説明

現像剤収納容器、および画像形成装置

【課題】多量で一定量の現像剤を安定して補給可能な現像剤収納容器を提供する。
【解決手段】トナーカートリッジ1は、回転駆動により内部のトナーを搬送してトナーボトル排出口31から排出する円筒形状のトナーボトル2と、トナーボトル2を回転可能に支持し、トナーボトル排出口31から排出されたトナーを一旦格納して、トナーを補給部排出口5から外部に排出するトナー補給部3と、を備え、トナーボトル排出口31は、トナーボトル2端部の、軸線L1の垂直面に対して当該軸線方向におけるトナー搬送方向上流側に傾斜した傾斜面31aに、形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は現像剤を収納する現像剤収納容器に関し、特に、回転駆動されることにより収納している現像剤を排出する現像剤収納容器、この現像剤収納容器を備えた現像剤補給装置、およびこの現像剤補給装置を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置では、感光体表面に形成された静電潜像を現像装置がトナー(現像剤)によって顕像化する。静電潜像の顕像化に用いられるトナーは、トナー容器に収納され、このトナー容器から現像装置に対して逐次トナーの供給が行われる。
【0003】
高速で稼動する画像形成装置では多くのトナーを消費するため、容量の大きいトナー容器が使用される。このような中、近年では、トナー容器を回転させることによって、現像装置に対してトナーの補給を行うトナーカートリッジが知られている。このような回転型のトナー容器の場合、多くは、中空の円筒形状に形成され、円筒の一方の端部が閉塞されるとともに、他方の端部付近に排出口が設けられている。以下このトナー容器をトナーボトルと呼ぶ。
【0004】
トナーボトルを備えたトナーカートリッジは、画像形成装置に装着される際、トナーボトルの回転軸が水平になるように配置される。さらに、トナーボトルの内周面にはスパイラル状の突状部が設けられているものもある。このトナーボトルを、回転軸を中心に回転駆動すると、内周面に設けられた突状部がトナーを排出口の方向へ案内しながら搬送し、トナーが排出口から排出される。
【0005】
また、このようなトナーボトルを備えたトナーカートリッジにおいては、トナーボトルの排出口付近に、トナーボトルからのトナーの排出量の上限を規制して、一定量のトナーをトナーカートリッジ外部へ排出するトナー補給部が設けられる。このようなトナー補給部が設けられるトナーカートリッジでは、図9に示すように、トナーボトル排出口30は、トナーボトル20端面のトナーボトル外周付近に設けられる。そして、図8に示すように、トナー補給部3には、トナーボトル20からのトナーの排出量を規制するため、トナーボトル排出口30近傍上方にトナー排出位置規制衝立6が設けられている。トナー排出位置規制衝立6は、トナーボトル排出口30がトナーカートリッジ101の下方にあるときに、トナーを、トナー補給部3が有する補給部排出口5から排出し、上方にあるときはトナーボトル20からトナー補給部3へ排出されたトナーの逆流を遮る。
【0006】
このように衝立6が設けられていると、トナーボトル2内のトナー量が多いとき、トナーボトル20内のトナー自身がトナーボトル排出口30を内側から塞ぎ、トナーボトル20内への外気の流入を妨げ、トナーボトル20内の圧力が下がらない。そのため、トナーボトル20からのトナーの排出を妨げ、トナーの排出量は少なくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−102135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の技術は、トナーカートリッジから多量のトナーを、一定量安定して排出させることができない。特に、トナーボトルの回転初め(立ち上がり時)や回転終わり(立ち下がり時)において多量のトナーを安定して排出させることができない。
【0009】
そのため、高速で稼動する画像形成装置に使用した場合、現像装置へのトナー補給量が不足し、画像異常やトナー補給のための待機時間が長くなるなどの問題が発生する。
【0010】
また、トナー補給量を多くするために、トナーボトルの回転速度を早くすると、駆動力確保のためにコストアップを生じたり、トナーボトル摺擦部の磨耗や摩擦による発熱などの問題が生じたりする。
【0011】
そこで、本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、多量で一定量の現像剤を安定して補給が可能な、現像剤収納容器、及びこの現像剤収納容器を備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明に係る現像剤収納容器は、円筒形状を有し、軸線回りに回転駆動されることにより、内部に収容した現像剤を搬送して第1排出口から排出する現像剤容器と、前記第1排出口周囲を包囲し、前記第1排出口から排出された現像剤を一旦格納する一時格納部と、現像剤を外部に排出する第2排出口と、一時格納部から第2排出口へ現像剤を搬送する搬送部とを有し、前記現像剤容器を前記軸線回りに回転可能に支持する現像剤補給部と、を備え、前記現像剤容器内の現像剤を、前記第1排出口及び前記第2排出口を介して外部に排出する現像剤収納容器であって、前記第1排出口は、前記現像剤容器端部の、前記軸線の垂直面に対して当該軸線方向における現像剤搬送方向上流側に傾斜した傾斜面に、形成されていることを特徴としている。
【0013】
上記構成によると、第1排出口は、現像剤容器端部の、当該現像剤容器の軸線の垂直面に対して当該軸線方向における現像剤搬送方向上流側に傾斜した傾斜面に、形成されている。そのため、現像剤容器内に多量の現像剤が入っている場合、現像剤容器が軸線回りに回転されたとき、傾斜面により、第1排出口近傍の現像剤が攪拌され、流動しやすくなる。それとともに、傾斜面に設けられた第1排出口から、多量の現像剤を現像剤容器から排出することが可能となる。このように、上記構成であると、第1排出口が、現像剤容器端部において、現像剤容器の軸線の垂直面に設けられている場合に比べて、多量の現像剤を一定量安定して排出させることができる。
【0014】
なお、現像剤容器内の現像剤が減少すると、現像剤容器が回転されることにより、現像剤容器内の現像剤が攪拌されやすくなり、また第1排出口が現像剤容器内の現像剤により塞がれる時間が少なくなり、現像剤容器内に外気を引き込みやすくなる。よって、引き続き多量の現像剤を排出することができる。
【0015】
以上により、現像剤容器内の現像剤の量に関わらず、多量で一定量の現像剤を安定して現像剤収納容器から外部に排出することが可能となる。また、上記構成によると、現像剤収納容器は、第1排出口周囲を包囲する形の現像剤補給部を備えているため、画像形成装置の大型化やコストアップを防ぐことができる。
【0016】
また、本発明に係る現像剤収納容器では、上記構成に加え、前記現像剤補給部は、前記第1排出口を覆い、前記現像剤容器が回転され、上記第1排出口が当該現像剤容器の設置方向下部に来たときに、当該現像剤容器からの現像剤を前記一時格納部に通過させる開口が設けられた、前記軸線の垂直面と平行に設置される面を有する排出量規制部を備えているのが好ましい。
【0017】
上記構成によると、排出量規制部により、現像剤容器が回転されて、傾斜面に設けられた第1排出口が現像剤容器の設置方向下部に来て開口を通過するときには、傾斜面に設けられた第1排出口から重力方向に現像剤が排出され易くなる。現像剤は、第1排出口から、開口を通して、現像剤補給部に排出される。また、現像剤容器が回転されて、傾斜面に設けられた第1排出口が現像剤容器の設置方向上部にきたときには、傾斜面に設けられた第1排出口と、排出量規制部の前記軸線の垂直面と平行に設置される面との隙間から、外気を現像剤容器内に引き込みやすくなり、多量の現像剤を現像剤容器から排出することが可能となる。
【0018】
また、本発明に係る現像剤収納容器では、上記構成に加え、前記傾斜面は、前記軸線の垂直面から20度から60度の角度を有して、当該軸線における現像剤搬送方向上流側に傾斜しているのが好ましい。
【0019】
上記構成によると、傾斜面が20度から60度の角度を有していることで、適切に、多量の一定安定量の現像剤を第1排出口から排出することが可能となる。
【0020】
また、本発明に係る現像剤収納容器は、前記現像剤容器の内周面に、当該現像剤容器内側へ隆起した複数の凸部が、断続した螺旋形状に設けられているのが好ましい。
【0021】
上記構成によると、現像剤容器の内周面に、当該現像剤容器内側へ隆起した複数の凸部が、断続した螺旋形状に設けられている。そのため、現像剤容器が軸線回りに回転駆動されることで、内部に収納された現像剤が複数の凸部により適切に攪拌しながら、第1排出口まで搬送することができる。
【0022】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記課題を解決するために、上述した現像剤補給装置を着脱可能に装着していることを特徴としている。
【0023】
上記構成によれば、上述した現像剤収納容器を着脱可能に装着しているため、常に適量の現像剤を補給して現像を行うことができる。よって、現像剤の補給が的確に行われるため、画質の品位を保って画像形成することができる。また、画像形成装置の大型化やコストアップを防ぐことができる。
【0024】
なお、上記現像剤収納容器は、現像剤補給部を備えているため、現像剤収納容器と現像装置との間に現像剤補給装置を備えない画像形成装置に採用することも可能である。
【発明の効果】
【0025】
本発明の現像剤収納容器では、以上のように、前記第1排出口は、前記現像剤容器端部の、前記軸線の垂直面に対して当該軸線方向における現像剤搬送方向上流側に傾斜した傾斜面に、形成されている。
【0026】
上記構成によると、第1排出口は、現像剤容器端部の、当該現像剤容器の軸線の垂直面に対して当該軸線方向における現像剤搬送方向上流側に傾斜した傾斜面に、形成されている。そのため、現像剤容器内に多量の現像剤が入っている場合、現像剤容器が軸線回りに回転されたとき、傾斜面により、第1排出口近傍の現像剤が攪拌され、流動しやすくなる。それとともに、傾斜面に設けられた第1排出口から、多量の現像剤を現像剤容器から排出することが可能となる。このように、上記構成であると、第1排出口が、現像剤容器端部において、現像剤容器の軸線の垂直面に設けられている場合に比べて、多量の現像剤を一定量安定して排出させることができる。
【0027】
なお、現像剤容器内の現像剤が減少すると、現像剤容器が回転されることにより、現像剤容器内の現像剤が攪拌されやすくなり、また第1排出口が現像剤容器内の現像剤により塞がれる時間が少なくなり、現像剤容器内に外気を引き込みやすくなる。よって、引き続き多量の現像剤を排出することができる。
【0028】
以上により、現像剤容器内の現像剤の量に関わらず、多量で一定量の現像剤を安定して現像剤収納容器から外部に排出することが可能となる。また、上記構成によると、現像剤収納容器は、第1排出口周囲を包囲する形の現像剤補給部を備えているため、画像形成装置の大型化やコストアップを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態に係るトナーカートリッジのトナー補給部周辺の構成を示す断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るトナーカートリッジが装着された画像形成装置の全体の構成を示す説明図である。
【図3】本発明の実施形態に係るトナーカートリッジの構成を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係るトナーカートリッジの構成を示す分解斜視図である。
【図5】本発明の実施形態に係るトナーカートリッジのトナーボトルが有する排出口周辺の斜視図である。
【図6】本発明の実施形態に係るトナーカートリッジのトナー補給部が有するトナー排出位置規制衝立の形状を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施形態に係るトナーカートリッジのトナー補給部が有する排出口周辺の内部構造を示す断面斜視図である。
【図8】従来のトナーカートリッジのトナー補給部周辺の構成を示す断面図である。
【図9】従来のトナーカートリッジのトナーボトルのトナーボトルが有する第1排出口周辺の斜視図である。
【図10】実施例及び比較例のトナーカートリッジを用いた場合のトナー排出量を比較したグラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
〔実施の形態〕
以下に、本発明の実施の一形態について図面を参照して詳細に説明する。図2は、発明を実施する形態の一例であって、後述する本発明に係るトナーカートリッジ(現像剤収納容器)が用いられた本発明に係る画像形成装置の全体の構成を示す説明図である。なお、本発明に係る画像形成装置について、図2に示す複写機を例にして説明するが、本発明の画像形成装置は、これに限定されず、プリンタ、ファクシミリ機、あるいは複写機などの画像形成を行う装置であればよい。つまり、後述する本発明に係るトナーカートリッジを着脱可能に装着でき、画像形成を行う装置であればよい。
【0031】
図2に示すように、画像形成装置100は、原稿読取部(スキャナ装置)43、画像形成部40、電子写真プロセス部60、シート供給部50とを備えている。
【0032】
原稿読取部43は、画像形成装置100上部に配置され、原稿を読み取り、画像データを作成する。
【0033】
画像形成部40は、原稿読取部43の下方に設けられ、感光体44、帯電装置45、露光部46、を備えている。
【0034】
感光体44は、略円筒形状の静電潜像担持体であり、回転可能に設置される。感光体44の表面には、原稿読取部43で作成された画像データ、あるいは通信ネットワーク等を介して外部から伝達された画像データに応じた静電潜像が形成される。
【0035】
帯電装置45は、感光体44の表面を所定の電位に均一に帯電させる装置である。帯電装置44としては、接触ローラ型の帯電器、接触ブラシ型の帯電器、或いは非接触チャージャー型の帯電器などが使用できる。
【0036】
露光部46は、レーザービームスキャナーを備え、帯電装置45によって帯電された感光体44を画像データに応じて露光することにより、感光体44の表面に画像データに応じた静電潜像を形成する。
【0037】
また、感光体ドラム44の周辺には、感光体44表面に残留するトナーを除去するクリーニング部49を備えている。
【0038】
電子写真プロセス部60は、現像装置47と、転写部48と、定着部51とを備える。
【0039】
現像装置47は、静電潜像が形成された感光体44の表面にトナー(現像剤)を供給し、静電潜像をトナー像に現像する装置である。
【0040】
現像装置47の上方には、トナーが収容されるトナーカートリッジ1とトナーホッパ13を備えたトナー補給装置10が設けられている。トナーホッパ13にはトナーカートリッジ1からトナーが補給されるようになっている。トナーカートリッジ1の詳細は後述する。
【0041】
転写部48は、現像装置47により現像された感光体44のトナー画像を、シート供給部50から搬送されるシート(記録用紙、記録材)に転写する。
【0042】
定着部51は、トナー画像が形成されたシートに画像を定着させる。トナー画像が定着した用紙は、排紙トレイ上に排出される。
【0043】
次に、本実施形態のトナーカートリッジ(現像剤収納容器)1について説明する。トナーカートリッジ1は、図3、4に示すように、円筒形状を有するトナーボトル(現像剤容器)2と、トナー補給部(現像剤補給部)3とを備えている。
【0044】
トナーボトル2は、補給用のトナー(現像剤)を収容する有底筒状のトナー収容部21と、トナー収容部21内のトナーを排出するトナーボトル排出口(第1排出口)31とを備えている。トナーボトル2は、軸線L1回りに回転駆動されることにより、トナー収容部21内に収容した現像剤を搬送して、トナーボトル排出口31から排出する。
【0045】
トナー補給部3は、トナーボトル排出口31周囲を包囲し、トナーボトル排出口31から排出された現像剤を一旦格納する、トナー補給部外壁3aの内部に相当する、一時格納部と、トナーを外部に排出する補給部排出口5と、一時格納部から補給部排出口5へトナーを搬送する搬送部材9とを有している。トナー補給部3は、トナーボトル排出口31を含むトナーボトル2の一部を外周面の全周にわたり包囲するとともに、トナーボトル2を軸線(中心軸)L1回りに回転可能に支持する。
【0046】
トナーボトル2を回転させることにより、トナー収容部21内のトナーは、トナーボトル排出口31からトナー補給部3に排出され、トナー補給部3から補給部排出口5を介して、トナーカートリッジ1の外部に排出される。
【0047】
トナーボトル2は、その内周面に、図3、4に示すように、トナー収容部21の内側へ隆起した複数の凸部であるトナー案内突起4が設けられている。トナー案内突起4は、トナーボトル2の回転方向に対応して分割された(断続した)螺旋状に形成されている。これにより、トナーボトル2が軸線L1回りに回転することによって、トナー収容部21内のトナーがトナー案内突起4に沿ってト、ナーボトル排出口31側に向かって搬送(案内)される。
【0048】
また、トナーボトル2の、軸線L1方向におけるトナー搬送方向下流側の端部(先端部)には、駆動連結窪み2aを備える撹拌台座2bが円筒状に突出して設けられている。撹拌台座2bは、図4に示すように、トナー収容部21よりも直径が小さい円筒形状に形成されている。トナーボトル2は、駆動連結窪み2aによって画像形成装置100本体と連結し、画像形成装置から伝達される回転駆動力を受ける。
【0049】
トナーボトル排出口31は、図1に示すように、トナーボトル2端部の、トナーボトル2の軸線L1の垂直面に対して軸線L1方向における現像剤搬送方向上流側に角度θ傾斜した傾斜面31aに、設けられている。そして、トナーボトル排出口31からトナー収容部21内のトナーが、トナー補給部3に排出される。トナーボトル排出口31周辺の形状は、図5に示すようになる。
【0050】
ここで、従来のトナーカートリッジ101では、図8に示すように、トナーボトル排出口31は、トナーボトル20端部で、トナーボトル20の回転軸(軸線L1)の垂直面と平行の面に設けられている。そして、トナー収容部21内のトナーを、トナー補給部3に排出するようになっている。この従来のトナーカートリッジ101のトナーボトル排出口30周辺の形状は、図9に示すようになる。
【0051】
本実施形態のトナーカートリッジ1では、トナーボトル排出口31が上記した構成である。そのため、トナーボトル2内に多量のトナーが入っている場合、トナーボトル2が軸線L1回りに回転されたとき、傾斜面31aにより、第1排出口近傍のトナーが攪拌され、流動しやすくなる。それとともに、傾斜面31aに設けられたトナーボトル排出口31から、多量のトナーをトナーボトル2から排出することが可能となる。このような本実施形態の構成であると、従来のトナーカートリッジ101のように、トナーボトル排出口30が、トナーボトル20端部において、トナーボトル20の軸線L1の垂直面と平行の面に設に設けられている場合に比べて、多量のトナーを一定量安定して排出させることができる。
【0052】
なお、トナーボトル2内のトナーが減少すると、トナーボトル2が回転されることにより、トナーボトル2内のトナーが攪拌されやすくなり、またトナー排出口31がトナーボトル2内のトナーにより塞がれる時間が少なくなり、トナーボトル2内に外気を引き込みやすくなる。よって、引き続き多量のトナーを排出することができる。
【0053】
以上により、本実施形態のトナーカートリッジ1では、トナー収容部21内のトナーの量に関わらず、多量で一定量のトナーを安定してトナーカートリッジ1から外部に排出することが可能となる。また、トナーカートリッジ1は、トナー排出口31周囲を包囲する形のトナー補給部3を備えているため、画像形成装置の大型化やコストアップを防ぐことができる。
【0054】
本実施形態のトナーカートリッジ1において、傾斜面31aの角度θは、20度から60度の範囲であるのが好ましい。傾斜面31aが20度から60度の角度を有していることで、適切に、多量で一定量のトナーを安定してトナーボトル排出口30から排出することが可能となる。
【0055】
また、画像形成装置100が、高速稼動されるものである程、傾斜面31aの角度θが大きい方が好ましい。
【0056】
トナー補給部3は、図4に示すように、トナー搬送部材9、トナー補給部外壁3a、補給部排出口(第2排出口)5に加え、さらに、トナー排出位置規制衝立(排出量規制部)6備えている。トナー補給部3は、トナーボトル2の一部を外周面の全周にわたって包み込むようにして支持する。
【0057】
図6に示すように、トナー排出位置規制衝立6は、トナー排出口31を覆う、軸線L1の垂直面と平行に設置される面6aを有する。
この面6aには、トナーボトル2が回転され、トナー排出口31がトナーボトル2の設置方向下部(トナーカートリッジ1の下部)に来たときに、トナーボトル2からのトナーをトナー補給部3の一時格納部に通過させる切り欠き(開口)6bが設けられている。そのため、トナーボトル2が回転し、トナーボトル排出口31が切り欠き6bを通過するとき、トナーボトル2内のトナーはトナー補給部3に排出されると共に、後述するトナー搬送羽根9bで汲み上げられたトナーが、トナー補給部3からトナーボトル2へ逆流することを防ぐ。よって、補給部排出口5からトナーカートリッジ1の外部へ排出されるトナー量が安定化される。
【0058】
トナー補給部3の補給部排出口5での切断斜視図を図7に示す。図7に示すように、トナーボトル2からトナー補給部3に排出されたトナーは、トナーボトル2と同期して回転するトナー搬送部材9により補給部排出口5まで搬送され、トナーカートリッジ1の外部に排出される。なお、トナー搬送部材9は、トナーを攪拌搬送するために、トナー搬送羽根9bを備えている。
【0059】
切り欠き6bが設けられたトナー排出位置規制衝立6により、次の効果がある。それは、トナーボトル2が回転され、傾斜面31aに設けられたトナー排出口31が、トナーボトル2の設置方向下部に来て、切り欠き6bを通過するときには、傾斜面31aに設けられたトナー排出口31から重力方向にトナーが排出され易くなる。トナーは、トナー排出口31から、切り欠き6bを通して、トナー補給部3に排出される。また、トナーボトル2が回転され、傾斜面31aに設けられたトナー排出口31が、トナーボトル2の設置方向上部にきたときには、次のようになる。傾斜面31aに設けられたトナー排出口31と、トナー排出位置規制衝立6の軸線L1の垂直面と平行に設置される面6bとの隙間から、外気をトナーボトル2内に引き込みやすくなり、多量のトナーをトナーボトルから排出することが可能となる。
【0060】
なお、本実施形態では、本発明に係るトナーカートリッジ1を図2に示すような画像形成装置100に適用した例について説明した。しかし、トナーカートリッジや現像装置が搭載されており、現像剤(トナー)を補給する必要のある画像形成装置であれば、上述した構成の画像形成装置や複写機に限定されるものではなく、その他の画像形成装置等に適用が可能である。
【0061】
(実施例)
上述した本実施形態のトナーカートリッジ1であり、トナーボトル2の傾斜面31aを、θ=40度としたトナーカートリッジ(実施例)と、図8,9に示す従来のトナーカートリッジ101(比較例)とを用いて、トナーボトル内のトナー残留量とトナーカートリッジからのトナー排出量との関係を調べる実験を行った。この実験で用いた実施例及び比較例のトナーカートリッジは、トナーボトルの排出口が設けられている面が、実施例では、θ=40度、比較例ではθ=0度である以外は、全て同じ構成にした。
【0062】
また、実施例と比較例とでは、トナーボトルの排出口の面積も同じにした。
【0063】
また、実施例及び比較例とで、トナーボトルに初めに収納するトナーも同量にした。
【0064】
この実験の結果を表1及び図10に示す。図10からわかるように、実施例の方が比較例よりも、トナー排出量が多く安定している。また、表1からわかるように、トナーボトル内のトナーの残留量が多い立ち上がり時、実施例の方が比較例よりも短時間でトナーが安定する。また、トナーボトル内のトナーの残留量が、少なくなった場合(立ち下がり時)でも、実施例の方が比較例よりも長い時間安定して排出される。
【0065】
【表1】

【0066】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。すなわち、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置、例えば、プリンタ、複写機、ファクシミリ、複合機(MFP:Multi Function Printer)等で使用されるトナーカートリッジに利用することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 トナーカートリッジ(現像剤収納容器)
2 トナーボトル(現像剤容器)
2a 駆動連結窪み
3 トナー補給部(現像剤補給部)
3a トナー補給部外壁
4 トナー案内突起(凸部)
5 補給部排出口(第2排出口)
6 トナー排出位置規制衝立(排出量規制部)
6a 面
6b 切り欠き(開口)
9 トナー搬送部材
9b トナー搬送羽根
10 トナー補給装置
21 トナー収容部
30 トナーボトル排出口
31 トナーボトル排出口(第1排出口)
31a 傾斜面
47 現像装置
100 画像形成装置
101 従来のトナーカートリッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形状を有し、軸線回りに回転駆動されることにより、内部に収容した現像剤を搬送して第1排出口から排出する現像剤容器と、
前記第1排出口周囲を包囲し、前記第1排出口から排出された現像剤を一旦格納する一時格納部と、現像剤を外部に排出する第2排出口と、一時格納部から第2排出口へ現像剤を搬送する搬送部とを有し、前記現像剤容器を前記軸線回りに回転可能に支持する現像剤補給部と、を備え、
前記現像剤容器内の現像剤を、前記第1排出口及び前記第2排出口を介して外部に排出する現像剤収納容器であって、
前記第1排出口は、前記現像剤容器端部の、前記軸線の垂直面に対して当該軸線方向における現像剤搬送方向上流側に傾斜した傾斜面に、形成されていることを特徴とする現像剤収納容器。
【請求項2】
前記現像剤補給部は、前記第1排出口を覆い、前記現像剤容器が回転され、上記第1排出口が当該現像剤容器の設置方向下部に来た場合に、当該現像剤容器からの現像剤を前記一時格納部に通過させる開口が設けられた、前記軸線の垂直面と平行に設置される面を有する排出量規制部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の現像剤収納容器。
【請求項3】
前記傾斜面は、前記軸線の垂直面から20度から60度の角度を有して、当該軸線における現像剤搬送方向上流側に傾斜していることを特徴とする請求項1または2に記載の現像剤収納容器。
【請求項4】
前記現像剤容器の内周面に、当該現像剤容器内側へ隆起した複数の凸部が、断続した螺旋形状に設けられていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の現像剤収納容器。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1項に記載の現像剤収納容器を着脱可能に装着することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−145828(P2012−145828A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5119(P2011−5119)
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】