説明

現像スリーブ、現像ローラ、現像装置、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び、現像スリーブの製造方法

【課題】現像剤の搬送量を低下させることなく画像の濃度ムラを防ぐことができる現像スリーブ、現像ローラ、現像装置、該現像装置を備えたプロセスカートリッジ及び画像形成装置、並びに、現像スリーブの製造方法を提供する。
【解決手段】現像スリーブ132の外表面には、平面視で楕円形状とした多数の凹み139が互いに重ならないように間隔をあけて規則的に設けられており、さらに、現像スリーブ132の外表面には、多数の凹み139の間の部分のみに低摩擦膜136が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンター等に用いられる現像スリーブ、現像ローラ、現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置に関し、さらに詳しくは、現像剤を担持して、感光体ドラムと間隙をもって対向する現像領域に搬送し、該感光体ドラム上の静電潜像を現像してトナー像を形成する現像スリーブ、現像ローラ及び現像装置に関する。また、本発明は、かかる現像装置を有するプロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。また、本発明は、かかる現像スリーブの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置の現像ローラの現像スリーブに現像剤を担持して、該現像材を感光体ドラムに確実に搬送するために、低速機の場合を除き、前述した現像スリーブ(例えば、特許文献1〜3参照)の外表面にサンドブラスト加工が施されたり、該外表面に溝が形成されたり、該外表面に回転磁場により線条材をランダムに衝突させる所謂電磁ブラスト加工が施されたりしていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述したサンドブラスト加工が施されたり溝が形成されていたりすることで、高速で回転する現像スリーブ上で現像剤がスリップして、停滞することで画像の濃度が低下することを防止している。
【0004】
前述したサンドブラスト加工が施される現像スリーブは、アルミニウム合金、真鍮、ステンレス、導電性樹脂のうちいずれかで構成されるが、コストの低減及び加工精度の向上を図るために、アルミニウム合金で構成されることが多い。アルミニウム合金で構成された現像スリーブの外表面にサンドブラスト加工を施す場合には、例えば、高温で現像スリーブ状に押し出されたアルミ管に冷間で砥粒を吹き付けて表面に凹凸を形成する。表面粗さは、Rz5.0〜15μm程度に形成される。このようにサンドブラスト加工を施した現像スリーブでは、高速で回転しても、現像剤は凹凸に引っかかりスリップの発生が防止可能となる。
【0005】
しかしながら、その外表面に形成された凹凸が非常に細かいので、現像剤などにより該凹凸が徐々に削られ、そのために、前述したサンドブラスト加工が施された現像スリーブは、印刷枚数が増加するにしたがって則ち経年変化によって、前述した凹凸が削られて平らになってしまう。したがって、前述したサンドブラスト加工が施された現像スリーブは、徐々に現像剤の搬送量が減少して、形成した画像が徐々に薄くなるという不具合を生じる。このように、サンドブラスト加工が施された現像スリーブは、耐久性の問題がある。現像スリーブを高硬度のステンレス鋼で構成したり、表面の硬化処理を施したりすることも可能であるが、コストアップになってしまうので望ましくない。
【0006】
また、前述した溝を外表面に形成される現像スリーブは、アルミニウム合金、真鍮、ステンレス、導電性樹脂のうちいずれかで構成されるが、前述と同様にコストの低減及び加工精度の向上を図るために、アルミニウム合金で構成されることが多い。アルミニウム合金で構成された現像スリーブの外表面に溝を形成する場合には、例えば、高温で現像スリーブ状に押し出されたアルミ管を冷間で引き抜き、ダイスにより溝を形成する。溝の形状としては断面方形型、V字型、U字型等が一般的である。また、溝の深さは現像スリーブの外表面から0.2mm程度、溝の数は例えば外径φ25の現像スリーブで50本程度が一般的である。このように溝加工を施した現像スリーブでは、高速で回転しても、現像剤は溝内に引っかかりスリップの発生が防止可能となる。
【0007】
また、前述した溝が外表面に形成された現像スリーブは、前記溝が前述したサンドブラスト加工によって形成される凹凸より遙かに大きいので、該溝が摩耗しにくく経年変化とともに現像剤の搬送量が低下することが無い。即ち、前述した溝が外表面に形成された現像スリーブは、サンドブラスト加工を施した現像スリーブに比べ長期間の使用でも摩耗が少なく、安定した現像剤の搬送が可能という利点がある。
【0008】
しかしながら、前述した溝を外表面に形成した現像スリーブは、溝内で搬送する現像剤が、溝が設けられていない部分で搬送する現像剤より多くなるので、溝による画像濃度の周期的な変動、いわゆるピッチムラ(あるいはバンディングともいう)の発生が見られる。一般に溝が深いほど現像剤の搬送性能は向上するが、溝の有無による現像電界強度の差などによるピッチムラが発生しやすくなる。一方、溝が浅いと、現像電解強度の観点ではピッチムラは発生しにくくなるが、溝部に現像剤中のトナーや添加剤、またはキャリアが詰まった場合、現像剤の搬送性能の低下の度合いが大きくなり、汲み上げ現像剤量不足によるピッチムラが発生し易くなる。
【0009】
そこで、前述した問題の対策として、特許文献1では、現像スリーブの溝の深さを0.05mm以上、0.15mm以下と規定することで、ピッチムラの発生を防止しつつ、現像剤の搬送機能を維持する工夫を行ってきた。しかし、近年では、高画質を得るために、より小粒径のトナーやより小粒径のキャリアの採用や近接現像による画像形成技術の進歩により画像再現性が向上しているため、ピッチムラが目立ち易くなっている。特に、平均粒径が例えば8.5μm以下の小粒径トナーを用いた現像方式では、画像再現性が良いため、現像に使われる現像剤量の変動に敏感になり、ピッチムラが目立って発生し易くなっている。このため、上記特許文献1の画像形成装置であっても、ピッチムラが発生することがあった。
【0010】
この原因について検討したところ、図24及び図25に示すように、現像スリーブ200と感光体ドラム201とが対向する現像領域Dにおいて、溝202が形成されていない現像スリーブ200の外表面では現像剤203がスリップして現像剤203の量が減少してしまうことによる画像濃度の低下が一因であった。一般に、現像剤203は、現像スリーブ200と感光体ドラム201とが対向する現像領域Dにおいて移動するが、十分な画像濃度が得られるよう大量の現像剤203を現像領域Dへ搬送する必要がある。
【0011】
そのため、通常、現像スリーブ200は感光体ドラム201より1.1〜2.5倍の表面速度で回転駆動される。現像剤203が高速で現像領域Dを通過する際、相対的に低速な感光体ドラム201との摩擦は負荷抵抗となり、溝202が設けられていない部分での現像スリーブ200の外表面では、図24に示すように、現像剤203のスリップや汲み上げ量不足が発生してしまう。このため、現像領域Dでは、現像スリーブ200の回転方向上流側に比べて、下流側の現像剤量が少なくなってしまう。一方、図25に示すように、現像領域D内を溝が通過する間は十分な搬送力が得られるためスリップの発生が無いし汲み上げ量も十分である。つまり、現像領域D内を通過する溝202の周期にて、スリップ発生の有無により現像剤203の量が変動し、画像濃度差によるピッチムラが発生してしまう。
【0012】
前述した特許文献2では、現像剤として体積平均粒径が4μm以上、8.5μm以下のトナーを用い、現像スリーブの外表面に長手方向に延びる複数の溝を有し、互いに隣接する溝間の間隔を、現像剤が感光体ドラムに接触する現像領域の感光体ドラムの表面移動方向の幅に比べて小さくした画像形成装置を提案している。この画像形成装置によれば、現像領域内には、常に現像スリーブの溝が少なくとも1本存在し、溝が現像スリーブに担持された現像剤のスリップを抑える。よって、現像領域内に現像スリーブの溝が存在しなくなることがある場合に比べ、現像領域内での現像剤の量の変動を小さく抑えることができる。これにより、体積平均粒径が8.5μm以下の小粒径トナーを用いても、画像再現性のよい高品質な画像を形成するとともに、画像濃度差によるピッチムラを目立ちにくくしている。
【0013】
前述した特許文献2に記載された現像スリーブでは、溝間の間隔を狭くする必要がありアルミ管を冷間引き抜き加工でダイスにより溝を形成する方法に限界が有り、又溝の形成可能な溝間の間隔であっても外径寸法仕上げとしての切削加工又は研削加工において溝の深さ偏差が増大し、溝の深さ偏差に起因する画像濃度ムラが生じる。
【0014】
一方、溝の形成方法として、溝を1本又は複数本同時に切削する加工方法に於いては溝間の間隔を狭くしたり溝の深さの偏差を低減したりすることは可能であっても加工工数が増えてコストアップになってしまう。
【0015】
また、特許文献3に示された電磁ブラスト加工では、経年変化による現像剤の搬送量の低下を抑制することができるが、ランダムに線条材を現像スリーブの外表面に衝突させるため、最適な現像剤のくみ上げ量を確保しながら長寿命化を図ることができる加工条件を設定することが困難で、今後の高速機での高画質維持の為に更に汲み上げ量を増加させることに対する対応が困難という課題があった。
【0016】
そして、本出願人により、上述した課題を解決できる現像ローラが特許文献4に開示されている。
【0017】
特許文献4の現像ローラは、図26(a)〜(c)に示すように、図示しないマグネットローラと、このマグネットローラを内包しているとともに該マグネットローラの磁力により外表面に現像剤を吸着する現像スリーブ832と、を備えている。現像スリーブ832は、その外表面に平面視が楕円形状の凹み839が、互いに重ならないように間隔をあけて、規則的に多数設けられている。
【0018】
このように現像スリーブ832の外表面に多数の凹み839を設けることにより、経年変化によっても、凹み839が摩耗しにくくなり、よって、経年変化による現像剤の搬送量の低下を抑制できた。また、現像剤が凹み839内に溜まるので、該現像剤の溜まる箇所が外表面に間隔をあけて配置されることとなり、よって、画像のムラが生じることを防止できた。また、最適な現像剤のくみ上げ量を確保しながら長寿命化を図ることができる加工条件を設定することが容易で、かつ、設定された条件で確実に凹みを形成でき、加工性に優れていた。
【0019】
しかるに、このような外表面に凹みを設けた現像スリーブにおいては、ベタ画像を形成した場合に、現像スリーブの最初の一周に対応する画像の箇所が濃くなってしまう「残像現象」といわれる濃度ムラが生じてしまうことが確認されている。この現象は、前回の画像形成に用いた現像剤が現像スリーブの外表面上に残留していることに起因して発生しているものと推測される。そこで、本発明者らは、材料や形状等の異なる多数の現像スリーブを作製して、これら現像スリーブを用いて画像形成を行い、現像スリーブの構成と画像品質との関係を鋭意検討した結果、現像スリーブの外表面全体に当該現像スリーブの基材より摩擦係数の低い低摩擦層を設けることにより、現像スリーブの外表面上の現像剤の残留量を低減して、上記「残像現象」を回避できることを見出した。
【0020】
しかしながら、現像スリーブの凹みを含む外表面全体に上記低摩擦層を形成すると、凹みでの摩擦力が低下して当該凹みから現像剤が脱落してしまうことがあり、そのため、現像剤の搬送量が低下して、必要な画像濃度が得られないという問題があった。
【0021】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、現像剤の搬送量を低下させることなく画像の濃度ムラを防ぐことができる現像スリーブ、現像ローラ、現像装置、該現像装置を備えたプロセスカートリッジ及び画像形成装置、並びに、現像スリーブの製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明者らは、現像スリーブの構成について鋭意検討を行った結果、現像スリーブの外表面に設けられた多数の凹みの間の部分のみに低摩擦膜を形成することにより、上記「残像現象」の回避及び現像剤の搬送量の確保を両立できることを見出し、本発明に至った。
【0023】
請求項1に記載された発明は、上記目的を達成するために、平面視で円形又は楕円形状とした多数の凹みを互いに重ならないように間隔をあけて規則的に又は不規則的に外表面に設けた金属で構成された現像スリーブにおいて、前記現像スリーブの外表面における前記多数の凹みの間の部分のみに低摩擦膜が設けられていることを特徴とする現像スリーブである。
【0024】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記低摩擦膜が、テトラヘデラルアモルファスカーボンで構成されていることを特徴とするものである。
【0025】
請求項3に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記低摩擦膜が、窒化チタンで構成されていることを特徴とするものである。
【0026】
請求項4に記載された発明は、上記目的を達成するために、マグネットローラと、前記マグネットローラを内包していて該マグネットローラの磁力により外表面に現像剤を吸着するようにした現像スリーブと、を備えた現像ローラにおいて、前記現像スリーブが、請求項1〜3のいずれか一項に記載した現像スリーブで構成されていることを特徴とする現像ローラである。
【0027】
請求項5に記載された発明は、上記目的を達成するために、外表面に現像剤を吸着する現像スリーブを有した現像ローラを備えた現像装置において、前記現像ローラが、請求項4に記載の現像ローラで構成されていることを特徴とする現像装置である。
【0028】
請求項6に記載された発明は、上記目的を達成するために、現像装置を少なくとも有するプロセスカートリッジにおいて、前記現像装置が、請求項5に記載の現像装置で構成されていることを特徴とするプロセスカートリッジである。
【0029】
請求項7に記載された発明は、上記目的を達成するために、感光体ドラムと、帯電装置と、現像装置と、を少なくとも有する画像形成装置において、前記現像装置が、請求項5に記載の現像装置で構成されていることを特徴とする画像形成装置である。
【0030】
請求項8に記載された発明は、上記目的を達成するために、金属で構成された円筒状の基材の外表面上に低摩擦膜を形成する成膜工程と、前記低摩擦膜が形成された前記外表面に、平面視で円形又は楕円形状とした多数の凹みを互いに重ならないように間隔をあけて規則的に又は不規則的に切削成形する切削工程と、順次有していることを特徴とする現像スリーブの製造方法である。
【発明の効果】
【0031】
請求項1に記載された発明によれば、現像スリーブの外表面における多数の凹みの間の部分のみに低摩擦膜が設けられているので、多数の凹みにおける現像剤との摩擦力を維持しつつ、多数の凹みの間の部分における現像剤との摩擦力を低減でき、そのため、上記「残像現象」の回避及び現像剤の搬送量の確保を両立でき、現像剤の搬送量を低下させることなく画像の濃度ムラを防ぐことができる。
【0032】
請求項2に記載された発明によれば、低摩擦膜が、テトラヘデラルアモルファスカーボンで構成されているので、低摩擦膜を均一に形成できるとともに、低温での成膜が可能であり、そのため、膜厚の乱れや高温による現像スリーブの歪みがなく、形状精度が高まり画像品質を向上できる。
【0033】
請求項3に記載された発明によれば、低摩擦膜が、窒化チタンで構成されているので、低摩擦膜を均一に形成でき、そのため、膜厚の乱れがなく、形状精度が高まり画像品質を向上できる。
【0034】
請求項4に記載された発明によれば、現像スリーブが、請求項1〜3のいずれか一項に記載した現像スリーブで構成されているので、上記「残像現象」の回避及び現像剤の搬送量の確保を両立でき、現像剤の搬送量を低下させることなく画像の濃度ムラを防ぐことができる。
【0035】
請求項5に記載された発明によれば、現像ローラが、請求項4に記載の現像ローラで構成されているので、上記「残像現象」の回避及び現像剤の搬送量の確保を両立でき、現像剤の搬送量を低下させることなく画像の濃度ムラを防ぐことができる。
【0036】
請求項6に記載された発明によれば、現像装置が、請求項5に記載の現像装置で構成されているので、上記「残像現象」の回避及び現像剤の搬送量の確保を両立でき、現像剤の搬送量を低下させることなく画像の濃度ムラを防ぐことができる。
【0037】
請求項7に記載された発明によれば、現像装置が、請求項5に記載の現像装置で構成されているので、上記「残像現象」の回避及び現像剤の搬送量の確保を両立でき、現像剤の搬送量を低下させることなく画像の濃度ムラを防ぐことができる。
【0038】
請求項8に記載された発明によれば、金属で構成された円筒状の基材の外表面上に低摩擦膜を形成する成膜工程と、前記低摩擦膜が形成された前記外表面に、平面視で円形又は楕円形状とした多数の凹みを互いに重ならないように間隔をあけて規則的に又は不規則的に切削成形する切削工程と、順次有しているので、例えば、円筒状の基材に多数の凹みを切削成形したあとに、これら多数の凹みの間に低摩擦層を形成する方法にくらべて、容易に上記低摩擦層を形成することができ、そのため、現像剤の搬送量を低下させることなく画像の濃度ムラを防ぐことができる現像スリーブを安価に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の現像スリーブの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示された現像スリーブの外表面を展開して模式的に示す説明図である。
【図3】(a)は、図2に示された現像スリーブの外表面の一部を模式的に拡大して示す説明図であり、(b)は、図3(a)中のVIB−VIB線に沿う断面図であり、(c)は、図3(a)中のVIC−VIC線に沿う断面図である。
【図4】凹み139が規則的に配置されている例を示す説明図である。
【図5】凹み139が規則的に配置されている他の例を示す説明図である。
【図6】図2に示された現像スリーブにおいて、その長手方向中央部から両端部に向かって凹みの平面視の大きさが徐々に大きくなるように形成した変形例の外表面を展開して模式的に示す説明図である。
【図7】図2に示された現像スリーブにおいて、その長手方向中央部から両端部に向かって単位面積当たりの凹みの個数が多くなるように形成した変形例の外表面を展開して模式的に示す説明図である。
【図8】凹み139が不規則的に配置されている例を示す説明図である。
【図9】凹み139が不規則的に配置されている他の例を示す説明図である。
【図10】図1に示された現像スリーブの外表面の一部を拡大して示す説明図である。
【図11】(a)は、図1に示された現像スリーブの外表面に切削加工を施す表面処理装置の概略の構成を示す側面図であり、(b)は、図11(a)中のVIIIB−VIIIB線に沿う断面図であり、(c)は、図11(b)に示されたエンドミルを拡大して示す側面図であり、(d)は、図11(c)に示されたエンドミルの先端の正面図である。
【図12】(a)は、図3(a)に示された現像スリーブの変形例の外表面の一部を模式的に拡大して示す説明図であり、(b)は、図12(a)中のIXB−IXB線に沿う断面図であり、(c)は、図12(a)中のIXC−IXC線に沿う断面図である。
【図13】図12(b)の一部を拡大して示す断面図である。
【図14】図12に示された現像スリーブの外表面に設けられた凹みを形成するためのエンドミルを拡大して示す側面図である。
【図15】図3(b)に示された現像スリーブの外表面に形成された凹みの変形例を示す断面図である。
【図16】図3(b)に示された現像スリーブの外表面に形成された凹みの他の変形例を示す断面図である。
【図17】図2に示された現像スリーブの変形例の外表面を展開して模式的に示す説明図である。
【図18】図2に示された現像スリーブの他の変形例の外表面を展開して模式的に示す説明図である。
【図19】(a)は、図2に示された現像スリーブの更に他の変形例の外表面を展開して模式的に示す説明図であり、(b)は図19(a)に示された凹みを形成するためのエンドミルを拡大して示す側面図である。
【図20】(a)は、図2に示された現像スリーブにおいて、その長手方向中央部から両端部に向かって凹みの深さが徐々に深くなるように形成した変形例の外表面の断面を展開して模式的に示す説明図であり、(b)は当該現像スリーブが撓んだ状態を模式的に示す説明図である。
【図21】本発明の一実施形態にかかる現像スリーブを備えた画像形成装置の構成を正面からみた説明図である。
【図22】図21に示された画像形成装置のプロセスカートリッジの断面図である。
【図23】図22中のIII−III線に沿う断面図である。
【図24】従来の現像スリーブが現像剤をくみ上げる状態を示す説明図である。
【図25】図24に示された現像スリーブが現像剤をくみ上げる他の状態を示す説明図である。
【図26】(a)は、従来の他の現像スリーブの外表面の一部を模式的に拡大して示す説明図であり、(b)は、図26(a)中のVIB−VIB線に沿う断面図であり、(c)は、図26(a)中のVIC−VIC線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下に、本発明にかかる現像スリーブの一実施形態を、図1〜図20を参照して説明する。この現像スリーブは、マグネットローラを内包して現像ローラを構成し、外表面に現像剤を担持して、感光体ドラムと間隙をもって対向する現像領域に搬送し、該感光体ドラム上の静電潜像を現像してトナー像を形成するために用いられる。
【0041】
本発明に係る現像スリーブ132は、図1に示すように、円筒状に形成されている。現像スリーブ132は、後述するマグネットローラ133を内包し(収容し)て、軸芯回りに回転自在に設けられている。現像スリーブ132は、その内周面がマグネットローラ133の固定磁極に順に相対するように回転される。現像スリーブ132は、アルミニウム合金、真鍮、ステンレス鋼(SUS)、導電性の樹脂などの非磁性材料を基材として構成されている。現像スリーブ132は、後述する表面処理装置1(図11に示す)によって外表面に粗面化処理が施されている。
【0042】
アルミニウム合金は、加工性、軽さの面で優れている。アルミニウム合金を用いる場合には、A6063、A5056及びA3003を用いるのが好ましい。SUSを用いる場合には、SUS303、SUS304及びSUS316を用いるのが好ましい。なお、図示例では、現像スリーブ132は、アルミニウム合金で構成されている。
【0043】
現像スリーブ132の外径は、17mm〜18mm程度であるのが望ましい。現像スリーブ132の軸(軸芯)方向の長さは、300mm〜350mm程度であるのが望ましい。
【0044】
また、現像スリーブ132の外表面には、図1〜図3に示すように、平面視が楕円形状の複数の凹み139と、これら複数の凹みの間の部分に形成された低摩擦膜136と、が設けられている。
【0045】
凹み139は、勿論、現像スリーブ132の外表面に凹に形成され、当該現像スリーブ132の外表面に互いに重ならないように間隔をあけて規則的に多数(複数)配置されている。なお、本発明では、現像スリーブ132の周方向及び長手方向に互いに隣り合う凹み139間の間隔が一定となるように配置されていることを、凹み139が規則的に配置されているという。即ち、現像スリーブ132の周方向及び長手方向に互いに隣り合う凹み139間の間隔は、一定となっている。また、本発明では、現像スリーブ132の周方向及び長手方向に互いに隣り合う凹み139間の間隔が一定でないことを、凹み139が不規則に配置されているという。図2、図3(a)、図4〜図10、図12(a)、図17、図18、図19(a)、図20において、左右方向が現像スリーブ132の長手方向に一致し、上下方向が現像スリーブ132の周方向に一致する。
【0046】
規則的に配置されている例として、例えば、図2に示すように、凹み139が一列の螺旋状で周方向に同ピッチ(同間隔)で配置されている場合、図4に示すように、凹み139が二列の螺旋状で、1列目と2列目とがそれぞれ円周方向に同ピッチ且つ長手方向に整列して配置されている場合、図5に示すように、凹み139が二列の螺旋状で、1列目と2列目とがそれぞれ円周方向に同ピッチ且つ各列が長手方向に整列しないように円周方向にずれて配置されている場合、などがある。また、上記において凹み139の配置が三列またはそれ以上の螺旋状の場合も同様である。
【0047】
不規則的に配置されている例として、例えば、図6、図7に示すように、凹み139の間隔が、所定の方向(例えば、現像スリーブ132の長手方向中央部から両端部への方向)に向かうにしたがって徐々に狭くなるように配置されている場合、図8に示すように、凹み139が二列の螺旋状であり、1列目と2列目との円周方向のピッチがそれぞれ異なり且つ各列毎に長手方向に整列して配置されている場合、図9に示すように、凹み139が二列の螺旋状であり、1列目と2列目との円周方向のピッチがそれぞれ異なり(例えば、1列目ピッチP1>2列目ピッチP2)且つ各列毎に長手方向に整列しないように円周方向にずれて配置されている場合、などがある。また、上記において凹み139の配置が三列またはそれ以上の螺旋状の場合も同様である。
【0048】
また、凹み139は、その長手方向が現像スリーブ132の長手方向に沿った状態で配置されている。即ち、凹み139は、その長手方向が現像スリーブ132の長手方向と平行又は略平行に配置されている。なお、図示例では、凹み139の長手方向は、現像スリーブ132の長手方向に対して若干傾いて、略平行に配置されている。このように、本発明では、凹み139の長手方向が現像スリーブ132の長手方向と平行又は略平行に配置されていることを、凹み139の長手方向が現像スリーブ132の長手方向と平行に配置されているという。
【0049】
さらに、凹み139は、図2、図3に示すように、現像スリーブ132の長手方向に沿って複数並べられて配置されているとともに、現像スリーブ132の周方向に互いに隣り合うもの同士は、当該凹み139の長さの約半分程度位置ずれして配置されている。さらに、凹み139は、図11(a)に示す表面処理装置1により現像スリーブ132の外表面に形成されるため、当該現像スリーブ132の外表面上に図2中の一点鎖線で示す螺旋上に並べられて配置されている。
【0050】
また、凹み139は、図3(b)に示すように、その幅方向(短手方向)の断面形状がV字状に形成され、図3(c)に示すように、その長手方向の断面形状が円弧状の曲面に形成されている。さらに、凹み139は、図11(a)に示す表面処理装置1により現像スリーブ132の外表面に形成されるため、図10に示すように、その長手方向が若干弓状に湾曲している。なお、本発明では、その長さが幅よりも長く、外縁が曲線で形成されていれば、その長手方向や直線であっても若干湾曲していても、総称して楕円形状とする。
【0051】
さらに、凹み139の長手方向の長さ(長径)は、1.0mm以上でかつ2.3mm以下となっており、幅方向の幅(短径)は、0.3mm以上でかつ0.7mm以下となっているとともに、その深さは、0.05mm以上でかつ0.15mm以下となっている。さらに、凹み139は、現像スリーブ132の外表面100mm2当たり50〜250個程度設けられている。即ち、複数(多数)の凹み139の総容量が、現像スリーブ132の外表面100mm2当たり0.5mm3以上でかつ7.0mm3以下となっている。さらに、凹み139は、現像スリーブ132とともに回転する感光体ドラム108の周方向に1mm当たり1.0個以上でかつ3.0個以下設けられている。
【0052】
一般に凹み139が深いほど現像剤126の搬送性能は向上するが溝を外表面に設けた従来の現像スリーブと同様に周期的なピッチムラが発生しやすくなる。一方、凹み139が浅いほどピッチムラは発生しにくくなるが現像剤126の搬送性能が低下する。特に近年では、小粒径のトナーや磁性キャリアの画像形成技術の進歩及び近接現像の画像形成技術の進歩等により画像再現性が向上しているため、ピッチムラが発生しやすくなっている。そこで、前述した現像スリーブ132では、凹み139の深さを浅めに設定し、当該凹み139の分布密度を増やすことで現像剤搬送性能とピッチムラ防止の両立を図っている。
【0053】
低摩擦膜136は、例えば、テトラヘデラルアモルファスカーボン(ta−C)や窒化チタン(TiN)など、現像スリーブ132の基材より摩擦係数の低い材料で構成された薄膜である。勿論、これら現像スリーブ132の基材より摩擦係数の低い材料であれば、本発明の目的に反しない限り、例えば、炭化チタン(TiC)、炭窒化チタン(TiCN)など、ta−CやTiN以外の材料を用いても良い。この低摩擦膜136は、現像スリーブ132の外表面における複数の凹み139の間のみに設けられており、複数の凹み139の表面は現像スリーブ132の基材が露出している。つまり、現像スリーブ132の外表面において、複数の凹み139の表面より、これら複数の凹み139の間の箇所の方が低摩擦にされている。なお、各材料における摩擦係数(一般的数値)は、アルミニウム合金 0.5(以上)、TiN 0.3〜0.4、ta−C 0.1(以下)程度である。
【0054】
本実施形態において、低摩擦膜136は、フィルター処理陰極真空アーク方式(FCVA:Filtered Cathodic Vacuum Arc)方式により現像スリーブ132の外表面に成膜されたta−C膜で構成されている。
【0055】
FVCA方式によるta−C膜の成膜の概略を説明すると、ほぼ真空状態のチャンバ内にターゲットとして純度の高い炭素(黒鉛)を配置し、当該ターゲットに対しアーク放電を行う。そして、このアーク放電により発生したプラズマを電磁誘導により蒸着対象である現像スリーブ132の基材に導く。その誘導過程において、電磁気的空間フィルターにより蒸着に不要なマクロ粒子や中性原子・分子などを除去して、イオン化した炭素のみを抽出する。そして、基材に到達したイオン化した炭素は基材表面に凝集してta−C膜を形成する。これにより、ta−C膜からなる低摩擦膜136が現像スリーブ132の外表面に形成される。このような、ta−C膜からなる低摩擦膜136は、メッキや塗布などで形成された膜に比べて均一な厚みに形成できるとともに比較的低温での成膜処理が可能であるので、現像スリーブ132の温度による歪みなどが発生しにくい。そのため、現像スリーブ132の形状精度を高めることができる。なお、FVCA方式による蒸着技術については、例えば、米国特許第6,031,239号、インターネット<URL:http://www.nanofilm.co.jp/technology.html:平成23年2月3日時点>等に開示されており、既に広く実用化されているため、詳細説明は省略する。
【0056】
または、低摩擦膜136は、中空陰極方式(HCD方式:Hollow Cathode Discharge)により現像スリーブの外表面に成膜されたTiN膜で構成しても良い。
【0057】
物理蒸着法(PVD)の一つであるイオンプレーティング方式によれば、密着性に優れた膜が比較的容易に得られ、このイオンプレーティング方式の中でも、特にHCD方式を用いることで、均質で且つ膜厚が均一で母材の表面粗さに沿った被膜が得られる。なお、HCD方式による蒸着技術については、例えば、特開平10‐012431号公報、特開平08‐286516号公報等に開示されており、既に広く実用化されているため、詳細説明は省略する。
【0058】
前述した現像スリーブ132は、外表面全体に上記低摩擦膜136を形成した後に、図11(a)に示す表面処理装置1によって外表面に凹み139が形成される。
【0059】
表面処理装置1は、図11(a)に示すように、ベース3と、保持部4と、回転駆動部としてのモータ2と、移動手段としての工具移動部5と、工具6と、制御手段としての図示しない制御装置とを備えている。
【0060】
ベース3は、平板状に形成されて、工場のフロアやテーブル上等に設置される。ベース3の上面は、水平方向と平行に保たれる。ベース3の平面形状は、矩形状に形成されている。
【0061】
保持部4は、固定保持部7と、スライド保持部8とを備えている。固定保持部7は、ベース3の長手方向の一端部から立設した固定柱9と、この固定柱9の上端部に設けられた回転チャック10とを備えている。回転チャック10は、厚手の円板状に形成され、固定柱9の上端部にその中心を中心として回転自在に支持されている。回転チャック10の回転中心は、ベース3の表面と平行に配置されており、回転チャック10の中心部には円柱状のチャックピン11が立設している。勿論、チャックピン11は、回転チャック10と同軸に配置されている。
【0062】
スライド保持部8は、スライダ12と、スライド柱13と、この固定柱9の上端部に設けられた回転チャック14とを備えている。スライダ12は、ベース3の表面即ち回転チャック10のチャックピン11の軸芯に沿ってスライド自在に設けられている。また、スライダ12は、回転チャック10のチャックピン11の軸芯方向の位置が適宜固定される構成となっている。
【0063】
スライド柱13は、スライダ12から立設している。回転チャック14は、厚手の円板状に形成され、スライド柱13の上端部に取り付けられたモータ2の出力軸に取り付けられている。回転チャック14の回転中心は、固定保持部7の回転チャック10のチャックピン11と同軸に配置されている。回転チャック14の中心部には円柱状のチャックピン15が立設している。勿論、チャックピン15は、回転チャック14と同軸に配置されている。
【0064】
前述した保持部4は、スライド保持部8が固定保持部7から離れた状態で、チャックピン11,15間に凹み139が形成される前の現像スリーブ132が位置付けられて、そして、保持部4は、スライド保持部8が固定保持部7に近づけられて、チャックピン11,15の先端が現像スリーブ132の端部内に侵入して、当該チャックピン11,15間に現像スリーブ132を挟んだ状態で、スライダ12が固定される。こうして、保持部4は、チャックピン11,15間に現像スリーブ132を挟んで、当該現像スリーブ132を保持する。
【0065】
モータ2は、スライド保持部8のスライド柱13の上端部に取り付けられている。モータ2は、回転チャック14をその中心回りに回転駆動する。モータ2は、回転チャック14を回転駆動することで、チャックピン11,15間に挟まれた現像スリーブ132をその軸芯回りに回転させる。
【0066】
工具移動部5は、リニアガイド16と、図示しない移動用アクチュエータと、を備えている。リニアガイド16は、レール17と、スライダ18とを備えている。レール17は、ベース3上に設置されている。レール17は、直線状に形成されているとともに、その長手方向がベース3の長手方向、チャックピン11,15即ちチャックピン11,15間に挟まれた現像スリーブ132の軸芯と平行に配されている。スライダ18は、レール17に該レール17の長手方向に沿って移動自在に支持されている。
【0067】
移動用アクチュエータは、ベース3に取り付けられているとともに、前述したスライダ18をベース3の長手方向、チャックピン11,15即ちチャックピン11,15間に挟まれた現像スリーブ132の軸芯に沿って、スライド移動させる。
【0068】
工具6は、工具本体19と、工具回転部としての工具回転用モータ20と、回転工具としてのエンドミル21と、を備えている。工具本体19は、スライダ18から立設した柱状に形成されている。
【0069】
工具回転用モータ20は、工具本体19の上端部に取り付けられている。工具回転用モータ20は、図11(b)に示すように、その出力軸22が工具本体19の上端部からチャックピン11,15間に挟まれた現像スリーブ132に向かって突出した状態に配置されている。工具回転用モータ20の出力軸22は、その軸芯がベース3の表面と平行でかつチャックピン11,15間に挟まれた現像スリーブ132の軸芯と交差(図示例では直交)する状態で配置されている。
【0070】
エンドミル21は、全体として円柱状に形成され、工具回転用モータ20の出力軸22の先端部に取り付けられている。このため、エンドミル21は、その軸芯がベース3の表面と平行でかつチャックピン11,15間に挟まれた現像スリーブ132の軸芯と交差(図示例では直交)する状態で配置されている。また、エンドミル21は、工具本体19の上端部からチャックピン11,15間に挟まれた現像スリーブ132に向かって突出した状態に配置されている。
【0071】
エンドミル21は、図11(c)に示すように、円柱状の本体部23と、二つの切削刃24とを備えている。本体部23は、工具本体19に取り付けられる。切削刃24は、本体部23の現像スリーブ132寄りの先端部に周方向に間隔をあけて設けられている。切削刃24は、図11(d)に示すように、本体部23の先端部の外縁よりも当該本体部23即ちエンドミル21の外周方向に突出して設けられ、螺旋状に延在して形成されている。また、本実施形態では、エンドミル21の切削刃24の先端の外縁25の断面は、図11(c)に示すように、鋭角をなすように形成されている。
【0072】
前述した工具6は、工具回転用モータ20がエンドミル21をその軸芯回りに回転することで、現像スリーブ132の外表面に凹み139を形成する。
【0073】
制御装置は、周知のRAM、ROM、CPUなどを備えたコンピュータである。制御装置は、回転駆動部としてのモータ2と、工具移動部5の移動用アクチュエータと、工具6の工具回転用モータ20などと接続しており、これらを制御して、表面処理装置1全体の制御を司る。
【0074】
制御装置は、現像スリーブ132の外表面に凹み139を多数形成する際には、回転駆動部としてのモータ2で現像スリーブ132をその軸芯回りに回転させて、工具回転用モータ20でエンドミル21をその軸芯回りに回転させながら、移動用アクチュエータにより工具を現像スリーブ132の軸芯(長手方向)に沿って移動させる。そして、制御装置は、切削刃24がエンドミル21の回転に伴い断続的に現像スリーブ132の外表面に切削加工を施して、凹み139を多数形成する。
【0075】
このとき、切削刃24の外縁の曲率半径により現像スリーブ132の長手方向の凹み139の円弧の曲率半径を定め、切削刃24の切り込み量により凹み139の深さを定め、工具6の移動速度により凹み139の現像スリーブ132の長手方向の間隔を定める。また、現像スリーブ132の外表面に周方向に設ける凹み139の数をnとし、回転駆動部としてのモータ2の回転数即ち現像スリーブ132の回転数をN1とし、エンドミル21の切削刃24の数をmとし、エンドミル21の回転数をN2とすると、制御装置は、以下の式1を満たすように、回転駆動部としてのモータ2と、工具移動部5の移動用アクチュエータと、工具6の工具回転用モータ20を制御する。
【0076】
N2=N1×〔m/{(n/2)−0.5}〕・・・式1
【0077】
制御装置は、これらの各要件を適宜変更することで、凹み139の大きさや密度を任意に変更して、現像スリーブ132の外表面を加工することができる。
【0078】
さらに、制御装置には、キーボードなどの各種の入力装置や、ディスプレイなどの各種の表示装置が接続している。
【0079】
次に、前述した構成の表面処理装置1を用いて現像スリーブ132の外表面に切削加工を施す工程を、以下説明する。
【0080】
まず、制御装置に入力装置から現像スリーブ132の品番などを入力する。そして、制御装置が、工具6の回転工具としてのエンドミル21を加工開始位置即ち現像スリーブ132の一方の端部に位置付けた後、凹み139が形成される前の現像スリーブ132を保持部4に保持する。このとき、現像スリーブ132とチャックピン11,15などが同軸になる。
【0081】
そして、入力装置から作業開始命令を入力すると、前述した式1に基づいて、制御装置が、回転駆動部としてのモータ2と、工具移動部5の移動用アクチュエータと、工具6の工具回転用モータ20を駆動する。すると、軸芯回りに回転するエンドミル21の切削刃24が、断続的に現像スリーブ132の外表面に切削加工を施すことで、凹み139が形成される。即ち、凹み139は、軸芯回りに回転される回転工具6によって、現像スリーブ132の外表面に切削加工が施されて形成される。
【0082】
また、回転駆動部としてのモータ2と、工具移動部5の移動用アクチュエータと、工具6の工具回転用モータ20が同時に駆動するので、凹み139が軸芯回りに回転される回転工具6によって現像スリーブ132の外表面に切削加工が施されて形成される際に、エンドミル21と交差(図示例では直交)する状態に配置された現像スリーブ132がその軸芯回りに回転されながら、エンドミル21と現像スリーブ132とが当該現像スリーブ132の長手方向に相対的に移動されて、凹み139が、形成される。
【0083】
エンドミル21が、現像スリーブ132の加工終了位置即ち現像スリーブ132の他方の端部に位置付けられて、前述した現像スリーブ132の外表面の切削加工が終了すると、回転駆動部としてのモータ2と、工具移動部5の移動用アクチュエータと、工具6の工具回転用モータ20を停止する。そして、スライド保持部8を固定保持部7から離して、保持部7,8のチャックピン11,15間から外表面に凹み139が多数形成された現像スリーブ132を取り出して、新たな現像スリーブ132を保持部4に保持させる。こうして、現像スリーブ132の外表面に切削加工を施す。
【0084】
次に、現像スリーブ132の製造方法の一例を説明する。
【0085】
まず、基材としてのアルミニウム合金を高温に加熱して円筒状に押し出したあと冷却し、所定長さに切断して現像スリーブ形状のアルミニウム素管を作製する。そして、上述したFVCA方式によりアルミニウム素管の外表面に低摩擦膜136となるta−C膜を成膜したのち(即ち、成膜工程)、上記表面処理装置1を用いて低摩擦膜136の上から切削加工を行って、平面視で円形又は楕円形状とした多数の凹みを互いに重ならないように間隔をあけて規則的に又は不規則的に設ける(即ち、切削工程)。このようにして、現像スリーブ132の外表面に多数の凹み139が設けられるとともに、これら多数の凹み139の間の部分のみに低摩擦膜136が設けられた現像スリーブ132が完成する。
【0086】
以上より、本実施形態によれば、現像スリーブ132の外表面における多数の凹み139の間の部分のみに低摩擦膜136が設けられているので、多数の凹み136における現像剤126との摩擦力を維持しつつ、多数の凹み136の間の部分における現像剤126との摩擦力を低減でき、そのため、上記「残像現象」の回避及び現像剤126の搬送量の確保を両立でき、現像剤126の搬送量を低下させることなく画像の濃度ムラを防ぐことができる。
【0087】
また、低摩擦膜136が、ta−Cで構成されているので、低摩擦膜136を均一に形成できるとともに、低温での成膜が可能であり、そのため、膜厚の乱れや高温による現像スリーブ132の歪みがなく、形状精度が高まり画像品質を向上できる。
【0088】
また、低摩擦膜136をta−Cに代えてTiNで構成してもよい。このようにすることで、低摩擦膜136を均一に形成でき、そのため、膜厚の乱れがなく、形状精度が高まり画像品質を向上できる。
【0089】
また、現像スリーブ132の製造方法が、円筒状のアルミニウム素管の外表面上に低摩擦膜136を形成する成膜工程と、低摩擦膜136が形成された前記外表面に、平面視で円形又は楕円形状とした多数の凹み139を互いに重ならないように間隔をあけて規則的に又は不規則的に切削成形する切削工程と、順次有しているので、例えば、円筒状のアルミニウム素管に多数の凹み139を切削成形したあとに、これら多数の凹み139の間に低摩擦層136を形成する方法にくらべて、容易に上記低摩擦層136を形成することができ、そのため、現像剤の搬送量132を低下させることなく画像の濃度ムラを防ぐことができる現像スリーブ132を安価に製造できる。
【0090】
前述した実施形態では、凹み139の現像スリーブ132の周方向の断面をV字状に形成しているが、本発明では、図12(a)〜(c)に示すように、凹み139の現像スリーブ132の周方向の断面を円弧状に形成しても良い。図示例では、凹み139の現像スリーブ132の周方向と長手方向の双方の断面を円弧状に形成している。この場合、図14に示すように、エンドミル21の切削刃24の外縁25を円弧状に形成することで、凹み139の現像スリーブ132の周方向の断面を円弧状に形成している。また、この場合に限らず、現像スリーブ132の周方向の断面における凹み139の内面と現像スリーブ132の外表面とのなす角度θ(図13に示す)は、前述した現像磁極の影響で発生する現像濃度差を避けるために60度以下であるのが好ましい。
【0091】
これらの図12〜図14に示す場合によれば、凹み139の現像スリーブ132の長手方向と周方向の双方の断面が円弧状に形成されているので、凹み139内に収容できる現像剤126の量を多くすることができる、十分な量の現像剤を搬送することができる。
【0092】
また、前述した実施形態では、凹み139の現像スリーブ132の周方向の断面をV字状に形成しているが、本発明では、切削刃24の外縁25の形状を適宜変更することで、図15及び図16に示すように、凹み139の現像スリーブ132の周方向の断面形状を適宜変更しても良い。図15は、V字状の凹み139の底が平坦に形成された場合を示し、図16は、V字状の凹み139の底が円弧状に形成された場合を示している。
【0093】
また、前述した実施形態では、表面処理装置1のモータ2,20やアクチュエータを同時に連続して動作させて、凹み139を現像スリーブ132の外表面に螺旋上に配置し、かつ各々の凹み139を若干弓状に湾曲して形成しているが、本発明では、図17及び図18に示すように、モータ2,20やアクチュエータを適宜完結的に動作させて、凹み139を現像スリーブ132の長手方向に沿って直線状に形成しても良いとともに、複数の凹み139を現像スリーブ132の周方向に沿って直線上に配置しても良い。
【0094】
さらに、前述した実施形態などでは、凹み139を楕円形状に形成しているが、本発明では、前述した実施形態よりも外径D1の小さいエンドミル21(図19(b)に示す)を用いて、凹み139を、図19(a)に示すように、平面視を円形に形成しても良い。
【0095】
また、前述した実施形態では、現像スリーブ132の周方向に互いに隣り合う凹み139を、当該凹み139の長さの約半分位置をずらして配置している。しかしながら、本発明では、現像スリーブ132の周方向に互いに隣り合う凹み139同士を、当該凹み139の長さの1/3、1/4などの任意の長さ位置をずらして配置しても良い。
【0096】
さらに、前述した実施形態では、エンドミル21を現像スリーブ132の長手方向に沿って移動させることで、これらエンドミル21と現像スリーブ132とを相対的に移動させているが、勿論、本発明では、エンドミル21と現像スリーブ132とのうち少なくとも一方を現像スリーブ132の長手方向に沿って移動して、これらを相対的に移動させても良い。
【0097】
また、前述した実施形態では、同一形状の凹み139を現像スリーブ132の外表面に規則的に配置しているが、本発明では、図20(a)に示すように、現像スリーブ132の長手方向中央部から両端部に向かって徐々に凹み139が深くなるように形成しても良い。このようにすることで、現像スリーブ132の長手方向中央部から両端部に向かって徐々に凹み139の容積が大きくなり、図20(b)に示すように、現像剤がドクタブレード116との間のドクタギャップを通過する際に発生する摩擦抵抗力や磁気吸引力により現像ローラ115に撓みが発生した状態で、現像スリーブ132の長手方向中央部のドクタギャップが広くなったときでも、現像ローラ115における長手方向(軸方向)の現像剤搬送量を均一にでき、そのため、画像の濃度ムラが生じることを防止できる。
【0098】
また、本発明では、図6に示すように、現像スリーブ132の長手方向中央部から両端部に向かって徐々に凹み139の平面視の面積が大きくなるように且つ互いの間隔が両端部に向かって徐々に狭くなるように(即ち、不規則的に)多数配置して形成しても良い。このようにすることで、現像スリーブ132の長手方向中央部から両端部に向かって徐々に凹み139の容積が大きくなり、現像ローラ115における長手方向の現像剤搬送量を均一にでき、そのため、画像の濃度ムラが生じることを防止できる。
【0099】
また、本発明では、図7に示すように、現像スリーブ132の長手方向中央部から両端部に向かって徐々に凹み139の単位面積当たりの個数が多くなるように、即ち、互いの間隔が両端部に向かって徐々に狭くなるように(即ち、不規則的に)多数配置して形成しても良い。このようにすることで、現像スリーブ132の長手方向中央部から両端部に向かって徐々に凹み139の容積が大きくなり、現像ローラ115における長手方向の現像剤搬送量を均一にでき、そのため、画像の濃度ムラが生じることを防止できる。また、本発明の目的に反しない限り、上述した凹み139の深さ、平面視の面積、及び、単位面積当たりの個数を、それぞれ適宜組み合わせた構成としても良い。
【0100】
以下に、本発明にかかる画像形成装置の一実施形態を、図21〜図23を参照して説明する。この画像形成装置のプロセスカートリッジが備える現像装置には、上述した現像スリーブ132を有する現像ローラが組み込まれている。
【0101】
画像形成装置101は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像則ちカラー画像を、一枚の転写材としての記録紙107(図21に示す)に形成する。なお、イエロー、マゼンダ、シアン、黒の各色に対応するユニットなどを、以下、符号の末尾に各々Y,M,C,Kを付けて示す。
【0102】
画像形成装置101は、図21に示すように、装置本体102と、給紙ユニット103と、レジストローラ対110と、転写ユニット104と、定着ユニット105と、複数のレーザ書き込みユニット122Y,122M,122C,122Kと、複数のプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kとを少なくとも備えている。
【0103】
装置本体102は、例えば、箱状に形成され、フロア上などに設置される。装置本体102は、給紙ユニット103と、レジストローラ対110と、転写ユニット104と、定着ユニット105と、複数のレーザ書き込みユニット122Y,122M,122C,122Kと、複数のプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kを収容している。
【0104】
給紙ユニット103は、装置本体102の下部に複数設けられている。給紙ユニット103は、前述した記録紙107を重ねて収容するとともに装置本体102に出し入れ自在な給紙カセット123と、給紙ローラ124とを備えている。給紙ローラ124は、給紙カセット123内の一番上の記録紙107に押し当てられている。給紙ローラ124は、前述した一番上の記録紙107を、転写ユニット104の後述する搬送ベルト129と、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kの後述する現像装置113の感光体ドラム108との間に送り出す。
【0105】
レジストローラ対110は、給紙ユニット103から転写ユニット104に搬送される記録紙107の搬送経路に設けられており、一対のローラ110a,110bを備えている。レジストローラ対110は、一対のローラ110a,110b間に記録紙107を挟み込み、該挟み込んだ記録紙107をトナー像に重ね合わせ得るタイミングで、転写ユニット104とプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kとの間に送り出す。
【0106】
転写ユニット104は、給紙ユニット103の上方に設けられている。転写ユニット104は、駆動ローラ127と、従動ローラ128と、搬送ベルト129と、転写ローラ130Y,130M,130C,130Kとを備えている。駆動ローラ127は、記録紙107の搬送方向の下流側に配置されており、駆動源としてのモータなどによって回転駆動される。従動ローラ128は、装置本体102に回転自在に支持されており、記録紙107の搬送方向の上流側に配置されている。搬送ベルト129は、無端環状に形成されており、前述した駆動ローラ127と従動ローラ128との双方に掛け渡されている。搬送ベルト129は、駆動ローラ127が回転駆動されることで、前述した駆動ローラ127と従動ローラ128との回りを図中半時計回りに循環(無端走行)する。
【0107】
転写ローラ130Y,130M,130C,130Kは、それぞれ、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kの感光体ドラム108との間に搬送ベルト129と該搬送ベルト129上の記録紙107とを挟む。転写ユニット104は、転写ローラ130Y,130M,130C,130Kが、給紙ユニット103から送り出された記録紙107を各プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kの感光体ドラム108の外表面に押し付けて、感光体ドラム108上のトナー像を記録紙107に転写する。転写ユニット104は、トナー像を転写した記録紙107を定着ユニット105に向けて送り出す。
【0108】
定着ユニット105は、転写ユニット104の記録紙107の搬送方向の下流に設けられ、互いの間に記録紙107を挟む一対のローラ105a,105bを備えている。定着ユニット105は、一対のローラ105a,105b間に転写ユニット104から送り出されてきた記録紙107を押圧加熱することで、感光体ドラム108から記録紙107上に転写されたトナー像を、該記録紙107に定着させる。
【0109】
レーザ書き込みユニット122Y,122M,122C,122Kは、それぞれ、装置本体102の上部に取り付けられている。レーザ書き込みユニット122Y,122M,122C,122Kは、それぞれ、一つのプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kに対応している。レーザ書き込みユニット122Y,122M,122C,122Kは、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kの後述の帯電ローラ109により一様に帯電された感光体ドラム108の外表面にレーザ光を照射して、静電潜像を形成する。
【0110】
プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kは、それぞれ、転写ユニット104と、レーザ書き込みユニット122Y,122M,122C,122Kとの間に設けられている。プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kは、装置本体102に着脱自在である。プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kは、記録紙107の搬送方向に沿って、互いに並設されている。
【0111】
プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kは、図22に示すように、カートリッジケース111と、帯電装置としての帯電ローラ109と、感光体ドラム(像担持体ともいう)108と、クリーニング装置としてのクリーニングブレード112と、現像装置113と、を備えている。このため、画像形成装置101は、帯電ローラ109と、感光体ドラム108と、クリーニングブレード112と、現像装置113と、を少なくとも備えている。
【0112】
カートリッジケース111は、装置本体102に着脱自在で、かつ帯電ローラ109と、感光体ドラム108と、クリーニングブレード112と、現像装置113と、を収容している。帯電ローラ109は、感光体ドラム108の外表面を一様に帯電する。感光体ドラム108は、現像装置113の後述する現像ローラ115と間隔をあけて配されている。感光体ドラム108は、軸芯を中心として回転自在な円柱状又は円筒状に形成されている。感光体ドラム108は、対応するレーザ書き込みユニット122Y,122M,122C,122Kにより、外表面上に静電潜像が形成される。感光体ドラム108は、外表面上に形成されかつ担持する静電潜像にトナーが吸着して現像し、こうして得られたトナー像を搬送ベルト129との間に位置付けられた記録紙107に転写する。クリーニングブレード112は、記録紙107にトナー像を転写した後に、感光体ドラム108の外表面に残留した転写残トナーを除去する。
【0113】
現像装置113は、図22に示すように、現像剤供給部114と、ケース125と、現像剤担持体としての現像ローラ115と、規制部材としてのドクタブレード116とを少なくとも備えている。
【0114】
現像剤供給部114は、収容槽117と、攪拌部材としての一対の攪拌スクリュー118と、を備えている。収容槽117は、感光体ドラム108と長さが略等しい箱状に形成されている。また、収容槽117内には、該収容槽117の長手方向に沿って延びた仕切壁119が設けられている。仕切壁119は、収容槽117内を第1空間120と、第2空間121とに区画している。また、第1空間120と第2空間121とは、両端部が互いに連通している。
【0115】
収容槽117は、第1空間120と第2空間121との双方に現像剤126を収容する。現像剤126は、トナーと、磁性キャリア(磁性粉ともいう)とを含んでいる。トナーは、第1空間120と、第2空間121とのうち現像ローラ115から離れた側の第1空間120の一端部に、適宜供給される。トナーは、乳化重合法又は懸濁重合法により製造された球状の微粒子である。なお、トナーは、種々の染料又は顔料を混入・分散した合成樹脂で構成される塊を粉砕して得られても良い。トナーの平均粒径は、3μm以上でかつ7μm以下である。また、トナーは、粉砕加工などにより形成されても良い。
【0116】
磁性キャリアは、第1空間120と第2空間121との双方に収容されている。磁性キャリアの平均粒径は、20μm以上でかつ50μm以下である。
【0117】
攪拌スクリュー118は、第1空間120と第2空間121それぞれに収容されている。攪拌スクリュー118の長手方向は、収容槽117、現像ローラ115及び感光体ドラム108の長手方向と平行である。攪拌スクリュー118は、軸芯周りに回転自在に設けられており、軸芯周りに回転することで、トナーと磁性キャリアとを攪拌するとともに、該軸芯に沿って現像剤126を搬送する。
【0118】
図示例では、第1空間120内の攪拌スクリュー118は、現像剤126を前述した一端部から他端部に向けて搬送する。第2空間121内の攪拌スクリュー118は、現像剤126を他端部から一端部に向けて搬送する。
【0119】
前述した構成によれば、現像剤供給部114は、第1空間120の一端部に供給されたトナーを、磁性キャリアと攪拌しながら、他端部に搬送し、この他端部から第2空間121の他端部に搬送する。そして、現像剤供給部114は、第2空間121内でトナーと磁性キャリアとを攪拌し、軸芯方向に搬送しながら、現像ローラ115の外表面に供給する。
【0120】
ケース125は、箱状に形成され、前述した現像剤供給部114の収容槽117に取り付けられて、該収容槽117とともに、現像ローラ115などを覆う。また、ケース125の感光体ドラム108と相対する部分には、開口部125aが設けられている。
【0121】
現像ローラ115は、円柱状に形成され、第2空間121と、感光体ドラム108との間でかつ前述した開口部125aの近傍に設けられている。現像ローラ115は、感光体ドラム108と収容槽117との双方と平行である。現像ローラ115は、感光体ドラム108と間隔をあけて配されている。現像ローラ115と感光体ドラム108との間の空間は、現像剤126のトナーを感光体ドラム108に吸着させて、静電潜像を現像してトナー像を得る現像領域131をなしている。現像領域131では、現像ローラ115と感光体ドラム108とが相対する。
【0122】
現像ローラ115は、図22及び図23に示すように、芯金134と、円筒状のマグネットローラ(磁石体ともいう)133と、上述した円筒状の現像スリーブ132とを備えている。芯金134は、長手方向が感光体ドラム108の長手方向と平行に配され、前述したケース125に回転することなく固定されている。
【0123】
マグネットローラ133は、磁性材料で構成され、かつ円筒状に形成されているとともに、図示しない複数の固定磁極が取り付けられている。マグネットローラ133は、芯金134の外周に軸芯回りに回転することなく固定されている。
【0124】
固定磁極は、長尺で棒状の磁石であり、マグネットローラ133に取り付けられている。固定磁極は、マグネットローラ133則ち現像ローラ115の長手方向に沿って延びており、該マグネットローラ133の全長に亘って設けられている。前述した構成のマグネットローラ133は、現像スリーブ132内に収容されている(内包されている)。
【0125】
一つの固定磁極は、前述した攪拌スクリュー118と相対している。該一つの固定磁極は、汲み上げ磁極をなしており、現像スリーブ132即ち現像ローラ115の外表面上に磁気力を生じて、収容槽117の第2空間121内の現像剤126を現像スリーブ132の外表面に吸着する。
【0126】
他の一つの固定磁極は、前述した感光体ドラム108と相対している。この固定磁極は、現像磁極をなしており、現像スリーブ132即ち現像ローラ115の外表面上に磁気力を生じて、現像スリーブ132と感光体ドラム108との間に磁界を形成する。この固定磁極は、該磁界によって磁気ブラシを形成することで、現像スリーブ132の外表面に吸着された現像剤126のトナーを感光体ドラム108に受け渡すようになっている。
【0127】
前述した汲み上げ磁極と現像磁極との間には、少なくとも一つの固定磁極が設けられている。この少なくとも一つの固定磁極は、現像スリーブ132即ち現像ローラ115の外表面上に磁気力を生じて、現像前の現像剤126を感光体ドラム108に向けて搬送するとともに、現像済みの現像剤126を感光体ドラム108から収容槽117内まで搬送する。
【0128】
前述した固定磁極は、現像スリーブ132の外表面に現像剤126を吸着すると、現像剤126の磁性キャリアが該固定磁極が生じる磁力線に沿って複数重ねさせて、該現像スリーブ132の外表面上に立設(穂立ち)させる。このように、磁性キャリアが磁力線に沿って複数重なって現像スリーブ132の外表面上に立設する状態を、磁性キャリアが現像スリーブ132の外表面上に穂立ちするという。すると、この穂立ちした磁性キャリアに前述したトナーが吸着する。則ち、現像スリーブ132は、マグネットローラ133の磁力により外表面に現像剤126を吸着する。
【0129】
ドクタブレード116は、現像装置113の感光体ドラム108寄りの端部に設けられている。ドクタブレード116は、現像スリーブ132の外表面と間隔をあけた状態で、前述したケース125に取り付けられている。ドクタブレード116は、所望の厚さを越える現像スリーブ132の外表面上の現像剤126を収容槽117内にそぎ落として、現像領域131に搬送される現像スリーブ132の外表面上の現像剤126を所望の厚さにする。
【0130】
前述した構成の現像装置113は、現像剤供給部114でトナーと磁性キャリアとを十分に攪拌し、この攪拌した現像剤126を固定磁極により現像スリーブ132の外表面に吸着する。そして、現像装置113は、現像スリーブ132が回転して、複数の固定磁極により吸着した現像剤126を現像領域131に向かって搬送する。現像装置113は、ドクタブレード116で所望の厚さになった現像剤126を感光体ドラム108に吸着させる。こうして、現像装置113は、現像剤126を現像ローラ115に担持し、現像領域131に搬送して、感光体ドラム108上の静電潜像を現像して、トナー像を形成する。
【0131】
そして、現像装置113は、現像済みの現像剤126を、収容槽117に向かって離脱させる。さらに、そして、収容槽117内に収容された現像済みの現像剤126は、再度、第2空間121内で他の現像剤126と十分に攪拌されて、感光体ドラム108の静電潜像の現像に用いられる。なお、現像装置113は、現像剤供給部114が例えば感光体ドラム108に供給されるトナーの濃度が低下したことを後述するトナー濃度センサが検知すると、撹拌スクリュー118の回転駆動によりトナーを現像ローラ115に向けて繰り出すようになっている。
【0132】
前述した構成の画像形成装置101は、以下に示すように、記録紙107に画像を形成する。まず、画像形成装置101は、感光体ドラム108を回転して、この感光体ドラム108の外表面を一様に帯電ローラ109により−700Vに帯電する。感光体ドラム108の外表面にレーザ光を照射して、感光体ドラム108を露光して、画像部分を−150Vに減衰させて、該感光体ドラム108の外表面に静電潜像を形成する。そして、静電潜像が現像領域131に位置付けられると、この静電潜像に−550Vの現像バイアス電圧を印加して、現像装置113の現像スリーブ132の外表面に吸着した現像剤126が感光体ドラム108の外表面に吸着して、静電潜像を現像し、トナー像を感光体ドラム108の外表面に形成する。
【0133】
そして、画像形成装置101は、給紙ユニット103の給紙ローラ124などにより搬送されてきた記録紙107が、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kの感光体ドラム108と転写ユニット104の搬送ベルト129との間に位置して、感光体ドラム108の外表面上に形成されたトナー像を記録紙107に転写する。画像形成装置101は、定着ユニット105で、記録紙107にトナー像を定着する。こうして、画像形成装置101は、記録紙107にカラー画像を形成する。
【0134】
一方、転写されずに感光体ドラム108上に残ったトナーはクリーニングブレード112によって回収される。残留トナーを除去された感光体ドラム108は図示しない除電ランプで初期化され、次回の画像形成プロセスに供される。
【0135】
また、前述した画像形成装置101では、環境変動や経時変動による画質の変動を抑えるために、プロセスコントロールを行なっている。具体的には、まず現像装置113における現像能力を検出する。例えば、あるトナーパターンの画像を、現像バイアス電圧を一定にした条件下で感光体ドラム108上に形成し、その画像濃度を図示しない光センサで検出し、濃度変化から現像能力を把握する。そして、この現像能力が所定の目標現像能力になるように、トナー濃度の目標値を変更することで、画質を一定に保つことができる。例えば、光センサで検出したトナーパターンの画像濃度が、目標現像濃度よりも薄い場合には、トナー濃度を高くするように、図示しない制御手段としてのCPUが撹拌スクリュー118を回転駆動するモータの駆動回路を制御する。一方、光センサで検出したトナーパターンの画像濃度が、目標現像濃度よりも薄い場合には、トナー濃度を低くするように、CPUが前述したモータの駆動回路を制御する。ここで、上記トナー濃度は図示しないトナー濃度センサで検知される。
【0136】
以上より、本実施形態によれば、現像ローラ115、現像装置113、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106K及び画像形成装置101は、上述した現像スリーブを備えているので、上記「残像現象」の回避及び現像剤126の搬送量の確保を両立でき、現像剤126の搬送量を低下させることなく画像の濃度ムラを防ぐことができる。
【0137】
前述した画像形成装置101では、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kはカートリッジケース111と帯電ローラ109と感光体ドラム108とクリーニングブレード112と現像装置113とを備えている。しかしながら、本発明ではプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kは少なくとも現像装置113を備えていれば良く、カートリッジケース111と帯電ローラ109と感光体ドラム108とクリーニングブレード112を必ずしも備えていなくても良い。また、前述した実施形態では画像形成装置101は装置本体102に着脱自在なプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kを備えている。しかしながら本発明では画像形成装置101は現像装置113を備えていれば良く、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kを必ずしも備えていなくても良い。
【0138】
次に、本発明者らは、以下に示す構成の異なる複数の現像スリーブを作製して上述した画像形成装置に組み込み、本発明の効果を確認するための評価を実施した。
【0139】
(実施例1)
円筒状のアルミニウム素管の外表面に、厚み0.5μmのta−C膜からなる低摩擦膜136を形成したのち、この低摩擦膜136の上から、直径が3mmで切削刃24の外縁25の曲率半径が0.2mmのエンドミル21を取り付けた上記表面処理装置1を用いて、現像スリーブ132の回転数を972rpm、エンドミル21の回転数を36000rpmとして切削加工を行い、長手方向ピッチが0.5mm、円周方向ピッチが0.27mm、長手方向長さが0.87mm、円周方向長さが0.24mm、深さ0.054mm、となる多数の凹み139を形成して、全長が366mm、外径が25mmで、外表面に平面視で楕円形状とした多数の凹み139が互いに重ならないように間隔をあけて規則的に設けられ、且つ、多数の凹み139の間の部分のみに低摩擦膜が設けられた、現像スリーブ132を得た。
【0140】
(実施例2)
厚み1.5μmのta−C膜からなる低摩擦膜136を形成した以外は、実施例1と同様にして、現像スリーブ132を得た。
【0141】
(実施例3)
厚み0.5μmのTiN膜からなる低摩擦膜136を形成した以外は、実施例1と同様にして、現像スリーブ132を得た。
【0142】
(比較例1)
円筒状のアルミニウム素管の外表面に、長手方向全長にわたり深さ0.2mmのV字型の溝を周方向に間隔をあけて50本形成して、全長が366mm、外径が25mmの現像スリーブを得た。
【0143】
(比較例2)
円筒状のアルミニウム素管の外表面に、厚み0.5μmのta−C膜からなる低摩擦膜136を形成したのち、V字型の溝を形成した以外は、比較例1と同様にして現像スリーブを得た。
【0144】
(比較例3)
円筒状のアルミニウム素管の外表面に、実施例1と同様の切削加工を行ったのち、実施例1と同様に厚み0.5μmのta−C膜からなる低摩擦膜136を形成して、全長が366mm、外径が25mmで、外表面に平面視で楕円形状とした多数の凹み139が互いに重ならないように間隔をあけて規則的に設けられ、且つ、凹み139を含む外表面全体に低摩擦膜が設けられた、現像スリーブを得た。
【0145】
これら実施例1〜3、比較例1〜3を上述した画像形成装置1に組み込んで、ベタ画像を記録紙上に形成した。画像形成に用いた現像剤は、フェライトを芯材として帯電調整剤を含有した樹脂コート層を有する平均体積粒径が35μmの磁性粒子と、乳化重合法により製造され、ポリエステルを主成分として帯電制御剤、色剤を混合し、その周りにシリカや酸化チタン等を外添した、平均体積粒径が5μmのトナーと、により構成されている。トナー濃度は7wt%に調整してヘンシェルミキサーで混合したものを用いた。また、画像形成のプロセス条件は、感光体表面電位を−700V、露光電位を−150V、現像バイアス電圧を−550Vとした。
【0146】
各現像スリーブについてベタ画像を10枚形成し、現像スリーブの最初の一周に相当する領域(第1領域)について分光濃度計による濃度測定を3箇所行い、現像スリーブの最初の一周以降に相当する領域(第2領域)について分光濃度計による濃度測定を3箇所行った。そして、これら第1領域と第2領域とについて測定した濃度を用い、以下に示すように各評価を行った。
【0147】
(画像濃度評価)
第1領域及び第2領域について測定した濃度の平均値(即ち、第1領域と第2領域とを合わせた濃度の平均値)を算出して、この平均値について以下の評価基準に基づき評価を行った。
○・・・測定した濃度の平均値が、基準値(1.3)以上である。
×・・・測定した濃度の平均値が、基準値(1.3)未満である。
【0148】
(濃淡ムラ評価)
第1領域について測定した濃度の平均値と、第2領域について測定した濃度の平均値と、の差分値を算出して、この差分値について以下の評価基準に基づき評価を行った。
○・・・濃度の平均値の差分値が、基準値(0.03)未満である。
×・・・濃度の平均値の差分値が、基準値(0.03)以上である。
【0149】
(ピッチムラ評価)
10枚のベタ画像を目視により確認して、以下の評価基準に基づき評価を行った。
○・・・ピッチムラが確認されたベタ画像がない。
×・・・ピッチムラが確認されたベタ画像が1枚以上あった。
【0150】
上記各評価の結果を表1に示す。
【0151】
【表1】

【0152】
実施例1と比較例3、4との評価結果を比べると、実施例1では、画像濃度及び濃淡ムラそれぞれについて良好な評価結果が得られたのに対し、比較例3では、画像濃度については良好であるものの、濃淡ムラ(即ち、「残像現象」)が生じており、比較例4では、濃淡ムラについては良好であるものの、画像濃度については必要な濃度が得られなかった。この評価結果から、低摩擦膜を設けることにより、濃淡ムラについては防ぐことができるが、凹み内にまで低摩擦膜を設けてしまうと、必要な画像濃度が得られなくなることが判った。これは、低摩擦膜を設けることで、前回の画像形成に用いた現像剤が現像スリーブの外表面上に残留してしまうことがなくなり、そのため、濃淡ムラを防ぐことができるものと推測され、また、凹み内に低摩擦膜を設けると、凹みでの摩擦力が低下して当該凹みから現像剤が脱落してしまい、これにより、現像剤の搬送量が低下してしまい、画像濃度が薄くなってしまうものと推測される。また、実施例1と比較例1、2との評価結果を比べても、上記と同様に、低摩擦膜を設けることにより、濃淡ムラについては防ぐことができることが判った。また、比較例1、2はともにピッチムラが生じているので、現像スリーブの外表面に、V溝に代えて多数の凹みを設けることでピッチムラを防げることが判った。また、実施例2、3の評価結果から、低摩擦膜の膜厚を変更しても同様の効果が得られ、また、低摩擦膜の構成を、ta−CからTiNに変更しても同様の効果が得られることが判った。
【0153】
つまり、上記評価結果からも、本発明によれば、上記「残像現象」の回避及び現像剤の搬送量の確保を両立でき、現像剤の搬送量を低下させることなく画像の濃度ムラを防ぐことができることが確認できた。
【0154】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0155】
1 表面処理装置
21 エンドミル(回転工具)
101 画像形成装置
106Y,106M,106C,106K プロセスカートリッジ
108 感光体ドラム(感光体)
109 帯電ローラ(帯電装置)
113 現像装置
115 現像ローラ
126 現像剤
132 現像スリーブ
133 マグネットローラ
136 低摩擦膜
139 凹み
【先行技術文献】
【特許文献】
【0156】
【特許文献1】特開2003−255692号公報
【特許文献2】特開2004−191835号公報
【特許文献3】特開2007−86091号公報
【特許文献4】特開2009−80447号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視で円形又は楕円形状とした多数の凹みを互いに重ならないように間隔をあけて規則的に又は不規則的に外表面に設けた金属で構成された現像スリーブにおいて、
前記現像スリーブの外表面における前記多数の凹みの間の部分のみに低摩擦膜が設けられていることを特徴とする現像スリーブ。
【請求項2】
前記低摩擦膜が、テトラヘデラルアモルファスカーボンで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の現像スリーブ。
【請求項3】
前記低摩擦膜が、窒化チタンで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の現像スリーブ。
【請求項4】
マグネットローラと、前記マグネットローラを内包していて該マグネットローラの磁力により外表面に現像剤を吸着するようにした現像スリーブと、を備えた現像ローラにおいて、
前記現像スリーブが、請求項1〜3のいずれか一項に記載した現像スリーブで構成されていることを特徴とする現像ローラ。
【請求項5】
外表面に現像剤を吸着する現像スリーブを有した現像ローラを備えた現像装置において、
前記現像ローラが、請求項4に記載の現像ローラで構成されていることを特徴とする現像装置。
【請求項6】
現像装置を少なくとも有するプロセスカートリッジにおいて、前記現像装置が、請求項5に記載の現像装置で構成されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項7】
感光体ドラムと、帯電装置と、現像装置と、を少なくとも有する画像形成装置において、
前記現像装置が、請求項5に記載の現像装置で構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
金属で構成された円筒状の基材の外表面上に低摩擦膜を形成する成膜工程と、
前記低摩擦膜が形成された前記外表面に、平面視で円形又は楕円形状とした多数の凹みを互いに重ならないように間隔をあけて規則的に又は不規則的に切削成形する切削工程と、
を順次有していることを特徴とする現像スリーブの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2012−168225(P2012−168225A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26851(P2011−26851)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】