熱電材料とそれを原料とした複合材料及びその製造方法
【課題】ナノ分散相としてカーボンナノチューブを使用し、ナノ結晶粒化した基材を同時に実現できるようにした熱電材料及びその製造方法の提供。
【解決手段】熱電材料の製造方法は、カーボンナノチューブが分散した第1溶液と金属塩が混合した第2溶液を製造する第1溶液及び第2溶液製造ステップと、前記第1溶液と第2溶液を混合して混合溶液を製造する混合溶液製造ステップと、前記混合溶液を化学反応させてカーボンナノチューブと金属が混合した混合粉末を生成及び成長させる混合粉末製造ステップと、前記混合粉末を機械的に粉砕及び混合する混合粉末粉砕ステップと、前記粉砕及び混合した混合粉末を熱処理して熱電材料を製造する熱電材料製造ステップとからなる。また、熱電材料を原料とした複合材料は、前記熱電材料にスパークプラズマ焼結工程を行って製造され、カーボンナノチューブがネットワークをなして熱電特性が向上するという利点がある。
【解決手段】熱電材料の製造方法は、カーボンナノチューブが分散した第1溶液と金属塩が混合した第2溶液を製造する第1溶液及び第2溶液製造ステップと、前記第1溶液と第2溶液を混合して混合溶液を製造する混合溶液製造ステップと、前記混合溶液を化学反応させてカーボンナノチューブと金属が混合した混合粉末を生成及び成長させる混合粉末製造ステップと、前記混合粉末を機械的に粉砕及び混合する混合粉末粉砕ステップと、前記粉砕及び混合した混合粉末を熱処理して熱電材料を製造する熱電材料製造ステップとからなる。また、熱電材料を原料とした複合材料は、前記熱電材料にスパークプラズマ焼結工程を行って製造され、カーボンナノチューブがネットワークをなして熱電特性が向上するという利点がある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボンナノチューブが分散した第1溶液と金属塩が含まれる第2溶液を混合した後、化学反応により生成された混合粉末を機械的に粉砕及び混合し、熱処理して前記カーボンナノチューブの一部が内部に挿入された形態を有するようにした熱電材料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱電材料とは、材料の両端間に温度差を与えたときに電気エネルギーが生じ、逆に材料に電気エネルギーを与えたときに材料の両端間に温度差が生じるエネルギー変換材料である。
【0003】
このような熱電材料は、19世紀初めに熱電現象であるゼーベック効果(Seebeck effect)、ペルチェ効果(Peltier effect)、トムソン効果(Thomson effect)などが発見され、その後1930年代後半から半導体の発展と共に熱電性能指数の高い熱電材料が開発され、近年は熱電発電を利用した山間僻地用、宇宙用、軍事用などの特殊電源装置としての使用、熱電冷却を利用した半導体レーザダイオード、赤外線検出素子などにおける精密な温度制御やコンピュータ関連小型冷却機、光通信レーザ冷却装置、冷温水機の冷却装置、半導体温度調節装置、熱交換器などに用いられている。
【0004】
このような熱電材料の熱電性能指数を向上させるには、無次元性能指数であるZT=(σα2/κ)T値を向上させなければならない。
【0005】
(α:ゼーベック係数(Seebeck coefficient),σ:電気伝導度,κ:熱伝導度)
【0006】
熱電材料の性能指数が高いということは熱電材料のエネルギー変換効率が高いということを意味するが、このような性能指数を向上させるには、電気伝導度とゼーベック係数を増加させるか、熱伝導度を減少させる必要がある。
【0007】
一般に、材料の電気伝導度と熱伝導度は相互依存特性を有する。すなわち、電気伝導度が低い熱電材料は熱伝導度も低いことが知られている。
【0008】
しかし、熱電素材の場合、前記性能指数(ZT)から分かるように、高い電気伝導度と低い熱伝導度の適切な組み合わせを必要とする。性能指数を左右する関数のうち、ゼーベック(Seebeck)係数、電気伝導度は主に電荷の散乱に依存し、熱伝導度は主にフォノン(phonon)の散乱に依存するので、これを考慮した微細組織の制御により特性を制御する必要がある。
【0009】
より具体的には、熱電材料内での電荷の散乱はできるだけ減少させ、熱電材料を構成するフォノン(phonon)の散乱を増加させて熱伝導度の減少を引き起こすことにより、結果として性能指数を向上させることができる。
【0010】
周知の通り、高い性能指数を有する熱電材料を製造するために、近年は熱電素材のナノ結晶粒化とナノ相を添加した熱電複合材料を製造する研究が盛んに進められている。
【0011】
ナノ構造化された熱電素材は、特定のサイズのナノ結晶粒がフォノンの散乱は最大化させるが、電子は通過させる特性であり、材料の電気伝導度と熱伝導度を同時に制御することができる。
【0012】
同様に、複合材料化は、分散、混合したナノ相が新しい界面を形成し、これによりフォノンの散乱が増大して材料の熱伝導度が低くなり、基材の電気伝導度には大きく影響を及ぼさない概念であり、熱電性能を向上させる方法として知られている。
【0013】
特に、熱電複合材料は、ナノ分散相の種類とサイズによって性能を制御できる利点があるので、熱電素材の特性の同時制御に利点が大きい。
【0014】
しかし、従来の熱電複合材料を製造するほとんどの工程は、特許文献1及び2に開示されているように、金属酸化物のナノ分散相を使用する。
【0015】
従って、金属酸化物のナノ分散相によるフォノン散乱効果が効果的に発生し、電気伝導度はナノ分散相が10nm以下のサイズで分散しているときに維持又は小幅減少する効果を得ることができる。しかし、従来の機械的ミリング工程だけでは、数十ナノメートル以下のナノ分散相の完全な凝集解消が容易でない。
【0016】
非特許文献1では、ナノ分散相として金属酸化物と非導電性セラミック粒子であるSiCが使用されるが、非導電性セラミック粒子によって電気伝導度が低下するという問題が生じる。
【0017】
このようなナノ分散相の凝集と低い導電性の問題は究極的に熱電基材相内における分散相の効果的な活用を困難にするので、複合材料により結晶粒界面の効果とナノ分散相の効果が同時に実現される相乗効果を確保する上で困難がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】韓国公開特許第2001−0028909号公報
【特許文献2】韓国特許出願第10−2008−0087859号公報
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】L. Zhao et al., Journal of Alloys and Compounds 455 (2008) p259-264
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたものであり、ナノ分散相としてカーボンナノチューブを使用し、ナノ結晶粒化した基材を同時に実現できるようにした熱電材料及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0021】
本発明の他の目的は、フレーク(flake)形状のナノ粉末とカーボンナノチューブを混合して製造された混合粉末を機械的ミリング工程で粉砕及び混合してカーボンナノチューブが分散した形態の熱電材料を合成することにより、各結晶面の電子密度を制御してゼーベック係数を向上させた熱電材料及びその製造方法を提供することにある。
【0022】
本発明のさらに他の目的は、熱電材料を原料としてスパークプラズマ焼結工程を行うことにより、カーボンナノチューブの分散による散乱効果により熱伝導度が減少し、カーボンナノチューブの伝導度により電気伝導度を向上させて性能指数(ZT)を向上させた熱電材料を原料とした複合材料及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明による熱電材料は、カーボンナノチューブが分散した第1溶液と金属塩が混合した第2溶液を混合した後、化学反応により生成された混合粉末を機械的に粉砕及び混合し、熱処理して前記カーボンナノチューブの一部が内部に挿入された形態を有することを特徴とする。
【0024】
前記カーボンナノチューブは、多重壁カーボンナノチューブが適用されることを特徴とする。
【0025】
前記混合粉末は、テルル(Te)とビスマス(Bi)とを必ず含み、アンチモン(Sb)とセレン(Se)の少なくとも1つを含むことを特徴とする。
【0026】
前記カーボンナノチューブは、1〜10%の体積分率で含まれることを特徴とする。
【0027】
本発明による熱電材料を原料とした複合材料は、カーボンナノチューブが分散した第1溶液と金属塩が混合した第2溶液を混合した後、化学反応により生成された混合粉末を機械的に粉砕及び混合し、熱処理して前記カーボンナノチューブの一部が内部に挿入された形態を有する熱電材料にスパークプラズマ焼結工程を行って製造することを特徴とする。
【0028】
前記カーボンナノチューブは、多重壁カーボンナノチューブが適用されることを特徴とする。
【0029】
本発明による熱電材料の製造方法は、カーボンナノチューブが分散した第1溶液と金属塩が混合した第2溶液を製造する第1溶液及び第2溶液製造ステップと、前記第1溶液と第2溶液を混合して混合溶液を製造する混合溶液製造ステップと、前記混合溶液を化学反応させてカーボンナノチューブと金属が混合した混合粉末を生成及び成長させる混合粉末製造ステップと、前記混合粉末を機械的に粉砕及び混合する混合粉末粉砕ステップと、前記粉砕及び混合した混合粉末を熱処理して熱電材料を製造する熱電材料製造ステップとからなることを特徴とする。
【0030】
前記金属塩は、ビスマスアセテート(Bi acetate)、ビスマスクロライド(Bi chloride)、ビスマス硝酸塩(BiNO3)の少なくとも1つとテルルクロライド(Te chloride)とを必ず含み、アンチモン塩とセレン塩の少なくとも1つを含むことを特徴とする。
【0031】
前記第1溶液には、Dioctylether、Diphenyletherの少なくとも1つを含む極性溶媒が含まれることを特徴とする。
【0032】
前記混合粉末製造ステップは、前記混合溶液を10℃/分で250〜280℃まで昇温して2時間保持して熱電材料を生成する化学反応過程と、生成された熱電材料の周囲にカーボンナノチューブが位置する混合粉末を製造する混合粉末製造過程とからなることを特徴とする。
【0033】
前記第2溶液には、OleylamineとTrioctylphosphineの少なくとも1つが適用されることを特徴とする。
【0034】
前記混合粉末粉砕ステップは、フレーク(flake)形状の混合粉末を円形にし、前記金属と分離していたカーボンナノチューブの一部が金属内部に挿入されるようにする過程であることを特徴とする。
【0035】
前記第1溶液及び第2溶液製造ステップは、前記カーボンナノチューブを精製する精製過程と、前記カーボンナノチューブに官能基を形成する官能化過程と、前記カーボンナノチューブを抽出する抽出過程と、抽出されたカーボンナノチューブを極性溶媒に界面活性剤と共に分散する分散過程とを順次行って第1溶液を製造すると共に、ビスマスアセテート(Bi acetate)、ビスマスクロライド(Bi chloride)、ビスマス硝酸塩(BiNO3)の少なくとも1つ、テルルクロライド(Te chloride)、還元剤、及び界面活性剤を必ず含み、セレン塩とアンチモン塩の少なくとも1つを選択的に含むように混合して第2溶液を製造する過程であることを特徴とする。
【0036】
前記熱電材料製造ステップは、還元雰囲気で熱処理して前記混合粉末に含まれる酸素、酸化物及び有機物を除去する過程であることを特徴とする。
【0037】
前記精製過程は、硫酸と硝酸が3:1の体積比で混合した溶液で行われることを特徴とする。
【0038】
前記混合粉末製造ステップの後には、前記混合粉末を分離する粉末分離過程と、分離した混合粉末を80〜100℃の真空雰囲気で加熱して酸化反応を中断する粉末乾燥過程とが行われることを特徴とする。
【0039】
本発明による熱電材料を原料とした複合材料の製造方法は、カーボンナノチューブが分散した第1溶液と金属塩が混合した第2溶液を製造する第1溶液及び第2溶液製造ステップと、前記第1溶液と第2溶液を混合して混合溶液を製造する混合溶液製造ステップと、前記混合溶液を化学反応させてカーボンナノチューブと金属が混合した混合粉末を生成及び成長させる混合粉末製造ステップと、前記混合粉末を機械的に粉砕及び混合する混合粉末粉砕ステップと、前記粉砕及び混合した混合粉末を熱処理して熱電材料を製造する熱電材料製造ステップと、前記熱電材料にスパークプラズマ焼結工程を行ってバルク化した複合材料を製造する複合材料製造ステップとからなることを特徴とする。
【0040】
前記金属塩は、ビスマスアセテート(Bi acetate)、ビスマスクロライド(Bi chloride)、ビスマス硝酸塩(BiNO3)の少なくとも1つとテルルクロライド(Te chloride)とを必ず含み、アンチモン塩とセレン塩の少なくとも1つを含むことを特徴とする。
【0041】
前記複合材料製造ステップは、300〜350℃の温度、30〜70MPaの圧力で加圧して焼結する過程であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0042】
以上説明したように、本発明による熱電材料及びそれを原料とした複合材料においては、内部にカーボンナノチューブが分散した形態を有するか、一部挿入された形状を有するように構成した。
【0043】
従って、カーボンナノチューブ分散効果による散乱効果によって電気伝導度とゼーベック係数が向上し、究極的にZT値が向上するという利点がある。
【0044】
特に、熱電材料は導電性のカーボンナノチューブを含むため、電気伝導度が高くなるか、維持されるので、従来の非導電性分散相を使用した場合より熱電性能がさらに向上した素材を製造できるコア原料粉末として使用される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明による熱電材料の拡大写真である。
【図2】本発明による熱電材料の製造方法を示す工程フローチャートである。
【図3】本発明による熱電材料の製造方法の一ステップである第1溶液及び第2溶液製造ステップを詳細に示す工程フローチャートである。
【図4】本発明による熱電材料の製造方法の一ステップである混合粉末製造ステップを詳細に示す工程フローチャートである。
【図5】本発明による熱電材料の製造方法の一ステップである混合粉末製造ステップで製造された混合粉末を示す拡大写真である。
【図6】本発明による熱電材料のXRD結果である。
【図7】本発明による熱電材料を原料とした複合材料の構造を示す概念図である。
【図8】本発明による熱電材料を原料とした複合材料を示す拡大写真である。
【図9】本発明による熱電材料を原料とした複合材料の製造方法を示す工程フローチャートである。
【図10】図8の複合材料とカーボンナノチューブとが含まれない比較例の複合材料の電気比抵抗を比較したグラフである。
【図11】図8の複合材料とカーボンナノチューブとが含まれない比較例の複合材料のゼーベック係数を比較したグラフである。
【図12】図8の複合材料とカーボンナノチューブとが含まれない比較例の複合材料の熱伝導度を比較したグラフである。
【図13】図8の複合材料とカーボンナノチューブとが含まれない比較例の複合材料の性能指数(ZT)を比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、図1を参照して本発明による熱電材料の構成を説明する。
【0047】
図1には本発明による熱電材料の拡大写真を示す。
【0048】
本発明による熱電材料は、カーボンナノチューブがナノ結晶粒化した熱電材料の内部に分散した形態を有するように構成されているものであり、ナノ分散相とナノ結晶粒系の特性を同時に実現できるように構成されている。
【0049】
すなわち、前記熱電材料は、分散した第1溶液と金属塩が混合した第2溶液を混合した後、化学反応により生成された混合粉末を機械的に粉砕及び混合し、熱処理して前記カーボンナノチューブの少なくとも一部が内部に挿入された形態を有する。
【0050】
本発明の実施例において、前記カーボンナノチューブは、多重壁カーボンナノチューブが適用されて熱電材料の全体積に対して1〜10%の体積分率を有するようにした。
【0051】
また、前記熱電材料は、テルル(Te)とビスマス(Bi)とを必ず含み、アンチモン(Sb)とセレン(Se)の少なくとも1つを選択的に含むように構成した。
【0052】
以下、図2〜図4を参照して前記熱電材料を製造する方法を説明する。
【0053】
図2は本発明による熱電材料の製造方法を示す工程フローチャートであり、図3は本発明による熱電材料の製造方法の一ステップである第1溶液及び第2溶液製造ステップを詳細に示す工程フローチャートであり、図4は本発明による熱電材料の製造方法の一ステップである混合粉末製造ステップを詳細に示す工程フローチャートである。
【0054】
これらの図のように、前記熱電材料は、カーボンナノチューブが分散した第1溶液と金属塩が混合した第2溶液を製造する第1溶液及び第2溶液製造ステップS100と、前記第1溶液と第2溶液を混合して混合溶液を製造する混合溶液製造ステップS200と、前記混合溶液を化学反応させてカーボンナノチューブと金属が混合した混合粉末を生成及び成長させる混合粉末製造ステップS300と、前記混合粉末を機械的に粉砕及び混合する混合粉末粉砕ステップS400と、前記粉砕及び混合した混合粉末を熱処理して熱電材料を製造する熱電材料製造ステップS500とを順次行って製造される。
【0055】
各ステップを詳細に説明すると、前記第1溶液及び第2溶液製造ステップは、化学反応により混合粉末が生成される混合溶液を製造するための原料である第1溶液と第2溶液を製造する過程であり、前記第1溶液と第2溶液は別個に製造され、製造する順序は関係ない。
【0056】
すなわち、前記第1溶液は、前記カーボンナノチューブを精製する精製過程S120と、前記カーボンナノチューブに官能基を形成する官能化過程S140と、前記カーボンナノチューブを抽出する抽出過程S160と、抽出されたカーボンナノチューブをDioctylether溶媒に界面活性剤と共に分散する分散過程S180とを順次行って製造される。
【0057】
前記精製過程S120は、直径が10〜40nmのカーボンナノチューブをHCl溶液に浸漬して精製する過程であり、精製されたカーボンナノチューブを硫酸と硝酸が3:1の体積比で混合した溶液に投入して超音波処理を行うことによりカルボキシル基などの官能基を形成する官能化過程S140が行われる。
【0058】
官能化されたカーボンナノチューブが遠心分離とフィルタリングによる抽出過程S160を経た後、分散過程S180により溶媒に分散した状態になって第1溶液の製造が完了する。
【0059】
また、前記第2溶液は、金属塩と、還元剤と、界面活性剤とから構成される。
【0060】
すなわち、前記金属塩は、ビスマスアセテート(Bi acetate)、ビスマスクロライド(Bi chloride)、ビスマス硝酸塩(BiNO3)の少なくとも1つとテルルクロライド(Te chloride)とを含み、OleylamineとTrioctylphosphineの少なくとも1つの界面活性剤が適用され、還元剤としてHexadecanediolが適用される。
【0061】
また、前記第2溶液の金属塩には、アンチモン塩とセレン塩の少なくとも1つが含まれる。
【0062】
このような過程により第1溶液及び第2溶液製造ステップS100が完了し、その後混合溶液製造ステップS200が行われる。
【0063】
前記混合溶液製造ステップS200は、第1溶液及び第2溶液製造ステップS100で製造された第1溶液及び第2溶液を混合して混合溶液を製造する過程である。
【0064】
従って、前記混合溶液にはカーボンナノチューブ、金属塩、界面活性剤及び還元剤が全て含まれる状態となる。
【0065】
前記混合溶液製造ステップS200の後には、前記混合溶液から混合粉末を製造する混合粉末製造ステップS300を行う。
【0066】
前記混合粉末製造ステップS300は、混合溶液を加熱して化学反応により金属塩を還元させて混合粉末の熱電相が析出するようにする過程である。
【0067】
本発明の実施例において、前記混合粉末製造ステップS300は、前記混合溶液を10℃/分で250〜280℃まで昇温して2時間保持することにより混合溶液から析出した。
【0068】
図4を参照して前記混合粉末製造ステップS300をより詳細に説明すると、前記混合溶液を10℃/分で250〜280℃まで昇温して2時間保持して熱電材料を生成する化学反応過程S320と、生成された熱電材料の周囲にカーボンナノチューブが位置する混合粉末を製造する混合粉末製造過程S340とからなる。
【0069】
前記混合粉末製造過程S340が完了して製造された混合粉末は、図5のようにフレーク(flake)形状を有する金属ナノ粉末(Bi2Te3)間にカーボンナノチューブが混合した状態を有する。
【0070】
これは、前記化学反応過程S320中に還元剤から供給された電子によりビスマス(Bi)イオンとテルル(Te)イオンがビスマス(Bi)原子とテルル(Te)原子に核生成してBi2Te3を形成したものであり、この時エネルギー的に最も安定した方向である稠密面を中心に先に成長するので、フレーク形状を有するようになった。
【0071】
前記混合粉末製造過程S340の後には、混合粉末を分離する粉末分離過程S360と、分離した混合粉末を乾燥する粉末乾燥過程S380が順次行われる。
【0072】
このような過程により前記混合粉末製造ステップS300が完了し、前記混合粉末が混合粉末粉砕ステップS400を経てカーボンナノチューブが熱電相の内部に挿入された形態のナノ金属粉末形態となり、還元雰囲気で熱処理して前記混合粉末に含まれる酸素、酸化物及び有機物を除去する熱電材料製造ステップS500を行うと、熱電材料の製造は完了する。
【0073】
ここで、前記熱電材料は図1のように丸い粉末形態を有し、図6のように本発明による熱電材料のXRD結果からBi2Te3相を確認することができる。
【0074】
以下、図7〜図13を参照して本発明による熱電材料を原料とした複合材料及びそれを製造する方法について詳細に説明する。
【0075】
まず、図7及び図8を参照して本発明による熱電材料を原料とした複合材料の構成について説明する。
【0076】
図7は本発明による熱電材料を原料とした複合材料の構造を示す概念図であり、図8は本発明による熱電材料を原料とした複合材料を示す拡大写真である。
【0077】
これらの図のように、本発明による複合材料は、ナノ結晶粒のBi2Te3系基材相にカーボンナノチューブが3次元的に導電性ネットワークを形成するように備えられ、フォノンはカーボンナノチューブにより散乱して熱伝導度が減少するが、カーボンナノチューブの優れた伝導度により向上した熱電性能を確保できるように構成される。
【0078】
また、図8のように、カーボンナノチューブが含まれる本発明の実施例の複合粉末には、カーボンナノチューブがランダムに分散していることを確認することができる。
【0079】
以下、図9を参照して前述のように構成される複合材料を製造する方法を説明する。
【0080】
図9は本発明による熱電材料を原料とした複合材料の製造方法を示す工程フローチャートであり、本発明による複合材料は図2に従って製造された熱電材料を焼結することにより製造される。
【0081】
すなわち、前記熱電材料製造ステップS500の後に複合材料製造ステップS600を行って複合材料を製造することができ、前記複合材料製造ステップS600は熱電材料に対してスパークプラズマ焼結工程を行って複合材料を製造する過程である。
【0082】
前記スパークプラズマ焼結工程は、直流のパルス化した高密度の電流を粉末状態の熱電材料に流すと発生するジュール熱を利用して焼結することによりバルク化する工程である。
【0083】
従って、速い昇温速度と短い焼結時間で長時間真空焼結した試料に似た特性を得ることができる。
【0084】
より具体的には、速い昇温速度は結晶粒の成長を抑制するので、ナノ結晶粒の材料を製造するのに適し、よって本発明の複合材料製造ステップS600では前記熱電材料を複合材料に焼結するためにスパークプラズマ焼結工程を行った。
【0085】
本発明の実施例において、複合材料製造ステップS600は、300〜350℃の温度範囲で5〜10分間行い、ビスマステルライド熱電相の結晶粒が大きくならないように制限し、かつカーボンナノチューブの分散が維持されるようにした。
【0086】
このように温度範囲を限定する理由は、前記温度範囲を超えて行うと、熱電基材相の結晶粒成長速度が速くなってナノ結晶粒を維持することが困難になり、その反面温度範囲未満で焼結すると、焼結密度が高くならないので熱電材料の結合が完全に行われなくなるためである。
【0087】
下記表1のように、250℃の焼結温度で製造された複合材料は10%以上の気孔度を示すが、300℃に焼結温度を上昇させて製造された複合材料は5%以内の気孔度を示す。
【0088】
従って、本発明の実施例において、前記複合材料製造ステップS600は気孔度を維持すると共にナノサイズの結晶粒サイズを維持できるように、300℃の焼結温度で行われることが最も好ましい。
【0089】
【表1】
【0090】
以下、図10〜図13を参照して本発明による複合材料と比較例の複合材料の特性を比較説明する。
【0091】
図10〜図13は、カーボンナノチューブが含まれる図8の複合材料とカーボンナノチューブが含まれない比較例の複合材料の電気比抵抗、ゼーベック係数、熱伝導度及び性能指数(ZT)を比較したグラフである。
【0092】
図10〜図13は、カーボンナノチューブが含まれた本発明の好ましい実施例の熱電材料と、カーボンナノチューブが含まれていない比較例の熱電材料の特性を比較するために、カーボンナノチューブの添加による特性を比較したデータであり、スパークプラズマ焼結工程で複合材料を製造した。
【0093】
まず、図10のように、カーボンナノチューブがランダムに分散している本発明の実施例の複合材料は、カーボンナノチューブが含まれない比較例と電気比抵抗を比較した結果、本発明の実施例の複合粉末が著しく低い電気比抵抗を示すことを確認した。
【0094】
よって、本発明のようにカーボンナノチューブが含まれる場合、電気伝導度を向上させる上で優れた効果があることが立証された。
【0095】
また、図11を参照して実施例と比較例のゼーベック係数を比較すると、実施例に従って製造された熱電材料を原料として製造された複合材料は、そうでない比較例の複合材料と比較すると、ゼーベック係数が約2倍に向上したことが分かる。
【0096】
これは、本発明によりカーボンナノチューブが分散して熱電基材相の内部でネットワークをなしているときにカーボンナノチューブから供給された高い電荷密度が電子の状態密度を変化させて示す効果であると解釈される。
【0097】
図12に示すように、実施例による複合材料は、比較例と比較して熱伝導度が相対的に低かったが、これはカーボンナノチューブの分散効果によりフォノン散乱が活発に行われたからである。
【0098】
最後に、実施例による複合材料は、図13のように、比較例であるビスマステルライドと比較して約10倍増加した性能指数(ZT)を示す。
【0099】
前述した本発明の実施例は本発明の技術的思想の具体的な一例にすぎず、製造過程における温度、時間、カーボンナノチューブの体積分率などの処理条件などは当業者によって選択的に変形可能であろう。
【符号の説明】
【0100】
S100:第1溶液及び第2溶液製造ステップ
S120:精製過程
S140:官能化過程
S160:抽出過程
S180:分散過程
S200:混合溶液製造ステップ
S300:混合粉末製造ステップ
S320:化学反応過程
S340:混合粉末製造過程
S360:粉末分離過程
S380:粉末乾燥過程
S400:混合粉末粉砕ステップ
S500:熱電材料製造ステップ
S600:複合材料製造ステップ
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボンナノチューブが分散した第1溶液と金属塩が含まれる第2溶液を混合した後、化学反応により生成された混合粉末を機械的に粉砕及び混合し、熱処理して前記カーボンナノチューブの一部が内部に挿入された形態を有するようにした熱電材料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱電材料とは、材料の両端間に温度差を与えたときに電気エネルギーが生じ、逆に材料に電気エネルギーを与えたときに材料の両端間に温度差が生じるエネルギー変換材料である。
【0003】
このような熱電材料は、19世紀初めに熱電現象であるゼーベック効果(Seebeck effect)、ペルチェ効果(Peltier effect)、トムソン効果(Thomson effect)などが発見され、その後1930年代後半から半導体の発展と共に熱電性能指数の高い熱電材料が開発され、近年は熱電発電を利用した山間僻地用、宇宙用、軍事用などの特殊電源装置としての使用、熱電冷却を利用した半導体レーザダイオード、赤外線検出素子などにおける精密な温度制御やコンピュータ関連小型冷却機、光通信レーザ冷却装置、冷温水機の冷却装置、半導体温度調節装置、熱交換器などに用いられている。
【0004】
このような熱電材料の熱電性能指数を向上させるには、無次元性能指数であるZT=(σα2/κ)T値を向上させなければならない。
【0005】
(α:ゼーベック係数(Seebeck coefficient),σ:電気伝導度,κ:熱伝導度)
【0006】
熱電材料の性能指数が高いということは熱電材料のエネルギー変換効率が高いということを意味するが、このような性能指数を向上させるには、電気伝導度とゼーベック係数を増加させるか、熱伝導度を減少させる必要がある。
【0007】
一般に、材料の電気伝導度と熱伝導度は相互依存特性を有する。すなわち、電気伝導度が低い熱電材料は熱伝導度も低いことが知られている。
【0008】
しかし、熱電素材の場合、前記性能指数(ZT)から分かるように、高い電気伝導度と低い熱伝導度の適切な組み合わせを必要とする。性能指数を左右する関数のうち、ゼーベック(Seebeck)係数、電気伝導度は主に電荷の散乱に依存し、熱伝導度は主にフォノン(phonon)の散乱に依存するので、これを考慮した微細組織の制御により特性を制御する必要がある。
【0009】
より具体的には、熱電材料内での電荷の散乱はできるだけ減少させ、熱電材料を構成するフォノン(phonon)の散乱を増加させて熱伝導度の減少を引き起こすことにより、結果として性能指数を向上させることができる。
【0010】
周知の通り、高い性能指数を有する熱電材料を製造するために、近年は熱電素材のナノ結晶粒化とナノ相を添加した熱電複合材料を製造する研究が盛んに進められている。
【0011】
ナノ構造化された熱電素材は、特定のサイズのナノ結晶粒がフォノンの散乱は最大化させるが、電子は通過させる特性であり、材料の電気伝導度と熱伝導度を同時に制御することができる。
【0012】
同様に、複合材料化は、分散、混合したナノ相が新しい界面を形成し、これによりフォノンの散乱が増大して材料の熱伝導度が低くなり、基材の電気伝導度には大きく影響を及ぼさない概念であり、熱電性能を向上させる方法として知られている。
【0013】
特に、熱電複合材料は、ナノ分散相の種類とサイズによって性能を制御できる利点があるので、熱電素材の特性の同時制御に利点が大きい。
【0014】
しかし、従来の熱電複合材料を製造するほとんどの工程は、特許文献1及び2に開示されているように、金属酸化物のナノ分散相を使用する。
【0015】
従って、金属酸化物のナノ分散相によるフォノン散乱効果が効果的に発生し、電気伝導度はナノ分散相が10nm以下のサイズで分散しているときに維持又は小幅減少する効果を得ることができる。しかし、従来の機械的ミリング工程だけでは、数十ナノメートル以下のナノ分散相の完全な凝集解消が容易でない。
【0016】
非特許文献1では、ナノ分散相として金属酸化物と非導電性セラミック粒子であるSiCが使用されるが、非導電性セラミック粒子によって電気伝導度が低下するという問題が生じる。
【0017】
このようなナノ分散相の凝集と低い導電性の問題は究極的に熱電基材相内における分散相の効果的な活用を困難にするので、複合材料により結晶粒界面の効果とナノ分散相の効果が同時に実現される相乗効果を確保する上で困難がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】韓国公開特許第2001−0028909号公報
【特許文献2】韓国特許出願第10−2008−0087859号公報
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】L. Zhao et al., Journal of Alloys and Compounds 455 (2008) p259-264
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたものであり、ナノ分散相としてカーボンナノチューブを使用し、ナノ結晶粒化した基材を同時に実現できるようにした熱電材料及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0021】
本発明の他の目的は、フレーク(flake)形状のナノ粉末とカーボンナノチューブを混合して製造された混合粉末を機械的ミリング工程で粉砕及び混合してカーボンナノチューブが分散した形態の熱電材料を合成することにより、各結晶面の電子密度を制御してゼーベック係数を向上させた熱電材料及びその製造方法を提供することにある。
【0022】
本発明のさらに他の目的は、熱電材料を原料としてスパークプラズマ焼結工程を行うことにより、カーボンナノチューブの分散による散乱効果により熱伝導度が減少し、カーボンナノチューブの伝導度により電気伝導度を向上させて性能指数(ZT)を向上させた熱電材料を原料とした複合材料及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明による熱電材料は、カーボンナノチューブが分散した第1溶液と金属塩が混合した第2溶液を混合した後、化学反応により生成された混合粉末を機械的に粉砕及び混合し、熱処理して前記カーボンナノチューブの一部が内部に挿入された形態を有することを特徴とする。
【0024】
前記カーボンナノチューブは、多重壁カーボンナノチューブが適用されることを特徴とする。
【0025】
前記混合粉末は、テルル(Te)とビスマス(Bi)とを必ず含み、アンチモン(Sb)とセレン(Se)の少なくとも1つを含むことを特徴とする。
【0026】
前記カーボンナノチューブは、1〜10%の体積分率で含まれることを特徴とする。
【0027】
本発明による熱電材料を原料とした複合材料は、カーボンナノチューブが分散した第1溶液と金属塩が混合した第2溶液を混合した後、化学反応により生成された混合粉末を機械的に粉砕及び混合し、熱処理して前記カーボンナノチューブの一部が内部に挿入された形態を有する熱電材料にスパークプラズマ焼結工程を行って製造することを特徴とする。
【0028】
前記カーボンナノチューブは、多重壁カーボンナノチューブが適用されることを特徴とする。
【0029】
本発明による熱電材料の製造方法は、カーボンナノチューブが分散した第1溶液と金属塩が混合した第2溶液を製造する第1溶液及び第2溶液製造ステップと、前記第1溶液と第2溶液を混合して混合溶液を製造する混合溶液製造ステップと、前記混合溶液を化学反応させてカーボンナノチューブと金属が混合した混合粉末を生成及び成長させる混合粉末製造ステップと、前記混合粉末を機械的に粉砕及び混合する混合粉末粉砕ステップと、前記粉砕及び混合した混合粉末を熱処理して熱電材料を製造する熱電材料製造ステップとからなることを特徴とする。
【0030】
前記金属塩は、ビスマスアセテート(Bi acetate)、ビスマスクロライド(Bi chloride)、ビスマス硝酸塩(BiNO3)の少なくとも1つとテルルクロライド(Te chloride)とを必ず含み、アンチモン塩とセレン塩の少なくとも1つを含むことを特徴とする。
【0031】
前記第1溶液には、Dioctylether、Diphenyletherの少なくとも1つを含む極性溶媒が含まれることを特徴とする。
【0032】
前記混合粉末製造ステップは、前記混合溶液を10℃/分で250〜280℃まで昇温して2時間保持して熱電材料を生成する化学反応過程と、生成された熱電材料の周囲にカーボンナノチューブが位置する混合粉末を製造する混合粉末製造過程とからなることを特徴とする。
【0033】
前記第2溶液には、OleylamineとTrioctylphosphineの少なくとも1つが適用されることを特徴とする。
【0034】
前記混合粉末粉砕ステップは、フレーク(flake)形状の混合粉末を円形にし、前記金属と分離していたカーボンナノチューブの一部が金属内部に挿入されるようにする過程であることを特徴とする。
【0035】
前記第1溶液及び第2溶液製造ステップは、前記カーボンナノチューブを精製する精製過程と、前記カーボンナノチューブに官能基を形成する官能化過程と、前記カーボンナノチューブを抽出する抽出過程と、抽出されたカーボンナノチューブを極性溶媒に界面活性剤と共に分散する分散過程とを順次行って第1溶液を製造すると共に、ビスマスアセテート(Bi acetate)、ビスマスクロライド(Bi chloride)、ビスマス硝酸塩(BiNO3)の少なくとも1つ、テルルクロライド(Te chloride)、還元剤、及び界面活性剤を必ず含み、セレン塩とアンチモン塩の少なくとも1つを選択的に含むように混合して第2溶液を製造する過程であることを特徴とする。
【0036】
前記熱電材料製造ステップは、還元雰囲気で熱処理して前記混合粉末に含まれる酸素、酸化物及び有機物を除去する過程であることを特徴とする。
【0037】
前記精製過程は、硫酸と硝酸が3:1の体積比で混合した溶液で行われることを特徴とする。
【0038】
前記混合粉末製造ステップの後には、前記混合粉末を分離する粉末分離過程と、分離した混合粉末を80〜100℃の真空雰囲気で加熱して酸化反応を中断する粉末乾燥過程とが行われることを特徴とする。
【0039】
本発明による熱電材料を原料とした複合材料の製造方法は、カーボンナノチューブが分散した第1溶液と金属塩が混合した第2溶液を製造する第1溶液及び第2溶液製造ステップと、前記第1溶液と第2溶液を混合して混合溶液を製造する混合溶液製造ステップと、前記混合溶液を化学反応させてカーボンナノチューブと金属が混合した混合粉末を生成及び成長させる混合粉末製造ステップと、前記混合粉末を機械的に粉砕及び混合する混合粉末粉砕ステップと、前記粉砕及び混合した混合粉末を熱処理して熱電材料を製造する熱電材料製造ステップと、前記熱電材料にスパークプラズマ焼結工程を行ってバルク化した複合材料を製造する複合材料製造ステップとからなることを特徴とする。
【0040】
前記金属塩は、ビスマスアセテート(Bi acetate)、ビスマスクロライド(Bi chloride)、ビスマス硝酸塩(BiNO3)の少なくとも1つとテルルクロライド(Te chloride)とを必ず含み、アンチモン塩とセレン塩の少なくとも1つを含むことを特徴とする。
【0041】
前記複合材料製造ステップは、300〜350℃の温度、30〜70MPaの圧力で加圧して焼結する過程であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0042】
以上説明したように、本発明による熱電材料及びそれを原料とした複合材料においては、内部にカーボンナノチューブが分散した形態を有するか、一部挿入された形状を有するように構成した。
【0043】
従って、カーボンナノチューブ分散効果による散乱効果によって電気伝導度とゼーベック係数が向上し、究極的にZT値が向上するという利点がある。
【0044】
特に、熱電材料は導電性のカーボンナノチューブを含むため、電気伝導度が高くなるか、維持されるので、従来の非導電性分散相を使用した場合より熱電性能がさらに向上した素材を製造できるコア原料粉末として使用される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明による熱電材料の拡大写真である。
【図2】本発明による熱電材料の製造方法を示す工程フローチャートである。
【図3】本発明による熱電材料の製造方法の一ステップである第1溶液及び第2溶液製造ステップを詳細に示す工程フローチャートである。
【図4】本発明による熱電材料の製造方法の一ステップである混合粉末製造ステップを詳細に示す工程フローチャートである。
【図5】本発明による熱電材料の製造方法の一ステップである混合粉末製造ステップで製造された混合粉末を示す拡大写真である。
【図6】本発明による熱電材料のXRD結果である。
【図7】本発明による熱電材料を原料とした複合材料の構造を示す概念図である。
【図8】本発明による熱電材料を原料とした複合材料を示す拡大写真である。
【図9】本発明による熱電材料を原料とした複合材料の製造方法を示す工程フローチャートである。
【図10】図8の複合材料とカーボンナノチューブとが含まれない比較例の複合材料の電気比抵抗を比較したグラフである。
【図11】図8の複合材料とカーボンナノチューブとが含まれない比較例の複合材料のゼーベック係数を比較したグラフである。
【図12】図8の複合材料とカーボンナノチューブとが含まれない比較例の複合材料の熱伝導度を比較したグラフである。
【図13】図8の複合材料とカーボンナノチューブとが含まれない比較例の複合材料の性能指数(ZT)を比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、図1を参照して本発明による熱電材料の構成を説明する。
【0047】
図1には本発明による熱電材料の拡大写真を示す。
【0048】
本発明による熱電材料は、カーボンナノチューブがナノ結晶粒化した熱電材料の内部に分散した形態を有するように構成されているものであり、ナノ分散相とナノ結晶粒系の特性を同時に実現できるように構成されている。
【0049】
すなわち、前記熱電材料は、分散した第1溶液と金属塩が混合した第2溶液を混合した後、化学反応により生成された混合粉末を機械的に粉砕及び混合し、熱処理して前記カーボンナノチューブの少なくとも一部が内部に挿入された形態を有する。
【0050】
本発明の実施例において、前記カーボンナノチューブは、多重壁カーボンナノチューブが適用されて熱電材料の全体積に対して1〜10%の体積分率を有するようにした。
【0051】
また、前記熱電材料は、テルル(Te)とビスマス(Bi)とを必ず含み、アンチモン(Sb)とセレン(Se)の少なくとも1つを選択的に含むように構成した。
【0052】
以下、図2〜図4を参照して前記熱電材料を製造する方法を説明する。
【0053】
図2は本発明による熱電材料の製造方法を示す工程フローチャートであり、図3は本発明による熱電材料の製造方法の一ステップである第1溶液及び第2溶液製造ステップを詳細に示す工程フローチャートであり、図4は本発明による熱電材料の製造方法の一ステップである混合粉末製造ステップを詳細に示す工程フローチャートである。
【0054】
これらの図のように、前記熱電材料は、カーボンナノチューブが分散した第1溶液と金属塩が混合した第2溶液を製造する第1溶液及び第2溶液製造ステップS100と、前記第1溶液と第2溶液を混合して混合溶液を製造する混合溶液製造ステップS200と、前記混合溶液を化学反応させてカーボンナノチューブと金属が混合した混合粉末を生成及び成長させる混合粉末製造ステップS300と、前記混合粉末を機械的に粉砕及び混合する混合粉末粉砕ステップS400と、前記粉砕及び混合した混合粉末を熱処理して熱電材料を製造する熱電材料製造ステップS500とを順次行って製造される。
【0055】
各ステップを詳細に説明すると、前記第1溶液及び第2溶液製造ステップは、化学反応により混合粉末が生成される混合溶液を製造するための原料である第1溶液と第2溶液を製造する過程であり、前記第1溶液と第2溶液は別個に製造され、製造する順序は関係ない。
【0056】
すなわち、前記第1溶液は、前記カーボンナノチューブを精製する精製過程S120と、前記カーボンナノチューブに官能基を形成する官能化過程S140と、前記カーボンナノチューブを抽出する抽出過程S160と、抽出されたカーボンナノチューブをDioctylether溶媒に界面活性剤と共に分散する分散過程S180とを順次行って製造される。
【0057】
前記精製過程S120は、直径が10〜40nmのカーボンナノチューブをHCl溶液に浸漬して精製する過程であり、精製されたカーボンナノチューブを硫酸と硝酸が3:1の体積比で混合した溶液に投入して超音波処理を行うことによりカルボキシル基などの官能基を形成する官能化過程S140が行われる。
【0058】
官能化されたカーボンナノチューブが遠心分離とフィルタリングによる抽出過程S160を経た後、分散過程S180により溶媒に分散した状態になって第1溶液の製造が完了する。
【0059】
また、前記第2溶液は、金属塩と、還元剤と、界面活性剤とから構成される。
【0060】
すなわち、前記金属塩は、ビスマスアセテート(Bi acetate)、ビスマスクロライド(Bi chloride)、ビスマス硝酸塩(BiNO3)の少なくとも1つとテルルクロライド(Te chloride)とを含み、OleylamineとTrioctylphosphineの少なくとも1つの界面活性剤が適用され、還元剤としてHexadecanediolが適用される。
【0061】
また、前記第2溶液の金属塩には、アンチモン塩とセレン塩の少なくとも1つが含まれる。
【0062】
このような過程により第1溶液及び第2溶液製造ステップS100が完了し、その後混合溶液製造ステップS200が行われる。
【0063】
前記混合溶液製造ステップS200は、第1溶液及び第2溶液製造ステップS100で製造された第1溶液及び第2溶液を混合して混合溶液を製造する過程である。
【0064】
従って、前記混合溶液にはカーボンナノチューブ、金属塩、界面活性剤及び還元剤が全て含まれる状態となる。
【0065】
前記混合溶液製造ステップS200の後には、前記混合溶液から混合粉末を製造する混合粉末製造ステップS300を行う。
【0066】
前記混合粉末製造ステップS300は、混合溶液を加熱して化学反応により金属塩を還元させて混合粉末の熱電相が析出するようにする過程である。
【0067】
本発明の実施例において、前記混合粉末製造ステップS300は、前記混合溶液を10℃/分で250〜280℃まで昇温して2時間保持することにより混合溶液から析出した。
【0068】
図4を参照して前記混合粉末製造ステップS300をより詳細に説明すると、前記混合溶液を10℃/分で250〜280℃まで昇温して2時間保持して熱電材料を生成する化学反応過程S320と、生成された熱電材料の周囲にカーボンナノチューブが位置する混合粉末を製造する混合粉末製造過程S340とからなる。
【0069】
前記混合粉末製造過程S340が完了して製造された混合粉末は、図5のようにフレーク(flake)形状を有する金属ナノ粉末(Bi2Te3)間にカーボンナノチューブが混合した状態を有する。
【0070】
これは、前記化学反応過程S320中に還元剤から供給された電子によりビスマス(Bi)イオンとテルル(Te)イオンがビスマス(Bi)原子とテルル(Te)原子に核生成してBi2Te3を形成したものであり、この時エネルギー的に最も安定した方向である稠密面を中心に先に成長するので、フレーク形状を有するようになった。
【0071】
前記混合粉末製造過程S340の後には、混合粉末を分離する粉末分離過程S360と、分離した混合粉末を乾燥する粉末乾燥過程S380が順次行われる。
【0072】
このような過程により前記混合粉末製造ステップS300が完了し、前記混合粉末が混合粉末粉砕ステップS400を経てカーボンナノチューブが熱電相の内部に挿入された形態のナノ金属粉末形態となり、還元雰囲気で熱処理して前記混合粉末に含まれる酸素、酸化物及び有機物を除去する熱電材料製造ステップS500を行うと、熱電材料の製造は完了する。
【0073】
ここで、前記熱電材料は図1のように丸い粉末形態を有し、図6のように本発明による熱電材料のXRD結果からBi2Te3相を確認することができる。
【0074】
以下、図7〜図13を参照して本発明による熱電材料を原料とした複合材料及びそれを製造する方法について詳細に説明する。
【0075】
まず、図7及び図8を参照して本発明による熱電材料を原料とした複合材料の構成について説明する。
【0076】
図7は本発明による熱電材料を原料とした複合材料の構造を示す概念図であり、図8は本発明による熱電材料を原料とした複合材料を示す拡大写真である。
【0077】
これらの図のように、本発明による複合材料は、ナノ結晶粒のBi2Te3系基材相にカーボンナノチューブが3次元的に導電性ネットワークを形成するように備えられ、フォノンはカーボンナノチューブにより散乱して熱伝導度が減少するが、カーボンナノチューブの優れた伝導度により向上した熱電性能を確保できるように構成される。
【0078】
また、図8のように、カーボンナノチューブが含まれる本発明の実施例の複合粉末には、カーボンナノチューブがランダムに分散していることを確認することができる。
【0079】
以下、図9を参照して前述のように構成される複合材料を製造する方法を説明する。
【0080】
図9は本発明による熱電材料を原料とした複合材料の製造方法を示す工程フローチャートであり、本発明による複合材料は図2に従って製造された熱電材料を焼結することにより製造される。
【0081】
すなわち、前記熱電材料製造ステップS500の後に複合材料製造ステップS600を行って複合材料を製造することができ、前記複合材料製造ステップS600は熱電材料に対してスパークプラズマ焼結工程を行って複合材料を製造する過程である。
【0082】
前記スパークプラズマ焼結工程は、直流のパルス化した高密度の電流を粉末状態の熱電材料に流すと発生するジュール熱を利用して焼結することによりバルク化する工程である。
【0083】
従って、速い昇温速度と短い焼結時間で長時間真空焼結した試料に似た特性を得ることができる。
【0084】
より具体的には、速い昇温速度は結晶粒の成長を抑制するので、ナノ結晶粒の材料を製造するのに適し、よって本発明の複合材料製造ステップS600では前記熱電材料を複合材料に焼結するためにスパークプラズマ焼結工程を行った。
【0085】
本発明の実施例において、複合材料製造ステップS600は、300〜350℃の温度範囲で5〜10分間行い、ビスマステルライド熱電相の結晶粒が大きくならないように制限し、かつカーボンナノチューブの分散が維持されるようにした。
【0086】
このように温度範囲を限定する理由は、前記温度範囲を超えて行うと、熱電基材相の結晶粒成長速度が速くなってナノ結晶粒を維持することが困難になり、その反面温度範囲未満で焼結すると、焼結密度が高くならないので熱電材料の結合が完全に行われなくなるためである。
【0087】
下記表1のように、250℃の焼結温度で製造された複合材料は10%以上の気孔度を示すが、300℃に焼結温度を上昇させて製造された複合材料は5%以内の気孔度を示す。
【0088】
従って、本発明の実施例において、前記複合材料製造ステップS600は気孔度を維持すると共にナノサイズの結晶粒サイズを維持できるように、300℃の焼結温度で行われることが最も好ましい。
【0089】
【表1】
【0090】
以下、図10〜図13を参照して本発明による複合材料と比較例の複合材料の特性を比較説明する。
【0091】
図10〜図13は、カーボンナノチューブが含まれる図8の複合材料とカーボンナノチューブが含まれない比較例の複合材料の電気比抵抗、ゼーベック係数、熱伝導度及び性能指数(ZT)を比較したグラフである。
【0092】
図10〜図13は、カーボンナノチューブが含まれた本発明の好ましい実施例の熱電材料と、カーボンナノチューブが含まれていない比較例の熱電材料の特性を比較するために、カーボンナノチューブの添加による特性を比較したデータであり、スパークプラズマ焼結工程で複合材料を製造した。
【0093】
まず、図10のように、カーボンナノチューブがランダムに分散している本発明の実施例の複合材料は、カーボンナノチューブが含まれない比較例と電気比抵抗を比較した結果、本発明の実施例の複合粉末が著しく低い電気比抵抗を示すことを確認した。
【0094】
よって、本発明のようにカーボンナノチューブが含まれる場合、電気伝導度を向上させる上で優れた効果があることが立証された。
【0095】
また、図11を参照して実施例と比較例のゼーベック係数を比較すると、実施例に従って製造された熱電材料を原料として製造された複合材料は、そうでない比較例の複合材料と比較すると、ゼーベック係数が約2倍に向上したことが分かる。
【0096】
これは、本発明によりカーボンナノチューブが分散して熱電基材相の内部でネットワークをなしているときにカーボンナノチューブから供給された高い電荷密度が電子の状態密度を変化させて示す効果であると解釈される。
【0097】
図12に示すように、実施例による複合材料は、比較例と比較して熱伝導度が相対的に低かったが、これはカーボンナノチューブの分散効果によりフォノン散乱が活発に行われたからである。
【0098】
最後に、実施例による複合材料は、図13のように、比較例であるビスマステルライドと比較して約10倍増加した性能指数(ZT)を示す。
【0099】
前述した本発明の実施例は本発明の技術的思想の具体的な一例にすぎず、製造過程における温度、時間、カーボンナノチューブの体積分率などの処理条件などは当業者によって選択的に変形可能であろう。
【符号の説明】
【0100】
S100:第1溶液及び第2溶液製造ステップ
S120:精製過程
S140:官能化過程
S160:抽出過程
S180:分散過程
S200:混合溶液製造ステップ
S300:混合粉末製造ステップ
S320:化学反応過程
S340:混合粉末製造過程
S360:粉末分離過程
S380:粉末乾燥過程
S400:混合粉末粉砕ステップ
S500:熱電材料製造ステップ
S600:複合材料製造ステップ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンナノチューブが分散した第1溶液と金属塩が混合した第2溶液を混合した後、化学反応により生成された混合粉末を機械的に粉砕及び混合し、熱処理して前記カーボンナノチューブの一部が内部に挿入された形態を有することを特徴とする熱電材料。
【請求項2】
前記カーボンナノチューブは、多重壁カーボンナノチューブが適用されることを特徴とする請求項1に記載の熱電材料。
【請求項3】
前記混合粉末は、テルル(Te)とビスマス(Bi)とを必ず含み、アンチモン(Sb)とセレン(Se)の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項2に記載の熱電材料。
【請求項4】
前記カーボンナノチューブは、1〜10%の体積分率で含まれることを特徴とする請求項3に記載の熱電材料。
【請求項5】
カーボンナノチューブが分散した第1溶液と金属塩が混合した第2溶液を混合した後、化学反応により生成された混合粉末を機械的に粉砕及び混合し、熱処理して前記カーボンナノチューブの一部が内部に挿入された形態を有する熱電材料にスパークプラズマ焼結工程を行って製造することを特徴とする熱電材料を原料とした複合材料。
【請求項6】
前記カーボンナノチューブは、多重壁カーボンナノチューブが適用されることを特徴とする請求項5に記載の熱電材料を原料とした複合材料。
【請求項7】
カーボンナノチューブが分散した第1溶液と金属塩が混合した第2溶液を製造する第1溶液及び第2溶液製造ステップと、
前記第1溶液と第2溶液を混合して混合溶液を製造する混合溶液製造ステップと、
前記混合溶液を化学反応させてカーボンナノチューブと金属が混合した混合粉末を生成及び成長させる混合粉末製造ステップと、
前記混合粉末を機械的に粉砕及び混合する混合粉末粉砕ステップと、
前記粉砕及び混合した混合粉末を熱処理して熱電材料を製造する熱電材料製造ステップとからなることを特徴とする熱電材料の製造方法。
【請求項8】
前記金属塩は、ビスマスアセテート(Bi acetate)、ビスマスクロライド(Bi chloride)、ビスマス硝酸塩(BiNO3)の少なくとも1つとテルルクロライド(Te chloride)とを必ず含み、アンチモン塩とセレン塩の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項7に記載の熱電材料の製造方法。
【請求項9】
前記第1溶液には、Dioctylether、Diphenyletherの少なくとも1つを含む極性溶媒が含まれることを特徴とする請求項7に記載の熱電材料の製造方法。
【請求項10】
前記混合粉末製造ステップは、
前記混合溶液を10℃/分で250〜280℃まで昇温して2時間保持して熱電材料を生成する化学反応過程と、
生成された熱電材料の周囲にカーボンナノチューブが位置する混合粉末を製造する混合粉末製造過程とからなることを特徴とする請求項7に記載の熱電材料の製造方法。
【請求項11】
第2溶液には、OleylamineとTrioctylphosphineの少なくとも1つが適用されることを特徴とする請求項7に記載の熱電材料の製造方法。
【請求項12】
前記混合粉末粉砕ステップは、
フレーク(flake)形状の混合粉末を円形にし、前記金属と分離していたカーボンナノチューブの一部が金属内部に挿入されるようにする過程であることを特徴とする請求項7に記載の熱電材料の製造方法。
【請求項13】
前記第1溶液及び第2溶液製造ステップは、
前記カーボンナノチューブを精製する精製過程と、
前記カーボンナノチューブに官能基を形成する官能化過程と、
前記カーボンナノチューブを抽出する抽出過程と、
抽出されたカーボンナノチューブを極性溶媒に界面活性剤と共に分散する分散過程とを順次行って第1溶液を製造すると共に、
ビスマスアセテート(Bi acetate)、ビスマスクロライド(Bi chloride)、ビスマス硝酸塩(BiNO3)の少なくとも1つ、テルルクロライド(Te chloride)、還元剤、及び界面活性剤を必ず含み、セレン塩とアンチモン塩の少なくとも1つを選択的に含むように混合して第2溶液を製造する過程であることを特徴とする請求項7に記載の熱電材料の製造方法。
【請求項14】
前記熱電材料製造ステップは、
還元雰囲気で熱処理して前記混合粉末に含まれる酸素、酸化物及び有機物を除去する過程であることを特徴とする請求項7に記載の熱電材料の製造方法。
【請求項15】
前記精製過程は、
硫酸と硝酸が3:1の体積比で混合した溶液で行われることを特徴とする請求項13に記載の熱電材料の製造方法。
【請求項16】
前記混合粉末製造ステップの後には、
前記混合粉末を分離する粉末分離過程と、
分離した混合粉末を80〜100℃の真空雰囲気で加熱して酸化反応を中断する粉末乾燥過程とが行われることを特徴とする請求項7に記載の熱電材料の製造方法。
【請求項17】
カーボンナノチューブが分散した第1溶液と金属塩が混合した第2溶液を製造する第1溶液及び第2溶液製造ステップと、
前記第1溶液と第2溶液を混合して混合溶液を製造する混合溶液製造ステップと、
前記混合溶液を化学反応させてカーボンナノチューブと金属が混合した混合粉末を生成及び成長させる混合粉末製造ステップと、
前記混合粉末を機械的に粉砕及び混合する混合粉末粉砕ステップと、
前記粉砕及び混合した混合粉末を熱処理して熱電材料を製造する熱電材料製造ステップと、
前記熱電材料にスパークプラズマ焼結工程を行ってバルク化した複合材料を製造する複合材料製造ステップとからなることを特徴とする熱電材料を原料とした複合材料の製造方法。
【請求項18】
前記金属塩は、ビスマスアセテート(Bi acetate)、ビスマスクロライド(Bi chloride)、ビスマス硝酸塩(BiNO3)の少なくとも1つとテルルクロライド(Te chloride)とを必ず含み、アンチモン塩とセレン塩の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項17に記載の熱電材料を原料とした複合材料の製造方法。
【請求項19】
前記複合材料製造ステップは、300〜350℃の温度、30〜70MPaの圧力で加圧して焼結する過程であることを特徴とする請求項18に記載の熱電材料を原料とした複合材料の製造方法。
【請求項1】
カーボンナノチューブが分散した第1溶液と金属塩が混合した第2溶液を混合した後、化学反応により生成された混合粉末を機械的に粉砕及び混合し、熱処理して前記カーボンナノチューブの一部が内部に挿入された形態を有することを特徴とする熱電材料。
【請求項2】
前記カーボンナノチューブは、多重壁カーボンナノチューブが適用されることを特徴とする請求項1に記載の熱電材料。
【請求項3】
前記混合粉末は、テルル(Te)とビスマス(Bi)とを必ず含み、アンチモン(Sb)とセレン(Se)の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項2に記載の熱電材料。
【請求項4】
前記カーボンナノチューブは、1〜10%の体積分率で含まれることを特徴とする請求項3に記載の熱電材料。
【請求項5】
カーボンナノチューブが分散した第1溶液と金属塩が混合した第2溶液を混合した後、化学反応により生成された混合粉末を機械的に粉砕及び混合し、熱処理して前記カーボンナノチューブの一部が内部に挿入された形態を有する熱電材料にスパークプラズマ焼結工程を行って製造することを特徴とする熱電材料を原料とした複合材料。
【請求項6】
前記カーボンナノチューブは、多重壁カーボンナノチューブが適用されることを特徴とする請求項5に記載の熱電材料を原料とした複合材料。
【請求項7】
カーボンナノチューブが分散した第1溶液と金属塩が混合した第2溶液を製造する第1溶液及び第2溶液製造ステップと、
前記第1溶液と第2溶液を混合して混合溶液を製造する混合溶液製造ステップと、
前記混合溶液を化学反応させてカーボンナノチューブと金属が混合した混合粉末を生成及び成長させる混合粉末製造ステップと、
前記混合粉末を機械的に粉砕及び混合する混合粉末粉砕ステップと、
前記粉砕及び混合した混合粉末を熱処理して熱電材料を製造する熱電材料製造ステップとからなることを特徴とする熱電材料の製造方法。
【請求項8】
前記金属塩は、ビスマスアセテート(Bi acetate)、ビスマスクロライド(Bi chloride)、ビスマス硝酸塩(BiNO3)の少なくとも1つとテルルクロライド(Te chloride)とを必ず含み、アンチモン塩とセレン塩の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項7に記載の熱電材料の製造方法。
【請求項9】
前記第1溶液には、Dioctylether、Diphenyletherの少なくとも1つを含む極性溶媒が含まれることを特徴とする請求項7に記載の熱電材料の製造方法。
【請求項10】
前記混合粉末製造ステップは、
前記混合溶液を10℃/分で250〜280℃まで昇温して2時間保持して熱電材料を生成する化学反応過程と、
生成された熱電材料の周囲にカーボンナノチューブが位置する混合粉末を製造する混合粉末製造過程とからなることを特徴とする請求項7に記載の熱電材料の製造方法。
【請求項11】
第2溶液には、OleylamineとTrioctylphosphineの少なくとも1つが適用されることを特徴とする請求項7に記載の熱電材料の製造方法。
【請求項12】
前記混合粉末粉砕ステップは、
フレーク(flake)形状の混合粉末を円形にし、前記金属と分離していたカーボンナノチューブの一部が金属内部に挿入されるようにする過程であることを特徴とする請求項7に記載の熱電材料の製造方法。
【請求項13】
前記第1溶液及び第2溶液製造ステップは、
前記カーボンナノチューブを精製する精製過程と、
前記カーボンナノチューブに官能基を形成する官能化過程と、
前記カーボンナノチューブを抽出する抽出過程と、
抽出されたカーボンナノチューブを極性溶媒に界面活性剤と共に分散する分散過程とを順次行って第1溶液を製造すると共に、
ビスマスアセテート(Bi acetate)、ビスマスクロライド(Bi chloride)、ビスマス硝酸塩(BiNO3)の少なくとも1つ、テルルクロライド(Te chloride)、還元剤、及び界面活性剤を必ず含み、セレン塩とアンチモン塩の少なくとも1つを選択的に含むように混合して第2溶液を製造する過程であることを特徴とする請求項7に記載の熱電材料の製造方法。
【請求項14】
前記熱電材料製造ステップは、
還元雰囲気で熱処理して前記混合粉末に含まれる酸素、酸化物及び有機物を除去する過程であることを特徴とする請求項7に記載の熱電材料の製造方法。
【請求項15】
前記精製過程は、
硫酸と硝酸が3:1の体積比で混合した溶液で行われることを特徴とする請求項13に記載の熱電材料の製造方法。
【請求項16】
前記混合粉末製造ステップの後には、
前記混合粉末を分離する粉末分離過程と、
分離した混合粉末を80〜100℃の真空雰囲気で加熱して酸化反応を中断する粉末乾燥過程とが行われることを特徴とする請求項7に記載の熱電材料の製造方法。
【請求項17】
カーボンナノチューブが分散した第1溶液と金属塩が混合した第2溶液を製造する第1溶液及び第2溶液製造ステップと、
前記第1溶液と第2溶液を混合して混合溶液を製造する混合溶液製造ステップと、
前記混合溶液を化学反応させてカーボンナノチューブと金属が混合した混合粉末を生成及び成長させる混合粉末製造ステップと、
前記混合粉末を機械的に粉砕及び混合する混合粉末粉砕ステップと、
前記粉砕及び混合した混合粉末を熱処理して熱電材料を製造する熱電材料製造ステップと、
前記熱電材料にスパークプラズマ焼結工程を行ってバルク化した複合材料を製造する複合材料製造ステップとからなることを特徴とする熱電材料を原料とした複合材料の製造方法。
【請求項18】
前記金属塩は、ビスマスアセテート(Bi acetate)、ビスマスクロライド(Bi chloride)、ビスマス硝酸塩(BiNO3)の少なくとも1つとテルルクロライド(Te chloride)とを必ず含み、アンチモン塩とセレン塩の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項17に記載の熱電材料を原料とした複合材料の製造方法。
【請求項19】
前記複合材料製造ステップは、300〜350℃の温度、30〜70MPaの圧力で加圧して焼結する過程であることを特徴とする請求項18に記載の熱電材料を原料とした複合材料の製造方法。
【図2】
【図3】
【図4】
【図9】
【図1】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図3】
【図4】
【図9】
【図1】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−249749(P2011−249749A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212871(P2010−212871)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(501384562)コリア インスティチュート オブ マシナリー アンド マテリアルズ (15)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(501384562)コリア インスティチュート オブ マシナリー アンド マテリアルズ (15)
【Fターム(参考)】
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