説明

熱圧着装置

【課題】圧着ツールを加熱する加熱ツールの設定温度を従来よりも高くしても、熱による駆動部の破損を防止或いは抑制する。
【解決手段】熱圧着装置1は、受け台3と、圧着ツール11と、ヒータ12と、エアシリンダ13と、放熱フィン14とを備える。圧着ツール11は、ヒータ12によって加熱され、受け台3との間でドライバIC回路102をディスプレイパネル101に圧着する。エアシリンダ13は、圧着ツール11に接続されるロッド21と、ロッド21を移動させて圧着ツール11を受け台3に対して接近及び離間させる駆動部22とを有する。放熱フィン14は、ロッドに取り付けられ、ロッド21と圧着ツール11との間に介在される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、TAB搭載方式によってディスプレイパネルにドライバIC回路を搭載する場合に用いられる熱圧着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ等のディスプレイパネルに、TCP(Tape Carrier Package)などのドライバIC回路を電気的に接続する技術としては、TAB(Tape Automated Bonding)搭載方式が広く利用されている。このTAB搭載方式では、ディスプレイパネルとドライバIC回路の間に、例えば、ACF(AnisotropicConductive Film:異方性導電膜)を介在させ、両者を熱圧着により接続する。
【0003】
近年、ディスプレイパネルの生産量が増加しており、生産性の向上、作業の高速化が進んでいる。例えば、ディスプレイパネルとドライバIC回路を熱圧着する工程では、加熱時間を短縮するために、圧着ツールの加熱温度を従来よりも高く設定するようになってきている。
【0004】
従来の熱圧着装置としては、例えば、特許文献1に記載されているようなものがある。特許文献1には、表示パネルにサブ基板をボンディングするための表示パネルの組立装置に関するものが記載されている。この特許文献1に記載された表示パネルの組立装置では、それぞれ圧着子(圧着ツール)を有する4個の圧着ヘッドが横一列に設けられている。圧着子は、ヒータによって加熱されると共に、圧着ヘッドに内蔵された駆動部に駆動されて上下動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−330747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された表示パネルの組立装置では、圧着子(圧着ツール)の温度を高くするためにヒータ(加熱ツール)の設定温度を高くすると、その熱が圧着ヘッドの駆動部に伝達され、駆動部の温度が高くなる。その結果、駆動部が破損するという問題が生じる。
【0007】
圧着ツールを上下動させる駆動部としては、例えば、シリンダを挙げることができる。一般的なシリンダには、シリンジ内で往復運動するピストン部にゴム製のパッキンが取り付けられている。そのため、加熱ツールから伝達される熱によってシリンダが高温になると、ゴム製のパッキンが破損してしまう可能性がある。
【0008】
本発明は、このような従来技術における実状からなされたものであり、圧着ツールを加熱する加熱ツールの設定温度を従来よりも高くしても、熱による駆動部の破損を防止或いは抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するため、本発明の熱圧着装置は、受け台と、圧着ツールと、加熱ツールと、加圧ツールと、放熱手段とを備える。圧着ツールは、加熱ツールによって加熱され、受け台との間で被圧着部材を圧着する。加圧ツールは、圧着ツールに接続されるロッドと、ロッドを移動させて圧着ツールを受け台に対して接近及び離間させる駆動部とを有する。放熱手段は、ロッドに取り付けられる。
【0010】
このように構成した本発明の熱圧着装置では、加熱ツールから加圧ツールのロッドへ伝わる熱を放熱手段によって放熱する。そのため、駆動部へ伝わる熱を軽減することができ、熱による駆動部の破損を防止或いは抑制することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の熱圧着装置によれば、加熱ツールの設定温度を従来よりも高くしても、ロッドから駆動部へ伝わる熱を軽減することができ、熱による駆動部の破損を防止或いは抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の熱圧着装置の第1の実施の形態を示す斜視図である。
【図2】本発明の熱圧着装置の第1の実施の形態に係る熱圧着ユニットを示す側面図である。
【図3】本発明の熱圧着装置の第2の実施の形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の熱圧着装置を実施するための形態について、図面を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
【0014】
1.第1の実施の形態
まず、本発明の熱圧着装置の第1の実施の形態について、図1を参照して説明する。
図1は、本発明の熱圧着装置の第1の実施の形態を示す斜視図である。
【0015】
熱圧着装置1は、支柱2と、この支柱2の上下方向Zの中間部に設けられた受け台3と、支柱2の上端部に設けられた熱圧着ユニット4を備えている。支柱2の下部には、レール受け部5が設けられている。このレール受け部5は、支柱2の下方に配置されるレール7に摺動可能に係合する。これにより、熱圧着装置1は、奥行き方向Yへの移動が禁止され、レール7に沿って幅方向Xにのみ移動可能となっている。なお、図1では、6台の熱圧着装置1がレール7上に移動可能に配置されている。
【0016】
受け台3の上には、保持台(不図示)に着脱可能に固定されたディスプレイパネル101の一辺が載置される。このディスプレイパネル101には、前工程において、複数のドライバIC回路102がACFにより仮固定されている。これらディスプレイパネル101及びドライバIC回路102は、被圧着部材の一具体例を示すものである。
【0017】
ディスプレイパネル101の周囲には微小間隔をあけてパネル側電極(不図示)が設けられている。また、ドライバIC回路102は、ディスプレイパネル101の少なくとも1つの辺に沿って複数個搭載されている。なお、図1では、一例として2つの辺に沿ってドライバIC回路102が搭載されている場合を示す。このドライバIC回路102には、パネル側電極に接合されるリード電極(不図示)が設けられている。ディスプレイパネル101のパネル側電極とドライバIC回路102のリード電極は、ACFを介して電気的に接続される。
【0018】
ACFは、テープ状に形成されたバインダ樹脂内に微小な導電粒子を分散させたものである。ディスプレイパネル101とドライバIC回路102を圧着すると、ACFのバインダ樹脂が圧縮されて、パネル側電極とリード電極とが導電粒子を介して電気的に接続される。そして、バインダ樹脂を加熱して熱硬化させることにより、ドライバIC回路102がディスプレイパネル101に接着される。
【0019】
前工程では、TAB搭載機を用いてディスプレイパネル101上にドライバIC回路102を載置して所定の圧力を加えることにより、ドライバIC回路102の仮固定が行われる。このようにして仮固定されたドライバIC回路102は、熱圧着装置1によってディスプレイパネル101に熱圧着(本圧着)される。これにより、ディスプレイパネル101とドライバIC回路は、ACFを介して電気的及び機械的に接続される。
【0020】
次に、熱圧着ユニット4について図2を参照して説明する。
図2は、熱圧着ユニット4の側面図である。
【0021】
熱圧着ユニット4は、圧着ツール11と、加熱ツールの一具体例を示すヒータ12と、加圧ツールの一具体例を示すエアシリンダ13と、放熱手段の一具体例を示す放熱フィン14と、姿勢調整機構15と、ガイド部16と、を備えている。なお、図2に示す姿勢調整機構15及びガイド部16は、図1では省略されている。
【0022】
圧着ツール11は、上下方向Zで受け台3と対向しており、その受け台3との間にディスプレイパネル101及びドライバIC回路102を挟んで両者を熱圧着する。ヒータ12は、圧着ツール11の上部に接合しており、圧着ツール11を加熱する。
【0023】
エアシリンダ13は、圧着ツール11の上方に配置されている。このエアシリンダ13は、ヒータ12及び放熱フィン14などを介して圧着ツール11に接続されるロッド21と、このロッド21を空気圧により上下方向Zに移動させる駆動部22からなっている。ロッド21は、適当な強度を有する鋼鉄、ステンレス鋼材、アルミニウム鋼材などの金属材料によって棒状に形成されており、放熱フィン14に連結されている。
【0024】
放熱フィン14は、アルミニウム、銅、ステンレスなどの熱伝導率が高い材料からなり、円板状に形成されている。この放熱フィン14は、複数枚設けられており、上下方向Zに並んで互いに連結されている。複数の放熱フィン14の上端に位置する放熱フィン14Aは、ロッド21に接合されている。一方、複数の放熱フィン14の下端に位置する放熱フィン14Bには、下方に突出する連結ねじ24が設けられている。
【0025】
連結ねじ24と放熱フィン14Bとの間には、熱伝導グリス(不図示)が介在されている。この熱伝導グリスにより、連結ねじ24と放熱フィン14Bとの間の隙間が埋められ、連結ねじ24から放熱フィン14Bへ効率よく熱を伝達させることができる。その結果、複数の放熱フィン14による放熱効果を高めることができる。連結ねじ24は、スプリングホルダ25の上板部25aに螺合される。
【0026】
スプリングホルダ25は、略コ字状に形成されており、上下方向Zに対向する上板部25a及び下板部25bと、これら上板部25aと下板部25bに連続する側板部25cを有している。このスプリングホルダ25の内側には、可動子26と、スプリング27が配置されている。可動子26は、スプリングホルダ25の側板部25cに摺動可能に係合され、上下方向Zに移動する。
【0027】
可動子26の上部は、連結ねじ24に接触しており、下部はスプリング27の一端に接触している。スプリング27の他端は、スプリングホルダ25の下板部25bを貫通する連結軸29に当接している。つまり、スプリング27は、可動子26と連結軸29との間に介在されている。スプリング27の圧縮量は、スプリングホルダ25の上板部25aに対する連結ねじ24の螺合状態により調整することができる。
【0028】
連結軸29は、姿勢調整機構15に固定されている。姿勢調整機構15は、放熱フィン14、スプリングホルダ25及び連結軸29を囲う枠状に形成されており、上下方向Zに対向する上部片31及び下部片32と、熱圧着装置1の奥行き方向Yに対向する側部片33,34を有している。
【0029】
上部片31には、ロッド21を貫通させる貫通孔31aが設けられている。下部片32の上面には、連結軸29が固定されており、下面には、断熱材39を介してヒータ12が固定されている。上述したように、ヒータ12は、圧着ツール11に接合されている。したがって、エアシリンダ13のロッド21は、放熱フィン14、スプリングホルダ25、連結軸29、断熱材39及びヒータ12を介して圧着ツール11に接続されている。
【0030】
側部片33は、上下方向Zに延びる調整軸36によって下部片32に連結されている。調整軸36には、側部片33又は下部片32との接続位置を変更するためのナット37が螺合されている。このナット37によって側部片33又は下部片32との接続位置を変更することにより、側部片33と下部片32との間の距離が変更される。これにより、下部片32が軸ピン35を中心に回動し、圧着ツール11の奥行き方向Yへの傾きが調整される。
【0031】
側部片34は、ガイド部16の後述する第1のスライダ42に回動可能に取り付けられている。この側部片34には、回動操作部40が設けられている。側部片34は、回動操作部40を回転させることにより、奥行き方向Yに延びる軸を中心に回動する。これにより、姿勢調整機構15全体が回動し、圧着ツール11の幅方向Xへの傾きが調整される。つまり、姿勢調整機構15は、圧着ツール11がドライバIC回路102(図1参照)の圧着部分を略垂直に押圧するように、圧着ツール11の幅方向Xと奥行き方向Yへの傾き(姿勢)を調整する。
【0032】
ガイド部16は、支柱2に取り付けられるガイドレール41と、このガイドレール41に沿って直動する第1のスライダ42及び第2のスライダ43から構成されている。ガイドレール41は、上下方向Zに延びている。
【0033】
第1のスライダ42は、ガイドレール41に移動可能に係合される直動軸受け44と、この直動軸受け44に固定されるスライドベース45からなっている。スライドベース45には、姿勢調整機構15の側部片34が回動可能に取り付けられている。したがって、エアシリンダ13のロッド21が上下方向へ移動すると、姿勢調整機構15がガイドレール41に沿って移動し、圧着ツール11が受け台3に対して接近又は離間する。
【0034】
第2のスライダ43は、ガイドレール41に移動可能に係合される直動軸受け43と、この直動軸受け43に固定されるスライドベース46からなっている。スライドベース46には、エアシリンダ13の駆動部22が取り付けられている。また、スライドベース46には、上下方向Zへの駆動力を発生するアクチュエータ(不図示)に連結されている。このアクチュエータが駆動力を発生すると、熱圧着ユニット4全体が上下方向Zへ移動する。
【0035】
次に、熱圧着装置1の動作について説明する。
まず、複数のドライバIC回路102が仮固定されたディスプレイパネル101が、保持台(不図示)に保持され、受け台3上に載置される。このとき、保持台は、ディスプレイパネル101と複数のドライバIC回路102との接続部を圧着ツール11に対して位置決めする。
【0036】
次に、エアシリンダ13の駆動部22が駆動し、ロッド21を下方に移動させる。これにより、圧着ツール11がドライバIC回路102に接近する。そして、ドライバIC回路102とドライバIC回路102との間が所定の距離になると、エアシリンダ13の駆動部22が停止する。
【0037】
続いて、アクチュエータ(不図示)が駆動力を発生し、熱圧着ユニット4全体を下方へ移動させる。エアシリンダ13では、ロッド21の速度を制御することが難しいため、ロッド21の移動によって圧着ツール11をドライバIC回路102に接触させると、ドライバIC回路102が破損する可能性がある。そこで、圧着ツール11がドライバIC回路102にある程度接近した後は、アクチュエータによって圧着ツール11が移動する速度を制御し、ドライバIC回路102に接触する直前で圧着ツール11の速度を減速させる。
【0038】
熱圧着ユニット4全体が下方に移動すると、ディスプレイパネル101と複数のドライバIC回路102との接続部が圧着ツール11と受け台3によって挟まれて加圧される。このときに作用する加圧力は、エアシリンダ13による空気ばねで適切な値に調整される。なお、エアシリンダ13による空気ばねの大きさは、駆動部22に供給されるエア(空気)の量によって調整することができる。
【0039】
ディスプレイパネル101と複数のドライバIC回路102との接続部に圧力が加えられると、ディスプレイパネル101とドライバIC回路102との間に介在されているACFのバインダ樹脂が加圧及び加熱される。その結果、ディスプレイパネル101とドライバIC回路102が電気的且つ機械的に接続される。
【0040】
本実施の形態の熱圧着装置1によれば、ヒータ12からエアシリンダ13のロッド21へ伝わる熱を放熱フィン14によって放熱し、ロッド21から駆動部22へ伝達される熱を軽減させることができる。したがって、圧着ツール11を加熱するヒータ12の設定温度を従来よりも高くしても、熱による駆動部22の破損を防止或いは抑制することができる。
【0041】
なお、ヒータ12とロッド21(姿勢調整機構15)との間には、断熱材39が介在されているが、この断熱材39によって熱を完全に遮断することはできない。したがって、熱圧着するときの加熱時間を短縮するためにヒータ12の設定温度を高くすると、ロッド21に伝わる熱量が多くなってしまう。そのため、ロッド21へ伝わる熱を放熱フィン14によって放熱することは、エアシリンダ13及び熱圧着装置1の信頼性を向上させる方法として極めて有効になる。
【0042】
2.第2の実施の形態
次に、本発明の熱圧着装置の第2の実施の形態について、図3を参照して説明する。
図3は、本発明の熱圧着装置の第2の実施の形態を示す斜視図である。
【0043】
熱圧着装置51は、第1の実施の形態の熱圧着装置1(図1参照)と同様の構成を有している。この熱圧着装置51が熱圧着装置1と異なるところは、熱圧着ユニット52の放熱フィン54のみである。そのため、ここでは、放熱フィン54について説明し、熱圧着装置1と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0044】
放熱フィン54は、アルミニウム、銅、ステンレスなどの熱伝導率が高い材料からなり、長方形の板状に形成されている。この放熱フィン54は、複数枚設けられており、平面が幅方向Xに対向するように並んでいる。これら放熱フィン54は、上端及び下端が連結板55A,55Bによって連結されている。複数の放熱フィン54の上端を連結する連結板55Aは、ロッド21に接合されている。一方、複数の放熱フィン54の下端を連結する連結板55Bには、下方に突出する連結ねじ24(図2参照)が設けられている。
【0045】
本実施の形態の熱圧着装置51においても、第1の実施の形態の熱圧着装置1と同様に、ヒータ12からエアシリンダ13のロッド21へ伝わる熱を放熱フィン54によって放熱し、駆動部22へ伝達される熱を軽減させることができる。したがって、圧着ツール11を加熱するヒータ12の設定温度を従来よりも高くしても、熱による駆動部22の破損を防止或いは抑制することができる。
【0046】
また、本実施の形態の熱圧着装置51の放熱フィン54は、平面が幅方向Xに対向するように並んでいる。つまり、複数の放熱フィン54は、幅方向Xに適当な間隔をあけて配置されている。そのため、放熱フィン54から放射される熱が上方へ流れやすくなり、第1の実施の形態の熱圧着装置1よりも放熱効果を高めることができる。
【0047】
3.変形例
以上、本発明の熱圧着装置の実施の形態について、その作用効果も含めて説明した。しかしながら、本発明の熱圧着装置は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0048】
上述した実施の形態では、放熱手段として放熱フィン14,54を用いる構成にした。しかしながら、本発明に係る放熱手段としては、放熱フィンに限定されるものではなく、例えば、ロッド21に取り付けられるヒートパイプと、このヒートパイプに取り付けられる放熱フィンから構成することもできる。この場合、装置の上下方向の大きさなどによって放熱フィンの大きさが制約されないため、放熱フィンを任意の大きさに設定することができ、放熱効果を高めることができる
【0049】
放熱手段をヒートパイプと放熱フィンから構成する場合は、ヒートパイプの熱源側の接合部や、ヒートパイプと放熱フィンとの間に熱伝導グリスを設けてもよい。これにより、放熱フィンによる放熱効果を高めることができる。
【0050】
また、放熱フィンに送風を行うファンを加える構成としてもよい。この場合、放熱フィンによって温められた気体が被圧着部材に向かわないように、ファンの風向きを設定する。このようにファンを用いることにより、放熱効果をさらに高めることができる。また、本発明に係る放熱手段としては、液体との熱交換によってロッドに伝わる熱を放熱するようにしたヒートシンクを適用してもよい。
【0051】
上述した実施の形態では、ヒータ12が断熱材39を介して姿勢調整機構15に固定されている。そのため、ヒータ12から姿勢調整機構15に伝わった熱は、連結軸29だけでなく、ガイド部16の第1のスライダ42にも伝達される。例えば、第1のスライダ42の直動軸受け44が所定の温度条件よりも高くなってしまうと、円滑な摺動動作を行えなくなる可能性がある。そこで、姿勢調整機構15又は第1のスライダ42にサブ放熱手段を設けてもよい。サブ放熱手段としては、上述した実施の形態の放熱手段と同様に放熱フィン、ヒートパイプと放熱フィンなどを適用することができる。
【0052】
上述した実施の形態では、加圧ツールとしてエアシリンダ13を用いる構成にした。しかしながら、本発明に係る加圧ツールとしては、例えば、油圧シリンダやサーボモータを用いた駆動機構を適用することもできる。サーボモータを用いた駆動機構としては、ボールねじ駆動機構、カム駆動機構、ラック・ピニオン駆動機構などをあげることができる。このようなサーボモータを用いた駆動機構には、上述した実施の形態のスプリング27を追加してもよい。
【0053】
上述した実施の形態では、放熱フィン14,54を平板状に形成した。しかしながら、本発明に係る放熱フィンの形状は、例えば、ピン型など任意の形状にすることができる。また、上述した実施の形態では、熱圧着ユニットにコイル状のスプリング27を用いたが、スプリング27の代わりに耐熱ゴムや耐熱プラスチックなどの弾性材料を用いてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1,51…熱圧着装置、 2…支柱、 3…受け台、 4,52…熱圧着ユニット、 11…圧着ツール、 12…ヒータ(加熱ツール)、 13…エアシリンダ(加圧ツール)、 14,54…放熱フィン(放熱手段)、 15…姿勢調整機構、 16…ガイド部、 21…ロッド、 22…駆動部、 25…スプリングホルダ、 29…連結軸、 39…断熱材、 41…ガイドレール、 42…第1のスライダ、 43…第2のスライダ、 45,46…スライドベース、 101…ディスプレイパネル、 102…ドライバIC回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受け台と、
前記受け台との間で被圧着部材を圧着する圧着ツールと、
前記圧着ツールを加熱する加熱ツールと、
前記圧着ツールに接続されるロッドと、前記ロッドを移動させて前記圧着ツールを前記受け台に対して接近又は離間させる駆動部とを有する加圧ツールと、
前記ロッドに取り付けられる放熱手段と、
を備えることを特徴とする熱圧着装置。
【請求項2】
前記放熱手段は、放熱フィンである
ことを特徴とする請求項1記載の熱圧着装置。
【請求項3】
前記放熱手段は、前記ロッドに取り付けられるヒートパイプと、前記ヒートパイプに取り付けられる放熱フィンである
ことを特徴とする請求項1記載の熱圧着装置。
【請求項4】
前記放熱フィンには、熱伝導グリスが塗布される
ことを特徴とする請求項2又は3記載の熱圧着装置。
【請求項5】
前記放熱フィンに対して送風を行い、且つ、前記放熱フィンによって温められた気体が前記被圧着部材に向かわないような風向きに設定されたファンを備える
ことを特徴とする請求項2〜4の何れかに記載の熱圧着装置。
【請求項6】
前記圧着ツールの移動を案内するガイド部と、
前記ガイド部及び前記圧着ツールに連結され、前記圧着ツールの姿勢を調整する姿勢調整機構と、
前記ガイド部又は前記姿勢調整機構に取り付けられるサブ放熱手段と、
を備えることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の熱圧着装置。
【請求項7】
前記加熱ツールは、前記放熱手段と前記圧着ツールとの間に介在される
ことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の熱圧着装置。
【請求項8】
前記放熱手段と前記加熱ツールとの間に介在される断熱材を備える
ことを特徴とする請求項7記載の熱圧着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−23414(P2011−23414A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−164885(P2009−164885)
【出願日】平成21年7月13日(2009.7.13)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】