説明

玉型形状測定装置

【課題】測定子の測定モードを兼用させて、測定子の寿命を測定するとともに、作業者に交換を知らせるようにした玉型形状測定装置を提供すること。
【解決手段】演算制御回路52は、測定機構1dを作動制御して測定子(玉型用測定子36,レンズ枠用測定子37)を基準測定部に当接させたときに、位置検出装置(リニアスケール24)から出力される位置検出信号から測定子(玉型用測定子36,レンズ枠用測定子37)の移動位置を求めて、求めた移動位置の設定移動位置に対するズレ量を求め、ズレ量が所定範囲を超えているか否かにより測定子(玉型用測定子36,レンズ枠用測定子37)の測定子状態を検知するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼鏡フレーム(眼鏡枠)のレンズ枠に設けられたレンズ枠溝に当接する測定子(フィーラ)を用いて、レンズ枠の形状又はデモレンズやパターン(型板)の形状を玉型形状として測定するための玉型形状測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば特許文献1に示すように、測定子を用いてレンズ枠の形状又はパターン(型板)の形状を測定するための玉型形状測定装置が公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−122407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、測定子が曲がっているかどうかは、作業者の目視によっていた。そのため、測定子によるレンズ枠形状又はパターン(型板)形状の正確な値が得られず、装置全体の製造誤差によるものか、測定子によるものなのか、原因が分からず、測定子を交換すべきなのか混乱してしまうことがあった。
【0005】
そこで、本発明では、測定子の測定モードを兼用させて、測定子の寿命を測定するとともに、作業者に交換を知らせるようにした玉型形状測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するため、この発明は、玉型を保持させる玉型保持装置と、前記玉型保持装置に保持された玉型の周面に当接させられる測定子と、前記測定子を前記玉型の周面に当接させながら周方向に移動させる測定子駆動装置と、前記測定子の移動位置を検出して位置検出信号を出力する位置検出装置と、前記測定子駆動装置を作動制御する演算制御回路を備えると共に、前記演算制御回路は前記位置検出装置で検出された前記測定子の移動位置から前記玉型の形状を玉型形状情報(θi,ρi)として求める玉型形状測定装置において、前記玉型保持装置に基準測定部が設けられていると共に、前記演算制御回路は、前記測定子駆動装置を作動制御して前記測定子を前記基準測定部に当接させたときに、前記位置検出装置から出力される前記位置検出信号から前記測定子の移動位置を求めて、前記求めた移動位置の設定移動位置に対するズレ量を求め、前記ズレ量が所定範囲を超えているか否かにより前記測定子の測定子状態を検知する玉型形状測定装置としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
以上により、測定子の測定モードを兼用させて、測定子の状態(曲がり具合
、強度などの寿命)を測定させることができるので、新たに検知手段を設ける
必要はなく、製造コストが安くあがり、測定値のばらつきにより、装置全体の
製造誤差によるものか、測定子によるものなのか、原因を明確にさせることが
できる。また、交換の時期も作業者に交換を知らせることができるので、常に
正確なレンズ枠形状又はパターン(型板)形状の測定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明にかかる玉型形状測定装置の部分概略斜視図である。
【図2】図1の玉型形状測定装置の測定機構の斜視図である。
【図3】図2の測定機構の正面図である。
【図4】図2の測定機構の背面図である。
【図5】図4の測定機構の右側面図である。
【図5A】図2の測定機構の回転ベースの駆動手段を示す模式図である。
【図5B】図2のスライダ駆動機構を説明するための模式図である。
【図5C】図5Bの平面図である。
【図5D】図2のスライダの原点検出手段の概略説明図である。
【図6】図2の測定子の昇降機構を示す斜視図である。
【図7】図6の昇降機構によるレンズ枠の測定のための説明図である。
【図8】図7の左側面図である。
【図9】図1に示した玉型用測定子の部分拡大斜視図である。
【図10】図9の側面図である。
【図10A】図1に示した玉型形状測定装置の制御回路図である。
【図11】図6の測定子の昇降機構の作用を説明する斜視図である。
【図12】図11の昇降機構によるレンズ枠の測定のための説明図である。
【図13】図11の昇降機構のリニアスケールの説明図である。
【図14】図13の右側面図である。
【図15】図6の測定子の昇降機構の作用を説明する斜視図である。
【図16】図15の昇降機構によるレンズ枠の測定のための説明図である。
【図17】図16の左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0010】
[構成]
図1はこの発明に係る玉型形状測定装置の要部構成を示しており、この玉型形状測定装置は測定装置本体1を有する。この測定装置本体1は、下部の測定機構収納用のケース部1aと、ケース部1aの上部に配設されたレンズ枠保持機構(玉型保持装置)1bを有する。そして、図1のケース部1a内の底部には図2に示したベース2が設けられている。
【0011】
また、レンズ枠保持機構1bは、ケース部に固定された一対の平行なガイドロッド(ガイド部材)1c,1cを有する。しかも、このガイド部材1c,1cにはスライド枠3,3が相対接近・離反可能に保持されている。このスライド枠3,3は、図示しないコイルスプリング等で互いに接近する方向にバネ付勢されている。このスライド枠3,3は、互いに対向させられていてメガネ(眼鏡)のレンズ枠(図示せず)が当接させられる縦壁3a,3aを有すると共に、このレンズ枠を保持させるレンズ枠保持手段3bを有する。
【0012】
このレンズ枠保持手段3bは、縦壁3aから突出する下部側の保持棒(固定保持棒)3b1と、保持棒3b1に対して上側から開閉可能にスライド枠3に取り付けられた上側の保持棒(可動保持棒)3b2を有する。このレンズ枠保持手段3bは、図示しないメガネの左右のレンズ枠に対してそれぞれ設けられる。尚、このようなレンズ枠保持機構1bとしては、例えば特開平10−328992号公報等に開示された構成、又はその他周知の技術を採用できる。従って、レンズ枠保持機構1bの詳細な説明は省略する。
<測定機構1d>
また、ベース2上には図2〜図5Aに示したような測定機構(測定子移動装置)1dが設けられている。この測定機構1dは、ベース2上に固定されたベース支持部材4を有する。このベース支持部材4には大径の従動ギヤ5が鉛直軸を中心に水平回転自在に取り付けられている。また、ベース2には、図5Aに模式的に示した駆動モータ6が従動ギヤ(タイミングギヤ)5に隣接して取り付けられている。この駆動モータ6の出力軸6aにはピニオン(タイミングギヤ)7が固定され、このピニオン7と従動ギヤ5にはタイミングベルト8が掛け渡されている。
【0013】
そして、駆動モータ6を作動させると、駆動モータ6の出力軸6aの回転がピニオン7及びタイミングベルト8を介して従動ギヤ5に伝達されて、従動ギヤ5が回転させられるようになっている。尚、駆動モータ6には2相ステッピングモータが用いられている。
【0014】
更に、図2〜図5に示したように、従動ギヤ5上には回転ベース9が一体に固定されている。この回転ベース9には、原点検出装置(原点検出手段)としてのフォトセンサ9aが取り付けられている。この場合、例えば、ベース2上に、原点位置指示用の発光手段9bを配設しておいて、この発光手段9bから線状又は点状の光束を原点マークとして上方に向けて照射し、この原点マークとしての光束をフォトセンサ9aが検出したときに、回転ベース9の水平回転の原点位置とすることができる。
【0015】
尚、原点検出装置としては、透過型のフォトセンサや反射型のフォトセンサ或いは近接センサ等の周知の技術を採用することができる。
【0016】
更に、回転ベース9の長手方向両端部には、図2〜図4に示したように、上下に延び且つ互いに対向する平行なレール取付板10,11が一体に固定され、図3に示したようにレール取付板10の一側部とレール取付板11の一側部には側板12の長手方向端部がそれぞれ固定され、図4に示したようにレール取付板10の他側部とレール取付板11の他側部には側板13の長手方向端部がそれぞれ固定されている。
【0017】
また、図2〜図4に示したように、対向するレール取付板10,11の上部間には互いに平行で且つ軸状の一対のガイドレール14,14が水平に配設されている。この各ガイドレール14の両端部はレール取付板10,11に固定されていて、ガイドレール14,14にはスライダ15が長手方向に進退移動可能に保持されている。
【0018】
更に、側板12には、図2,図3に示したように、レール取付板10に近接させて側方に水平に突出するプーリ支持板部12aが折曲により一体に形成されていると共に、レール取付板11に近接させてモータ取付用のブラケット16が固定されている。
【0019】
そして、プーリ支持板部12aには従動プーリ17が上下に延びる軸線を中心に水平回転自在に取り付けられ、ブラケット16にはスライダ移動用の駆動モータ18の上端部が固定されている。この駆動モータ18にはDCモータが用いられている。また、この駆動モータ18は出力軸18aの軸線が上下に向けられていて、この出力軸18aには図5B,図5Cに示すように駆動プーリ19が取り付けられている。
【0020】
このプーリ17,19には環状のワイヤ20が掛け渡され、このワイヤ20の一端部近傍の部分は軸状のワイヤ保持部材21に保持されている。このワイヤ保持部材21はブラケット22,22'を介してスライダ15に固定されている。また、ワイヤ20の両端部はコイルスプリング23を介して連結されている。これにより、駆動モータ18を正転又は逆転させると、出力軸18a及び駆動プーリ19が正転又は逆転させられて、スライダ15が図3中左又は右に移動させられるようになっている。
【0021】
また、ブラケット22'と側板12との間には、図5Dに示したように、スライダ15の移動位置(移動量)の原点を検出するための原点センサ(原点検出手段)20aが介装されている。この原点センサ20aには反射型のセンサを用いている。このセンサは、上下に延びるスリット状の反射面(図示せず)が設けられた反射板20bを有すると共に、発光素子と受光素子を備えた反射型のフォトセンサ20cを有する。そして、反射板20bはブラケット22'に設けられ、フォトセンサ20cは側板12に設けられている。
【0022】
尚、原点センサ20aとしては、透過型のフォトセンサや近接センサ等の周知の技術を採用することができる。
【0023】
また、図4の側板13の長手方向中央部には、側方に水平に突出する支持板部13aが一体に折曲により形成されている。この側板13とスライダ15との間には、図4に示したように、ガイドレール14の延びる方向へのスライダ15の水平方向の移動位置を検出するリニアスケール(位置測定手段すなわち位置検出装置)24が動径検出センサ(動径検出手段すなわち動径検出装置)として介装されている。
【0024】
このリニアスケール24は、ガイドレール14と平行にスライダ15に保持された軸状のメインスケール25と、支持板部13aに固定されてメインスケール25の位置情報を読み取る検出ヘッド26を備えている。この検出ヘッド26は、メインスケール25の位置検出用情報(移動量検出用情報)からスライダ15の水平方向への移動位置を検出するようになっている。このリニアスケール24には、例えば周知の磁気式のものや光学式のものを用いることができる。
【0025】
例えば、磁気式の場合、メインスケール25に軸線方向に磁極S,Nの磁気パターンを位置検出用情報(移動量検出用情報)として交互に微小間隔で設けておいて、この磁気パターンを検出ヘッド(磁気変化検出用ヘッド)26で検出することにより、スライダ15の移動量(移動位置)を検出できる。また、光学式の場合、メインスケール25を板状に形成し且つこのメインスケール25に長手方向に微小間隔のスリットを設け、メインスケール25を挟むように発光素子と受光素子を配設すると共に、発光素子からの光をメインスケール25のスリットを介して受光素子により検出して、スリットの数を求めることにより、スライダ15の移動量(移動位置)を検出できる。
【0026】
また、スライダ15の略中央部には図2に示したように貫通孔15aが形成され、この貫通孔15aには上下に延びるガイド筒27が挿通されている。このスライダ15の下方には、図4に示したように、支持枠28が配設されている。この支持枠28は、上端部がスライダ15に保持された縦フレーム29,30と、縦フレーム29,30の下端部に固定された横板(底板)31を備えている。
【0027】
この横板(底板)31には、上下に延び且つ互いに平行に設けられた軸状の一対の支持部材32,32の下端部が固定されている(図8参照)。この支持部材32,32の上端部には保持部材(連結部材)33が固定され、この保持部材33には側面形状をL字状に形成したガイド支持部材34の縦壁34aが固定されている。このガイド支持部材34の横壁(上壁)34b上にはガイド筒27の下端部が固定されている。
【0028】
そして、ガイド筒27には上下に延びる測定子軸35が上下動自在に嵌合保持され、測定子軸35の上端部には玉型用測定子(玉型用周縁形状測定子)36が一体に設けられている。この玉型用測定子36は、測定子軸35の上端部に垂直に取り付けられた取付部36aと、取付部36aから上方に延びる垂直部36bがL字状に形成されている。また、垂直部36bの背面36cは玉型用周縁形状測定のため、一定のRにて加工されている。この垂直部36bの上端部には取付部36aと平行にレンズ枠用測定子37が一体に設けられている。
【0029】
しかも、玉型用測定子36の上端には、図10に示したように、上方に突出する取付穴測定子38が一体に設けられている。この取付穴測定子38は、測定子軸35の軸線と平行に玉型用測定子36の垂直部36bの上端に一体に取り付けた軸部38aと、軸部38aの上端部に設けた半球38bを有する。この半球38bは、いろいろな取付穴径に対応するため、一般的な取付穴径(2.2φ)よりも大きな半球形状が望ましい。また、取付穴測定子38は前述のように玉型用測定子36と一体である必要はない。例えば、図9に示すように玉型用測定子36にネジ部36sを設けて、このネジ部36sを垂直部36bの上端部に螺着することにより、玉型用測定子36を垂直部36bの上端部に着脱可能に取り付けられるようにしても良い。
【0030】
また、図6〜図8に示したように、測定子軸35の下端部にはブラケット39が固定されている。しかも、図13に示したように、ブラケット39とガイド支持部材34との間には、上下方向の移動位置を検出するリニアスケール(位置測定手段)40が高さ検出センサ(高さ検出手段)として介装されている。
【0031】
このリニアスケール40は、上下に向けて測定子軸35と平行に配設された軸状のメインスケール41と、メインスケール41の上下方向への移動量から測定子37,38の上下方向への移動位置を検出する検出ヘッド42を備えている。このメインスケール41は、上端部が保持部材33に固定され且つ下端部がブラケット39に固定(又は保持)されている。また、検出ヘッド42は、保持部材33に保持されている。このリニアスケール40にも上述したリニアスケール24と同様な磁気式又は光学式のものを採用する。
【0032】
尚、図6〜図8に示したように、ブラケット39と横板(底板)31との間には測定子軸35を上方にバネ付勢するコイルスプリング43が介装されている。更に、測定子軸35の下端部近傍には、ブラケット39の上方に位置し且つ測定子軸35と直交する係合軸44が取り付けられている。また、横板(底板)31上には図6に示したようにU字状に形成したブラケット45が固定され、このブラケット45の対向壁45a,45aには支持軸46の両端部が軸線周りに回動可能に保持され、この支持軸46に押さえレバー47が固定されている。この押さえレバー47は係合軸44の上部に当接させられている。しかも、この押さえレバー47と横板31との間にはレバー引き下げ用の引張りコイルスプリング48が介装されている。この引張りコイルスプリング48の引張りバネ力は、コイルスプリング43のバネ力よりも大きく設定されている。
【0033】
また、支持軸46には、上昇位置規制レバー49が固定されている。この上昇位置規制レバー49は、押さえレバー47による係合軸44の上昇位置を規制して、測定子軸35及びレンズ枠用測定子37と玉型用測定子36の上昇位置を設定するのに用いられる。この上昇位置規制レバー49は押さえレバー47と同方向に延びている。
【0034】
そして、この上昇位置規制レバー49の下方にはアクチュエータモータ50が配設されている。このアクチュエータモータ50は、横板31上に固定されたモータ本体50aと、このモータ本体50aから上方に向けて突出し且つ軸線が測定子軸35と平行に設けられたシャフト51を有する。このシャフト51の上端には、上昇位置規制レバー49が引張りコイルスプリング48の引張りバネ力により当接させられている
尚、このアクチュエータモータ50にはパルスモータが用いられている。しかも、アクチュエータモータ50は、正転させることによりシャフト51が上方に進出し、逆転させることによりシャフト51が下方に移動するように成っている。
【0035】
尚、コイルスプリング43、支持軸46、押さえレバー47、引張りコイルスプリング48、上昇位置規制レバー49、アクチュエータモータ50等は、測定子37,36の昇降機構を構成している。
【0036】
<制御回路>
また、図10Aに示したように上述したフォトセンサ(原点検出手段)9aからの原点検出信号、フォトセンサ(原点検出手段)20cからの原点検出信号、リニアスケール24の検出ヘッド26からの移動量検出信号(位置検出信号)、及びリニアスケール40の検出ヘッド42からの移動量検出信号(位置検出信号)等は、演算制御回路(制御手段である制御回路)52に入力されるようになっている。また、この演算制御回路52は、駆動モータ6,18及びアクチュエータモータ50を作動制御するようになっている。
【0037】
また、スライド枠3,3の一方の側壁には、図1に示したようにホルダー検出手段53が設けられている。このホルダー検出手段53には、マイクロスイッチ等が用いられている。このホルダー検出手段53からの検出信号は、図10Aに示したように演算制御回路52に入力されるようになっている。図中、54は測定開始用のスタートスイッチである。尚、55は演算制御回路52に接続されたメモリである。
【0038】
更に、演算制御回路52には、測定子状態検査スイッチ52aが接続されている。
【0039】
[作用]
以下、このような玉型形状測定装置の作用を説明する。
(I).玉型形状の測定
(a).玉型形状であるレンズ枠形状の測定
この玉型形状測定装置でメガネのレンズ枠(型板)の玉型の形状測定を行う前には、アクチュエータモータ50のシャフト51の上端が図6〜図8に示したように最下端(下死点)に位置している。この位置では押さえレバー47が、コイルスプリング43よりもバネ力の強い引張りコイルスプリング48によって、支持軸46を中心に下方に回動するよう回動付勢されている。これにより押さえレバー47は、係合軸44を介して測定子軸35を下方に押し下げている。これにより、レンズ枠用測定子37及び玉型用測定子36は最下端に位置させられている。
【0040】
この状態の玉型形状測定装置でメガネのレンズ枠の形状測定を行う場合には、例えば特開平10−328992号公報におけるように、図7の左右のレンズ枠LF(RF)を有するメガネフレームMFを図1のスライド枠3,3間に配設し(図1ではメガネフレームMFの図示を省略)、レンズ枠LF(RF)を図7の如く保持棒3b1,3b2間で挟持させる。この保持は特開平10−328992号公報と同様である。
【0041】
また、この保持棒3b1,3b2間に保持されたレンズ枠LF(RF)は、図7に示したように測定開始前の状態ではレンズ枠用測定子37よりも上方に位置するように設定されている。即ち、レンズ枠用測定子37は、レンズ枠LF(RF)よりも下方の初期位置(イ)に位置させられている。しかも、図7に示したように、レンズ枠用測定子37及び取付穴測定子38は、保持棒3b1,3b2間に保持されたレンズ枠LF(RF)の略中央の初期位置(i)に対応するように位置させられる。
【0042】
この位置では、フォトセンサ9aが発光手段9bからの光束から回転ベース9の水平回転の原点を検出し、原点センサ20aがスライダ15の移動位置の原点を検出している状態となっている。
【0043】
尚、レンズ枠が三次元方向に湾曲していても、レンズ枠の保持棒3b1,3b2による保持部分は他の部分よりも最も低く設定した高さとなる。この保持部分では、レンズ枠LF(RF)のヤゲン溝Ymの高さも設定した高さとなり、レンズ枠の形状測定開始位置となる。
【0044】
この状態から図10Aのスタートスイッチ54をONさせると、演算制御回路52はアクチュエータモータ50を正転させて、図6〜図8の位置からシャフト51を図11〜図14の位置まで上方に所定量だけ進出(上昇)させる。この際、シャフト51は、上昇位置規制レバー49の自由端部を引張りコイルスプリング48のバネ力に抗して上方に所定量持ち上げて、上昇位置規制レバー49を支持軸46と一体に回動させる。
【0045】
これに伴い、押さえレバー47は、支持軸46と一体に回動して、自由端部が上方に所定量上昇させられる。この押さえレバー47の自由端部の上昇により、係合軸44がコイルスプリング43のバネ力により押さえレバー47の自由端部に追従して上昇させられ、測定子軸35が所定量上昇させられる。
【0046】
この測定子軸35の上昇量、即ちアクチュエータモータ50によるシャフト51の上方への進出(上昇)量は、レンズ枠用測定子37の先端が図7の初期位置(イ)から上述した形状測定開始位置のヤゲン溝Ymに臨む高さ(ロ)まで上昇する量Lとなる。
【0047】
そして、演算制御回路52は、駆動モータ18を駆動制御して駆動プーリ19を回転させ、図2,図5Bのワイヤー20によりスライダ15をガイドレール14に沿って移動させる。この際、スライダ15は図7の矢印A1方向に移動させられる。この移動は、レンズ枠用測定子37の先端が形状測定開始位置で図12の如くヤゲン溝Ymに当接させられるまで行われる。しかも、レンズ枠用測定子37の先端がヤゲン溝Ymに当接した状態では、レンズ枠用測定子37はヤゲン溝Ymにコイルスプリング23のバネ力で弾接させられる。この状態で、駆動モータ18が停止させられる。
【0048】
尚、レンズ枠用測定子37の先端がヤゲン溝Ymに当接したときには駆動モータ18にかかる負荷が増大して、駆動モータ18に流れる電流が増大するので、この電流変化を検出することで、レンズ枠用測定子37の先端がヤゲン溝Ymに当接したのを検出して、駆動モータ18を停止させることができる。
【0049】
この後、演算制御回路52は、更にアクチュエータモータ50を正転させて、図11〜図14の位置からシャフト51を図15〜図17の位置まで上方に所定量だけ進出(上昇)させる。この際、シャフト51は、上昇位置規制レバー49の自由端部を引張りコイルスプリング48のバネ力に抗して上方に所定量持ち上げて、上昇位置規制レバー49を支持軸46と一体に回動させる。
【0050】
これに伴い、押さえレバー47は、支持軸46と一体に回動して、自由端部が上方に所定量上昇させられ、この押さえレバー47の自由端部が係合軸44から所定量離反させられ、測定子軸35が上下変移可能となる。
【0051】
次に、演算制御回路52は、駆動モータ6を駆動制御して、駆動モータ6を正転させる。この駆動モータ6の回転は、ピニオン7,タイミングベルト8を介して従動ギヤ5に伝達され、従動ギヤ5が回転ベース9と一体に水平回転させられる(図5A参照)。
【0052】
この回転ベース9の回転に伴い、スライダ15及びこのスライダ15に設けられた多数の部品が回転ベース9と一体に水平回転し、レンズ枠用測定子37の先端がヤゲン溝Ymに沿って摺接移動する。この際、スライダ15がレンズ枠用測定子37と一体にガイドレール14に沿って移動するので、スライダ15の原点位置からこのスライダ15が移動したときの移動量は、レンズ枠用測定子37の先端の移動量と同じになる。この移動量は、リニアスケール24の検出ヘッド26の検出信号から演算制御回路52により求められる。
【0053】
しかも、測定子軸35の中心からレンズ枠用測定子37の先端までの寸法(長さ)は既知であるので、スライダ15が原点にあるときの回転ベース9の回転中心からレンズ枠用測定子37の先端までの距離を予め設定しておけば、スライダ15がガイドレール14に沿って移動したときにおいて、回転ベース9の回転中心からレンズ枠用測定子37の先端までの距離が変化しても、この距離の変化は動径ρiとすることができる。
【0054】
従って、駆動モータ6の回転による回転ベース9の回転角θiを駆動モータ6の駆動パルス数から求め、この回転角θiに対応する動径ρiを求めることで、レンズ枠LF(RF)のヤゲン溝Ymの周方向の形状(レンズ枠形状)を極座標形式のレンズ枠形状情報(θi,ρi)として求めることができる。
【0055】
また、レンズ枠用測定子37の先端がヤゲン溝Ymに沿って摺接移動する際、レンズ枠LF(RF)に上下方向の湾曲がある場合、この上下方向への湾曲状態はリニアスケール40の検出ヘッド42の検出信号から演算制御回路52により上下方向の変位量として求められる。この上下方向への変位量は、上下方向の位置Ziとなる。
【0056】
従って、レンズ枠LF(RF)のレンズ枠形状は、演算制御回路52により三次元のレンズ枠形状情報(θi,ρi,Zi)として求められる。この求められた三次元のレンズ枠形状情報(θi,ρi,Zi)は、演算制御回路52によりメモリ55に記憶される。
(b).デモ用メガネのデモレンズ(玉型)や眼鏡レンズ加工用型板(玉型)等の玉型形状測定
また、眼鏡店等では、フレームタイプのデモ用メガネやリムレスフレームのデモ用メガネ等を多数展示している。
【0057】
このフレームタイプのデモ用メガネは、環状のリムフレームを左右のレンズ枠として有し、左右のレンズ枠にダミーレンズをデモレンズ(玉型)として枠入れしたものである。
【0058】
また、リムレスフレームのデモ用メガネには、上側半分にハーフリムフレームを有するハーフリムタイプのものと、リムがない2ポイントフレームタイプのものがある。このハーフリムタイプのデモ用メガネでは、上側半分のハーフリムフレームにダミーレンズ等のデモレンズ(玉型)の上側を支持させ、このデモレンズをナイロール等で吊り下げるように保持させている。また、2ポイントフレームタイプのデモ用レンズでは、ダミーレンズ等のデモレンズ(玉型)を左右一対設け、この左右のデモレンズ間にブリッジ配設したブリッジ金具(鼻当用フレーム)を左右のデモレンズに固定ネジで固定すると共に、テンプル取付用の取付金具(テンプルフレーム)が固定ネジでネジ止めされた構成となっている。
【0059】
このようなデモ用メガネのデモレンズは顧客が選択したデモ用メガネから作られる実際の眼鏡レンズの玉型形状となっている。
【0060】
例えば、このような2ポイントフレームのメガネMの左右の玉型(眼鏡レンズのダミーレンズであるデモレンズ)を玉型形状測定装置で形状測定を行う場合には、例えば特開平10−328992号公報や特開平8−294855号公報等に開示された周知の玉型ホルダー(玉型保持装置)を用いることができる。この特開平10−328992号公報の玉型ホルダーにデモレンズ等の玉型を保持させるためには、特開平8−294855号公報に開示されたような吸着盤及び吸着盤保持構造を採用できる。この玉型ホルダーの構造はこの発明の本質ではないので、その詳細な説明は省略する。
【0061】
上述した玉型ホルダーにデモレンズ等の玉型を保持させて、玉型ホルダーをスライド枠3,3間に配設し、特開平10−328992号公報の玉型ホルダーの側壁又は特開平8−294855号公報の側部のフランジを保持棒3b1と保持棒3b2との間で挟持させる。この際、玉型ホルダーに保持された玉型は、下方に向けられることになる。
【0062】
この玉型ホルダー(図示せず)に保持された玉型の周面に玉型用測定子36を当接させて、駆動モータ6により回転ベース9を水平回転させることにより、玉型用測定子36が玉型の周面(コバ端)に沿って摺接移動する。この際、スライダ15がレンズ枠用測定子37と一体にガイドレール14に沿って移動するので、スライダ15の原点位置からこのスライダ15が移動したときの移動量は、レンズ枠用測定子37の先端の移動量と同じになる。この移動量は、リニアスケール24の検出ヘッド26の検出信号から演算制御回路52により求められる。
【0063】
しかも、測定子軸35の中心からレンズ枠用測定子37の先端までの寸法(長さ)は既知であるので、スライダ15が原点にあるときの回転ベース9の回転中心からレンズ枠用測定子37の先端までの距離を予め設定しておけば、スライダ15がガイドレール14に沿って移動したときにおいて、回転ベース9の回転中心から玉型用測定子36までの距離が変化しても、この距離の変化は動径ρiとすることができる。
【0064】
従って、駆動モータ6の回転による回転ベース9の回転角θiを駆動モータ6の駆動パルス数から求め、この回転角θiに対応する動径ρiを求めることで、玉型の周面形状(玉型形状)を極座標形式の玉型形状情報(θi,ρi)として求めることができる。
(II).演算制御回路52による測定子(玉型用測定子36,レンズ枠用測定子37)の測定子状態検査(状態チェック)1
ところで、上述した玉型形状測定装置を工場から出荷する前には、玉型形状測定装置の玉型用測定子36やレンズ枠用測定子37が曲がっているか否かの測定子形状検査や、玉型用測定子36やレンズ枠用測定子37が曲がって取り付けられているか否かの測定子取付状態検査等を測定子状態検査として行う。
【0065】
しかも、玉型形状測定装置を工場から出荷する前には、測定子状態検査の終了後に、測定子状態検査スイッチ52aを操作して、玉型形状測定装置で上述した(I)のような玉型形状の測定を行って、この測定により得られた極座標形式のレンズ枠形状情報(θi,ρi,Zi)や玉型形状情報(θi,ρi)を測定する。この測定には、図示しない基準レンズ或いは基準レンズ枠等の基準玉型形状を有する基準玉型(図示せず)を用いる。
【0066】
尚、レンズ枠形状情報(θi,ρi,Zi)は、玉型であるデモレンズが枠入れされたレンズ枠のレンズ枠形状を測定して得られるデータであるので、玉型形状情報(θi,ρi,Zi)ということもできる。
【0067】
このような工場出荷前に測定された、玉型形状情報(θi,ρi,Zi),(θi,ρi)を出荷前玉型形状データLD1として、記録手段(記憶手段)であるメモリ55に記憶させる。
【0068】
そして、玉型形状測定装置は、上述した測定子形状検査や測定子取付状態検査等の測定子状態検査が終了後に、梱包されて工場から出荷され、眼鏡店等に配送されることになる。
【0069】
このような玉型形状測定装置が眼鏡店等に配送されたとき、この配送に際して測定子状態に問題が生じたか否か等の測定子(玉型用測定子36,レンズ枠用測定子37)の状態検査(状態チェック)を行う。この状態検査に際しても、玉型形状測定装置により上述した基準玉型を用いると共に、測定子状態検査スイッチ52aを操作して玉型形状の測定を実行する。この測定により得られた玉型形状情報(θi,ρi,Zi),(θi,ρi)を出荷後玉型形状データLD2として、記録手段(記憶手段)であるメモリ55に記憶させる。尚、記録手段としては、メモリ55以外に光磁気ディスクを用いることもできる。
【0070】
この例では、玉型形状情報(θi,ρi,Zi),(θi,ρi)を玉型の全周に亘って測定しているが、必ずしも全周の玉型形状情報(θi,ρi,Zi),(θi,ρi)を求める必要はない。
【0071】
例えば、玉型形状情報(θi,ρi,Zi),(θi,ρi)のうち、少なくとも180°の2箇所における動径データを出荷前後で求めて、出荷前の動径データを出荷前玉型動径データLρd1とし出荷後のデータを出荷後玉型動径データLρd2とし、この出荷前玉型動径データLρd1と出荷後玉型動径データLρd2の動径差△X値を超えていたとき、出荷前後で測定子形状に変化が合ったとして、例えば『測定子が曲がっています。交換してください。』というメッセージを玉型形状測定装置の図示しない液晶表示器の表示画面に表示させる。
【0072】
あるいは、スライダ枠3,3の縦壁3a,3aを標準的なレンズ枠の幅(4cm〜5cm程度)間隔をあけて保持部材(図示せず)で保持し、縦壁3a,3aの基準位置、すなわち、測定子が最初に接触するレンズ枠の下側リムに相当する縦壁3a,3aの位置、または測定子が縦壁3a,3aに平行に最も長く移動した位置の縦壁3a,3aの位置などの基準位置にレンズ枠の測定開始前に測定子を当接させ、レンズ枠の測定終了後に再度基準位置に測定子を当接させ、両方の測定子の移動量の差を求める。移動量の差が閾値を超えていたとき、例えば『測定子が曲がっています。交換してください。』というメッセージを玉型形状測定装置の図示しない液晶表示器の表示画面に表示させる。
【0073】
または、基準玉型(図示せず)を装着させ、レンズ枠の上側リム、下側リムの中央に相当する基準玉型の位置、またレンズ枠の鼻当て側、耳当て側に相当する基準玉型の位置に測定子を当接させ、実際のレンズ枠の測定の前後で、基準玉型による測定子の移動量の差を求め、閾値を超えているかどうかチェックする。上記と同様、閾値を超えていたとき、例えば『測定子が曲がっています。交換してください。』というメッセージを玉型形状測定装置の図示しない液晶表示器の表示画面に表示させる。
【0074】
(III).演算制御回路52による測定子(玉型用測定子36,レンズ枠用測定子37)の測定子状態検査(状態チェック)2
また、演算制御回路52は、出荷前玉型形状データLD1に基づく玉型の全周の周長を出荷前周長Lr1として求め、出荷後玉型形状データLD2に基づく玉型の全周の周長を出荷後周長Lr2として求めて、メモリ55に記録させる。次に、演算制御回路52は、出荷前周長Lr1と出荷後周長Lr2との周長差ΔLrを求めて、この求めた周長差ΔLrが閾値を超えた場合に測定子状態が玉型形状測定装置の出荷前後で変化したと判断し、玉型形状測定装置の図示しない液晶表示器に『測定子が曲がっています。交換してください。』等のメッセージを表示させて、作業者に報知するようにすることもできる。
(IV).演算制御回路52による測定子(玉型用測定子36,レンズ枠用測定子37)の測定子状態検査(状態チェック)3
更に、工場出荷後の測定子(玉型用測定子36,レンズ枠用測定子37)に倒れがあるか否かの測定子状態検査を行うことができる。
【0075】
この場合に演算制御回路52は、上述したようにして求めた出荷前玉型形状データLD1と出荷後玉型形状データLD2とから、玉型の全周における動径差データΔXiを求め、動径差データΔXiが閾値を超えていたとき、測定子に倒れがあると判断し、玉型形状測定装置の図示しない液晶表示器の表示画面に測定子を交換するように、 『測定子が曲がっています。交換してください。』というメッセージを表示させる。
【0076】
尚、このような測定子状態検査は、使用後も演算制御回路52により定期的(所定時間毎)に行うことにより、玉型用測定子36,レンズ枠用測定子37等の摩耗や、使用時において玉型用測定子36,レンズ枠用測定子37等に無理な外力が作用した場合による測定精度の低下を早期に知ることができる。
【0077】
以上説明したように、この発明の実施の形態の玉型形状測定装置は、玉型(レンズ枠又はデモレンズ若しくは眼鏡レンズの型板)を保持させる玉型保持装置(レンズ枠保持機構1b又は図示しない玉型ホルダー)と、前記玉型保持装置(レンズ枠保持機構1b又は図示しない玉型ホルダー)に保持された玉型(レンズ枠又はデモレンズ若しくは眼鏡レンズの型板)の周面(レンズ枠の内周面又はモレンズの外周面若しくは眼鏡レンズの型板の外周面)に当接させられる測定子(玉型用測定子36,レンズ枠用測定子37)と、前記測定子(玉型用測定子36,レンズ枠用測定子37)を前記玉型の周面に当接させながら周方向に移動させる測定子駆動装置(測定機構1dの駆動モータ6,18)と、前記測定子の移動位置を検出して位置検出信号を出力する位置検出装置(リニアスケール24)と、前記測定子駆動装置(測定機構1dの駆動モータ6,18)を作動制御する演算制御回路52を備えている。また、前記演算制御回路52は前記位置検出装置(リニアスケール24)で検出された前記測定子(玉型用測定子36,レンズ枠用測定子37)の移動位置から前記玉型(レンズ枠又はデモレンズ若しくは眼鏡レンズの型板)の形状を玉型形状情報(θi,ρi)として求めるようになっている。更に、前記玉型保持装置(レンズ枠保持機構1b又は図示しない玉型ホルダー)には基準測定部が設けられている。しかも、前記演算制御回路52は、前記測定子駆動装置(測定機構1dの駆動モータ6,18)を作動制御して前記測定子(玉型用測定子36,レンズ枠用測定子37)を前記基準測定部に当接させたときに、前記位置検出装置(リニアスケール24)から出力される前記位置検出信号から前記測定子(玉型用測定子36,レンズ枠用測定子37)の移動位置を求めて、前記求めた移動位置の基準位置に対するズレ量を求め、前記ズレ量が所定範囲を超えているか否かにより前記測定子(玉型用測定子36,レンズ枠用測定子37)の測定子状態を検知するようになっている。
【0078】
この構成によれば、測定子の測定モードを兼用させて、測定子の状態(曲がり具合、強度などの寿命)を測定させることができるので、新たに検知手段を設ける必要はなく、製造コストが安くあがり、測定値のばらつきにより、装置全体の製造誤差によるものか、測定子によるものなのか、原因を明確にさせることができる。また、交換の時期も作業者に交換を知らせることができるので、常に正確なレンズ枠形状又はパターン(型板)形状の測定を行うことができる。
【0079】
また、この発明の実施の形態の玉型形状測定装置において、前記基準測定部は前記玉型保持装置(レンズ枠保持機構1b又は図示しない玉型ホルダー)に保持された基準玉型又は、前記玉型保持装置内に設けられた基準位置である。
【0080】
この構成によれば、簡単な構成で測定子の測定モードを兼用させて測定子の状態を検出することができる。
【0081】
更に、この発明の実施の形態の玉型形状測定装置において、前記演算制御回路52は前記玉型形状情報(θi,ρi)のうち少なくとも180°の2点における動径ρiのデータから前記ズレ量を求めるようになっている。
【0082】
この構成によれば、必要最小限の測定で測定子の状態を検出することができるので、玉型の全周の測定を行う場合に比べて、測定子の状態の検出時間を短縮できる。
【0083】
また、この発明の実施の形態の玉型形状測定装置において、前記演算制御回路52は、前記玉型形状情報(θi,ρi)から前記玉型の周長を求め、前記求めた周長と前記基準玉型の周長との差を前記ズレ量としている。
【0084】
この構成によれば、玉型の周長の差によるズレ量から測定子の状態を検出することができるので、測定子の状態の検出を精密に行うことができる。
【0085】
また、この発明の実施の形態の玉型形状測定装置において、前記演算制御回路52は前記ズレ量が所定範囲を超えている場合に測定子状態の異常を表示手段に表示させるようになっている。
【0086】
この構成によれば、測定子の状態に異常があった場合には、作業者に確実に知らせることができる。
【符号の説明】
【0087】
1・・・測定装置本体
1b・・・レンズ枠保持機構(玉型保持装置)
1d・・・測定機構
6,18・・・駆動モータ(測定子駆動装置)
24・・・リニアスケール(位置検出装置)
36・・・玉型用測定子
37・・・レンズ枠用測定子
38・・・取付穴測定子
52・・・演算制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
玉型を保持させる玉型保持装置と、
前記玉型保持装置に保持された玉型の周面に当接させられる測定子と、
前記測定子を前記玉型の周面に当接させながら周方向に移動させる測定子駆動装置と、
前記測定子の移動位置を検出して位置検出信号を出力する位置検出装置と、
前記測定子駆動装置を作動制御する演算制御回路を備えると共に、
前記演算制御回路は前記位置検出装置で検出された前記測定子の移動位置から前記玉型の形状を玉型形状情報(θi,ρi)として求める玉型形状測定装置において、
前記玉型保持装置に基準測定部が設けられていると共に、
前記演算制御回路は、前記測定子駆動装置を作動制御して前記測定子を前記基準測定部に当接させたときに、前記位置検出装置から出力される前記位置検出信号から前記測定子の移動位置を求めて、前記求めた移動位置の基準位置に対するズレ量を求め、前記ズレ量が所定範囲を超えているか否かにより前記測定子の測定子状態を検知することを特徴とする玉型形状測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の玉型形状測定装置において、前記基準測定部は前記玉型保持装置に保持された基準玉型であることを特徴とする玉型形状測定装置。
【請求項3】
請求項1に記載の玉型形状測定装置において、前記基準測定部は前記玉型保持装置内に設けられた基準位置であることを特徴とする玉型形状測定装置。
【請求項4】
請求項2に記載の玉型形状測定装置において、前記演算制御回路は前記玉型形状情報(θi,ρi)のうち少なくとも180°の2点における動径ρiのデータから前記ズレ量を求めることを特徴とする玉型形状測定装置。
【請求項5】
請求項2に記載の玉型形状測定装置において、前記演算制御回路は、前記玉型形状情報(θi,ρi)から前記玉型の周長を求め、前記求めた周長と前記基準玉型の周長との差を前記ズレ量としたことを特徴とする玉型形状測定装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一つに記載の玉型形状測定装置において、前記演算制御回路は前記ズレ量が所定範囲を超えている場合に測定子状態の異常を表示手段に表示させることを特徴とする玉型形状測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図10A】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−236959(P2010−236959A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−83919(P2009−83919)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000220343)株式会社トプコン (904)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】