説明

燃料電池システム

【課題】水蒸気改質反応への移行段階において少量の水が供給されたことを確実に把握することができ、部分酸化改質反応から水蒸気改質反応へと円滑に移行することが可能な燃料電池システムを提供すること。
【解決手段】この燃料電池システムFCSは、少なくとも起動時において、ポンプを停止状態から圧送状態へと切り替えて水の圧送を開始した後に、圧力検出手段の検出結果(ステップS04)に基づいて改質器への水供給の有無を判定する水供給判定処理(ステップS08)を実行することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体電解質形燃料電池(SOFC)セルを含む燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、このような燃料電池システムとしては、固体電解質形燃料電池(以下、SOFCともいう)セルを無底又は有底の筒形状等に構成し、そのセルの内側又は外側に水素を含む燃料ガスを通すと共に、反対側には酸化剤ガス(空気)を通すことで発電反応を行わせるものが知られている。燃料ガスは、都市ガスといった被改質ガスを改質して得られるものであって、その改質を行う改質器においてはいわゆる水蒸気改質が行われている。改質器において水蒸気改質を行う燃料電池システムは、例えば下記特許文献1にその一例が開示されている。
【0003】
下記特許文献1には、改質器の上流にポンプを設けて改質器に水(水蒸気)を供給し、改質器においてはその水(水蒸気)と被改質ガス(都市ガス、プロパンガス等)とを用いて水蒸気改質反応(以下、SRともいう)を起こさせて、改質ガスを得ることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−53209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、SOFCは発電効率が高く、使用する燃料ガスが少なくて済むため、非改質ガスも水蒸気も非常に少なくて済むという利点がある。例えば、上述した水蒸気改質反応SRでは、必要とされる水の量が毎分約8ml前後である。
【0006】
一方、SOFCを含む燃料電池システム特有の起動方法に着目すると、上述した水蒸気改質反応SRは吸熱反応であるから、起動当初において即座に水蒸気改質反応SRを行わせてしまうとSOFCモジュールの温度が上がらず、安定した運転温度まで上昇しないものである。そこで、起動当初は改質器に空気と被改質ガスのみを送り込み、発熱反応としての部分酸化改質反応(以下、POXともいう)を行わせている。部分酸化改質反応POXと水蒸気改質反応SRとを比較すると、水素の発生効率は水蒸気改質反応SRの方が高いため、SOFCモジュールの温度上昇に合わせて水蒸気改質反応SRへと徐々に移行することが求められている。従って、改質器に供給する水量に着目すれば、全く水を用いない状態から毎分約8mlの給水へと円滑に移行させる必要がある。このような移行途中においては、部分酸化改質反応POXと水蒸気改質反応SRとが併用されたオートサーマル改質反応ATRを進行させる場合もある。
【0007】
上述した事情を鑑みれば、改質器に供給する水量を可能な限り少ない量から徐々に増やしていくことが好ましいはずであるが、実際にそのような給水を行うことは極めて困難である。SOFCを含む燃料電池システムは上述したように効率の高いものであると同時に、非常に高温(約700℃)になるものでもある。例えば、一度起動し停止した後に再起動する場合には、改質器へ水を供給する給水管の温度が高くなり、その給水管内の水は蒸発してしまっている可能性が高い。そのように水の全く無い状態の給水管に、少ない水を正確に供給することは極めて難しいものである。
【0008】
少ない水を正確に供給するためには、そのような微量の水を検知するためのセンサが必要になってくるけれども、微量の水を検知するために高感度のセンサを用いれば、水が流れる前の空気の流動をも検知してしまい正確な水量の検知ができなくなってしまう。また、コスト等の面でも採用することは非常に難しい。一方で、一般的で実用的な低感度のセンサを用いれば、そのような空気の流動を検知することはないものの、反面、例えば測定限界下限近傍の微量な水が流れこんだとしてもやはりそれを確実に検知することは極めて困難であった。なぜならば、水流が全くなかったり、全く水が無い状態では、センサの検知機構(例えば、歯車や羽根車)は静止しており、検知機構内においては静摩擦係数が大きく効いているため、あまりにも微量な水が流れても冷間停止状態からの駆動の初期は特に摩擦などのフリクションに勝てず検知機構が作動しない可能性が高いためである。このような検討の結果、定常的に所定量の水が流れていることを検知することができるセンサであっても、初動状態においてその所定量の水の流れを確実には検知することが難しいことを本発明者らは発見したものである。このように改質器へ供給する水量を確実に検知できないことを放置すれば、水が足りない場合には改質器において炭素析出が発生してセルや触媒が破損する場合があり、水が多い場合には燃料電池の温度が上がらずに安定した運転が行えない場合がある。
【0009】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、SOFCを含む燃料電池システムであって、水蒸気改質反応への移行段階において少量の水が供給されたことを確実に把握することができ、部分酸化改質反応から水蒸気改質反応へと円滑に移行することが可能な燃料電池システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明に係る燃料電池システムは、固体電解質形の燃料電池セルを含む燃料電池システムであって、前記燃料電池セルに供給する燃料ガスの水蒸気改質を行う改質器と、前記改質器に水を供給するための水供給手段と、前記水供給手段を制御する制御手段とを備え、前記水供給手段は、前記改質器に供給する水を貯水する貯水タンクと、前記貯水タンクに貯水された水を前記改質器に圧送するポンプと、前記ポンプによる前記改質器への水の供給量を検出する流量検出手段と、前記改質器内の燃料ガスの圧力を検出する圧力検出手段と、を有し、前記制御手段は、少なくとも起動時において、前記ポンプを停止状態から圧送状態へと切り替えて水の圧送を開始した後に、前記圧力検出手段の検出結果に基づいて前記改質器への水供給の有無を判定する水供給判定処理を実行することを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決するために、本発明者らは流量検出手段の検出値によらずに改質器への水供給の有無を検出できないか検討を行った。それは、固体電解質形の燃料電池セルを含む燃料電池システムは極めて効率が高いことから改質器に供給すべき水量が少なく、その水量を流量検出手段によって検出することに工夫を重ねても、改質器へ水供給がなされているのか否かを知ることが重要であるからである。本発明者らは、改質器における種々の状態量に着目し、改質器内に水を供給すると燃料ガス圧に変化が生じることを発見し、この知見に基づいて本発明を成しえたものである。その知見に基づく本発明では、貯水タンクから改質器へと水を圧送するポンプを停止状態から圧送状態へと切り替えて圧送を開始した後に、圧力検出手段の検出結果に基づいて改質器への水供給の有無を判定する水供給判定処理を行っている。この水供給判定処理により、流量検出手段の検出値に関係なく圧力検出手段の検出値によって改質器への水供給の有無を判定できるので、供給される水量の多少に拘らず改質器への水供給の有無を判断することができる。
【0012】
本願請求項2に係る燃料電池システムは、起動時において、前記改質器における改質反応を部分酸化改質反応から開始して、オートサーマル改質反応から水蒸気改質反応へと遷移させるものであって、前記制御手段は、前記オートサーマル改質反応においては前記ポンプを間欠的に駆動すると共に、前記オートサーマル改質反応の開始時に前記水供給判定処理を実行することを特徴とする。
【0013】
本発明者らは、改質器における種々の状態量の変化について更に詳細に検討を行った。その結果、部分酸化改質反応からオートサーマル改質反応へと移行する際に改質器内の圧力状態が安定状態から周期的に変化する状態を積極的に作り出したものである。このように改質器内に水が実質的に無い状態(部分酸化改質反応)から少量の水を供給すると改質器内の圧力が水の蒸発に伴って上昇するという知見に基づいて、本請求項に係る発明を成しえたものである。具体的には、部分酸化改質反応からスタートして、オートサーマル改質反応を経由して水蒸気改質反応へと遷移する場合、部分酸化改質反応で必要となる水量は0であり、水蒸気改質反応で必要となる水量は毎分約10ml程度であるため、その間のオートサーマル改質反応では、水量を毎分0mlから10mlの間で供給することが必要となる。このような極少量の水を供給するために本発明のこの態様では、非常に微量な水で運転されるオートサーマル改質反応においてはその少ない水を更に微量な状態で連続的に改質器に供給するのではなく、ある一定の量を間欠的に供給するようにポンプを間欠的に駆動して水の供給が断続的になるように構成したものである。これによって供給される1回の水量を多くできるため改質器内への水の供給を確実なものとできる。更に、微量な水の中にあって一度の供給が多くなるように配慮したことで改質器内の圧力が水の供給時にはその蒸発に伴って一定量確実に上昇するようにし、一方で間欠のタイミングを長くとるようにすることで、水の供給が絶たれた状態では反対に圧力が確実に低下するように動作させたものである。このように工夫したことによって改質器内の圧力が顕著に周期的に変動するようにさせたものである。このようにポンプの間欠的な駆動を利用しながら、オートサーマル改質反応の開始時に水供給判定処理を実行させるようにしたので、圧力の状態によって極少量の水が改質器内に確実に供給されたタイミングを的確に判定できるようにしたものである。これによって改質器やセルの不具合発生が確実に防止できるようになったものである。
【0014】
本願請求項3に係る燃料電池システムは、前記ポンプがパルスポンプであることを特徴とする。
【0015】
この態様によれば、改質器に水を供給するポンプがパルスポンプであるので、極少量の水を改質器に供給する場合に必然的に間欠的な供給となるため、改質器内の圧力変動がより顕著なものとなる。従って、より正確に改質器への水供給の有無を判定することができる。
【0016】
本願請求項4に係る燃料電池システムは、前記制御手段は、前記ポンプを圧送状態に切り替えた後、前記圧力検出手段の検出結果を監視し、前記改質器内の燃料ガスの圧力の変動量が所定量を超えた場合に、前記水供給判定処理において前記改質器へ水供給があったものと判定し、前記改質器において水蒸気を用いた前記オートサーマル改質反応又は前記水蒸気改質反応へと移行することを特徴とする。
【0017】
この態様では更に、ポンプを圧送状態に切り替えた後に改質器内の圧力変動量が水供給の間欠に対応するような所定量を超えた変動を生じている場合に、改質器に水供給がなされたと判定しているので、改質器への水供給の有無をより確実に判定することができる。
【0018】
本願請求項5に係る燃料電池システムは、前記オートサーマル改質反応は、前記改質器に供給する水量が第1量である第1オートサーマル改質反応と、前記改質器の温度が所定温度以上となった場合に前記第1オートサーマル改質反応に続いて行われる反応であって前記改質器に供給する水量が前記第1量よりも多い第2量である第2オートサーマル改質反応とを含み、前記制御手段は、前記第1オートサーマル改質反応の開始時に前記水供給判定処理を実行することを特徴とする。
【0019】
この態様では、オートサーマル改質反応を、第1オートサーマル改質反応と第2オートサーマル改質反応とに分けて、第1オートサーマル改質反応における改質器の温度は第2オートサーマル改質反応における改質器の温度よりも低くなるようにしているため、第1オートサーマル改質反応では触媒活性の低い状態となっている。このように触媒活性の低い低温領域で第1オートサーマル改質反応を実行する場合には、第2オートサーマル改質反応において改質器に供給する第2量の水よりも少ない第1量の水が必要となる。特に第1オートサーマル改質反応の開始時においては、例えば毎分1mlといった極めて少量の水を改質器に供給することが好ましいことから、上述した本発明における水供給判定処理を利用して極めて少量である毎分1ml程度の水が改質器に供給されているか否かを確実に判定している。このように部分酸化改質反応に続く第1オートサーマル改質反応において極少量の水が改質器に供給されたことを確実に把握することで、改質器やセルの不具合発生を防止して円滑な改質反応の移行を実現することができる。反対に言えば、部分酸化改質反応からオートサーマル改質反応に移行する際はそのつながりをなめらかにして改質器の温度降下をなるべく抑制するためにも毎分1ml程度の水の供給から行うことが望ましいと言えるが、そのような極少量の水の供給判定が極めて難しいものであったため、そのような理想的なオートサーマル改質反応への移行は実現が困難であったが、本発明によってそれが確実に可能となったものであり、極めて良好に改質器の温度昇温が図れる多段のオートサーマル改質反応を持つことが実現されたものである。
【0020】
本願請求項6に係る燃料電池システムは、前記制御手段が、前記水供給判定処理において前記改質器へ水供給があったものと判定した場合に、前記改質器へ供給する空気量を低下させて前記オートサーマル改質反応へと移行することを特徴とする。
【0021】
この態様では、水供給判定処理によって確実に改質器に水供給があったものと判定した後に、改質器へ供給する空気量を低下させてオートサーマル改質反応へと移行するので、水蒸気の発生が現実となった状態で部分酸化改質反応時の空気量では過剰となる空気を最適なタイミングで低下させることを可能としたものであり、極めて良好なオートサーマル改質反応への移行を実現できるようになったものである。
【0022】
本願請求項7に係る燃料電池システムは、前記制御手段が、前記オートサーマル改質反応の開始時に前記ポンプを停止状態から圧送状態へと切り替えて水の圧送を開始する際に、前記ポンプの水供給能力を通常制御時よりも所定時間高くする開始運転制御を行うものであって、前記水供給判定処理において前記改質器へ水供給があったものと判定した後に、前記改質器へ供給する空気量を低下させて前記オートサーマル改質反応へと移行することを特徴とする。
【0023】
この態様では、ポンプの水供給能力を通常制御時よりも所定時間高くする開始運転制御を行っている。この開始運転制御により、流量検出手段が静止状態となっていたとしても、ポンプの水供給能力を高めることで流量検出手段を確実に動かして静止状態を確実に解除し、流量検出手段によるセンシングを可能なものとしている。また、貯水タンクから改質器に至る間の管路の水が蒸発し、その管路に水が無い状態であったとしても、ポンプから流量検出手段に確実に水が到達するように所定時間を定めることで、流量検出手段を確実に動かすことができる。また、貯水タンクから改質器に至る間の管路の水が無い状態である場合には、その無水状態の管路部分が緩衝ゾーンとなるので、所定時間ポンプの水供給能力を高めたとしても、改質器に過剰な水が供給されることがない。従ってこの態様では、ポンプから改質器に至る管路の水が蒸発している場合であっても、その管路の無水状態を利用してポンプの水供給能力を一時的に高めつつ、改質器への過剰な水の供給や水の供給不足を防止し、少ない水量の水を正確かつ確実に改質器へと供給することができる。結果、流量検出手段がポンプから改質器への水の供給を検出できないような事態を回避し、水蒸気改質反応やオートサーマル改質反応のような水蒸気を用いた改質反応に必要な水を正確かつ確実に供給して、改質器やセルの不具合発生を防止することができる。更にこの態様では、水供給判定処理によって確実に改質器に水供給があったものと判定した後に、改質器へ供給する空気量を低下させてオートサーマル改質反応へと移行するので、水供給があったことを正確に把握しつつ、その後の水供給を正確な水量で行うことができるので、水蒸気を用いたオートサーマル改質反応の開始タイミングを正確に把握することが可能となると共に供給する水量も正確に制御することができ、改質器やセルの不具合発生を防止して円滑な改質反応の移行を実現することができる。
【0024】
本願請求項8に係る燃料電池システムは、前記制御手段が、前記改質器への水供給を開始する際には前記水供給判定処理を実行することで前記改質器への水供給状態を判定し、前記改質器において水蒸気を用いた前記オートサーマル改質反応又は前記水蒸気改質反応の実行中においては前記流量検出手段の検出値に基づいて前記改質器への水供給状態を判定することを特徴とする。
【0025】
本発明において改質器に供給する水量は少量なものであるので、本発明に利用される流量検出手段は検出範囲がその少量に対応するものとなって、水が流れていないような場合であっても空気の流れ等を検出してしまうことも想定され、少量の水が改質器に確実に到達したか否かを判定することが難しい。一方、水供給判定処理では、改質器に水供給がなされたことを確実に把握することはできるものの、その水量がどれくらいであるかを把握することは難しい。そこで、改質器へ水供給を開始する際には水供給判定処理によって水供給の有無を確実に判定し、その判定後に水蒸気を用いた改質反応を行う際には、流量検出手段の検出値に基づいて改質器に水供給を行うことで過不足無く少量の水を安定的に供給することができる。従って、圧力検出手段を利用した水供給判定処理の長所と流量検出手段による流量測定ができるという長所とを組み合わせることで、水蒸気を利用した改質運転を最適化することができる。
【0026】
本願請求項9に係る燃料電池システムは、前記制御手段が、前記水供給判定処理によっては前記改質器へ水供給があると判定した状態で、前記流量検出手段の検出値が前記改質器への水供給がないことを示している場合には、異常処理を実行することを特徴とする。
【0027】
水供給判定処理によっては改質器へ水供給があると判定した状態で、流量検出手段の検出値が改質器への水供給がないことを示している場合には、ポンプによる改質器への水供給は行われているものの、流量検出手段に一時的若しくは恒常的な不具合が発生しているものと判断することができる。従って、この態様では新たなセンサ等を設けることなく、流量検出手段の不具合発生を確実に把握することができる。
【0028】
本願請求項10に係る燃料電池システムは、前記異常処理は、前記制御手段の制御を縮退させるか、若しくは、前記流量検出手段に異常が発生しているか否かを再判定するものであることを特徴とする。
【0029】
この態様では、異常処理として制御手段の制御を縮退させることで、オートサーマル改質反応への移行を制限したり、流量検出手段に異常が発生しているか否かを再判定するための暫定運転を継続したりすることで、的確に流量検出手段における異常発生に対応することができる。
【0030】
本願請求項11に係る燃料電池システムは、前記部分酸化改質反応から前記第1オートサーマル改質反応への移行時において、前記改質器へ供給する被改質ガスの流量を変動させずに、前記改質器へ供給する水量を変動させることを特徴とする。
【0031】
部分酸化改質反応POXから第1オートサーマル改質反応への移行時において、被改質ガスの流量を変動させていないので、改質器に供給される水量のみが変動することになり、改質器内の圧力変動要因が水だけによるものとなる。よって、極少量の水供給に伴う圧力変動がわずかであってもその要因は水供給によるものとできるため、言い換えると圧力変動を生じさせる要因を水以外絶つことで誤判定を確実に防止して、圧力検出手段による水が供給されたという検出結果の信頼性を確実なものとしたものである。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、水を用いた改質反応への移行段階において少量の水が供給されたことを確実に把握することができ、部分酸化改質反応から水を用いた改質反応への移行を円滑で安全なものとすることができる燃料電池システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本願発明の実施形態である燃料電池システムの全体構成を示す概略構成図である。
【図2】図1に示す燃料電池システムの制御的な構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示す燃料電池システムの起動時における各部の温度や各部の制御電圧を示すグラフである。
【図4】図1に示す燃料電池システムにおいて、燃料電池モジュールへ水を供給する部分の構成を示す概略構成図である。
【図5】図1に示す燃料電池システムにおいて、オートサーマル改質反応への移行制御を説明するためのフローチャートである。
【図6】図1に示す燃料電池システムにおいて、燃料電池モジュールへ水を供給する際のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0035】
図1を参照しながら、本発明の一実施形態である燃料電池システムについて説明する。図1は、一実施形態としての燃料電池システムFCSの全体構成を示す概略構成図である。図1に示すように、燃料電池システムFCSは、燃料電池モジュールFCMと、補器ユニットADUと、貯水タンクWP2と、温水製造装置HWとを備えている。
【0036】
まず、燃料電池モジュールFCMについて説明する。燃料電池モジュールFCMは、燃料電池FCと、改質器RFと、制御ボックスCBと、一酸化炭素検知器CODと、可燃ガス検知器GD1とを備えている。燃料電池FCは、固体電解質形の燃料電池(SOFC;Solid Oxide Fuel Cell)であって、発電室FC1と燃焼室FC2とを備えている。発電室FC1には複数本の燃料電池セルCEが配置されている。燃料電池セルCEは、電解質を挟んで燃料極と空気極とが設けられているものであって、燃料極側に燃料ガスを通し、空気極側に酸化剤ガスとしての空気を通すことで発電反応を起こすことができるように構成されている。本実施形態の燃料電池FCは固体電解質形燃料電池(SOFC)であるので、電解質を構成する材料としては、例えば、Y、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニア、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリア、Sr、Mgから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレートといった酸素イオン導電性酸化物を用いている。
【0037】
燃料極を構成する材料としては、例えば、Niと、CaやY、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニアとの混合体、Niと、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリアとの混合体、Niと、Sr、Mg、Co、Fe、Cuから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレートとの混合体といった材料が用いられる。空気極を構成する材料としては、例えば、Sr、Caから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンマンガナイト、Sr、Co、Ni、Cuから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンフェライト、Sr、Fe、Ni、Cuから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンコバルタイト、銀といった材料が用いられる。もっとも、電解質や燃料極及び空気極を構成する材料はこれらに限られるものではない。
【0038】
発電室FC1において発電された電気は電力取出ラインEP1によって発電電力として取り出されて利用される。燃焼室FC2は、発電室FC1に配置された燃料電池セルCEによって発電反応に利用された残余の燃料ガスを燃焼させる部分である。燃焼室FC2において燃料ガスが燃焼した結果生じる排気ガスは、改質器RFと熱交換をした後に温水製造装置HWへと供給される。温水製造装置HWへと供給された排気ガスは更に熱交換を行い、水道水を昇温して温水とした後に外部へと排出される。
【0039】
改質器RFは、被改質ガスを改質して燃料ガスとし、燃料電池FCの発電室FC1へと供給する部分である。被改質ガスの改質態様としては、部分酸化改質反応(POX;Partial Oxidation Reforming)、オートサーマル改質反応(ATR;Auto Thermal Reforming)、水蒸気改質反応(SR;Steam Reforming)があり、運転状況に応じて選択的に実行される(詳細は後述する)。改質器RFは、改質部RF1と、蒸発部RF2とを備えている。
【0040】
蒸発部RF2は、補器ユニットADU側から供給される純水を蒸発させて水蒸気とし、その水蒸気を改質部RF1に供給する部分である。改質部RF1は、補器ユニットADU側から供給される被改質ガス、空気及び蒸発部RF2から供給される水蒸気を用いて被改質ガスを改質して燃料ガスとする部分である。改質部RF1には、改質触媒が封入されている。改質触媒としては、アルミナの球体表面にニッケルを付与したもの、アルミナの球体表面にルテニウムを付与したもの、が適宜用いられる。本実施形態の場合、これらの改質触媒は球体である。
【0041】
制御ボックスCBは、燃料電池システム制御部をその内部に収納し、操作装置や表示装置、報知装置が設けられているものである。燃料電池システム制御部、操作装置、表示装置、報知装置については後述する。
【0042】
一酸化炭素検知器CODは、燃料電池モジュールFCMの燃焼室FC2において残余の燃料ガスの不完全燃焼が起きてしまい、一酸化炭素が燃料電池モジュールFCM内に発生していないか検知するためのセンサである。可燃ガス検知器GD1は、燃料電池モジュールFCMの燃焼室FC2において残余の燃料ガスが燃え残ってしまい、いわゆる生ガスが燃料電池モジュールFCM内に発生していないか検知するためのセンサである。
【0043】
続いて、補器ユニットADUについて説明する。補器ユニットADUは、燃料電池モジュールFCMに水、被改質ガス、及び空気を供給するための補器を備えるユニットである。補器ユニットADUは、空気供給部として空気ブロワや流量調整弁等を含む流量調整ユニットAP1a,AP1b、及び電磁弁AP2と、燃料供給部として燃料ポンプや流量調整弁等を含む流量調整ユニットFP1、脱硫器FP2、ガス遮断弁FP4、及びガス遮断弁FP5と、水供給部として水ポンプや流量調整弁等を含む流量調整ユニットWP1と、可燃ガス検知器GD2と、を備えている。
【0044】
外部の空気供給源から供給される空気は、電磁弁AP2が閉じていれば流量調整ユニットAP1a,AP1bに供給されず、電磁弁AP2が開いていれば流量調整ユニットAP1a,AP1bに供給される。流量調整ユニットAP1aによって流量調整された空気は改質用空気として、ヒータAH1によって昇温され、被改質ガスとの混合部MVに供給される。流量調整ユニットAP1bによって流量調整された空気は発電用空気として、ヒータAH2によって昇温され、燃料電池モジュールFCMの発電室FC1に供給される。発電室FC1に供給された発電用空気は、燃料電池セルCEの空気極に供給される。
【0045】
外部の燃料供給源から供給される都市ガスは、2連電磁弁であるガス遮断弁FP4及びガス遮断弁FP5によってその流入が制御される。ガス遮断弁FP4,FP5のいずれもが開いていれば、都市ガスは脱硫器FP2に供給され、ガス遮断弁FP4,FP5のいずれかが閉じていれば、都市ガスは遮断される。脱硫器FP2に供給された都市ガスは、硫黄成分を除去されて被改質ガスとなり、流量調整ユニットFP1に供給される。流量調整ユニットFP1によって流量調整された被改質ガスは、改質用空気との混合部MVに供給される。混合部MVにおいて混合された被改質ガスと改質用空気気とは、燃料電池モジュールFCMの改質器RFに供給される。
【0046】
外部の水供給源から供給される水道水は、純水とされてから貯水タンクWP2に貯水される。貯水タンクWP2に貯水されている純水は、流量調整ユニットWP1によって流量が調整されて燃料電池モジュールFCMの改質器RFへと供給される。
【0047】
可燃ガス検知器GD2は、燃料供給部としての系統であるガス遮断弁FP5、ガス遮断弁FP4、脱硫器FP2、流量調整ユニットFP1において、ガス漏れが発生していわゆる生ガスが外部に放出されないか検知するためのセンサである。
【0048】
続いて、図2を参照しながら本実施形態の燃料電池システムFCSの制御的な構成について説明する。図2は、燃料電池システムFCSの制御的な構成を示すブロック図である。図2に示すように、燃料電池システムFCSは、燃料電池モジュールFCMと、燃料電池モジュールFCMに空気を供給する空気供給部APと、燃料電池モジュールFCMに燃料ガスとなる被改質ガスを供給する燃料供給部FPと、燃料電池モジュールFCMに水を供給する水供給部WPと、燃料電池モジュールFCMから電力を取り出す電力取出部EPとを備えている。空気供給部AP、燃料供給部FP、水供給部WP、及び電力取出部EPは補器ユニットADUに収められている。
【0049】
燃料電池モジュールFCM、空気供給部AP、燃料供給部FP、水供給部WP、及び電力取出部EPは、燃料電池システム制御部CSから出力される制御信号に基づいて制御される。燃料電池システム制御部SCは、CPU、ROM及びRAMといったメモリ、及び制御信号やセンサ信号を授受するためのインターフェイスによって構成されている。燃料電池システム制御部SCには、操作装置CS1、表示装置CS2、及び報知装置CS3が取り付けられている。操作装置CS1から入力される操作指示信号は燃料電池システム制御部CSに出力され、燃料電池システム制御部CSは、その操作指示信号に基づいて、燃料電池モジュールFCM等を制御する。燃料電池システム制御部CSが制御した情報や、所定の警告情報は、表示装置CS2及び報知装置CS3に出力される。操作装置CS1、表示装置CS2、及び報知装置CS3の具体的なハードウェア構成は特に限定されるものではなく、必要となる機能に応じて最適なハードウェア構成が選択される。一例としては、操作装置CS1として、キーボード、マウス、タッチパネルといったハードウェアが用いられる。表示装置CS2としては、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイといった表示系のハードウェアが用いられる。報知装置CS3としては、スピーカー、点灯器といったハードウェアが用いられる。燃料電池システム制御部CSは制御ボックスCBに収められている。また操作装置CS1、表示装置CS2、報知装置CS3は、図示しないボックスに収められ屋内に配置されている。
【0050】
燃料電池システム制御部CSには、燃料電池システムFCSの各所に設けられたセンサからセンサ信号が出力される。燃料電池システム制御部CSに信号を出力するセンサとしては、改質器温度センサDS1、スタック温度センサDS2、排気温度センサDS3、改質器内圧力センサDS4、水位センサDS5、水流量センサDS6、燃料流量センサDS7、改質用空気流量センサDS8、発電用空気流量センサDS9、電力状態検出部DS10、貯湯状態検出センサDS11、一酸化炭素検出センサDS12、可燃ガス検出センサDS13が設けられている。
【0051】
改質器温度センサDS1は、改質器RFの温度を測定するためのセンサであって、本実施形態の場合は2つ設けられている。スタック温度センサDS2は、発電室FC1に配置されている燃料電池セルCEの温度を測定するためのセンサであって、複数の燃料電池セルCEからなる燃料電池セルスタック近傍に配置されている。排気温度センサDS3は、燃焼室FC2から排出される排気ガスの温度を測定するためのセンサであって、燃焼室FC2から改質器RF近傍を通って温水製造装置HWに至る経路に配置されている。改質器内圧力センサDS4は、改質器RF内の圧力を測定するためのセンサである。なお、ここでは改質器RF内の圧力をセンサで測定するようにしているが、改質器RFの前段で燃料と水が混合される部分の圧力を検出するものであっても良い。
【0052】
水位センサDS5は、貯水タンクWP2の水位を測定するためのセンサであって、本実施形態の場合は4つ設けられている。水流量センサDS6は、補器ユニットADUから燃料電池モジュールFCMへと供給される純水の流量を測定するためのセンサである。燃料流量センサDS7は、補器ユニットADUから燃料電池モジュールFCMへと供給される被改質ガスの流量を測定するためのセンサである。改質用空気流量センサDS8は、補器ユニットADUから燃料電池モジュールFCMの改質器RFへと供給される改質用空気の流量を測定するためのセンサである。発電用空気流量センサDS9は、補器ユニットADUから燃料電池モジュールFCMへと供給される発電用空気の流量を測定するためのセンサである。
【0053】
電力状態検出部DS10は、センシング手段の集合体であって、燃料電池モジュールFCMから取り出す発電電力の状態を検出する部分である。貯湯状態検出センサDS11は、センシング手段の集合体であって、温水製造装置HWの貯湯状態を検出する部分である。
【0054】
一酸化炭素検出センサDS12は、一酸化炭素検知器CODに備えられているセンサであって、燃料電池モジュールFCM内における一酸化炭素のハウジング内への漏れ発生を検出するセンサである。 可燃ガス検出センサDS13は、可燃ガス検知器GD1,GD2に備えられているセンサであって、燃料電池モジュールFCM及び補器ユニットADU内における可燃ガスの漏洩を検出するセンサである。
【0055】
続いて、燃料電池システムFCSの起動時(起動モード)における各種改質反応の切り替えについて図3を参照しながら説明する。図3は、燃料電池システムFCSの起動時における各部の温度や各部の制御電圧を示すグラフである。
【0056】
本実施形態における燃料電池システムFCSの起動モードにおいては、燃焼運転と、部分酸化改質反応POXと、第1オートサーマル改質反応ATR1と、第2オートサーマル改質反応ATR2と、水蒸気改質反応SRとを順次切り替えながら改質反応を進行している。図3を説明するのに先立って、各改質反応について説明する。
【0057】
部分酸化改質反応POXは、改質器SRに被改質ガスと空気とを供給して行う改質反応であって、化学反応式(1)に示す反応が進行する。
mn+xO2 → aCO2+bCO+cH2 (1)
部分酸化改質反応POXは、発熱反応であるので起動性が高く、燃料電池システムFCSの起動当初において好適な改質反応である。ただし、部分酸化改質反応POXは、水素収率が理論上少なく、発熱反応を制御するのも難しいことから、燃料電池モジュールFCMへ熱供給が必要な起動当初においてのみ利用されるのが好ましい改質反応である。尚、部分酸化改質反応POXのみに着目すれば、空間速度を高く設定するので、例えば改質器RFを分割形成して部分酸化改質反応POX専用の改質器を設ける場合には、その専用の改質器を小型化することができる。
【0058】
水蒸気改質反応SRは、改質器SRに被改質ガスと水蒸気とを供給して行う改質反応であって、化学反応式(2)に示す反応が進行する。
mn+xH2O → aCO2+bCO+cH2 (2)
水蒸気改質反応SRは、水素収率が最も高く、高効率な反応である。ただし、水蒸気改質反応SRは、吸熱反応であるので熱源が必要であり、燃料電池システムFCSの起動当初よりはある程度温度が上昇した段階において好適な改質反応である。尚、水蒸気改質反応SRのみに着目すれば、空間速度を低く設定するので、改質器RFが大型化する傾向にある。
【0059】
第1オートサーマル改質反応ATR1及び第2オートサーマル改質反応ATR2からなるオートサーマル改質反応ATRは、部分酸化改質反応POXと水蒸気改質反応SRとの中間的な改質反応であって、改質器RFに被改質ガスと空気と水蒸気とを供給して行う改質反応であり、化学反応式(3)に示す反応が進行する。
mn+xO2+yH2O → aCO2+bCO+cH2 (3)
オートサーマル改質反応ATRは、水素収率が部分酸化改質反応POXと水蒸気改質反応SRとの中間であり、反応熱のバランスが取りやすく、部分酸化改質反応POXと水蒸気改質反応SRとを繋ぐ反応として好適な改質反応である。本実施形態の場合は、水を少なく供給して部分酸化改質反応POXにより近い第1オートサーマル改質反応ATR1を先に行い、温度が上昇した後に水を増やすように供給して水蒸気改質反応SRにより近い第2オートサーマル改質反応ATR2を後に行っている。
【0060】
図3に戻って、燃料電池システムFCSの起動モードについて説明する。図3は、横軸に起動開始後の経過時間を取り、左縦軸には各部の温度を取っている。制御電圧であるため特段の目盛りは付していないが、改質用空気を供給するための流量調整ユニットAP1aに含まれる改質用空気ブロワの制御電圧、発電用空気を供給するための流量調整ユニットAP1bに含まれる発電用空気ブロワの制御電圧、被改質ガスを供給するための流量調整ユニットFP1に含まれる燃料ポンプの制御電圧、及び純水を供給するための流量調整ユニットWP1に含まれる水ポンプの制御電圧は、図中上方に行くほど電圧が高くなる(供給量が増える)ように示している。図3には、改質器RFの温度、燃料電池セルCEのスタック温度、燃焼室FC2の温度(改質器RFの温度等から推定している)、流量調整ユニットAP1aに含まれる改質用空気ブロワの制御電圧、流量調整ユニットAP1bに含まれる発電用空気ブロワの制御電圧、流量調整ユニットFP2に含まれる燃料ポンプの制御電圧、流量調整ユニットWP1に含まれる水ポンプの制御電圧を示している。
【0061】
まず、改質用空気を増やすように流量調整ユニットAP1a、電磁弁AP2、ヒータAH1、及び混合部MVを制御し、改質器RFに空気を供給する。また、被改質ガスの供給を増やすように流量調整ユニットFP1、ガス遮断弁FP4,FP5、及び混合部MVを制御し、改質器RFに被改質ガスを供給する。このように、空気と被改質ガスを供給し、イグナイタによって着火して燃焼運転を実行する(尚、条件によっては自然着火によって着火して燃焼運転を実行する)。この場合の、改質器RFに供給する改質用空気の流量は毎分10.0L(リットル)、改質器RFに供給する被改質ガスの流量は毎分6.0Lである。また、起動モード全体を通して、発電室FC1に供給する発電用空気の流量は毎分100.0Lとなるように流量調整ユニットAP1bが制御される。発電室FC1上方の燃焼室FC2においては、改質器RFを通過した燃料ガスと発電用空気とが混合して燃焼しており、燃焼室FC2の温度が徐々に上昇する。
【0062】
続いて、改質器RFの温度が約300℃程度になった際に改質器がPOX運転可能な状態になることから300℃前後になった時に成行きで部分酸化改質反応POXが進行する。部分酸化改質反応POXは発熱反応なので、各部の温度が上昇する。部分酸化改質反応POXを開始してから所定時間が経過した後、改質用空気の供給量を更に増やして部分酸化改質反応POXをより進行させる。具体的には、改質器RFに供給する改質用空気の流量は毎分18.0L、改質器RFに供給する被改質ガスの流量は毎分5.0Lである。
【0063】
続いて、改質器RFの温度が約600℃以上になり、且つ燃料電池セルCEによって構成されるセルスタックの温度が約250℃を超えたことを条件として、第1オートサーマル改質反応ATR1へと移行させる。第1オートサーマル改質反応ATR1では、改質器RFに供給する改質用空気の流量は毎分8.0Lに減らし、改質器RFに供給する被改質ガスの流量は毎分5.0Lを維持する。更に、毎分1.0mlの極微量な純水を改質器RFに供給する。オートサーマル改質反応ATRは、部分酸化改質反応ATRと水蒸気改質反応SRとを混合した反応であって、熱的に内部バランスが取れるので改質器RF内では熱自立しながら反応が進行する。また、第1オートサーマル改質反応ATR1は,空気が比較的多く部分酸化改質反応POXに近い反応であり、発熱が支配的な反応となっている。尚、第1オートサーマル改質反応ATR1中において、燃料電池セルCEによって構成されるセルスタックの温度は約250℃から約400℃である。
【0064】
続いて、改質器RFの温度が600℃以上となり、且つ燃料電池セルCEによって構成されるセルスタックの温度が約400℃を超えたことを条件として、第2オートサーマル改質反応ATR2へと移行させる。第2オートサーマル改質反応ATR2では、改質器RFに供給する改質用空気の流量は毎分4.0Lに減らし、改質器RFに供給する被改質ガスの流量も毎分4.0Lに減らす。更に、毎分3.0mlの微量な純水を改質器RFに供給する。第2オートサーマル改質反応ATR2は,空気が比較的少なく水が多いため水蒸気改質反応SRに近い反応であり、吸熱が支配的な反応となっている。しかしながら、発電室FC1内の温度を示すセルスタック温度が約400℃を超えているため、吸熱反応が支配的であっても大幅な温度低下を招くことはない。尚、第2オートサーマル改質反応ATR2中において、蒸発部RF2の温度は約100℃以上である。
【0065】
続いて、改質器RFの温度が650℃以上となり、且つ燃料電池セルCEによって構成されるセルスタックの温度が約600℃を超えたことを条件として、水蒸気改質反応SRへと移行させる。水蒸気改質反応SRでは、改質器RFに供給する改質用空気は遮断し、改質器RFに供給する被改質ガスの流量は毎分3.0Lに減らす。更に、毎分8.0mlの純水を改質器RFに供給する。この水蒸気改質反応SRは、吸熱反応であるので、燃焼室FC2からの燃焼熱による熱バランスをとりながら反応が進行する。この段階では、既に起動の最終段階であるため、発電室FC1内が十分高温に昇温されているので、吸熱反応を主体としても大幅な温度低下を招くことはない。また水蒸気改質反応SRが進行しても燃焼室FC2では継続して燃焼反応が持続する。
【0066】
上述したように着火から燃焼工程の進行に合わせて改質工程を切り替えていくことで、発電室FC1内の温度が徐々に上昇する。発電室FC1の温度(セルスタックの温度)が、燃料電池モジュールFCMを安定的に作動させる定格温度(約700℃)よりも低い所定の発電温度に達したら、燃料電池モジュールFCMを含む電気回路を閉じる。それにより、燃料電池モジュールFCMは発電を開始し、回路に電流が流れて外部に電力を供給することができる。燃料電池セルCEの発電により、燃料電池セルCE自体も発熱し、更に、燃料電池セルCEの温度が上昇する。その結果、燃料電池モジュールFCMを作動させる定格温度、例えば700〜800℃になる。
【0067】
その後、定格温度を維持するために、燃料電池セルCEで消費される燃料ガス及び空気の量よりも多い量の燃料ガス及び空気を供給し、燃焼室FC2での燃焼を継続させる。尚、発電中は、改質効率の高い水蒸気改質反応SRで発電が進行する。水蒸気改質反応SR自体は厳密には400℃〜800℃程度で行われるが、燃料電池セルCEとの組み合わせにおいては500℃〜700℃程度で反応が進行するように設定している。
【0068】
本実施形態では、図3に示す第1オートサーマル改質反応ATR1の開始時に、毎分1mlという極めて微量な水を改質器SRに供給している。このように微量な水を正確に供給するための一実施形態について、図4を参照しながら説明する。図4は、図1に示す貯水タンクWP2から流量調整ユニットWP1を経由して燃料電池モジュールFCMに至る配管経路を模式的に示した図である。
【0069】
図4に示すように、貯水タンクWP2は、第1貯水タンクWP2aと第2貯水タンクWP2bとを備えている。第1貯水タンクWP2aには、上水が供給される給水管10が繋がれている。給水管10には電磁弁101が設けられており、電磁弁101を開閉することで第1貯水タンクWP2aに上水を供給したり停止したりすることができる。第1貯水タンクWP2aは、温水製造装置HWの熱交換器HW1において結露した水を受け入れることが可能なように配置されている。従って、第1貯水タンクWP2aには、温水製造装置HWの熱交換器HW1において結露した水を貯めつつ、水量が不足した場合には給水管10から水を補給することが可能である。第1貯水タンクWP2aにはヒータH1が設けられていて、第1貯水タンクWP2a内の水が凍結しないように構成されている。
【0070】
第1貯水タンクWP2aと第2貯水タンクWP2bとを繋ぐ管路11には、ポンプ111と逆浸透膜20とが設けられている。ポンプ111は、毎分1Lの水を第1貯水タンクWP2aから第2貯水タンクWP2bへと送り込むことができる。ポンプ111にて、逆浸透膜20を通して水を第2貯水タンクWP2b側へと押し込むので、逆浸透膜20を通過した水は純水となって第2貯水ダンクWP2bへ貯水される。第2貯水タンクWP2bにはヒータH2が設けられていて、第2貯水タンクWP2b内の水が凍結しないように構成されている。
【0071】
第2貯水タンクWP2bと燃料電池モジュールFCMとを繋ぐ管路13には、パルスポンプ131と水流量センサDS6とが設けられている。従って、管路13は、第2貯水タンクWP2bからパルスポンプ131までの管路13aと、パルスポンプ131から水流量センサDS6までの管路13bと、水流量センサDS6から燃料電池モジュールFCMまでの管路13cとによって構成されている。管路13aの第2貯水タンクWP2b近傍にはヒータH3が設けられていて、管路13a内の水、特に燃料電池モジュールFCMから離れた位置の水が凍結しないように構成されている。
【0072】
パルスポンプ131は、毎分1ml〜10mlの水を送り出すことが可能なように構成されたパルスポンプである。水流量センサDS6は、毎分1ml〜10mlの水の流れを検知できるセンサである。図3を参照しながら説明したように、本実施形態では改質器RFへの水の供給を微細に制御している。特に第1オートサーマル改質反応ATR1への移行時には毎分1mlという極少量の水を送り出しているので、この第1オートサーマル改質反応ATR1への移行時の制御について図5を参照しながら説明する。図5は、第1オートサーマル改質反応ATR1への移行時の制御方法を示すフローチャートである。図5の説明においてフラグFは、「0」の場合は第1オートサーマル改質反応ATR1における通常制御を行うことを示し、「1」の場合は第1オートサーマル改質反応ATR1における開始運転制御を行うことを示し、「2」の場合は水供給系統に異常が発生していることを示し、「3」の場合は水流量センサDS6に異常が発生していることを示している。
【0073】
ステップS01では、フラグFが「1」であるか判断する。フラグFが「1」であればステップS06の処理に進み、フラグFが「1」でなければステップS02の処理に進む。ステップS02では、改質器RFの温度及び燃料電池セルCEによって構成されるセルスタックの温度を測定する。ステップS02に続くステップS03では、改質器RFの温度及びセルスタックの温度が、第1オートサーマル改質反応ATR1への移行温度となっているか判定し、その判定の結果第1オートサーマル改質反応ATR1への移行タイミングであるか判断する。具体的には、改質器RFの温度が約600℃以上になり、且つ燃料電池セルCEによって構成されるセルスタックの温度が約250℃を超えることが判断基準となる。第1オートサーマル改質反応ATR1への移行タイミングとなっていなければリターンし、移行タイミングとなっていればステップS04の処理に進む。
【0074】
ステップS04では、改質器内圧力センサDS4によって改質器RF内の圧力Pの監視を開始する。ステップS04に続くステップS05では、水流量センサDS6によって管路13cの水流の監視を開始する。ステップS05に続くステップS06では、パルスポンプ131の送出流量が最大(毎分10ml)となるように予め決定された所定時間だけ制御する。パルスポンプ131の送出流量が最大となるように制御することで、通常は改質器RF内に水が供給される。ステップS06に続くステップS07では、所定時間経過後にパルスポンプ131の送出流量が第1オートサーマル改質反応ATR1における通常の流量となるように供給能力を制御する。なお、ここではパルスポンプ131の送出流量を最大にしているがこれに限られるものではなく、最大に近いような高い値であれば良く毎分8ml程度でも支障が無い。
【0075】
ここで、改質器RF内に水が供給され始めた際の改質器RF内の圧力変動について図6を参照しながら説明する。図6は、部分酸化改質反応POXから水蒸気改質反応SRに至るまでの、燃料ポンプ制御電圧、改質空気ブロワ制御電圧、発電空気ブロワ制御電圧、パルスポンプ131の制御電圧、改質器RF内の圧力をそれぞれ示す図である。図6において、燃料ポンプ制御電圧、改質空気ブロワ制御電圧、及び発電空気ブロワ制御電圧は、図3に示したのと同様である。パルスポンプ131の制御電圧は、部分改質反応POXから第1オートサーマル改質反応ATR1への移行時において、最大値となるように制御される(上述したステップS06)。この最大値となる制御(開始運転制御)は所定時間内の極めて短い瞬間的なものであって(上述したステップS07、図6中の破線領域A)、すぐに通常の水量(毎分1ml)を供給する制御(通常制御)へと移行し、改質器RF内へは水が毎分1mlの水量で間欠的に送り込まれる。なお、ここで言う瞬間的な時間は、先にも述べた通りパルスポンプ131から燃料電池モジュールFCMまでの配管13、特に配管13cの長さに依存する、言い換えれば配管13内の水がどれだけ蒸発する構成になっているかに依存するものであって、更にパルスポンプ131の空気を排出できる圧送能力にも左右されるため数秒のこともあれば、数十秒のものもあることは言うまでもなく、出願人の検証では長い場合で80秒程度開始運転制御を行うことが望ましいものもあった。
【0076】
図4に示すように、パルスポンプ131から燃料電池モジュールFCMまでは、少なくとも管路13b及び管路13cが介在する。従って、パルスポンプ131の供給水量を瞬間的に最大水量としても、毎分10ml相当の水量が燃料電池モジュールFCMに到達するわけではなく、管路13c内の水が蒸発によって消失しているため多くは空気が供給されるだけであり、パルスポンプ131の最大供給時間を調整することで、毎分1mlより若干量多い程度の水量が燃料電池モジュールFCMに実際には到達するように制御することを狙っているものである。これによって過剰な水の供給による改質器RFの温度降下を防止してATRへの移行を妨げないようにしているものである。また、水流量センサDS6から燃料電池モジュールFCMまでも管路13cを介在させているので、水流量センサDS6には、単位時間当たりの供給パルス数が多くなるので、多くの空気や多くの水流が作用し、また、空気や水の勢いも高まることから水流量センサDS6の前記した固着が解かれ動作状態にすることができる。一方で管路13cの存在によってその勢いのある水は改質器RFまでは到達することがないように工夫されているものである。
【0077】
このように本実施形態では、パルスポンプ131から燃料電池モジュールFCMに至る管路13b,13c及び水流量センサDS6から燃料電池モジュールRCMに至る管路13cが所定の長さを有していることを利用し、パルスポンプ131の供給水量を瞬間的に最大水量となるように制御して、水流量センサDS6の固着等を解除して水流量センサDS6が勢いのある水流によって確実な作動状態に移行するようにすると共に、改質器RFへ過剰な水が供給されてしまうことを同時に防止しているものである。
【0078】
更に、図6に示すように改質器RF内の圧力に着目すると、部分酸化改質反応POX時には、水が入っておらず部分酸化改質反応が行われているため、ある程度圧力の高い状態となっている。第1オートサーマル改質反応ATR1の開始に伴って、パルスポンプ131によって水が改質器RF内に間欠的に送り込まれると、図6の例えば破線領域Bに示すように、水が供給されたタイミングで蒸発が生じるため改質器RF内の圧力は上昇し、その後間欠タイミングが大きく、また一度に供給される水の供給量も少ないオートサーマル改質反応ではすぐに蒸発が終了して圧力がもとの状態まで低下する。このように水の間欠供給に対応するような形で圧力が確実に周期的に変動するように配慮したものである。換言すれば、パルスポンプ131によって水を間欠的に改質器RF内に送り込み、改質器RF内に水が供給されていないタイミングでは圧力Pが低下し、改質器RF内に水が供給されるタイミングでは圧力Pが上昇するという変動を持たせることを持って、改質器内に本当に水が送られたのかを判定することは今まで非常に難しかったがこれを現実的に可能にしたものである。これによって改質空気の減量と水の供給の開始とのマッチングを、無駄に多くの水を送ることなく最適に行えるようになったものである。
【0079】
そこで、図5に戻り、ステップS08では、改質器RF内の圧力Pの所定時間内での変動量が水の間欠供給に見合った所定量P0を超えているか判断する。改質器RF内の圧力Pの変動量が所定量P0を超えていればステップS09の処理に進み、改質器RF内の圧力Pの変動量が所定量P0を超えていなければステップS12の処理に進む。
【0080】
ステップS09では、水流量センサDS6の測定流量Qが所定量Q0を超えているか判断する。水流量センサDS6の測定流量Qが所定量Q0を超えていれば勢いのある水供給の作動を受けて水流量センサDS6が正確に作動したと判断してステップS10の処理に進み、水流量センサDS6の測定流量Qが所定量Q0を超えていなければステップS11の処理に進む。
【0081】
ステップS11では、勢いのある水供給を行うので確実に水流量センサDS6を作動状態にできるにも関わらず反応しないということであるため異常であるものとして水供給系異常処理を実行する。これは、ステップS07において改質器RF内の圧力Pの変動量が所定量P0を超えていることから、改質器RF内に水が供給されていると判断されるものの、ステップS08において、水流量センサDS6の測定流量Qが所定量Q0を超えていないと判断しているため、水流量センサDS6に何らかの異常が発生しているものと推認されるからである。従って、フラグFを「3」として処理を終了する。尚、フラグFを「3」とした後に、すぐ異常停止するのではなく、何ならかの暫定的に運転を継続し、水流量センサDS6の固着からの復旧を待つようにすることも一つの形態としては考えられるものである。
【0082】
ステップS10では、改質器RFへ送り込まれる空気量が第1オートサーマル改質反応ATR1に対応するものとなるように制御する。具体的には、部分酸化改質反応POX時に必要であった改質空気ブロワの流量が第1オートサーマル改質反応ATR1では過剰なものとなるため送り込まれる空気量を毎分10Lから8Lとなるように減量制御して第1オートサーマル改質反応ATR1に移行する。
【0083】
ステップS12では、所定時間が経過したか判断する。ステップS12は、ステップS07において改質器RF内の圧力Pの変動量が所定量P0以下であると判断されているため、この状態が所定時間経過しているとすれば、パルスポンプ131によって必要となる水量が供給されていないと考えられる。そこで、ステップS12において所定時間が経過していればステップS13の処理に進み、所定時間が経過するまではフラグFを「1」としてリターンする。ステップS12において所定時間が経過していればパルスポンプ131によって必要となる水量が供給されていないと判断されるので、ステップS13では、パルスポンプ131を含む水供給経路に何らからの異常が発生しているものとして、フラグFを「2」として処理を終了する。
【符号の説明】
【0084】
ADU:補器ユニット
AH1:ヒータ
AH2:ヒータ
AP:空気供給部
AP1:流量調整ユニット
AP2:電磁弁
ATR:オートサーマル改質反応
ATR1:オートサーマル改質反応
ATR2:オートサーマル改質反応
CB:制御ボックス
CE:燃料電池セル
COD:一酸化炭素検知器
CS:燃料電池システム制御部
CS1:操作装置
CS2:表示装置
CS3:報知装置
DS1:改質器温度センサ
DS2:スタック温度センサ
DS3:排気温度センサ
DS4:改質器内圧力センサ
DS5:水位センサ
DS6:水流量センサ
DS7:燃料流量センサ
DS8:改質空気流量センサ
DS9:発電空気流量センサ
DS10:電力状態検出部
DS11:貯湯状態検出センサ
DS12:一酸化炭素検出センサ
DS13:可燃ガス検出センサ
EP:電力取出部
EP1:電力取出ライン
FC:燃料電池
FC1:発電室
FC2:燃焼室
FCM:燃料電池モジュール
FCS:燃料電池システム
FP:燃料供給部
FP1:流量調整ユニット
FP2:脱硫器
FP4,FP5:ガス遮断弁
GD1,GD2:可燃ガス検知器
HW:温水製造装置
MV:混合部
POX:部分酸化改質反応
RF:改質器
RF1:改質部
RF2:蒸発部
SC:燃料電池システム制御部
SR:水蒸気改質反応
WP:水供給部
WP1:流量調整ユニット
WP2:貯水タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体電解質形の燃料電池セルを含む燃料電池システムであって、
前記燃料電池セルに供給する燃料ガスの水蒸気改質を行う改質器と、前記改質器に水を供給するための水供給手段と、前記水供給手段を制御する制御手段とを備え、
前記水供給手段は、
前記改質器に供給する水を貯水する貯水タンクと、
前記貯水タンクに貯水された水を前記改質器に圧送するポンプと、
前記ポンプによる前記改質器への水の供給量を検出する流量検出手段と、
前記改質器内の燃料ガスの圧力を検出する圧力検出手段と、を有し、
前記制御手段は、
少なくとも起動時において、前記ポンプを停止状態から圧送状態へと切り替えて水の圧送を開始した後に、前記圧力検出手段の検出結果に基づいて前記改質器への水供給の有無を判定する水供給判定処理を実行することを特徴とする燃料電池システム。
【請求項2】
起動時において、前記改質器における改質反応を部分酸化改質反応から開始して、オートサーマル改質反応から水蒸気改質反応へと遷移させるものであって、
前記制御手段は、前記オートサーマル改質反応においては前記ポンプを間欠的に駆動すると共に、前記オートサーマル改質反応の開始時に前記水供給判定処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記ポンプはパルスポンプであることを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記制御手段は、前記ポンプを圧送状態に切り替えた後、前記圧力検出手段の検出結果を監視し、前記改質器内の燃料ガスの圧力の変動量が所定量を超えた場合に、前記水供給判定処理において前記改質器へ水供給があったものと判定し、前記改質器において水蒸気を用いた前記オートサーマル改質反応又は前記水蒸気改質反応へと移行することを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記オートサーマル改質反応は、前記改質器に供給する水量が第1量である第1オートサーマル改質反応と、前記改質器の温度が所定温度以上となった場合に前記第1オートサーマル改質反応に続いて行われる反応であって前記改質器に供給する水量が前記第1量よりも多い第2量である第2オートサーマル改質反応とを含み、
前記制御手段は、前記第1オートサーマル改質反応の開始時に前記水供給判定処理を実行することを特徴とする請求項4に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記制御手段は、前記水供給判定処理において前記改質器へ水供給があったものと判定した場合に、前記改質器へ供給する空気量を低下させて前記オートサーマル改質反応へと移行することを特徴とする請求項4又は5に記載の燃料電池システム。
【請求項7】
前記制御手段は、前記オートサーマル改質反応の開始時に前記ポンプを停止状態から圧送状態へと切り替えて水の圧送を開始する際に、前記ポンプの水供給能力を通常制御時よりも所定時間高くする開始運転制御を行うものであって、
前記水供給判定処理において前記改質器へ水供給があったものと判定した後に、前記改質器へ供給する空気量を低下させて前記オートサーマル改質反応へと移行することを特徴とする請求項4又は5に記載の燃料電池システム。
【請求項8】
前記制御手段は、前記改質器への水供給を開始する際には前記水供給判定処理を実行することで前記改質器への水供給状態を判定し、前記改質器において水蒸気を用いた前記オートサーマル改質反応又は前記水蒸気改質反応の実行中においては前記流量検出手段の検出値に基づいて前記改質器への水供給状態を判定することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項9】
前記制御手段は、前記水供給判定処理によっては前記改質器へ水供給があると判定した状態で、前記流量検出手段の検出値が前記改質器への水供給がないことを示している場合には、異常処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項10】
前記異常処理は、前記制御手段の制御を縮退させるか、若しくは、前記流量検出手段に異常が発生しているか否かを再判定するものであることを特徴とする請求項9に記載の燃料電池システム。
【請求項11】
前記部分酸化改質反応から前記第1オートサーマル改質反応への移行時において、前記改質器へ供給する被改質ガスの流量を変動させずに、前記改質器へ供給する水量を変動させることを特徴とする請求項5に記載の燃料電池システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−238595(P2010−238595A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−86613(P2009−86613)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】