説明

燃料燃焼バーナー及び方法

【課題】燃料と酸化剤の流れの不均一性を減少させ、燃料ノズルの炭素の蓄積を最小にし、窒素酸化物の放出が少ない長火炎用のノズルを提供する。
【解決手段】バーナー10は燃料導管と酸化剤導管を含み、燃料導管は入口セクション16、通過セクション18、及び出口セクション20を有し、酸化剤導管は入口セクションと出口セクション30を有する。燃料通過セクション18の流動断面積は燃料入口14における最初の流動断面積から燃料出22口における別の流動断面積まで変化し、燃料出口セクション20の流動断面積は実質的に一様である。酸化剤入口セクションの少なくとも一部は、入口セクション16、通過セクション18、及び出口セクション20の少なくとも一つの少なくとも一部分の実質的に全部の周りに間隔をあけて位置する。酸化剤出口セクションの流動断面積は、酸化剤入口セクションの流動断面積未満であるかそれと等しくて、実質的に一様である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体燃料を酸素や酸素富化空気などの酸化剤とともに燃焼させる燃料バーナー及び方法に関し、詳しくはガラス、セラミック材料、金属等の工業用溶融炉で高温を発生させるためのそのようなバーナー及び方法に関する。
【0002】
本発明はガラス溶融用の酸素/ガスバーナー及び燃焼方法という文脈の中で検討されるとは言え、本発明はガラス溶融炉又は工業用溶融炉での利用に限定されない。本発明のバーナー及び方法が他のいろいろな燃焼プロセス加熱用途に利用できることは、当業者の認めるところであろう。
【背景技術】
【0003】
米国特許第5360171号明細書(Yap)には、酸化剤中で燃料を燃やすバーナーであって、互いに離隔された個別の上方及び下方の酸化剤ノズルの間に挟まれた燃料ノズルを有するバーナーが開示されている。このバーナーは、幅の広い火炎にするために外へ拡がる扇状の形態の燃料及び酸化剤のジェットを生じさせる。酸化剤のジェットは燃料のジェットよりも低速で、酸化剤が燃料に引き込まれるようになる。ステージングによる燃焼のために、上方及び下方の二次的な酸化剤ノズルを設けることができる。
【0004】
米国特許第5545031号明細書((Joshiら)には、魚尾状又は扇状の炎を形成するようにノズルから燃料と酸化剤を放出するための装置と方法が開示されている。好ましい態様では、酸化剤マニホールド内に燃料マニホールドが配置される。燃料マニホールドも酸化剤マニホールドも、好ましくは、出口面が矩形断面を有する。一つの好ましい態様では、どちらのマニホールドも上流の位置で概ね正方形断面を有し、そしてそれが概ね垂直方向で収束し、概ね水平方向で拡張して、出口面で概ね矩形断面を形成する。収束と拡張が合体した効果により、ほぼ垂直な面からほぼ水平な面への流体の正味の運動量の移動が生じ、その結果燃料と酸化剤がノズルから比較的広い形で放出されて、魚尾状又は扇状の火炎形状が生ずる。
【0005】
米国特許第5611682号明細書(Slavejkovら)には、非常に放射性の燃料リーン炎の上に横たわるほぼ平らな燃料リッチ炎を生じさせるためのステージングによる酸素−燃料バーナーが開示されている。このバーナーは、ノズルで終える燃料通路と、燃料通路を囲むハウジングを有し、ハウジングと燃料通路の間には空間があって、この空間が酸化剤の通路を形成する。燃料を燃料通路に導入し、酸化剤を酸化剤通路に導入すると、燃料導管のノズル端にほぼ平らな燃料リッチ炎が生ずる。また、酸化剤の一部をこの燃料リッチ炎の下に導入するためのステージングノズルも設けられ、そしてそれが燃料リッチ炎の下側に引き込まれて非常に放射性の燃料リーン炎を生じさせる。
【0006】
米国特許第5575637号明細書(Slavejkovら)には、ステージング用酸化剤の通路を含まずそしてステージングを利用しないことを除いて、米国特許第5611682号明細書(Slavejkovら)のものと同様な酸素−燃料バーナーが開示されている。
【0007】
米国特許第4690635号明細書(Coppin)には、ガス導管インサートが中に配置された酸素含有ノズル本体を有する高温バーナーアセンブリが開示されている。このガス導管インサートは、実質的に平坦な外側先端面に円錐台状の突起が配置されて先端面から突き出ているガス導管インサートチップを含む。このガス導管インサートチップには、円錐台状の突起の中央に近い方の端部で終えてナイフエッジを形成する、中心に配置されガス流路が含まれる。円錐台状の突起の周りに酸素を押し出すオリフィスが同心的に配置され、それからの酸素を導きガス燃料と混合して耐火材バーナーブロック内で燃焼させる。
【0008】
従来技術のバーナーのいろいろな設計によって達成された進歩にもかかわらず、多くの問題がなお存在しており、それには、限定されることなく次のものが含まれる。
・反応物の流れが一様でなく、その結果炎の性質が一様でなくなる。
・反応物の流れに大きな乱れがあり、混合と燃焼が所望する速度を超える速度になる。
・燃料ノズル先端に固体の炭素が蓄積されて成長し、炎を歪ませることになる。
【0009】
性能に関連したこれらの問題は、しばしばバーナー及びプロセスに関連した次のような問題を引き起こす。
・より熱くてより短い炎がプロセス炉内の熱伝導と温度の分布を不完全にする。このような結果は、一般に炉の耐火物の寿命を縮め、製品の歩留まりを低下させる。
・主燃料/酸化剤混合物からそらす(ステージングする)ことができる酸化剤の割合に限界がある。この限界は、バーナーアセンブリをプロセス炉から分離する耐火物バーナーブロック(時として予備燃焼器と呼ばれる)へ燃料と酸化剤の一部を放出するバーナーで起こる。この限界の主たる結果は、放射熱伝導の速度が小さくなり、燃料効率が低下し、NOxの放出が増加することである。
・バーナー構成部品の高温故障が早くなる。
・バーナー燃焼速度(燃料流量)の範囲が制限される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5360171号明細書
【特許文献2】米国特許第5545031号明細書
【特許文献3】米国特許第5611682号明細書
【特許文献4】米国特許第5575637号明細書
【特許文献5】米国特許第4690635号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来技術のバーナーや燃焼方法に関連したこれら及びその他の多くの問題を考えると、従来技術の難点、問題、制約、不都合、及び欠陥を克服してもっと良好でもっと有利な結果が得られるバーナーと燃焼方法を手に入れることが望ましい。
【0012】
更に、燃料を酸化剤とともに燃焼させるためのもっと効率的なバーナー及び方法を手に入れることが望ましい。
【0013】
更に、最初の混合の時点で燃料と酸化剤の流れの速度の不均一性を減らすことが望ましい。
【0014】
更に、燃料ノズルへの炭素の蓄積を最小にすることが望ましい。
【0015】
更に、速度がきわめて均一であり乱れのレベルが低い層流を実現することが望ましい。
【0016】
なお更に、最初の混合の時点で燃料の流れと酸化剤の流れとの平均速度差を最小にすることが望ましい。
【0017】
なお更に、バーナーノズルにおける反応物の流れの分布の不均一性を減らし、それと同時にバーナー入口のガス圧力及び乱れも減らすことが望ましい。
【0018】
なお更に、バーナーをより大きな運動量とより多くのステージングで運転して、より長く、より安定で、窒素酸化物(NOx)の放出がより少ない燃料リッチの火炎を生じさせることにより、炉性能を向上させることが望ましい。
【0019】
なお更に、炉内の被処理物への全体的な熱伝導速度を大きくする、長くてより安定な火炎で、炉の性能を向上させることが望ましい。
【0020】
なお更に、火炎からガラスへの熱伝導速度を大きくしてガラス底部の温度を上げ、清澄装置からタンクへのガラスの再循環を増加させて、ガラスの欠陥を減らす(収率を増加させる)ことにより、ガラス炉の性能を更に向上させることが望ましい。
【0021】
また、バーナーの燃焼速度の範囲を広げることも望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、燃料を酸化剤とともに燃焼させるためのバーナー及び方法である。このバーナー及び方法にはいろいろな態様があり、それらの態様のいろいろな変形例もある。
【0023】
燃料を燃焼するためのバーナーの第一の態様には、多くの構成要素がある。第一の構成要素は、複数の燃料セクションを有する燃料導管であり、各燃料セクションは他の燃料セクションと互いに連通しており、燃料の流れを送るのに適合している。第二の構成要素は、複数の酸化剤セクションを有する第一の酸化剤導管であり、各酸化剤セクションは他の酸化剤セクションと互いに連通しており、酸化剤の流れを送るのに適合している。
【0024】
バーナーの第一の態様の燃料導管は、燃料入口セクション、燃料通過セクション、及び燃料出口セクションを含む。燃料入口セクションは、第一の燃料入口と、第一の燃料入口から間隔をあけた第一の燃料出口を有し、この燃料入口セクションは第一の流動断面積を有し、そして第一の燃料入口に入って第一の燃料出口から出てゆく燃料の流れを送るのに適合している。燃料通過セクションは、燃料取入れ口と、燃料取入れ口から間隔をあけた燃料取出し口を有し、この燃料通過セクションは燃料取入れ口に入り燃料取出し口から出てゆく燃料の流れの少なくとも一部分を通過させるのに適合しており、そして第二の流動断面積を有し、この第二の流動断面積は燃料取入れ口における最初の流動断面積から、燃料取出し口における別の流動断面積まで変化する。燃料出口セクションは、第二の燃料入口と、第二の燃料入口から間隔をあけた第二の燃料出口を有し、この燃料出口セクションは第二の燃料入口に入り第二の燃料出口から出てゆく燃料の流れの少なくとも一部分を通過させるのに適合しており、そして第三の流動断面積を有し、この第三の流動断面積は燃料出口セクション全体にわたって実質的に一様である。
【0025】
バーナーの第一の態様の第一の酸化剤導管は、酸化剤入口セクションと酸化剤出口セクションを含む。酸化剤入口セクションは、第一の酸化剤入口と、第一の酸化剤入口から間隔をあけた第一の酸化剤出口を有し、この酸化剤入口セクションは第一の酸化剤入口に入り第一の酸化剤出口から出てゆく酸化剤の流れを送るのに適合しており、そして第四の流動断面積を有し、酸化剤入口セクションの少なくとも一部分は燃料入口セクション、燃料通過セクション、及び燃料出口セクションのうちの少なくとも一つの少なくとも一部分の実質的に全部の周りに間隔をあけて位置する。酸化剤出口セクションは、酸化剤取入れ口と、酸化剤取入れ口から間隔をあけた酸化剤取出し口を有し、この酸化剤出口セクションは酸化剤取入れ口に入り酸化剤取出し口から出てゆく酸化剤の流れの少なくとも一部分を送るのに適合しており、そして第五の流動断面積を有し、この第五の流動断面積は第四の流動断面積未満であるかそれと等しく、酸化剤出口セクションの全体にわたって実質的に一様であり、酸化剤出口セクションの少なくとも一部分は燃料出口セクションの少なくとも一部分の実質的に全部の周りに間隔をあけて位置する。
【0026】
バーナーの第一の態様には多くの変形がある。一つの変形では、酸化剤出口セクションの第五の流動断面積の出口セクションの第三の流動断面積に対する比は、化学量論的な燃焼に必要な酸化剤の燃料に対するモル比より小さい。
【0027】
バーナーの第二の態様は、第一の態様と同様であるが、酸化剤入口セクションと連通しそして酸化剤の流れを酸化剤入口セクションの第一の酸化剤入口に供給するのに適合しているY字型の酸化剤入口導管を含む。
【0028】
バーナーの第三の態様は、第一の態様と同様であるが、燃料通過セクションに配置された少なくとも一つの案内羽根を含み、燃料通過セクションの燃料取入れ口における最初の流動断面積は燃料通過セクションの燃料出口における上記別の流動断面積よりも小さい。
【0029】
バーナーの第四の態様は、第一の態様と同様であるが、第一の酸化剤導管に隣接して第二の酸化剤導管を含み、この第二の酸化剤導管は第二の酸化剤入口と、第二の酸化剤入口から間隔をあけた第二の酸化剤出口を有し、第二の酸化剤導管は第二の酸化剤入口に入り第二の酸化剤出口から出てゆく酸化剤の別の流れ又は別の酸化剤の流れを通過させるのに適合している。この態様の変形では、第二の酸化剤導管の第二の酸化剤出口から出てゆく酸化剤の別の流れ又は別の酸化剤の流れは、燃料出口セクションの第二の燃料出口から出てゆく燃料の流れの少なくとも一部分及び酸化剤出口セクションの酸化剤取出し口から出てゆく酸化剤の流れの少なくとも一部分の燃焼によって形成される火炎より下の位置にある。
【0030】
燃料を燃焼させるバーナーの第五の態様では、バーナーは長手方向の軸線を有し、そして燃料の流れに隣接する第一の長いエッジと酸化剤の流れに隣接する第二の長いエッジとを有するバーナーチップであって、第二の長いエッジが長手方向の軸線に平行な線から約15°より小さい一次チップ角(α)を形成し、且つ長手方向の軸線に平行な上流面と交差するバーナーチップを含む。この態様では、第一の長いエッジと第二の長いエッジが、一次チップ角(α)より大きくて第一の長いエッジに接し(tangent to)且つ第一の長いエッジから燃料の流れの方向に延びる線から約90°より小さい二次チップ角(β)を形成する。この態様の変形では、第二の長いエッジは一次チップ角(α)を形成する最初のテーパーがついた部分と、第一の長いエッジで終える湾曲した部分を含む。
【0031】
本発明のもう一つの側面は、ガラスを溶融するための炉であって、この炉は上記の態様又は変形のいずれかにおけるとおりのバーナーを少なくとも一つ有する。
【0032】
燃料を酸化剤とともに燃焼させる方法の第一の態様には多数の工程がある。第一の工程は、燃料の源を用意することである。第二の工程は、少なくとも一つの酸化剤の源を用意することである。第三の工程は、上述したバーナーの第一の態様のようなバーナーを用意することである。第四の工程は、燃料の流れを第一の燃料入口に送り、それによって燃料の流れの少なくとも一部分を第一の燃料入口から第二の燃料出口へ送ることである。第五の工程は、酸化剤の流れを第一の酸化剤入口に送り、それによって酸化剤の流れの少なくとも一部分を第一の酸化剤入口から酸化剤取出し口へ送ることである。第六の工程は、第二の燃料出口から出てゆく燃料の少なくとも一部分を酸化剤取出し口から出てゆく酸化剤の少なくとも一部分とともに燃焼させることである。
【0033】
燃料を酸化剤とともに燃焼させる方法の第一の態様には多数の変形がある。一つの変形では、酸化剤出口セクションの第五の流動断面積の燃料出口セクションの第三の流動断面積に対する比が、化学量論的な燃焼に必要な酸化剤の燃料に対するモル比よりも小さい。
【0034】
方法の第二の態様は、方法の第一の態様と同様であるが、二つの追加工程を含む。第一の追加工程は、酸化剤入口セクションと連通して酸化剤入口セクションの第一の酸化剤入口へ酸化剤の流れを供給するのに適合したY字型の酸化剤入口導管を用意することである。第二の追加工程は、酸化剤の少なくとも一部分をY字型の酸化剤入口導管へ供給することである。
【0035】
方法の第三の態様は、方法の第一の態様と同様であるが、燃料通過セクションに配置された少なくとも一つの案内羽根を用意する更なる工程を含み、燃料通過セクションの燃料取入れ口の最初の流動断面積が燃料通過セクションの燃料取出し口の別の流動断面積よりも小さい。
【0036】
方法の第四の態様は、方法の第一の態様と同様であるが、三つの追加工程を含む。第一の追加工程は、第一の酸化剤導管に隣接して第二の酸化剤導管を用意することであり、この第二の酸化剤導管は第二の酸化剤入口と、第二の酸化剤入口から間隔をあけた第二の酸化剤出口を有し、第二の酸化剤導管は第二の酸化剤入口に入り第二の酸化剤出口から出てゆく酸化剤の別の流れ又は別の酸化剤の流れを送るのに適合している。第二の追加工程は、酸化剤の別の流れ又は別の酸化剤の流れを第二の酸化剤入口に送ることであり、それによって酸化剤の別の流れの少なくとも一部分又は別の酸化剤の少なくとも一部分を第二の酸化剤入口から第二の酸化剤出口へ送る。第三の追加工程は、第二の燃料出口から出てゆく燃料の少なくとも別の部分を第二の酸化剤出口から出てゆく酸化剤の別の流れの少なくとも一部分又は別の酸化剤の少なくとも一部分とともに燃焼させることである。この態様の変形では、第二の酸化剤導管の第二の酸化剤出口から出てゆく酸化剤の別の流れ又は別の酸化剤の流れは、燃料出口セクションの第二の燃料出口から出てゆく燃料の流れの少なくとも一部分と酸化剤出口セクションの取出し口から出てゆく酸化剤の流れの少なくとも一部分の燃焼によって形成される火炎より下の位置にある。
【0037】
燃料を酸化剤とともに燃焼させる方法のもう一つの態様は、多数の工程を含む。第一の工程は、燃料の源を用意することである。第二の工程は、酸化剤の源を用意することである。第三の工程は、上述したバーナーの第五の態様におけるバーナーのような、燃料を酸化剤とともに燃焼させるためのバーナーを用意することである。第四の工程は、燃料の少なくとも一部分を酸化剤の少なくとも一部分とともに、バーナーチップに隣接する位置で燃焼させることである。方法のこの態様の変形では、第二の長いエッジが一次チップ角(α)を形成する最初のテーパーがついた部分と第一の長いエッジで終える湾曲した部分を含む。
【0038】
本発明のもう一つの側面は、ガラスを溶融させるための方法であって、上述の態様及び変形のいずれかにおけるように燃料を酸化剤とともに燃焼させる方法を含む方法である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一つの態様の概略側面図である。
【図2】本発明の一つの態様のためのバーナーチップの概略側面図である。
【図3】本発明の一つの態様のためのバーナーチップを示す概略正面図である。
【図4】Y字型の酸化剤入口を説明する本発明の一つの態様のためのバーナーの概略端面図である。
【図5】燃料ノズルの通過セクションでの案内羽根の使用を説明する本発明の一つの態様のための燃料ノズルの一部分の概略平面図である。
【図6】酸化剤プレナムの一つの好ましい形を説明する本発明の一つの態様のためのバーナーの一部分の概略側面図である。
【図7】酸化剤プレナムの別の形を説明する本発明の別の態様の概略側面図である。
【図8】耐火物バーナーブロックとともに用いられる本発明のバーナーの一つの態様の概略断面図である。
【図9】いろいろな波長で従来技術のバーナーの火炎放射輝度と比較した本発明のバーナーの相対火炎放射輝度のグラフである。
【図10】本発明のバーナー及び方法によってガラス炉内に生じさせた火炎からの放射熱伝導のメカニズムを説明する概略図である。
【図11】本発明のバーナー及び方法によって生じさせた火炎の上と下で測定された標準化した火炎放射輝度を示すグラフである。
【図12】正方形端面のバーナーチップの設計を説明する概略図である。
【図13】円形端面のバーナーチップの設計を説明する概略図である。
【図14】単一角の分離流ナイフエッジのバーナーチップの設計を説明する概略図である。
【図15】単一角の張りつき流ナイフエッジバーナーチップの設計を説明する概略図である。
【図16】本発明のノズルチップの一つの態様を説明する概略図である。
【図17】本発明のノズルチップの一つの態様についての反応物の流動パターンを説明する概略図である。
【図18】従来技術のバーナーのチップで生ずる炭素の蓄積を示す写真である。
【図19】ガラス炉のレイアウトを説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明を、一例として添付の図面を参照して説明することにする。
【0041】
本発明は、燃料を酸化剤とともに燃焼させるためのバーナー及び方法である。ここでは本発明をガラス溶融用途向けの酸素/ガスバーナーとの関連で説明するが、本発明はそのようなバーナー及び用途に限定されない。当業者は、このバーナー及び方法が、セメント窯、鉄/非鉄金属溶融炉、及びスチーム発生装置を含めて、とは言えそれらに限定はされない、他の多くの燃焼プロセス加熱用途で利用できることを認めよう。
【0042】
ガラス溶融用途に用いた場合、この酸素/ガスバーナーは、ターンダウン比が大きくなり、放射の向上のために火炎の下に高い割合の酸素をステージングする(すなわち遅延導入する)能力を備え、従来技術のバーナーで以前に達成することができたよりもNOxが少なく、火炎の長さと運動量の制御がより良好な、高温の、十分開いた火炎を生じさせる。この向上した性能は、バーナーの構成部品の新しい設計と配置の結果である。ガラス溶融用途では、このバーナーは一般に、バーナーと炉の燃焼空間との間に配置される耐火物バーナーブロックとともに用いられる。
【0043】
ここで用いられる「燃料」という用語は、燃焼目的に適した任意の気体燃料を指す。一つの好ましい燃料は天然ガスであるとは言え、様々の燃料ガス、例えば水素、エタン、プロパン、ブタン、アセチレン、その他の気体燃料、及びそれらの組み合わせなどを使用してもよい。
【0044】
ここで用いられる「酸化剤」という用語は、酸素、酸素富化空気、又は酸素濃度が約21体積%を超える任意の他の適当な酸化剤を指す。一つの好ましい酸化剤は、低温空気分離プラント又は吸着プロセスによって生成された工業的に純粋な酸素である。このような酸化剤の酸素濃度は一般に、90体積%より高い。工業的に純粋な酸素と天然ガスの組み合わせが、ガラス溶融炉などの高温炉でよく用いられる。
【0045】
図1は、本発明のバーナー10の一つの態様の側面図を示す。天然ガスなどの燃料12が、燃料入口セクション16の燃料入口14に入る。燃料は、燃料入口セクション、燃料通過セクション18、及び燃料出口セクション20を流れて、燃料出口22から出てゆく。図1に示した態様では、燃料入口セクションは円形のパイプであり、燃料通過セクションは円形から平たいものへ移行するセクションであり、燃料出口セクションは平たい断面の構成部品である。好ましくは、これら三つのセクションは、単一部品、3セクションの、前もって溶接された燃料ノズルアセンブリである。
【0046】
更に図1を参照すると、酸素などの酸化剤24が、図4に示された層流Y字型酸化剤入口などの、酸化剤入口マニホールド26に供給される。最終的に、酸化剤は酸化剤プレナム28へ流れ、そして酸化剤出口セクション30に送られる。酸化剤プレナムと酸化剤出口セクションの間のプレート32は開口34を有し、図2に示すようにそれを通って酸化剤が流れる。図6は更にこの態様を図示している。当業者は、図7に示される別態様のような、別の態様が可能であることを認めよう。
【0047】
図1に示されるように、層流中に位置するピン36が、燃料出口セクション20と酸化剤出口セクション30の間の支持部になる。酸化剤ディフューザー33を酸化剤プレナム28の上流に設けることができる。このディフューザーの目的は、酸化剤プレナムに入る酸化剤の流れを分配するのを助けることである。更に図1を参照すれば、酸化剤プレナム28に隣接する別の酸化剤導管40(ステージング酸素プレナム)がステージングの能力をもたらしている。酸化剤プレナムからステージング酸化剤プレナム又は酸化剤導管への酸化剤の流れは、ステージング弁42又はその他の調節手段によって調節してもよい。
【0048】
図2は、燃料出口セクション20と酸化剤出口セクション30によって形成されるバーナー出口セクションを図示する。図3は、バーナーの一つの態様向けのバーナー出口セクションの正面図を示す。とは言え、当業者は、バーナー出口セクションは図3に示されているもの以外の形であってもよいことを認めよう。
【0049】
図8は、本発明のバーナー10を耐火物バーナーブロック150と結合させたものの概略断面図である。バーナーブロックの上方チャンバ内に高温の火炎151が形成される。バーナーの酸化剤出口セクション30から出てくる酸化剤153が火炎を囲み、同時に酸化剤を火炎中に供給しそして火炎に隣接する耐火物表面154の対流冷却を行う。ステージング酸化剤155はバーナーブロックの下方チャンバ156を通過する。
【0050】
従来技術と比較した本発明の向上した結果は、バーナー10の種々の構成部品のユニークな配置と構造によるものである。この構造と配置のより重要な側面のいくつかを以下で説明する。
【0051】
例えば、図1と2に示されるように、酸化剤出口セクション30の流動断面積は酸化剤プレナム28の流動断面積より小さいか又はそれと等しくなければならず、酸化剤出口セクションの全体にわたって実質的に一様である。(層流中に位置するピン36は酸化剤出口セクションの流動断面積を局所的に約3%減少させるが、乱流の渦を発生させることもなく出口セクションの取出し口で酸化剤の速度分布を有意に変化させることもないように設計される。)流動断面積を減少させる目的は、流動方向の酸化剤の流れの静圧を減少させることであり、これはそのような「有利な」圧力勾配が速度の不均一性をなくすのを助けるからである。
【0052】
燃料通過セクション18の流動断面積は、燃料通過セクションの燃料取入れ口における最初の流動断面積から燃料通過セクションの燃料取出し口における別の流動断面積へと変化する。燃料出口セクション20の流動断面積は全体を通して実質的に一様である。一つの態様では、燃料通過セクションの取入れ口における流動断面積は、燃料通過セクションの取出し口における流動断面積よりも大きいかそれと等しく、と言うのは、これによって有利な圧力勾配が生じ、前記のとおりの利点があるからである。(入口と出口の面積が等しい場合は、流速の分布に悪影響を及ぼさない中立的な圧力勾配になる。)
【0053】
もう一つの態様では、燃料通過セクション18の取入れ口における流動断面積が燃料通過セクションの取出し口における流動断面積よりも小さい。このような態様は、何も介入しないと速度の不均一性が増大することになり、逆流領域が生じて乱流レベルが高くなりかねない、「不利な」圧力勾配(圧力が流れの方向に増大する)が発生しやすくなる。これらの有害な影響を防ぐために、この態様は、図5に示したような1以上の案内羽根50の挿入を必要とする。
【0054】
一つの態様では、燃料通過セクション18の燃料取出し口における流動断面領域は実質的に非円形であり、燃料出口セクション20の流動断面領域は実質的に非円形である。別の態様では、燃料出口セクションはアスペクト比(幅:高さ)が燃料出口22で約2:1より大きく、燃料通過セクションはアスペクト比が燃料取出し口で約2:1より大きい。更に別の態様では、酸化剤出口セクション30の取出し口における流動断面積の燃料出口セクション20の燃料出口における流動断面積に対する比は、化学量論的な燃焼に必要な酸化剤の燃料に対するモル比よりも小さい。(化学量論的な燃焼とは、過剰の酸化剤なしの、燃料の理論的に完全な燃焼である。従って、メタンの酸素での燃焼の場合、前記の面積比はこの態様では2:1よりも小さい。)
【0055】
本発明のこの側面は、酸化剤出口セクションを流れる酸化剤の量が化学量論的な量よりも少ない場合にのみ、燃料出口セクション20と酸化剤出口セクション30における平均流速の比を1.0に等しくする。こうして達成される効果は、化学量論的な量よりも少ない酸化剤が酸化剤出口セクションを流れる場合、燃料の流れと酸化剤の流れの平均流速の差を最小にし、従って反応物の流れの間の剪断応力と混合速度を最小にすることである。その結果として得られる利益は、バーナー10あるいは耐火バーナーブロック150に対する高温の損傷の危険なしに高い割合の酸化剤ステージングが可能になることである。ステージングレベルが高くなると、エネルギー効率をより大きくしNOxの放出を減らす、より長くてより明るい火炎を生じさせる。
【0056】
これまで説明してきた本発明の側面により達成される向上した結果は、本発明のバーナーの性能を米国特許第5611682号明細書(Slavejkovら)に教示されている従来技術のバーナーと比較する実験室及び現場での試験で検証された。これらの試験と比較の結果の一部を以下で説明する。
【0057】
二つのバーナーの燃料出口と酸化剤出口における速度分布の測定を行った。速度の不均一性を、特定の流動断面における平均速度からの局所速度の標準偏差に相当する単一パラメーターを使って定量化した。測定とその後の計算の結果から、本発明のバーナーの速度の不均一性は、平均して、従来技術のバーナーの値の3分の1であることが示される。本発明のバーナーで達成されたノズル流量分布は、酸素と天然ガスの混合プロセスの制御がより良好になることに通じる。具体的に言うと、より良好な均一性は、剪断速度がより小さく、酸素の局所的な欠乏が起こりにくいことを意味する。従って、ステージングの能力が大きくなり、予備燃焼器あるいはバーナーブロック内での過熱の危険が小さくなる。更に、反応物の流れの均一性がより良好になる結果、火炎の性質の均一性がより良好になり、そして特に、炉の耐火物の過熱とより多くのNOxの放出に至るピーク火炎温度が低くなる。
【0058】
二つのバーナーの燃料入口における静圧の必要条件の比較から、従来技術のバーナーと比べて燃料入口での圧力要件が実質的に低下することを示された。特に、測定の結果は本発明のバーナーにおける燃料入口圧力が80%よりも大きく低下することを示した。この圧力の低下は、主として、燃料出口セクション20の流動断面積が全体にわたって実質的に一様であるという要件によるものである。従って、出口セクションに静的混合装置(例えばバッフルプレートなど)は存在しない。従来は、これらの静的混合装置を用いて、大きな圧力低下を生み出し(これは乱れた渦の形でエネルギーを散逸させる)、乱流混合を促進することによって、速度の均一性を改善していた。本発明のバーナーは、静的混合装置を不要にし、こうして燃料通過セクション18内の速度プロファイルの「平坦化」を最小の圧力低下と無視できる程度の乱流の発生で達成する。
【0059】
測定の結果は、本発明のバーナー10の燃料入口圧力が、燃料通過セクション18で案内羽根50を用いる態様で最小になることを示しており、これは、案内羽根が通過セクションへの取入れ口における運動エネルギーの一部分を通過セクションの取出し口における圧力エネルギーに効果的に変換しながら、必要な速度の平坦化をなおも達成するからである。
【0060】
本発明のバーナー10はまた、二つの動作モード、すなわち、1)ステージング弁42を閉じたモード、及び2)ステージング弁を大きく開いたモードで、従来技術のバーナーよりも実質的に低い酸素入口圧力を必要とする。燃料入口圧力と同様に、これの主な理由は、酸化剤出口セクション30の流動断面積が酸化剤出口セクションの全体にわたって実質的に一様であり、従って流れを乱し乱流を発生させる静的混合装置の影響がないことである。酸素速度分布の平坦化は酸素プレナム28と酸素出口セクション30への取入れ口の間において、これら二つのセクションの間で起こる流動断面積の減少によって起こる。
【0061】
大抵のバーナー設備は酸素及び/又は燃料の供給圧力を制限しているので、本発明によって達成される燃料及び酸素圧力の要件の実質的な低下の主な利点は、バーナーをより高い処理容量で燃焼させることができることである。場合によっては、より低い圧力の結果、酸化剤としての酸素を供給する空気分離プラントの電力消費量を低下させることもできる。更に、本発明のバーナーで発生する乱流レベルが低いことによって、短くて過度に乱れた火炎の発生によって引き起こされるバーナーの過熱や炉の温度分布不良の危険を低くしながらバーナーを高い処理容量で運転できることになる。
【0062】
屋外で燃焼中の二つのバーナーの火炎についてスペクトル放射測定も行った。15MMBtu/hrの燃焼速度での火炎のスペクトル放射を、酸化剤ステージングレベルをそれぞれの最大設計レベルに設定したときの比較を、図9に提示する。これらのバーナーの最大の設計ステージングレベルは、酸化剤出口セクション30を通って出てゆく酸化剤がバーナー燃焼速度の全範囲にわたって予備燃焼器を十分に冷却する能力によって決定される。本発明のバーナーで実際に達成できる最大の酸素ステージングレベルは、全燃焼酸素の少なくとも70%であるのに対し、従来技術のバーナーの最大ステージングレベルは、燃焼速度によるが、一般に40%程度である。
【0063】
本発明のバーナーのステージング範囲は、改善されたノズルの流動分布と乱流レベルの低下が予備燃焼器内での燃料流と酸素流の混合割合を小さくし、そしてまた酸素流における局所的な欠乏の発生を最小にするので、従来技術に比べて拡がっている。これらの向上した流動特性は、本発明のバーナーの場合、きわめて高いステージングレベルと高い燃焼速度で運転する際でも、予備燃焼器の十分な冷却を保証する。
【0064】
図示されたように、本発明のバーナーからは実質的により多くの放射線が放出される(全体的な増加は25%より多い)。放射の増大は主に1800nmよりも下の波長帯で起こっており、黒体放射の増加を示している。その理由は、バーナーの一次火炎が燃料リッチであること(酸素ステージングレベルがより高いため)と、その結果すす粒子がよりたくさん生成され成長することである。この電磁スペクトル領域での放射熱伝導は、スペクトル範囲が溶融ガラスの一番高い光透過率の領域内にあるので、ガラス溶融タンクで理想的である。従って、火炎から伝導されるエネルギーはガラス溶融物に深く入り込むことができ、より均一な加熱と燃料の利用できるエネルギーのより効率的な利用が可能になる。
【0065】
図10は、典型的なガラス溶融炉80における本発明のバーナーの作用を示す側面図である。燃料82と酸素84をバーナーで燃焼させて燃料リッチの一次火炎86を生じさせ、その下にステージング酸化剤88を送る。燃料リッチの一次火炎はすすの濃度が高い。上向きの放射線90は炉の最上部92の方へ伝導される。ステージング酸化剤の反応で、比較的高温の化学量論的な火炎94が一次火炎の下側に生じて、それから下向きの放射線96が原料98又は装填物へ伝導される。火炎の下でのステージングの主な効果は、原料98又は装填物へ向けて優先的に下方に向けられる黒体放射を生ずることである。この効果を生み出す主なメカニズムは、燃料リッチの一次火炎86のすすの生成の増加と、ステージング酸化剤88と一次火炎との反応で作られる火炎94の下側が高温、高明度であることの組み合わせである。火炎の下側から出てくる放射線96は原料(例えば、ガラスの溶融物)の方への下向きの本質的に遮るもののない進路を有する一方で、不透明な「光学的に厚い」一次火炎は放射線の上向きの伝導を部分的に遮断する。こうして生ずるバイアス効果は、火炎によるガラス表面の加熱を最大にしながら炉の最上部92の直接の放射加熱を最小にするので、ガラス溶融プロセスにとって明らかに有益である。
【0066】
図11を参照すれば、本発明のバーナーから600〜1800nmの帯域幅で下向き及び上向きに放出される熱放射線の実験室での測定を行った。結果は、一次火炎の相当比に対する標準化した火炎放射輝度で表される。標準化した火炎放射輝度は、上記の帯域幅で積分した火炎放射輝度を一次火炎相当比1.0(ステージングなしでの化学量論的な燃焼に対応する)における積分した火炎放射輝度で割ったものである。一次火炎相当比は、燃料対(一次)酸化剤の実際の比を化学量論的な燃焼の場合の燃料対酸化剤の比で割ったものである。従って、より高い相当比はより燃料リッチな一次火炎に対応する。結果は明らかに、相当比が増加するにつれて指向性の放射の差(バイアス)がしだいに大きくなることを示している。一次火炎が燃料リッチであるほど、下向きの全黒体放射の割合が高くなる。従って、本発明のバーナーによって可能になる高いレベルの酸化剤ステージングで運転する能力は、より放射性の高い火炎を生じさせるだけでなく、その放射のより大きな割合を原料98の方へ導きながら、最上部92を過剰な放射から遮蔽する。
【0067】
図12〜17と以下の説明は、バーナーの耐久性を高め、バーナーの保守を少なくする本発明のバーナーの新型のノズルチップに関する。ここで言うチップの設計とは、酸化剤の流れと燃料の流れを、これらの反応物がバーナーノズルから放出される箇所のすぐ上流で分離している面の輪郭を指す。図12〜15に示された従来のチップの設計の一般的な4つの型は次のようなものである。
・図12 − 方形エッジ
・図13 − 丸エッジ
・図14 − 単一角の、分離流ナイフエッジ
・図15 − 単一角の、張りつき(attached)流ナイフエッジ
これらの従来技術の設計のおのおのには、下記で述べるように、少なくとも一つの固有の欠点がある。
【0068】
図12に示される方形端バーナーチップ100では、先端で酸化剤102と燃料104の分離した流れが生ずることになる。酸化剤と燃料の速度の比に応じて、これは比較的大規模の、対称性の循環渦106を生じさせることがあり、その一部が燃料リッチになって、先端における固体炭素の成長を助長する。
【0069】
図13に示される丸い端部のバーナーチップ110でも、先端で酸化剤112と燃料114の分離した流れが生ずることになる。酸化剤と燃料の速度の比に応じて、これもやはり、小さい(方形端に比べて)がなおも相当の、対称性の循環渦116を生じさせることがあり、その一部が燃料リッチになって、先端における固体炭素の成長を助長する。
【0070】
図14に示される単一角の、分離流ナイフエッジバーナーチップ120でも、先端で酸化剤122と燃料124の分離した流れが生ずることになる。酸化剤と燃料の速度の比に応じて、これもやはり、二つの比較的大規模の、非対称の循環渦126を生じさせることがあり、その一部が燃料リッチになって、先端における固体炭素の成長を助長する。ノズルチップの右下の鋭いエッジ128もまた、チップから出てゆく熱の伝導を制限して、熱に誘発されるチップの変形を招くことがある。流れの分離のための臨界角(αcrit)は、通常15度未満である。
【0071】
図15に示される単一角の、張りつき流ナイフエッジバーナーチップ130は、図12〜14の設計を改良したものである。酸化剤表面の広がり角は流れの分離のための臨界角(αcrit)よりも小さいので、酸化剤132と燃料134の流れはノズルチップに張りついたままであり、チップへの炭素の蓄積が防止される。しかし、薄くて鋭いエッジ138は機械的に不安定であり、単一角の分離流ナイフエッジの設計よりも更に熱により誘発されるチップの変形を生じやすい。いったん変形が生ずると、バーナーの性能に悪影響が出る。
【0072】
示したように、図12〜15のチップの設計のおのおのには少なくとも一つの固有の欠点があり、反応物の一つ以上が分離して流れるか、あるいは機械的な堅牢さが不十分である。これらの欠点は、炭素の蓄積やチップの変形、火炎の歪みの前兆、及びバーナーの性能低下及び/又は早期の故障という運転と保守の問題につながる。
【0073】
本発明の新型ノズルチップ140は、図16に示される3つの設計パラメーターを含む。一次チップ角(α)は、酸化剤の流線の最初の曲がりが流れの分離を誘発せずに起こるのを確実にするのに十分小さい。半径(R)は、テーパーのついた直線部分147とノーズ148との間における酸化剤の流れの滑らかな移行を促進する。この半径は、鋭い尖端に比べて、この移行領域で流れが分離するのを実質的に遅らせる。最後に、鋭角の二次チップ角(β)でノズルが終端し、燃料ガスがノズルの酸化剤側へ移動するのを実質的に制約する。
【0074】
図17は、本発明の新型ノズルチップ140の操作上の利点を明らかにする。幅のあるノーズ148が、チップから伝導によって熱が消散するための十分に広い経路をもたらすことにより、熱による変形を防止し、鋭角のチップ角(β)が燃料ガスの再循環を制限し、そして酸化剤と燃料の速度の比に応じて、チップでの酸化剤又は燃料の流れの分離が最小又はゼロになる。チップにおける炭素の蓄積はこうして阻止される。
【0075】
本発明の一つの態様において、チップの設計パラメーターの範囲は次の通りである。
・一次チップ角α: 0<α<15°
・転向半径R: 絶対不可欠ではないが、R>1/64inが推奨される
・二次角β: β<90°
【0076】
改良されたバーナーチップの設計によって可能になる改善の一例として、図18は、図13に示されたものと同様の設計のチップで、工業用ガラス炉における約2週間の運転で生ずる炭素の蓄積物160の量を示す。本発明の改良されたバーナーチップの設計は、同じバーナー運転パラメーターで実質的に二週間を超える期間運転して、同じバーナー位置で検出できるほどの炭素の蓄積を示さなかった。
【0077】
図19は、左側62と右側64を有する典型的なガラス炉60のレイアウトを示す。本発明のバーナーのようなバーナーが両側に配置され、炉内に高温の火炎を生じさせる。燃料と酸化剤の燃焼で生ずる煙道ガスは、炉の左側と右側に示された煙道68を通って出てゆく。バッチ装填物70が炉に入り、高温の火炎によって生ずる熱で溶融される。溶融した生成物72は炉から取り出されて、運搬手段(図示せず)によって清澄装置(図示せず)へ運ばれる。
【0078】
本発明のバーナーの改良された性能と本発明の方法の結果として、炉の性能はいろいろと向上する。バーナーをより大きな運動量とより多くのステージング(従来技術のバーナーのそれに比べて)で運転できるということは、より長く、より安定な、NOxの放出がより少ない、燃料リッチな火炎をもたらす。このより長く、より安定な火炎は、装填物へのより大きな総括伝熱速度を実現させる。また、火炎の性質のより良好な均一性と高度のステージング運転の組み合わせにより、ピーク火炎温度/放射量が最小限に抑えられ、それにより発泡を減らすのに役立つ。火炎からガラスへの伝熱速度大きくなってガラスの底部温度が上昇し、清澄装置からタンクへのガラスの再循環が増して、ガラスの欠陥が減少する(歩留まりの上昇)。最後に、バーナーチップへの炭素に蓄積がなくなって火炎の変形が防止され、バーナーの耐久性が向上し、そしてバーナーの保守の必要性が減少する。
【0079】
本発明のバーナーの使用によって得られる炉の性能にとっての恩恵の検証を、米国特許第5611682号明細書(Slavejkovら)で教示されている従来技術のバーナーを本発明のバーナーで置き換えた実物炉での試験をすることにより行った。この試験のために用いた工業炉は、図8に示されているものと同様であり、この炉には4つの燃焼位置(左右のバーナー対)と4つの煙道がある。原料組成、炉の引出し速度(炉からの生成物取出し速度)、及びバーナーの天然ガス及び酸素流量は全て、本発明のバーナーの設置前と設置後で本質的に変わらなかった。主要運転パラメーター及び実物炉試験の結果を表1に提示する。
【0080】
【表1】

【0081】
ここではいくつかの特定の態様に関連して図示し説明してはいるが、そうは言うものの、本発明はここに示した細目に限定されるものではない。もっと正確に言えば、それらの細目にはいろいろな変更を、特許請求の範囲の記載の範囲内及びそれと同等のものの範囲内で且つ本発明の精神から逸脱することなく、加えることができる。
【符号の説明】
【0082】
10 バーナー
12 燃料
14 燃料入口
16 燃料入口セクション
18 燃料通過セクション
20 燃料出口セクション
22 燃料出口
24 酸化剤
30 酸化剤出口セクション
50 案内羽根
140 ノズルチップ
147 テーパー付き直線部分
148 ノーズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を燃焼させるためのバーナーであって、
複数の燃料セクションを有し、各燃料セクションが他の燃料セクションと互いに連通していて且つ燃料の流れを送るのに適合している燃料導管であり、次のもの、すなわち、
第一の燃料入口と該第一の燃料入口から間隔をあけた第一の燃料出口を有する燃料入口セクションであって、第一の流動断面積を有し、該第一の燃料入口に入り該第一の燃料出口から出てゆく燃料の流れを送るのに適合している燃料入口セクション、
燃料取入れ口と該燃料取入れ口から間隔をあけた燃料取出し口を有する燃料通過セクションであって、該燃料取入れ口に入り該燃料取出し口から出てゆく燃料の流れの少なくとも一部分を送るのに適合していて、且つ、第二の流動断面積を有し、該第二の流動断面積が該燃料取入れ口における最初の流動断面積から該燃料取出し口における別の流動断面積へ変化する、燃料通過セクション、及び
第二の燃料入口と該第二の燃料入口から間隔をあけた第二の燃料出口を有する燃料出口セクションであって、該第二の燃料入口に入り該第二の燃料出口から出てゆく燃料の流れの少なくとも一部分を送るのに適合していて、且つ、第三の流動断面積を有し、該第三の流動断面積が該燃料出口セクションの全体にわたって実質的に一様である、燃料出口セクション、
を含む燃料導管と、
複数の酸化剤セクションを有し、各酸化剤セクションが他の酸化剤セクションと互いに連通していて且つ酸化剤の流れを送るのに適合している第一の酸化剤導管であり、次のもの、すなわち、
第一の酸化剤入口と該第一の酸化剤入口から間隔をあけた第一の酸化剤出口を有する酸化剤入口セクションであって、該第一の酸化剤入口に入り該第一の酸化剤出口から出てゆく酸化剤の流れを送るのに適合しており、そして第四の流動断面積を有し、該酸化剤入口セクションの少なくとも一部分は該燃料入口セクション、該燃料通過セクション、及び該燃料出口セクションの少なくとも一つの少なくとも一部分の実質的に全部の周りに間隔をあけて位置する、酸化剤入口セクション、及び
酸化剤取入れ口と該酸化剤取入れ口から間隔をあけた酸化剤取出し口を有する酸化剤出口セクションであって、該酸化剤取入れ口に入り該酸化剤取出し口から出てゆく酸化剤の流れの少なくとも一部分を送るのに適合しており、そして第五の流動断面積を有し、該第五の流動断面積は該第四の流動断面積未満であるかそれと等しく、該酸化剤出口セクションの全体にわたって実質的に一様であり、該酸化剤出口セクションの少なくとも一部分は該燃料出口セクションの少なくとも一部分の実質的に全部の周りに間隔をあけて位置する、酸化剤出口セクション、
を含む第一の酸化剤導管、
を含む燃料燃焼バーナー。
【請求項2】
該第一の酸化剤導管に隣接する第二の酸化剤導管を更に含み、該第二の酸化剤導管は第二の酸化剤入口と該第二の酸化剤入口から間隔をあけた第二の酸化剤出口を有し、該第二の酸化剤導管は該第二の酸化剤入口に入り該第二の酸化剤出口から出てゆく該酸化剤の別の流れ又は別の酸化剤の流れを送るのに適合している、請求項1に記載のバーナー。
【請求項3】
該酸化剤入口セクションと連通していて該酸化剤入口セクションの該第一の酸化剤入口へ該酸化剤の流れを供給するのに適合しているY字型の酸化剤導入導管を更に含む、請求項1に記載のバーナー。
【請求項4】
該燃料通過セクションに配置された少なくとも一つの案内羽根を更に含み、該燃料通過セクションの該燃料取入れ口における最初の流動断面積が該燃料通過セクションの該燃料取出し口における別の流動断面積よりも小さい、請求項1に記載のバーナー。
【請求項5】
該酸化剤出口セクションの第五の流動断面積の該燃料出口セクションの第三の流動断面積に対する比が、化学量論的な燃焼に必要な酸化剤対燃料のモル比より小さい、請求項1に記載のバーナー。
【請求項6】
該第二の酸化剤導管の該第二の酸化剤出口から出てゆく該酸化剤の別の流れ又は該別の酸化剤の流れが、該燃料出口セクションの該第二の燃料出口から出てゆく該燃料の流れの該少なくとも一部分と該酸化剤出口セクションの該酸化剤取出し口から出てゆく該酸化剤の流れの該少なくとも一部分の燃焼によって形成される火炎の下方の位置にある、請求項2に記載のバーナー。
【請求項7】
燃料を燃焼させるためのバーナーであって、
複数の燃料セクションを有し、各燃料セクションが他の燃料セクションと互いに連通していて且つ燃料の流れを送るのに適合している燃料導管であり、次のもの、すなわち、
第一の燃料入口と該第一の燃料入口から間隔をあけた第一の燃料出口を有する燃料入口セクションであって、第一の流動断面積を有し、該第一の燃料入口に入り該第一の燃料出口から出てゆく燃料の流れを送るのに適合している燃料入口セクション、
燃料取入れ口と該燃料取入れ口から間隔をあけた燃料取出し口を有する燃料通過セクションであって、該燃料取入れ口に入り該燃料取出し口から出てゆく燃料の流れの少なくとも一部分を送るのに適合していて、且つ、第二の流動断面積を有し、該第二の流動断面積が該燃料取入れ口における最初の流動断面積から該燃料取出し口における別の流動断面積へ変化する、燃料通過セクション、及び
第二の燃料入口と該第二の燃料入口から間隔をあけた第二の燃料出口を有する燃料出口セクションであって、該第二の燃料入口に入り該第二の燃料出口から出てゆく燃料の流れの少なくとも一部分を送るのに適合していて、且つ、第三の流動断面積を有し、該第三の流動断面積が該燃料出口セクションの全体にわたって実質的に一様である、燃料出口セクション、
を含む燃料導管と、
複数の酸化剤セクションを有し、各酸化剤セクションが他の酸化剤セクションと互いに連通していて且つ酸化剤を送るのに適合している第一の酸化剤導管であり、次のもの、すなわち、
第一の酸化剤入口と該第一の酸化剤入口から間隔をあけた第一の酸化剤出口を有する酸化剤入口セクションであって、該第一の酸化剤入口に入り該第一の酸化剤出口から出てゆく酸化剤の流れを送るのに適合しており、そして第四の流動断面積を有し、該酸化剤入口セクションの少なくとも一部分は該燃料入口セクション、該燃料通過セクション、及び該燃料出口セクションの少なくとも一つの少なくとも一部分の実質的に全部の周りに間隔をあけて位置する、酸化剤入口セクション、及び
酸化剤取入れ口と該酸化剤取入れ口から間隔をあけた酸化剤取出し口を有する酸化剤出口セクションであって、該酸化剤取入れ口に入り該酸化剤取出し口から出てゆく酸化剤の流れの少なくとも一部分を送るのに適合しており、そして第五の流動断面積を有し、該第五の流動断面積は該第四の流動断面積未満であるかそれと等しく、該酸化剤出口セクションの全体にわたって実質的に一様であり、該酸化剤出口セクションの少なくとも一部分は該燃料出口セクションの少なくとも一部分の実質的に全部の周りに間隔をあけて位置する、酸化剤出口セクション、
を含む第一の酸化剤導管と、
該第一の酸化剤導管に隣接する第二の酸化剤導管であって、第二の酸化剤入口と該第二の酸化剤入口から間隔をあけた第二の酸化剤出口を有し、該第二の酸化剤入口に入り該第二の酸化剤出口から出てゆく該酸化剤の別の流れ又は別の酸化剤の流れを送るのに適合している第二の酸化剤導管、
を含み、該第二の酸化剤導管の該第二の酸化剤出口から出てゆく該酸化剤の別の流れ又は該別の酸化剤の流れが、該燃料出口セクションの該第二の燃料出口から出てゆく燃料の流れの該少なくとも一部分と該酸化剤出口セクションの該酸化剤取出し口から出てゆく該酸化剤の流れの該少なくとも一部分の燃焼によって形成される火炎の下方の位置にある、燃料燃焼バーナー。
【請求項8】
長手方向の軸線を有しそしてバーナーチップを含む、燃料を燃焼させるためのバーナーであって、該バーナーチップが、
燃料の流れに隣接する第一の長いエッジと、
酸化剤の流れに隣接し、該長手方向の軸線と平行な線から約15°よりも小さな一次チップ角(α)を形成し、そして該長手方向の軸線と平行な上流面と交差する第二の長いエッジ、
を有し、該第一の長いエッジと該第二の長いエッジが、該一次チップ角(α)より大きくて、該第一の長いエッジに接し且つ該第一の長いエッジから燃料の流れの方向に延びる線から約90°より小さい二次チップ角(β)を形成している、燃料燃焼バーナー。
【請求項9】
該第二の長いエッジが、該一次チップ角(α)を形成する最初のテーパーがついた部分と、該第一の長いエッジで終える湾曲した部分を含む、請求項8に記載のバーナー。
【請求項10】
請求項1に記載のバーナーを少なくとも一つ有するガラス溶融炉。
【請求項11】
燃料を酸化剤とともに燃焼させるための方法であって、
燃料の源を用意する工程、
少なくとも一つの酸化剤の源を用意する工程、
以下のものを含むバーナー、すなわち、
複数の燃料セクションを有し、各燃料セクションが他の燃料セクションと互いに連通していて且つ燃料の流れを送るのに適合している燃料導管であり、次のもの、すなわち、
第一の燃料入口と該第一の燃料入口から間隔をあけた第一の燃料出口を有する燃料入口セクションであって、第一の流動断面積を有し、該第一の燃料入口に入り該第一の燃料出口から出てゆく燃料の流れを送るのに適合している燃料入口セクション、
燃料取入れ口と該燃料取入れ口から間隔をあけた燃料取出し口を有する燃料通過セクションであって、該燃料取入れ口に入り該燃料取出し口から出てゆく燃料の流れの少なくとも一部分を送るのに適合していて、且つ、第二の流動断面積を有し、該第二の流動断面積が該燃料取入れ口における最初の流動断面積から該燃料取出し口における別の流動断面積へ変化する、燃料通過セクション、及び
第二の燃料入口と該第二の燃料入口から間隔をあけた第二の燃料出口を有する燃料出口セクションであって、該第二の燃料入口に入り該第二の燃料出口から出てゆく燃料の流れの少なくとも一部分を送るのに適合していて、且つ、第三の流動断面積を有し、該第三の流動断面積が該燃料出口セクションの全体にわたって実質的に一様である、燃料出口セクション、
を含む燃料導管と、
複数の酸化剤セクションを有し、各酸化剤セクションが他の酸化剤セクションと互いに連通していて且つ酸化剤の流れを送るのに適合している第一の酸化剤導管であり、次のもの、すなわち、
第一の酸化剤入口と該第一の酸化剤入口から間隔をあけた第一の酸化剤出口を有する酸化剤入口セクションであって、該第一の酸化剤入口に入り該第一の酸化剤出口から出てゆく酸化剤の流れを送るのに適合しており、そして第四の流動断面積を有し、該酸化剤入口セクションの少なくとも一部分は該燃料入口セクション、該燃料通過セクション、及び該燃料出口セクションの少なくとも一つの少なくとも一部分の実質的に全部の周りに間隔をあけて位置する、酸化剤入口セクション、及び
酸化剤取入れ口と該酸化剤取入れ口から間隔をあけた酸化剤取出し口を有する酸化剤出口セクションであって、該酸化剤取入れ口に入り該酸化剤取出し口から出てゆく酸化剤の流れの少なくとも一部分を送るのに適合しており、そして第五の流動断面積を有し、該第五の流動断面積は該第四の流動断面積未満であるかそれと等しくて、該酸化剤出口セクションの全体にわたって実質的に一様であり、該酸化剤出口セクションの少なくとも一部分は該燃料出口セクションの少なくとも一部分の実質的に全部の周りに間隔をあけて位置する、酸化剤出口セクション、
を含む第一の酸化剤導管、
を含むバーナーを設ける工程、
該燃料の流れを該第一の燃料入口に送り、それによって該燃料の流れの少なくとも一部分を該第一の燃料入口から該第二の燃料出口へ送る工程、
該酸化剤の流れを該第一の酸化剤入口に送り、それによって該酸化剤の流れの少なくとも一部分を該第一の酸化剤入口から該酸化剤取出し口へ送る工程、及び
該第二の燃料出口から出てゆく燃料の少なくとも一部分を該酸化剤取出し口から出てゆく酸化剤の少なくとも一部分とともに燃焼させる工程、
を含む燃料燃焼方法。
【請求項12】
第二の酸化剤入口と該第二の酸化剤入口から間隔をあけた第二の酸化剤出口を有し、該第二の酸化剤入口に入り該第二の酸化剤出口から出てゆく該酸化剤の別の流れ又は別の酸化剤の流れを送るのに適合している第二の酸化剤導管を、該第一の酸化剤導管に隣接して設ける工程、
該酸化剤の別の流れ又は該別の酸化剤の流れを該第二の酸化剤入口に送り、それによって該酸化剤の別の流れの少なくとも一部分又は該別の酸化剤の少なくとも一部分を該第二の酸化剤入口から該第二の酸化剤出口へ送る工程、及び
該第二の燃料出口から出てゆく燃料の少なくとも別の一部分を該第二の酸化剤出口から出てゆく該酸化剤の別の流れの少なくとも一部分又は該別の酸化剤の少なくとも一部分とともに燃焼させる工程、
を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
該酸化剤入口セクションと連通し該酸化剤の流れを該酸化剤入口セクションの該第一の酸化剤入口に供給するのに適合しているY字型の酸化剤入口導管を設ける工程、及び
該酸化剤の少なくとも一部分を該Y字型酸化剤入口導管に供給する工程、
を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
該燃料通過セクションに配置される少なくとも一つの案内羽根を設ける更なる工程を含み、該燃料通過セクションの該燃料取入れ口における最初の流動断面積は該燃料通過セクションの該燃料取出し口における異なる流動断面積よりも小さい、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
該酸化剤出口セクションの第五の流動断面積の該燃料出口セクションの第三の流動断面積に対する比が、化学量論的な燃焼に必要な酸化剤対燃料のモル比より小さい、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
該第二の酸化剤導管の該第二の酸化剤出口から出てゆく該酸化剤の別の流れ又は該別の酸化剤の流れが、該燃料出口セクションの該第二の燃料出口から出てゆく燃料の流れの該少なくとも一部分と該酸化剤出口セクションの該酸化剤取出し口から出てゆく該酸化剤の流れの該少なくとも一部分の燃焼によって形成される火炎の下方の位置にある、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
燃料を酸化剤とともに燃焼させるための方法であって、
燃料の源を用意する工程、
少なくとも一つの酸化剤の源を用意する工程、
以下のものを含むバーナー、すなわち、
複数の燃料セクションを有し、各燃料セクションが他の燃料セクションと互いに連通していて且つ燃料の流れを送るのに適合している燃料導管であり、次のもの、すなわち、
第一の燃料入口と該第一の燃料入口から間隔をあけた第一の燃料出口を有する燃料入口セクションであって、第一の流動断面積を有し、該第一の燃料入口に入り該第一の燃料出口から出てゆく燃料の流れを送るのに適合している燃料入口セクション、
燃料取入れ口と該燃料取入れ口から間隔をあけた燃料取出し口を有する燃料通過セクションであって、該燃料取入れ口に入り該燃料取出し口から出てゆく燃料の流れの少なくとも一部分を送るのに適合していて、且つ、第二の流動断面積を有し、該第二の流動断面積が該燃料取入れ口における最初の流動断面積から該燃料取出し口における別の流動断面積へ変化する、燃料通過セクション、及び
第二の燃料入口と該第二の燃料入口から間隔をあけた第二の燃料出口を有する燃料出口セクションであって、該第二の燃料入口に入り該第二の燃料出口から出てゆく燃料の流れの少なくとも一部分を送るのに適合していて、且つ、第三の流動断面積を有し、該第三の流動断面積が該燃料出口セクションの全体にわたって実質的に一様である、燃料出口セクション、
を含む燃料導管と、
複数の酸化剤セクションを有し、各酸化剤セクションが他の酸化剤セクションと互いに連通していて且つ酸化剤を送るのに適合している第一の酸化剤導管であり、次のもの、すなわち、
第一の酸化剤入口と該第一の酸化剤入口から間隔をあけた第一の酸化剤出口を有する酸化剤入口セクションであって、該第一の酸化剤入口に入り該第一の酸化剤出口から出てゆく酸化剤の流れを送るのに適合しており、そして第四の流動断面積を有し、該酸化剤入口セクションの少なくとも一部分は該燃料入口セクション、該燃料通過セクション、及び該燃料出口セクションの少なくとも一つの少なくとも一部分の実質的に全部の周りに間隔をあけて位置する、酸化剤入口セクション、及び
酸化剤取入れ口と該酸化剤取入れ口から間隔をあけた酸化剤取出し口を有する酸化剤出口セクションであって、該酸化剤取入れ口に入り該酸化剤取出し口から出てゆく酸化剤の流れの少なくとも一部分を送るのに適合しており、そして第五の流動断面積を有し、該第五の流動断面積は該第四の流動断面積未満であるかそれと等しくて、該酸化剤出口セクションの全体にわたって実質的に一様であり、該酸化剤出口セクションの少なくとも一部分は該燃料出口セクションの少なくとも一部分の実質的に全部の周りに間隔をあけて位置する、酸化剤出口セクション、
を含む第一の酸化剤導管、
を含むバーナーを設ける工程、
該燃料の流れを該第一の燃料入口に送り、それによって該燃料の流れの少なくとも一部分を該第一の燃料入口から該第二の燃料出口へ送る工程、
該酸化剤の流れを該第一の酸化剤入口に送り、それによって該酸化剤の流れの少なくとも一部分を該第一の酸化剤入口から該酸化剤取出し口へ送る工程、
該第二の燃料出口から出てゆく燃料の少なくとも一部分を該酸化剤取出し口から出てゆく酸化剤の少なくとも一部分とともに燃焼させる工程、
第二の酸化剤入口と該第二の酸化剤入口から間隔をあけた第二の酸化剤出口を有し、該第二の酸化剤入口に入り該第二の酸化剤出口から出てゆく該酸化剤の別の流れ又は別の酸化剤の流れを送るのに適合している第二の酸化剤導管を、該第一の酸化剤導管に隣接して設ける工程、
該酸化剤の別の流れ又は該別の酸化剤の流れを該第二の酸化剤入口に送り、それによって該酸化剤の別の流れの少なくとも一部分又は該別の酸化剤の少なくとも一部分を該第二の酸化剤入口から該第二の酸化剤出口へ送る工程、及び
該第二の燃料出口から出てゆく燃料の少なくとも別の一部分を該第二の酸化剤出口から出てゆく該酸化剤の別の流れの少なくとも一部分又は該別の酸化剤の少なくとも一部分とともに燃焼させる工程、
を含み、該第二の酸化剤導管の該第二の酸化剤出口から出てゆく該酸化剤の別の流れ又は該別の酸化剤の流れが、該燃料出口セクションの該第二の燃料出口から出てゆく燃料の流れの該少なくとも一部分と該酸化剤出口セクションの該酸化剤取出し口から出てゆく該酸化剤の流れの該少なくとも一部分の燃焼によって形成される火炎の下方の位置にある、燃料燃焼方法。
【請求項18】
燃料を酸化剤とともに燃焼させるための方法であって、
燃料の源を用意する工程、
当該酸化剤の源を用意する工程、
長手方向の軸線を有するバーナーであり、下記のものを有するバーナーチップ、すなわち、
該燃料の流れに隣接する第一の長いエッジ、及び
酸化剤の流れに隣接し、そして該長手方向の軸線と平行な線から約15°よりも小さな一次チップ角(α)を形成し、且つ該長手方向の軸線と平行な上流面と交差する第二の長いエッジ、
を有するバーナーチップを含み、該第一の長いエッジと該第二の長いエッジが、該一次チップ角(α)より大きくて、該第一の長いエッジに接し且つ該第一の長いエッジから該燃料の流れの方向に延びる線から約90°よりも小さな二次チップ角(β)を形成している、該燃料を該酸化剤とともに燃焼させるためのバーナーを設ける工程、及び
該燃料の少なくとも一部分を該酸化剤の少なくとも一部分とともに該バーナーチップに隣接する箇所で燃焼させる工程、
を含む、燃料燃焼方法。
【請求項19】
該第二の長いエッジが、
該一次チップ角(α)を形成する最初のテーパーがついた部分、及び
該第一の長いエッジで終える湾曲した部分、
を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
ガラスを溶融させるための方法であって、請求項11に記載の燃料を酸化剤とともに燃焼させるための方法を含むガラス溶融方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図19】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−186177(P2009−186177A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−51034(P2009−51034)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【分割の表示】特願2005−235875(P2005−235875)の分割
【原出願日】平成17年8月16日(2005.8.16)
【出願人】(591035368)エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド (452)
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】7201 Hamilton Boulevard, Allentown, Pennsylvania 18195−1501, USA
【Fターム(参考)】