現像処理装置及びその方法
【課題】 熱処理ユニットを不要として、装置のフットプリントを小さくし、化学増幅型レジスト液を用いる場合には、露光処理時にレジスト膜に与えるエネルギーが小さい場合でも、酸触媒反応を十分に進行させ、スループットの低下を抑えながら、良好なパターン形状を得る。
【解決手段】 現像ユニットの基板保持部3に加熱手段32を組み込み、現像ユニットにて、例えば化学増幅型レジスト膜が形成されたウエハに表面改質液であるグリセリンが存在する状態でPEB処理を行う。これにより露光処理時にレジスト膜に与えるエネルギーが不足する場合であっても、この不足分が補完され、化学増幅型レジスト液の酸触媒反応が促進されて酸発生の連鎖反応が起こるので、スループットの低下を抑えながら、良好なパターン形状を得ることができる。
【解決手段】 現像ユニットの基板保持部3に加熱手段32を組み込み、現像ユニットにて、例えば化学増幅型レジスト膜が形成されたウエハに表面改質液であるグリセリンが存在する状態でPEB処理を行う。これにより露光処理時にレジスト膜に与えるエネルギーが不足する場合であっても、この不足分が補完され、化学増幅型レジスト液の酸触媒反応が促進されて酸発生の連鎖反応が起こるので、スループットの低下を抑えながら、良好なパターン形状を得ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体ウエハやLCD基板(液晶ディスプレイ用ガラス基板)等の基板に対して現像液を供給して現像処理等を行う現像処理装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスやLCD基板の製造プロセスにおいては、フォトリソグラフィと呼ばれる技術により基板に対してレジストパターンの形成が行なわれている。この技術は、例えば半導体ウエハ(以下ウエハという)などの基板に、レジスト液を塗布して、当該ウエハの表面に液膜を形成した後、このウエハ上のレジスト膜にパターン転写を行い、次いで現像処理を行なうことにより所望のパターンを得る、一連の工程により行われている。
【0003】
ところで従来では、前記レジスト膜へのパターン転写は、ステッパと呼ばれる露光装置にて、エキシマレーザー等の光源を用い、フォトマスクを通してレジスト膜に回路パターンを転写するために光を照射することが一般的である。しかしながら近年では少量多品種の生産を行う傾向があり、露光装置では品種が変わる毎にフォトマスクを製作する必要があるので、製造コストが高くなってしまう。このことから、本発明者らは、フォトマスクが不要な電子ビーム露光に着目している。
【0004】
この電子ビーム露光とは、電子ビームを用いてレジスト膜上に所定のパターンを描画する手法であり、例えば図15に示すように、電子銃11から放出された電子ビームを、例えばマスクに相当する電磁レンズ12,13により電界をかけて曲げ、前記電磁レンズ12,13の組み合わせにより所定のマスクパターンを形成してレジスト膜14上に直接描画するものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の電子ビーム露光では、電子ビームを曲げてレジスト膜14に照射しているが、電子ビームはエネルギーが小さいほど曲げやすいので、低加速の電子ビームが用いられる。しかしながらこのようにすると、レジスト膜14に与えるエネルギーが小さくなってしまい、レジスト膜14の表面には電子ビームが照射されるが、下方側には電子ビームが届かない状態となる。この際電子ビームの照射時間を長くすれば、低加速の電子ビームであってもレジスト膜14に十分なエネルギーを与えることができるが、これには例えば20分程度とかなり長い時間が必要となり、スループットが低下してしまう。
【0006】
ところで化学増幅型レジスト液では、露光することにより感光剤から酸が生成し、この酸が露光処理の次工程のPEB(ポストエクスポージャーべーク)と呼ばれる熱処理により拡散して触媒として作用し、レジスト液の主成分であるベース樹脂を分解したり、分子構造を変えて現像液に対して可溶化あるいは不可溶化となる。
【0007】
従って化学増幅型のポジ型レジスト膜を形成し、低加速の電子ビームにより短時間で描画を行ったウエハWでは、図16(a)に示すように、レジスト膜14の電子ビームの照射領域15を斜線で示すとすると、当該照射領域15では表面近傍領域しか図中点で示す酸16が発生しない状態となり、この状態でPEB処理を行っても、レジスト膜14表面は触媒反応による酸の発生が加速化されるが、下方側には酸が拡散していかず、酸の発生量が少なくなってしまう。
【0008】
このためPEB処理の次工程の現像処理では、酸を利用して現像液によるレジスト膜の溶解反応が進行するので、酸が存在しない領域では現像液による溶解反応が進行しにくく、結果として図16(b)に示すように、レジスト膜14では表面のみパターンが形成されるものの、線幅精度の高い良好な形状のレジストパターンを形成することができない。
【0009】
そこで本発明者らは、化学増幅型レジスト液を用いた場合、電子ビーム露光を低加速の電子ビームにより短時間で行い、後のPEB処理工程でレジスト膜に新たにエネルギーを与えることにより、酸触媒反応を十分に進行させて、スループットの低下を抑えながら良好な形状のレジストパターンを形成する手法に着目している。また塗布、現像装置に組み込むユニット数を少なくして、装置の小型化や搬送効率の向上を図るという観点から、現像ユニットにてPEB処理を行うことも検討している。
【0010】
このためには現像ユニットにPEB処理を行うための加熱手段を設けることが必要となるが、このように現像ユニットに加熱手段を設ける構成は、例えば特許文献1に記載されている。しかしながらこの技術は、現像処理中にレジスト膜と現像液との反応により起こるウエハの温度変化を抑制するために、載置台を冷却または加熱するものであり、レジスト膜と現像液との反応により起こるウエハの温度変化はせいぜい10℃〜30℃程度であるので、この技術では化学増幅型のレジスト膜の酸触媒反応を起こすことはできず、本発明の課題は解決できない。
【0011】
本発明は、このような事情の下になされたものであり、その目的は、現像処理装置にて露光されたレジスト膜の熱処理を行うことにより、この熱処理を行う専用の加熱ユニットを不要として、この加熱ユニットに相当する分、装置のフットプリントを小さくすることである。また他の目的は、化学増幅型レジスト液を用いる場合、露光されたレジスト膜の上に表面改質液が存在する状態で熱処理を行うことにより、露光時にレジスト膜に与えるエネルギーが不足する場合であっても、その不足分を前記熱処理時に補完して酸触媒反応を十分に進行させ、結果としてスループットの低下を抑えながら、良好なレジストパターン形状を得ることができる現像処理装置及びその方法を提供することにある。
【0012】
【特許文献1】特許第3453073号(段落0021〜0022)
【課題を解決するための手段】
【0013】
このため本発明の現像処理装置は、基板を略水平に保持すると共に、露光されたレジスト膜を熱処理するために基板を加熱する加熱手段を備えた基板保持部と、
前記基板保持部に保持された熱処理後の基板を冷却する冷却手段と、
前記基板保持部に保持された冷却後の基板に対して現像液を供給するための現像液供給手段と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
ここで前記レジスト液は化学増幅型であり、レジスト膜の熱処理時における酸触媒反応を促進させるための表面改質液を基板に供給する表面改質液供給手段を更に備えることが望ましい。また前記表面改質液としてはグリセリンを用いることができ、前記表面改質液供給手段により前記基板に表面改質液を供給してから所定時間経過後、前記基板表面の表面改質液を除去するために、当該基板表面に剥離液を供給する剥離液供給手段を備えるようにしてもよい。また前記冷却手段は、前記基板を回転させて放熱させるために、前記基板保持部を回転させる回転機構であってもよいし、前記冷却手段は、基板保持部に設けられているものであってもよい。さらに前記基板表面の液を吸引して除去するための吸引手段を備えるようにしてもよい。また前記露光は、例えば化学増幅型レジスト膜が形成された基板の表面に、電子ビームを照射して所定のマスクパターンを描画するものである。
【0015】
また本発明の現像処理方法は、露光されたレジスト膜を熱処理するために、前記レジスト膜が形成された基板を基板保持部に載置して加熱する加熱工程と、
次いで前記基板を現像処理を行う温度まで冷却する冷却工程と、
次いで前記基板保持部に保持されている基板のレジスト膜の上に現像液を液盛りし、所定の現像処理を行う現像工程と、を含むことを特徴とする。ここで前記レジスト膜が化学増幅型である場合には、レジスト膜の酸触媒反応を促進させる表面改質液を前記基板保持部に保持されている基板に供給する工程を更に備えることが望ましい。また前記加熱工程の後であって、現像工程の前に、基板表面の表面改質液を除去するために、当該基板表面に剥離液を供給する工程を行うようにしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、現像処理装置にて露光されたレジスト膜の熱処理を行うことにより、当該熱処理を行う専用の加熱ユニットを不要として、この加熱ユニットに相当する分、装置のフットプリントを小さくすることができる。また化学増幅型レジスト液を用いる場合には、基板表面に表面改質液が存在する状態で、露光されたレジスト膜の熱処理を行うことにより、露光時にレジスト膜に与えるエネルギーが不足する場合であっても、前記熱処理時にエネルギーの不足分を補完して酸触媒反応を十分に進行させ、結果としてスループットの低下を抑えながら、良好なレジストパターン形状を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る現像処理装置を備えた塗布、現像装置の実施の形態について説明する。図1は、本発明の実施の形態である現像処理装置が組み込まれた塗布、現像装置と露光装置とを接続して構成したレジストパターン形成装置の平面図を示し、図2は同概略斜視図である。図中B1は基板であるウエハWが例えば13枚密閉収納されたキャリアCを搬入出するためのキャリア載置部であり、キャリアCを複数個載置可能な載置台21と、この載置台21から見て前方の壁面に設けられる開閉部22と、開閉部22を介してキャリアCからウエハWを取り出すためのトランスファーアームA1とが設けられている。
【0018】
キャリア載置部B1の奥側には筐体23にて周囲を囲まれる処理部B2が接続されており、この処理部B2には手前側から奥側に向かって順に加熱・冷却系のユニットを多段化した2個の棚ユニットU1,U2と、後述する液処理ユニットに設けられる各種処理ユニットとの間のウエハWの受け渡しを行うためのメイン搬送機構A2,A3とが交互に配列して設けられている。例えばメイン搬送機構A2,A3は、ウエハWの裏面側の周縁領域の複数個所を保持するように構成されると共に、昇降自在、進退自在、鉛直軸回りに回転自在に構成されている。
【0019】
またメイン搬送機構A3の奥側には、処理部B2と後述するインターフェース部B3との間でウエハWの受け渡しを行うための受け渡しユニットTが設けられている。こうして棚ユニットU1,U2及びメイン搬送機構A2,A3、受け渡しユニットTはキャリア載置部B1側から見て前後一列に配列されており、各々の接続部位には図示しないウエハ搬送用の開口部が形成されていて、ウエハWは処理部B2内を一端側の棚ユニットU1から他端側の受け渡しユニットTまで自由に移動できるようになっている。
【0020】
前記メイン搬送機構A2,A3は、キャリア載置部B1から見て前後方向に配置される棚ユニットU1,U2、受け渡しユニットT側の一面部と、右側の液処理ユニットU3,U4側の一面部と、左側の一面をなす背面部とで構成される区間壁24により囲まれる空間内に置かれている。図中25,26は各モジュールで用いられる処理液の温度調節装置や温湿度調節用のダクト等を備えた温湿度調節ユニットである。
【0021】
液処理ユニットU3,U4は、例えば図2に示すように反射防止膜用の薬液、レジスト液や現像液といった薬液供給用のスペースをなす収納部27の上に、例えば反射防止膜の塗布ユニット(BARC)、レジスト液の塗布ユニット(COT)及び本発明の現像処理装置である現像ユニット(DEV)を複数段例えば5段に積層した構成とされている。なお用語を簡略化するために反射防止膜の塗布ユニットを反射防止膜ユニット、レジスト液の塗布ユニットを塗布ユニットと呼ぶことにする。
【0022】
また既述の棚ユニットU1,U2は、液処理ユニットU3,U4にて行なわれる処理の前処理及び後処理を行なうための各種ユニットを複数段積層した構成とされている。上述の前処理及び後処理を行うための各種ユニットの中には、例えば図3に示すように、受け渡しユニット(TRS)、ウエハWを所定温度に調整するための温調ユニット(CPL)、レジスト液の塗布前にウエハWの加熱処理を行うための加熱ユニット(BAKE)、レジスト液の塗布後にウエハWの加熱処理を行うためのプリベーキングユニットなどと呼ばれている加熱ユニット(PAB)、現像処理後のウエハWを加熱処理するポストベーキングユニットなどと呼ばれている加熱ユニット(POST)等が含まれている。図3はこれらユニットのレイアウトの一例を示すものであって、このレイアウトは便宜上のものであり、実際の装置では各ユニットの処理時間などを考慮してユニットの設置数が決められる。
【0023】
処理部B2における受け渡しユニットTの奥側には、インターフェイス部B3を介して露光装置、例えば電子ビーム露光装置B4が接続されている。インターフェイス部B3は処理部B2と露光装置B4との間に前後に設けられる第1の搬送室28、第2の搬送室29にて構成されており、夫々に第2の搬送手段をなす主搬送部A4及び補助搬送部A5が設けられている。
【0024】
また前記電子ビーム露光装置B4は、基板表面に形成されたレジスト膜に、例えば低エネルギーの電子ビームを照射することにより、所定のマスクパターンを描画するものである。ここで前記低エネルギーの電子ビームを照射するとは、5kV以下の加速度の電子ビームを照射することをいう。
【0025】
このようなレジストパターン形成装置では、キャリア載置部B1に載置されたキャリアC内の処理前のウエハWはトランスファーアームA1により受け渡しユニット(TRS)に搬送され、続いてウエハWはメイン搬送機構A2,A3により、温調ユニット(CPL)→反射防止膜形成ユニット(BARC)→加熱ユニット(BAKE)→温調ユニット(CPL)→塗布ユニット(COT)の順序で搬送されて、ここで例えば化学増幅型レジスト液が塗布される。次いでウエハWは加熱ユニット(PAB)→温調ユニット(CPL)→受け渡しユニットT→インターフェイス部B3を介して露光装置B4に送られて、電子ビームによりレジスト膜に所定のパターンの描画処理が行われる。
【0026】
露光処理後のウエハWは逆の経路で処理部B2に戻され、現像ユニット(DEV)に搬送され、ここで後述するように露光処理後のPEB処理などと呼ばれている熱処理と現像処理とが行われ、次いで加熱ユニット(POST)→温調ユニット(CPL)→棚ユニットU1の受け渡しユニット(TRS)の順序で搬送され、トランスファーアームA1によりキャリア載置部B1のキャリアCに戻される。
【0027】
続いて現像ユニット(DEV)の構成について図4〜図6により説明する。この現像ユニット(DEV)は、既述のように、露光されたレジスト膜に対して現像前の熱処理(PEB処理)と、現像処理とを行うものである。ここで前記PEB処理とは、単一波長の光で露光した場合、レジスト膜への入射光とウエハからの反射光が干渉して定在波が発生し、この影響によりレジスト膜厚の変動に伴い線幅が変動する現象が発生するが、これによるレジストパターン(レジスト側壁形状)の変形を軽減するために行われる熱処理や、化学増幅型レジスト液を用いた場合には、レジスト膜の酸触媒反応を起こすための熱処理をいう。
【0028】
図中3は基板であるウエハWの裏面中心部を略水平に保持するための基板保持部であり、この基板保持部3は例えば熱伝導性に優れた材質、例えばAlN(窒化アルミニウム)、SiC(炭化ケイ素)等により円板状に構成されており、内部にはウエハWを真空吸着力により吸着保持するための吸着部31が設けられると共に、露光されたレジスト膜の熱処理を行うためにウエハWを所定の温度に加熱するための加熱手段32例えば抵抗発熱線が内蔵されている。
【0029】
このような基板保持部3は、裏面側にて回転軸41により支持されており、この回転軸41はベルト42を介して駆動回転軸43に接続されていて、駆動回転軸43が回転駆動部44により回転されることにより、ベルト42を介して回転軸41に回転力が伝達され、こうして基板保持部3が略鉛直軸回りに回転できるように構成されている。図中45は回転軸41の軸受け部である。ここで基板保持部3を回転させるための、回転軸41、ベルト42、駆動回転軸43、回転駆動部44が本発明の回転機構に相当するものであり、この回転機構は後述するようにウエハWの冷却手段をなすものである。
【0030】
前記回転軸41は中空構造になっており、この内部には前記吸着部31に接続され、例えば導電性の材質により構成された吸引路33が設けられ、この吸引路33の他端側は回転軸41の軸受け部45を介して回転軸41の外部に伸び出し、他端側が吸引手段34に接続されている。また前記加熱手段32は吸引路33の導電性の表面と給電線32aにより電気的に接続されるように設けられている。前記吸引路33の導電性の表面は給電路を兼用しており、この吸引路33は回転軸41の軸受け部45を介して外部の電力供給部35に給電線32bにより接続されている。
【0031】
ここでウエハWは既述のように、メイン搬送機構A2,A3の内縁に設けられた複数個例えば3個の保持爪20(図6参照)に、裏面側の周縁領域が保持されるようになっており、基板保持部3の周縁のメイン搬送機構A2,A3の保持爪20に対応する複数個所には、メイン搬送機構A2,A3の保持爪20が上下方向に通過可能な複数個の切り欠き部36が形成されている。
【0032】
このような基板保持部3の周囲には、基板保持部3にウエハWが保持されたときに、ウエハWから基板保持部3に跨る側方部分を囲むようにしてカップ5が設けられている。このカップ5は各々上下可動な外カップ51と内カップ52とからなり、外カップ51の下端部に接続される昇降機構50により外カップ51が昇降し、内カップ52は外カップ51の移動範囲の一部において連動して昇降するように構成されている。つまり外カップ51の下端円周上に一定間隔に設けられた複数のL字部分51cに内カップ52が引っ掛かることにより、外カップ51と内カップ52とが共に上昇するように構成されている。
【0033】
外カップ51は、四角筒状をなすカップ上部側51aと、円筒状をなすカップ下部側51bが一体となった構造を形成したものであり、外カップ51の上部側及び下部側の水平断面の形状は、夫々四角形と円形となっている。一方内カップ52は円筒の上部側が上方内側に傾斜し、上部側開口部が下部側開口部より狭くなるように形成されており、この上部側開口部は内カップ52が下降位置にあるときにウエハWの外縁と僅かな隙間を介して囲むように位置決めされる。
【0034】
基板保持部3の下方側には、回転軸41を中心にほぼ水平に設けられている円板54と、この円板54の周りに全周に亘って凹部が形成された液受け部55とが設けられており、液受け部55の底面にはドレインライン53が接続されている。円板54の周縁部付近には断面山形のリング体56が、その頂部56aがウエハWの周縁部裏面に接近するように設けられている。リング体56の外周とカップ5(内カップ52)との間には隙間57が設けられており、前記頂部56aから下方外側に傾斜する斜面を伝わって例えば後述する表面改質液や現像液等の飛散液等の液体成分が、この隙間57を通って液受け部55側へと流れる構成となっている。また円板54には、メイン搬送機構A2,A3と基板保持部4との間でウエハWの受け渡しを行う際に用いられる昇降ピン58が設けられると共に、ウエハWやリング体56に当たって円板54側へ跳ね返った液体成分を自然排水するためのドレインライン59が接続されている。前記昇降ピン58は、昇降機構58aにより、先端が基板保持部3の表面から突出する受け渡し位置と、先端が基板保持部3の内部に位置する待機位置との間で昇降自在に構成されている。
【0035】
さらにまた基板保持部3に保持されたウエハWの上方側には、ウエハWに化学増幅型レジスト液の酸触媒反応を促進させる表面改質液例えばグリセリンを塗布するための表面改質液ノズル61と、ウエハ上の表面改質液を除去するための剥離液例えば純水をウエハWに供給するための剥離液ノズル62と、ウエハWに現像液を液盛りするための現像液ノズル63と、ウエハ上の現像液を除去するためのリンス液例えば純水をウエハWに供給するためのリンス液ノズル64とが設けられている。これらのノズル61〜64は同様に構成されており、例えばウエハWの直径とほぼ同じ長さに亘って配列された多数の吐出孔を備えている。これらノズル61〜64は、供給領域が基板の有効領域の幅(この例ではウエハWのほぼ直径の長さ)とほぼ同じ長さであればよいが、それよりも長くてもよい。また各ノズル61〜64の他端側は、表面改質液供給源61a、剥離液供給源62a、現像液供給源63a、リンス液供給源64aに夫々接続されている。
【0036】
またこれらノズル61〜64は、外カップ51の外側において、例えば上部カップ51aの一辺と平行になるように水平に伸びるガイドレール65に沿って、ウエハWの一方側から他方側へ水平方向に移動自在に構成されていると共に、昇降自在に構成されており、各ノズル61〜64の移動及び昇降は図示しない制御部によりコントロールされるようになっている。こうして各ノズルでは、所定の塗布液を吐出しながら、ウエハWの一方側から他方側へ移動することにより、ウエハWの表面全体に所定の塗布液が塗布されることになっている。この制御部は基板保持部3の駆動機構や外カップ51の昇降機構とも接続されており、基板保持部3の回転及び昇降の制御、カップ5の昇降の制御を行うと共に、基板保持部3やカップ5の各状況に応じて各ノズル61〜64を動作させることができる構成となっている。
【0037】
続いてこのような現像ユニット(DEV)にて行われる現像処理方法について図7〜図9を用いて説明する。先ず昇降ピン58を受け渡し位置まで上昇させて、当該昇降ピン58に図示しないメイン搬送機構A2(A3)からウエハWを受け渡し、現像ユニットにウエハWを搬入する(ステップS3、図8(a))。ここでウエハWは、塗布ユニット(COT)にて化学増幅型レジスト液が塗布され(ステップS1)、電子ビーム露光装置B4にて例えば5kV程度の低加速の電子ビームを100秒程度照射することにより、所定のマスクパターンが描画されたものである(ステップS2)。
【0038】
次いでカップ5を処理位置まで上昇させ、ウエハWに表面改質液を塗布した状態で、当該ウエハWを化学増幅型レジスト膜の酸触媒反応が起こるように加熱して、露光されたレジスト膜の熱処理であるPEB処理を行う(ステップS4、図8(b))。つまり加熱手段32に電力供給部35から所定の電力を供給して、ウエハWを所定温度に加熱する一方、ウエハWの一端側に、表面改質液ノズル61を、当該ノズル61の表面改質液吐出口がウエハW表面から例えば1mm程度上方側位置するように位置させて、当該ノズル61から表面改質液を吐出させながら、当該ノズル61をウエハWの一端側から他端側に移動させ、ウエハ表面に表面改質液を塗布する。
【0039】
この際、表面改質液としては例えばグリセリン等を用いることができる。ここで表面改質液として例えばグリセリン等の凝縮作用があり、ウエハWの中央領域に凝縮し、周縁領域にグリセリンが存在しなくなってしまう液体を用いる場合には、表面改質液を塗布した後、ウエハWを例えば200rpm程度の低い回転数で回転させて、グリセリンを展伸させるようにしてもよい。
【0040】
また前記化学増幅型レジスト膜の酸触媒反応が起こる温度とは、例えば100℃程度であるので、ウエハWはこの温度以上の温度、例えば120℃程度に加熱することが望ましい。こうしてウエハ表面に表面改質液が存在する状態で、120℃程度の温度で1分程度熱処理を行うことにより、後述するようにレジスト膜中の酸触媒反応の活性力が高まり、酸の発生が連鎖して起こり、レジスト膜中に酸が拡散した状態となる。
【0041】
こうしてウエハWに表面改質液を塗布した状態でPEB処理を行った後、加熱手段32への電力供給を停止し、ウエハ表面に表面改質液を除去するための剥離液の供給を行う(ステップS5、図8(c))。つまり剥離液吐出口がウエハW表面から例えば10mm程度上方側に位置するように、ウエハWの一端側の表面近傍位置に剥離液ノズル62を位置させ、ウエハWを500rpm程度の回転数で回転させた状態で、前記ノズル62から剥離液を吐出させながら、当該ノズル62をウエハWの一端側から他端側に移動させ、ウエハ表面に剥離液を塗布する。ここで表面改質液ノズル61はウエハWの他端側の外カップ51の外側に位置させておく。
【0042】
こうして剥離液を供給した後、ウエハWを4000rpm程度の回転数で高速回転することにより、表面改質液質液及び剥離液を回転の遠心力により飛散させて除去する。この際、剥離液としては例えば純水や、IPAやエタノールが添加された純水等を用いることができ、剥離液は例えば23℃程度に調整されたものを用いることが望ましい。また剥離液を供給する際には、ウエハWは回転させなくてもよい。このようにウエハWに所定温度に調整した剥離液を供給し、さらにウエハWを回転させて表面改質液と共に剥離液を除去することにより、剥離液の供給による冷却と、回転の放熱により、PEB処理により高温となったウエハWが例えば30℃程度の温度に冷却される。
【0043】
このようにしてウエハWを所定温度まで冷却した後、ウエハWに対して現像液の液盛りを行う(ステップS6、図9(a))。つまり現像液吐出口がウエハW表面から例えば1mm程度上方側に位置するように、ウエハWの一端側の表面近傍位置に現像液ノズル63を位置させ、当該ノズル63から現像液を吐出させながら、当該ノズル63をウエハWの一端側から他端側に移動させて、ウエハ表面に現像液を液盛りする。ここで表面改質液ノズル61、剥離液ノズル62はウエハWの他端側の外カップ51の外側に位置させておく。
【0044】
続いて現像液を液盛りしてから所定時間経過後、ウエハW表面にリンス液例えば純水を供給して、現像液を洗い流し、こうして現像処理を終了する(ステップS7、図9(b))。ここでリンス液の供給は、リンス液吐出口がウエハW表面から例えば1mm程度上方側に位置するように、ウエハWの一端側の表面近傍位置にリンス液ノズル64を位置させ、ウエハWを500rpm程度の回転数で回転させた状態で、前記ノズル64からリンス液を吐出させながら、当該ノズル64をウエハWの一端側から他端側に移動させることにより行う。こうしてウエハ表面に供給されたリンス液により、現像液が洗い流され、除去される。ここで表面改質液ノズル61、剥離液ノズル62、現像液ノズル63はウエハWの他端側の外カップ51の外側に位置させておく。こうしてリンス液を供給した後、次いでウエハWを4000rpm程度の回転数で高速回転することにより、リンス液を回転の遠心力により飛散させて除去する。このようにして現像ユニット(DEV)にて、ウエハWに対して露光されたレジスト膜の熱処理(PEB処理)と、現像処理とを行った後、当該処理済みのウエハWを現像ユニットから搬出する(ステップS8)。
【0045】
このような現像処理は、現像ユニット(DEV)の基板保持部3の回転、加熱手段32の電力制御、吸引手段のオン・オフ、昇降ピン58の昇降、カップ5の昇降、ノズル61〜64の駆動、表面改質液や、剥離液、現像液、リンス液の供給の開始や停止のタイミング等は、制御部により予め設定されたプログラムに従って制御されるようになっている。
【0046】
このように、本発明では、現像ユニットにて露光されたレジスト膜の熱処理(PEB処理)を行っているので、PEB処理を行う熱処理ユニットを別個に設ける必要がなく、当該熱処理ユニットに相当する分、塗布、現像装置に組み込む処理ユニット数を少なくすることができ、装置のフットプリントを小さくすることができる。
【0047】
またこの際、PEB処理時のウエハWの温度は、化学増幅型レジスト液を用いた場合には120℃程度であり、それ以外のレジスト液を用いた場合には140℃程度であって、23℃程度のウエハW温度で処理を行う現像処理時よりも高いが、既述のように、予め23℃程度に調整された剥離液をウエハW表面に供給し、かつウエハWを回転させて剥離液を飛散させて除去することにより、剥離液の供給による冷却と、回転による放熱によって、ウエハWの熱が瞬時に奪われるので、ウエハWは現像処理に適した温度まで冷却され、速やかに現像処理を行うことができる。
【0048】
さらに基板保持部3に設けられた加熱手段32の給電路は、導電性材料により構成された吸引路33を利用し、軸受け部35を介して外部の電力供給部と接続されているので、基板保持部3を回転したときに加熱手段32の給電路が回転軸41に絡みつくおそれがなく、安定した状態で基板保持部3を回転することができる。この際、例えば吸着部31のウエハWと接触する領域の近傍領域を絶縁材料により構成することにより、ウエハWを給電路と電気的に遮断することができる。
【0049】
さらに化学増幅型レジスト液を塗布したウエハWに対して、表面改質液であるグリセリンがウエハ表面に存在する状態でウエハWを加熱してPEB処理を行っているので、レジスト膜中に酸を十分に広げてレジストを変質させることができる。その結果、後述する実施例の結果からも明らかなように、現像処理において基板の表面に線幅精度の高い、良好な形状のレジストパターンを形成することができる。
【0050】
ここでレジスト膜上に表面改質液を存在させた状態で加熱することにより、レジスト膜中の酸の活動を活発にすることができる理由については、本発明者らは次のように推測している。つまり表面改質液をレジスト膜に接触させた状態で加熱すると、加熱時において表面改質液がレジスト膜の描画領域内に浸透し、これにより描画領域内が親水化され、当該描画領域内を酸が動き易くなり、そのため少量の酸であっても描画領域内に拡散させることができる。そして描画領域内に拡散した酸により、酸の発生が連鎖して起こり、レジスト膜の表面のみならず、下方側まで酸が多い状態となると考えられる。このため現像処理を行うと、レジスト膜中の十分な酸により現像液による溶解反応あるいは不溶解反応が速やかに進行し、良好なレジストパターン形状が形成されると推察される。
【0051】
この際表面改質液の浸透はウエハWを加熱することにより促進されるため、加熱時にレジスト膜表面に表面改質液が存在することが要件となる。その裏付けとして、レジスト膜上に表面改質液であるグリセリンを塗布し、次いでウエハWに剥離液を供給して前記グリセリンを除去してから、ウエハWを加熱してPEB処理を行った場合には、良好な形状なパターンは形成できないことを実験により確認している。
【0052】
以上のように、本実施の形態では、化学増幅型レジスト液を用いた場合、露光処理時にレジスト膜に与えるエネルギーが小さくても、このエネルギーの不足分がPEB処理により補完でき、結果として良好なレジストパターン形状を形成することができる。
【0053】
このことは言い換えれば、例えばマスクレスの低加速の電子ビーム露光において、十分な電子ビームのエネルギーをレジスト膜に与えるためには電子ビームの照射時間を長くせざるを得なかったが、この発明により前記照射時間を短くして、レジスト膜に与えられる電子ビームのエネルギーを小さくしても、熱処理の段階で対処できるようにしたため、低加速の電子ビームにより十分なエネルギーを与える場合に比べてスループットの向上を図ることができ、電子ビーム露光の実施化に極めて有効な手段であると言える。
【0054】
続いて本発明の現像ユニットの他の例について図10を用いて説明する。本実施の形態の基板保持部7は、基板保持部7の内部に冷却手段が設けられ、回転しないように構成されている他は、上述の図4に示す基板保持部3と同様に設けられている。つまり基板保持部7は、例えばAlN,SiC等により円板状に形成されており、この基板保持部7には、内部に吸着部71と、加熱手段72と、例えばペルチェ素子よりなる冷却手段73とが設けられている。前記吸着部71、加熱手段72、冷却手段73は、夫々吸引路71a、給電路72a,73aを介して、外部の吸引手段74、電力供給部75に接続されている。図中76は基板保持部7の裏面側を支持する支持部、77は基板保持部7にウエハWを受け渡すときに用いられる昇降ピンであり、この昇降ピン77は、昇降機構77aにより昇降自在に構成されている。
【0055】
また図中8は、基板保持部7の側周側及び下方側を囲むように設けられたカップであり、このカップ8内には、基板保持部7の裏面側周縁領域を洗浄するための洗浄機構81が設けられている。この洗浄機構81は、基板保持部7の裏面側周縁領域にリンス液を供給するリンス液供給路81aと、リンス液供給路81aから供給されたリンス液を吸引して除去するための吸引路81bと、を備えている。さらにカップ8の底部にはカップ8内の液体成分を外部に排出するための排出路82が接続されている。
【0056】
基板保持部7の上部側には、基板保持部7に保持されたウエハWの表面に表面改質液を供給するための表面改質液ノズル61と、前記ウエハWの表面に剥離液とリンス液とを供給すると共に、これら剥離液やリンス液を吸引除去するための供給ノズル83と、前記ウエハWの表面に現像液を供給するための現像液ノズル63と、が設けられており、これらは、ウエハWの一端側から他端側へ、塗布液を吐出しながら移動するように水平方向に移動自在、昇降自在に構成されている。
【0057】
前記供給ノズル83は、例えば図11に示すように、剥離液をウエハW表面に供給するための剥離液供給路84と、リンス液をウエハW表面に供給するためのリンス液供給路85と、ウエハW表面に供給されたこれらの液を吸引してウエハW表面から除去するための吸引路86とを備えており、これら剥離液供給路84と、リンス液供給路85、吸引路86とには、夫々剥離液供給源84a、リンス液供給源85a、吸引機構86aが接続されている。この例では供給ノズル83の吸引路86と吸引機構86aとにより吸引手段をなす吸引ノズルが形成されている。また表面改質液ノズル61と、現像液ノズル63とは、上述の実施の形態と同様に構成されている。
【0058】
このような現像ユニットでは、図11に示すように、塗布ユニット(COT)にて化学増幅型レジスト液が塗布され(ステップS11)、電子ビーム露光装置B4にて、例えば5kV程度の低加速の電子ビームにより、100秒程度の短時間で所定のパターンの描画処理が行われた(ステップS12)ウエハWを当該現像ユニットに搬入し(ステップS13)、基板保持部7に載置した後、加熱手段72に電力供給部75により所定の電力を供給し、ウエハWを例えば120℃程度の温度に加熱しながら、表面改質液ノズル61によりウエハW表面に表面改質液であるグリセリンを塗布することにより、PEB処理を行う(ステップS14)。つまりウエハWを前記温度に加熱しながら、表面改質液の吐出口を例えばウエハ表面から1mm程度上方側に位置させた状態で、ウエハW表面に表面改質液を吐出しながら、表面改質液ノズル61をウエハWの一端側から他端側へ移動させて、表面改質液をウエハW表面に塗布する。
【0059】
続いて供給ノズル82によりウエハW表面に剥離液を供給する。先ず加熱手段72への電力供給を停止すると共に、冷却手段73へ電力供給部75により所定の電力を供給し、ウエハWを例えば23℃〜25℃程度の温度に冷却しながら、ウエハW表面に所定温度例えば23℃に調整された剥離液を供給し、次いでこの剥離液を除去する。つまり供給ノズル82を、剥離液供給路84の吐出口84b及び吸引路86の吸引口86bが例えばウエハ表面から5mm以下の高さになるようにウエハW上方側に位置させた状態で、ウエハW表面に剥離液を吐出すると共に、吸引機構86aを作動させて吸引路86よりウエハW表面の剥離液を吸引しながら、供給ノズル82をウエハWの一端側から他端側へ移動させて、剥離液をウエハW表面に塗布すると共に、供給された剥離液を吸引により除去する(ステップS15、ステップS16)。ここで表面改質液ノズル61は、ウエハWの他端側のカップ8の外方側に位置させておく。
【0060】
これによりウエハW表面の表面改質液は剥離液と共に除去される。またこの工程では、ウエハWを冷却手段73により冷却すると共に、ウエハW表面に23℃に調整された剥離液を供給しているので、PEB処理により高温となったウエハWが現像処理に適した温度例えば23℃〜25℃程度まで速やかに冷却される。
【0061】
続いて冷却手段73によりウエハWを現像処理に適した温度例えば23℃〜25℃程度に温度調整した状態で、現像液ノズル63によりウエハW表面に現像液を液盛りする。ここで表面改質液ノズル61、供給ノズル83は、ウエハWの他端側のカップ8の外方側に位置させておく。つまり現像液の吐出口を例えばウエハ表面から1mm程度上方側に位置させた状態で、ウエハW表面に現像液を吐出しながら、現像液ノズル63をウエハWの一端側から他端側へ移動させて、現像液をウエハW表面に液盛りし、現像処理を行う(ステップS17)。
【0062】
現像液を液盛りしてから所定時間経過後、供給ノズル83によりウエハW表面にリンス液を供給して、現像液を洗い流し、現像処理を終了する。つまり先ず冷却手段73への電力供給を停止すると共に、供給ノズル83をリンス液の吐出口85bと吸引口86bとが例えばウエハ表面から5mm以下の高さになるようにウエハの上方側に位置させた状態で、ウエハW表面にリンス液を吐出すると共に、吸引機構86aを作動させて吸引路86よりウエハW表面のリンス液を吸引しながら、供給ノズル83をウエハWの一端側から他端側へ移動させる。これによりリンス液がウエハW表面に塗布されると共に、供給されたリンス液が吸引路86により除去される(ステップS18、ステップS19)。ここで表面改質液ノズル61は、ウエハWの他端側のカップ8の外方側、現像液ノズル62はウエハWの一端側のカップの外方側に夫々位置させておく。これによりウエハW表面の現像液はリンス液と共に除去される。こうして現像処理が終了したウエハWは、現像液ユニットにより搬出される(ステップS20)。
【0063】
このような現像処理は、現像ユニット(DEV)の基板保持部7の回転、加熱手段72や冷却手段73の電力制御、吸引手段74のオン・オフ、昇降ピン77の昇降、ノズル61,63,83の駆動、表面改質液や、剥離液、現像液、リンス液の供給の開始や停止、吸引機構86aのオン・オフ等のタイミングは、制御部により予め設定されたプログラムに従って制御されるようになっている。
【0064】
このような構成においても、現像ユニット(DEV)にてPEB処理を行っているので、上述の現像ユニットで処理を行う場合と同様に、装置のフットプリント7を小さくすることができる。またウエハW表面にグリセリンが存在する状態でPEB処理を行っているので、化学増幅型レジスト液を用いた場合には良好な形状のパターンを形成することができる。またウエハW表面に供給された表面改質液や剥離液、現像液、リンス液の除去を、基板保持部7にてウエハWを回転させることにより行うのではなく、吸引手段により吸引除去することにより行っているので、基板保持部7に回転機構を備える必要はなく、基板保持部7の構成が簡易なものとなる。
【0065】
この際、基板保持部7に加熱手段72と冷却手段73とを組み込むことにより、PEB処理により高温となった基板保持部7の温度を速やかに現像処理に適する温度まで冷却できる。ここで基板保持部7に設けられる冷却手段73としては、例えばウエハWの裏面側に冷却ガスを吹き付けてウエハWを冷却するタイプのものを用いるようにしてもよい。なおこの現像ユニットにおいても、図4に示す現像ユニットのように、表面改質液、剥離液、現像液、リンス液とに別個のノズルを用意すると共に、別に吸引ノズルを用意するようにしてもよい。
【0066】
以上において、表面改質液等の塗布は、基板保持部が回転自在に構成されている場合には、ウエハWの中心近傍に表面改質液等を供給し、ウエハWを回転させることにより、前記供給された表面改質液等を展伸させるスピンコーティングにより行うようにしてもよく、この場合には液膜の厚さを薄くすることができ、液膜の厚さが均一になりやすいという利点がある。また上述の構成のように、ウエWの直径とほぼ同じ吐出領域を有するノズルを用いて表面改質液等の液体を供給する場合には、液膜の厚さはやや厚くなるが、ウエハWが回転していないので表面改質液等が飛散することがなく、液体の消費量が少なくてすむという利点がある。
【0067】
また本発明においては、化学増幅型レジスト液以外のレジスト液を用いることもでき、この例では、現像ユニットではウエハ表面に表面改質液を供給しないでPEB処理が行われる。この場合であっても、現像ユニットにてPEB処理と現像処理を行っているので、装置のフットプリントを小さくすることができる。
【0068】
さらに本発明では、露光装置としては、電子ビームにより直接描画する電子ビーム露光装置に限らず、g線、i線、エキシマレーザー等の光源を用いて、フォトマスクを介してパターン転写を行う露光装置や、X線露光装置、イオンビーム露光装置等を用いることができる。このような電子ビーム露光装置以外の露光装置であっても、露光時にウエハW表面の化学増幅型レジスト膜に与えるエネルギーが不足する場合、現像ユニットにて行うPEB処理にて、ウエハW表面に表面改質液が存在する状態でウエハWを加熱することにより、前記エネルギーの不足分が補填され、低エネルギーで露光してもスループットの低下を抑えて、良好な形状のパターンを形成することができる。
【0069】
さらに本発明では、PEB処理が行われた基板を冷却する際、上述の例のような、剥離液を供給すると共に、基板を回転させて冷却する場合のように、基板に対して剥離液を供給する工程と、基板を冷却手段により冷却する工程とを同時に行うようにしてもよいし、基板保持部に冷却手段が設けられた場合には、例えば基板に対して剥離液を供給してから冷却したり、又は基板を冷却してから剥離液を供給したりというように、基板に対して剥離液を供給する工程と、基板を冷却手段により冷却する工程とを、別個に行うようにしてもよい。また例えば図4に示す基板保持部に冷却手段を内蔵し、基板の冷却を、剥離液の供給と、基板の回転と、冷却手段による冷却との組み合わせにより行うようにしてもよい。
【0070】
さらに本発明の基板保持部は、静電吸着力を利用してウエハWを吸着保持するものであってもよい。また剥離液とリンス液とが同じ液体である場合には、共通のノズルを用いて剥離液とリンス液の供給を行うようにしてもよい。さらに本発明は半導体ウエハのみならず液晶ディスプレイ用のガラス基板(LCD基板)といった基板を現像処理する現像処理装置にも適用できる。
【実施例】
【0071】
続いて本発明の効果を確認するために行った実施例について説明する。
(実施例1)
本例は、表面改質液としてグリセリンを露光後のウエハの表面に塗布した状態でウエハの加熱を行った実施例である。詳しい試験条件を以下に記載する。図4に示す構成の現像処理装置を用い、ウエハWにグリセリンを塗布した状態で、所定時間加熱した後、ウエハWを回転させた状態で剥離液である純水を供給して表面改質液を洗い流し、ウエハWを高速で回転させることにより、ウエハW上の剥離液を除去すると共に、ウエハWを23℃まで冷却した。更にウエハWの表面に現像液を液盛りし、次いでウエハWを回転させた状態でリンス液である純水を供給して、現像液を洗い流し、ウエハWを高速で回転させることにより、ウエハW上のリンス液を除去してパターンを形成した。形成されたパターンを電子顕微鏡を用いて撮像した結果を図13に示す。
【0072】
・レジスト:ポジ型化学増幅型レジスト液
・レジスト膜厚:100nm
・線幅目標値:250nm
・電子ビーム照射量:6mJ/cm2
・電子ビーム照射時間:90秒
・加熱温度及び加熱時間:90℃,90秒
・剥離液供給時間:30秒
・剥離液供給時回転数:500rpm
・剥離液温度:23℃
・剥離液除去時回転数及び時間:4000rpm,15秒
・現像液及び現像時間:TMAH=2.38重量%,60秒
・リンス液供給時間:15秒
・リンス液供給時回転数:500rpm
・リンス液除去時回転数及び時間:4000rpm,15秒
(比較例1)
本例は、表面改質液を用いなかったことを除いて実施例1と同じ処理を行った比較例である。形成されたパターンを電子顕微鏡を用いて撮像した結果を図14に示す。
(実施例1及び比較例1の結果と考察)
図13及び図14の結果からも明らかなように、表面改質液であるグリセリンを載せた状態で加熱した実施例の場合、描画した領域(電子ビームを当てた領域)が現像液に溶解し、描画しなかった領域にあるレジストが残ってパターンが形成されている。パターンの線幅も目標値を満足するものが形成されている。これに対し、グリセリンを用いなかった比較例は描画した領域のレジストが溶解せずに残ってしまってパターンが全くといっていいほど形成されていない。以上の結果から表面改質液としてグリセリンを用いれば、電子ビームを低加速に設定したとしても、加熱時において酸触媒反応を促進させることができることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明に係る塗布、現像装置の実施の形態を示す平面図である。
【図2】前記塗布、現像装置を示す斜視図である。
【図3】前記塗布、現像装置における棚ユニットを示す側面図である。
【図4】前記塗布、現像装置における現像ユニットを示す縦断断面図である。
【図5】前記現像ユニットの要部を示す斜視図である。
【図6】前記現像ユニットの基板保持部を示す平面図である。
【図7】前記塗布、現像装置にて実施される塗布、現像方法の一例を示す工程図である。
【図8】前記現像ユニットを用いてウエハを加熱、現像する工程を模式的に示す説明図である。
【図9】前記現像ユニットを用いてウエハを加熱、現像する工程を模式的に示す説明図である。
【図10】前記塗布、現像装置の他の現像ユニットの一例を示す縦断断面図である。
【図11】前記現像ユニットに設けられる供給ノズルの一例を示す縦断断面図である。
【図12】前記塗布、現像装置にて実施される塗布、現像方法の一例を示す工程図である。
【図13】本発明の効果を確認するために行った実施例の結果を示す電子顕微鏡の撮像写真である。
【図14】本発明の効果を確認するために行った比較例の結果を示す電子顕微鏡の撮像写真である。
【図15】電子ビーム露光装置の作用を示す説明図である。
【図16】従来の塗布、現像装置にて形成されるレジストパターンを示す説明図である。
【符号の説明】
【0074】
W 半導体ウエハ
C キャリア
B1 キャリア載置部
B2 処理部
B3 インターフェイス部
B4 露光装置
DEV 現像ユニット
3,7 基板保持部
31,71 吸着部
32,72 加熱手段
35 電力供給部
41 回転軸
44 回転駆動部
5 カップ
61 表面改質液ノズル
62 剥離液ノズル
63 現像液ノズル
64 リンス液ノズル
73 冷却手段
83 供給ノズル
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体ウエハやLCD基板(液晶ディスプレイ用ガラス基板)等の基板に対して現像液を供給して現像処理等を行う現像処理装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスやLCD基板の製造プロセスにおいては、フォトリソグラフィと呼ばれる技術により基板に対してレジストパターンの形成が行なわれている。この技術は、例えば半導体ウエハ(以下ウエハという)などの基板に、レジスト液を塗布して、当該ウエハの表面に液膜を形成した後、このウエハ上のレジスト膜にパターン転写を行い、次いで現像処理を行なうことにより所望のパターンを得る、一連の工程により行われている。
【0003】
ところで従来では、前記レジスト膜へのパターン転写は、ステッパと呼ばれる露光装置にて、エキシマレーザー等の光源を用い、フォトマスクを通してレジスト膜に回路パターンを転写するために光を照射することが一般的である。しかしながら近年では少量多品種の生産を行う傾向があり、露光装置では品種が変わる毎にフォトマスクを製作する必要があるので、製造コストが高くなってしまう。このことから、本発明者らは、フォトマスクが不要な電子ビーム露光に着目している。
【0004】
この電子ビーム露光とは、電子ビームを用いてレジスト膜上に所定のパターンを描画する手法であり、例えば図15に示すように、電子銃11から放出された電子ビームを、例えばマスクに相当する電磁レンズ12,13により電界をかけて曲げ、前記電磁レンズ12,13の組み合わせにより所定のマスクパターンを形成してレジスト膜14上に直接描画するものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の電子ビーム露光では、電子ビームを曲げてレジスト膜14に照射しているが、電子ビームはエネルギーが小さいほど曲げやすいので、低加速の電子ビームが用いられる。しかしながらこのようにすると、レジスト膜14に与えるエネルギーが小さくなってしまい、レジスト膜14の表面には電子ビームが照射されるが、下方側には電子ビームが届かない状態となる。この際電子ビームの照射時間を長くすれば、低加速の電子ビームであってもレジスト膜14に十分なエネルギーを与えることができるが、これには例えば20分程度とかなり長い時間が必要となり、スループットが低下してしまう。
【0006】
ところで化学増幅型レジスト液では、露光することにより感光剤から酸が生成し、この酸が露光処理の次工程のPEB(ポストエクスポージャーべーク)と呼ばれる熱処理により拡散して触媒として作用し、レジスト液の主成分であるベース樹脂を分解したり、分子構造を変えて現像液に対して可溶化あるいは不可溶化となる。
【0007】
従って化学増幅型のポジ型レジスト膜を形成し、低加速の電子ビームにより短時間で描画を行ったウエハWでは、図16(a)に示すように、レジスト膜14の電子ビームの照射領域15を斜線で示すとすると、当該照射領域15では表面近傍領域しか図中点で示す酸16が発生しない状態となり、この状態でPEB処理を行っても、レジスト膜14表面は触媒反応による酸の発生が加速化されるが、下方側には酸が拡散していかず、酸の発生量が少なくなってしまう。
【0008】
このためPEB処理の次工程の現像処理では、酸を利用して現像液によるレジスト膜の溶解反応が進行するので、酸が存在しない領域では現像液による溶解反応が進行しにくく、結果として図16(b)に示すように、レジスト膜14では表面のみパターンが形成されるものの、線幅精度の高い良好な形状のレジストパターンを形成することができない。
【0009】
そこで本発明者らは、化学増幅型レジスト液を用いた場合、電子ビーム露光を低加速の電子ビームにより短時間で行い、後のPEB処理工程でレジスト膜に新たにエネルギーを与えることにより、酸触媒反応を十分に進行させて、スループットの低下を抑えながら良好な形状のレジストパターンを形成する手法に着目している。また塗布、現像装置に組み込むユニット数を少なくして、装置の小型化や搬送効率の向上を図るという観点から、現像ユニットにてPEB処理を行うことも検討している。
【0010】
このためには現像ユニットにPEB処理を行うための加熱手段を設けることが必要となるが、このように現像ユニットに加熱手段を設ける構成は、例えば特許文献1に記載されている。しかしながらこの技術は、現像処理中にレジスト膜と現像液との反応により起こるウエハの温度変化を抑制するために、載置台を冷却または加熱するものであり、レジスト膜と現像液との反応により起こるウエハの温度変化はせいぜい10℃〜30℃程度であるので、この技術では化学増幅型のレジスト膜の酸触媒反応を起こすことはできず、本発明の課題は解決できない。
【0011】
本発明は、このような事情の下になされたものであり、その目的は、現像処理装置にて露光されたレジスト膜の熱処理を行うことにより、この熱処理を行う専用の加熱ユニットを不要として、この加熱ユニットに相当する分、装置のフットプリントを小さくすることである。また他の目的は、化学増幅型レジスト液を用いる場合、露光されたレジスト膜の上に表面改質液が存在する状態で熱処理を行うことにより、露光時にレジスト膜に与えるエネルギーが不足する場合であっても、その不足分を前記熱処理時に補完して酸触媒反応を十分に進行させ、結果としてスループットの低下を抑えながら、良好なレジストパターン形状を得ることができる現像処理装置及びその方法を提供することにある。
【0012】
【特許文献1】特許第3453073号(段落0021〜0022)
【課題を解決するための手段】
【0013】
このため本発明の現像処理装置は、基板を略水平に保持すると共に、露光されたレジスト膜を熱処理するために基板を加熱する加熱手段を備えた基板保持部と、
前記基板保持部に保持された熱処理後の基板を冷却する冷却手段と、
前記基板保持部に保持された冷却後の基板に対して現像液を供給するための現像液供給手段と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
ここで前記レジスト液は化学増幅型であり、レジスト膜の熱処理時における酸触媒反応を促進させるための表面改質液を基板に供給する表面改質液供給手段を更に備えることが望ましい。また前記表面改質液としてはグリセリンを用いることができ、前記表面改質液供給手段により前記基板に表面改質液を供給してから所定時間経過後、前記基板表面の表面改質液を除去するために、当該基板表面に剥離液を供給する剥離液供給手段を備えるようにしてもよい。また前記冷却手段は、前記基板を回転させて放熱させるために、前記基板保持部を回転させる回転機構であってもよいし、前記冷却手段は、基板保持部に設けられているものであってもよい。さらに前記基板表面の液を吸引して除去するための吸引手段を備えるようにしてもよい。また前記露光は、例えば化学増幅型レジスト膜が形成された基板の表面に、電子ビームを照射して所定のマスクパターンを描画するものである。
【0015】
また本発明の現像処理方法は、露光されたレジスト膜を熱処理するために、前記レジスト膜が形成された基板を基板保持部に載置して加熱する加熱工程と、
次いで前記基板を現像処理を行う温度まで冷却する冷却工程と、
次いで前記基板保持部に保持されている基板のレジスト膜の上に現像液を液盛りし、所定の現像処理を行う現像工程と、を含むことを特徴とする。ここで前記レジスト膜が化学増幅型である場合には、レジスト膜の酸触媒反応を促進させる表面改質液を前記基板保持部に保持されている基板に供給する工程を更に備えることが望ましい。また前記加熱工程の後であって、現像工程の前に、基板表面の表面改質液を除去するために、当該基板表面に剥離液を供給する工程を行うようにしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、現像処理装置にて露光されたレジスト膜の熱処理を行うことにより、当該熱処理を行う専用の加熱ユニットを不要として、この加熱ユニットに相当する分、装置のフットプリントを小さくすることができる。また化学増幅型レジスト液を用いる場合には、基板表面に表面改質液が存在する状態で、露光されたレジスト膜の熱処理を行うことにより、露光時にレジスト膜に与えるエネルギーが不足する場合であっても、前記熱処理時にエネルギーの不足分を補完して酸触媒反応を十分に進行させ、結果としてスループットの低下を抑えながら、良好なレジストパターン形状を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る現像処理装置を備えた塗布、現像装置の実施の形態について説明する。図1は、本発明の実施の形態である現像処理装置が組み込まれた塗布、現像装置と露光装置とを接続して構成したレジストパターン形成装置の平面図を示し、図2は同概略斜視図である。図中B1は基板であるウエハWが例えば13枚密閉収納されたキャリアCを搬入出するためのキャリア載置部であり、キャリアCを複数個載置可能な載置台21と、この載置台21から見て前方の壁面に設けられる開閉部22と、開閉部22を介してキャリアCからウエハWを取り出すためのトランスファーアームA1とが設けられている。
【0018】
キャリア載置部B1の奥側には筐体23にて周囲を囲まれる処理部B2が接続されており、この処理部B2には手前側から奥側に向かって順に加熱・冷却系のユニットを多段化した2個の棚ユニットU1,U2と、後述する液処理ユニットに設けられる各種処理ユニットとの間のウエハWの受け渡しを行うためのメイン搬送機構A2,A3とが交互に配列して設けられている。例えばメイン搬送機構A2,A3は、ウエハWの裏面側の周縁領域の複数個所を保持するように構成されると共に、昇降自在、進退自在、鉛直軸回りに回転自在に構成されている。
【0019】
またメイン搬送機構A3の奥側には、処理部B2と後述するインターフェース部B3との間でウエハWの受け渡しを行うための受け渡しユニットTが設けられている。こうして棚ユニットU1,U2及びメイン搬送機構A2,A3、受け渡しユニットTはキャリア載置部B1側から見て前後一列に配列されており、各々の接続部位には図示しないウエハ搬送用の開口部が形成されていて、ウエハWは処理部B2内を一端側の棚ユニットU1から他端側の受け渡しユニットTまで自由に移動できるようになっている。
【0020】
前記メイン搬送機構A2,A3は、キャリア載置部B1から見て前後方向に配置される棚ユニットU1,U2、受け渡しユニットT側の一面部と、右側の液処理ユニットU3,U4側の一面部と、左側の一面をなす背面部とで構成される区間壁24により囲まれる空間内に置かれている。図中25,26は各モジュールで用いられる処理液の温度調節装置や温湿度調節用のダクト等を備えた温湿度調節ユニットである。
【0021】
液処理ユニットU3,U4は、例えば図2に示すように反射防止膜用の薬液、レジスト液や現像液といった薬液供給用のスペースをなす収納部27の上に、例えば反射防止膜の塗布ユニット(BARC)、レジスト液の塗布ユニット(COT)及び本発明の現像処理装置である現像ユニット(DEV)を複数段例えば5段に積層した構成とされている。なお用語を簡略化するために反射防止膜の塗布ユニットを反射防止膜ユニット、レジスト液の塗布ユニットを塗布ユニットと呼ぶことにする。
【0022】
また既述の棚ユニットU1,U2は、液処理ユニットU3,U4にて行なわれる処理の前処理及び後処理を行なうための各種ユニットを複数段積層した構成とされている。上述の前処理及び後処理を行うための各種ユニットの中には、例えば図3に示すように、受け渡しユニット(TRS)、ウエハWを所定温度に調整するための温調ユニット(CPL)、レジスト液の塗布前にウエハWの加熱処理を行うための加熱ユニット(BAKE)、レジスト液の塗布後にウエハWの加熱処理を行うためのプリベーキングユニットなどと呼ばれている加熱ユニット(PAB)、現像処理後のウエハWを加熱処理するポストベーキングユニットなどと呼ばれている加熱ユニット(POST)等が含まれている。図3はこれらユニットのレイアウトの一例を示すものであって、このレイアウトは便宜上のものであり、実際の装置では各ユニットの処理時間などを考慮してユニットの設置数が決められる。
【0023】
処理部B2における受け渡しユニットTの奥側には、インターフェイス部B3を介して露光装置、例えば電子ビーム露光装置B4が接続されている。インターフェイス部B3は処理部B2と露光装置B4との間に前後に設けられる第1の搬送室28、第2の搬送室29にて構成されており、夫々に第2の搬送手段をなす主搬送部A4及び補助搬送部A5が設けられている。
【0024】
また前記電子ビーム露光装置B4は、基板表面に形成されたレジスト膜に、例えば低エネルギーの電子ビームを照射することにより、所定のマスクパターンを描画するものである。ここで前記低エネルギーの電子ビームを照射するとは、5kV以下の加速度の電子ビームを照射することをいう。
【0025】
このようなレジストパターン形成装置では、キャリア載置部B1に載置されたキャリアC内の処理前のウエハWはトランスファーアームA1により受け渡しユニット(TRS)に搬送され、続いてウエハWはメイン搬送機構A2,A3により、温調ユニット(CPL)→反射防止膜形成ユニット(BARC)→加熱ユニット(BAKE)→温調ユニット(CPL)→塗布ユニット(COT)の順序で搬送されて、ここで例えば化学増幅型レジスト液が塗布される。次いでウエハWは加熱ユニット(PAB)→温調ユニット(CPL)→受け渡しユニットT→インターフェイス部B3を介して露光装置B4に送られて、電子ビームによりレジスト膜に所定のパターンの描画処理が行われる。
【0026】
露光処理後のウエハWは逆の経路で処理部B2に戻され、現像ユニット(DEV)に搬送され、ここで後述するように露光処理後のPEB処理などと呼ばれている熱処理と現像処理とが行われ、次いで加熱ユニット(POST)→温調ユニット(CPL)→棚ユニットU1の受け渡しユニット(TRS)の順序で搬送され、トランスファーアームA1によりキャリア載置部B1のキャリアCに戻される。
【0027】
続いて現像ユニット(DEV)の構成について図4〜図6により説明する。この現像ユニット(DEV)は、既述のように、露光されたレジスト膜に対して現像前の熱処理(PEB処理)と、現像処理とを行うものである。ここで前記PEB処理とは、単一波長の光で露光した場合、レジスト膜への入射光とウエハからの反射光が干渉して定在波が発生し、この影響によりレジスト膜厚の変動に伴い線幅が変動する現象が発生するが、これによるレジストパターン(レジスト側壁形状)の変形を軽減するために行われる熱処理や、化学増幅型レジスト液を用いた場合には、レジスト膜の酸触媒反応を起こすための熱処理をいう。
【0028】
図中3は基板であるウエハWの裏面中心部を略水平に保持するための基板保持部であり、この基板保持部3は例えば熱伝導性に優れた材質、例えばAlN(窒化アルミニウム)、SiC(炭化ケイ素)等により円板状に構成されており、内部にはウエハWを真空吸着力により吸着保持するための吸着部31が設けられると共に、露光されたレジスト膜の熱処理を行うためにウエハWを所定の温度に加熱するための加熱手段32例えば抵抗発熱線が内蔵されている。
【0029】
このような基板保持部3は、裏面側にて回転軸41により支持されており、この回転軸41はベルト42を介して駆動回転軸43に接続されていて、駆動回転軸43が回転駆動部44により回転されることにより、ベルト42を介して回転軸41に回転力が伝達され、こうして基板保持部3が略鉛直軸回りに回転できるように構成されている。図中45は回転軸41の軸受け部である。ここで基板保持部3を回転させるための、回転軸41、ベルト42、駆動回転軸43、回転駆動部44が本発明の回転機構に相当するものであり、この回転機構は後述するようにウエハWの冷却手段をなすものである。
【0030】
前記回転軸41は中空構造になっており、この内部には前記吸着部31に接続され、例えば導電性の材質により構成された吸引路33が設けられ、この吸引路33の他端側は回転軸41の軸受け部45を介して回転軸41の外部に伸び出し、他端側が吸引手段34に接続されている。また前記加熱手段32は吸引路33の導電性の表面と給電線32aにより電気的に接続されるように設けられている。前記吸引路33の導電性の表面は給電路を兼用しており、この吸引路33は回転軸41の軸受け部45を介して外部の電力供給部35に給電線32bにより接続されている。
【0031】
ここでウエハWは既述のように、メイン搬送機構A2,A3の内縁に設けられた複数個例えば3個の保持爪20(図6参照)に、裏面側の周縁領域が保持されるようになっており、基板保持部3の周縁のメイン搬送機構A2,A3の保持爪20に対応する複数個所には、メイン搬送機構A2,A3の保持爪20が上下方向に通過可能な複数個の切り欠き部36が形成されている。
【0032】
このような基板保持部3の周囲には、基板保持部3にウエハWが保持されたときに、ウエハWから基板保持部3に跨る側方部分を囲むようにしてカップ5が設けられている。このカップ5は各々上下可動な外カップ51と内カップ52とからなり、外カップ51の下端部に接続される昇降機構50により外カップ51が昇降し、内カップ52は外カップ51の移動範囲の一部において連動して昇降するように構成されている。つまり外カップ51の下端円周上に一定間隔に設けられた複数のL字部分51cに内カップ52が引っ掛かることにより、外カップ51と内カップ52とが共に上昇するように構成されている。
【0033】
外カップ51は、四角筒状をなすカップ上部側51aと、円筒状をなすカップ下部側51bが一体となった構造を形成したものであり、外カップ51の上部側及び下部側の水平断面の形状は、夫々四角形と円形となっている。一方内カップ52は円筒の上部側が上方内側に傾斜し、上部側開口部が下部側開口部より狭くなるように形成されており、この上部側開口部は内カップ52が下降位置にあるときにウエハWの外縁と僅かな隙間を介して囲むように位置決めされる。
【0034】
基板保持部3の下方側には、回転軸41を中心にほぼ水平に設けられている円板54と、この円板54の周りに全周に亘って凹部が形成された液受け部55とが設けられており、液受け部55の底面にはドレインライン53が接続されている。円板54の周縁部付近には断面山形のリング体56が、その頂部56aがウエハWの周縁部裏面に接近するように設けられている。リング体56の外周とカップ5(内カップ52)との間には隙間57が設けられており、前記頂部56aから下方外側に傾斜する斜面を伝わって例えば後述する表面改質液や現像液等の飛散液等の液体成分が、この隙間57を通って液受け部55側へと流れる構成となっている。また円板54には、メイン搬送機構A2,A3と基板保持部4との間でウエハWの受け渡しを行う際に用いられる昇降ピン58が設けられると共に、ウエハWやリング体56に当たって円板54側へ跳ね返った液体成分を自然排水するためのドレインライン59が接続されている。前記昇降ピン58は、昇降機構58aにより、先端が基板保持部3の表面から突出する受け渡し位置と、先端が基板保持部3の内部に位置する待機位置との間で昇降自在に構成されている。
【0035】
さらにまた基板保持部3に保持されたウエハWの上方側には、ウエハWに化学増幅型レジスト液の酸触媒反応を促進させる表面改質液例えばグリセリンを塗布するための表面改質液ノズル61と、ウエハ上の表面改質液を除去するための剥離液例えば純水をウエハWに供給するための剥離液ノズル62と、ウエハWに現像液を液盛りするための現像液ノズル63と、ウエハ上の現像液を除去するためのリンス液例えば純水をウエハWに供給するためのリンス液ノズル64とが設けられている。これらのノズル61〜64は同様に構成されており、例えばウエハWの直径とほぼ同じ長さに亘って配列された多数の吐出孔を備えている。これらノズル61〜64は、供給領域が基板の有効領域の幅(この例ではウエハWのほぼ直径の長さ)とほぼ同じ長さであればよいが、それよりも長くてもよい。また各ノズル61〜64の他端側は、表面改質液供給源61a、剥離液供給源62a、現像液供給源63a、リンス液供給源64aに夫々接続されている。
【0036】
またこれらノズル61〜64は、外カップ51の外側において、例えば上部カップ51aの一辺と平行になるように水平に伸びるガイドレール65に沿って、ウエハWの一方側から他方側へ水平方向に移動自在に構成されていると共に、昇降自在に構成されており、各ノズル61〜64の移動及び昇降は図示しない制御部によりコントロールされるようになっている。こうして各ノズルでは、所定の塗布液を吐出しながら、ウエハWの一方側から他方側へ移動することにより、ウエハWの表面全体に所定の塗布液が塗布されることになっている。この制御部は基板保持部3の駆動機構や外カップ51の昇降機構とも接続されており、基板保持部3の回転及び昇降の制御、カップ5の昇降の制御を行うと共に、基板保持部3やカップ5の各状況に応じて各ノズル61〜64を動作させることができる構成となっている。
【0037】
続いてこのような現像ユニット(DEV)にて行われる現像処理方法について図7〜図9を用いて説明する。先ず昇降ピン58を受け渡し位置まで上昇させて、当該昇降ピン58に図示しないメイン搬送機構A2(A3)からウエハWを受け渡し、現像ユニットにウエハWを搬入する(ステップS3、図8(a))。ここでウエハWは、塗布ユニット(COT)にて化学増幅型レジスト液が塗布され(ステップS1)、電子ビーム露光装置B4にて例えば5kV程度の低加速の電子ビームを100秒程度照射することにより、所定のマスクパターンが描画されたものである(ステップS2)。
【0038】
次いでカップ5を処理位置まで上昇させ、ウエハWに表面改質液を塗布した状態で、当該ウエハWを化学増幅型レジスト膜の酸触媒反応が起こるように加熱して、露光されたレジスト膜の熱処理であるPEB処理を行う(ステップS4、図8(b))。つまり加熱手段32に電力供給部35から所定の電力を供給して、ウエハWを所定温度に加熱する一方、ウエハWの一端側に、表面改質液ノズル61を、当該ノズル61の表面改質液吐出口がウエハW表面から例えば1mm程度上方側位置するように位置させて、当該ノズル61から表面改質液を吐出させながら、当該ノズル61をウエハWの一端側から他端側に移動させ、ウエハ表面に表面改質液を塗布する。
【0039】
この際、表面改質液としては例えばグリセリン等を用いることができる。ここで表面改質液として例えばグリセリン等の凝縮作用があり、ウエハWの中央領域に凝縮し、周縁領域にグリセリンが存在しなくなってしまう液体を用いる場合には、表面改質液を塗布した後、ウエハWを例えば200rpm程度の低い回転数で回転させて、グリセリンを展伸させるようにしてもよい。
【0040】
また前記化学増幅型レジスト膜の酸触媒反応が起こる温度とは、例えば100℃程度であるので、ウエハWはこの温度以上の温度、例えば120℃程度に加熱することが望ましい。こうしてウエハ表面に表面改質液が存在する状態で、120℃程度の温度で1分程度熱処理を行うことにより、後述するようにレジスト膜中の酸触媒反応の活性力が高まり、酸の発生が連鎖して起こり、レジスト膜中に酸が拡散した状態となる。
【0041】
こうしてウエハWに表面改質液を塗布した状態でPEB処理を行った後、加熱手段32への電力供給を停止し、ウエハ表面に表面改質液を除去するための剥離液の供給を行う(ステップS5、図8(c))。つまり剥離液吐出口がウエハW表面から例えば10mm程度上方側に位置するように、ウエハWの一端側の表面近傍位置に剥離液ノズル62を位置させ、ウエハWを500rpm程度の回転数で回転させた状態で、前記ノズル62から剥離液を吐出させながら、当該ノズル62をウエハWの一端側から他端側に移動させ、ウエハ表面に剥離液を塗布する。ここで表面改質液ノズル61はウエハWの他端側の外カップ51の外側に位置させておく。
【0042】
こうして剥離液を供給した後、ウエハWを4000rpm程度の回転数で高速回転することにより、表面改質液質液及び剥離液を回転の遠心力により飛散させて除去する。この際、剥離液としては例えば純水や、IPAやエタノールが添加された純水等を用いることができ、剥離液は例えば23℃程度に調整されたものを用いることが望ましい。また剥離液を供給する際には、ウエハWは回転させなくてもよい。このようにウエハWに所定温度に調整した剥離液を供給し、さらにウエハWを回転させて表面改質液と共に剥離液を除去することにより、剥離液の供給による冷却と、回転の放熱により、PEB処理により高温となったウエハWが例えば30℃程度の温度に冷却される。
【0043】
このようにしてウエハWを所定温度まで冷却した後、ウエハWに対して現像液の液盛りを行う(ステップS6、図9(a))。つまり現像液吐出口がウエハW表面から例えば1mm程度上方側に位置するように、ウエハWの一端側の表面近傍位置に現像液ノズル63を位置させ、当該ノズル63から現像液を吐出させながら、当該ノズル63をウエハWの一端側から他端側に移動させて、ウエハ表面に現像液を液盛りする。ここで表面改質液ノズル61、剥離液ノズル62はウエハWの他端側の外カップ51の外側に位置させておく。
【0044】
続いて現像液を液盛りしてから所定時間経過後、ウエハW表面にリンス液例えば純水を供給して、現像液を洗い流し、こうして現像処理を終了する(ステップS7、図9(b))。ここでリンス液の供給は、リンス液吐出口がウエハW表面から例えば1mm程度上方側に位置するように、ウエハWの一端側の表面近傍位置にリンス液ノズル64を位置させ、ウエハWを500rpm程度の回転数で回転させた状態で、前記ノズル64からリンス液を吐出させながら、当該ノズル64をウエハWの一端側から他端側に移動させることにより行う。こうしてウエハ表面に供給されたリンス液により、現像液が洗い流され、除去される。ここで表面改質液ノズル61、剥離液ノズル62、現像液ノズル63はウエハWの他端側の外カップ51の外側に位置させておく。こうしてリンス液を供給した後、次いでウエハWを4000rpm程度の回転数で高速回転することにより、リンス液を回転の遠心力により飛散させて除去する。このようにして現像ユニット(DEV)にて、ウエハWに対して露光されたレジスト膜の熱処理(PEB処理)と、現像処理とを行った後、当該処理済みのウエハWを現像ユニットから搬出する(ステップS8)。
【0045】
このような現像処理は、現像ユニット(DEV)の基板保持部3の回転、加熱手段32の電力制御、吸引手段のオン・オフ、昇降ピン58の昇降、カップ5の昇降、ノズル61〜64の駆動、表面改質液や、剥離液、現像液、リンス液の供給の開始や停止のタイミング等は、制御部により予め設定されたプログラムに従って制御されるようになっている。
【0046】
このように、本発明では、現像ユニットにて露光されたレジスト膜の熱処理(PEB処理)を行っているので、PEB処理を行う熱処理ユニットを別個に設ける必要がなく、当該熱処理ユニットに相当する分、塗布、現像装置に組み込む処理ユニット数を少なくすることができ、装置のフットプリントを小さくすることができる。
【0047】
またこの際、PEB処理時のウエハWの温度は、化学増幅型レジスト液を用いた場合には120℃程度であり、それ以外のレジスト液を用いた場合には140℃程度であって、23℃程度のウエハW温度で処理を行う現像処理時よりも高いが、既述のように、予め23℃程度に調整された剥離液をウエハW表面に供給し、かつウエハWを回転させて剥離液を飛散させて除去することにより、剥離液の供給による冷却と、回転による放熱によって、ウエハWの熱が瞬時に奪われるので、ウエハWは現像処理に適した温度まで冷却され、速やかに現像処理を行うことができる。
【0048】
さらに基板保持部3に設けられた加熱手段32の給電路は、導電性材料により構成された吸引路33を利用し、軸受け部35を介して外部の電力供給部と接続されているので、基板保持部3を回転したときに加熱手段32の給電路が回転軸41に絡みつくおそれがなく、安定した状態で基板保持部3を回転することができる。この際、例えば吸着部31のウエハWと接触する領域の近傍領域を絶縁材料により構成することにより、ウエハWを給電路と電気的に遮断することができる。
【0049】
さらに化学増幅型レジスト液を塗布したウエハWに対して、表面改質液であるグリセリンがウエハ表面に存在する状態でウエハWを加熱してPEB処理を行っているので、レジスト膜中に酸を十分に広げてレジストを変質させることができる。その結果、後述する実施例の結果からも明らかなように、現像処理において基板の表面に線幅精度の高い、良好な形状のレジストパターンを形成することができる。
【0050】
ここでレジスト膜上に表面改質液を存在させた状態で加熱することにより、レジスト膜中の酸の活動を活発にすることができる理由については、本発明者らは次のように推測している。つまり表面改質液をレジスト膜に接触させた状態で加熱すると、加熱時において表面改質液がレジスト膜の描画領域内に浸透し、これにより描画領域内が親水化され、当該描画領域内を酸が動き易くなり、そのため少量の酸であっても描画領域内に拡散させることができる。そして描画領域内に拡散した酸により、酸の発生が連鎖して起こり、レジスト膜の表面のみならず、下方側まで酸が多い状態となると考えられる。このため現像処理を行うと、レジスト膜中の十分な酸により現像液による溶解反応あるいは不溶解反応が速やかに進行し、良好なレジストパターン形状が形成されると推察される。
【0051】
この際表面改質液の浸透はウエハWを加熱することにより促進されるため、加熱時にレジスト膜表面に表面改質液が存在することが要件となる。その裏付けとして、レジスト膜上に表面改質液であるグリセリンを塗布し、次いでウエハWに剥離液を供給して前記グリセリンを除去してから、ウエハWを加熱してPEB処理を行った場合には、良好な形状なパターンは形成できないことを実験により確認している。
【0052】
以上のように、本実施の形態では、化学増幅型レジスト液を用いた場合、露光処理時にレジスト膜に与えるエネルギーが小さくても、このエネルギーの不足分がPEB処理により補完でき、結果として良好なレジストパターン形状を形成することができる。
【0053】
このことは言い換えれば、例えばマスクレスの低加速の電子ビーム露光において、十分な電子ビームのエネルギーをレジスト膜に与えるためには電子ビームの照射時間を長くせざるを得なかったが、この発明により前記照射時間を短くして、レジスト膜に与えられる電子ビームのエネルギーを小さくしても、熱処理の段階で対処できるようにしたため、低加速の電子ビームにより十分なエネルギーを与える場合に比べてスループットの向上を図ることができ、電子ビーム露光の実施化に極めて有効な手段であると言える。
【0054】
続いて本発明の現像ユニットの他の例について図10を用いて説明する。本実施の形態の基板保持部7は、基板保持部7の内部に冷却手段が設けられ、回転しないように構成されている他は、上述の図4に示す基板保持部3と同様に設けられている。つまり基板保持部7は、例えばAlN,SiC等により円板状に形成されており、この基板保持部7には、内部に吸着部71と、加熱手段72と、例えばペルチェ素子よりなる冷却手段73とが設けられている。前記吸着部71、加熱手段72、冷却手段73は、夫々吸引路71a、給電路72a,73aを介して、外部の吸引手段74、電力供給部75に接続されている。図中76は基板保持部7の裏面側を支持する支持部、77は基板保持部7にウエハWを受け渡すときに用いられる昇降ピンであり、この昇降ピン77は、昇降機構77aにより昇降自在に構成されている。
【0055】
また図中8は、基板保持部7の側周側及び下方側を囲むように設けられたカップであり、このカップ8内には、基板保持部7の裏面側周縁領域を洗浄するための洗浄機構81が設けられている。この洗浄機構81は、基板保持部7の裏面側周縁領域にリンス液を供給するリンス液供給路81aと、リンス液供給路81aから供給されたリンス液を吸引して除去するための吸引路81bと、を備えている。さらにカップ8の底部にはカップ8内の液体成分を外部に排出するための排出路82が接続されている。
【0056】
基板保持部7の上部側には、基板保持部7に保持されたウエハWの表面に表面改質液を供給するための表面改質液ノズル61と、前記ウエハWの表面に剥離液とリンス液とを供給すると共に、これら剥離液やリンス液を吸引除去するための供給ノズル83と、前記ウエハWの表面に現像液を供給するための現像液ノズル63と、が設けられており、これらは、ウエハWの一端側から他端側へ、塗布液を吐出しながら移動するように水平方向に移動自在、昇降自在に構成されている。
【0057】
前記供給ノズル83は、例えば図11に示すように、剥離液をウエハW表面に供給するための剥離液供給路84と、リンス液をウエハW表面に供給するためのリンス液供給路85と、ウエハW表面に供給されたこれらの液を吸引してウエハW表面から除去するための吸引路86とを備えており、これら剥離液供給路84と、リンス液供給路85、吸引路86とには、夫々剥離液供給源84a、リンス液供給源85a、吸引機構86aが接続されている。この例では供給ノズル83の吸引路86と吸引機構86aとにより吸引手段をなす吸引ノズルが形成されている。また表面改質液ノズル61と、現像液ノズル63とは、上述の実施の形態と同様に構成されている。
【0058】
このような現像ユニットでは、図11に示すように、塗布ユニット(COT)にて化学増幅型レジスト液が塗布され(ステップS11)、電子ビーム露光装置B4にて、例えば5kV程度の低加速の電子ビームにより、100秒程度の短時間で所定のパターンの描画処理が行われた(ステップS12)ウエハWを当該現像ユニットに搬入し(ステップS13)、基板保持部7に載置した後、加熱手段72に電力供給部75により所定の電力を供給し、ウエハWを例えば120℃程度の温度に加熱しながら、表面改質液ノズル61によりウエハW表面に表面改質液であるグリセリンを塗布することにより、PEB処理を行う(ステップS14)。つまりウエハWを前記温度に加熱しながら、表面改質液の吐出口を例えばウエハ表面から1mm程度上方側に位置させた状態で、ウエハW表面に表面改質液を吐出しながら、表面改質液ノズル61をウエハWの一端側から他端側へ移動させて、表面改質液をウエハW表面に塗布する。
【0059】
続いて供給ノズル82によりウエハW表面に剥離液を供給する。先ず加熱手段72への電力供給を停止すると共に、冷却手段73へ電力供給部75により所定の電力を供給し、ウエハWを例えば23℃〜25℃程度の温度に冷却しながら、ウエハW表面に所定温度例えば23℃に調整された剥離液を供給し、次いでこの剥離液を除去する。つまり供給ノズル82を、剥離液供給路84の吐出口84b及び吸引路86の吸引口86bが例えばウエハ表面から5mm以下の高さになるようにウエハW上方側に位置させた状態で、ウエハW表面に剥離液を吐出すると共に、吸引機構86aを作動させて吸引路86よりウエハW表面の剥離液を吸引しながら、供給ノズル82をウエハWの一端側から他端側へ移動させて、剥離液をウエハW表面に塗布すると共に、供給された剥離液を吸引により除去する(ステップS15、ステップS16)。ここで表面改質液ノズル61は、ウエハWの他端側のカップ8の外方側に位置させておく。
【0060】
これによりウエハW表面の表面改質液は剥離液と共に除去される。またこの工程では、ウエハWを冷却手段73により冷却すると共に、ウエハW表面に23℃に調整された剥離液を供給しているので、PEB処理により高温となったウエハWが現像処理に適した温度例えば23℃〜25℃程度まで速やかに冷却される。
【0061】
続いて冷却手段73によりウエハWを現像処理に適した温度例えば23℃〜25℃程度に温度調整した状態で、現像液ノズル63によりウエハW表面に現像液を液盛りする。ここで表面改質液ノズル61、供給ノズル83は、ウエハWの他端側のカップ8の外方側に位置させておく。つまり現像液の吐出口を例えばウエハ表面から1mm程度上方側に位置させた状態で、ウエハW表面に現像液を吐出しながら、現像液ノズル63をウエハWの一端側から他端側へ移動させて、現像液をウエハW表面に液盛りし、現像処理を行う(ステップS17)。
【0062】
現像液を液盛りしてから所定時間経過後、供給ノズル83によりウエハW表面にリンス液を供給して、現像液を洗い流し、現像処理を終了する。つまり先ず冷却手段73への電力供給を停止すると共に、供給ノズル83をリンス液の吐出口85bと吸引口86bとが例えばウエハ表面から5mm以下の高さになるようにウエハの上方側に位置させた状態で、ウエハW表面にリンス液を吐出すると共に、吸引機構86aを作動させて吸引路86よりウエハW表面のリンス液を吸引しながら、供給ノズル83をウエハWの一端側から他端側へ移動させる。これによりリンス液がウエハW表面に塗布されると共に、供給されたリンス液が吸引路86により除去される(ステップS18、ステップS19)。ここで表面改質液ノズル61は、ウエハWの他端側のカップ8の外方側、現像液ノズル62はウエハWの一端側のカップの外方側に夫々位置させておく。これによりウエハW表面の現像液はリンス液と共に除去される。こうして現像処理が終了したウエハWは、現像液ユニットにより搬出される(ステップS20)。
【0063】
このような現像処理は、現像ユニット(DEV)の基板保持部7の回転、加熱手段72や冷却手段73の電力制御、吸引手段74のオン・オフ、昇降ピン77の昇降、ノズル61,63,83の駆動、表面改質液や、剥離液、現像液、リンス液の供給の開始や停止、吸引機構86aのオン・オフ等のタイミングは、制御部により予め設定されたプログラムに従って制御されるようになっている。
【0064】
このような構成においても、現像ユニット(DEV)にてPEB処理を行っているので、上述の現像ユニットで処理を行う場合と同様に、装置のフットプリント7を小さくすることができる。またウエハW表面にグリセリンが存在する状態でPEB処理を行っているので、化学増幅型レジスト液を用いた場合には良好な形状のパターンを形成することができる。またウエハW表面に供給された表面改質液や剥離液、現像液、リンス液の除去を、基板保持部7にてウエハWを回転させることにより行うのではなく、吸引手段により吸引除去することにより行っているので、基板保持部7に回転機構を備える必要はなく、基板保持部7の構成が簡易なものとなる。
【0065】
この際、基板保持部7に加熱手段72と冷却手段73とを組み込むことにより、PEB処理により高温となった基板保持部7の温度を速やかに現像処理に適する温度まで冷却できる。ここで基板保持部7に設けられる冷却手段73としては、例えばウエハWの裏面側に冷却ガスを吹き付けてウエハWを冷却するタイプのものを用いるようにしてもよい。なおこの現像ユニットにおいても、図4に示す現像ユニットのように、表面改質液、剥離液、現像液、リンス液とに別個のノズルを用意すると共に、別に吸引ノズルを用意するようにしてもよい。
【0066】
以上において、表面改質液等の塗布は、基板保持部が回転自在に構成されている場合には、ウエハWの中心近傍に表面改質液等を供給し、ウエハWを回転させることにより、前記供給された表面改質液等を展伸させるスピンコーティングにより行うようにしてもよく、この場合には液膜の厚さを薄くすることができ、液膜の厚さが均一になりやすいという利点がある。また上述の構成のように、ウエWの直径とほぼ同じ吐出領域を有するノズルを用いて表面改質液等の液体を供給する場合には、液膜の厚さはやや厚くなるが、ウエハWが回転していないので表面改質液等が飛散することがなく、液体の消費量が少なくてすむという利点がある。
【0067】
また本発明においては、化学増幅型レジスト液以外のレジスト液を用いることもでき、この例では、現像ユニットではウエハ表面に表面改質液を供給しないでPEB処理が行われる。この場合であっても、現像ユニットにてPEB処理と現像処理を行っているので、装置のフットプリントを小さくすることができる。
【0068】
さらに本発明では、露光装置としては、電子ビームにより直接描画する電子ビーム露光装置に限らず、g線、i線、エキシマレーザー等の光源を用いて、フォトマスクを介してパターン転写を行う露光装置や、X線露光装置、イオンビーム露光装置等を用いることができる。このような電子ビーム露光装置以外の露光装置であっても、露光時にウエハW表面の化学増幅型レジスト膜に与えるエネルギーが不足する場合、現像ユニットにて行うPEB処理にて、ウエハW表面に表面改質液が存在する状態でウエハWを加熱することにより、前記エネルギーの不足分が補填され、低エネルギーで露光してもスループットの低下を抑えて、良好な形状のパターンを形成することができる。
【0069】
さらに本発明では、PEB処理が行われた基板を冷却する際、上述の例のような、剥離液を供給すると共に、基板を回転させて冷却する場合のように、基板に対して剥離液を供給する工程と、基板を冷却手段により冷却する工程とを同時に行うようにしてもよいし、基板保持部に冷却手段が設けられた場合には、例えば基板に対して剥離液を供給してから冷却したり、又は基板を冷却してから剥離液を供給したりというように、基板に対して剥離液を供給する工程と、基板を冷却手段により冷却する工程とを、別個に行うようにしてもよい。また例えば図4に示す基板保持部に冷却手段を内蔵し、基板の冷却を、剥離液の供給と、基板の回転と、冷却手段による冷却との組み合わせにより行うようにしてもよい。
【0070】
さらに本発明の基板保持部は、静電吸着力を利用してウエハWを吸着保持するものであってもよい。また剥離液とリンス液とが同じ液体である場合には、共通のノズルを用いて剥離液とリンス液の供給を行うようにしてもよい。さらに本発明は半導体ウエハのみならず液晶ディスプレイ用のガラス基板(LCD基板)といった基板を現像処理する現像処理装置にも適用できる。
【実施例】
【0071】
続いて本発明の効果を確認するために行った実施例について説明する。
(実施例1)
本例は、表面改質液としてグリセリンを露光後のウエハの表面に塗布した状態でウエハの加熱を行った実施例である。詳しい試験条件を以下に記載する。図4に示す構成の現像処理装置を用い、ウエハWにグリセリンを塗布した状態で、所定時間加熱した後、ウエハWを回転させた状態で剥離液である純水を供給して表面改質液を洗い流し、ウエハWを高速で回転させることにより、ウエハW上の剥離液を除去すると共に、ウエハWを23℃まで冷却した。更にウエハWの表面に現像液を液盛りし、次いでウエハWを回転させた状態でリンス液である純水を供給して、現像液を洗い流し、ウエハWを高速で回転させることにより、ウエハW上のリンス液を除去してパターンを形成した。形成されたパターンを電子顕微鏡を用いて撮像した結果を図13に示す。
【0072】
・レジスト:ポジ型化学増幅型レジスト液
・レジスト膜厚:100nm
・線幅目標値:250nm
・電子ビーム照射量:6mJ/cm2
・電子ビーム照射時間:90秒
・加熱温度及び加熱時間:90℃,90秒
・剥離液供給時間:30秒
・剥離液供給時回転数:500rpm
・剥離液温度:23℃
・剥離液除去時回転数及び時間:4000rpm,15秒
・現像液及び現像時間:TMAH=2.38重量%,60秒
・リンス液供給時間:15秒
・リンス液供給時回転数:500rpm
・リンス液除去時回転数及び時間:4000rpm,15秒
(比較例1)
本例は、表面改質液を用いなかったことを除いて実施例1と同じ処理を行った比較例である。形成されたパターンを電子顕微鏡を用いて撮像した結果を図14に示す。
(実施例1及び比較例1の結果と考察)
図13及び図14の結果からも明らかなように、表面改質液であるグリセリンを載せた状態で加熱した実施例の場合、描画した領域(電子ビームを当てた領域)が現像液に溶解し、描画しなかった領域にあるレジストが残ってパターンが形成されている。パターンの線幅も目標値を満足するものが形成されている。これに対し、グリセリンを用いなかった比較例は描画した領域のレジストが溶解せずに残ってしまってパターンが全くといっていいほど形成されていない。以上の結果から表面改質液としてグリセリンを用いれば、電子ビームを低加速に設定したとしても、加熱時において酸触媒反応を促進させることができることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明に係る塗布、現像装置の実施の形態を示す平面図である。
【図2】前記塗布、現像装置を示す斜視図である。
【図3】前記塗布、現像装置における棚ユニットを示す側面図である。
【図4】前記塗布、現像装置における現像ユニットを示す縦断断面図である。
【図5】前記現像ユニットの要部を示す斜視図である。
【図6】前記現像ユニットの基板保持部を示す平面図である。
【図7】前記塗布、現像装置にて実施される塗布、現像方法の一例を示す工程図である。
【図8】前記現像ユニットを用いてウエハを加熱、現像する工程を模式的に示す説明図である。
【図9】前記現像ユニットを用いてウエハを加熱、現像する工程を模式的に示す説明図である。
【図10】前記塗布、現像装置の他の現像ユニットの一例を示す縦断断面図である。
【図11】前記現像ユニットに設けられる供給ノズルの一例を示す縦断断面図である。
【図12】前記塗布、現像装置にて実施される塗布、現像方法の一例を示す工程図である。
【図13】本発明の効果を確認するために行った実施例の結果を示す電子顕微鏡の撮像写真である。
【図14】本発明の効果を確認するために行った比較例の結果を示す電子顕微鏡の撮像写真である。
【図15】電子ビーム露光装置の作用を示す説明図である。
【図16】従来の塗布、現像装置にて形成されるレジストパターンを示す説明図である。
【符号の説明】
【0074】
W 半導体ウエハ
C キャリア
B1 キャリア載置部
B2 処理部
B3 インターフェイス部
B4 露光装置
DEV 現像ユニット
3,7 基板保持部
31,71 吸着部
32,72 加熱手段
35 電力供給部
41 回転軸
44 回転駆動部
5 カップ
61 表面改質液ノズル
62 剥離液ノズル
63 現像液ノズル
64 リンス液ノズル
73 冷却手段
83 供給ノズル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を略水平に保持すると共に、露光されたレジスト膜を熱処理するために基板を加熱する加熱手段を備えた基板保持部と、
前記基板保持部に保持された熱処理後の基板を冷却する冷却手段と、
前記基板保持部に保持された冷却後の基板に対して現像液を供給するための現像液供給手段と、を備えたことを特徴とする現像処理装置。
【請求項2】
前記レジスト液は化学増幅型であり、レジスト膜の熱処理時における酸触媒反応を促進させるための表面改質液を基板に供給する表面改質液供給手段を更に備えたことを特徴とする請求項1記載の現像処理装置。
【請求項3】
前記表面改質液は、グリセリンであることを特徴とする請求項2記載の現像処理装置。
【請求項4】
前記表面改質液供給手段により前記基板に表面改質液を供給してから所定時間経過後、前記基板表面の表面改質液を除去するために、当該基板表面に剥離液を供給する剥離液供給手段を備えたことを特徴とする請求項2又は3に記載の現像処理装置。
【請求項5】
前記冷却手段は、前記基板を回転させて放熱させるために、前記基板保持部を回転させる回転機構であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一に記載の現像処理装置。
【請求項6】
前記冷却手段は、前記基板保持部に設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一に記載の現像処理装置。
【請求項7】
前記基板表面の液を吸引して除去するための吸引手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一に記載の現像処理装置。
【請求項8】
前記露光は、化学増幅型レジスト膜が形成された基板の表面に、電子ビームを照射して所定のマスクパターンを描画するものであることを特徴とする請求項2ないし4のいずれか一に記載の現像処理装置。
【請求項9】
露光されたレジスト膜を熱処理するために、前記レジスト膜が形成された基板を基板保持部に載置して加熱する加熱工程と、
次いで前記基板を現像処理を行う温度まで冷却する冷却工程と、
次いで前記基板保持部に保持されている基板のレジスト膜の上に現像液を液盛りし、所定の現像処理を行う現像工程と、を含むことを特徴とする現像処理方法。
【請求項10】
レジスト膜は化学増幅型であり、レジスト膜の酸触媒反応を促進させる表面改質液を前記基板保持部に保持されている基板に供給する工程を更に備えたことを特徴とする請求項9記載の現像処理方法。
【請求項11】
前記加熱工程の後であって、現像工程の前に、基板表面の表面改質液を除去するために、当該基板表面に剥離液を供給する工程を含むことを特徴とする請求項11記載の現像処理方法。
【請求項12】
前記露光は、化学増幅型レジスト膜が形成された基板の表面に、電子ビームを照射して所定のマスクパターンを描画するものであることを特徴とする請求項10又は11記載の現像処理方法。
【請求項1】
基板を略水平に保持すると共に、露光されたレジスト膜を熱処理するために基板を加熱する加熱手段を備えた基板保持部と、
前記基板保持部に保持された熱処理後の基板を冷却する冷却手段と、
前記基板保持部に保持された冷却後の基板に対して現像液を供給するための現像液供給手段と、を備えたことを特徴とする現像処理装置。
【請求項2】
前記レジスト液は化学増幅型であり、レジスト膜の熱処理時における酸触媒反応を促進させるための表面改質液を基板に供給する表面改質液供給手段を更に備えたことを特徴とする請求項1記載の現像処理装置。
【請求項3】
前記表面改質液は、グリセリンであることを特徴とする請求項2記載の現像処理装置。
【請求項4】
前記表面改質液供給手段により前記基板に表面改質液を供給してから所定時間経過後、前記基板表面の表面改質液を除去するために、当該基板表面に剥離液を供給する剥離液供給手段を備えたことを特徴とする請求項2又は3に記載の現像処理装置。
【請求項5】
前記冷却手段は、前記基板を回転させて放熱させるために、前記基板保持部を回転させる回転機構であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一に記載の現像処理装置。
【請求項6】
前記冷却手段は、前記基板保持部に設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一に記載の現像処理装置。
【請求項7】
前記基板表面の液を吸引して除去するための吸引手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一に記載の現像処理装置。
【請求項8】
前記露光は、化学増幅型レジスト膜が形成された基板の表面に、電子ビームを照射して所定のマスクパターンを描画するものであることを特徴とする請求項2ないし4のいずれか一に記載の現像処理装置。
【請求項9】
露光されたレジスト膜を熱処理するために、前記レジスト膜が形成された基板を基板保持部に載置して加熱する加熱工程と、
次いで前記基板を現像処理を行う温度まで冷却する冷却工程と、
次いで前記基板保持部に保持されている基板のレジスト膜の上に現像液を液盛りし、所定の現像処理を行う現像工程と、を含むことを特徴とする現像処理方法。
【請求項10】
レジスト膜は化学増幅型であり、レジスト膜の酸触媒反応を促進させる表面改質液を前記基板保持部に保持されている基板に供給する工程を更に備えたことを特徴とする請求項9記載の現像処理方法。
【請求項11】
前記加熱工程の後であって、現像工程の前に、基板表面の表面改質液を除去するために、当該基板表面に剥離液を供給する工程を含むことを特徴とする請求項11記載の現像処理方法。
【請求項12】
前記露光は、化学増幅型レジスト膜が形成された基板の表面に、電子ビームを照射して所定のマスクパターンを描画するものであることを特徴とする請求項10又は11記載の現像処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図15】
【図16】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図15】
【図16】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−32604(P2006−32604A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−208506(P2004−208506)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【出願人】(502128800)株式会社オクテック (83)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【出願人】(502128800)株式会社オクテック (83)
【Fターム(参考)】
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