説明

現像剤収容器、並びに、当該現像剤収容器を用いる現像装置及び画像形成装置

【課題】現像装置の現像剤貯蔵室に収容された現像剤の流動性が低下するのを抑制する。
【解決手段】上下方向に、第1収容部42aと第2収容部42bとに区画され、現像剤を収容する現像剤収容部42と、現像剤を第1収容部から第2収容部に供給するために、第1収容部と第2収容部との間に設けられた容器内開口部44と、現像剤を第2収容部から外部の現像装置11に供給するために、第2収容部の底部に設けられた現像剤供給口45と、容器内開口部及び現像剤供給口の双方が同時に連通しないように、容器内開口部及び現像剤供給口のいずれか一方ずつを交互に閉鎖するフィルム部62とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置の現像剤貯蔵室に収容された現像剤の流動性が低下するのを抑制する現像剤収容器、並びに、当該現像剤収容器を用いる現像装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真記録プロセスを用いて現像剤によって現像剤像を形成する画像形成装置は、内部に、露光装置、現像装置、転写ユニット、及び、定着ユニットを有している。
【0003】
露光装置は、現像装置の内部に設けられた感光体ドラムを部分的に露光することによって、感光体ドラムに静電潜像を形成する装置である。
現像装置は、静電潜像が形成された感光体ドラムに現像剤を供給することによって、静電潜像を現像剤像として現像(可視像化)する装置である。
転写ユニットは、感光体ドラムの表面に形成された現像剤像を印刷媒体に転写するユニットである。
定着ユニットは、印刷媒体に転写された現像剤像を印刷媒体に定着させるユニットである。
【0004】
係る構成において、現像装置は、内部に、感光体ドラムに供給する現像剤を一時的に貯蔵する現像剤貯蔵室を備えており、その上に、現像剤収容器が着脱自在に装着される構成となっている。現像剤収容器は、現像装置に供給する未使用の現像剤を収容する容器である(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
現像剤収容器は、内部に、未使用の現像剤を収容する現像剤収容部を有している。なお、現像剤収容部は、収容された現像剤の一部が塊を形成する場合がある。そのため、現像剤収容部は、内部が上下方向に第1収容部と第2収容部とに区画されており、撹拌部材が第2収容部の内部に設けられている。
【0006】
第2収容部は、現像剤を細分化するために用意された空間である。また、撹拌部材は、現像剤を撹拌する(掻き混ぜる)部材である。撹拌部材は、第2収容部の内部で回動することによって、現像剤の塊を掻き崩して、現像剤を細分化する。なお、撹拌部材は、画像形成装置の駆動機構に接続されており、画像形成装置の駆動機構によって駆動される。
【0007】
現像剤収容器は、第2収容部の底部に、未使用の現像剤を現像装置に供給するための開口(以下、「現像剤供給口」と称する)が設けられている。また、現像剤収容器は、現像剤供給口の周囲に、現像剤供給口を開閉するためのシャッタを有している。現像剤収容器は、シャッタが移動して現像剤供給口を開閉することによって、現像剤供給口から未使用の現像剤を現像装置の現像剤貯蔵室に放出したり、放出を停止したりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−243446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の現像剤収容器は、以下に説明するように、現像装置の現像剤貯蔵室に収容された現像剤の流動性を低下させる、という課題があった。
また、従来の現像剤収容器を用いる現像装置は、現像剤貯蔵室に収容された現像剤の流動性が低下するため、現像不良が発生する場合がある、という課題があった。
また、従来の現像剤収容器を用いる画像形成装置は、現像装置の現像剤貯蔵室に収容された現像剤の流動性が低下するため、画像形成不良が発生する場合がある、という課題があった。
【0010】
すなわち、従来の現像剤収容器は、現像剤収容部の第1収容部及び第2収容部と現像装置の現像剤貯蔵室とが連通した状態(連なって開放された状態)になっている。
そのため、従来の現像剤収容器は、現像剤収容部に収容されたすべての現像剤(すなわち、第1収容部及び第2収容部の双方に収容された現像剤)の重力方向の圧力が、現像装置の現像剤貯蔵室に収容された現像剤に直接加わる。その結果、従来の現像剤収容器は、現像装置の現像剤貯蔵室に収容された現像剤を圧縮させていた。
これにより、従来の現像剤収容器は、現像装置の現像剤貯蔵室に収容された現像剤の流動性を低下させていた。
【0011】
その結果、従来の現像剤収容器を用いる現像装置は、現像剤貯蔵室に収容された現像剤の流動性が低下するため、現像不良(静電潜像が忠実に現像されない現象)が発生する場合があった。
また、従来の現像剤収容器を用いる画像形成装置は、現像装置の現像剤貯蔵室に収容された現像剤の流動性が低下するため、画像形成不良(画質の低い画像が印刷媒体に形成される現象)が発生する場合があった。
【0012】
本発明は、前記した課題を解決するためになされたものであり、現像装置の現像剤貯蔵室に収容された現像剤の流動性が低下するのを抑制する現像剤収容器、現像不良の発生を抑制する現像装置、及び、画像形成不良の発生を抑制する画像形成装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するため、第1発明は、画像形成に用いる現像剤を収容する現像剤収容器であって、上下方向に、第1収容部と第2収容部とに区画され、前記現像剤を収容する現像剤収容部と、前記現像剤を前記第1収容部から前記第2収容部に供給するために、前記第1収容部と前記第2収容部との間に設けられた容器内開口部と、前記現像剤を前記第2収容部から外部の現像装置に供給するために、前記第2収容部の底部に設けられた現像剤供給口と、前記容器内開口部及び前記現像剤供給口の双方が同時に連通しないように、前記容器内開口部及び前記現像剤供給口のいずれか一方ずつを交互に閉鎖するフィルム部とを有する構成とする。
【0014】
この現像剤収容器は、フィルム部が、容器内開口部及び現像剤供給口の双方が同時に連通しないように、容器内開口部及び現像剤供給口のいずれか一方ずつを交互に閉鎖する。これにより、この現像剤収容器は、現像剤収容部の第1収容部に収容された現像剤の重力方向の圧力と現像剤収容部の第2収容部に収容された現像剤の重力方向の圧力とをフィルム部で分断する。
【0015】
そのため、この現像剤収容器は、現像剤収容部の第1収容部に収容された現像剤の重力方向の圧力が現像装置の現像剤貯蔵室に収容された現像剤に加わるのを防止することができる。これにより、この現像剤収容器は、現像装置の現像剤貯蔵室に収容された現像剤の圧縮率を低減することができる。その結果、この現像剤収容器は、現像装置の現像剤貯蔵室に収容された現像剤の流動性が低下するのを抑制することができる。
【0016】
また、第2発明は、現像剤によって現像剤像を形成する現像装置であって、前記現像剤を一時的に貯蔵する現像剤貯蔵室を有し、前記現像剤貯蔵室は、当該現像剤貯蔵室に供給する現像剤を収容する現像剤収容器が、上に取り外し自在に装着される形状になっており、前記現像剤収容器は、上下方向に、第1収容部と第2収容部とに区画され、前記現像剤を収容する現像剤収容部と、前記現像剤を前記第1収容部から前記第2収容部に供給するために、前記第1収容部と前記第2収容部との間に設けられた容器内開口部と、前記現像剤を前記第2収容部から外部の現像装置に供給するために、前記第2収容部の底部に設けられた現像剤供給口と、前記容器内開口部及び前記現像剤供給口の双方が同時に連通しないように、前記容器内開口部及び前記現像剤供給口のいずれか一方ずつを交互に閉鎖するフィルム部とを備える構成とする。
【0017】
この現像装置は、第1発明に係る現像剤収容器が現像剤貯蔵室の上に装着される構成となっている。そのため、この現像装置は、現像剤貯蔵室に収容された現像剤の流動性の低下を抑制することができる。これにより、この現像装置は、現像不良の発生を抑制することができる。
【0018】
また、第3発明は、現像装置と露光装置と転写ユニットと定着ユニットとを有する画像形成装置であって、前記現像装置は、前記現像剤を一時的に貯蔵する現像剤貯蔵室を有し、前記現像剤貯蔵室は、当該現像剤貯蔵室に供給する現像剤を収容する現像剤収容器が、上に取り外し自在に装着される形状になっており、前記現像剤収容器は、上下方向に、第1収容部と第2収容部とに区画され、前記現像剤を収容する現像剤収容部と、前記現像剤を前記第1収容部から前記第2収容部に供給するために、前記第1収容部と前記第2収容部との間に設けられた容器内開口部と、前記現像剤を前記第2収容部から外部の現像装置に供給するために、前記第2収容部の底部に設けられた現像剤供給口と、前記容器内開口部及び前記現像剤供給口の双方が同時に連通しないように、前記容器内開口部及び前記現像剤供給口のいずれか一方ずつを交互に閉鎖するフィルム部とを備える構成とする。
【0019】
この画像形成装置は、第2発明に係る現像装置を用いる構成となっている。そのため、この画像形成装置は、現像装置の現像剤貯蔵室に収容された現像剤の流動性の低下を抑制することができる。これにより、この画像形成装置は、画像形成不良の発生を抑制することができる。
【発明の効果】
【0020】
第1発明によれば、現像装置の現像剤貯蔵室に収容された現像剤の流動性が低下するのを抑制する現像剤収容器を提供することができる。
また、第2発明によれば、現像不良の発生を抑制する現像装置を提供することができる。
さらに、第3発明によれば、画像形成不良の発生を抑制する画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施形態1に係る画像形成装置の構成を示す図である。
【図2】現像装置を含む、実施形態1に係る現像剤収容器の構成を示す図である。
【図3】実施形態1で用いる撹拌部材の構成を示す図である。
【図4】実施形態1で用いる撹拌部材の要部の構成を示す図(1)である。
【図5】実施形態1で用いる撹拌部材の要部の構成を示す図(2)である。
【図6】実施形態2に係る現像剤収容器の構成を示す図である。
【図7】実施形態2で用いる撹拌部材の構成を示す図である。
【図8】実施形態2で用いる撹拌部材の要部の構成を示す図である。
【図9】実施形態3に係る現像剤収容器の構成を示す図(1)である。
【図10】実施形態3に係る現像剤収容器の構成を示す図(2)である。
【図11】実施形態3で用いる撹拌部材の構成を示す図である。
【図12】実施形態3で用いる撹拌部材の要部の構成を示す図(1)である。
【図13】実施形態3で用いる撹拌部材の要部の構成を示す図(2)である。
【図14】実施形態4に係る現像剤収容器の構成を示す図である。
【図15】実施形態4で用いる撹拌部材の構成を示す図である。
【図16】実施形態4で用いる撹拌部材の要部の構成を示す図である。
【図17】比較例に係る現像剤収容器の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)につき詳細に説明する。なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0023】
[実施形態1]
<画像形成装置の構成>
以下、図1を参照して、本実施形態1に係る画像形成装置1の構成につき説明する。図1は、実施形態1に係る画像形成装置1の構成を示す図である。
【0024】
ここでは、本実施形態1に係る画像形成装置1がタンデム型のカラープリンタとして構成されている場合を想定して説明する。以下、画像形成装置1を「プリンタ1」と称する。また、「画像形成」動作を「印刷」動作と称する場合もある。
【0025】
図1に示すように、プリンタ1は、カセット2、スタッカ3、搬送路4、排出ローラ5、現像装置11、露光装置12、転写ユニット13、及び、定着ユニット14を有している。
【0026】
カセット2は、画像形成処理に用いる印刷媒体が収容される部位である。
スタッカ3は、画像形成処理後の印刷媒体が集積される部位である。
搬送路4は、印刷媒体が搬送される通路である。搬送路4の周囲には、図示せぬ搬送機構が設けられている。
排出ローラ5は、印刷媒体をスタッカ3に排出するローラである。
【0027】
現像装置11は、内部に静電潜像が形成される感光体ドラム22(図2参照)を備え、静電潜像が形成された感光体ドラム22に現像剤を供給することによって、静電潜像を現像剤像として現像(可視像化)する装置である。現像装置11は、プリンタ1に対して着脱自在に構成されている。
【0028】
露光装置12は、現像装置11の内部に設けられた感光体ドラム22を部分的に露光することによって、感光体ドラム22に静電潜像を形成する装置である。露光装置12は、プリンタ1に対して着脱自在に構成されている。ここでは、露光装置12がLED(Light Emitting Device)ヘッドとして構成されている場合を想定して説明する。以下、露光装置12を「LEDヘッド12」と称する。
【0029】
転写ユニット13は、感光体ドラム22の表面に形成された現像剤像を印刷媒体に転写するユニットである。転写ユニット13は、現像装置11の感光体ドラム22と対向するように配置された転写ローラ(図示せず)を備えている。転写ユニット13は、感光体ドラム22と転写ローラとの間で印刷媒体を走行させる。その際に、転写ユニット13は、現像剤像と逆極性の電圧を転写ローラに印加して、現像剤像を感光体ドラム22から転写ローラ側に引き寄せる。これにより、転写ユニット13は、現像剤像を印刷媒体に転写する。
【0030】
定着ユニット14は、印刷媒体に転写された現像剤像を印刷媒体に定着させるユニットである。定着ユニット14は、現像剤像が転写された印刷媒体を加熱及び加圧して、現像剤像を溶融させる。これにより、定着ユニット14は、現像剤像を印刷媒体に定着させる。
【0031】
係る構成において、現像装置11は、図2に示すように、感光体ドラム22に供給する現像剤を一時的に貯蔵する現像剤貯蔵室(トナー貯蔵室)25を備えており、その上に、現像剤収容器40が着脱自在に装着される構成となっている。現像剤収容器40は、現像装置11に供給する未使用の現像剤を収容する容器である。
【0032】
<現像剤収容器及びその周囲の構成>
以下、図2を参照して、本実施形態1に係る現像剤収容器40及びその周囲の構成につき説明する。図2は、現像装置11を含む、実施形態1に係る現像剤収容器40の構成を示す図である。ここでは、まず、現像装置11の構成を説明し、次に、現像剤収容器40の構成を説明する。
【0033】
(現像装置の構成)
まず、現像装置11の構成につき説明する。
図2に示すように、現像装置11は、内部に設けられた感光体ドラム22の表面に現像剤像(トナー像)を形成するイメージドラムユニット20として構成されている。
【0034】
イメージドラムユニット20は、筐体21の内部に、感光体ドラム22、帯電ローラ23、現像ローラ24、トナー貯蔵室25、供給ローラ26、現像ブレード27、及び、クリーニングブレード28を有している。
【0035】
感光体ドラム22は、静電潜像及び現像剤像(トナー像)が形成される像担持体である。
帯電ローラ23は、感光体ドラム22の表面を一様に帯電させる帯電部材である。
現像ローラ24は、現像剤としてのトナーを担持する現像剤担持体である。現像ローラ24は、担持しているトナーを感光体ドラム22の表面に付着させることによって、感光体ドラム22に形成された静電潜像をトナー像として現像(可視像化)する。
【0036】
トナー貯蔵室25は、現像剤としてのトナーを一時的に貯蔵する現像剤貯蔵室である。
供給ローラ26は、トナー貯蔵室25に貯蔵されたトナーを現像ローラ24に供給する現像剤供給部材である。
【0037】
現像ブレード27は、現像ローラ24の表面に付着したトナーの厚さを均一にする現像剤層厚規制部材である。
クリーニングブレード28は、転写ユニット13(図1参照)による転写処理後に感光体ドラム22の表面に残ったトナー(以下、「転写残トナー」と称する)を感光体ドラム22から除去する現像剤除去部材である。
【0038】
係る構成において、現像装置11は、印刷時に、以下のように動作する。
現像装置11は、帯電ローラ23が感光体ドラム22の表面を一様に帯電する。この後、LEDヘッド12が、感光体ドラム22の表面を部分的に露光して、感光体ドラム22の表面に静電潜像を形成する。
また、現像装置11は、供給ローラ26が現像ローラ24に現像剤としてのトナーを供給し、現像ブレード27が現像ローラ24に供給されたトナーの層厚を一定に規制することにより、現像ローラ24の表面にトナー層を形成する。そして、現像装置11は、現像ローラ24から感光体ドラム22にトナーを供給することにより、感光体ドラム22の表面に形成された静電潜像を現像剤像(トナー像)として現像する。
【0039】
なお、プリンタ1は、現像装置11の感光体ドラム22の表面にトナー像が形成されると、転写ユニット13によってトナー像を印刷媒体に転写し、さらに、定着ユニット14によってトナー像を印刷媒体に定着する。そして、プリンタ1は、排出ローラ5によって、トナー像が定着された印刷媒体をスタッカ3に排出する。これにより、印刷動作が完了する。
【0040】
係る構成において、イメージドラムユニット20は、アッパカバー31がトナー貯蔵室25の上に設けられている。アッパカバー31は、トナー貯蔵室25の上部を塞ぐ部材である。アッパカバー31は、上に、本実施形態1に係る「現像剤収容器」としてのトナーカートリッジ40が着脱自在に装着される装着部として機能する。
【0041】
アッパカバー31は、現像剤受給口としてのトナー受給口35が、一方の面から他方の面に貫通するように、設けられている。トナー受給口35は、現像剤としてのトナーをトナーカートリッジ40からトナー貯蔵室25に取り込むための開口である。トナー受給口35は、トナー貯蔵室25の横幅方向の全域に亘って形成されている。なお、「トナー貯蔵室25の横幅」は、イメージドラムユニット20の横幅から、トナー貯蔵室25の両横の筐体21の厚み分を除外した値となる。
【0042】
(現像剤収容器の構成)
次に、本実施形態1に係る「現像剤収容器」としてのトナーカートリッジ40の構成につき説明する。
トナーカートリッジ40は、筐体としてのアウターカートリッジ41の内部に、トナー収容部42、廃トナー収容部43、シャッタ51、及び、撹拌バー60を有している。
【0043】
トナー収容部42は、未使用のトナーを収容する収容室である。トナー収容部42は、特許請求の範囲に記載された「現像剤収容部」に相当する。トナー収容部42は、内部が上下方向に第1収容部42aと第2収容部42bとに区画されている。
【0044】
第1収容部42aは、第2収容部42bに供給する未使用のトナーを収容する収容室である。一方、第2収容部42bは、イメージドラムユニット20のトナー貯蔵室25に供給する未使用のトナーを収容する収容室である。第2収容部42bは、トナーの塊が形成された場合に、トナーを細分化するために設けられている。第2収容部42bは、円筒形に形成されており、その底部に、トナー供給口45が設けられている。
【0045】
トナー供給口45は、第2収容部42bに収容された未使用のトナーをイメージドラムユニット20のトナー貯蔵室25に放出するために、アウターカートリッジ41の底部に設けられた開口である。「トナー供給口45」は、特許請求の範囲に記載された「現像剤供給口」に相当する。「トナー供給口45」は、第2収容部42bの底部の、イメージドラムユニット20のトナー受給口35と重なる位置に設けられている。
【0046】
廃トナー収容部43は、転写残トナーを、廃棄用のトナー(以下、「廃トナー」と称する)として収容する収容室である。転写残トナーは、クリーニングブレード28によって感光体ドラム22から除去されると、図示せぬ回収機構によって廃トナー収容部43まで搬送されて、廃トナーとして廃トナー収容部43に収容される。
【0047】
シャッタ51は、トナー供給口45を開閉する筒状の供給口開閉部材である。シャッタ51は、断面が円弧状に形成されている。シャッタ51は、第2収容部42bの内周面に沿って回動自在に配置されている。シャッタ51は、一方の面から他方の面に貫通するように、シャッタ開口部55が設けられている。シャッタ開口部55は、トナーをトナーカートリッジ40の第2収容部42bからイメージドラムユニット20のトナー貯蔵室25に放出するための開口である。第2収容部42bに収容されたトナーは、後記するフィルム開口部65及びシャッタ開口部55が、トナー供給口45及びトナー受給口35の位置に重なることにより、トナーカートリッジ40の第2収容部42bからイメージドラムユニット20のトナー貯蔵室25に放出される。また、シャッタ51は、トナー供給口45の開閉時に第1収容部42aと対向する位置に、一方の面から他方の面に貫通するように、開口部が設けられている。
【0048】
撹拌バー60は、第2収容部42bの内部で回動することにより、第2収容部42bに収容されたトナーを撹拌する(掻き混ぜる)部材である。ここでは、撹拌バー60は、図2に示す矢印A方向に回転するものとして説明する。撹拌バー60は、特許請求の範囲に記載された「撹拌部材」に相当する。撹拌バー60は、トナー収容部42の第2収容部42bに、横方向に延伸して配置される。撹拌バー60は、搬送路4の横幅以上の長さに形成されている。撹拌バー60の詳細な構成については、「撹拌部材の構成」の章で後記する。
【0049】
係る構成において、撹拌バー60は、第2収容部42bの内部で回動することによって、トナーの塊を掻き崩して、トナーを細分化する。また、シャッタ51は、第2収容部42bの内周面に沿って回動して、トナー供給口45を開閉することによって、トナー供給口45から未使用のトナーを現像装置11のトナー貯蔵室25に放出したり、放出を停止したりする。以下、第2収容部42bを「回動供給部」と称する場合もある。
【0050】
また、係る構成において、トナー収容部42の第1収容部42aと第2収容部42bとの間には、容器内開口部44が設けられている。容器内開口部44は、第1収容部42aから第2収容部42bにトナーを供給するための開口である。容器内開口部44は、シャッタ51の外周面上に位置する第1収容部42aと第2収容部42bとの間の空間に設けられている。
【0051】
(撹拌部材の構成)
以下、図3〜図5を参照して、撹拌バー60の構成につき説明する。図3は、実施形態1で用いる撹拌部材60の構成を示す図である。図4及び図5は、それぞれ、実施形態1で用いる撹拌部材の要部の構成を示す図である。図4は、後記するフィルム開口部65が第2収容部42bの天頂側(容器内開口部44(図2参照)と重なる位置)にある場合の構成を示している。また、図5は、後記するフィルム開口部65が第2収容部42bの上部側(容器内開口部44(図2参照)と重なる位置)にある場合の構成を示している。
【0052】
図3に示すように、撹拌バー60は、芯材61及びフィルム部62を有している。
芯材61は、フィルム部62が取り付けられる部材である。芯材61は、第2収容部42bの内部のトナーを十分に掻き回すことができる程度の剛性を有している。
【0053】
芯材61は、軸受部61a及び突出部61bを備えている。
軸受部61aは、撹拌バー60の回転軸となる、長尺な棒状の部位である。
突出部61bは、軸受部61aの軸方向に沿って、軸受部61aからストレート状に突出する部位である。
【0054】
芯材61は、軸受部61aの両端がアウターカートリッジ41の側面によって回転可能に支持される。また、芯材61は、図示せぬギヤが軸受部61aの片側に装着されており、そのギヤがプリンタ1の駆動源に連結されたギヤ列と係合することにより、回転する。
【0055】
フィルム部62は、薄膜型の弾性部材である。本実施形態1では、フィルム部62は、矩形状に形成されている。フィルム部62は、第2収容部42bの内部のトナーの重さによりつぶれない程度の剛性を有している。フィルム部62は、例えば両面接着テープや接着剤等の固定手段によって、固定端E1側が芯材61の軸受部61a又は突出部61bに固定されている。
【0056】
製造作業者は、トナーカートリッジ40を製造する場合に、撹拌バー60のフィルム部62の自由端E2側を軸受部61a及び突出部61bの周りに巻きつけ、撹拌バー60を第2収容部42b(図4及び図5参照)の内部に装着する。すると、フィルム部62は、自由端E2側が外側に広がる。これにより、図4に示すように、フィルム部62は、芯材61の突出部61bの先端からシャッタ51の内周面に沿って展開する。その結果、フィルム部62は、シャッタ51の内周面に沿って、芯材61の突出部61bの先端から撹拌バー60の回転方向の下流側に延びるように、配置される。
【0057】
フィルム部62は、大半の領域で、シャッタ51の内周面と摺接する(摺動しながら接触する)。以下、フィルム部62のシャッタ51の内周面と摺接する部分を、「摺接部63」と称する。なお、ここでは、「シャッタ51の内周面」とは、シャッタ51の実際の内周面、及び、シャッタ51の実際の内周面を延長した仮想的な円弧状の空間の内周面の双方を意味している。換言すると、「シャッタ51の内周面」とは、撹拌バー60の回動によって移動する摺接部63の先端P1の、一周分の移動空間の内周面を意味している。
【0058】
フィルム部62は、撹拌バー60の回動方向に対する摺接部63の幅(すなわち、摺接部63の先端P1から終端P2までの距離)がシャッタ51の内周面の長さよりも短く形成されている。すなわち、フィルム部62は、撹拌バー60の回動方向に対し、摺接部63の幅が摺接部63の先端P1の一周分の移動距離の長さよりも短く形成されている。そのため、シャッタ51の内周面には、フィルム部62とシャッタ51とが接触しない領域として、摺接部63の終端P2から先端P1までの空間が存在する。
【0059】
摺接部63の終端P2から先端P1までの空間は、撹拌バー60が第2収容部42bの内部で回動することにより移動する。その際に、摺接部63の終端P2から先端P1までの空間は、容器内開口部44と重なると、トナーを第1収容部42aから第2収容部42bに流動(通過)させる開口部として機能する。また、摺接部63の終端P2から先端P1までの空間は、トナー供給口45と重なると、トナーを第2収容部42bからイメージドラムユニット20のトナー貯蔵室25に流動(通過)させる開口部として機能する。以下、摺接部63の終端P2から先端P1までの空間を「フィルム開口部65」と称する。
【0060】
フィルム部62は、フィルム開口部65が容器内開口部44及びトナー供給口45のいずれか一方と重なる位置にある場合に、摺接部63が容器内開口部44及びトナー供給口45の他方を閉鎖する構成となっている。したがって、摺接部63は、撹拌バー60が回動する際に、容器内開口部44及びトナー供給口45の双方が同時に連通するのを防止する隔壁として機能する。
【0061】
なお、摺接部63は、フィルム開口部65が容器内開口部44及びトナー供給口45のいずれにも重ならない位置にある場合に、容器内開口部44及びトナー供給口45の双方を閉鎖する。
【0062】
トナーは、図4に示すように、フィルム開口部65が第2収容部42bの天頂側(容器内開口部44(図2参照)と重なる位置)にある場合に、矢印Bに沿って、第1収容部42aから第2収容部42bに流動する。
【0063】
第2収容部42bは、撹拌バー60の芯材61の突出部61bによって、現像剤を保持する2つの空間71,72に区画されている。以下、2つの空間71,72を、「第1現像剤保持空間71」及び「第2現像剤保持空間72」と称する。ここでは、撹拌バー60の回動方向に対して、上流側の空間を「第1現像剤保持空間71」とし、下流側の空間を「第2現像剤保持空間72」として説明する。
【0064】
「第1現像剤保持空間71」及び「第2現像剤保持空間72」は、撹拌バー60の芯材61の突出部61bによって、半分だけ仕切られており、連通部73によって、半分だけ連通している。以下、突出部61bを「半隔壁」と称する場合もある。
【0065】
トナーは、第1収容部42aから第2収容部42bに流動する際に、まず、第2現像剤保持空間72に入り込む。第2現像剤保持空間72に入り込んだトナーは、撹拌バー60の回動に伴って、周囲をフィルム部62に囲まれた状態で、フィルム部62と一緒に第2収容部42bの内部を移動する。そして、トナーは、第2現像剤保持空間72から第1現像剤保持空間71に流動したり、逆に、第1現像剤保持空間71から第2現像剤保持空間72に流動したりする。さらに、図4に示すように、フィルム開口部65が第2収容部42bの上部側(容器内開口部44と重なる位置)にある場合に矢印Bに沿って第1収容部42aから第2収容部42bに流動したトナーは、図2に示すように、フィルム開口部65が第2収容部42bの底部側(トナー供給口45と重なる位置)にある場合に、矢印Cに沿って、第2収容部42bからトナー貯蔵室25に流動したりする。
【0066】
係る構成において、フィルム部62は、図5に示すように、撹拌バー60の回動方向に対して、フィルム開口部65の幅をD1とし、容器内開口部44の幅をD2とする場合に、フィルム開口部65の幅D1及び容器内開口部44の幅D2が「D1<D2」の関係となるように、形成されている。ただし、フィルム開口部65の幅D1は、トナーがフィルム開口部65を円滑に通過できるように、予め定められた幅以上に設けられている。
【0067】
また、フィルム部62は、撹拌バー60の回動方向に対して、シャッタ51の内周面の容器内開口部44からシャッタ開口部55までの距離をD3とする場合に、フィルム開口部65の幅D1及び容器内開口部44からシャッタ開口部55までの距離D3が「D1<D3」の関係となるように、形成されている。
【0068】
このような構成により、フィルム部62は、フィルム開口部65が容器内開口部44及びトナー供給口45のいずれか一方と重なる位置にある場合に、摺接部63が容器内開口部44及びトナー供給口45の他方を閉鎖する。したがって、トナーカートリッジ40は、容器内開口部44及びトナー供給口45の双方が同時に連通することがない。
【0069】
<現像剤収容器の動作>
以下、図2、図4、及び、図5を参照して、トナーカートリッジ40の動作につき説明する。ここでは、プリンタ1のユーザが、プリンタ1のアッパカバー(図示せず)を開けて、トナーカートリッジ40を現像装置11のイメージドラムユニット20に装着する場合を想定して説明する。
【0070】
まず、ユーザは、プリンタ1のアッパカバー(図示せず)を開けて、トナーカートリッジ40をイメージドラムユニット20のアッパカバー31に装着する。
【0071】
次に、ユーザは、シャッタ51を回動して、シャッタ開口部55をアウターカートリッジ41のトナー供給口45に一致させる。これにより、トナー供給口45が開放される。その結果、トナーカートリッジ40の第2収容部42bは、シャッタ開口部55、トナー供給口45、及び、トナー受給口35を介して、イメージドラムユニット20のトナー貯蔵室25と連通する。
【0072】
この後、ユーザは、プリンタ1のアッパカバー(図示せず)を閉じる。すると、プリンタ1は、図示せぬ駆動機構によって、図2に示す矢印A方向に、トナーカートリッジ40の撹拌バー60を回動させる。
【0073】
このとき、トナーカートリッジ40は、図4及び図5に示すように、フィルム開口部65が容器内開口部44と重なると、トナーが矢印B(図4参照)方向に流動する。これにより、トナーカートリッジ40は、フィルム開口部65を介して、トナーを第1収容部42aから第2収容部42bに供給する。そして、トナーカートリッジ40は、撹拌バー60が引き続き回動することにより、第2収容部42bの内部でトナーを撹拌する。
【0074】
また、トナーカートリッジ40は、図2に示すように、フィルム開口部65がトナー供給口45と重なると、トナーが矢印C(図4参照)方向に流動する。これにより、トナーカートリッジ40は、フィルム開口部65を介して、トナーを第2収容部42bからイメージドラムユニット20のトナー貯蔵室25に放出する。なお、第2収容部42bの内部に残ったトナーは、第2収容部42bの内部で撹拌バー60によって引き続き撹拌される。
【0075】
このようなトナーカートリッジ40は、撹拌バー60が回動する際に、フィルム部62の摺接部63が隔壁として機能するため、容器内開口部44及びトナー供給口45の双方が同時に連通するのを防止することができる。そのため、トナーカートリッジ40は、例えば、図17に示す、隔壁として機能するフィルム部62を有していないトナーカートリッジ140と比較すると、以下のような効果を得ることができる。なお、図17は、比較例に係る現像剤収容器としてのトナーカートリッジ140の構成を示す図である。
【0076】
比較例に係るトナーカートリッジ140は、第2収容部42bの内部で回動する撹拌バー160が設けられている現像剤収容器である。ただし、トナーカートリッジ140は、本実施形態1に係るトナーカートリッジ40と異なり、撹拌バー160に、隔壁として機能する摺接部63を構成するフィルム部62が設けられていない。このようなトナーカートリッジ140は、容器内開口部44及びトナー供給口45の双方が同時に連通する。
【0077】
そのため、トナーカートリッジ140は、トナー収容部42に収容されたすべてのトナー(すなわち、第1収容部42a及び第2収容部42bの双方に収容されたトナー)の重力方向の圧力が、イメージドラムユニット20のトナー貯蔵室25に収容されたトナーに加わる。その結果、トナーカートリッジ140は、イメージドラムユニット20のトナー貯蔵室25に収容されたトナーを圧縮させる。これにより、トナーカートリッジ140は、イメージドラムユニット20のトナー貯蔵室25に収容されたトナーの流動性を低下させる。
【0078】
これに対し、本実施形態1に係るトナーカートリッジ40は、隔壁として機能する摺接部63を構成するフィルム部62を有している。このようなトナーカートリッジ40は、第1収容部42aに収容されたトナーの重力方向の圧力と第2収容部42bに収容されたトナーの重力方向の圧力とをフィルム部62の摺接部63で分断する。
【0079】
そのため、トナーカートリッジ40は、第1収容部42aに収容されたトナーの重力方向の圧力がイメージドラムユニット20のトナー貯蔵室25に収容されたトナーに加わるのを防止することができる。これにより、トナーカートリッジ40は、イメージドラムユニット20のトナー貯蔵室25に収容されたトナーの圧縮率を低減することができる。その結果、トナーカートリッジ40は、イメージドラムユニット20のトナー貯蔵室25に収容されたトナーの流動性が低下するのを抑制することができる。
【0080】
このようなトナーカートリッジ40は、シャッタ51が手動で回動させる構成になっている場合や、撹拌部材がトナー貯蔵室25の内部に設けられていない現像装置11に用いる場合に、低コストで、トナー貯蔵室25に収容されたトナーの流動性の低下の抑制を実現することができるため、これらの場合に、特に、有効である。
【0081】
また、本実施形態1に係るトナーカートリッジ40を用いる現像装置11は、トナー貯蔵室25に収容されたトナーの流動性の低下を抑制することができる。そのため、現像装置11は、トナー貯蔵室25に収容されたトナーを十分に流動させながら消費することができる。これにより、現像装置11は、現像不良(静電潜像が忠実に現像されない現象)の発生を抑制することができる。
【0082】
また、本実施形態1に係るトナーカートリッジ40を用いるプリンタ1は、現像装置11のトナー貯蔵室25に収容されたトナーの流動性の低下を抑制することができる。そのため、プリンタ1は、現像装置11のトナー貯蔵室25に収容されたトナーを十分に流動させながら消費することができる。これにより、プリンタ1は、画像形成不良(画質の低い画像が印刷媒体に形成される現象)の発生を抑制して、良好な画像形成を行うことができる。
【0083】
なお、本実施形態1に係るトナーカートリッジ40は、第2収容部42bに収容されたトナーに対し、フィルム部62で周囲を囲んだ状態で、フィルム部62と一緒に第2収容部42bの内部を移動させる。そのため、トナーカートリッジ40は、比較例に係るトナーカートリッジ140よりも、トナーのダメージを低減することもできる。
【0084】
以上の通り、本実施形態1に係るトナーカートリッジ40によれば、トナー収容部42の第1収容部42aに収容されたトナーの重力方向の圧力がイメージドラムユニット20のトナー貯蔵室25に収容されたトナーに加わるのを防止することができるため、現像装置11のトナー貯蔵室25に収容されたトナーの流動性が低下するのを抑制することができる。
【0085】
また、トナーカートリッジ40によれば、第2収容部42bに収容されたトナーに対し、フィルム部62で周囲を囲んだ状態で、フィルム部62と一緒に第2収容部42bの内部を移動させるため、トナーのダメージを低減することもできる。
【0086】
また、トナーカートリッジ40を用いる現像装置11によれば、現像不良(静電潜像が忠実に現像されない現象)の発生を抑制することができる。
また、トナーカートリッジ40を用いるプリンタ1によれば、画像形成不良(画質の低い画像が印刷媒体に形成される現象)の発生を抑制することができる。
【0087】
[実施形態2]
以下、図6〜図8を参照して、本実施形態2に係る現像剤収容器としてのトナーカートリッジ40Aの構成につき説明する。図6は、実施形態2に係る現像剤収容器としてのトナーカートリッジ40Aの構成を示す図である。図7は、実施形態2で用いる撹拌部材としての撹拌バー60Aの構成を示す図である。図8は、実施形態2で用いる撹拌部材としての撹拌バー60Aの要部の構成を示す図である。
【0088】
本実施形態2に係るトナーカートリッジ40Aは、実施形態1に係るトナーカートリッジ40と比較すると、撹拌バー60の代わりに、撹拌バー60Aを用いている点で相違している。撹拌バー60Aは、実施形態1に係る撹拌バー60と比較すると、フィルム部62(図3参照)の代わりに、フィルム部62A(図7参照)を備える構成となっている。
【0089】
フィルム部62Aは、実施形態1に係るフィルム部62と同様に、矩形状に形成された薄膜型の弾性部材である。また、フィルム部62Aは、フィルム部62と同様に、例えば両面接着テープや接着剤等の固定手段によって、固定端E1(図7参照)側が芯材61の軸受部61a又は突出部61bに固定されている。
【0090】
ただし、撹拌バー60Aは、フィルム部62Aが実施形態1に係る撹拌バー60のフィルム部62よりも長尺に形成されている。具体的には、フィルム部62Aは、撹拌バー60Aの回動方向に対する摺接部63の幅がシャッタ51の内周面の長さと同じか、若しくは、シャッタ51の内周面の長さよりも若干長くなるように、形成されている。
【0091】
また、撹拌バー60Aは、複数の孔67がフィルム部62Aの摺接部63に形成されている。複数の孔67は、トナーが通過する空間となる。例えば、トナーカートリッジ40Aは、孔67が容器内開口部44と重なる位置にある場合に、トナーが孔67を通過して第1収容部42aから第2収容部42bに流動する。また、トナーカートリッジ40Aは、孔67がトナー供給口45と重なる位置にある場合に、トナーが孔67を通過して第2収容部42bからイメージドラムユニット20のトナー貯蔵室25に流動する。
【0092】
複数の孔67は、図7に示すように、撹拌バー60Aの回転方向に複数の列を形成している。各列には、偶数個の孔67(図示例では、2つの孔67a,67b)が配置されている。複数の孔67は、フィルム部62Aがシャッタ51の内周面に沿って展開した場合に、各列で組となる孔67同士が互いに撹拌バー60Aの軸受部61aを中心にして対称の位置に配置される(図6及び図8参照)。
【0093】
なお、図7に示す例では、複数の孔67は、1列につき2つずつ配置されている。以下、各列に配置された2つの孔67のうち、摺接部63の先端P1(図7参照)側の孔67を「第1孔67a」と称し、摺接部63の後端P2(図7参照)側の孔67を「第2孔67b」と称する。
【0094】
第1孔67a及び第2孔67bは、フィルム部62Aがシャッタ51の内周面に沿って展開した場合に、互いに撹拌バー60Aの軸受部61aを中心にして対称の位置に配置される(図6及び図8参照)。
【0095】
フィルム部62Aの摺接部63は、第1孔67a及び第2孔67bのいずれか一方が形成された部分63a(以下、「開口部分63a」と称する)と、第1孔67a及び第2孔67bが形成されていない部分63b(以下、「非開口部分63b」と称する)とに区画される。本実施形態2では、開口部分63a及び非開口部分63bは、それぞれ、2つずつ形成される。
【0096】
なお、本実施形態2では、軸受部61aを中心とする容器内開口部44の中心位置とトナー供給口45の中心位置とによって形成される角度は、180度よりも小さな角度(厳密には、180度から、1つの開口部分63aの幅分よりも大きな角度を差し引いた角度)に設定されているものとする。これに対して、2つの開口部分63aは、軸受部61aを中心にして対象に配置される。したがって、軸受部61aを中心とする一方の開口部分63aの中心位置と他方の開口部分63aの中心位置とによって形成される角度は、180度となる。
【0097】
そのため、フィルム部62Aは、開口部分63aが容器内開口部44及びトナー供給口45のいずれか一方と重なる位置にある場合に、非開口部分63bが容器内開口部44及びトナー供給口45の他方を閉鎖する構成となる。したがって、非開口部分63bは、撹拌バー60Aが回動する際に、容器内開口部44及びトナー供給口45の双方が同時に連通するのを防止する隔壁として機能する。
【0098】
なお、非開口部分63bは、開口部分63aが容器内開口部44及びトナー供給口45のいずれにも重ならない位置にある場合に、容器内開口部44及びトナー供給口45の双方を閉鎖する。
【0099】
製造作業者は、トナーカートリッジ40Aを製造する場合に、撹拌バー60Aのフィルム部62Aの自由端E2側を軸受部61a及び突出部61bの周りに巻きつけ、撹拌バー60Aを第2収容部42b(図6参照)の内部に装着する。すると、フィルム部62Aは、自由端E2側が外側に広がる。これにより、図6に示すように、フィルム部62Aは、芯材61の突出部61bの先端からシャッタ51の内周面に沿って展開する。その結果、フィルム部62Aは、シャッタ51の内周面に沿って、撹拌バー60Aの芯材61の突出部61bの先端から撹拌バー60Aの回動方向の下流側に延びるように配置される。
【0100】
このとき、フィルム部62Aは、前記した通り、撹拌バー60Aの回動方向に対する摺接部63の幅(すなわち、摺接部63の先端P1から終端P2までの距離)がシャッタ51の内周面の長さと同じか、若しくは、シャッタ51の内周面の長さよりも若干長くなるように、形成されているため、摺接部63の終端P2が先端P1と略一致した状態になる。
【0101】
また、このとき、フィルム部62Aは、第1孔67aと第2孔67bとが軸受部61aを中心にして対称の位置に配置された状態になる。
【0102】
以下、図6及び図8を参照して、本実施形態2に係るトナーカートリッジ40Aの動作につき説明する。ここでは、実施形態1に係るトナーカートリッジ40と相違する動作を重点的に説明し、実施形態1に係るトナーカートリッジ40と同様の動作については、前記した実施形態1に係るトナーカートリッジ40の動作を本実施形態2に係るトナーカートリッジ40Aの動作に読み替えるものとして、詳細な説明を省略する。
【0103】
プリンタ1は、図示せぬ駆動機構によって、図6に示す矢印A方向に、トナーカートリッジ40Aの撹拌バー60Aを回動させる。
このとき、トナーカートリッジ40Aは、図8に示すように、第1孔67aが形成された開口部分63aが容器内開口部44と重なると、トナーが矢印B方向に流動する。これにより、トナーカートリッジ40Aは、第1孔67aを介して、トナーを第1収容部42aから第2収容部42bに供給する。そして、トナーカートリッジ40Aは、撹拌バー60Aが引き続き回動することにより、第2収容部42bの内部でトナーを撹拌する。
【0104】
また、トナーカートリッジ40Aは、図6に示すように、第1孔67aが形成された開口部分63aがトナー供給口45と重なると、トナーが矢印C方向に流動する。これにより、トナーカートリッジ40Aは、第1孔67aを介して、トナーを第2収容部42bからイメージドラムユニット20のトナー貯蔵室25に放出する。なお、第2収容部42bの内部に残ったトナーは、第2収容部42bの内部で撹拌バー60Aによって引き続き撹拌される。
【0105】
同様に、トナーカートリッジ40Aは、第2孔67bが形成された開口部分63aが容器内開口部44と重なると、第2孔67bを介して、トナーを第1収容部42aから第2収容部42bに供給する。また、トナーカートリッジ40Aは、第2孔67bが形成された開口部分63aがトナー供給口45と重なると、第2孔67bを介して、トナーを第2収容部42bからイメージドラムユニット20のトナー貯蔵室25に放出する。
【0106】
このようなトナーカートリッジ40Aは、以下のような特徴を有する。
(1)フィルム部62Aは、シャッタ51の内周面に沿って、撹拌バー60Aの芯材61の突出部61bの先端から撹拌バー60Aの回動方向の下流側に延びるように配置される。
(2)フィルム部62Aは、摺接部63の終端P2が先端P1と略一致した状態になり、摺接部63がシャッタ51の内周面と全周に亘って接触している。
(3)フィルム部62Aは、複数の孔67が、摺接部63に、撹拌バー60Aの回転方向の同列上に2つずつ設けられている。
(4)2つの孔67a,67bは、撹拌バー60Aの軸受部61aを中心にして対称に配置される。
【0107】
そのため、フィルム部62Aは、例えば、開口部分63a(第1孔67a及び第2孔67bのいずれか一方が形成された部分)が容器内開口部44と重なる位置にある場合に、非開口部分63b(第1孔67a及び第2孔67bが形成されていない部分)がトナー供給口45を閉鎖する。また、フィルム部62Aは、例えば、開口部分63aがトナー供給口45と重なる位置にある場合に、非開口部分63bが容器内開口部44を閉鎖する。
【0108】
このようなトナーカートリッジ40Aは、実施形態1に係るトナーカートリッジ40と同様に、第1収容部42aに収容されたトナーの重力方向の圧力がイメージドラムユニット20のトナー貯蔵室25に収容されたトナーに加わるのを防止することができる。そのため、トナーカートリッジ40Aは、実施形態1に係るトナーカートリッジ40と同様の効果を得ることができる。
また、トナーカートリッジ40Aを用いる現像装置11及び画像形成装置1も、実施形態1と同様の効果を得ることができる。
【0109】
以上の通り、本実施形態2に係るトナーカートリッジ40Aによれば、実施形態1に係るトナーカートリッジ40と同様に、現像装置11のトナー貯蔵室25に収容されたトナーの流動性が低下するのを抑制することができる。
【0110】
また、トナーカートリッジ40Aによれば、実施形態1に係るトナーカートリッジ40と同様に、第2収容部42bに収容されたトナーに対し、フィルム部62Aで周囲を囲んだ状態で、フィルム部62Aと一緒に第2収容部42bの内部を移動させるため、トナーのダメージを低減することもできる。
【0111】
さらに、トナーカートリッジ40Aによれば、孔67の大きさや、孔67のフィルム部62Aの幅方向の配置数を変更することにより、トナーの放出量を自由に設定することが可能となる。
【0112】
また、トナーカートリッジ40Aを用いる現像装置11によれば、現像不良(静電潜像が忠実に現像されない現象)の発生を抑制することができる。
また、トナーカートリッジ40Aを用いるプリンタ1によれば、画像形成不良(画質の低い画像が印刷媒体に形成される現象)の発生を抑制することができる。
【0113】
[実施形態3]
以下、図9〜図13を参照して、本実施形態3に係る現像剤収容器としてのトナーカートリッジ40Bの構成につき説明する。図9及び図10は、それぞれ、実施形態3に係る現像剤収容器としてのトナーカートリッジ40Bの構成を示す図である。図11は、実施形態3で用いる撹拌部材としての撹拌バー60Bの構成を示す図である。図12及び図13は、それぞれ、実施形態3で用いる撹拌部材としての撹拌バー60Bの要部の構成を示す図である。
【0114】
本実施形態3に係るトナーカートリッジ40Bは、実施形態1に係るトナーカートリッジ40と比較すると、撹拌バー60の代わりに、撹拌バー60Bを用いている点で相違している。撹拌バー60Bは、実施形態1に係る撹拌バー60(図3参照)と比較すると、フィルム部62に加え、付加フィルム部62B(図11参照)を備える構成となっている。
【0115】
付加フィルム部62Bは、矩形状に形成された薄膜型の弾性部材である。付加フィルム部62Bは、第2収容部42bの内部のトナーの重さによりつぶれない程度の剛性を有している。付加フィルム部62Bは、自由端E2b(図11(b)参照)がトナー供給口45の内部に自在に突出できるように、長さが軸受部61aからトナー供給口45までの距離とほぼ等しい長さに形成されている。また、付加フィルム部62Bは、例えば両面接着テープや接着剤等の固定手段によって、固定端E1(図11(b)参照)側が、フィルム部62の外側の、芯材61の軸受部61a又は突出部61bに対向する位置に固定されている。
【0116】
以下、図9及び図10を参照して、撹拌バー60Bの周囲の構成を説明し、次に、図11を参照して、撹拌バー60Bの構成を説明する。
【0117】
まず、撹拌バー60Bの周囲の構成を説明する。
図9及び図10に示すように、トナーカートリッジ40Bは、シャッタ51が第2収容部42bの内部に回動可能に配置されている。シャッタ51は、図10に示すように、外周面に複数のアーチ状のフレーム(以下、「アーチ部59」と称する)を備えている。アーチ部59は、シャッタ51の強度を補強するためのフレームである。なお、アーチ部59は、他の実施形態のシャッタ51にも設けられている。
【0118】
撹拌バー60Bのフィルム部62は、そのシャッタ51の内周面に沿って、撹拌バー60Bの芯材61の突出部61bの先端から撹拌バー60Bの回動方向の下流側に延びるように配置される。
【0119】
また、撹拌バー60Bの付加フィルム部62Bは、撹拌バー60Bの回動に伴って、自由端E2b(図11(b)参照)とシャッタ51の内周面とが接触した状態(図12参照)と、自由端E2bとシャッタ51の内周面との接触が解除された状態(図9参照)とを繰り返す。付加フィルム部62Bは、シャッタ51の内周面と接触すると、自由端E2b側が屈曲して、シャッタ51の内周面とフィルム部62との間に入り込む(図12参照)。一方、付加フィルム部62Bは、自由端E2bとシャッタ51の内周面との接触が解除されると、シャッタ51の内周面から外側方向に向けて展開する(図9参照)。
【0120】
次に、図11を参照して、撹拌バー60Bの構成を説明する。
図11(a)は、組み立て前の撹拌バー60Bの構成を示しており、図11(b)は、組み立て後の撹拌バー60Bの構成を示している。
【0121】
撹拌バー60Bは、前記した通り、実施形態1に係る撹拌バー60(図3参照)と比較すると、フィルム部62に加え、付加フィルム部62B(図11参照)を備える構成となっている。
【0122】
付加フィルム部62Bは、前記した通り、例えば両面接着テープや接着剤等の固定手段によって、固定端E1(図11(b)参照)側が、フィルム部62の外側の、芯材61の軸受部61a又は突出部61bに対向する位置に固定されている。
【0123】
製造作業者は、トナーカートリッジ40Bを製造する場合に、撹拌バー60Bのフィルム部62の自由端E2側を軸受部61a及び突出部61bの周りに巻きつけ、付加フィルム部62Bの自由端E2bがトナー供給口45(又は、容器内開口部44)の内部に配置されるように、撹拌バー60Bをトナーカートリッジ40Bの内部に装着する。すると、フィルム部62は、自由端E2側が外側に広がる。これにより、図9に示すように、フィルム部62は、芯材61の突出部61bの先端からシャッタ51の内周面に沿って展開する。その結果、フィルム部62は、シャッタ51の内周面に沿って、芯材61の突出部61bの先端から撹拌バー60Bの回転方向の下流側に延びるように、配置される。また、付加フィルム部62Bは、自由端E2bがトナー供給口45(又は、容器内開口部44)の内部で展開した状態となる。
【0124】
なお、フィルム部62は、撹拌バー60Bの回動方向に対する摺接部63の幅(すなわち、摺接部63の先端P1から終端P2までの距離)がシャッタ51の内周面の長さよりも短く形成されている。そのため、シャッタ51の内周面には、実施形態1と同様に、フィルム部62とシャッタ51とが接触しないフィルム開口部65が形成される。
【0125】
係る構成において、フィルム部62は、実施形態1と同様に、フィルム開口部65の幅D1(図9参照)及び容器内開口部44の幅D2(図9参照)が「D1<D2」の関係となるように、形成されている。ただし、フィルム開口部65の幅D1は、トナーがフィルム開口部65を円滑に通過できるように、予め定められた幅以上に設けられている。また、フィルム部62は、フィルム開口部65の幅D1及び容器内開口部44からシャッタ開口部55までの距離D3(図9参照)が「D1<D3」の関係となるように、形成されている。
【0126】
このような構成により、フィルム部62は、フィルム開口部65が容器内開口部44及びトナー供給口45のいずれか一方と重なる位置にある場合に、摺接部63が容器内開口部44及びトナー供給口45の他方を閉鎖する。したがって、トナーカートリッジ40Bは、実施形態1に係るトナーカートリッジ40と同様に、容器内開口部44及びトナー供給口45の双方が同時に連通することがない。
【0127】
以下、図9、図12、及び、図13を参照して、本実施形態3に係るトナーカートリッジ40Bの動作につき説明する。ここでは、実施形態1に係るトナーカートリッジ40と相違する動作を重点的に説明し、実施形態1に係るトナーカートリッジ40と同様の動作については、前記した実施形態1に係るトナーカートリッジ40の動作を本実施形態3に係るトナーカートリッジ40Bの動作に読み替えるものとして、詳細な説明を省略する。
【0128】
プリンタ1は、図示せぬ駆動機構によって、図9に示す矢印A方向に、トナーカートリッジ40Bの撹拌バー60Bを回動させる。
このとき、トナーカートリッジ40Bは、図12に示すように、フィルム開口部65が容器内開口部44と重なると、トナーが矢印B方向に流動する。これにより、トナーカートリッジ40Bは、フィルム開口部65を介して、トナーを第1収容部42aから第2収容部42bに供給する。そして、トナーカートリッジ40Bは、撹拌バー60Bが引き続き回動することにより、第2収容部42bの内部でトナーを撹拌する。
【0129】
また、トナーカートリッジ40Bは、図9に示すように、フィルム開口部65がトナー供給口45と重なると、トナーが矢印C方向に流動する。これにより、トナーカートリッジ40Bは、フィルム開口部65を介して、トナーを第2収容部42bからイメージドラムユニット20のトナー貯蔵室25に放出する。なお、第2収容部42bの内部に残ったトナーは、第2収容部42bの内部で撹拌バー60Bによって引き続き撹拌される。
【0130】
このようなトナーカートリッジ40Bは、実施形態1に係るトナーカートリッジ40と同様に、撹拌バー60Bが回動する際に、フィルム部62の摺接部63が隔壁として機能するため、容器内開口部44及びトナー供給口45の双方が同時に連通するのを防止することができる。そのため、トナーカートリッジ40Bは、実施形態1に係るトナーカートリッジ40と同様の効果を得ることができる。
また、トナーカートリッジ40Bを用いる現像装置11及び画像形成装置1も、実施形態1と同様の効果を得ることができる。
【0131】
また、トナーカートリッジ40Bは、図13に示すように、付加フィルム部62Bがトナー供給口45と重なる位置に来ると、付加フィルム部62Bの自由端E2bがシャッタ51の内周面から外側方向に向けて展開する。これにより、付加フィルム部62Bの自由端E2bが、トナー供給口45の内部に進入して、トナー供給口45の内部を移動する。
【0132】
その結果、付加フィルム部62Bの自由端E2bは、トナー供給口45の周囲のトナーの塊を崩して、トナーを細分化するとともに、トナー供給口45の周囲のトナーをトナー供給口45からトナー貯蔵室25側に押し出す。そのため、トナーカートリッジ40Bは、実施形態1に係るトナーカートリッジ40よりも、細分化されたトナーをトナー貯蔵室25に安定して供給することができる。
【0133】
以上の通り、本実施形態3に係るトナーカートリッジ40Bによれば、実施形態1に係るトナーカートリッジ40と同様に、現像装置11のトナー貯蔵室25に収容されたトナーの流動性が低下するのを抑制することができる。
【0134】
また、トナーカートリッジ40Bによれば、実施形態1に係るトナーカートリッジ40と同様に、第2収容部42bに収容されたトナーに対し、フィルム部62で周囲を囲んだ状態で、フィルム部62と一緒に第2収容部42bの内部を移動させるため、トナーのダメージを低減することもできる。
【0135】
さらに、トナーカートリッジ40Bによれば、付加フィルム部62Bの自由端E2bが、トナー供給口45の周囲のトナーの塊を崩して、トナーを細分化するとともに、トナー供給口45の周囲のトナーをトナー供給口45からトナー貯蔵室25側に押し出すため、実施形態1に係るトナーカートリッジ40よりも、細分化されたトナーをトナー貯蔵室25に安定して供給することができる。
【0136】
また、トナーカートリッジ40Bを用いる現像装置11によれば、現像不良(静電潜像が忠実に現像されない現象)の発生を抑制することができる。
また、トナーカートリッジ40Bを用いるプリンタ1によれば、画像形成不良(画質の低い画像が印刷媒体に形成される現象)の発生を抑制することができる。
【0137】
[実施形態4]
以下、図14〜図16を参照して、本実施形態4に係る現像剤収容器としてのトナーカートリッジ40Cの構成につき説明する。図14は、実施形態4に係る現像剤収容器としてのトナーカートリッジ40Cの構成を示す図である。図15は、実施形態4で用いる撹拌部材としての撹拌バー60Cの構成を示す図である。図16は、実施形態4で用いる撹拌部材としての撹拌バー60Cの要部の構成を示す図である。
【0138】
本実施形態4に係るトナーカートリッジ40Cは、実施形態1に係るトナーカートリッジ40と同じ部品点数で、実施形態3に係るトナーカートリッジ40Bと同様の効果を得ることを目的としている。
【0139】
その本実施形態4に係るトナーカートリッジ40Cは、実施形態1に係るトナーカートリッジ40と比較すると、撹拌バー60の代わりに、撹拌バー60C(図15参照)を用いている点で相違している。図15(a)は、組み立て前の撹拌バー60Cの構成を示しており、図15(b)は、組み立て後の撹拌バー60Cの構成を示している。撹拌バー60Cは、実施形態1に係る撹拌バー60(図3参照)と比較すると、フィルム部62の代わりに、フィルム部62Cを備える構成となっている。
【0140】
フィルム部62Cは、実施形態1に係るフィルム部62(図3参照)に対して、複数の切り込み68を、摺接部63の先端部P1(図15(b)参照)の周囲に、軸方向に沿って形成した部材である。複数の切り込み68は、それぞれ、「コ」の字状に形成されている。各切り込み68の内部部分は、フィルム部62Cがシャッタ51の内周面に沿って展開した状態で、切り込み68の先端部E2c(図15(b)参照)とシャッタ51の内周面との接触が解除されると、シャッタ51の内周面から外側方向に向けて展開する部分(以下、「展開部69」と称する)となる。
【0141】
フィルム部62Cは、実施形態1に係るフィルム部62と同様に、例えば両面接着テープや接着剤等の固定手段によって、固定端E1(図15(a)参照)側が芯材61の軸受部61a又は突出部61bに固定されている。
【0142】
製造作業者は、トナーカートリッジ40Cを製造する場合に、撹拌バー60Cのフィルム部62Cの自由端E2側を軸受部61a及び突出部61bの周りに巻きつけ、撹拌バー60Cをトナーカートリッジ40Cの内部に装着する。すると、フィルム部62Cは、自由端E2側が外側に広がる。これにより、図14に示すように、フィルム部62Cは、芯材61の突出部61bの先端からシャッタ51の内周面に沿って展開する。その結果、フィルム部62Cは、シャッタ51の内周面に沿って、芯材61の突出部61bの先端から撹拌バー60Cの回転方向の下流側に延びるように、配置される。
【0143】
なお、フィルム部62Cの展開部69は、撹拌バー60Cの回動に伴って、自由端E2c(図15(b)参照)とシャッタ51の内周面とが接触した状態(図16参照)と、自由端E2cとシャッタ51の内周面との接触が解除された状態(図14参照)とを繰り返す。フィルム部62Cの展開部69は、シャッタ51の内周面と接触すると、シャッタ51の内周面に沿って、屈曲する(図16参照)。一方、フィルム部62Cは、自由端E2cとシャッタ51の内周面との接触が解除されると、シャッタ51の内周面から外側方向に向けて展開する(図14参照)。
【0144】
以下、図14及び図16を参照して、本実施形態4に係るトナーカートリッジ40Cの動作につき説明する。ここでは、実施形態1に係るトナーカートリッジ40と相違する動作を重点的に説明し、実施形態1に係るトナーカートリッジ40と同様の動作については、前記した実施形態1に係るトナーカートリッジ40の動作を本実施形態4に係るトナーカートリッジ40Cの動作に読み替えるものとして、詳細な説明を省略する。
【0145】
プリンタ1は、図示せぬ駆動機構によって、図14に示す矢印A方向に、トナーカートリッジ40Cの撹拌バー60Cを回動させる。
このとき、トナーカートリッジ40Cは、図16に示すように、フィルム開口部65が容器内開口部44と重なると、トナーが矢印B方向に流動する。これにより、トナーカートリッジ40Cは、フィルム開口部65を介して、トナーを第1収容部42aから第2収容部42bに供給する。そして、トナーカートリッジ40Cは、撹拌バー60Cが引き続き回動することにより、第2収容部42bの内部でトナーを撹拌する。
【0146】
また、トナーカートリッジ40Cは、図14に示すように、フィルム開口部65がトナー供給口45と重なると、トナーが矢印C方向に流動する。これにより、トナーカートリッジ40Cは、フィルム開口部65を介して、トナーを第2収容部42bからイメージドラムユニット20のトナー貯蔵室25に放出する。なお、第2収容部42bの内部に残ったトナーは、第2収容部42bの内部で撹拌バー60Cによって引き続き撹拌される。
【0147】
このようなトナーカートリッジ40Cは、実施形態1に係るトナーカートリッジ40と同様に、撹拌バー60Cが回動する際に、フィルム部62Cの摺接部63が隔壁として機能するため、容器内開口部44及びトナー供給口45の双方が同時に連通するのを防止することができる。そのため、トナーカートリッジ40Cは、実施形態1に係るトナーカートリッジ40と同様の効果を得ることができる。
また、トナーカートリッジ40Cを用いる現像装置11及び画像形成装置1も、実施形態1と同様の効果を得ることができる。
【0148】
また、トナーカートリッジ40Cは、図14に示すように、フィルム部62Cの展開部69がトナー供給口45と重なる位置に来ると、展開部69がシャッタ51の内周面から外側方向に向けて展開する。これにより、フィルム部62Cの展開部69が、トナー供給口45の内部に進入して、トナー供給口45の内部を移動する。
【0149】
その結果、フィルム部62Cの展開部69は、トナー供給口45の周囲のトナーの塊を崩して、トナーを細分化するとともに、トナー供給口45の周囲のトナーをトナー供給口45からトナー貯蔵室25側に押し出す。そのため、トナーカートリッジ40Cは、実施形態3に係るトナーカートリッジ40Bと同様に、実施形態1に係るトナーカートリッジ40よりも、細分化されたトナーをトナー貯蔵室25に安定して供給することができる。
【0150】
以上の通り、本実施形態4に係るトナーカートリッジ40Cによれば、実施形態1に係るトナーカートリッジ40と同様に、現像装置11のトナー貯蔵室25に収容されたトナーの流動性が低下するのを抑制することができる。
【0151】
また、トナーカートリッジ40Cによれば、実施形態1に係るトナーカートリッジ40と同様に、第2収容部42bに収容されたトナーに対し、フィルム部62Cで周囲を囲んだ状態で、フィルム部62Cと一緒に第2収容部42bの内部を移動させるため、トナーのダメージを低減することもできる。
【0152】
さらに、トナーカートリッジ40Cによれば、フィルム部62Cの展開部69が、トナー供給口45の周囲のトナーの塊を崩して、トナーを細分化するとともに、トナー供給口45の周囲のトナーをトナー供給口45からトナー貯蔵室25側に押し出すため、実施形態3に係るトナーカートリッジ40Bと同様に、実施形態1に係るトナーカートリッジ40よりも、細分化されたトナーをトナー貯蔵室25に安定して供給することができる。
【0153】
また、トナーカートリッジ40Cを用いる現像装置11によれば、現像不良(静電潜像が忠実に現像されない現象)の発生を抑制することができる。
また、トナーカートリッジ40Cを用いるプリンタ1によれば、画像形成不良(画質の低い画像が印刷媒体に形成される現象)の発生を抑制することができる。
【0154】
本発明は、前記した実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更や変形を行うことができる。
例えば、本発明は、プリンタに限らず、ファクシミリ装置、複写機、MFP等の画像形成装置に用いることができる。なお、「MFP」とは、Multi Function Printerの略称で、プリンタにファクシミリ機能やスキャナ機能、コピー機能等を付加した装置である。
例えば、実施形態2に用いる撹拌バー60Aは、実施形態3に用いる撹拌バー60Bのように、フィルム部62Aに加え、付加フィルム部62Bを有する構成にしてもよい。
また、例えば、実施形態2に用いる撹拌バー60Aは、実施形態4に用いる撹拌バー60Cのように、フィルム部62Aに、切り込み68及び展開部69を形成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0155】
1 画像形成装置(プリンタ)
2 カセット
3 スタッカ
4 搬送路
5 排出ローラ
11 現像装置
12 露光装置(LEDヘッド)
13 転写ユニット
14 定着ユニット
20 イメージドラムユニット
21 筐体
22 感光体ドラム(像担持体)
23 帯電ローラ(帯電部材)
24 現像ローラ(現像剤担持体)
25 トナー貯蔵室(現像剤貯蔵室)
26 供給ローラ(現像剤供給部材)
27 現像ブレード(現像剤層規制部材)
28 クリーニングブレード(現像剤除去部材)
31 アッパカバー(装着部)
35 トナー受給口(現像剤受給口)
40,40A,40B,40C トナーカートリッジ(現像剤収容器)
41 アウターカートリッジ(筐体)
42 トナー収容部(現像剤収容部)
42a 第1収容部
42b 第2収容部(回動供給部)
43 廃トナー収容部
44 容器内開口部
45 トナー供給口(現像剤供給口)
51 シャッタ(供給口開閉部材)
55 シャッタ開口部
60,60A,60B,60C 撹拌バー(撹拌部材)
61 芯材
61a 軸受部(回転軸)
61b 突出部(半隔壁)
62,62A,62C フィルム部
62B 付加フィルム部
63 摺接部
65 フィルム開口部
67(67a,67b) 孔
68 切り込み
69 展開部
71 第1現像剤保持空間
72 第2現像剤保持空間
73 連通部
D1 フィルム開口部の幅
D2 容器内開口部の幅
D3 現像剤供給口から容器内開口部までの距離
E1 固定端
E2 自由端
P1 先端
P2 終端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成に用いる現像剤を収容する現像剤収容器において、
上下方向に、第1収容部と第2収容部とに区画され、前記現像剤を収容する現像剤収容部と、
前記現像剤を前記第1収容部から前記第2収容部に供給するために、前記第1収容部と前記第2収容部との間に設けられた容器内開口部と、
前記現像剤を前記第2収容部から外部の現像装置に供給するために、前記第2収容部の底部に設けられた現像剤供給口と、
前記容器内開口部及び前記現像剤供給口の双方が同時に連通しないように、前記容器内開口部及び前記現像剤供給口のいずれか一方ずつを交互に閉鎖するフィルム部とを有する
ことを特徴とする現像剤収容器。
【請求項2】
請求項1に記載の現像剤収容器において、
さらに、前記第2収容部の内部に配置され、回動することにより、前記第2収容部の内部の前記現像剤を撹拌する撹拌部材を有し、
前記第2収容部は、円筒形に形成されており、
前記フィルム部は、前記撹拌部材の回動方向の下流側に延在して配置されるように、前記撹拌部材に取り付けられており、かつ、前記撹拌部材の回動に伴って前記第2収容部の内部を移動する
ことを特徴とする現像剤収容器。
【請求項3】
請求項2に記載の現像剤収容器において、
さらに、前記第2収容部の内周面に沿って配置され、前記現像剤供給口を開閉する、断面が円弧状のシャッタを有し、
前記フィルム部は、
前記シャッタの内周面に沿って前記撹拌部材の回動方向の下流側に配置されることにより、前記シャッタの内周面に摺接する摺接部と、前記現像剤が通過するフィルム開口部とを形成し、
前記フィルム開口部が前記容器内開口部及び前記現像剤供給口のいずれか一方と重なる位置にある場合に、前記摺接部が他方を閉鎖する
ことを特徴とする現像剤収容器。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の現像剤収容器において、
前記撹拌部材の回動方向に対し、前記フィルム開口部の幅は、前記容器内開口部の幅よりも短い
ことを特徴とする現像剤収容器。
【請求項5】
請求項2乃至請求項4のいずれか一項に記載の現像剤収容器において、
前記撹拌部材の回動方向に対し、前記フィルム開口部の幅は、前記現像剤供給口から前記容器内開口部までの距離よりも短い
ことを特徴とする現像剤収容器。
【請求項6】
請求項2に記載の現像剤収容器において、
さらに、前記第2収容部の内周面に沿って配置され、前記現像剤供給口を開閉する、断面が円弧状のシャッタを有し、
前記フィルム部は、
複数の孔を備えており、
前記シャッタの内周面に沿って前記撹拌部材の回動方向の下流側に、前記シャッタの内周面の全周に亘って配置されるとともに、
前記複数の孔が形成された部分が前記容器内開口部及び前記現像剤供給口のいずれか一方と重なる位置にある場合に、前記複数の孔が形成されていない部分が他方を閉鎖する
ことを特徴とする現像剤収容器。
【請求項7】
請求項6に記載の現像剤収容器において、
複数の前記孔は、組となる前記孔が互いに前記撹拌部材の回転軸を中心にして対称の位置に配置されるように、前記撹拌部材の回転方向の同列上に偶数個ずつ設けられている
ことを特徴とする現像剤収容器。
【請求項8】
請求項2乃至請求項7のいずれか一項に記載の現像剤収容器において、
前記撹拌部材は、前記フィルム部に加え、さらに、前記フィルム部の上流側に配置された付加フィルム部を備えており、
前記付加フィルム部は、前記現像剤供給口と重なる位置にある場合に、自由端が前記現像剤供給口の内部に進入する
ことを特徴とする現像剤収容器。
【請求項9】
請求項2乃至請求項7のいずれか一項に記載の現像剤収容器において、
前記フィルム部は、前記摺接部の先端部分が切り欠けられることによって、前記第2収容部の外側方向に展開する複数の展開部が形成されており、
前記複数の展開部は、それぞれ、前記現像剤供給口と重なる位置にある場合に、前記現像剤供給口の内部に進入する
ことを特徴とする現像剤収容器。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の現像剤収容器において、
前記フィルム部は、矩形状の薄膜型の弾性部材によって構成されている
ことを特徴とする現像剤収容器。
【請求項11】
現像剤によって現像剤像を形成する現像装置において、
前記現像剤を一時的に貯蔵する現像剤貯蔵室を有し、
前記現像剤貯蔵室は、当該現像剤貯蔵室に供給する現像剤を収容する現像剤収容器が、上に取り外し自在に装着される形状になっており、
前記現像剤収容器は、
上下方向に、第1収容部と第2収容部とに区画され、前記現像剤を収容する現像剤収容部と、
前記現像剤を前記第1収容部から前記第2収容部に供給するために、前記第1収容部と前記第2収容部との間に設けられた容器内開口部と、
前記現像剤を前記第2収容部から外部の現像装置に供給するために、前記第2収容部の底部に設けられた現像剤供給口と、
前記容器内開口部及び前記現像剤供給口の双方が同時に連通しないように、前記容器内開口部及び前記現像剤供給口のいずれか一方ずつを交互に閉鎖するフィルム部とを備える
ことを特徴とする現像装置。
【請求項12】
現像装置と露光装置と転写ユニットと定着ユニットとを有する画像形成装置において、
前記現像装置は、前記現像剤を一時的に貯蔵する現像剤貯蔵室を有し、
前記現像剤貯蔵室は、当該現像剤貯蔵室に供給する現像剤を収容する現像剤収容器が、上に取り外し自在に装着される形状になっており、
前記現像剤収容器は、
上下方向に、第1収容部と第2収容部とに区画され、前記現像剤を収容する現像剤収容部と、
前記現像剤を前記第1収容部から前記第2収容部に供給するために、前記第1収容部と前記第2収容部との間に設けられた容器内開口部と、
前記現像剤を前記第2収容部から外部の現像装置に供給するために、前記第2収容部の底部に設けられた現像剤供給口と、
前記容器内開口部及び前記現像剤供給口の双方が同時に連通しないように、前記容器内開口部及び前記現像剤供給口のいずれか一方ずつを交互に閉鎖するフィルム部とを備える
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−242747(P2012−242747A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114917(P2011−114917)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】