説明

物品搬送装置

【課題】省スペースでランニングコストを低く抑えられ、高速で立体的な三次元搬送ができ、長ストロークを上下動できる物品搬送装置を提供する。
【解決手段】物品搬送装置の架台4にラック・ピニオン機構により前進又は後退する前後動部材50の基端部を固定し、前後動部材の先端部には、機械40との間でワークWを授受する上下動ローダを有する上下動部材60(Y)をスライドガイドを介して接続し、上下動部材は前後動部材を介して任意距離移動され、前工程の出口2の未加工のワークをキャリヤー10で上下動ローダの対向位置まで搬送し、キャリヤーと上下動ローダのチャックとのワーク受け渡し位置から上下動ローダを降下して、機械との間でワークを受け渡し、加工済みワークを上下動ローダにより上昇してキャリヤーに受け渡してから後工程の入口3へ搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工程間に設置して被搬送物(ワーク)を前工程から後工程へ自動搬送する場合などに利用される物品搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の物品搬送装置として、本願発明者は、実公平1−15559号公報(特許文献1)記載のものを提案した。この公報記載の物品搬送装置は、被搬送物の前工程の出口から次工程の入口まで任意に配設される物品搬送装置であって、この物品搬送装置は、直線分割体と曲線分割体とで任意の形状及び長さに組合せ可能としたガイドレールと、該ガイドレールに転動体を介して往復走行可能とした車台と、車台に固定したキャリヤーとを備えた物品搬送装置において、複数の索条掛架ローラーと、一端をキャリヤー取付ベースに連結すると共に各索条掛架ローラーに順次連続的に張架し、他端を巻取機の巻取ドラムに固着した2本の索条を有し、前記ガイドレールには、索条掛架ローラー取付用溝と、転動体を案内するガイド溝とを形成してあることを特徴とするものである。
【0003】
この公報記載の物品搬送装置によれば、被搬送物(ワーク)を水平、垂直、曲線などの任意方向に立体的に高速で自動搬送できるので、工場設備のレイアウトや作業手順の変更に容易に即応できるし、また移載、着脱装置を台車に積載してあるので、”走るハンドリングロボット”となり物の流れの接点が一気に自動化できるし、さらに大幅な省スペースが図れる等の特徴を有し、搬送部門の合理化に対応できる。
【0004】
また、特公平6−51256号公報(特許文献2)のガントリーローダが知られている。
この特許文献2のものは、レールに沿って水平走行する走行台に、昇降枠を昇降可能に垂下させ、前記昇降枠を、互いにテレスコープ状に伸縮可能に連結された複数個の単位昇降枠で構成し、最先端の単位昇降枠の下端にワークを把持するチャックを設け、前記昇降枠を昇降させるラック・ピニオン機構を設け、かつ前記走行台と昇降枠との間に昇降枠の持ち上げ力補助用のシリンダを設けたものである。
【0005】
【特許文献1】実公平1−15559号公報
【特許文献2】特公平6−51256号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の物品搬送装置では、ワークを前工程の出口から次工程の入口へ自動搬送するのみであって、その搬送経路の途中に加工機を配置して、この加工機で前工程の出口からのワークを加工してから、該加工済みのワークを次工程の入口へ向けて搬送することはできなかった。
【0007】
特許文献2のガントリーローダ等は、前記昇降枠等の上下動手段は大型で大重量となる。そのため、搬送速度が遅く、しかも電力の使用量が大きくランニングコストが高価となるとともに、上記上下動手段を高速で制御する必要上、振動や騒音が大きい。また、特許文献2は、前工程と後工程間のみを直線状に一次元搬送するだけで、三次元搬送はできないばかりか、サイクルタイムが長いし、安全カバーが大きいものを必要とする等の問題があった。
【0008】
本発明は、上記従来の問題点を解決しようとするものであり、水平走行する横軸(X軸)は小型で省スペースで、消費電力が少なくランニングコストを低く抑えられ、ワークを高速搬送できるとともに、立体的な三次元搬送ができ、ワークの搬送サイクルタイムが大幅に短縮可能になり、さらに上下動手段(つまりY軸)が水平走行しないため小さくできて、長いストロークを上下動できる等の物品搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1記載の物品搬送装置は、被搬送物の前工程の出口から後工程の入口までの区間内に、1つ以上の機械を配設してなる物品搬送装置であり、この物品搬送装置は、直線部と曲線部とで任意の形状及び長さに組合せ可能としたガイドレールと、該ガイドレールに転動体を介して往復走行可能としたキャリヤーと、キャリヤーに設けたチャックと、前記キャリヤーにはドライブユニットのプーリーを介して環状に張架するとともに、その両端を同キャリヤーに固定した索条とを備えた物品搬送装置において、
前記物品搬送装置の架台には、ラック・ピニオン機構により前進又は後退する前後動部材の基端部を固定する一方、該前後動部材の先端部には、前記機械との間でワークを授受する上下動ローダを有する上下動部材をスライドガイドを介して接続してあり、前記上下動部材は前後動部材を介して任意距離移動されるようにしてあり、
前工程の出口の未加工のワークを物品搬送装置のキャリヤーで前記上下動ローダの対向位置まで搬送し、この物品搬送装置のキャリヤーと上下動ローダのチャックとのワーク受け渡し位置から上下動ローダを降下して、前記機械との間でワークを受け渡し、加工済みワークを上下動ローダにより上昇して前記キャリヤーに受け渡してから後工程の入口へ搬送するように構成してあることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項2記載の物品搬送装置は、被搬送物の前工程の出口から後工程の入口までの区間内に、1つ以上の機械を配設してなる物品搬送装置であり、この物品搬送装置は、直線部と曲線部とで任意の形状及び長さに組合せ可能としたガイドレールと、該ガイドレールに転動体を介して往復走行可能としたキャリヤーと、キャリヤーに設けたチャックと、前記キャリヤーにはドライブユニットのプーリーを介して環状に張架するとともに、その両端を同キャリヤーに固定した索条とを備えた物品搬送装置において、
前記ガイドレールには、前記機械との間でワークを授受する上下動ローダを有する上下動部材が、物品搬送装置の架台に設けたスライドガイドを介して上下動可能に接続してあり、
前工程の出口の未加工のワークを物品搬送装置のキャリヤーで前記上下動ローダの対向位置まで搬送し、この物品搬送装置のキャリヤーと上下動ローダのチャックとのワーク受け渡し位置から上下動ローダを降下して、前記機械との間でワークを受け渡し、加工済みワークを上下動ローダにより上昇して前記キャリヤーに受け渡してから後工程の入口へ搬送するように構成してあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の物品搬送装置によれば、被搬送物の前工程の出口から次工程の入口までの区間内に、1つ以上の機械(工作機械(加工機)、洗浄機、検査機や組立機等の機械)
を配設してなる物品搬送装置であり、この物品搬送装置は、直線部と曲線部とからなるガイドレールと、該ガイドレールに往復走行可能としたキャリヤーと、キャリヤーに設けたチャックと、前記キャリヤーにはドライブユニットのプーリーを介して環状に張架するとともに、その両端を同キャリヤーに固定した索条とを備えた物品搬送装置において、
前記物品搬送装置の架台には、ラック・ピニオン機構により前進又は後退する前後動部材の基端部を固定する一方、該前後動部材の先端部には、前記機械との間でワークを授受する上下動ローダを有する上下動部材をスライドガイドを介して接続してあり、前記上下動部材は前後動部材を介して任意距離移動されるようにしてあり、
前工程の出口の未加工のワークを物品搬送装置のキャリヤーで前記上下動ローダの対向位置まで搬送し、この物品搬送装置のキャリヤーと上下動ローダのチャックとのワーク受け渡し位置から上下動ローダを降下して、前記機械との間でワークを受け渡し、加工済みワークを上下動ローダを上昇して前記キャリヤーに受け渡してから後工程の入口へ搬送するように構成してあることを特徴としている。
すなわち、上下動手段は、基端部を物品搬送装置の架台に固定した前後動部材の先端部に接続し、該上下動手段は前後動部材を介して任意距離移動されるようにしてあり、しかも水平走行する横軸(X軸)は小型で省スペースできるし、消費電力が少なくランニングコストを低く抑えられ、ワークを高速搬送できる。また、物品搬送装置の搬送ライン(X軸)と、上下動される上下動手段のライン(Y軸)とは同時に動作できるから、ワークの搬送サイクルタイムが大幅に短縮可能になる。さらに、上下動手段(つまりY軸)を小さくできて、長いストロークを上下動できる。
【0012】
また、キャリヤーにはドライブユニットのプーリーを介して環状に張架するとともに、その両端を同キャリヤーに固定した索条を備えているから、特許文献1の場合の如き索条の巻取機やそのための複雑な構造は必要としない等の利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の物品搬送装置は、被搬送物の前工程の出口から後工程の入口までの区間内に、1つ以上の機械を配設してなる物品搬送装置であり、この物品搬送装置は、直線部と曲線部とで任意の形状及び長さに組合せ可能としたガイドレールと、該ガイドレールに転動体を介して往復走行可能としたキャリヤーと、キャリヤーに設けたチャックと、前記キャリヤーにはドライブユニットのプーリーを介して環状に張架するとともに、その両端を同キャリヤーに固定した索条とを備えた物品搬送装置において、
前記物品搬送装置の架台には、ラック・ピニオン機構により前進又は後退する前後動部材の基端部を固定する一方、該前後動部材の先端部には、前記機械との間でワークを授受する上下動ローダを有する上下動部材をスライドガイドを介して接続してあり、前記上下動部材は前後動部材を介して任意距離移動されるようにしてあり、
前工程の出口の未加工のワークを物品搬送装置のキャリヤーで前記上下動ローダの対向位置まで搬送し、この物品搬送装置のキャリヤーと上下動ローダのチャックとのワーク受け渡し位置から上下動ローダを降下して、前記機械との間でワークを受け渡し、加工済みワークを上下動ローダにより上昇して前記キャリヤーに受け渡してから後工程の入口へ搬送するように構成してあることを特徴とする。
【実施例】
【0014】
(実施例1)
本発明の実施例1を図1乃至図13に基づいて以下に説明する。
1は被搬送物の前工程の出口2から後工程の入口3までに渡り配設され、縦枠4aと横枠4bとからなる架台4にブラケット5等を介して取付けたガイドレールである。このガイドレール1は、直接部に使用する任意長さの直線部1aと、曲線部に使用する任意長さの曲線部1bとからなる単位分割体で構成されており、これら各分割体を任意に組合せることによって任意の形状及び長さのガイドレール1とすることができる。このガイドレール1、つまり上述の単位分割体は、図5に示すように、アルミサッシと同様に押出成形し、かつ管状の本体部1xと突出部1yとを有する形状であって、各分割体同士は突出部1yに形成した溝6に挿入された連結用金具で連結固定してある。そして、該ガイドレール1には図5に示すように、索条掛架ローラー11を取り付けており、この索条掛架ローラー11にワイヤロープからなる索条17が掛けられている。なお、前記単位分割体とは、直接部1a又は曲線部1bだけ形成したものに限らず、直線部1aと曲線部1bとを一体に形成したものも含む。
【0015】
前記ガイドレール1の突出部1y、1y同士間の凹部には、キャリヤー10に取り付けたホイールからなる転動体8が配設されている。この転動体8を取り付けたキャリヤー10が、ガイドレール1上を往復走行される。また、キャリヤー10にはその空室に向けてローラー12を設け、キャリヤー10がガイドレール1に沿って円滑に走行するようにしてある(図5参照)。そして、キャリヤー10は正転、逆転できるようにしてある。
【0016】
前記キャリヤー10には、ワークWを把持するチャック20が設けられている。このチャック20の取付位置は任意である。
【0017】
図1、図6、図8〜図10に示すドライブユニット30は、前記キャリヤー10を、索条17を介して、前工程の出口2から後工程の入口3まで移送するとともに、後工程の入口3から前工程の出口2まで戻すためのものである。
【0018】
このドライブユニット30には、図8〜図10に示すように、モータ33で駆動される駆動側プーリー31と従動側プーリー32を備えており、該両プーリー31、32のV溝31a、32aに、後述するように一本の前記索条17が張架される。
図8〜図10で、34は前記両プーリー31、32とモータ33とを取り付けるためのベース、35は取付板、37は締結部材、39は駆動側プーリー31と従動側プーリー32とに張架したベルトとである。図8、図9で36は従動側プーリー32を移動するためのアジャストボルトである。前記ベース34はブラケット38を介してガイドレール1と連結されている(図9参照)。
【0019】
前記索条17は、ドライブユニット30の両プーリー31、32を介して、一本の索
条17の両端を前記キャリヤー10に固定している。そして、キャリヤー10は、プーリー31の回転に略完全に拘束されるので、該プーリー31の回転に同期する。そのため、プーリー31の回転を制御することにより、キャリヤー10の動きを、つまり後工程方向(移送方向)への搬送と、前工程方向(復帰方向)への搬送とを制御することができる。
【0020】
そこで、前記索条17をプーリー31、32及びキャリヤー10に装着する方法について、図6、図7に基づき以下に簡単に説明する。
【0021】
先ず、索条17の一端を、キャリヤー10の側壁10cの一端に設けたガイド板10aの挿通穴に通してから、前記側壁10cの貫通穴に通し、該索条17の一端を折り返し別の貫通穴に通して該索条17の一端の先端部を切断する一方、同索条17を前記索条掛架ローラー11・・・11に掛ける。次に、前記索条17は、テンションプーリー13を介して、ドライブユニット30のプーリー32、31及び索条掛架ローラー11・・・11に掛けてから、前記キャリヤー10のガイド板10a、10bとは反対側に形成した貫通穴(図示せず)に通す。そして、索条17の他端を、テンションプーリー14を介して、キャリヤー10の側壁10cの他端に設けたガイド板10bの挿通穴に通してから、前記索条17の一端の場合と同様にして、索条掛架ローラー11・・・11を介して、キャリヤー10の側壁10c等に固定する。最後に、前記索条17の一端側と他端側とは、索条押え板10dをキャリヤー10の側壁10cに固定し、テンションプーリー13、14を調節して索条17を張ることにより組み付けが完了する。
【0022】
上記構成によるキャリヤー10の動きを図1、図6〜図10に基づいて以下に説明する。
図1において、未加工のワークWのある前工程の出口2に対向する実線に示すキャリヤー10の位置で、ドライブユニット30のモータ33の駆動によりプーリー31を正転させると、図6に示されるように、索条17は時計方向へ引張られるため、キャリヤー10は図1で一点鎖線で示されるように移送方向へ走行され、後述する上下動ローダとのワーク受け渡し位置も通過し、更に前記プーリー31の正転を続けると、キャリヤー10は図1で二点鎖線で示されるように、後工程の入口3に対向する位置まで走行され、ここで加工済みワークWが後工程の入口3に引き渡される。
【0023】
一方、上記二点鎖線で示されるキャリヤー10の位置で、ドライブユニット30のモータ33の駆動によりプーリー31を逆転させると、図6に示されるように、索条17は反時計方向へ引張られるため、キャリヤー10は図1で一点鎖線で示されるように戻り(復帰)方向へ走行される。更に前記プーリー31の逆転を続けると、キャリヤー10は図1の実線で示されるように、前工程の出口2に対向する位置まで走行され、ここで前工程の出口2の未加工のワークWの受け取りを待つ。
【0024】
このように、キャリヤー10は、ドライブユニット30のモータ33及びプーリー31並びに索条17の働らきにより、往復動作を繰り返すようにしてある。
【0025】
また、本発明の物品搬送装置には、被搬送物の前工程の出口2から後工程の入口3までの区画内に、1つ以上の機械(工作機械(加工機)、洗浄機、検査機や組立機等の機械)40(本実施例1では1つ。)を配設している。
【0026】
前記物品搬送装置の架台4の上部の横枠4bには、ラック・ピニオン機構により前進又は後退する前後動部材50の基端部を固定する一方、該前後動部材50の先端部には、前記機械40との間でワークWを授受する上下動ローダ61を有する上下動部材60をスライドガイド66を介して接続してあり、前記上下動部材60は前後動部材50を介して任意距離移動されるようにしてある。
【0027】
すなわち、前後動部材50は、いわゆるZ軸として作用するもので、図1〜図3、図12、図13に示されているように、該前後動部材50の基端部50aは、物品搬送装置の架台4上部の横枠4bに、取付柱57をボルト52等で固定してあり、この取付柱57にボルト等で固定したブランケット51にはモーター53を設けるとともに、前記ブラケット51の底板部には下部に係合溝58a、58bを有するスライドガイド58、58が、後述するラック55と同じ長さ、またはそれより短い長さのものを一体的に固定してある。つまり、モータ53とスライドガイド58とブラケット51とは取付柱57を介して架台4の横枠4bに固定してある。また、前記モータ53の出力軸にはピニオン54が設けてある。
同前後動部材50の先端部50bにはブラケット56を介して上下動部材60が設けてある。
【0028】
また、前後動部材50(いわゆるZ軸)の基端部には、図11及び図13に示すように、前記ピニオン54に噛合するラック55を有するレール59Aと、ラックなしのレール59Bとを長手方向に設け、両レール59A、59Bの内側には突条部59a、59bを形成している。この両レールの突条部59a、59bを前記スライドガイド58,58の係合溝58a、58bに係合してある。従って、モータ53を駆動すると、ピニオン54の回転により噛合するラック55を介して、前後動部材50(Z軸)が前進または後退されるため、上下動部材(いわゆるY軸)の前後方向へのストローク量が調節できるようにしてある。
【0029】
上下動部材60は、いわゆるY軸として作用するもので、図1〜図3、図11、図12に示されているように、上下動ローダ61と、ワークWを把持するために上下動ローダ61の下部に接続されたチャック62と、モータ63で駆動されるピニオン64と、ピニオン64に噛合されて上下動部材60を上動又は下動させるためのラック65と、スライドガイド66とを備えている。
【0030】
前記上下動部材60(いわゆるY軸)には、図12に示すように取付板68を介してラック65が一体的に固定してあるとともに、前記前後動部材50に固定したブラケット56には複数個のスライドガイド66・・・66を固定し、このスライドガイド66・・・66を凹溝67に嵌合してあり、このスライドガイド66に対して上下動部材60が上動(上昇)または下動(降下)するようにしてある。
【0031】
以上のように構成してあるため、この物品搬送装置は、前工程の未加工のワークWを物品搬送装置のキャリヤー10で前記上下動ローダ61対応位置まで搬送し、この物品搬送装置のキャリヤー10と上下動ローダ61のチャック62とのワーク受け渡し位置から上下動ローダ61を降下して、機械40の機内ローダ又はチャック42との間でワークWを受け渡しする。加工済みワークWを上下動ローダ61により上昇して前記キャリヤー10に受け渡してから後工程へ搬送するようにしてある。
【0032】
この実施例の作用を図1〜図3、図6に基づいて以下に説明する。
機械40で処理されるべき未加工のワークWは、図1で前工程の出口2(貯槽であってもよい。)に貯えられる。この未加工のワークWは、図1で実線に示すキャリヤー10の位置(つまり、キャリヤー10と前工程の出口2とのワーク受け渡し位置A)で、ドライブユニット30のモータ33の駆動によりプーリー31を正転させると、図6で示される索条17は時計方向へ引張られるため、キャリヤー10は図1で一点鎖線で示される位置を経て、上下動部材60の上下動ローダ61との対向位置に来る。
【0033】
キャリヤー10が上下動ローダ61との対向位置にあるとき、前後動部材50をモータ53の駆動でラック55・ピニオン54を介して前後動して、上下動部材60の上下動ローダ61(2個のチャック62、62)と前記キャリヤー10とを位置合わせして、キャリヤー10のワークWを上下動ローダ61のチャック62へ引き渡す。
【0034】
このキャリヤー10と上下動ローダ61(2個のチャック62、62)とのワーク受け渡し位置(図1でB)において、キャリヤー10から受け取った未加工のワークWを一方のチャック62で把特し、そして上下動ローダ61を降下して、前記機械40の機内ローダ又はチャック42との間で加工済のワークを他方のチャック62で受け取り、回転(移動)して未加工のワークWを受け渡す(この上下動ローダ61と機内ローダ又はチャック42との受け渡し位置をCという。図1、図3参照。)。
【0035】
そして、上下動ローダ61を前記キャリヤー10と上下動ローダ61とのワーク受け渡し位置Bまで上昇して、未加工のワークを受け取り、前記加工済みワークWをキャリヤー10に受け渡す。
【0036】
上記動作を上下動ローダ61のチャック62、62の動きとして、図3で説明すれば、同図に示すように、チャック62は概略的に言えばa、b、c、dへと順次に移動するのである。この場合、図3の上下動ローダと機内ローダ又はチャックとのワーク受け渡し位置C部では回転(移動)を含む。
【0037】
前記B位置でキャリヤー10に受け渡された加工済みワークWは、前記プーリー31の正転を続けると、キャリヤー10は図1で二点鎖線で示されるように、後工程の入口3に対向する位置(つまり、キャリヤー10と後工程の入口3とのワーク受け渡し位置D)まで走行され、ここで加工済みワークWが後工程の入口3に引き渡される。
【0038】
一方、図1で二点鎖線で示されるキャリヤー10の位置(D位置)で、ドライブユニット30のモータ33の駆動によりプーリー31を逆転させると、図6に示されるように、索条17は反時計方向へ引張られるため、キャリヤー10は図1で一点鎖線で示されるように戻り(復帰)方向へ走行される。更に前記プーリー31の逆転を続けると、キャリヤー10は図1の実線で示されるように、前工程の出口2に対向する位置(A位置)まで走行され、ここで前工程の出口2の未加工のワークWの受け取りを待つ。
【0039】
図14〜図16は、索条17をドライブユニット30のプーリー及びキャリヤー10に装着する他の組付例を示す。前記実施例1で示した図6ではドライブユニット30のプーリーを、駆動側プーリー31と縦動側プーリー32とで一対設けて、索条17の滑りを確実に防止する構成としている。これに対し、上記図14〜図16の他の組付例では、ドライブユニット30のプーリーを駆動側プーリー31だけとしたものである。
【0040】
すなわち、このものでは、図6、図8〜図10における従動側プーリー32を設けていない点で異なり、その他の構成は同様としているので、索条17の装着方法は、従動側プーリー32への装着を除けば、後者のものと略同様に装着すればよい(「0021」参照)。
【0041】
(実施例2)
図17と図18は、本発明の実施例2を示すものである。
この実施例2の物品搬送装置は、機械40を搬送ラインX方向に3個並設した点に特徴を有し、その他の構成は前記実施例1と同様としてなるものである。
【0042】
すなわち、前工程の出口2から後工程の入口3までの区間内に、機械としての加工機40として、第1加工機45(例えばホブ盤)、第2加工機46(例えば面取り盤)、第3加工機47(例えばシェービング盤)を並設するとともに、第1、第2、第3の加工機45、46、47に、それぞれ上下動部材60と前後動部材50とを設けている。そして、各加工機45,46,47に対する前後動部材50、上下動部材60の動作は、実施例1の場合と同様であるので、詳細は実施例1の説明を参照するとよい。
【0043】
なお、図17で、B1,B2はBと同じくキャリヤーと上下動ローダとのワーク受け渡し位置を示し、C1、C2はCと同じく上下動ローダと機内ローダとの受け渡し位置を示す。また、図17で、イはAからBまで、ロはBからB1まで、ハはB1からB2まで、ニはB2からDまでの各区間における走行区域を示し、ホはDからAまでの復帰区間の走行区域を示している。
この実施例2の構成で実験したところ、1個当りのサイクルタイムは35秒の短時間で処理できた。
【0044】
搬送ラインXは、前記実施例1(図1,図2)と実施例2(図17,図18)とでは、水平方向に一直線に示されているが、ガイドレール1の単位分割体である、直線部1aと曲線部1bとを任意の形状及び長さとして、それらを任意に組み合わせることにより、あらゆる方向に傾斜状にするとか、又は曲線状にするとか、種々の形状や長さにすることができる。
【0045】
(実施例3)
前述した実施例1と実施例2では、上下動部材60(Y軸)を前進又は後退するために前後動部材50(Z軸)を設けているが、この実施例3では前記前後動部材50(Z軸)を設けていない点に特徴を有するものであり、上記前後動部材50(Z軸)を除いたその他の構成は、前記実施例1や実施例2と同様としてなるものである。それゆえ、詳細は実施例1と実施例2を参照するとよい。
【0046】
すなわち、この実施例3の物品運送装置は、図示していないが、実施例1の図1〜図13を参考にして説明すれば、被運送物の前工程の出口2から後工程の入口3までの区間内に、1つ以上の機械40を配設してなる物品運搬装置であり、この物品運搬装置は、直線部1aと曲線部1bとで任意の形状及び長さに組み合わせ可能としたガイドレール1と、該ガイドレール1に転動体8を介して往復走行可能としたキャリヤー10と、キャリヤー10に設けたチャック20と、前記キャリヤー10にはドライブユニット30のプーリーを介して環状に張架するとともに、その両端を同キャリヤー10に固定した索条17とを備えている。
前記ガイドレール1には、前記機械40との間でワークWを授受する上下動ローダ61を有する上下動部材60が、物品運搬装置の架台4に設けたスライドガイド66を介して上下動可能に接続してある。
前工程の出口2の未加工のワークWを物品運搬装置のキャリヤー10で前記上下動ローダ61の対向位置まで搬送し、この物品運搬装置のキャリヤー10と上下動ローダ61のチャック62とのワーク受け渡し位置Bから上下動ローダ61を降下して、機械40との間でワークを受け渡し、加工済みワークWを上下動ローダ61により上昇して前記キャリヤー10に受け渡してから後工程の入口3へ搬送するように構成してあることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施例1の正面図である。
【図2】本発明の実施例1の平面図である。
【図3】本発明の実施例1の右側面図である。
【図4】本発明の実施例1のキャリヤーの正面図である。
【図5】本発明の実施例1のキャリヤーの断面図である。
【図6】本発明の実施例1の索条をプーリー及びキャリヤーに装着する組付例を示 した説明図である。
【図7】図6のキャリヤーの一部断面図である。
【図8】図6におけるドライブユニットの説明図である。
【図9】図8の一部縦断側面図である。
【図10】図8の矢視Mから見た断面図である。
【図11】図1における一部分の拡大図である。
【図12】図11の右側面図である。
【図13】図12のN―N矢視説明図である。
【図14】索条をドライブユニットのプーリー及びキャリヤーに装着する他の組付例を示す正面図である。
【図15】図14におけるドライブユニットの一部断面側面図である。
【図16】図15の一部側面図である。
【図17】本発明の実施例2の正面図である。
【図18】図17の平面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 ガイドレール
2 前工程の出口
3 後工程の入口
4 架台
8 転動体
10 キャリヤー
11 索条掛架ローラー
12 ローラー
17 索条
20 チャック
30 ドライブユニット
31 駆動側プーリー
32 従動側プーリー
33 モータ
40 機械(加工機等)
42 機内ローダ又はチャック
45 第1加工機
46 第2加工機
47 第3加工機
50 前後動部材(Z軸)
53 モータ
54 ピニオン
55 ラック
58 スライドガイド
59A,59B レール
60 上下動部材(Y軸)
61 上下動ローダ
62 チャック
63 モータ
64 ピニオン
65 ラック
66 スライドガイド
A キャリヤーと前工程の出口とのワーク受け渡し位置
B キャリヤーと上下動ローダとのワーク受け渡し位置
C 上下動ローダと機内ローダ又はチャックとのワーク受け渡し位置
D キャリヤーと後工程の入口とのワーク受け渡し位置
W ワーク(被搬送物)
X 搬送ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送物の前工程の出口から後工程の入口までの区間内に、1つ以上の機械を配設してなる物品搬送装置であり、この物品搬送装置は、直線部と曲線部とで任意の形状及び長さに組合せ可能としたガイドレールと、該ガイドレールに転動体を介して往復走行可能としたキャリヤーと、キャリヤーに設けたチャックと、前記キャリヤーにはドライブユニットのプーリーを介して環状に張架するとともに、その両端を同キャリヤーに固定した索条とを備えた物品搬送装置において、
前記物品搬送装置の架台には、ラック・ピニオン機構により前進又は後退する前後動部材の基端部を固定する一方、該前後動部材の先端部には、前記機械との間でワークを授受する上下動ローダを有する上下動部材をスライドガイドを介して接続してあり、前記上下動部材は前後動部材を介して任意距離移動されるようにしてあり、
前工程の出口の未加工のワークを物品搬送装置のキャリヤーで前記上下動ローダの対向位置まで搬送し、この物品搬送装置のキャリヤーと上下動ローダのチャックとのワーク受け渡し位置から上下動ローダを降下して、前記機械との間でワークを受け渡し、加工済みワークを上下動ローダにより上昇して前記キャリヤーに受け渡してから後工程の入口へ搬送するように構成してあることを特徴とする物品搬送装置。
【請求項2】
被搬送物の前工程の出口から後工程の入口までの区間内に、1つ以上の機械を配設してなる物品搬送装置であり、この物品搬送装置は、直線部と曲線部とで任意の形状及び長さに組合せ可能としたガイドレールと、該ガイドレールに転動体を介して往復走行可能としたキャリヤーと、キャリヤーに設けたチャックと、前記キャリヤーにはドライブユニットのプーリーを介して環状に張架するとともに、その両端を同キャリヤーに固定した索条とを備えた物品搬送装置において、
前記ガイドレールには、前記機械との間でワークを授受する上下動ローダを有する上下動部材が、物品搬送装置の架台に設けたスライドガイドを介して上下動可能に接続してあり、
前工程の出口の未加工のワークを物品搬送装置のキャリヤーで前記上下動ローダの対向位置まで搬送し、この物品搬送装置のキャリヤーと上下動ローダのチャックとのワーク受け渡し位置から上下動ローダを降下して、前記機械との間でワークを受け渡し、加工済みワークを上下動ローダにより上昇して前記キャリヤーに受け渡してから後工程の入口へ搬送するように構成してあることを特徴とする物品搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−76923(P2010−76923A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−249257(P2008−249257)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(508290518)ジェイ・エフ・シー・エス株式会社 (1)
【Fターム(参考)】