説明

特に大形のラジアル又はアキシアルころ軸受用のほぞ保持器

本発明は、特に大形のラジアル又はアキシアルころ軸受用のほぞ保持器(5)に関し、ほぞ保持器が、一方では、環状板(6,7)にあるそれぞれ2つの軸線方向穴(8,9)に取付けられる複数の間隔ピン(10)により互いに結合されかつ軸線方向に対向する2つの環状板(6,7)により形成され、他方では、周方向に間隔ピン(10)の間に、環状板(6,7)にあってそれぞれ軸線方向に対向する別の軸線方向穴(11,12)内に保持される軸ほぞ(13,14)を持ち、端面(15,16)に軸線方向盲穴(17,18)を形成されるころ転動体(4)が、軸ほぞ(13,14)上に回転可能に支持されている。本発明によれば、ほぞ保持器(5)が、すべてのころ転動体(4)の間で軸ほぞ(13,14)用軸線方向穴(11,12)のピッチ円(19)の高さにあって同じ自由最小間隔を持ちかつころ転動体(4)とは別に予め組立て可能な構造単位として構成され、間隔ピン(10)用軸線方向穴(8,9)のピッチ円(20)の直径が、軸ほぞ(13,14)用軸線方向穴(11,12)のピッチ円(19)の直径より小さいか又は大きく、ころ転動体(4)用軸ほぞ(13,14)が、予め組立てられる構造単位の軸線方向穴(11,12)へ外から差込み可能な円柱ピンとして構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は請求項1の上位概念に記載のほぞ保持器に関し、ころ転動体を持つ大形の転がり軸受構造、例えばラジアル又はアキシアル円筒ころ軸受、ラジアル又はアキシアル心合わせころ軸受、ラジアル又はアキシアル円錐ころ軸受、ラジアル又はアキシアル球面ころ軸受、又はテーパころ軸受において特に有利に実現可能である。
【背景技術】
【0002】
転がり軸受技術の分野では、ころ転動体を持つ大形の転がり軸受において、ころ転動体の案内をしばしばピン保持器により行うことが公知である。なぜならべ、このような転がり軸受は、ピン保持器により最大数のころ転動体の収容が可能なため、非常に大きい負荷能力を持っているからである。しかしこのような転がり軸受用のころ転動体は、ピン保持器のピン上にそれを案内するため、軸線方向に貫通穴をあけられねばならないので、その負荷能力を得るために、これらを比較的費用のかかる浸炭鋼から製造することが必要であった。従ってこのような転がり軸受の製造費を低下するため、転がり軸受のころ転動体をいわゆるほぞ保持器で案内することも以前から公知である。なぜならば、このような保持器用のころ転動体は、もはや軸線方向に貫通穴をあける必要がなく、従って著しく安価な転がり軸受鋼から製造できるからである。
【0003】
このようなほぞ保持器は、上位概念を形成する例えばドイツ連邦共和国特許第2608308号明細書から公知である。このほぞ保持器は、軸線方向に対向する2つの環状板から成り、これらの環状板は、環状板にある2つの軸線方向穴内にそれぞれ溶接される複数の間隔ピンにより互いに結合され、間隔ピンの軸線方向穴は環状板のほぼ平均直径に相当するピッチ円上に設けられている。更にほぞ保持器は、環状板にあって軸線方向に対抗する別の軸線方向穴内にそれぞれ保持される軸ほぞを持ち、これらの軸ほぞは、周方向に間隔ピンの間でこれらと同じピッチ円上に設けられ、端面に軸線方向盲穴を形成されるころ転動体が、これらの軸ほぞ上に回転可能に支持されている。ほぞ保持器の軸ほぞは、ころ側に大きい直径の同心的なフランジ及び小さい軸線方向円錐を持っているので、ころ転動体は、フランジと同じ直径で軸ほぞに形成される盲穴を介して、その端面をほぞ保持器に半径方向及び軸線方向に案内されている。
【0004】
しかしこのように構成されるほぞ保持器の欠点は、間隔ピン及びほぞ保持器の軸ピン用の軸線方向穴が環状板の同じピッチ円上に設けられていることである。なぜならば、ころ転動体の間に設けられる間隔ピンによって、僅かなころ転動体しか保持器に設けることができず、それにより軸受が小さい負荷能力しか持たないからである。しかも公知のほぞ保持器では、4つの間隔ピンのみがほぞ保持器の両方の環状板を互いに結合することによって、この欠点を少なくされているが、4つの間隔ピンだけでは、ほぞ保持器の必要な安定性が保証しない。大形の転がり軸受では、それぞれ2つのころ転動体の間にそれぞれ1つの間隔ピンが設けられている時にのみ、この安定性が得られるので、公知の構造のほぞ保持器では、必要な多数の間隔ピンにより、それに応じて少数のころ転動体しか保持器に設けることができない。
【0005】
更に公知のほぞ保持器の別の欠点は、軸ほぞのころ側に同心的な大きい直径のフランジを形成することによって、保持器の組立て前又は間隔ピンによる環状板の相互結合の前に、ころ転動体用軸ほぞを環状板へ差込まねばならないことである。なぜならば、そうしない場合ほぞ保持器へのころ転動体の差込みがもはや不可能だからである。従って軸ほぞを環状板の軸線方向穴へ差込んだ後、ころ転動体を環状板の軸ほぞ上にはめ、間隔ピンを同じ環状板の軸線方向穴へ圧入し、続いて他方の環状板を軸ほぞにより転動体及び間隔ピン上にはめ、最後に間隔ピンを環状板に溶接するようにして、公知のほぞ保持器の組立てを行わねばならない。しかし保持器のこのような組立ては、非常に費用がかかるだけでなく、組立ての終わった保持器において必要な溶接作業を行わねばならず、従って熱の影響により保持器に不利な歪みが起こり、その結果場合によっては保持器におけるころ転動体の案内の際整列誤差が生じる、という欠点を特に持っている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って従来技術の上述した欠点から出発して、本発明の基礎になっている課題は、環状板の間に多数の間隔ピンを使用するにもかかわらず、保持器に最大数のころ転動体を設け、組立ての終わった保持器における溶接作業なしで簡単な保持器組立てを保証する、特に大形のラジアル又はアキシアルころ軸受用のほぞ保持器を構想することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によればこの課題は、請求項1に記載のほぞ保持器において、ほぞ保持器が、すべてのころ転動体の間で軸ほぞ用軸線方向穴のピッチ円の高さにあって同じ自由最小間隔を持ちかつころ転動体とは別に予め組立て可能な構造単位として構成され、間隔ピン用軸線方向穴のピッチ円の直径が、軸ほぞ用軸線方向穴のピッチ円の直径より小さいか又は大きく、ころ転動体用軸ほぞが、予め組立てられる構造単位の軸線方向穴へ外から差込み可能な円柱ピンとして構成されていることによって、解決される。
【0008】
本発明により構成されるほぞ保持器の好ましい実施形態では、軸ほぞ用軸線方向穴のピッチ円の直径が、環状板の平均直径より大きく、間隔ピン用軸線方向穴のピッチ円の直径が、環状板の平均直径よりなるべく小さく形成されている。それにより間隔ピンは、もはや個々のころ転動体の間ではなく、ころ転動体より下に設けられ、従って最小相互間隔で設けられるそれぞれ2つのころ転動体の間に、それぞれ1つの間隔ピンを設けることができる。しかし同じ効果を持つ実施形態として、間隔ピン用軸線方向穴を前述したのとは逆に軸ほぞ用軸線方向穴より大きいピッチ円上に設けて、間隔ピンが同様にもはや個々のころ転動体の間ではなくころ転動体より上に設けられるようにすることも、可能である。同様に軸ほぞ用軸線方向穴を直接環状板の平均直径上に設け、間隔ピン用軸線方向孔をこの平均直径より大きいピッチ円及び小さいピッチ円上に設けて、間隔ピンが交互に転動体より上と下とに設けられるようにすることも、考えられる。
【0009】
本発明により構成されるほぞ保持器の有利な展開として更に、間隔ピンが、なるべくころ転動体より少し長く形成される円柱状鋼ピンにより形成され、これらの鋼ピンがそれぞれその端部に直径の小さいほぞを持っていることが提案される。これらのほぞにより間隔ピンが、環状板にある軸線方向穴に圧入又は溶接可能であり、ほぞにより間隔ピンに生じる段部が環状板の相互間隔を規定する。しかしこの場合も、間隔ピンにあるほぞのそれぞれ1つに雄ねじを設け、一方の環状板にあって雌ねじを形成される軸線方向穴へねじ込んで、間隔ピンを他方の軸線方向穴において溶接するか又は他のやり方で固定すればよいようにすることもできる。
【0010】
更に本発明により構成されるほぞ保持器の別の特徴は、ころ転動体用の円柱ピンとして構成される軸ほぞが、その外周面の少なくとも一部に雄ねじを持ち、環状板にあって内周面の少なくとも一部に同様に雌ねじを形成されている軸線方向穴へ外からのねじ込みにより、これらの軸線方向穴に固定されていることである。その際環状板にある軸線方向穴の雌ねじを連続的に形成しないと、有利である。なぜならば、それにより軸線方向穴内のストッパに対する軸ほぞの確実な固定がおこなわれ、同時に環状板への軸ほぞの過度のねじ込みの結果ころ転動体の動かなくなることが回避されるからである。同様にころ転動体から遠い方にある軸ほぞの側を、適当な組立て工具を当てるのに適したように形成して、環状板にある軸線方向穴へ軸ほぞのねじ込みを容易にすると、有利である。
【0011】
しかし本発明により構成されるほぞ保持器の別の実施形態では、円柱ピンとして形成されるころ転動体用軸ほぞをなるべく圧入により、環状板にある軸線方向穴へ外から差込み、それぞれの軸線方向穴及びそれぞれの軸ほぞに交差する軸線方向穴へ差込まれる止めピンにより、環状板に固定することも、可能である。環状板における軸ほぞのこのような取付けは、特に有利なことがわかった。なぜならば、この場合軸ほぞにも、環状板にある軸線方向穴にも、ねじを加工する必要がなく、組立て工具を当てるのに適したようにころ転動体に近い方にある軸ほぞの端面を形成しなくてもよいからである。
【0012】
最後に本発明により構成されるほぞ保持器の最後の特徴は、ころ転動体の端面にある軸線方向盲穴が、それぞれ付加的なプラスチックスリーブで内張りされ、これらのプラスチックスリーブが、ころ転動体の端面に当接するフランジを形成されていることである。このようなプラスチックスリーブは、ころ転動体の精確な半径方向案内のために特に有利なことがわかった。一方ころ転動体の軸線方向案内は、なるべく軸受のレースの1つにある軸線方向縁により行われる。同時にこのようなプラスチックスリーブは、ほぞ保持器のころ転動体と軸ほぞとの間の摩擦状態を改善し、更にそのフランジによりほぞ保持器のころ転動体の端面と環状面との間の接触を回避し、それにより全体として低い軸受摩擦トルクが得られる。しかしプラスチックの代わりに、ほぞ保持器の軸ほぞ上に小形の転がり軸受例えばころスリーブ等をはめ、それによりころ転動体と軸ほぞとの間の摩擦状態を更に改善することができる。
【0013】
従って本発明により構成されるほぞ保持器は、従来技術から公知のほぞ保持器に対して、次の利点を持っている。即ち環状板にある軸ほぞ用軸線方向穴を、間隔ピン用軸線方向穴のピッチ円に対して半径に離れた他のピッチ円上に設けることによって、ほぞ保持器が最適に周囲を利用し、それにより一方ではすべてのころ転動体の間に間隔ピンを設け、従って保持器を安定に構成することができ、他方では、ころ転動体の間にもはや間隔ピンを設けず、従って安価な転がり軸受鋼から成る最大数のころ転動体を軸受に設けることができる。更に本発明によるほぞ保持器は、簡単な組立て作業の点及び保持器ところ転動体との間の有利な摩擦状態の点で、特に環状板と間隔ピンとを結合する際必要な溶接作業を、組立ての終わった保持器で行うのではなく、ころ転動体の組立てとは別に行うことができるという点で、すぐれている。なぜならば、ころ転動体用軸ほぞは、環状板の溶接後、環状板にある軸線方向穴へ外から差込み可能だからである。更にほぞ保持器の環状板と間隔ピンが真ちゅう又は鋳鋼から一体に鋳造される素材から製造されると、このようなほぞ保持器の製造費の更なる節約が行われる。
【0014】
本発明により構成されるほぞ保持器の好ましい実施形態が、添付図面を参照して以下に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1から、円筒ころ軸受1として構成された大きい直径のラジアル軸受がわかり、この軸受は大体において、2つの同心的なレース2,3と、これらのレース2,3の間に設けられる複数のころ転動体4から成っている。ころ転動体4は、周方向にほぞ保持器5により均一な相互間隔で保持され、ほぞ保持器5は軸線方向に対向する2つの環状板6,7により形成され、これらの環状板6,7は、環状板6,7にある2つの軸線方向穴8,9にそれぞれ取付けられる複数の間隔ピン10により互いに結合されている。更に図1及び2からわかるように、ほぞ保持器5は、周方向において間隔ピン10の間に、環状板6,7にあって軸線方向に対向する別の軸線方向穴11,12内にそれぞれ保持される軸ほぞ13,14を持ち、端面15,16に軸線方向盲穴17,18を形成されるころ転動体4が、軸ほぞ13,14上に回転可能に支持されている。
【0016】
図1と共に図2を見ると更にわかるように、ほぞ保持器5は、本発明により、軸ほぞ13,14用軸線方向穴11,12のピッチ円19の高さの所ですべてのころ転動体4の間に同じ自由最小間隔を持ちかつころ転動体4とは別に予め組立てられる構造単位として構成され、間隔ピン10用軸線方向穴8,9のピッチ円20の直径は、軸ほぞ13,14用軸線方向穴11,12のピッチ円19の直径とは相違し、ころ転動体4用軸ほぞ13,14は、予め組立てられる構造単位の軸線方向穴11,12へ外から差込み可能な円柱ピンとして構成されている。ここで明らかにわかるように、軸ほぞ13,14用軸線方向穴11,12のピッチ円19の直径は、環状板6,7の平均直径より大きく、間隔ピン10用軸線方向穴8,9のピッチ円20の直径は、環状板6,7の平均直径より小さい。それにより間隔ピン10は、もはや個々のころ転動体4のちょうど間ではなく、ころ転動体4より下に設けられているので、最小相互間隔で設けられるそれぞれ2つのころ転動体4の間に、なおそれぞれ1つの間隔ピン10が設けられ、従って安価な転がり軸受鋼から成る最大数のころ転動体4を円筒ころ軸受に設けることができる。
【0017】
間隔ピン10は、具体的構成において同様に図1及び2からわかるように、ころ転動体4より少し長く構成される円柱状鋼ピンによって形成され、その端部に小さい直径のほぞ22,23をそれぞれ持ち、間隔ピン10のこれらのほぞ22,23が、環状板6,7にある軸線方向穴8,9へ圧入及び溶接可能である。
【0018】
図3から更に明らかにわかるように、ころ転動体4用軸ほぞ13,14は、第1の実施形態では、その外周面の少なくとも一部に雄ねじ24,25を持ち、内周面の同様に少なくとも一部に雌ねじ26,27を形成される環状板6,7の軸線方向穴11,12へ外からねじ込むことにより、環状板6,7に固定されている。
【0019】
これに反し図4では、ころ転動体4用軸ほぞ13,14は、第2の実施形態として、環状板6,7にある軸線方向穴11,12への圧入によって外から差込み可能であり、それからそれぞれの軸線方向穴11,12及びそれぞれの軸ほぞ13,14に交差する半径方向穴30,31へ差込まれるそれそれ1つの止めピン28,29により、環状板に固定される。
【0020】
図3による実施形態及び図4による実施形態により、環状板6,7を間隔ピン10と結合する際に必要な溶接作業を、組立ての終わったほぞ保持器5においてではなく、ころ転動体4の組み立てとは別に行うことが可能である。なぜならば、ころ転動体用軸ほぞ13,14は、環状板6,7の溶接後、外から環状板6,7の軸線方向穴へ差込み可能だからである。
【0021】
更に図3及び4に示す実施形態では、ころ転動体4の端面15,16にある軸線方向盲穴17,18に、付加的なプラスチックスリーブ32,33を内張りすることが意図されており、これらのプラスチックスリーブ22,23は、ころ転動体4の端面15,16に当接するフランジ34,35を形成されている。これらのプラスチックスリーブ32,33は、一方ではほぞ保持器5ところ転動体4との間の摩擦減少に役立ち、他方ではころ転動体4の精確な半径方向案内に役立ち、ころ転動体4の軸線方向案内は、円筒ころ軸受1の外レース2にあって図1には見られるが符号をつけてない軸線方向縁によって行われる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】 本発明により構成されるほぞ保持器を持つラジアル円筒ころ軸受の図2のA−A線による断面図を示す。
【図2】 本発明により構成されるほぞ保持器を持つラジアル円筒ころ軸受の側面図の一部の拡大図を示す。
【図3】 環状板に軸ほぞを取付ける第1の実施形態を持ち本発明により構成されるほぞ保持器の断面図を示す。
【図4】 環状板に軸ほぞを取付ける第2の実施形態を持ち本発明により構成されるほぞ保持器の断面図を示す。
【符号の説明】
【0023】
1 円筒ころ軸受
2 レース
3 レース
4 ころ転動体
5 ほぞ保持器
6 環状板
7 環状板
8 10用の軸線方向穴
9 10用の軸線方向穴
10 間隔ピン
11 13用の軸線方向穴
12 14用の軸線方向穴
13 軸ほぞ
14 軸ほぞ
15 端面
16 端面
17 盲穴
18 盲穴
19 11,12のピッチ円
20 8,9のピッチ円
21 6,7の平均直径
22 10にあるほぞ
23 10にあるほぞ
24 22にある雄ねじ
25 23にある雄ねじ
26 11にある雌ねじ
27 11にある雌ねじ
28 止めピン
29 止めピン
30 半径方向穴
31 半径方向穴
32 プラスチックスリーブ
33 プラスチックスリーブ
34 32にあるフランジ
35 33にあるフランジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に大形のラジアル又はアキシアルころ軸受用のほぞ保持器であって、大体において2つの同心的なレース(2,3)及びレース(2,3)の間に設けられる多数のころ転動体(4)から成り、ころ転動体(4)がほぞ保持器(5)により周方向に均一な相互間隔で保持され、ほぞ保持器(5)が、軸線方向に対向する2つの環状板(6,7)により形成され、環状板(6,7)にある2つの軸線方向穴(8,9)内にそれぞれ取付けられる複数の間隔ピン(10)により、これらの環状板(6,7)が互いに結合され、更に環状板(6,7)が、周方向に間隔ピン(10)の間に、環状板(6,7)にあってそれぞれ軸線方向に対向する別の軸線方向穴(11,12)内に保持される軸ほぞ(13,14)を持ち、端面(15,16)に軸線方向盲穴(17,18)を形成されるころ転動体(4)が、軸ほぞ(13,14)上に回転可能に支持されているものにおいて、ほぞ保持器(5)が、すべてのころ転動体(4)の間で軸ほぞ(13,14)用軸線方向穴(11,12)のピッチ円(19)の高さにあって同じ自由最小間隔を持ちかつころ転動体(4)とは別に予め組立て可能な構造単位として構成され、間隔ピン(10)用軸線方向穴(8,9)のピッチ円(20)の直径が、軸ほぞ(13,14)用軸線方向穴(11,12)のピッチ円(19)の直径より小さいか又は大きく、ころ転動体(4)用軸ほぞ(13,14)が、予め組立てられる構造単位の軸線方向穴(11,12)へ外から差込み可能な円柱ピンとして構成されていることを特徴とする、ほぞ保持器。
【請求項2】
軸ほぞ(13,14)用軸線方向穴(11,12)のピッチ円(19)の直径が、環状板(6,7)の平均直径(21)よりなるべく大きく、間隔ピン(10)用軸線方向穴(8,9)のピッチ円(20)の直径が、環状板(6,7)の平均直径(21)よりなるべく小さく形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のほぞ保持器。
【請求項3】
間隔ピン(10)が、なるべくころ転動体(4)より少し長く形成される円柱状鋼ピンにより形成され、これらの鋼ピンがそれぞれその端部に直径の小さいほぞ(22,23)を持ち、これらのほぞにより間隔ピン(10)が、環状板(6,7)にある軸線方向穴(8,9)に圧入又は溶接可能であることを特徴とする、請求項2に記載のほぞ保持器。
【請求項4】
ころ転動体(4)用の軸ほぞ(13,14)が、その外周面の少なくとも一部に雄ねじ(24,25)を持ち、環状板(6,7)にあって内周面の少なくとも一部に同様に雌ねじ(26,27)を形成されている軸線方向穴(11,12)へ外からのねじ込みにより、これらの軸線方向穴に固定されていることを特徴とする、請求項3に記載のほぞ保持器。
【請求項5】
ころ転動体(4)用軸ほぞ(13,14)が、なるべく圧入により、環状板(6,7)にある軸線方向穴(11,12)へ外から差込まれ、それぞれの軸線方向穴(11,12)及びそれぞれの軸ほぞ(13,14)に交差する軸線方向穴(30,31)へ差込まれる止めピン(28,29)により、環状板に固定されていることを特徴とする、請求項3に記載のほぞ保持器。
【請求項6】
ころ転動体(4)の端面(15,16)にある軸線方向盲穴(17,18)が、それぞれ付加的なプラスチックスリーブ(32,33)で内張りされ、これらのプラスチックスリーブ(32,33)が、ころ転動体(4)の端面(15,16)に当接するフランジ(34,35)を形成されて、ほぞ保持器(5)ところ転動体(4)との間の摩擦の減少に役立つことを特徴とする、請求項4又は5に記載のほぞ保持器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−517239(P2008−517239A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−539446(P2007−539446)
【出願日】平成17年10月8日(2005.10.8)
【国際出願番号】PCT/DE2005/001804
【国際公開番号】WO2006/039899
【国際公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(506420843)シエフレル・コマンデイトゲゼルシヤフト (80)
【Fターム(参考)】