説明

熱可塑性樹脂フィルムの製造方法

【課題】ロールを損傷させることなく、これらのロールの汚れを効果的に除去することにより、傷が少ない高品質の熱可塑性樹脂フィルムを効率的に製造する方法を提供する。
【解決手段】走行するフィルムが少なくとも1本のロールに接する工程を含む熱可塑性樹脂フィルムの製造において、走行するフィルムが接するロールのうち少なくとも1本のロールに周波数1000〜7000Hz、パルス幅100〜280ナノ秒のレーザー光を間欠照射することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂フィルムの製造方法に関する。詳細には、傷が少なく品質に優れ、かつ生産性に優れた熱可塑性樹脂フィルムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂フィルムを製造する際には、冷却、延伸、巻取りなど一連の工程においてフィルムはロールに接しながら流れ方向(長手方向)に進行する。フィルム表面の傷を少なくするには、フィルムと接するロールの表面は平滑であることが望ましい。
【0003】
ロール表面に異物や突起がある場合は、これに起因してフィルム表面に点傷、擦れ傷などの微小な傷が発生する。このような傷の要因となるロール表面の異物は、熱可塑性樹脂を溶融押出しする際および/またはフィルムを延伸・熱固定工程で加熱する際に発生した有機物、特に、環状三量体などのオリゴマーが製造工程のロールに経時的に堆積することによって発生することが多い。このような堆積物を除去する方法として、溶剤を含ませたスポンジや布を用いロールを洗浄する作業が行われている。
【0004】
しかし、このような作業は定期的に機台を停止させて行われるため、生産性の点で問題があった。また、回転するロールに対してタッチロールや接触式のスポンジを設置し、ロールに堆積した有機物を連続的に除去する方法も行われていたが、このような方法によっても完全に堆積物を除去することは困難であり、また、回転トルクの小さいフリーロールには適用が困難であった。そのため、生産性の点からは非接着で、かつ連続的にロール上の堆積物を効率よく除去する方法が望ましい。
【0005】
これに関し、特許文献1では、ダイスから層状に吐出された溶融樹脂膜を冷却固化する冷却ロールの汚れに対し、短波長領域のレーザー光(例えば、平均出力1〜150Wで発生させた波長248nmのレーザー光)を比較的長い周期(150Hz)で間欠的に照射して除去する方法が開示されている。
【0006】
また、特許文献2では、ダイスから層状に吐出された溶融樹脂膜を冷却固化する冷却ロールの汚れに対し、長波長領域のレーザー光(例えば、平均出力数十Wで発生させた波長830〜1064nmのレーザー光)を連続照射して除去する方法が開示されている。
【0007】
さらに、特許文献3では、係る問題点を解決するため、冷却固化ロールおよび冷却固化工程以降の加熱ロール、冷却ロール、搬送ロールの汚れに対し、プラズマを照射して除去する方法が開示されている。
【0008】
【特許文献1】特開平2−62224号公報
【特許文献2】特開2002−240125号公報
【特許文献3】特開2001−62911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1、2の方法は長周期または連続でレーザー光を照射させるため、出力(積算出力)を増加させても、照射時のレーザー光のピーク出力が低いため、付着してから短時間しか経過していない低分子化合物、添加剤、有機物などの軽度の汚れは除去できても、オリゴマーなどが経時で堆積した有機物(重度の汚れ)を除去できない。
【0010】
また、特許文献3の方法は、汚れを除去する効果は大きいものの、ロール損傷を引き起こすことが多く、さらに、温度と圧力を調整しなければ、プラズマが効率的に発生しないため除去装置自体が大がかりなものになりやすい。
【0011】
フィルムの用途として、特に工業用途においては、例えばディスプレイ部材やセラミックシートなどで高精細化や高平滑化が進展しており、表面キズのないフィルムを安定的に供給することが必要である。しかし、上記のように未だ満足される有機物除去方法はなかった。
【0012】
本発明は、従来技術の課題を背景になされたものであって、ロールを損傷させることなく、これらのロールに付着した有機物、特に環状三量体などのオリゴマー堆積物を効果的に除去することにより、光学用途にも適用可能な傷が少ない高品質な熱可塑性樹脂フィルムを効率的に製造する方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、以下の構成を特徴とする。
(1)走行するフィルムが少なくとも1本のロールに接する工程を含む熱可塑性樹脂フィルムの製造において、走行するフィルムが接するロールのうち少なくとも1本のロールに周波数1000〜7000Hz、パルス幅100〜280ナノ秒のレーザー光を間欠照射することを特徴とする熱可塑性樹脂フィルムの製造方法である。
(2)前記レーザー光の平均出力が30W以上であることを特徴とする前記熱可塑性樹脂フィルムの製造方法である。
(3)前記レーザー光の光源がロールの面長方向に平行して移動することを特徴とする前記熱可塑性樹脂フィルムの製造方法である。
(4)前記熱可塑性樹脂フィルムが少なくとも一軸方向に延伸されたポリエステルフィルムであることを特徴と前記熱可塑性樹脂フィルムの製造方法である。
(5)前記製造方法により得られる熱可塑性樹脂フィルムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の製造方法により、熱可塑性樹脂フィルムの製造工程で発生するフィルムの表面の傷を大幅に低減できるとともに、ロールに付着した汚れを掃除するための製膜中断回数を激減でき、生産性を向上することができる。
また、本発明の製造方法により得られる熱可塑性樹脂フィルムは表面の傷が少なく、高品位が要求される用途にも好適用いられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明について、実施の形態とともに詳細に説明する。熱可塑性樹脂フィルム製造工程においては、一般に溶融押出しされた熱可塑性樹脂は走行しながら成形加工されて連続的にフィルムが生産される。例えば、延伸熱可塑性樹脂フィルムを製造する場合、具体的には、溶融した熱可塑性樹脂を層状に押し出す工程、層状の熱可塑性樹脂を冷却する工程、未延伸の熱可塑性樹脂シートを延伸する工程、さらに必要に応じて、延伸した熱可塑性樹脂を熱固定する工程、熱可塑性樹脂フィルムを巻き取る工程などの工程を経てフィルムが製造される。その際、フィルムは、流れ方向に走行する過程において、加熱、冷却、延伸、フィルム把持、張力制御等の種々の目的のために、多数の回転するロールに接する。
【0016】
このように走行するフィルムがロールに接する際、ロール表面に異物、ゴミ、有機物等の付着物が存在していると、ロール表面に突起が生じたようになり、この突起を起因としてフィルム表面に傷が発生する。このような傷の発生を抑えるためには、ロール表面に付着した異物、ゴミ、有機物等を効果的に除去することが有効である。
【0017】
本発明におけるロールに付着した有機物とは、炭素原子を基本骨格とする化合物であり、特にその構造を規定するものではないが、具体的には、フィルムの製造に用いられる公知の各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、有機粒子、減粘剤、熱安定剤、滑剤、発泡核剤以外に、フィルム原料に用いられる熱可塑性樹脂の低分子量物、例えば、熱可塑性樹脂の合成時に生じた未反応物、副生成物、2量体・3量体・4量体あるいはそれ以上のオリゴマー等が挙げられる。これらの中でも、特に、3量体などのオリゴマーは、比較的揮発性が高いために、フィルム製造中の加熱、減圧等によって、フィルム表面に析出しやすく、ロール表面へ付着しやすく、化学的にも安定なため堆積物として問題となりやすい。
【0018】
上記の未反応物、副生成物、オリゴマーの具体例として、ポリエステルフィルムの製造の場合は、テレフタル酸、モノ2−ヒドロキシエチルテレフタレート、ビス(2−ヒドロキシエチルテレフタレート)、モノメチルテレフタレート、ジメチルテレフタレート、メチル2−ヒドロキシエチルテレフタレート等が、またオリゴマーの具体例としては環状3量体、環状4量体、環状5量体が挙げられる。
【0019】
これらの有機物は、加熱されたフィルムの表面から析出してくるため、走行するフィルムがロールに接する度にロール表面に付着する。フィルムを連続して生産すると、ロール表面に有機物が経時的に堆積して突起となる。この突起上をフィルムが走行するとフィルム表面に点状の傷が発生する。また、フィルムの温度変化や、フィルムの走行ズレなどにより、突起のあるロール表面でフィルムがずれると、フィルム表面に斜め方向や横方向のズレ傷が生じる。さらに、ロール表面に有機物が堆積するとロールとフィルムとの表面摩擦が低下し、フィルムがロール上で滑り、その滑りによる擦り傷等が発生する。
【0020】
さらに、このような有機物の堆積による汚れが悪化すると、フィルムの製造自体が困難になるため、フィルムの製造を一旦停止してロールを掃除しなければならず、生産性を低下させることにつながる。
【0021】
本発明者は、フィルムを連続生産しながら、ロールに付着した有機物を除去する手段について鋭意検討した結果、以下の達成手段により、パルス幅:100〜280ナノ秒のレーザー光を間欠照射することで好適に有機物が除去できるということを見出し、本発明に至った。
【0022】
(1)パルス励起によるレーザー照射
レーザーの動作モードは励起形式により、連続励起とパルス励起に大別されるが、本発明のレーザー光は、パルス励起形式を用い間欠照射することが重要である。パルス励起による間欠照射であれば、有機物、特に化学的に安定な環状3量体などのオリゴマーの除去に必要なピーク出力の高いレーザー光を得ることができる点で好ましい。特許文献2のような連続照射の場合、高い出力のレーザーを得ることは容易でなく、また、有機物の除去に必要な高いエネルギーのレーザーを連続照射すれば、ロールに傷みが生じる。
【0023】
(2)レーザー光の周波数とパルス幅の制御
本発明では間欠照射するレーザー光の周波数とパルス幅の関係が重要である。レーザー光源の単位時間当りの出力(平均出力)が一定の場合、オリゴマーなどの有機物の蒸発・昇華に必要なピーク出力の高いレーザー光を得るためには、パルス幅(1パルス当りのレーザーが照射している時間)は短い方が好ましい。しかし、パルス幅が短くなると、有機物がレーザー光を吸収、発熱し、昇華、蒸発に至るまでに必要な昇温時間が得られず、有機物の除去が十分に至らない。よって、本発明では有機物の昇温に至るに十分な時間のパルス幅が必要である。
【0024】
また、レーザー光の周波数(単位時間当りにレーザー光を照射する間隔)が低い場合は、ロール面全体の有機物を除去するのに要する時間、つまり、ロール面全体にわたってレーザー光を照射するのに要する時間が長くなり、ロール汚れを除去するのに有効でない。しかし、周波数を高くすると、ピーク出力の高いレーザーがロールに間断なく照射されることで、ロールが発熱し、別途冷却装置を設けるなどの対応が必要になるだけでなく、ロールが傷むことになる。
【0025】
以上の点から、本発明ではレーザー光の周波数とパルス幅を高度に制御することが必要である。本発明のレーザー光の周波数は、1000〜7000Hzが好ましい。レーザー光の周波数が1000Hz以上であれば、ロール全体にわたって有効に有機物を除去することができる。また、レーザー光の周波数が7000Hz以下であれば、ロールの発熱を生じることなく好適である。さらに、本発明のレーザー光のパルス幅は、100〜280ナノ秒が好ましい。レーザー光のパルス幅が280ナノ秒以下であれば、有機物除去に必要な高いピーク出力が得られる。また、レーザー光のパルス幅が100ナノ秒以上であれば、有機物除去に必要な昇温時間が確保できる。
【0026】
(3)レーザー平均出力の制御
本発明の製造方法では、有機物除去とロールの損傷回避の点から、レーザー光の平均出力は30W以上が好ましく、50W以上がより好ましく、100W以上がさらに好ましく、120W以上が特に好ましい。120〜190Wがさらに好ましい。レーザー光のピーク出力が低い場合は、有機物の昇華、蒸発に必要なエネルギーが得られず。パルス照射方式の場合、パルス間隔の間にレーザー光照射により昇温した熱が散逸する為、ピーク出力の低いレーザー光を何度も照射しても有機物の昇華、蒸発に必要なエネルギーに至らない。レーザー光の平均出力が、30W以下の場合は、上記範囲で周波数とパルス幅の制御を制御しても、必要なピーク出力を得ることは難しくなる。また、レーザー光の平均出力が大きくなると、部材にもよるがロールを痛める場合がある。よって、レーザー光の平均出力としては500W以下が好ましく、400W以下がより好ましく、300W以下がさらに好ましく、200W以下が特に好ましい
【0027】
(4)レーザー波長の制御
本発明の製造方法では、波長が500〜1200nmのレーザー光を用いることが望ましい。特許文献1のような短波長レーザーでは堆積した有機物を除去するのは十分でない。これに対して、本発明のように波長を近赤外線付近にすることで、炭素−水素結合、酸素−水素結合などを有する有機物の分子内で分子振動により有機物が効率よく発熱し、蒸発・昇華することができる。波長が500nm以上であれば、有機物と相互作用するのに十分な長さの波長が得られるため、発熱による有機物を除去ができるので好ましい。また、光の波長が短いほど大きなエネルギーが得られるので好ましい。しかし、光の波長は短波長であるほど、光の散乱が大きくなり、光ファイバーによる伝播が困難になる。特に、特許文献1のような短波長レーザーを高出力で使用する場合では、ファイバーの劣化も激しくなる。そのため、大きなレーザー出力機を直接設置しなければならず、レイアウトの点で問題があった。本発明の製造方法では、上記範囲でレーザー波長を制御することで、光ファイバーの利用が可能となりレーザー出力機のレイアウトが簡便となるだけでなく、一台の出力機から複数のレーザー照射口を採光することが可能となり、光源(照射口)の移動も簡便となる。本発明で使用するレーザーの波長は1200nm以下であれば、有機物の除去に必要な光エネルギーが得られるので好ましい。このような波長のレーザーを安定して得られるレーザー発振器としては、例えば、波長1064nmのYAGレーザー発振器やファイバーレーザーなどが具体例として挙げられる。YAGレーザー発振器は、光源としても安定としており、本発明の製造方法に好適使用できる。
【0028】
(5)レーザー照射領域の制御
本発明の製造方法では、少なくとも1本のロールに間欠照射することを特徴とする。ここで、レーザーを照射する領域としては、1本のロール表面の一部であってもよく、また1本のロール表面の全領域であってもよい。いずれにしても、有機物の堆積が生じやすいロール部位に対してレーザーを照射することが好ましい。
【0029】
本発明の製造方法では、間欠照射によるレーザー光を用いるため、ロール表面に均一に照射するために、レーザー光源(レーザー照射口)はロールの面長方向(ロールの軸方向)に対して平行に移動することが好ましい。特に、本発明の製造方法では、ひとつのレーザー照射から次のレーザー照射を行う場合、次のレーザー照射のレーザー照射領域は前のレーザー照射のレーザー照射領域の一部に重なるように照射することが好ましい。レーザー光を回転するロールに照射する場合、ロールの回転速度とレーザー光源のロール軸方向の移動速度を連動させることで、レーザーの照射領域を回転方向にも軸方向にも連続的に照射することができる。このようにレーザー光源の移動速度を制御することで、間欠照射であっても、ロール表面を均一に照射することが可能となる。さらに、周波数のパルス幅とを連動させることで、レーザー光源がロールの軸方向に端から端へ一回移動することで、ロール全面にわたってレーザーを照射するように制御することができる。
【0030】
この場合、レーザー発振器とレーザー光源(レーザー照射口)が一体となった装置を移動することもできるが、レーザー発振器とレーザー光源(レーザー照射口)とを光ファイバーなどで連結したものについて、当該レーザー光源(レーザー照射口)を移動させることも好ましい実施形態である。レーザー光源(レーザー照射口)をロールの面長方向に移動させる場合は、0.01〜1m/分、より好ましくは0.02〜0.08m/分で移動させることが有機物除去を効率的に行う点から好ましい。また、レーザー照射により昇華、蒸発した有機物を除去のために、レーザー光源に近接して吸引口を設けることも好ましい実施形態である。
【0031】
(6)ロール材質の選択
本発明の製造方法では、ピーク出力の高いレーザー光を照射することになるため、ロール材質としては上記出力のレーザーが照射されてもアブレーション(揮発)しない材質を選択することが望ましい。また、ロール自体が全体として発熱しないように、パルス間隔の間にレーザー光の照射により昇温された熱が散逸できるような熱伝導率を有する材質を選択することも望ましい。本発明に用いられるロールの表面材質の具体例として、鉄やSUS等の金属、ハードクロムメッキ、アモルファスクロムメッキ等の金属メッキ、セラミック等の無機物、シリコン、ゴム、テフロン(登録商標)、塩化ビニル等の有機物が挙げられ、金属、金属メッキ、セラミックがさらに好ましい具体例として挙げられる。また、金属メッキしたロールは、ロール表面を鏡面状態にすることで、照射したレーザー光が反射するため、好適にロール表面を保護することができる。
【0032】
本発明の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法では、走行するフィルムが少なくとも1本のロールに接する工程を含む。ここで、「走行する」とは、進行方向にフィルムが連続的に送り出されている状態をいう。具体的には、連続するフィルムが、ニップロール、巻出ロール、巻取ロール、テンターなどにより送り出される状態をいう。また、ここで「フィルム」とは、JISK6900で定義されるものだけでなく、一般に「シート」と称するものも含むものである。
【0033】
本発明の製造方法では、走行するフィルムが接するロールのうち1本以上のロールについて上記レーザー光により有機物の除去を行う。レーザー照射は、すべてのロールに行っても良いし、一部のロールに対して行っても良い。また、一部のロールに対して行う場合は、フィルムとの接触面積が大きいロールに対してレーザー光照射をすることが効果的である。
【0034】
レーザーを照射するロールは静止ロールでもよいが、回転しているロール、好ましくは走行するフィルムと略同調的に回転するロールであることが好ましい。レーザーを照射するロールとして、具体的には、ダイスから吐出した溶融樹脂膜を冷却固化する冷却ロール(キャスティングロール)、縦延伸工程のロール(加熱ロール、冷却ロール、ニップロール、ガイドロール等)、工程間の搬送ロール(ガイドロール、ニップロール、サクションロール等)、引取り・巻取り工程のロール等が挙げられる。
【0035】
また、作業者に対する安全確保、製造機台の保護の点から、レーザー防護材を設置することも好ましい。また、ロール表面を鏡面状態にした場合、反射したレーザー光によりレーザー光源が痛まないように、直角でなく、一定の照射角度をつけてレーザーを照射することが望ましい。
【0036】
なお、本発明の製造方法は、上記達成手段に限定されず、本発明の効果を奏するものであれば、本願発明の範囲に含まれる。さらに、本発明の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法について、以下に具体的に詳述する。
【0037】
本発明における熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリメチレンテレフタレート、および共重合成分として、例えば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコールなどのジオール成分や、アジピン酸、セバチン酸、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などのジカルボン酸成分などを共重合したものなどのポリエステル樹脂などを用いることができる。なかでも、本発明の製造方法では、フィルムを構成するポリエステルは、エチレンテレフタレートを主体とするポリエステルが好ましい。以下、熱可塑性樹脂としてポリエステルを用いた場合の具体的態様を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0038】
本発明の製造方法では、ジカルボン酸成分として、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸,コハク酸,アジピン酸,セバシン酸,デカンジカルボン酸,マレイン酸,フマル酸,ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸、p−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸を共重合してもよい。
【0039】
共重合するジカルボン酸およびそれらのエステル誘導体の量は10モル%以下が好ましく、5モル%以下がさらに好ましい。共重合量が10モル%を超えるとポリエステルの熱安定性が悪くなり好ましくない。
【0040】
本発明の製造方法では、グリコール成分として、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物,ビスフェノールSのエチレンオキサイド付加物等の芳香族グリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等を共重合してもよい。
【0041】
共重合するグリコールの量は10モル%以下が好ましく、5モル%以下がさらに好ましい。共重合量が10モル%を超えるとポリエステルの熱安定性が悪くなり好ましくない。
【0042】
本発明の製造方法では、フィルムを構成するポリエステルが少量のアミド結合、ウレタン結合、エーテル結合、カーボネート結合等を含有する化合物を含んでいてもよい。
【0043】
本発明の製造方法では、使用するポリエステルの極限粘度は、0.4〜0.8dl/gが好ましい。極限粘度が0.4dl/g未満の場合、フィルムを延伸する際に破断することがあるため好ましくない。逆に、0.8dl/gを超える場合、ポリエステルを押出機で溶融混練する際、せん断発熱により樹脂温度が上昇して、オリゴマーが発生しやすくなるため好ましくない。
【0044】
本発明の製造方法では、押出機を用い、融点以上の温度で溶融し、ダイスから層状に押出し、回転式冷却ロールに密着固化させて未延伸ポリエステルフィルムを得る。回転式冷却ロールへ密着させる方法として、公知の静電密着法、エアーナイフ法、エアーチャンバー法等を用いることができる。また、必要に応じて、回転式冷却ロールの反対面から空気を吹付けて冷却してもかまわない。
【0045】
この際、溶融樹脂膜の冷却ロールへの密着力が弱い場合には、溶融樹脂膜から析出した有機物が冷却ロール表面に堆積するようになり、冷却ロール表面が汚れて傷の原因となる。しかし、本発明の方法を用いれば、冷却ロールに堆積した有機物を除去できる。
【0046】
本発明において、上記により得られた未延伸ポリエステルフィルムは、少なくとも一軸方向、好ましくは二軸方向に延伸することが望ましい。具体的に、上記により得られたポリエステルシートをロール方式の縦延伸機に導き、80〜125℃に加熱した後、ロールの周速差により縦方向に2.5〜5.0倍延伸して一軸延伸フィルムを得る。
【0047】
このような方式の縦延伸では、走行するフィルムが接するロールが、フィルムの加熱、延伸、ニップ、冷却等の目的のために複数本配列されており、それぞれの箇所でロール表面に有機物が堆積するようになり、これらのロール表面が汚れて傷の原因となる。しかし、本発明の方法を用いれば、縦延伸工程のロールに堆積した有機物を好適に除去できる。
【0048】
次いで、必要に応じて一軸延伸ポリエステルフィルムの片面、若しくは両面に、樹脂塗布層を設ける。例えば、本発明の製造方法で得られる二軸延伸ポリエステルフィルムでは、易滑性付与を目的とした粒子を含有しないポリエステル原料を用いることが多いため、上記の樹脂塗布層により易滑性を付与してもよく、また、光学用加工を施す際の加工性向上のため、接着性を付与してもよい。
【0049】
上記樹脂塗布層を設ける方法の具体例として、リバースロール・コート法、グラビア・コート法、キス・コート法、ロールフラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、マイヤーバーコート法、パイプドクター法、含浸・コート法およびカーテン・コート法等が挙げられ、これらの方法を単独、または、組み合わせて行ってもよい。
【0050】
次いで、前記塗布液を塗布した後の一軸延伸ポリエステルフィルムをクリップ方式の横延伸機に導き、80〜180℃に加熱した後、横方向に2.5〜5.0倍延伸し、次いで、200〜240℃で熱固定処理した後、必要に応じて縦方向および/または横方向に1〜10%緩和処理し、次いで、フィルムワインダーで巻き取って厚み10〜500μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得る。
【0051】
また、熱固定処理工程後に、縦方向および/または横方向に再延伸して、フィルムの配向を高めてもよい。
【0052】
縦方向に再延伸する方法としては、通常、1段目の縦延伸と同様、複数本配列したロール群のロールの周速差により施される。この延伸は1段階で行ってもよく、また、多段階で行ってもよい。延伸倍率は、通常、1〜5倍程度である。このように再縦延伸をする際には、延伸が進むにつれポリエステル中に溶解していた有機物が析出されやすくなり、フィルム表面に存在する有機物の量が非常に多くなることから、より一層フィルムが接する再縦延伸工程のロールに有機物が堆積するようになり、ロールが汚れて傷の原因となる。本発明の方法を用いれば、再縦延伸工程のロールに堆積した有機物を除去できる。
【0053】
次いで、最終的にフィルムを巻き取るワインダー工程においても、本発明の方法を用いることが好ましい。通常、ワインダーで巻き取られるフィルムは、巻き取られる直前に高温で熱処理されていることが多く、フィルム表面にはポリエステル中に溶解していた有機物が多量に析出しており、フィルムが接するワインダー工程のロールに堆積するようになり、ロールが汚れて傷の原因となる。本発明の方法を用いれば、ワインダー工程のロールに堆積した有機物を除去できる。
【0054】
本発明の製造方法で得られる熱可塑性樹脂フィルムは、堆積物に起因するロールの擦り傷、転写傷などの表面欠点が少ない。よって、ディスプレイ用途やセラミックシート用途などの基材フィルムとして好適に用いることができる。
【0055】
本発明の製造方法で得られる熱可塑性樹脂フィルムの厚みまたは層構成(単層または多層)は限定しないが、30μm以上400μm以下であることが好ましい。下限については、好ましくは50μm、より好ましくは100μmである。上限については350μmが好ましく、より好ましくは300μmである。フィルムの厚みが30μm未満では剛性が不十分となり場合があり、400μmを超えると、フィルムの剛性が増大し加工が困難となる場合がある。
【0056】
本発明の製造方法は高品位のフィルムを長期間連続的に生産できるので、生産効率の点からも好適である。本発明の製造方法で得られる熱可塑性樹脂フィルムロールは、堆積物に起因するロールの擦り傷、転写傷などの表面欠点が長尺において少ない。よって、ディスプレイ用途やセラミックシート用途など、後加工を施して用いられる基材フィルムとして好適に用いることができる。
【0057】
本発明の製造方法で得られる熱可塑性樹脂フィルムロールの長さおよび幅は特に限定しないが、長さは100m以上10000m以下、幅は500mm以上2000mm以下であることが好ましい。長さの下限としては1000m、上限としては8000mであることがより好ましく、幅が下限としては600mm、上限としては1600mmであることがより好ましい。
【実施例】
【0058】
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら制限されるものではない。
【0059】
〔評価方法〕
(1)ロールの汚れ状態
製膜開始前に各工程のロールを十分に掃除し、製膜開始後、約120間後の汚れ状態をそれぞれ目視で観察し、製膜前と変わらずきれいなものを「◎」、一見してほとんど汚れが見られないものを「○」、有機物が体積し、掃除が必要なものを「×」と評価し、「◎」と「○」を実用性ありと判断した。実施例と比較例のロールの汚れ状態を表1に示す。
【0060】
(2)二軸延伸ポリエステルフィルムの表面欠点
製膜開始後、約120時間後において、長さ10m、幅1mの二軸延伸ポリエステルフィルムサンプルを暗室内で垂直方向に垂らした。次いでフィルム背面の全面に光沢の無い黒色の布を配置し、フィルムを巻き出しつつ、前面(被覆層面)からブロムライト(LPL社製VIDEO LIGHT VGL301 100V 300W)を用いてフィルム面に対し約10°から45°の範囲で該ブロムライトの角度を変えながら、フィルム正面から観察し、ロール表層から長手方向100mについて表面欠点を拡大率10倍のスケール付きルーペ(PEAK社製SCALE LUPE ×10)を用いて検出し、マーキングを行った。さらに、ハケ(コクヨ社製TZ−4021N)を用いて欠点部を軽く払い埃付着ではないことを確認し、樹脂塗布層を持つフィルムの場合はメチルエチルケトンを含浸させたキムワイプ(クレシア社製WIPRS S200)を用いて欠点部を3回軽く擦り、欠点部が消失しないことで樹脂塗布層由来の欠点でないことを確認した上で、長径0.3mm以上の表面欠点を評価した。欠点が1mあたり5個以下を○とした。
【0061】
(3)ポリエステル原料の極限粘度(dl/g)
ポリエステル0.1gをフェノール/テトラクロロエタン(容積比で3/2)の混合溶媒25ml中に溶解させ、30℃でオストワルド粘度計を用いて測定する。
【0062】
[実施例1]
粒子を含有していない極限粘度が0.62dl/gのポリエチレンテレフタレートを135℃で6時間減圧乾燥(133.3Pa)した。樹脂を押出機で285℃で溶融した後、濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)が15μmのステンレス製濾過材で濾過し、285℃でTダイスから層状に押出し、25℃の回転式冷却ロールに密着固化させて未延伸ポリエステルフィルムを得た。この際、層状の溶融樹脂を静電密着法を用いて回転式冷却ロールに密着させた。
【0063】
次いで、未延伸ポリエステルフィルムをロール方式の縦延伸機に導き、赤外線ヒーターで100℃に加熱した後、ロールの周速差により縦方向に3.5倍延伸して一軸延伸フィルムを得た。
【0064】
次いで、一軸延伸ポリエステルフィルムの片面に水溶性ポリエステル樹脂溶液を塗布した後、120乾燥させ、固形分濃度が0.08g/mの機能性樹脂層(平均粒径0.2μmのシリカを0.003質量%含有)を設けた。
【0065】
次いで、この一軸延伸ポリエステルフィルムをクリップ方式の横延伸機に導き、100℃で予熱した後、130℃で横方向に4.0倍延伸し、次いで、230℃で熱固定処理した後、200℃で横方向に3%緩和処理し、次いで、フィルムワインダーで巻き取って厚み188μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
【0066】
ロールへのレーザー照射には、LD励起Nd:YAGレーザー発光装置を用い、平均出力150Wで波長1064nmのYAGレーザーをキャスティングロール、縦延伸工程の低速ロールの最後の2本、高速ロールの最初の2本、ワインダー工程の最初のハードクロムメッキをしたロールに間欠照射(周波数5000Hz、パルス幅180ナノ秒)した。なお、レーザー光源は、照射領域の一部が連続して重なるようにロール回転速度と調整し、トラバース速度(移動速度)0.045m/分で面長方向に往復移動させた。
【0067】
次いで、約120時間経過した後、ワインダーで得られた二軸延伸ポリエステルフィルムの表層を20m除去した後、中央部(1m)を長さ10mサンプリングして表面欠点評価に用いた。表1からわかるように、本実施例の方法は、約120時間連続製膜してもロールに有機物の堆積がなく、高品位の二軸延伸ポリエステルフィルムを製造できる方法であるといえる。
【0068】
[実施例2]
レーザー光の間欠照射条件を周波数2000Hz、パルス幅130ナノ秒に変更した以外は実施例1と同様にして厚さ188μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。表1からわかるように、本実施例の方法は、約120時間連続製膜してもロールに有機物の堆積がなく、高品位の二軸延伸ポリエステルフィルムを製造できる方法であるといえる。
【0069】
[実施例3]
レーザー光の間欠照射条件を周波数7000Hz、パルス幅220ナノ秒に変更した以外は実施例1と同様にして厚さ188μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。表1からわかるように、本実施例の方法は、約120時間連続製膜してもロールに有機物の堆積がなく、高品位の二軸延伸ポリエステルフィルムを製造できる方法であるといえる。
【0070】
[実施例4]
レーザーの平均出力を120Wに変更したした以外は実施例1と同様にして厚さ188μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。表1からわかるように、本実施例の方法は、約120時間連続製膜してもロールに有機物の堆積がなく、高品位の二軸延伸ポリエステルフィルムを製造できる方法であるといえる。
【0071】
[実施例5]
レーザーの平均出力を180Wに変更したした以外は実施例1と同様にして厚さ188μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。表1からわかるように、本実施例の方法は、約120時間連続製膜してもロールに有機物の堆積がなく、高品位の二軸延伸ポリエステルフィルムを製造できる方法であるといえる。
【0072】
[比較例1]
レーザー発光装置を用いなかった以外は実施例1と同様にして厚さ188μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。約72時間経過した時点でキャスティングロールと縦延伸工程のロールとワインダーのロールに有機物の堆積が目立ち、ロールの掃除が必要になった。掃除実施直前の二軸延伸ポリエステルフィルムを実施例1と同様にサンプリングして表面欠点評価に用いた。表1からわかるように、本比較例の方法は、高品位の二軸延伸ポリエステルフィルムを製造する方法として好ましくない。
【0073】
[比較例2]
レーザー光の間欠照射条件を周波数800Hz、パルス幅90ナノ秒に変更した以外は実施例1と同様にして厚さ188μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。約72時間を経過した時点で縦延伸工程のロールに有機物の堆積が目立ち、ロールの掃除が必要になった。掃除実施直前の二軸延伸ポリエステルフィルムを実施例1と同様にサンプリングして表面欠点評価に用いた。表1からわかるように、本比較例の方法は、高品位の二軸延伸ポリエステルフィルムを製造する方法として好ましくない。
【0074】
[比較例3]
レーザー光の間欠照射条件を周波数8000Hz、パルス幅300ナノ秒に変更した以外は実施例1と同様にして厚さ188μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。約72時間を経過した時点で縦延伸工程のロールに有機物の堆積が目立ち、ロールの掃除が必要になった。掃除実施直前の二軸延伸ポリエステルフィルムを実施例1と同様にサンプリングして表面欠点評価に用いた。表1からわかるように、本比較例の方法は、高品位の二軸延伸ポリエステルフィルムを製造する方法として好ましくない。
【0075】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法は、経時による製造工程のロールへの有機物の堆積が大幅に低減され、傷が少ない高品位の熱可塑性樹脂フィルムを効率的に製造できる。本発明の製造方法により得られる熱可塑性樹脂フィルムは、表面欠点が少ないため、レンズフィルム、拡散フィルム、ハードコートフィルム、赤外線吸収フィルム、反射フィルムおよびそれらのベースフィルムとして、各種ディスプレイ用途部材や、セラミックシート用途部材に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行するフィルムが少なくとも1本のロールに接する工程を含む熱可塑性樹脂フィルムの製造において、走行するフィルムが接するロールのうち少なくとも1本のロールに周波数1000〜7000Hz、パルス幅100〜280ナノ秒のレーザー光を間欠照射することを特徴とする熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
【請求項2】
前記レーザー光の平均出力が30W以上であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
【請求項3】
前記レーザー光の光源がロールの面長方向に平行して移動することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
【請求項4】
前記熱可塑性樹脂フィルムが少なくとも一軸方向に延伸されたポリエステルフィルムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法により得られる熱可塑性樹脂フィルム。

【公開番号】特開2009−40036(P2009−40036A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−174389(P2008−174389)
【出願日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】