説明

熱処理装置

【課題】 熱処理プレート等が変形した場合においても、支持ピンの上端が熱処理プレートの表面付近に正確に配置すること。
【解決手段】 基板1の下面中央部付近に配置された支持ピン2の上端が熱処理プレート3の上面付近に配置されるように、この支持ピン2を熱処理プレート3の下面より吊り下げ支持する吊り下げ支持機構と、この支持ピンより外側の位置に配置された支持ピン2の上端が熱処理プレート3の上面付近に配置されるように、この支持ピン2を熱処理プレートの下面より吊り下げ支持する吊り下げ支持機構とを備える。中央部の支持ピン2の長さはその外側の支持ピン2の長さより短くなっており、昇降架5が上昇するときには、当接部31が外側の支持ピン2と当接した後に中央部の支持ピン2と当接することにより、基板1は、中央部では低く端縁付近では高くなる撓んだ形で支持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液晶表示パネル用ガラス基板等の基板を加熱または冷却して熱処理する熱処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような熱処理装置としては、洗浄後の基板に脱水処理、密着強化処理、冷却処理を行う脱水ベークユニットや、基板へのフォトレジストの塗布後に溶剤成分を加熱することで化学変化を生じせしめるプリベークユニット、あるいは、基板の現像処理後に脱水処理やテーパー形成処理を行うポストベークユニット等がある。
【0003】
このような熱処理装置は、その上方に載置された基板を加熱または冷却して熱処理する熱処理プレートと、この熱処理プレートを貫通して昇降し、基板を熱処理プレート上の熱処理位置と熱処理プレートから離隔した搬入搬出位置との間で昇降させる支持ピンとを備える。
【0004】
ところで、このような熱処理装置において、支持ピンが下降することにより基板を搬入搬出位置から熱処理位置まで下降させるときに、基板の下面が水平状体となっていると、基板の下面と熱処理プレートとの間に存在する空気の存在により基板が浮遊した状態となって、基板に位置ずれが生じる場合がある。また、支持ピンが上昇することにより基板を熱処理位置から搬入搬出位置まで上昇させるときにも、基板の下面が水平状体となっていると、基板の下面と熱処理プレートとの間に空気が容易には侵入しないことから、基板が損傷する場合がある。
【0005】
このため、従来の熱処理装置においては、基板をわずかに撓ませた状態で支持するため、支持ピンによる基板の支持高さが基板の中央部では低く、基板の端縁付近では高くなるように、各支持ピンの高さを調整している。
【0006】
ところで、このような構成を採用した場合には、支持ピンが下降した状態においては、基板の端縁付近に配置された支持ピンの上端を熱処理プレートの表面付近に配置した場合には、基板の中央部付近に配置された支持ピンの上端は熱処理プレートの表面より低い位置に配置されることになる。一般に、熱処理装置においては、熱処理プレート上の基板の温度分布は均一であることが好ましい。しかしながら、基板の中央部付近に配置された支持ピンの上端は熱処理プレートの表面より低い位置に配置された場合には、支持ピンと基板下面との間に形成された空間の作用により、温度分布が不均一になるという問題がある。
【0007】
このため、特許文献1に記載の基板処理装置においては、支持ピンが下降した状態においても、基板の中央部付近に配置された支持ピンの上端が熱処理プレートの表面付近に配置されるように、基板の中央部付近に配置された支持ピンを、かさ上げ部材と熱処理プレートとは別に配設した固定プレートとにより支持する構成を採用している。
【特許文献1】特開2006−332587号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した特許文献1に記載された構成においては、支持ピンが下降した状態において、支持ピンが熱処理プレートとは別に配設された支持部材により支持される構成となっている。このため、熱処理プレートによる発熱の影響で、支持部材や熱処理プレートが変形した場合には、支持ピンが下降したときの支持ピンの上端の高さが熱処理プレートの表面に対して変動することになる。このため、全ての支持ピンの上端が熱処理プレートの表面付近に配置されるように、予め支持ピンの高さ位置を調整していた場合には、一部の支持ピンの上端が熱処理プレートの表面より上方に突出したり、熱処理プレートの表面より下方に配置されたりする現象が発生する。
【0009】
この発明は上記課題を解決するためになされたものであり、熱処理プレート等が変形した場合においても、支持ピンの上端が熱処理プレートの表面付近に正確に配置することが可能な熱処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、その上方に載置された基板を加熱または冷却して熱処理する熱処理プレートと、熱処理すべき基板の下面中央部付近に対向する位置に配置され、前記熱処理プレートを貫通した状態で昇降可能な第1支持ピンと、前記第1支持ピンの上端が前記熱処理プレートの上面付近に配置されるように、前記第1支持ピンを前記熱処理プレートの下面より吊り下げ支持する第1吊り下げ支持機構と、熱処理すべき基板の下面における前記第1支持ピンより外側の位置に配置され、前記熱処理プレートを貫通した状態で昇降可能な第2支持ピンと、前記第2支持ピンの上端が前記熱処理プレートの上面付近に配置されるように、前記第2支持ピンを前記熱処理プレートの下面より吊り下げ支持する第2吊り下げ支持機構と、前記第2支持ピンと当接した後に、前記第1支持ピンと当接することにより、前記第1支持ピンの上端と前記第2支持ピンの上端とが前記熱処理プレートの表面より上方に配置され、基板が中央部が低くその外側が高くなるように支持される基板支持位置まで、前記第1支持ピンと前記第2支持ピンとを上昇させる昇降機構とを備えることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記第1吊り下げ支持機構および前記第2吊り下げ支持機構と、前記熱処理プレートとの間に、断熱部材を介在させた。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記第1支持ピンおよび前記第2支持ピンは、各々、複数本配設されるとともに、前記昇降機構は、前記複数の第1支持ピンおよび前記複数の第2支持ピンに当接可能な複数の当接部を備え、前記複数の当接部のうちの少なくとも一部は、前記第1支持ピンまたは前記第2支持ピンに当接する昇降位置と、前記第1支持ピンまたは前記第2支持ピンには当接しない退避位置との間を移動可能である。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記複数の当接部のうちの少なくとも一部を、前記昇降位置と前記退避位置の間で移動させる駆動手段を備える。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、熱処理プレート等が変形した場合においても、支持ピンの上端を熱処理プレートの表面付近に正確に配置することが可能となる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、熱処理プレートの熱エネルギーが第1吊り下げ支持機構および第2吊り下げ支持機構に吸収されることを防止することができ、熱処理プレートの温度分布が不均一となることを防止することが可能となる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、基板に対する面取りに対応して、必要な支持ピンのみを昇降させることが可能となる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、昇降する支持ピンの選択を自動的に実行することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1および図2は、この発明の第1実施形態に係る熱処理装置の要部を示す側面概要図である。ここで、図1は各支持ピン2が下降した状態を示し、図2は各支持ピン2が上昇した状態を示している。なお、図1においては、複数の支持ピン2のうちの3本のみを図示しており、図2においては、複数の支持ピン2のうちの3本のみを実線で、他の支持ピン2の先端を仮想線で図示している。
【0019】
この熱処理装置は、大型の矩形状の液晶表示パネル用ガラス基板(以下、単に「基板」という)1に対して熱処理を行うものであり、チャンバー4内に配置された熱処理プレート3と、樹脂製のハウジング39により案内された状態で熱処理プレート3を貫通して昇降する複数の支持ピン2と、これらの支持ピン2を吊り下げた状態で支持する吊り下げ支持機構と、後述する支持ピン2の下端部14と当接する当接部31を備え、支持ピン2を昇降させる昇降架5とを備える。昇降架5は、図示しないエアシリンダの駆動により昇降する。
【0020】
この熱処理プレート3は、例えば、アルミニウム等の伝熱性が良好な金属材料によって形成され、その内部に加熱手段としてのヒータを備える。なお、この熱処理プレート3の表面には、アルミナ、マテアタイト等の低伝熱部材から構成された複数個の球体が配設されている。この球体の上端は、熱処理プレート3の上面より微少量だけ突出する状態で配設されており、基板1と熱処理プレート3の表面との間にいわゆるプロキシミティギャップと称される微小間隔を保った状態で、基板1を熱処理プレート3の球体上に載置、支持して、この基板1を加熱するように構成されている。なお、基板1を熱処理プレート3の表面と直接接触する状態で熱処理プレート3上に載置してもよい。
【0021】
図3は、支持ピン2等を示す拡大図である。
【0022】
支持ピン2は、樹脂製の先端部11と金属製の基部12とから構成される。基部12の下端には、フランジ13が配設されており、このフランジ13における基部12とは逆側には、上述した下端部14が付設されている。
【0023】
この支持ピン2は、熱処理プレート3に穿設された孔部に装着されるハウジング39内に遊嵌され、上下方向に移動可能となっている。このハウジング39におけるフランジ部17は、吊り下げ部材15の支持部18とともに、ねじ21により熱処理プレート3の下面に固定される。吊り下げ部材15の下端には、支持ピン2に配設されたフランジ13をその下面から支持するための支持部19が配設されている。このため、支持ピン2は、吊り下げ部材15や支持部19等からなる吊り下げ支持機構の作用により、熱処理プレート3の下面より吊り下げ支持される。なお、符号16は、吊り下げ部材15の位置を規制するための変形防止用サポートである。
【0024】
支持部19は、吊り下げ部材15に形成された長孔24を利用して、ねじ23により吊り下げ部材19に固定されている。このため、支持部19の高さ位置は、ねじ23により長孔24のサイズ内で調整することが可能となっている。これにより、支持部19の高さ位置を吊り下げ部材15に対して変更することで、支持ピン2の上端の位置を変更することが可能となる。
【0025】
ハウジング39におけるフランジ部17および吊り下げ部材15と、熱処理プレート3との間には、断熱材22が介在している。この断熱材22の作用により、熱処理プレート3の熱エネルギーが吊り下げ支持機構に吸収されることを防止することができ、熱処理プレート3の温度分布が不均一となることを防止することが可能となる。
【0026】
図4は支持ピン2の下端部14と当接する当接部31を支持ピン2およびそのフランジ13とともに示す平面図であり、図5はその側面図である。
【0027】
支持ピン2の下端部14と当接して支持ピン2を昇降させるための当接部31は、昇降架5に対して、ねじ33により固定されている。この当接部31は、ねじ33を緩めることにより、図4および図5に示す位置から、ねじ33の軸芯を中心に90度回転させることができる。このため、この当接部31は、図4および図5に示す支持ピン2の下端部14に当接する昇降位置と支持ピン2の下端部14には当接しない退避位置との間を移動可能となっている。
【0028】
再度図1および図2を参照して、図1に示す3本の支持ピン2のうち、基板1の下面中央部付近に対向する位置に配置された中央の支持ピン2における基部12の長さは、この支持ピン2より外側に配置された支持ピン2の基部12の長さより短くなっている。このため、中央の支持ピン2における下端部14の位置は、外側に配置された支持ピン2の下端部14の位置より上方に配置される。そして、各支持ピン2の上端は熱処理プレート3の上面付近に配置されるように、各吊り下げ支持機構における支持部19の位置が調整されている。
【0029】
このため、図1に示すように、昇降架5が当接部31とともに下降したときには、各支持ピン2の上端は熱処理プレート3の上面付近に配置されている。この状態で基板1を熱処理することにより、支持ピン2と基板1の下面との間に形成された空間の作用で温度分布が不均一になるという問題の発生を防止することが可能となる。
【0030】
この状態から、昇降架5が当接部31とともに上昇したときには、支持ピン2の長さの差異により、外側に配置された支持ピン2における下端部14が最初に当接部31に当接し、しかる後、中央に配置された支持ピン2の下端部14が当接部31に当接する。そしてこの状態でさらに昇降架5が当接部31とともに上昇すれば、図2に示すように、支持ピン2による基板1の支持高さが、基板1の中央部では低く、基板1の端縁付近では高くなることになり、基板1はわずかに撓んだ形で支持されることになる。
【0031】
このような構成を採用することにより、支持ピン2が下降するときに、基板1の下面と熱処理プレート3との間に存在する空気の存在により基板1が浮遊した状態となって基板1に位置ずれが生じたり、支持ピン2が上昇するときに、基板1の下面と熱処理プレート3との間に空気が容易には侵入しないことから基板1が損傷することを、有効に防止することが可能となる。
【0032】
また、各支持ピン2が熱処理プレート3の下面より吊り下げ支持する構成であることから、熱処理プレート3が変形した場合においても、支持ピン2はその変形に追従して移動することから、支持ピン2の上端を熱処理プレート3の表面付近に正確に配置することが可能となる。
【0033】
図1に示す3本の支持ピン2のうち、基板1の下面中央部付近に対向する位置に配置された中央の支持ピン2は、この発明における第1支持ピンとして機能し、この支持ピン2を吊り下げ支持する吊り下げ支持機構は、この発明の第1吊り下げ支持機構として機能する。また、図1に示す3本の支持ピン2のうち外側に配置された2本の支持ピン2は、この発明における第2支持ピンとして機能し、この支持ピン2を吊り下げ支持する吊り下げ支持機構は、この発明の第2吊り下げ支持機構として機能する。また、同様に、中央の支持ピン2と当接する当接部31は、この発明における第1当接部として機能し、外側に配置された2本の支持ピン2に当接する当接部31は、この発明における第2当接部として機能する。
【0034】
図6は、支持ピン2の配置を示す平面図である。
【0035】
この図6に示し、また、図2において仮想線で示すように、熱処理プレート3の長手方向(図2および図6における左右方向)には、支持ピン2が9列配置されており、支持ピン2の総本数は36本となっている。図7に示すように8面取りの基板1を処理するときには、基板1の有効領域と支持ピン2とが当接しないように、36本の支持ピン2のうち、支持ピン2ABおよび2Aが使用される。これに対して、図8に示すように6面取りの基板1を処理するときには、基板1の有効領域と支持ピン2とが当接しないように、36本の支持ピン2のうち、支持ピン2ABおよび2Bが使用される。
【0036】
このときには、使用されない支持ピン2に対応する吊り下げ支持機構の当接部31は、図4および図5に示す位置からねじ33の軸芯を中心に90度回転させることで、支持ピン2の下端部14には当接しない退避位置に移動する。なお、当接部31を回転させることで当接部を昇降位置から退避位置に移動させる代わりに、ねじ33を除去して当接部31自体を昇降架5から取り外すことにより、当接部31を退避位置に移動させてもよい。また、いずれの場合においても、退避位置に移動させる当接部31を明示するため、当接部31に特殊な色やマークを付して、作業ミスを防止するようにすればよい。
【0037】
図6乃至図8に示す36本の支持ピン2のうち中央部の支持ピン2ABは、この発明に係る第1支持ピンを構成し、その他の支持ピン2A、2Bは、この発明に係る第2支持ピンを構成する。但し、支持ピン2A、2Bは、基板1における左右両端側に配置されるものほどその長さが長く設定されている。このため、図2に示すように、支持ピン2による基板1の支持高さが、基板1の中央部では低く、基板1の端縁付近に近づくほど高くなることになり、基板1はわずかに撓んだ形で支持されることになる。
【0038】
なお、上述した実施形態においては、図2および図6に示すように、熱処理プレート3の長手方向(図2および図6における左右方向)における中央部の支持ピン2を第1支持ピンとして短くし、この支持ピン2の外側に配置された支持ピン2を第2支持ピンとして長く設定している。しかしながら、基板1の中心部に位置する支持ピン2を第1支持ピンとし、基板1の外周部に位置する支持ピン2を第2支持ピンとすることにより、基板1を、基板1の中央部が低く端縁部が高いすり鉢状に支持してもよい。
【0039】
次のこの発明の他の実施形態について説明する。図9は、この発明の第2実施形態に係る熱処理装置の当接部35付近を示す平面図である。
【0040】
上述した第1実施形態においては、当接部31を手動で回転させ、あるいは、取り外すことにより、当接部31を昇降位置と退避位置の間で移動させている。これに対して、この実施形態においては、昇降架に配設されたエアシリンダ34の駆動により、当接部35を昇降位置と退避位置の間で移動させている。
【0041】
すなわち、図9(a)に示すように、エアシリンダ34のシリンダロッドが縮んだ状態においては、当接部35は支持ピン2の下方から退避した退避位置に配置される。この状態においては、昇降架5が昇降しても支持ピン2は昇降しない。これに対して、図9(b)に示すように、エアシリンダ34のシリンダロッドが延びた状態においては、当接部35は支持ピンの下方の昇降位置に配置される。この状態において昇降架5が昇降した場合には、当接部35が支持ピン2の下端部14と当接することにより、支持ピン2も昇降する。このため、使用する支持ピン2の選択を、自動的に実行することが可能となる。
【0042】
次に、この発明のさらに他の実施形態について説明する。図10は、この発明の第3実施形態に係る熱処理装置の当接部32付近を示す平面図である。
【0043】
上述した第1実施形態においては、支持ピン2の長さを中央部とその外側で異ならせることにより、支持ピン2による基板1の支持高さが、基板1の中央部では低く基板1の端縁付近に近づくほど高くなるようにしている。これに対して、この実施形態においては、支持ピン2の長さは同一とし、当接部31、32による当接位置を基板1の中央部とその外側で異ならせることにより、支持ピン2による基板1の支持高さが、基板1の中央部では低く基板1の端縁付近に近づくほど高くなるようにしている。
【0044】
すなわち、この実施形態においては、図1および図2に示す支持ピン2の長さを同一とする。そして、図1および図2に示す中央部の支持ピン以外の支持ピンを図3に示す当接部31により支持する。また、図1および図2に示す中央部の支持ピン2を、図10に示すように、当接部31に比べて支持ピン2の下端部14との当接位置が昇降架5よりも下方に配置された当接部32により支持する。これにより、支持ピン2の長さを同一とした状態で、支持ピン2による基板1の支持高さが、基板1の中央部では低く基板1の端縁付近に近づくほど高くなるように設定することが可能となる。
【0045】
なお、上述した実施形態においては、全ての当接部31が支持ピン2に当接する昇降位置と支持ピン2には当接しない退避位置との間を移動可能となっている。しかしながら、全ての当接部31を移動可能に構成する必要はない。例えば、上述した実施形態において、図7に示す8面取りと図8に示す6面取りとの2形態で基板を熱処理する場合には、中央部に位置する支持ピン2ABに当接する当接部31は固定されていてもよい。
【0046】
すなわち、基板1に対する面取り状態に応じて、基板の下面中央部付近に対向する位置に配置された第1支持ピンと当接する当接部31を移動させてもよいし、第1支持ピンより外側の位置に配置された第2支持ピンに当接する当接部31の一部または全部を固定してもよい。どの支持ピン2に当接する当接部31を移動させるかは、基板1に対する面取りの形態に応じて変更すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】この発明の第1実施形態に係る熱処理装置の要部を示す側面概要図である。
【図2】この発明の第1実施形態に係る熱処理装置の要部を示す側面概要図である。
【図3】支持ピン2等を示す拡大図である。
【図4】支持ピン2の下端部14と当接する当接部31を支持ピン2およびそのフランジ13とともに示す平面図である。
【図5】支持ピン2の下端部14と当接する当接部31を支持ピン2およびそのフランジ13とともに示す側面図である。
【図6】支持ピン2の配置を示す平面図である。
【図7】8面取りの基板1を示す説明図である。
【図8】6面取りの基板1を示す説明図である。
【図9】この発明の第2実施形態に係る熱処理装置の当接部35付近を示す平面図である。
【図10】この発明の第3実施形態に係る熱処理装置の当接部32付近を示す平面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 基板
2 支持ピン
3 熱処理プレート
4 チャンバー
5 昇降架
11 先端部
12 基部
13 フランジ
14 下端部
15 吊り下げ部材
18 支持部
22 断熱材
24 長孔
31 当接部
32 当接部
33 ねじ
34 エアシリンダ
35 当接部
39 ハウジング


【特許請求の範囲】
【請求項1】
その上方に載置された基板を加熱または冷却して熱処理する熱処理プレートと、
熱処理すべき基板の下面中央部付近に対向する位置に配置され、前記熱処理プレートを貫通した状態で昇降可能な第1支持ピンと、
前記第1支持ピンの上端が前記熱処理プレートの上面付近に配置されるように、前記第1支持ピンを前記熱処理プレートの下面より吊り下げ支持する第1吊り下げ支持機構と、
熱処理すべき基板の下面における前記第1支持ピンより外側の位置に配置され、前記熱処理プレートを貫通した状態で昇降可能な第2支持ピンと、
前記第2支持ピンの上端が前記熱処理プレートの上面付近に配置されるように、前記第2支持ピンを前記熱処理プレートの下面より吊り下げ支持する第2吊り下げ支持機構と、
前記第2支持ピンと当接した後に、前記第1支持ピンと当接することにより、前記第1支持ピンの上端と前記第2支持ピンの上端とが前記熱処理プレートの表面より上方に配置され、基板が中央部が低くその外側が高くなるように支持される基板支持位置まで、前記第1支持ピンと前記第2支持ピンとを上昇させる昇降機構と、
を備えることを特徴とする熱処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の熱処理装置において、
前記第1吊り下げ支持機構および前記第2吊り下げ支持機構と、前記熱処理プレートとの間に、断熱部材を介在させた熱処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の熱処理装置において、
前記第1支持ピンおよび前記第2支持ピンは、各々、複数本配設されるとともに、前記昇降機構は、前記複数の第1支持ピンおよび前記複数の第2支持ピンに当接可能な複数の当接部を備え、
前記複数の当接部のうちの少なくとも一部は、前記第1支持ピンまたは前記第2支持ピンに当接する昇降位置と、前記第1支持ピンまたは前記第2支持ピンには当接しない退避位置との間を移動可能である熱処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の熱処理装置において、
前記複数の当接部のうちの少なくとも一部を、前記昇降位置と前記退避位置の間で移動させる駆動手段を備える熱処理装置。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2010−34208(P2010−34208A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−193452(P2008−193452)
【出願日】平成20年7月28日(2008.7.28)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】