説明

特定小電力無線テレメータシステム

【課題】目的の無線チャンネルの電波状態を確認して、無線環境の変化に適合した新無線チャンネルの設定を行うことで、電池寿命を極端に短くすることなく、信頼性の高い無線テレメータシステムを提供する。
【解決手段】無線親機又は無線子機が、待機時に目的の無線チャンネルの電波を確認し(S301)、当該設定の無線チャンネルの電波が間欠の受信動作にて電波の確認はできたが当該無線チャンネルでの受信動作で正しくデータを読み取れなかった状況が発生した場合(S303で異常判定)には、その当該状況の発生回数を記憶し(S312)、そうして記憶した情報から設定チャンネルの対環境性が判断される。無線通信状態が不具合となる状況が頻繁に生じていれば(S313でYES)、対環境性が良好ではないと判断される(S314)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線テレメータシステムに関し、特に、センター網制御装置に電話網を介して接続された端末網制御装置と、端末網制御装置に有線接続された無線親機と、無線子機に有線接続されたメータとによって構成され、無線親機と無線子機は特定小電力無線方式の無線通信を行い、無線通信の待機時に省電力のために間欠的な受信動作を行う特定小電力無線テレメータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線テレメータシステムにおいて、一般的に無線親機(以下、「親機」という。)と各無線子機(以下、「子機」という。)は、予め設定された無線チャンネル(以下、この欄においてチャンネルを「CH」と略記する。)にて通信を行うが、その際に、1CHのみ設定されるシステムと、複数CHが設定されるシステムとがある。前者は、設定された1CHが他で使用されていると通信不可となる。後者においては、ある1CHが他に使用されていたとしても他方の空きCHで通信ができることから、通信の信頼性としては前者よりも後者のほうが高い。後者の例として、妨害電波を受信した場合に、それに対応して、センター装置、無線親機及び無線子機間で受信チャンネルを変更する処理をすることが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
無線テレメータシステムでは、無線の受信待機時には間欠動作、即ち、間欠的に受信待機動作を行うことで電池の長寿命化を実現しているものが多い。しかしながら、後者のような複数CHのシステムでは、間欠的な受信待機動作において複数CHのスキャンを行う必要が生じ、受信の動作時間が延びてしまう。したがって、後者の複数CHシステムでは前者の1CHシステムと比べ電池寿命が短くなる。このような特徴を踏まえた上で、設定すべき無線通信CHを1CHのシステムとするか或いは複数CHのシステムとするかの判断は、従来では、設置時点での環境条件から作業者の経験で決定し、設定されていた。
【0004】
上記のように無線CHの設定を従来の方法で行う限りにおいては、無線環境は経年変化しやすいため、時間が経過するとともに通信の信頼性が低下することや、電池寿命が極端に短いものが現れること、という問題点があった。
【特許文献1】特開2006−245665号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、従来の無線テレメータシステムにおいては、通信の信頼性の低下や電池寿命の極端な短期化という問題点があるとの認識に立って、目的の無線チャンネルの電波状態に基づいて無線チャンネルが設置場所として環境的に適合しているかを判断することを図る点で解決すべき課題がある。
【0006】
この発明の目的は、目的の無線チャンネルの電波状態に基づいて当該無線チャンネルが設置場所として環境的に適合していない場合には無線環境の変化に合わせた新無線チャンネルを設定可能とすることで、信頼性が高く且つ電池寿命を極端に短くすることのない無線テレメータシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決し、上記目的を達成するために、本発明による無線テレメータシステムは、センター網制御装置に電話網を介して接続された端末網制御装置と、前記端末網制御装置に有線接続された無線親機と、無線子機に有線接続されたメータとによって構成され、前記無線親機と前記無線子機は特定小電力無線方式の無線通信を行い、無線通信の待機時に省電力のために間欠的な受信動作を行う無線テレメータシステムにおいて、前記無線親機又は前記無線子機は、前記待機時に、目的の無線チャンネルの電波を確認し、当該無線チャンネルでの前記受信動作で正しくデータを読み取れなかった状況が発生した場合の当該状況の発生回数を記憶し、記憶された前記発生回数に基づいて前記無線チャンネルが設置場所として環境的に適合しているかを所定間隔毎に判断することを特徴としている。
【0008】
この無線テレメータシステムによれば、無線親機又は無線子機が、待機時に目的の無線チャンネルの電波を確認し、当該設定の無線チャンネルの電波が間欠の受信動作にて電波の確認はできたが当該無線チャンネルでの受信動作で正しくデータを読み取れなかった状況が発生した場合には、その当該状況の発生回数を記憶し、そうして記憶した情報から設定チャンネルの対環境性が判断される。無線通信状態が不具合となる状況が頻繁に生じていれば、対環境性が良好ではないと判断される。
【0009】
この無線テレメータシステムにおいて、前記無線子機は、ある特定の前記無線チャンネルを不適合であると判断した場合、当該無線チャンネルが不適合である旨を記述した第1通知電文を生成し、当該第1通知電文を前記無線親機に送信することができる。即ち、無線子機は、設定された無線チャンネルが不適合、換言すれば対環境性が悪いと判断した場合は、無線親機にその旨を知らす電文を送信する手段を備えることができる。無線親機は、この第1通知電文を受信することによって、対策を立てることを可能にしている。
【0010】
無線子機からの第1通知電文が無線親機に送信される無線テレメータシステムにおいて、無線子機から第1通知電文を受信した無線親機は、不適合とされた当該無線チャンネル以外の他の新たな無線チャンネルの設定を行うと共に当該設定内容を記述した設定電文を生成し、当該設定電文を全ての前記無線子機に送信することができる。即ち、設定無線チャンネルが不適切である旨の通知を受けた無線親機は、新しい無線チャンネルを設定する手段と、その設定内容を記述した電文をすべての無線子機に送信する手段とを備えているので、無線親機と無線子機は、その新しい無線チャンネルによって、対環境性が良好な状況で特定小電力無線方式の無線通信を行うことができる。
【0011】
この無線テレメータシステムにおいて、ある特定の前記無線チャンネルを不適合であると判断した場合、当該無線チャンネルが不適合である旨、及び設定可能な全ての前記無線チャンネルの受信強度を一定期間測定した測定値を記述した第2通知電文を生成し、当該第2通知電文を前記無線親機に送信することができる。この無線テレメータシステムによれば、無線子機は、設定可能な無線チャンネルの電波強度を測定する手段を備えているので、設定可能な全ての無線チャンネルの受信強度を一定期間測定し、不適合な無線チャンネルとともに測定値を記述した第2通知電文を生成し無線親機に通知することができる。
【0012】
更に、第2通知電文を生成しそれを無線親機に送信する無線テレメータシステムにおいて、前記無線親機は、前記無線子機からの前記第2通知電文を受信することに応じて、設定可能な全無線チャンネルから不適合とされた当該無線チャンネルを除き、前記電波強度の前記測定値から電波の空き状態が最も多いものを前記無線通信のための新たな無線チャンネルに設定すると共に当該設定内容を記述した設定電文を生成し、当該設定電文を全ての前記無線子機に送信することができる。また、前記無線親機は、前記無線子機からの前記第2通知電文を受信する度に電波強度値を随時記憶し、新たな無線チャンネルの設定が必要な場合には、今まで記憶された前記電波強度値を考慮した上で前記電波強度値から総合的に電波の空き状態が最も多いものを前記新無線チャンネルに設定すると共に当該設定内容を記述した設定電文を生成し、当該設定電文を全ての前記無線子機に送信することができる。即ち、これらの無線テレメータシステムにおいては、無線子機又は無線親機は、おのおのの設置場所で自身が設定可能な無線チャンネルの電波測定を行うことにより、自身が通信するのに影響を受けやすい無線チャンネル(一時的な雑音や違法電波などによる混信がされにくい(空き状態)無線チャンネル)を知ることができるため、対環境性が悪いとした設定無線チャンネルとその周辺の電波測定値から電波の空き状態が最も多い、換言すれば、影響が最も少ないという観点で最適な無線チャンネルを選択する手段を備えている。その最適な無線チャンネルを新たな無線チャンネルに設定すると共に当該設定内容を記述した設定電文を生成し、当該設定電文を全ての前記無線子機に送信することで、無線親機と無線子機は、その新しい最適な無線チャンネルで特定小電力無線方式の無線通信を行うことができる。
【0013】
更に、この無線テレメータシステムにおいて、前記無線親機は、当該無線親機がある特定の前記無線チャンネルを不適合であると判断した場合、他の設定可能な前記無線チャンネルの電波強度を一定期間測定し、前記電波強度の測定値から電波の空き状態が最も多いものを前記無線通信のための新たな無線チャンネルに設定すると共に当該設定内容を記述した設定電文を生成し、当該設定電文を全ての前記無線子機に送信することができる。また、前記無線親機は、当該無線親機がある特定の前記無線チャンネルを不適合であると判断した場合、前記各無線チャンネルの電波強度値を随時記憶し、新たな無線チャンネルの設定が必要な場合には、今まで記憶された前記電波強度値を考慮した上で前記電波強度値から総合的に電波の空き状態が最も多いものを前記新無線チャンネルに設定すると共に当該設定内容を記述した設定電文を生成し、当該設定電文を全ての前記無線子機に送信することができる。この無線テレメータシステムによれば、無線親機がある特定の無線チャンネルを不適合であると判断した場合、無線子機からの対環境性が悪い旨の電文受信したときには、その都度に無線チャンネルの電波強度の測定値を随時蓄積し、更に他の無線子機から無線チャンネルが対環境性において悪いことを示す電文を受信した場合には、蓄積データも考慮に入れて最適な無線チャンネルの設定を行う手段を備えているので、蓄積データも考慮に入れて最適な新しい無線チャンネルで再度の設定を行うことができる。
【0014】
更にまた、この無線テレメータシステムは、センター網制御装置に電話網を介して接続された端末網制御装置と、前記端末網制御装置に有線接続された無線親機と、無線子機に有線接続されたメータとによって構成され、前記無線親機と前記無線子機は特定小電力無線方式の無線通信を行い、無線通信の待機時に省電力のために間欠的な受信動作を行う無線テレメータシステムにおいて、前記無線親機又は前記無線子機は、前記待機時にあるときに目的の無線チャンネルの電波を確認するチャンネル確認手段、当該無線チャンネルで正しくデータを読み取れるか否かを判定する受信動作判定手段、前記データを読み取れなかった状況の発生回数を記憶する発生回数記憶手段、及び所定間隔毎に作動し且つ記憶された前記発生回数に基づいて前記無線チャンネルが設置場所として環境的に適合しているかを判断する適合性判断手段、を備えた制御手段を有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明による無線テレメータシステムによれば、電池動作で駆動する無線テレメータシステムにおいて、電池寿命を極端に短くすることなく無線環境の変化に追随するように無線チャンネルの設定を行う。即ち、無線環境は経年変化しやすいという実情があっても、時間が経過しても無線親機と無線子機との間で無線通信が可能であり、しかも電池寿命が極端に短いものが現れることを防止して、常に信頼性の高い無線テレメータシステムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明による無線テレメータシステムの実施形態を、図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の無線テレメータシステムの一例を示す概略図である。図1に示すように、無線テレメータシステムは、ホストコンピュータ1と、センター網制御装置2と、端末網制御装置4と、無線親機(以下、「親機」という。)5と、複数の無線子機(以下、「子機」という。)6と、複数のメータ7とを備えている。
【0017】
ホストコンピュータ1に接続されたセンター網制御装置2は、電話網の電話回線3を介して端末網制御装置4に接続されており、端末網制御装置4は親機5に対して有線回線によって接続されている。親機5は、複数の子機6との間で、無線によりデータ通信が可能である。各メータ7は、それぞれ子機6に有線回線によって接続されており、これらのメータ7は例えば電気、ガス、水道用のマイクロコンピュータを搭載したメータである。
【0018】
図2(A)は、親機5の構成を示すブロック図であり、図2(B)は、子機6の構成を示すブロック図である。図2(A)に示すように、親機5は、アンテナ10、無線通信ユニット11、CPU(制御手段)12、端末網制御装置I/F(インターフェース)13、ROM(リードオンリーメモリ)14、RAM(ランダムアクセスメモリ)15、電池16、データ登録用の不揮発性メモリ17を有している。
【0019】
図2(B)に示すように、子機6は、アンテナ18、無線通信ユニット19、CPU(制御手段)20、メータセンサI/F(インターフェース)21、ROM(リードオンリーメモリ)22、RAM(ランダムアクセスメモリ)23、電池24、データ登録用の不揮発性メモリ25を有している。メータセンサI/F21は、図1に示すメータに接続されている。
【0020】
親機5及び子機6の無線における対環境性を判断する方法の一例として、図3に示すフロー図について説明する。
先ず、予め設定された目的の無線チャンネル(以下、実施例の欄において「チャンネル」を「CH」と略す。)の電波強度が一定以上の強さであるか否かを親機5又は子機6が確認(ステップ301、「S301」と略す。以下、同じ。)する。S301において、電波強度が一定以上あったと確認された場合には、目的の無線CHの電波ありと判断して、受信データの解析(S302)を行う。解析結果の正常・異常が判定され(S303)、受信データが自らのシステムのデータフォーマットに合致しないときやエラーチェックにてエラーと判断されたときのように、S303の解析結果が異常と判定される場合には、異常データの受信と判断して、その無線CHと異常データの受信回数を示すカウンタをカウントアップし蓄積する(S312)。
【0021】
蓄積しているカウンタが一定回数以上になったか否かを判定し(S313)、蓄積カウンタが一定回数以上である場合にはその無線CHが使用環境に不適合であると判断し、対応する処理を行う(S314)。S313の判定において、蓄積カウンタが一定回数未満である場合には、定期的(タイムアウトの判定:S315)にカウンタをクリアする処理を行う(S316)。このように、一定間隔毎にカウンタをクリアして後、カウンタの蓄積・判定を繰り返して行うので、設置されてからの累計時間とは関係しない無線CHの対環境性を判定することができる。
【0022】
S303の解析結果が正常と判定される場合には、通信が開始され(S304)、返信(送信)が行われる(S305)。返信(送信)の結果、目的の電波が確認されたか否かが判定され(S306)、目的の電波が確認された場合には受信データの解析が行われる(S307)。受信データの解析結果が正常であるか異常であるかが判定され(S308)、解析結果が正常であれば、通信終了か否かが判定される(S310)。通信終了でない場合には返信(送信)がされ(S311)、S306に戻る。S310の判定で通信終了である場合には正常終了し(S318)、S301に戻る。S306の判定において目的の電波の確認ができない場合、及びS308における解析結果の判定において異常と判定される場合には、タイムアウトか否かが判定され(S317)る。タイムアウトの場合にはS301に戻り、そうでない場合にはS306に戻る。即ち、本無線テレメータシステムは、電池動作であることから省電力化を行うため無線の待機時には間欠的に受信動作を行う間欠受信動作を行っている。一方で、無線親機−子機間では定められたネゴシエーションに多くの時間が費やされるが、結果リンクが確立すると連続的な受信動作モードとなるため、以降迅速な通信が可能となる。目的の電波の確認と、目的電波の確認をしたときでも解析結果の判断とで、リンク状態を継続するか間欠受信動作に戻るかを条件付けている。
【0023】
一般的に無線の対環境性は、設置場所により異なる。この現象は、無線通信を妨害する主原因から設置場所までの距離によって、その妨害の影響度合いが異なるためである。つまり、設置場所が異なる親機5と各子機6では対環境性が異なるため、ある子機6は2CHで対環境性が悪くても親機5側では3CHが悪く、2CHは問題ないと判断されるような状況が存在することが知られている。
【0024】
親機5と子機6とが無線通信を行うためには、互いに共通する無線CHが必要になる。子機6が現在使用している無線CHを対環境性が悪いと当該子機6が判断した場合には、図4のように子機6はそのIDと対環境性が悪いと判断した無線CHを示したデータ部とで構成された電文を親機5に送信する。図4の電文を受信した親機5は、不適とした無線CHを除き、新たな無線CHを設定し図5の電文を、全子機を対象に送信をする。
【0025】
例えば、設定可能CHが「1,2,3,4,5,6」とし、親機5とすべての子機6との通信CHが1,2CHであった場合、ある子機6の設置場所において2CHで対環境性が悪いとき、不適とした無線CHが2CHであるとする旨の図4で示されるフォーマットで記述された電文を親機5に送信する。その電文を受信した親機5は、残りの設定可能CH(3,4,5,6)から新しいCH設定を行う。ここでは新しく設定するCHを3CHとする。親機5は、前設定CHを2CHとし新設定CHを3CHとする旨の図5で示されるフォーマットで記述された電文を、全子機6に対して送信する。
【0026】
更に2CHを対環境性が悪いと判断した子機6は、設定可能なCH(1,2,3,4,5,6)について受信強度を一定期間測定し、その測定値から図6の電文を構成し、親機5へ送信する。ここで、図6の電文例では、不適とした無線CHを2CHとし、1CHの受信感度の測定値を30、2CHを150、3CHを150、4CHを200、5CHを20、6CHを50としている。ここで受信感度は、一般的に電圧変換が可能であるためCPU20は自身のA/D機能により各測定値を容易に求めることができる。図6の電文を受信した親機5は、新たな無線CHの設定において各CHの受信感度の測定値を参照する。
【0027】
本例では測定値が低いほど電波強度が低い、即ち電波が空き状態であり、5CHが一番空き状態にあると判断され新たな設定CHとする。そこで親機5は、前設定を2CH、新設定を5CHとする旨の図5に示すフォーマットで記述された電文を全子機6に送信するとすればより最適な無線CHを設定できることになる。
【0028】
また、親機5自身においても使用している無線CHの対環境性が悪いと判断した場合は、他の設定可能CHの電波強度を子機6と同様な方法にて測定し、電波が最も空き状態になっているCHを新たな設定CHとして選択して図5に示すフォーマットで記述された電文を全子機5に送信するとすれば、親機5側により最適な環境が提供できることになる。
【0029】
加えて親機5は、子機6から受信した図6の電文の受信感度データや自身が測定した受信感度データを記憶しておき、新たな無線CHの設定が必要とされる場合に、記憶していたデータから過去に不適合とした無線CH以外で、総合的に無線の空き状態の多いCHを設定するとすれば、より効率的な無線CHの設定が可能となる。例えば、親機5と子機6間で無線CHとして1,2CHを使用していたが、ある子機6から2CHが不適である電文を受信時に図7に示すような各無線CHの受信感度の測定値の情報を入手した親機5は新たな無線設定CHを3CHとし、全子機6に新たに設定したとする。
【0030】
その後に親機5は、別の子機6から3CHを不適とした電文を受信すると同時に図8に示す情報を受信したとすると、記憶していた図7に示す情報と図8に示す情報との和から『4CH<5CH<6CH』の結果を得て新たな設定CHとしては4CHを設定する。
【0031】
更にその後に親機自身で4CHが不適とした場合には、記憶している図7、図8と新たに取得した図9の情報の和から『5CH<6CH』の結果を得て5CHへの変更を行うとすれば、新たに設定するCHはシステムとして最適な無線環境が良いものの選択が可能となる。
【0032】
この無線テレメータシステムの無線親機又は無線子機のCPU12,20には、図10に示すように、待機時にあるときに目的の無線チャンネルの電波を確認するチャンネル確認手段30、当該無線チャンネルで正しくデータを読み取れるか否かを判定する受信動作判定手段31、データを読み取れなかった状況の発生回数を計数するデータ読み取り不可発生回数計数手段32、当該読み取り不可発生回数を記憶する発生回数記憶手段33、及び所定間隔毎に作動し且つ記憶された発生回数に基づいて無線チャンネルが設置場所として環境的に適合しているかを判断する環境適合性判断手段34が備わっている。無線親機のCPU12は、更に、無線子機からの第2通知電文に記載されている電波受信強度の測定値を記憶する電波強度値記憶手段37と、環境適合性判断手段34又は電波強度値記憶手段37からの情報に基づいて新しい無線チャンネルを設定する新無線チャンネル設定手段35と、新無線チャンネル設定手段35が設定した新チャンネルを無線送受信ユニット11によって無線子機に通知するための設定電文を作成する設定電文作成手段36を有する。無線子機のCPU20は、更に、当該無線子機が無線チャンネルが不適合であると判定したときのその無線チャンネルを記載した第1通知電文を作成する第1通知電文作成手段38と、不適合な無線チャンネルとともに設定可能な全ての無線チャンネルの受信強度の測定値を記述した第2通知電文を作成する第2通知電文作成手段39を有している。両通知電文作成手段38,39が作成した通知電文は、無線送受信ユニット19によって無線親機に通知される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態にかかる無線テレメータシステムのシステム図である。
【図2】本発明の実施形態にかかる無線親機と無線子機のブロック図である。
【図3】本発明の実施形態にかかる無線親機及び無線子機の無線における対環境性を判断するフロー図である。
【図4】本発明の実施形態にかかる無線子機から無線親機へ無線の対環境性を通知する電文フォーマットを示す図である。
【図5】本発明の実施形態にかかる無線親機から無線子機へ無線チャンネル変更を通知する電文フォーマットを示す図である。
【図6】本発明の実施形態にかかる無線子機から無線親機へ無線の対環境性を詳細に通知する電文フォーマットを示す図である。
【図7】無線の受信強度を示すデータ例1である。
【図8】無線の受信強度を示すデータ例2である。
【図9】無線の受信強度を示すデータ例3である。
【図10】本発明の実施形態にかかる無線親機と無線子機のCPUのブロック図である。
【符号の説明】
【0034】
1 ホストコンピュータ 2 センター網制御装置
3 電話回線 4 端末網制御装置
5 親機 6 子機
7 メータ
10 アンテナ 11 無線通信ユニット
12 CPU(中央処理装置)
13 端末網制御装置と接続のためのI/F(インターフェース)
14 ROM(リードオンリーメモリ)
15 RAM(ランダムアクセスメモリ)
16 電池
17 不揮発性メモリ
18 アンテナ
19 無線通信ユニット
20 CPU(中央処理装置)
21 メ−タやセンサーと接続のためのI/F(インターフェース)
22 ROM(リードオンリーメモリ)
23 RAM(ランダムアクセスメモリ)
24 電池
25 不揮発性メモリ
30 チャンネル確認手段 31 受信動作判定手段
32 データ読み取り不可発生回数計数手段 33 発生回数記憶手段
34 環境適合性判断手段 37 電波強度値記憶手段
35 新無線チャンネル設定手段 36 設定電文作成手段
38 第1通知電文作成手段 39第2通知電文作成手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センター網制御装置に電話網を介して接続された端末網制御装置と、前記端末網制御装置に有線接続された無線親機と、無線子機に有線接続されたメータとによって構成され、前記無線親機と前記無線子機は特定小電力無線方式の無線通信を行い、無線通信の待機時に省電力のために間欠的な受信動作を行う無線テレメータシステムにおいて、
前記無線親機又は前記無線子機は、前記待機時に、目的の無線チャンネルの電波を確認し、当該無線チャンネルでの前記受信動作で正しくデータを読み取れなかった状況が発生した場合の当該状況の発生回数を記憶し、記憶された前記発生回数に基づいて前記無線チャンネルが設置場所として環境的に適合しているかを所定間隔毎に判断することを特徴とする無線テレメータシステム。
【請求項2】
前記無線子機は、ある特定の前記無線チャンネルを不適合であると判断した場合、当該無線チャンネルが不適合である旨を記述した第1通知電文を生成し、当該第1通知電文を前記無線親機に送信することを特徴とする請求項1に記載の無線テレメータシステム。
【請求項3】
前記無線親機は、前記無線子機からの前記第1通知電文を受信することに応じて、設定可能な全無線チャンネルから不適合とされた当該無線チャンネルを除き、前記無線通信のための新たな無線チャンネルの設定を行うと共に当該設定内容を記述した設定電文を生成し、当該設定電文を全ての前記無線子機に送信することを特徴とする請求項2に記載の無線テレメータシステム。
【請求項4】
前記無線子機は、ある特定の前記無線チャンネルを不適合であると判断した場合、当該無線チャンネルが不適合である旨、及び設定可能な全ての前記無線チャンネルの受信強度を一定期間測定した測定値を記述した第2通知電文を生成し、当該第2通知電文を前記無線親機に送信することを特徴とする請求項1に記載の無線テレメータシステム。
【請求項5】
前記無線親機は、前記無線子機からの前記第2通知電文を受信することに応じて、設定可能な全無線チャンネルから不適合とされた当該無線チャンネルを除き、前記電波強度の前記測定値から電波の空き状態が最も多いものを前記無線通信のための新たな無線チャンネルに設定すると共に当該設定内容を記述した設定電文を生成し、当該設定電文を全ての前記無線子機に送信することを特徴とする請求項4に記載の無線テレメータシステム。
【請求項6】
前記無線親機は、前記無線子機からの前記第2通知電文を受信する度に電波強度値を随時記憶し、新たな無線チャンネルの設定が必要な場合には、今まで記憶された前記電波強度値を考慮した上で前記電波強度値から総合的に電波の空き状態が最も多いものを前記新無線チャンネルに設定すると共に当該設定内容を記述した設定電文を生成し、当該設定電文を全ての前記無線子機に送信することを特徴とする請求項4に記載の無線テレメータシステム。
【請求項7】
前記無線親機は、当該無線親機がある特定の前記無線チャンネルを不適合であると判断した場合、他の設定可能な前記無線チャンネルの電波強度を一定期間測定し、前記電波強度の測定値から電波の空き状態が最も多いものを前記無線通信のための新たな無線チャンネルに設定すると共に当該設定内容を記述した設定電文を生成し、当該設定電文を全ての前記無線子機に送信することを特徴とする請求項1に記載の無線テレメータシステム。
【請求項8】
前記無線親機は、当該無線親機がある特定の前記無線チャンネルを不適合であると判断した場合、前記各無線チャンネルの電波強度値を随時記憶し、新たな無線チャンネルの設定が必要な場合には、今まで記憶された前記電波強度値を考慮した上で前記電波強度値から総合的に電波の空き状態が最も多いものを前記新無線チャンネルに設定すると共に当該設定内容を記述した設定電文を生成し、当該設定電文を全ての前記無線子機に送信することを特徴とする請求項1に記載の無線テレメータシステム。
【請求項9】
センター網制御装置に電話網を介して接続された端末網制御装置と、前記端末網制御装置に有線接続された無線親機と、無線子機に有線接続されたメータとによって構成され、前記無線親機と前記無線子機は特定小電力無線方式の無線通信を行い、無線通信の待機時に省電力のために間欠的な受信動作を行う無線テレメータシステムにおいて、
前記無線親機又は前記無線子機は、前記待機時にあるときに目的の無線チャンネルの電波を確認するチャンネル確認手段、当該無線チャンネルで正しくデータを読み取れるか否かを判定する受信動作判定手段、前記データを読み取れなかった状況の発生回数を記憶する発生回数記憶手段、及び所定間隔毎に作動し且つ記憶された前記発生回数に基づいて前記無線チャンネルが設置場所として環境的に適合しているかを判断する適合性判断手段、を備えた制御手段を有することを特徴とする無線テレメータシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−205952(P2008−205952A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−41231(P2007−41231)
【出願日】平成19年2月21日(2007.2.21)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【出願人】(504454989)エヌ・ティ・ティテレコン株式会社 (16)
【Fターム(参考)】