説明

熱処理およびUV架橋により芳香族ポリイミド膜から調製された高分子膜

本発明は、熱処理および架橋により芳香族ポリイミド膜から調製される新種の高性能高分子膜、およびこれらの膜を製造し使用する方法を開示する。高分子膜を、不活性雰囲気での熱処理と、好ましくはそれに続くUV照射源を用いる架橋による芳香族ポリイミド膜から調製した。芳香族ポリイミド膜を、複素環イミド窒素のオルト位に垂下するヒドロキシ官能基を含み、かつ高分子骨格中の架橋性官能基の両方を含む芳香族ポリイミド高分子化合物から作製した。前記膜は、未処理の芳香族ポリイミド膜に比較して、気体分離に関して選択性と透過性が大幅に向上した。前記膜は、任意の使い勝手のよい形状に加工され、様々な液体、気体、および蒸気の分離に最適なだけではなく、触媒および燃料電池の用途などのその他の用途にも使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱処理およびUV架橋により芳香族ポリイミド膜から調製される新種の高性能高分子膜、および、これらの膜を製造する方法及び使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
過去30〜35年で、高分子膜に基づく気体分離プロセスの最先端技術は急速に発展した。膜に基づく技術は、従来型の分離方法と比較し、投資コストが低くエネルギー効率が高いという両方の利点を有する。膜気体分離は、石油の生産業者や精油業者、化学会社、および工業用ガスの供給業者の特別な関心事である。いくつかの用途では、天然ガスやバイオガスからの二酸化炭素の除去、石油回収の促進、また、アンモニアパージガス中の窒素、メタン、およびアルゴンからの水素の除去などが商業的に成功している。例えば、UOP社のSeparex(商標)酢酸セルロース高分子膜は、現在、天然ガスからの二酸化炭素除去では国際的なマーケットリーダーである。
【0003】
商業的な気体分離用途で最も一般的に使用される膜は、重合体で非多孔性である。分離は溶解拡散機構に基づいている。この機構には、膜高分子化合物と透過する気体の分子レベルでの相互作用が関与している。この機構は2つの対抗面を有する膜では各成分が一方の面で膜によって収着され、気体の濃度勾配によって輸送され、他方の面で脱着されることを想定している。この溶解拡散モデルによれば、特定の1組の気体(例えば、CO/CH、O/N、H/CH)を分離する膜性能は、2つのパラメーター、すなわち、透過係数(以下、Pと略記する)と選択性(αA/B)、によって決定される。Pは、気体流束と膜の選択的表面薄層厚さの積を、膜両面間の圧力差で割ったものである。αA/Bは、2種の気体の透過係数の比(αA/B=P/P)であり、ここで、Pは透過性が高い方の気体の透過係数であり、Pは透過性が低い方の気体の透過係数である。気体は、高い溶解係数もしくは高い拡散係数により、または両係数が共に高いことにより、高い透過係数を有することが可能である。一般に、溶解係数は気体の分子サイズの増大と共に増加するが、拡散係数は減少する。高性能高分子膜では、高い透過性と選択性の両方が望まれる。なぜなら、透過性が高くなると、一定容積の気体を処理するのに必要な膜の面積が小さくなり、それにより単位膜の投資コストが下がるからであり、また選択性が高いとより高純度の製品ガスが得られるからである。
【0004】
高分子化合物は気体分離にとって重要な低価格、透過性、機械的安定性、および加工の容易さを含む一連の特性を提供する。高いガラス転移温度(Tg)、高い融点、および高い結晶度を有する高分子材料が好ましい。ガラス状高分子(すなわち、Tgより低い温度での高分子)は、より硬い骨格を有し、したがって、水素やヘリウムなどの小さな分子程速く通過させるが、その一方で、それ程硬くはない骨格を有する高分子に比較して、炭化水素などのより大きな分子は遅く通過する。しかしながら、透過性が高い高分子ほど、透過性が低い高分子に比べ一般的に選択性が低い。一般的な二律背反(いわゆる高分子の上限限界)が、常に透過性と選択性の間に存在している。過去30年にわたって、相当な研究努力がこの上限によって課された限界の克服に向けられてきた。様々な高分子と技術が用いられたが、それほど大きな成功はなかった。その上、従来の高分子膜は熱安定性および耐汚染性の点で限界がある。
【0005】
酢酸セルロース(CA)のガラス状高分子膜は、気体分離に広範囲に使用されている。現在、このようなCA膜は二酸化炭素の除去を含む天然ガスの品質向上のために使用されている。CA膜は多くの利点を有するものの、多くの特性、すなわち選択性、透過性、ならびに化学的、熱的および機械的な安定性の点で限界がある。例えば、実際には高分子膜の性能が急速に低下することが分かっている。膜性能の損失の主原因は膜表面での液体凝縮である。膜製品ガスの露点計算値に基づいて操作に対する十分な露点の余裕を与えることで凝縮を防ぐことができる。UOP社のMemGuard(商標)システム(分子篩を使用する前処理再生吸着剤装置)は、天然ガス流からC10からC35までの重質炭化水素だけでなく水をも除去するため、したがって、この流れの露点を下げるために開発された。前処理装置による重質炭化水素の選択的除去によって膜の性能を大幅に向上できる。これらの前処理装置は、天然ガス流から効率的に重質炭化水素を除去し、露点を低下させることができるがコストが相当かかる。プロジェクトの中には、前処理装置のコストが原材料組成に依っては総コスト(前処理装置および膜装置)の10%〜40%もの高いものがあった。前処理装置のコストの削減または前処理装置を完全になくせば、天然ガスの品質向上のための膜装置コストを大幅に削減できる。また一方で、近年、ますます多くの膜装置が大規模な沖合天然ガス品質向上プロジェクトで利用されている。沖合プロジェクトにとって設置面積は大きな制約である。従って、設置面積の縮小は、沖合プロジェクトにとって非常に重要である。また、前処理装置の設置面積は全体の膜装置の設置面積の10〜50%を超え、非常に高い比率である。膜装置からの前処理装置を除去すると、特に沖合プロジェクトに対して大きな経済的な効果をもたらす。
【0006】
ポリイミド(PI)、ポリ(トリメチルシリルプロピン)(PTMSP)、およびポリトリアゾールなどの高性能高分子化合物が膜選択性、透過性、および熱安定性を向上させるために最近開発された。これらの高分子膜は、CO/CH、O/N、H/CHおよびプロピレン/プロパン(C/C)などの気体対の分離に対し有望な特性を示している。しかしながら、これらの高性能高分子膜材料は、透過性−選択性の二律背反で限界に達している。高い透過性の膜は一般に選択性が低く、逆に高い選択性の膜は透過性が低い。その上、ガラス状溶解拡散膜の使用に基づく気体分離プロセスでは、COやCなどの収着した透過分子によって硬い高分子マトリックスが可塑化されることにしばしば悩まされていた。原材料の混合気体が凝縮可能な気体を含んでいる場合の膜構造膨潤および原材料中の全成分の透過性の著しい増加で代表される高分子の可塑化は可塑化圧力よりも上で起こる。
【0007】
Barsemaらは、Matrimid(登録商標)を不活性雰囲気中で熱処理することで、分子構造と共に膜特性を変えることができることを報告した(Barsema, et al., J. MEMBR. SCI, 238:93(2004)を参照のこと)。これらの熱処理したポリイミド膜は可塑化耐性の向上を示した。しかしながら、これらの熱処理したポリイミド膜は、未処理のポリイミド膜と比較して選択性と透過性の有意な向上を示さなかった。
【0008】
米国特許2008/0300336A1には、UV架橋を使用することで、膜の透過性と選択性を向上させる機能を果たす分子篩を含む特定の混合マトリックス膜の選択性を向上させることに成功したことが報告されている。しかしながら、そこに報告されたレベルの向上を達成するには、高分子化合物を架橋することと分子篩を添加することの両方が必要であった。米国特許2008/0300336A1で報告された膜の中には、天然ガスからCOを除去するための50℃の試験温度で200Barrerを超えるCO透過性と40を超えるCO/CH選択性を示すものは無かった。分子篩を分散する必要性をなくすため、また高分子化合物と分子篩の間の接着性の不足によって引き起こされるあらゆる問題を排除するためにも分子篩を含有しない改良型の高分子膜を得ることが強く望まれていた。
【0009】
したがって、高い透過性と高い選択性の両方を有する新しい高分子膜がいまだに必要とされている。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、従来技術の高分子化合物の問題点を克服する新種の高性能高分子膜を提供する。これらの新しい膜は、選択性と透過性が高く、また熱安定性も高い。
本発明は、熱処理およびUV架橋により芳香族ポリイミド膜から調製される新種の高性能高分子膜、ならびにそれらの膜の製造法および使用法に関する。
【0011】
本発明に記載された高性能高分子膜は、不活性雰囲気(例えば、窒素、アルゴン、または真空)での熱処理と、続くUV照射源を用いるUV架橋により芳香族ポリイミド膜から調製される。本発明に記載された芳香族ポリイミド膜は、高分子骨格中のUV架橋性官能基と複素環イミド窒素のオルト位に垂下するヒドロキシ官能基との両方を含む芳香族ポリイミド高分子化合物から作られた。熱処理とUV架橋によって芳香族ポリイミド膜から調製された新規な高性能高分子膜は、未処理の芳香族ポリイミド膜に比較して、気体分離に関して選択性と透過性の大幅な向上を示した。熱処理とUV架橋後に選択性と透過性の両方が向上することは、複素環イミド基と複素環イミド窒素のオルト位に垂下するヒドロキシ官能基との間の反応に関係しているだけでなく、高分子鎖セグメントが互いに直接共有結合が可能な架橋による三次元架橋網目構造の形成にも関係すると考えられる。
【0012】
本発明の高性能高分子膜は、高い選択性、高い透過性、高い熱安定性、そして溶媒膨潤、可塑化および炭化水素汚染物質に対する耐性による安定した流束および長期間にわたる持続的な選択性などの利点を有しており、従来技術の高分子膜の問題を克服する。
【0013】
本発明は、1)複素環イミド窒素のオルト位に垂下するヒドロキシ基と高分子骨格中のUV架橋性官能基(例えば、カルボニル基)を含む芳香族ポリイミド高分子化合物から芳香族ポリイミド高分子膜を調製する工程、2)アルゴン、窒素、あるいは真空などの不活性雰囲気中で、300℃と600℃の間で加熱して芳香族ポリイミド高分子膜を熱処理する工程、3)工程2)の熱処理した芳香族ポリイミド高分子膜をUV照射によりUV架橋する工程による高性能高分子膜の製造方法を提供する。場合によっては、工程3)の後に、熱処理とUV処理の両方を施したポリイミド高分子膜の選択層表面に、ポリシロキサン、フッ素高分子化合物、熱硬化性シリコーンゴム、またはUV硬化性エポキシシリコーンを塗布することによる膜の後処理工程を追加することができる。
【0014】
本発明において熱処理とUV架橋により芳香族ポリイミド膜から調製された新規な高性能高分子膜は、非多孔質対称構造、または多孔質担持層表面に担持された薄層非多孔質緻密選択層を有する非対称構造のいずれかを有することができる。本発明の新規な高性能高分子膜は、平坦なシート(または螺旋状に巻きつけるシート)、ディスク、チューブ、中空繊維、あるいは薄膜複合材料などの任意の使い勝手のよい形状に加工される。
【0015】
本発明は、本発明に記載された熱処理とUV架橋により芳香族ポリイミド膜から調製された高分子膜を用い、気体または液体の混合物から少なくとも1種の気体または液体を分離するための方法を提供し、前記方法は、a)熱処理とUV架橋によって芳香族ポリイミド膜から調製された、少なくとも前記の1種の気体または液体に対して透過性である高分子膜を提供する工程と、b)熱処理とUV架橋により芳香族ポリイミド膜から調製された前記高分子膜の一方の面に前記混合物を接触させ、前記少なくとも1種の気体または液体が前記膜を透過するようにさせる工程と、c)前記膜を透過した前記少なくとも1種の気体または液体の一部を含む透過気体組成物または透過液体組成物を前記膜の他方の面から除去する工程と、を含む。
【0016】
熱処理とUV架橋により芳香族ポリイミド膜から調製された新規な高性能高分子膜は、CO/CH、H/CH、O/N、およびプロピレン/プロパン分離などの広い範囲の分離に関して選択性と透過性の大幅な向上を示した。例えば、ポリ[3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン](ポリ(BTDA−APAF))ポリイミド膜を熱処理とUV架橋して調製された新規な高分子膜は、CO透過性(PCO2)が220Barrerで、CO/CH分離に関するCO/CH選択性(αCO2/CH4)が48.4であり、比較の未処理のポリ(BTDA−APAF)ポリイミド膜のPCO2は5.92Barrerで、αCO2/CH4は32.5である。
【0017】
本発明の新規な高分子膜は、逆浸透による水の脱塩などの様々な液体、気体、および蒸気の分離、ガソリンおよびディーゼル燃料の深度脱硫などの非水性液体分離、エタノール/水分離、水/有機溶媒混合溶媒の浸透気化(pervaporation)脱水、CO/CH、CO/N、H/CH、O/N、HS/CH、オレフィン/パラフィン、イソパラフィン/直鎖パラフィン分離およびその他の軽質混合気体分離に適しているだけでなく、また触媒や燃料電池用途などのその他の用途にも使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、熱処理とUV架橋により芳香族ポリイミド膜から調製される新種の高性能高分子膜、およびこれらの膜を製造し使用する方法に関する。
本発明の高性能高分子膜は、高い選択性、高い透過性、高い熱安定性、ならびに溶媒膨潤、可塑化および炭化水素汚染物質に対する耐性による安定した流量および持続的な選択性などの利点を有しており、従来技術の高分子膜の問題を克服する。
【0019】
本発明に記載された高性能高分子膜は、熱処理とそれに続くUV架橋により、芳香族ポリイミド膜から調製される。本発明に記載された芳香族ポリイミド膜は、高分子骨格中のベンゾフェノン基などのUV架橋性官能基と複素環イミド窒素のオルト位に垂下するヒドロキシ官能基との両方を含む芳香族ポリイミド高分子化合物から調製された。熱処理とUV架橋により、未処理の芳香族ポリイミド膜に比較して、選択性、透過性、また化学的および熱的安定性が大幅に向上した芳香族ポリイミド膜が提供される。熱処理とUV架橋後の性能向上は、複素環イミド基と複素環イミド窒素のオルト位に垂下する側鎖ヒドロキシ官能基との間の反応に関係しているだけでなく、高分子鎖セグメントが互いに直接共有結合が可能な架橋による三次元架橋網目構造の形成にも関係すると考えられる。
【0020】
本発明は、1)複素環イミド窒素のオルト位に垂下するヒドロキシ基と高分子骨格中のUV架橋性官能基(例えば、カルボニル基)を含む芳香族ポリイミド高分子化合物から芳香族ポリイミド高分子膜を調製する工程と、2)芳香族ポリイミド高分子膜を熱処理する工程と、3)工程2)の熱処理した芳香族ポリイミド高分子膜をUV架橋する工程とによる高性能高分子膜の製造方法を提供する。場合によっては、熱処理とUV処理の両方を施したポリイミド高分子膜の選択層表面に、ポリシロキサン、フッ素高分子化合物、熱硬化性シリコーンゴム、またはUV硬化性エポキシシリコーンなどの高透過材料の薄層を塗布することによる膜の後処理工程を、工程3)の後に加えることができる。
【0021】
芳香族ポリイミド高分子膜に対する熱処理は、アルゴン、窒素、あるいは真空などの不活性雰囲気中、300℃と600℃の間で膜を加熱して行われる。熱処理プロセスの間に、複素環イミド基と複素環イミド窒素のオルト位に垂下するヒドロキシ基の間で不可逆な分子転移反応が起こることが提案されている。熱処理された芳香族ポリイミド高分子膜のUV架橋はUV照射源で膜に照射することによって行われる。このUV架橋工程により、結果として高分子鎖セグメントが互いに直接共有結合が可能な架橋による三次元架橋網目構造の形成が行われると考えられる。
【0022】
本発明の新規な高性能高分子膜の調製に用いられるUV架橋性官能基と側鎖ヒドロキシ官能基の両方を有する芳香族ポリイミド高分子化合物は、式(I)の複数の第1の繰り返し単位を有し、ここで、式(I)は以下の構造であり、
【0023】
【化1】

【0024】
式(I)の−X−は、
【0025】
【化2】

【0026】
またはそれらの混合物であり、式(I)の−X−は、−X−と同じか、または
【0027】
【化3】

【0028】
あるいはそれらの混合物から選択され、
式(I)の−X−は、
【0029】
【化4】

【0030】
またはそれらの混合物であり、−R−は、
【0031】
【化5】

【0032】
またはそれらの混合物である。
本発明の新規な高性能高分子膜の調製に用いられるUV架橋性官能基と側鎖ヒドロキシ官能基の両方を有するいくつかの好ましい芳香族ポリイミド高分子化合物としては、限定されないが、ポリ[3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン](ポリ(BTDA−APAF))、ポリ[4,4’−オキシジフタル酸無水物−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン](ポリ(ODPA−APAF))、ポリ(3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物−3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノ−ビフェニル)(ポリ(BTDA−HAB))、ポリ[3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン](ポリ(DSDA−APAF))、ポリ(3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン−3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノ−ビフェニル)(ポリ(DSDA−APAF−HAB))、ポリ[2,2’−ビス−(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物−3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン](ポリ(6FDA−BTDA−APAF))、ポリ[4,4’−オキシジフタル酸無水物−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン−3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノ−ビフェニル](ポリ(ODPA−APAF−HAB))、ポリ[3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン−3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノ−ビフェニル](ポリ(BTDA−APAF−HAB))、およびポリ(4,4’−ビスフェノールA二無水物−3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン](ポリ(BPADA−BTDA−APAF))が挙げられる。
【0033】
本発明の新規な高性能高分子膜の調製に用いられるUV架橋性官能基と側鎖ヒドロキシ官能基の両方を有する芳香族ポリイミド高分子化合物は、ポリアミド酸の生成とそれに続く溶液イミド化もしくは熱イミド化を伴う2段階の工程によって、1−メチル−2−ピロリドン(NMP)あるいはN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)などの極性溶媒中でジアミンモノマーと二無水物モノマーから合成される。無水酢酸は脱水剤として使用され、ピリジン(またはトリエチルアミン)は溶液イミド化反応のイミド化触媒として使用される。
【0034】
本発明の芳香族ポリイミド膜は、均一の芳香族ポリイミド溶液を清浄なガラス板の表面に流延し、溶媒を室温で少なくとも12時間かけてプラスチックカバーの中で徐々に蒸発させることによって、高分子骨格中のUV架橋性官能基と複素環イミド窒素のオルト位に垂下するヒドロキシ官能基を含む芳香族ポリイミド高分子化合物から非多孔性対称薄層構造を有する膜に加工できる。次に、その膜をガラス板から剥離して室温で24時間乾燥し、その後、200℃で少なくとも48時間、真空中で乾燥させる。
【0035】
本発明の芳香族ポリイミド膜は、また芳香族ポリイミド高分子化合物を溶媒に溶解してポリイミド材料の溶液を作る工程と、多孔性膜担体(例えば、無機セラミック材料製の担体)を前記溶液に接触させる工程と、溶媒を蒸発させて前記担体の表面に芳香族ポリイミド高分子化合物を含む薄膜選択層を提供する工程とを含む方法によっても加工できる。
【0036】
本発明の芳香族ポリイミド膜をまた、位相反転によって、続いて炭化水素あるいはエーテルなどの疎水性の有機化合物である少なくとも1種の乾燥剤を用いて直接空気乾燥することによって、平坦なシートあるいは中空繊維構造を有する非対称膜として加工することができる(米国特許第4,855,048号を参照)。また、本発明の芳香族ポリイミド膜を、位相反転によって、続いて溶媒交換法で処理することによって、平坦なシートあるいは中空繊維構造を有する非対称膜として加工することもできる(米国特許第3,133,132号を参照)。
【0037】
UV架橋性官能基及びペンダントヒドロキシ官能基の両方を有する芳香族ポリイミド高分子を溶解する溶媒は、主に高分子化合物を完全に溶解する能力と膜形成工程での溶媒除去の容易さで選ばれる。溶媒選定にあたって考慮すべき他の項目としては、低毒性、低腐食活性、低環境危険可能性、入手可能性、およびコストが挙げられる。本発明で使用される代表的な溶媒としては、N−メチルピロリドン(NMP)およびN,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)などの高分子膜の形成に典型的に使用されるほとんどのアミド系溶媒、塩化メチレン、テトラヒドロフラン(THF)、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、トルエン、ジオキサン、1,3−ジオキソラン、それらの混合物、当業者に知られたその他の溶媒とそれらの混合物が挙げられる。
【0038】
本発明の芳香族ポリイミド高分子膜を、アルゴン、窒素あるいは真空などの不活性雰囲気中で300℃と600℃の間で熱処理した。次に、熱処理後の芳香族ポリイミド高分子膜を架橋するためにさらにUV照射源で膜に照射するUV処理を行った。UV処理を行う一つの方法は、UVランプを求められる分離特性に基づいて選択された所定の距離から一定の時間使用することである。例えば、熱処理後の芳香族ポリイミド高分子膜に、膜表面からUVランプまでが1.9センチメートル(0.75インチ)の距離のUVランプから発生する254nmの波長のUV光を用いて50℃より低い温度で30分照射するUV照射への曝露によるUV処理をすることも可能である。ここで述べたUVランプは、エースガラス社製の12ワットの電源を備えた12ワットの低圧水銀アーク浸漬型UV石英ランプである。UV処理のための条件を最適化することで、透過特性および環境安定性が向上した広範囲の気体と液体の分離膜を個々の目的に合わせて容易に調製することができる。熱処理された芳香族ポリイミド高分子膜のUV架橋度は、UVランプと膜表面の間の距離、UV照射時間、UV光の波長と強度などを調整することによって制御できる。好ましくは、UVランプから膜表面までの距離は12ワット〜450ワットの低圧もしくは中圧の水銀アークランプから提供されるUV光を用いて、0.8〜25.4センチメートル(0.3〜10インチ)の範囲にあり、UV照射時間は、0.5分〜1時間の範囲にある。さらに好ましくは、UVランプから膜表面までの距離は12ワット〜450ワットの低圧もしくは中圧の水銀アークランプから提供されるUV光を用いて、1.3〜5.1センチメートル(0.5〜2インチ)の範囲にあり、UV照射時間は、0.5分〜40分の範囲にある。
【0039】
場合によっては、熱処理工程とUV架橋工程の後に、ポリシロキサン、フッ素ポリマー、熱硬化性のシリコーンゴム、あるいはUV硬化型エポキシシリコーンなどの高透過性材料からなる薄層を導入することによって、膜の後処理工程を追加することができる。表面の孔及び空隙を含むその他の欠陥を埋める塗装膜(米国特許第4,230,463号、米国特許第4,877,528号、米国特許第6,368,382号を参照)。
【0040】
本発明に記載された熱処理とUV架橋により芳香族ポリイミド膜から調製される新規の高性能高分子膜は、非多孔質対称構造あるいは多孔質担持層表面に担持された薄層非多孔質緻密選択層を有する非対称構造のいずれかの構造を持つことができる。多孔質担体は同じ芳香族ポリイミド材料からでも、高い熱安定性を有する異種の材料からでも作製できる。本発明の新規な高性能高分子膜は、平坦なシート(または螺旋状に巻きつけるシート)、ディスク、チューブ、中空繊維、あるいは薄膜複合材料などの任意の使い勝手のよい形状に加工できる。
【0041】
本発明は、本発明に記載された熱処理とUV架橋により芳香族ポリイミド膜から調製された新規な高分子膜を用い、気体または液体の混合物から少なくとも1種の気体または液体を分離するための方法を提供し、前記方法は、a)熱処理とUV架橋によって芳香族ポリイミド膜から調製された少なくとも前記の1種の気体または液体に対して透過性がある新規な高分子膜を提供する工程と、b)前記混合物を、熱処理とUV架橋により芳香族ポリイミド膜から調製された前記の新規な高分子膜の一方の面に接触させ、前記少なくとも1種の気体または液体を前記膜に透過するようにさせる工程、及び、c)前記膜を透過した前記の少なくとも1種の気体または液体の一部を含む透過気体組成物または透過液体組成物を前記膜の他方の面から除去する工程と、を含む。
【0042】
本発明の熱処理とUV架橋により芳香族ポリイミド膜から調製された新規な高分子膜は、特に液相もしくは気相における特定の化合物の精製、分離や吸着に特に役に立つ。気体対の分離に加え、例えば、これらの高性能高分子膜は、逆浸透による水の脱塩、あるいは蛋白質もしくは、例えば製薬産業および生命工学産業におけるその他の熱的に不安定な化合物の分離に使用できる。また、本発明に記載された熱処理とUV架橋により芳香族ポリイミド膜から調製された新規な高分子膜は反応槽へ気体を輸送し、反応槽から培養培地を移すために発酵槽やバイオリアクターにも使用することができる。さらに、これらの新規な高分子膜は、空気や水の流れからの微生物の除去、浄水、連続発酵/膜浸透気化装置におけるエタノールの生産、ならびに空気や水の流れの中の微量の化合物や金属塩の検出や除去に使用できる。
【0043】
本発明に記載された熱処理とUV架橋により芳香族ポリイミド膜から調製された新規な高分子膜は、空気浄化、石油化学、清油、および天然ガス産業における気体分離方法に特に有用である。そのような分離としては、窒素又は酸素等の大気気体からの揮発性有機化合物(例えば、トルエン、キシレン、およびアセトン)の分離、及び空気からの窒素回収が挙げられる。このような分離の別の例としては、天然ガスからのCOまたはHSの分離、アンモニアパージガス流中のN、CH、およびアルゴンからのHの分離、精油所のH回収、プロピレン/プロパン分離などのオレフィン/パラフィン分離、およびイソパラフィン/直鎖パラフィン分離などがある。例えば、窒素と酸素、二酸化炭素とメタン、水素とメタンもしくは一酸化炭素、ヘリウムとメタンなどの分子の大きさの異なる任意の特定の1対または1群の気体は、本明細書に記載された熱処理とUV架橋により芳香族ポリイミド膜から調製された新規な高分子膜を用いて分離できる。2種類を超える気体は第3の気体から除去することができる。例えば、本明細書に記載された膜を用いて原料天然ガスから選択的に除去できる気体成分のいくつかとしては、二酸化炭素、酸素、窒素、水蒸気、硫化水素、ヘリウムおよび他の微量気体が挙げられる。選択的に保持することができる気体成分のいくつかには、炭化水素ガスが含まれる。透過性成分が二酸化炭素、硫化水素およびそれら混合物から成る群から選ばれる酸性成分で天然ガスなどの炭化水素混合物から除去される場合、酸成分を除去するために1つのモジュール、並行操作では少なくとも2つのモジュール、あるいは一連のモジュールを利用することができる。例えば、1つのモジュールが利用される場合、供給される気体の圧力は275kPaから2.6MPa(25〜4000psi)まで変化する可能性がある。膜の両面間の圧力差は、使用した特定の膜、入口の流れの流量、および圧縮が望まれる場合には透過流を圧縮する圧縮器の可用性などの多くの要因に依存して0.7バールまで低く、あるいは145バールまで高く(10psi、あるいは2100psiまで高く)なる可能性がある。圧力差が145バール(2100psi)を超えると膜が破裂することがある。圧力差が低い程、より多くのモジュール、より多くの時間、中間生成物流れの圧縮が必要となるので、少なくとも7バール(100psi)の圧力差が好ましい。プロセスの操作温度は供給流の温度、また周囲温度条件に応じて異なってもよい。好ましくは、本発明の膜の効果的な操作温度は、−50℃〜150℃の範囲である。より好ましくは、本発明の膜の効果的な操作温度は、−20℃〜100℃の範囲である。また、最も好ましくは、本発明の膜の効果的な操作温度は、25℃〜100℃の範囲である。
【0044】
本発明に記載された熱処理とUV架橋により芳香族ポリイミド膜から調製された新規な高分子膜は、例えば、清浄な空気に関する規制を満たすために揮発性有機化合物を回収する排ガス処理や、あるいは貴重な化合物(例えば、塩化ビニルモノマー、プロピレン)を回収する生産工場のプロセス流内において、ガス流から有機蒸気を除去するための化学、石油化学、製薬および関連産業のガス/蒸気分離プロセスでも特に有用である。さらに、熱処理とUV架橋により芳香族ポリイミド膜から調製されたこれらの新規な高分子膜を使用できるガス/蒸気分離プロセスの例としては石油およびガスの精製所で炭化水素蒸気を水素から分離させることがあるが、それは、天然ガスの炭化水素結露をさせるため(すなわち、液化炭化水素がパイプラインの中で分離しないように炭化水素の露点を最も低温である可能性のある輸送パイプラインの温度よりも下げる)、ガスエンジンやガスタービン用の燃料ガスのメタン価を制御するため、およびガソリンを回収するためである。熱処理とUV架橋により芳香族ポリイミド膜から調製された新規な高分子膜は特定の気体に強く吸着する化合物(例えば、酸素に対するコバルトポルフィリンやフタロシアニン、あるいはエタンに対する銀(I))を包含し、気体が膜を透過して移動することを促進する。
【0045】
また、熱処理とUV架橋により芳香族ポリイミド膜から調製された新規な高分子膜は、オレフィンクラッキング用途のためのパラフィン/オレフィン流中のオレフィンを濃縮するためにも直接使用できる。例えば、熱処理とUV架橋により芳香族ポリイミド膜から調製された新規な高分子膜は、プロピレン/プロパン分離にプロパンからのプロピレンの生産およびイソブタンからのイソブチレンの生産のための接触脱水反応での流出物の濃度を増加させるために使用することができる。従って、ポリマーグレードのプロピレンを得るために必要なプロピレン/プロパン分離装置の段数を減らすことができる。熱処理とUV架橋により芳香族ポリイミド膜から調製された新規な高分子膜の別の用途としては、軽質パラフィン異性化およびMaxEne(商標)(ナフサクラッカー原料中の直鎖パラフィン(n−パラフィン)の濃度を高めるためのプロセスで、直鎖パラフィンは、次にエチレンに転換できる)でのイソパラフィンと直鎖パラフィンの分離がある。
【0046】
熱処理とUV架橋により芳香族ポリイミド膜から調製された新規な高分子膜は、天然ガスの品質向上(例えば、天然ガスからのCO除去)のための十分な露点の余裕を提供するために高温で操作することもできる。熱処理とUV架橋により芳香族ポリイミド膜から調製された新規な高分子膜は、天然ガスの品質向上のための、一段式膜でも、あるいは二段式膜システムにおける第一または/および第二段階の膜としてでも、いずれでも使用できる。本発明の新規な高分子膜は、選択性、透過性ならびに熱安定性および化学的安定性が高いので、高価な前処理システム無しで膜を操作できる。従って、MemGuard(商標)システムなどの高価な膜の前処理システムは、新規高分子膜装置を含む新規プロセスでは必要ない。前処置システムの除去と膜面積の大幅な削減により、大幅な投資コスト削減と膜の既存の設置面積を削減できる。
【0047】
熱処理とUV架橋により芳香族ポリイミド膜から調製されたこれらの新規な高分子膜は、水性流出物やプロセス流体などの水からの有機化合物(例えば、アルコール類、フェノール類、塩素化炭化水素類、ピリジン類、ケトン類)の除去などの浸透気化による液体混合物の分離でも使用される。エタノール選択性の膜は、発酵工程で得られた比較的低濃度のエタノール溶液(5〜10%のエタノール)中のエタノール濃度を高めるために使用される。熱処理とUV架橋により芳香族ポリイミド膜から調製されたこれらの新規な高分子膜を使用する別の液相分離の例としては、参照により本明細書に組み込まれる米国特許7,048,846に記載のプロセスと同様の浸透気化膜法によるガソリンやディーゼル燃料の深度脱硫がある。熱処理とUV架橋により芳香族ポリイミド膜から調製された硫黄を含有する分子に対し選択性のある新規な高分子膜は、流動接触分解(fluid catalytic cracking=FCC)およびその他のナフサの炭化水素流から選択的に硫黄含有分子を除去するために使用される。さらに別の液相の例としては、例えば有機化合物の異性体を分離するために、ある有機成分を別の有機成分から分離することが挙げられる。熱処理とUV架橋により芳香族ポリイミド膜から調製された新規な高分子膜を用いて分離できる有機化合物の混合物としては、酢酸エチル−エタノール、ジエチルエーテル−エタノール、酢酸−エタノール、ベンゼン−エタノール、クロロホルム−エタノール、クロロホルム−メタノール、アセトン−イソプロピルエーテル、アリルアルコール−アリルエーテル、アリルアルコール−シクロヘキサン、ブタノール−酢酸ブチル、ブタノール−1−ブチルエーテル、エタノール−エチルブチルエーテル、酢酸プロピル−プロパノール、イソプロピルエーテル−2−プロパノール、メタノール−エタノール−イソプロパノール、および酢酸エチル−エタノール−酢酸が挙げられる。
【0048】
熱処理とUV架橋により芳香族ポリイミド膜から調製されたこれらの新規な高分子膜は、水からの有機分子(例えば、浸透気化による水からのエタノールおよび/またはフェノール)の分離、ならびに水からの金属およびその他の有機化合物の除去に用いることができる。
【0049】
本発明に記載された熱処理とUV架橋により芳香族ポリイミド膜から調製された新規な高分子膜は、天然ガスからの二酸化炭素の除去を含む混合気体の分離に直接使用できる。二酸化炭素は天然ガス中のメタンガスよりも速い速度で新規な高分子膜を拡散して透過できる。二酸化炭素は、溶解性、透過性あるいはその両方が高いためにメタンよりも透過速度が速い。従って、二酸化炭素は膜の透過側に多く、メタンは膜の供給(非透過)側に多い。
【0050】
熱処理とUV架橋により芳香族ポリイミド膜から調製された新規な高分子膜の更なる用途としては、特定の副生成物あるいは生成物を選択的に除去することで平衡律速反応の収率を上げる化学反応器のセパレーターとしての用途がある。
【0051】
また、さらに、本発明に記載の熱処理とUV架橋により芳香族ポリイミド膜から調製された新規な高分子膜の別の用途としては、熱処理とUV架橋により芳香族ポリイミド膜から調製された新規な高分子膜に金属触媒もしくは高分子固定型金属触媒、または分子篩触媒を担持した触媒高分子膜としての用途がある。熱処理とUV架橋により芳香族ポリイミド膜から調製されたこれらの新規な高分子膜は、原料や生成物の不純物を除去する選択的水素化反応、固体酸の自動車燃料のアルキル化(アルキレン)、エチルベンゼンおよびクメンのアルキル化、洗剤のアルキル化、C〜Cの軽質オレフィンのオリゴマー化、トルエンをベンゼンとキシレンに転換する不均化およびトランスアルキル化工程、エチルベンゼンのパラキシレン異性体への選択的転換、ならびに当業者に周知のその他の用途などの触媒産業で関心の高い様々な触媒用途に有用である。熱処理とUV架橋により芳香族ポリイミド膜から調製された新規な高分子膜と触媒成分との両方の特性を個々の目的に合わせて吸着性と拡散性を制御することによって、液体の酸や塩基の系でのみ達成できる工程の効率を大幅に向上させる。ここでの大きな効率化は一つの反応剤を他の反応剤から、あるいは反応剤を生成物から確実に分離することで達成される。本発明に記載の熱処理とUV架橋により芳香族ポリイミド膜から調製された新規な高分子膜は、上述の触媒用途において従来の触媒に対し多くの利点を有する。
【0052】
一例として、熱処理とUV架橋により芳香族ポリイミド膜から調製されたこれらの新規な高分子膜のプロパジエンおよびプロピンの選択的水素化ならびにブタジエンの選択的水素化に対する利点はとしては、1)膜の触媒的な分離活性と化学反応との組み合わせによる触媒膜反応器の概念を利用できること、2)H濃度が制御できること、3)H/原料比率が調節できることなどが挙げられる。これらの高度な特性によって、選択的水素化反応の反応収率と選択性とを同時に改善できる。
【0053】
また、さらに本発明に記載の熱処理とUV架橋により芳香族ポリイミド膜から調製された新規な高分子膜の別の用途としては、燃料電池のための新規で効率のよいプロトン伝導性膜としての用途がある。効率のよいプロトン伝導性膜の開発は、プロトン交換膜燃料電池(PEMFCs)および直接メタノール型燃料電池(DMFCs)を含む低温燃料電池の設計および改良にとって非常に重要である。PEMFCは、高効率と環境にやさしい特性を有しているので、様々な用途の最も魅力的な電源の一つである。過去20年の間、プロトン伝導性膜の分野のほとんどの活動は、燃料電池用のプロトン伝導膜の用途に最適なプロトン伝導材料を開発することが主たる動機であった材料科学業界によって行われてきた。しかしながら、プロトン伝導性膜の用途に適切な材料がなかったことが最たる原因であるが、PEMFCおよびDMFCの技術のブレイクスルーが妨げられていた。膜の最適化されたプロトンと水の輸送特性は、効率的な燃料電池の動作にとって重要である。膜の脱水はプロトンの伝導性を減少させ、一方、過剰の水は電極の冠水に繋がる可能性があり、両方の条件は共に電池の性能を悪くする。
【0054】
本発明に記載の熱処理とUV架橋により芳香族ポリイミド膜から調製された新規な高分子膜は、その優れたプロトン伝導性、高い水吸着容量、高い化学的および熱安定性のために、従来のNafion(商標登録)高分子膜と比較し、燃料電池用途用のプロトン伝導性膜として著しく改善された性能を示すことが期待される。
【0055】
要約すると、本発明の熱処理とUV架橋により芳香族ポリイミド膜から調製された新規な高機能高分子膜は、逆浸透による水の脱塩などの様々な液体、気体、および蒸気の分離、ガソリンおよびディーゼル燃料の深度脱硫などの非水性液体分離、エタノール/水分離、水/有機溶媒混合溶媒の浸透気化脱水、CO/CH、CO/N、H/CH、O/N、HS/CH、オレフィン/パラフィン、分岐パラフィン/直鎖パラフィン分離およびその他の軽質混合気体分離に適しているだけでなく、また触媒や燃料電池用途などのその他の用途にも使用できる。
【0056】
実施例
以下の例は、本発明の1つ以上の好ましい態様を説明するために提供されるが、それらに限定されるものではない。本発明の範囲内にある以下の例に対して多くの変形が可能である。
【0057】
実施例1
ポリ(BTDA−APAF)ポリイミドの合成
高分子骨格中のUV架橋性カルボニル基と複素環イミド窒素のオルト位に垂下するヒドロキシ官能基とを含む芳香族ポリ[3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン](ポリ(BTDA−APAF))ポリイミドを、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンジアミン(BTDA)と3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(APAF)をNMP極性溶媒に溶かしたものから、ポリ(アミド酸)の生成とそれに続く溶液イミド化工程を伴う2段階の工程によって合成した。無水酢酸を脱水剤として使用し、ピリジンを溶液イミド化反応のイミド化触媒として使用した。例えば、窒素導入口と機械的スターラーを備えた250mL3つ口丸底フラスコにAPAF10.0g(27.3mmol)とNMP40mLを加えた。APAFが完全に溶解すると直ぐに、NMP40mLに溶解させたBTDA(8.8g,27.3mmol)をフラスコ内のAPAF溶液に加えた。反応溶液を周囲温度で24時間機械的に撹拌し、粘性のあるポリ(アミド酸)溶液を得た。次いで、NMP10mLに溶解させた無水酢酸11.1gを反応混合物に撹拌しながら徐々に添加し、次いでNMP10mLと混合させたピリジン8.6gを反応混合物に添加した。反応混合物を80℃で、更に1時間機械的に撹拌し、ポリ(BTDA−APAF)ポリイミドを得た。微細繊維状のポリ(BTDA−APAF)ポリイミドを、反応混合物を多量のメタノール中に徐々に沈殿させることにより回収した。次に、得られた繊維状のポリ(BTDA−APAF)ポリイミドをメタノールで完全に洗浄し、真空オーブン内で、150℃で24時間乾燥した。
【0058】
実施例2
ポリ(BTDA−APAF)ポリイミド高分子膜の調製
ポリ(BTDA−APAF)ポリイミド高分子膜を以下のように調製した。実施例1で合成したポリ(BTDA−APAF)ポリイミド4.0gをNMP12.0gと1,3−ジオキソラン12.0gの混合溶媒に溶解した。混合物を機械的に撹拌し、均一な鋳造用ドープを形成した。得られた均一な鋳造用ドープを一晩脱気した。ポリ(BTDA−APAF)高分子膜は、20ミルの隙間を持つドクターナイフを用い、清浄なガラス板の表面に置かれた脱泡後の鋳造用ドープから調製した。次に、ガラス板と一緒に膜を真空オーブンに入れた。真空オーブンの真空度と温度とを徐々に上げて溶媒を除去した。最後に、膜を200℃で少なくとも48時間真空乾燥し、残留溶媒を完全に除去し、ポリ(BTDA−APAF)高分子膜(BTDA−APAF膜と略記する)を形成した。
【0059】
実施例3
熱処理とUV架橋によるBTDA−APAF膜からの新規な高分子膜の調製
実施例2で調製されたBTDA−APAF膜を窒素気流中で5℃/分の昇温速度で50℃から450℃まで加熱した。膜を450℃で1時間保持し、次いで窒素気流中で5℃/分の速度で50℃まで冷却した。次に、熱処理後のBTDA−APAF膜を、膜表面から1.9cm(0.75インチ)の距離のUVランプから発生する波長254nmのUV光で、50℃で20分間の照射時間でUV照射した。使用したUVランプは、エースガラス社製の12ワットの電源を備えた12ワットの低圧水銀アーク浸漬型UV石英ランプであった。熱処理後UV架橋された新規膜はBTDA−APAF−HT−UV膜と略記した。
【0060】
実施例4
BTDA−APAF膜とBTDA−APAF−HT−UV膜のCO/CH分離性能
BTDA−APAF膜とBTDA−APAF−HT−UV膜を50℃の試験温度でCO/CH分離について試験した(表1)。BTDA−APAF−HT−UV膜を100℃で試験した。表1から、50℃の試験温度で、未処理のBTDA−APAF膜と比べ、BTDA−APAF−HT−UV膜はCO/CH選択性とCO透過性が大幅に上昇したことが分かる。その上、BTDA−APAF−HT−UV膜は、100℃の高温試験温度でも良好な性能を示した。これらの結果から、TDA−APAF−HT−UV膜がCO/CH分離の有力な候補であることが示唆される。
【0061】
【表1】

【0062】
実施例5
BTDA−APAF膜とBTDA−APAF−HT−UV膜のH/CH分離性能
BTDA−APAF膜とBTDA−APAF−HT−UV膜を50℃の試験温度でH/CH分離について試験した(表2)。表2から、未処理のBTDA−APAF膜と比較して、BTDA−APAF−HT−UV膜はH透過性が大幅に上昇し、H/CH選択性を維持したことが分かる。これらの結果から、TDA−APAF−HT−UV膜がH/CH分離の有力な候補であることが示唆される。
【0063】
【表2】

【0064】
比較例
高性能BTDA−APAF−HT−UA膜を市販の膜と比較するために5つのプロセスシミュレーションを検討した。比較例1は、現在市販されている膜を用いた1段階システムであった。比較例2及び比較例3は、表1に記載された新規のBTDA−APAF−HT−UA膜を用いた1段階システムであった。比較例1及び比較例2は、50℃の供給温度で実施した。操作中に膜の表面に液体が凝縮するのを防止するに十分な露点の余裕を持つように、UOPにより開発された分子篩を使用するMemGuard(商標)と呼ばれる前処理再生可能な吸着システムをこれらの2つの比較例に適用した。新規BTDA−APAF−HT−UV膜は熱安定性と機械的安定性が高いため、比較例3は100℃の高温供給温度で実施した。高温で膜システムを操作することで十分な露点の余裕が得られるので、比較3では前処理システムは必要ではなかった。
【0065】
天然ガス流から炭化水素の回収率を向上するために2段階膜システムを検討した。比較例4では市販の膜を第一段階と第二段階の両方に用いた。比較例4では、MemGuard(商標)などの前処理システムが必要になる。比較例5では、新規BTDA−APAF−HT−UV膜を第一段階及び第二段階の両方に用いた。比較例5は、製品ガスに対する十分な露点の余裕を得るために高温で第一段階を実施した。比較例5では前処理システムは必要としなかった。比較例5の第二段階は50℃の供給温度で操作し、膜選択性を高め、炭化水素損失を減らした。重質炭化水素が第二段階供給に到達するのは難しいので、MemGuard(商標)などの前処理システムは必要ではなかった。
【0066】
比較例1、2及び3では、8%COの天然ガス原料を用いた。COの製品規格は2%である。比較例1では、市販の膜は現在の天然ガスの性能向上を狙った市場で代表的な性能を有する膜であると仮定した。比較例2及び3では、新規BTDA−APAF−HT−UV膜材料を厚み200nmの膜を作るために使用した。新規BTDA−APAF−HT−UV膜の透過性は、高密度の膜に対して測定された透過性に基づいて、50℃では0.030m(STP)/m.h.kPa、100℃では0.044m(STP)/m.h.kPaと仮定した。また選択性は50℃では44、100℃では15と仮定され、表1で示した選択性よりも低かった。上記の性能に基づいたプロセスシミュレーションを比較例1、2、および3で実施した。結果を表3に示す。
【0067】
【表3】

【0068】
上記の比較例を比較することで、比較例2が、比較例1に比べて大幅なコスト削減(必要な膜面積の59.8%削減)と高い炭化水素回収(7.4%多い)を示したことが分かる。比較例3は、膜面積を削減(82.6%)できるだけでなく、炭化水素の回収率が若干低くなるが高価なMemGuard(商標)の前処理システムを除去できる。新規なBTDA−APAF−HT−UV膜システムにより、大幅に膜システムのコストと、大規模沖合ガス処理プロジェクトにとって極めて重要である設置面積の削減が期待される。
【0069】
炭化水素回収率は、比較例4および比較例5に示すように2段階膜システムの実行で上げることができる。比較例4では、両方の段階で比較例1と同じ性能データを持つ市販膜を用いた。比較例4では、新規のBTD−APAF−HT−UV膜を、第一段階と第二段階の両方に使用した。第一段階はMemGuard(商標)システムを除去するために高温で操作した。第二段階は選択性を向上させるために低温で操作した。比較例3及び比較例4における天然ガス原料は、45%CO(2段階システムに対してより有意である)に変更されており、これらの二つの比較例での二酸化炭素の製造規格は8%と仮定された。表4に比較例4及び比較例5のシミュレーション結果を示す。
【0070】
【表4】

【0071】
表4から、比較例4と比較例5の炭化水素回収率は非常によく似ていることが分かる。第一段階の膜は高温で操作するため、比較例5は、比較例4の全コストの10%〜40%を占めるMemGuard(商標)システムなどの前処理を必要としない。同時に、比較例4から比較例5で、第一段階の膜面積は79.5%削減でき、第二段階の膜面積は59.2%削減できる。比較例5により、比較例4と比べて投資(>50%)と設置面積(>50%)が大幅に削減できることが期待できる。唯一の欠点は、圧縮器が若干大きくなることである。表4から、比較例4から比較例5で、7.5%の馬力向上となることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱処理およびUV架橋により芳香族ポリイミド膜から高分子膜を製造する方法であって、
a)最初に、複素環イミド窒素のオルト位に垂下する−OH基もしくは−SH基を含み、かつ高分子骨格中のUV架橋性官能基を含むポリイミド高分子化合物を用意または合成する工程と、
b)該ポリイミド高分子化合物からポリイミド膜を作製する工程と、
c)該ポリイミド膜を、不活性雰囲気中または真空中、300℃〜600℃の間の温度で30秒〜1時間加熱し、熱処理ポリイミド膜を製造する工程と、
d)該熱処理ポリイミドに架橋処理を施す工程と、を含む方法。
【請求項2】
該架橋処理が、化学的架橋およびUV照射からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
さらに、熱処理およびUV架橋により芳香族ポリイミド膜から作製された該高分子膜の上面に、ポリシロキサン、フッ素高分子化合物、熱硬化性シリコーンゴム、およびUV硬化性エポキシシリコーンからなる群から選択される高透過性材料の薄層を塗布する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
該ポリイミド高分子化合物が、式(I)の複数の繰り返し単位を含み、
式(I)は以下の構造であり、
【化1】

式(I)の−X−は、
【化2】

またはそれらの混合物であり、式(I)の−X−は、−X−と同じか、または
【化3】

あるいはそれらの混合物から選択され、
式(I)の−Y−は、
【化4】

またはそれらの混合物であり、−Z−、−Z’−、および−Z’’−は、独立に−O−または−S−であり、−R−は、
【化5】

またはそれらの混合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
該ポリイミド高分子化合物が、ポリ[3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン](ポリ(BTDA−APAF))、ポリ(3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物−3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノ−ビフェニル)(ポリ(BTDA−HAB))、ポリ[3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン](ポリ(DSDA−APAF))、ポリ(3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン−3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノ−ビフェニル)(ポリ(DSDA−APAF−HAB))、ポリ[2,2’−ビス−(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物−3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン](ポリ(6FDA−BTDA−APAF))、ポリ[4,4’−オキシジフタル酸無水物−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン](ポリ(ODPA−APAF))、ポリ[4,4’−オキシジフタル酸無水物−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン−3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノ−ビフェニル](ポリ(ODPA−APAF−HAB))、ポリ[3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン−3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノ−ビフェニル](ポリ(BTDA−APAF−HAB))、およびポリ(4,4’−ビスフェノールA二無水物−3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン](ポリ(BPADA−BTDA−APAF))からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載の方法に従って製造される高分子膜であって、該高分子膜が、非多孔質対称構造または多孔質担持層最表面に薄層非多孔質緻密選択層を有する非対称構造を有し、平坦なシート、螺旋状に巻きつけるシート、ディスク、チューブ、中空繊維、あるいは薄膜複合材料から選択される形に加工される高分子膜。
【請求項7】
熱処理およびUV架橋により芳香族ポリイミド膜から調製された高分子膜を用いて、気体または液体の混合物から少なくとも1種の気体または液体を分離する方法であって、
a)架橋性ポリイミド高分子化合物の骨格にある架橋性官能基及び複素環イミド窒素のオルト位に垂下する−OH基または−SH基を含むポリイミド高分子化合物から調製される高分子膜を提供する段階(ここで該ポリイミド高分子は最初に熱処理されて熱処理ポリイミド高分子膜が製造され、次いで該熱処理ポリイミド高分子膜が架橋処理され、かつ熱処理とUV架橋により該芳香族ポリイミド膜から調製された該高分子膜は少なくとも1種の気体または液体に対して透過性である)と、
b)気体または液体の混合物を、熱処理とUV架橋により該芳香族ポリイミド膜から調製した該高分子膜の一方の面に接触させ、少なくとも一種の気体または液体が該膜を透過するようにさせる段階と、
c)該膜の他方の面から、該膜を透過した少なくとも1種の気体または液体の一部である透過気体組成物または透過液体組成物を除去する段階と、を含む方法。
【請求項8】
該気体が、CO/CH、CO/N、H/CH、O/N、HS/CH、オレフィン/パラフィン、およびイソパラフィン/直鎖パラフィンからなる群から選択される混合物、大気気体中の少なくとも1種の揮発性有機化合物、または炭化水素蒸気流からの水素である請求項7に記載の方法。
【請求項9】
該気体または液体が、窒素と酸素、二酸化炭素とメタン、および水素とメタンからなる群から選択される少なくとも一組の混合物、または一酸化炭素、ヘリウム、およびメタンの混合物を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
該気体または液体が、メタンと、二酸化炭素、酸素、窒素、水蒸気、硫化水素、ヘリウム、および他の微量気体からなる群から選択された少なくとも1種の気体成分とを含む天然ガスを含む、請求項7に記載の方法。

【公表番号】特表2012−521872(P2012−521872A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502071(P2012−502071)
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【国際出願番号】PCT/US2010/025820
【国際公開番号】WO2010/110994
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(598055242)ユーオーピー エルエルシー (182)
【Fターム(参考)】