説明

現像剤担持体及び現像装置

【課題】現像体担持体上のトナーの摩擦帯電量分布が均一で、耐久使用中を通してチャージアップによるブロッチやゴースト等の画像不良の発生を抑制することができる現像剤担持体を提供する。また、高品位な電子写真画像を与えることができる現像装置を提供する。
【解決手段】基体及び樹脂層を有し、前記樹脂層が、水酸基及び第4級アンモニウム塩基を有するアクリル樹脂と、水酸基を有する熱硬化性樹脂と、導電性粒子とを含有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンター等の電子写真法を用いた画像形成装置に使用される現像剤担持体及びこれを用いた現像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真法は、一般的に光導電性物質を利用し、種々の手段により静電潜像担持体(感光体ドラム)上に静電潜像を形成する。次いで現像領域に現像バイアスを作用させ、該静電潜像を現像剤(トナー)にて現像してトナー像を形成し、必要に応じて紙等の転写材にトナー像を転写した後、熱・圧力により転写材にトナー画像を定着して複写物を得る。電子写真法における現像方法は、主としてキャリアが不要な一成分現像方法とキャリアを有する二成分現像方法に分けられる。一成分現像方法を用いた現像装置は、キャリアが不要なため、現像剤劣化による現像剤交換を少なくすることができると共に、現像装置にトナーとキャリアの濃度調整機構等が不必要なため、現像装置自体を小型化・軽量化できるという利点がある。最近では、更なる高画質化やトナー消費量の低減化のために、トナーの微粒子化や球形化が広く行われている。このようなトナーの微粒子化や球形化に伴い、現像剤担持体上のトナーの摩擦帯電量分布が不均一になりやすく、また、必要以上にチャージアップしたトナーも発生するため、ブロッチやゴースト等の画像不良が発生しやすくなる。この摩擦帯電量分布を制御する方法として、現像剤担持体の表面に、荷電制御剤を含有させた樹脂層を設けた方法が、広く知られている(特許文献1〜3)。
【0003】
しかし、従来用いられていた荷電制御剤は、荷電制御剤自身の抵抗が高いものがほとんどで、樹脂層に含有させたとき、樹脂層の体積抵抗を低く制御するのが困難である。樹脂層の体積抵抗が増加すると、トナーのチャージアップが起こりやすくなり、ブロッチやゴースト等の画像不良が発生しやすくなる。
【0004】
これに対し、荷電制御剤として、第4級アンモニウム塩基含有共重合体を樹脂層に含有してなる現像剤担持体が提案されている(特許文献4)。第4級アンモニウム塩基の負極性カウンターイオンがイオン化することでイオン導電となり、樹脂層の体積抵抗をある程度下げられ、ゴーストやかぶり等の画像不良を改善できる。しかし、特許文献4による方法は、樹脂層中でのバインダー樹脂、荷電制御剤及び導電性粒子の分散が不均一となりやすい。その結果として、局所的にトナーのチャージアップ等の摩擦帯電不良や、ハーフトーン画像における濃度の不均一やブロッチ等の画像不良が発生することがある。また、低湿下では、イオン導電性の効果が十分に発揮されない場合がある。更に、特許文献4の方法では、樹脂層の強度の点で改善の余地があり、特に耐摩耗性において改善の余地があった。
【0005】
特に近年の微粒子化・球形化したトナーを用いる場合において、現像剤担持体上のトナー層の形成は使用環境、トナーの物性、現像剤担持体表面の状態に依存し、制御しにくくなってきている。また、高画質化のためには、静電潜像に対し、忠実に現像する目的で、より安定してトナーの摩擦帯電量分布を均一に制御することが必要となる。
【0006】
以上説明したように、現像剤担持体の改良によりある程度の効果が得られている。しかし、多様な環境下において、トナーへの摩擦帯電の付与のより一層の安定化を図り、耐久使用中においても画像濃度低下、ブロッチ、画像濃度ムラ等の発生が少なく、低コストで安定して良好な現像性を得るための更なる改善が望まれている。
【特許文献1】特開平08−030088
【特許文献2】特開平09−269648
【特許文献3】特待平11−249414
【特許文献4】特開2001−312136
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、現像体担持体上のトナーの摩擦帯電量分布が均一で、耐久使用中を通してチャージアップによるブロッチやゴースト等の画像不良の発生を抑制することができる現像剤担持体を提供することにある。
【0008】
また、本発明の課題は、高品位な電子写真画像を与えることができる現像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る現像剤担持体は、基体及び樹脂層を有し、前記樹脂層が、水酸基及び第4級アンモニウム塩基を有するアクリル樹脂と、水酸基を有する熱硬化性樹脂と、導電性粒子とを含有していることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る現像装置は、トナー粒子を有する現像剤と、該現像剤を収容している容器と、請求項1乃至7のいずれかに記載の現像剤担持体とを有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の現像剤担持体によれば、樹脂層がイオン導電性を有する第4級アンモニウム塩基を有するアクリル樹脂を含むことにより、樹脂層の導電性を向上させることができる。
【0012】
更に、樹脂層が熱硬化性樹脂を含むことにより優れた硬度を有すると共に、熱硬化性樹脂が有する水酸基と、アクリル樹脂が有する水酸基と、第4級アンモニウム塩基との相乗効果により、その導電性がより高められる。また、これらの水酸基によりアクリル樹脂と熱硬化性樹脂との相溶性が向上し、これらの樹脂が樹脂層中に均一に存在することにより、導電性粒子の分散性を向上させることができる。その結果、樹脂層全体が均一の導電性を有し、現像剤担持体によるトナーの摩擦帯電量の制御が容易になり、濃度ムラ、ブロッチ、ゴースト等の画像不良の発生を抑制することができ、現像特性の向上を図ることができる。また、樹脂層の耐摩擦性を向上させることができ、現像剤担持体の耐久性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の現像剤担持体は、基体及び樹脂層を有している。
A.樹脂層
上記樹脂層は、バインダー樹脂として水酸基及び第4級アンモニウム塩基を有するアクリル樹脂と、水酸基を有する熱硬化性樹脂とを含み、バインダー樹脂中に分散された導電性粒子とを含有している。
(1)アクリル樹脂
アクリル樹脂は、少なくとも水酸基と第4級アンモニウム塩基を有している。第4級アンモニウム塩基のイオン導電性により、樹脂層の体積抵抗を低くすることができる。そのため、ブロッチやかぶり等の画像不良を低減することができる。また、水酸基と第4級アンモニウム塩基の相乗効果により、樹脂層においてイオン導電性の効果が向上される。その結果、樹脂層において、体積抵抗が安定して低位に維持され、環境の影響を受けず、得られる画像にブロッチやかぶり等が発生するのを抑制することができる。更に、水酸基を有する熱硬化性樹脂との相溶性も高めることができ、バインダー樹脂が均質であるため、分散させる導電性粒子を均一に分散させることができ、濃度ムラが低減した画像を得ることができる。
【0014】
このようなアクリル樹脂は、式(1)乃至(3)で表される単量体単位を含有していることが好ましい。
【0015】
【化1】

【0016】
式(1)中、R1は、メチル基を示し、R2は、水素原子又は炭素数1乃至4のアルキル基を示す。
【0017】
【化2】

【0018】
式(2)中、R3は、水素原子又はメチル基を示し、R4は、炭素数1乃至4のアルキレン基を示す。
【0019】
【化3】

【0020】
式(3)中、R5は、水素原子又はメチル基を示し、R7、R8、R9は、各々独立して水素原子又は炭素数1乃至4のアルキル基を示し、R6は、炭素数1乃至4のアルキレン基を示し、A-は、硫黄原子又はハロゲン原子を含むカチオンを示す。
【0021】
上記式(1)で表される単量体単位(以降「単量体単位(1)」ともいう)は、樹脂層において正摩擦帯電性を高める効果があり、現像剤担持体によるトナーの負摩擦帯電量を高めることができる。その結果、アクリル樹脂中の単量体単位(1)の含有量を調整することで、現像剤担持体によるトナーの摩擦帯電量の制御が容易となり、得られる画像において適度な画像濃度を維持し、且つブロッチやかぶり等の画像不良の発生を抑制することができる。また、樹脂層の機械的強度を高める効果があり、耐久時の樹脂層の耐摩耗性の向上を図ることができる。
【0022】
上記式(3)で表される単量体単位(以降「単量体単位(3)」ともいう)は、その第4級アンモニウム塩基のイオン導電性により、樹脂層の体積抵抗を低減させる。その結果、ブロッチやかぶり等の画像不良の発生を抑制することができる。また、樹脂層の正摩擦帯電性を高める効果があり、現像剤担持体によるトナーの負摩擦帯電量を高めることができる。そのため、アクリル樹脂中の単量体単位(3)の含有量を調整することで、現像剤担持体によるトナーの摩擦帯電量の制御が容易となり、得られる画像において適度な画像濃度を維持し、且つブロッチやかぶり等の画像不良の発生を抑制することができる。
【0023】
式(3)中、A-が示す硫黄原子又はハロゲン原子を含むカチオンとしては、有機硫酸イオン、有機スルフォン酸イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオンを挙げることができる。これらのうち、有機スルフォン酸イオンが好ましい。
【0024】
上記式(2)で表される単量体単位(以降「単量体単位(2)」ともいう)は、その水酸基により、樹脂層において単量体単位(3)に含まれる第4級アンモニウム塩のイオン導電性の効果を更に高める。また、水酸基を有する熱硬化性樹脂との相溶性を向上させると共に、導電性粒子との親和性を高め、樹脂層中での導電性粒子の分散性を向上させる。その結果、得られる画像において濃度ムラの発生を低減させることができる。
【0025】
また、単量体単位(1)乃至(3)は、アクリル酸誘導体であるため、上記アクリル樹脂は一般的な重合方法により容易に製造することができ、これらの単量体単位のランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体であってもよい。
【0026】
これらの単量体単位(1)乃至(3)の重合度を各々a、b、cとしたとき、重合度比b/aが0.01以上、0.50以下であり、重合度比c/aが0.05以上、1.00以下であることが好ましい。重合度比b/aを0.01以上にすることで、単量体単位(2)に含まれる水酸基の作用により、単量体単位(3)に含まれる第4級アンモニウム塩のイオン導電性を高めることができる。その結果、得られる画像においてブロッチやかぶり等の画像不良の発生を抑制することができる。重合度比b/aを0.50以下にすることで、樹脂層の機械的強度を維持しやすく、樹脂層の耐摩耗性向上を図ることができる。
【0027】
また、重合度比c/aを0.05以上とすることで、単量体単位(3)に含まれる第4級アンモニウム塩によるイオン導電性の効果を高めやすい。その結果、得られる画像においてブロッチやかぶり等の画像不良の発生を抑制することができる。重合度比c/aを1.00以下にすることで、樹脂層の機械的強度を維持しやすく、樹脂層の耐摩耗性向上を図ることができる。
【0028】
更に、上記アクリル樹脂は、上記単量体単位の他、上記単量体単位の機能を阻害しない範囲において、他の単量体単位を含有してもよい。アクリル樹脂中の他の単量体単位の含有率としては、アクリル樹脂を構成する単量体単位の総数[mol]の30mol%以下であることが好ましい。他の単量体単位の含有率を30mol%以下とすることで、単量体単位(1)、(2)、(3)の作用の阻害を抑制することができる。
【0029】
上記アクリル樹脂としては、分子量は、1000〜100000であることが好ましい。
【0030】
上記アクリル樹脂の製造方法としては、上記単量体単位(1)乃至(3)を構成する、式(4)乃至(6)に示す単量体を共重合する方法によることができる。これらの式中、R1からR9、A-は、上記式(1)乃至(3)におけるR1からR9、A-と同じものを示す。
【0031】
【化4】

【0032】
【化5】

【0033】
【化6】

【0034】
上記単量体の重合方法としては、塊状重合法、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法等を使用することができる。これらのうち、反応を容易に制御できる点から溶液重合法が好ましい。溶液重合法で使用する溶媒としては、例えば、以下のものを挙げることができる。キシレン、トルエン、酢酸エチル、酢酸イソブチル、イソプロピルアルコール、メタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド等。これらの溶媒は1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。溶媒と単量体の使用量は、溶媒100質量部に対して単量体30質量部〜400質量部が好ましい。
【0035】
上記重合反応に使用する重合開始剤としては、例えば、以下のものを挙げることができる。t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、クミルパーピバレート、t−ブチルパーオキシラウレート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)。これらの重合開始剤は単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0036】
上記重合開始剤の使用量は、単量体100質量部に対し0.05質量部〜30質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1質量部〜15質量部である。
【0037】
上記重合反応の温度としては、使用する溶媒、重合開始剤、単量体の組成に応じて設定することができるが、40℃〜150℃であることが好ましい。
(2)熱硬化性樹脂
上記樹脂層に含まれる熱硬化性樹脂は、樹脂層に機械的強度を付与するために用いられる。更に、熱硬化性樹脂は、水酸基を有することにより、上記アクリル樹脂との相溶性を高め、且つ、アクリル樹脂の第4級アンモニウム塩基と相俟って樹脂層の導電性を高める機能を有する。水酸基を有する熱硬化性樹脂としては、水酸基含有シリコーン樹脂、水酸基含有エポキシ樹脂、フェノール樹脂等。中でも、樹脂層の耐摩耗性を向上させる点で、フェノール樹脂がより好ましい。
【0038】
樹脂層中における熱硬化性樹脂と上記アクリル樹脂の含有比は、樹脂層中の熱硬化性樹脂の含有比率をX質量%、樹脂層中の上記アクリル樹脂の含有比率をY質量%としたとき、Y/Xが0.01以上、0.40以下であることが好ましい。Y/Xを0.01以上にすることで、現像剤担持体によるトナーの摩擦帯電の制御が容易になり、得られる画像が適度な画像濃度を維持し、且つブロッチやかぶり等の画像不良の発生を抑制することができる。Y/Xを0.40以下にすることで、樹脂層の硬度を維持しやすく、耐摩耗性向上を図ることができる。
(3)導電性粒子
上記樹脂層に含有される導電性粒子は、樹脂層の導電性を高める機能を有する。導電性粒子としては、電子導電系導電剤、イオン導電系導電剤いずれも用いることができる。具体的には以下のものを挙げることができる。ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック。酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化モリブデン、チタン酸カリ、酸化アンチモン、酸化インジウム等の金属酸化物粒子。アルミニウム、銅、銀、ニッケル等の金属粒子、グラファイト等の黒鉛化粒子、金属繊維、炭素繊維等の無機系充填剤。これらのうち、粒子表面に親水基を有するカーボンブラックが、上記熱硬化性樹脂や、上記アクリル樹脂との親和性が高く、樹脂層中での導電性粒子の分散均一性を向上させる点で好ましい。
【0039】
また、これらの導電性粒子を2種以上使用して、樹脂層の電気的抵抗を制御してもよい。2種以上の導電性粒子を使用する場合は、カーボンブラックとグラファイト等の黒鉛化粒子が好ましい。カーボンブラックと黒鉛化粒子を導電性粒子として用いると、バラつきがなく且つ良好な導電性を有する樹脂層を得ることができ、更には、現像剤担持体の表面粗さをある程度得ることもできるため、現像剤担持体上のトナーの摩擦帯電性を均一に制御し易い。
【0040】
グラファイトは、大別すれば天然グラファイトと人造グラファイトに分けられる。天然グラファイトは、永い間の天然の地熱と地下の高圧によって完全に黒鉛化したものが地中より産出するものである。人造グラファイトは、ピッチコークスをタールピッチにより固めて1000℃〜1300℃で一次焼成し炭化させてから種々のピッチを含浸させて黒鉛化炉に入れ、2500℃〜3000℃の高温で二次焼成して得られるものである。二次焼成により、炭素の結晶を成長させグラファイトに変化させたものを、粉砕・分級することで所望の粒径のグラファイト粒子が得られる。
【0041】
黒鉛化粒子としては、メソカーボンマイクロビーズ粒子又はバルクメソフェーズピッチ粒子を焼成して得られた黒鉛化粒子がより好ましい。メソカーボンマイクロビーズ粒子又はバルクメソフェーズピッチ粒子を原材料として用いた黒鉛化粒子は、前記のピッチコークスをタールピッチにより固めたものを原料として用いたものとは、原材料及び製造工程が異なる。黒鉛化度は若干低いものの、高い導電性や潤滑性を有しており、更に粒子の形状が結晶性グラファイトの燐片状あるいは針状とは異なり、ほぼ球状であり、しかも粒子自身の硬度が比較的高いのが特徴である。従って、上記のような特性を有する前記黒鉛化粒子はバインダー樹脂中で均一に分散しやすくなるため、均一な表面粗度と機械的強度を樹脂層に与えることができる。更に本発明における現像剤担持体の樹脂層に用いると、表面形状が均一に制御しやすくなり、摩擦帯電均一性の効果をより高めることが可能となる。
【0042】
グラファイト及び黒鉛化粒子としては、個数平均粒径が0.5μm〜15μmであるものが好ましく、1μm〜10μmであるものがより好ましい。グラファイト及び黒鉛化粒子の個数平均粒径が0.5μm以上であると現像剤担持体表面に均一な粗さを付与する効果とチャージアップの防止を高める効果が大きく、現像剤の均一な帯電が可能となる。
【0043】
一方、個数平均粒径が15μm以内であると、現像剤担持体表面の粗さを適切に調整可能となり、トナーの帯電が均一に行えると共に、耐リーク性を向上しやすくなる。
【0044】
樹脂層中に含まれる導電性粒子の含有量としては、現像システムにより異なるが、樹脂層の体積抵抗値が1×10-2Ω・cm乃至1×105Ω・cmになるように添加することが好ましい。この範囲内にすることで、樹脂層の電気的抵抗を低くすることができる。その結果、得られる画像においてブロッチやかぶり等の画像不良の発生を抑制することができる。
(4)表面粗さ
樹脂層表面の粗さは、現像方式によって、好ましい範囲が異なるが、一般的に算術平均粗さRa(JIS B0601−2001)が0.15μm〜3.00μmであることが好ましい。例えば、図1に示されるような、磁性トナーを用い、現像剤層厚規制部材として現像剤担持体と間隙をもって配置された磁性ブレードを有するような現像装置では、Raが0.15μm〜2.00μmであることが好ましい。Raが0.15μm以上であると、現像剤の搬送量を十分にすることができるので、現像剤の搬送量不足による画像濃度薄や現像剤コート層の不均一による画像不良の発生を防止し易い。また、Raが2.00μm以下であると、現像剤の搬送量が安定し、トナーの摩擦帯電量を均一にしやすくなる。
【0045】
また、例えば、図2に示されるような、現像剤層規制部材として弾性部材を現像剤担持体に接触して配置するような現像装置では、Raが0.30μm〜3.00μmであることが好ましい。Raが0.30μm以上であると、現像剤の搬送量を十分にすることができるので、現像剤の搬送量不足による画像濃度薄や現像剤コート層の不均一による画像不良の発生を抑制できる。また、Raが3.00μm以下であると、現像剤の搬送量が安定し、トナーの帯電量が均一になるように摩擦帯電することができる。
【0046】
樹脂層の表面粗さは、JIS B0601(2001)に準じた測定方法による測定値を採用することができる。
【0047】
樹脂層の粗さを所望の値にする方法としては、樹脂層を形成する基体にサンドブラストにより表面粗度を付与し、その上に樹脂層を形成する方法や、樹脂層に凹凸付与粒子を含有させて表面粗度を得る方法がある。表面粗度の制御性の観点から樹脂層に凹凸付与粒子を含有させる方法が好ましい。凹凸付与粒子を添加することで、現像剤担持体の樹脂層の表面に適度な表面粗度を保持させて現像剤の搬送性を向上し、現像剤と樹脂層との接触機会を増やし、摩擦帯電性を向上しやすくなる。
【0048】
凹凸付与粒子としては、樹脂層表面に適当な凹凸を形成させるためには、その個数平均粒径が1μm〜20μmであることが好ましく、2〜10μmであることがより好ましい。個数平均粒径が1μm以上であれば、含有量が少なくても樹脂層に適当な表面の粗さを付与することができる。凹凸付与粒子の個数平均粒径が20μm以下であれば、樹脂層の表面の粗さが不均一になると共に粗さが大きくなりすぎて現像剤の摩擦帯電が不十分となるのを抑制し、得られる画像においてカブリや濃度薄等の画質悪化を抑制することができる。
【0049】
このような凹凸付与粒子としては、樹脂粒子、金属酸化物粒子、炭素化物粒子等を用いることができ、また、凹凸付与粒子の形状としては、球状又はそれに類する形状が、樹脂層中で均一に分散しやすくなるため、好ましい。
【0050】
凹凸付与粒子の個数平均粒径は、レーザー回折型粒度分布計を用いて測定した測定値を採用することができる。
(5)成形
樹脂層は、塗布成形、押出成形等により成形が可能であるが、例えば、上記各成分を溶剤中に分散混合して塗料化し、基体上に塗工し、乾燥固化あるいは硬化する塗布成形により成形することができる。各成分の塗料液中への分散混合には、サンドミル、ペイントシェーカー、ダイノミル、パールミル等のビーズを利用した公知の分散装置を好適に利用することができる。ビーズの粒径としては、500μm以下が各成分が均一に分散混合した塗料液が得られることから好ましく、100μm以下がより好ましい。塗工方法としては、ディッピング法、スプレー法、ロールコート法等の方法が適用可能である。
【0051】
このように成形される樹脂層の膜厚は、均一な膜厚に成形することが容易であることから、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下、更に好ましくは4μm〜30μmである。
B.基体
本発明の現像担持体における基体は、導電性を備え、上層の樹脂層を支持し、現像剤担持体としての強度を有するものである。上記基体の形状としては、円筒状、円柱状、ベルト状等があるが、金属のような剛体の円筒管又は中実棒は、加工精度と耐久性が優れているため、好ましい。このような基体の材質としてはアルミニウム、ステンレス鋼、真鍮等の非磁性の金属又は合金を挙げることができ、材料コストや加工のしやすさからアルミニウムが好ましい。これらの金属製円筒管等の上にゴム層又は樹脂層を形成した基体を用いることもできる。
【0052】
基体は画像の均一性を図るために、研磨、研削等により高精度に成形あるいは加工されたものが好ましい。例えば、長手方向の真直度が30μm以下が好ましく、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは10μm以下である。現像剤担持体(スリーブ)と感光ドラムとの間隙の振れは、垂直面に対し均一なスペーサーを介して突き当て、現像剤担持体を回転させて測定したときの垂直面との間隙の振れが30μm以下であることが好ましい。より好ましくは20μm以下、更に好ましくは10μm以下である。
C.現像装置
本発明の現像装置は、トナー粒子を有する現像剤と、該現像剤を収容している容器と、上記現像剤担持体とを有していることを特徴とする。
【0053】
本発明の現像装置は、磁性一成分現像剤や非磁性一成分現像剤現像剤を用いた非接触型現像装置及び接触型現像装置や、二成分現像剤を用いた現像装置等いずれにも適用することができる。特に、本発明の現像装置としては、現像剤担持体上の現像剤の帯電量にばらつきが生じやすい傾向を有する磁性一成分接触型現像装置や、非磁性一成分接触型現像装置等の接触型現像装置に好適に適用することができる。
【0054】
本発明の現像装置を、磁性一成分非接触型現像装置に適用した一例を図1の概略構成図に示す。当該現像装置は、現像剤を収容するための容器(現像容器109)と、前記容器に貯蔵された磁性トナー粒子を有する磁性一成分現像剤(不図示)(トナーともいう)を担持搬送するための本発明の現像剤担持体105を有している。現像剤担持体105には、基体102である金属円筒管上に樹脂層101が被覆形成された現像スリーブ103が設けられ、その内部には磁石(マグネットローラ)104が配置され、トナーを表面上に磁気的に誘導しかつ保持するようになっている。一方、静電潜像を担持する静電潜像担持体、例えば、感光ドラム106は矢印B方向に回転し、現像剤担持体105と感光ドラム106とが対向する現像領域Dにおいて、現像剤担持体105上の現像剤を静電潜像に付着させ、トナー像を形成するようになっている。
【0055】
このような現像装置における現像方法を以下に説明する。現像容器109内へ、現像剤補給容器(不図示)から現像剤供給部材(スクリューなど)118を経由してトナーが送り込まれてくる。現像容器109は、第一室112と第二室111に分割されており、第一室112に送り込まれたトナーは攪拌搬送部材110により現像容器109及び仕切り部材113により形成される隙間を通過して第二室111に送られる。第二室111中には攪拌部材114が設けられ、現像剤が滞留するのを防止する。
【0056】
現像容器には、現像剤担持体105に約50μm以上500μm以下の間隙を有して対向するように、現像剤層厚規制部材である磁性ブレード107が装着される。マグネットローラ104の磁極N1からの磁力線を磁性ブレード間に集中させ、現像剤担持体が矢印A方向に回転し、現像剤担持体105上にトナーの薄層を形成する。尚、磁性ブレード107に替えて非磁性の現像剤層厚規制部材を使用してもよい。トナーは相互間及び現像剤担持体105表面の樹脂層101間の摩擦により、感光ドラム106上の静電潜像を現像することが可能な摩擦帯電電荷を得る。現像剤担持体105上に形成されるトナー層の厚みは、現像領域Dにおける現像剤担持体105と感光ドラム106との間の最小間隙よりも更に薄いものであることが好ましい。
【0057】
また、現像剤担持体105に担持されたトナーを感光ドラム上の静電潜像へ飛翔させ、これを現像するため、現像剤担持体105に現像バイアス電源108から現像バイアス電圧を印加することが好ましい。現像剤担持体105に印加する現像バイアス電圧として直流電圧を使用するときは、静電潜像の電位と背景部の電位との中間値に相当する電圧が好ましい。
【0058】
現像された画像の濃度を高め、かつ階調性を向上させるために、現像剤担持体105に交番バイアス電圧を印加し、現像領域Dに向きが交互に反転する振動電界を形成してもよい。この場合にも、現像剤担持体105に印加する電圧として、静電潜像の電位と背景部の電位との中間の値に相当する直流電圧成分を重畳した交番バイアス電圧が好ましい。
【0059】
このとき、高電位の静電潜像にトナーを付着させる、いわゆる正規現像の場合には、静電潜像の極性と逆極性に摩擦帯電する磁性一成分現像剤を使用する。低電位の静電潜像にトナーを付着させる、いわゆる反転現像の場合には、静電潜像の極性と同極性に摩擦帯電する磁性一成分現像剤を使用する。ここで、高電位、低電位というのは、絶対値による表現である。
【0060】
本発明の現像装置を、磁性一成分非接触型現像装置に適用した他の例を図2に示す。図2に示す現像装置には、ウレタンゴム、シリコーンゴム等のゴム製、あるいはリン青銅、ステンレス鋼等の金属製の弾性板からなる弾性ブレード215が備えられている。この弾性ブレード215は、現像剤担持体205に、磁性一成分現像剤を介して接触又は押し当てられ、現像剤は図1に示す非接触型現像装置と比較してより強い規制を受けて現像剤担持体205上に薄い層に形成される。この種の現像装置においては、トナーは現像剤担持体表面の導電性の不均一の影響を受けやすく、現像剤担持体上のトナー層は摩擦帯電量がばらつき、摩擦帯電量分布がブロードになりやすい。しかしながら、このような現像装置においても、上記現像剤担持体表面の導電性が均一なため、トナーの摩擦帯電量分布をシャープにすることができる。
【0061】
ここで、現像剤担持体205に対する弾性ブレード215の当接圧力は、線圧4.9N/m以上49N/m以下であることが、トナーの規制を安定化させ、トナー層の厚みを好適に規制できる点で好ましい。弾性ブレード215の当接圧力を線圧4.9N/m以上とすると、現像剤担持体上に形成するトナー層の厚さを高精度に制御することができ、得られる画像においてカブリや磁性一成分現像剤もれの発生を抑制することができる。また、線圧49N/m以下とすると、磁性一成分現像剤の摺擦力が適度な大きさとなり、トナーの劣化や現像剤担持体205及び弾性ブレード215への融着を防止することができる。
【0062】
上記例は磁性一成分非接触型であるが、本発明の現像装置は、現像剤担持体上の磁性一成分現像剤の層厚が、現像領域Dにおける現像剤担持体と感光ドラムとの間の間隙距離以上の厚さに形成される、磁性一成分接触型現像装置に好適に適用することができる。
【0063】
本発明の現像装置を非磁性一成分非接触型現像装置に適用した他の例を図3に示す。図3に示す現像装置は、静電潜像を担持する静電潜像担持体、例えば感光ドラム306は、矢印B方向に回転される。現像剤担持体としての現像スリーブ303は、基体(金属製円筒管)302とその表面に形成される樹脂層301から構成されている。基体として金属製円筒管の替わりに円柱状部材を用いることもでき、非磁性一成分現像剤が用いられるため、基体302の内部には磁石は内設されていない。
【0064】
このような現像装置における現像方法を以下に説明する。現像容器309内には非磁性一成分現像剤317(トナーともいう)を撹拌搬送するための撹拌搬送部材310が設けられている。更に、現像容器内には、現像スリーブ303に現像剤を供給し、かつ現像後の現像スリーブ303の表面に残存するトナーを剥ぎ取るための現像剤供給・剥ぎ取り部材316が現像スリーブ303に当接して設けられている。現像剤供給・剥ぎ取り部材(現像剤供給・剥ぎ取りローラ)316が現像スリーブ303と同方向又は反対方向に回転することにより、現像容器309内で現像剤スリーブ303に残留するトナーを剥ぎ取り、新たなトナーが供給される。現像スリーブ303は、供給されたトナーを担持して、矢印A方向に回転することにより、現像スリーブ303と感光ドラム306とが対向した現像領域Dにトナーを搬送する。現像スリーブ303に担持されているトナーは、現像剤層厚規制部材315により現像スリーブ303の表面に押し当てられ、その厚みが一定に形成される。トナーは相互間、現像スリーブ303との間、現像剤層厚規制部材315との間の摩擦により、感光ドラム306上の静電潜像を現像するのに十分な帯電が付与される。現像スリーブ303上に形成されるトナー層の厚みは、現像部における現像スリーブ303と感光体ドラム306との間の最小の間隙より、更に薄いものであることが好ましい。このような非接触型現像装置に本発明は特に有効である。
【0065】
現像スリーブ303に担持されたトナーを感光ドラムの静電潜像へ飛翔させ、これを現像するため、現像スリーブに現像バイアス電源308から現像バイアス電圧を印加することが好ましい。現像バイアス電圧としては、直流電圧、交番バイアス電圧いずれであってもよく、その電圧も上記と同様の電圧とすることが好ましい。
【0066】
上記現像装置の現像容器には、現像剤供給・剥ぎ取り部材316は、例えば、樹脂、ゴム、スポンジ等の弾性ローラや、ベルト、ブラシ部材等を用いることができる。弾性ローラを用いる場合、現像スリーブ303に対して、同方向若しくは反対方向を適宜選択することができるが、通常、同方向(矢印C方向)に回転することが、剥ぎ取り性及び供給性の点で好ましい。現像スリーブ303に対する弾性ローラの侵入量は、0.5mm以上2.5mm以下であることが、現像剤の供給及び剥ぎ取り性の点で好ましい。弾性ローラの侵入量を0.5mm以上とすると、剥ぎ取り性が向上し、ゴーストの発生を抑えることができる。侵入量を2.5mm以下とすると、トナーのダメージがなく、トナー劣化や融着やカブリを抑えることができる。
【0067】
弾性ブレード315も図2に示す磁性一成分非接触型現像装置の弾性ブレード215と同様の材質、同様の湾曲形状を有し、現像スリーブ303に押し当てられるように設置されたものが好ましい。弾性ブレード315としては、特に安定した規制力とトナーへの安定した(負)摩擦帯電付与性のために、安定した加圧力の得られるリン青銅板表面にポリアミドエラストマー(PAE)を貼り付けた構造のものを用いることが好ましい。ポリアミドエラストマー(PAE)としては、ポリアミドとポリエーテルの共重合体が挙げられる。
【0068】
現像スリーブ303に対する弾性ブレード315の当接は、図2に示す磁性一成分非接触型における現像剤担持体205に対する弾性ブレード215の場合と同じ当接力によることが同様の理由から好ましい。
【0069】
上記例は非磁性一成分非接触型であるが、本発明の現像装置は、現像スリーブ上の非磁性一成分現像剤の層厚が、現像領域Dにおける現像スリーブと感光体ドラムとの間の間隙距離以上の厚さに形成される、非磁性一成分接触型現像装置にも好適に適用できる。
【0070】
本発明の現像装置を二成分現像装置に適用した他の例を図4に示す。図4に示す現像装置は、磁性キャリアとトナーとを含む二成分現像剤を用い、感光ドラム406上の静電潜像にトナーを供給し現像を行う二成分磁気ブラシ現像方式の反転現像装置である。
【0071】
現像剤担持体である現像スリーブ403は、アルミニウム等の金属製円筒体の基体402及び樹脂層401を有し、その外周面の一部を外部に露呈させて現像容器409内に回転可能に配設されている。現像スリーブ403内部にはマグネットローラ404が挿入され現像スリーブを軸支して固定され、現像スリーブ表面に現像剤がブラシのように形成されるようになっている。現像容器には、コーティングブレード419がその先端が現像スリーブ403に対向するように設置され、現像容器409内部には、底部側に現像剤攪拌部材414が、上部側には補給用トナーを収容したトナーホッパー420が設けられている。
【0072】
現像容器409内にはトナーと磁性キャリアとの混合物の二成分現像剤(不図示)が収納され、現像剤攪拌材414によって攪拌されることにより、トナーは主として磁性キャリアとの摺擦により負極性に摩擦帯電される。また、現像スリーブ403の近傍に存在するトナーは現像スリーブ403との摺擦によっても摩擦帯電される。現像スリーブ内のマグネットローラ404の磁力により現像容器409内の現像剤の一部が現像スリーブ表面に付着し、その回転に伴い、コーティングブレード419により所定厚に整層された磁気ブラシ層が現像スリーブ上に順次形成され、現像部へ搬送される。
【0073】
現像スリーブ403はS−Dギャップを有して感光ドラム406に対向するように配置され、S−Dギャップにおいて現像部が形成される。S−Dギャップはキャリアが感光ドラム上へ付着するのを抑制し、ドット再現性を向上できる距離を有することが好ましく、具体的には、100μm以上1000μm以下であることが好ましく、例えば350μmとすることができる。S−Dギャップが100μm以上であれば、感光ドラムへトナーの供給が充分に行われ得られる画像の濃度を高く保つことができる。またS−Dギャップが1000μm以下であれば現像部においてマグネットローラの磁力線の密度を高く保つことができ、キャリアを拘束して感光ドラムへの付着を抑制し、ドット再現性の悪化を抑制することができる。現像スリーブ403は感光ドラム406と同方向に回転駆動され、現像部において磁気ブラシ層が感光ドラム406の面に接触して感光ドラム面を適度に摺擦する。
【0074】
この二成分現像装置において、現像スリーブ403には直流電圧(Vdc)と交流電圧(Vac)とを重畳した振動電圧の現像バイアスでを印加することが好ましい。振動電圧のピーク間の電圧は300V乃至3000Vが好ましく、周波数は500Hz乃至10000Hz、好ましくは1000Hz乃至7000Hzであり、それぞれプロセスにより適宜選択することができる。この場合、波形としては三角波、矩形波、正弦波、あるいはDuty比を変えた波形、断続的な交番重畳電界等種々選択することができる。回転する現像スリーブ403により現像部に搬送された磁気ブラシ層からトナー分が、現像バイアスによる電界によって感光ドラム406に形成された静電潜像に付着して静電潜像がトナー像として現像される。また、感光ドラム406面の静電潜像を露光明部として形成する場合、低電位の静電潜像にトナーが付着して反転現像を行う。
【0075】
現像部を通過した現像スリーブ403上に残留するトナーは引き続く現像スリーブ403の回転に伴い現像容器409内の現像剤溜り部に戻される。現像容器409内の二成分現像剤のトナー濃度を所定の範囲内に維持するために、トナー濃度検知センサーによってトナー濃度が検知され、その検知情報に応じてトナーが現像容器409内の二成分現像剤に補給される。トナー濃度検知センサーは、現像容器409内の現像剤のトナー濃度を、例えば、コイルのインダクタンスを利用して現像剤の透磁率の測定値に基づき検知する。トナー濃度検知センサーの検出に応じてトナーホッパー420が駆動制御されて、トナーホッパー420内のトナーが現像容器409内の二成分現像剤に補給され、攪拌部材414により攪拌され、キャリアと均一に混合攪拌される。
【0076】
図1乃至図4に示す現像装置は、本発明の現像装置の一例であり、本発明の現像装置は、現像剤担持体の形状、現像容器の形状、攪拌搬送部材の有無、磁極の配置、現像剤供給部材の形状、補給容器の有無等これに限定されるものではない。
(2)現像剤
次に、本発明に係る現像装置にて用いられる現像剤(トナー)について説明する。
【0077】
本発明に使用するトナーは、現像剤用結着樹脂に着色剤、荷電制御剤、離型剤、無機微粒子等を配合したもので、形式として、磁性材料を必須成分とする磁性現像剤と磁性材料を含まない非磁性現像剤がある。形式は現像装置に適応して適宜選択される。
【0078】
また、本発明で使用するトナーは、いずれの形式であっても、重量平均粒径が4μm以上11μm以下の範囲にあることが、トナーの摩擦帯電量あるいは画質及び画像濃度がバランスのとれたものとなることから、好ましい。トナーの重量平均粒径が11μm以下であれば、微小ドット画像の再現性が低下するのを抑制することができる。一方、トナーの重量平均粒径が4μm以上であれば、帯電不良によるカブリ、濃度薄等の発生を抑制することができる。
【0079】
トナー用結着樹脂としては、例えば、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等を使用することができるが、この中でもビニル系樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。
【0080】
上記トナーには摩擦帯電特性を向上させる目的で、荷電制御剤をトナー粒子に包含させる(内添)、又はトナー粒子と混合して用いる(外添)ことができる。荷電制御剤によって、現像システムに応じた最適の荷電量コントロールが容易となる。
【0081】
正の荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。ニグロシン、トリアミノトリフェニルメタン系染料及び脂肪酸金属塩による変性物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の四級アンモニウム塩。これらは単独であるいは2種類以上組み合わせて用いることができる。
【0082】
また、負の荷電制御剤としては、有機金属化合物、キレート化合物が有効である。その例としては、アルミニウムアセチルアセトナート、鉄(II)アセチルアセトナート、3,5−ジターシャリーブチルサリチル酸クロムを挙げることができる。特にアセチルアセトン金属錯体、モノアゾ金属錯体、ナフトエ酸あるいはサリチル酸系の金属錯体又は塩が好ましい。
【0083】
上記トナーが、磁性トナーの場合、磁性材料として、以下のものを用いることができる。マグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の酸化鉄系金属酸化物;Fe、Co、Ni等の磁性金属。これらの金属とAl、Co、Cu、Pb、Mg、Ni、Sn、Zn、Sb、Be、Bi、Cd、Ca、Mn、Se、Ti、W、Vのような金属との合金、及びこれらの混合物。これら磁性材料は、着色剤としての機能を兼務させることができる。
【0084】
上記トナーに配合する着色剤として、顔料、染料を使用することが可能であり、適宜選択して使用すればよい。
【0085】
上記トナーには離型剤を配合することが好ましい。離型剤としては、以下のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス。カルナウバワックス、フィッシャートロプシュワックス、サゾールワックス、モンタンワックス等の脂肪酸エステルを主成分とするワックス類。
【0086】
更に、トナーには、環境安定性、帯電安定性、現像性、流動性、保存性向上及びクリーニング性向上のために、シリカ、酸化チタン、アルミナ等の無機微粉体を外添すること、すなわち現像剤表面近傍に存在させていることが好ましい。中でも、一次平均粒径が0.03μm以上0.5μm以下の酸化チタン粒子が好ましい。酸化チタンは、自身が弱ネガ性のため、ネガトナーに外添すると、トナーのチャージアップを抑制する場合がある。一次平均粒径が0.03μm以上の酸化チタン粒子を使用すると、外添時にトナー粒子に埋め込まれにくく、トナーが帯電安定性や流動性等の酸化チタンの特性を発揮することができる。一次平均粒径が0.5μm以下の酸化チタンを使用すると、外添後の酸化チタンがトナーから遊離しにくく、画出し耐久においても酸化チタンの効果を得ることができる。また、酸化チタンはルチル型結晶構造を有するものが帯電安定化の点でより好ましい。
【0087】
無機微粒子の添加量は、トナー中に0.1質量%乃至5.0質量%が好ましく、より好ましくは0.5質量%乃至4.0質量%である。また、外添剤として種々のものを組み合わせて使用してもよい。
【0088】
上記トナーには上記の他、適宜外添剤を添加することができる。適用可能な外添剤としては、例えば、テフロン、ステアリン酸亜鉛、ポリフッ化ビニリデンのような滑剤(中では、ポリフッ化ビニリデン)、酸化セリウム、チタン酸ストロンチウム、ケイ酸ストロンチウム等の研磨剤を挙げることができる。
【0089】
上記トナーを作成するには、まず、結着樹脂、着色剤としての顔料又は染料、離型剤、必要に応じて磁性材料や荷電制御剤、その他の添加剤をヘンシェルミキサー、ボールミキサーの如き混合機により充分に混合する。次いで、これを加熱ロール、ニーダー、エクストルーダー等の熱混練機を用いて溶融して樹脂類を互いに相溶させた中に離型剤、顔料、染料、磁性体を分散又は溶解させる。この溶融物を、冷却固化した後、粉砕及び分級を行ってトナー粒子を得る。更に、必要に応じて所望の添加剤を加え、ヘンシェルミキサー等の混合機により充分に混合して、現像剤(トナー)とすることもできる。
【0090】
このような現像剤は、種々の方法で、球形化処理、表面平滑化処理を施して用いると、転写性が良好となり好ましい。そのような方法としては、以下のものが挙げられる。攪拌羽根又はブレード、及びライナー又はケーシングを有する装置で、例えば、現像剤をブレードとライナーの間の微小間隙に通過させる際に、機械的な力により表面を平滑化したり現像剤を球形化したりする方法。温水中にトナーを懸濁させ球形化する方法、熱気流中にトナーを曝し、球形化する方法。
【0091】
また、球状の現像剤を直接作る方法としては、水中に現像剤結着樹脂となる単量体を主成分とする混合物を懸濁させ、重合してトナーとする方法がある。一般には、まず、重合性単量体、着色剤、重合開始剤、更に必要に応じて架橋剤、磁性材料、荷電制御剤、離形剤、その他の添加剤を均一に溶解又は分散させ単量体組成物とする。次いで、この単量体組成物を分散安定剤含有の連続層、例えば水相中に適当な攪拌機を用いて適度な粒滴に分散し、更に重合反応を行わせ、所望の粒子径を有する現像剤を得る方法である。
【0092】
二成分現像剤である場合、キャリアは体積平均粒径(Dv)が15.0μm乃至70.0μmであることが好ましい。上記範囲内に制御することによって、磁性キャリアの形状を略球形且つ均一な大きさに制御することができるため、良好な帯電付与性能を維持できる。より好ましくは、体積平均粒径(Dv)が、20.0μm乃至50.0μmであることが高画質化と耐久安定性の面で優れる。
【0093】
キャリアの真比重は、3.0g/cm3乃至5.0g/cm3であるものが好ましく、より好ましくは、3.2g/cm3乃至4.0g/cm3である。真比重がこの範囲にあると、キャリアとトナーとの撹拌混合においてトナーへの負荷が少なく、キャリアへのトナースペントが抑制され、トナー離れを長期間良好に維持することができ、また感光ドラムへのキャリア付着が抑制されるので好ましい。
【0094】
磁性キャリアは、少なくともその表面に樹脂成分を有するものが用いられる。例えば、鉄、銅、ニッケル、コバルト等の磁性金属、マグネタイト、フェライト等の磁性酸化物の芯材に樹脂層を有したもの、又は上述したような磁性微粒子を樹脂中に分散した磁性微粒子分散型キャリア等が使用可能である。
【実施例】
【0095】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。以下の実施例の配合における、部、%は、特にことわらない限り、それぞれ質量部、質量%である。以下に、本発明に関わる物性の測定方法について説明する。
(1)樹脂の分析方法
アクリル樹脂のポリマーの構造は、現像剤担持体の樹脂層を削り取った試料を熱分解GC/MS装置「Voyager」(商品名、サーモエレクトロン社製)で分析して求めた。熱分解温度:600℃、カラム:HP−1(15m×0.25mm×0.25μm)、Inlet:300℃、Split:20.0、注入量:1.2ml/min、昇温:50℃(4min)−300℃(20℃/min)の条件で行った。
【0096】
(2)酸化チタンの一次平均粒径(D)
酸化チタン粒子を電子顕微鏡「H−7500」(商品名、日立製作所社製)で10万倍の倍率で撮影した。撮影した画像の1000個の粒子の粒子径を測定して平均粒子径を求めた。各粒子径は、測定した粒子の長径と短径の平均値とした。
【0097】
(3)現像剤の重量平均粒径(D4
測定装置「コールターマルチサイザーIII」(商品名、ベックマン・コールター株式会社製)を用いて、測定した。電解液としては、1級塩化ナトリウムを用いて調製した約1%NaCl水溶液を使用した。電解液約100ml中に、分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸塩約0.5mlを加え、更に測定試料約5mgを加え懸濁液を得た。試料の懸濁液について、超音波分散器で約1分間分散処理を行い、前記測定装置により、100μmアパーチャーを用いて、測定試料の体積、個数を測定して体積分布と個数分布とを算出した。この結果より、体積分布から求めた重量基準の重量平均粒径(D4)を求めた。
【0098】
(4)現像剤の平均円形度
本発明で、平均円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものである。測定は、フロー式粒子像測定装置「FPIA−2100」(商品名、シスメックス株式会社製)を用いて23℃、60%RHの環境下で行った。円相当径0.60μm乃至400μmの範囲内の現像剤を測定し、そこで測定された粒子の個々の円形度を下記(式7)により求めた。当該試料の平均円形度は、円相当径3μm以上400μm以下の粒子の円形度の総和を、積算した粒子の総数で除した値である。
【0099】
円形度=L0/L (式7)
〔式中、L0は粒子像と同じ投影面積を持つ円の周囲長であり、Lは512×512の画像処理解像度(0.3μm×0.3μmの画素)で画像処理したときの粒子投影像の周囲長である。〕
「FPIA−2100」(商品名)では、各粒子の円形度を算出した後、平均円形度の算出にあたって、得られた円形度によって、各粒子を円形度0.4乃至1.0の範囲を61分割したクラスに分け、分割点の中心値と頻度を用いて平均円形度を算出する。この算出法で算出される平均円形度と、円形度の総和を用いる算出式によって算出される平均円形度の誤差は、非常に少なく、実質的には無視できる程度である。本発明においては、算出時間の短縮化や算出演算式の簡略化の理由で、現像剤の円形度の総和を用いる算出式の概念を利用し、一部変更したこのような算出法を用いてもよい。
【0100】
(5)凹凸付与粒子の体積平均粒径
凹凸付与粒子の粒径の測定装置として、レーザー回折型粒度分布計「コールターLS−230型粒度分布計」(商品名、ベックマン・コールター株式会社製)を用いた。測定には、少量モジュールを用い、測定溶媒はイソプロピルアルコール(IPA)を使用した。まず、IPAにて測定装置の測定系内を約5分間洗浄し、洗浄後バックグラウンドファンクションを実行した。次にIPA50ml中に、測定試料約10mgを加え懸濁液を得た。この懸濁液を超音波分散機で約2分間分散処理し、試料液を得た後、測定装置の測定系内に試料液を徐々に加えて、装置の画面上のPIDSが45%乃至55%になるように測定系内の試料濃度を調整した。その後に測定を行い、体積分布から算術した体積平均粒径を求めた。
【0101】
(6)現像剤担持体表面の算術平均粗さRa
現像剤担持体表面の算術平均粗さRaはJIS B0601(2001)に基づき、表面粗さ計「サーフコーダーSE−3500」(商品名、株式会社小坂研究所製)を用いて測定した。測定条件としては、カットオフ0.8mm、評価長さ4mm、送り速度0.5mm/sとし、軸方向3点×周方向3点=9点について測定し、その平均値を当該試料の現像剤担持体表面の算術平均粗さRaとした。
【0102】
(7)樹脂層の膜厚
樹脂層の膜厚の測定には、レーザー光にて円筒の外径を測定するレーザー寸法測定器(株式会社キーエンス製)を用いた。コントローラ「LS−5500」(商品名)及びセンサーヘッド「LS−5040T」(商品名)を用いた。現像剤担持体固定治具及び現像剤担持体送り機構を取り付けた装置にセンサー部を別途固定し、現像剤担持体の外径寸法を測定した。測定は、現像剤担持体長手方向に対し30分割して30箇所測定し、更に現像剤担持体を周方向に90°回転させた後更に30箇所、計60箇所について行った。得られた測定値の平均値を当該試料の外径寸法とした。樹脂層形成前に基体の外径を測定しておき、樹脂層形成後に再び外径を測定し、その差分を樹脂層の膜厚とした。
【0103】
(8)樹脂層の体積抵抗
100μmの厚さのPETシート上に、7μm乃至20μmの樹脂層を形成し、抵抗率計「ロレスタAP」(商品名、三菱化学製)にて4端子プローブを用いて樹脂層の体積抵抗値を測定した。測定環境は、20℃乃至25℃、50%RH乃至60%RHとした。
【0104】
(9)キャリアの真比重
補給用現像剤に含まれるキャリア粒子の真比重は、乾式自動密度計「オートピクノメータ」(商品名、ユアサアイオニクス社製)を用いて測定した。この測定機では、気相置換法を用いて測定を行っている。この測定機はアルキメデスの原理を利用し、置換媒体としてガスを用いる。具体的には、同一体積を持った空の試料室と比較室の間に遮断弁を設け、試料室を1気圧まで加圧後、遮断弁を開けて比較室へガスを解放すると、試料室の圧力は1/2気圧に低下する。サンプルが試料室の体積の1/2の場合は、同様の操作によって得られる圧力は1/3気圧になる。
【0105】
圧力と体積の関係は、気体の状態方程式PV=nRT(nRT:一定値)に従うため、圧力Pの測定からサンプルの体積Vを計算することができる。
【0106】
[製造例1]アクリル樹脂溶液B−1の製造
メチルメタクリレート(モノマーA−1 7.8部(24.0mol%)
ブチルメタクリレート(モノマーA−2) 25.7部(56.0mol%)
2−メタクリロイロキシエチルトリメチルアンモニウムメチルスルファート(モノマーA−3) 14.4部(16.0mol%)
2−ヒドロキシエチルメタクリレート(モノマーA−4) 2.0部(4.0mol%)
撹拌機、冷却器、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを付した4つ口セパラブルフラスコに、共重合成分として、上記モノマーを投入した。更に溶媒としてメタノール50部、及び重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1.0部を投入し、系が均一になるまで撹拌した。撹拌を続けながら、反応系内の温度が70℃になるまで昇温し、滴下ロートに仕込んだ分を1時間かけて添加した。滴下終了後、窒素導入下還流状態で更に4時間反応させ、さらにAIBNを0.2部添加した後1時間反応させた。更に、この溶液をメタノールで希釈して固形分40%のアクリル樹脂溶液B−1を得た。
【0107】
[製造例2〜13]アクリル樹脂溶液B−2〜B−13の製造
使用するモノマーを、表1に示すように用いた他は、製造例1と同様にして、アクリル樹脂溶液B−2〜B−13を製造した。表中のモノマーA−1〜A−5は以下の通りである。
モノマーA−1:メチルメタクリレート。
モノマーA−2:ブチルメタクリレート。
モノマーA−3: 2−メタクリロイロキシエチルトリメチルアンモニウムメチルスルファート。
モノマーA−4:2−ヒドロキシエチルメタクリレート。
モノマーA−5:メチルアクリレート。
【0108】
【表1】

【0109】
[製造例14]現像剤e−1の製造
[ハイブリッド樹脂の製造]
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
7.0mol
ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
3.0mol
テレフタル酸 3.0mol
無水トリメリット酸 1.9mol
フマル酸 5.0mol
酸化ジブチル錫 0.2g
上記材料をガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取り付け、マントルヒーター内においた。
スチレン 1.9mol
2−エチルヘキシルアクリレート 0.21mol
フマル酸 0.15mol
α−メチルスチレンの2量体 0.03mol
ジクミルパーオキサイド 0.05mol
上記材料を、ビニル系重合体原料として、滴下ロートに入れた。
次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、145℃の温度で撹拌しつつ、先の滴下ロートよりビニル系重合体原料を4時間かけて滴下した。次いで200℃に昇温を行い、4時間反応させてハイブリッド樹脂を得た。
【0110】
[含イオン樹脂の製造]
スチレン 810部
2−エチルヘキシルアクリレート 120部
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸 70部
イソプロピルアルコール 401部
水 2575部
上記材料を混合し、混合懸濁溶液とした。
メチルエチルケトン 755部
アゾビス(2−メチルブチロニトリル) 35部
上記材料を混合し、混合溶液とした。
温度計、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中にイソプロピルアルコール286部を投入し、混合懸濁溶液と混合溶液を78℃で2時間かけて同時に滴下して重合した。更に、同一温度にて4時間熟成した後、イソプロピルアルコールとメチルエチルケトンを蒸留除去した後、固液分離を行い、乾燥して含イオウ樹脂を得た。
上記ハイブリッド樹脂 100部
磁性酸化鉄(平均粒径:0.18μm、Hc:9.6kA/m、σs:81Am2/kg、σr:13Am2/kg) 75部
上記含イオウ樹脂 5部
低分子量エチレン−プロピレン共重合体(三洋化成社製 商品名;ビスコール550−P)
5部
上記材料の混合物を、130℃に加熱した二軸エクストルーダーで溶融混練した後、溶融混練した混合物を冷却固化した。冷却固化した混合物をハンマーミルで粗粉砕し、得られた粗粉砕物をターボミル(ターボ工業株式会社製)で微粉砕し、次いで風力分級機で分級して、重量平均粒径5.4μmの磁性トナーを得た。
この磁性トナー100部に対して、疎水性シリカ微粉体(BET180m2/g)1.0部をヘンシェルミキサー「FM−75型」(商品名、三井三池化工機株式会社製)にて外添して円形度0.935の現像剤e−1を得た。
【0111】
[製造例15]現像剤e−2の製造
疎水性シリカ微粉体(BET180m2/g) 1.0部
ルチル型酸化チタン粒子(一次平均粒径0.2μm) 0.2部
製造例14と同様に製造した磁性トナー100部に対して、上記材料をヘンシェルミキサー「FM−75型」(商品名、三井三池化工機株式会社製)にて外添して円形度0.930の現像剤e−2を得た。
【0112】
[製造例16]現像剤e−3の製造
[スチレン−アクリル酸ブチル共重合体の製造]
スチレン 66部
ブチルアクリレート 12部
モノブチルマレート 9部
ジ−tert−ブチルパーオキサイド 0.8部
上記材料の混合物を、還流(温度:145 ℃乃至155 ℃)しているクメン200部中に4時間かけて滴下し、クメン還流下で溶液重合を完了させた。さらに、減圧下で200℃まで昇温させながらクメンを除去して、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体を得た。
スチレン 50部
ブチルアクリレート 20部
モノブチルマレート 2部
ジビニルベンゼン 0.4部
ベンゾイルパーオキサイド 0.8部
tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 0.6部
ここで得られたスチレン−アクリル酸ブチル共重合体30部を、上記材料の混合物中に溶解し混合溶液とした。この混合溶液に、ポリビニルアルコール部分ケン化物0.15部を溶解した水170部を加え、激しく撹拌しながら懸濁分散液とした。更に、水100部を加え、窒素雰囲気に置換した反応器に上記懸濁分散液を添加し、約80℃で8時間重合した。重合終了後、濾別し、充分に水洗して後、脱水乾燥し、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体組成物を得た。
上記スチレン−アクリル酸ブチル共重合体組成物 100部
磁性体(平均粒径:0.20μm) 75部
モノアゾ鉄錯体「T−77」(商品名、保土谷化学工業社製) 1.5部
低分子量エチレン−プロピレン共重合体「ビスコール550−P」(商品名、三洋化成社製)
4部
上記材料の混合物をヘンシェルミキサーで前混合した後、115℃に加熱した2軸エクストルーダで溶融混練した。その後、冷却固化し、ハンマーミルで粗粉砕してトナー粗粉砕物を得た。得られたトナー粗粉砕物を、機械式粉砕機ターボミル(ターボ工業株式会社製、回転子及び固定子の表面に炭化クロムを含有したクロム合金めっきでコーティング(めっき厚150μm、表面硬さHV1050))を用いて、機械的に微粉砕した。得られた微粉砕物を、コアンダ効果を利用した多分割分級装置「エルボジェット分級機」(商品名、日鉄鉱業株式会社製)で微粉及び粗粉を同時に分級除去した。以上の工程を経て、重量平均粒径(D4)5.8μm、平均円形度0.947の負摩擦帯電性トナー粒子を得た。
このトナー粒子100部と、ヘキサメチルジシラザン処理し、次いでジメチルシリコーンオイル処理を行った疎水性シリカ微粉体1.2部を、ヘンシェルミキサーで混合して現像剤e−3を得た。
【0113】
[製造例17]現像剤e−4の製造
60℃のイオン交換水900部に、リン酸三カルシウム3部を添加し、TK式ホモミキサー(商品名、特殊機化工業株式会社製)を用いて、10000rpmにて撹拌し、水系媒体を調製した。
スチレン 150部
n−ブチルアクリレート 50部
C.I.ピグメントブルー15:3 20部
サリチル酸アルミニウム化合物「ボントロンE−88」(商品名、オリエント化学株式会社製) 2部
ポリエステル樹脂(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとイソフタル酸との重縮合物、Tg=65℃、Mw=10000、Mn=6000) 15部
ステアリン酸ステアリルワックス(DSCのメインピーク60℃) 32部
ジビニルベンゼン 0.6部
上記材料をホモジナイザー(日本精機株式会社製)に投入し、60℃に加温した後、9000rpmにて攪拌し、溶解・分散した。これに重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)5部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃、窒素雰囲気下で、TK式ホモミキサーを用いて8000rpmで攪拌し、造粒した。その後、プロペラ式攪拌装置に移して攪拌しつつ、2時間かけて70℃に昇温し、更に4時間後、昇温速度40℃/hで80℃まで昇温し、80℃で5時間反応を行い、重合体粒子を製造した。重合反応終了後、該粒子を含むスラリーを冷却し、スラリーの10倍の水量で洗浄し、ろ過、乾燥の後、分級によって粒子径を調整してシアントナー(重量平均粒径5.8μm、平均円形度0.982)を得た。
ヘキサメチレンジシラザンで表面処理された疎水性シリカ微粉体(一次平均粒径7nm)
1.0部
ルチル型酸化チタン微粒体(一次平均粒径45nm) 0.15部
ルチル型酸化チタン微粒体(一次平均粒径200nm) 0.5部
上記シアントナー100部に対し、上記材料を加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)で5分間乾式混合して、現像剤e−3を得た。
【0114】
[製造例18]現像剤e−5の製造
[シアントナーの製造]
イオン交換水710部に、0.12mol/l−Na3PO4水溶液450部を投入し、60℃に加温した後、TK式ホモミキサー(商品名、特殊機化工業製)を用いて、11000rpmにて撹拌した。これに1.2mol/l−CaCl2水溶液70部を徐々に添加し、Ca3(PO42を含む水系媒体を得た。
スチレン 162部
n−ブチルアクリレート 38部
エステルワックス CH3(CH220COO(CH2)21CH3(最大吸熱ピーク温度72℃、Mw650、Mn500) 20部
3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 1部
飽和ポリエステル(テレフタル酸−プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA;酸価15、Mw23000、Mn3500) 10部
C.I.ピグメントブルー15:3 12部
上記材料を60℃に加温し、TK式ホモミキサー(商品名、特殊機化工業製)を用いて、10000rpmにて均一に溶解、分散した。これに、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)8部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃で窒素雰囲気下において、TK式ホモミキサーにて11000rpmで10分間撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ、80℃に昇温し、10時間反応させた。重合反応終了後、減圧下で残存モノマーを留去し、冷却後、塩酸を加えてCa3(PO42等を溶解した後、ろ過、水洗、乾燥をして、重量平均粒径7.1μm、平均円形度0.984のシアン粒子を得た。
酸化チタン粒子(個数分布基準の最大ピーク粒径40nm、疎水化度65%) 0.5部
シリカ粒子(個数分布基準の最大ピーク粒径30nm、疎水化度95%) 0.8部
得られたシアン粒子100部に、上記材料を添加し、ヘンシェルミキサー「FM−75型」(商品名、三井三池化工機社製)で混合して、重量平均粒径6.0μm、平均円形度0.984のシアントナーを得た。
【0115】
[磁性キャリアの製造]
個数平均粒径250nm、比抵抗5.1×105Ω・cmのマグネタイト粉に4.0質量%のシラン系カップリング剤(3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン)を加え、容器内で110℃で高速混合撹拌して表面処理した。同様に、個数平均粒径260nm、比抵抗4.9×107Ω・cmのヘマタイト粉に4.0質量%のシラン系カップリング剤(3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン)を加え、容器内で110℃で高速混合撹拌して表面処理した。
フェノール10部、ホルムアルデヒド溶液(ホルムアルデヒド37質量%水溶液)6部、上記処理をしたマグネタイト76部及び上記処理をしたヘマタイト8部をフラスコに入れ40℃でよく混合した。このときの反応媒体中の溶存酸素量は7.3g/m3であった。次いでこの反応媒体中に1.5×10-23/hの流量で窒素ガスを導入し、20分間の置換を行った。また、このときの反応媒体中の溶存酸素量は1.0g/m3であった。次に28質量%アンモニア水5部と水10部を加え、その後は窒素導入量を0.3×10-23/hに抑え、室温から平均昇温速度3.0℃/分で加熱し85℃まで撹拌しながら昇温・保持し、3時間重合反応させて硬化させた。このときの撹拌翼周速は1.8m/sとした。その後、30℃まで冷却し、更に水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗した後、風乾した。次いで、これを減圧下(5hPa以下)、60℃の温度で乾燥して、磁性体が分散された状態の球状の磁性キャリアコアを得た。
得られたキャリアコアの表面に、せん断応力を連続して印加しながら、式(8)で表されるγ−アミノプロピルトリメトキシシランの3質量%メタノール溶液を塗布しつつ、メタノールを揮発させた。
NH2−CH2CH2CH2−Si−(OCH33 (8)
また、シリコーン樹脂「SE2410」(商品名、東レダウコーニング社製)を、シリコーン樹脂固形分として20%になるようトルエンで希釈した。
上記処理機内のシランカップリング剤で処理されたキャリアコアを50℃で攪拌しながら、希釈したシリコーン樹脂を減圧下で添加して、キャリアコアに対して1.0質量%の樹脂コートを行った。
以後、窒素ガスの雰囲気下で2時間攪拌しつつトルエンを揮発させた後、窒素雰囲気下で140℃で2時間加熱処理を行って凝集をほぐした後、目開き76μmの篩で粗粒を除去して、体積平均粒径34.07μm、平均円形度0.921の磁性キャリアを得た。
得られた磁性キャリア92部に、シアントナー8部を加え、ターブラーミキサーにより2分間混合し、現像剤e−5を得た。
【0116】
[実施例1]現像剤担持体D−1
実施例において、カーボンブラック、グラファイト、凹凸付与粒子として以下のものを使用した。
カーボンブラック
C−1:Vulcan XC−72(商品名、キャボット社製)
C−2:トーカブラック#3855(商品名、東海カーボン株式会社製:黒鉛化処理して表面の官能基を除去した黒鉛化カーボンブラック)
グラファイトとして、CSP−E(一次平均粒子径=4.5μm:日本黒鉛社製;商品名)を用いた。
凹凸付与粒子として、ニカビーズICB−0520(体積平均粒径=6.2μm:日本カーボン社製;商品名)を用いた。
【0117】
メタノール40%含有のレゾール型フェノール樹脂溶液「J−325」(商品名、大日本インキ株式会社製) 150部(固形分90部)
グラファイト 45部
カーボンブラックC−1 5部
製造例1で製造したアクリル樹脂溶液B−1 25部(固形分10部)
凹凸付与粒子 10部
メタノール 150部
上記材料を、サンドミル(直径1mmのガラスビーズを使用)にて処理し分散液を得た。更にこの分散液をメタノールで希釈して固形分35%の塗工液を得た。
【0118】
この塗工液を、上下端部にマスキングを施し、垂直に立て一定速度で回転させた外径24.5mmのアルミニウム製円筒管上に、スプレーガンを一定速度で下降させながら塗布することによって樹脂層を形成した。続いて150℃の熱風乾燥炉中で30分間加熱して樹脂層を硬化して現像剤担持体D−1を作製した。表2に現像剤担持体D−1の樹脂層の構成を示す。
【0119】
得られた現像剤担持体の樹脂層を削り取った試料を熱分解GC/MSで分析した。分析結果からTICでRT=0:43分のピークのMSスペクトル(m/z=41、69、100)からメチルメタクリレートの構造を同定した。TICでRT=4:04分のピークのMSスペクトル(m/z=41、56、69、87)からブチルメタクリレートの構造を同定した。TICでRT=4:57分のピークのMSスペクトル(m/z=41、69、87)から2−ヒドロキシエチルメタクリレートの構造を同定した。TICでRT=5:44分のピークのMSスペクトル(m/z=42、58、71)から2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレートの構造(2−メタクリロイロキシエチルトリメチルアンモニウムメチルスルファートの分解物と推察)を同定した。
【0120】
得られた現像剤担持体D−1にマグネットローラを組み込み、両端にフランジを取り付けて、デジタル複合機(iR5075N:キヤノン株式会社製)の現像器に組み込んだ。現像器は、感光体ドラムの周速に対する現像剤担持体の周速を120%になるようにギア比を変更し、また磁性ドクターブレードと現像剤担持体との間隙を、250μmとした(以下、改良現像器という。)。デジタル複合機に改良現像器を組み込み、現像剤e−2を用い、印字比率5%の文字画像をA4横送りで50万枚複写の画出し試験を行い、画像評価を行った。画像評価は、初期画像濃度、耐久後画像濃度、ブロッチ、ゴースト、ハーフトーン均一性、カブリ、摩耗性を対象とし、下記の評価方法及び評価基準で判定した。画像評価は、常温常湿度環境(23℃、50%RH;N/N)、低温低湿度環境(15℃、10%RH;L/L)及び高温高湿度環境(32℃、85%RH;H/H)で実施した。結果を表3に示す。
【0121】
(1)画像濃度
画出し試験において初期と耐久評価終了時にベタ画像を出力し、その濃度を5点測定して平均値を取って画像濃度とし、原稿濃度が0.00の白地部分の画像に対する相対濃度を測定した。その結果から、下記基準にて評価した。画像濃度は「マクベス反射濃度計 RD918」(マクベス社製)を用いて測定した。
A:1.40以上。
B:1.30以上、1.40未満。
C:1.10以上、1.30未満。
D:1.00未満。
【0122】
(2)ブロッチ
ハーフトーン画像を出力し、その画像に現れる、斑点状、さざ波状、又は絨毯状のブロッチ画像の発生を、下記評価基準に従い評価した。
A:画像上、スリーブ上(トナーがコーティングされている状態を観察)ともに発生なし。
B:スリーブ上にはわずかにブロッチが確認されるが、画像上には影響が出ないレベル。
C:ハーフトーン画像上の一部にわずかにブロッチ画像が現れるレベル。
D:ハーフトーン画像又はベタ黒画像上の一部に明確なブロッチが現れるレベル。
【0123】
(3)ゴースト
プリンターの出力画像(複写機の場合には画像チャート)として、画像先端のスリーブ1周分に相当する領域を白地にベタ黒の象形画像(正方形や真円など)を等間隔で配置し、それ以外の部分をハーフトーンとしたものを用いた。出力画像において、ハーフトーン上に象形画像のゴーストがどのように出現するかによりランク付けを行った。(ポジゴーストとは、ハーフトーンより画像濃度が高いゴーストを示し、ネガゴーストはハーフトーンよりも画像濃度の低いゴーストを示す。)ゴーストは下記基準に基づいてランク付けを行い評価した。
A:濃淡差が全く見られない。
B:見る角度によってわずかな濃淡差が確認できる程度。
C:ゴーストが目視で明確に確認される。
D:ゴーストがはっきり濃淡として現れ、反射濃度計で濃度差が測定可能。
【0124】
(4)ハーフトーン均一性
ハーフトーン及びベタ黒画像を出力し、画像進行方向に走る、線状、帯状の濃淡差について、下記基準にて評価した。ゴースト及びブロッチ要因による画像濃度ムラに関しては除外して評価した。ハーフトーン均一性は下記基準に基づいてランク付けを行い評価した。
A:画像にもスリーブ上にも全く確認できない。
B:ハーフトーン画像上では軽微な濃度差が確認できるが、ベタ黒画像上では問題ないレベル。
C:ベタ黒画像上では軽微な濃度差であるが、ハーフトーン画像上に目視で濃度差のわかる帯が確認される。
D:ハーフトーン画像上に反射濃度計で明確に測定できる濃度差が帯状に現れ、ベタ黒画像上でも目視で濃度差が確認できる。
【0125】
(5)カブリ
カブリ測定機(REFLECTMETER MODEL TC−6DS:有限現会社東京電色製)により測定したプリントアウト画像の白地部分の白色度と転写紙の白色度の差から、カブリ濃度(%)を算出し、画像カブリを下記基準にて評価した。
A:0%以上1.5%未満。
B:1.5%以上3.0%未満。
C:3.0%以上4.5%未満。
D:5.0%以上。
【0126】
(6)摩耗性
測定には、レーザー光にて円筒の外径を測定するレーザー寸法測定器(株式会社キーエンス製)を用いた。コントローラ(LS−5500)及びセンサーヘッド(LS−5040T)を用いた。現像剤担持体固定治具及び現像剤担持体送り機構を取り付けた装置にセンサー部を別途固定し、現像剤担持体の外径寸法を測定した。測定は、耐久試験前後で、それぞれ、現像剤担持体長手方向に対し30分割して30箇所測定し、更に現像剤担持体を周方向に90°回転させた後更に30箇所、計60箇所について行った。得られた測定値の平均値を当該試料の外径寸法とした。耐久試験前後の外径寸法の差を樹脂層の削れ量とし、下記基準にて摩耗性を評価した。
A:0μm以上2μm未満。
B:2μm以上4μm未満。
C:4μm以上6μm未満。
D:6μm以上。
【0127】
[実施例2〜13 比較例1〜2]現像剤担持体D−2〜D−15
塗料をそれぞれ表2に示したものを用いた他は、実施例1と同様に現像剤担持体D−2〜D−15を作製し、得られた現像剤担持体を組み込み、改良現像装置を得た。これを用いて、実施例1と同様に画像評価を行った。結果を表3に示す。
【0128】
【表2】

【0129】
【表3】

【0130】
[実施例14、比較例4]現像剤担持体D−16
塗料をそれぞれ表4に示したものを用いた他は、実施例1と同様に現像剤担持体D−16を作製し、得られた現像剤担持体を組み込み、改良現像装置を得た。これを用いて、実施例1と同様に画像評価を行った。結果を表5に示す。
【0131】
【表4】

【0132】
【表5】

【0133】
[実施例15]現像剤担持体D−18
メタノール40%含有のレゾール型フェノール樹脂溶液「J−325」(商品名、大日本インキ株式会社製) 150部(固形分90部)
グラファイト 45部
カーボンブラックC−1 5部
製造例2〜13で製造したアクリル樹脂溶液B−3 25部(固形分10部)
凹凸付与粒子 10部
メタノール 150部
上記材料を、サンドミル(直径1mmのガラスビーズを使用)にて処理し分散液を得た。更にこの分散液をメタノールで希釈して固形分35%の塗工液を得た。
【0134】
この塗工液を用いて外径20.0mmのアルミニウム製円筒管上に塗布した他は実施例1と同様に現像剤担持体D−18を作製し、樹脂層の構成を測定した。結果を表6に示す。
【0135】
得られた現像剤担持体D−18にマグネットローラを組み付け、これをブリンター(LASER JET4350:ヒューレットパッカード社製)の純正カートリッジに組み込み、現像装置とした。これを上記ブリンターに搭載し、現像剤e−3を用い、印字比率5%の文字画像をA4横送りで5万枚複写の画出し試験を、実施例1と同様の条件により行い、実施例1と同様の評価方法により画像評価を行った。結果を表7に示す。
【0136】
[実施例16]現像剤担持体D−19
塗料を構成するフェノール樹脂に替えて水酸基含有シリコーン樹脂(SF8427:東レダウコーニングシリコーン株式会社製)を用いた他は、実施例15と同様に現像剤担持体D−19を作製した。得られた現像剤担持体を用いて、実施例15と同様に画像評価を行った。結果を表7に示す。
【0137】
[比較例4]現像剤担持体D−20
塗料に用いたフェノール樹脂に替えてシリコーン樹脂(SR2410:東レダウコーニングシリコーン株式会社製)を用いた他は、実施例15と同様に現像剤担持体D−20を作製した。得られた現像剤担持体を用いて、実施例15と同様に画像評価を行った。結果を表7に示す。
【0138】
[比較例5、6]現像剤担持体D−21、D−22
塗料をそれぞれ表6に示したものを用いた他は、実施例15と同様に現像剤担持体D−21、D−22を作製し、画像評価を行った。結果を表7に示す。
【0139】
【表6】

【0140】
【表7】

【0141】
[実施例17]現像剤担持体D−23
メタノール40%含有のレゾール型フェノール樹脂溶液(J−325:大日本インキ株式会社製) 150部(固形分90部)
グラファイト 72部
カーボンブラックC−1 8部
製造例1で製造したアクリル樹脂溶液B−1 25部(固形分10部)
メタノール 150部
上記材料を、サンドミル(直径1mmのガラスビーズを使用)にて処理し分散液を得た。更にこの分散液をメタノールで希釈して固形分35%の塗工液を得た。
【0142】
この塗工液を用いて外径12.0mmのアルミニウム製円筒管上に塗布した他は実施例1と同様に現像剤担持体D−23を作製し、樹脂層の構成を測定した。結果を表8に示す。
【0143】
シアンカートリッジ(EP−85:キヤノン株式会社製)から現像剤担持体上に装着されている帯電補助ローラを外し、作製した現像剤担持体D−23を組み込み、現像剤e−4を充填した。このとき、現像剤担持体の左右についているコロの直径を大きいものに変更し、現像剤担持体と感光体ドラムとの間のS−D間距離を300μmとした。次に改造したシアンカートリッジ(EP−85)をカラーレーザープリンタ(LBP−2510:キヤノン株式会社製)のシアンステーションに装着し、その他のステーションにはダミーカートリッジを装着した。現像条件としては、感光体ドラムの非画像領域である暗部電位(VD)は−500V、静電潜像が形成された画像領域の明電位(VL)は−100Vに設定した。現像剤担持体には現像バイアスとして−250Vの直流バイアス(VDC)と、ピーク間の電圧(VPP)1.4kV、周波数3kHzの矩形波からなる交流バイアスを重畳して印加して、評価機とした。これを用いて実施例1と同じ条件により単色画像形成を行い、画像評価を行った。結果を表9に示す。
【0144】
[比較例7]現像剤担持体D−24
塗料を表8に示したものとした以外は、実施例17と同様に現像剤担持体D−24を作製し、画像評価を行った。結果を表9に示す。
【0145】
【表8】

【0146】
【表9】

【0147】
[実施例18]現像剤担持体D−25
メタノール40%含有のレゾール型フェノール樹脂溶液「J−325」(商品名、大日本インキ株式会社製) 150部(固形分90部)
カーボンブラックC−1 35部
製造例1で製造したアクリル樹脂溶液B−1 25部(固形分10部)
凹凸付与粒子 7.5部
メタノール 100部
上記材料を、サンドミル(直径1mmのガラスビーズを使用)にて処理し分散液を得た。更にこの分散液をメタノールで希釈して固形分38%の塗工液を得た。
【0148】
この塗工液を用いて外径20.0mmのアルミニウム製円筒管上に塗布した他は実施例1と同様に現像剤担持体D−25を作製し、樹脂層の構成を測定した。結果を表10に示す。
【0149】
得られた現像剤担持体D−25にマグネットローラを組み込み、両端にフランジを取り付けて、これをシアンの現像器に替え、現像剤e−5を充填して、デジタル複合機(iRC6800:キヤノン株式会社製)に装着した。また、現像剤担持体と感光ドラムとの間の間隙(S−D間距離)を380μmに変更した。現像条件としては、感光ドラムの画像領域の暗部電位(Vd)を400V、非画像領域である明部電位(Vl)を120Vに設定した。現像剤担持体には現像バイアスとして250Vの直流バイアスと、Vpp(ピーク間の電圧)1.8kV、周波数2.7kHzの矩形波からなる交流バイアスを重畳して印加して、評価機とした。これを用いて、印字比率5%の文字画像をA4横送りで10万枚、実施例1と同じ条件により単色画像形成を行い、画像評価を行った。結果を表11に示す。
【0150】
[比較例8]現像剤担持体D−26
塗料を表10に示したものとした以外は、実施例18と同様に現像剤担持体D−26を作製し、画像評価を行った。結果を表11に示す。
【0151】
【表10】

【0152】
【表11】

【図面の簡単な説明】
【0153】
【図1】本発明の現像装置を磁性一成分現像剤を使用した現像装置に適用した一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明の現像装置を磁性一成分現像剤を使用した現像装置に適用した他の例を示す概略構成図である。
【図3】本発明の現像装置を非磁性一成分現像剤を使用した現像装置に適用した他の例を示す概略構成図である。
【図4】本発明の現像装置を二成分現像剤を使用した現像装置に適用した他の例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0154】
101 201 301 401 樹脂層
102 202 302 402 基体
103 203 303 403 現像スリーブ
104 204 404 マグネットローラ
105 205 405 現像剤担持体
317 非磁性一成分現像剤
421 磁性粒子
422 マグネットローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体及び樹脂層を有し、前記樹脂層が、水酸基及び第4級アンモニウム塩基を有するアクリル樹脂と、水酸基を有する熱硬化性樹脂と、導電性粒子とを含有していることを特徴とする現像剤担持体。
【請求項2】
前記アクリル樹脂が、式(1)乃至(3)で表される単量体単位を有している請求項1に記載の現像剤担持体:
【化1】

【化2】

【化3】

[式(1)において、R1は、メチル基を示し、R2は、水素原子又は炭素数1乃至4のアルキル基を示し、式(2)において、R3は、水素原子又はメチル基を示し、R4は、炭素数1乃至4のアルキレン基を示し、式(3)において、R5は、水素原子又はメチル基を示し、R7、R8、R9は、各々独立して水素原子又は炭素数1乃至4のアルキル基を示し、R6は、炭素数1乃至4のアルキレン基を示し、A-は、硫黄原子又はハロゲン原子を含むカチオンを示す。]
【請求項3】
前記アクリル樹脂は、式(1)乃至(3)で表される単量体単位の重合度を各々a、b、cとするとき、重合度比b/aが0.01以上、0.50以下であり、重合度比c/aが0.05以上、1.00以下である請求項1又は2記載の現像剤担持体。
【請求項4】
前記熱硬化性樹脂がフェノール樹脂である請求項1乃至3のいずれかに記載の現像剤担持体。
【請求項5】
前記硬化性樹脂が水酸基を有するシリコーン樹脂である請求項1乃至3のいずれかに記載の現像剤担持体。
【請求項6】
前記樹脂層中の前記熱硬化性樹脂の含有比率をX質量%、アクリル樹脂の含有比率をY質量%としたとき、Y/Xが0.01以上、0.40以下である請求項1又は2に記載の現像剤担持体。
【請求項7】
前記導電性粒子は、表面に親水基を有している請求項1乃至5のいずれかに記載の現像剤担持体。
【請求項8】
トナー粒子を有する現像剤と、該現像剤を収容している容器と、請求項1乃至7のいずれかに記載の現像剤担持体とを有していることを特徴とする現像装置。
【請求項9】
前記現像剤は、結着樹脂及び着色剤を有するトナー粒子と、前記トナー粒子の外添剤として一次平均粒径が0.03μm以上、0.5μm以下のルチル型酸化チタン粒子とを有している請求項8記載の現像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−8878(P2010−8878A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−170402(P2008−170402)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】