説明

現像ローラおよびそれを備えた画像形成装置

【課題】圧縮永久歪み性能及び高温高湿環境下での長時間使用時における耐トナー融着性に優れた現像ローラを提供する。
【解決手段】シャフト2と、該シャフト2の外周に形成された弾性層3と、該弾性層3の外周面に形成された表面被覆層4とを備えた現像ローラ1において、前記表面被覆層4がラクトン変性ポリオールをポリイソシアネートで架橋したウレタン樹脂を含み、前記ラクトン変性ポリオールのゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が1000〜5000であり、かつ前記ラクトン変性ポリオールのゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)が2.5以下であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像ローラ及びそれを備えた画像形成装置に関し、特に圧縮永久歪み性能及び高温高湿環境下での長時間使用時における耐トナー融着性に優れ、更には良好な画像が得られる現像ローラと、該現像ローラを備え、良好な画像を形成することが可能な画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ等の電子写真方式の画像形成装置においては、潜像を保持した感光ドラムにトナーを供給し、感光ドラムの潜像にトナーを付着させて潜像を可視化する現像方法として、加圧現像法が知られている。該加圧現像法においては、例えば、感光ドラムを一定電位に帯電した後、露光機により感光ドラム上に静電潜像を形成し、更に、トナーを担持した現像ローラを、静電潜像を保持した感光ドラムに接触させて、トナーを感光ドラムの潜像に付着させることで現像を行う。
【0003】
上記加圧現像法において、現像ローラは、感光ドラムに密着した状態を確実に保持しながら回転しなければならないため、金属等の良導電性材料からなるシャフトの外周に、ポリウレタン、シリコーンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、エピクロロヒドリンゴム(ECO)等のエラストマーにカーボンブラックや金属粉を分散させた半導電性の弾性体やこれらを発泡させた発泡体からなる半導電性弾性層を形成した構造となっている。また、トナーに対する帯電性や付着性の制御、弾性層による感光ドラムの汚染の防止等を目的として、上記弾性層の表面に、更に表面被覆層を形成する場合がある。
【0004】
一方、近年、画像形成装置のカラー化、高速化、高画質化、省エネルギー化に伴い、低融点のトナーを使用した画像形成装置が増えつつある。ここで、低融点のトナーを使用する場合、該低融点のトナーが、各部品間で圧縮又は摩擦を繰り返し受けることによりダメージを受けて、トナーが凝集・融着する等して、かぶり等の画像不良が発生し易くなる。即ち、トナーカートリッジの寿命終了時にはトナーが劣化して、帯電性が不均一になるため、画像不良が発生したり、寿命が短くなるという問題がある。そのため、トナーにダメージを与え難い低硬度の現像ローラが求められており、例えば、基材(弾性層)を軟らかくした現像ローラ(特許文献1)やアジピン酸エステル化合物を可塑剤として配合することによって塗膜(表面被覆層)を軟らかくした現像ローラが知られている(特許文献2)。
【0005】
【特許文献1】特開2003−15404号公報
【特許文献2】特開2005−128067号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、低硬度の材料は、圧縮永久歪が大きくなる傾向があるため、従来、硬度及び圧縮永久歪の両方を十分に低くバランスすることが非常に難しかった。また、アジピン酸エステル化合物を可塑剤として配合した塗膜を使用した場合、塗膜が軟らかくなるものの、圧縮永久歪み性能が悪化することに加えて、高湿高温環境下で長時間使用した際にトナーの融着を引き起こし、画像上に縦スジが生じるなどの問題があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、特に圧縮永久歪み性能及び高湿高温環境下での長時間使用時における耐トナー融着性に優れ、更には良好な画像が得られる現像ローラを提供することにある。また、本発明の他の目的は、かかる現像ローラを備え、良好な画像を形成することが可能な画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、弾性層と該弾性層上に形成された表面被覆層を備えた現像ローラにおいて、前記表面被覆層に特定のラクトン変性ポリオールをポリイソシアネートで架橋したウレタン樹脂を用いることによって、現像ローラの硬度及び圧縮永久歪みを十分に小さくして、トナーを劣化させ難くするのに加えて、高湿高温環境下での長時間使用時における耐トナー融着性を向上させることができ、更に、該現像ローラを組み込むことで、良好な画像を安定して形成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明の現像ローラは、シャフトと、該シャフトの外周に形成された弾性層と、該弾性層の外周面に形成された表面被覆層とを備えた現像ローラにおいて、
前記表面被覆層が、ラクトン変性ポリオールをポリイソシアネートで架橋したウレタン樹脂を含み、前記ラクトン変性ポリオールのゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が1000〜5000であり、かつ前記ラクトン変性ポリオールのゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)が2.5以下であることを特徴とする。
【0010】
本発明の現像ローラの好適例においては、前記弾性層がポリウレタンからなることを特徴とする。
【0011】
本発明の現像ローラの他の好適例においては、前記弾性層が発泡体からなることを特徴とする。
【0012】
本発明の現像ローラの他の好適例においては、前記発泡体の気泡が独立気泡であることを特徴とする。
【0013】
本発明の現像ローラの他の好適例においては、前記ポリイソシアネートがヌレート変性ヘキサメチレンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネートの少なくとも一方を含むことを特徴とする。
【0014】
本発明の現像ローラの他の好適例においては、前記ラクトン変性ポリオールの水酸基(OH)に対する前記ポリイソシアネートのイソシアネート基(NCO)のモル比([NCO]/[OH])が1.0〜2.5であることを特徴とする。
【0015】
本発明の現像ローラの他の好適例においては、前記表面被覆層が、前記ラクトン変性ポリオール100質量部に対して、カーボンブラックを5〜35質量部含有することを特徴とする。
【0016】
本発明の現像ローラの他の好適例においては、前記表面被覆層の25℃の貯蔵弾性率(E’)が3〜50MPa以下であることを特徴とする。
【0017】
本発明の現像ローラの他の好適例においては、前記弾性層と前記表面被覆層との間に中間層が形成されていることを特徴とする。
【0018】
本発明の現像ローラの他の好適例においては、表面のJIS 10点平均粗さ(Rz)が3〜10μmであることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の画像形成装置は、上記現像ローラを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、感光ドラムを汚染することなく、トナーを劣化させず、圧縮永久歪みが小さく、高温高湿環境下での長時間使用時における耐トナー融着性に優れた現像ローラを提供することができるという有利な効果を奏する。また、該現像ローラを備え、良好な画像を形成することが可能な画像形成装置を提供することができるという有利な効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
<現像ローラ>
以下に、本発明の現像ローラを、図を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の現像ローラの一例の断面図である。図示例の現像ローラ1は、シャフト2と、該シャフト2の外周に形成された弾性層3と、該弾性層3の外周面に形成された表面被覆層4とを備える。図中、表面被覆層4は一層よりなるが、本発明の現像ローラの表面被覆層4は、二層以上から構成されていてもよい。本発明の現像ローラにおいては、弾性層3の外周面に表面被覆層4が配設されているため、弾性層3から染み出した汚染物質が感光ドラムを汚染するのを十分に防止することができる。
【0022】
本発明の現像ローラは、前記表面被覆層4が、ラクトン変性ポリオールをポリイソシアネートで架橋したウレタン樹脂を有し、前記ラクトン変性ポリオールのゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が1000〜5000であり、かつ前記ラクトン変性ポリオールのゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)が2.5以下であることを特徴とする。表面被覆層4が上記のような特定の数平均分子量(Mn)と分子量分布(Mw/Mn)を有するラクトン変性ポリオールをポリイソシアネートで架橋したウレタン樹脂を含むことで、現像ローラの硬度が低下して、トナーにダメージを与えることがなくなり、更に、現像ローラの圧縮永久歪が低減され、高温高湿環境下での長時間使用時における耐トナー融着性が向上し、良好な画像を形成することが可能となる。
【0023】
本発明の現像ローラのシャフト2としては、良好な導電性を有する限り特に制限はなく、例えば、鉄、ステンレススチール、アルミニウム等の金属製の中実体からなる芯金や、内部を中空にくりぬいた金属製円筒体等の金属製シャフト、或いは良導電性のプラスチック製シャフト等を用いることができる。
【0024】
本発明の現像ローラの弾性層3は、エラストマーから形成され、必要に応じて導電剤等の他の成分を含むことができる。該弾性層3に用いるエラストマーとしては、ポリウレタン、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ポリノルボルネンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム(ECO)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)及びこれらの混合物等が挙げられ、これらの中でも、ポリウレタンが好ましい。上記弾性層3には、上記エラストマーを非発泡体として用いてもよいが、上記エラストマーを発泡剤を用いて化学的に発泡させたり、ポリウレタンフォームのように空気を機械的に巻き込んで発泡させる等して、上記エラストマーを発泡体として用いることが好ましい。ここで、弾性層3が発泡体からなる場合、その発泡倍率は1.5〜50倍の範囲が好ましく、密度は0.05〜0.9g/cm3の範囲が好ましい。
【0025】
また、上記弾性層3に上記エラストマーの発泡体を用いることが好ましく、更に、発泡体の気泡を独立気泡とすることで、圧縮永久歪性能が向上する点から、該発泡体中の気泡は独立気泡であることが好適である。ここで、発泡体の気泡を独立気泡とするには、上記エラストマーの原料を機械撹拌発泡して発泡体とする手法が好適に採用される。
【0026】
上記弾性層3に用いることができる導電剤としては、電子導電剤、イオン導電剤等が挙げられる。電子導電剤としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等の導電性カーボン、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボンブラック、酸化処理等を施したカラー用カーボンブラック、熱分解カーボンブラック、天然グラファイト、人造グラファイト、アンチモンドープ酸化スズ、ITO、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物、ニッケル、銅、銀、ゲルマニウム等の金属、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等の導電性ポリマー、カーボンウィスカー、黒鉛ウィスカー、炭化チタンウィスカー、導電性チタン酸カリウムウィスカー、導電性チタン酸バリウムウィスカー、導電性酸化チタンウィスカー、導電性酸化亜鉛ウィスカー等の導電性ウィスカー等が挙げられる。上記電子導電剤の配合量は、上記エラストマー100質量部に対して1〜50質量部の範囲が好ましく、5〜40質量部の範囲が更に好ましい。
【0027】
また、上記イオン導電剤としては、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、変性脂肪酸ジメチルエチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、エチル硫酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩等のアンモニウム塩;リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、トリフルオロメチル硫酸塩、スルホン酸塩等が挙げられる。上記イオン導電剤の配合量は、上記エラストマー100質量部に対して0.01〜10質量部の範囲が好ましく、0.05〜5質量部の範囲が更に好ましい。上記導電剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、電子導電剤とイオン導電剤とを組み合わせてもよい。
【0028】
上記弾性層3は、上記導電剤の配合により、その抵抗値を103〜1010Ωcmとすることが好ましく、104〜108Ωcmとすることが更に好ましい。弾性層3の抵抗値が103Ωcm未満では、電荷が感光ドラム等にリークしたり、電圧により現像ローラ自体が破壊する場合があり、1010Ωcmを超えると、地かぶりが発生しやすくなる。
【0029】
上記弾性層3は、必要に応じて上記エラストマーをゴム状物質とするために、有機過酸化物等の架橋剤、硫黄等の加硫剤を含有してもよく、更に加硫助剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫遅延剤等を含有してもよい。また、上記弾性層3は、更に、充填剤、しゃく解剤、発泡剤、可塑剤、軟化剤、粘着付与剤、粘着防止剤、分離剤、離型剤、増量剤、着色剤等のゴム用配合剤を含有してもよい。
【0030】
本発明の現像ローラの表面被覆層4は、ラクトン変性ポリオールをポリイソシアネートで架橋したウレタン樹脂を主として含み、必要に応じて導電剤等の他の成分を含む。上記ラクトン変性ポリオールは、ポリオールの末端をε-カプロラクトン等のラクトンで変性して製造することができ、市販品を利用することもできる。ここで、本発明においては、上記ラクトン変性ポリオールのゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が1000〜5000であり、かつ前記ラクトン変性ポリオールのゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)が2.5以下であることを要する。ラクトン変性ポリオールの数平均分子量(Mn)が1000未満であると、現像ローラの硬度が上がり、高温高湿環境下での長時間使用時における耐トナー融着性が劣化する恐れがあり、5000を越えると、架橋度が低くなり、そのため圧縮永久歪が悪くなる恐れがある。また、上記分子量分布(Mw/Mn)が2.5を越えると、圧縮永久歪み性能及び耐トナー融着性が劣化し、地かぶりが発生しやすくなる。なお、圧縮永久歪性能と耐トナー融着性を両立させるという観点から、上記ラクトン変性ポリオールの数平均分子量(Mn)は、1000〜3000であることが好ましく、上記分子量分布(Mw/Mn)は、2.0以下が好ましい。
【0031】
上記ラクトンで変性されるポリオールとしては、グリセリン等にエチレンオキシドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加重合させたポリエーテルポリオール、ポリテトラメチレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、ポリエステルポリオール等が挙げられる。
【0032】
また、上記ラクトン変性ポリオールを架橋するポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製ジフェニルメタンジイソシアネート(クルードMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ヌレート変性ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。これらポリイソシアネートは、1種単独で用いてもよいが、2種以上を混合して用いることが好ましい。また、表面被覆層の低硬度化と圧縮永久歪性能を両立させるという観点から、本発明に用いるポリイソシアネートには、ヌレート変性ヘキサメチレンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネートの少なくとも一方が含まれていることが好ましい。
【0033】
上記表面被覆層4は、更に、上記ラクトン変性ポリオールとポリイソシアネートとの架橋反応を促進するための触媒を含むことができる。該触媒としては、例えば、ジブチルスズジラウレート,ジブチルスズジアセテート,ジブチルスズチオカルボキシレート,ジブチルスズジマレエート,ジオクチルスズチオカルボキシレート,オクテン酸スズ等の有機スズ化合物;オクテン酸鉛等の有機鉛化合物;トリエチルアミン,ジメチルシクロヘキシルアミン等のモノアミン類;テトラメチルエチレンジアミン,テトラメチルプロパンジアミン,テトラメチルヘキサンジアミン等のジアミン類;ペンタメチルジエチレントリアミン,ペンタメチルジプロピレントリアミン,テトラメチルグアニジン等のトリアミン類;トリエチレンジアミン,ジメチルピペラジン,メチルエチルピペラジン,メチルモルホリン,ジメチルアミノエチルモルホリン,ジメチルイミダゾール等の環状アミン類;ジメチルアミノエタノール,ジメチルアミノエトキシエタノール,トリメチルアミノエチルエタノールアミン,メチルヒドロキシエチルピペラジン,ヒドロキシエチルモルホリン等のアルコールアミン類;ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル,エチレングリコールビス(ジメチル)アミノプロピルエーテル等のエーテルアミン類等が挙げられる。これら触媒の中でも、有機スズ化合物が好ましい。これら触媒は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。上記触媒の使用量は、上記ラクトン変性ポリオール100質量部に対して0.001〜2.0質量部の範囲が好ましい。
【0034】
また、本発明においては、高温高湿下での感光体への汚染防止の観点から、前記ラクトン変性ポリオールの水酸基(OH)に対する前記イソシアネート化合物のイソシアネート基(NCO)のモル比([NCO]/[OH])が1.0〜2.5であることが好ましく、1.2〜2.0であることがより好ましい。
【0035】
上記表面被覆層4には、その導電性を制御する目的で導電剤を配合することができ、該導電剤としては、上記弾性層3に用いられる導電剤として例示したものと同様のものを例示することができる。ここで、表面被覆層4における導電剤の配合量は、イオン導電剤の場合には、表面被覆層4を構成する上記ウレタン樹脂100質量部に対し20質量部以下が好ましく、0.01〜20質量部の範囲が更に好ましく、1〜10質量部の範囲がより一層好ましく、一方、電子導電剤の場合には、表面被覆層4を構成する上記ウレタン樹脂100質量部に対し1〜70質量部の範囲が好ましく、5〜50質量部の範囲が更に好ましい。なお、本発明においては、様々な環境下における導電性の安定という観点から、導電剤としてカーボンブラックを使用し、該カーボンブラックの配合量が上記ラクトン変性ポリオール100質量部に対して5〜35質量部であることが好ましく、10〜30質量部であることがより好ましい。上記表面被覆層4は、上記導電剤の添加により、体積抵抗値が103〜1010Ω・cmの範囲になるように調整されることが好ましく、104〜108Ω・cmの範囲になるように調整されることが更に好ましい。
【0036】
上記表面被覆層4の厚さは、特に制限されるものではないが、30μm以下であることが好ましく、1〜15μmの範囲が更に好ましい。表面被覆層4の厚さが30μmを超えると、表面被覆層4が硬くなって柔軟性が損なわれる場合があり、耐久性が低下して使用によりクラックが発生したり、トナーにダメージを与えて感光ドラムや成層ブレードへのトナーの固着が発生して画像不良となるおそれがある。
【0037】
また、本発明においては、表面被覆層の低硬度化により、トナーへのダメージを防止するという観点から、上記表面被覆層4の25℃の貯蔵弾性率(E')が3〜50MPaであることが好ましく、5〜40MPaであるのがより好ましい。
【0038】
上記表面被覆層4の形成方法は、特に限定されるものではなく、表面被覆層4を構成する各成分を含む塗料を調製し、該塗料をディッピング法やスプレー法、或いはロールコート法により塗布し、乾燥する方法が好ましく用いられる。
【0039】
図示例の現像ローラ1においては、弾性層3の上に表面被覆層4が配設されているが、弾性層3と表面被覆層4との間に中間層を形成してもよい。このような中間層を形成することによって、例えば中間被覆層を表面被覆層より軟らかくすることができ、トナーへのダメージを大きく改善することができる。
【0040】
本発明の現像ローラの表面粗さは、JIS 10点平均粗さ(Rz)が3〜10μmであることが好ましい。現像ローラのJIS 10点平均粗さ(Rz)が3μm未満であると、トナーの搬送量が足りず、適正な画像濃度を形成できず、10μmを超えると、トナー搬送量が増加する傾向があるものの、トナーの帯電量が不足し、画像に地カブリや階調不良を発生させてしまう。
【0041】
本発明の現像ローラの抵抗値は、特に制限されるものではないが、良好な画像を得るために電気抵抗が103〜1010Ωであることが好ましく、104〜108Ωであることが更に好ましい。現像ローラの抵抗値が103Ω未満であると、階調性コントロールが著しく困難となり、また感光ドラムに欠陥があった場合バイアスリークが生じることもある。一方、抵抗値が1010Ωを超えると、例えばトナーを感光ドラムに現像する場合、現像バイアスが現像ローラ自体の高抵抗のために電圧降下を起こし、現像に十分な現像バイアスが確保できなくなって、十分な画像濃度が得られなくなってしまう。なお、抵抗値の測定は、例えば、平板又は円筒状の対極に現像ローラの外周面を所定圧力で押し当て、シャフトと対極との間に100Vの電圧を印加し、その際の電流値から求めることができる。このように、現像ローラの抵抗値を適正かつ均一に制御することにより、トナーが移動するための電界強度を適正かつ均一に保つことができる。
【0042】
本発明の現像ローラは、アスカーC硬度が60°以下であることが好ましい。アスカーC硬度が60°以下の低硬度な現像ローラであれば、画像形成装置に組み込んだ場合に、現像ローラと、感光ドラム、ブレード及びトナー供給ローラ等との間でトナーが損傷を受けるのを防止して、十分に良好な画像を形成することができる。
【0043】
<画像形成装置>
本発明の画像形成装置は、感光ドラムを汚染することがなく、トナーを劣化させず、圧縮永久歪が小さい上述の現像ローラを備えることを特徴とし、かぶり等の画像不良を発生することがなく、良好な画像を安定して形成することができる。本発明の画像形成装置は、上記現像ローラを用いる以外、特に制限はなく、公知の方法で製造することができる。
【0044】
以下に、図を参照して本発明の画像形成装置を詳細に説明する。図2は、本発明の画像形成装置の一例の部分断面図である。図示例の画像形成装置は、トナー5を供給するためのトナー供給ローラ6と、静電潜像を保持した感光ドラム7と、トナー供給ローラ6と感光ドラム7との間に配置された上述の現像ローラ1と、現像ローラ1の近傍(図では上部)に設けられた成層ブレード8と、感光ドラム7の近傍(図では上方)に位置する帯電ローラ9と、感光ドラム7の近傍(図では下方)に位置する転写ローラ10と、感光ドラム7に隣接して設けられたクリーニング部11とを備える。なお、本発明の画像形成装置は、更に画層形成装置に通常用いられる公知の部品(図示せず)を備えることができる。
【0045】
図示例の画像形成装置においては、帯電ローラ9によって、感光ドラム7が一定電位に帯電した後、露光機(図示せず)により静電潜像が感光ドラム7上に形成される。次に、トナー供給ローラ6と、現像ローラ1と、感光ドラム7とが、図中の矢印方向に回転することで、トナー供給ローラ6上のトナー5が現像ローラ1を経て感光ドラム7に送られる。現像ローラ1上のトナー5は、成層ブレード8により、均一な薄層に整えられ、現像ローラ1と感光ドラム7とが接触しながら回転することにより、トナー5が現像ローラ1から感光ドラム7の静電潜像に付着し、該潜像が可視化する。潜像に付着したトナー5は、転写ローラ10で紙等の記録媒体に転写され、また、転写後に感光ドラム7上に残留するトナー5は、クリーニング部11のクリーニングブレード12によって除去される。ここで、本発明の画像形成装置においては、現像ローラ1に、上述した感光ドラムを汚染することがなく、トナーを劣化させず、圧縮永久歪が小さく、高温高湿環境下での長時間使用時における耐トナー融着性に優れる本発明の現像ローラを用いることで、良好な画像を安定して形成することが可能となる。
【0046】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0047】
(ローラ本体の作製)
トリレンジイソシアネート(TDI)とポリエーテルポリオールとから合成したウレタンプレポリマー100質量部と、アセチレンブラック2質量部とを混合して、アセチレンブラックが分散したウレタンプレポリマーを調製し、これをA成分とした。一方、ポリエーテルポリオール30質量部と、過塩素酸ナトリウム(NaClO4)0.1質量部とを70℃に加熱しながら混合し、更にポリエーテル変性シリコーンオイル(整泡剤)4.5質量部と、ジブチルスズジラウレート(触媒)0.2質量部とを混合して混合物を調製し、これをB成分とした。次に、上記A成分とB成分とをメカニカルフロス法により発泡させて、更に、芯金をセットした円筒形状の金型に注入し、RIM成形によって、発泡ポリウレタンからなる弾性層を有するローラ本体を作製した。
【0048】
(実施例1)
ラクトン変性ポリオール(ダイセル化学工業製、PCL210N:Mn=1000、Mw/Mn=1.7)100質量部と、カーボンブラック30質量部と、ウレタン粒子(根上工業製アートパールC800、平均粒径8.8μm)10質量部とをメチルエチルケトン(MEK)500質量部に分散させ、次にイソシアネート硬化剤(日本ポリウレタン製コロネートHx:NCO%=21%)40質量部([NCO]/[OH]のモル比=1.0)を添加し、撹拌モータで30分間撹拌し、表面被覆用塗料を調製した。得られた塗料を上記発泡ウレタンからなる弾性層を有するローラ本体の外周に塗布し、表面被覆層を形成して、現像ローラを作製した。
【0049】
(実施例2)
ラクトン変性ポリオール(ダイセル化学工業製、PCL230:Mn=3000、Mw/Mn=2.1)100質量部と、カーボンブラック30質量部と、ウレタン粒子(綜研化学製MX1000、平均粒径10.0μm)10質量部とをMEK500質量部に分散させ、次にイソシアネート硬化剤(日本ポリウレタン製コロネートHx:NCO%=21%)15質量部([NCO]/[OH]のモル比=1.0)を添加し、撹拌モータで30分間撹拌し、表面被覆用塗料を調製した。このようにして得られた塗料を実施例1の塗料の代わりに用いて、現像ローラを作製した。
【0050】
(実施例3)
ラクトン変性ポリオール(ダイセル化学工業製、試作PCL250B:Mn=5000、Mw/Mn=2.3)100質量部と、カーボンブラック30質量部と、ウレタン粒子(根上工業製アートパールC800、平均粒径8.8μm)10質量部とをMEK500質量部に分散させ、次にイソシアネート硬化剤(日本ポリウレタン製コロネートHx:NCO%=21%)8質量部([NCO]/[OH]のモル比=1.0)を添加し、撹拌モータで30分間撹拌し、表面被覆用塗料を調製した。このようにして得られた塗料を実施例1の塗料の代わりに用いて、現像ローラを作製した。
【0051】
(実施例4)
ラクトン変性ポリオール(ダイセル化学工業製、試作PCL250B:Mn=5000、Mw/Mn=2.3)100質量部と、カーボンブラック30質量部と、ウレタン粒子(大日本インキ化学工業製バーノックCFB101−40、平均粒径14μm)10質量部とをMEK500質量部に分散させ、次にイソシアネート硬化剤(日本ポリウレタン製コロネートHx:NCO%=21%)20質量部([NCO]/[OH]のモル比=2.5)を添加し、撹拌モータで30分間撹拌し、表面被覆用塗料を調製した。このようにして得られた塗料を実施例1の塗料の代わりに用いて、現像ローラを作製した。
【0052】
(実施例5)
ラクトン変性ポリオール(ダイセル化学工業製、PCL210N:Mn=1000、Mw/Mn=1.7)100質量部と、カーボンブラック30質量部と、ウレタン粒子(根上工業製アートパールC800、平均粒径8.8μm)10質量部とをMEK500質量部に分散させ、次にイソシアネート硬化剤(三井武田ケミカル製D−140N:NCO%=10.5%)80質量部([NCO]/[OH]のモル比=1.0)を添加し、撹拌モータで30分間撹拌し、表面被覆用塗料を調製した。このようにして得られた塗料を実施例1の塗料の代わりに用いて、現像ローラを作製した。
【0053】
(実施例6)
ラクトン変性ポリオール(ダイセル化学工業製、PCL230:Mn=3000、Mw/Mn=2.1)100質量部と、カーボンブラック30質量部と、ウレタン粒子(綜研化学製MX1000、平均粒径10.0μm)10質量部とをMEK500質量部に分散させ、次にイソシアネート硬化剤(三井武田ケミカル製D−140N:NCO%=10.5%)30質量部([NCO]/[OH]のモル比=1.0)を添加し、撹拌モータで30分間撹拌し、表面被覆用塗料を調製した。ここのようにして得られた塗料を実施例1の塗料の代わりに用いて、現像ローラを作製した。
【0054】
(実施例7)
ラクトン変性ポリオール(ダイセル化学工業製、試作PCL250B:Mn=5000、Mw/Mn=2.3)100質量部と、カーボンブラック30質量部と、ウレタン粒子(根上工業製アートパールC800、平均粒径8.8μm)10質量部とをMEK500質量部に分散させ、次にイソシアネート硬化剤(三井武田ケミカル製D−140N:NCO%=10.5%)16質量部([NCO]/[OH]のモル比=1.0)を添加し、撹絆モータで30分間撹拌し、表面被覆用塗料を調製した。このようにして得られた塗料を実施例1の塗料の代わりに用いて、現像ローラを作製した。
【0055】
(実施例8)
ラクトン変性ポリオール(ダイセル化学工業製、試作PCL250B:Mn=5000、Mw/Mn=2.3)100質量部と、カーボンブラック30質量部と、ウレタン粒子(大日本インキ化学工業製バーノックCFB101−40、平均粒径14μm)10質量部とをMEK500質量部に分散させ、次にイソシアネート硬化剤(三井武田ケミカル製D−140N:NCO%=10.5%)40質量部([NCO]/[OH]のモル比=2.5)を添加し、撹拌モータで30分間撹拌し、表面被覆用塗料を調製した。このようにして得られた塗料を実施例1の塗料の代わりに用いて、現像ローラを作製した。
【0056】
(実施例9)
ラクトン変性ポリオール(ダイセル化学工業製、試作PCL210:Mn=1000、Mw/Mn=1.9)100質量部と、カーボンブラック40質量部と、ウレタン粒子(根上工業製アートパールC800、平均粒径8.8μm)10質量部とをMEK500質量部に分散させ、次にイソシアネート硬化剤(日本ポリウレタン製コロネートHx:NCO%=21%)108質量部([NCO]/[OH]のモル比=2.5)を添加し、撹拌モータで30分間撹拌し、表面被覆用塗料を調製した。このようにして得られた塗料を実施例1の塗料の代わりに用いて、現像ローラを作製した。
【0057】
(実施例10)
中間層としてウレタンエマルジョン塗料(第一工業製薬製、試作E4000)を、上記発泡ウレタンからなる弾性層を有するローラ本体の外周に70μm塗装した後、実施例1の塗料を塗装し、表面被覆層を形成して、現像ローラを作製した。
【0058】
(比較例1)
アジぺート系ポリオール(クラレ製、P−2010:Mn=2000、Mw/Mn=2.2)100質量部と、カーボンブラック30質量部と、ウレタン粒子(根上工業製アートパールC800、平均粒径8.8μm)10質量部とをMEK500質量部に分散させ、次にイソシアネート硬化剤(日本ポリウレタン製コロネートHx:NCO%=21%)30質量部([NCO]/[OH]のモル比=1.5)を添加し、撹拌モータで30分間撹拌し、表面被覆用塗料を調製した。このようにして得られた塗料を実施例1の塗料の代わりに用いて、現像ローラを作製した。
【0059】
(比較例2)
ラクトン変性ポリオール(ダイセル化学工業製、PCL205:Mn=500、Mw/Mn=1.6)100質量部と、カーボンブラック30質量部と、ウレタン粒子(大日本インキ化学工業製バーノックCFB101−40、平均粒径14μm)10質量部とをMEK500質量部に分散させ、次にイソシアネート硬化剤(日本ポリウレタン製コロネートHx:NCO%=21%)120質量部([NCO]/[OH]のモル比=1.5)を添加し、撹拌モータで30分間撹拌し、表面被覆用塗料を調製した。このようにして得られた塗料を実施例1の塗料の代わりに用いて、現像ローラを作製した。
【0060】
(比較例3)
ラクトン変性ポリオール(ダイセル化学工業製、試作PCL220B:Mn=2000、Mw/Mn=2.8)100質量部と、カーボンブラック30質量部と、ウレタン粒子(根上工業製アートパールC800、平均粒径8.8μm)10質量部とをMEK500質量部に分散させ、次にイソシアネート硬化剤(日本ポリウレタン製コロネートHx:NCO%=21%)30質量部([NCO]/[OH]のモル比=1.5)を添加し、撹拌モータで30分間撹拌し、表面被覆用塗料を調製した。このようにして得られた塗料を実施例1の塗料の代わりに用いて、現像ローラを作製した。
【0061】
各実施例及び比較例の現像ローラの表面被覆層の諸物性、現像ローラの諸物性及び画像特性を下記の方法で測定した。各実施例及び比較例の評価の結果を表1に示す。
【0062】
(1)数平均分子量(M)及び分子量分布
各実施例及び比較例の塗料形成に用いたポリオールの数平均分子量(M)及び分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で、単分散ポリスチレン標準試料を基準として算出した。
【0063】
(2)貯蔵弾性率
各実施例及び比較例の現像ローラの表面被覆層の塗工液をキャスト法により製膜し、溶剤を充分に揮発させた後、100℃、1時間で加熱硬化させ、0.3mmの塗膜を作製した。その後、6mm幅で打ち抜き測定サンプルとした。貯蔵弾性率は動的粘弾性装置modelDDV−01FP(A&D(株)製)を用いて、チャック間30mmでセットし伸縮モードで、周波数10Hz、歪み1%、昇温速度5℃/min、温度範囲−50℃から80℃の条件で測定を行った。ここで、E’(25℃)とは25℃における貯蔵弾性率を表わす。
【0064】
(3)ローラ抵抗
各実施例及び比較例のローラ抵抗を下記のようにして求めた。すなわち、円柱状の対極に現像ローラの外周面を1kgの圧力で押し当て、シャフトと対極との間に100Vの電圧を印加し、その際の電流値から求めた。
【0065】
(4)表面粗さ
各実施例及び比較例のJIS 算術平均粗さ(Ra)及びJIS 10点平均粗さ(Rz)をJIS B0601に準拠して評価した。
【0066】
(5)表面硬度
各実施例及び比較例の現像ローラの表面硬度を、マイクロゴム硬度計MD−1(高分子計器社製)を用いて測定した。
【0067】
(6)感光ドラム汚染
各実施例及び比較例の現像ローラを感光ドラムに1kgの荷重で押し付け、40℃、95%RHの高温高湿下で放置した。所定期間(1週間)後に取り出し、現像ローラを実機に組み付けて画像出しし、現像ローラと接触部の画像を下記基準で判断した。丸:感光ドラムの汚染が見られなかったもの、三角:感光ドラムの汚染が若干見られたもの、×:ブリードして感光ドラムの汚染が見られたもの。
【0068】
(7)圧縮永久歪
感光ドラム汚染と同様な試験を行い、試験後に現像ローラを取り出し、現像ローラを実機に組み付けて画像出しし、現像ローラと接触部の画像を下記基準で判断した。丸:感光ドラムとの接触跡が見られなかったもの、三角:感光ドラムとの接触跡が若干見られたもの、×:感光ドラムとの接触跡がはっきりと見られたもの。
【0069】
(8)画像濃度
各実施例及び比較例の現像ローラをカートリッジに組み込み、低温低湿(LL)環境下(15℃、10%RH)、常温常湿(NN)環境下(25℃、50%RH)、高温高湿(HH)環境下(30℃、80%RH)において、ヒューレットパッカード社製カラーLBP4600にて印字率2%の連続画像形成を行い、初期と5000枚印刷後にベタ画像とハーフトーン画像を形成した。ベタ画像とハーフトーン画像について、目視にて下記基準で判断した。丸:濃度ムラなし、三角:若干濃度ムラあり、×:濃度ムラあり。
【0070】
(9)耐かぶり性
白ベタの画像出し中に、プリンタを強制停止し、白地部分における感光ドラムヘのトナー飛翔量を、テープ転写による濃度比較(マクベス濃度計により測定)により実施した。丸:0.15未満、三角:0.15〜0.20、×:0.20以上。
【0071】
(10)耐トナー融着性
各実施例及び比較例の現像ローラ表面にトナーをまぶして、カートリッジに組み込み40℃、95%RHで1週間放置した後、画像出しを行った。丸:1枚目から現像ローラ表面にトナーの付着が見られなかったもの、三角:10枚目までに現像ローラ表面にトナーの付着が見られなかったもの、×:10枚を超えても現像ローラ表面にトナーの付着が見られたもの。
【0072】
【表1】

【0073】
表1から明らかなように、本発明に従う実施例の現像ローラは、感光ドラムを汚染することがない上、圧縮永久歪みが小さいため、ブレードの圧接痕が無く、またトナーへのダメージが小さく、耐トナー融着性に優れるため、良好な画像を安定して形成することができた。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の現像ローラの一例の断面図である。
【図2】本発明の画像形成装置の一例の部分断面図である。
【符号の説明】
【0075】
1 現像ローラ
2 シャフト
3 弾性層
4 表面被覆層
5 トナー
6 トナー供給ローラ
7 感光ドラム
8 成層ブレード
9 帯電ローラ
10 転写ローラ
11 クリーニング部
12 クリーニングブレード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトと、該シャフトの外周に形成された弾性層と、該弾性層の外周面に形成された表面被覆層とを備えた現像ローラにおいて、
前記表面被覆層が、ラクトン変性ポリオールをポリイソシアネートで架橋したウレタン樹脂を含み、前記ラクトン変性ポリオールのゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が1000〜5000であり、かつ前記ラクトン変性ポリオールのゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)が2.5以下であることを特徴とする現像ローラ。
【請求項2】
前記弾性層がポリウレタンからなることを特徴とする請求項1に記載の現像ローラ。
【請求項3】
前記弾性層が発泡体からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の現像ローラ。
【請求項4】
前記発泡体の気泡が独立気泡であることを特徴とする請求項4に記載の現像ローラ。
【請求項5】
前記ポリイソシアネートがヌレート変性ヘキサメチレンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネートの少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1記載の現像ローラ。
【請求項6】
前記ラクトン変性ポリオールの水酸基(OH)に対する前記ポリイソシアネートのイソシアネート基(NCO)のモル比([NCO]/[OH])が1.0〜2.5であることを特徴とする請求項1記載の現像ローラ。
【請求項7】
前記表面被覆層が、前記ラクトン変性ポリオール100質量部に対して、カーボンブラックを5〜35質量部含有することを特徴とする請求項1記載の現像ローラ。
【請求項8】
前記表面被覆層の25℃の貯蔵弾性率(E’)が3〜50MPa以下であることを特徴とする請求項1又は7に記載の現像ローラ。
【請求項9】
前記弾性層と前記表面被覆層との間に中間層が形成されていることを特徴とする請求項1記載の現像ローラ。
【請求項10】
表面のJIS 10点平均粗さ(Rz)が3〜10μmであることを特徴とする請求項1に記載の現像ローラ。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の現像ローラを備える画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−286252(P2007−286252A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−112291(P2006−112291)
【出願日】平成18年4月14日(2006.4.14)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】