説明

独泡ウレタンシートの製造方法及び防水シーリング材

【課題】本発明は、従来と比べて低密度の独泡ウレタンシートの製造方法及び独泡ウレタンシートを得ることを課題とする。
【解決手段】液状ウレタン原料2に熱膨張マイクロカプセルを配合した後、この液状ウレタン原料2を上下面に配置させた該離型性基材1a,1b上にシート状に塗布する工程と、塗布されたシート状の液状ウレタン原料2を表裏両面より加熱により発泡硬化して独泡ウレタンシート3を形成する工程を具備することを特徴とする独泡ウレタンシートの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独泡ウレタンシートの製造方法、及び例えば自動車のテールランプのシール部のような自動車分野、あるいは建築分野や家電分野等でシーリング材として利用される防水シーリング材に関する。
【背景技術】
【0002】
周知の如く、軟質ウレタンフォームは連続気泡であることが一般的である。また、独立気泡のウレタンフォームを得ようとしても、収縮し易く、収縮しないようにするにはウレタンの剛性を上げていき、収縮力に耐える方法しかない。しかし、この方法では硬質のウレタンフォームは得られるが、軟質のウレタンフォームは原理的に得られない。
【0003】
従来、ウレタンフォームに関する技術としては、例えば特許文献1〜3が知られている。
特許文献1には、特定のポリオール化合物と多官能イソシアネート化合物、整泡剤を添加して非反応性気体の存在下で攪拌し、メレンゲ状態の気泡分散液を得た後硬化させる技術が開示されている。特許文献1は、衝撃吸収性とクッション性に優れ、底着き感の無い軟質ポリウレタンフォームを提供することを目的とする。しかし、この技術では、機械的攪拌により気泡を混入させる方法であるため、密度は実施例1に記載のように0.85g/cmと高く、低密度にすることができない。
【0004】
特許文献2には、特定のポリプロピレングリコールに特定の溶解性を有するガスを溶解させて得られるポリウレタンフォームの製造方法について開示されている。しかし、特許文献2の場合、ポリウレタンフォームの平均密度が0.6〜1.0g/cmと低密度にならない。
【0005】
特許文献3には、液状ポリウレタンプレポリマーと水とを含むポリウレタン組成物2於いて、熱膨張性マイクロカプセルを配合したことを特徴とするポリウレタンフォーム組成物について開示されている。特許文献3は、低硬度で耐摩耗性に優れたウレタンフォームを得ることを目的とし、用途として、紙葉搬送ロールが挙げられている。
特許文献3において、熱膨張性マイクロカプセルを液状ウレタン原料に配合し発泡することは容易に考えつくことである。しかし、熱膨張マイクロカプセルは熱により表面から発泡するため、表面近傍と中心部の発泡が不均一で発泡性が悪い事が発明者によっても指摘されている。
【特許文献1】特開2005−264048号公報
【特許文献2】特開2006−206793号公報
【特許文献3】特開平6−199978号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上述した課題を解決するためなされたもので、従来と比べて低密度の独泡ウレタンシートの製造方法及び防水シーリング材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る独泡ウレタンシートの製造方法は、液状ウレタン原料に熱膨張マイクロカプセルを配合した後、この液状ウレタン原料を少なくとも片側に配置した離型性基材上にシート状に塗布する工程と、塗布されたシート状の液状ウレタン原料を表裏両面より加熱により発泡硬化してウレタンシートを形成する工程を具備することを特徴とする。
【0008】
本発明に係る防水シーリング材は、熱膨張マイクロカプセルを配合した液状ウレタン原料を発泡・硬化したシート状独泡ウレタンからなる防水シーリング材であって、少なくとも片側にスキン層が形成され接触角が90度以上であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、従来と比べて低密度の独泡ウレタンシートの製造方法及び防水シーリング材が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明について更に詳しく説明する。
本発明において、独泡ウレタンシートは本質的に独立気泡と連続気泡の混在したものであるが、その独泡率が少なくとも5%以上であれば、独泡ウレタンシートの物性値である止水性や透湿性が向上し、効果がある。従って、本発明では、独泡率5%以上のウレタンシートを独泡ウレタンシートと定義する。また、液状ウレタン原料に配合する熱膨張マイクロカプセルの添加量は、使用するポリオールに対し5部〜30部が好ましい。ここで、添加量が5部未満では製品の密度の低下効果が少なく、独泡率の向上に対し寄与も少ない。また、添加量が30部を超えると、製品の強度の低下や硬さの上昇があると同時に、経済的にも好ましくない。更に、ウレタンシートの厚みは好ましくは0.1mm〜30mmである。ここで、厚みを0.1mm未満にするには技術的な困難を伴うことから、0.1mmを下限値としている。また、マイクロカプセルは熱によりシート状表面より発泡し、その発泡層ができると、該発泡層が断熱層になるため、ある厚み以上になると効率的に発泡し得ない。従って、30mmを上限値としている。
【0011】
本発明において、液状ウレタン原料はポリオール、イソシアナート又はイソシアナート末端プレポリマー、発泡剤、触媒、架橋剤などからなり、これらを混合することでウレタン発泡体が製造できる。
使用できるポリオールとしては、多価ヒドロキシ化合物やポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリマーポリオール類、ポリエーテルエステルポリオール類、ポリエーテルポリアミン類、ポリエステルポリアミン類、アルキレンポリオール類、ウレア分散ポリオール類、メラミン変性ポリオール類、ポリカーボネートポリオール類、アクリルポリオール類、ポリブタジエンポリオール類、ダイマー酸系ポリオール類、ひまし油系ポリオール類、オレフィン系ポリオール類、フェノール変性ポリオール類など公知のポリオールの一種又は複数種を用いることができる。
【0012】
また、ポリオールは、一分子中の官能基数が2〜8、分子量が800〜12000のものを用いることが好ましい。ここで、官能基数が2より少ないとポリウレタンフォームの成形が困難となる場合があり、官能基数が8より多いと得られるポリウレタンフォームの引張り伸びなどの物性が極端に低下するようになる。また、分子量が800より小さいと得られるポリウレタンフォームの弾性が失われ、分子量が12000より大きくなると粘度が高く発泡が困難となってポリウレタンフォームの成形が困難となる。
【0013】
ポリイソシアネートとしては、MDI系ポリイソシアネートの他、TDI(トリレンジ
イソシアネート)、TODI(トリジンジイソシアネート)、NDI(ナフタリンジイソ
シアネート)などの芳香族系ポリイソシアネート、HDI(HMDI)(ヘキサメチレン
ジイソシアネート)、IPDI(イソホロンジイソシアネート)、XDI(キシリレンジ
イソシアネート)、水添XDIなどの脂肪族系ポリイソシアネートを用いることができる。
更に、ポリオールとポリイソシアナートを予め反応させたイソシアナート末端プレポリマーも使用できる。
【0014】
ポリイソシアネートとポリオールとの混合比は、NCO/OH(インデックス)が0.8〜1.4の範囲となるようにするのが望ましい。インデックスが0.8未満では、得られるポリウレタンフォームの止水性や永久歪みなどの物性が低下し、1.4を越えると架橋反応が進み過ぎて成形性が低下する。
【0015】
また、本発明においては、従来の製造方法と同様に、触媒、架橋剤、整泡剤、鎖伸長剤、
減粘剤などの添加物を適宜に配合することができる。
触媒としては、公知のアミン系触媒や有機金属系触媒を用いることができ、具体的にはビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、トリエチレンジアミン、N−メチル−N’−(ジメチルアミノ)エチルピペラジン、N−メチルモノフォリン、N−エチルモノフォリン、トリエチルアミン、ラウリン酸錫、オクタン酸錫などが例示される。この触媒の添加量は、ポリオール成分100重量部に対して一般に0.01〜5重量部程度である。
【0016】
架橋剤としては、比較的低分子量のものが用いられ、例えばジオールやトリオール,多
価アミン、又はこれらにエチレンオキシド、プロピレンオキシドを付加したもの、トリエ
タノールアミン、ジエタノールアミンなどを用いることができる。架橋剤の添加量は、ポ
リオール成分100重量部に対して一般に0〜0重量部程度である。整泡剤としては、一般に用いられているシリコーン系整泡剤を適宜用いることができる。なお、ポリウレタンフォームに要求される性能に応じて、難燃剤、充填材、帯電防止剤、着色剤、安定剤などを必要に応じて本発明の目的を逸脱しない範囲で添加することができる。
【0017】
ウレタン発泡体の接触角を高めたり疎水性原料を用いて得られるウレタン発泡体が止水性を発現することは、特公昭59−37036号公報、特公昭58−17784号公報などに開示されている。本発明においては、熱膨張マイクロカプセルを配合すると同時に接触角を90度以上とした疎水性ウレタンにすることで独立気泡が付加されるために止水性や耐透湿性が大幅に向上する。従来公知のウレタン発泡系のシーリング材は連続気泡であるが、疎水性が高いため止水性を発現するが、連続気泡であるがために例えば自動車のテールランプのシール部にこのシーリング材を施工すると、透湿性が高いため内部に湿度が進入し結露が発生しガラスを曇らすとの恐れがあるが、このような用途に独泡の防水シーリング材を用いるとそのような問題が解消される事より独立気泡のシーリング材が望まれていた。このように接触角90度以上のウレタン、つまり疎水性ウレタンにする方法としては、例えば疎水性オイルの添加として、アスファルト、粘着付与樹脂、石油樹脂、ポリブテン、ワックスなどの疎水性防水付与材を添加する方法や、疎水性ポリオールとしてオレフィン系ポリオール、ポリブタジエン系ポリオールやダイマー酸系ポリオール、ひまし油系ポリオールのような分子骨格が主に炭素と水素から成る疎水性ポリオールを用いる方法、整泡剤として分子中にOH基、アミノ基などのイソシアナートと反応する官能基を有するシリコーン化合物や官能基を持たないシリコーンオイル、あるいはフッ素系整泡剤などを用いる方法、イソシアナートとしてジフェニルメタンジイソシアナートのような芳香環を多く有するイソシアナートを大量に用いる方法などが挙げられる。
【0018】
本発明において、熱膨張性マイクロカプセルは、加熱することで膨張する液体や気体で、例えばプロパン、ブテン、ノルマルブタン、イソブタン、イソペンタン、ノルマルペンタン、ヘキサン、メチレンクロライド、フロン類などを合成樹脂カプセルに内包させたものである。合成樹脂としては、アクリルニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニリデンなどの共重合体が挙げられる。それ以外に、発泡ビーズとして知られているスチレン樹脂に炭酸ガスを含浸したスチレンビーズやポリプロピレンビーズ、ポリエチレンビーズなども膨張性マイクロカプセルとして好適である。
【0019】
本発明において、離型性基材上に液状ウレタン原料をシート状に塗布する方法は、離型紙やポリエステルフィルムの表面にシリコーン樹脂をコーティングしたものや、ポリプロピレンやポリメチルペンテンのようにそれ自体が離型性を持った樹脂のフィルムの上に塗布するものである。また、液状ウレタン原料は離型性基材の片面に形成してもよいし、あるいは液状ウレタン原料を上下面から挟むように離型性基材を配置してもよい。液状ウレタン原料の片面にのみ離型性基材を配置する場合、反対面にはPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムが接着されているケースが多い。また、液状ウレタン原料の両面に離型性基材を配置する場合、一方の面には原料側から順にPETフィルム、接着剤を順次介して離型性基材が配置するケースが多い。この場合、PETフィルム、接着剤及び離型性基材は粘着テープを形成している。
液状ウレタン原料を塗布する方法としては、例えばロールコーターやナイフコーター、ダイスコーター、スプレーコーターが好適な手段として挙げられる。
【0020】
本発明において、独泡ウレタンシートは例えば図1(A)〜(D)に示すように製造する。
まず、ポリオール、イソシアネート、触媒、熱膨張性マイクロカプセル及び他の添加剤を混合し、液状ウレタン原料を準備する。次に、図1(A)に示すように、離型性基材としての第1のフィルム1a上に液状ウレタン原料2を均一に塗布する。つづいて、液状ウレタン原料2の上に第2のフィルム1bを載せる(図1(B)参照)。更に、第1・第2のフィルム1a,1bで挟まれた状態の液状ウレタン原料を、オーブンに入れ、60℃〜130℃に加熱する。これにより、発泡と樹脂化が進行し、独泡ウレタンシート3が形成される。ひきつづき、第1・第2のフィルム1a,1bに挟まれた状態の独泡ウレタンシート3を取り出した後、第1・第2のフィルム1a,1bを剥離し、上下面にスキン層4が形成された製品を得る(図1(C)参照)。
なお、図1では、第1・第2のフィルム1a,1bを剥離した場合について述べたが、これに限らず、図2に示すように、第2のフィルム1bのみを剥し第1のフィルム1aを残してもよい。この場合、片面にスキン層4を有する独泡ウレタンシート3と第1のフィルム1aの一体品となる。また、本発明は、図示しないが、両面に第1・第2のフィルムを有する独泡ウレタンシートにも及ぶ。
【0021】
本発明において、液状ウレタン原料中に補助発泡剤を更に含有させることが好ましい。これにより、熱膨張性マイクロカプセルのみを用いた場合と比較して、更に平滑な形状の整った独泡ウレタンシートが得られる。この理由は、補助発泡剤が熱膨張マイクロカプセルより平行して2次元的厚み方向に発泡し、ついでマイクロカプセルが補助発泡剤による気泡の中で膨張し、主として厚み方向のみ膨張するためと推測される。
【0022】
補助発泡剤としては、通常のウレタンフォームを製造する時に用いる発泡剤で、例えば水や低沸点炭化水素、フロロカーボン化合物、塩素系化合物等揮発性の有機物が挙げられる。
【0023】
本発明において、熱膨張性マイクロカプセルを含有したウレタン原料は離型性基材の上に塗布された後、加熱装置に導入され60℃〜130℃に加熱され、ウレタンの硬化と同時にマイクロカプセルの膨張が進行する。補助発泡剤を用いる場合は、加熱と同時に補助発泡剤による発泡が進行し、マイクロカプセルの膨張がやや遅れて進行するものと推定される。
【0024】
以下に実施例、比較例を示すが、本発明は特に本実施例に限定されるものではない。また、文中、「部」は質量基準であるものとする。
(実施例1)
エクセノール4600(旭硝子社製の商品名、分子量5000で水酸基価34.5のポリプロピレングリコール)100部、FTR1600(三井化学社製の商品名で石油樹脂)15部、水0.9部、NP−405(信越化学社製の商品名でシリコーン整泡剤)1部、スタノクトSO(錫系触媒)0.3部、T65(日本ポリウレタン社製の商品名でトルエンジイソシアナート)15.88部よりなる補助発泡剤を含有した液状ウレタン原料に、エクスパンセルDU40(日本フィライト社製の商品名で膨張マイクロカプセル)10部を配合して液温35℃にて攪拌した。次に、マイクロカプセルを含有した液状ウレタン原料をポリエステル系離型フィルム上に1.8mmの隙間を設けたナイフコーターを用いてコーティングした。つづいて、加熱オーブン中で70℃で3.5分加熱後、130℃で6.5分加熱した後、独泡ウレタンシート(シート状ウレタン製品)を前記離型フィルムから剥離した。得られた製品の接触角は95度で、密度0.0677g/cm、独泡率15%の厚み約10mmの極めて平滑な表面を持った製品であった。なお、透湿性は3gで、止水性は12cmであった。
【0025】
(比較例1)
膨張マイクロカプセルを除き、発泡剤の水を2.4部、前記T65を31.2部用いた以外、実施例1と同様な液状ウレタン原料にてシート状ウレタン製品を得た。得られた製品の接触角は95度、密度は0.06g/cm,独泡率は0%以下で、透湿性は5gと高く、止水性は6cmと低めであった。
【0026】
(実施例2)
ダイマー酸ポリエステルポリオール(日立化成ポリマー社製の商品名:テスラック2456、OH価130)100部、ポリブテンLV15(新日石ポリマーの商品名)10部、水0.9部、シリコン整泡剤(信越化学社製の商品名:NP405)1.5部、アミン触媒(日本乳化剤社製の商品名:DABCO−33LV)0.2部、スタノクトSOを0.25部、T65を30部、エクスパンセルDU40を10部夫々配合し、実施例1と同様にシート状ウレタン製品を得た。得られた製品の物性値は下記表1に示すとおりである。
【0027】
(実施例3,4)
実施例3,4においては、エクスパンセルDU40を夫々20部,30部とした以外、実施例2と同様にした。得られた製品の物性値は表1に示すとおりで、マイクロカプセルの添加部数と共に密度が低下し、独泡率は向上、止水性は密度が低下しても変化無く、透湿性も低い値であった。
【0028】
(比較例2)
密度をあわせるため、水部数を1.6部、T65を37.4部でマイクロカプセルを配合しない以外は、実施例2と同様な方法でシート状ウレタン製品を得た。比較例2で得られた製品の物性値は、上記実施例1〜4及び比較例1とともに下記表1に示す。比較例2の場合、独泡率は0で、止水性及び透湿性は同一密度で比較すると劣るものであった。
【表1】

【0029】
(実施例5〜9)
実施例2の配合で塗布厚みを変化させて異なる厚みのシート状ウレタン製品を得た。塗布厚みが高くなりすぎると、得られる製品の密度が高くなることが明らかである。製品厚みがおよそ30mmを超えると、発泡体の密度が上昇してくる。これは、マイクロカプセルがシート状表面より発泡し、発泡層ができるとそれが断熱層になり、ある厚み以上になると効率的に発泡しえないためと考えられる。下記表2に実施例5〜9における塗布厚み、製品厚み及び密度との関係を示す。
【表2】

【0030】
なお、上記実施例及び比較例において、接触角、独泡率、透湿性及び止水性は、次のようにして測定した。
接触角:接触角は、得られたウレタンフォームをアルミフォイルで挟み、約200℃で加熱しつつ圧力約50kg/cmにてプレスして薄いフィルム状にして、協和接触角測定器で測定した。
独泡率:独泡率は、ASTMD2856−70により、サンプルサイズ25mm×25mm×10mmの試験片を、東京サイエンス社製のベックマン空気比較式比重計にて測定した。
【0031】
透湿性:透湿性は、サンプルサイズが外径φ75mm,内径φ35.5mm,厚み10mmの試験片を標準瓶に50%圧縮してセットし、瓶の中にシリカゲルを約45g正確に秤量し、温度85℃,湿度85%の恒温恒湿槽に24時間放置し、重量増加量を透湿性とした。
止水性:止水性は、サンプルサイズが外径φ60mm,内径φ40mm,厚み10mmの試験片をアクリル板に50%圧縮にて圧締し注水し漏れを観察する。24時間ごとに20mmずつ水圧を上げていき、漏れた水圧を止水性とした。
【0032】
上述したように、本発明によれば、液状ウレタン原料に熱膨張性マイクロカプセルを配合することにより、従来得られなかった低密度で形状の整った独泡ウレタンシートが得られる。また、透湿性が低く、止水性の高い防水性を有した独泡ウレタンシートが得られる。更に、補助発泡剤を熱膨張性マイクロカプセルと併用することにより、いっそう平滑で形状の整った独泡ウレタンシートが得られる。
【0033】
なお、この発明は、上記実施例そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施例に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施例に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る独泡ウレタンシートの製造方法を工程順に示す断面図を示す。
【図2】本発明に係る片面にスキン層を有する独泡ウレタンシートの断面図を示す。
【符号の説明】
【0035】
1a…第1のフィルム(離型性基材)、1b…第2のフィルム(離型性基材)、2…液状ウレタン原料、3…独泡ウレタンシート、4…スキン層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状ウレタン原料に熱膨張マイクロカプセルを配合した後、この液状ウレタン原料を少なくとも片側に配置した離型性基材上にシート状に塗布する工程と、塗布されたシート状の液状ウレタン原料を表裏両面より加熱により発泡硬化してウレタンシートを形成する工程を具備することを特徴とする独泡ウレタンシートの製造方法。
【請求項2】
液状ウレタン原料中に熱膨張マイクロカプセルの他、補助発泡剤を含有したことを特徴とする請求項1記載の独泡ウレタンシートの製造方法。
【請求項3】
熱膨張マイクロカプセルを配合した液状ウレタン原料を発泡・硬化したシート状独泡ウレタンからなる防水シーリング材であって、少なくとも片側にスキン層が形成され接触角が90度以上であることを特徴とする防水シーリング材。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−37353(P2010−37353A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−198043(P2008−198043)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000004640)日本発條株式会社 (1,048)
【Fターム(参考)】