物体保持装置の清掃システム、及び物体保持装置の清掃装置
【課題】 基板載置面に付着した塵を効率良く除去する。
【解決手段】 清掃用カバー100を、基板載置面(基板ホルダ50の上面)の一部に対向配置する。そして、清掃用カバー100及び基板ホルダ50から清掃用カバー100の下面と基板載置面との間(対向面間)に圧縮気体を噴出して対向面間の気体を激しく撹拌するとともに基板ホルダ50により対向面間から気体を吸引する。これにより、基板載置面における清掃用カバー100の下面に対向する領域に付着した塵Dは、対向面間で撹拌された気体中に取り込まれ、この気体と共に吸引されて除去される。
【解決手段】 清掃用カバー100を、基板載置面(基板ホルダ50の上面)の一部に対向配置する。そして、清掃用カバー100及び基板ホルダ50から清掃用カバー100の下面と基板載置面との間(対向面間)に圧縮気体を噴出して対向面間の気体を激しく撹拌するとともに基板ホルダ50により対向面間から気体を吸引する。これにより、基板載置面における清掃用カバー100の下面に対向する領域に付着した塵Dは、対向面間で撹拌された気体中に取り込まれ、この気体と共に吸引されて除去される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体保持装置の清掃システム、及び物体保持装置の清掃装置に係り、更に詳しくは、その上面に物体を保持する物体保持装置を有する物体処理装置における前記物体保持装置の清掃システム、及び前記物体保持装置の清掃装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示素子、半導体素子(集積回路等)等の電子デバイス(マイクロデバイス)を製造するリソグラフィ工程では、例えばステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(いわゆるステッパ)、あるいはステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ(スキャナとも呼ばれる))などが主として用いられている。
【0003】
この種の露光装置としては、露光対象の基板が基板ステージ装置の備えられた基板ホルダの上面(基板載置面)に載置されて露光処理され、その露光済みの基板が基板ホルダ上から搬出された後、次の露光対象基板が基板ホルダ上に搬入されるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このように、基板ホルダ上では基板交換が繰り返し行われるため、基板載置面には、例えば基板と基板ホルダとの摩擦接触による摩耗粉などの塵が付着する。ここで、基板載置面に塵が付着していると、基板ホルダに載置された基板の平坦度が低くなり、露光精度の低下を招く可能性がある。そこで、従来、基板載置面に付着した塵を、例えば柄付き粘着ローラなどの清掃用具を用いて人手により除去していた。
【0005】
しかしながら、近年の基板の大型化に伴い基板ホルダも大型化し、その基板載置面の面積が非常に大きくなっており、上記清掃用具を用いて人手により塵を除去する方法では、基板載置面の清掃に人員を要し、その清掃効率が良くなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,559,928号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の事情の下でなされたもので、第1の観点からすると、その上面に物体を保持する物体保持装置を有する物体処理装置における前記物体保持装置の清掃システムであって、前記物体保持装置の上面の少なくとも一部に対して所定の隙間を介して対向する対向位置と、前記物体保持装置から退避した退避位置との間を移動可能に設けられ、前記対向位置で前記物体保持装置の上面を清掃可能な清掃装置と;前記物体保持装置及び前記清掃装置の少なくとも一方に設けられ、前記隙間に気体を噴出可能な噴出部と;前記物体保持装置及び前記清掃装置の少なくとも一方に設けられ、前記隙間の気体を吸引可能な吸引部と;を備える物体保持装置の清掃システムである。
【0008】
これによれば、清掃装置は、物体保持装置に対して対向位置と退避位置との間を移動可能であり、対向位置に位置した状態では、噴出部により物体保持装置と清掃装置との間の隙間に気体が噴出され、吸引部により物体保持装置と清掃装置との間の隙間の気体が吸引される。従って、基板保持装置の上面に付着していた塵などを除去することができ、例えば人手により清掃を行う場合に比べ、効率に優れる。
【0009】
本発明は、第2の観点からすると、その上面に物体を保持する物体保持装置を有する物体処理装置における前記物体保持装置の清掃装置であって、前記物体保持装置の上面の少なくとも一部に対して所定の隙間を介して対向する対向位置と、前記物体保持装置から退避した退避位置との間を移動可能に設けられ、前記対向位置で前記物体保持装置の上面を清掃可能な清掃部材と;前記隙間に気体を噴出可能な噴出部、及び前記隙間の気体を吸引可能な吸引部の少なくとも一方と;を備える物体保持装置の清掃装置である。
【0010】
これによれば、清掃部材は、物体保持装置に対して対向位置と退避位置との間を移動可能であり、清掃部材が対向位置に位置した状態では、噴出部により物体保持装置と清掃装置との間の隙間に気体が噴出されること、及び吸引部により物体保持装置と清掃装置との間の隙間の気体が吸引されることの少なくとも一方を行うことができる。従って、基板保持装置の上面に付着していた塵などを除去することができ、例えば人手により清掃を行う場合に比べ、効率に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、一実施形態の液晶露光装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】図2(A)は、液晶露光装置で用いられる基板トレイを示す平面図であり、図2(B)は、液晶露光装置が有する基板ホルダ及び基板交換装置を示す平面図である。
【図3】基板ホルダ、基板交換装置及び清掃用カバーの断面図であり、清掃用カバーが基板ホルダにセットされた状態が示されている。
【図4】基板ホルダ、基板交換装置及び清掃用カバーの平面図であり、清掃用カバーが基板ホルダにセットされた状態が示されている。
【図5】図5(A)は、清掃用カバーが基板ホルダにセットされる際の動作を説明するための図である。図5(B)は、基板ホルダ及び基板ホルダにセットされた清掃用カバーの断面図であり、基板ホルダの上面に付着した塵が除去される様子が示されている。
【図6】基板ホルダ、基板交換装置及び保持装置の断面図であり、清掃用カバーが保持装置により保持された状態が示されている。
【図7】図7(A)は、第1の変形例の基板ホルダ及び基板ホルダにセットされた清掃用カバーの断面図であり、対向面間の気体の流れが示されている。図7(B)は、第2の変形例の清掃用カバーを示す断面図である。
【図8】図8(A)、図8(B)並びに図8(C)は、第3の変形例(その1及びその2)並びに第4の変形例の基板ホルダ及び基板ホルダに対向配置された清掃用カバーの断面図であり、基板ホルダの上面に付着した塵が除去される様子が示されている。
【図9】図9は、第5の変形例の清掃用カバーを示す平面図である。
【図10】図10(A)及び図10(B)は、第5の変形例の基板ホルダ及び基板ホルダに対向配置された清掃用カバーの断面図であり、清掃用カバーが基板ホルダにセットされる前後の状態が示されている。
【図11】図11(A)及び図11(B)は、第6の変形例(その1)の基板ホルダ及び清掃用カバーの断面図であり、基板ホルダに清掃用カバーがセットされる前後の状態が示されている。図11(C)は、第6の変形例(その2)の基板ホルダ及び基板ホルダにセットされた清掃用カバーの断面図である。
【図12】第7の変形例の基板ホルダ及び基板ホルダにセットされた清掃用カバーの断面図であり、基板ホルダの上面に付着した塵が除去される様子が示されている。
【図13】図13(A)は、第8の変形例の清掃用カバーの平面図であり、図13(B)は、第8の変形例の清掃用カバーの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、一実施形態について、図1〜図6に基づいて説明する。
【0013】
図1には、一実施形態に係る液晶露光装置10の概略構成が示されている。液晶露光装置10は、例えば液晶表示装置(フラットパネルディスプレイ)などに用いられる矩形(角型)のガラス基板P(以下、単に基板Pと称する)を露光対象物とするステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置、いわゆるスキャナである。
【0014】
液晶露光装置10は、照明系IOP、マスクMを保持するマスクステージMST、投影光学系PL、基板Pを保持する基板ホルダ50を含む基板ステージ装置PST、基板ホルダ50上の基板Pの交換を行う基板交換装置60(図1では不図示。図3など参照)、及びこれらの制御系等を含んでいる。以下においては、露光時にマスクMと基板Pとが投影光学系PLに対してそれぞれ相対走査される方向をX軸方向とし、水平面内でこれに直交する方向をY軸方向、X軸及びY軸に直交する方向をZ軸方向とし、X軸、Y軸、及びZ軸回りの回転(傾斜)方向をそれぞれθx、θy、及びθz方向として説明を行う。
【0015】
照明系IOPは、例えば米国特許第5,729,331号明細書などに開示される照明系と同様に構成されている。すなわち、照明系IOPは、図示しない光源(例えば、水銀ランプ)から射出された光を、それぞれ図示しない反射鏡、ダイクロイックミラー、シャッター、波長選択フィルタ、各種レンズなどを介して、露光用照明光(照明光)ILとしてマスクMに照射する。照明光ILとしては、例えばi線(波長365nm)、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)などの光(あるいは、上記i線、g線、h線の合成光)が用いられる。また、照明光ILの波長は、波長選択フィルタにより、例えば要求される解像度に応じて適宜切り替えることが可能になっている。
【0016】
マスクステージMSTには、回路パターンなどがそのパターン面(図1における下面)に形成されたマスクMが、例えば真空吸着(あるいは静電吸着)により固定されている。マスクステージMSTは、例えばリニアモータを含むマスクステージ駆動系(図示省略)により、走査方向(X軸方向)に所定のストロークで駆動されるとともに、Y軸方向、及びθz方向にそれぞれ適宜微少駆動される。マスクステージMSTのXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報を含む)は、不図示のレーザ干渉計を含むマスク干渉計システムにより計測される。
【0017】
投影光学系PLは、マスクステージMSTの図1における下方において、不図示の装置本体(ボディ)に支持されている。投影光学系PLは、例えば米国特許第5,729,331号明細書に開示された投影光学系と同様に構成されている。すなわち、投影光学系PLは、レンズモジュールなどを含む光学系(鏡筒)を複数有し、その複数の光学系は、Y軸方向に沿って、いわゆる千鳥状に配列されている(マルチレンズ投影光学系とも称される)。複数の光学系それぞれとしては、例えば両側テレセントリックな等倍系で正立正像を形成するものが用いられている。前述の照明系IOPは、複数の光学系に対応した複数の照明光ILをそれぞれマスクMに照射するように構成されている。このため、マスクM上には、千鳥状に配置された複数の照明光ILの照明領域が形成されるとともに、投影光学系PLの下方に配置された基板P上には、複数の光学系それぞれに対応して、千鳥状に配置された複数の照明光ILの照射領域が形成される。液晶露光装置10では、基板P上に形成される複数の照射領域が合成されることにより、千鳥状に配置された複数の光学系から成る投影光学系PLが、Y軸方向を長手方向とする単一の長方形状(帯状)のイメージフィールドを持つ投影光学系と同等に機能する。
【0018】
このため、照明系IOPからの照明光ILによってマスクM上の照明領域が照明されると、マスクMを通過した照明光ILにより、投影光学系PLを介してその照明領域内のマスクMの回路パターンの投影像(部分正立像)が、投影光学系PLの像面側に配置される、表面にレジスト(感応剤)が塗布された基板P上の照明領域に共役な照明光ILの照射領域(露光領域)に形成される。そして、マスクステージMSTと基板ステージ装置PSTとの同期駆動によって、照明領域(照明光IL)に対してマスクMを走査方向(X軸方向)に相対移動させるとともに、露光領域(照明光IL)に対して基板Pを走査方向(X軸方向)に相対移動させることで、基板P上の1つのショット領域(区画領域)の走査露光が行われ、そのショット領域にマスクMのパターンが転写される。すなわち、液晶露光装置10では、照明系IOP及び投影光学系PLによって基板P上にマスクMのパターンが生成され、照明光ILによる基板P上の感応層(レジスト層)の露光によって基板P上にそのパターンが形成される。
【0019】
基板ステージ装置PSTは、定盤12、基板ステージ20などを備えている。
【0020】
定盤12は、平面視で(+Z側から見て)X軸方向を長手方向とする、例えば石材により形成された矩形の板状部材から成り、その上面は、平面度が非常に高く仕上げられている。定盤12は、防振装置13を介して床面F上に設置された装置本体の一部であるベース15上に搭載されている。
【0021】
基板ステージ20は、X粗動ステージ23X、X粗動ステージ23X上に搭載され、X粗動ステージ23Xと共に、いわゆるガントリー式のXY二軸ステージ装置を構成するY粗動ステージ23Y、Y粗動ステージ23Yの+Z側(上方)に配置された微動ステージ21、微動ステージ21上に固定された基板ホルダ50、及び定盤12上で微動ステージ21を下方から支持する重量キャンセル装置30などを含む。
【0022】
X粗動ステージ23Xは、平面視でY軸方向を長手方向とする矩形枠状の部材から成り、その中央部にY軸方向を長手方向とする長孔状の開口部(図示省略)を有している。X粗動ステージ23Xは、X軸方向に延びる不図示のガイド部材上に搭載されており、例えば露光時のスキャン動作時などにリニアモータなどを含むXステージ駆動系によりX軸方向に所定のストロークで駆動される。
【0023】
Y粗動ステージ23Yは、平面視ほぼ正方形の矩形枠状の部材から成り、その中央部に矩形の開口部(図示省略)を有している。Y粗動ステージ23Yは、X粗動ステージ23X上にリニアガイド装置28を介して搭載されており、例えば露光時のステップ動作時などリニアモータなどを含むYステージ駆動系によりX粗動ステージ23X上でY軸方向に所定のストロークで駆動される。また、Y粗動ステージ23Yは、X粗動ステージ23XがX軸方向に所定のストロークで移動する際、X粗動ステージ23Xと一体的にX軸方向に移動する。
【0024】
微動ステージ21は、平面視ほぼ正方形の高さの低い直方体状の部材から成り、Y粗動ステージ23Yの上方に配置されている。微動ステージ21は、それぞれ不図示であるがY粗動ステージ23Yに固定された固定子と、微動ステージ21に固定された可動子とから成る複数のボイスコイルモータ(あるいはリニアモータ)を含む微動ステージ駆動系により、Y粗動ステージ23Y上で6自由度方向(X軸、Y軸、Z軸、θx、θy、θz方向)に微少駆動される。また、微動ステージ21は、上記ボイスコイルモータを介してY粗動ステージ23Yに誘導されることにより、該Y粗動ステージ23Yと共にX軸方向、及び/又はY軸方向にXY平面に沿って所定のストロークで移動する。微動ステージ21のXY平面内の位置情報は、微動ステージ21に固定された不図示の移動鏡(Y軸に直交する反射面を有するY移動鏡と、X軸に直交する反射面を有するX移動鏡とを含む)に測長ビームを照射する不図示の干渉計(Y移動鏡を用いて微動ステージ21のY位置を計測するY干渉計と、X移動鏡を用いて微動ステージ21のX位置を計測するX干渉計とを含む)を含む干渉計システムにより、例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出されている。微動ステージ駆動系、及び干渉計システムの構成については、例えば米国特許出願公開第2010/0018950号明細書に開示されている。
【0025】
基板ホルダ50は、微動ステージ21の上面上に固定されている。基板ホルダ50は、その上面に載置された基板Pを吸着保持し、該基板Pを平坦に矯正する。基板ホルダ50の構成については、後に詳しく説明する。
【0026】
重量キャンセル装置30は、Z軸方向に延びる一本の柱状の部材から成り、レベリング装置32と称される装置を介して、微動ステージ21を水平面に対してチルト可能(XY平面に平行な軸線周りに微少角度回転可能)な状態で下方から支持している。重量キャンセル装置30は、X粗動ステージ23X、及びY粗動ステージ23Yそれぞれの開口部内に挿入されている。重量キャンセル装置30は、その下端部に複数のエアベアリング33を有しており、定盤12上に微少なクリアランスを介して浮上支持されている。重量キャンセル装置30は、そのZ軸方向に関する重心高さ位置で複数の連結装置34を介してY粗動ステージ23Yに接続されている。連結装置34は、重量キャンセル装置30の+X側、−X側、+Y側、及び−Y側それぞれに設けられている(+Y側の連結装置34は図示省略)。これにより、重量キャンセル装置30は、Y粗動ステージ23Yと一体的にY軸方向、及び/又はX軸方向に定盤12上で移動する。
【0027】
重量キャンセル装置30は、不図示の空気ばねを有しており、空気ばねが発生する鉛直方向上向きの力により、微動ステージ21、レベリング装置32、基板ホルダ50などの重量(鉛直方向下向きの力)をキャンセルし、これにより微動ステージ駆動系が有するボイスコイルモータの負荷を軽減する。なお、図1では模式化されて示されているが、レベリング装置32、及び連結装置34を含み、重量キャンセル装置30の詳細な構成、及び動作については、例えば米国特許出願公開第2010/0018950号明細書などに開示されている。
【0028】
ここで、液晶露光装置10において、基板ホルダ50への基板Pの搬入(ロード)、及び基板ステージ20からの基板Pの搬出(アンロード)は、基板Pを基板トレイ90上に載置した状態で基板交換装置60(図2(B)参照)を用いて行われる。
【0029】
基板トレイ90は、図2(A)に示されるように、X軸方向に延び、かつY軸方向に所定間隔で配置された複数(例えば4本)の支持部材95、Y軸方向に延び、かつX軸方向に所定間隔で配置された複数(例えば3本)の補剛部材96、及び複数(例えば2本)の連結部材97とを含む。3本の補剛部材96それぞれは、4本の支持部材95それぞれのX軸方向中間部の上面に形成された溝(不図示)に挿入された状態で該中間部に固定されている。+X側の連結部材97は、4本の支持部材95の+X端部それぞれの上面に形成された溝(不図示)にその一部が挿入された状態で固定されており、4本の支持部材95を連結している。また、−X側の連結部材97は、4本の支持部材95の−X端部それぞれの上面に形成された溝(不図示)にその一部が挿入された状態で固定されており、4本の支持部材95を連結している。+X側及び−X側の連結部材97間の間隔は、基板PのX軸方向の寸法よりも幾分長く設定されている。すなわち、基板トレイ90は、複数の細長い部材が組み合わされて格子状に形成されており、4本の支持部材95を用いて基板Pを下方から支持する。また、4本の支持部材95それぞれの−X端部には、−X側が+X側よりも細くなるテーパ面を有するテーパ部材94a(円錐台状の部材)が取り付けられており、4本の支持部材95それぞれの+X端部には、+X側が−X側よりも細くなるテーパ面を有するテーパ部材94bが取り付けられている。
【0030】
基板ホルダ50は、図5(A)に示されるように、高さの低い略直方体形状の外形を有するほぼ中空のホルダ本体51と、該ホルダ本体51にそれぞれ複数系統設けられた配管52、54とを含む。
【0031】
図2(B)に示されるように、ホルダ本体51の天板部分51aには、+Z側に開口する平面視格子状の一連の格子溝53が形成されている。格子溝53は、X軸方向に延び、かつY軸方向に所定間隔で形成された複数(例えば2つ)のX溝53Xと、Y軸方向に延び、かつX軸方向に所定間隔で形成された複数(例えば3つ)のY溝53Yとから成る。すなわち、ホルダ本体51の上面(基板載置面)は、2つのX溝53Xと3つのY溝53Yとにより12個の矩形領域に区画されている。
【0032】
2つのX溝53Xは、基板トレイ90(図2(A)参照)の隣接する支持部材95の間隔に対応する間隔で(基板載置面をY軸方向にほぼ3等分する間隔で)並んでおり、かつそれぞれが対応する支持部材95を挿入可能な均等な深さ及び幅を有している。X溝53Xの深さ寸法は、支持部材95の厚み(高さ寸法)よりも長い。また、X溝53Xは、その長さがホルダ本体51のX軸方向寸法と同じであり、ホルダ本体51の+X端及び−X端において開口している。3つのY溝53Yは、基板トレイ90の3つの補剛部材96に対応する間隔で並んでおり、かつそれぞれが対応する補剛部材96を挿入可能な均等な深さ及び幅を有している。また、Y溝53Yは、その長さがホルダ本体51のY軸方向寸法と同じであり、ホルダ本体51の+Y端及び−Y端において開口している。
【0033】
したがって、基板Pを支持する基板トレイ90をホルダ本体51の真上に位置させた状態から下降させると、そのY軸方向の中間にある2本の支持部材95及び3本の補剛部材96が格子溝53内に挿入(収容)されるとともに、その最も+Y側及び最も−Y側の支持部材95、並びに2つの連結部材97がホルダ本体51の外縁の外側に位置される(なお、Y溝53Yの深さ寸法は、支持部材95がX溝53X内に収容された状態で補剛部材96を収容可能な長さに設定されている)。この際、基板Pを支持する4本の支持部材95の上面(基板支持面)のZ位置が基板載置面のZ位置よりも低くなり、基板Pのみが基板載置面上に載置される。なお、図5(A)及び図5(B)では、図示の便宜上、Y溝53Yは2つのみ示されているが、図3及び図4に示されるように、実際には3つある。
【0034】
ホルダ本体51の天板部分51aには、図5(A)に示されるように、その基板載置面の12個の矩形領域(図2(B)参照)それぞれに開口するZ軸方向に貫通する複数(9つ)の貫通孔55が形成されている。詳述すると、天板部分51aにおける上記12個の矩形領域それぞれに対応する箇所には、貫通孔55がX軸方向に所定間隔で3つ並んで成る貫通孔列がY軸方向に所定間隔で3列並んでいる(図5(A)では、この3つの貫通孔列がY軸方向に重なっている)。また、天板部分51aにおけるY溝53Y直下の箇所(但し、図2(B)に示されるX溝53XとY溝53Yとの交差部を除く)には、Z軸方向に延び、かつY溝53Yを規定する底面に開口する複数(例えば9つ)の貫通孔57が形成されている。詳述すると、貫通孔57は、図2(B)に示されるように、Y溝53Yにおける2つのX溝53Xにより分断される3つの領域それぞれにY軸方向に所定間隔で3つ並んでいる。なお、図5(A)及び図5(B)では、図示の便宜上、基板載置面のX軸方向に並ぶ矩形領域は、3つのみが示されているが、図2(B)及び図3に示されるように、実際には4つある。
【0035】
配管52は、図5(A)に示されるように、その一端部が図示しない気体吸引装置(バキューム装置)及び気体供給装置(例えばコンプレッサ)に選択的に接続されたXY平面に平行に延びる横配管52aと、該横配管52aの他端部及び中間部に分岐接続され、ホルダ本体51内における上記12個の矩形領域それぞれの下方に収容されたZ軸方向に延びる複数(例えば9本)の縦配管52bとを有する。これら9本の縦配管52bは、ホルダ本体51の天板部分51aに形成された9つの貫通孔55に個別に対応して配置されており、それぞれが対応する貫通孔55に連通している。配管52は、露光動作などの通常時には、上記気体吸引装置に接続され、これにより、基板載置面上に載置された基板Pが適宜真空吸着される。また、配管52は、後述する基板ホルダ50の清掃時に上記気体供給装置に接続される。そして、気体供給装置が駆動されることにより、配管52、複数(例えば108個)の貫通孔55それぞれを介して圧縮気体がホルダ本体51の上方に噴出される。
【0036】
配管54は、上記気体吸引装置にその一端部が接続されたXY平面に平行に延びる横配管54aと、該横配管54aの他端部及び中間部に分岐接続され、ホルダ本体51内における3つのY溝53Yそれぞれの直下(但し、X溝53XとY溝53Yとの交差部を除く)に収容されたZ軸方向に延びる複数(例えば9本)の縦配管54bとを有する。これら9本の縦配管54bは、3つのY溝53Yそれぞれを規定する底面に開口する9個の貫通孔57に個別に対応して配置されており、それぞれが対応する貫通孔57に連通している。したがって、上記気体吸引装置が駆動されることにより、基板載置面上の気体が、複数(例えば27個)の貫通孔57、配管54を介して上記気体吸引装置に吸引される。
【0037】
基板交換装置60は、図3に示されるように、第1搬送ユニット61a、第2搬送ユニット61bを含む。第1搬送ユニット61aは、基板ステージ装置PST(図1参照)の上方であって、投影光学系PL(図1参照)の+X側に配置されている。基板ステージ20は、基板Pの交換を行うために定盤12の+X端部上方の所定位置(以下、基板交換位置と称する)に移動すると、第1搬送ユニット61aの下方に位置する。
【0038】
第2搬送ユニット61bは、第1搬送ユニット61aの+X側に、架台80上に搭載された状態で配置されている。架台80は、その上面がXY平面に平行になるように床面F(図1参照)上に設置されている。第2搬送ユニット61bは、図2(B)に示されるように、一対のXガイド部材62b、一対のXガイド部材62bそれぞれに対応して設けられた一対のXスライド部材63b、及び基板トレイ90(図2(A)参照)の+X側の端部を保持する保持部材64bを有する。
【0039】
一対のXガイド部材62bそれぞれは、X軸方向に延びる部材から成り、Y軸方向に所定間隔で配置されている。Xガイド部材62bは、後述する昇降装置67により上下動される。なお、図3では、−Y側のXガイド部材62bは+Y側のXガイド部材62bに対し紙面手前側に配置されている。
【0040】
一対のXスライド部材63bそれぞれは、図3に示されるように、対応するXガイド部材62bに対してX軸方向にスライド可能な状態で、Xガイド部材62bの内側面(+Y側のXガイド部材62bの−Y側面、−Y側のXガイド部材62bの+Y側面)に機械的に係合している。Xスライド部材63bは、対応するXガイド部材62bに取り付けられたモータを含むボールねじ装置により、X軸方向に所定のストロークで駆動される。なお、Xスライド部材63aを駆動する駆動装置としては、リニアモータ、ベルト駆動装置、ワイヤ駆動装置などを用いることもできる。
【0041】
保持部材64bは、Y軸方向に延びるXZ断面矩形の棒状の部材から成り、支持部材65を介してXスライド部材63bに吊り下げ状態で固定されている。保持部材64bの−X側の面には、+X側が−X側よりも狭くなるテーパ面により規定される凹部66bがY軸方向に所定間隔で複数(例えば6つ)形成されている(図2(B)参照)。これに対し、基板トレイ90(図2(A)参照)の4つのテーパ部材94bそれぞれは、+X側の連結部材97に対し、最も+Y側及び最も−Y側の2つの凹部66b、並びにY軸方向中央の2つの凹部66b(+Y側から数えて3番目及び4番面の2つの凹部66b)に個別に対応する位置に配置されている。保持部材64bは、これらの4つの凹部66bそれぞれに、対応するテーパ部材94bが挿入されることにより、基板トレイ90の+X端部を保持する。また、図2(B)に示されるように、保持部材64bにおける複数(例えば6つ)の凹部66bそれぞれに対応する箇所には、複数系統(例えば6系統)の可撓性を有する配管110(例えば、フレキシブルチューブ)それぞれの一端が接続されている。6系統の配管110それぞれの他端は、図示しない気体供給装置(例えばコンプレッサ)に例えば電磁弁などを介して接続されており、保持部材64bの6つの凹部66bそれぞれに個別に圧縮気体を供給可能になっている。
【0042】
昇降装置67は、一対のXガイド部材62bそれぞれに対応して各1つ設けられている(図3では、−Y側の昇降装置67は+Y側の昇降装置67に対し紙面手前側に配置されている)。昇降装置67は、複数(例えば一対)のスライド機構69、一対のスライド機構69を作動させる送りねじ装置71などを有する。
【0043】
一対のスライド機構69は、架台80とXガイド部材62bとの間にX軸方向に離間して配置されている。スライド機構69は、架台80の上面に固定されたXY平面に平行な板状部材から成るベース73、該ベース73上に配置された複数(例えば一対)のスライド部材75、77などを含む。スライド部材75は、ベース73の上面に固定されたX軸方向に延びるXガイド部材73aにX軸方向にスライド可能に支持されている。スライド部材75の上面は+X側が−X側よりも高くなるように傾斜している。スライド部材77は、スライド部材75の上方に位置するようにXガイド部材62bの下面に固定されている。スライド部材77は、その下面がスライド部材75の上面と平行になっており、スライド部材75の上面に固定されたガイド部材75aにスライド部材75の上面の傾斜方向に沿ってスライド可能に係合している。スライド部材77は、ベース73の上面に固定されたZガイド79にZ軸方向にスライド可能に係合している。一対のスライド機構69それぞれのスライド部材75は、棒状の連結部材71bにより機械的に連結されており、一体的にX軸方向に移動する。
【0044】
送りねじ装置71は、その外周に雄ねじが形成されたX軸方向に延びる棒状の雄ねじ部材71aを有する。雄ねじ部材71aは、+X側のスライド機構69のスライド部材75に固定されたナットに螺合しており、モータなどを含む駆動装置85により回転駆動されるようになっている。送りねじ装置71は、主制御装置により制御される。
【0045】
以上のように構成される昇降装置67では、図3に示される状態から、駆動装置85により雄ねじ部材71aが、X軸周りの一方向に回転駆動されると、+X側及び−X側のスライド部材75が−X方向に移動し、+X側及び−X側のスライド部材77、Xガイド部材62b及び保持部材64bが上昇する(図6参照)。また、図6に示される状態から、駆動装置85により雄ねじ部材71a(図6では不図示)が、X軸周りの他方向に回転駆動されると、+X側及び−X側のスライド部材75が+X方向に移動し、+X側及び−X側のスライド部材77、Xガイド部材62b及び保持部材64bが下降する(図3参照)。
【0046】
第1搬送ユニット61aの構成は、図2(B)に示されるように、保持部材64aの−X側の面に6つの凹部66aが形成されている点を除き、第2搬送ユニット61bと概ね同じである。すなわち、第1搬送ユニット61aは、図示しない架台上に搭載されており、一対のXガイド部材62a、一対のXガイド部材62aに対応して設けられた一対のXスライド部材63a、基板トレイ90の−X側の端部を保持する保持部材64a、一対のXガイド部材62aそれぞれを上下動させる、昇降装置67と同じ構成の昇降装置(不図示)などを有している。なお、図6に示される状態では、保持部材64a、64bそれぞれは、その移動上限位置にあり、移動上限位置にある両保持部材64a、64bにより基板トレイ90を保持した場合、基板トレイ90を基板載置面よりも高い位置に位置させることができる。
【0047】
以上より、基板交換装置60は、第1搬送ユニット61aの保持部材64a及び第2搬送ユニット61bの保持部材64bにより、基板Pを支持した基板トレイ90の−X端部(テーパ部材94a)及び+X端部(テーパ部材94b)を保持(狭持)した状態で、両保持部材64a、64bを同期してX軸及びZ軸方向に移動させることにより、基板ホルダ50との間で基板Pの交換(受け渡し)を行う。
【0048】
ここで、上述の基板Pの交換の際、搬入される基板Pの裏面に元から付着していた塵Dが基板ホルダ50の上面に付着したり、基板ホルダ50と基板Pとの摩擦接触により発生した塵Dが基板載置面に付着することがある(図5(A)参照)。基板載置面に塵Dが付着していると、基板載置面上に載置された基板Pの平坦度が低くなり、露光精度の低下を招く。そこで、本実施形態では、基板載置面を適宜清掃するために、基板ホルダ50の清掃システムを導入している。清掃システムは、清掃用カバー100、上述した基板ホルダ50、基板交換装置60などにより構成される。
【0049】
清掃用カバー100は、図3及び図4を統合すると分かるように、X軸方向を長手方向とするXZ断面及びYZ断面が略逆U字状の高さの低い箱形の部材から成る。すなわち、清掃用カバー100には、図5(A)に示されるように、−Z側に開口する浅く大きな直方体状の凹部100aが形成されている。清掃用カバー100を構成するXY平面に平行な天板部100b、+X側及び−X側の側板部100c、+Y側及び−Y側の側板部100dは一体に成形されても良いし、別体に成形されても良い(図5(A)では−Y側の側板部100dは不図示、図4参照)。
【0050】
図4に示されるように、清掃用カバー100の+Y側及び−Y側の側板部100dの間隔は、基板ホルダ50の2つのX溝53Xに対応する間隔に設定されている。また、清掃用カバー100の+Y側及び−Y側の側板部100dそれぞれの厚みは、X溝53Xの幅よりも小さくなっている。清掃用カバー100の+X側及び−X側の側板部100c間の間隔は、ホルダ本体51のX軸方向の寸法よりも幾分大きくなっている。
【0051】
したがって、清掃用カバー100を、その+Y側及び−Y側の側板部100dそれぞれが、対応するX溝53X上に位置するように、かつその+X側及び−X側の側板部100cそれぞれがホルダ本体51の+X側近傍及び−X側近傍の上方に位置するように配置した状態(以下、第1配置状態と称する)から降下させると、+Y側及び−Y側の側板部100dそれぞれが、対応するX溝53X内に挿入されるとともに、+X側及び−X側の側板部100cそれぞれがホルダ本体51の+X側近傍及び−X側近傍に位置し、基板載置面の中央エリア(基板載置面における2つのX溝53Xにより区画される3つのエリアのうちの中央のエリア)が清掃用カバー100の凹部100a内に収容された第1の収容状態となる(図4及び図5(B)参照)。
【0052】
また、清掃用カバー100を、その+Y側の側板部100dがホルダ本体51の+Y側近傍の上方に位置するとともに、その−Y側の側板部100dが+Y側のX溝53X上に位置するように、かつその+X側及び−X側の側板部100cそれぞれがホルダ本体51の+X側近傍及び−X側近傍の上方に位置するように配置した状態(以下、第2配置状態と称する)から降下させていくと、+Y側の側板部100dがホルダ本体51の+Y側近傍に位置し、かつ−Y側の側板部100dが+Y側のX溝53X内に挿入されるとともに、+X側及び−X側の側板部100cそれぞれがホルダ本体51の+X側近傍及び−X側近傍に位置し、基板載置面の+Y側エリア(基板載置面における2つX溝53Xにより区画される3つのエリアのうちの+Y側のエリア)が清掃用カバー100の凹部100a内に収容された第2の収容状態となる。
【0053】
また、清掃用カバー100を、その−Y側の側板部100dがホルダ本体51の−Y側近傍の上方に位置するとともに、その+Y側の側板部100dがホルダ本体51の−Y側のX溝53X上に位置するように、かつその+X側及び−X側の側板部100cそれぞれがホルダ本体51の+X側近傍及び−X側近傍の上方に位置するように配置した状態(以下、第3配置状態と称する)から降下させていくと、−Y側の側板部100dがホルダ本体51の−Y側近傍に位置し、かつ+Y側の側板部100dが−Y側のX溝53X内に挿入されるとともに、+X側及び−X側の側板部100cそれぞれがホルダ本体51の+X側近傍及び−X側近傍に位置し、基板載置面の−Y側エリア(基板載置面における2つX溝53Xにより区画される3つのエリアのうちの−Y側のエリア)が清掃用カバー100の凹部100a内に収容された第3の収容状態となる。
【0054】
以上のようにして、清掃用カバー100は、2つのX溝53Xにより区画される基板載置面の3つのエリア(中央エリア、+Y側エリア、−Y側エリア)それぞれ(各エリアはX軸方向に並ぶ4つの矩形領域から成る)を上方及び側方から個別に覆うことができる。
【0055】
ここで、X溝53Xの深さは、凹部100aの深さよりも、浅く設定されており、上記第1〜第3の収容状態それぞれにおいて、清掃用カバー100の天板部100bの下面とホルダ本体51の上面(基板載置面)との間(以下、対向面間とも称する)には、所定のクリアランスが形成される(図5(B)参照)。
【0056】
また、図5(A)に示されるように、清掃用カバー100の天板部100b内には、XY平面に平行に延びる内部管路100eと、Z軸方向に延び、内部管路100eと凹部100aとを連通させる連通孔100fが形成されている。内部管路100eは、例えば、清掃用カバー100の長手方向(X軸方向)のほぼ全域に亘って延びる主管路と、該主管路から分岐した複数の分岐管路とを含む。複数の連通孔100fは、X軸及びY軸方向に所定間隔で並んでおり、それぞれ主管路又は分岐管路に連通している。詳述すると、連通孔100fは、図5(B)に示されるように、清掃用カバー100が基板ホルダ50にセットされた状態で、清掃用カバー100における基板載置面の最も+X側及び最も−X側の矩形領域それぞれに対応する第1及び第2の箇所に例えば各9個配列されている。また、連通孔100fは、清掃用カバー100における基板載置面のX軸方向中央の2つの矩形領域それぞれに対応する第3及び第4の箇所に例えば各12個配列されている。更に詳述すると、清掃用カバー100の上記第1及び第2の箇所それぞれには、連通孔100fがX軸方向に所定間隔で3つ並んで成る連通孔列がY軸方向に所定間隔で3列あり、清掃用カバー100の上記第3及び第4の箇所それぞれには、連通孔100fがX軸方向に所定間隔で4つ並んで成る連通孔列がY軸方向に所定間隔で3列ある。なお、図5(B)に示される状態、すなわち清掃用カバー100により基板載置面の上記3つのエリアそれぞれを個別に上方及び側方から覆った状態では、清掃用カバー100に形成された連通孔100fと、ホルダ本体51に形成されたか貫通孔55とは、それぞれのX位置が異なるように配列されている。
【0057】
清掃用カバー100の+X側の側板部100c内には、内部管路100eに接続され、YZ平面に平行に延びる内部管路100gが形成されている。内部管路100gは、例えば、Y軸方向に延びる主管路と、主管路から分岐したZ軸方向に延びる複数(例えば2つ)の分岐管路とを含む。清掃用カバー100の+X側の側板部100cの+X端面には、保持部材64bの凹部66bに嵌合する+X側が−X側よりも細くなるテーパ形状を有する複数(例えば2つ)のテーパ部材101が、隣接する凹部66bに対応する間隔でY軸方向に離間して固定されている(図4参照)。テーパ部材101には、X軸方向に延びる貫通孔101aが形成されており、該貫通孔101aは、内部管路100gの分岐管路に連通している。また、清掃用カバー100の−X側の側板部100cの−X端面には、保持部材64aの凹部66aに嵌合する−X側が+X側よりも細くなるテーパ形状を有する複数(例えば2つ)のテーパ部材103が、隣接する凹部66aに対応する間隔でY軸方向に並べて固定されている(図4)。
【0058】
上述のようにして構成された液晶露光装置10(図1参照)では、不図示の主制御装置の管理の下、不図示のマスク搬送装置(マスクローダ)によって、マスクステージMST上へのマスクMのロードが行われる。また、基板交換装置60によって、基板ホルダ50上への基板Pの搬入(ロード)が行なわれる。詳述すると、露光対象の基板Pは、基板トレイ90上に載置された状態で図示しない搬送装置により基板交換装置60の第1搬送ユニット61a及び第2搬送ユニット62bに基板トレイ90ごと受け渡され、第1搬送ユニット61a及び第2搬送ユニット62bにより、基板交換位置に待機する基板ステージ20の基板ホルダ50に基板トレイ90ごと載置される。このとき、基板トレイ90はその一部(支持部材95及び補剛部材96)が基板ホルダ50の格子溝53内に収容され、基板Pのみが基板ホルダ50の基板載置面上に載置される。そして、気体吸引装置が駆動されることにより、配管52内及び複数の貫通孔55内が減圧されて、基板Pが基板載置面に吸着保持される。これにより、基板Pが基板載置面に倣うように平坦に矯正されるとともに、基板ホルダ50が加速又は減速される際の基板Pの基板載置面上での位置ずれを抑制される。その後、主制御装置により、不図示のアライメント検出系を用いてアライメント計測が実行され、アライメント計測の終了後、露光動作が行なわれる。この露光動作は従来から行われているものと同様であるのでその詳細な説明は省略するものとする。露光済みの基板Pは、搬入時と逆の手順で、基板交換装置60により基板ホルダ50上から搬出(アンロード)され、搬送装置に受け渡される。そして、搬送装置により搬送された別の基板Pが、基板交換装置60に受け渡されて基板ホルダ50上に搬入(ロード)される。このように、液晶露光装置10では、基板ホルダ50上の基板Pの交換が繰り返し行われることにより、複数枚の基板Pに連続して露光処理が行われる。
【0059】
ここで、例えば上記露光処理の合間(具体的には、例えば基板Pが30枚露光処理される毎に1回)などに、主制御装置の指示の下、清掃システムにより基板ホルダ50の清掃が行われる。この清掃は、清掃用カバー100を用いて行われる。清掃用カバー100は、清掃が行われないときには、図6に示されるように、専用の保持装置150により基板交換装置60の上方(第2搬送ユニット61b寄りの上方)の待機位置に保持されている。保持装置150は、Z軸方向に伸縮可能な複数(例えば2つ)のエアシリンダ150aと、該エアシリンダ150aそれぞれのロッドの先端(下端)に各1つ取り付けられた吸着パッド150bとを含む。すなわち、保持装置150は、清掃用カバー100を、2つの吸着パッド150bにより例えば真空吸引などにより吸着保持し、2つのエアシリンダ150aにより上下動させることができる。保持装置150のエアシリンダ150a及び吸着パッド150bは、主制御装置により制御される。清掃用カバー100は、保持装置150により待機位置に保持された状態で、その+Y側及び−Y側の側板部100dのY位置が、それぞれ基板ホルダ50の+Y側及び−Y側のX溝53XのY位置に一致している。また、この状態で、2つのテーパ部材101のY位置と、保持部材64bの6つの凹部66bのうちの中央の2つの凹部66b(+Y側から数えて3番目及び4番面の2つの凹部66b)のY位置は概ね一致しており、2つのテーパ部材103のY位置と、保持部材64aの6つの凹部66aのうちの中央の2つの凹部66a(+Y側から数えて3番目及び4番面の2つの凹部66a)のY位置は概ね一致している。すなわち、清掃用カバー100は、保持装置150により保持された状態で、そのY位置が、基板載置面の中央エリアのY位置に一致している。
【0060】
以下に、本実施形態の清掃システムによる基板ホルダ50の清掃手順を説明する。先ず、主制御装置は、基板ステージ20(図1参照)を基板交換位置に位置させる。また、主制御装置は、図6に示されるように、+X側の保持部材64bをそのX軸方向の移動範囲の+X端に位置させるとともに−X側の保持部材64aをそのX軸方向の移動範囲の+X端付近に位置させる(但し、−X側の保持部材64aは、保持部材64a、64b間に清掃用カバー100が挿入可能となる位置に位置させる)。次いで、主制御装置は、保持装置150の複数のエアシリンダ150aを同期駆動して待機位置にある清掃用カバー100を降下させるとともに、第1搬送ユニット61aの昇降装置及び第2搬送ユニット61bの昇降装置67(以下、複数の昇降装置と称する)を同期駆動して保持部材64a及び保持部材64bそれぞれをその移動上限位置まで上昇させて、テーパ部材101、103と、対応する保持部材64b、64aとをほぼ同じ高さに位置させる。そして、主制御装置は、保持部材64a、64bを、それぞれ+X方向、−X方向に移動させて、保持部材64aの中央の2つの凹部66aそれぞれを対応するテーパ部材103に嵌合させるとともに保持部材64bの中央の2つの凹部66bそれぞれを対応するテーパ部材101に嵌合させて、2つのテーパ部材101、103により清掃用カバー100を狭持(保持)させた後、保持装置150の吸着パッド150bによる清掃用カバー100の吸着を解除する。この状態から、主制御装置は、保持部材64a、64bを−X方向へ同期移動させて、清掃用カバー100を、基板載置面の中央エリアの真上に位置させる(上記第1配置状態)。そして、主制御装置は、複数の昇降装置を同期駆動し、清掃用カバー100を下降させて、清掃用カバー100により基板載置面の中央エリアを覆う。
【0061】
ここで、主制御装置は、上記気体供給装置を駆動してテーパ部材101に嵌合する凹部66bに連通する配管110に圧縮気体を供給する。これにより、テーパ部材101の貫通孔101aを介して清掃用カバー100の内部配管100g、100eに圧縮気体が供給され(図5(B)の矢印S1参照)、複数の連通孔100fから対向面間に該圧縮気体が噴出される(図5(B)の矢印S2参照)。また、主制御装置は、配管52を上記気体供給装置に接続した後、該気体供給装置を駆動して配管52に圧縮気体を供給する(図5(B)の矢印T1参照)。これにより、複数の貫通孔55から対向面間に該圧縮気体が噴出される(図5(B)の矢印T2参照)。また、主制御装置は、上記気体吸引装置を駆動して配管54内及び貫通孔57内を減圧して、対向面間から気体を吸引する。なお、上記気体供給装置及び気体吸引装置の駆動は、ほぼ同時に行われる。連通孔100f及び貫通孔55から噴出された圧縮気体は、対向面間で激しく撹拌されて、基板載置面の中央エリアに付着した塵Dを伴い(巻き上げ)、Y溝53Y、貫通孔57、配管54を介して気体吸引装置に吸引される(図5(B)の矢印U1及び矢印U2参照)。主制御装置は、上記気体供給装置及び上記気体吸引装置の駆動を開始してから所定時間(例えば、数秒〜数十秒)経過後、これらの駆動を停止する。以上のように、清掃システムでは、清掃用カバー100、基板ホルダ50、基板交換装置60などが協働して、基板載置面の中央エリアに付着した塵Dを自動的に除去する(中央エリアの清掃を行う)。
【0062】
そして、中央エリアの清掃終了後、主制御装置は、清掃用カバー100を複数の昇降装置により上昇させて、基板ホルダ50から離脱させた後、Y粗動ステージ23YをX粗動ステージ23Xに対し+Y方向に駆動して基板ホルダ50を+Y方向に移動させることにより、基板載置面の−Y側エリアを清掃用カバー100の真下に位置させる(上記第2配置状態)。そして、複数の昇降装置により清掃用カバー100を下降させて基板載置面の−Y側エリアを清掃用カバー100で覆い、上記と同じ要領で基板載置面の−Y側エリアに付着した塵Dを除去する。−Y側エリアの清掃終了後、主制御装置は、複数の昇降装置により清掃用カバー100を基板ホルダ50から離脱させ、Y粗動ステージ23Yを駆動して基板ホルダ50を−Y方向に移動させることにより、基板載置面の+Y側エリアを清掃用カバー100の真下に位置させる(上記第3配置状態)。そして、複数の昇降装置により清掃用カバー100を下降させて基板載置面の+Y側エリアを清掃用カバー100で覆い、上記と同じ要領で基板載置面の+Y側エリアに付着した塵Dを除去する。+Y側エリアの清掃終了後、主制御装置は、複数の昇降装置により清掃用カバー100を基板ホルダ50から離脱させ、Y粗動ステージ23Yを+Y方向に駆動して基板ホルダ50を+Y方向に移動させることにより、基板載置面の中央エリアを清掃用カバー100の真下に位置させる。そして、基板載置面の中央エリアを清掃用カバーで覆った手順とほぼ逆の手順で、清掃用カバー100を待機位置に移動させて、基板載置面の全エリアの清掃が完了する。なお、基板載置面の清掃は、必ずしも、中央エリア、−Y側エリア、+Y側エリアの順にする必要はなく、その順番は、適宜変更可能である。
【0063】
以上説明した本実施形態に係る液晶露光装置10によると、基板ホルダ50の基板載置面の一部を清掃用カバー100で上方から覆った状態で、基板載置面及び清掃用カバー100の天板部100b下面それぞれに向けて圧縮気体を噴出させている。これにより、基板載置面と天板部100b下面との間(対向面間)で気体を激しく撹拌し、基板載置面における天板部100bに対向する領域に付着した塵Dを巻き上げて、この撹拌された気体中に取り込むことができる。そして、対向面間から気体と共にこの塵Dを吸引することにより塵Dを除去することができる。これにより、基板ホルダ50に載置される基板Pの平坦度が低下することが防止され、ひいては露光精度の低下が抑制される。
【0064】
また、上述の如く対向面間で気体が激しく撹拌されるので、基板載置面における天板部100b下面に対向する領域の噴流が直接当たらない箇所に付着した塵Dをも除去することができ、基板載置面における天板部100b下面に対向する領域全体を満遍なく清掃することができる。
【0065】
また、清掃システムが、大面積を有する基板載置面の+Y側、中央、−Y側の3つのエリアそれぞれを個別に自動的に清掃用カバー100で覆うことにより、基板載置面全体の凡そ1/3の面積を有するエリアを一遍に清掃できるので、基板載置面を、例えば柄付き粘着ローラなどの清掃用具を用いて人手により清掃する場合に比べ、清掃に要する人員、時間及び手間を少なくすることができる(清掃効率に優れる)。
【0066】
また、清掃用カバー100により基板載置面を上方から覆うとともに側方から覆っているので、基板載置面と対向面との間で撹拌された気体及び塵Dが対向面間から外部に流出することが防止される。
【0067】
また、基板ホルダ50における基板トレイ90の一部を収容するためのX溝53Xに清掃用カバー100の側板部100dを挿入することにより、基板載置面の各エリアを側方から覆っている。すなわち、基板ホルダ50に清掃用カバー100の側板部100dを挿入するための専用の溝を形成することなく、基板載置面の各エリアを清掃用カバー100で側方から覆うことができる。
【0068】
また、基板Pの交換に用いられる基板交換装置60を用いて清掃用カバー100を基板ホルダ50に対し着脱できるので、清掃用カバー100を基板ホルダ50に対し着脱するための専用の搬送装置を必要としない。
【0069】
また、例えば柄付き粘着ローラなどの清掃用具を用いて人手により清掃する場合に比べ、清掃に用いられる部材(例えば清掃用カバー100)が、基板ホルダ50周辺に設けられたX反射鏡、Y反射鏡、基準指標などの精密部品に接触するおそれがないので、これらの位置ずれ、破損などが防止される。
【0070】
また、例えば柄付き粘着ローラを用いて基板載置面を清掃する場合、基板ホルダ50のX溝53X及びY溝53Yの縁に粘着ローラが衝突して、基板ホルダ50及び粘着ローラが損傷したり、基板ホルダ50に衝撃を与えることにより、基板ホルダ50の周辺に設けられたX反射鏡、Y反射鏡、基準指標などの精密部品などが位置ずれするおそれがあるが、本実施形態では、基板ホルダ50に対し非接触で清掃を行うので、そのようなおそれがない。
【0071】
また、図示は省略されているが、基板ステージ装置PSTの構成上、基板ホルダ50は、投影光学系PLを支持する装置本体の一部の下方から完全に外れた位置に位置させることができないので、例えば柄付き粘着ローラなどの清掃用具を用いて基板載置面を清掃する場合、基板ホルダ50と投影光学系PLを支持する装置本体の一部との間の高さ方向の狭いスペースで清掃用具を操作しなければならず、その作業性の悪さが問題となっていた。本実施形態では、上述の如く清掃システムが自動的に(人手によらず)清掃するので、このような問題は生じない。
【0072】
次に、上記実施形態のいくつかの変形例について説明する。以下の変形例では、上記実施形態で説明した部材と同様の構成及び機能を有する部材には、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0073】
《第1の変形例》
第1の変形例の液晶露光装置では、上記実施形態と比べ、清掃システムの構成が異なるのみなので、以下、清掃システムについてのみ説明する。第1の変形例の清掃システムでは、上記実施形態に比べ、清掃用カバーの構成が異なる。すなわち、第1の変形例の清掃用カバー200は、上記実施形態と比べ、図7(A)から分かるように、その外形はY軸及びZ軸方向の寸法を除いてほぼ同じであるが、その天板部の構成が異なる。
【0074】
清掃用カバー200の天板部201のY軸方向寸法は、ホルダ本体51のY軸方向寸法よりも幾分長くなっている。また、天板部201のX軸方向寸法は、上記実施形態と同様に、ホルダ本体51のX軸方向寸法よりも幾分長くなっている。したがって、清掃用カバー200は、ホルダ本体51全体を上方から覆うことができる。これにより、基板載置面全体を一遍に清掃できるので、清掃に要する時間を短縮できる。また、清掃用カバー200のZ軸方向の寸法は、上記実施形態と比べ、短くなっている。したがって、高さ方向のスペースが限られた中での清掃用カバー200の取り扱い性に優れる。
【0075】
天板部201は、そのYZ断面が波形状の薄手の部材から成る波板部材201aと、該波板部材201aにおける波の複数の山部それぞれの頂上に配置されたXY平面に平行な薄手の平板部材201bとから成る。すなわち、天板部201は、薄手の波板部材201a及び平板部材201bが組み合わされてその内部にX軸方向に延び、かつY軸方向に並ぶ複数の空間部が形成された構造とされており、天板部が軽量化されつつそのXZ断面内の曲げに関する断面係数(剛性)が大きくされている。したがって、清掃用カバー200の自重による撓み(特にその長手方向(X軸方向)中間部の撓み)を抑制することができ、その搬送時(受け渡し時を含む)の取り扱い性に優れる。また、基板ホルダ50から噴出された圧縮気体が波板部材201aの下面、すなわち波面に当たることによりその噴流の向きがランダムに変化するので、対向面間において気体がより満遍なく撹拌される。これにより、基板載置面全域において塵Dの巻き上げ作用が一段と高められ、塵Dが撹拌された気体中に取り込まれ易くなる。また、天板部201では、その平板部材201bにより波板部材201aのYZ断面内の曲げに関する剛性が補剛されるとともに、その平板部材201bの上面が保持装置150の吸着パッド150bにより吸着される吸着面を構成する。
【0076】
また、図示は省略されているが、保持部材64b(図2(B)参照)に気体を供給する配管が設けられておらず、清掃用カバー200の+X側の側板部に取り付けられたテーパ部材には貫通孔が形成されていない。すなわち、本変形例では、上記実施形態と異なり、清掃用カバー200から気体が噴出されず、基板ホルダ50のみから気体が噴出される。なお、本変形例の清掃システムによる基板ホルダ50の清掃方法(手順)は、この点を除いて、上記実施形態と同じである。
【0077】
《第2の変形例》
第2の変形例の液晶露光装置では、上記第1の変形例に比べ、清掃用カバーの構成のみが異なるので、以下、清掃用カバーについてのみ説明する。第2の変形例の清掃用カバー300は、上記第1の変形例と比べ、その外形及び大きさはほぼ同じであるが、図7(B)から分かるように、その天板部の構成が異なる。
【0078】
第2の変形例の清掃用カバー300は、その天板部301が、上下に対向配置されたXY平面に平行な一対の薄手の平板部材301aと、該一対の平板部材301a間に狭持されたYZ断面波形状の薄手の波板部材301bとから成る。本変形例では、天板部301の一例として、XY平面に平行な平板状の外形を有するプラスチック製段ボールを用いている。
【0079】
第2の変形例によると、天板部301が、XZ断面内の曲げに関する断面係数が大きな波板部材301bにより2枚の平板部材が接続されて成る軽量かつXZ断面内の曲げに関し高剛性な構造を有しているので、清掃用カバー300の自重による撓み(特にその長手方向(X軸方向)中間部の撓み)を抑制することができ、その搬送時(受け渡し時を含む)の取り扱いが容易となる。
【0080】
《第3の変形例》
第3の変形例の液晶露光装置では、上記第1及び第2の各変形例と比べ、清掃用カバー及び基板交換装置の構成が異なる。
【0081】
第3の変形例の清掃用カバー400は、図8(A)に示されるように、XY平面に平行な一枚の厚手の平板から成る。すなわち、清掃用カバー400は、上記第1及び第2の変形例で用いられる平板部材に比べ、厚みが大きく、剛性(撓み剛性、捻れ剛性等)が高い。清掃用カバー400は、そのX軸及びY軸方向の寸法が、それぞれホルダ本体51のX軸及びY軸方向の寸法よりも幾分長く設定されており、ホルダ本体51全体を上方から覆うことができる。また、清掃用カバー400の下面における+Y端部及び−Y端部それぞれには、YZ断面逆V字状のV溝400aが形成されている。
【0082】
第3の変形例の基板交換装置410は、上記第1及び第2の変形例と比べ、第1搬送ユニット、第2搬送ユニットを有しておらず、その代わりに、基板搬送用の一対のフォークハンド405を有している。一対のフォークハンド405は、X軸方向に延び、かつY軸方向に所定間隔で配置されている。一対のフォークハンド405それぞれの上面には、複数の凹部405aがX軸方向に所定間隔で形成されており、該凹部405aそれぞれにはボール406の下部が収容されている。複数の凹部405a及びボール406は、複数のV溝400aに対応する箇所に配置されている。一対のフォークハンド405それぞれは、主制御装置により図示しない駆動系を介して例えばX軸、Y軸及びZ軸方向などに同期駆動制御される。基板交換装置410は、一対のフォークハンド405の複数のボール406の上部を対応するV溝400aに下方から嵌合させることにより、清掃用カバー400を保持して、基板ホルダ50の真上に搬送する。そして、一対のフォークハンド405により清掃用カバー400が基板載置面に対し所定クリアランスを介して保持された状態で、上記第1及び第2の変形例とほぼ同様に、基板ホルダ50の基板載置面の清掃が行われる。
【0083】
なお、第3の変形例の基板トレイ(不図示)は、上記実施形態の基板トレイ90(図2(A)参照)とほぼ同様の構成を有しているが、その最も+Y側の支持部材95に運搬用ブロック(不図示)が+Y側に突設されており、最も−Y側の支持部材95に運搬用ブロック(不図示)が−Y側に突設されている点が異なる。そして、本変形例の基板トレイは、一対のフォークハンド405により、+Y側及び−Y側の一対の運搬用ブロックそれぞれが下方から掬い上げられることにより保持されて搬送される。
【0084】
第3の変形例によると、清掃用カバー400が一枚の平板で構成されるので、その製造が非常に簡単であり、大幅なコストダウンを図ることができる。また、清掃用カバー400の高さ方向の寸法を非常に短くできるので、その搬送時(受け渡し時を含む)の取り扱いが格段に容易となる(具体的には、高さ方向のスペースが非常に限られた中で、清掃用カバー400を容易に搬送することができる)。
【0085】
なお、第3の変形例では、清掃用カバー400により対向面間が側方から覆われないので、基板ホルダ50から噴出された噴流の一部が対向面間からその周囲(外部)に流出するが、清掃用カバー400を保持した一対のフォークハンド405の高さを変えることにより、清掃用カバー400の下面と基板載置面との間隔を調整して、対向面間に巻き上げられた塵Dが外部に飛散することを抑制することができる。なお、対向面間からその周囲への塵Dの飛散は、基板ホルダ50による吸引力を強くしたり、基板ホルダ50から噴出される噴流の向きを調整することによっても防止できる。
【0086】
また、図8(B)に示されるように、清掃用カバー400の下面に粘着シート415を取り付けても良い。これにより、基板ホルダ50から噴出された噴流により対向面間に巻き上げられた塵Dを基板ホルダ50で吸引する一方で粘着シート415に付着させて捕捉することもできる。粘着シート415は、清掃用カバー400の下面の全域に亘って設けても良いし、部分的に設けても良い。また、粘着シート415として、市販のポリウレタンを主成分とするエラストマ樹脂製の粘着ゲルシートなどを着脱可能に設ければ、水洗いにより、何度でも再生使用が可能である。
【0087】
《第4の変形例》
第4の変形例の液晶露光装置では、上記第1〜第3の各変形例と比べ、清掃用カバーの構成のみが異なるので、清掃用カバーについてのみ説明する。
【0088】
第4の変形例の清掃用カバー500は、図8(C)から分かるように、上記第2の変形例の清掃用カバー300の天板部301(図7(B)参照)とほぼ同じ構成のXY平面に平行な平板状の外形を有する部材から成る。すなわち、清掃用カバー500は、上下に対向配置されたXY平面に平行な一対の平板部材500aと、該一対の平板部材500a間に狭持された+X方向から見た側面視波形状の波板部材500bとから成る。清掃用カバー500の具体例としては、XY平面に平行な平板状の外形を有するプラスチック製段ボールなどが挙げられる。
【0089】
また、清掃用カバー500では、一対の平板部材500aのうちの下側の平板部材500aと波板部材500bとにより、X軸方向に延び、かつY軸方向に所定間隔で並ぶ複数の空間部501が形成されており、該複数の空間部501それぞれは、図示は省略されているが、+X側の2つのテーパ部材101(図4参照)の貫通孔101aに連続している。また、下側の平板部材500aにおける複数の空間部501それぞれに対応する箇所には、Z軸方向に延び、該空間部501に連続する複数の貫通孔(不図示)がX軸方向に所定間隔で形成されている。したがって、テーパ部材101(図4参照)を保持部材64b(図4参照)の凹部66bに嵌合させた状態で、上記気体供給装置を駆動することにより、複数の空間部501それぞれに圧縮気体を供給することができ、空間部501に連続する複数の貫通孔から基板載置面に向けて圧縮気体を噴出することができる。
【0090】
第4の変形例の清掃用カバー500では、その構造上、気体の流路(空間部501)が形成されているので、上記実施形態と比べ、清掃用カバーに内部管路を形成することなく清掃用カバー内の所定方向(X軸方向)に気体を案内することができる。
【0091】
《第5の変形例》
第5の変形例の液晶露光装置では、上記第1〜第4の各変形例と比べ、清掃用カバーの構成のみが異なるので、清掃用カバーについてのみ説明する。
【0092】
第5の変形例の清掃用カバー600は、図9に示されるように、基板トレイ90と、平面視矩形の外形を有する薄手のシート部材603とを含む。シート部材603は、そのX軸方向寸法が基板トレイ90の支持部材95のX軸方向寸法とほぼ同じであり、そのY軸方向寸法が基板トレイ90の補剛部材96のY軸方向寸法とほぼ同じである。シート部材603は、その+Y端部及び−Y端部が、それぞれ基板トレイ90の最も+Y側及び最も−Y側の支持部材95の上面に例えば複数の鋲610を用いて固定されている。すなわち、シート部材603は、基板トレイ90における4本の支持部材95と、3本の補剛部材96及び2本の連結部材97とにより形成される12個の開口を上方から覆っている。シート部材603の材質としては、例えば、ポリエステルフィルム、化学繊維などが挙げられる。
【0093】
以上のように構成された清掃用カバー600は、図10(A)に示されるように、+X側及び−X側のテーパ部材94b、94aが、保持部材64b、64aに保持された状態で、基板ホルダ50の真上の所定位置に位置される。そして、清掃用カバー600は、保持部材64b、64aに保持された状態で複数の昇降装置により下降されて、そのY軸方向中央に位置する2本の支持部材95それぞれの下部が対応するX溝53X(図4参照)に挿入された状態でその下降が停止される(図10(B)参照)。このとき、シート部材603の下面と基板載置面との間(対向面間)には、所定のクリアランスが形成される。以後、上記実施形態と同様に、基板載置面の清掃が行われる。
【0094】
第5の変形例によると、清掃用カバー600が、基板トレイ90とシート部材603とにより構成されているので、基板交換装置60に適合する基板トレイ90以外の部材を設計・製造することなく、清掃用カバーを基板交換装置60を用いて搬送することができる。
【0095】
《第6の変形例》
第6の変形例の液晶露光装置では、上記実施形態と比べ、清掃システムの構成のみが異なるので、清掃システムについてのみ説明する。第6の変形例の清掃システムでは、上記実施形態と比べ、清掃用カバーの構成、及び清掃用カバーを基板ホルダ50に対し着脱する際に基板交換装置60を用いない点が異なる。
【0096】
第6の変形例の清掃用カバー700は、図11(A)から分かるように、上記実施形態と比べ、その外形がZ軸方向の寸法を除いてほぼ同じであるが、その天板部の構成が異なる。すなわち、清掃用カバー700の天板部700bは、XY平面に平行な薄手の平板状に形成されている。また、清掃用カバー700は、上記実施形態と比べ、Z軸方向の寸法が短くなっており、その分、凹部700aの深さが浅くなっている。更に、清掃用カバー700は、その側板部も、上記実施形態と比べ、薄手になっており、全体として軽量化が図られている。清掃用カバー700の+X側及び−X側の側板部それぞれには、テーパ部材が取り付けられておらず、その代わり、図示しない取っ手が取り付けられている。また、本変形例においても上記第1〜3の変形例及び第5の変形例と同様に清掃用カバー700から気体が噴出されず、基板ホルダ50のみから圧縮気体が噴出される。
【0097】
清掃用カバー700は、基板ホルダ50上方の所定位置(上記第1〜第3の配置状態のいずれかの位置)から複数の作業者により保持されつつ下降されることにより、基板載置面の中央エリア、+Y側エリア、−Y側エリアのいずれかを上方及び側方から覆うようにセットされる(図11(A)及び図11(B)参照)。そして、清掃用カバー700は、その覆ったエリアの清掃が終了後、複数の作業者により持ち上げられてそのエリアから離脱された後、他のエリアにセットされる。このようにして、全てのエリアの清掃が終了した後、清掃用カバー700は、複数の作業者により撤去される。すなわち、本変形例では、清掃用カバー700が、基板ホルダ50に対し人手により着脱される。なお、清掃を行うタイミングは、上記実施形態と同様に、露光処理された基板Pの枚数に応じて行えば良い。
【0098】
ここで、ホルダ本体51の+X端面及び−X端面それぞれには、清掃用カバー700のホルダ本体51に対する移動下限位置を規定するZストッパ705が突設されている。Zストッパ705は、ホルダ本体51のY軸方向のほぼ全域に亘って延びている。これらのZストッパ705それぞれは、その上面のZ位置が、互いに同じに、かつX溝53Xを規定する底面のZ位置よりも幾分(具体的には、上記実施形態と本変形例の清掃用カバーの凹部の深さの差と同じ程度)高く設定されている。
【0099】
したがって、清掃用カバー700を、上記第1の配置状態(基板載置面の中央エリア真上の位置)から下降させていくと、清掃用カバー700の+Y側及び−Y側の側板部それぞれの下部が、対応するX溝53X内に挿入されるとともに、清掃用カバー700の+X側及び−X側の側板部それぞれが、対向するZストッパ705上に載置される。また、清掃用カバー700を、上記第2の配置状態(基板載置面の+Y側エリア真上の位置)から下降させていくと、清掃用カバー700の+X側及び−X側の側板部それぞれが、対向するZストッパ(不図示)上に載置されるとともに、清掃用カバー700の−Y側の側板部の下部が+Y側のX溝53X内に挿入され、かつ清掃用カバー700の+Y側の側板部がホルダ本体51の+Y側近傍に位置する。また、清掃用カバー700を、上記第3の配置状態(基板載置面の−Y側エリア真上の位置)から下降させていくと、清掃用カバー700の+X側及び−X側の側板部それぞれが、対向するZストッパ(不図示)上に載置されるとともに、清掃用カバー700の+Y側の側板部の下部が−Y側のX溝53X内に挿入され、かつ−Y側の側板部がホルダ本体51の−Y側近傍に位置する。そして、清掃用カバー700が上記いずれの状態にセットされたときにも、清掃用カバー700の天板部700bの下面と基板載置面との間に、上記実施形態と同様の所定のクリアランスが形成される。
【0100】
第6の変形例によると、清掃用カバー700の+X側及び−X側の側板部それぞれが、対応するZストッパ705により下方から支持されるので、清掃用カバー700を、基板載置面の中央エリア、+Y側エリア、−Y側エリアのいずれに対しても安定した状態でセットすることができる。
【0101】
なお、図10(C)に示されるように、清掃用カバー700の天板部の下面に、上記第3の変形例と同様の粘着シート415を取り付けても良い。
【0102】
《第7の変形例》
第7の変形例の液晶露光装置では、上記第6の変形例と比べ、清掃用カバーの大きさが異なるのみなので、清掃用カバーについてのみ説明する。
【0103】
第7の変形例の清掃用カバー800は、図12に示されるように、上記第6の変形例の清掃用カバー700と比べ、X軸方向の寸法が異なる。具体的には、清掃用カバー800の+X側及び−X側の側板部間の間隔は、3つのY溝53Yのうちの中央のY溝53Yと、+X側又は−X側のZストッパ705との間隔に対応する間隔に設定されている。すなわち、清掃用カバー800は、その大きさがホルダ本体51を上方からX軸及びY軸方向に関し部分的に覆う大きさに設定されている。Zストッパ705は、その上面のZ位置がY溝53Yを規定する底面のZ位置と同じに設定されている。また、清掃用カバー800の天板部上面には、図示しない取っ手が取り付けられている。なお、図12では、図示の便宜上、Y溝53Yは2つのみが示されているが、実際には3つある。
【0104】
以上のように構成される清掃用カバー800を、第6の変形例と同様に人手により保持して、その+X側の側板部を中央のY溝53Yを規定する底面に載置し、かつその−X側の側板部を−X側のZストッパ705の上面に載置するとともに、その+Y側及び−Y側の側板部それぞれを+Y側及び−Y側のX溝53X(図2(B)参照)に挿入することにより基板ホルダ50にセットする。これにより、基板載置面の中央エリアにおける3つのY溝53Yにより区画される4つの領域のうちの−X側から数えて1番目及び2番面の矩形領域が清掃用カバー800により上方及び側方から覆われる。この状態で、基板ホルダ50から圧縮気体を噴出し、対向面間から気体を吸引することにより上記2つの矩形領域の清掃を行う。この清掃が終了した後、清掃用カバー800を、人手により保持して、その−X側の側板部を中央のY溝53Yに挿入し、かつ+X側の側板部を+X側のZストッパ705上に載置するとともに、その+Y側及び−Y側の側板部それぞれを+Y側及び−Y側のX溝53Xに挿入することにより基板ホルダ50にセットする。これにより、基板載置面の中央エリアにおける3つのY溝53Yにより区画される4つの領域のうちの−X側から数えて3番目及び4番目の矩形領域が清掃用カバー800により上方及び側方から覆われる。この状態で、上記と同様にこれら2つの矩形領域の清掃を行う。このようにして、基板載置面の中央エリアの清掃が行われる。基板載置面の中央エリアの清掃が終了した後、+Y側エリア、−Y側エリアの清掃も同様に行われる。そして、基板載置面の中央、+Y側、−Y側の全エリアの清掃が終了した後、清掃用カバー800は、人手により保持されて基板ホルダ50から撤去される。
【0105】
第7の変形例によると、上記第6の変形例と比べ、清掃用カバーを小型にしているので、その人手による搬送時(受け渡し時を含む)の取り扱いが容易である。
【0106】
《第8の変形例》
第8の変形例の液晶露光装置では、図13(A)及び図13(B)に示されるように、上記実施形態と比べ、清掃用カバーの構成、及び清掃用カバーを基板ホルダに対し人手により着脱する点が異なる。第8の変形例の清掃用カバー900は、上記実施形態の清掃用カバー100(図3参照)からテーパ部材101、103(図3参照)を取り除いた構成を有している。また、配管110は、上記実施形態と異なり、保持部材64b(図3参照)ではなく、清掃用カバー900に取り付けられており、内部管路100e、100gに圧縮気体が直接的に供給されるようになっている。また、図示は省略されているが、清掃用カバー900には、図示しない取っ手が取り付けられており、ホルダ本体51(図11(A)参照)には、上記第6の変形例のZストッパ705(図11(A)参照)と同様のZストッパが取り付けられている。清掃用カバー900は、上記第6の変形例と同じ要領で、基板ホルダ50(図11(A)参照)に対し着脱される。
【0107】
なお、上記実施形態及び第1〜第8の各変形例に係る液晶露光措置の構成は、一例であって、本発明がこれに限定されるものではない。例えば、上記実施形態及び上記第4の変形例では、清掃用カバー及び基板ホルダの双方から対向面間に圧縮気体が噴出されるが、これに限らず、清掃用カバー及び基板ホルダのいずれか一方のみから圧縮気体が噴出されるようにしても良い。具体的には、清掃用カバーの内部及び基板ホルダ50の配管52のいずれか一方にのみ圧縮気体を供給すれば良い。
【0108】
上記実施形態及び第1〜第8の各変形例では、基板ホルダ50により対向面間から気体が吸引されているが、これに代えて又はこれに加えて、清掃用カバーにより対向面間から気体を吸引するようにしても良い。但し、この場合、清掃用カバーに真空吸引用の気体流路、並びに該気体流路及び清掃用カバーの凹部に連通する孔を形成する必要がある。具体的には、例えば、上記実施形態及び第1、第2、第4の変形例において、−X側の保持部材64aの6つの凹部66aそれぞれを可撓性配管を介して気体吸引装置に連通させるとともに、−X側のテーパ部材103に真空吸引用の気体流路に連通する貫通孔を形成すると良い。これにより、保持部材64aによりテーパ部材103を保持したときに(凹部66aとテーパ部材103とを嵌合させたときに)、対向面間の気体を真空吸引用の孔及び気体流路を介して気体吸引装置に吸引させることができる。
【0109】
上記実施形態及び第1〜第5の各変形例では、清掃用カバーを基板交換装置により保持しつつ基板載置面の清掃を行っているが、これに限らず、例えば、清掃用カバーを基板ホルダ50に設置した状態で清掃を行っても良い。具体的には、上記実施形態、第1、第2、第5の各変形例では、例えば、ホルダ本体51に第6及び第7の変形例で用いられたZストッパ705と同様の係止部材を設けて、清掃用カバーの+Y側及び−Y側の側壁部の少なくとも一方をX溝53Xを規定する底面に載置し、他方を該係止部材上に載置する。また、上記第3及び第4の各変形例では、例えば、ホルダ本体51に、その先端が基板載置面よりも上方に突出する複数の突出部を設けて、この複数の突出部の先端上に清掃用カバーを載置する。
【0110】
上記第1の変形例では、清掃用カバー200の天板部201の下面を、波形状としているが、これに限らず、例えば鋸の刃形状としても良いし、また例えば凹凸の間に平坦部があるような形状などの凹凸が交互に並んでいない形状としても良い。要は、天板部の下面に複数の凹凸が形成されれば良い。
【0111】
上記実施形態及び第1、第2、第4及び第5の各変形例では、複数のテーパ部材それぞれを介して清掃用カバー内に圧縮気体が供給されるようになっているが、これに代えて、清掃用カバーの1つのテーパ部材のみを介して圧縮気体を供給するようにしても良い。すなわち、例えば、図4において、保持部材64bの6つの凹部66bのうちの+Y側から数えて1番目、3番目及び5番目の凹部66bのみを配管110を介して気体供給装置に連通させても良い。これにより、2つのテーパ部材101のうちの+Y側のテーパ部材101を介して清掃用カバーに圧縮気体を供給することができる。
【0112】
上記実施形態では、基板ホルダ50を清掃用カバー100に対してY軸方向に相対移動させることにより、清掃用カバー100と基板載置面の中央、+Y側、−Y側の各エリアとの位置合わせを行っているが、これに代えて又はこれに加えて、清掃用カバーを基板ホルダに対しY軸方向に相対移動させて清掃用カバーと基板載置面の上記各エリアとの位置合わせを行っても良い。
【0113】
上記実施形態の清掃用カバー100に形成された内部管路100e、100gのレイアウト、連通孔100fの数などは、一例であって、適宜変更可能である。
【0114】
上記実施形態、並びに上記第1〜第8の各変形例の基板ホルダ50では、配管52、54のレイアウト、溝の数、形状、貫通孔55の数などは、一例であって、適宜変更可能である。
【0115】
上記実施形態、並びに上記第1、第2、第4及び第5の変形例では、清掃用カバーを基板交換装置60を用いて基板ホルダ50上に搬入し、基板ホルダ50上から搬出しているが、これに限らず、例えば、清掃用カバーを専用の搬送装置を用いて搬入及び搬出しても良いし、また清掃用カバーを人手により搬入及び搬出しても良い。なお、清掃用カバーを人手により搬入及び搬出する場合、例えば上記第6及び第7の変形例と同様に基板ホルダ50に清掃用カバーを係止する係止部材(例えばZストッパ705)を設けるなどして、清掃用カバーを基板ホルダ50に安定した状態で設置できるようにすることが好ましい。
【0116】
上記第3の変形例では、清掃用カバー400を一対のフォークハンド405を含む基板交換装置410により基板ホルダ50上に搬入するとともに基板ホルダ50上から搬出しているが、これに限らず、例えば、清掃用カバー400を人手により搬入及び搬出しても良いし、基板交換装置60又は専用の搬送装置を用いて搬入及び搬出しても良い。なお、この搬送装置としては、例えば、清掃用カバー400の上面を吸着保持する複数の吸着パッド、これらの吸着パッドを鉛直及び水平方向に移動させるアクチュエータを含むものなどが挙げられる。また、清掃用カバーを人手により搬入及び搬出する場合、例えば上記第6及び第7の変形例と同様に基板ホルダ50に清掃用カバーを係止する係止部材(例えばZストッパ705)を設けるなどして、清掃用カバーを基板ホルダ50に安定した状態で設置できるようにすることが好ましい。
【0117】
上記第6〜第8の各変形例では、清掃用カバーを人手により基板ホルダ50上に搬入するとともに基板ホルダ50上から搬出しているが、これに限らず、例えば、基板交換装置60を用いて搬入及び搬出しても良いし、専用の搬送装置を用いて搬入及び搬出しても良い。
【0118】
また、照明光は、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)などの紫外光や、F2レーザ光(波長157nm)などの真空紫外光であっても良い。また、照明光としては、例えばDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。また、固体レーザ(波長:355nm、266nm)などを使用しても良い。
【0119】
また、上記実施形態及び各変形例では、投影光学系PLが、複数本の光学系を備えたマルチレンズ方式の投影光学系である場合について説明したが、投影光学系の本数はこれに限らず、1本以上あれば良い。また、マルチレンズ方式の投影光学系に限らず、オフナー型の大型ミラーを用いた投影光学系などであっても良い。
【0120】
また、上記実施形態及び各変形例では投影光学系PLとして、投影倍率が等倍系のものを用いる場合について説明したが、これに限らず、投影光学系は拡大系及び縮小系のいずれでも良い。
【0121】
また、上記実施形態及び各変形例においては、光透過性のマスク基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスクを用いたが、このマスクに代えて、例えば米国特許第6,778,257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて、透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスク(可変成形マスク)、例えば、非発光型画像表示素子(空間光変調器とも呼ばれる)の一種であるDMD(Digital Micro-mirror Device)を用いる可変成形マスクを用いても良い。
【0122】
また、露光装置の用途としては角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置に限定されることなく、例えば半導体製造用の露光装置、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン及びDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるマスク又はレチクルを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。
【0123】
なお、露光対象となる物体はガラスプレートに限られるものでなく、例えばウエハ、セラミック基板、フィルム部材、あるいはマスクブランクスなど、他の物体でも良い。また、露光対象物がフラットパネルディスプレイ用の基板である場合、その基板の厚さは特に限定されず、例えばフィルム状(可撓性を有するシート状の部材)のものも含まれる。
【0124】
また、露光装置は、外径が500mm以上の基板が露光対象物である場合に特に有効である。
【産業上の利用可能性】
【0125】
以上説明したように、本発明の物体保持装置の清掃システム、及び物体保持装置の清掃装置は、物体を保持する物体保持装置の清掃をするのに適している。
【符号の説明】
【0126】
10…液晶露光装置、50…基板ホルダ、52…配管、54…配管、53…格子溝、55…貫通孔、57…貫通孔、60…基板交換装置、90…基板トレイ、100…清掃用カバー、100e、100g…内部管路、100f…連通孔、P…基板、PST…基板ステージ装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体保持装置の清掃システム、及び物体保持装置の清掃装置に係り、更に詳しくは、その上面に物体を保持する物体保持装置を有する物体処理装置における前記物体保持装置の清掃システム、及び前記物体保持装置の清掃装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示素子、半導体素子(集積回路等)等の電子デバイス(マイクロデバイス)を製造するリソグラフィ工程では、例えばステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(いわゆるステッパ)、あるいはステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ(スキャナとも呼ばれる))などが主として用いられている。
【0003】
この種の露光装置としては、露光対象の基板が基板ステージ装置の備えられた基板ホルダの上面(基板載置面)に載置されて露光処理され、その露光済みの基板が基板ホルダ上から搬出された後、次の露光対象基板が基板ホルダ上に搬入されるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このように、基板ホルダ上では基板交換が繰り返し行われるため、基板載置面には、例えば基板と基板ホルダとの摩擦接触による摩耗粉などの塵が付着する。ここで、基板載置面に塵が付着していると、基板ホルダに載置された基板の平坦度が低くなり、露光精度の低下を招く可能性がある。そこで、従来、基板載置面に付着した塵を、例えば柄付き粘着ローラなどの清掃用具を用いて人手により除去していた。
【0005】
しかしながら、近年の基板の大型化に伴い基板ホルダも大型化し、その基板載置面の面積が非常に大きくなっており、上記清掃用具を用いて人手により塵を除去する方法では、基板載置面の清掃に人員を要し、その清掃効率が良くなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,559,928号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の事情の下でなされたもので、第1の観点からすると、その上面に物体を保持する物体保持装置を有する物体処理装置における前記物体保持装置の清掃システムであって、前記物体保持装置の上面の少なくとも一部に対して所定の隙間を介して対向する対向位置と、前記物体保持装置から退避した退避位置との間を移動可能に設けられ、前記対向位置で前記物体保持装置の上面を清掃可能な清掃装置と;前記物体保持装置及び前記清掃装置の少なくとも一方に設けられ、前記隙間に気体を噴出可能な噴出部と;前記物体保持装置及び前記清掃装置の少なくとも一方に設けられ、前記隙間の気体を吸引可能な吸引部と;を備える物体保持装置の清掃システムである。
【0008】
これによれば、清掃装置は、物体保持装置に対して対向位置と退避位置との間を移動可能であり、対向位置に位置した状態では、噴出部により物体保持装置と清掃装置との間の隙間に気体が噴出され、吸引部により物体保持装置と清掃装置との間の隙間の気体が吸引される。従って、基板保持装置の上面に付着していた塵などを除去することができ、例えば人手により清掃を行う場合に比べ、効率に優れる。
【0009】
本発明は、第2の観点からすると、その上面に物体を保持する物体保持装置を有する物体処理装置における前記物体保持装置の清掃装置であって、前記物体保持装置の上面の少なくとも一部に対して所定の隙間を介して対向する対向位置と、前記物体保持装置から退避した退避位置との間を移動可能に設けられ、前記対向位置で前記物体保持装置の上面を清掃可能な清掃部材と;前記隙間に気体を噴出可能な噴出部、及び前記隙間の気体を吸引可能な吸引部の少なくとも一方と;を備える物体保持装置の清掃装置である。
【0010】
これによれば、清掃部材は、物体保持装置に対して対向位置と退避位置との間を移動可能であり、清掃部材が対向位置に位置した状態では、噴出部により物体保持装置と清掃装置との間の隙間に気体が噴出されること、及び吸引部により物体保持装置と清掃装置との間の隙間の気体が吸引されることの少なくとも一方を行うことができる。従って、基板保持装置の上面に付着していた塵などを除去することができ、例えば人手により清掃を行う場合に比べ、効率に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、一実施形態の液晶露光装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】図2(A)は、液晶露光装置で用いられる基板トレイを示す平面図であり、図2(B)は、液晶露光装置が有する基板ホルダ及び基板交換装置を示す平面図である。
【図3】基板ホルダ、基板交換装置及び清掃用カバーの断面図であり、清掃用カバーが基板ホルダにセットされた状態が示されている。
【図4】基板ホルダ、基板交換装置及び清掃用カバーの平面図であり、清掃用カバーが基板ホルダにセットされた状態が示されている。
【図5】図5(A)は、清掃用カバーが基板ホルダにセットされる際の動作を説明するための図である。図5(B)は、基板ホルダ及び基板ホルダにセットされた清掃用カバーの断面図であり、基板ホルダの上面に付着した塵が除去される様子が示されている。
【図6】基板ホルダ、基板交換装置及び保持装置の断面図であり、清掃用カバーが保持装置により保持された状態が示されている。
【図7】図7(A)は、第1の変形例の基板ホルダ及び基板ホルダにセットされた清掃用カバーの断面図であり、対向面間の気体の流れが示されている。図7(B)は、第2の変形例の清掃用カバーを示す断面図である。
【図8】図8(A)、図8(B)並びに図8(C)は、第3の変形例(その1及びその2)並びに第4の変形例の基板ホルダ及び基板ホルダに対向配置された清掃用カバーの断面図であり、基板ホルダの上面に付着した塵が除去される様子が示されている。
【図9】図9は、第5の変形例の清掃用カバーを示す平面図である。
【図10】図10(A)及び図10(B)は、第5の変形例の基板ホルダ及び基板ホルダに対向配置された清掃用カバーの断面図であり、清掃用カバーが基板ホルダにセットされる前後の状態が示されている。
【図11】図11(A)及び図11(B)は、第6の変形例(その1)の基板ホルダ及び清掃用カバーの断面図であり、基板ホルダに清掃用カバーがセットされる前後の状態が示されている。図11(C)は、第6の変形例(その2)の基板ホルダ及び基板ホルダにセットされた清掃用カバーの断面図である。
【図12】第7の変形例の基板ホルダ及び基板ホルダにセットされた清掃用カバーの断面図であり、基板ホルダの上面に付着した塵が除去される様子が示されている。
【図13】図13(A)は、第8の変形例の清掃用カバーの平面図であり、図13(B)は、第8の変形例の清掃用カバーの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、一実施形態について、図1〜図6に基づいて説明する。
【0013】
図1には、一実施形態に係る液晶露光装置10の概略構成が示されている。液晶露光装置10は、例えば液晶表示装置(フラットパネルディスプレイ)などに用いられる矩形(角型)のガラス基板P(以下、単に基板Pと称する)を露光対象物とするステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置、いわゆるスキャナである。
【0014】
液晶露光装置10は、照明系IOP、マスクMを保持するマスクステージMST、投影光学系PL、基板Pを保持する基板ホルダ50を含む基板ステージ装置PST、基板ホルダ50上の基板Pの交換を行う基板交換装置60(図1では不図示。図3など参照)、及びこれらの制御系等を含んでいる。以下においては、露光時にマスクMと基板Pとが投影光学系PLに対してそれぞれ相対走査される方向をX軸方向とし、水平面内でこれに直交する方向をY軸方向、X軸及びY軸に直交する方向をZ軸方向とし、X軸、Y軸、及びZ軸回りの回転(傾斜)方向をそれぞれθx、θy、及びθz方向として説明を行う。
【0015】
照明系IOPは、例えば米国特許第5,729,331号明細書などに開示される照明系と同様に構成されている。すなわち、照明系IOPは、図示しない光源(例えば、水銀ランプ)から射出された光を、それぞれ図示しない反射鏡、ダイクロイックミラー、シャッター、波長選択フィルタ、各種レンズなどを介して、露光用照明光(照明光)ILとしてマスクMに照射する。照明光ILとしては、例えばi線(波長365nm)、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)などの光(あるいは、上記i線、g線、h線の合成光)が用いられる。また、照明光ILの波長は、波長選択フィルタにより、例えば要求される解像度に応じて適宜切り替えることが可能になっている。
【0016】
マスクステージMSTには、回路パターンなどがそのパターン面(図1における下面)に形成されたマスクMが、例えば真空吸着(あるいは静電吸着)により固定されている。マスクステージMSTは、例えばリニアモータを含むマスクステージ駆動系(図示省略)により、走査方向(X軸方向)に所定のストロークで駆動されるとともに、Y軸方向、及びθz方向にそれぞれ適宜微少駆動される。マスクステージMSTのXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報を含む)は、不図示のレーザ干渉計を含むマスク干渉計システムにより計測される。
【0017】
投影光学系PLは、マスクステージMSTの図1における下方において、不図示の装置本体(ボディ)に支持されている。投影光学系PLは、例えば米国特許第5,729,331号明細書に開示された投影光学系と同様に構成されている。すなわち、投影光学系PLは、レンズモジュールなどを含む光学系(鏡筒)を複数有し、その複数の光学系は、Y軸方向に沿って、いわゆる千鳥状に配列されている(マルチレンズ投影光学系とも称される)。複数の光学系それぞれとしては、例えば両側テレセントリックな等倍系で正立正像を形成するものが用いられている。前述の照明系IOPは、複数の光学系に対応した複数の照明光ILをそれぞれマスクMに照射するように構成されている。このため、マスクM上には、千鳥状に配置された複数の照明光ILの照明領域が形成されるとともに、投影光学系PLの下方に配置された基板P上には、複数の光学系それぞれに対応して、千鳥状に配置された複数の照明光ILの照射領域が形成される。液晶露光装置10では、基板P上に形成される複数の照射領域が合成されることにより、千鳥状に配置された複数の光学系から成る投影光学系PLが、Y軸方向を長手方向とする単一の長方形状(帯状)のイメージフィールドを持つ投影光学系と同等に機能する。
【0018】
このため、照明系IOPからの照明光ILによってマスクM上の照明領域が照明されると、マスクMを通過した照明光ILにより、投影光学系PLを介してその照明領域内のマスクMの回路パターンの投影像(部分正立像)が、投影光学系PLの像面側に配置される、表面にレジスト(感応剤)が塗布された基板P上の照明領域に共役な照明光ILの照射領域(露光領域)に形成される。そして、マスクステージMSTと基板ステージ装置PSTとの同期駆動によって、照明領域(照明光IL)に対してマスクMを走査方向(X軸方向)に相対移動させるとともに、露光領域(照明光IL)に対して基板Pを走査方向(X軸方向)に相対移動させることで、基板P上の1つのショット領域(区画領域)の走査露光が行われ、そのショット領域にマスクMのパターンが転写される。すなわち、液晶露光装置10では、照明系IOP及び投影光学系PLによって基板P上にマスクMのパターンが生成され、照明光ILによる基板P上の感応層(レジスト層)の露光によって基板P上にそのパターンが形成される。
【0019】
基板ステージ装置PSTは、定盤12、基板ステージ20などを備えている。
【0020】
定盤12は、平面視で(+Z側から見て)X軸方向を長手方向とする、例えば石材により形成された矩形の板状部材から成り、その上面は、平面度が非常に高く仕上げられている。定盤12は、防振装置13を介して床面F上に設置された装置本体の一部であるベース15上に搭載されている。
【0021】
基板ステージ20は、X粗動ステージ23X、X粗動ステージ23X上に搭載され、X粗動ステージ23Xと共に、いわゆるガントリー式のXY二軸ステージ装置を構成するY粗動ステージ23Y、Y粗動ステージ23Yの+Z側(上方)に配置された微動ステージ21、微動ステージ21上に固定された基板ホルダ50、及び定盤12上で微動ステージ21を下方から支持する重量キャンセル装置30などを含む。
【0022】
X粗動ステージ23Xは、平面視でY軸方向を長手方向とする矩形枠状の部材から成り、その中央部にY軸方向を長手方向とする長孔状の開口部(図示省略)を有している。X粗動ステージ23Xは、X軸方向に延びる不図示のガイド部材上に搭載されており、例えば露光時のスキャン動作時などにリニアモータなどを含むXステージ駆動系によりX軸方向に所定のストロークで駆動される。
【0023】
Y粗動ステージ23Yは、平面視ほぼ正方形の矩形枠状の部材から成り、その中央部に矩形の開口部(図示省略)を有している。Y粗動ステージ23Yは、X粗動ステージ23X上にリニアガイド装置28を介して搭載されており、例えば露光時のステップ動作時などリニアモータなどを含むYステージ駆動系によりX粗動ステージ23X上でY軸方向に所定のストロークで駆動される。また、Y粗動ステージ23Yは、X粗動ステージ23XがX軸方向に所定のストロークで移動する際、X粗動ステージ23Xと一体的にX軸方向に移動する。
【0024】
微動ステージ21は、平面視ほぼ正方形の高さの低い直方体状の部材から成り、Y粗動ステージ23Yの上方に配置されている。微動ステージ21は、それぞれ不図示であるがY粗動ステージ23Yに固定された固定子と、微動ステージ21に固定された可動子とから成る複数のボイスコイルモータ(あるいはリニアモータ)を含む微動ステージ駆動系により、Y粗動ステージ23Y上で6自由度方向(X軸、Y軸、Z軸、θx、θy、θz方向)に微少駆動される。また、微動ステージ21は、上記ボイスコイルモータを介してY粗動ステージ23Yに誘導されることにより、該Y粗動ステージ23Yと共にX軸方向、及び/又はY軸方向にXY平面に沿って所定のストロークで移動する。微動ステージ21のXY平面内の位置情報は、微動ステージ21に固定された不図示の移動鏡(Y軸に直交する反射面を有するY移動鏡と、X軸に直交する反射面を有するX移動鏡とを含む)に測長ビームを照射する不図示の干渉計(Y移動鏡を用いて微動ステージ21のY位置を計測するY干渉計と、X移動鏡を用いて微動ステージ21のX位置を計測するX干渉計とを含む)を含む干渉計システムにより、例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出されている。微動ステージ駆動系、及び干渉計システムの構成については、例えば米国特許出願公開第2010/0018950号明細書に開示されている。
【0025】
基板ホルダ50は、微動ステージ21の上面上に固定されている。基板ホルダ50は、その上面に載置された基板Pを吸着保持し、該基板Pを平坦に矯正する。基板ホルダ50の構成については、後に詳しく説明する。
【0026】
重量キャンセル装置30は、Z軸方向に延びる一本の柱状の部材から成り、レベリング装置32と称される装置を介して、微動ステージ21を水平面に対してチルト可能(XY平面に平行な軸線周りに微少角度回転可能)な状態で下方から支持している。重量キャンセル装置30は、X粗動ステージ23X、及びY粗動ステージ23Yそれぞれの開口部内に挿入されている。重量キャンセル装置30は、その下端部に複数のエアベアリング33を有しており、定盤12上に微少なクリアランスを介して浮上支持されている。重量キャンセル装置30は、そのZ軸方向に関する重心高さ位置で複数の連結装置34を介してY粗動ステージ23Yに接続されている。連結装置34は、重量キャンセル装置30の+X側、−X側、+Y側、及び−Y側それぞれに設けられている(+Y側の連結装置34は図示省略)。これにより、重量キャンセル装置30は、Y粗動ステージ23Yと一体的にY軸方向、及び/又はX軸方向に定盤12上で移動する。
【0027】
重量キャンセル装置30は、不図示の空気ばねを有しており、空気ばねが発生する鉛直方向上向きの力により、微動ステージ21、レベリング装置32、基板ホルダ50などの重量(鉛直方向下向きの力)をキャンセルし、これにより微動ステージ駆動系が有するボイスコイルモータの負荷を軽減する。なお、図1では模式化されて示されているが、レベリング装置32、及び連結装置34を含み、重量キャンセル装置30の詳細な構成、及び動作については、例えば米国特許出願公開第2010/0018950号明細書などに開示されている。
【0028】
ここで、液晶露光装置10において、基板ホルダ50への基板Pの搬入(ロード)、及び基板ステージ20からの基板Pの搬出(アンロード)は、基板Pを基板トレイ90上に載置した状態で基板交換装置60(図2(B)参照)を用いて行われる。
【0029】
基板トレイ90は、図2(A)に示されるように、X軸方向に延び、かつY軸方向に所定間隔で配置された複数(例えば4本)の支持部材95、Y軸方向に延び、かつX軸方向に所定間隔で配置された複数(例えば3本)の補剛部材96、及び複数(例えば2本)の連結部材97とを含む。3本の補剛部材96それぞれは、4本の支持部材95それぞれのX軸方向中間部の上面に形成された溝(不図示)に挿入された状態で該中間部に固定されている。+X側の連結部材97は、4本の支持部材95の+X端部それぞれの上面に形成された溝(不図示)にその一部が挿入された状態で固定されており、4本の支持部材95を連結している。また、−X側の連結部材97は、4本の支持部材95の−X端部それぞれの上面に形成された溝(不図示)にその一部が挿入された状態で固定されており、4本の支持部材95を連結している。+X側及び−X側の連結部材97間の間隔は、基板PのX軸方向の寸法よりも幾分長く設定されている。すなわち、基板トレイ90は、複数の細長い部材が組み合わされて格子状に形成されており、4本の支持部材95を用いて基板Pを下方から支持する。また、4本の支持部材95それぞれの−X端部には、−X側が+X側よりも細くなるテーパ面を有するテーパ部材94a(円錐台状の部材)が取り付けられており、4本の支持部材95それぞれの+X端部には、+X側が−X側よりも細くなるテーパ面を有するテーパ部材94bが取り付けられている。
【0030】
基板ホルダ50は、図5(A)に示されるように、高さの低い略直方体形状の外形を有するほぼ中空のホルダ本体51と、該ホルダ本体51にそれぞれ複数系統設けられた配管52、54とを含む。
【0031】
図2(B)に示されるように、ホルダ本体51の天板部分51aには、+Z側に開口する平面視格子状の一連の格子溝53が形成されている。格子溝53は、X軸方向に延び、かつY軸方向に所定間隔で形成された複数(例えば2つ)のX溝53Xと、Y軸方向に延び、かつX軸方向に所定間隔で形成された複数(例えば3つ)のY溝53Yとから成る。すなわち、ホルダ本体51の上面(基板載置面)は、2つのX溝53Xと3つのY溝53Yとにより12個の矩形領域に区画されている。
【0032】
2つのX溝53Xは、基板トレイ90(図2(A)参照)の隣接する支持部材95の間隔に対応する間隔で(基板載置面をY軸方向にほぼ3等分する間隔で)並んでおり、かつそれぞれが対応する支持部材95を挿入可能な均等な深さ及び幅を有している。X溝53Xの深さ寸法は、支持部材95の厚み(高さ寸法)よりも長い。また、X溝53Xは、その長さがホルダ本体51のX軸方向寸法と同じであり、ホルダ本体51の+X端及び−X端において開口している。3つのY溝53Yは、基板トレイ90の3つの補剛部材96に対応する間隔で並んでおり、かつそれぞれが対応する補剛部材96を挿入可能な均等な深さ及び幅を有している。また、Y溝53Yは、その長さがホルダ本体51のY軸方向寸法と同じであり、ホルダ本体51の+Y端及び−Y端において開口している。
【0033】
したがって、基板Pを支持する基板トレイ90をホルダ本体51の真上に位置させた状態から下降させると、そのY軸方向の中間にある2本の支持部材95及び3本の補剛部材96が格子溝53内に挿入(収容)されるとともに、その最も+Y側及び最も−Y側の支持部材95、並びに2つの連結部材97がホルダ本体51の外縁の外側に位置される(なお、Y溝53Yの深さ寸法は、支持部材95がX溝53X内に収容された状態で補剛部材96を収容可能な長さに設定されている)。この際、基板Pを支持する4本の支持部材95の上面(基板支持面)のZ位置が基板載置面のZ位置よりも低くなり、基板Pのみが基板載置面上に載置される。なお、図5(A)及び図5(B)では、図示の便宜上、Y溝53Yは2つのみ示されているが、図3及び図4に示されるように、実際には3つある。
【0034】
ホルダ本体51の天板部分51aには、図5(A)に示されるように、その基板載置面の12個の矩形領域(図2(B)参照)それぞれに開口するZ軸方向に貫通する複数(9つ)の貫通孔55が形成されている。詳述すると、天板部分51aにおける上記12個の矩形領域それぞれに対応する箇所には、貫通孔55がX軸方向に所定間隔で3つ並んで成る貫通孔列がY軸方向に所定間隔で3列並んでいる(図5(A)では、この3つの貫通孔列がY軸方向に重なっている)。また、天板部分51aにおけるY溝53Y直下の箇所(但し、図2(B)に示されるX溝53XとY溝53Yとの交差部を除く)には、Z軸方向に延び、かつY溝53Yを規定する底面に開口する複数(例えば9つ)の貫通孔57が形成されている。詳述すると、貫通孔57は、図2(B)に示されるように、Y溝53Yにおける2つのX溝53Xにより分断される3つの領域それぞれにY軸方向に所定間隔で3つ並んでいる。なお、図5(A)及び図5(B)では、図示の便宜上、基板載置面のX軸方向に並ぶ矩形領域は、3つのみが示されているが、図2(B)及び図3に示されるように、実際には4つある。
【0035】
配管52は、図5(A)に示されるように、その一端部が図示しない気体吸引装置(バキューム装置)及び気体供給装置(例えばコンプレッサ)に選択的に接続されたXY平面に平行に延びる横配管52aと、該横配管52aの他端部及び中間部に分岐接続され、ホルダ本体51内における上記12個の矩形領域それぞれの下方に収容されたZ軸方向に延びる複数(例えば9本)の縦配管52bとを有する。これら9本の縦配管52bは、ホルダ本体51の天板部分51aに形成された9つの貫通孔55に個別に対応して配置されており、それぞれが対応する貫通孔55に連通している。配管52は、露光動作などの通常時には、上記気体吸引装置に接続され、これにより、基板載置面上に載置された基板Pが適宜真空吸着される。また、配管52は、後述する基板ホルダ50の清掃時に上記気体供給装置に接続される。そして、気体供給装置が駆動されることにより、配管52、複数(例えば108個)の貫通孔55それぞれを介して圧縮気体がホルダ本体51の上方に噴出される。
【0036】
配管54は、上記気体吸引装置にその一端部が接続されたXY平面に平行に延びる横配管54aと、該横配管54aの他端部及び中間部に分岐接続され、ホルダ本体51内における3つのY溝53Yそれぞれの直下(但し、X溝53XとY溝53Yとの交差部を除く)に収容されたZ軸方向に延びる複数(例えば9本)の縦配管54bとを有する。これら9本の縦配管54bは、3つのY溝53Yそれぞれを規定する底面に開口する9個の貫通孔57に個別に対応して配置されており、それぞれが対応する貫通孔57に連通している。したがって、上記気体吸引装置が駆動されることにより、基板載置面上の気体が、複数(例えば27個)の貫通孔57、配管54を介して上記気体吸引装置に吸引される。
【0037】
基板交換装置60は、図3に示されるように、第1搬送ユニット61a、第2搬送ユニット61bを含む。第1搬送ユニット61aは、基板ステージ装置PST(図1参照)の上方であって、投影光学系PL(図1参照)の+X側に配置されている。基板ステージ20は、基板Pの交換を行うために定盤12の+X端部上方の所定位置(以下、基板交換位置と称する)に移動すると、第1搬送ユニット61aの下方に位置する。
【0038】
第2搬送ユニット61bは、第1搬送ユニット61aの+X側に、架台80上に搭載された状態で配置されている。架台80は、その上面がXY平面に平行になるように床面F(図1参照)上に設置されている。第2搬送ユニット61bは、図2(B)に示されるように、一対のXガイド部材62b、一対のXガイド部材62bそれぞれに対応して設けられた一対のXスライド部材63b、及び基板トレイ90(図2(A)参照)の+X側の端部を保持する保持部材64bを有する。
【0039】
一対のXガイド部材62bそれぞれは、X軸方向に延びる部材から成り、Y軸方向に所定間隔で配置されている。Xガイド部材62bは、後述する昇降装置67により上下動される。なお、図3では、−Y側のXガイド部材62bは+Y側のXガイド部材62bに対し紙面手前側に配置されている。
【0040】
一対のXスライド部材63bそれぞれは、図3に示されるように、対応するXガイド部材62bに対してX軸方向にスライド可能な状態で、Xガイド部材62bの内側面(+Y側のXガイド部材62bの−Y側面、−Y側のXガイド部材62bの+Y側面)に機械的に係合している。Xスライド部材63bは、対応するXガイド部材62bに取り付けられたモータを含むボールねじ装置により、X軸方向に所定のストロークで駆動される。なお、Xスライド部材63aを駆動する駆動装置としては、リニアモータ、ベルト駆動装置、ワイヤ駆動装置などを用いることもできる。
【0041】
保持部材64bは、Y軸方向に延びるXZ断面矩形の棒状の部材から成り、支持部材65を介してXスライド部材63bに吊り下げ状態で固定されている。保持部材64bの−X側の面には、+X側が−X側よりも狭くなるテーパ面により規定される凹部66bがY軸方向に所定間隔で複数(例えば6つ)形成されている(図2(B)参照)。これに対し、基板トレイ90(図2(A)参照)の4つのテーパ部材94bそれぞれは、+X側の連結部材97に対し、最も+Y側及び最も−Y側の2つの凹部66b、並びにY軸方向中央の2つの凹部66b(+Y側から数えて3番目及び4番面の2つの凹部66b)に個別に対応する位置に配置されている。保持部材64bは、これらの4つの凹部66bそれぞれに、対応するテーパ部材94bが挿入されることにより、基板トレイ90の+X端部を保持する。また、図2(B)に示されるように、保持部材64bにおける複数(例えば6つ)の凹部66bそれぞれに対応する箇所には、複数系統(例えば6系統)の可撓性を有する配管110(例えば、フレキシブルチューブ)それぞれの一端が接続されている。6系統の配管110それぞれの他端は、図示しない気体供給装置(例えばコンプレッサ)に例えば電磁弁などを介して接続されており、保持部材64bの6つの凹部66bそれぞれに個別に圧縮気体を供給可能になっている。
【0042】
昇降装置67は、一対のXガイド部材62bそれぞれに対応して各1つ設けられている(図3では、−Y側の昇降装置67は+Y側の昇降装置67に対し紙面手前側に配置されている)。昇降装置67は、複数(例えば一対)のスライド機構69、一対のスライド機構69を作動させる送りねじ装置71などを有する。
【0043】
一対のスライド機構69は、架台80とXガイド部材62bとの間にX軸方向に離間して配置されている。スライド機構69は、架台80の上面に固定されたXY平面に平行な板状部材から成るベース73、該ベース73上に配置された複数(例えば一対)のスライド部材75、77などを含む。スライド部材75は、ベース73の上面に固定されたX軸方向に延びるXガイド部材73aにX軸方向にスライド可能に支持されている。スライド部材75の上面は+X側が−X側よりも高くなるように傾斜している。スライド部材77は、スライド部材75の上方に位置するようにXガイド部材62bの下面に固定されている。スライド部材77は、その下面がスライド部材75の上面と平行になっており、スライド部材75の上面に固定されたガイド部材75aにスライド部材75の上面の傾斜方向に沿ってスライド可能に係合している。スライド部材77は、ベース73の上面に固定されたZガイド79にZ軸方向にスライド可能に係合している。一対のスライド機構69それぞれのスライド部材75は、棒状の連結部材71bにより機械的に連結されており、一体的にX軸方向に移動する。
【0044】
送りねじ装置71は、その外周に雄ねじが形成されたX軸方向に延びる棒状の雄ねじ部材71aを有する。雄ねじ部材71aは、+X側のスライド機構69のスライド部材75に固定されたナットに螺合しており、モータなどを含む駆動装置85により回転駆動されるようになっている。送りねじ装置71は、主制御装置により制御される。
【0045】
以上のように構成される昇降装置67では、図3に示される状態から、駆動装置85により雄ねじ部材71aが、X軸周りの一方向に回転駆動されると、+X側及び−X側のスライド部材75が−X方向に移動し、+X側及び−X側のスライド部材77、Xガイド部材62b及び保持部材64bが上昇する(図6参照)。また、図6に示される状態から、駆動装置85により雄ねじ部材71a(図6では不図示)が、X軸周りの他方向に回転駆動されると、+X側及び−X側のスライド部材75が+X方向に移動し、+X側及び−X側のスライド部材77、Xガイド部材62b及び保持部材64bが下降する(図3参照)。
【0046】
第1搬送ユニット61aの構成は、図2(B)に示されるように、保持部材64aの−X側の面に6つの凹部66aが形成されている点を除き、第2搬送ユニット61bと概ね同じである。すなわち、第1搬送ユニット61aは、図示しない架台上に搭載されており、一対のXガイド部材62a、一対のXガイド部材62aに対応して設けられた一対のXスライド部材63a、基板トレイ90の−X側の端部を保持する保持部材64a、一対のXガイド部材62aそれぞれを上下動させる、昇降装置67と同じ構成の昇降装置(不図示)などを有している。なお、図6に示される状態では、保持部材64a、64bそれぞれは、その移動上限位置にあり、移動上限位置にある両保持部材64a、64bにより基板トレイ90を保持した場合、基板トレイ90を基板載置面よりも高い位置に位置させることができる。
【0047】
以上より、基板交換装置60は、第1搬送ユニット61aの保持部材64a及び第2搬送ユニット61bの保持部材64bにより、基板Pを支持した基板トレイ90の−X端部(テーパ部材94a)及び+X端部(テーパ部材94b)を保持(狭持)した状態で、両保持部材64a、64bを同期してX軸及びZ軸方向に移動させることにより、基板ホルダ50との間で基板Pの交換(受け渡し)を行う。
【0048】
ここで、上述の基板Pの交換の際、搬入される基板Pの裏面に元から付着していた塵Dが基板ホルダ50の上面に付着したり、基板ホルダ50と基板Pとの摩擦接触により発生した塵Dが基板載置面に付着することがある(図5(A)参照)。基板載置面に塵Dが付着していると、基板載置面上に載置された基板Pの平坦度が低くなり、露光精度の低下を招く。そこで、本実施形態では、基板載置面を適宜清掃するために、基板ホルダ50の清掃システムを導入している。清掃システムは、清掃用カバー100、上述した基板ホルダ50、基板交換装置60などにより構成される。
【0049】
清掃用カバー100は、図3及び図4を統合すると分かるように、X軸方向を長手方向とするXZ断面及びYZ断面が略逆U字状の高さの低い箱形の部材から成る。すなわち、清掃用カバー100には、図5(A)に示されるように、−Z側に開口する浅く大きな直方体状の凹部100aが形成されている。清掃用カバー100を構成するXY平面に平行な天板部100b、+X側及び−X側の側板部100c、+Y側及び−Y側の側板部100dは一体に成形されても良いし、別体に成形されても良い(図5(A)では−Y側の側板部100dは不図示、図4参照)。
【0050】
図4に示されるように、清掃用カバー100の+Y側及び−Y側の側板部100dの間隔は、基板ホルダ50の2つのX溝53Xに対応する間隔に設定されている。また、清掃用カバー100の+Y側及び−Y側の側板部100dそれぞれの厚みは、X溝53Xの幅よりも小さくなっている。清掃用カバー100の+X側及び−X側の側板部100c間の間隔は、ホルダ本体51のX軸方向の寸法よりも幾分大きくなっている。
【0051】
したがって、清掃用カバー100を、その+Y側及び−Y側の側板部100dそれぞれが、対応するX溝53X上に位置するように、かつその+X側及び−X側の側板部100cそれぞれがホルダ本体51の+X側近傍及び−X側近傍の上方に位置するように配置した状態(以下、第1配置状態と称する)から降下させると、+Y側及び−Y側の側板部100dそれぞれが、対応するX溝53X内に挿入されるとともに、+X側及び−X側の側板部100cそれぞれがホルダ本体51の+X側近傍及び−X側近傍に位置し、基板載置面の中央エリア(基板載置面における2つのX溝53Xにより区画される3つのエリアのうちの中央のエリア)が清掃用カバー100の凹部100a内に収容された第1の収容状態となる(図4及び図5(B)参照)。
【0052】
また、清掃用カバー100を、その+Y側の側板部100dがホルダ本体51の+Y側近傍の上方に位置するとともに、その−Y側の側板部100dが+Y側のX溝53X上に位置するように、かつその+X側及び−X側の側板部100cそれぞれがホルダ本体51の+X側近傍及び−X側近傍の上方に位置するように配置した状態(以下、第2配置状態と称する)から降下させていくと、+Y側の側板部100dがホルダ本体51の+Y側近傍に位置し、かつ−Y側の側板部100dが+Y側のX溝53X内に挿入されるとともに、+X側及び−X側の側板部100cそれぞれがホルダ本体51の+X側近傍及び−X側近傍に位置し、基板載置面の+Y側エリア(基板載置面における2つX溝53Xにより区画される3つのエリアのうちの+Y側のエリア)が清掃用カバー100の凹部100a内に収容された第2の収容状態となる。
【0053】
また、清掃用カバー100を、その−Y側の側板部100dがホルダ本体51の−Y側近傍の上方に位置するとともに、その+Y側の側板部100dがホルダ本体51の−Y側のX溝53X上に位置するように、かつその+X側及び−X側の側板部100cそれぞれがホルダ本体51の+X側近傍及び−X側近傍の上方に位置するように配置した状態(以下、第3配置状態と称する)から降下させていくと、−Y側の側板部100dがホルダ本体51の−Y側近傍に位置し、かつ+Y側の側板部100dが−Y側のX溝53X内に挿入されるとともに、+X側及び−X側の側板部100cそれぞれがホルダ本体51の+X側近傍及び−X側近傍に位置し、基板載置面の−Y側エリア(基板載置面における2つX溝53Xにより区画される3つのエリアのうちの−Y側のエリア)が清掃用カバー100の凹部100a内に収容された第3の収容状態となる。
【0054】
以上のようにして、清掃用カバー100は、2つのX溝53Xにより区画される基板載置面の3つのエリア(中央エリア、+Y側エリア、−Y側エリア)それぞれ(各エリアはX軸方向に並ぶ4つの矩形領域から成る)を上方及び側方から個別に覆うことができる。
【0055】
ここで、X溝53Xの深さは、凹部100aの深さよりも、浅く設定されており、上記第1〜第3の収容状態それぞれにおいて、清掃用カバー100の天板部100bの下面とホルダ本体51の上面(基板載置面)との間(以下、対向面間とも称する)には、所定のクリアランスが形成される(図5(B)参照)。
【0056】
また、図5(A)に示されるように、清掃用カバー100の天板部100b内には、XY平面に平行に延びる内部管路100eと、Z軸方向に延び、内部管路100eと凹部100aとを連通させる連通孔100fが形成されている。内部管路100eは、例えば、清掃用カバー100の長手方向(X軸方向)のほぼ全域に亘って延びる主管路と、該主管路から分岐した複数の分岐管路とを含む。複数の連通孔100fは、X軸及びY軸方向に所定間隔で並んでおり、それぞれ主管路又は分岐管路に連通している。詳述すると、連通孔100fは、図5(B)に示されるように、清掃用カバー100が基板ホルダ50にセットされた状態で、清掃用カバー100における基板載置面の最も+X側及び最も−X側の矩形領域それぞれに対応する第1及び第2の箇所に例えば各9個配列されている。また、連通孔100fは、清掃用カバー100における基板載置面のX軸方向中央の2つの矩形領域それぞれに対応する第3及び第4の箇所に例えば各12個配列されている。更に詳述すると、清掃用カバー100の上記第1及び第2の箇所それぞれには、連通孔100fがX軸方向に所定間隔で3つ並んで成る連通孔列がY軸方向に所定間隔で3列あり、清掃用カバー100の上記第3及び第4の箇所それぞれには、連通孔100fがX軸方向に所定間隔で4つ並んで成る連通孔列がY軸方向に所定間隔で3列ある。なお、図5(B)に示される状態、すなわち清掃用カバー100により基板載置面の上記3つのエリアそれぞれを個別に上方及び側方から覆った状態では、清掃用カバー100に形成された連通孔100fと、ホルダ本体51に形成されたか貫通孔55とは、それぞれのX位置が異なるように配列されている。
【0057】
清掃用カバー100の+X側の側板部100c内には、内部管路100eに接続され、YZ平面に平行に延びる内部管路100gが形成されている。内部管路100gは、例えば、Y軸方向に延びる主管路と、主管路から分岐したZ軸方向に延びる複数(例えば2つ)の分岐管路とを含む。清掃用カバー100の+X側の側板部100cの+X端面には、保持部材64bの凹部66bに嵌合する+X側が−X側よりも細くなるテーパ形状を有する複数(例えば2つ)のテーパ部材101が、隣接する凹部66bに対応する間隔でY軸方向に離間して固定されている(図4参照)。テーパ部材101には、X軸方向に延びる貫通孔101aが形成されており、該貫通孔101aは、内部管路100gの分岐管路に連通している。また、清掃用カバー100の−X側の側板部100cの−X端面には、保持部材64aの凹部66aに嵌合する−X側が+X側よりも細くなるテーパ形状を有する複数(例えば2つ)のテーパ部材103が、隣接する凹部66aに対応する間隔でY軸方向に並べて固定されている(図4)。
【0058】
上述のようにして構成された液晶露光装置10(図1参照)では、不図示の主制御装置の管理の下、不図示のマスク搬送装置(マスクローダ)によって、マスクステージMST上へのマスクMのロードが行われる。また、基板交換装置60によって、基板ホルダ50上への基板Pの搬入(ロード)が行なわれる。詳述すると、露光対象の基板Pは、基板トレイ90上に載置された状態で図示しない搬送装置により基板交換装置60の第1搬送ユニット61a及び第2搬送ユニット62bに基板トレイ90ごと受け渡され、第1搬送ユニット61a及び第2搬送ユニット62bにより、基板交換位置に待機する基板ステージ20の基板ホルダ50に基板トレイ90ごと載置される。このとき、基板トレイ90はその一部(支持部材95及び補剛部材96)が基板ホルダ50の格子溝53内に収容され、基板Pのみが基板ホルダ50の基板載置面上に載置される。そして、気体吸引装置が駆動されることにより、配管52内及び複数の貫通孔55内が減圧されて、基板Pが基板載置面に吸着保持される。これにより、基板Pが基板載置面に倣うように平坦に矯正されるとともに、基板ホルダ50が加速又は減速される際の基板Pの基板載置面上での位置ずれを抑制される。その後、主制御装置により、不図示のアライメント検出系を用いてアライメント計測が実行され、アライメント計測の終了後、露光動作が行なわれる。この露光動作は従来から行われているものと同様であるのでその詳細な説明は省略するものとする。露光済みの基板Pは、搬入時と逆の手順で、基板交換装置60により基板ホルダ50上から搬出(アンロード)され、搬送装置に受け渡される。そして、搬送装置により搬送された別の基板Pが、基板交換装置60に受け渡されて基板ホルダ50上に搬入(ロード)される。このように、液晶露光装置10では、基板ホルダ50上の基板Pの交換が繰り返し行われることにより、複数枚の基板Pに連続して露光処理が行われる。
【0059】
ここで、例えば上記露光処理の合間(具体的には、例えば基板Pが30枚露光処理される毎に1回)などに、主制御装置の指示の下、清掃システムにより基板ホルダ50の清掃が行われる。この清掃は、清掃用カバー100を用いて行われる。清掃用カバー100は、清掃が行われないときには、図6に示されるように、専用の保持装置150により基板交換装置60の上方(第2搬送ユニット61b寄りの上方)の待機位置に保持されている。保持装置150は、Z軸方向に伸縮可能な複数(例えば2つ)のエアシリンダ150aと、該エアシリンダ150aそれぞれのロッドの先端(下端)に各1つ取り付けられた吸着パッド150bとを含む。すなわち、保持装置150は、清掃用カバー100を、2つの吸着パッド150bにより例えば真空吸引などにより吸着保持し、2つのエアシリンダ150aにより上下動させることができる。保持装置150のエアシリンダ150a及び吸着パッド150bは、主制御装置により制御される。清掃用カバー100は、保持装置150により待機位置に保持された状態で、その+Y側及び−Y側の側板部100dのY位置が、それぞれ基板ホルダ50の+Y側及び−Y側のX溝53XのY位置に一致している。また、この状態で、2つのテーパ部材101のY位置と、保持部材64bの6つの凹部66bのうちの中央の2つの凹部66b(+Y側から数えて3番目及び4番面の2つの凹部66b)のY位置は概ね一致しており、2つのテーパ部材103のY位置と、保持部材64aの6つの凹部66aのうちの中央の2つの凹部66a(+Y側から数えて3番目及び4番面の2つの凹部66a)のY位置は概ね一致している。すなわち、清掃用カバー100は、保持装置150により保持された状態で、そのY位置が、基板載置面の中央エリアのY位置に一致している。
【0060】
以下に、本実施形態の清掃システムによる基板ホルダ50の清掃手順を説明する。先ず、主制御装置は、基板ステージ20(図1参照)を基板交換位置に位置させる。また、主制御装置は、図6に示されるように、+X側の保持部材64bをそのX軸方向の移動範囲の+X端に位置させるとともに−X側の保持部材64aをそのX軸方向の移動範囲の+X端付近に位置させる(但し、−X側の保持部材64aは、保持部材64a、64b間に清掃用カバー100が挿入可能となる位置に位置させる)。次いで、主制御装置は、保持装置150の複数のエアシリンダ150aを同期駆動して待機位置にある清掃用カバー100を降下させるとともに、第1搬送ユニット61aの昇降装置及び第2搬送ユニット61bの昇降装置67(以下、複数の昇降装置と称する)を同期駆動して保持部材64a及び保持部材64bそれぞれをその移動上限位置まで上昇させて、テーパ部材101、103と、対応する保持部材64b、64aとをほぼ同じ高さに位置させる。そして、主制御装置は、保持部材64a、64bを、それぞれ+X方向、−X方向に移動させて、保持部材64aの中央の2つの凹部66aそれぞれを対応するテーパ部材103に嵌合させるとともに保持部材64bの中央の2つの凹部66bそれぞれを対応するテーパ部材101に嵌合させて、2つのテーパ部材101、103により清掃用カバー100を狭持(保持)させた後、保持装置150の吸着パッド150bによる清掃用カバー100の吸着を解除する。この状態から、主制御装置は、保持部材64a、64bを−X方向へ同期移動させて、清掃用カバー100を、基板載置面の中央エリアの真上に位置させる(上記第1配置状態)。そして、主制御装置は、複数の昇降装置を同期駆動し、清掃用カバー100を下降させて、清掃用カバー100により基板載置面の中央エリアを覆う。
【0061】
ここで、主制御装置は、上記気体供給装置を駆動してテーパ部材101に嵌合する凹部66bに連通する配管110に圧縮気体を供給する。これにより、テーパ部材101の貫通孔101aを介して清掃用カバー100の内部配管100g、100eに圧縮気体が供給され(図5(B)の矢印S1参照)、複数の連通孔100fから対向面間に該圧縮気体が噴出される(図5(B)の矢印S2参照)。また、主制御装置は、配管52を上記気体供給装置に接続した後、該気体供給装置を駆動して配管52に圧縮気体を供給する(図5(B)の矢印T1参照)。これにより、複数の貫通孔55から対向面間に該圧縮気体が噴出される(図5(B)の矢印T2参照)。また、主制御装置は、上記気体吸引装置を駆動して配管54内及び貫通孔57内を減圧して、対向面間から気体を吸引する。なお、上記気体供給装置及び気体吸引装置の駆動は、ほぼ同時に行われる。連通孔100f及び貫通孔55から噴出された圧縮気体は、対向面間で激しく撹拌されて、基板載置面の中央エリアに付着した塵Dを伴い(巻き上げ)、Y溝53Y、貫通孔57、配管54を介して気体吸引装置に吸引される(図5(B)の矢印U1及び矢印U2参照)。主制御装置は、上記気体供給装置及び上記気体吸引装置の駆動を開始してから所定時間(例えば、数秒〜数十秒)経過後、これらの駆動を停止する。以上のように、清掃システムでは、清掃用カバー100、基板ホルダ50、基板交換装置60などが協働して、基板載置面の中央エリアに付着した塵Dを自動的に除去する(中央エリアの清掃を行う)。
【0062】
そして、中央エリアの清掃終了後、主制御装置は、清掃用カバー100を複数の昇降装置により上昇させて、基板ホルダ50から離脱させた後、Y粗動ステージ23YをX粗動ステージ23Xに対し+Y方向に駆動して基板ホルダ50を+Y方向に移動させることにより、基板載置面の−Y側エリアを清掃用カバー100の真下に位置させる(上記第2配置状態)。そして、複数の昇降装置により清掃用カバー100を下降させて基板載置面の−Y側エリアを清掃用カバー100で覆い、上記と同じ要領で基板載置面の−Y側エリアに付着した塵Dを除去する。−Y側エリアの清掃終了後、主制御装置は、複数の昇降装置により清掃用カバー100を基板ホルダ50から離脱させ、Y粗動ステージ23Yを駆動して基板ホルダ50を−Y方向に移動させることにより、基板載置面の+Y側エリアを清掃用カバー100の真下に位置させる(上記第3配置状態)。そして、複数の昇降装置により清掃用カバー100を下降させて基板載置面の+Y側エリアを清掃用カバー100で覆い、上記と同じ要領で基板載置面の+Y側エリアに付着した塵Dを除去する。+Y側エリアの清掃終了後、主制御装置は、複数の昇降装置により清掃用カバー100を基板ホルダ50から離脱させ、Y粗動ステージ23Yを+Y方向に駆動して基板ホルダ50を+Y方向に移動させることにより、基板載置面の中央エリアを清掃用カバー100の真下に位置させる。そして、基板載置面の中央エリアを清掃用カバーで覆った手順とほぼ逆の手順で、清掃用カバー100を待機位置に移動させて、基板載置面の全エリアの清掃が完了する。なお、基板載置面の清掃は、必ずしも、中央エリア、−Y側エリア、+Y側エリアの順にする必要はなく、その順番は、適宜変更可能である。
【0063】
以上説明した本実施形態に係る液晶露光装置10によると、基板ホルダ50の基板載置面の一部を清掃用カバー100で上方から覆った状態で、基板載置面及び清掃用カバー100の天板部100b下面それぞれに向けて圧縮気体を噴出させている。これにより、基板載置面と天板部100b下面との間(対向面間)で気体を激しく撹拌し、基板載置面における天板部100bに対向する領域に付着した塵Dを巻き上げて、この撹拌された気体中に取り込むことができる。そして、対向面間から気体と共にこの塵Dを吸引することにより塵Dを除去することができる。これにより、基板ホルダ50に載置される基板Pの平坦度が低下することが防止され、ひいては露光精度の低下が抑制される。
【0064】
また、上述の如く対向面間で気体が激しく撹拌されるので、基板載置面における天板部100b下面に対向する領域の噴流が直接当たらない箇所に付着した塵Dをも除去することができ、基板載置面における天板部100b下面に対向する領域全体を満遍なく清掃することができる。
【0065】
また、清掃システムが、大面積を有する基板載置面の+Y側、中央、−Y側の3つのエリアそれぞれを個別に自動的に清掃用カバー100で覆うことにより、基板載置面全体の凡そ1/3の面積を有するエリアを一遍に清掃できるので、基板載置面を、例えば柄付き粘着ローラなどの清掃用具を用いて人手により清掃する場合に比べ、清掃に要する人員、時間及び手間を少なくすることができる(清掃効率に優れる)。
【0066】
また、清掃用カバー100により基板載置面を上方から覆うとともに側方から覆っているので、基板載置面と対向面との間で撹拌された気体及び塵Dが対向面間から外部に流出することが防止される。
【0067】
また、基板ホルダ50における基板トレイ90の一部を収容するためのX溝53Xに清掃用カバー100の側板部100dを挿入することにより、基板載置面の各エリアを側方から覆っている。すなわち、基板ホルダ50に清掃用カバー100の側板部100dを挿入するための専用の溝を形成することなく、基板載置面の各エリアを清掃用カバー100で側方から覆うことができる。
【0068】
また、基板Pの交換に用いられる基板交換装置60を用いて清掃用カバー100を基板ホルダ50に対し着脱できるので、清掃用カバー100を基板ホルダ50に対し着脱するための専用の搬送装置を必要としない。
【0069】
また、例えば柄付き粘着ローラなどの清掃用具を用いて人手により清掃する場合に比べ、清掃に用いられる部材(例えば清掃用カバー100)が、基板ホルダ50周辺に設けられたX反射鏡、Y反射鏡、基準指標などの精密部品に接触するおそれがないので、これらの位置ずれ、破損などが防止される。
【0070】
また、例えば柄付き粘着ローラを用いて基板載置面を清掃する場合、基板ホルダ50のX溝53X及びY溝53Yの縁に粘着ローラが衝突して、基板ホルダ50及び粘着ローラが損傷したり、基板ホルダ50に衝撃を与えることにより、基板ホルダ50の周辺に設けられたX反射鏡、Y反射鏡、基準指標などの精密部品などが位置ずれするおそれがあるが、本実施形態では、基板ホルダ50に対し非接触で清掃を行うので、そのようなおそれがない。
【0071】
また、図示は省略されているが、基板ステージ装置PSTの構成上、基板ホルダ50は、投影光学系PLを支持する装置本体の一部の下方から完全に外れた位置に位置させることができないので、例えば柄付き粘着ローラなどの清掃用具を用いて基板載置面を清掃する場合、基板ホルダ50と投影光学系PLを支持する装置本体の一部との間の高さ方向の狭いスペースで清掃用具を操作しなければならず、その作業性の悪さが問題となっていた。本実施形態では、上述の如く清掃システムが自動的に(人手によらず)清掃するので、このような問題は生じない。
【0072】
次に、上記実施形態のいくつかの変形例について説明する。以下の変形例では、上記実施形態で説明した部材と同様の構成及び機能を有する部材には、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0073】
《第1の変形例》
第1の変形例の液晶露光装置では、上記実施形態と比べ、清掃システムの構成が異なるのみなので、以下、清掃システムについてのみ説明する。第1の変形例の清掃システムでは、上記実施形態に比べ、清掃用カバーの構成が異なる。すなわち、第1の変形例の清掃用カバー200は、上記実施形態と比べ、図7(A)から分かるように、その外形はY軸及びZ軸方向の寸法を除いてほぼ同じであるが、その天板部の構成が異なる。
【0074】
清掃用カバー200の天板部201のY軸方向寸法は、ホルダ本体51のY軸方向寸法よりも幾分長くなっている。また、天板部201のX軸方向寸法は、上記実施形態と同様に、ホルダ本体51のX軸方向寸法よりも幾分長くなっている。したがって、清掃用カバー200は、ホルダ本体51全体を上方から覆うことができる。これにより、基板載置面全体を一遍に清掃できるので、清掃に要する時間を短縮できる。また、清掃用カバー200のZ軸方向の寸法は、上記実施形態と比べ、短くなっている。したがって、高さ方向のスペースが限られた中での清掃用カバー200の取り扱い性に優れる。
【0075】
天板部201は、そのYZ断面が波形状の薄手の部材から成る波板部材201aと、該波板部材201aにおける波の複数の山部それぞれの頂上に配置されたXY平面に平行な薄手の平板部材201bとから成る。すなわち、天板部201は、薄手の波板部材201a及び平板部材201bが組み合わされてその内部にX軸方向に延び、かつY軸方向に並ぶ複数の空間部が形成された構造とされており、天板部が軽量化されつつそのXZ断面内の曲げに関する断面係数(剛性)が大きくされている。したがって、清掃用カバー200の自重による撓み(特にその長手方向(X軸方向)中間部の撓み)を抑制することができ、その搬送時(受け渡し時を含む)の取り扱い性に優れる。また、基板ホルダ50から噴出された圧縮気体が波板部材201aの下面、すなわち波面に当たることによりその噴流の向きがランダムに変化するので、対向面間において気体がより満遍なく撹拌される。これにより、基板載置面全域において塵Dの巻き上げ作用が一段と高められ、塵Dが撹拌された気体中に取り込まれ易くなる。また、天板部201では、その平板部材201bにより波板部材201aのYZ断面内の曲げに関する剛性が補剛されるとともに、その平板部材201bの上面が保持装置150の吸着パッド150bにより吸着される吸着面を構成する。
【0076】
また、図示は省略されているが、保持部材64b(図2(B)参照)に気体を供給する配管が設けられておらず、清掃用カバー200の+X側の側板部に取り付けられたテーパ部材には貫通孔が形成されていない。すなわち、本変形例では、上記実施形態と異なり、清掃用カバー200から気体が噴出されず、基板ホルダ50のみから気体が噴出される。なお、本変形例の清掃システムによる基板ホルダ50の清掃方法(手順)は、この点を除いて、上記実施形態と同じである。
【0077】
《第2の変形例》
第2の変形例の液晶露光装置では、上記第1の変形例に比べ、清掃用カバーの構成のみが異なるので、以下、清掃用カバーについてのみ説明する。第2の変形例の清掃用カバー300は、上記第1の変形例と比べ、その外形及び大きさはほぼ同じであるが、図7(B)から分かるように、その天板部の構成が異なる。
【0078】
第2の変形例の清掃用カバー300は、その天板部301が、上下に対向配置されたXY平面に平行な一対の薄手の平板部材301aと、該一対の平板部材301a間に狭持されたYZ断面波形状の薄手の波板部材301bとから成る。本変形例では、天板部301の一例として、XY平面に平行な平板状の外形を有するプラスチック製段ボールを用いている。
【0079】
第2の変形例によると、天板部301が、XZ断面内の曲げに関する断面係数が大きな波板部材301bにより2枚の平板部材が接続されて成る軽量かつXZ断面内の曲げに関し高剛性な構造を有しているので、清掃用カバー300の自重による撓み(特にその長手方向(X軸方向)中間部の撓み)を抑制することができ、その搬送時(受け渡し時を含む)の取り扱いが容易となる。
【0080】
《第3の変形例》
第3の変形例の液晶露光装置では、上記第1及び第2の各変形例と比べ、清掃用カバー及び基板交換装置の構成が異なる。
【0081】
第3の変形例の清掃用カバー400は、図8(A)に示されるように、XY平面に平行な一枚の厚手の平板から成る。すなわち、清掃用カバー400は、上記第1及び第2の変形例で用いられる平板部材に比べ、厚みが大きく、剛性(撓み剛性、捻れ剛性等)が高い。清掃用カバー400は、そのX軸及びY軸方向の寸法が、それぞれホルダ本体51のX軸及びY軸方向の寸法よりも幾分長く設定されており、ホルダ本体51全体を上方から覆うことができる。また、清掃用カバー400の下面における+Y端部及び−Y端部それぞれには、YZ断面逆V字状のV溝400aが形成されている。
【0082】
第3の変形例の基板交換装置410は、上記第1及び第2の変形例と比べ、第1搬送ユニット、第2搬送ユニットを有しておらず、その代わりに、基板搬送用の一対のフォークハンド405を有している。一対のフォークハンド405は、X軸方向に延び、かつY軸方向に所定間隔で配置されている。一対のフォークハンド405それぞれの上面には、複数の凹部405aがX軸方向に所定間隔で形成されており、該凹部405aそれぞれにはボール406の下部が収容されている。複数の凹部405a及びボール406は、複数のV溝400aに対応する箇所に配置されている。一対のフォークハンド405それぞれは、主制御装置により図示しない駆動系を介して例えばX軸、Y軸及びZ軸方向などに同期駆動制御される。基板交換装置410は、一対のフォークハンド405の複数のボール406の上部を対応するV溝400aに下方から嵌合させることにより、清掃用カバー400を保持して、基板ホルダ50の真上に搬送する。そして、一対のフォークハンド405により清掃用カバー400が基板載置面に対し所定クリアランスを介して保持された状態で、上記第1及び第2の変形例とほぼ同様に、基板ホルダ50の基板載置面の清掃が行われる。
【0083】
なお、第3の変形例の基板トレイ(不図示)は、上記実施形態の基板トレイ90(図2(A)参照)とほぼ同様の構成を有しているが、その最も+Y側の支持部材95に運搬用ブロック(不図示)が+Y側に突設されており、最も−Y側の支持部材95に運搬用ブロック(不図示)が−Y側に突設されている点が異なる。そして、本変形例の基板トレイは、一対のフォークハンド405により、+Y側及び−Y側の一対の運搬用ブロックそれぞれが下方から掬い上げられることにより保持されて搬送される。
【0084】
第3の変形例によると、清掃用カバー400が一枚の平板で構成されるので、その製造が非常に簡単であり、大幅なコストダウンを図ることができる。また、清掃用カバー400の高さ方向の寸法を非常に短くできるので、その搬送時(受け渡し時を含む)の取り扱いが格段に容易となる(具体的には、高さ方向のスペースが非常に限られた中で、清掃用カバー400を容易に搬送することができる)。
【0085】
なお、第3の変形例では、清掃用カバー400により対向面間が側方から覆われないので、基板ホルダ50から噴出された噴流の一部が対向面間からその周囲(外部)に流出するが、清掃用カバー400を保持した一対のフォークハンド405の高さを変えることにより、清掃用カバー400の下面と基板載置面との間隔を調整して、対向面間に巻き上げられた塵Dが外部に飛散することを抑制することができる。なお、対向面間からその周囲への塵Dの飛散は、基板ホルダ50による吸引力を強くしたり、基板ホルダ50から噴出される噴流の向きを調整することによっても防止できる。
【0086】
また、図8(B)に示されるように、清掃用カバー400の下面に粘着シート415を取り付けても良い。これにより、基板ホルダ50から噴出された噴流により対向面間に巻き上げられた塵Dを基板ホルダ50で吸引する一方で粘着シート415に付着させて捕捉することもできる。粘着シート415は、清掃用カバー400の下面の全域に亘って設けても良いし、部分的に設けても良い。また、粘着シート415として、市販のポリウレタンを主成分とするエラストマ樹脂製の粘着ゲルシートなどを着脱可能に設ければ、水洗いにより、何度でも再生使用が可能である。
【0087】
《第4の変形例》
第4の変形例の液晶露光装置では、上記第1〜第3の各変形例と比べ、清掃用カバーの構成のみが異なるので、清掃用カバーについてのみ説明する。
【0088】
第4の変形例の清掃用カバー500は、図8(C)から分かるように、上記第2の変形例の清掃用カバー300の天板部301(図7(B)参照)とほぼ同じ構成のXY平面に平行な平板状の外形を有する部材から成る。すなわち、清掃用カバー500は、上下に対向配置されたXY平面に平行な一対の平板部材500aと、該一対の平板部材500a間に狭持された+X方向から見た側面視波形状の波板部材500bとから成る。清掃用カバー500の具体例としては、XY平面に平行な平板状の外形を有するプラスチック製段ボールなどが挙げられる。
【0089】
また、清掃用カバー500では、一対の平板部材500aのうちの下側の平板部材500aと波板部材500bとにより、X軸方向に延び、かつY軸方向に所定間隔で並ぶ複数の空間部501が形成されており、該複数の空間部501それぞれは、図示は省略されているが、+X側の2つのテーパ部材101(図4参照)の貫通孔101aに連続している。また、下側の平板部材500aにおける複数の空間部501それぞれに対応する箇所には、Z軸方向に延び、該空間部501に連続する複数の貫通孔(不図示)がX軸方向に所定間隔で形成されている。したがって、テーパ部材101(図4参照)を保持部材64b(図4参照)の凹部66bに嵌合させた状態で、上記気体供給装置を駆動することにより、複数の空間部501それぞれに圧縮気体を供給することができ、空間部501に連続する複数の貫通孔から基板載置面に向けて圧縮気体を噴出することができる。
【0090】
第4の変形例の清掃用カバー500では、その構造上、気体の流路(空間部501)が形成されているので、上記実施形態と比べ、清掃用カバーに内部管路を形成することなく清掃用カバー内の所定方向(X軸方向)に気体を案内することができる。
【0091】
《第5の変形例》
第5の変形例の液晶露光装置では、上記第1〜第4の各変形例と比べ、清掃用カバーの構成のみが異なるので、清掃用カバーについてのみ説明する。
【0092】
第5の変形例の清掃用カバー600は、図9に示されるように、基板トレイ90と、平面視矩形の外形を有する薄手のシート部材603とを含む。シート部材603は、そのX軸方向寸法が基板トレイ90の支持部材95のX軸方向寸法とほぼ同じであり、そのY軸方向寸法が基板トレイ90の補剛部材96のY軸方向寸法とほぼ同じである。シート部材603は、その+Y端部及び−Y端部が、それぞれ基板トレイ90の最も+Y側及び最も−Y側の支持部材95の上面に例えば複数の鋲610を用いて固定されている。すなわち、シート部材603は、基板トレイ90における4本の支持部材95と、3本の補剛部材96及び2本の連結部材97とにより形成される12個の開口を上方から覆っている。シート部材603の材質としては、例えば、ポリエステルフィルム、化学繊維などが挙げられる。
【0093】
以上のように構成された清掃用カバー600は、図10(A)に示されるように、+X側及び−X側のテーパ部材94b、94aが、保持部材64b、64aに保持された状態で、基板ホルダ50の真上の所定位置に位置される。そして、清掃用カバー600は、保持部材64b、64aに保持された状態で複数の昇降装置により下降されて、そのY軸方向中央に位置する2本の支持部材95それぞれの下部が対応するX溝53X(図4参照)に挿入された状態でその下降が停止される(図10(B)参照)。このとき、シート部材603の下面と基板載置面との間(対向面間)には、所定のクリアランスが形成される。以後、上記実施形態と同様に、基板載置面の清掃が行われる。
【0094】
第5の変形例によると、清掃用カバー600が、基板トレイ90とシート部材603とにより構成されているので、基板交換装置60に適合する基板トレイ90以外の部材を設計・製造することなく、清掃用カバーを基板交換装置60を用いて搬送することができる。
【0095】
《第6の変形例》
第6の変形例の液晶露光装置では、上記実施形態と比べ、清掃システムの構成のみが異なるので、清掃システムについてのみ説明する。第6の変形例の清掃システムでは、上記実施形態と比べ、清掃用カバーの構成、及び清掃用カバーを基板ホルダ50に対し着脱する際に基板交換装置60を用いない点が異なる。
【0096】
第6の変形例の清掃用カバー700は、図11(A)から分かるように、上記実施形態と比べ、その外形がZ軸方向の寸法を除いてほぼ同じであるが、その天板部の構成が異なる。すなわち、清掃用カバー700の天板部700bは、XY平面に平行な薄手の平板状に形成されている。また、清掃用カバー700は、上記実施形態と比べ、Z軸方向の寸法が短くなっており、その分、凹部700aの深さが浅くなっている。更に、清掃用カバー700は、その側板部も、上記実施形態と比べ、薄手になっており、全体として軽量化が図られている。清掃用カバー700の+X側及び−X側の側板部それぞれには、テーパ部材が取り付けられておらず、その代わり、図示しない取っ手が取り付けられている。また、本変形例においても上記第1〜3の変形例及び第5の変形例と同様に清掃用カバー700から気体が噴出されず、基板ホルダ50のみから圧縮気体が噴出される。
【0097】
清掃用カバー700は、基板ホルダ50上方の所定位置(上記第1〜第3の配置状態のいずれかの位置)から複数の作業者により保持されつつ下降されることにより、基板載置面の中央エリア、+Y側エリア、−Y側エリアのいずれかを上方及び側方から覆うようにセットされる(図11(A)及び図11(B)参照)。そして、清掃用カバー700は、その覆ったエリアの清掃が終了後、複数の作業者により持ち上げられてそのエリアから離脱された後、他のエリアにセットされる。このようにして、全てのエリアの清掃が終了した後、清掃用カバー700は、複数の作業者により撤去される。すなわち、本変形例では、清掃用カバー700が、基板ホルダ50に対し人手により着脱される。なお、清掃を行うタイミングは、上記実施形態と同様に、露光処理された基板Pの枚数に応じて行えば良い。
【0098】
ここで、ホルダ本体51の+X端面及び−X端面それぞれには、清掃用カバー700のホルダ本体51に対する移動下限位置を規定するZストッパ705が突設されている。Zストッパ705は、ホルダ本体51のY軸方向のほぼ全域に亘って延びている。これらのZストッパ705それぞれは、その上面のZ位置が、互いに同じに、かつX溝53Xを規定する底面のZ位置よりも幾分(具体的には、上記実施形態と本変形例の清掃用カバーの凹部の深さの差と同じ程度)高く設定されている。
【0099】
したがって、清掃用カバー700を、上記第1の配置状態(基板載置面の中央エリア真上の位置)から下降させていくと、清掃用カバー700の+Y側及び−Y側の側板部それぞれの下部が、対応するX溝53X内に挿入されるとともに、清掃用カバー700の+X側及び−X側の側板部それぞれが、対向するZストッパ705上に載置される。また、清掃用カバー700を、上記第2の配置状態(基板載置面の+Y側エリア真上の位置)から下降させていくと、清掃用カバー700の+X側及び−X側の側板部それぞれが、対向するZストッパ(不図示)上に載置されるとともに、清掃用カバー700の−Y側の側板部の下部が+Y側のX溝53X内に挿入され、かつ清掃用カバー700の+Y側の側板部がホルダ本体51の+Y側近傍に位置する。また、清掃用カバー700を、上記第3の配置状態(基板載置面の−Y側エリア真上の位置)から下降させていくと、清掃用カバー700の+X側及び−X側の側板部それぞれが、対向するZストッパ(不図示)上に載置されるとともに、清掃用カバー700の+Y側の側板部の下部が−Y側のX溝53X内に挿入され、かつ−Y側の側板部がホルダ本体51の−Y側近傍に位置する。そして、清掃用カバー700が上記いずれの状態にセットされたときにも、清掃用カバー700の天板部700bの下面と基板載置面との間に、上記実施形態と同様の所定のクリアランスが形成される。
【0100】
第6の変形例によると、清掃用カバー700の+X側及び−X側の側板部それぞれが、対応するZストッパ705により下方から支持されるので、清掃用カバー700を、基板載置面の中央エリア、+Y側エリア、−Y側エリアのいずれに対しても安定した状態でセットすることができる。
【0101】
なお、図10(C)に示されるように、清掃用カバー700の天板部の下面に、上記第3の変形例と同様の粘着シート415を取り付けても良い。
【0102】
《第7の変形例》
第7の変形例の液晶露光装置では、上記第6の変形例と比べ、清掃用カバーの大きさが異なるのみなので、清掃用カバーについてのみ説明する。
【0103】
第7の変形例の清掃用カバー800は、図12に示されるように、上記第6の変形例の清掃用カバー700と比べ、X軸方向の寸法が異なる。具体的には、清掃用カバー800の+X側及び−X側の側板部間の間隔は、3つのY溝53Yのうちの中央のY溝53Yと、+X側又は−X側のZストッパ705との間隔に対応する間隔に設定されている。すなわち、清掃用カバー800は、その大きさがホルダ本体51を上方からX軸及びY軸方向に関し部分的に覆う大きさに設定されている。Zストッパ705は、その上面のZ位置がY溝53Yを規定する底面のZ位置と同じに設定されている。また、清掃用カバー800の天板部上面には、図示しない取っ手が取り付けられている。なお、図12では、図示の便宜上、Y溝53Yは2つのみが示されているが、実際には3つある。
【0104】
以上のように構成される清掃用カバー800を、第6の変形例と同様に人手により保持して、その+X側の側板部を中央のY溝53Yを規定する底面に載置し、かつその−X側の側板部を−X側のZストッパ705の上面に載置するとともに、その+Y側及び−Y側の側板部それぞれを+Y側及び−Y側のX溝53X(図2(B)参照)に挿入することにより基板ホルダ50にセットする。これにより、基板載置面の中央エリアにおける3つのY溝53Yにより区画される4つの領域のうちの−X側から数えて1番目及び2番面の矩形領域が清掃用カバー800により上方及び側方から覆われる。この状態で、基板ホルダ50から圧縮気体を噴出し、対向面間から気体を吸引することにより上記2つの矩形領域の清掃を行う。この清掃が終了した後、清掃用カバー800を、人手により保持して、その−X側の側板部を中央のY溝53Yに挿入し、かつ+X側の側板部を+X側のZストッパ705上に載置するとともに、その+Y側及び−Y側の側板部それぞれを+Y側及び−Y側のX溝53Xに挿入することにより基板ホルダ50にセットする。これにより、基板載置面の中央エリアにおける3つのY溝53Yにより区画される4つの領域のうちの−X側から数えて3番目及び4番目の矩形領域が清掃用カバー800により上方及び側方から覆われる。この状態で、上記と同様にこれら2つの矩形領域の清掃を行う。このようにして、基板載置面の中央エリアの清掃が行われる。基板載置面の中央エリアの清掃が終了した後、+Y側エリア、−Y側エリアの清掃も同様に行われる。そして、基板載置面の中央、+Y側、−Y側の全エリアの清掃が終了した後、清掃用カバー800は、人手により保持されて基板ホルダ50から撤去される。
【0105】
第7の変形例によると、上記第6の変形例と比べ、清掃用カバーを小型にしているので、その人手による搬送時(受け渡し時を含む)の取り扱いが容易である。
【0106】
《第8の変形例》
第8の変形例の液晶露光装置では、図13(A)及び図13(B)に示されるように、上記実施形態と比べ、清掃用カバーの構成、及び清掃用カバーを基板ホルダに対し人手により着脱する点が異なる。第8の変形例の清掃用カバー900は、上記実施形態の清掃用カバー100(図3参照)からテーパ部材101、103(図3参照)を取り除いた構成を有している。また、配管110は、上記実施形態と異なり、保持部材64b(図3参照)ではなく、清掃用カバー900に取り付けられており、内部管路100e、100gに圧縮気体が直接的に供給されるようになっている。また、図示は省略されているが、清掃用カバー900には、図示しない取っ手が取り付けられており、ホルダ本体51(図11(A)参照)には、上記第6の変形例のZストッパ705(図11(A)参照)と同様のZストッパが取り付けられている。清掃用カバー900は、上記第6の変形例と同じ要領で、基板ホルダ50(図11(A)参照)に対し着脱される。
【0107】
なお、上記実施形態及び第1〜第8の各変形例に係る液晶露光措置の構成は、一例であって、本発明がこれに限定されるものではない。例えば、上記実施形態及び上記第4の変形例では、清掃用カバー及び基板ホルダの双方から対向面間に圧縮気体が噴出されるが、これに限らず、清掃用カバー及び基板ホルダのいずれか一方のみから圧縮気体が噴出されるようにしても良い。具体的には、清掃用カバーの内部及び基板ホルダ50の配管52のいずれか一方にのみ圧縮気体を供給すれば良い。
【0108】
上記実施形態及び第1〜第8の各変形例では、基板ホルダ50により対向面間から気体が吸引されているが、これに代えて又はこれに加えて、清掃用カバーにより対向面間から気体を吸引するようにしても良い。但し、この場合、清掃用カバーに真空吸引用の気体流路、並びに該気体流路及び清掃用カバーの凹部に連通する孔を形成する必要がある。具体的には、例えば、上記実施形態及び第1、第2、第4の変形例において、−X側の保持部材64aの6つの凹部66aそれぞれを可撓性配管を介して気体吸引装置に連通させるとともに、−X側のテーパ部材103に真空吸引用の気体流路に連通する貫通孔を形成すると良い。これにより、保持部材64aによりテーパ部材103を保持したときに(凹部66aとテーパ部材103とを嵌合させたときに)、対向面間の気体を真空吸引用の孔及び気体流路を介して気体吸引装置に吸引させることができる。
【0109】
上記実施形態及び第1〜第5の各変形例では、清掃用カバーを基板交換装置により保持しつつ基板載置面の清掃を行っているが、これに限らず、例えば、清掃用カバーを基板ホルダ50に設置した状態で清掃を行っても良い。具体的には、上記実施形態、第1、第2、第5の各変形例では、例えば、ホルダ本体51に第6及び第7の変形例で用いられたZストッパ705と同様の係止部材を設けて、清掃用カバーの+Y側及び−Y側の側壁部の少なくとも一方をX溝53Xを規定する底面に載置し、他方を該係止部材上に載置する。また、上記第3及び第4の各変形例では、例えば、ホルダ本体51に、その先端が基板載置面よりも上方に突出する複数の突出部を設けて、この複数の突出部の先端上に清掃用カバーを載置する。
【0110】
上記第1の変形例では、清掃用カバー200の天板部201の下面を、波形状としているが、これに限らず、例えば鋸の刃形状としても良いし、また例えば凹凸の間に平坦部があるような形状などの凹凸が交互に並んでいない形状としても良い。要は、天板部の下面に複数の凹凸が形成されれば良い。
【0111】
上記実施形態及び第1、第2、第4及び第5の各変形例では、複数のテーパ部材それぞれを介して清掃用カバー内に圧縮気体が供給されるようになっているが、これに代えて、清掃用カバーの1つのテーパ部材のみを介して圧縮気体を供給するようにしても良い。すなわち、例えば、図4において、保持部材64bの6つの凹部66bのうちの+Y側から数えて1番目、3番目及び5番目の凹部66bのみを配管110を介して気体供給装置に連通させても良い。これにより、2つのテーパ部材101のうちの+Y側のテーパ部材101を介して清掃用カバーに圧縮気体を供給することができる。
【0112】
上記実施形態では、基板ホルダ50を清掃用カバー100に対してY軸方向に相対移動させることにより、清掃用カバー100と基板載置面の中央、+Y側、−Y側の各エリアとの位置合わせを行っているが、これに代えて又はこれに加えて、清掃用カバーを基板ホルダに対しY軸方向に相対移動させて清掃用カバーと基板載置面の上記各エリアとの位置合わせを行っても良い。
【0113】
上記実施形態の清掃用カバー100に形成された内部管路100e、100gのレイアウト、連通孔100fの数などは、一例であって、適宜変更可能である。
【0114】
上記実施形態、並びに上記第1〜第8の各変形例の基板ホルダ50では、配管52、54のレイアウト、溝の数、形状、貫通孔55の数などは、一例であって、適宜変更可能である。
【0115】
上記実施形態、並びに上記第1、第2、第4及び第5の変形例では、清掃用カバーを基板交換装置60を用いて基板ホルダ50上に搬入し、基板ホルダ50上から搬出しているが、これに限らず、例えば、清掃用カバーを専用の搬送装置を用いて搬入及び搬出しても良いし、また清掃用カバーを人手により搬入及び搬出しても良い。なお、清掃用カバーを人手により搬入及び搬出する場合、例えば上記第6及び第7の変形例と同様に基板ホルダ50に清掃用カバーを係止する係止部材(例えばZストッパ705)を設けるなどして、清掃用カバーを基板ホルダ50に安定した状態で設置できるようにすることが好ましい。
【0116】
上記第3の変形例では、清掃用カバー400を一対のフォークハンド405を含む基板交換装置410により基板ホルダ50上に搬入するとともに基板ホルダ50上から搬出しているが、これに限らず、例えば、清掃用カバー400を人手により搬入及び搬出しても良いし、基板交換装置60又は専用の搬送装置を用いて搬入及び搬出しても良い。なお、この搬送装置としては、例えば、清掃用カバー400の上面を吸着保持する複数の吸着パッド、これらの吸着パッドを鉛直及び水平方向に移動させるアクチュエータを含むものなどが挙げられる。また、清掃用カバーを人手により搬入及び搬出する場合、例えば上記第6及び第7の変形例と同様に基板ホルダ50に清掃用カバーを係止する係止部材(例えばZストッパ705)を設けるなどして、清掃用カバーを基板ホルダ50に安定した状態で設置できるようにすることが好ましい。
【0117】
上記第6〜第8の各変形例では、清掃用カバーを人手により基板ホルダ50上に搬入するとともに基板ホルダ50上から搬出しているが、これに限らず、例えば、基板交換装置60を用いて搬入及び搬出しても良いし、専用の搬送装置を用いて搬入及び搬出しても良い。
【0118】
また、照明光は、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)などの紫外光や、F2レーザ光(波長157nm)などの真空紫外光であっても良い。また、照明光としては、例えばDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。また、固体レーザ(波長:355nm、266nm)などを使用しても良い。
【0119】
また、上記実施形態及び各変形例では、投影光学系PLが、複数本の光学系を備えたマルチレンズ方式の投影光学系である場合について説明したが、投影光学系の本数はこれに限らず、1本以上あれば良い。また、マルチレンズ方式の投影光学系に限らず、オフナー型の大型ミラーを用いた投影光学系などであっても良い。
【0120】
また、上記実施形態及び各変形例では投影光学系PLとして、投影倍率が等倍系のものを用いる場合について説明したが、これに限らず、投影光学系は拡大系及び縮小系のいずれでも良い。
【0121】
また、上記実施形態及び各変形例においては、光透過性のマスク基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスクを用いたが、このマスクに代えて、例えば米国特許第6,778,257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて、透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスク(可変成形マスク)、例えば、非発光型画像表示素子(空間光変調器とも呼ばれる)の一種であるDMD(Digital Micro-mirror Device)を用いる可変成形マスクを用いても良い。
【0122】
また、露光装置の用途としては角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置に限定されることなく、例えば半導体製造用の露光装置、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン及びDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるマスク又はレチクルを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。
【0123】
なお、露光対象となる物体はガラスプレートに限られるものでなく、例えばウエハ、セラミック基板、フィルム部材、あるいはマスクブランクスなど、他の物体でも良い。また、露光対象物がフラットパネルディスプレイ用の基板である場合、その基板の厚さは特に限定されず、例えばフィルム状(可撓性を有するシート状の部材)のものも含まれる。
【0124】
また、露光装置は、外径が500mm以上の基板が露光対象物である場合に特に有効である。
【産業上の利用可能性】
【0125】
以上説明したように、本発明の物体保持装置の清掃システム、及び物体保持装置の清掃装置は、物体を保持する物体保持装置の清掃をするのに適している。
【符号の説明】
【0126】
10…液晶露光装置、50…基板ホルダ、52…配管、54…配管、53…格子溝、55…貫通孔、57…貫通孔、60…基板交換装置、90…基板トレイ、100…清掃用カバー、100e、100g…内部管路、100f…連通孔、P…基板、PST…基板ステージ装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
その上面に物体を保持する物体保持装置を有する物体処理装置における前記物体保持装置の清掃システムであって、
前記物体保持装置の上面の少なくとも一部に対して所定の隙間を介して対向する対向位置と、前記物体保持装置から退避した退避位置との間を移動可能に設けられ、前記対向位置で前記物体保持装置の上面を清掃可能な清掃装置と;
前記物体保持装置及び前記清掃装置の少なくとも一方に設けられ、前記隙間に気体を噴出可能な噴出部と;
前記物体保持装置及び前記清掃装置の少なくとも一方に設けられ、前記隙間の気体を吸引可能な吸引部と;を備える物体保持装置の清掃システム。
【請求項2】
前記物体処理装置では、前記物体保持装置に対する前記物体の搬出及び搬入の少なくとも一方が行われる際に、所定の物体支持部材に下方から支持された前記物体が所定の支持部材搬送装置により搬送され、
前記対向部材は、前記支持部材搬送装置により、前記対向位置と前記退避位置との間で移動される請求項1に記載の物体保持装置の清掃システム。
【請求項3】
前記清掃装置は、前記退避位置では、前記物体の搬送時における前記物体支持部材の移動経路から退避した位置に位置される請求項2に記載の物体保持装置の清掃システム。
【請求項4】
前記支持部材搬送装置は、前記物体の搬送時に前記物体支持部材を保持する保持部材を有し、
前記清掃装置は、前記支持部材搬送装置により搬送される際に前記保持部材に保持される請求項2又は3に記載の物体保持装置の清掃システム。
【請求項5】
前記物体支持部材は、前記物体保持装置の上面に平行な一軸方向に延びる複数の棒状部材を備え、前記複数の棒状部材を用いて前記物体を下方から支持し、
前記清掃装置は、前記一軸方向に延びる複数の棒状部材から成る本体部と、前記本体部に取り付けられ、前記物体保持装置の上面に対向可能な清掃部材とを含み、
前記清掃装置の前記本体部には、前記物体支持部材が用いられる請求項2〜4のいずれか一項に記載の物体保持装置の清掃システム。
【請求項6】
前記物体保持装置は、その上面に前記物体支持部材の一部が収容される溝が形成され、
前記吸引部は、前記溝を規定する面部に設けられる請求項1〜5のいずれか一項に記載の物体保持装置の清掃システム。
【請求項7】
前記物体保持装置は、その上面に前記物体を真空吸着保持するために孔部が形成され、
前記物体保持装置に設けられた前記噴出部及び前記吸引部の少なくとも一方は、前記孔部を用いる請求項1〜6のいずれか一項に記載の物体保持装置の清掃システム。
【請求項8】
前記噴出部による気体の噴出と、前記吸引部による気体の吸引とが並行して行われる請求項1〜7のいずれか一項に記載の物体保持装置の清掃システム。
【請求項9】
前記清掃装置は、前記物体保持装置の上面に対向する対向面が前記物体保持装置の上面よりも狭く、前記物体保持装置の上面の清掃対象領域に応じて移動される請求項1〜8のいずれか一項に記載の物体保持装置の清掃システム。
【請求項10】
前記清掃装置は、前記物体保持装置の上面上に密閉された空間を形成する箱形に形成され、
前記噴出部は、前記空間内に気体を噴出し、
前記吸引部は、前記空間内の気体を吸引する請求項1〜9のいずれか一項に記載の物体保持装置の清掃システム。
【請求項11】
前記清掃装置は、前記物体保持装置の上面に対向する対向面に凸部及び凹部の少なくとも一方が形成される請求項1〜10のいずれか一項に記載の物体保持装置の清掃システム。
【請求項12】
前記清掃装置は、前記物体保持装置の上面に対向する対向面に粘着部材を有する請求項1〜11のいずれか一項に記載の物体保持装置の清掃システム。
【請求項13】
前記清掃装置は、前記物体保持装置の上面に直交する方向の剛性を向上させる補剛部材を有する請求項1〜12のいずれか一項に記載の物体保持装置の清掃システム。
【請求項14】
前記物体処理装置は、前記物体にエネルギビームを用いて所定のパターンを形成するパターン形成装置を含む露光装置である請求項1〜13のいずれか一項に記載の物体保持装置の清掃システム。
【請求項15】
その上面に物体を保持する物体保持装置を有する物体処理装置における前記物体保持装置の清掃装置であって、
前記物体保持装置の上面の少なくとも一部に対して所定の隙間を介して対向する対向位置と、前記物体保持装置から退避した退避位置との間を移動可能に設けられ、前記対向位置で前記物体保持装置の上面を清掃可能な清掃部材と;
前記隙間に気体を噴出可能な噴出部、及び前記隙間の気体を吸引可能な吸引部の少なくとも一方と;を備える物体保持装置の清掃装置。
【請求項16】
前記清掃装置は、前記物体保持装置の上面に対向する対向面が前記物体保持装置の上面よりも狭く、前記物体保持装置の上面の清掃対象領域に応じて移動される請求項15に記載の物体保持装置の清掃装置。
【請求項17】
前記清掃装置は、前記物体保持装置の上面上に密閉された空間を形成する箱形に形成され、
前記噴出部は、前記空間内に気体を噴出し、
前記吸引部は、前記空間内の気体を吸引する請求項15又は16に記載の物体保持装置の清掃装置。
【請求項18】
前記清掃装置は、前記物体保持装置の上面に対向する対向面に凸部及び凹部の少なくとも一方が形成される請求項15〜17のいずれか一項に記載の物体保持装置の清掃装置。
【請求項19】
前記清掃装置は、前記物体保持装置の上面に対向する対向面に粘着部材を有する請求項15〜18のいずれか一項に記載の物体保持装置の清掃装置。
【請求項20】
前記清掃装置は、前記物体保持装置の上面に直交する方向の剛性を向上させる補剛部材を有する請求項15〜19のいずれか一項に記載の物体保持装置の清掃装置。
【請求項1】
その上面に物体を保持する物体保持装置を有する物体処理装置における前記物体保持装置の清掃システムであって、
前記物体保持装置の上面の少なくとも一部に対して所定の隙間を介して対向する対向位置と、前記物体保持装置から退避した退避位置との間を移動可能に設けられ、前記対向位置で前記物体保持装置の上面を清掃可能な清掃装置と;
前記物体保持装置及び前記清掃装置の少なくとも一方に設けられ、前記隙間に気体を噴出可能な噴出部と;
前記物体保持装置及び前記清掃装置の少なくとも一方に設けられ、前記隙間の気体を吸引可能な吸引部と;を備える物体保持装置の清掃システム。
【請求項2】
前記物体処理装置では、前記物体保持装置に対する前記物体の搬出及び搬入の少なくとも一方が行われる際に、所定の物体支持部材に下方から支持された前記物体が所定の支持部材搬送装置により搬送され、
前記対向部材は、前記支持部材搬送装置により、前記対向位置と前記退避位置との間で移動される請求項1に記載の物体保持装置の清掃システム。
【請求項3】
前記清掃装置は、前記退避位置では、前記物体の搬送時における前記物体支持部材の移動経路から退避した位置に位置される請求項2に記載の物体保持装置の清掃システム。
【請求項4】
前記支持部材搬送装置は、前記物体の搬送時に前記物体支持部材を保持する保持部材を有し、
前記清掃装置は、前記支持部材搬送装置により搬送される際に前記保持部材に保持される請求項2又は3に記載の物体保持装置の清掃システム。
【請求項5】
前記物体支持部材は、前記物体保持装置の上面に平行な一軸方向に延びる複数の棒状部材を備え、前記複数の棒状部材を用いて前記物体を下方から支持し、
前記清掃装置は、前記一軸方向に延びる複数の棒状部材から成る本体部と、前記本体部に取り付けられ、前記物体保持装置の上面に対向可能な清掃部材とを含み、
前記清掃装置の前記本体部には、前記物体支持部材が用いられる請求項2〜4のいずれか一項に記載の物体保持装置の清掃システム。
【請求項6】
前記物体保持装置は、その上面に前記物体支持部材の一部が収容される溝が形成され、
前記吸引部は、前記溝を規定する面部に設けられる請求項1〜5のいずれか一項に記載の物体保持装置の清掃システム。
【請求項7】
前記物体保持装置は、その上面に前記物体を真空吸着保持するために孔部が形成され、
前記物体保持装置に設けられた前記噴出部及び前記吸引部の少なくとも一方は、前記孔部を用いる請求項1〜6のいずれか一項に記載の物体保持装置の清掃システム。
【請求項8】
前記噴出部による気体の噴出と、前記吸引部による気体の吸引とが並行して行われる請求項1〜7のいずれか一項に記載の物体保持装置の清掃システム。
【請求項9】
前記清掃装置は、前記物体保持装置の上面に対向する対向面が前記物体保持装置の上面よりも狭く、前記物体保持装置の上面の清掃対象領域に応じて移動される請求項1〜8のいずれか一項に記載の物体保持装置の清掃システム。
【請求項10】
前記清掃装置は、前記物体保持装置の上面上に密閉された空間を形成する箱形に形成され、
前記噴出部は、前記空間内に気体を噴出し、
前記吸引部は、前記空間内の気体を吸引する請求項1〜9のいずれか一項に記載の物体保持装置の清掃システム。
【請求項11】
前記清掃装置は、前記物体保持装置の上面に対向する対向面に凸部及び凹部の少なくとも一方が形成される請求項1〜10のいずれか一項に記載の物体保持装置の清掃システム。
【請求項12】
前記清掃装置は、前記物体保持装置の上面に対向する対向面に粘着部材を有する請求項1〜11のいずれか一項に記載の物体保持装置の清掃システム。
【請求項13】
前記清掃装置は、前記物体保持装置の上面に直交する方向の剛性を向上させる補剛部材を有する請求項1〜12のいずれか一項に記載の物体保持装置の清掃システム。
【請求項14】
前記物体処理装置は、前記物体にエネルギビームを用いて所定のパターンを形成するパターン形成装置を含む露光装置である請求項1〜13のいずれか一項に記載の物体保持装置の清掃システム。
【請求項15】
その上面に物体を保持する物体保持装置を有する物体処理装置における前記物体保持装置の清掃装置であって、
前記物体保持装置の上面の少なくとも一部に対して所定の隙間を介して対向する対向位置と、前記物体保持装置から退避した退避位置との間を移動可能に設けられ、前記対向位置で前記物体保持装置の上面を清掃可能な清掃部材と;
前記隙間に気体を噴出可能な噴出部、及び前記隙間の気体を吸引可能な吸引部の少なくとも一方と;を備える物体保持装置の清掃装置。
【請求項16】
前記清掃装置は、前記物体保持装置の上面に対向する対向面が前記物体保持装置の上面よりも狭く、前記物体保持装置の上面の清掃対象領域に応じて移動される請求項15に記載の物体保持装置の清掃装置。
【請求項17】
前記清掃装置は、前記物体保持装置の上面上に密閉された空間を形成する箱形に形成され、
前記噴出部は、前記空間内に気体を噴出し、
前記吸引部は、前記空間内の気体を吸引する請求項15又は16に記載の物体保持装置の清掃装置。
【請求項18】
前記清掃装置は、前記物体保持装置の上面に対向する対向面に凸部及び凹部の少なくとも一方が形成される請求項15〜17のいずれか一項に記載の物体保持装置の清掃装置。
【請求項19】
前記清掃装置は、前記物体保持装置の上面に対向する対向面に粘着部材を有する請求項15〜18のいずれか一項に記載の物体保持装置の清掃装置。
【請求項20】
前記清掃装置は、前記物体保持装置の上面に直交する方向の剛性を向上させる補剛部材を有する請求項15〜19のいずれか一項に記載の物体保持装置の清掃装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−78543(P2012−78543A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−223400(P2010−223400)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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