説明

熱膨張性ゴム層を備えている内壁を有するタイヤ

空気式タイヤ(1)であって、その内壁(10)が、タイヤが未硬化状態にあるときは、熱膨張性層(12)を備えており、このゴム層が、タイヤが加硫状態にあるときは、膨張している上記空気式タイヤ。膨張したときに、上記タイヤの回転騒音を低下させることのできるこのゴム層は、天然ゴムまたはブチルゴムのようなエラストマー、シリカおよび/またはカーボンブラックのような補強用充填剤、10phrと80phrの間のアゾジカルボンアミド化合物のような発泡剤および10phrと50phrの間のホットメルト化合物(その融点は70℃と150℃の間である)、例えば、尿素を少なくともベースとするエラストマー組成物を含む。最後の2つの化合物の推奨する高含有量での組合せ使用は、発泡剤が付与する騒音吸収特性に影響を与えることなく、上記空気式タイヤを加硫させたときの発泡ゴム層の膨張比、従って、厚さを極めて大きく低下させることを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用のタイヤ、さらにまた、そのようなタイヤの製造において使用することのできるゴム組成物に関する。
本発明は、さらに詳細には、気密性(または他の膨張ガスに対して不透過性)であり且つ車両が走行するときにこれらのタイヤが発する騒音を減じることを意図する発泡ゴムの層を備えている内壁または膨張空洞を有する空気式タイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
空気式タイヤが回転するときに発する騒音が、特に、タイヤの段差のある車道との接触後の、種々の音波の発生ももたらすタイヤ構造体の振動に由来することは知られている。このことが、究極的には、車両の内部および外部の双方において騒音の形で発生するものの全てである。これらの種々の発生物の振幅は、空気式タイヤの振動特性の様式によるが車両が移動している表面の性質にもよる。タイヤが発する騒音に相応する周波数の範囲は、典型的には、ほぼ20〜4000Hzに及ぶ。
【0003】
車両の外側に発出する騒音に関しては、空気式タイヤと道路表面間および空気式タイヤと空気間の種々の相互作用が関連しており、これらの相互作用は、車両が車道に沿って走行するときの地域住民に対して騒乱をもたらす。また、この場合、数種の騒音源、例えば、接触領域の道路の粗さの衝撃による“圧痕騒音(indentation noise)”と称する騒音、接触領域の端部において本質的に発生する“摩擦音”と称する騒音、トレッドパターン素子の配列および種々の溝内での共鳴による“トレッドパターン騒音”と称する騒音源が識別されている。問題の周波数範囲は、この場合、典型的には、ほぼ300〜3000Hzに及ぶ範囲に相当する。
【0004】
車両内部において検知される騒音に関しては、2つの音伝播様式が共存する:
・振動は、車輪中心、懸架装置および変速装置によって伝送されて、最終的には、騒音をパッセンジャー・コンパートメント内で発生させる;その場合、この伝送は、固体伝播と称され、一般に、低周波数のスペクトル(およそ400Hzまで)において優勢である;
・空気式タイヤが発出した音波は、空気伝播経路によって車両内に直接伝播され、車両はフィルターとして機能する;その場合、この伝播は、空気伝播と称され、一般に、高周波数(およそ600Hz以上)において優勢である。
【0005】
“交通騒音”と称する騒音は、むしろ、車両内で且つ2000Hzまでに及ぶ周波数範囲において検知される全体的レベルを称する。
最後に、車両内部で検知される騒音の大部分は、空気式タイヤの膨張空洞の共鳴に基づく騒乱を称する“空洞騒音”によって導入される;この騒音は、約190〜230Hzの特定の周波数範囲内において優勢である。
【0006】
空気式タイヤの回転騒音、特に、空洞騒音を低下させるためには、例えば、特許または特許出願 DE 3042350号、DE 19750229号、DE 19806935号、EP 0 367 556号、EP 1 676 722号(またはUS 7389802号)、EP 1 800 911号(またはUS 2007/0137752 A1号)およびJP 06‐40206号に記載されているように、タイヤ内壁に、ポリウレタンまたはブチルゴムのようなエラストマーと発泡剤とをベースとする発泡ゴムの層を備えさせることが知られている。
【0007】
例えば、ニトロ、スルホニルまたはアゾ化合物のようなこれらの発泡剤は、熱活性化中に、例えば、空気式タイヤの加硫中に、大量のガス(特に窒素)を放出し、従って、そのような発泡剤を含むゴム組成物のような十分に軟質の材料内に気泡の形成をもたらし得る。
しかしながら、実験からは、そのような剤によって得られる膨張比は、有意で且つ満足し得る騒音低下を得ることを望む場合、特に、空気式タイヤ内部で発泡させたときの発泡ゴム層の厚さの均一性の管理が比較的困難であるほどに高い。このことは、これらの空気式タイヤの製造の効率的な工業的管理にとっては究極的に有害である。
【発明の概要】
【0008】
本出願人等は、研究中に、特定のホットメルト(熱溶融性)化合物を混入することにより、空気式タイヤを加硫させたときの膨張比を、発泡剤によって付与される騒音吸収特性にさらに影響を与えることなく実質的に低下させることを可能にするゴム組成物を見出した。従って、空気式タイヤの空洞内での、特に、問題の半径位置に沿っての発泡ゴムの厚さの均一性の管理は、著しく改良される。
同様に、同一層厚においては、この層の騒音吸収能力を、そのようなホットメルト化合物を添加することによって極めて有意に増進させることも可能である。
【0009】
従って、本発明は、内壁に熱膨張性ゴム層を備えている未加硫状態の空気式タイヤに関し、上記層が、エラストマー、補強用充填剤、10phrと80phrの間の量の発泡剤および10phrと50phrの間の量のホットメルト化合物(その融点が70℃と150℃の間である)を少なくとも含むエラストマー組成物を含むことを特徴とする。
予期に反して、これらの2種類の化合物の組合せ使用は、推奨する高含有量において、最終の膨張状態(即ち、空気式タイヤを加硫させたとき)の発泡ゴム層の膨張比、ひいては厚さを極めて大きく低下させることを、発泡剤によって付与される騒音吸収特性に影響を与えることなく可能にしている。
【0010】
また、本発明は、上述したような本発明に従う未硬化空気式タイヤを硬化(加硫)させた後に得られる加硫状態の空気式タイヤにも関する。
本発明の空気式タイヤは、特に、4×4 (四輪駆動)車およびSUV (スポーツ用多目的)車のような乗用車タイプの自動車;二輪車(特に、オートバイ);さらにまた、特に、バン類および重量車両(即ち、地下鉄列車、バス、トラックおよびトラクターユニットのような重量道路輸送車)から選ばれる産業用車両に装着することを意図する。
【0011】
本発明は、未硬化状態(即ち、硬化前)および硬化状態(即ち、架橋または加硫後)双方の上記タイヤに関する。
本発明およびその利点は、以下の説明および典型的な実施態様、さらにまた、これらの実施例に関連し、本発明に従う空気式タイヤの例を、半径断面において、略図的に示す図1〜4に照らして容易に理解し得るであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】未硬化(即ち、未加硫)状態の、内壁に、クラウンの下で実質的に一方の肩部から他方の肩部まで延びている熱膨張性ゴム層を備えている本発明に従う空気式タイヤの1つの例を示す。
【図2】硬化(即ち、加硫)状態の、内壁に、上記図1からのタイヤを硬化させた後に得られた、従って膨張した状態にある発泡ゴムの層を備えている本発明に従う空気式タイヤの1つの例を示す。
【図3】未硬化状態の、内壁に、この場合はタイヤ内壁の実質的に全体を覆っている熱膨張性ゴム層を備えている本発明に従う空気式タイヤのもう1つの例を示す。
【図4】硬化状態の、内壁に、例えば上記図3からの空気式タイヤを硬化させた後に得られた、従って膨張した状態にある発泡ゴムの層を備えている本発明に従う空気式タイヤのもう1つの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
1. 本発明の詳細な説明
本説明においては、他に明確に断らない限り、示す百分率(%)は、全て質量%である。略記“phr”は、エラストマー(数種のエラストマーが存在する場合はエラストマーの総量)の100質量部当りの質量部を意味する。
さらにまた、“aとbの間”なる表現によって示される値の間隔は、いずれも、“a”よりも大きいから“b”よりも小さいまでに及ぶ値の範囲を示(即ち、限界値aとbを除く)、一方、“a〜b”なる表現によって示される値の間隔は、いずれも、“a”から“b”に及ぶ値の範囲を意味する(即ち、厳格な限定値aおよびbを含む)。
【0014】
従って、本発明の空気式タイヤは、その内壁が、膨張させたときに空洞騒音を低下させることのできる熱膨張性ゴム層を備えているという本質的な特徴を有し、上記の層は、少なくとも下記を含むエラストマー組成物を含む:
・少なくとも1種のエラストマー;
・少なくとも1種の充填剤;
・10phrと80phrの間の量の少なくとも1種の発泡剤;
・5phrと50phrの間の量の少なくとも1種のホットメルト化合物(その融点が70℃と150℃の間である)。
【0015】
上記の各種化合物は、以下で詳細に説明する。
1.1. エラストマー
使用するエラストマー(または区別なしにゴム)は、好ましくはジエンタイプであるが、他のエラストマー、例えば、ポリウレタンタイプのエラストマーまたは熱可塑性スチレンエラストマー(TPS)のような熱可塑性エラストマー(TPE)も使用し得る。
知られている通り、用語“ジエン”エラストマーは、ジエンモノマー(共役型であり得るまたはあり得ない2個の炭素‐炭素二重結合を担持するモノマー)に少なくとも一部由来するエラストマー(即ち、ホモポリマーまたはコポリマー)を意味するものと理解すべきである。
【0016】
これらジエンエラストマーは、知られている通り、2つのカテゴリー、即ち、“本質的に不飽和”と称するジエンエラストマーおよび“本質的に飽和”と称するジエンエラストマーに分類し得る。例えば、ブチルゴムまたはEPDMタイプのジエン/α‐オレフィンコポリマーは、常に15%(モル%)未満である、低いまたは極めて低いジエン起原単位量を有する本質的に飽和のジエンエラストマーのカテゴリーに属する。逆に、“本質的に不飽和のジエンエラストマー”なる表現は、15%(モル%)よりも多いジエン起源(共役ジエン類)の単位含有量を有する共役ジエンモノマーに少なくとも一部由来するジエンエラストマーを意味するものと理解されたい。“本質的に不飽和”のジエンエラストマーのカテゴリーにおいては、“高不飽和ジエンエラストマー”なる表現は、特に、50%よりも多いジエン起源(共役ジエン)の単位含有量を有するジエンエラストマーを意味するものと理解されたい。
【0017】
これらの定義を考慮すると、さらに詳細には、使用することのできるジエンエラストマーは下記を意味するものと理解されたい:
(a) 好ましくは4〜12個の炭素原子を有する共役ジエンモノマーを重合させることによって得られる任意のホモポリマー;
(b) 1種以上の共役ジエンを他のジエンまたは好ましくは8〜20個の炭素原子を有する1種以上のビニル芳香族化合物と共重合させることによって得られる任意のコポリマー;
(c) 例えば、エチレン、プロピレン、および、特に1,4‐ヘキサジエン、エチリデンノルボルネンまたはジシクロペンタジエンのような下記のタイプの非共役ジエンモノマーから得られるエラストマーのような、エチレンと、3〜6個の炭素原子を有するα‐オレフィンとを、6〜12個の炭素原子を有する非共役ジエンモノマーと共重合させることによって得られる3成分コポリマー;および、
(d) イソブテンとイソプレンのコポリマー(ブチルゴム)、さらにまた、このタイプのコポリマーのハロゲン化形、特に、塩素化または臭素化形。
【0018】
好ましくは、ポリブタジエン(BR) (特に、90%よりも多いシス‐1,4‐結合含有量を有するポリブタジエン)、合成ポリイソプレン(IR)、天然ゴム(NR)、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマー(IIR以外の)およびこれらのエラストマーの混合物からなる群から選ばれるジエンエラストマーを使用する;そのようなコポリマーは、さらに好ましくは、ブタジエン/スチレンコポリマー(SBR)、イソプレン/ブタジエンコポリマー(BIR)、イソプレン/スチレンコポリマー(SIR)、イソプレン/ブタジエン/スチレンコポリマー(SBIR)、イソブテン/イソプレンコポリマー(IIR)、およびそのようなコポリマーの混合物からなる群から選ばれる。
【0019】
上記エラストマーは、例えば、ブロック、ランダム、序列または微細序列エラストマーであり得、分散液中または溶液中で調製し得る;これらのエラストマーは、カップリング剤および/または星型枝分れ化剤(star‐branching agent)或いは官能化剤によってカップリング化および/または星型枝分れ化或いは官能化し得る。カーボンブラックとカップリングさせるには、C‐Sn結合を含む官能基または、例えば、ベンゾフェノンのようなアミノ化官能基を挙げることができ;シリカのような補強用無機充填剤とカップリングさせるには、例えば、シラノール官能基またはシラノール末端を有するポリシロキサン官能基(例えば、US 6 013 718号に記載されているような)、アルコキシシラン基(例えば、US 5 977 238号に記載されているような)、カルボキシル基(例えば、US 6 815 473号またはUS 2006/0089445号に記載されているような)、或いはポリエーテル基(例えば、US 6 503 973号に記載されているような)を挙げることができる。また、他の官能化エラストマーの例としては、エポキシ化タイプのエラストマー(SBR、BR、NRまたはIRのような)も挙げることができる。
【0020】
本発明の1つの特に好ましい実施態様によれば、使用するジエンエラストマーは、ブチルゴム(必要に応じて塩素化または臭素化されている)である;このコポリマーは、単独で或いは上述したような高不飽和ジエンエラストマー、特に、NRもしくはIR、BRまたはSBRとの混合物として使用する。
【0021】
従って、もう1つの特により好ましい実施態様によれば、上記熱膨張性ゴム層のエラストマー組成物は、ジエンエラストマーとして、50〜100phrのブチルゴムを含み、このブチルゴムは、好ましくは天然ゴム、合成ポリイソプレン、90%よりも多いシス‐1,4‐結合含有量を有するポリブタジエン、ブタジエン/スチレンコポリマーおよびこれらのエラストマーのブレンドからなる群から選ばれるもう1つのジエンエラストマーと0〜50phrにおいて組合せることが可能である。
【0022】
本発明のもう1つの特に好ましい実施態様によれば、使用するジエンエラストマーは、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ポリブタジエン、ブタジエン/スチレンコポリマーおよびこれらのエラストマーの混合物からなる群から選ばれ、このジエンエラストマーは、単独でまたは上述したような本質的に飽和のジエンエラストマー、特に、ブチルゴムとの混合物として使用する。
【0023】
以下は、好ましく適している:ポリブタジエン、特に、4%と80%の間の1,2‐単位含有量を有するポリブタジエンまたは80%よりも多い、特に90%よりも多いシス‐1,4‐単位含有量を有するポリブタジエン;ブタジエン/スチレンコポリマー、特に、5質量%と50質量%の間、特に20質量%と40質量%の間のスチレン含有量、4%と65%の間のブタジエン成分1,2‐結合含有量および20%と80%の間のトランス‐1,4‐結合含有量を有するコポリマー;ブタジエン/イソプレンコポリマー、特に、5質量%と90質量%の間のイソプレン含有量および−80℃〜−40℃のガラス転移温度(“Tg”、ASTM D3418‐82に従って測定)を有するコポリマー;または、イソプレン/スチレンコポリマー、特に、5質量%と50質量%の間のスチレン含有量および−50℃と−10℃の間のTgを有するコポリマー。ブタジエン/スチレン/イソプレンコポリマーの場合は、5質量%と50質量%の間、特に10質量%と40質量%の間のスチレン含有量、15質量%と60質量%の間、特に20質量%と50質量%の間のイソプレン含有量、5質量%と50質量%の間、特に20質量%と40質量%の間のブタジエン含有量、4%と85%の間のブタジエン成分1,2‐単位含有量、6%と80%の間のブタジエン成分トランス‐1,4‐単位含有量、5%と70%の間のイソプレン成分1,2‐+3,4‐単位含有量および10%と50%の間のイソプレン成分トランス‐1,4‐単位含有量を有するコポリマー、さらに一般的には、−20℃と−70℃の間のTgを有する任意のブタジエン/スチレン/イソプレンコポリマーが、特に適している。
【0024】
本発明のもう1つの特定の好ましい実施態様によれば、上記熱膨張性ゴム層のエラストマー組成物は、50〜100phrの天然ゴムまたは合成ポリイソプレンを含み、これらの天然ゴムまたは合成ポリイソプレンは、SBR、BRまたはSBR/BR混合物のような他のジエンエラストマーと0〜50phrにおいて組合せることが可能である。天然ゴムまたは合成ポリイソプレンの使用は、有利なことに、膨張したときの発泡ゴム層の強靭性および引裂き強度を改良し得る。
上記ジエンエラストマー以外の合成エラストマーまたはエラストマー以外のポリマー、例えば、熱可塑性ポリマーでさえも、本発明に従うトレッドのジエンエラストマーと一緒に、少量で組合せ得る。
【0025】
1.2. 充填剤
ゴム組成物を補強するその能力について知られている任意のタイプの充填剤、例えば、カーボンブラックのような有機充填剤、カップリング剤を既知の方法で一緒に組合せるシリカのような補強用無機充填剤も含み得る。
そのような補強用充填剤は、好ましくはナノ粒子からなり、その平均粒度(質量による)は、1マイクロメートルよりも低く、500nmよりも低く、通常20nmと200nmの間、特に好ましくは20nmと150nmの間である。
【0026】
好ましくは、補強用充填剤全体(特に、シリカまたはカーボンブラックまたはシリカとカーボンブラックの混合物)の含有量は、10phrと100phrの間である。10phrよりも多い含有量が、良好な機械的強度にとっては好ましい。100phrよりも多いと、過度の剛性およびゴム層の限られた延伸性のリスクが存在する。これらの理由により、補強用充填剤全体の含有量は、さらに好ましくは、10phrと50phrの間である。
【0027】
全てのカーボンブラック類、特に、例えば、N115、N134、N234、N326、N330、N339、N347、N375、N550、N683またはN772ブラック類のような、100、200、300、500、600または700シリーズのブラック類(ASTM級)のようなタイヤにおいて通常使用されるブラック類(“タイヤ級”ブラック類)が、カーボンブラックとして適している。カーボンブラックは、例えば、マスターバッチの形で、ジエン(特にイソプレン)エラストマー中に既に混入させていてもよい(例えば、出願 WO 97/36724号またはWO 99/16600号を参照されたい)。
【0028】
カーボンブラック以外の有機充填剤の例としては、出願 WO‐A‐2006/069792号、WO‐A‐2006/069793号、WO‐A‐2008/003434号およびWO‐A‐2008/003435号に記載されているような官能化ポリビニル有機充填剤を挙げることができる。
【0029】
“補強用無機充填剤”なる表現は、この場合、カーボンブラックに対比して“白色充填剤”、“透明充填剤”または“非黒色充填剤”としても知られており、それ自体単独で、中間カップリング剤以外の手段によることなく、タイヤの製造を意図するゴム組成物を補強し得、換言すれば、通常のタイヤ級カーボンブラックとその補強役割において置換わり得る、その色合およびその起源(天然または合成)の如何にかかわらない任意の無機または鉱質充填剤を意味するものと理解すべきである;そのような充填剤は、一般に、知られている通り、その表面でのヒドロキシル(‐OH)基の存在に特徴を有する。
【0030】
シリカ質タイプの鉱質充填剤、特に、シリカ(SiO2)は、補強用無機充填剤として特に適している。使用するシリカは、当業者にとって既知の任意の補強用シリカ、特に、共に450m2/g未満、好ましくは30〜400m2/g、特に60m2/gと300m2/gの間にあるBET表面積とCTAB比表面積を示す任意の沈降または焼成シリカであり得る。高分散性沈降シリカ(“HDS”)としては、例えば、Degussa社からのUltrasil 7000およびUltrasil 7005シリカ類;Rhodia社からのZeosil 1165MP、1135MPおよび1115MPシリカ類;PPG社からのHi‐Sil EZ150Gシリカ;Huber社からのZeopol 8715、8745または8755シリカ類が挙げられる。
【0031】
補強用無機充填剤をジエンエラストマーにカップリングさせるためには、知られている通り、無機充填剤(その粒子表面)とジエンエラストマー間に化学的および/または物理的性質の満足し得る結合を付与することを意図する少なくとも二官能性のカップリング剤(または結合剤)を使用する。特に、少なくとも二官能性のオルガノシランまたはポリオルガノシロキサン類を使用する。
特に、例えば、出願 WO 03/002648号(またはUS 2005/016651号)およびWO 03/002649号(またはUS 2005/016650号)に記載されているような、その特定の構造によって“対称形”または“非対称形”と称されるシランポリスルフィド類を使用する。
【0032】
特に適切なのは、以下の定義に限定されることなく、下記の一般式(I)に相応するシランポリスルフィドである:
(I) Z‐A‐Sx‐A‐Z
[式中、xは、2〜8 (好ましくは2〜5)の整数であり;
A符号は、同一または異なるものであって、2価の炭化水素基(好ましくはC1〜C18アルキレン基またはC6〜C12アリーレン基、特にC1〜C10、特にC1〜C4アルキレン基、特にプロピレン)であり;
Z符号は、同一または異なるものであって、下記の3つの式の1つに相応する:
【化1】

(式中、R1基は、置換されているかまたは置換されてなく、互いに同一かまたは異なるものであって、C1〜C18アルキル、C5〜C18シクロアルキルまたはC6〜C18アリール基(好ましくはC1〜C6アルキル、シクロヘキシルまたはフェニル基、特にC1〜C4アルキル基、特にメチルおよび/またはエチル)を示し;
R2基は、置換されているかまたは置換されてなく、互いに同一かまたは異なるものであって、C1〜C18アルコキシルまたはC5〜C18シクロアルコキシル基(好ましくはC1〜C8アルコキシルおよびC5〜C8シクロアルコキシル基から選ばれた基、より好ましくはC1〜C4アルコキシル基、特に、メトキシルおよびエトキシルから選ばれた基)を示す)]。
【0033】
上記式(I)に相応するアルコキシシランポリスルフィドの混合物、特に、標準の商業的に入手可能な混合物の場合、“x”の平均値は、好ましくは2と5の間、より好ましくは4に近い分数である。しかしながら、本発明は、例えば、アルコキシシランジスルフィド(x = 2)によっても有利に実施し得る。
【0034】
さらに詳細には、シランポリスルフィドの例としては、例えば、ビス(3‐トリメトキシシリルプロピル)ポリスルフィドまたはビス(3‐トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドのようなビス((C1〜C4)アルコキシル(C1〜C4)アルキルシリル(C1〜C4)アルキル)ポリスルフィド(特に、ジスルフィド、トリスルフィドまたはテトラスルフィド)が挙げられる。特に、これらの化合物のうちでは、式[(C2H5O)3Si(CH2)3S2]2を有するTESPTと略記するビス(3‐トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、または式[(C2H5O)3Si(CH2)3S]2を有するTESPDと略記するビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドを使用する。また、好ましい例としては、上述した特許出願WO 02/083782号(またはUS 7 217 751号)に記載されているような、ビス(モノ(C1〜C4)アルコキシルジ(C1〜C4)アルキルシリルプロピル)ポリスルフィド類(特に、ジスルフィド、トリスルフィドまたはテトラスルフィド)、特に、ビス(モノエトキシジメチルシリルプロピル)テトラスルフィドも挙げられる。
【0035】
アルコキシシランポリスルフィド以外のカップリング剤としては、特に、特許出願WO 02/30939号(またはUS 6 774 255号)、WO 02/31041号(またはUS 2004/051210号)およびWO 2007/061 550号に記載されているような、二官能性POS (ポリオルガノシロキサン)類またはヒドロキシシランポリスルフィド(上記式(I)において、R2 = OH)、または、例えば、特許出願WO 2006/125532号、WO 2006/125533号またはWO 2006/125534号に記載されているような、アゾジカルボニル官能基を担持するシランまたはPOS類が挙げられる。
【0036】
他のシランスルフィドの例としては、例えば、特許または特許出願US 6 849754号、WO 99/09036号、WO 2006/023815号またはWO 2007/098080号に記載されているような、少なくとも1個のチオール(‐SH)官能基および/または少なくとも1個のブロックトチオール官能基を担持するシラン(メルカプトシランと称する)が挙げられる。
【0037】
勿論、特に上記の出願WO 2006/125534号に記載されているような、上述したカップリング剤の混合物も使用し得る。
上記エラストマー組成物は、シリカのような無機充填剤で補強した場合、好ましくは2phrと15phrの間、より好ましくは3phrと12phrの間の量のカップリングを含む。
【0038】
当業者であれば、この項で説明した補強用無機充填剤と等価の充填剤として、もう1つの性質、特に有機性を有する補強用充填剤を、この補強用充填剤がシリカのような無機層によって被覆されているか或いはその表面に、官能部位、特にヒドロキシル部位を含み、該充填剤と上記エラストマー間の結合を形成させるためのカップリング剤の使用を必要とすることを条件として使用し得ることを理解されたい。
【0039】
1. 3. 発泡剤および関連ホットメルト化合物
知られている通り、発泡剤は、熱活性化中に、例えば、空気式タイヤの加硫中に、大量のガスを放出し、従って、気泡の形成をもたらすことを意図する熱分解性化合物である。従って、ゴム組成物中へのガスの放出は、発泡剤のこの熱分解に由来する。殆どの場合、形成されるガスは窒素であるが、使用する発泡剤次第では、このガスが二酸化炭素を含有することもあり得る。
吸熱または発熱タイプの物理または化学発泡剤が存在する。好ましくは化学発泡剤、さらに好ましくは発熱タイプの化学発泡剤を使用する。
【0040】
好ましく使用することのできる発泡剤のうちでは、特に、アゾ、ニトロソ、ヒドラジン、カルバジド、セミカルバジド、テトラゾール、カーボネートおよびシトレート化合物、並びにそのような化合物の混合物からなる群から選ばれる発泡剤が挙げられる。
これらの発泡剤は、さらに好ましくは、ジアゾ、ジニトロソ、スルホニルセミカルバジドおよびスルホニルヒドラジド化合物、並びにそのような化合物の混合物からなる群から選ばれる。これらの化合物のうちでは、特に、ジニトロソ‐ペンタン‐エチレンテトラミン、ジニトロソ‐ペンタン‐スチレンテトラミン、アゾジカルボンアミド、N,N'‐ジメチル‐N,N'‐ジニトロソフタルアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルヒドラジド、p,p'‐オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、p‐トルエンスルホニルセミカルバジドまたはp,p'‐オキシビス(ベンゼンスルホニルセミカルバジド)を挙げることができる;これらの例においては、形成されるガスは、窒素と二酸化炭素の混合物からなる。
【0041】
二酸化炭素のみを放出する発泡剤のうちでは、例えば、以下の化合物をあげることができる:アルカリおよびアルカリ土類金属の炭酸および重炭酸塩、例えば、炭酸または重炭酸ナトリウム;炭酸または重炭酸アンモニウム;モノクエン酸ナトリウムのようなクエン酸塩;マロン酸およびクエン酸。
好ましくは、上記エラストマー組成物中の発泡剤の含有量は、20phrと70phrの間、より好ましくは25〜65phrの範囲内である。
【0042】
本発明の1つの本質的特徴は、融点が70℃と150℃の間、好ましくは100℃と150℃の間、より好ましくは110℃と140℃の間であるホットメルト化合物を上記発泡剤に添加することである。融点は、有機または無機ホットメルト化合物の周知の基本的物理定数である(例えば、“Handbool of Chemistry and Physics”において得ることができる):融点は、任意の既知の方法によって、例えば、シール法(Thiele method)、コフラーベンチ法(Kofler bench method)またはDSCによって検証し得る。
【0043】
このホットメルト化合物の含有量は、10phrと50phrの間、好ましくは15〜45phrの範囲内にある。上記ホットメルト化合物は、発泡剤が熱分解し、気泡を放出する前または放出するときに上記の特定の温度範囲内において液体に転換する役割を有する。従って、上記で推奨した高含有量でのその添加は、予期に反して、発泡ゴム層の膨張比を制限し、さらに、よりコンパクトで且つより均質であり、最終的には所定の層厚において騒音に関連してより効果的である細胞間構造をもたらすことを可能にする。
【0044】
70℃と150℃の間、好ましくは100℃と150℃の間の融点を有する任意の化合物が、適切であるようである。特に、その形態(例えば、粉末形にある)およびその化学的性質の双方に関して空気式タイヤ用の標準のゴム組成物と適合性があると当業者にとって知られているゴム添加剤を使用し得る。
例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンのような熱可塑性ポリマーを特に挙げることができる。
【0045】
また、高ガラス転移温度(Tg)を有する熱可塑性炭化水素系樹脂の例としては、70℃と150℃の間、好ましくは100℃と150℃の間にある融点(または、この場合は等価とみなされる性質、即ち、例えば既知の“Ring and Ball”法(規格ISO 4625)に従って測定した軟化点)を挙げることができる。
用語“樹脂”とは、本出願においては、当業者にとって既知であるように、定義によれば、オイルのような液体可塑剤化合物とは対照的に、室温(23℃)で固体である化合物に対して使用される。
【0046】
これらの炭化水素系樹脂は、炭素と水素を本質的にベースとする、当業者にとって周知のポリマーであり、特に、ポリマーマトリックス中で可塑剤または粘着付与剤として使用し得る。これらの炭化水素樹脂は、脂肪族、脂環式、芳香族、水素化芳香族、または脂肪族/芳香族タイプであり得、即ち、脂肪族および/または芳香族モノマーをベースとし得る。これらの炭化水素樹脂は、石油系(そのような場合、石油樹脂としても知られている)または石油系でない天然または合成樹脂であり得る。そのような熱可塑性炭化水素系樹脂は、シクロペンタジエンのホモポリマーまたはコポリマー樹脂、ジシクロペンタジエンのホモポリマーまたはコポリマー樹脂、テルペンのホモポリマーまたはコポリマー樹脂、テルペン・フェノールのホモポリマーまたはコポリマー樹脂、C5留分のホモポリマーまたはコポリマー樹脂、C9留分のホモポリマーまたはコポリマー樹脂、α‐メチルスチレンのホモポリマーまたはコポリマー樹脂、およびこれらの樹脂の混合物からなる群から選ばれる。
【0047】
1つの特に好ましい実施態様によれば、選択するホットメルト化合物は、尿素または尿素のホットメルト誘導体である。尿素は、特に、目的とする用途に良好に適する融点を有する。
好ましくは、発泡剤とホットメルト化合物の合計量は、30phrと115phrの間、好ましくは35〜110phrの範囲内である。
【0048】
1.4. 各種添加剤
また、上記熱膨張性層のエラストマー組成物は、例えば、化学オゾン劣化防止剤、酸化防止剤のような保護剤;可塑剤または増量剤オイル(後者は芳香族または非芳香族性のいずれか、特に、高粘度を有するまたは好ましくは低粘度を有する、例えば、ナフテン系またはパラフィン系タイプの非芳香族オイルまたは芳香性の極めて低いオイル、MESオイル、TDAEオイル、植物油);前述した充填剤以外の充填剤、例えば、短繊維、騒音バリア効果をさらに改良し得る板状充填剤(例えば、カオリン、タルク、雲母、グラファイト、クレーまたは変性クレー(有機クレー)のようなフィロケイ酸塩);イオウまたはイオウ供与体および/または過酸化物および/またはビスマレイミドをベースとする架橋系;加硫促進剤または加硫活性化剤のような、タイヤ用のゴム組成物において慣例的に使用する通常の添加剤の全部または数種を含み得る。
【0049】
また、上記熱膨張性層のエラストマー組成物は、カップリング剤を使用する場合のカップリング活性化剤、無機充填剤を使用する場合の無機充填剤の被覆用の薬剤、或いはゴムマトリックス中での充填剤の分散性の改善および組成物の粘度の低下により、知られている通り、生状態における組成物の加工特性を改善することのできるより一般的な加工助剤も含有し得る;これらの薬剤は、例えば、アルキルアルコキシシランのような加水分解性シランまたはヒドロキシシラン類;ポリオール類;ポリエーテル類;アミン類;または、ヒドロキシル化または加水分解性ポリオルガノシロキサン類である。
【0050】
1.5. 組成物の製造
上記発泡ゴム層を形成するゴム組成物は、適切なミキサー内で、例えば、当業者にとって周知の一般的手順に従う3つの連続する製造段階、即ち、130℃と200℃の間、好ましくは145℃と185℃の間の最高温度までの高温で熱機械的に加工または混練する第1段階(“非生産”段階とも称する);その後の、発泡剤を混入する、低めの温度(好ましくは100℃よりも低い)の第2(非生産)段階;並びに、典型的には120℃よりも低い、例えば、60℃と100℃の間の低温で機械加工する第3段階(“生産”段階とも称する)を使用して製造し、この仕上げ段階において架橋または加硫系を混入する。
【0051】
そのようなゴム組成物の製造において使用し得る方法は、例えば、好ましくは、下記の段階を含む:
・ミキサー内で、ジエンエラストマー中またはジエンエラストマーの混合物中に、少なくとも上記充填剤およびホットメルト化合物を混入し、全てを、1以上の工程で、130℃と200℃の間の最高温度に達するまで熱機械的に混練する段階;
・混ぜ合せた混合物を100℃よりも低い温度に冷却する段階;
・その後、発泡剤を、そのようにして得られ冷却した混合物に混入し、全てを、100℃よりも低い最高温度に達するまで熱機械的に混練する段階;
・その後、架橋系を混入する段階;
・全てを120℃よりも低い最高温度まで混練する段階;
・そのようにして得られたゴム組成物を押出またはカレンダー加工する段階。
【0052】
例えば、第1の非生産段階において、全ての必須成分、任意構成成分としてのさらなる被覆剤または加工助剤、並びに発泡剤と架橋系を除いた各種他の添加剤を、標準の密閉ミキサーのような適切なミキサー内に導入する。熱機械的に加工し、そのようにして得られた混合物を落下させ、冷却した後、熱機械的加工の第2(非生産)段階を、同じ密閉ミキサー内で実施し、その間に、発泡剤をより穏やかな温度(例えば、60℃)において混入し、100℃よりも低い最高落下温度に到達させる。その後、架橋系を、一般的には開放ミルのような開放ミキサー内で低温にて導入する。その後、混ぜ合せた混合物を、数分間、例えば、5分と15分の間で混合する(生産段階)。
【0053】
架橋系自体は、好ましくは、イオウおよび一次加硫促進剤、特にスルフェンアミドタイプの促進剤をベースとする。この加硫系に、各種既知の二次促進剤または加硫活性化剤、例えば、酸化亜鉛、ステアリン酸、グアニジン誘導体(特にジフェニルグアニジン)等を添加し、上記第1非生産段階中および/または上記生産段階中に混入する。イオウ含有量は、好ましくは0.5phrと5phrの間であり、また、一次促進剤の含有量は、0.5phrと8phrの間である。
【0054】
促進剤(一次または二次)としては、イオウの存在下にジエンエラストマーの加硫促進剤として作用し得る任意の化合物、特に、チアゾールタイプの促進剤およびその誘導体、チウラムおよびジチオカルバミン酸亜鉛タイプの促進剤を使用することができる。これらの促進剤は、例えば、2‐メルカプトベンゾチアジルジスルフィド(“MBTS”と略記する)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(“TBZTD”)、N‐シクロヘキシル‐2‐ベンゾチアジルスルフェンアミド(“CBS”)、N,N‐ジシクロヘキシル‐2‐ベンゾチアジルスルフェンアミド(“DCBS”)、N‐tert‐ブチル‐2‐ベンゾチアジルスルフェンアミド(“TBBS”)、N‐tert‐ブチル‐2‐ベンゾチアジルスルフェンイミド(“TBSI”)、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛(“ZBEC”)およびこれらの化合物の混合物からなる群から選択する。
【0055】
その後、そのようにして得られた最終組成物を、例えば、特に実験室での特性決定のためのシートまたはスラブの形にカレンダー加工するか、或いは熱膨張性エラストマー層として直接使用し得る半製品の形にカレンダー加工または押出加工する。
未硬化(即ち、未加硫)状態、従って、膨張していない状態においては、上記ゴム層のD1で示す密度または比重は、1.000〜1.3000g/cm3、好ましくは1.025〜1.250g/cm3の範囲内であり;その厚さは、0.5mmと5mmの間、好ましくは1mmと3mmの間である。
【0056】
加硫(即ち硬化)は、既知の方法で、一般的には130℃と200℃の間の温度で、特に硬化温度、使用する加硫系および当該組成物の加硫速度に応じて、例えば、5分と90分の間で変動し得る十分な時間で実施する。
発泡剤が大量のガスを放出し、発泡ゴム組成物中に気泡の形成を、最終的にはその膨張をもたらすのはこの加硫工程においてである。
【0057】
硬化(即ち、加硫)状態、従って、膨張状態においては、上記発泡ゴム層のD2で示す密度は、好ましくは0.200〜0.600g/cm3の範囲内、より好ましくは0.250〜0.450g/cm3の範囲内であり;その厚さは、2mmと20mmの間、好ましくは4mmと12mmの間である。
TEで示すその体積膨張比(%で表す)は、好ましくは100%と400%の間、より好ましくは150%と300%の間である;この膨張比TEは、上記の密度D1およびD2から、下記のように既知の方法で算出する:
TE = [(D1/D1)−1]×100
【0058】
2. 本発明の典型的な実施態様
2.1. 本発明の空気式タイヤ
上記の発泡ゴム組成物は、有利には、全てのタイプの車両の空気式タイヤにおいて、特に、乗用車タイヤにおいて使用し得る。
例えば、添付図面1〜4は、極めて略図的に(特に、特定の縮尺に対していない)、ラジアルカーカス補強材を有し本発明に従う自動車空気式タイヤの半径断面の例を示している;これらのタイヤは、未硬化(即ち、未加硫)状態(図1および3)または硬化(即ち、加硫)状態(図2および4)にある。
これらの空気式タイヤ1は、クラウン補強材即ちベルト6のよって補強されているクラウン領域2、2つの側壁3および2つの非伸長性ビード4を含み、これらのビード4の各々はビードワイヤー5によって補強されている。2つの肩部(2a、2b)によって横方法に区切られたクラウン領域2は、トレッド(この簡図においては簡略化のために図示しない)によって取巻かれており、ベルト6は、例えば、金属コードによって補強された少なくとも2枚の重ね合せ交差プライからなっている。カーカス補強材7は、各ビード4内の2本のビードワイヤー5の周りに巻付けられており、この補強材7の上返し8は、例えば、空気式タイヤの外側に向って位置しており、この場合、タイヤリム9上に取付けて示している。カーカス補強材7は、それ自体知られている通り、“ラジアル”コードと称するコード、例えば、繊維または金属コードによって補強されている少なくとも1枚のプライからなる、即ち、これらのコードは、実際上、互いに平行に配置されて一方のビードから他方のビードに延びて円周正中面(2つのビード4の中間に位置しクラウン補強材6の中央を通る空気式タイヤの回転軸に対して垂直の面)と80°と90°の間の角度をなしている。
【0059】
また、これらの空気式タイヤ1は、周知の通り、空気式タイヤの半径方向内面を形成しており、膨張空洞11と接している内部ゴム層10(一般的には内部ライナーと称する)も含む。この気密層10は、タイヤ1を膨張させ圧力下に保つことを可能にする。そのシーリング特性は、比較的低い圧力低下速度を担保することを可能にし、空気式タイヤを、通常の操作状態においては、十分な期間、通常は数週間または数ヶ月間膨張状態に保つことを可能にする。
【0060】
本発明に従うこれらの空気式タイヤは、その内壁10が、空洞11の面において、層構造を膨張させたとき(即ち、空気式タイヤの硬化または加硫後)に空洞騒音を部分的に吸収することのできるゴム層12(このゴム層は、空気式タイヤが未硬化状態にあるときは膨張性であり、硬化させたときは膨張している)によって少なくとも部分的に覆われていることに特徴を有する。
【0061】
本発明の第1の可能性ある実施態様によれば、上記内壁(10)は、その半径方向内面上に、図3および4に示しているように、空気式タイヤ内壁の実質的全体上延びて、一方の側壁から他方の側壁まで、実際には空気式タイヤ1が装着位置にあるときのリムフランジまで延びている、熱膨張性層(12)を含む。
一方、他の可能性ある実施態様によれば、層12は、この場合もその半径方向内面上で、気密層10の1部分のみ、例えば、空気式タイヤのクラウン領域のみを単に覆い得、或いは少なくともクラウン領域から肩部まで(例えば、図1および2に示しているように)または上記タイヤの側壁中央点(赤道部)までさえ及び得る。
【0062】
上記の図1〜4の例においては、層10(例えば、ほぼ1.0mmに等しい厚さを有する)は、例えば、ブチルゴムをベースとしており、内部ライナー用の標準配合を有している。
ゴム層12自体は、少なくとも1種のエラストマー(SBRまたはBRのような合成エラストマーと組合せて使用し得るまたは使用し得ないブチルゴムまたは天然ゴムのような)、カーボンブラックまたはシリカのような充填剤、アゾジカルボンアミドのような発泡剤および尿素のようなホットメルト化合物をベースとする上記で説明したようなエラストマー組成物からなる。
【0063】
この層12の厚さは、例えば、未硬化状態(加硫前)においては1〜3mmであり、硬化(膨張)状態においては4〜12mmである。一旦膨張し、空気式タイヤのシーリング層10と空洞11の間に位置するこの層12は、以下の実施例が実証するように、車両内部で検知した回転による騒音を実質的に低下させることを可能にする。
【0064】
上述したような層(12)を備えた本発明の主題である空気式タイヤは困難なく製造し得、上記熱膨張性エラストマー組成物は、所望の位置に、通常の方法で適用することが可能である。空気式タイヤ技術における熟練者にとって1つの有利な製造方法の変法は、例えば、最初の段階において、上記熱膨張性エラストマー組成物を、タイヤ構築用ドラム上に平坦に、適切な厚さのスキムの形で、このスキムを上記気密層(“内部ライナー”“およびその後の空気式タイヤの残りの構造体で被覆する前に、当業者にとって周知の製造方法に従って直接固着させることからなる。
【0065】
2.2. 走行試験
A) 試験1
この第1の試験は、ホットメルト化合物の混入が空気式タイヤを加硫させたときの膨張比を、発泡剤が付与する騒音吸収特性にさらに影響を与えることなく有意に低下させること可能にすることを実証する。
【0066】
この試験の必要条件として、2通りのゴム組成物(C‐1およびC‐2で示す)を製造した;その配合は、下記の表1に示している(phrで表した各種成分の含有量)。組成物C‐1は、対照組成物であり、発泡剤は含むがホットメルト化合物を欠いている。組成物C‐2は、本発明に従っており、発泡剤とホットメルト化合物の双方を含む。
【0067】
これらの組成物の製造は、以下の方法で実施した:補強用充填剤(カーボンブラック)、ジエンエラストマー(ハロゲン化ブチルゴム)、組成物C‐2用のホットメルト化合物(尿素)、さらにまた、加硫系および発泡剤を除く各種他の成分を、初期容器温度がほぼ60℃である密閉ミキサーに連続して導入した;ミキサーをそのようにしてほぼ70%(容量%)まで満たした。その後、熱機械加工(非生産段階)を、140℃の最高“落下”温度に達するまで、およそ2〜4分間の1工程で実施した。そのようにして得られた混合物を100℃よりも低い温度に冷却し、冷却した混合物を同じ密閉ミキサー内に再導入し(初期温度60℃)、その後、発泡剤(ジアゾ化合物)を上記混合物中に混入した(およそ70容量%まで充たしたミキサー)。その後、第2の熱機械的加工(非生産段階)を、100℃よりも低い最高落下温度に達するまで、およそ2〜4分間の1工程で実施した。そのようにして得られた混合物を回収し、冷却し、次いで、イオウとスルフェンアミドタイプの促進剤とを30℃の開放ミキサー(ホモフィッシャー)内で混入し、混ぜ合せた混合物を数分間混合した(生産段階)。
【0068】
その後、そのようにして得られた2通りの組成物をほぼ2mmに等しい厚さを有するゴムストリップ(12)の形にカレンダー加工し、このストリップを、上記で示したようにして、図1に示すような乗用車タイヤ(寸法 225/55 R17)に組込んだ。それぞれ組成物C‐1およびC‐2に相応する各タイヤ(P‐1およびP‐2で示す)を、下記の表2および3に示しているように試験した。硬化後。(膨張した)発泡ゴム層の厚さは、それぞれ、ほぼ8mm(タイヤP‐1)およびほぼ6mm(タイヤP‐2)であった。
【0069】
表2は、空気式タイヤの硬化前後の上記ゴム層の密度、さらにまた、体積膨張比および硬化後に形成された気泡の平均サイズを示している。密度は水中での浸漬による標準方法で測定し、体積膨張比は前述したようにして算出し、気泡の平均サイズ(数平均サイズ)は、発泡ゴム層を貫いて形成した横断面においてSEM (拡大200)によって測定した。
【0070】
表2を見るに、先ずは、ホットメルト化合物の混入(本発明に従うタイヤP‐2)は、発泡剤のみを使用して試験した解決法(本発明に従わないタイヤP‐1)と比較して、形成された気泡のサイズおよびタイヤを硬化させたときの発泡ゴム層の膨張比を極めて大きく(2.5よりも高い係数で)低下させることを可能にしていることが観察される。
【0071】
引続きそれぞれのゴム層の騒音低下特性を特性決定するために、発生した騒音レベルを、車両が走行するときの音圧レベルを車両内部に置いた数個のマイクロホンによって測定することによって評価する走行試験を上記空気式タイヤにおいて実施した。使用した車両は、トヨタ車(“Celsior”)であった。この試験において使用した車道表面は、半粗(semi‐rough)アスファルトに相応する。車両の速度を40km/時と60km/時に調整する。車両が測定領域に入るとき、音圧の記録を開始する。
【0072】
表3からの結果は、一方の190〜230Hz (“空洞騒音”)および他方の0〜2000Hz(“交通騒音”)の波長範囲内で、一方の本発明に従うタイヤP‐2とP‐0で示す対照タイヤ間において、また、他方のタイヤP‐1 (本発明に従わない)と同じ対照タイヤP‐0間において記録した騒音レベルの差異を表している。これらの差異は、該当する周波数範囲亘っての周波数の関数としての音圧の積分に相当する音響エネルギー(dB(A))として表しており、負の値は、参照に対する騒音の低下を示している。対照タイヤP‐0は、このタイヤがその空洞内に発泡ゴム層を含んでいないことを除けば、タイヤP‐1およびP‐2と同一である;対照タイヤP‐0は、この試験における参照タイヤとして使用している。
【0073】
表3を見るに、該当する周波数および速度に応じて、1〜5dB(A)の実質的に同一の騒音低下が、2つのタイプのタイヤ(P‐1およびP‐2)において得られていることが観察される。そのような低下は、当業者にとって極めて有意である。
結論として、本発明の空気式タイヤ(P‐2)は、その発泡ゴム層の膨張比が極めて実質的に低いにもかかわらず、対照空気式タイヤP‐1よりも高い車両内騒音を発生させていない。
【0074】
B) 試験2
この第2の試験は、この場合NRおよびSBRエラストマーをベースとするもう1つのゴム配合物を使用して発泡ゴム層のマトリックスを形成させたときの本発明の有益な効果を確証する。
この試験の必要条件として、ゴム組成物(C‐3で示す)を、試験1において上述したようにして製造した;その配合は、下記の表4に示している(phrでの成分含有量)。この組成物C‐3は、本発明に従っており、発泡剤とホットメルト化合物の双方を含む。
【0075】
その後、組成物C‐3を、異なる厚さ(未硬化状態において1.5mmと2.0mm)を有する2枚のゴム層(12)の形にカレンダー加工し、その後、これらのゴム層を、上記で示したようにして、共に本発明に従って且つ図1に示すようにして、2本の乗用車タイヤ(それぞれP‐3およびP‐4で示す) (寸法 225/55 R17)に組込んだ。
【0076】
硬化前後において、空気式タイヤ(P‐3およびP‐4)を下記の表5および6において示しているようにして試験した。硬化後、上記2つの発泡ゴム層の厚さは、それぞれ、ほぼ4mm(タイヤP‐3)およびほぼ5mm(タイヤP‐4)であった。
表5は、本発明に従うタイヤ(P‐3およびP‐4)の硬化前後の上記ゴム層の密度、さらにまた、硬化後の体積膨張比を示している。
表5を見るに、試験1における上記のように、ホットメルト化合物の混入は、150%と350%の間の、限られた発泡ゴム層の膨張比を得ることを可能にすることが観察される。
【0077】
表6からの結果は、上記で試験した周波数の範囲(“空洞騒音”および“交通騒音”)内で、空気式タイヤP‐3およびP‐4(共に本発明に従う)と対照タイヤP‐0 (発泡ゴム層を有していない)との間で記録した騒音レベルの差異を表している。騒音は両例において実質的に低下しており、発泡ゴム層の厚さが大きい場合はなおさらそうであることに注目されたい。
【0078】
結論として、注目に値しかつ予期に反することに、上記発泡剤とホットメルト化合物の推奨する高含有量での組合せ使用は、最終膨張状態(即ち、空気式タイヤを加硫させたとき)の発泡ゴム層の膨張比、従って、厚さを、発泡剤が付与する騒音吸収特性に影響を与えることなく極めて大きく低下させることを可能にしている;一定層厚においては、この発泡ゴム層の騒音吸収能力を実質的に増進させることが可能である。
【0079】
表1

(1) ハロゲン化(臭素化)イソブチレン/イソプレンコポリマー;
(2) ASTM級 N774 (Cabot社);
(3) アゾジカルボンアミド (Sankyo Kasei社からの“Cellmic C‐22”);
(4) 尿素 (Mitsui Chemical社);
(5) “Koresin”(BASF社);
(6) N‐1,3‐ジメチルブチル‐N‐フェニル‐パラ‐フェニレンジアミン(Flexsys社からの“SantoFlex 6‐PPD);
(7) 2‐メルカプトベンゾチアジルジスルフィド(Flexsys社からの“Santocure MBTS)。
【0080】
表2

【0081】
表3

(*) 車両内部の、試験タイヤと対照タイヤ(P‐0)間の差異
【0082】
表4

(1) 天然ゴム(解膠);
(2) 23.5%のスチレン、75%のトランス‐1,4単位、8%のシス‐1,4単位を含むSBR (Tg = −48℃);
(3) TDAE (Starry oil社からの“Viva Tec500”);
(4) ASTM級 N550 (Cabot社);
(5) アゾジカルボンアミド (Sankyo Kasei社からの“Cellmic C‐22”);
(6) 尿素 (Mitsui Chemical社);
(7) “Koresin”(BASF社);
(8) N‐1,3‐ジメチルブチル‐N‐フェニル‐パラ‐フェニレンジアミン(Flexsys社からの“SantoFlex 6‐PPD);
(9) N‐ジシクロヘキシル‐2‐ベンゾチアゾールスルフェンアミド(Flexsys社からの“Santocure CBS)。
【0083】
表5

【0084】
表6

(*) 車両内部の、試験タイヤと対照タイヤ(P‐0)間の差異
【符号の説明】
【0085】
1 空気式タイヤ
2 クラウン領域
2a、2b 肩部区切り線
3 側壁
4 ビード
5 ビードワイヤー
6 クラウン補強材(ベルト)
7 カーカス補強材
8 カーカス補強材の上返し
9 タイヤリム
10 内部ゴム層
11 膨張空洞
12 熱膨張性ゴム層または発泡ゴム層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
未加硫状態の空気式タイヤであって、その内壁が熱膨張性ゴム層を備えており、この層が、エラストマー、補強用充填剤、10phrと80phrの間の量の発泡剤および10phrと50phrの間の量のホットメルト化合物(その融点が70℃と150℃の間である)を少なくとも含むエラストマー組成物を含むことを特徴とする前記空気式タイヤ。
【請求項2】
前記エラストマーが、好ましくは、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ポリブタジエン、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマーおよびこれらのエラストマーの混合物からなる群から選ばれるジエンエラストマーである、請求項1記載の空気式タイヤ。
【請求項3】
前記エラストマー組成物が、ジエンエラストマーとして、50〜100phrの天然ゴムまたは合成ポリイソプレンを含む、請求項2記載の空気式タイヤ。
【請求項4】
前記エラストマー組成物が、ジエンエラストマーとして、50〜100phrのブチルゴムを含む、請求項2記載の空気式タイヤ。
【請求項5】
前記エラストマー組成物中の補強用充填剤の含有量が、10phrと100phrの間、好ましくは10phrと50phrの間の量である、請求項1〜4のいずれか1項記載の空気式タイヤ。
【請求項6】
前記エラストマー組成物の補強用充填剤が、シリカもしくはカーボンブラック、またはシリカとカーボンブラックの混合物を含む、請求項1〜5のいずれか1項記載の空気式タイヤ。
【請求項7】
前記発泡剤が、アゾ、ニトロソ、ヒドラジン、カルバジド、セミカルバジド、テトラゾール、カーボネートおよびシトレート化合物、並びにそのような化合物の混合物からなる群から選ばれる、請求項1〜6のいずれか1項記載の空気式タイヤ。
【請求項8】
前記発泡剤が、ジアゾ、ジニトロソ、スルホニルセミカルバジドおよびスルホニルヒドラジド化合物、並びにそのような化合物の混合物からなる群から選ばれる、請求項7記載の空気式タイヤ。
【請求項9】
前記発泡剤が、アゾジカルボンアミド化合物である、請求項8記載の空気式タイヤ。
【請求項10】
前記エラストマー組成物中の発泡剤の含有量が、20phrと70phrの間、好ましくは25〜65phrの範囲である、請求項1〜9のいずれか1項記載の空気式タイヤ。
【請求項11】
前記エラストマー組成物中のホットメルト化合物の含有量が10〜45phrの範囲内である、請求項1〜10のいずれか1項記載の空気式タイヤ。
【請求項12】
発泡剤とホットメルト化合物の合計量が、30phrと115phrの間、好ましくは35〜110phrの範囲内である、請求項1〜11のいずれか1項記載の空気式タイヤ。
【請求項13】
前記ホットメルト化合物の融点が、100℃と150℃の間、好ましくは110℃と140℃の間である、請求項1〜12のいずれか1項記載の空気式タイヤ。
【請求項14】
前記ホットメルト化合物が、尿素または尿素のホットメルト誘導体である、請求項1〜13のいずれか1項記載の空気式タイヤ。
【請求項15】
前記熱膨張性ゴム層の密度が、1.000〜1.3000g/cm3、好ましくは1.025〜1.250g/cm3の範囲内である、請求項1〜14のいずれか1項記載の空気式タイヤ。
【請求項16】
前記熱膨張性ゴム層の厚さが、0.5mmと5mmの間、好ましくは1mmと3mmの間である、請求項1〜15のいずれか1項記載の空気式タイヤ。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか1項記載の空気式タイヤを硬化させた後に得られた加硫状態の空気式タイヤ。
【請求項18】
膨張させた時点の前記ゴム層の密度が、0.200〜0.600g/cm3、好ましくは0.250〜0.450g/cm3の範囲内である。請求項17項記載の空気式タイヤ。
【請求項19】
膨張させた時点の前記ゴム層の厚さが、2mmと20mmの間、好ましくは4mmと12mmの間である、請求項17または18記載の空気式タイヤ。
【請求項20】
膨張させた時点の前記ゴム層の体積膨張比が、100%と400%の間、好ましくは150%と300%の間である、請求項17〜19のいずれか1項記載の空気式タイヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−508525(P2013−508525A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535760(P2012−535760)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【国際出願番号】PCT/EP2010/066019
【国際公開番号】WO2011/051203
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(512068547)コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン (169)
【出願人】(508032479)ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム (499)
【Fターム(参考)】