脂系接着剤,瞬間接着剤,紫外線硬化接着剤などの有機接着剤等のバルク状(粉体や顆粒状体を含む)の接合材200をそれぞれ供給し、光源1と結合ベース3との本固定を行なう。
【0064】
光源1と結合ベース3の本固定後、図6に示すように、本発明の熱伝導率の高い熱伝導性樹脂ペースト100を光源1のプレート6の側方部6a、6bと結合ベース3を接合するように、先端の細い注入具等を用いて塗布し、室温硬化または熱硬化することで固着される。
【0065】
このようにして、熱伝導率の高い熱伝導性樹脂ペースト100で接合された光源1のプレート6の側方部6a、6bと結合ベース3は、従来のものより熱伝導率が高いので、光源1で発生した熱を効果的に結合ベース3に逃がすことができ、光源1の熱対策に有効となる。
【0066】
また、このような光ピックアップを用いた光学系構成について図7を用いて説明する。
【0067】
図7は、本発明の一実施の形態における熱伝導性樹脂ペーストを使用した光ピックアップの光学設計の例を示す図である。
【0068】
光源1から出射された光は光学部材4,5を通過してコリメータレンズ400に入射し、BSプレート401(ビームスプリッタプレート)で反射され、立上げプリズム403に導かれる。この時、BSプレート401では、出射された光の一部が透過し、光源1の光量をモニターする受光センサ402に導かれ、受光センサ402の出力によって光源1の発光パワーが調整される。BSプレート401からの光は、立上げプリズム403の面403aで反射し、面403bで更に反射し、面403aを透過して液晶を挟み込んだホログラム404に入射し対物レンズ405に導かれ、光ディスク406に集光される。光ディスク406で反射した光は対物レンズ405,ホログラムを経由して立上げプリズム403に導かれ、面403aを通過し、面403bで反射し更にその後面403aで反射しBSプレート401に導かれ、BSプレート401で反射しコリメータレンズ400を通過し光学部材5に入射され、受光素子2に到達する。
【0069】
図8は、本発明の一実施の形態における熱伝導性樹脂ペーストを使用した光ピックアップを搭載した光ディスク装置を示す図である。図8において、筐体500は上部筐体部500aと下部筐体部500bを組み合わせて構成されている。なお、上部筐体部500aと下部筐体部500bとは螺旋などを用いて、互いに固着されている。スピンドルモータ502は筐体500に出没自在に設けられたトレイ501に設ける。光ピックアップ503には図1〜図7に示す光ピックアップが用いられ、光ディスクに情報を書き込むか或いは情報を読み出す動作の少なくとも一方を行なう。また、光ピックアップ503は、光ディスクの半径方向に移動可能に保持されたキャリッジ(図示せず)に搭載されている。ベゼル504はトレイ501の前端面に設け、トレイ501が筐体500内に収納された時に、トレイ501の出没口505を塞ぐように構成されている。レール506,507はそれぞれトレイ501および筐体500の双方に摺動自在に取付けられる。トレイ501の両側部にこのレール506,507は設けており、このレール506,507にて図8で示す矢印P方向に筐体500からトレイ501が出没自在に取付けられている。
【0070】
トレイ501の前端面に設けたベゼル504にはイジェクトスイッチ508を設けており、このイジェクトスイッチ508を押すことで、筐体500に設けた係合部(図示せず)とトレイ501に設けられた係合部(図示せず)との係合を解除する。
【0071】
以下、結合ベース3に設けた固定部18,19の使用方法について図9,図10を用いて説明する。
【0072】
図9は、本発明の一実施の形態における熱伝導性樹脂ペーストを使用した光ピックアップの装着方法を示す図であり、図10は、本発明の一実施の形態における熱伝導性樹脂ペーストを使用した光ピックアップの装着方法を示す図である。
【0073】
図9に示すようにキャリッジ600の両端には、移動軸(図示せず)あるいは駆動軸を移動自在に取付ける軸受け部601,602が設けられている。キャリッジ600には複雑な形の貫通孔603が設けており、この貫通孔603の中には対物レンズ604を保持したレンズ保持部605が可動自在に保持されている。
【0074】
レンズ保持部605は支持部606によってサスペンションワイヤ(図示せず)などで可動自在に支持されており、しかも支持部606は貫通孔603内においてキャリッジ600に固定されている。レンズ保持部605には貫通孔609を設けており、この貫通孔609の内壁にはフォーカスコイル607およびトラッキングコイル608が設けている。また、貫通孔609には磁界を発生し、レンズ保持部605には非固定の永久磁石610〜613が挿入されており、この永久磁石610〜613とフォーカスコイル607およびトラッキングコイル608でレンズ保持部605を移動させる。
【0075】
すなわち、レンズ保持部605はフォーカスコイル607およびトラッキングコイル608にそれぞれ所定の電流を流すことによって、レンズ保持部605をフォーカス方向あるいはトラッキング方向に移動させ、対物レンズ604を所定の位置に移動させる。また、貫通孔603には、反射ミラー614が固定されている。また、キャリッジ600には、光ピックアップを保持する切り欠き部615を設けており、しかも貫通孔603と切り欠き部615は連通孔にて結合される。
【0076】
切り欠き部615の開放側であってしかもキャリッジ600の外周部には突起616,617がそれぞれ立設されている。
【0077】
図10に示すように、光ピックアップを切り欠き部615に挿入し、突起617,616を貫通孔18a,19aに挿入する。この時に突起616,617の直径は、貫通孔18a,19aの直径よりもやや小さくなっており、突起616,617を貫通孔18a,19aに挿入した後でも光ピックアップは、多少移動自在となるように構成されているので、装着した後も、光ピックアップとキャリッジ600は相対的に多少の範囲で移動可能となるので、光軸調整などを精度よく行なうことができる。光学調整などが終了したら、突起616,617をカシメたり、溶着したりしてキャリッジ600と光ピックアップを固定する。あるいは固定部18,19とキャリッジ600の間に接着剤を塗布したりして、互いに固定される。
【0078】
このように、光源1や光学部材4,5を直接固定した結合ベース3に一体に固定部18,19を設け、その固定部18,19を直接キャリッジ600等の他の部材に接合する構成であるので、光軸調整が確実に行なえ、しかも強固に光ピックアップをキャリッジ600に固定できる。
【0079】
本発明の熱伝導性樹脂ペースト100は硬化性ベース樹脂と、熱伝導性物質の粒子と、からなる熱伝導性樹脂ペーストである。そこで、熱伝導性樹脂ペースト100の詳細構成を硬化性ベース樹脂と熱伝導性物質に分けて詳細に説明する。(表1)に材料配合量と樹脂特性の関係、および、本発明の熱伝導性樹脂ペースト100の実施例1〜実施例4とその比較例1〜8を示す。また、図11は、モノマーに占める単官能基エポキシモノマーの配合量と樹脂特性の関係を示す図である。
【0080】
【表1】

【0081】
まず、(表1)にある実施例1〜4にある本発明の熱伝導性樹脂ペースト100に配合される硬化性ベース樹脂について説明する。
【0082】
硬化性ベース樹脂は、2官能基エポキシモノマーと単官能基エポキシモノマーとの配合重量比率を略1:3として、ポリマー連鎖を切断した構成とする。ここで、硬化性ベース樹脂を構成する単官能基エポキシモノマーとしては、メチルグリシジルエーテル、2−エチルへキシルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル、グリシード、C12,C13混合高級アルコールグリシジルエーテル、アルキルモノグリシジルエーテル、アルキルフェノールモノグリシジルエーテル、セカンダリブチルフェノールモノグリシジルエーテル、3級カルボン酸グリシジルエステルなどがあげられる。
【0083】
また、硬化性ベース樹脂を構成する2官能基エポキシモノマーとしては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコール#200ジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコール#400ジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコール#400ジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1・6ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、水添BP−Aジグリシジルエーテル、2,3−ジブロモ・ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、ポリグリコールジグリシジルエーテル、アルキルジグリシジルエーテルなどがあげられる。
【0084】
熱伝導性樹脂ペースト100は、硬化性ベース樹脂100重量部に対し、2官能基エポキシモノマーが10重量部以上配合され、かつ、単官能基エポキシモノマーが30重量部以上配合されることで、2官能基エポキシモノマーと単官能基エポキシモノマーとの配合重量比率を略1:3と構成されることにより、単官能基エポキシモノマーを多く含む構成とすることで、ポリマー連鎖を切断し、熱伝導性樹脂ペースト100に柔軟性を持たせることができ、硬化重合後の熱伝導性樹脂ペースト100の硬度を所定以下の柔軟性のあるものとすることができる。
【0085】
ここで、(表1)の比較例1,比較例2および図11に示すように、モノマーに占める単官能基エポキシモノマーの割合が65wt%未満であると、硬化重合後の熱伝導性樹脂ペーストは、硬度が非常に高く、柔軟性が無いため、熱衝撃に対して耐性が無く、安定性の観点から不利となる。
【0086】
また、単官能基エポキシモノマーの配合重量比率を2官能基エポキシモノマーに対して略3:1として単官能基エポキシモノマーの比率を抑え、2官能基エポキシモノマーによるポリマー連鎖で3次元構造を形成しているので、硬化プロセス後の熱伝導性樹脂ペースト100のゲル化状態も保たれ、熱伝導性樹脂ペースト100の流動化を防止できる。その結果、熱伝導性樹脂ペースト100が硬化重合後であっても、柔軟性を保つことで、発熱体である光源の角度調整の障害となることなく、また、熱伝導性樹脂ペースト100の流動化を防止しつつ発熱体の熱を十分に伝導することが可能となる。
【0087】
また、エポキシ樹脂は一般的に硬化収縮率が低いため、硬化収縮に伴う被着体からの界面剥離や樹脂自体のクリープなどの熱流路を絶つ現象を回避することが可能となる。
【0088】
ここで、(表1)の比較例3〜5,図11に示すように、モノマーに占める単官能基エポキシモノマーの割合が80wt%を超えると、熱伝導性樹脂ペーストは、硬化重合後でも硬化が不十分で、非ゲル化状態であり、熱伝導性樹脂ペーストの安定性の観点から不利となる。
【0089】
また、硬化性ベース樹脂は、熱硬化性樹脂、室温硬化性樹脂、湿気硬化性樹脂から選ばれる硬化性樹脂で構成される。好適には脂肪族アミン系硬化剤や変性ポリアミドアミン系硬化剤が配合されていることで、高温での処理など必要なく室温でも硬化することができ、耐熱性の低い部材にも塗布することが可能である。また、脂肪族アミン系硬化剤には樹脂成分と粒子間の表面エネルギーを低下させる、いわゆる界面活性剤のような作用があり、前記混合粒子の高充填化が可能となる。さらに、変性ポリアミドアミン系硬化剤にはその分子中に大きな炭化水素グループを持つため、硬化したエポキシ樹脂は高度の可塑化された剛い熱硬化性共重合体となる。高い引っ張り強度,圧縮および曲げ強度を有すると同時に耐衝撃性の優れた強靭でかつ剛性の強い硬化物が得られる。
【0090】
脂肪族アミン系硬化剤には、鎖状脂肪族ポリアミン、環状脂肪族ポリアミン、脂肪芳香族アミンがある。鎖状脂肪族ポリアミンとしては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロプレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミンなどがあげられる。環状脂肪族ポリアミンとしては、N−アミノエチルピベラジン、メンセンジアミン、イソフオロンジアミンなどがあげられる。脂肪芳香族アミンとしては、キシレンジアミン、M−キシレンジアミン、キシリレンジアミン三重体、キシリレンジアミン誘導体などがあげられる。
【0091】
また、硬化性ベース樹脂は、硬化前の粘度が20mPa・s〜500mPa・s(25℃)の範囲が好適である。硬化性ベース樹脂が500mPa・s以上の高粘度では熱伝導性物質の高充填が困難であり、一方、20mPa・s以下の低粘度では熱伝導性物質の充填プロセス時、熱伝導性物質の均一分散性を保てないので調製するのが困難となる。従って、20mPa・s〜500mPa・sの範囲では、熱伝導性物質の均一分散と高充填が可能となる。
【0092】
次に、本発明の熱伝導性樹脂ペースト100に配合される熱伝導性物質について詳細に説明する。
【0093】
本発明の熱伝導性樹脂ペースト100に配合される熱伝導性物質は、20W/m・K以上の熱伝導率を有する略球状の酸化アルミ粒子、および、150W/m・K以上の熱伝導率を有する略球状の窒化アルミ粒子で構成する。
【0094】
酸化アルミ粒子の表面は、フェニル基とアミノ基を有するシランカップリング剤で表面処理が施され、化学的性質の異なる無機材料である酸化アルミ粒子とポリマーとの間に界面が形成され、ポリマーとの濡れ性が向上している。その結果、酸化アルミ粒子の分散性が向上し、高充填時の粘度上昇を抑えられている。
【0095】
また、窒化アルミ粒子については、表面突起がある凹凸状の窒化アルミの破砕一次粒子を焼結助剤である酸化イットリウムおよび粒度制御剤である窒化ホウ素を加え高温焼結する表面処理することで略球状の二次粒子を得ることができる。その結果、ポリマーとの濡れ性が向上する。これにより窒化アルミ粒子の分散性が向上し、高充填時の粘度上昇を抑える効果がある。その結果、窒化アルミ粒子の高充填が可能となる。
【0096】
熱伝導性樹脂ペースト100は、上記のように処理された窒化アルミ粒子および径の異なる2種類の酸化アルミ粒子を含み、窒化アルミ粒子の平均粒径を略40μm以上、径の大きい酸化アルミ粒子の平均粒径を略10μm、および径の小さい酸化アルミ粒子の平均粒径を略0.5μmとし、窒化アルミ粒子、径の大きい酸化アルミ粒子、および径の小さい酸化アルミ粒子の配合重量比率を略5:5:1と構成し、さらに、熱伝導性樹脂ペースト100における硬化性ベース樹脂と熱伝導性物質の粒子との配合重量比率を略1:11に構成する。その結果、平均粒径の大きい窒化アルミ粒子だけで熱伝導性物質を構成するのではなく、窒化アルミ粒子より平均粒径の小さい酸化アルミ粒子を含め、さらに、酸化アルミ粒子の中で平均粒径の大きい酸化アルミ粒子だけではなく、平均粒径の小さい酸化アルミ粒子を含めたので、熱伝導性物質の粒子の割合を硬化性ベース樹脂に対して極めて多く含む状態でも、硬化前の熱伝導性樹脂ペースト100の粘度を所定値以下に低く抑えることができ、先端の細い注入具から熱伝導性樹脂ペースト100を出して、狭い隙間に熱伝導性樹脂ペースト100を注入する作業が可能となる。
【0097】
また、熱伝導性物質の粒子の割合を硬化性ベース樹脂に対して極めて多く含むので、熱伝導性樹脂ペースト100の熱伝導率を高くすることも可能となり、(表1)の実施例1〜3に示すように、約6.7W/m・Kの高熱伝導率を得ることができる。
【0098】
また、同様に(表1)の実施例4に示すように、窒化アルミ粒子の平均粒径を略40μm以上、径の大きい酸化アルミ粒子の平均粒径を略10μm、および径の小さい酸化アルミ粒子の平均粒径を略0.5μmとし、窒化アルミ粒子、径の大きい酸化アルミ粒子、および径の小さい酸化アルミ粒子の配合重量比率を略7:5:1と構成し、酸化アルミより熱伝導率が高い窒化アルミの充填割合を高め、熱伝導性樹脂ペースト100における硬化性ベース樹脂と熱伝導性物質の粒子との配合重量比率を略1:13に構成することで、所定値範囲で硬化前の熱伝導性樹脂ペーストの粘度は高くなるが、約8.5W/m・Kのさらに高い熱伝導率を得ることも可能である。
【0099】
しかし、例えば、(表1)の比較例6に示すように、硬化性ベース樹脂と熱伝導性物質の粒子との配合重量比率を略1:14の構成に熱伝導性物質の粒子の比率を高め過ぎると、ポリマーと熱伝導性物質の粒子との十分な濡れ性を保てないことで、硬化前の熱伝導性樹脂ペーストの粘度も所定値以上に高くなるばかりでなく、熱伝導性物質の均一分散と高充填が困難となり、結果的に硬化物は非常に脆弱な性状となるため不適である。
【0100】
また、(表1)の比較例7および比較例8に示すように、上記の表面処理を施されていない窒化アルミ粒子および径の異なる2種類の酸化アルミ粒子を使用した場合、ポリマーとの濡れ性が悪いため、熱伝導性物質の均一分散と高充填が困難となる。例えば、比較例7に示すように、硬化性ベース樹脂と熱伝導性物質の粒子との配合重量比率を実施例3と同様の略1:11の構成した場合でも、硬化前の熱伝導性樹脂ペーストの粘度も所定値以上に高くなり、結果的に硬化物は非常に脆い性状となるため不適である。一方、比較例8に示すように、硬化前の熱伝導性樹脂ペーストの粘度を所定値以下に抑えた構成にした場合、熱伝導性物質の配合比率が低いため、熱伝導率が約2.7W/m・Kと十分な熱伝導率が得られないため不適である。
【0101】
従って、熱伝導性樹脂ペースト100において、熱伝導性物質の粒子に上記の表面処理を施された窒化アルミ粒子と酸化アルミ粒子を使用し、硬化性ベース樹脂と熱伝導性物質の粒子との配合重量比率を略1:11に構成することで、硬化前の熱伝導性樹脂ペースト100の粘度を所定値以下に低く抑えることができ、高い熱伝導率を得ることができる。
【0102】
次に、熱伝導性樹脂ペースト100の作製プロセスと保存手段について説明する。
【0103】
まず、熱伝導性樹脂ペースト100の作製プロセスは、硬化性ベース樹脂と酸化アルミ粒子と窒化アルミ粒子とを真空撹拌脱泡ミキサーで混練されることで、熱伝導性樹脂ペースト100中に気泡残存無く、しかも、熱伝導性物質が均一に分散攪拌されるので安定した熱伝導率と被着体との高い密着性が保つことが可能となる。
【0104】
また、熱伝導性樹脂ペースト100の保存手段は、硬化性ベース樹脂と酸化アルミ粒子と窒化アルミ粒子とを混練直後、−5℃より低温で冷却し、−5℃より高くない温度で貯蔵されていることで、混練後の熱伝導性樹脂ペースト100の硬化重合速度が大幅に低下するため、熱伝導性樹脂ペースト100のポットライフを長くすることが可能となる。
【0105】
以上の内容により、本発明の熱伝導性樹脂ペースト100によれば、熱伝導性物質の粒子の割合を硬化性ベース樹脂に対して極めて多く含ませることができるので、熱伝導性樹脂ペーストの熱伝導率を高くすることができる。
【0106】
また、熱伝導性樹脂ペースト100に柔軟性を持たせることができ、硬化重合後の熱伝導性樹脂ペースト100の硬度を所定以下の柔軟性のあるものとすることができ、衝撃に対する耐性が高まる。
【0107】
また、熱伝導性樹脂ペースト100のゲル化状態も保たれ、熱伝導性樹脂ペースト100の流動化を防止できる。その結果、熱硬化後であっても、発熱体である光源の角度調整の障害となることなく、熱伝導性樹脂ペースト100の流動化を防止しつつ発熱体の熱を十分に伝導できる。
【0108】
さらに、硬化前の熱伝導性樹脂ペースト100の粘度を所定値以下に低くすることができる。その結果、先端の細い注入具から熱伝導性樹脂ペースト100を出して、狭い隙間に熱伝導性樹脂ペースト100を注入する作業が可能となる。
【0109】
以上の内容により、硬化性ベース樹脂100重量部に対し、酸化アルミ粉末と窒化アルミ粉末の混合粉末が1000から1300重量部の範囲で充填され、かつ、前記混合粉末のうち窒化アルミ粉末が500から700重量部の範囲とすることによって、熱伝導性樹脂ペーストにおける物質の粒子の割合を硬化性ベース樹脂に対して極めて多く含ませることができるので、熱伝導性樹脂ペーストの熱伝導率を高くすることができる。また、熱伝導性樹脂ペーストに柔軟性を持たせることができ、硬化重合後の熱伝導性樹脂ペーストの硬度を所定以下の柔軟性を持つものにできるので、衝撃に対する耐性が高まる。また、熱伝導性樹脂ペーストのゲル化状態も保たれ、熱伝導性樹脂ペーストの流動化を防止できるので、熱硬化後であっても、発熱体である光源の角度調整の障害となることなく、熱伝導性樹脂ペーストの流動化を防止しつつ発熱体の熱を十分に伝導できる。
【0110】
さらに、硬化前の熱伝導性樹脂ペーストの粘度を所定値以下に低くすることができるので、先端の細い注入具から熱伝導性樹脂ペーストを出して、狭い隙間に熱伝導性樹脂ペーストを注入する作業が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は、熱伝導率が高く、硬化重合後も所定の柔軟性を持ち、硬化前の粘度が低いので、発熱体の熱を他の周辺部材に逃がす媒体として機能する熱伝導性樹脂ペーストおよびそれを用いた光ディスク装置に適応可能である。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明の一実施の形態における熱伝導性樹脂ペーストを使用した光ピックアップを示す斜視図
【図2】本発明の一実施の形態における熱伝導性樹脂ペーストを使用した光ピックアップを示す分解斜視図
【図3】本発明の一実施の形態における熱伝導性樹脂ペーストを使用した光ピックアップの光源を示す斜視図
【図4】本発明の一実施の形態における熱伝導性樹脂ペーストを使用した光ピックアップの光源を示す斜視図
【図5】本発明の一実施の形態における熱伝導性樹脂ペーストを使用した光ピックアップの組立て方法を示す図
【図6】本発明の一実施の形態における熱伝導性樹脂ペーストを使用した光ピックアップの組立て方法を示す図
【図7】本発明の一実施の形態における熱伝導性樹脂ペーストを使用した光ピックアップの光学設計の例を示す図
【図8】本発明の一実施の形態における熱伝導性樹脂ペーストを使用した光ピックアップを搭載した光ディスク装置を示す図
【図9】本発明の一実施の形態における熱伝導性樹脂ペーストを使用した光ピックアップの装着方法を示す図
【図10】本発明の一実施の形態における熱伝導性樹脂ペーストを使用した光ピックアップの装着方法を示す図
【図11】モノマーに占める単官能基エポキシモノマーの配合量と樹脂特性の関係を示す図
【符号の説明】
【0113】
1 光源
2 受光素子
3 結合ベース
3a 貫通孔
4,5 光学部材
6 プレート
6a,6b 側方部
7 モールド部材
8 サブマウント
9 半導体レーザ素子
10 ワイヤ
11、12 電極
13,14,15 端子部
16、17 ワイヤ
18、19 固定部
18a、19a 貫通孔
35 空間部分
36、37、39 突出部
38、40 隙間
41、42 接合部
100 熱伝導性樹脂ペースト
200 接合材
400 コリメータレンズ
401 BSプレート
402 受光センサ
403 立上げプリズム
403a、403b 面
404 ホログラム
405 対物レンズ
406 光ディスク
500 筐体
500a 上部筐体部
500b 下部筐体部
501 トレイ
502 スピンドルモータ
503 光ピックアップ
504 ベゼル
505 出没口
506、507 レール
508 イジェクトスイッチ
600 キャリッジ
601、602 軸受け部
603 貫通孔
604 対物レンズ
605 レンズ保持部
606 支持部
607 フォーカスコイル
608 トラッキングコイル
609 貫通孔
610、611、612、613 永久磁石
614 反射ミラー
615 切り欠き部
616、617 突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性ベース樹脂100重量部に対し、酸化アルミ粒子と窒化アルミ粒子の混合粒子が1000から1300重量部の範囲で充填され、かつ、前記混合粒子のうち窒化アルミ粒子が500から700重量部の範囲であることを特徴とする熱伝導性樹脂ペースト。
【請求項2】
前記酸化アルミ粒子は、平均粒径が略0.5μmの粒子と平均粒径が略10μmの粒子とを混合した粒子であることを特徴とする請求項1に記載の熱伝導性樹脂ペースト。
【請求項3】
前記酸化アルミ粒子において、平均粒径が略0.5μmの粒子と平均粒径が略10μmの粒子との重量比は、略1:5であることを特徴とする請求項2に記載の熱伝導性樹脂ペースト。
【請求項4】
前記酸化アルミ粒子は、表面処理剤で表面処理されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の熱伝導性樹脂ペースト。
【請求項5】
前記表面処理剤は、フェニル基とアミノ基を有するシランカップリング剤であることを特徴とする請求項4に記載の熱伝導性樹脂ペースト。
【請求項6】
前記酸化アルミ粒子は、表面形状が略球状であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の熱伝導性樹脂ペースト。
【請求項7】
前記酸化アルミ粒子は、20W/m・K以上の熱伝導率を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の熱伝導性樹脂ペースト。
【請求項8】
前記窒化アルミ粒子は、平均粒径が略40μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の熱伝導性樹脂ペースト。
【請求項9】
前記窒化アルミ粒子は、表面処理されていることを特徴とする請求項1または8に記載の熱伝導性樹脂ペースト。
【請求項10】
前記窒化アルミ粒子は、焼結助剤である酸化イットリウムおよび粒度制御剤である窒化ホウ素を加え高温焼結する表面処理されていることを特徴とする請求項9に記載の熱伝導性樹脂ペースト。
【請求項11】
前記窒化アルミ粒子は、略球状であることを特徴とする請求項1または請求項8〜10のいずれか1つに記載の熱伝導性樹脂ペースト。
【請求項12】
前記窒化アルミ粒子は、150W/m・K以上の熱伝導率を有することを特徴とする請求項1または請求項8〜11のいずれか1つに記載の熱伝導性樹脂ペースト。
【請求項13】
前記硬化性ベース樹脂100重量部に対し、1分子中に官能性オキシラン環を2つ以上持つエポキシモノマーもしくはエポキシオリゴマーが10重量部以上配合され、かつ、1分子中に官能性オキシラン環を略1つ持つエポキシモノマーが30重量部以上配合されることで、2官能基エポキシモノマーと単官能基エポキシモノマーとの配合重量比率を略1:3にすることを特徴とする請求項1に記載の熱伝導性樹脂ペースト。
【請求項14】
前記硬化性ベース樹脂は、脂肪族に分類されるエポキシモノマーが60重量部以上配合されることを特徴とする請求項13に記載の熱伝導性樹脂ペースト。
【請求項15】
前記硬化性ベース樹脂は、熱硬化性樹脂、室温硬化性樹脂、湿気硬化性樹脂から選ばれる硬化性樹脂であることを特徴とする請求項1または請求項13〜14のいずれか1つに記載の熱伝導性樹脂ペースト。
【請求項16】
前記硬化性ベース樹脂は、脂肪族アミン系硬化剤が配合されていることを特徴とする請求項1または請求項13〜15のいずれか1つに記載の熱伝導性樹脂ペースト。
【請求項17】
前記硬化性ベース樹脂は、変性ポリアミドアミン系硬化剤が配合されていることを特徴とする請求項1または請求項13〜15のいずれか1つに記載の熱伝導性樹脂ペースト。
【請求項18】
前記硬化性ベース樹脂は、硬化前の粘度が20mPa・s〜500mPa・s(25℃)の範囲であることを特徴とする請求項1または請求項13〜17のいずれか1つに記載の熱伝導性樹脂ペースト。
【請求項19】
硬化性ベース樹脂と、熱伝導性物質の粒子と、からなる熱伝導性樹脂ペーストであって、前記硬化性ベース樹脂は、2官能基エポキシモノマーと単官能基エポキシモノマーとの配合重量比率を略1:3として、ポリマー連鎖を切断した構成とし、
熱伝導性物質は、窒化アルミ粒子および径の異なる2種類の酸化アルミ粒子を含み、窒化アルミ粒子の平均粒径を略40μm以上、径の大きい酸化アルミ粒子の平均粒径を略10μm、および径の小さい酸化アルミ粒子の平均粒径を略0.5μmとし、窒化アルミ粒子、径の大きい酸化アルミ粒子、および径の小さい酸化アルミ粒子の配合重量比率を略5:5:1と構成し、さらに、前記硬化性ベース樹脂と前記熱伝導性物質の粒子との配合重量比率を略1:11に構成したことを特徴とする熱伝導性樹脂ペースト。
【請求項20】
前記硬化性ベース樹脂と前記酸化アルミ粒子と前記窒化アルミ粒子とは、真空撹拌脱泡ミキサーで混練されることを特徴とする請求項1〜19のいずれか1つに記載の熱伝導性樹脂ペースト。
【請求項21】
前記硬化性ベース樹脂と前記酸化アルミ粒子と前記窒化アルミ粒子とは、前記混練直後、−5℃より低温で冷却され、−5℃より高くない温度で貯蔵されていることを特徴とする請求項20のいずれか1つに記載の熱伝導性樹脂ペースト。
【請求項22】
請求項1から請求項21のいずれか1項に記載の前記熱伝導性樹脂ペーストを具備した光ディスク装置であって、
レーザ光を発光する光源と、前記光源の位置を規制し固定する結合ベースと、を備え、
前記光源と、前記結合ベースとは、前記熱伝導性樹脂ペーストを介して固定されることを特徴とする光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−260855(P2008−260855A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−104797(P2007−104797)
【出願日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】