物品搬送システム
【課題】処理装置からの処理済み物品の引取、ならびに処理装置への未処理物品の支給を行う時間を極力短縮化することによって、半導体処理装置などの遊休時間を短縮し処理効率の向上を図った物品搬送システムを提供することである。
【解決手段】複数の搬送台車13、ストッカ14、走行路、及び処理済み物品引取制御手段と未処理物品支給制御手段とから構成される搬送台車制御手段26を備え、上記処理済み物品引取制御手段は、処理装置15から物品の処理が終了するまでの予測時間を受信する予測時間受信手段と、当該予測時間が所定時間に達したら、物品の搬送が可能な搬送台車13のうち、処理装置15に最も早く到着する一の搬送台車13を、キャリア20の引取を行う引取台車に指定する引取台車指定を行う引取台車選定手段とを有し、上記引取台車に、キャリア20の引取処理を指令することを特徴とする物品搬送システム。
【解決手段】複数の搬送台車13、ストッカ14、走行路、及び処理済み物品引取制御手段と未処理物品支給制御手段とから構成される搬送台車制御手段26を備え、上記処理済み物品引取制御手段は、処理装置15から物品の処理が終了するまでの予測時間を受信する予測時間受信手段と、当該予測時間が所定時間に達したら、物品の搬送が可能な搬送台車13のうち、処理装置15に最も早く到着する一の搬送台車13を、キャリア20の引取を行う引取台車に指定する引取台車指定を行う引取台車選定手段とを有し、上記引取台車に、キャリア20の引取処理を指令することを特徴とする物品搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板などの処理装置で処理される未処理物品、又はこれらの装置で処理された処理済み物品を搭載して搬送する複数の搬送台車の動作を制御する搬送台車制御手段を備えた物品搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体製造工場においては、生産性向上のための一つの方法として、生産のロットサイズ(1回当たりの生産量)を小さくし、且つ、半導体処理装置の単位時間当たりの処理能力を短くする試みがなされている。この生産方式では、中間製品である複数枚の半導体基板が収納された一般にFOUP(Front Opening Unified Pod)と呼ばれるキャリア(被搬送物)が搬送される回数は当然に増大する。
【0003】
一方、半導体処理装置とストッカ(収納装置)との間、半導体処理装置間、或いはストッカ(収納装置)間において、キャリアを搬送するOHT(Overhead Hoist Transport)搬送台車などの搬送台車には半導体処理装置に遊休時間が生じないよう、効率の良い搬送台車制御技術が求められる。尚、キャリアの引取は、処理装置に連結されキャリアを載置する搬出入ポートを介して行われ、キャリアの支給も同様に、処理装置に連結されキャリアを載置する搬出入ポートを介して行われる。
【0004】
通常、ある半導体処理装置における搬送台車によるキャリア交換(搬送)時間は、半導体処理装置から処理済みの半導体基板が収納されたキャリアを引取、新たに未処理の半導体基板が収納されたキャリアを半導体処理装置に支給するまでに要する時間として定義される。このキャリア交換時間をCET(Carrier Exchange Time)と呼ぶことにすると、CETが短い程優れた物品搬送システムと評価される。
【0005】
従来、多数の搬送台車を制御部の指示下で走行させて、ステーション間で物品を搬送するシステムであって、同一の製造装置に対して複数の引取処理又は支給処理を順序付けて実行する搬送システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載の搬送システムは、先順位の引取処理を実行する搬送台車が、後順位の支給処理を要求する収納装置と処理物品搬送先である処理装置との間の領域に進入した後に、後順位の支給処理要求を開始するようにした搬送システムである。
【0006】
また、処理装置で処理された処理済み荷物の引取が行われたのち、処理装置で処理される未処理荷物の支給が行われる搬送システムであって、同一の製造装置に対して引取処理と支給処理とを同時に開始する搬送システムも提案されている(例えば、特許文献2参照)。この特許文献2に記載の搬送システムは、処理装置での処理が終了したのちキャリアの引取処理及び支給処理の要求を受けたとき、引取処理及び支給処理の指令を同時に出し、処理荷物搬送先から処理済荷物を収納したキャリアが引取されていなければ、未処理荷物を収納したキャリアの支給処理を一時的に行わないようにして、その後、処理済荷物を収納したキャリアの引取を確認すれば、未処理荷物を収納したキャリアの支給処理を行う搬送システムである。
【0007】
【特許文献1】特開2000−148243号公報
【特許文献2】特開2005−243729号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載された搬送システムにおいては、先順位の処理を実行する搬送台車が、後順位の処理を要求する収納装置と処理物品搬送先の処理装置との間の領域に進入するまで、後順位の処理が実行されない。すなわち、先順位の処理を実行する搬送台車が上記領域に進入してから、後順位の処理を実行する搬送台車が後順位の処理を要求する装置に向かうことを意味する。したがって、順位を守って物品を搬送することはできるものの、処理効率の向上までは望めない。
【0009】
また、特許文献2に記載された搬送システムにおいては、処理装置での処理終了後、キャリアの引取処理及び支給処理の要求を受けたとき、引取処理及び支給処理の指令を同時に出すため、特許文献1に記載された搬送システムと比較して、キャリア交換時間(CET)は短縮化されている。しかし、半導体処理装置のように、複数の処理済み基板が収納されたキャリアが引取された後、すぐに未処理基板が収納されたキャリアの支給が要求される装置などにおいては、可能な限り、製造装置の遊休時間を少なくする必要がある。
【0010】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、処理装置からの処理済み物品の引取、ならびに処理装置への未処理物品の支給を行う時間を極力短縮化することによって、半導体処理装置などの遊休時間を短縮し処理効率の向上を図った物品搬送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0011】
本発明に係る物品搬送システムは、処理装置で処理された処理済み物品の引取、及び前記処理装置で処理される未処理物品の支給を行う物品搬送システムに関する。そして、本発明に係る物品搬送システムは、上記目的を達成するために以下のようないくつかの特徴を有している。すなわち、本発明の物品搬送システムは、以下の特徴を単独で、若しくは、適宜組み合わせて備えている。
【0012】
上記目的を達成するための本発明に係る物品搬送システムにおける第1の特徴は、前記処理済み物品又は前記未処理物品を搭載して搬送する複数の搬送台車と、前記未処理物品を収納する収納装置と、前記搬送台車が一方向に走行移動し、少なくとも1つの閉ループの軌道を形成する走行路と、処理済み物品引取制御手段と未処理物品支給制御手段とから構成され、前記搬送台車及び前記収納装置と通信を行う搬送台車制御手段とを備え、前記処理済み物品引取制御手段は、物品の処理を行っている前記処理装置である目標処理装置から物品の処理が終了するまでの予測時間を受信する予測時間受信手段と、前記予測時間が所定時間に達したら、物品の搬送が可能な前記搬送台車のうち、前記目標処理装置に最も早く到着する一の前記搬送台車を、引取台車に指定する引取台車指定を行う引取台車選定手段とを有し、前記処理済み物品の引取を行うための前記引取台車に、前記処理済み物品の引取処理を指令することである。
【0013】
この構成によると、物品の処理を行っている目標処理装置が物品の処理を終了するまでに、処理済み物品の引取処理が開始される。すなわち、目標処理装置が物品の処理を終了するまでに、物品の搬送が可能で且つ目標処理装置に最も早く到着する、処理済み物品の引取を行う引取台車が、処理済み物品引取のための走行を開始する。よって、目標処理装置が物品の処理を終了した時点で、処理済み物品の引取を行う引取台車が走行し始める場合に比べて、引取台車が目標処理装置に到達する時間は短縮される。したがって、目標処理装置からの処理済み物品の引取を行う時間を短縮化でき、結果として半導体処理装置などの遊休時間が短縮され処理効率の向上が図れる。
【0014】
また、本発明に係る物品搬送システムにおける第2の特徴は、前記引取台車選定手段は、前記目標処理装置が物品の処理を終了するまで前記引取台車を前記目標処理装置近傍に待機させる待機指令を出し、待機している前記引取台車の走行移動方向と反対方向の上流側から、物品の搬送が可能な他の前記搬送台車が接近してきた場合、前記引取台車指定を解除して前記他の前記搬送台車を前記引取台車に指定する再度の前記引取台車指定を行うことである。
【0015】
この構成によると、目標処理装置が物品の処理を終了するまで、処理済み物品の引取を行う引取台車は目標処理装置の近傍に待機する。このとき、上記引取台車の後方から物品の搬送が可能な他の搬送台車が接近してくる場合があり、一方、搬送台車は走行路を一方向に走行移動するため、この引取台車が、接近してきた搬送台車の走行を妨害して渋滞が生じることがある。しかし、接近してきた搬送台車は、処理済み物品の引取を行う新たな引取台車に再指定されるため、走行路上における搬送台車の渋滞は回避される。
【0016】
また、本発明に係る物品搬送システムにおける第3の特徴は、前記引取台車選定手段は、前記目標処理装置が物品の処理を終了したとき、前記引取台車の走行移動方向側であって、前記引取台車と前記目標処理装置との間に物品の搬送が可能な別の前記搬送台車が位置している場合、前記引取台車指定を解除して前記別の前記搬送台車を前記引取台車に指定する再度の前記引取台車指定を行うことである。
【0017】
この構成によると、目標処理装置が物品の処理を終了したとき、処理済み物品の引取を行う引取台車の再選定が行われる。ここで、前記の予測時間が所定時間に達した時点で、引取台車が選定されているが、目標処理装置が物品の処理を終了するまでの間に物品を搭載して搬送している搬送台車が、処理装置などに物品を引き渡して物品の搬送が可能な台車(空台車)になっている場合がある。そして、この物品の搬送が可能な台車(空台車)が、上記引取台車と目標処理装置との間に位置している場合には、この物品の搬送が可能な台車(空台車)を処理済み物品の引取を行う新たな引取台車に再指定する引取台車の再選定を行うことにより、引取台車が目標処理装置に到達する時間をより短縮できる。
【0018】
また、本発明に係る物品搬送システムにおける第4の特徴は、前記未処理物品支給制御手段は、前記予測時間受信手段と、前記予測時間が所定時間に達したら、物品の搬送が可能な前記搬送台車のうち、前記収納装置に最も早く到着する一の前記搬送台車を、支給台車に指定する支給台車指定を行う支給台車選定手段とを有し、前記未処理物品の支給を行うための前記支給台車に、前記収納装置からの前記未処理物品の荷受処理、及び前記目標処理装置への前記未処理物品の支給処理を指令することである。
【0019】
この構成によると、物品の処理を行っている目標処理装置が物品の処理を終了するまでに、未処理物品の荷受、支給処理が開始される。すなわち、目標処理装置が物品の処理を終了するまでに、物品の搬送が可能で且つ未処理物品を収納する収納装置に最も早く到着する、未処理物品の荷受、支給を行う支給台車が、未処理物品荷受のための走行を開始する。よって、処理済み物品の引取を行う引取台車が物品の引取を終了した時点や、目標処理装置が物品の処理を終了した時点で、未処理物品の荷受、支給を行う支給台車が走行し始める場合に比べて、支給台車が収納装置に到達する時間は短縮される。したがって、収納装置からの未処理物品の荷受を行う時間を短縮化でき、目標処理装置への未処理物品の支給を迅速に行えることができるので、結果として半導体処理装置などの遊休時間が短縮され処理効率の向上が図れる。
【0020】
また、本発明に係る物品搬送システムにおける第5の特徴は、前記支給台車選定手段は、前記目標処理装置が物品の処理を終了したとき、前記支給台車が前記荷受処理をまだ行っておらず、且つ前記収納装置に最も早く到着する新たな前記搬送台車が存在する場合、前記支給台車指定及び前記荷受処理の指令を解除して前記新たな前記搬送台車を前記支給台車に指定する再度の前記支給台車指定を行うことである。
【0021】
この構成によると、目標処理装置が物品の処理を終了したとき、未処理物品の荷受、支給を行う支給台車の再選定が行われる。ここで、前記の予測時間が所定時間に達した時点で、支給台車が選定されているが、目標処理装置が物品の処理を終了するまでの間に物品を搭載して搬送している搬送台車が、処理装置などに物品を引き渡して物品の搬送が可能な台車(空台車)になっている場合がある。そして、この物品の搬送が可能な台車(空台車)が、上記支給台車と収納装置との間に位置している場合には、この物品の搬送が可能な台車(空台車)を未処理物品の荷受、支給を行う新たな支給台車に再指定する支給台車の再選定を行うことにより、支給台車が収納装置に到達する時間をより短縮できる。
【0022】
また、本発明に係る物品搬送システムにおける第6の特徴は、前記未処理物品支給制御手段は、前記処理済み物品が引取されるまで、前記支給処理を行わないように指令を出し、前記処理済み物品の引取が行われたのち、前記未処理物品の支給を行うことである。
【0023】
この構成によると、処理済み物品の引取が行われたのち、未処理物品の支給を行うという作業工程の順位を守ることができる。よって、目標処理装置が物品の処理を行っている途中に新たな未処理物品が供給されることはない。
【0024】
また、本発明に係る物品搬送システムにおける第7の特徴は、前記所定時間が、1分以上10分以下であることである。
【0025】
この構成によると、上記所定時間の上限を10分とすることで、処理済み物品の引取を行う引取台車、及び未処理物品の支給を行う支給台車の最初の選定を早くしすぎることがなく、引取台車の再指定回数及び支給台車の再指定回数がむやみに多くなることを防止できる。また、上記所定時間の下限を1分とすることで、引取台車による処理済み物品の引取走行、及び支給台車による未処理物品の荷受走行を迅速に開始することができるため、目標処理装置からの処理済み物品の引取を行う時間、及び収納装置からの未処理物品の荷受を行う時間を短縮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。以下に説明する本発明に係る物品搬送システムの実施形態では、処理済み物品或いは未処理物品である複数枚の半導体基板のような複数の物品が収納された一般にFOUP(Front Opening Unified Pod)と呼ばれるキャリア(被搬送物)を搬送対象の物品として記載するが、本発明に係る物品搬送システムは、複数枚の半導体基板が収納されたFOUP以外の収納容器、あるいは単品の物品を搬送対象の物品とすることも可能である。また、搬送台車としては、OHT(Overhead Hoist Transport)搬送台車や、OHS(Overhead Hoist Shuttle)搬送台車などがある。さらに処理装置としては、半導体基板用の処理装置を対象としているが、本発明に係る物品搬送システムで用いられる処理装置は、半導体基板用の処理装置に限られるものではない。
【0027】
図1は、本発明の物品搬送システムに係る一実施形態のレイアウト図である。また、図2は、図1に示す物品搬送システム1の構成図である。図1及び図2に示すように、本一実施形態の物品搬送システム1は、複数の処理済み物品又は複数の未処理物品を収納したキャリア20を搭載して搬送する複数の搬送台車13と、キャリア20を収納する収納装置14(以下、ストッカ14と記載する)と、搬送台車13が一方向に走行移動し、少なくとも1つの閉ループの軌道を形成する走行路(工程間軌道10、工程内軌道11、及び分岐軌道12から構成される)と、物品の処理を行う処理装置15と、処理済み物品引取制御手段と未処理物品支給制御手段とから構成され搬送台車13及びストッカ14と通信を行う搬送台車制御手段26とを備えている。
【0028】
ここで、搬送台車制御手段26は、搬送台車13を統括するコントローラであるTSC(Transport System Controller)16と、ストッカ14を統括するコントローラであるSC(Stocker Controller)25と、TSC16及びSC25と通信を行い、物品搬送システム1全体を統括するコントローラであるMCS(Material Control System)23と、MCS23及び処理装置15と通信を行い、生産システム全体を統括するコントローラであるMES(Manufacturing Execution System)24とから構成される。
【0029】
また、図1の搬送台車13a、13b、13cで示すように、搬送台車13は、工程間軌道10から分岐する分岐軌道12を介して工程間軌道10から工程内軌道11を走行する。また、搬送台車13は、TSC16の指令を受けてこれら走行路上を一方向に自在に走行する。ここで、搬送台車13が走行する、工程間軌道10、工程内軌道11、及び分岐軌道12から構成される走行路は、工場の天井から吊り下げるなどして取り付けられる。
【0030】
また、ストッカ14は、工程間軌道10から分岐する分岐軌道12に隣接して配置され搬出入ポート18を介して搬送台車13とキャリア20の受け渡しを行う。処理装置15は、工程内軌道11に沿って複数配置され搬出入ポート19を介して搬送台車13とキャリア20の受け渡しを行う。
【0031】
(第1実施形態)
図3は、本発明の物品搬送システムにおける第1実施形態に係る制御フロー概略説明図である。また、図5は、本第1実施形態との比較用に示した従来の物品搬送システムに係る制御フロー概略説明図である。
【0032】
本第1実施形態では、まず、予測時間受信手段により、MES24は物品の処理を行っている処理装置15から物品の処理が終了するまでの予測時間及びキャリア20の引取予報を受信する。次に、図3に示すように、MES24はMCS23に引取予報を送信する。そして、引取台車選定手段により、この予測時間が所定時間に達したら、物品の搬送が可能な搬送台車13のうち、物品の処理を行っている目標の処理装置15に最も早く到着する一の搬送台車13が、処理済み物品の引取を行う引取台車に指定される。そして、搬送台車13は処理済み物品の引取のための走行を開始する(引取予備動作時間32a)。
【0033】
次に、処理装置15における物品の処理が終了しキャリアの引取準備が整えば、MCS23はTSC16に処理済み物品を収納したキャリア20の引取要求を送信する。そして、TSC16の指令により引取台車に指定された搬送台車13が、上記キャリア20の引取を実行する(引取動作時間32b)。そして、上記キャリア20の引取が完了すれば、MCS23はTSC16に未処理物品を収納したキャリア20の支給要求を送信する。そして、TSC16の指令により支給台車に指定された搬送台車13が、上記キャリア20の支給を実行する(支給動作時間33)。
【0034】
一方、図5に示すように、従来の物品搬送システムにおいては、処理装置15における物品の処理が終了した時点で、MES24が物品の処理を行っている処理装置15から物品の処理が終了した信号を受信し、キャリアの引取準備が整えば、MES24は、MCS23を介してTSC16に処理済み物品を収納したキャリア20の引取要求を送信する。そして、TSC16の指令により引取台車に指定された搬送台車13が、処理済み物品の引取のための走行を開始し、処理済み物品を収納したキャリア20の引取を実行する(引取動作時間38)。そののち、前記の本第1実施形態と同様に支給台車に指定された搬送台車13が、上記キャリア20の支給を実行する(支給動作時間39)。
【0035】
ここで、前記したように、図3及び図5に示すCET31,37とは、処理装置15から処理済み物品が収納されたキャリア20を引取、新たに未処理物品が収納されたキャリア20を処理装置15に支給するまでに要する時間として定義されるもので、CET31は、引取動作時間32bと支給動作時間33との和であり、CET37は、引取動作時間38と支給動作時間39との和である。これをキャリア交換時間(CET(Carrier Exchange Time))と呼ぶこととすると、図3に示す本第1実施形態に係るCET31の方が、図5に示す従来の物品搬送システムに係るCET37よりも短くなる。これは、本第1実施形態においては、処理装置15が物品の処理を終了するまでに、処理済み物品の引取を行う引取台車である搬送台車13が、処理済み物品引取のための走行を開始するが、従来の物品搬送システムにおいては、処理装置15が物品の処理を終了した時点ではじめて、処理済み物品の引取を行う引取台車である搬送台車13が走行し始める。よって、この搬送台車13が処理装置15に到達する時間は、本第1実施形態における制御手段の方が確実に短縮される。したがって、処理装置15からの処理済み物品を収納したキャリア20の引取を行う時間を、従来よりも短縮化でき、結果として半導体処理装置などの処理装置15の遊休時間が短縮され処理効率の向上が図れる。
【0036】
図6は、図3に示す本第1実施形態に係る制御フローの詳細フローを示した図である。以下、本第1実施形態に係る制御フローの詳細について図6を参照しつつ説明する。
【0037】
まず、前記したように、本発明の物品搬送システムにおける搬送台車制御手段26は、処理済み物品引取制御手段と未処理物品支給制御手段とを有する。そして、本第1実施形態に係る処理済み物品引取制御手段は、予測時間受信手段と引取台車選定手段とを有し、未処理物品支給制御手段は、支給台車選定手段を有する。
【0038】
そして、本第1実施形態に係る予測時間受信手段により、図6に示すS2(ステップ2、以下S2と記載する、他のステップも同様)が実行され、引取台車選定手段により、図6に示すS5及びS7が実行される。以下、図6に示す各工程について説明する。
【0039】
まず、処理装置15が物品の処理を終了するまでの予測時間を計算する(S1)。上記予測時間が、例えば、3分に達する又は3分以内の場合、MES24は、処理装置15からキャリア20の引取予報及び上記予測時間を受信する(S2)。そして、MES24は、MCS23にキャリア20の引取予報、上記予測時間、及び標準偏差を送信する(S3)。ここで、標準偏差とは、処理装置15が物品の処理を終了するまでの予測時間と、実際に処理を終了するに要した実績時間との差異に関する過去の実績データについて、予め計算で求めておいた標準偏差値であって、予測時間は、この標準偏差を含め計算される。
【0040】
尚、上記所定時間は、1分以上10分以下であることが好ましい。所定時間の上限を10分とすることで、キャリア20の引取を行う引取台車、及びキャリア20の支給を行う支給台車の最初の選定を早くしすぎることがなく、引取台車の再指定回数及び支給台車の再指定回数がむやみに多くなることを防止できる。また、上記所定時間の下限を1分とすることで、引取台車によるキャリア20の引取走行、及び支給台車によるキャリア20の荷受走行を迅速に開始することができるため、処理装置15からのキャリア20の引取を行う時間、及びストッカ14からのキャリア20の荷受を行う時間を短縮できる。
【0041】
次に、MCS23は、TSC16にキャリア20の引取搬送を指令する(S4)。MCS23からキャリア20の引取搬送指令を受けたTSC16は、物品の搬送が可能な空の搬送台車13のうち、物品の処理を行っている目標の処理装置15に最も早く到着する一の搬送台車13を、キャリア20の引取を行う引取台車に指定する引取台車指定を行い、この引取台車に目標の処理装置15と目標の処理装置15までのルートとを示しキャリア20の引取搬送を指令する(S5)。そして、引取台車に指定された空の搬送台車13がキャリア20の引取のための走行を開始する(S6)。
【0042】
次に、TSC16は、キャリア20の引取を行う引取台車の再選定を行う(S7)。ここで、図7は、図6に示すS7の詳細フローを示した図である。また、図8は、図7に示すステップ34及び37を説明する図である。
【0043】
図7に示すように、引取台車が目標の処理装置15近傍に到着(S31)すれば、TSC16は、目標の処理装置15が物品の処理を終了するまで上記引取台車を目標の処理装置15近傍に待機させる待機指令を出す(S32)。そして、TSC16は、待機している引取台車である搬送台車13dの走行移動方向と反対方向の上流側から、物品の搬送が可能な他の搬送台車13eが接近(S33)してきた場合、S5で行われた引取台車指定を解除して上記他の搬送台車13eを新たな引取台車に指定する再度の引取台車指定を行う(S34)(図8(a)参照)。
【0044】
ここで、引取台車の後方から物品の搬送が可能な他の搬送台車13eが接近してくる場合があり、一方、搬送台車13は走行路を一方向に走行移動するため、引取台車が接近してきた下流側の搬送台車13dの走行を妨害して渋滞が生じることがある。しかし、この制御フローにより、後方から接近してきた搬送台車13eがキャリア20の引取を行う新たな引取台車に再指定されるため、走行路上における搬送台車13の渋滞は回避される。尚、引取台車が目標の処理装置15d近傍に待機している間、S34の引取台車の再指定は、後続から空の搬送台車13が接近してくる限り、繰り返し行われるものである。
【0045】
次に、図7に示すように、目標の処理装置15が物品の処理を終了し、MCS23がTSC16にキャリア20の引取要求を指令(S35)したとき、引取台車である搬送台車13gの走行移動方向側であって、搬送台車13gと処理装置15fとの間に物品の搬送が可能な別の搬送台車13fが位置(S36)している場合、搬送台車13gの引取台車指定を解除して、搬送台車13gよりも、より処理装置15f近傍に位置する搬送台車13fを新たな引取台車に指定する再度の引取台車指定を行う(S37)(図8(b1)、(b2)参照)。そして、キャリア20の引取台車が確定し(S38)、確定した引取台車が、キャリア20の引取のための走行を開始する(S39)。このS37による再度の引取台車指定を行うことにより、引取台車がキャリア20を引取するための目標の処理装置15に到達する時間をより短縮できる。
【0046】
尚、上記のS37による再度の引取台車指定が行われるのは、図8(b1)、(b2)に示すように、図6に示すS5で行われた引取台車指定時以後、S7の引取台車の再選定が行われるまでに、キャリア20の引取要求のあった処理装置15eへキャリア20の支給を完了させた他の搬送台車13fが、キャリア20の搬送が可能な空の搬送台車13fとなる場合があるからである。
【0047】
図6に戻り、引取台車がキャリア20の引取を完了する(S8)と、MES24は、TSC16からMCS23を介してキャリア20の引取完了の信号を受信し、引取完了を確認後、MCS23に未処理物品を収納したキャリア20の支給を指令し、MCS23は、TSC16にキャリア20の支給要求を出す(S9)。
【0048】
そして、MCS23が、TSC16にキャリア20の支給搬送を指令し(S11)、指令を受けたTSC16は、物品の搬送が可能な空の搬送台車13のうち、ストッカ14に最も早く到着する一の搬送台車13を、キャリア20の支給を行う支給台車に指定する支給台車指定を行い、この支給台車にストッカ14までのルートを示しキャリア20の荷受処理を指令する(S13)。これにより、キャリア20の荷受及び支給を行う支給台車が確定し(S14)、この確定した支給台車が荷受のための走行を開始する(S15)。
【0049】
また、MES24は、MCS23に未処理物品を収納したキャリア20の支給を指令するとともに、MCS23に未処理物品を収納したキャリア20の載置を指令し、MCS23は、SC25にキャリア20をストッカ14の搬出入ポート18に載置するよう指令を出す(S10)。そして、ストッカ14は、キャリア20を搬出入ポート18に載置する(S12)。
【0050】
次に、S14により確定した支給台車は、ストッカ14の搬出入ポート18からキャリア20を受け取る(S16)。そして、TSC16は、キャリア20を受け取った(荷受処理を行った)支給台車にキャリア20を支給する目標の処理装置15と、その処理装置15までのルートを示し、キャリア20の支給搬送を指令する(S17)。そして、キャリア20を搭載した支給台車は、上記処理装置15にキャリア20を支給するための走行を開始し(S18)、この支給台車が、目標の処理装置15にキャリア20を支給して(S19)、処理済み物品の引取、及び未処理物品の支給が完了する。
【0051】
図11は、図5に示す従来の物品搬送システムに基づく制御フローにより数値解析を実施したCET分布のシミュレーション結果を示した図である。図11における横軸は、キャリア交換時間(CET)で、縦軸は、そのCETの頻度である。ここで、直線で連結されたそれぞれの点が計算結果であり、曲線は、この計算結果の分布について指数分布を仮定して求めた近似曲線である。
【0052】
また、図12は、図3、図5に示す制御フローに基づき数値解析を実施したCET分布のシミュレーション結果を示した図である。尚、図3に示す本第1実施形態における制御フロー(詳細フローは図6に示す)において、処理装置15が物品の処理を終了するまでの予測時間を1分とし処理が終了する約1分前に引取予報を出す条件で第1実施形態における制御フローに基づき数値解析を行っている。また、計算には図11の指数分布の仮定を使用している。
【0053】
図12における横軸は、キャリア交換時間(CET)で、縦軸は、そのCETの確率密度である。また、実線は、本第1実施形態における制御フローに基づくシミュレーション結果であり、点線は、従来の物品搬送システムにおける制御フローに基づくシミュレーション結果である。図12に示すように、本第1実施形態では、従来の物品搬送システム(従来技術)と比較してCETの平均値(期待値)、標準偏差(バラつき)とも小さく、CETが1分を超過する割合(長時間となる割合)も大幅に低減できている。これらの結果のうち、CETが長時間となる割合を低減できる効果は運用上の実利が大である。
【0054】
(第2実施形態)
図4は、本発明の物品搬送システムにおける第2実施形態に係る制御フロー概略説明図である。尚、本第2実施形態を説明する図4に示す34、35a、及び35bは、前記の第1実施形態を説明する図3の31、32a、及び32bと同様の構成であるため、その説明は省略する。
【0055】
本第2実施形態と前記の第1実施形態との違いは、本第2実施形態においては、未処理物品支給制御手段においても、物品の処理が終了するまでに、未処理物品を支給するための支給台車が走行を開始することである。
【0056】
図4に示すように、MES24はMCS23に物品の処理が終了するまでの支給予報を送信する。そして、支給台車選定手段により、この予測時間が所定時間に達したら、物品の搬送が可能な搬送台車13のうち、ストッカ14に最も早く到着する一の搬送台車13が、未処理物品の支給を行う支給台車に指定される。そして、搬送台車13は未処理物品の荷受及び支給のための走行を開始する(支給予備動作時間36a)。
【0057】
次に、処理装置15における物品の処理が終了しキャリアの引取準備が整えば、MCS23はTSC16に未処理物品を収納したキャリア20の支給要求を送信する。そして、TSC16の指令により支給台車に指定された搬送台車13が、上記キャリア20の荷受及び支給を実行する(支給動作時間36b)。尚、図4に示すように、ここでのCET34は支給動作時間36bと等しくなる。
【0058】
この構成によると、物品の処理が終了する前から未処理物品を支給するための支給台車が走行を開始するため、処理済み物品の引取を行う引取台車が物品の引取を終了した時点や、処理装置15が物品の処理を終了した時点で、上記支給台車が走行し始める場合に比べて、支給台車がストッカ14に到達する時間は短縮される。よって、ストッカ14からの未処理物品の荷受を行う時間を短縮化でき、未処理物品の支給を行う目標の処理装置15への未処理物品の支給を迅速に行えることができ、半導体処理装置などの処理装置15の遊休時間が短縮され処理効率の向上が図れる。
【0059】
図9は、図4に示す本第2実施形態に係る制御フローの詳細フローを示した図である。以下、本第2実施形態に係る制御フローの詳細について図9を参照しつつ説明する。尚、図6に示す第1実施形態に係る制御フローのステップのうち、同一ステップには同一符号を付してその説明を省略する。
【0060】
まず、前記したように、本発明の物品搬送システムにおける搬送台車制御手段26は、処理済み物品引取制御手段と未処理物品支給制御手段とを有する。そして、本第2実施形態に係る処理済み物品引取制御手段は、予測時間受信手段と引取台車選定手段とを有し、未処理物品支給制御手段は、予測時間受信手段と支給台車選定手段とを有する。
【0061】
そして、本第2実施形態に係る予測時間受信手段により、図9に示すS42が実行され、引取台車選定手段により図9に示すS5及びS7が実行され、支給台車選定手段により図9に示すS13及びS44が実行される。以下、図9に示す各工程について説明する。
【0062】
まず、S1が実行されたのち、処理装置15における物品の処理を終了するまでの予測時間が、例えば、3分に達する又は3分以内の場合、MES24は、処理装置15からキャリア20の引取予報、支給予報及び上記予測時間を受信する(S42)。そして、MES24は、MCS23にキャリア20の引取予報、支給予報、上記予測時間、及び標準偏差を送信する(S43)。
【0063】
次に、図9に示すS44について説明する。図10は、図9に示すステップ44の詳細フローを示した図である。
【0064】
図10に示すように、キャリア20の支給台車に指定された搬送台車13がストッカ14に到着する(S51)と、この搬送台車13は、ストッカ14からキャリア20を受け取る荷受処理を行い(S16)、この荷受処理を行ってキャリア20を搭載した搬送台車13が支給台車に確定する(S55)。
【0065】
一方、キャリア20の支給台車に指定された搬送台車13がストッカ14に到着(S51)するまでに、処理装置15が物品の処理を終了し、MCS23がTSC16にキャリア20の引取要求及び支給要求を指令(S52)したとき、ストッカ14に最も早く到着する新たな搬送台車13が存在する(S53)場合、前記の支給台車指定及び前記の荷受処理の指令を解除して、上記の新たな搬送台車13を支給台車に指定する再度の支給台車指定を行う(S54)。そして、上記搬送台車13が、ストッカ14からキャリア20を受け取る荷受処理を行い(S16)、この荷受処理を行ってキャリア20を搭載した搬送台車13が支給台車に確定し(S55)、S17、S18が実行される。このように、支給台車の再選定(S44)を行うことにより、支給台車がストッカ14に到達する時間をより短縮できる。尚、上記S53は、図8(b1)、(b2)に示す処理装置15fをストッカ14に置き換えると容易に理解できるものである。
【0066】
そして、TSC16は、支給台車に対して引取台車により処理済み物品が収納されたキャリア20の引取されるまで、未処理物品を収納したキャリア20の支給処理を行わないように指令を出す。そして、処理済み物品が収納されたキャリア20の引取が行われ、MES24が処理済み物品の収納されたキャリア20の引取完了を確認後、MES24は、MCS23に未処理物品を収納したキャリア20の支給を指令し、MCS23は、TSC16に未処理物品を収納したキャリア20の支給処理を許可する(S45)。これにより、処理済み物品の引取が行われたのち、未処理物品の支給を行うという作業工程の順位を守ることができる。よって、処理装置15が物品の処理を行っている途中に新たな未処理物品を収納したキャリア20が供給されることはない。
【0067】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の物品搬送システムに係る一実施形態のレイアウト図である。
【図2】図1に示す物品搬送システムの構成図である。
【図3】本発明の物品搬送システムにおける第1実施形態に係る制御フロー概略説明図である。
【図4】本発明の物品搬送システムにおける第2実施形態に係る制御フロー概略説明図である。
【図5】従来の物品搬送システムに係る制御フロー概略説明図である。
【図6】図3に示す制御フローの詳細フローを示した図である。
【図7】図6に示すステップ7の詳細フローを示した図である。
【図8】図7に示すステップ34及び37を説明する図である。
【図9】図4に示す制御フローの詳細フローを示した図である。
【図10】図9に示すステップ44の詳細フローを示した図である。
【図11】図5に示す制御フローに基づき数値解析を実施したCET分布のシミュレーション結果を示した図である。
【図12】図3、図5に示す制御フローに基づき数値解析を実施したCET分布のシミュレーション結果を示した図である。
【符号の説明】
【0069】
1 物品搬送システム
10 工程間軌道
11 工程内軌道
12 分岐軌道
13 搬送台車
14 収納装置(ストッカ)
15 処理装置
20 キャリア
26 搬送台車制御手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板などの処理装置で処理される未処理物品、又はこれらの装置で処理された処理済み物品を搭載して搬送する複数の搬送台車の動作を制御する搬送台車制御手段を備えた物品搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体製造工場においては、生産性向上のための一つの方法として、生産のロットサイズ(1回当たりの生産量)を小さくし、且つ、半導体処理装置の単位時間当たりの処理能力を短くする試みがなされている。この生産方式では、中間製品である複数枚の半導体基板が収納された一般にFOUP(Front Opening Unified Pod)と呼ばれるキャリア(被搬送物)が搬送される回数は当然に増大する。
【0003】
一方、半導体処理装置とストッカ(収納装置)との間、半導体処理装置間、或いはストッカ(収納装置)間において、キャリアを搬送するOHT(Overhead Hoist Transport)搬送台車などの搬送台車には半導体処理装置に遊休時間が生じないよう、効率の良い搬送台車制御技術が求められる。尚、キャリアの引取は、処理装置に連結されキャリアを載置する搬出入ポートを介して行われ、キャリアの支給も同様に、処理装置に連結されキャリアを載置する搬出入ポートを介して行われる。
【0004】
通常、ある半導体処理装置における搬送台車によるキャリア交換(搬送)時間は、半導体処理装置から処理済みの半導体基板が収納されたキャリアを引取、新たに未処理の半導体基板が収納されたキャリアを半導体処理装置に支給するまでに要する時間として定義される。このキャリア交換時間をCET(Carrier Exchange Time)と呼ぶことにすると、CETが短い程優れた物品搬送システムと評価される。
【0005】
従来、多数の搬送台車を制御部の指示下で走行させて、ステーション間で物品を搬送するシステムであって、同一の製造装置に対して複数の引取処理又は支給処理を順序付けて実行する搬送システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載の搬送システムは、先順位の引取処理を実行する搬送台車が、後順位の支給処理を要求する収納装置と処理物品搬送先である処理装置との間の領域に進入した後に、後順位の支給処理要求を開始するようにした搬送システムである。
【0006】
また、処理装置で処理された処理済み荷物の引取が行われたのち、処理装置で処理される未処理荷物の支給が行われる搬送システムであって、同一の製造装置に対して引取処理と支給処理とを同時に開始する搬送システムも提案されている(例えば、特許文献2参照)。この特許文献2に記載の搬送システムは、処理装置での処理が終了したのちキャリアの引取処理及び支給処理の要求を受けたとき、引取処理及び支給処理の指令を同時に出し、処理荷物搬送先から処理済荷物を収納したキャリアが引取されていなければ、未処理荷物を収納したキャリアの支給処理を一時的に行わないようにして、その後、処理済荷物を収納したキャリアの引取を確認すれば、未処理荷物を収納したキャリアの支給処理を行う搬送システムである。
【0007】
【特許文献1】特開2000−148243号公報
【特許文献2】特開2005−243729号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載された搬送システムにおいては、先順位の処理を実行する搬送台車が、後順位の処理を要求する収納装置と処理物品搬送先の処理装置との間の領域に進入するまで、後順位の処理が実行されない。すなわち、先順位の処理を実行する搬送台車が上記領域に進入してから、後順位の処理を実行する搬送台車が後順位の処理を要求する装置に向かうことを意味する。したがって、順位を守って物品を搬送することはできるものの、処理効率の向上までは望めない。
【0009】
また、特許文献2に記載された搬送システムにおいては、処理装置での処理終了後、キャリアの引取処理及び支給処理の要求を受けたとき、引取処理及び支給処理の指令を同時に出すため、特許文献1に記載された搬送システムと比較して、キャリア交換時間(CET)は短縮化されている。しかし、半導体処理装置のように、複数の処理済み基板が収納されたキャリアが引取された後、すぐに未処理基板が収納されたキャリアの支給が要求される装置などにおいては、可能な限り、製造装置の遊休時間を少なくする必要がある。
【0010】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、処理装置からの処理済み物品の引取、ならびに処理装置への未処理物品の支給を行う時間を極力短縮化することによって、半導体処理装置などの遊休時間を短縮し処理効率の向上を図った物品搬送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0011】
本発明に係る物品搬送システムは、処理装置で処理された処理済み物品の引取、及び前記処理装置で処理される未処理物品の支給を行う物品搬送システムに関する。そして、本発明に係る物品搬送システムは、上記目的を達成するために以下のようないくつかの特徴を有している。すなわち、本発明の物品搬送システムは、以下の特徴を単独で、若しくは、適宜組み合わせて備えている。
【0012】
上記目的を達成するための本発明に係る物品搬送システムにおける第1の特徴は、前記処理済み物品又は前記未処理物品を搭載して搬送する複数の搬送台車と、前記未処理物品を収納する収納装置と、前記搬送台車が一方向に走行移動し、少なくとも1つの閉ループの軌道を形成する走行路と、処理済み物品引取制御手段と未処理物品支給制御手段とから構成され、前記搬送台車及び前記収納装置と通信を行う搬送台車制御手段とを備え、前記処理済み物品引取制御手段は、物品の処理を行っている前記処理装置である目標処理装置から物品の処理が終了するまでの予測時間を受信する予測時間受信手段と、前記予測時間が所定時間に達したら、物品の搬送が可能な前記搬送台車のうち、前記目標処理装置に最も早く到着する一の前記搬送台車を、引取台車に指定する引取台車指定を行う引取台車選定手段とを有し、前記処理済み物品の引取を行うための前記引取台車に、前記処理済み物品の引取処理を指令することである。
【0013】
この構成によると、物品の処理を行っている目標処理装置が物品の処理を終了するまでに、処理済み物品の引取処理が開始される。すなわち、目標処理装置が物品の処理を終了するまでに、物品の搬送が可能で且つ目標処理装置に最も早く到着する、処理済み物品の引取を行う引取台車が、処理済み物品引取のための走行を開始する。よって、目標処理装置が物品の処理を終了した時点で、処理済み物品の引取を行う引取台車が走行し始める場合に比べて、引取台車が目標処理装置に到達する時間は短縮される。したがって、目標処理装置からの処理済み物品の引取を行う時間を短縮化でき、結果として半導体処理装置などの遊休時間が短縮され処理効率の向上が図れる。
【0014】
また、本発明に係る物品搬送システムにおける第2の特徴は、前記引取台車選定手段は、前記目標処理装置が物品の処理を終了するまで前記引取台車を前記目標処理装置近傍に待機させる待機指令を出し、待機している前記引取台車の走行移動方向と反対方向の上流側から、物品の搬送が可能な他の前記搬送台車が接近してきた場合、前記引取台車指定を解除して前記他の前記搬送台車を前記引取台車に指定する再度の前記引取台車指定を行うことである。
【0015】
この構成によると、目標処理装置が物品の処理を終了するまで、処理済み物品の引取を行う引取台車は目標処理装置の近傍に待機する。このとき、上記引取台車の後方から物品の搬送が可能な他の搬送台車が接近してくる場合があり、一方、搬送台車は走行路を一方向に走行移動するため、この引取台車が、接近してきた搬送台車の走行を妨害して渋滞が生じることがある。しかし、接近してきた搬送台車は、処理済み物品の引取を行う新たな引取台車に再指定されるため、走行路上における搬送台車の渋滞は回避される。
【0016】
また、本発明に係る物品搬送システムにおける第3の特徴は、前記引取台車選定手段は、前記目標処理装置が物品の処理を終了したとき、前記引取台車の走行移動方向側であって、前記引取台車と前記目標処理装置との間に物品の搬送が可能な別の前記搬送台車が位置している場合、前記引取台車指定を解除して前記別の前記搬送台車を前記引取台車に指定する再度の前記引取台車指定を行うことである。
【0017】
この構成によると、目標処理装置が物品の処理を終了したとき、処理済み物品の引取を行う引取台車の再選定が行われる。ここで、前記の予測時間が所定時間に達した時点で、引取台車が選定されているが、目標処理装置が物品の処理を終了するまでの間に物品を搭載して搬送している搬送台車が、処理装置などに物品を引き渡して物品の搬送が可能な台車(空台車)になっている場合がある。そして、この物品の搬送が可能な台車(空台車)が、上記引取台車と目標処理装置との間に位置している場合には、この物品の搬送が可能な台車(空台車)を処理済み物品の引取を行う新たな引取台車に再指定する引取台車の再選定を行うことにより、引取台車が目標処理装置に到達する時間をより短縮できる。
【0018】
また、本発明に係る物品搬送システムにおける第4の特徴は、前記未処理物品支給制御手段は、前記予測時間受信手段と、前記予測時間が所定時間に達したら、物品の搬送が可能な前記搬送台車のうち、前記収納装置に最も早く到着する一の前記搬送台車を、支給台車に指定する支給台車指定を行う支給台車選定手段とを有し、前記未処理物品の支給を行うための前記支給台車に、前記収納装置からの前記未処理物品の荷受処理、及び前記目標処理装置への前記未処理物品の支給処理を指令することである。
【0019】
この構成によると、物品の処理を行っている目標処理装置が物品の処理を終了するまでに、未処理物品の荷受、支給処理が開始される。すなわち、目標処理装置が物品の処理を終了するまでに、物品の搬送が可能で且つ未処理物品を収納する収納装置に最も早く到着する、未処理物品の荷受、支給を行う支給台車が、未処理物品荷受のための走行を開始する。よって、処理済み物品の引取を行う引取台車が物品の引取を終了した時点や、目標処理装置が物品の処理を終了した時点で、未処理物品の荷受、支給を行う支給台車が走行し始める場合に比べて、支給台車が収納装置に到達する時間は短縮される。したがって、収納装置からの未処理物品の荷受を行う時間を短縮化でき、目標処理装置への未処理物品の支給を迅速に行えることができるので、結果として半導体処理装置などの遊休時間が短縮され処理効率の向上が図れる。
【0020】
また、本発明に係る物品搬送システムにおける第5の特徴は、前記支給台車選定手段は、前記目標処理装置が物品の処理を終了したとき、前記支給台車が前記荷受処理をまだ行っておらず、且つ前記収納装置に最も早く到着する新たな前記搬送台車が存在する場合、前記支給台車指定及び前記荷受処理の指令を解除して前記新たな前記搬送台車を前記支給台車に指定する再度の前記支給台車指定を行うことである。
【0021】
この構成によると、目標処理装置が物品の処理を終了したとき、未処理物品の荷受、支給を行う支給台車の再選定が行われる。ここで、前記の予測時間が所定時間に達した時点で、支給台車が選定されているが、目標処理装置が物品の処理を終了するまでの間に物品を搭載して搬送している搬送台車が、処理装置などに物品を引き渡して物品の搬送が可能な台車(空台車)になっている場合がある。そして、この物品の搬送が可能な台車(空台車)が、上記支給台車と収納装置との間に位置している場合には、この物品の搬送が可能な台車(空台車)を未処理物品の荷受、支給を行う新たな支給台車に再指定する支給台車の再選定を行うことにより、支給台車が収納装置に到達する時間をより短縮できる。
【0022】
また、本発明に係る物品搬送システムにおける第6の特徴は、前記未処理物品支給制御手段は、前記処理済み物品が引取されるまで、前記支給処理を行わないように指令を出し、前記処理済み物品の引取が行われたのち、前記未処理物品の支給を行うことである。
【0023】
この構成によると、処理済み物品の引取が行われたのち、未処理物品の支給を行うという作業工程の順位を守ることができる。よって、目標処理装置が物品の処理を行っている途中に新たな未処理物品が供給されることはない。
【0024】
また、本発明に係る物品搬送システムにおける第7の特徴は、前記所定時間が、1分以上10分以下であることである。
【0025】
この構成によると、上記所定時間の上限を10分とすることで、処理済み物品の引取を行う引取台車、及び未処理物品の支給を行う支給台車の最初の選定を早くしすぎることがなく、引取台車の再指定回数及び支給台車の再指定回数がむやみに多くなることを防止できる。また、上記所定時間の下限を1分とすることで、引取台車による処理済み物品の引取走行、及び支給台車による未処理物品の荷受走行を迅速に開始することができるため、目標処理装置からの処理済み物品の引取を行う時間、及び収納装置からの未処理物品の荷受を行う時間を短縮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。以下に説明する本発明に係る物品搬送システムの実施形態では、処理済み物品或いは未処理物品である複数枚の半導体基板のような複数の物品が収納された一般にFOUP(Front Opening Unified Pod)と呼ばれるキャリア(被搬送物)を搬送対象の物品として記載するが、本発明に係る物品搬送システムは、複数枚の半導体基板が収納されたFOUP以外の収納容器、あるいは単品の物品を搬送対象の物品とすることも可能である。また、搬送台車としては、OHT(Overhead Hoist Transport)搬送台車や、OHS(Overhead Hoist Shuttle)搬送台車などがある。さらに処理装置としては、半導体基板用の処理装置を対象としているが、本発明に係る物品搬送システムで用いられる処理装置は、半導体基板用の処理装置に限られるものではない。
【0027】
図1は、本発明の物品搬送システムに係る一実施形態のレイアウト図である。また、図2は、図1に示す物品搬送システム1の構成図である。図1及び図2に示すように、本一実施形態の物品搬送システム1は、複数の処理済み物品又は複数の未処理物品を収納したキャリア20を搭載して搬送する複数の搬送台車13と、キャリア20を収納する収納装置14(以下、ストッカ14と記載する)と、搬送台車13が一方向に走行移動し、少なくとも1つの閉ループの軌道を形成する走行路(工程間軌道10、工程内軌道11、及び分岐軌道12から構成される)と、物品の処理を行う処理装置15と、処理済み物品引取制御手段と未処理物品支給制御手段とから構成され搬送台車13及びストッカ14と通信を行う搬送台車制御手段26とを備えている。
【0028】
ここで、搬送台車制御手段26は、搬送台車13を統括するコントローラであるTSC(Transport System Controller)16と、ストッカ14を統括するコントローラであるSC(Stocker Controller)25と、TSC16及びSC25と通信を行い、物品搬送システム1全体を統括するコントローラであるMCS(Material Control System)23と、MCS23及び処理装置15と通信を行い、生産システム全体を統括するコントローラであるMES(Manufacturing Execution System)24とから構成される。
【0029】
また、図1の搬送台車13a、13b、13cで示すように、搬送台車13は、工程間軌道10から分岐する分岐軌道12を介して工程間軌道10から工程内軌道11を走行する。また、搬送台車13は、TSC16の指令を受けてこれら走行路上を一方向に自在に走行する。ここで、搬送台車13が走行する、工程間軌道10、工程内軌道11、及び分岐軌道12から構成される走行路は、工場の天井から吊り下げるなどして取り付けられる。
【0030】
また、ストッカ14は、工程間軌道10から分岐する分岐軌道12に隣接して配置され搬出入ポート18を介して搬送台車13とキャリア20の受け渡しを行う。処理装置15は、工程内軌道11に沿って複数配置され搬出入ポート19を介して搬送台車13とキャリア20の受け渡しを行う。
【0031】
(第1実施形態)
図3は、本発明の物品搬送システムにおける第1実施形態に係る制御フロー概略説明図である。また、図5は、本第1実施形態との比較用に示した従来の物品搬送システムに係る制御フロー概略説明図である。
【0032】
本第1実施形態では、まず、予測時間受信手段により、MES24は物品の処理を行っている処理装置15から物品の処理が終了するまでの予測時間及びキャリア20の引取予報を受信する。次に、図3に示すように、MES24はMCS23に引取予報を送信する。そして、引取台車選定手段により、この予測時間が所定時間に達したら、物品の搬送が可能な搬送台車13のうち、物品の処理を行っている目標の処理装置15に最も早く到着する一の搬送台車13が、処理済み物品の引取を行う引取台車に指定される。そして、搬送台車13は処理済み物品の引取のための走行を開始する(引取予備動作時間32a)。
【0033】
次に、処理装置15における物品の処理が終了しキャリアの引取準備が整えば、MCS23はTSC16に処理済み物品を収納したキャリア20の引取要求を送信する。そして、TSC16の指令により引取台車に指定された搬送台車13が、上記キャリア20の引取を実行する(引取動作時間32b)。そして、上記キャリア20の引取が完了すれば、MCS23はTSC16に未処理物品を収納したキャリア20の支給要求を送信する。そして、TSC16の指令により支給台車に指定された搬送台車13が、上記キャリア20の支給を実行する(支給動作時間33)。
【0034】
一方、図5に示すように、従来の物品搬送システムにおいては、処理装置15における物品の処理が終了した時点で、MES24が物品の処理を行っている処理装置15から物品の処理が終了した信号を受信し、キャリアの引取準備が整えば、MES24は、MCS23を介してTSC16に処理済み物品を収納したキャリア20の引取要求を送信する。そして、TSC16の指令により引取台車に指定された搬送台車13が、処理済み物品の引取のための走行を開始し、処理済み物品を収納したキャリア20の引取を実行する(引取動作時間38)。そののち、前記の本第1実施形態と同様に支給台車に指定された搬送台車13が、上記キャリア20の支給を実行する(支給動作時間39)。
【0035】
ここで、前記したように、図3及び図5に示すCET31,37とは、処理装置15から処理済み物品が収納されたキャリア20を引取、新たに未処理物品が収納されたキャリア20を処理装置15に支給するまでに要する時間として定義されるもので、CET31は、引取動作時間32bと支給動作時間33との和であり、CET37は、引取動作時間38と支給動作時間39との和である。これをキャリア交換時間(CET(Carrier Exchange Time))と呼ぶこととすると、図3に示す本第1実施形態に係るCET31の方が、図5に示す従来の物品搬送システムに係るCET37よりも短くなる。これは、本第1実施形態においては、処理装置15が物品の処理を終了するまでに、処理済み物品の引取を行う引取台車である搬送台車13が、処理済み物品引取のための走行を開始するが、従来の物品搬送システムにおいては、処理装置15が物品の処理を終了した時点ではじめて、処理済み物品の引取を行う引取台車である搬送台車13が走行し始める。よって、この搬送台車13が処理装置15に到達する時間は、本第1実施形態における制御手段の方が確実に短縮される。したがって、処理装置15からの処理済み物品を収納したキャリア20の引取を行う時間を、従来よりも短縮化でき、結果として半導体処理装置などの処理装置15の遊休時間が短縮され処理効率の向上が図れる。
【0036】
図6は、図3に示す本第1実施形態に係る制御フローの詳細フローを示した図である。以下、本第1実施形態に係る制御フローの詳細について図6を参照しつつ説明する。
【0037】
まず、前記したように、本発明の物品搬送システムにおける搬送台車制御手段26は、処理済み物品引取制御手段と未処理物品支給制御手段とを有する。そして、本第1実施形態に係る処理済み物品引取制御手段は、予測時間受信手段と引取台車選定手段とを有し、未処理物品支給制御手段は、支給台車選定手段を有する。
【0038】
そして、本第1実施形態に係る予測時間受信手段により、図6に示すS2(ステップ2、以下S2と記載する、他のステップも同様)が実行され、引取台車選定手段により、図6に示すS5及びS7が実行される。以下、図6に示す各工程について説明する。
【0039】
まず、処理装置15が物品の処理を終了するまでの予測時間を計算する(S1)。上記予測時間が、例えば、3分に達する又は3分以内の場合、MES24は、処理装置15からキャリア20の引取予報及び上記予測時間を受信する(S2)。そして、MES24は、MCS23にキャリア20の引取予報、上記予測時間、及び標準偏差を送信する(S3)。ここで、標準偏差とは、処理装置15が物品の処理を終了するまでの予測時間と、実際に処理を終了するに要した実績時間との差異に関する過去の実績データについて、予め計算で求めておいた標準偏差値であって、予測時間は、この標準偏差を含め計算される。
【0040】
尚、上記所定時間は、1分以上10分以下であることが好ましい。所定時間の上限を10分とすることで、キャリア20の引取を行う引取台車、及びキャリア20の支給を行う支給台車の最初の選定を早くしすぎることがなく、引取台車の再指定回数及び支給台車の再指定回数がむやみに多くなることを防止できる。また、上記所定時間の下限を1分とすることで、引取台車によるキャリア20の引取走行、及び支給台車によるキャリア20の荷受走行を迅速に開始することができるため、処理装置15からのキャリア20の引取を行う時間、及びストッカ14からのキャリア20の荷受を行う時間を短縮できる。
【0041】
次に、MCS23は、TSC16にキャリア20の引取搬送を指令する(S4)。MCS23からキャリア20の引取搬送指令を受けたTSC16は、物品の搬送が可能な空の搬送台車13のうち、物品の処理を行っている目標の処理装置15に最も早く到着する一の搬送台車13を、キャリア20の引取を行う引取台車に指定する引取台車指定を行い、この引取台車に目標の処理装置15と目標の処理装置15までのルートとを示しキャリア20の引取搬送を指令する(S5)。そして、引取台車に指定された空の搬送台車13がキャリア20の引取のための走行を開始する(S6)。
【0042】
次に、TSC16は、キャリア20の引取を行う引取台車の再選定を行う(S7)。ここで、図7は、図6に示すS7の詳細フローを示した図である。また、図8は、図7に示すステップ34及び37を説明する図である。
【0043】
図7に示すように、引取台車が目標の処理装置15近傍に到着(S31)すれば、TSC16は、目標の処理装置15が物品の処理を終了するまで上記引取台車を目標の処理装置15近傍に待機させる待機指令を出す(S32)。そして、TSC16は、待機している引取台車である搬送台車13dの走行移動方向と反対方向の上流側から、物品の搬送が可能な他の搬送台車13eが接近(S33)してきた場合、S5で行われた引取台車指定を解除して上記他の搬送台車13eを新たな引取台車に指定する再度の引取台車指定を行う(S34)(図8(a)参照)。
【0044】
ここで、引取台車の後方から物品の搬送が可能な他の搬送台車13eが接近してくる場合があり、一方、搬送台車13は走行路を一方向に走行移動するため、引取台車が接近してきた下流側の搬送台車13dの走行を妨害して渋滞が生じることがある。しかし、この制御フローにより、後方から接近してきた搬送台車13eがキャリア20の引取を行う新たな引取台車に再指定されるため、走行路上における搬送台車13の渋滞は回避される。尚、引取台車が目標の処理装置15d近傍に待機している間、S34の引取台車の再指定は、後続から空の搬送台車13が接近してくる限り、繰り返し行われるものである。
【0045】
次に、図7に示すように、目標の処理装置15が物品の処理を終了し、MCS23がTSC16にキャリア20の引取要求を指令(S35)したとき、引取台車である搬送台車13gの走行移動方向側であって、搬送台車13gと処理装置15fとの間に物品の搬送が可能な別の搬送台車13fが位置(S36)している場合、搬送台車13gの引取台車指定を解除して、搬送台車13gよりも、より処理装置15f近傍に位置する搬送台車13fを新たな引取台車に指定する再度の引取台車指定を行う(S37)(図8(b1)、(b2)参照)。そして、キャリア20の引取台車が確定し(S38)、確定した引取台車が、キャリア20の引取のための走行を開始する(S39)。このS37による再度の引取台車指定を行うことにより、引取台車がキャリア20を引取するための目標の処理装置15に到達する時間をより短縮できる。
【0046】
尚、上記のS37による再度の引取台車指定が行われるのは、図8(b1)、(b2)に示すように、図6に示すS5で行われた引取台車指定時以後、S7の引取台車の再選定が行われるまでに、キャリア20の引取要求のあった処理装置15eへキャリア20の支給を完了させた他の搬送台車13fが、キャリア20の搬送が可能な空の搬送台車13fとなる場合があるからである。
【0047】
図6に戻り、引取台車がキャリア20の引取を完了する(S8)と、MES24は、TSC16からMCS23を介してキャリア20の引取完了の信号を受信し、引取完了を確認後、MCS23に未処理物品を収納したキャリア20の支給を指令し、MCS23は、TSC16にキャリア20の支給要求を出す(S9)。
【0048】
そして、MCS23が、TSC16にキャリア20の支給搬送を指令し(S11)、指令を受けたTSC16は、物品の搬送が可能な空の搬送台車13のうち、ストッカ14に最も早く到着する一の搬送台車13を、キャリア20の支給を行う支給台車に指定する支給台車指定を行い、この支給台車にストッカ14までのルートを示しキャリア20の荷受処理を指令する(S13)。これにより、キャリア20の荷受及び支給を行う支給台車が確定し(S14)、この確定した支給台車が荷受のための走行を開始する(S15)。
【0049】
また、MES24は、MCS23に未処理物品を収納したキャリア20の支給を指令するとともに、MCS23に未処理物品を収納したキャリア20の載置を指令し、MCS23は、SC25にキャリア20をストッカ14の搬出入ポート18に載置するよう指令を出す(S10)。そして、ストッカ14は、キャリア20を搬出入ポート18に載置する(S12)。
【0050】
次に、S14により確定した支給台車は、ストッカ14の搬出入ポート18からキャリア20を受け取る(S16)。そして、TSC16は、キャリア20を受け取った(荷受処理を行った)支給台車にキャリア20を支給する目標の処理装置15と、その処理装置15までのルートを示し、キャリア20の支給搬送を指令する(S17)。そして、キャリア20を搭載した支給台車は、上記処理装置15にキャリア20を支給するための走行を開始し(S18)、この支給台車が、目標の処理装置15にキャリア20を支給して(S19)、処理済み物品の引取、及び未処理物品の支給が完了する。
【0051】
図11は、図5に示す従来の物品搬送システムに基づく制御フローにより数値解析を実施したCET分布のシミュレーション結果を示した図である。図11における横軸は、キャリア交換時間(CET)で、縦軸は、そのCETの頻度である。ここで、直線で連結されたそれぞれの点が計算結果であり、曲線は、この計算結果の分布について指数分布を仮定して求めた近似曲線である。
【0052】
また、図12は、図3、図5に示す制御フローに基づき数値解析を実施したCET分布のシミュレーション結果を示した図である。尚、図3に示す本第1実施形態における制御フロー(詳細フローは図6に示す)において、処理装置15が物品の処理を終了するまでの予測時間を1分とし処理が終了する約1分前に引取予報を出す条件で第1実施形態における制御フローに基づき数値解析を行っている。また、計算には図11の指数分布の仮定を使用している。
【0053】
図12における横軸は、キャリア交換時間(CET)で、縦軸は、そのCETの確率密度である。また、実線は、本第1実施形態における制御フローに基づくシミュレーション結果であり、点線は、従来の物品搬送システムにおける制御フローに基づくシミュレーション結果である。図12に示すように、本第1実施形態では、従来の物品搬送システム(従来技術)と比較してCETの平均値(期待値)、標準偏差(バラつき)とも小さく、CETが1分を超過する割合(長時間となる割合)も大幅に低減できている。これらの結果のうち、CETが長時間となる割合を低減できる効果は運用上の実利が大である。
【0054】
(第2実施形態)
図4は、本発明の物品搬送システムにおける第2実施形態に係る制御フロー概略説明図である。尚、本第2実施形態を説明する図4に示す34、35a、及び35bは、前記の第1実施形態を説明する図3の31、32a、及び32bと同様の構成であるため、その説明は省略する。
【0055】
本第2実施形態と前記の第1実施形態との違いは、本第2実施形態においては、未処理物品支給制御手段においても、物品の処理が終了するまでに、未処理物品を支給するための支給台車が走行を開始することである。
【0056】
図4に示すように、MES24はMCS23に物品の処理が終了するまでの支給予報を送信する。そして、支給台車選定手段により、この予測時間が所定時間に達したら、物品の搬送が可能な搬送台車13のうち、ストッカ14に最も早く到着する一の搬送台車13が、未処理物品の支給を行う支給台車に指定される。そして、搬送台車13は未処理物品の荷受及び支給のための走行を開始する(支給予備動作時間36a)。
【0057】
次に、処理装置15における物品の処理が終了しキャリアの引取準備が整えば、MCS23はTSC16に未処理物品を収納したキャリア20の支給要求を送信する。そして、TSC16の指令により支給台車に指定された搬送台車13が、上記キャリア20の荷受及び支給を実行する(支給動作時間36b)。尚、図4に示すように、ここでのCET34は支給動作時間36bと等しくなる。
【0058】
この構成によると、物品の処理が終了する前から未処理物品を支給するための支給台車が走行を開始するため、処理済み物品の引取を行う引取台車が物品の引取を終了した時点や、処理装置15が物品の処理を終了した時点で、上記支給台車が走行し始める場合に比べて、支給台車がストッカ14に到達する時間は短縮される。よって、ストッカ14からの未処理物品の荷受を行う時間を短縮化でき、未処理物品の支給を行う目標の処理装置15への未処理物品の支給を迅速に行えることができ、半導体処理装置などの処理装置15の遊休時間が短縮され処理効率の向上が図れる。
【0059】
図9は、図4に示す本第2実施形態に係る制御フローの詳細フローを示した図である。以下、本第2実施形態に係る制御フローの詳細について図9を参照しつつ説明する。尚、図6に示す第1実施形態に係る制御フローのステップのうち、同一ステップには同一符号を付してその説明を省略する。
【0060】
まず、前記したように、本発明の物品搬送システムにおける搬送台車制御手段26は、処理済み物品引取制御手段と未処理物品支給制御手段とを有する。そして、本第2実施形態に係る処理済み物品引取制御手段は、予測時間受信手段と引取台車選定手段とを有し、未処理物品支給制御手段は、予測時間受信手段と支給台車選定手段とを有する。
【0061】
そして、本第2実施形態に係る予測時間受信手段により、図9に示すS42が実行され、引取台車選定手段により図9に示すS5及びS7が実行され、支給台車選定手段により図9に示すS13及びS44が実行される。以下、図9に示す各工程について説明する。
【0062】
まず、S1が実行されたのち、処理装置15における物品の処理を終了するまでの予測時間が、例えば、3分に達する又は3分以内の場合、MES24は、処理装置15からキャリア20の引取予報、支給予報及び上記予測時間を受信する(S42)。そして、MES24は、MCS23にキャリア20の引取予報、支給予報、上記予測時間、及び標準偏差を送信する(S43)。
【0063】
次に、図9に示すS44について説明する。図10は、図9に示すステップ44の詳細フローを示した図である。
【0064】
図10に示すように、キャリア20の支給台車に指定された搬送台車13がストッカ14に到着する(S51)と、この搬送台車13は、ストッカ14からキャリア20を受け取る荷受処理を行い(S16)、この荷受処理を行ってキャリア20を搭載した搬送台車13が支給台車に確定する(S55)。
【0065】
一方、キャリア20の支給台車に指定された搬送台車13がストッカ14に到着(S51)するまでに、処理装置15が物品の処理を終了し、MCS23がTSC16にキャリア20の引取要求及び支給要求を指令(S52)したとき、ストッカ14に最も早く到着する新たな搬送台車13が存在する(S53)場合、前記の支給台車指定及び前記の荷受処理の指令を解除して、上記の新たな搬送台車13を支給台車に指定する再度の支給台車指定を行う(S54)。そして、上記搬送台車13が、ストッカ14からキャリア20を受け取る荷受処理を行い(S16)、この荷受処理を行ってキャリア20を搭載した搬送台車13が支給台車に確定し(S55)、S17、S18が実行される。このように、支給台車の再選定(S44)を行うことにより、支給台車がストッカ14に到達する時間をより短縮できる。尚、上記S53は、図8(b1)、(b2)に示す処理装置15fをストッカ14に置き換えると容易に理解できるものである。
【0066】
そして、TSC16は、支給台車に対して引取台車により処理済み物品が収納されたキャリア20の引取されるまで、未処理物品を収納したキャリア20の支給処理を行わないように指令を出す。そして、処理済み物品が収納されたキャリア20の引取が行われ、MES24が処理済み物品の収納されたキャリア20の引取完了を確認後、MES24は、MCS23に未処理物品を収納したキャリア20の支給を指令し、MCS23は、TSC16に未処理物品を収納したキャリア20の支給処理を許可する(S45)。これにより、処理済み物品の引取が行われたのち、未処理物品の支給を行うという作業工程の順位を守ることができる。よって、処理装置15が物品の処理を行っている途中に新たな未処理物品を収納したキャリア20が供給されることはない。
【0067】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の物品搬送システムに係る一実施形態のレイアウト図である。
【図2】図1に示す物品搬送システムの構成図である。
【図3】本発明の物品搬送システムにおける第1実施形態に係る制御フロー概略説明図である。
【図4】本発明の物品搬送システムにおける第2実施形態に係る制御フロー概略説明図である。
【図5】従来の物品搬送システムに係る制御フロー概略説明図である。
【図6】図3に示す制御フローの詳細フローを示した図である。
【図7】図6に示すステップ7の詳細フローを示した図である。
【図8】図7に示すステップ34及び37を説明する図である。
【図9】図4に示す制御フローの詳細フローを示した図である。
【図10】図9に示すステップ44の詳細フローを示した図である。
【図11】図5に示す制御フローに基づき数値解析を実施したCET分布のシミュレーション結果を示した図である。
【図12】図3、図5に示す制御フローに基づき数値解析を実施したCET分布のシミュレーション結果を示した図である。
【符号の説明】
【0069】
1 物品搬送システム
10 工程間軌道
11 工程内軌道
12 分岐軌道
13 搬送台車
14 収納装置(ストッカ)
15 処理装置
20 キャリア
26 搬送台車制御手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理装置で処理された処理済み物品の引取、及び前記処理装置で処理される未処理物品の支給を行う物品搬送システムであって、
前記処理済み物品又は前記未処理物品を搭載して搬送する複数の搬送台車と、
前記未処理物品を収納する収納装置と、
前記搬送台車が一方向に走行移動し、少なくとも1つの閉ループの軌道を形成する走行路と、
処理済み物品引取制御手段と未処理物品支給制御手段とから構成され、前記搬送台車及び前記収納装置と通信を行う搬送台車制御手段とを備え、
前記処理済み物品引取制御手段は、
物品の処理を行っている前記処理装置である目標処理装置から物品の処理が終了するまでの予測時間を受信する予測時間受信手段と、
前記予測時間が所定時間に達したら、物品の搬送が可能な前記搬送台車のうち、前記目標処理装置に最も早く到着する一の前記搬送台車を、引取台車に指定する引取台車指定を行う引取台車選定手段とを有し、
前記処理済み物品の引取を行うための前記引取台車に、前記処理済み物品の引取処理を指令することを特徴とする、物品搬送システム。
【請求項2】
前記引取台車選定手段は、
前記目標処理装置が物品の処理を終了するまで前記引取台車を前記目標処理装置近傍に待機させる待機指令を出し、
待機している前記引取台車の走行移動方向と反対方向の上流側から、物品の搬送が可能な他の前記搬送台車が接近してきた場合、前記引取台車指定を解除して前記他の前記搬送台車を前記引取台車に指定する再度の前記引取台車指定を行うことを特徴とする、請求項1に記載の物品搬送システム。
【請求項3】
前記引取台車選定手段は、前記目標処理装置が物品の処理を終了したとき、前記引取台車の走行移動方向側であって、前記引取台車と前記目標処理装置との間に物品の搬送が可能な別の前記搬送台車が位置している場合、前記引取台車指定を解除して前記別の前記搬送台車を前記引取台車に指定する再度の前記引取台車指定を行うことを特徴とする、請求項2に記載の物品搬送システム。
【請求項4】
前記未処理物品支給制御手段は、
前記予測時間受信手段と、
前記予測時間が所定時間に達したら、物品の搬送が可能な前記搬送台車のうち、前記収納装置に最も早く到着する一の前記搬送台車を、支給台車に指定する支給台車指定を行う支給台車選定手段とを有し、
前記未処理物品の支給を行うための前記支給台車に、前記収納装置からの前記未処理物品の荷受処理、及び前記目標処理装置への前記未処理物品の支給処理を指令することを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の物品搬送システム。
【請求項5】
前記支給台車選定手段は、前記目標処理装置が物品の処理を終了したとき、前記支給台車が前記荷受処理をまだ行っておらず、且つ前記収納装置に最も早く到着する新たな前記搬送台車が存在する場合、前記支給台車指定及び前記荷受処理の指令を解除して前記新たな前記搬送台車を前記支給台車に指定する再度の前記支給台車指定を行うことを特徴とする、請求項4に記載の物品搬送システム。
【請求項6】
前記未処理物品支給制御手段は、前記処理済み物品が引取されるまで、前記支給処理を行わないように指令を出し、
前記処理済み物品の引取が行われたのち、前記未処理物品の支給を行うことを特徴とする、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の物品搬送システム。
【請求項7】
前記所定時間が、1分以上10分以下であることを特徴とする、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の物品搬送システム。
【請求項1】
処理装置で処理された処理済み物品の引取、及び前記処理装置で処理される未処理物品の支給を行う物品搬送システムであって、
前記処理済み物品又は前記未処理物品を搭載して搬送する複数の搬送台車と、
前記未処理物品を収納する収納装置と、
前記搬送台車が一方向に走行移動し、少なくとも1つの閉ループの軌道を形成する走行路と、
処理済み物品引取制御手段と未処理物品支給制御手段とから構成され、前記搬送台車及び前記収納装置と通信を行う搬送台車制御手段とを備え、
前記処理済み物品引取制御手段は、
物品の処理を行っている前記処理装置である目標処理装置から物品の処理が終了するまでの予測時間を受信する予測時間受信手段と、
前記予測時間が所定時間に達したら、物品の搬送が可能な前記搬送台車のうち、前記目標処理装置に最も早く到着する一の前記搬送台車を、引取台車に指定する引取台車指定を行う引取台車選定手段とを有し、
前記処理済み物品の引取を行うための前記引取台車に、前記処理済み物品の引取処理を指令することを特徴とする、物品搬送システム。
【請求項2】
前記引取台車選定手段は、
前記目標処理装置が物品の処理を終了するまで前記引取台車を前記目標処理装置近傍に待機させる待機指令を出し、
待機している前記引取台車の走行移動方向と反対方向の上流側から、物品の搬送が可能な他の前記搬送台車が接近してきた場合、前記引取台車指定を解除して前記他の前記搬送台車を前記引取台車に指定する再度の前記引取台車指定を行うことを特徴とする、請求項1に記載の物品搬送システム。
【請求項3】
前記引取台車選定手段は、前記目標処理装置が物品の処理を終了したとき、前記引取台車の走行移動方向側であって、前記引取台車と前記目標処理装置との間に物品の搬送が可能な別の前記搬送台車が位置している場合、前記引取台車指定を解除して前記別の前記搬送台車を前記引取台車に指定する再度の前記引取台車指定を行うことを特徴とする、請求項2に記載の物品搬送システム。
【請求項4】
前記未処理物品支給制御手段は、
前記予測時間受信手段と、
前記予測時間が所定時間に達したら、物品の搬送が可能な前記搬送台車のうち、前記収納装置に最も早く到着する一の前記搬送台車を、支給台車に指定する支給台車指定を行う支給台車選定手段とを有し、
前記未処理物品の支給を行うための前記支給台車に、前記収納装置からの前記未処理物品の荷受処理、及び前記目標処理装置への前記未処理物品の支給処理を指令することを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の物品搬送システム。
【請求項5】
前記支給台車選定手段は、前記目標処理装置が物品の処理を終了したとき、前記支給台車が前記荷受処理をまだ行っておらず、且つ前記収納装置に最も早く到着する新たな前記搬送台車が存在する場合、前記支給台車指定及び前記荷受処理の指令を解除して前記新たな前記搬送台車を前記支給台車に指定する再度の前記支給台車指定を行うことを特徴とする、請求項4に記載の物品搬送システム。
【請求項6】
前記未処理物品支給制御手段は、前記処理済み物品が引取されるまで、前記支給処理を行わないように指令を出し、
前記処理済み物品の引取が行われたのち、前記未処理物品の支給を行うことを特徴とする、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の物品搬送システム。
【請求項7】
前記所定時間が、1分以上10分以下であることを特徴とする、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の物品搬送システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−108031(P2008−108031A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−289613(P2006−289613)
【出願日】平成18年10月25日(2006.10.25)
【出願人】(302059274)アシスト テクノロジーズ ジャパン株式会社 (146)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月25日(2006.10.25)
【出願人】(302059274)アシスト テクノロジーズ ジャパン株式会社 (146)
【Fターム(参考)】
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