説明

特定多数の電話機間の音声配信及びタイムシフトに関するシステムとその方法

【課題】音声通信を介しての音声信号は、1対1のリアルタイム通信に限定されていて、特定多数にタイムシフト配信(時間をずらして再度聴くこと)ができないという不都合を解決すること。
【解決手段】 音声通信を介して音声信号を録音し、事前に登録した特定多数の電話機に対してのみ発信し、音声信号を配信することでこの課題を解決する。音声通信を介して音声信号を録音した内容を保存し、特定多数の電話機からの要求に対してのみ、配信することで、秘匿性を保ちながら、タイムシフトを可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は音声通信に関するものであり、録音した音声信号を、特定多数の電話機に対してのみ発信し、タイムシフト(時間をずらして再度聴くこと)を可能にするシステムとその方法である。
【背景技術】
【0002】
現在電話の普及率は、携帯電話を含めると、一人が複数台を所有するまでになっている。携帯電話向けの各種サービスも多種多様なものがあり、音声信号以外の文字情報や画像データの送受信が可能となっている。(図1)
【0003】
若年層には、これまでにない情報化社会の環境が構築されているが、高齢者には、高度な各種サービスを使いこなすことが大変難しい。また山間部では携帯電話が繋がらない家庭も少なからず存在する。
【0004】
音声通信だけで、簡便に情報共有をするための仕組みが存在しない現状がある。
【0005】
従来の音声通信は、1対1で、かつリアルタイムでしか通信を行うことができない。特定多数に音声通信を配信する場合は、音声を配信する者が、特定多数に対して、1対1の通信を必要回数行う必要がある。
【0006】
これに対し、インターネットにおいてはマルチキャスト(特定多数への配信)が可能なシステムが存在し、例えば特許文献1に開示されている例がある。
【特許文献1】特開2002−26987号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題点は、従来の音声通信に、マルチキャスト(特定多数への配信)及びタイムシフト(時間をずらして再度聴くこと)を可能にし、音声通信において、1対多の配信を実現することにある。
【0008】
またインターネットのマルチキャストアドレスを利用することなく、電話番号が設定された電話機で、マルチキャスト(特定多数への配信)及びタイムシフト(時間をずらして再度聴くこと)の利用を可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、特定多数の電話機の電話番号と、特定多数の電話機で構成されるグループ代表電話番号を使い、事前に登録した特定多数の電話機の電話番号だけが、グループ代表電話番号への発着信が行え、音声通信を介して音声信号を録音・再生することを最も主要な特徴とする。(図2)
【発明の効果】
【0010】
本発明により、事前に登録した特定多数の電話機から、グループ代表電話番号へ発信し、録音することで、事前に登録した特定多数の電話機へ録音した音声信号を送信できる。(図2)
【0011】
事前に登録した特定多数の電話機は、同一グループに配信された音声信号を、時間をずらして再度聴くこと(タイムシフト)が可能である。
【0012】
この機能により、音声通信を使って、簡便に情報共有をするための仕組みを提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
請求項1、請求項2を実施するための構成図を示す。図2は、本システムの基本的な構成である。図3は、特定多数の電話機の電話番号をグループ化するグループ管理表である。図4は、特定多数の電話機への配信状態を管理する配信管理表である。
【0014】
図2の交換機100、登録管理サーバ200、配信サーバ300は、任意の複数台数を設置可能で、同時並行で、回線処理、検索処理、情報更新処理を実行することができる。

【0015】
請求項1について、各図面を参照して、詳細を説明する。
【0016】
図3のグループ管理表を例とすると、図2の電話機10、20、30は、グループ代表番号1に所属し、特定多数の電話機グループに属する。電話機10、20、30以外の電話機は、グループ代表番号1には所属しない。
【0017】
図3のグループ管理表のグループ代表番号には、特定多数の電話機を登録することが可能である。
【0018】
図2の交換機100は、図3のグループ管理表のグループ代表番号で、発着信できる交換機である。
【0019】
図2の電話機10が、グループ代表番号1へ発信した場合、交換機100は、グループ代表番号1を着信し、配信サーバ300へ回線を接続する。
【0020】
図2の配信サーバ300は、グループ代表番号1と、電話機10の電話番号10を、登録管理サーバ200へ通知する。
【0021】
図2の登録管理サーバ200は、グループ管理表201のグループ代表番号1に、当該グループ内の電話機の電話番号10が存在するかどうかを検索し、結果を配信サーバ300へ通知する。
【0022】
図2の配信サーバ300は、検索結果から、グループ管理表201のグループ代表番号1に、当該グループ内の電話機の電話番号10が存在する場合、配信サーバ300及び交換機100は、特定多数の電話機間の音声配信及びタイムシフトに関するシステムの利用を許可する。
【0023】
図2の配信サーバ300は、検索結果から、グループ管理表201のグループ代表番号1に、当該グループ内の電話機の電話番号10が存在しない場合、配信サーバ300は、回線を切断し、交換機100は、配信サーバ300の回線切断を感知し、交換機100の同回線を切断する。その場合、特定多数の電話機間の音声配信及びタイムシフトに関するシステムの利用を不許可とする。
【0024】
図2の配信サーバ300にシステム利用を許可された場合、配信サーバ300は、登録管理サーバ200に、配信管理表202のグループ代表電話番号1、配信先の電話機の電話番号10宛の音声データ301が存在するかどうか検索処理を要求する。
【0025】
図2の登録管理サーバ200が検索した結果、音声データ301が存在する場合、配信サーバ300は、電話機10に音声データ301があることを通知する。電話機10が、任意の番号を発信しなかった場合、請求項2の録音済みの音声データ301を配信する。電話機10が、任意の一桁の番号を発信した場合、音声データ301の音声録音処理を実施する。
【0026】
図2の登録管理サーバ200が検索した結果、音声データ301が存在しなかった場合、音声データ301の音声録音処理を実施する。
【0027】
図2の配信サーバ300にシステム利用を許可された電話機10は、グループ代表番号1に所属する電話機グループ用のメッセージを録音し、配信サーバ300に、音声データ301として保存し、回線を切断する。交換機100は、配信サーバ300の回線切断を感知し、交換機100の同回線を切断する。
【0028】
図2の配信サーバ300の、音声データ301は、複数登録が可能である。
【0029】
図2の配信サーバ300が、グループ管理表201のグループ代表番号1に所属する電話機番号を持つ電話機20、30へ音声データ301を配信するために、配信サーバ300は、登録管理サーバ200への、配信管理表202へ登録を要求する。登録する項目は、図4の各項目となる。
【0030】
図2の配信サーバ300は、登録管理サーバ200へ、定期的に配信管理表202の配信状態を確認し、「未配信」が存在すれば、配信先の電話機の電話番号へ交換機100を経由して発信する。
【0031】
この場合、交換機100からの発信元電話番号は、配信管理表202のグループ管理表のグループ代表電話番号から発信する。この例では、発信元電話番号は1となる。
【0032】
電話機20が、「未配信」の場合、配信サーバ300は、交換機100を経由して、再度、電話機20へ発信を試みる。発信回数は、配信サーバ300にて任意に変更が可能である。同一電話機への配信サーバ300の発信時間間隔は、配信サーバ300にて任意に変更が可能である。
【0033】
電話機20が、任意の回数未着信の場合、配信サーバ300は、登録管理サーバ200へ、配信管理表202のグループ代表電話番号1、音声データ301を登録した電話機の電話番号10、配信先の電話機の電話番号20の配信状態を、未着信とする。
【0034】
登録管理サーバ200の配信管理表202の配信状態を、「配信済み」とする要因は、4種類存在する。これらは、配信サーバ300にて任意に変更が可能である。
【0035】
登録管理サーバ200の配信管理表202の配信状態を、「配信済み」とする要因1として、電話機20が着信した場合、音声データ301を配信したものとみなし、配信サーバ300は、登録管理サーバ200へ、配信管理表202のグループ代表電話番号1、音声データ301を登録した電話機の電話番号10、配信先の電話機の電話番号20の配信状態を、「配信済み」とする。
【0036】
登録管理サーバ200の配信管理表202の配信状態を、「配信済み」とする要因2として、電話機20が着信をして、音声データ301を一部を再生した場合、配信したものとみなし、配信サーバ300は、登録管理サーバ200へ、配信管理表202のグループ代表電話番号1、音声データ301を登録した電話機の電話番号10、配信先の電話機の電話番号20の配信状態を、「配信済み」とする。
【0037】
登録管理サーバ200の配信管理表202の配信状態を、「配信済み」とする要因3として、電話機20が着信をして、音声データ301の内容をすべて再生した場合、配信したものとみなし、配信サーバ300は、登録管理サーバ200へ、配信管理表202のグループ代表電話番号1、音声データ301を登録した電話機の電話番号10、配信先の電話機の電話番号20の配信状態を、「配信済み」とする。
【0038】
登録管理サーバ200の配信管理表202の配信状態を、「配信済み」とする要因4として、電話機20が着信をして、任意のタイミングで、任意の一桁の番号を、電話機20が発信した場合、配信したものとみなし、配信サーバ300は、登録管理サーバ200へ、配信管理表202のグループ代表電話番号1、音声データ301を登録した電話機の電話番号10、配信先の電話機の電話番号20の配信状態を、「配信済み」とする。
【0039】
図2の配信サーバ300は、登録管理サーバ200へ、随時、登録管理サーバ200の配信管理表202の配信状態を確認し、「未配信」が存在すれば、配信先の電話機の電話番号へ交換機100を経由して発信する動作を、「未配信」が存在しなくなるまで繰り返す。本動作は、同時並行に行われる。
【0040】
次に、請求項2について、各図面を参照して、詳細を説明する。
【0041】
図3のグループ管理表を例とすると、図2の電話機10、20、30は、グループ代表番号1に所属し、特定多数の電話機グループに属する。電話機10、20、30以外の電話機は、グループ代表番号1には所属しない。
【0042】
図3のグループ管理表のグループ代表番号には、特定多数の電話機を登録することが可能である。
【0043】
図2の交換機100は、図3のグループ管理表のグループ代表番号で、発着信できる交換機である。
【0044】
図2の電話機20が、グループ代表番号1へ発信した場合、交換機100は、グループ代表番号1を着信し、配信サーバ300へ回線を接続する。
【0045】
図2の配信サーバ300は、グループ代表番号1と、電話機20の電話番号20を、登録管理サーバ200へ通知する。
【0046】
図2の登録管理サーバ200は、グループ管理表201のグループ代表番号1に、当該グループ内の電話機の電話番号20が存在するかどうかを検索し、結果を配信サーバ300へ通知する。
【0047】
図2の配信サーバ300は、検索結果から、グループ管理表201のグループ代表番号1に、当該グループ内の電話機の電話番号20が存在する場合、配信サーバ300及び交換機100は、特定多数の電話機間の音声配信及びタイムシフトに関するシステムの利用を許可する。
【0048】
図2の配信サーバ300は、検索結果から、グループ管理表201のグループ代表番号1に、当該グループ内の電話機の電話番号20が存在しない場合、配信サーバ300は、回線を切断し、交換機100は、配信サーバ300の回線切断を感知し、交換機100の同回線を切断する。その場合、特定多数の電話機間の音声配信及びタイムシフトに関するシステムの利用を不許可とする。
【0049】
図2の電話機の電話番号20は、配信サーバ300にシステム利用を許可された場合、配信サーバ300は、登録管理サーバ200に、配信管理表202のグループ代表電話番号1、配信先の電話機の電話番号20の配信状態において「未配信」のものが存在するかどうかを検索処理を要求する。
【0050】
図2の登録管理サーバ200が検索した結果、配信状態が「未配信」のものが存在する場合、配信サーバ300は、電話機20に音声データ301があることを通知する。電話機20が、任意の番号を発信しなかった場合、録音済みの音声データ301を配信する。電話機20が、任意の一桁の番号を発信した場合、請求項1の音声データ301の音声録音処理を実施する。
【0051】
図2の登録管理サーバ200が検索した結果、音声データ301が存在しなかった場合、請求項1の音声データ301の音声録音処理を実施する。
【0052】
登録管理サーバ200の配信管理表202の配信状態を、「配信済み」とする要因は3種類存在する。これらは、配信サーバ300にて任意に変更が可能である。
【0053】
登録管理サーバ200の配信管理表202の配信状態を、「配信済み」とする要因1として、電話機20が、グループ管理表201のグループ代表番号1に発信し、音声データ301を一部再生した場合、配信したものとみなし、配信サーバ300は、登録管理サーバ200へ、配信管理表202のグループ代表電話番号1、音声データ301を登録した電話機の電話番号10、配信先の電話機の電話番号20の配信状態を、「配信済み」とする。
【0054】
登録管理サーバ200の配信管理表202の配信状態を、「配信済み」とする要因2として、電話機20が、グループ管理表201のグループ代表番号1に発信し、音声データ301の内容をすべて再生した場合、配信したものとみなし、配信サーバ300は、登録管理サーバ200へ、配信管理表202のグループ代表電話番号1、音声データ301を登録した電話機の電話番号10、配信先の電話機の電話番号20の配信状態を、「配信済み」とする。
【0055】
登録管理サーバ200の配信管理表202の配信状態を、「配信済み」とする要因3として、電話機20が、グループ管理表201のグループ代表番号1に発信し、任意のタイミングで、任意の一桁の番号を、電話機20が発信した場合、配信したものとみなし、配信サーバ300は、登録管理サーバ200へ、配信管理表202のグループ代表電話番号1、音声データ301を登録した電話機の電話番号10、配信先の電話機の電話番号20の配信状態を「配信済み」とする。
【0056】
図2の電話機20は、任意のタイミングで回線の切断が可能である。回線の切断を感知した交換機100は、同回線を切断し、配信サーバ300も、回線切断を感知し、同回線を切断する。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明により、高度な意思伝達機能を有する音声信号を、リアルタイムで1対1でしか実現できなかった音声コミュニケーションを、1対多かつ非リアルタイム性を付与することで、円滑な情報配信を可能とする。
【0058】
例えば、特定多数に即時配信が必要とされる、企業・団体等での緊急連絡網での利用により、迅速で正確な情報の伝達が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本システムと他サービスの比較図である。
【図2】実施形態の構成ブロック図である。
【図3】図2のグループ管理表201の、グループ管理表の項目である。
【図4】図3のグループ管理表202の、配信管理表の項目である。
【符号の説明】
【0060】
1 サービス提供者
10、20、30 電話機
100 交換機
200 登録管理サーバ
201 グループ管理表
202 配信管理表
300 配信サーバ
301 音声データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声通信を介して録音した音声信号を、特定多数の電話機に対してのみ発信し、配信するシステムとその方法
【請求項2】
音声通信を介して録音した音声信号を、特定多数の電話機からの要求に対してのみ配信するタイムシフト(時間をずらして再度聴くこと)システムとその方法

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−296393(P2009−296393A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−148703(P2008−148703)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【出願人】(308013300)有限会社 クラフト (1)
【Fターム(参考)】