説明

現像剤組成物、およびフォトリソグラフィパターンを形成する方法

【課題】有機溶媒の混合物を含むフォトレジスト現像剤組成物の提供。
【解決手段】特定の組み合わせの有機現像剤のネガティブトーン現像を用いたフォトリソグラフィパターンを形成する方法により、個々の現像剤の良くない特性を回避するかもしくは最小限にしつつ、優れたリソグラフィ性能を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して電子デバイスの製造に関する。より具体的には、本発明は2種以上の有機現像剤溶媒を含む混合有機現像剤溶液に関し、およびこの現像剤溶液を使用するフォトリソグラフィ方法に関する。本発明は、ネガティブトーン(negative tone)現像プロセスにおける半導体デバイス製造における具体的な用途を見いだし、および本発明は微細パターンの形成を可能にする。
【背景技術】
【0002】
半導体製造産業においては、フォトレジスト材料は、半導体基体上に配置される金属、半導体および誘電体層のような1以上の下層に、並びに基体自体に像を転写するために使用される。半導体デバイスの集積密度を増大させかつナノメートル範囲の寸法を有する構造物の形成を可能にするために、高解像能を有するフォトリソグラフィ処理ツールおよびフォトレジストが開発されてきており、かつ開発され続けている。
【0003】
ポジティブトーン化学増幅型フォトレジストは、従来、高解像処理のために使用されている。このレジストは典型的には酸不安定脱離基を有する樹脂および光酸発生剤を使用する。化学線への露光は酸発生剤に酸を形成させ、この酸は露光後ベーク中に、樹脂中の酸不安定基の開裂を引き起こす。このことが、水性アルカリ現像剤溶液中で、レジストの露光領域と未露光領域との間の溶解度特性の差を造り出す。このレジストの露光領域は水性アルカリ現像剤中で可溶性であって、そして基体表面から除去されるが、この現像剤中で不溶性である未露光領域は現像後に残ってポジティブ像を形成する。
【0004】
半導体デバイスにおいてnmスケールのフィーチャサイズを達成するための1つの手法は、化学増幅型フォトレジストの露光中での短波長、例えば、193nm以下の光の使用である。リソグラフィ性能をさらに向上させるために、像形成装置、例えば、KrFまたはArF光源を有するスキャナーのレンズの開口数(NA)を効果的に増大させる液浸リソグラフィツールが開発されてきた。これは、像形成装置の最終面と半導体ウェハの上面との間に、比較的高い屈折率の流体(すなわち、液浸流体)を使用することにより達成される。液浸流体は、空気または不活性ガス媒体を用いて起こるであろうよりも、より多量の光がレジスト層に焦点を合わせられることを可能にする。液浸流体として水を使用する場合には、最大開口数は、例えば、1.2から1.35に増大されうる。開口数のこのような増大によって、単一の露光プロセスにおいて40nmハーフピッチ解像度を達成することを可能にし、それにより向上したデザイン収縮を可能にする。しかし、この標準の液浸リソグラフィ方法は概して、より高い解像度を必要とするデバイスの製造に、例えば、32nmおよび22nmハーフピッチノードに一般的に適していない。
【0005】
より向上した解像度を達成し、かつ既存の製造ツールの使用可能性を延長するために、様々な二重露光プロセス(ピッチスプリッティングとも称される)のような進歩したパターン形成技術が提案されてきた。微細なリソグラフィパターンを得るための別の進歩したパターン形成技術は材料のネガティブトーン現像(NTD)を伴う。ネガティブトーン現像においては、特定の有機溶媒での現像によって、従来のポジ型レジストからネガ像が得られうる。このようなプロセスは、例えば、グッドオール(Goodall)らへの米国特許第6,790,579号に記載されている。この文献は、酸発生性開始剤と、反復した酸不安定ペンダント基をポリマー骨格に沿って含む多環式ポリマーとを含むフォトレジスト組成物を開示する。露光領域はアルカリ現像剤で選択的に除去されることができ、あるいは未露光領域はネガティブトーン現像に適した非極性溶媒での処理によって選択的に除去されることができる。
【0006】
ツバキ(Tsubaki)らへの米国特許出願公開第2009/0042147A1号はネガティブトーン現像プロセスも開示する。記載されるプロセスにおいては、基体はレジスト組成物でコーティングされ、ケイ素もしくはフッ素原子を有する樹脂を含む保護膜がレジスト組成物上に形成され、そしてこのレジスト膜は液浸媒体を介して露光され、ネガティブ現像剤で現像される。この文献は様々な有機現像剤および現像剤混合物を開示する。この文献の実施例に記載される現像剤材料の中では酢酸ブチルが一般的に使用される。本発明者は、現像剤として酢酸n−ブチルを使用して、より大きなフィーチャサイズについて許容可能なパターンが像形成されうることを見いだした。しかし、フィーチャサイズの低減およびアスペクト比の増大に伴って、この現像剤を用いて正確なレジストパターンを得るのは困難になってきている。例えば、より小さなコンタクトホールを形成する場合に、酢酸n−ブチルは増大した露光エネルギーによって結果的にコンタクトホールの欠失をもたらす傾向があることが見いだされた。この傾向は、レジスト配合物が、酢酸n−ブチル中での低い溶解度を示す大きな分子量のポリマーを有することにより、悪化することが見いだされた。本発明の検討中に、より大きな解像度で優れた像形成をもたらす2−ヘプタノンのような他の現像剤溶媒が比較的遅い露光ウィンドウを示し、メモリ用途のための現像後に有意な厚さ損失を伴うことがさらに見いだされた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,790,579号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2009/0042147A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この技術分野において、電子デバイス製造における微細パターンの形成を可能にし、および最新技術に関連する1以上の課題に取り組む現像剤組成物およびフォトリソグラフィパターン形成方法についての当該技術分野における継続した必要性が存在している。特定の組み合わせの有機現像剤の使用がネガティブトーン現像プロセスにおける優れたリソグラフィ性能を提供しうることが見いだされた。非常に驚くべきことに、本発明の現像剤混合物は個々の現像剤の良くない特性を回避するかもしくは最小限にしつつ、有益な特性を示すことができることが見いだされた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の形態に従ってフォトレジスト現像剤組成物が提供される。この組成物は第1の有機溶媒と第2の有機溶媒との混合物を含む。第1の有機溶媒は環式Cケトン、線状もしくは分岐Cケトン、線状もしくは分岐C〜Cヒドロキシアルキルエステル、および線状もしくは分岐C〜Cアルコキシアルキルエステルから選択される。第2の有機溶媒は線状もしくは分岐非置換C〜Cアルキルエステルおよび線状もしくは分岐C〜Cケトンから選択される。
【0010】
本発明のさらなる形態に従って、コーティングされた基体が提供される。このコーティングされた基体は、パターン形成される1以上の層を基体表面上に含む基体;前記パターン形成される1以上の層上のフォトレジスト組成物の露光された層;および露光されたフォトレジスト組成物層と接触している本明細書に記載されるフォトレジスト現像剤組成物を含む。
【0011】
さらなる形態に従って、フォトリソグラフィパターンを形成する方法が提供される。この方法は(a)パターン形成される1以上の層を基体の表面上に含む基体を提供し;(b)フォトレジスト組成物の層を前記パターン形成される1以上の層上に適用し;(c)フォトレジスト組成物層を化学線でパターン様式で(patternwise)露光し;(d)露光されたフォトレジスト組成物層を露光後べークプロセスにおいて加熱し;並びに(e)本明細書に記載されるフォトレジスト現像剤組成物を露光後ベークされたフォトレジスト組成物層に適用して、フォトレジスト組成物層の未露光領域を除去し、それによりフォトレジストパターンを形成することを含む。
【0012】
さらなる形態に従って、本明細書に記載される方法によって形成される電子デバイスが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】図1A〜Eは本発明に従ったフォトリソグラフィパターンを形成するためのプロセスフローを示す。
【図1B】図1A〜Eは本発明に従ったフォトリソグラフィパターンを形成するためのプロセスフローを示す。
【図1C】図1A〜Eは本発明に従ったフォトリソグラフィパターンを形成するためのプロセスフローを示す。
【図1D】図1A〜Eは本発明に従ったフォトリソグラフィパターンを形成するためのプロセスフローを示す。
【図1E】図1A〜Eは本発明に従ったフォトリソグラフィパターンを形成するためのプロセスフローを示す。
【図2】図2は実施例に記載される様々な現像剤組成物で処理されたフォトレジスト組成物についてのコントラスト曲線である。
【図3】図3は実施例に記載される様々な現像剤組成物で処理されたフォトレジスト組成物についてのコントラスト曲線である。
【図4】図4は現像剤組成物に応じてコンタクトホールパターンをプリントするのに最適なエネルギーを示すグラフである。
【図5】図5は現像剤組成物および照明モードに応じてコンタクトホールパターンをプリントするのに最適なエネルギーを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書において使用される場合、「g」はグラムを意味し;「重量%」は重量パーセントを意味し;「L」はリットルを意味し;「mL」はミリリットルを意味し;「nm」はナノメートルを意味し;「mm」はミリメートルを意味し;「min」は分を意味し;「h」は時間を意味し;「Å」はオングストロームを意味し;「モル%」はモルパーセントを意味し;「ppb」10億分率を意味し;「Mw」は重量平均分子量を意味し;「Mn」は数平均分子量を意味し;「PDI」は多分散度=Mw/Mnを意味する。
【0015】
本発明は添付の図面を参照して説明され、この図面においては同様の参照番号は同様のフィーチャを示す。
【0016】
現像剤組成物
本発明の現像剤組成物は、以下に記載される様々な溶媒から選択される第1の有機溶媒および第2の有機溶媒を含む。溶媒混合物は1種以上の追加の有機溶媒並びに1種以上の他の任意成分を含むことができる。
【0017】
ネガティブトーン現像プロセスに理想的な現像剤は、低線量(例えば、3mJ/cm以下)での露光後にほぼゼロのレジスト厚さ、および高線量(例えば、33mJ/cm以上)での露光後に、脱保護反応に起因する厚さ損失を考慮してほぼ元の膜厚さのレジスト厚さをもたらすであろう。レジストポリマー鎖内の脱離基のサイズおよび脱離基モノマーのモル組成に応じて、高エネルギーでの露光と、その後の露光後ベークの後で、脱保護に起因する10〜30%の厚さ損失が典型的である。
【0018】
本発明のNTD現像剤組成物に適する材料を評価する目的のために、個々の溶媒は、異なる現像モードに対応して4つのカテゴリー(タイプI〜IV)に分類されうる。図1はこの4つの現像モードのNTDコントラスト曲線の代表例を示す。タイプIのNTD挙動は、低露光線量の下でレジスト膜の露光領域の完全もしくはほぼ完全な溶解(例えば、元のレジスト膜厚さの2%未満)を示し、および高露光線量下でレジスト膜の露光領域の非常に低い膜保持(例えば、元のレジスト膜厚さの50%未満)を示す。このように、タイプI材料は、レジスト材料のための非常に良好な溶媒であるが、極端に低いNTDコントラストを示し、この種の溶媒をNTD現像剤としてそれだけで使用するのを不適切にする。タイプIIのNTD挙動は、低露光線量下で、露光領域の完全もしくはほぼ完全な溶解と、高露光線量下での露光領域の良好な膜保持(例えば、元のレジスト膜厚さの60%以上)とを伴う良好なNTDコントラストによって特徴付けられる。タイプIIIのNTD挙動は、高露光線量下で、露光領域の非常に良好な膜保持(例えば、元のレジスト膜厚さの70%以上)を伴う良好なNTDコントラストを示すが、低露光線量での比較的厚い残留厚さ(例えば、元のレジスト膜厚さの2〜10%)を有する。タイプIVのNTD挙動は、低露光線量で、有意なレジスト膜保持(例えば、元のレジスト膜厚さの40%以上)、および高露光線量でほぼ完全な膜保持(例えば、元のレジスト膜厚さの80%以上)を示す非常に劣ったNTDコントラストによって特徴付けられる。厚さ損失は主として脱保護によるポリマー鎖内の脱離基の喪失のせいである。これら特性のせいで、タイプIV溶媒はそれだけでNTD現像剤として使用するのには適していない。様々なモードについて提供される数値範囲は例示的なものであり、例えば、具体的なフォトレジスト材料および露光後ベーク温度に応じて変化するであろう。
【0019】
好ましくは、第1の有機溶媒は特定のタイプIまたはタイプII溶媒から選択され、および第2の有機溶媒は特定のタイプIIIまたはタイプIV溶媒から選択される。この有機溶媒の組み合わせを含む現像剤組成物は低い露光線量でレジスト除去を可能にしかつ高い露光線量で良好な膜保持を可能にし、並びにこの溶媒対溶媒比率を制御することによりフォトスピードの調節を可能にすると考えられる。
【0020】
適するタイプI有機溶媒には、例えば、シクロヘキサノン、2−ヘキサノン、メチル−2−ヒドロキシイソブチラート、乳酸エチル、およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)が挙げられる。適するタイプII有機溶媒には、例えば、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、2−ヘプタノンおよび5−メチル−2−ヘキサノン(タイプIIIでもある)が挙げられる。適するタイプIII有機溶媒には、例えば、酢酸n−ブチル、5−メチル−2−ヘキサノン(タイプIIでもある)および4−ヘプタノンが挙げられる。適するタイプIV有機溶媒には、例えば、酢酸n−ペンチル、プロピオン酸n−ブチル、酢酸n−ヘキシル、酪酸n−ブチル、酪酸イソブチル、2,5−ジメチル−4−ヘキサノンおよび2,6−ジメチル−4−ヘプタノンが挙げられる。
【0021】
第1の有機溶媒は、環式Cケトン、例えば、シクロヘキサノン;線状もしくは分岐Cケトン、例えば、2−ヘプタノン、5−メチル−2−ヘキサノンおよび4−ヘプタノン、好ましくは、末端Cケトン、例えば、2−ヘプタノンおよび5−メチル−2−ヘキサノン;線状もしくは分岐C〜Cヒドロキシアルキルエステル、例えば、メチル−2−ヒドロキシイソブチラートおよび乳酸エチル;並びに、線状もしくは分岐C〜Cアルコキシアルキルアセタート、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)からから選択される。これらのなかで、2−ヘプタノンおよび5−メチル−2−ヘキサノンが第1の有機溶媒として使用するのに特に好ましい。第2の有機溶媒は、線状もしくは分岐非置換C〜Cアルキルエステル、例えば、酢酸n−ブチル、酢酸n−ペンチル、プロピオン酸n−ブチル、酢酸n−ヘキシル、酪酸n−ブチル、および酪酸イソブチル;並びに、線状もしくは分岐C〜Cケトン、例えば、2,5−ジメチル−4−ヘキサノンおよび2,6−ジメチル−4−ヘプタノンから選択される。第2の有機溶媒の中では、酢酸n−ブチル、プロピオン酸n−ブチルおよび2,6−ジメチル−4−ヘプタノンが好ましい。
【0022】
第1の有機溶媒と第2の有機溶媒との好ましい組み合わせには、2−ヘプタノン/プロピオン酸n−ブチル、シクロヘキサノン/プロピオン酸n−ブチル、PGMEA/プロピオン酸n−ブチル、5−メチル−2−へキサノン/プロピオン酸n−ブチル、2−ヘプタノン/2,6−ジメチル−4−ヘプタノン、および2−ヘプタノン/酢酸n−ブチルが挙げられる。これらの中で、2−ヘプタノン/酢酸n−ブチル、および2−ヘプタノン/プロピオン酸n−ブチルが特に好ましい。
【0023】
場合によっては、有機溶媒混合物は1種以上の追加の有機溶媒、例えば、第1および第2の有機溶媒に関して上述したもの、またはフォトレジスト組成物に使用される溶媒を含むことができる。好ましい現像剤組成物は2つの有機溶媒成分を含むが、現像特性を微調整するために3成分、4成分またはそれより多い種類の有機溶媒混合物が望まれる場合がある。
【0024】
第1のおよび第2のおよび任意の追加の有機溶媒はそれぞれ典型的には、現像剤組成物中に、現像剤組成物の合計を基準にして10〜90重量%、より典型的には30〜70重量%の量で存在する。2成分有機溶媒混合物においては、典型的には、第1の有機溶媒は、組成物中に現像剤組成物の合計を基準にして30〜70重量%の量で存在し、第2の有機現像剤は、組成物中に現像剤組成物の合計を基準にして70〜30重量%の量で存在する。
【0025】
各現像剤の含量は、許容可能なレジストパターンの形成のための許容可能な露光プロセスウィンドウを提供する方法において形成される具体的なパターンのための具体的なフォトレジスト材料に応じて、最適な性能のために調節されるべきである。第1の、第2のおよび任意の追加の有機溶媒は、典型的には、現像剤の全重量を基準にして、合計量で90重量%〜100重量%、より典型的には95重量%超、98重量%超、99重量%超もしくは100重量%で現像剤中に存在する。
【0026】
現像剤材料は界面活性剤のような任意の添加剤を含むことができる。典型的な界面活性剤には、同時に親水性および疎水性の双方であり得ることを意味する両親媒性を示すものが挙げられる。両親媒性界面活性剤は、水に強い親和性を有する親水性ヘッド基と、有機物親和性で水をはじく長鎖疎水性テイルを有する。適切な界面活性剤はイオン性(すなわち、アニオン性、カチオン性)または非イオン性であることができる。界面活性剤のさらなる例としては、シリコーン界面活性剤、ポリ(アルキレンオキシド)界面活性剤およびフルオロケミカル界面活性剤が挙げられる。適した非イオン性界面活性剤には、これらに限定されないが、オクチルおよびノニルフェノールエトキシラート、例えば、トライトン(TRITON登録商標)X−114、X−100、X−45、X−15、並びに分岐第二級アルコールエトキシラート、例えば、テルジトル(TERGITOL商標)TMN−6(ザダウケミカルカンパニー、米国、ミシガン州、ミッドランド)が挙げられる。さらに典型的な界面活性剤には、アルコール(第一級および第二級)エトキシラート、アミンエトキシラート、グルコシド、グルカミン、ポリエチレングリコール、ポリ(エチレングリコール−コ−プロピレングリコール)、またはニュージャージー州、グレンロックのマニュファクチャーズコンフェクショナーズパブリシングカンパニー(Manufacturers Confectioners Publishing Co.)によって出版されたマカッチェオンの乳化剤および洗浄剤(McCutcheon’s Emulsifiers and Detergents)2000年北米版に開示される他の界面活性剤が挙げられる。アセチレンジオール誘導体である非イオン性界面活性剤も適切でありうる。このような界面活性剤はアレンタウン、ペンシルバニア州のエアプロダクツアンドケミカルズインコポレーテッド(Air Products and Chemicals,Inc.)から商業的に入手可能であり、商品名サーフィノール(SURFYNOL登録商標)およびダイノール(DYNOL登録商標)で販売されている。追加の適する界面活性剤には、他のポリマー系化合物、例えば、トリブロックEO−PO−EOコポリマーである、プルロニック(PLURONIC登録商標)25R2、L121、L123、L31、L81、L101およびP123(BASF、Inc.)が挙げられる。このような任意の添加剤は典型的には低濃度、例えば、現像剤の全重量を基準にして約0.01〜5重量%の量で存在するであろう。
【0027】
本発明の現像剤組成物は第1の、第2のおよび任意の追加の有機溶媒、並びに他の任意成分を任意の順番で一緒にすることにより製造されうる。この有機溶媒は、電子デバイスの性能および信頼性に悪影響を及ぼさないように半導体処理に適合する高純度のものであるべきである。適する高純度の有機溶媒は、例えば、イーストマンコダックケミカルカンパニー(米国、テネシー州、キングスポート)から市販されている。有機溶媒の微量金属含量は好ましくは10ppb未満、より好ましくは1ppb未満である。適する精製技術は当該技術分野において知られており、例えば、イオン交換およびろ過が挙げられる。イオン交換はアルカリ土類および遷移金属の双方の微量レベルの金属イオンを極端に低いレベルまで除去するために使用されうる。適するろ過技術には、例えば、10nm、5nm、3nmもしくはそれ未満の開口を有するポリエチレン膜、および/または20nm、10nm、5nmもしくはそれ未満の開口を有するナイロン膜と接触させることが挙げられる。
【0028】
ネガティブトーン現像方法
本発明は、本発明の現像剤組成物を用いてフォトレジストレリーフ像を形成する方法および電子デバイスを製造する方法をさらに提供する。本発明は、フォトレジスト組成物でコーティングされ、本発明の現像剤組成物で処理された基体を含む新規製造物品も提供する。本発明に従う方法は、ここで図1A〜Eを参照して説明され、この図1A〜Eは、ネガティブトーン現像によってフォトリソグラフィパターンを形成するための代表的なプロセスフローを示す。
【0029】
図1Aは様々な層およびフィーチャを含むことができる基体100の断面を示す。基体は、半導体、例えばケイ素、または化合物半導体(例えば、III−VまたはII−VI)、ガラス、石英、セラミック、銅などの材料からなることができる。典型的には、基体は半導体ウェハ、例えば、単結晶シリコン、または化合物半導体ウェハであり、基体はその表面上に形成された1以上の層およびパターン形成されたフィーチャを有することができる。パターン形成される1以上の層102が基体100上に提供されうる。場合によっては、例えば、基体材料に溝を形成することが望まれる場合には、下にあるベース基体材料自体がパターン形成されてよい。ベース基体材料自体をパターン形成する場合には、このパターンは基体の層に形成されると見なされるものとする。
【0030】
この層には、例えば、1以上の導電体層、例えば、アルミニウム、銅、モリブデン、タンタル、チタン、タングステン、このような金属の合金、窒化物もしくはケイ化物、ドープされた非晶質ケイ素、またはドープされたポリシリコン、1以上の誘電体層、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、もしくは金属酸化物の層、半導体層、例えば、単結晶シリコン、並びにこれらの組み合わせが挙げられ得る。エッチングされる層は様々な技術、例えば、化学蒸着(CVD)、例えば、プラズマ援用CVD、低圧CVDもしくはエピタキシャル成長;物理蒸着(PVD)、例えばスパッタリングもしくは蒸発;または電気めっきによって形成されうる。エッチングされる1以上の層102の具体的な厚みは、材料および形成される具体的なデバイスに応じて変化しうる。
【0031】
エッチングされる具体的な層、膜厚および使用されるフォトリソグラフィ材料およびプロセスに応じて、層102上に、フォトレジスト層108がこの上にコーティングされる反射防止塗膜(bottom antireflective coating;BARC)106および/またはハードマスク層104を配置することが望まれる場合がある。例えば、エッチングされる層がかなりのエッチング深さを必要とし、および/または具体的なエッチング剤がレジスト選択性に劣る非常に薄いレジスト層を使用する場合には、ハードマスク層104の使用が望まれる場合がある。ハードマスク層が使用される場合には、形成されるレジストパターンはハードマスク層に写されることができ、これはひいては、下にある層102をエッチングするためのマスクとして使用されうる。適するハードマスク材料および形成方法は当該技術分野において知られている。典型的な材料には、例えば、タングステン、チタン、窒化チタン、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、酸化ハフニウム、非晶質炭素、酸窒化ケイ素および窒化ケイ素が挙げられる。ハードマスク層104は単一層を構成するか、または異なる材料の複数の層を含むことができる。ハードマスク層は、例えば、化学または物理蒸着技術によって形成されうる。
【0032】
反射防止塗膜がなければ基体および/または下にある層が、フォトレジスト露光中に有意な量の入射放射線を反射し、その結果、形成されたパターンの品質が悪影響を受けるであろう場合には、反射防止塗膜106が望まれる場合がある。このような塗膜は焦点深度、露光寛容度、ライン幅均一性およびCD制御を向上させうる。レジストが深紫外光(300nm以下)、例えば、KrFエキシマレーザー光(248nm)、もしくはArFエキシマレーザー光(193nm)に露光される場合には、反射防止塗膜が典型的に使用される。反射防止塗膜106は単一層を構成するか、または複数の異なる層を含むことができる。適切な反射防止材料および形成方法は当該技術分野において知られている。反射防止材料は市販されており、例えば、ロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズエルエルシー(米国、マサチューセッツ州、マルボロ)により、AR商標40AおよびAR商標124反射防止材料などのAR商標の下で販売されているものがある。
【0033】
フォトレジスト組成物が基体上に、(存在する場合には)反射防止層106上に適用されて、フォトレジスト層108を形成する。フォトレジスト組成物は酸により切断可能な基を含む樹脂と光酸発生剤とを含む。フォトレジスト組成物は典型的には、水性アルカリ現像剤中で現像される場合にはポジ型材料であり得るが、特定の有機現像剤中で現像される場合にはネガ型であり得る。あるいは、フォトレジストは特定の有機現像剤中で現像される場合にはネガ型であることができ、かつ水性アルカリ現像剤中でポジティブトーン現像を示さない。適するフォトレジスト材料は当該技術分野において知られており、例えば、(メタ)アクリラート、ノボラックおよびシリコン化学物質をベースにするものが挙げられる。適するレジストは、例えば、米国特許出願公開第20090117489A1号、第20080193872A1号、第20060246373A1号、第20090117489A1号、第20090123869A1号および米国特許第7,332,616号に記載されている。適する材料には、組成物の1以上の成分の酸不安定基の光酸促進脱保護反応を受ける化学増幅型フォトレジストが挙げられる。フォトレジスト樹脂の適する光酸不安定基には、エステルのカルボキシル酸素に供給結合した第三級非環式アルキル炭素(例えば、t−ブチル)または第三級脂環式炭素(例えば、メチルアダマンチル)を含むエステル基が挙げられる。アセタール光酸不安定基、例えば、(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルメタクリラート、5−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)−2,2−ジメチルテトラヒドロフロ[2,3−d][1,3]ジオキソール−6−イルメタクリラートおよび(2,2,7,7−テトラメチルテトラヒドロ−3aH−ビス([1,3]ジオキソロ)[4,5−b:4’,5’−d]ピラン−5−イル)メチルメタクリラートのような糖ベースの部分を含むモノマーから形成されるポリマー上に形成されるものも使用されうる。樹脂成分は未露光領域を有機現像剤溶液中で現像可能にするのに充分な量で組成物中に使用される。樹脂成分は典型的には、レジストの全固形分の約70〜約97重量%を構成しうる。
【0034】
感光性組成物は、活性化放射線への露光の際に組成物の塗膜層に潜像を生じさせるのに充分な量で使用される感光性成分、典型的には光酸発生剤(PAG)をさらに含む。例えば、光酸発生剤はレジストの全固形分の約1〜20重量%の量で適切に存在しうる。適切なPAGは化学増幅型フォトレジストの技術分野において知られており、例えば、オニウム塩、例えば、トリフェニルスルホニウム塩、ニトロベンジル誘導体、スルホン酸エステル、ジアゾメタン誘導体、グリオキシム誘導体、N−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体、およびハロゲン含有トリアジン化合物が挙げられる。
【0035】
フォトレジスト組成物は、追加塩基、特に、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)、またはテトラブチルアンモニウムラクタートをさらに含むことができ、これらは現像されたレジストレリーフ像の解像度を向上させうる。193nmで像形成されるレジストについては、典型的な追加塩基はヒンダードアミンであり、例えば、ジアザビシクロウンデセンまたはジアザビシクロノネンである。追加塩基は、比較的少量で、例えば、全固形分に対して約0.03〜5重量%で適切に使用される。
【0036】
フォトレジスト組成物は、例えば、グリコールエーテル、例えば、2−メトキシエチルエーテル(ジグリム)、エチレングリコールモノメチルエーテル、およびプロピレングリコールモノメチルエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート;ラクタート、例えば、乳酸メチルまたは乳酸エチル;プロピオナート、特にプロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、エチルエトキシプロピオナートおよびメチル−2−ヒドロキシイソブチラート;セロソルブエステル、例えば、メチルセロソルブアセタート;芳香族炭化水素、例えばトルエンおよびキシレン;並びにケトン、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンおよび2−ヘプタノンから選択される溶媒をさらに含む。上記溶媒の2種、3種もしくはそれより多い種類のような溶媒のブレンドも適する。溶媒は典型的には、フォトレジスト組成物の全重量を基準にして90〜99重量%、より典型的には95〜98重量%の量で組成物中に存在する。
【0037】
フォトレジストは当業者に知られている追加の任意材料を含むことができる。例えば、他の任意の添加剤には、現像剤組成物に関して上述したような界面活性剤、抗ストリエーション剤(anti−striation agent)、可塑剤、速度向上剤、充填剤および染料が挙げられる。このような任意の添加剤は、典型的には、フォトレジスト組成物中に低濃度で、例えば、レジストの乾燥成分の全重量を基準にして約0.1〜10重量%の量で存在しうる。
【0038】
本発明において有用なフォトレジストは概して既知の手順に従って製造される。例えば、レジストはフォトレジストの成分を適切な溶媒に溶解させることによってコーティング組成物として製造されうる。典型的には、フォトレジストの固形分量はフォトレジスト組成物の全重量を基準にして約2〜25重量%の間で変化する。
【0039】
フォトレジスト組成物は基体上に、(存在する場合には)反射防止層106上に適用されて、フォトレジスト層108を形成する。フォトレジスト組成物はスピンコーティング、ディッピング、ローラーコーティング、または他の従来のコーティング技術によって基体に適用されうる。これらのなかで、スピンコーティングが典型的である。スピンコーティングについては、コーティング溶液の固形分量は、所望の膜厚を提供するために、使用される具体的なコーティング装置、溶液の粘度、コーティングツールの速度および回転の時間量に基づいて調節されうる。フォトレジスト層108の典型的な厚みは約500〜3000Åである。
【0040】
フォトレジスト層は、次いで、ソフトベークされることができ、層内の溶媒含量を最小限にすることができ、それにより、粘着性のない塗膜を形成し、この層の基体に対する接着性を向上させることができる。ソフトベークはホットプレート上でまたはオーブン内で行われることができ、ホットプレートが典型的である。ソフトベーク温度および時間は、例えば、フォトレジストの具体的な材料および厚みに応じて変動しうる。典型的なソフトベークは約90〜150℃の温度で、約30〜90秒の時間で行われる。
【0041】
フォトレジスト層108が、液浸リソグラフィーツール、例えば、193nm液浸スキャナを用いて露光されるものである場合には、トップコート層(示されていない)がフォトレジスト層108上に配置されうる。このようなトップコート層の使用は液浸流体と下地フォトレジスト層との間のバリアとして機能しうる。この方法において、おそらく、光学レンズの汚染、並びに液浸流体の実効屈折率および透過特性の変化をもたらすフォトレジスト組成物の成分の液浸流体への浸出は、最小限にされうるかまたは回避されうる。適切なトップコート組成物は市販されており、例えば、オプティコート(OPTICOAT商標)トップコート材料、例えばOC商標2000(ロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズ)が挙げられ、そして他には当該技術分野において知られており、例えば、米国特許出願公開第2006/0246373A1号および2010/0183977A1号に記載されるものが挙げられる。このような組成物は、フォトレジスト組成物について上述されたようなあらゆる適切な方法によってフォトレジスト層上に適用されることができ、スピンコーティングが典型的である。トップコート層の厚みは典型的にはλ/4n(または、その奇数倍)であり、式中λは露光放射線の波長であり、nはトップコート層の屈折率である。トップコート層が存在する場合には、トップコート適用前よりも、トップコート層組成物が適用された後でフォトレジスト層108がソフトベークされうる。この方法において、双方の層からの溶媒が一回の熱処理工程で除かれうる。
【0042】
フォトレジスト層108は、次いで、第1のフォトマスク112を通った活性化放射線110に露光されて、露光領域と未露光領域との間の溶解度差を作り出す。フォトマスクは、その後の現像工程で残るフォトレジスト層の領域および除去されるフォトレジスト層の領域にそれぞれ対応する、光学的に透明な領域113および光学的に不透明な領域114を有する。露光エネルギーは、露光ツールおよび感光性組成物の成分に応じて、典型的には約20〜80mJ/cmである。本明細書において、フォトレジスト組成物を活性化する放射線でフォトレジスト組成物を露光することについての言及は、その放射線がフォトレジスト組成物中に潜像を形成することができることを示す。感光性組成物は典型的には、短い露光波長、特に、サブ400nm、サブ300nmまたはサブ200nmの露光波長で光活性化され、EUV(13.5nm)および157nmだけでなく、I線(365nm)、248nmおよび193nmが典型的な露光波長である。
【0043】
図1Bに示されるように、露光されたレジスト層は未露光領域108aおよび露光領域108bを作り出す。フォトレジスト層108の露光の後で、露光後ベーク(PEB)が行われる。PEBは、例えば、ホットプレート上でまたはオーブン中で行われることができる。PEBの条件は、例えば、具体的なフォトレジスト組成物および層厚さに応じて変化しうる。PEBは、典型的には、約80〜150℃の温度で、約30〜90秒の時間で行われる。
【0044】
露光されたフォトレジスト層は次いで、本明細書に記載される本発明の複数溶媒現像剤組成物で現像されて、未露光領域108aを除去し、露光領域108bを残して、図1Cに示されるようなレジストパターンを形成する。現像剤は既知の技術、例えば、スピンコーティングまたはパドルコーティング、またはこれらの組み合わせによって基体に適用されうる。現像時間はフォトレジストの未露光領域を除去するのに有効な期間であり、5〜30秒の時間が典型的である。現像は典型的には室温で行われる。現像プロセスは、典型的には、現像後の清浄化すすぎを使用することなく行われる。しかし、例えば、1−ヘキサノールのようなヒドロキシル含有溶媒を使用する現像後すすぎを使用することが望ましい場合がある。
【0045】
レジストパターン108bをエッチングマスクとして用いて、存在する場合には、BARC層106が選択的にエッチングされて、下にあるハードマスク層104を露出させる。図1Dに示されるように、このハードマスク層は、次いで、レジストパターン108bを再びエッチングマスクとして使用して、選択的にエッチングされて、結果として、パターン形成されたBARC層106’およびハードマスク層104’を生じさせる。BARC層およびハードマスク層をエッチングするのに適切なエッチング技術および化学物質は、当該技術分野において知られており、かつ、例えば、これらの層の具体的な物質に応じて変化するであろう。反応性イオンエッチングのようなドライエッチングプロセスが典型的である。レジストパターン108bおよびパターン形成されたBARC層106’は、次いで、既知の技術、例えば、酸素プラズマアッシングを用いて、基体から除去される。
【0046】
ハードマスクパターン104’をエッチングマスクとして使用して、1以上の層102が選択的にエッチングされる。下にある層102をエッチングするのに適切なエッチング技術および化学物質は当該技術分野において知られており、反応性イオンエッチングのようなドライエッチングプロセスが典型的である。パターン形成されたハードマスク層104’は、次いで、公知の技術、例えば、反応性イオンエッチングのようなドライエッチングプロセスを用いて、基体表面から除去されうる。得られる構造は図1Eに示されるようなエッチングされたフィーチャ102’のパターンである。別の典型的な方法においては、ハードマスク層104を使用することなく、レジストパターン108bを用いて直接に、層102をパターン形成することが望ましい場合がある。直接パターニングが使用されうるかどうかは、関連する物質、レジスト選択性、レジストパターン厚みおよびパターン寸法などの要因に応じて定まるであろう。
【0047】
本発明のネガティブトーン現像方法は上述の代表的な方法に限定されない。例えば、本発明のフォトレジスト組成物は、コンタクトホールを製造するためのネガティブトーン現像二重露光方法において使用されうる。代表的なこのような方法は図1を参照して説明されるが、第1の露光とは異なるパターンでのフォトレジスト層のさらなる露光を使用する技術のバリエーションである。このプロセスにおいては、フォトレジスト層は第1の露光工程でフォトマスクを通して化学線に露光される。フォトマスクは、マスクの不透明な領域を形成する一連の平行線を含む。第1の露光の後で、フォトレジスト層の第2の露光が、第1のフォトマスクの方向とは垂直の方向の一連の線を含む第2のフォトマスクを通して行われる。得られるフォトレジスト層は未露光領域、1回露光された領域および2回露光された領域を含む。第2の露光の後で、フォトレジスト層は上述のように、露光後ベークされ、そして現像剤を用いて現像される。2つのマスクの線の交点に対応する未露光領域が除去され、レジストの1回および2回露光された領域を残す。得られる構造は、次いで、図1に関して上述したようにパターン形成されうる。この方法は電子デバイスの製造におけるコンタクトホールの形成に特に適する。
【0048】
本発明の現像剤組成物は、電子デバイスの製造中での複数のフォトレジスト層におけるNTDによるリソグラフィパターンの形成に使用されうる。例えば、NTDにより形成される第1のフォトレジストパターンはエッチングプロセスによって、フォトレジストパターンの下にある1以上の層に転写されうる。その後、パターン形成される1以上の追加の層が形成されることができ、そのパターン形成される層上にNTDによって第2のレジストパターンを形成することができる。第1のおよび第2のレジストパターンを形成するために使用される現像剤組成物は同じかもしくは異なっていてよい。場合によっては、組成物は同じ有機溶媒を異なる比率で含むことができる。このように、現像は異なるフォトレジストおよび/または異なるフィーチャ寸法/形状のために最適化されうる。異なるレジストパターンの形成において同じフォトレジスト組成物の使用が望まれる場合があり、この場合、同じ有機溶媒が同じもしくは異なる比率で現像剤中で使用されうる。
【実施例】
【0049】
マトリックスポリマー合成
以下の実施例においてコポリマーの合成に以下のモノマーが使用された:
【化1】

【0050】
ポリ(ECPMA/MCPMA/MNLMA/HADA)の合成
ECPMA(5.092g)、MCPMA(10.967g)、MNLMA(15.661g)およびHADA(8.280g)のモノマーを60gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)に溶解させた。このモノマー溶液を窒素での20分間のバブリングによって脱ガスした。凝縮器および機械式攪拌装置を備えた500mLの三ツ口フラスコにPGMEA(27.335g)を入れ、この溶媒を窒素での20分間のバブリングによって脱ガスした。その後、この反応フラスコ内のこの溶媒を80℃の温度にした。V601(ジメチル−2,2−アゾジイソブチラート)(0.858g)を8gのPGMEAに溶解させ、この開始剤溶液を窒素での20分間のバブリングによって脱ガスした。この開始剤溶液は上記反応フラスコに入れられ、次いで激しく攪拌しつつ窒素環境下でモノマー溶液が3時間にわたってこの反応器に滴下で供給された。モノマー供給が完了した後、重合混合物をさらに1時間80℃でそのまま置いておいた。合計4時間の重合時間の(3時間の供給および1時間の供給後攪拌)後、重合混合物を室温まで冷却させた。メチルtert−ブチルエーテル(MTBE)(1634g)中で沈殿が行われた。沈殿したポリマーがろ過により集められ、一晩空気乾燥させられ、120gのTHF中に再溶解させられ、そしてMTBE(1634g)中で再沈殿させられた。最終的なポリマーはろ別され、一晩空気乾燥させられ、さらに真空下、60℃で、48時間乾燥させられて、以下のポリマーA(Mw=20,120およびPDI=1.59)を得た:
【0051】
【化2】

【0052】
ポリ(MCPMA/NLM)の合成
MCPMA(17.234g)およびNLM(22.766g)のモノマーを60gのPGMEAに溶解させた。このモノマー溶液を窒素での20分間のバブリングによって脱ガスした。凝縮器および機械式攪拌装置を備えた500mLの三ツ口フラスコにPGMEA(31.938g)を入れ、この溶媒を窒素での20分間のバブリングによって脱ガスした。その後この反応フラスコ内の溶媒を80℃の温度にした。V601(2.831g)を8gのPGMEAに溶解させ、この開始剤溶液を窒素での20分間のバブリングによって脱ガスした。この開始剤溶液が前記反応フラスコに入れられ、次いで激しく攪拌しつつ窒素環境下でモノマー溶液が3時間にわたってこの反応器に滴下で供給された。モノマー供給が完了した後、重合混合物をさらに1時間80℃でそのまま置いておいた。合計4時間の重合時間の(3時間の供給および1時間の供給後攪拌)後、重合混合物を室温まで冷却させた。MTBE(1713g)中で沈殿が行われた。沈殿したポリマーがろ過により集められ、一晩空気乾燥させられ、120gのTHF中に再溶解させられ、そしてMTBE(1713g)中で再沈殿させられた。最終的なポリマーはろ別され、一晩空気乾燥させられ、さらに真空下、60℃で、48時間乾燥させられて、以下のポリマーB(Mw=8,060およびPDI=1.46)を得た:
【0053】
【化3】

【0054】
添加剤ポリマー合成:ポリ(メタクリル酸n−ブチル)(PnBMA)
40gのメタクリル酸n−ブチルを60gのPGMEAに溶解させた。このモノマー溶液を窒素での20分間のバブリングによって脱ガスした。凝縮器および機械式攪拌装置を備えた500mLの三ツ口フラスコにPGMEA(35.913g)を入れ、窒素での20分間のバブリングにより脱ガスした。その後、この反応フラスコ内のこの溶媒を80℃の温度にした。V601(1.295g)が8gのPGMEAに溶解させられ、この開始剤溶液は窒素での20分間のバブリングによって脱ガスされた。この開始剤溶液をこの反応フラスコに添加し、次いで、激しく攪拌しつつ窒素環境下でモノマー溶液を3時間にわたってこの反応器に滴下で供給した。モノマー供給が完了した後、重合混合物はさらに1時間、80℃で置いておかれた。合計4時間の重合時間の(3時間の供給および1時間の供給後攪拌)後、重合混合物を室温に冷却した。メタノール/水(8/2)混合物(1781g)中で沈殿が行われた。沈殿したポリマーはろ過により集められ、120gのTHF中に再溶解させられ、そしてメタノール/水(8/2)混合物(1781g)中で再沈殿させられた。最終的なポリマーはろ別され、真空下60℃で48時間乾燥させられて、31.5gのPnBMA(Mw=17,600およびMw/Mn=1.80)を得た。
【0055】
フォトレジスト組成物A
6.315gのポリマーAおよび6.315gのポリマーBを145.35gのPGMEA、96.90gのシクロヘキサノンおよび242.25gのメチル−2−ヒドロキシイソブチラート中に溶解させた。この混合物に2.418gの以下に記載の「PAG A」、0.143gの1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジン、および0.31gのPnBMAを添加した。得られた混合物をローラー上で3時間ロールし、次いで0.2ミクロン孔サイズを有するテフロン(登録商標)フィルターを通して濾過した。
【0056】
【化4】

【0057】
溶媒の構造
以下の溶媒が、単一種の溶媒現像剤としてまたは2成分混合現像剤でネガティブトーン現像において使用された:
【化5】

【0058】
ドライリソグラフィプロセスおよびコントラスト評価
ドライリソグラフィ処理は、ASML/1100スキャナーにリンクしたTEL CleanTrack(クリーントラック)ACT8を用いて、0.75の最大開口数(NA)で、200mmのシリコンウェハ上で行われ、様々な溶媒現像剤での193nm液浸レジストのNTDコントラストを検討した。シリコンウェハはAR商標77反射防止コーティング(BARC)材料(ロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズ)でスピンコートされ、60秒間205℃でベークされ、840Åの膜厚を生じさせた。フォトレジスト組成物Aは、TEL CleanTrackACT8コータ/デベロッパにおいて、BARCコーティングしたウェハ上にコーティングされ、90℃で60秒間ソフトベークされて、900Åのレジスト層厚みをもたらした。
【0059】
このフォトレジストコーティングしたウェハは、次いで、0.89アウターシグマおよび0.64インナーシグマで、クアドラポール(Quadrapole)30照明条件および0.75NAを用いて、ブランクマスクを通して露光された。露光は1.0mJ/cmの開始線量で0.4mJ/cmの増分で実施され、1.0〜40.6mJ/cmの線量範囲で、ウェハの10×10アレイにおける100個のダイを露光した。露光されたウェハは90℃で60秒間露光後ベークされ、次いでTEL CleanTrackACT8コータ/デベロッパにおいて様々な有機溶媒現像剤を用いて10秒間現像された。様々な露光線量での現像後の残留膜厚さをTherma Wave Optiprobe(サーマウェーブオプティプローブ)(KLA−Tencor)において測定し、残留膜厚さを露光エネルギーの関数としてプロットすることによりNTDコントラスト曲線を得た。コントラスト曲線から、一定の膜厚さに到達する最小限のエネルギーとして閾値エネルギー(Eth)が各現像剤について決定された。この値はNTDプロセスにおけるレジストの光感度の指標として使用された。
【0060】
例1〜20
現像剤として、例えば、エステル、ケトン、アルコールおよびエーテル官能基を含む様々な有機溶媒を使用してリソグラフィ例1〜20が行われた。現像剤、Eth、並びにEthでの、および3mJ/cmおよび33mJ/cmの線量でのレジスト厚さが表1に示される。
【0061】
【表1】

thは40.6mJ/cmで観察されなかった。
**溶媒の不完全な蒸発のせいで厚さの測定なし。
【0062】
図2に示され、かつ上述のように、フォトレジスト組成物Aを用いて、例7(PGMEA)は典型的なタイプIのNTD挙動を示すことが認められ、例17(2−ヘプタノン)は典型的なタイプIIのNTD挙動を示すことが認められ、例11(酢酸n−ブチル)は典型的なタイプIIIのNTD挙動を示すことが認められ、および例14(酢酸n−ヘキシル)は典型的なタイプIVのNTD挙動を示すことが認められた。C〜C環式エステルもしくはケトン(例1〜4)、Cヒドロキシルアルキルエステル(例5〜6)およびCアルコキシアルキルアセタート(例7)は、フォトレジスト組成物Aを用いた所定の条件下で、タイプIのNTD挙動を示すことが見いだされた。33mJ/cmの露光エネルギーでさえ、4種類の環式有機溶媒およびヒドロキシルアルキルエステルを現像剤として使用することにより、わずかな厚さ保持のみが観察されただけであった。現像後トラック上でウェハを単に回転させることによって残留ε−カプロラクトンを除去することは困難であり、このことが不正確な厚さ測定値をもたらしたと考えられる。このことは、Cを超える環式エステルもしくはケトンはその蒸発速度の遅さのせいでNTDプロセスに現像剤として適用できないことを示しうる。
【0063】
現像剤として試験された7種類のアルキルエステル(例9〜15)のなかでは、酢酸n−プロピルおよび酢酸n−ブチルのみが良好なNTDコントラスト(それぞれ、例10および11)をもたらし、そしてCを超えるアルキルエステルはNTDコントラストを生じさせなかった(例12〜15)。Cを超えるアルキルエステルは非常に低い線量でさえ露光領域において劣った溶解力を示したことが認められ、これらの溶媒ではタイプIVのNTD挙動が観察された(例12〜15)。より高次の他のアルキルエステルほど顕著ではないが、酢酸n−ブチルは、完全なレジスト除去が望まれる低線量での現像後に63Åの検出可能な残留膜厚さを示した(例11)。よって、酢酸n−ブチルを用いて得られるNTDコントラストを説明するのにタイプIIIのNTD挙動が使用されうる。これに対して、酢酸エチルはタイプIIのNTD挙動を示し(例9)、酢酸n−プロピルは、低エネルギーで露光された領域を完全に除去し、高エネルギーで露光された領域において良好な膜厚さを残すという、タイプIIとタイプIIIの間の非常に良好なNTDコントラストを示した(例10)。
【0064】
試験された5種類のアルキルケトン(例16〜20)は、アルキル鎖中の酸素原子の位置および炭素原子の数に応じて非常に異なる結果を示した。末端Cアルキルケトン、例えば、2−ヘプタノンおよび5−メチル−2−ヘキサノン(それぞれ、例17および18)はタイプIIIのNTD挙動を示したが、4−ヘプタノンは低線量で露光された場合に検出可能な量の厚さ(〜30Å)を示した(例19)。2,6−ジメチル−4−ヘプタノン(Cアルキルケトン、例20)はタイプIVのNTD挙動を示し、Cを超えるアルキルエステル(例12〜15)と非常に類似する露光エネルギーに応じた厚さ変化を伴っていた。現像剤として2,6−ジメチル−4−ヘプタノンを用いるとEth値は観察されず、そして表1に示されるように、高い露光線量よりも低い露光線量において、より厚い残留厚さが観察された。これは、より高い露光エネルギーでの脱離基の喪失によって説明されうる。例17および18において現像剤として末端Cケトンを使用すると、低露光線量においてレジスト膜は完全に除去されることができ、3mJ/cmでの残留膜厚さは1.0nm未満であった。このことは、末端ケトンは、中央部分にケトン基を有するエステルもしくはケトンよりも、レジスト膜の未露光領域の除去に効果的であることを示すと考えられる。
【0065】
アルコキシもしくはヒドロキシ官能基を有するエステルも現像剤として試験された(例5〜8)。ヒドロキシル基を有するエステルが現像剤として使用された場合には(例5および6)、NTDコントラストのないタイプIのNTD挙動が観察され、そして33mJ/cmの露光エネルギーでさえ、乳酸エチルもしくはメチル−2−ヒドロキシイソブチラートを現像剤として使用することにより、わずかな厚さ保持(10nm未満)が観察されただけであった。アルコキシアルキルエステルが現像剤として使用された場合には(例7および8)、炭素原子の数および化学構造に応じて非常に異なる結果が得られた。Cアルコキシエステル(例7)はタイプIのNTD挙動を示したが、例8のCアルコキシプロピオナートでは良好なNTDコントラストが観察された。低い露光エネルギーでの測定可能な残留厚さ(すなわち、3mJ/cmで〜50Å)のせいで、例8において得られたNTDコントラストはタイプIIよりもタイプIIIのNTD挙動により近いと考えられる。
【0066】
特定の有機溶媒のみが193nmフォトレジストでのNTDプロセスに現像剤として使用されうることがわかる。概して、環式ラクトンおよびケトンは、露光領域および未露光領域の双方を溶解してNTDコントラストがないので、これら環式ラクトンおよびケトンはNTDプロセスにおける良好な現像剤でない場合がある。限定されたアルキルエステルのみがNTDプロセスにおいて現像剤として使用されうる。Cを超えるアルキルエステルは、低露光線量において部分的に脱保護されたレジストに対してさえ比較的貧溶媒であるから、良好なNTD現像剤として機能しない場合がある。C未満の酢酸アルキルはNTDプロセスにおいて現像剤として機能しうるが、その可燃性は安全上の理由から望ましくない場合がある。可燃性のC酢酸アルキルである酢酸n−ブチルは良好なNTDコントラストを示すが、部分的に脱保護された領域(すなわち、低線量で露光された領域)のその不完全な溶解が、像形成プロセスにおけるマイクロ架橋もしくはコンタクトホール欠失のような欠陥を生じさせる場合がある。その可燃性を考えなければ、C酢酸アルキルである酢酸n−プロピルはNTDプロセスにおいて溶媒現像剤として最も適していると認められる。
【0067】
アルキルエステルをヒドロキシ基と組み合わせることは、生じる溶媒中に、完全に露光された領域が依然として可溶性なので、溶媒現像剤のために良好な戦略でない場合がある。アルキルエステルをアルコキシ基と組み合わせることは、炭素の数および化学構造に応じて良好なNTDコントラストを得るための実行可能な方法であると考えられる。プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA、メチルエーテルと組み合わせられたCアルキルエステル)は劣ったNTDコントラストを示すが、エチル−3−エトキシプロピオナート(エチルエーテルと組み合わせられたCプロピオン酸アルキル)は良好なNTDコントラストを示した。
【0068】
アルキルケトンは良好なNTDコントラストを示し、低線量下で露光領域の完全な除去を伴う。これに対して、例として試験されたCアルキルケトンは、Cを超えるアルキルエステルと同じ理由で、良好なNTD現像剤として機能しなかった。末端Cアルキルケトンは、高エネルギーでの露光後でさえ深刻な厚さ損失をもたらして、タイプIに近いNTD挙動を示すと考えられる。
【0069】
実施例21〜25
末端Cアルキルケトン(例17および18)は低露光エネルギー下で露光領域の効果的な除去を示したが、タイプIIIのNTD現像剤(例11)と比較してその相対的に遅いフォトスピードおよびより大きな厚さ損失は望ましくない場合がある。2−ヘプタノンでの(例17)光感受性および膜保持を向上させるために、2−ヘプタノンと、タイプIVのNTD挙動を示す(例13)プロピオン酸n−ブチルとを混合することにより、2成分溶媒混合物が調製された。結果のまとめは表2に示され、例13および17と比較した実施例21〜25についてのNTDコントラスト曲線が図3に示される。2−ヘプタノンのフォトスピードは、20〜80重量%の範囲で混合物中のプロピオン酸n−ブチルの重量パーセンテージに応じて線形的に増大させられうることが認められた。2成分溶媒現像剤が20〜60重量%のプロピオン酸n−ブチルを含んでいた実施例21〜24については、3mJ/cmでの露光後の残留膜厚さが5nm未満であったことも認められた。3および33mJ/cmでの残留厚さデータは線形的な関係を示さなかった。20%のプロピオン酸n−ブチルの実施例21でさえ、33mJ/cmでの露光後に非常に良好な膜保持を示し、そして60重量%のプロピオン酸n−ブチルの実施例24でさえ、3mJ/cmでの露光後に非常に良好なレジスト除去能力を示す。低露光線量でのレジスト除去および高露光線量での膜保持の双方の相乗効果が、タイプIIIもしくはIVのNTD挙動を有する溶媒とタイプIもしくはIIのNTD挙動を有する溶媒とをブレンドすることを、NTDプロセスに非常に適した現像剤を生じさせる実行可能な方法にしていると考えられる。さらに、フォトスピードは、低露光エネルギー下で露光されたレジスト膜を除去することの困難なしに、現像剤としての2−ヘプタノンとプロピオン酸n−ブチルとの混合物で示されるように効果的に調節されうる。
【0070】
【表2】

NTDコントラストがなかったのでEthは計算されなかった。
【0071】
表3〜8に記載されるように、この2成分溶媒NTD現像剤の概念はタイプIもしくはIIの挙動の溶媒とタイプIIもしくはIVの挙動の溶媒との他のペアまで拡大された。このデータは、適切な溶媒の比率の選択によって、低露光線量で露光された領域を除去しつつ、同時に高露光線量で露光された領域における有意な膜厚さを維持するための相乗効果が達成されうることを示す。
【0072】
【表3】

NTDコントラストがなかったのでEthは計算されなかった。
【0073】
【表4】

NTDコントラストがなかったのでEthは計算されなかった。
【0074】
【表5】

NTDコントラストがなかったのでEthは計算されなかった。
【0075】
【表6】

【0076】
【表7】

NTDコントラストがなかったのでEthは計算されなかった。
【0077】
【表8】

【0078】
液浸リソグラフィプロセス
TEL CLEAN TRACK LITHIUS(テルクリーントラックリシウス)i+コータ/デベロッパにおいて、300mmシリコンウェハがAR商標40A反射防止剤(ロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズ)でスピンコートされ、第1のBARC層を形成した。このウェハは60秒間215℃でベークされ、840Åの厚さの第1のBARC膜を生じさせた。次いで、この第1のBARC上に、AR商標124反射防止剤(ロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズ)を用いて第2のBARC層がコーティングされ、205℃で60秒間ベークされて、200Åの上部BARC層を生じさせた。次いで、TEL CLEAN TRACK LITHIUS i+コータ/デベロッパにおいて、この二重BARCコートウェハ上にフォトレジスト組成物Aがコーティングされ、90℃で60秒間ソフトベークされて、900Åの厚さのレジスト層を提供した。
【0079】
フォトレジストコーティングしたウェハは、ASML TWINSCAN XT:1900i液浸スキャナにおいて、3つの異なる露光条件を用いて、マスクを通して露光された。2つの異なる照明条件(1.環状照明、1.35NA、0.9アウターシグマ、0.7インナーシグマおよびXY偏光;2.交差セクトラル四重(crossed sectoral quadruple)(C−Quad)照明、1.35NA、0.9アウターシグマ、0.7インナーシグマおよびXY偏光)を用いて、ポストパターンを有するマスクを通して2つの異なる単一露光プロセスが行われて、ホールパターンをプリントした。第3の露光条件はライン/スペースパターンの二重露光を含んでいた。第2の露光に使用されたフォトマスクのライン/スペースパターンは、コンタクトホール像をプリントするために第1の露光に使用されたフォトマスクの方向と垂直の方向に向けられた。第1の露光は1.35NA、0.97アウターシグマ、0.82インナーシグマおよびX偏光のダイポール照明を用いて行われた。第1の露光の直後に、1.35NA、0.97アウターシグマ、0.82インナーシグマおよびY偏光のダイポール照明を用いてウェハは再び露光された。
【0080】
露光されたウェハは、TEL CLEAN TRACK商標LITHIUS商標i+コータ/デベロッパにおいて、90℃で60秒間露光後ベークされ、次いで有機溶媒現像剤を用いて25秒間現像されて、ネガティブトーンパターンを生じさせた。日立CG4000CD SEMにおいて、60nm(マスク上での不透明ポストの直径)でのマスクCDおよび90nm(マスクCDと、不透明ポストどうしの間の距離との合計)でのピッチCDを用いて測定した限界寸法(critical demension;CD)値を露光エネルギーに応じてプロットすることにより、単一露光NTDプロセスについて45nmホールをプリントするのに最適なエネルギー(Eop)が決定された。240CD値の3σとして、45nmホールのローカルCD均一性(CDU)が測定された。それぞれのウェハについて、ダイあたり20個の像がとられ、像あたり12個のコンタクトホール測定値が250K倍率でとられた。二重露光NTDプロセスについては、38もしくは40nmホールをプリントするためのEopは38もしくは40nmの1:1ライン/スペースCDを有するマスクを用いて露光エネルギーに応じてコンタクトホールのCD値をプロットすることにより計算された。38もしくは40nmのコンタクトホールのCDUは270CD値の3σとして測定された。それぞれのウェハについて、ダイあたり30個の像および像あたり9個のコンタクトホール測定値が250K倍率でとられた。
【0081】
フォトレジストの露光寛容度(exposure latitude;EL)は目標CD(CD)の±10%以内の露光エネルギー(mJ/cm)あたりのCD変化(ΔCD)によって定義される。露光線量の変化の最少ΔCDはフォトレジストの望ましい特性である。異なるNTD現像剤は所定のフォトレジストについて異なるEL値をもたらし、そしてEL値は、異なる溶媒現像剤システムについて以下の式に従って計算されることが認められた:
【数1】

【0082】
実施例44〜54
エチル−3−エトキシプロピオナートもしくは2−ヘプタノンとプロピオン酸n−ブチルとの混合物について、様々な2成分溶媒混合物の現像性能が試験された。表9および10は、それぞれ、さまざまなエチル−3−エトキシプロピオナート/プロピオン酸n−ブチルまたは2−ヘプタノン/プロピオン酸n−ブチル現像剤ブレンドで現像された76nmピッチでの38nmコンタクトホールの二重露光NTDの結果をまとめる。図4は表9および10におけるデータに基づくこれらコンタクトホールについての現像剤組成物に応じたEopを示す。このデータは、プロピオン酸n−ブチル中のエチル−3−エトキシプロピオナートもしくは2−ヘプタノンの含量に応じてEopが線形的に制御されうることを示す。リソグラフィ性能の観点から、2成分プロピオン酸n−ブチル/エチル−3−エトキシプロピオナート現像剤組成物は結果的にELおよびCDUの悪化をもたらした。エチル−3−エトキシプロピオナート中でプロピオン酸n−ブチルが25重量%より大きくなると、76nmピッチでの38nmコンタクトホールについて、より多くのコンタクトホール欠失が観察された。表10を参照すると、プロピオン酸n−ブチル/2−ヘプタノンNTD現像剤組成物についての改良は、広範囲のプロピオン酸n−ブチル含量にわたって(〜20−60重量%)フォトスピードおよびCDUの双方において示された。
【0083】
【表9】

76nmピッチでの38nmコンタクトホールのEop
**コンタクトホールの欠失のせいで決定されなかった
【0084】
【表10】

76nmピッチでの38nmコンタクトホールのEop
【0085】
実施例55〜68
2−ヘプタノン/プロピオン酸n−ブチル混合現像剤を用いて単一露光NTDリソグラフィが行われ、現像剤と結果は表11および12にまとめられる。実施例55〜61(表11)は環状照明下で露光され、そして実施例62〜68(表12)C−クアッド(Quad)照明下で露光された。図5に示されるように、Eopは2−ヘプタノン中のプロピオン酸n−ブチル含量に応じていずれの場合においても線形的に制御されうる。現像剤中のプロピオン酸n−ブチルが増大すると共にEopが低下すると、ELはより悪くなる傾向があったが、プロピオン酸n−ブチルが現像剤中で80重量%に到達するまでは、いずれの照明条件についても有意ではなかった。
【0086】
【表11】

90nmピッチでの45nmコンタクトホールのEop
【0087】
【表12】

90nmピッチでの45nmコンタクトホールのEop
【0088】
単一露光NTDプロセスは概して二重露光プロセスと比較して高い露光エネルギーを必要とする。得られたデータに基づくと、2−ヘプタノン現像剤を使用する単一露光NTDプロセスは、90nmピッチで45nmコンタクトホールをプリントするために典型的には〜80mJ/cmを必要とする(例55および62)が、同じレジストおよび現像剤システムを使用する二重露光NTDプロセスは、さらにより小さな76nmピッチで38nmコンタクトホールをプリントするのに45mJ/cmを必要とするだけである(例49)。このことは、二重露光プロセスに最適化されたレジストは、単一露光NTDプロセスの極端に遅いフォトスピードのせいで、より小さなサイズのCDをプリントするために単一露光プロセスに効果的に使用されることができないことを示すと思われる。驚くべきことに、この問題は、現像剤混合物中での一方の有機溶媒対他方の比率を変えることにより解決されうる。例えば、2−ヘプタノン/プロピオン酸n−ブチルの40/60混合物が現像剤として使用される場合には、単一露光NTDプロセスにおいては、実施例59〜66に示されるようにリソグラフィ性能を失うことなく90nmピッチでの45nmコンタクトホールのEopは〜45mJ/cmまで低減されうる。
【符号の説明】
【0089】
100 基体
102 パターン形成される層
102’フィーチャ
104 ハードマスク層
104’ハードマスクパターン
106 反射防止塗膜
106’パターン形成されたBARC層
108 フォトレジスト層
108a 未露光領域
108b 露光領域
110 活性化放射線
112 第1のフォトマスク
113 光学的に透明な領域
114 光学的に不透明な領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の有機溶媒と第2の有機溶媒との混合物を含むフォトレジスト現像剤組成物であって、前記第1の有機溶媒が環式Cケトン、線状もしくは分岐Cケトン、線状もしくは分岐C〜Cヒドロキシアルキルエステル、および線状もしくは分岐C〜Cアルコキシアルキルエステルから選択され、並びに前記第2の有機溶媒が線状もしくは分岐非置換C〜Cアルキルエステルおよび線状もしくは分岐C〜Cケトンから選択される、フォトレジスト現像剤組成物。
【請求項2】
第1の有機溶媒がシクロヘキサノン、2−ヘプタノン、5−メチル−2−ヘキサノン、メチル−2−ヒドロキシイソブチラート、乳酸エチルまたはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタートである、請求項1に記載のフォトレジスト現像剤組成物。
【請求項3】
第1の有機溶媒が2−ヘプタノンまたは5−メチル−2−ヘキサノンである請求項2に記載のフォトレジスト現像剤組成物。
【請求項4】
第2の有機溶媒が酢酸n−ブチル、酢酸n−ペンチル、プロピオン酸n−ブチル、酢酸n−ヘキシル、酪酸n−ブチル、酪酸イソブチル、2,5−ジメチル−4−ヘキサノン、2,6−ジメチル−4−ヘプタノンである請求項1〜3のいずれか1項に記載のフォトレジスト現像剤組成物。
【請求項5】
第2の有機溶媒が酢酸n−ブチル、プロピオン酸n−ブチルまたは2,6−ジメチル−4−ヘプタノンである請求項4に記載のフォトレジスト現像剤組成物。
【請求項6】
第1の有機溶媒が2−ヘプタノンであり、および第2の有機溶媒がプロピオン酸n−ブチルである請求項1に記載のフォトレジスト現像剤組成物。
【請求項7】
第1の有機溶媒が2−ヘプタノンであり、および第2の有機溶媒が酢酸n−ブチルである請求項1に記載のフォトレジスト現像剤組成物。
【請求項8】
第1の有機溶媒が全現像剤組成物を基準にして30〜70重量%の量で組成物中に存在し、かつ第2の有機現像剤が全現像剤組成物を基準にして70〜30重量%の量で組成物中に存在する、請求項1〜7のいずれか1項に記載のフォトレジスト現像剤組成物。
【請求項9】
パターン形成される1以上の層を基体表面上に含む基体;
前記パターン形成される1以上の層上のフォトレジスト組成物の露光された層;および
露光されたフォトレジスト組成物層と接触している請求項1〜8のいずれか1項に記載のフォトレジスト現像剤組成物;
を含むコーティングされた基体。
【請求項10】
(a)パターン形成される1以上の層を基体の表面上に含む基体を提供し;
(b)フォトレジスト組成物の層を前記パターン形成される1以上の層上に適用し;
(c)フォトレジスト組成物層を化学線でパターン様式で露光し;
(d)露光されたフォトレジスト組成物層を露光後べークプロセスにおいて加熱し;並びに
(e)請求項1〜8のいずれか1項に記載のフォトレジスト現像剤組成物を露光後ベークされたフォトレジスト組成物層に適用して、フォトレジスト組成物層の未露光領域を除去し、それによりフォトレジストパターンを形成する;
ことを含む、フォトリソグラフィパターンを形成する方法。
【請求項11】
第1のパターン様式での露光の後であって、かつフォトレジスト現像剤組成物を適用する前に、フォトレジスト組成物層の第2のパターン様式での露光を行うことをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
工程(e)の後に、
(f)前記フォトレジストパターンのパターンを、エッチングプロセスによって、前記フォトレジストパターンの下にある1以上の層に転写し;
(g)パターン形成される1以上の追加の層を前記基体の表面上に形成し;
(h)パターン形成される1以上の追加の層上にフォトレジスト組成物の第2の層を適用し;
(i)第2のフォトレジスト組成物層を化学線にパターン様式で露光し;
(j)露光された第2のフォトレジスト組成物層を露光後べークプロセスにおいて加熱し;並びに
(e)第2のフォトレジスト現像剤組成物を露光後ベークされた第2のフォトレジスト組成物層に適用して、第2のフォトレジスト組成物層の未露光領域を除去し、それにより第2のフォトレジストパターンを形成する;
ことをさらに含み、
前記第2のフォトレジスト現像剤組成物が前記第1のフォトレジスト現像剤組成物と同じ第1の有機溶媒および第2の有機溶媒を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
第1のフォトレジスト現像剤における第1の有機溶媒対第2の有機溶媒の比率が、第2のフォトレジスト現像剤における第1の有機溶媒対第2の有機溶媒の比率とは異なっている請求項12に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−181523(P2012−181523A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−39717(P2012−39717)
【出願日】平成24年2月27日(2012.2.27)
【出願人】(591016862)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (270)
【Fターム(参考)】