説明

物理量検出回路

【課題】環境温度が高温になっても高精度な検出が可能な物理量検出回路を提供する。
【解決手段】第1実施形態の物理量検出回路100では、環境温度が高温になり、演算増幅器102の負帰還電流が設定電流値よりも少なくなる度に、各スイッチ109〜111が順番に開かれ、各ダイオード105〜107が順番に演算増幅器102の負帰還経路に接続されて高抵抗の負帰還抵抗として機能するため、各ダイオード104〜107の直列接続による合成抵抗値(負帰還抵抗の抵抗値)が自動的に補正・調整されて増大し、その合成抵抗値の増加分だけ負帰還電流も増大する。従って、環境温度が高温になって各ダイオード104〜107にリーク電流が発生しても、各ダイオード104〜107の直列接続による合成抵抗値が増加するため、物理量検出回路100が検出可能な周波数帯域が狭くならずに高精度な検出が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物理量検出回路に係り、詳しくは、電荷量の微小変化により物理量を検出する物理量検出回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、静電容量を変化させることが可能な可変容量素子(可変コンデンサ)や圧電素子から成る第1素子を用い、その第1素子の電荷量の微小変化に基づいて、特定の物理量(例えば、力、重量、加速度、圧力など)を計測する物理量検出回路が広く利用されている。
【0003】
特許文献1の請求項1には、演算増幅器の反転入力端子に接続された第1素子の電荷量の変化により物理量を検出する物理量検出回路であって、前記反転入力端子と前記演算増幅器の出力端子との帰還経路に接続された帰還容量と、抵抗として機能する複数の第2素子から選択された少なくとも一つから構成され、かつ、前記反転入力端子と前記出力端子との帰還経路に前記帰還容量と並列に接続される第3素子と、温度変化により前記複数の第2素子の選択を変更する選択変更手段とを備えることが開示されている。
【0004】
そして、特許文献1の請求項2には、請求項1において、前記複数の第2素子は並列接続された複数のダイオードを含むことが開示されている。
【0005】
また、特許文献2の請求項1には、第1素子の電荷の変化により、物理量を検出する物理量検出回路であって、演算増幅器、第1コンデンサ及び第1ダイオードを備え、前記演算増幅器は、出力端子、反転入力端子及び非反転入力端子を有し、負帰還動作をし、前記第1素子は前記反転入力端子に接続され、前記第1コンデンサと前記第1ダイオードとは並列に前記出力端子と前記反転入力端子との間に接続されていることが開示されている。
【特許文献1】特開2002−185298号公報(第2〜8頁、図1)
【特許文献2】特開2000−304631号公報(第2〜9頁、図1,図11,図12)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の請求項2および特許文献2の請求項1において、演算増幅器の出力端子と反転入力端子とを接続する負帰還経路にダイオード(第2素子、第1ダイオード)を接続するのは、ダイオードを高抵抗の負帰還抵抗として機能させることにより、演算増幅器に直流的な負帰還をかけて出力電圧の飽和を防ぎ、演算増幅器に高精度な増幅をさせるためである。
【0007】
すなわち、PN接合ダイオードは±数十mVの電圧範囲において、方向性(順方向、逆方向)に関係なく、抵抗値を数百MΩの高抵抗値にすることができる。
そして、物理量検出回路を1個の半導体チップ(ワンチップ)上に集積化されたモノリシックIC(Integrated Circuit)によって構成した場合には、ダイオードを負帰還抵抗として用いれば、抵抗体の薄膜や不純物拡散層を負帰還抵抗として用いるのと比べて、半導体チップ上における負帰還抵抗の占有面積を小さくした上で高抵抗値を容易に実現できる。
【0008】
ところが、物理量検出回路が置かれた環境温度が高温(例えば、175℃以上)になると、負帰還抵抗として用いるダイオードにリーク電流が発生し、そのリーク電流は温度上昇に伴って増大するため、そのリーク電流の分だけダイオードの抵抗値が実質的に低下することから、物理量検出回路が検出可能な周波数帯域が狭くなり、高精度な検出が困難になる。
言い換えれば、ダイオードを高抵抗の負帰還抵抗として用いる物理量検出回路の検出精度は高温になると低下するという問題がある。
【0009】
本発明は上記問題を解決するためになされたものであって、その目的は、環境温度が高温になっても高精度な検出が可能な物理量検出回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、
検出対象の物理量に応じて電荷量が変化する第1素子(101)と、
その第1素子(101)の電荷量の変化に応じた出力電圧を生成する負帰還増幅回路(FB)とを備え、
前記負帰還増幅回路(FB)は、
前記第1素子(101)が反転入力端子に接続され、負帰還動作を行って出力端子から前記出力電圧を出力する演算増幅器(102)と、
その演算増幅器(102)の負帰還経路に接続された負帰還容量(103)と、
前記負帰還経路にて前記負帰還容量(103)と並列接続された負帰還抵抗とを備えた物理量検出回路であって、
前記負帰還抵抗は、複数個のダイオード(104〜107)の直列接続による合成抵抗から成り、
前記負帰還経路に流れる負帰還電流を検出する負帰還電流検出手段(108、121)と、
その負帰還電流検出手段(108、121)が検出した負帰還電流と設定電流値とを比較し、負帰還電流が設定電流値よりも少なくなると、直列接続される前記ダイオード(104〜107)の個数を増やすことにより、前記負帰還抵抗の抵抗値を増大させる負帰還抵抗制御手段(109〜112)と
を備えた物理量検出回路(100、600〜900)を技術的特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載の物理量検出回路において、
前記負帰還抵抗制御手段(109〜112)は、前記負帰還電流が設定電流値よりも少なくなる度に、直列接続される前記ダイオード(104〜107)の個数を段階的に増やすことにより、前記負帰還抵抗の抵抗値を段階的に増大させることを技術的特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、
請求項1または請求項2に記載の物理量検出回路において、
前記負帰還電流検出手段(108、121)は、前記負帰還経路に挿入された負帰還電流検出用抵抗(108)の両端間電圧に基づいて負帰還電流を検出することを技術的特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、
検出対象の物理量に応じて電荷量が変化する第1素子(101)と、
その第1素子(101)の電荷量の変化に応じた出力電圧を生成する負帰還増幅回路(FB)とを備え、
前記負帰還増幅回路(FB)は、
前記第1素子(101)が反転入力端子に接続され、負帰還動作を行って出力端子から前記出力電圧を出力する演算増幅器(102)と、
前記演算増幅器(102)の負帰還経路に接続された負帰還容量(103)と、
前記負帰還経路にて前記負帰還容量(103)と並列接続された負帰還抵抗とを備えた物理量検出回路であって、
物理量検出回路が置かれた環境温度を検出する温度検出手段(202、203、302)と、
その温度検出手段(202、203、302)が検出した環境温度と設定温度とを比較し、環境温度が設定温度より高くなると、直列接続される前記ダイオード(104〜107)の個数を増やすことにより、前記負帰還抵抗の抵抗値を増大させる負帰還抵抗制御手段(109〜111、201、301、401、501)と
を備えた物理量検出回路(200、300、400、500)を技術的特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、
請求項4に記載の物理量検出回路において、
前記設定温度は段階的に複数設定されており、
前記負帰還抵抗制御手段(109〜111、401、501)は、前記環境温度が段階的な複数の設定温度より高くなる度に、直列接続される前記ダイオード(104〜107)の個数を段階的に増やすことにより、前記負帰還抵抗の抵抗値を段階的に増大させること技術的特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の発明は、
請求項4に記載の物理量検出回路において、
前記負帰還抵抗制御手段(109〜111、201、301、401、501)は、前記環境温度が設定温度以下になると、直列接続される前記ダイオード(104〜107)の個数を減らすことにより、前記負帰還抵抗の抵抗値を減少させることを技術的特徴とする。
【0016】
請求項7に記載の発明は、
請求項6に記載の物理量検出回路において、
前記設定温度は段階的に複数設定されており、
前記負帰還抵抗制御手段(109〜111、401、501)は、前記環境温度が段階的な複数の設定温度以下になる度に、直列接続される前記ダイオード(104〜107)の個数を段階的に減らすことにより、前記負帰還抵抗の抵抗値を段階的に減少させることを技術的特徴とする。
【0017】
請求項8に記載の発明は、
請求項4〜7のいずれか1項に記載の物理量検出回路において、
前記温度検出手段(202、203、302)は、一定電流が流された感温ダイオード(202)または感温抵抗(302)の両端間電圧に基づいて環境温度を検出することを技術的特徴とする。
【0018】
請求項9に記載の発明は、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の物理量検出回路において、
前記負帰還抵抗制御手段(121、201、301、401、501)は、
前記複数個のダイオード(104〜107)に対してそれぞれ並列接続されたスイッチ(109〜111)を備え、
任意のスイッチ(109〜111)を開くことにより、そのスイッチに並列接続されたダイオード(105〜107)を前記負帰還経路に接続させることを技術的特徴とする。
【0019】
請求項10に記載の発明は、
請求項1〜9のいずれか1項に記載の物理量検出回路において、
前記ダイオード(104〜107)は、PN接合ダイオード(104〜107)またはダイオード接続されたトランジスタ(604〜607、804〜807)から成ることを技術的特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
<請求項1:第1,第6〜第9実施形態(図1,図6〜図9参照)に該当>
請求項1の物理量検出回路(100、600、700、800、900)において、負帰還抵抗制御手段(109〜112)は、負帰還電流検出手段(108、121)が検出した負帰還電流と設定電流値とを比較し、負帰還電流が閾値である設定電流値よりも少なくなると、直列接続されるダイオード(104〜107)の個数を増やすことにより、演算増幅器(102)の負帰還抵抗の抵抗値を増大させる。
【0021】
従って、請求項1によれば、環境温度が高温になって各ダイオード(104〜107)にリーク電流が発生しても、各ダイオード(104〜107)の直列接続による合成抵抗値の増加分だけ負帰還抵抗と抵抗値が大きくなるため、物理量検出回路が検出可能な周波数帯域が狭くならずに高精度な検出が可能になる。
【0022】
尚、設定電流値は、前記作用・効果を確実に得られるように、カット・アンド・トライにより実験的に最適値を見つけて設定すればよい。
また、直列接続されるダイオード(104〜107)の個数は、前記作用・効果を確実に得られるように、カット・アンド・トライにより実験的に最適個数を見つけて設定すればよい。
【0023】
<請求項2:第1,第6〜第9実施形態に該当>
請求項2において、負帰還抵抗制御手段(109〜112)は、負帰還電流が設定電流値よりも少なくなる度に、直列接続されるダイオード(104〜107)の個数を段階的に増やすことにより、負帰還抵抗の抵抗値を段階的に増大させる。
従って、請求項2では、負帰還抵抗の抵抗値の段階的な増大により、負帰還抵抗の抵抗値の自動的な補正・調整をより細かく行うことが可能になるため、請求項1の前記作用・効果を更に高めることができる。
尚、前記段階の数については、前記作用・効果を確実に得られるように、カット・アンド・トライにより実験的に最適な数を見つけて設定すればよい。
【0024】
<請求項3:第1,第6〜第9実施形態に該当>
請求項3において、負帰還電流検出手段(108、121)は、演算増幅器(102)の負帰還経路に挿入された負帰還電流検出用抵抗(108)の両端間電圧に基づいて負帰還電流を検出する。
従って、請求項3によれば、簡単な構成で確実に負帰還電流を検出可能なことから、物理量検出回路の低コスト化を図ることができる。
尚、負帰還電流検出用抵抗(108)の抵抗値は、前記作用・効果を確実に得られるように、カット・アンド・トライにより実験的に最適値を見つけて設定すればよい。
【0025】
<請求項4:第2〜第5実施形態(図2〜図5参照)に該当>
請求項4の物理量検出回路(200、300、400、500)において、負帰還抵抗制御手段(109〜111、201、301、401、501)は、温度検出手段(202、203、302)が検出した環境温度と設定温度とを比較し、環境温度が閾値である設定温度より高くなると、直列接続されるダイオード(104〜107)の個数を増やすことにより、演算増幅器(102)の負帰還抵抗の抵抗値を増大させる。
【0026】
従って、請求項4によれば、環境温度が高温になって各ダイオード(104〜107)にリーク電流が発生しても、各ダイオード(104〜107)の直列接続による合成抵抗値の増加分だけ負帰還抵抗と抵抗値が大きくなるため、物理量検出回路が検出可能な周波数帯域が狭くならずに高精度な検出が可能になる。
【0027】
尚、設定温度は、前記作用・効果を確実に得られるように、カット・アンド・トライにより実験的に最適温度を見つけて設定すればよい。
また、直列接続されるダイオード(104〜107)の個数は、前記作用・効果を確実に得られるように、カット・アンド・トライにより実験的に最適個数を見つけて設定すればよい。
【0028】
<請求項5:第4,第5実施形態(図4,図5参照)に該当>
請求項5では、閾値である設定温度が段階的に複数設定されている。
そして、請求項5において、負帰還抵抗制御手段(109〜111、401、501)は、環境温度が段階的な複数の設定温度より高くなる度に、直列接続されるダイオード(104〜107)の個数を段階的に増やすことにより、負帰還抵抗の抵抗値を段階的に増大させる。
【0029】
従って、請求項5では、負帰還抵抗の抵抗値の段階的な増大により、負帰還抵抗の抵抗値の自動的な補正・調整をより細かく行うことが可能になるため、請求項4の前記作用・効果を更に高めることができる。
尚、前記段階の数については、前記作用・効果を確実に得られるように、カット・アンド・トライにより実験的に最適な数を見つけて設定すればよい。
【0030】
<請求項6:第2〜第5実施形態に該当>
請求項6において、負帰還抵抗制御手段(109〜111、201、301、401、501)は、環境温度が設定温度以下になると、直列接続されるダイオード(104〜107)の個数を減らすことにより、負帰還抵抗の抵抗値を減少させる。
従って、請求項6によれば、環境温度が変化しても負帰還抵抗の抵抗値を常に最適値に近く保持させることが可能になるため、請求項4の前記作用・効果を更に高めることができる。
【0031】
<請求項7:第4,第5実施形態に該当>
請求項7では、閾値である設定温度が段階的に複数設定されている。
そして、請求項7において、負帰還抵抗制御手段(109〜111、401、501)は、環境温度が段階的な複数の設定温度以下になる度に、直列接続されるダイオード(104〜107)の個数を段階的に減らすことにより、負帰還抵抗の抵抗値を段階的に減少させる。
【0032】
従って、請求項7では、負帰還抵抗の抵抗値の段階的な減少により、負帰還抵抗の抵抗値の自動的な補正・調整をより細かく行うことが可能になるため、請求項6の前記作用・効果を更に高めることができる。
尚、前記段階の数については、前記作用・効果を確実に得られるように、カット・アンド・トライにより実験的に最適な数を見つけて設定すればよい。
【0033】
<請求項8:第2〜第5実施形態に該当>
請求項8において、温度検出手段(202、203、302)は、一定電流が流された感温ダイオード(202)または感温抵抗(302)の両端間電圧に基づいて環境温度を検出する。
従って、請求項8によれば、簡単な構成で確実に環境温度を検出可能なことから、物理量検出回路の低コスト化を図ることができる。
【0034】
<請求項9:第1〜第9実施形態に該当>
請求項9において、負帰還抵抗制御手段(109〜111、121、201、301、401、501)は、複数個のダイオード(105〜107)に対してそれぞれ並列接続されたスイッチ(109〜111)のうち、任意のスイッチを開くことにより、そのスイッチに並列接続されたダイオードを演算増幅器(102)の負帰還経路に接続させる。
従って、請求項9によれば、直列接続されるダイオードの個数を簡単な構成で確実に増減させることが可能なことから、物理量検出回路の低コスト化を図ることができる。
【0035】
<請求項10:第1〜第9実施形態に該当>
請求項10のように、ダイオード(104〜107)としては、PN接合ダイオード(104〜107)またはダイオード接続されたトランジスタ(604〜607、804〜807)を用いればよい。
【0036】
<用語の説明>
上術した[課題を解決するための手段][発明の効果]に記載した( )内の符号等は、上述した[背景技術]と後述する[発明を実施するための最良の形態]に記載した構成部材・構成要素の符号等に対応したものである。
そして、[課題を解決するための手段][発明の効果]に記載した構成部材・構成要素と、[発明を実施するための最良の形態]に記載した構成部材・構成要素との対応関係は以下のようになっている。
【0037】
「負帰還電流検出手段」は、負帰還電流検出用抵抗108および演算増幅器121に該当する。
請求項1の「負帰還抵抗制御手段」は、スイッチ109〜111およびスイッチ切替制御回路112に該当する。
請求項4の「負帰還抵抗制御手段」は、スイッチ109〜111およびスイッチ切替制御回路201,301,401,501に該当する。
請求項5,7の「負帰還抵抗制御手段」は、スイッチ109〜111およびスイッチ切替制御回路401,501に該当する。
「温度検出手段」は、感温ダイオード202または感温抵抗302および定電流源203に該当する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明を具体化した各実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、各実施形態において、同一の構成部材および構成要素については符号を等しくすると共に、同一内容の箇所については重複説明を省略してある。
【0039】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の物理量検出回路100の概略構成を示す回路図である。
物理量検出回路100は、第1素子101、演算増幅器102、負帰還容量(コンデンサ)103、PN接合ダイオード104〜107、負帰還電流検出用抵抗108、スイッチ109〜111、スイッチ切替制御回路112から構成されている。
【0040】
第1素子101は、可動電極板(ダイヤフラム)と固定電極板とが微小な間隔を隔てて対向配置された構造であり、可動電極板を可動させて両電極板の間隔を変化させることにより、両電極板間の静電容量値を変化させることが可能な可変容量素子(可変コンデンサ)である。
尚、第1素子101は、マイクロマシニング技術を用いて作製すればよい。
【0041】
第1素子101の各電極板のいずれか一方は演算増幅器102の反転入力端子に接続され、第1素子101の他方の電極板には直流電圧VBBが印加され、演算増幅器102の非反転入力端子はアースに接続されている。
【0042】
演算増幅器102の出力端子と反転入力端子とを接続する負帰還経路には、負帰還容量103が接続されると共に、直列接続された各ダイオード104〜107および負帰還電流検出用抵抗108が接続されている。
すなわち、直列接続された各ダイオード104〜107および負帰還電流検出用抵抗108と、負帰還容量103とは、演算増幅器102の負帰還経路にて並列接続されている。
尚、負帰還電流検出用抵抗108は各ダイオード104,105の間に接続されている。
【0043】
ここで、各ダイオード104〜107は、演算増幅器102の負帰還経路に対して順方向に接続されている。
すなわち、演算増幅器102の反転入力端子に向けて各ダイオード104〜107のカソードが接続され、演算増幅器102の出力端子に向けて各ダイオード104〜107のアノードが接続されている。
【0044】
各ダイオード105〜107にはそれぞれ各スイッチ109〜111が並列接続されている。すなわち、ダイオード105とスイッチ109は並列接続され、ダイオード106とスイッチ110は並列接続され、ダイオード107とスイッチ111は並列接続されている。
【0045】
各スイッチ109〜111はそれぞれ、スイッチ切替制御回路112から出力される各制御信号Sa〜Scに従って開閉が制御される。
尚、各スイッチ109〜111は定常状態では閉じられている。
ここで、各スイッチ109〜111がそれぞれ開いている場合、各ダイオード105〜107は±数十mVの電圧範囲において、抵抗値が数百MΩの高抵抗の負帰還抵抗として機能する。
また、各スイッチ109〜111がそれぞれ閉じている場合、各ダイオード105〜107は各スイッチ109〜111を介して短絡されるため負帰還抵抗として機能しない。
【0046】
ここで、演算増幅器102、負帰還容量103、PN接合ダイオード104〜107、負帰還電流検出用抵抗108は負帰還増幅回路FBを構成し、演算増幅器102は負帰還動作を行っている。
【0047】
スイッチ切替制御回路112は、直流電源VCC、演算増幅器121、コンパレータ122、抵抗分圧回路123、切替選択回路124などから構成されている。
【0048】
演算増幅器121の各入力端子はそれぞれ負帰還電流検出用抵抗108の両端に接続され、演算増幅器121の出力端子はコンパレータ122のプラス入力端子に接続されている。そして、演算増幅器121は、負帰還電流検出用抵抗108の両端間電圧を検出し、負帰還電流検出用抵抗108の両端間電圧に応じた出力電圧をコンパレータ122のプラス入力端子へ出力する。
【0049】
抵抗分圧回路123は、直列接続された各抵抗R1,R2から構成され、直流電源VCCの電圧(直流電圧)VCCを各抵抗R1,R2の抵抗値比で分圧した設定電圧を生成し、その設定電圧をコンパレータ122のマイナス入力端子に印加させている。
尚、直流電源VCCと、その電圧VCCには、説明を分かり易くするため同一符号を用いている。
【0050】
コンパレータ122は、演算増幅器121の出力電圧と抵抗分圧回路123の設定電圧とを比較し、その比較結果に応じたレベルの出力信号を切替選択回路124へ出力する。
【0051】
切替選択回路124は、コンパレータ122の出力信号のレベルに応じて各スイッチ109〜111を選択して開閉を制御するための制御信号Sa〜Scを生成して出力する。
【0052】
[第1実施形態の動作]
物理量検出回路100が検出対象とする特定の物理量(例えば、力、重量、加速度、圧力など)が第1素子101に印加されると、第1素子101の可動電極板が可動し、第1素子101の両電極板の間隔が変化して静電容量値も変化する。
そして、第1素子101の各電極板のいずれか一方には直流電圧VBBが印加されているため、第1素子101の静電容量値が変化すると、第1素子101に蓄積されている電荷量も変化する。
【0053】
すると、演算増幅器102は、第1素子101の電荷量の微小変化を増幅し、第1素子101の電荷量に対応した出力電圧Voを出力端子から出力する。
すなわち、第1素子101の電荷量は物理量に応じて変化し、出力電圧Voは物理量に対応する。
【0054】
ここで、出力電圧Voは、第1素子101の静電容量値の変化量ΔCと、負帰還容量103の静電容量値Dと、直流電圧VBBとにより、数式1によって表される。
【0055】
Vo=(ΔC/D)×VBB ………(数式1)
【0056】
物理量検出回路100において、演算増幅器102の負帰還経路にダイオード104が接続されているのは、ダイオード104を高抵抗の負帰還抵抗として機能させることにより、演算増幅器102に直流的な負帰還をかけて出力電圧Voの飽和を防ぎ、演算増幅器102に高精度な増幅をさせるためである。
【0057】
すなわち、演算増幅器102の負帰還経路に高抵抗を接続しない場合には、演算増幅器102は大きな解放利得を有するため、演算増幅器102の僅かなオフセット電圧により出力電圧Voが飽和する可能性があるためである。
そして、ダイオード104は±数十mVの電圧範囲において、抵抗値が数百MΩの高抵抗の負帰還抵抗として機能する。
【0058】
ところで、物理量検出回路100において、演算増幅器102に高精度な増幅をさせるためには、第1素子101の静電容量値の変化の周波数fと、負帰還容量103の静電容量値Dとによって決定されるインピーダンスZに対して、負帰還抵抗として用いるダイオード104の抵抗値Rを、数式2に表すように十分に大きく設定する必要がある。
【0059】
R≫Z=1/2π×f×D ………(数式2)
【0060】
例えば、第1素子101の静電容量値の変化の周波数fを10kHz、負帰還容量103の静電容量値Dを1pFとした場合には、インピーダンスZは約16MΩとなる。
そこで、ダイオード104の抵抗値RがインピーダンスZより十分に大きくなるように、例えば、抵抗値RをインピーダンスZの10倍以上にするとなると、抵抗値Rを160MΩ以上にする必要がある。
【0061】
ところが、物理量検出回路100が置かれた環境温度が高温(例えば、1075℃以上)になると、負帰還抵抗として用いるダイオード104にリーク電流が発生し、そのリーク電流は温度上昇に伴って増大するため、そのリーク電流の分だけ抵抗値Rが実質的に低下することから、物理量検出回路100が検出可能な周波数帯域が狭くなり、高精度な検出が困難になる。
【0062】
ところで、演算増幅器102の負帰還経路には、演算増幅器102の出力端子から反転入力端子へ向けて負帰還電流が流れている。
ダイオード104は演算増幅器102の負帰還経路に対して順方向に接続されており、ダイオード104のリーク電流はカソードからアノードに向けて逆方向に流れるため、ダイオード104にリーク電流が発生すると、そのリーク電流の分だけ演算増幅器102の負帰還電流が減少することになる。
【0063】
そこで、スイッチ切替制御回路112は、演算増幅器102の負帰還経路に挿入された負帰還電流検出用抵抗108の両端間電圧に基づいて負帰還電流を検出し、負帰還電流と設定電流値とを比較し、負帰還電流が設定電流値より少ない場合には、まず、スイッチ109を開くための制御信号Saを出力し、スイッチ109を開かせることにより、ダイオード105を高抵抗の負帰還抵抗として機能させる。
【0064】
すると、演算増幅器102の負帰還経路には、ダイオード104に加えてダイオード105が接続されることになり、各ダイオード104,105の直列接続による合成抵抗値の増加分だけ負帰還電流が増大し、負帰還電流が設定電流値よりも多くなる。
そして、各ダイオード104,105の直列接続による合成抵抗値の増加分だけ数式2に示す抵抗値Rが大きくなるため、各ダイオード104,105にリーク電流が発生していても、物理量検出回路100が検出可能な周波数帯域が狭くならずに高精度な検出が可能になる。
【0065】
このとき、スイッチ切替制御回路112は、演算増幅器102の負帰還電流が設定電流値より一度少なくなった後に多くなっても、スイッチ109を開かせたまま保持させ、ダイオード105を高抵抗の負帰還抵抗として機能させ続ける。
【0066】
しかし、環境温度が更に高温になり、各ダイオード104,105のリーク電流が増大すると、各ダイオード104,105の合成抵抗値が実質的に低下し、各ダイオード104,105のリーク電流の増大分だけ演算増幅器102の負帰還電流が減少し、再び負帰還電流が設定電流値よりも少なくなる。
ここで、ダイオード105は演算増幅器102の負帰還経路に対して順方向に接続されており、ダイオード105のリーク電流はカソードからアノードに向けて逆方向に流れるため、ダイオード105にリーク電流が発生すると、そのリーク電流の分だけ演算増幅器102の負帰還電流が減少することになる。
【0067】
そこで、スイッチ切替制御回路112は、次に、スイッチ109を開くための制御信号Saに加えて、スイッチ110を開くための制御信号Sbを出力し、スイッチ109に加えてスイッチ110を開かせることにより、各ダイオード105,106を高抵抗の負帰還抵抗として機能させる。
【0068】
すると、演算増幅器102の負帰還経路には、各ダイオード104,105に加えてダイオード106が接続されることになり、各ダイオード104〜106の直列接続による合成抵抗値の増加分だけ負帰還電流が増大し、再び負帰還電流が設定電流値よりも多くなる。
そして、各ダイオード104〜106の直列接続による合成抵抗値の増加分だけ数式2に示す抵抗値Rが大きくなるため、各ダイオード104〜106にリーク電流が発生していても、物理量検出回路100が検出可能な周波数帯域が狭くならずに高精度な検出が可能になる。
【0069】
このとき、スイッチ切替制御回路112は、演算増幅器102の負帰還電流が設定電流値より二度少なくなった後に多くなっても、各スイッチ109,110を開かせたまま保持させ、各ダイオード105,106を高抵抗の負帰還抵抗として機能させ続ける。
【0070】
しかし、環境温度が更に高温になり、各ダイオード104〜106のリーク電流が増大すると、各ダイオード104〜106の合成抵抗値が実質的に低下し、各ダイオード104〜106のリーク電流の増大分だけ演算増幅器102の負帰還電流が減少し、再び負帰還電流が設定電流値よりも少なくなる。
ここで、ダイオード106は演算増幅器102の負帰還経路に対して順方向に接続されており、ダイオード106のリーク電流はカソードからアノードに向けて逆方向に流れるため、ダイオード106にリーク電流が発生すると、そのリーク電流の分だけ演算増幅器102の負帰還電流が減少することになる。
【0071】
そこで、スイッチ切替制御回路112は、次に、各スイッチ109,110を開くための各制御信号Sa,Sbに加えて、スイッチ111を開くための制御信号Scを出力し、各スイッチ109,110に加えてスイッチ111を開かせることにより、各ダイオード105〜107を高抵抗の負帰還抵抗として機能させる。
【0072】
すると、演算増幅器102の負帰還経路には、各ダイオード104〜106に加えてダイオード107が接続されることになり、各ダイオード104〜107の直列接続による合成抵抗値の増加分だけ負帰還電流が増大し、再び負帰還電流が設定電流値よりも多くなる。
そして、各ダイオード104〜107の直列接続による合成抵抗値の増加分だけ数式2に示す抵抗値Rが大きくなるため、各ダイオード104〜107にリーク電流が発生していても、物理量検出回路100が検出可能な周波数帯域が狭くならずに高精度な検出が可能になる。
【0073】
このとき、スイッチ切替制御回路112は、演算増幅器102の負帰還電流が設定電流値より三度少なくなった後に多くなっても、各スイッチ109〜111を開かせたまま保持させ、各ダイオード105〜107を高抵抗の負帰還抵抗として機能させ続ける。
【0074】
[第1実施形態の作用・効果]
以上詳述したように、第1実施形態の物理量検出回路100では、環境温度が高温になり、演算増幅器102の負帰還電流が閾値である設定電流値よりも少なくなる度に、各スイッチ109〜111が順番に開かれ、各ダイオード105〜107が順番に演算増幅器102の負帰還経路に接続されて高抵抗の負帰還抵抗として機能するため、各ダイオード104〜107の直列接続による合成抵抗値(負帰還抵抗の抵抗値)が自動的に補正・調整されて増大し、その合成抵抗値の増加分だけ負帰還電流も増大する。
【0075】
すなわち、第1実施形態では、負帰還電流が設定電流値よりも少なくなる度に、演算増幅器102の負帰還経路に直列接続されるダイオード105〜107の個数が段階的に増やされることにより、直列接続された各ダイオード104〜107の合成抵抗から成る負帰還抵抗の抵抗値が段階的に増大されている。
【0076】
従って、第1実施形態によれば、環境温度が高温になって各ダイオード104〜107にリーク電流が発生しても、各ダイオード104〜107の直列接続による合成抵抗値の増加分だけ数式2に示す抵抗値Rが大きくなるため、物理量検出回路100が検出可能な周波数帯域が狭くならずに高精度な検出が可能になる。
【0077】
そして、第1実施形態では、直列接続された各ダイオード104〜107の合成抵抗から成る負帰還抵抗の抵抗値の段階的な増大により、負帰還抵抗の抵抗値の自動的な補正・調整をより細かく行うことが可能になるため、前記作用・効果を更に高めることができる。
【0078】
また、第1実施形態では、負帰還電流検出用抵抗108と演算増幅器121を用い、負帰還電流検出用抵抗108の両端間電圧に基づいて負帰還電流を検出するため、簡単な構成で確実に負帰還電流を検出可能なことから、物理量検出回路100の低コスト化を図ることができる。
【0079】
また、第1実施形態において、スイッチ切替制御回路112は、各ダイオード105〜107に対してそれぞれ並列接続された各スイッチ109〜111のうち、任意のスイッチを開くことにより、そのスイッチに並列接続されたダイオードを演算増幅器102の負帰還経路に接続させる。
従って、第1実施形態によれば、直列接続されるダイオード104〜107の個数を簡単な構成で確実に増減させることが可能なことから、物理量検出回路100の低コスト化を図ることができる。
【0080】
ところで、スイッチ切替制御回路112は、演算増幅器102の負帰還経路に挿入された負帰還電流検出用抵抗108の両端間電圧に基づいて負帰還電流を検出し、その負帰還電流が設定電流値より少ない場合には、各スイッチ109〜111をそれぞれ開かせる。
ここで、設定電流値は、抵抗分圧回路123の各抵抗R1,R2の抵抗値比または直流電源VCCの直流電圧VCCによって決定される設定電圧に対応する。
そのため、設定電流値は、設定電圧を変更することにより任意の電流値に設定可能であり、前記作用・効果を確実に得られるように、カット・アンド・トライにより実験的に最適値を見つけて設定すればよい。
【0081】
また、負帰還電流検出用抵抗108の抵抗値についても、前記作用・効果を確実に得られるように、カット・アンド・トライにより実験的に最適値を見つけて設定すればよい。
【0082】
<第2実施形態>
図2は、第2実施形態の物理量検出回路200の概略構成を示す回路図である。
物理量検出回路200は、第1素子101、演算増幅器102、負帰還容量103、PN接合ダイオード104〜107、スイッチ109〜111、スイッチ切替制御回路201から構成されている。
第2実施形態の物理量検出回路200において、第1実施形態の物理量検出回路100と異なるのは、以下の点である。
【0083】
[2−1]負帰還電流検出用抵抗108が省かれている。
【0084】
[2−2]スイッチ切替制御回路201は、直流電源VCC、コンパレータ122、抵抗分圧回路123、切替選択回路124、感温ダイオード(温度検出ダイオード)202、定電流源203などから構成されている。
【0085】
定電流源203の一端は直流電源VCCに接続され、感温ダイオード202のカソードはアースに接続され、定電流源203の他端は感温ダイオード202のアノードに接続されると共にコンパレータ122のプラス入力端子に接続されている。
そのため、感温ダイオード202には定電流源203により一定電流が流され、感温ダイオード202の両端間電圧であるアノード電圧がコンパレータ122のプラス入力端子に出力される。
【0086】
コンパレータ122は、感温ダイオード202のアノード電圧と抵抗分圧回路123の設定電圧とを比較し、その比較結果に応じた出力信号を切替選択回路124へ出力する。
【0087】
[第2実施形態の動作]
物理量検出回路200が置かれた環境温度が高温になると、負帰還抵抗として用いるダイオード104にリーク電流が発生し、そのリーク電流は温度上昇に伴って増大するため、そのリーク電流の分だけ数式2に示す抵抗値Rが実質的に低下することから、物理量検出回路200が検出可能な周波数帯域が狭くなり、高精度な検出が困難になる。
【0088】
ここで、環境温度の上昇に伴い、スイッチ切替制御回路201が備える感温ダイオード202の順方向電圧降下は増大する。
そして、感温ダイオード202には定電流源203により一定電流が流され、感温ダイオード202のカソードはアースに接続されているため、感温ダイオード202の順方向電圧降下が増大するとアノード電圧も増大する。
【0089】
そこで、スイッチ切替制御回路201は、感温ダイオード202の順方向電圧降下に基づいて環境温度を検出し、環境温度と設定温度とを比較し、環境温度が設定温度より高い場合には、全てのスイッチ109〜111をそれぞれ開くための各制御信号Sa〜Scを出力し、全スイッチ109〜111を開かせることにより、各ダイオード105〜107を高抵抗の負帰還抵抗として機能させる。
【0090】
すると、各ダイオード104〜107の直列接続による合成抵抗値の増加分だけ数式2に示す抵抗値Rが大きくなるため、各ダイオード104〜107にリーク電流が発生していても、物理量検出回路200が検出可能な周波数帯域が狭くならずに高精度な検出が可能になる。
【0091】
その後、環境温度が低下すると、感温ダイオード202の順方向電圧降下は減少する。
そこで、スイッチ切替制御回路201は、感温ダイオード202の順方向電圧降下に基づいて環境温度を検出し、環境温度と設定温度とを比較し、環境温度が設定温度以下の場合には、全てのスイッチ109〜111をそれぞれ閉じるための各制御信号Sa〜Scを出力し、全スイッチ109〜111を閉じさせることにより、各ダイオード105〜107を負帰還抵抗として機能させないようにする。
【0092】
すると、定常状態に戻り、ダイオード104だけが演算増幅器102の負帰還抵抗として機能するが、環境温度は設定温度以下に低下しており、ダイオード104のリーク電流は十分に小さくなって数式2に示す抵抗値Rが大きくなるため、物理量検出回路200が検出可能な周波数帯域が狭くならずに高精度な検出が可能になる。
【0093】
[第2実施形態の作用・効果]
以上詳述したように、第2実施形態の物理量検出回路200では、環境温度が高温になり閾値である設定温度よりも高くなると、全てのスイッチ109〜111が同時に開かれ、各ダイオード105〜107が同時に演算増幅器102の負帰還経路に接続されて高抵抗の負帰還抵抗として機能するため、各ダイオード104〜107の直列接続による合成抵抗値(負帰還抵抗の抵抗値)が自動的に補正・調整されて増大する。
【0094】
従って、第2実施形態によれば、環境温度が高温になって各ダイオード104〜107にリーク電流が発生しても、各ダイオード104〜107の直列接続による合成抵抗値の増加分だけ数式2に示す抵抗値Rが大きくなるため、物理量検出回路200が検出可能な周波数帯域が狭くならずに高精度な検出が可能になる。
【0095】
また、第2実施形態では、環境温度が低下して設定温度以下になると、全てのスイッチ109〜111が同時に閉じられ、各ダイオード105〜107が同時に負帰還抵抗として機能しなくなるため、各ダイオード104〜107の直列接続による合成抵抗値が自動的に補正・調整されて減少する。
【0096】
従って、第2実施形態によれば、環境温度が変化しても、直列接続された各ダイオード104〜107の合成抵抗から成る負帰還抵抗の抵抗値を常に最適値に近く保持させることが可能になるため、前記作用・効果を更に高めることができる。
【0097】
また、第2実施形態では、感温ダイオード202と定電流源203を用い、感温ダイオード202の両端間電圧であるアノード電圧に基づいて環境温度を検出するため、簡単な構成で確実に環境温度を検出可能なことから、物理量検出回路200の低コスト化を図ることができる。
【0098】
ところで、スイッチ切替制御回路201は、感温ダイオード202の順方向電圧降下に基づいて環境温度を検出し、その環境温度が設定温度より高い場合には、各スイッチ109〜111をそれぞれ開かせる。
ここで、設定温度は、抵抗分圧回路123の各抵抗R1,R2の抵抗値比または直流電源VCCの直流電圧VCCによって決定される設定電圧に対応する。
そのため、設定温度は、設定電圧を変更することにより任意の温度に設定可能であり、前記作用・効果を確実に得られるように、カット・アンド・トライにより実験的に最適温度を見つけて設定すればよい。
【0099】
<第3実施形態>
図3は、第3実施形態の物理量検出回路300の概略構成を示す回路図である。
物理量検出回路300は、第1素子101、演算増幅器102、負帰還容量103、PN接合ダイオード104〜107、スイッチ109〜111、スイッチ切替制御回路301から構成されている。
【0100】
第3実施形態の物理量検出回路300において、第2実施形態の物理量検出回路200と異なるのは、スイッチ切替制御回路201がスイッチ切替制御回路301に置き換えられ、スイッチ切替制御回路201の感温ダイオード202が、スイッチ切替制御回路301では感温抵抗302に置き換えられている点だけである。
【0101】
感温抵抗(熱敏感性抵抗、サーミスタ)302は、環境温度が上昇すると抵抗値が増大する正特性感温抵抗である。
【0102】
定電流源203の一端は直流電源VCCに接続され、感温抵抗302の一端はアースに接続され、感温抵抗302の他端は定電流源203の他端に接続されると共にコンパレータ122のプラス入力端子に接続されている。
そのため、感温抵抗302には定電流源203により一定電流が流され、感温抵抗302の両端間電圧がコンパレータ122のプラス入力端子に出力される。
【0103】
コンパレータ122は、感温抵抗302の両端間電圧と抵抗分圧回路123の設定電圧とを比較し、その比較結果に応じた出力信号を切替選択回路124へ出力する。
【0104】
[第3実施形態の動作]
物理量検出回路300が置かれた環境温度の上昇に伴い、スイッチ切替制御回路301が備える感温抵抗302の抵抗値は増大する。
そして、感温抵抗302には定電流源203により一定電流が流され、感温抵抗302の一端はアースに接続されているため、感温抵抗302の抵抗値が増大すると両端間電圧も増大する。
【0105】
そこで、スイッチ切替制御回路301は、感温抵抗302の抵抗値に基づいて環境温度を検出し、環境温度と設定温度とを比較し、環境温度が設定温度より高い場合には、全てのスイッチ109〜111をそれぞれ開くための各制御信号Sa〜Scを出力し、全スイッチ109〜111を開かせることにより、各ダイオード105〜107を高抵抗の負帰還抵抗として機能させる。
【0106】
すると、各ダイオード104〜107の直列接続による合成抵抗値の増加分だけ数式2に示す抵抗値Rが大きくなるため、各ダイオード104〜107にリーク電流が発生していても、物理量検出回路300が検出可能な周波数帯域が狭くならずに高精度な検出が可能になる。
【0107】
その後、環境温度が低下すると、感温抵抗302の抵抗値は低下し両端間電圧は減少する。
そこで、スイッチ切替制御回路301は、感温抵抗302の抵抗値に基づいて環境温度を検出し、環境温度と設定温度とを比較し、環境温度が設定温度以下の場合には、全てのスイッチ109〜111をそれぞれ閉じるための各制御信号Sa〜Scを出力し、全スイッチ109〜111を閉じさせることにより、各ダイオード105〜107を負帰還抵抗として機能させないようにする。
【0108】
すると、定常状態に戻り、ダイオード104だけが演算増幅器102の負帰還抵抗として機能するが、環境温度は設定温度以下に低下しており、ダイオード104のリーク電流は十分に小さくなって数式2に示す抵抗値Rが大きくなるため、物理量検出回路300が検出可能な周波数帯域が狭くならずに高精度な検出が可能になる。
【0109】
従って、第3実施形態の物理量検出回路300においても、第2実施形態の物理量検出回路200と同様の作用・効果が得られる。
また、第3実施形態では、感温抵抗302と定電流源203を用い、感温抵抗302の両端間電圧に基づいて環境温度を検出するため、簡単な構成で確実に環境温度を検出可能なことから、物理量検出回路300の低コスト化を図ることができる。
【0110】
<第4実施形態>
図4は、第4実施形態の物理量検出回路400の概略構成を示す回路図である。
物理量検出回路400は、第1素子101、演算増幅器102、負帰還容量103、PN接合ダイオード104〜107、スイッチ109〜111、スイッチ切替制御回路401から構成されている。
【0111】
第4実施形態の物理量検出回路400において、第2実施形態の物理量検出回路200と異なるのは、スイッチ切替制御回路201がスイッチ切替制御回路401に置き換えられている点である。
【0112】
スイッチ切替制御回路401は、直流電源VCC、コンパレータ402、抵抗分圧回路123,403,404、切替選択回路124、感温ダイオード202、定電流源203などから構成されている。
【0113】
コンパレータ402は、1個のプラス入力端子と、3個のマイナス入力端子とを備えた多入力型コンパレータである。
【0114】
抵抗分圧回路123は、直流電源VCCの直流電圧VCCを各抵抗R1,R2の抵抗値比で分圧した第1設定電圧を生成し、その第1設定電圧をコンパレータ402の第1マイナス入力端子に印加させている。
抵抗分圧回路403は、直列接続された各抵抗R3,R4から構成され、直流電源VCCの直流電圧VCCを各抵抗R3,R4の抵抗値比で分圧した第2設定電圧を生成し、その第2設定電圧をコンパレータ402の第2マイナス入力端子に印加させている。
抵抗分圧回路404は、直列接続された各抵抗R5,R6から構成され、直流電源VCCの直流電圧VCCを各抵抗R5,R6の抵抗値比で分圧した第3設定電圧を生成し、その第3設定電圧をコンパレータ402の第3マイナス入力端子に印加させている。
【0115】
定電流源203の一端は直流電源VCCに接続され、感温ダイオード202のカソードはアースに接続され、定電流源203の他端は感温ダイオード202のアノードに接続されると共にコンパレータ402のプラス入力端子に接続されている。
そのため、感温ダイオード202には定電流源203により一定電流が流され、感温ダイオード202の両端間電圧であるアノード電圧がコンパレータ402のプラス入力端子に出力される。
【0116】
コンパレータ402は、感温ダイオード202のアノード電圧と各抵抗分圧回路123,403,404の第1〜第3設定電圧とをそれぞれ比較し、その比較結果に応じた出力信号を切替選択回路124へ出力する。
【0117】
切替選択回路124は、コンパレータ402の出力信号のレベルに応じて各スイッチ109〜111を選択して開閉を制御するための制御信号Sa〜Scを生成して出力する。
【0118】
[第4実施形態の動作]
物理量検出回路400が置かれた環境温度が高温になると、負帰還抵抗として用いるダイオード104にリーク電流が発生し、そのリーク電流は温度上昇に伴って増大するため、そのリーク電流の分だけ数式2に示す抵抗値Rが実質的に低下することから、物理量検出回路400が検出可能な周波数帯域が狭くなり、高精度な検出が困難になる。
【0119】
ここで、物理量検出回路400が置かれた環境温度の上昇に伴い、スイッチ切替制御回路401が備える感温ダイオード202の順方向電圧降下は増大する。
そして、感温ダイオード202には定電流源203により一定電流が流され、感温ダイオード202のカソードはアースに接続されているため、感温ダイオード202の順方向電圧降下が増大するとアノード電圧も増大する。
【0120】
そこで、スイッチ切替制御回路401は、感温ダイオード202の順方向電圧降下に基づいて環境温度を検出し、環境温度と第1設定温度とを比較し、環境温度が第1設定温度より高い場合には、まず、スイッチ109を開くための制御信号Saを出力し、スイッチ109を開かせることにより、ダイオード105を高抵抗の負帰還抵抗として機能させる。
【0121】
すると、演算増幅器102の負帰還経路には、ダイオード104に加えてダイオード105が接続されることになり、各ダイオード104,105の直列接続による合成抵抗値の増加分だけ数式2に示す抵抗値Rが大きくなるため、各ダイオード104,105にリーク電流が発生していても、物理量検出回路400が検出可能な周波数帯域が狭くならずに高精度な検出が可能になる。
【0122】
しかし、物理量検出回路400が置かれた環境温度が更に高温になり、各ダイオード104,105のリーク電流が増大すると、そのリーク電流の増大分だけ数式2に示す抵抗値Rが実質的に低下することから、物理量検出回路400が検出可能な周波数帯域が狭くなり、高精度な検出が困難になる。
【0123】
そして、環境温度が更に高温になると、感温ダイオード202の順方向電圧降下も更に増大する。
そこで、スイッチ切替制御回路401は、感温ダイオード202の順方向電圧降下に基づいて環境温度を検出し、環境温度と第2設定温度とを比較し、環境温度が第2設定温度より高い場合には、次に、スイッチ109を開くための制御信号Saに加えて、スイッチ110を開くための制御信号Sbを出力し、スイッチ109に加えてスイッチ110を開かせることにより、各ダイオード105,106を高抵抗の負帰還抵抗として機能させる。
尚、第2設定温度は第1設定温度よりも高い温度に設定されている。
【0124】
すると、演算増幅器102の負帰還経路には、各ダイオード104,105に加えてダイオード106が接続されることになり、各ダイオード104〜106の直列接続による合成抵抗値の増加分だけ数式2に示す抵抗値Rが大きくなるため、各ダイオード104〜106にリーク電流が発生していても、物理量検出回路400が検出可能な周波数帯域が狭くならずに高精度な検出が可能になる。
【0125】
しかし、物理量検出回路400が置かれた環境温度が更に高温になり、各ダイオード104〜106のリーク電流が増大すると、そのリーク電流の増大分だけ数式2に示す抵抗値Rが実質的に低下することから、物理量検出回路400が検出可能な周波数帯域が狭くなり、高精度な検出が困難になる。
【0126】
そこで、スイッチ切替制御回路401は、感温ダイオード202の順方向電圧降下に基づいて環境温度を検出し、環境温度と第3設定温度とを比較し、環境温度が第3設定温度より高い場合には、続いて、各スイッチ109,110を開くための各制御信号Sa,Sbに加えて、スイッチ111を開くための制御信号Scを出力し、各スイッチ109,110に加えてスイッチ111を開かせることにより、各ダイオード105〜107を高抵抗の負帰還抵抗として機能させる。
尚、第3設定温度は第2設定温度よりも高い温度に設定されている。
【0127】
すると、演算増幅器102の負帰還経路には、各ダイオード104〜106に加えてダイオード107が接続されることになり、各ダイオード104〜107の直列接続による合成抵抗値の増加分だけ数式2に示す抵抗値Rが大きくなるため、各ダイオード104〜107にリーク電流が発生していても、物理量検出回路400が検出可能な周波数帯域が狭くならずに高精度な検出が可能になる。
【0128】
その後、環境温度が低下すると、感温ダイオード202の順方向電圧降下は減少する。
そこで、スイッチ切替制御回路401は、感温ダイオード202の順方向電圧降下に基づいて環境温度を検出し、環境温度と第2,第3設定温度とを比較し、環境温度が第3設定温度以下で第2設定温度より高い場合には、スイッチ111を閉じるための制御信号Scを出力し、スイッチ111を閉じさせることにより、ダイオード107を負帰還抵抗として機能させないようにし、それと同時に、各スイッチ109,110を開かせたまま保持させ、各ダイオード105,106を高抵抗の負帰還抵抗として機能させ続ける。
【0129】
すると、各ダイオード104〜106が演算増幅器102の負帰還抵抗として機能するようになるが、環境温度は第3設定温度以下に低下しており、各ダイオード104〜106のリーク電流は十分に小さくなって数式2に示す抵抗値Rが大きくなるため、物理量検出回路400が検出可能な周波数帯域が狭くならずに高精度な検出が可能になる。
【0130】
その後、環境温度が更に低下すると、スイッチ切替制御回路401は、感温ダイオード202の順方向電圧降下に基づいて環境温度を検出し、環境温度と第1,第2設定温度とを比較し、環境温度が第2設定温度以下で第1設定温度より高い場合には、スイッチ110を閉じるための制御信号Sbを出力し、スイッチ110を閉じさせることにより、ダイオード106を負帰還抵抗として機能させないようにし、それと同時に、スイッチ109を開かせたまま保持させ、ダイオード105を高抵抗の負帰還抵抗として機能させ続ける。
【0131】
すると、各ダイオード104,105が演算増幅器102の負帰還抵抗として機能するようになるが、環境温度は第2設定温度以下に低下しており、各ダイオード104,105のリーク電流は十分に小さくなって数式2に示す抵抗値Rが大きくなるため、物理量検出回路400が検出可能な周波数帯域が狭くならずに高精度な検出が可能になる。
【0132】
その後、環境温度が更に低下すると、スイッチ切替制御回路401は、感温ダイオード202の順方向電圧降下に基づいて環境温度を検出し、環境温度と第1設定温度とを比較し、環境温度が第1設定温度以下の高い場合には、スイッチ109を閉じるための制御信号Saを出力し、スイッチ109を閉じさせることにより、ダイオード105を負帰還抵抗として機能させないようにする。
【0133】
すると、定常状態に戻り、ダイオード104だけが演算増幅器102の負帰還抵抗として機能するが、環境温度は第1設定温度以下に低下しており、ダイオード104のリーク電流は十分に小さくなって数式2に示す抵抗値Rが大きくなるため、物理量検出回路400が検出可能な周波数帯域が狭くならずに高精度な検出が可能になる。
【0134】
[第4実施形態の作用・効果]
以上詳述したように、第4実施形態の物理量検出回路400では、環境温度が高温になり、閾値である第1〜第3設定温度よりそれぞれ高くなる度に、各スイッチ109〜111が順番に開かれ、各ダイオード105〜107が順番に演算増幅器102の負帰還経路に接続されて高抵抗の負帰還抵抗として機能するため、各ダイオード104〜107の直列接続による合成抵抗値(負帰還抵抗の抵抗値)が自動的に補正・調整されて増大する。
【0135】
すなわち、第4実施形態では、環境温度が第1〜第3設定温度よりそれぞれ高くなる度に、演算増幅器102の負帰還経路に直列接続されるダイオード105〜107の個数が段階的に増やされることにより、直列接続された各ダイオード104〜107の合成抵抗から成る負帰還抵抗の抵抗値が段階的に増大されている。
【0136】
従って、第4実施形態によれば、環境温度が高温になって各ダイオード104〜107にリーク電流が発生しても、各ダイオード104〜107の直列接続による合成抵抗値の増加分だけ数式2に示す抵抗値Rが大きくなるため、物理量検出回路400が検出可能な周波数帯域が狭くならずに高精度な検出が可能になる。
【0137】
そして、第4実施形態では、直列接続された各ダイオード104〜107の合成抵抗から成る負帰還抵抗の抵抗値の段階的な増大により、負帰還抵抗の抵抗値の自動的な補正・調整をより細かく行うことが可能になるため、前記作用・効果を更に高めることができる。
【0138】
また、第4実施形態では、環境温度が低下し、第1〜第3設定温度よりそれぞれ低くなる度に、各スイッチ109〜111が順番に閉じられ、各ダイオード105〜107が順番に負帰還抵抗として機能しなくなるため、各ダイオード104〜107の直列接続による合成抵抗値が自動的に補正・調整されて減少する。
【0139】
すなわち、第4実施形態では、環境温度が第1〜第3設定温度よりそれぞれ低くなる度に、演算増幅器102の負帰還経路に直列接続されるダイオード105〜107の個数が段階的に減らされることにより、直列接続された各ダイオード104〜107の合成抵抗から成る負帰還抵抗の抵抗値が段階的に減少されている。
【0140】
従って、第4実施形態によれば、環境温度が変化しても、直列接続された各ダイオード104〜107の合成抵抗から成る負帰還抵抗の抵抗値を常に最適値に近く保持させることが可能になるため、前記作用・効果を更に高めることができる。
【0141】
そして、第4実施形態では、直列接続された各ダイオード104〜107の合成抵抗から成る負帰還抵抗の抵抗値の段階的な減少により、負帰還抵抗の抵抗値の自動的な補正・調整をより細かく行うことが可能になるため、前記作用・効果を更に高めることができる。
【0142】
ところで、スイッチ切替制御回路401は、感温ダイオード202の順方向電圧降下に基づいて環境温度を検出し、その環境温度と第1〜第3設定温度との比較結果に基づいて、各スイッチ109〜111の開閉を制御する。
ここで、第1設定温度は、抵抗分圧回路123の各抵抗R1,R2の抵抗値比または直流電源VCCの直流電圧VCCによって決定される第1設定電圧に対応する。
また、第2設定温度は、抵抗分圧回路403の各抵抗R3,R4の抵抗値比または直流電源VCCの直流電圧VCCによって決定される第2設定電圧に対応する。
また、第3設定温度は、抵抗分圧回路404の各抵抗R5,R6の抵抗値比または直流電源VCCの直流電圧VCCによって決定される第3設定電圧に対応する。
そのため、第1〜第3設定温度はそれぞれ、第1〜第3設定電圧を変更することにより任意の温度に設定可能であり、前記作用・効果を確実に得られるように、カット・アンド・トライにより実験的に最適温度を見つけて設定すればよい。
【0143】
<第5実施形態>
図5は、第5実施形態の物理量検出回路500の概略構成を示す回路図である。
物理量検出回路500は、第1素子101、演算増幅器102、負帰還容量103、PN接合ダイオード104〜107、スイッチ109〜111、スイッチ切替制御回路501から構成されている。
【0144】
第5実施形態の物理量検出回路500において、第4実施形態の物理量検出回路400と異なるのは、スイッチ切替制御回路401がスイッチ切替制御回路501に置き換えられ、スイッチ切替制御回路401の感温ダイオード202が、スイッチ切替制御回路501では感温抵抗302に置き換えられている点だけである。
【0145】
定電流源203の一端は直流電源VCCに接続され、感温抵抗302の一端はアースに接続され、感温抵抗302の他端は定電流源203の他端に接続されると共にコンパレータ402のプラス入力端子に接続されている。
そのため、感温抵抗302には定電流源203により一定電流が流され、感温抵抗302の両端間電圧がコンパレータ402のプラス入力端子に出力される。
【0146】
コンパレータ402は、感温抵抗302の両端間電圧と各抵抗分圧回路123,403,404の第1〜第3設定電圧とをそれぞれ比較し、その比較結果に応じた出力信号を切替選択回路124へ出力する。
【0147】
[第5実施形態の動作]
物理量検出回路500が置かれた環境温度が高温になると、負帰還抵抗として用いるダイオード104にリーク電流が発生し、そのリーク電流は温度上昇に伴って増大するため、そのリーク電流の分だけ数式2に示す抵抗値Rが実質的に低下することから、物理量検出回路500が検出可能な周波数帯域が狭くなり、高精度な検出が困難になる。
【0148】
ここで、物理量検出回路500が置かれた環境温度の上昇に伴い、スイッチ切替制御回路501が備える感温抵抗302の抵抗値は増大する。
そして、感温抵抗302には定電流源203により一定電流が流され、感温抵抗302の一端はアースに接続されているため、感温抵抗302の抵抗値が増大すると両端間電圧も増大する。
【0149】
そこで、スイッチ切替制御回路501は、感温抵抗302の抵抗値に基づいて環境温度を検出し、その環境温度が第1設定温度より高い場合には、まず、スイッチ109を開くための制御信号Saを出力し、スイッチ109を開かせることにより、ダイオード105を高抵抗の負帰還抵抗として機能させる。
【0150】
すると、演算増幅器102の負帰還経路には、ダイオード104に加えてダイオード105が接続されることになり、各ダイオード104,105の直列接続による合成抵抗値の増加分だけ数式2に示す抵抗値Rが大きくなるため、各ダイオード104,105にリーク電流が発生していても、物理量検出回路500が検出可能な周波数帯域が狭くならずに高精度な検出が可能になる。
【0151】
しかし、物理量検出回路500が置かれた環境温度が更に高温になり、各ダイオード104,105のリーク電流が増大すると、そのリーク電流の増大分だけ数式2に示す抵抗値Rが実質的に低下することから、物理量検出回路500が検出可能な周波数帯域が狭くなり、高精度な検出が困難になる。
【0152】
そして、環境温度が更に高温になると、感温抵抗302の抵抗値も更に増大する。
そこで、スイッチ切替制御回路501は、感温抵抗302の抵抗値に基づいて環境温度を検出し、その環境温度が第2設定温度より高い場合には、次に、スイッチ109を開くための制御信号Saに加えて、スイッチ110を開くための制御信号Sbを出力し、スイッチ109に加えてスイッチ110を開かせることにより、各ダイオード105,106を高抵抗の負帰還抵抗として機能させる。
【0153】
すると、演算増幅器102の負帰還経路には、各ダイオード104,105に加えてダイオード106が接続されることになり、各ダイオード104〜106の直列接続による合成抵抗値の増加分だけ数式2に示す抵抗値Rが大きくなるため、各ダイオード104〜106にリーク電流が発生していても、物理量検出回路500が検出可能な周波数帯域が狭くならずに高精度な検出が可能になる。
【0154】
しかし、物理量検出回路500が置かれた環境温度が更に高温になり、各ダイオード104〜106のリーク電流が増大すると、そのリーク電流の増大分だけ数式2に示す抵抗値Rが実質的に低下することから、物理量検出回路500が検出可能な周波数帯域が狭くなり、高精度な検出が困難になる。
【0155】
そこで、スイッチ切替制御回路501は、感温抵抗302の抵抗値に基づいて環境温度を検出し、その環境温度が第3設定温度より高い場合には、続いて、各スイッチ109,110を開くための各制御信号Sa,Sbに加えて、スイッチ111を開くための制御信号Scを出力し、各スイッチ109,110に加えてスイッチ111を開かせることにより、各ダイオード105〜107を高抵抗の負帰還抵抗として機能させる。
【0156】
すると、演算増幅器102の負帰還経路には、各ダイオード104〜106に加えてダイオード107が接続されることになり、各ダイオード104〜107の直列接続による合成抵抗値の増加分だけ数式2に示す抵抗値Rが大きくなるため、各ダイオード104〜107にリーク電流が発生していても、物理量検出回路500が検出可能な周波数帯域が狭くならずに高精度な検出が可能になる。
【0157】
その後、環境温度が低下すると、感温抵抗302の抵抗値は減少する。
そこで、スイッチ切替制御回路501は、感温抵抗302の抵抗値に基づいて環境温度を検出し、その環境温度が第3設定温度以下で第2設定温度より高い場合には、スイッチ111を閉じるための制御信号Scを出力し、スイッチ111を閉じさせることにより、ダイオード107を負帰還抵抗として機能させないようにし、それと同時に、各スイッチ109,110を開かせたまま保持させ、各ダイオード105,106を高抵抗の負帰還抵抗として機能させ続ける。
【0158】
すると、各ダイオード104〜106が演算増幅器102の負帰還抵抗として機能するようになるが、環境温度は第3設定温度以下に低下しており、各ダイオード104〜106のリーク電流は十分に小さくなって数式2に示す抵抗値Rが大きくなるため、物理量検出回路500が検出可能な周波数帯域が狭くならずに高精度な検出が可能になる。
【0159】
その後、環境温度が更に低下すると、スイッチ切替制御回路501は、感温抵抗302の抵抗値に基づいて環境温度を検出し、その環境温度が第2設定温度以下で第1設定温度より高い場合には、スイッチ110を閉じるための制御信号Sbを出力し、スイッチ110を閉じさせることにより、ダイオード106を負帰還抵抗として機能させないようにし、それと同時に、スイッチ109を開かせたまま保持させ、ダイオード105を高抵抗の負帰還抵抗として機能させ続ける。
【0160】
すると、各ダイオード104,105が演算増幅器102の負帰還抵抗として機能するようになるが、環境温度は第2設定温度以下に低下しており、各ダイオード104,105のリーク電流は十分に小さくなって数式2に示す抵抗値Rが大きくなるため、物理量検出回路500が検出可能な周波数帯域が狭くならずに高精度な検出が可能になる。
【0161】
その後、環境温度が更に低下すると、スイッチ切替制御回路501は、感温抵抗302の抵抗値に基づいて環境温度を検出し、その環境温度が第1設定温度以下の高い場合には、スイッチ109を閉じるための制御信号Saを出力し、スイッチ109を閉じさせることにより、ダイオード105を負帰還抵抗として機能させないようにする。
【0162】
すると、定常状態に戻り、ダイオード104だけが演算増幅器102の負帰還抵抗として機能するが、環境温度は第1設定温度以下に低下しており、ダイオード104のリーク電流は十分に小さくなって数式2に示す抵抗値Rが大きくなるため、物理量検出回路500が検出可能な周波数帯域が狭くならずに高精度な検出が可能になる。
【0163】
従って、第5実施形態の物理量検出回路500においても、第4実施形態の物理量検出回路400と同様の作用・効果が得られる。
【0164】
<第6実施形態>
図6は、第6実施形態の物理量検出回路600の概略構成を示す回路図である。
第6実施形態の物理量検出回路600において、第1実施形態の物理量検出回路100と異なるのは、各PN接合ダイオード104〜107がそれぞれ、ダイオード接続されたNMOSトランジスタ604〜607に置き換えられている点だけである。
【0165】
すなわち、演算増幅器102の反転入力端子に向けて各トランジスタ604〜607のソースが接続され、各トランジスタ604〜607のゲートがドレインに接続されることにより、各トランジスタ604〜607はダイオード接続されて各PN接合ダイオード104〜107と同じ機能を有している。
そして、各トランジスタ605〜607のソース・ドレイン間にはそれぞれ、各スイッチ109〜111が並列接続されている。
【0166】
従って、第6実施形態の物理量検出回路600においても、第1実施形態の物理量検出回路100と同じ作用・効果が得られる。
【0167】
<第7実施形態>
図7は、第7実施形態の物理量検出回路700の概略構成を示す回路図である。
第7実施形態の物理量検出回路700において、第1実施形態の物理量検出回路100と異なるのは、各PN接合ダイオード105〜107がそれぞれ、ダイオード接続されたNMOSトランジスタ605〜607に置き換えられている点だけである。
従って、第7実施形態の物理量検出回路700においても、第6実施形態と同様に、第1実施形態の物理量検出回路100と同じ作用・効果が得られる。
【0168】
<第8実施形態>
図8は、第8実施形態の物理量検出回路800の概略構成を示す回路図である。
第8実施形態の物理量検出回路800において、第1実施形態の物理量検出回路100と異なるのは、各PN接合ダイオード104〜107がそれぞれ、ダイオード接続されたNPNトランジスタ804〜807に置き換えられている点だけである。
【0169】
すなわち、演算増幅器102の反転入力端子に向けて各トランジスタ804〜807のエミッタが接続され、各トランジスタ804〜807のベースがコレクタに接続されることにより、各トランジスタ804〜807はダイオード接続されて各PN接合ダイオード104〜107と同じ機能を有している。
そして、各トランジスタ805〜807のソース・ドレイン間にはそれぞれ、各スイッチ109〜111が並列接続されている。
【0170】
従って、第8実施形態の物理量検出回路800においても、第1実施形態の物理量検出回路100と同じ作用・効果が得られる。
【0171】
<第9実施形態>
図9は、第9実施形態の物理量検出回路900の概略構成を示す回路図である。
第9実施形態の物理量検出回路900において、第1実施形態の物理量検出回路100と異なるのは、各PN接合ダイオード105〜107がそれぞれ、ダイオード接続されたNPNトランジスタ805〜807に置き換えられている点だけである。
従って、第9実施形態の物理量検出回路900においても、第8実施形態と同様に、第1実施形態の物理量検出回路100と同じ作用・効果が得られる。
【0172】
<別の実施形態>
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよく、その場合でも、上記各実施形態と同等もしくはそれ以上の作用・効果を得ることができる。
【0173】
[1]PN接合ダイオード104〜107は±数十mVの電圧範囲において、方向性(順方向、逆方向)に関係なく、高抵抗の負帰還抵抗として機能する。
そして、第2〜第5実施形態の物理量検出回路200〜500において、各スイッチ切替制御回路201〜501は、第1実施形態の物理量検出回路100におけるスイッチ切替制御回路112のように演算増幅器102の負帰還電流を検出するのではなく、環境温度を検出している。
そのため、第2〜第5実施形態において、各ダイオード104〜107は演算増幅器102の負帰還経路に対してどのような向きに接続してもよく、各ダイオード104〜107の接続方向がそれぞれバラバラであってもよい。
【0174】
[2]第1実施形態において、負帰還電流検出用抵抗108は各ダイオード104,105の間に接続されている。
しかし、負帰還電流検出用抵抗108は、演算増幅器102の負帰還経路であれば、どの箇所に挿入してもよい。
【0175】
[3]第2〜第5実施形態の物理量検出回路200〜500においても、第6実施形態の物理量検出回路600のように各PN接合ダイオード104〜107をそれぞれダイオード接続されたNMOSトランジスタ604〜607に置き換えてもよく、第7実施形態の物理量検出回路700のように各PN接合ダイオード105〜107をそれぞれダイオード接続されたNMOSトランジスタ605〜607に置き換えてもよく、第8実施形態の物理量検出回路800のように各PN接合ダイオード104〜107をそれぞれダイオード接続されたNPNトランジスタ804〜807に置き換えてもよく、第9実施形態の物理量検出回路900のように各PN接合ダイオード105〜107をそれぞれダイオード接続されたNMOSトランジスタ805〜807に置き換えてもよい。
【0176】
[4]第6〜第9実施形態の物理量検出回路600〜900において、ダイオード接続された各トランジスタ605〜607,805〜807のうち、適宜選択した1個または2個のトランジスタをPN接合ダイオードに置き換えてもよい。
【0177】
[5]第6,第7実施形態の物理量検出回路600,700において、ダイオード接続されたNMOSトランジスタ604〜607を、ダイオード接続されたPMOSトランジスタに置き換えてもよい。
【0178】
[6]第8,第9実施形態の物理量検出回路800,900において、ダイオード接続されたNPNトランジスタ804〜807を、ダイオード接続されたPNPトランジスタに置き換えてもよい。
【0179】
[7]第1〜第9実施形態の物理量検出回路100〜900においては、PN接合ダイオード105〜107またはダイオード接続されたトランジスタ605〜607,805〜807を3個用いているが、1個または2個または4個以上用いるようにしてもよい。
【0180】
そして、第1,第4〜第9実施形態の物理量検出回路100,400〜900では、負帰還抵抗として用いるPN接合ダイオードまたはトランジスタの個数が多くなるほど、そのPN接合ダイオードまたはトランジスタの直列接続による合成抵抗値の自動的な補正・調整をより細かく行うことが可能になるため、当該実施形態の前記作用・効果を更に高めることができる。
尚、負帰還抵抗として用いるPN接合ダイオードまたはトランジスタの個数は、そのPN接合ダイオードまたはトランジスタの抵抗値に応じて、前記作用・効果を確実に得られるように、カット・アンド・トライにより実験的に最適個数を見つけて設定すればよい。
【0181】
[8]第3,第5実施形態の物理量検出回路300,500では、環境温度が上昇すると抵抗値が増大する正特性感温抵抗を感温抵抗302として用いている。
しかし、環境温度が上昇すると抵抗値が減少する負特性感温抵抗を感温抵抗302として用いてもよい。
【0182】
[9]第1〜第9実施形態の物理量検出回路100〜900では、静電容量値を変化させることが可能な可変容量素子を第1素子101として用いている。
しかし、検出対象の物理量に対応して発生する電荷量を変化させる圧電素子を第1素子101として用いてもよい。
【0183】
[10]第1〜第9実施形態の物理量検出回路100〜900と、特許文献1(特開2002−185298号公報)または特許文献2(特開2000−304631号公報)に開示されている各実施形態とをそれぞれ組み合わせて実施してもよく、その場合には組み合わせた実施形態の両方の作用・効果を合わせて得られる。
【図面の簡単な説明】
【0184】
【図1】本発明を具体化した第1実施形態の物理量検出回路100の概略構成を示す回路図。
【図2】本発明を具体化した第2実施形態の物理量検出回路200の概略構成を示す回路図。
【図3】本発明を具体化した第3実施形態の物理量検出回路300の概略構成を示す回路図。
【図4】本発明を具体化した第4実施形態の物理量検出回路400の概略構成を示す回路図。
【図5】本発明を具体化した第5実施形態の物理量検出回路500の概略構成を示す回路図。
【図6】本発明を具体化した第6実施形態の物理量検出回路600の概略構成を示す回路図。
【図7】本発明を具体化した第7実施形態の物理量検出回路700の概略構成を示す回路図。
【図8】本発明を具体化した第8実施形態の物理量検出回路800の概略構成を示す回路図。
【図9】本発明を具体化した第9実施形態の物理量検出回路900の概略構成を示す回路図。
【符号の説明】
【0185】
100,200,300,400,500,600,700,800,900…物理量検出回路
101…第1素子
102…演算増幅器
103…負帰還容量
104〜107…PN接合ダイオード
108…負帰還電流検出用抵抗
109〜111…スイッチ
112,201,301,401,501…スイッチ切替制御回路
202…感温ダイオード
203…定電流源
302…感温抵抗
604〜607…NMOSトランジスタ
804〜807…NPNトランジスタ
FB…負帰還増幅回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象の物理量に応じて電荷量が変化する第1素子と、
その第1素子の電荷量の変化に応じた出力電圧を生成する負帰還増幅回路と
を備え、
前記負帰還増幅回路は、
前記第1素子が反転入力端子に接続され、負帰還動作を行って出力端子から前記出力電圧を出力する演算増幅器と、
その演算増幅器の負帰還経路に接続された負帰還容量と、
前記負帰還経路にて前記負帰還容量と並列接続された負帰還抵抗とを備えた物理量検出回路であって、
前記負帰還抵抗は、複数個のダイオードの直列接続による合成抵抗から成り、
前記負帰還経路に流れる負帰還電流を検出する負帰還電流検出手段と、
その負帰還電流検出手段が検出した負帰還電流と設定電流値とを比較し、負帰還電流が設定電流値よりも少なくなると、直列接続される前記ダイオードの個数を増やすことにより、前記負帰還抵抗の抵抗値を増大させる負帰還抵抗制御手段と
を備えたことを特徴とする物理量検出回路。
【請求項2】
請求項1に記載の物理量検出回路において、
前記負帰還抵抗制御手段は、前記負帰還電流が設定電流値よりも少なくなる度に、直列接続される前記ダイオードの個数を段階的に増やすことにより、前記負帰還抵抗の抵抗値を段階的に増大させることを特徴とする物理量検出回路。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の物理量検出回路において、
前記負帰還電流検出手段は、前記負帰還経路に挿入された負帰還電流検出用抵抗の両端間電圧に基づいて負帰還電流を検出することを特徴とする物理量検出回路。
【請求項4】
検出対象の物理量に応じて電荷量が変化する第1素子と、
その第1素子の電荷量の変化に応じた出力電圧を生成する負帰還増幅回路と
を備え、
前記負帰還増幅回路は、
前記第1素子が反転入力端子に接続され、負帰還動作を行って出力端子から前記出力電圧を出力する演算増幅器と、
前記演算増幅器の負帰還経路に接続された負帰還容量と、
前記負帰還経路にて前記負帰還容量と並列接続された負帰還抵抗とを備えた物理量検出回路であって、
物理量検出回路が置かれた環境温度を検出する温度検出手段と、
その温度検出手段が検出した環境温度と設定温度とを比較し、環境温度が設定温度より高くなると、直列接続される前記ダイオードの個数を増やすことにより、前記負帰還抵抗の抵抗値を増大させる負帰還抵抗制御手段と
を備えたことを特徴とする物理量検出回路。
【請求項5】
請求項4に記載の物理量検出回路において、
前記設定温度は段階的に複数設定されており、
前記負帰還抵抗制御手段は、前記環境温度が段階的な複数の設定温度より高くなる度に、直列接続される前記ダイオードの個数を段階的に増やすことにより、前記負帰還抵抗の抵抗値を段階的に増大させることを特徴とする物理量検出回路。
【請求項6】
請求項4に記載の物理量検出回路において、
前記負帰還抵抗制御手段は、前記環境温度が設定温度以下になると、直列接続される前記ダイオードの個数を減らすことにより、前記負帰還抵抗の抵抗値を減少させることを特徴とする物理量検出回路。
【請求項7】
請求項6に記載の物理量検出回路において、
前記設定温度は段階的に複数設定されており、
前記負帰還抵抗制御手段は、前記環境温度が段階的な複数の設定温度以下になる度に、直列接続される前記ダイオードの個数を段階的に減らすことにより、前記負帰還抵抗の抵抗値を段階的に減少させることを特徴とする物理量検出回路。
【請求項8】
請求項4〜7のいずれか1項に記載の物理量検出回路において、
前記温度検出手段は、一定電流が流された感温ダイオードまたは感温抵抗の両端間電圧に基づいて環境温度を検出することを特徴とする物理量検出回路。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の物理量検出回路において、
前記負帰還抵抗制御手段は、
前記複数個のダイオードに対してそれぞれ並列接続されたスイッチを備え、
任意のスイッチを開くことにより、そのスイッチに並列接続されたダイオードを前記負帰還経路に接続させることを特徴とする物理量検出回路。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の物理量検出回路において、
前記ダイオードは、PN接合ダイオードまたはダイオード接続されたトランジスタから成ることを特徴とする物理量検出回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−14652(P2010−14652A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−176747(P2008−176747)
【出願日】平成20年7月7日(2008.7.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】