説明

物品移載装置

【課題】 平坦な側面を有する物品の移載に制限されず、側面に突起体を有する物品の移載を可能とする汎用性の高い物品移載装置の提供にある。
【解決手段】 開閉自在の一対のアーム21、21が機台に対して進退自在に備えられ、物品Wの側面と対向する走行自在の無端帯が前記アーム21、21に備えられ、前記アーム21、21の閉動作により無端帯を介して物品Wを挟持するとともに、前記無端帯の走行により前記物品Wを前記アーム21に沿って進退自在とする物品移載装置であって、前記無端帯には前記物品Wと対向する凸部と凹部37が含まれ、少なくとも前記凸部には前記物品Wと当接する当接面36aが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、物品移載装置に関し、特に、開閉自在の一対のアームに物品を挟持して移送するようにした物品移載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品収容のための多数の棚部を有する棚が備えられる自動倉庫では、棚に対する物品の移載は、スタッカクレーン等の物品移載装置により実施されることが一般的である。
こうした物品移載装置のうち、例えば、図8に示される物品移載装置が知られている。
この物品移載装置は、棚52に沿うように敷設された軌道51上を往復走行可能な走行台車54を備え、走行台車54上に立設されるマスト59、59に対して昇降自在のキャリッジ60を備えたスタッカクレーン50である。
キャリッジ60には棚52の棚部53へ向けて進退可能な荷台55が備えられ、荷台55には物品Wを左右から挟持可能とする一対のアーム56、56が備えられている。
さらに、これらのアーム56には、アーム56の長手方向に沿うように、物品Wの側面と対向する無端ベルト57が備えられている。
この無端ベルト57は、物品Wの側面に当接する当接面を有し、アーム56に備えられているベルト用モータ58の駆動により走行する。
【0003】
この物品移載装置では、棚部53内から物品Wを移載する場合には、まず、荷台55を棚52へ向けて前進させるとともに、開いた状態のアーム56を物品Wの左右の側面に対向させる。
次に、アーム56の閉動作を行うことにより物品Wを挟み込む。
このとき、アーム56の先端部における無端ベルト57の一部が物品Wの側面に当接する。
次いで、各アーム56に備えられているベルト用モータ58の駆動により無端ベルト57を走行させると、無端ベルト57を介してアーム56が物品Wを挟持した状態で、物品Wが無端ベルト57の走行とともに移送され、荷台55へ収容される。
また、荷台55の物品Wを棚部53へ収容する場合には、アーム56が物品Wを挟持した状態で、荷台55とアーム56を棚部53へ向けて前進させ、ベルト用モータ58の逆回転の駆動により、無端ベルト57が物品Wを棚ヘ向けて移送する。
この物品移載装置では、図9(a)に示されるように、無端ベルト57と十分な当接面積が確保できる平坦な側面を持つ物品Waの移載に最適である。
【0004】
また、関連する従来技術として、無端チェーンの走行を利用し、無端チェーンに取り付けられるフィンガプレートにより物品を係止して物品の移載を実施する物品移載装置が存在する(例えば、特許文献1を参照。)。
【特許文献1】特開昭61−243703号公報(第1−6頁、図1−図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図8に示される従来の物品移載装置では、物品の移載の確実性を考慮すると、アームが備える無端ベルトと物品の側面との当接面積を十分に確保する必要があり、このため、物品移載装置が移載できる物品は、平坦な側面を有する物品の移載に制限されるという問題がある。
つまり、従来の物品移載装置は、側面に突起体を有する物品の移載は困難であり、汎用性に乏しいと言える。
具体的には、例えば、図9(b)及び図9(c)に示されるように、強度向上のためのリブR等又は膨出部S等の突起体が側面に設けられている物品Wb、Wcは、無端ベルトと物品との当接面積が著しく不足しがちであることから、物品を挟持した状態で無端ベルトが走行しても、棚部と物品との摩擦力が物品と棚部との摩擦力に勝って、物品に対して無端ベルトがスリップする可能性が高い。
なお、特許文献1に開示された物品移載装置は、上記の問題を解決することができないほか、物品に特別な工夫を施す必要があり、依然として汎用性に乏しい物品移載装置であることは明白である。
【0006】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、平坦な側面を有する物品の移載に制限されず、側面に突起体を有する物品の移載を可能とする汎用性の高い物品移載装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するため、請求項1記載の発明は、開閉自在の一対のアームが機台に対して進退自在に備えられ、物品の側面と対向する走行自在の無端帯が前記アームに備えられ、前記アームの閉動作により無端帯を介して物品を挟持するとともに、前記無端帯の走行により前記物品を前記アームに沿って進退自在とする物品移載装置であって、前記無端帯には前記物品と対向する凸部と凹部が含まれ、少なくとも前記凸部には前記物品と当接する当接面が形成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項1記載の発明によれば、アームに備えられる無端帯に物品と対向する凸部と凹部が含まれていることから、平坦な側面を有する物品が無端帯における凸部の当接面と当接されることにより、無端帯と物品との当接面積が十分に確保され、無端帯の走行による物品の移載が可能となる。
一方、突起体を有する物品に対しては、凹部に突起体を挿入させておき、凹部に突起体を挿入させた状態で無端帯を走行させると、物品の突起が無端帯に係止される状態となり、無端帯の走行による物品の移送が可能となる。
従って、平坦な側面の物品のみならず、側面に突起体を有する物品の移載が可能となる。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の物品移載装置において、前記凸部は、凸部本体と、該凸部本体に対して変位可能とする変位体とから構成され、該変位体に前記当接面が形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、無端帯における凸部本体に対し変位体が変位可能であることから、側面に突起体を有する物品に対して、物品の側面における突起体に対応するように変位体が変位される。
例えば、無端帯における凹部に物品の突起体が挿入され易いように一部の変位体が変位され、物品の突起体が凹部に係止される。
あるいは、物品における側面に倣うように変位体が変位され、変位体の当接面が突起体及び突起体を除く側面に当接する。
突起体に対する凹部による係止は無端帯の走行による物品の移送を可能とし、突起体に対応する変位体の変位による当接は、無端帯と物品の側面との当接面積を十分に確保することになり、無端帯の走行による物品の移送を可能とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の物品移載装置において、前記無端帯はチェーン又はベルトであることを特徴とする。
請求項3記載の発明によれば、無端帯をチェーン又はベルトとすることにより、物品を移載するための無端帯を簡単に実現することが可能となる。
特に、変位体を有する無端帯とする場合には、無端帯をチェーンとすることにより変位体の取付が容易となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、平坦な側面を有する物品の移載に制限されず、側面に突起体を有する物品の移載を可能とする汎用性の高い物品移載装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(第1の実施形態)
以下、本発明の実施形態に係る物品移載装置について図1〜図6に基づき説明する。
本実施形態の物品移載装置は、自動倉庫11における軌道走行体としてのスタッカクレーン15である。
そして、この物品移載装置は、少なくとも図9(a)及び図9(b)に示される2種類の物品Wa、Wbを移載可能としている。
ここでは、具体的に物品Wa及びWbを例示したが、説明の便宜上、両物品Wa、Wbを単に物品Wと呼ぶ場合がある。
図1及び図2に示される自動倉庫11は、軌道上を往復走行するスタッカクレーン15と、スタッカクレーン15の軌道の両側において設置されている多段状の棚12を備えている。
【0014】
この実施形態の棚12は、所定の間隔を以って配設される支柱13と、支柱13に水平に設けられた多数の棚部14を備えている。
この棚部14の上に物品Wを載置することができるように、棚部14は長方形の板状のものとなっている。
また、棚部14の長手方向がスタッカクレーン15の軌道に沿うものとなっており、このため、棚部14に複数の物品Wを収容する場合、棚部14上において各物品Wが軌道に沿うように並んだ状態となる。
【0015】
次に、物品移載装置としてのスタッカクレーン15について説明する。
スタッカクレーン15は、棚12に対する物品Wの入出庫等を図るものであり、床面に敷設されている走行用レール16と天井側に設置されている走行用レール17により構成される軌道に対して往復走行自在となっている。
スタッカクレーン15は、走行台車18、マスト19、キャリッジ20、一対のアーム21等から主に構成されている。
さらに詳述すると、図2に示されるように、走行台車18には一対のマスト19、19が前後に立設されており、両マスト19、19間において昇降自在の機台としてのキャリッジ20が備えられている。
マスト19、19の頂部は案内体22により互いに連結されており、この案内体22は天井側の走行用レール17に案内されるものとなっている。
【0016】
また、走行台車18には、床面の走行用レール16に対して転動する車輪23を前後に備えているほか、走行台車18を走行用レール16上において往復走行させるための走行用モータ24と、キャリッジ20を昇降させるための昇降用モータ(図示せず)と、スタッカクレーン15側の機器を制御する制御盤25が備えられている。
【0017】
一方、マスト19、19に対して昇降自在のキャリッジ20には、開閉自在の一対のアーム21、21が、キャリッジ20に対して進退自在に備えられている。
これらのアーム21、21の間には、アーム21とともに進退自在の荷台26が備えられている。
この実施形態の一対のアーム21、21の開閉動作は、駆動源(図示せず)により作動される開閉機構(図示せず)により実現されている。
そして、アーム21、21には、物品Wとの当接を検知するセンサ(図示せず)が備えられている。
また、アーム21及び荷台26の進退は、荷台26に設けられたラック(図示せず)とキャリッジ20に備えられたピニオン(図示せず)とのラックピニオン機構により実現されており、スタッカクレーン15を臨む棚部14内にアーム21、21の一部が入り込むことができる程度の進退範囲が設定されている。
【0018】
このアーム21の両端部には、転動自在なスプロケット28が設けられ、これらのスプロケット28に無端帯としてのチェーン30が掛装されている。
チェーン30は、アーム21の中央付近に備えられているチェーン用モータ31により走行され、このチェーン用モータ31の回転の方向に応じて、チェーン30は荷台26から棚部14へ、又は棚部14から荷台26へ向けて走行される。
チェーン30の内側にはガイド部材32が備えられており、スプロケット28間におけるチェーン30が常に直線状となるように図られている。
【0019】
チェーン30について詳述すると、図4に示されるように、略T字状のリンクプレート33が互いに上下に平行になるように、リンクプレート33の各端部付近の連結ピン34a、34bにより連結されているほか、リンクプレート33の両端付近の連結ピン34aにより相互に隣り合うリンクプレート33を連結し、無端状のチェーンを構成している。
そして、リンクプレート33の中央付近から突出されている凸部本体としての突出部33aには、突出部33aの連結ピン34bに変位体としての揺動部材35が備えられている。
この略三角柱状の揺動部材35は、図3及び図4に示されるように、連結ピン34bを支点として左右に揺動できるものとなっている。
【0020】
揺動部材35の表面には、物品Wと当接することが可能な当接部36が取りつけられており、この当接部36の表面は平坦な当接面36aが形成されている。
なお、この実施形態では物品Wに対する緩衝効果が期待できるゴム系材料により当接部36が形成されている。
また、各当接面36aは物品Wとの当接に十分な当接面積が設定されており、相互に隣り合う揺動部材35の間隙が狭くなるように設定されている。
この実施形態では、揺動部材35と突出部33aとにより、物品Wと対向するチェーン30における凸部が構成され、揺動部材35を備える各突出部33a間に凹部37が形成されている。
従って、当接面36aが形成される凸部は、一対のアーム21、21が閉じたときに物品Wの側面に当接可能である。
他方、凸部の間に形成される凹部37は、側面に突起体としてのリブRを有する物品である場合に、このリブRを凹部37に挿入させた状態で凸部に係止させる機能を有する。
【0021】
この実施形態では、アーム21、21の開度に応じて異なるサイズの物品Wをチェーン30に挟持又は係止することができるものとなっている。
また、このアーム21、21は、棚部14上の物品Wを挟持又は係止してキャリッジ20に取り込み、あるいは、キャリッジ20に取り込まれている物品Wを挟持又は係止して空いている棚部14へ収容することができるものとなっている。
【0022】
次に、この実施形態に係る物品移載装置10による物品Wの移載について説明する。
まず、図5に示されるように、棚部14の物品Waをキャリジ20へ移載する場合について説明する。
まず、走行台車18を棚12に沿って走行させる一方、物品Waが収容されている棚部14に対してアーム21、21が臨むようにキャリッジ20を昇降させる。
アーム21、21の開度は、物品Wとアーム21、21が対向するまでに物品Waの幅よりも少し広くなるようにしておき、移載すべき物品Waとキャリッジ20が対峙した後、アーム21、21と荷台26を棚部14へ向けて前進させる。
アーム21、21が最大に前進するとアーム21、21の前進は停止し、アーム21、21の内側の先端部分は物品Waの側面と対向する。
【0023】
次に、アーム21、21を徐々に閉じる閉動作を行い、チェーン30の揺動部材35の当接面36aを物品Waの側面に当接させ、アーム21、21の閉動作を停止する。
この時点で物品Waはチェーン30を介してアーム21、21に挟持される状態となり、次いで、チェーン用モータ31を駆動してチェーン30を走行させる。
チェーン30の走行とともに、物品Waは図5に示されるようにアーム21、21に挟持された状態を維持しつつチェーン30の走行方向へ向けて移送される。
このとき、スプロケット28において方向転換される揺動部材35が次々にと物品Waの側面を押圧し、走行方向への物品Waの移送をより確実とする。
ここでは、物品Waが棚部14からキャリッジ20へ向けて移送されるが、物品Waが荷台26に完全に移送されたらアーム21、21及び荷台26を棚12から遠ざけるように後退させる。
【0024】
次に、図6に示されるように、リブRを備える物品Wbとし、棚部14の物品Wbをキャリッジ20へ移載する場合について説明する。
走行台車18の走行とキャリッジ20の昇降により物品Wbが収容されている棚部14にアーム21、21を臨ませる。
物品Waの幅よりも少し広くさせたアーム21、21と荷台26を棚部14へ向けて最大に前進させ、アーム21の内側の先端部分と物品Wbの側面とを対向させる。
次に、アーム21、21を閉じるように制御するが、物品WbのリブRがチェーン30の揺動部材35に当接する場合、揺動部材35を傾斜させつつ凹部37にリブRが導かれる。
凹部37にリブRが導かれたらアーム21、21の閉動作を停止し、次いで、チェーン用モータ31を駆動してチェーン30を走行させる。
【0025】
物品WbのリブRは、図6に示されるように、チェーン30の走行とともに揺動部材35に係止される状態となり、リブRが揺動部材35に係止された状態を維持しつつチェーン30の走行方向へ向けて移送される。
そして、物品Wbが荷台26に完全に移送されたらアーム21、21及び荷台26を後退させる。
なお、アーム21、21の閉動作の際に、物品WbのリブRが揺動部材35と当接せずに揺動部材35間を通過する場合、チェーン30の走行とともに、物品WbのリブRは揺動部材35に係止される状態となる。
また、キャリッジ20側から棚部14へ物品Wbを移載する場合については、チェーン30を逆方向へ走行させればよい。
このように、平坦な側面の物品Waと側面にリブRを有する物品Wbのいずれの物品Wa、Wbに対しても物品Wa、Wbとチェーン30の間でスリップを生じることなく移載を行なうことができる。
【0026】
なお、揺動部材35が突出部33aに対して傾斜した状態のまま、次に平坦な側面を有する物品Waを移載する場合が考えられる。
ここでは、最大に傾斜した揺動部材35が、アーム21、21の閉動作において物品Waの側面と当接するとともに、揺動部材35の当接面36aが物品Waの側面に沿って復帰するように、揺動部材35の寸法及び最大傾斜が設定されている。
因みに、傾斜する揺動部材35を自動的に原位置へ復帰することができるように、弾発部材等による付勢部材を揺動部材35と突出部33aとの間に設けるようにしてもよい。
【0027】
この実施形態に係る物品移載装置によれば以下の効果を奏する。
(1)平坦な側面を有する物品Waの場合には、チェーン30における凸部の当接面36aに物品Waが当接するから、物品Waに対する当接面積が十分に確保され、チェーン30の走行による物品Waの移載が可能となる。一方、側面にリブRを有する物品Wbの場合には、チェーン30の凹部37にリブRを挿入させておき、凹部37にリブRを挿入させた状態でチェーン30を走行させると、リブRが凸部に係止される状態となるから、チェーン30の走行により物品Wbの移送が可能となる。
(2)チェーン30における突出部33aに対して揺動部材35が変位可能であることから、側面にリブRを有する物品Wbに対して、物品Wbの側面におけるリブRに対応するように揺動部材35が変位されることにより、チェーン30における凹部37に物品WbのリブRが挿入され易い。
【0028】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る物品移載装置について図7に基づき説明する。
第2の実施形態における物品移載装置も第1の実施形態と同様のスタッカクレーンである。
この実施形態の物品移載装置は、アームに備えられるチェーンの突出部に対して変位可能とする変位体を備える点で先の実施形態の物品移載装置と共通するが、この実施形態における変位体は進退部材である点で先の実施形態とは異なる。
従って、この実施形態では、説明の便宜上、第1の実施形態で用いた符号を一部共通して用い、共通又は類似する構成についてはその説明を省略し、先の実施形態の説明を援用する。
【0029】
図7に示されるように、この実施の形態の物品移載装置におけるアーム41には、スプロケット28が備えられており、スプロケット28には無端帯としてのチェーン42が掛装されている。
この実施形態では、チェーン42のリンクプレート43の間において凹部48が形成される。
チェーン42におけるリンクプレート43の突出部43aには変位体としての進退部材45が備えられている。
この進退部材45は、チェーン42の走行方向に対して直角方向に進退自在となっている。
また、この進退部材45の表面は、ゴム系材料により形成された当接部46が取り付けられており、物品Wと当接することが可能な当接部46の表面は平坦な当接面46aが形成されている。
進退部材45と突出部43aとの間には付勢部材としてのコイルスプリング47が備えられており、進退部材45を突出部43aから離す方向の付勢力が進退部材45に作用している。
また、突出部43aに対する進退部材45の所定の進退範囲が設定されている。
このため、進退部材45は、物品Waの側面に当接することができるほか、図9(c)に示される物品Wcの膨出部S及び膨出部Sを除く側面に当接することができる。
なお、ここでいう膨出部Sは、先の実施形態のリブRと比較して幅が広くかつリブRの奥行きよりも小さく設定されている突起体を指している。
さらに、突出部43aと進退部材45には進退方向以外の妄動を防止するためのガイド機構(図示せず)が備えられている。
このガイド機構によりチェーン42の走行時において進退部材45の妄動が防止される。
【0030】
次に、この実施形態に係る物品移載装置による物品Wの移載について説明する。
図9(c)に示されるように、側面に突起体としての膨出部Sを有する物品Wcの場合、物品Wcに対向するアーム41、41が閉動作を行なうが、物品Wcの膨出部Sに進退部材45が最初に当接される。
アーム41、41がさらに閉じることにより、膨出部Sに当接する進退部材45は、コイルバネ47の付勢力に抗してチェーン42側へ後退するとともに、膨出部Sを除く物品Wcの側面に他の進退部材45が当接してこの側面を押圧する。
この時点で物品Wcはチェーン42の進退部材45を介してアーム41、41に挟持されたことになり、アーム41、41の閉動作を停止し、次いで、チェーン42を走行させる。
【0031】
このため、物品Wcは進退部材45により保持された状態を維持しつつチェーン42の走行方向へ移送される。
なお、物品Wcの移送後においてアーム41、41が開動作をすると、コイルスプリング47の付勢力により物品Wcに当接していた進退部材45は原位置へ復帰する。
一方、平坦な側面の物品Waの場合については、アーム41、41の閉動作により進退部材45が側面に当接するから、側面に対する進退部材45の押圧状態を維持してチェーン42を走行させることにより、物品Waが移送される。
この実施形態に係る物品移載装置40によれば、平坦な側面の物品Waの移載のほか、リブRとは異なる膨出部Sを側面に備えた物品Wcの移載を実施することができる。
【0032】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能であり、例えば、次のように変更してもよい。
○ 上記の第1、第2の実施形態では、自動倉庫におけるスタッカクレーンに本発明を適用した例を説明したが、スタッカクレーンの他に、例えば、有軌道台車等の無人走行車における物品移載装置に適用できるほか、適用対象としては、少なくとも、進退自在の一対の開閉アームが備えられた物品移載装置であればよい。
○ 上記の第1、第2の実施形態では、いずれも無端帯としてチェーンを採用したが、チェーンの他に凸部及び凹部を有するベルトとしてもよく、この場合、物品の側面と対向するベルトの凸部に、揺動部材又は進退部材等の変位体が含まれることが好ましい。
○ 上記の第1の実施形態では、変位体としての揺動部材を無端帯としてのチェーンに設けるようにしたが、必ずしも変位体を必須とする趣旨ではない。例えば、凸部と凹部の幅が同じ程度となるように幅広の突出部を形成し、この突出部に単に物品との当接面を設けたチェーンとしてもよく、この場合、側面にリブを有する物品の移載については、リブの凹部への確実な挿入を図るための工夫が付加することが好ましい。
【0033】
○ 上記の第1、第2の実施形態では、変位体としての揺動部材又は進退部材の当接面をいずれも平坦としたが、物品移載装置が取り扱う物品の材質や側面の形状等の諸条件に応じて当接面を凹凸面や湾曲面等に設定してもよい。また、当接面を構成する材料もゴム系材料の他、樹脂系材料や繊維系材料等適宜の材料を選択してもよい。
○ 上記の実施形態では、変位体として、連結ピンを支点とする揺動体、あるいは突出部に対して進退する進退部材を例示したが、例えば、連結ピンに対して揺動自在な変位体であって、かつ、変位体に形成される物品との当接部が変位体に対して進退自在としてもよい。この場合、上記の実施形態おいて示した3種の物品に対応可能な物品移載装置を実現するほか、物品の側面における突起体が湾曲あるいは傾斜等を有する面を備えていても対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】第1の実施形態に係る物品移載装置の概要を示す正面図である。
【図2】第1の実施形態に係る物品移載装置の拡大平面図である。
【図3】第1の実施形態に係るチェーンとスプロケットの要部を示す平面図である。
【図4】第1の実施形態に係るチェーンの要部を示す斜視図である。
【図5】第1の実施形態に係る物品移載装置の作用を示す要部平面図である。
【図6】第1の実施形態に係る物品移載装置の作用を示す要部平面図である。
【図7】第2の実施形態に係る物品移載装置の要部とその作用を示す要部平面図である。
【図8】従来の物品移載装置の拡大平面図である。
【図9】異なる種類の物品毎の特徴を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0035】
12、52 棚
14、53 棚部
15、50 スタッカクレーン
20、60 キャリッジ
21、41、56 アーム
26、55 荷台
30、42 チェーン
33、43 リンクプレート
33a、43a 突出部
35 揺動部材
36、46 当接部
36a、46a 当接面
45 進退部材
47 コイルスプリング
57 無端ベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉自在の一対のアームが機台に対して進退自在に備えられ、物品の側面と対向する走行自在の無端帯が前記アームに備えられ、前記アームの閉動作により無端帯を介して物品を挟持するとともに、前記無端帯の走行により前記物品を前記アームに沿って進退自在とする物品移載装置であって、
前記無端帯には前記物品と対向する凸部と凹部が含まれ、
少なくとも前記凸部には前記物品と当接する当接面が形成されていることを特徴とする物品移載装置。
【請求項2】
前記凸部は、凸部本体と、該凸部本体に対して変位可能とする変位体とから構成され、該変位体に前記当接面が形成されていることを特徴とする請求項1記載の物品移載装置。
【請求項3】
前記無端帯はチェーン又はベルトであることを特徴とする請求項1又は2記載の物品移載装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2006−69760(P2006−69760A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−256986(P2004−256986)
【出願日】平成16年9月3日(2004.9.3)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】