説明

現像装置、及び画像形成装置

【課題】複数の現像剤担持体を設けたハイブリッド現像方式を用いて、現像剤担持体によるトナー回収能力を持続させ、現像履歴(ゴースト)の発生しない高品質の画像を長期に渡って得ることのできる現像装置、及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】トナー回収用現像剤担持体表面のキャリヤ剥離部によるキャリヤ剥離後の位置に当接あるいは対向するように除電部材を配設し、トナー回収用現像剤担持体の表面に付着したトナーを除電することで、トナー蓄積によるトナー回収能力の低下を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリヤとトナーとを含む現像剤を用い、トナー担持体にトナーを供給するためのトナー供給用現像剤担持体と、供給されたトナーで潜像を現像するためのトナー担持体と、トナー担持体から現像残トナーを回収するためのトナー回収用現像剤担持体と、を設けたハイブリッド現像装置、及びそれを用いる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式を用いた画像形成装置における現像方式としては、現像剤としてトナーのみを用いる一成分現像方式及びトナーとキャリヤを用いる二成分現像方式が知られている。
【0003】
一成分現像方式では、装置の簡略化、小型化、低コスト化の面で有利である一方、トナーを帯電させる規制部の強いストレスによりトナーの劣化が促進され易く、トナーの電荷受容性が低下しやすい。さらに、トナー規制部材やトナー担持体表面がトナーや外添剤により汚染されることでトナーへの電荷付与性も低下して、結果として現像装置の寿命が短くなってしまう。
【0004】
二成分現像方式ではトナーを、キャリヤとの混合による摩擦帯電で帯電するため、ストレスが小さく、トナーの劣化に対して有利である。さらにキャリヤ表面積が大きいため、トナーや外添剤による汚染に対しても相対的に強く、長寿命化に有利である。
【0005】
しかしながら、二成分現像法では像担持体上の静電潜像を現像する際に、現像剤の磁気ブラシによって像担持体表面を摺擦するため、磁気ブラシ痕が発生することがある。さらに、像担持体にキャリヤが付着しやすく、画像欠陥となる問題がある。
【0006】
二成分現像方式の長寿命の特長を有しながら、画像欠陥の問題を解決する現像方式として、現像剤担持体上に二成分現像剤を担持し二成分現像剤からトナーのみをトナー担持体に供給して現像に用いる、所謂ハイブリッド現像方式が開示されている(特許文献1参照)。
【0007】
しかしながら、ハイブリッド現像方式においては、トナー担持体上の現像に使用されなかった現像残トナーが、次の現像工程において現像履歴(ゴースト)として画像上に現れるという問題を有している。これは、現像剤担持体にバイアスを印加して現像に必要なトナーをトナー担持体に供給することを優先するため、現像剤担持体による現像残トナーの回収能力が不足してしまうことに起因している。
【0008】
近年、この問題を解決するため、ハイブリッド現像方式において、トナー回収用現像剤担持体を加え、トナー担持体上の現像残トナーを回収する電圧を印加する方式が提案されている(特許文献2参照)。特許文献2に記載の技術によれば、トナー回収用現像剤担持体によってトナー担持体上の現像残トナーを確実に回収できるため、初期的には現像履歴(ゴースト)の問題が発生しない。
【0009】
しかしながら、この方式では、トナー回収用現像剤担持体方向にトナーを引き付ける電圧が常に印加されているため、現像剤中のトナーがキャリヤから分離され、トナー回収用現像剤担持体表面へトナーが移動し、トナーの偏在が生じる。
【0010】
このようにトナーがトナー回収用現像剤担持体表面に偏在した状態では、トナー回収用現像剤担持体から現像剤を除去する際に、偏在したトナーがそのままトナー回収用現像剤担持体表面に残留する。その結果、繰り返し使用によってトナー回収用現像剤担持体上にトナーの蓄積が生じる。
【0011】
帯電したトナーの蓄積は、トナー回収領域での回収電界を阻害し、トナー回収能力を低下させてしまう。このため、初期的には十分であった回収能力は長期間持続せず、画像形成の繰り返しとともにやはりゴースト発生が問題となってくる。
【特許文献1】特開平5−150636号公報
【特許文献2】特開平10−319708号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述したように、ハイブリッド現像方式でのゴースト発生に対処するため技術改善が行われてきたが、十分に要求を満たす技術は提示されていない。
【0013】
従って、本発明の目的は、上記の課題を解決し、現像剤担持体を複数設けたハイブリッド現像方式を用いて、トナー回収能力を持続させ、現像履歴(ゴースト)の発生しない高品質の画像を長期に渡って得ることのできる現像装置、及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するため、本発明は以下のような特徴を有するものである。
【0015】
1. トナーとキャリヤとを含む現像剤を収容する現像剤槽と、前記現像剤槽から前記現像剤の供給を受けて担持搬送するトナー供給用現像剤担持体と、前記トナー供給用現像剤担持体から前記トナーの供給を受けて担持搬送し、像担持体上の潜像を現像するトナー担持体と、前記トナー担持体から現像残トナーを回収するトナー回収用現像剤担持体と、を備えた現像装置であって、前記トナー回収用現像剤担持体は、その表面から前記キャリヤを剥離するキャリヤ剥離部を有し、前記トナー回収用現像剤担持体の前記キャリヤ剥離部によるキャリヤ剥離後に、前記トナー回収用現像剤担持体の表面に付着しているトナーを除電する除電部材を備えることを特徴とする現像装置。
【0016】
2. 前記除電部材は、前記トナー回収用現像剤担持体に当接して配設され、前記除電部材の少なくとも当接面は、接触帯電によってトナーを除電する材料からなることを特徴とする1に記載の現像装置。
【0017】
3. 前記除電部材は導電性を有することを特徴とする2に記載の現像装置。
【0018】
4. 前記除電部材と前記トナー回収用現像剤担持体との間には、トナーを前記除電部材の方へ引き付ける向きのバイアス電圧が印加されることを特徴とする3に記載の現像装置。
【0019】
5. 前記トナー担持体と前記トナー回収用現像剤担持体との間には、トナーを前記トナー回収用現像剤担持体の方へ引き付ける向きのバイアス電圧が印加されることを特徴とする1乃至4の何れか1項に記載の現像装置。
【0020】
6. 前記除電部材の抵抗値は、前記除電部材と前記トナー回収用現像剤担持体との間に印加するバイアスによって局所的なリークが発生しないように設定されることを特徴とする4または5に記載の現像装置。
【0021】
7. 前記トナー回収用現像剤担持体の抵抗値は、前記除電部材と前記トナー回収用現像剤担持体との間に印加するバイアスによって局所的なリークが発生しないように設定されることを特徴とする4または5に記載の現像装置。
【0022】
8. 前記除電部材は、前記トナー回収用現像剤担持体と対向あるいは当接するように配設され、放電によってトナーを除電することを特徴とする1に記載の現像装置。
【0023】
9. 前記除電部材は、コロナ放電によってトナーを除電することを特徴とする8に記載の現像装置。
【0024】
10. 前記除電部材は導電性のローラであることを特徴とする8に記載の現像装置。
【0025】
11. 前記除電部材は導電性のフィルムであることを特徴とする8に記載の現像装置。
【0026】
12. 1乃至11の何れか1項に記載された現像装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、トナー回収用現像剤担持体によってトナー担持体上の現像残トナーの回収を確実に行い、またトナー回収用現像剤担持体へのトナーの蓄積を回避できるため、常にトナー担持体上に安定したトナー層が供給される。
【0028】
これにより、トナー回収能力が持続し、ゴーストの問題が発生しない高画質の画像を長期に渡って得ることができる現像装置及び画像形成装置が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の実施の形態について、以下に図面を用いて説明する。
【0030】
(画像形成装置の構成と動作)
図1に、本発明の一実施形態による画像形成装置の主要部の構成例を示す。図1を用いて画像形成装置の概略構成と動作を説明する。
【0031】
本画像形成装置は、電子写真方式により像担持体(感光体)1に形成されたトナー像を用紙等の転写媒体Pに転写して画像形成を行うプリンタである。
【0032】
本画像形成装置は、画像を担持するための像担持体1を有しており、像担持体1の周囲には、像担持体1を帯電するための帯電部材3、像担持体1上の静電潜像を現像する現像装置2a、像担持体1上のトナー像を転写するための転写ローラ4、及び像担持体1上の残留トナー除去用のクリーニングブレード5が、像担持体1の回転方向Aに沿って順に配置されている。
【0033】
像担持体1は、帯電部材3で帯電された後に、図中のE点の位置でレーザ発光器などを備えた露光装置30により露光されて、その表面上に静電潜像が形成される。現像装置2aは、この静電潜像を現像し、トナー像を形成する。転写ローラ4は、この像担持体1上のトナー像を転写媒体Pに転写した後、図中の矢印C方向に排出する。クリーニングブレード5は、転写後の像担持体1上の残留トナーを機械的な力で除去する。
【0034】
画像形成装置に用いられる像担持体1、帯電部材3、露光装置30、転写ローラ4、クリーニングブレード5等は、周知の電子写真方式の技術を任意に使用してよい。例えば、帯電部材3として図中、帯電ローラが示されているが、像担持体1と非接触の帯電装置であってもよい。また例えば、クリーニングブレードはなくてもよい。
【0035】
次に、本実施形態に係るハイブリッド現像方式の現像装置2aの構成例を説明する。
【0036】
現像装置2aは、以下の構成要素を備える。すなわち、トナーとキャリヤを含む現像剤24を収容する現像剤槽16、現像剤槽16から供給された現像剤24を表面に担持して搬送するトナー供給用現像剤担持体11、トナー供給用現像剤担持体11からトナー供給領域7においてトナーの供給を受け、前記像担持体1上に形成された静電潜像を現像するトナー担持体25、現像領域6を通過した後にトナー担持体25上に残留する現像残トナーをトナー回収領域8において回収するトナー回収用現像剤担持体26を備える。
【0037】
またトナー回収用現像剤担持体26は、周方向の一部でキャリヤを剥離するキャリヤ剥離部40を有しており、現像装置2aは、そのキャリヤ剥離部40またはその下流側に対向して設けられた除電部材41を備える。除電部材41は、キャリヤ剥離部40によるキャリヤ剥離後に、トナー回収用現像剤担持体26表面に付着しているトナーを摩擦帯電によって除電する。
【0038】
また現像装置2aは、トナー担持体25に電圧を供給するトナー担持体用バイアス電源31、トナー供給用現像剤担持体11に電圧を供給するトナー供給用現像剤担持体用バイアス電源32、トナー回収用現像剤担持体26に電圧を供給するトナー回収用現像剤担持体用バイアス電源33、除電部材41に電圧を供給する除電部材用バイアス電源34を備える。
【0039】
現像装置2aの詳細な構成と動作については、後述する。
【0040】
(現像剤の構成)
本実施形態に係る現像装置において使用する現像剤の構成について説明する。
【0041】
本実施形態において使用する現像剤24はトナーと該トナーを帯電するためのキャリヤを含んでなるものである。
【0042】
<トナー>
トナーとしては、特に限定されず、一般に使用されている公知のトナーを使用することができ、バインダー樹脂中に着色剤や、必要に応じて荷電制御剤や離型剤等を含有させ、外添剤を処理させたものを使用できる。トナー粒径としてはこれに限定されるものではないが、3〜15μm程度が好ましい。
【0043】
このようなトナーを製造するにあたっては、一般に使用されている公知の方法で製造することができる。例えば、粉砕法、乳化重合法、懸濁重合法等を用いて製造することができる。
【0044】
トナーに使用するバインダー樹脂としては、これに限定されるものではないが、例えば、スチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)やポリエステル樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。これらの樹脂単体もしくは複合体により、軟化温度が80〜160℃の範囲のものを、またガラス転移点が50〜75℃の範囲のものを用いることが好ましい。
【0045】
また、着色剤としては、一般に使用されている公知のものを用いることができ、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、活性炭、マグネタイト、ベンジンイエロー、パーマネントイエロー、ナフトールイエロー、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、ウルトラマリンブルー、ローズベンガル、レーキーレッド等を用いることができ、一般に上記のバインダー樹脂に対して2〜20質量%の割合で用いることが好ましい。
【0046】
また、上記の荷電制御剤としても、公知のものを用いることができ、正帯電性トナー用の荷電制御剤としては、例えばニグロシン系染料、4級アンモニウム塩系化合物、トリフェニルメタン系化合物、イミダゾール系化合物、ポリアミン樹脂などがある。負帯電性トナー用荷電制御剤としては、Cr、Co、Al、Fe等の金属含有アゾ系染料、サリチル酸金属化合物、アルキルサリチル酸金属化合物、カーリックスアレーン化合物などがある。荷電制御剤は一般に上記のバインダー樹脂に対して0.1〜10質量%の割合で用いることが好ましい。
【0047】
また、上記の離型剤としても、一般に使用されている公知のものを用いることができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、カルナバワックス、サゾールワックス等を単独あるいは2種類以上組み合わせて使用することができ、一般に上記のバインダー樹脂に対して0.1〜10質量%の割合で用いることが好ましい。
【0048】
また、上記の外添剤としても、一般に使用されている公知のものを用いることができ、流動性改善例えば、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム等の無機微粒子や、アクリル樹脂、スチレン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の樹脂微粒子を使用することができ、特にシランカップリング剤やチタンカップリング剤やシリコーンオイル等で疎水化したものを用いるのが好ましい。そして、このような流動化剤を上記のトナーに対して0.1〜5質量%の割合で添加させて用いるようにする。外添剤の個数平均一次粒径は10〜100nmであることが好ましい。
【0049】
さらに上記外添剤として、トナーと逆極性の荷電性を有する逆極性粒子を使用してもよい。好適に使用される逆極性粒子はトナーの帯電極性によって適宜選択される。
【0050】
トナーとして負帯電性トナーを用いる場合、逆極性粒子としては、正帯電性を有する微粒子が用いられ、例えば、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、アルミナ等の無機微粒子やアクリル樹脂、ベンゾグァナミン樹脂、ナイロン(登録商標)樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂で構成された微粒子を使用することができる。また樹脂中に正帯電性を付与する正荷電制御剤を含有させたり、含窒素モノマーの共重合体を構成するようにしてもよい。
【0051】
上記の正荷電制御剤としては、例えば、ニグロシン染料、4級アンモニウム塩等を使用することができ、また上記の含窒素モノマーとしては、アクリル酸2−ジメチルアミノエチル、アクリル酸2−ジエチルアミノエチル、メタクリル酸2−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸2−ジエチルアミノエチル、ビニルピリジン、N−ビニルカルバゾール、ビニルイミダゾール等を使用することができる。
【0052】
一方、正帯電性トナーを用いる場合、逆極性粒子としては、負帯電性を有する微粒子が用いられ、例えば、シリカ、酸化チタン等の無機微粒子に加え、フッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂で構成された微粒子を使用することができる。また樹脂中に負帯電性を付与する負荷電制御剤を含有させたり、含フッ素アクリル系モノマーや含フッ素メタクリル系モノマーの共重合体を構成するようにしてもよい。上記の負荷電制御剤としては、例えば、サリチル酸系、ナフトール系のクロム錯体、アルミニウム錯体、鉄錯体、亜鉛錯体等を使用することができる。
【0053】
また、逆極性粒子の帯電性及び疎水性を制御するために、無機微粒子の表面をシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイル等で表面処理するようにしてもよく、特に、無機微粒子に正帯電性を付与する場合には、アミノ基含有カップリング剤で表面処理することが好ましく、また負帯電性を付与する場合には、フッ素基含有カップリング剤で表面処理することが好ましい。
【0054】
逆極性粒子の個数平均粒径は、100〜1000nmであることが好ましい。トナーに対して0.1〜10質量%の割合で添加させて用いるようにする。
【0055】
<キャリヤ>
キャリヤとしては、特に限定されず、一般に使用されている公知のキャリヤを使用することができ、バインダー型キャリヤやコート型キャリヤなどが使用できる。キャリヤ粒径としてはこれに限定されるものではないが、15〜100μmが好ましい。
【0056】
バインダー型キャリヤは、磁性体微粒子をバインダー樹脂中に分散させたものであり、キャリヤ表面に正または負帯電性の帯電性微粒子を固着させたり、表面コーティング層を設けることもできる。バインダー型キャリヤの極性等の帯電特性は、バインダー樹脂の材質、帯電性微粒子、表面コーティング層の種類によって制御することができる。
【0057】
バインダー型キャリヤに用いられるバインダー樹脂としては、ポリスチレン系樹脂に代表されるビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂、フェノール樹脂等の硬化性樹脂が例示される。
【0058】
バインダー型キャリヤの磁性体微粒子としては、マグネタイト、ガンマ酸化鉄等のスピネルフェライト、鉄以外の金属(Mn、Ni、Mg、Cu等)を一種または二種以上含有するスピネルフェライト、バリウムフェライト等のマグネトプランバイト型フェライト、表面に酸化層を有する鉄や合金の粒子を用いることができる。その形状は粒状、球状、針状の何れであってもよい。特に高磁化を要する場合には、鉄系の強磁性微粒子を用いることが好ましい。また、化学的な安定性を考慮すると、マグネタイト、ガンマ酸化鉄を含むスピネルフェライトやバリウムフェライト等のマグネトプランバイト型フェライトの強磁性微粒子を用いることが好ましい。強磁性微粒子の種類及び含有量を適宜選択することにより、所望の磁化を有する磁性樹脂キャリヤを得ることができる。磁性体微粒子は磁性樹脂キャリヤ中に50〜90質量%の量で添加することが適当である。
【0059】
バインダー型キャリヤの表面コート材としては、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素系樹脂等が用いられ、これらの樹脂を表面にコートし硬化させてコート層を形成することにより、帯電付与能力を向上させることができる。
【0060】
バインダー型キャリヤの表面への帯電性微粒子あるいは導電性微粒子の固着は、例えば、磁性樹脂キャリヤと微粒子とを均一混合し、磁性樹脂キャリヤの表面にこれら微粒子を付着させた後、機械的・熱的な衝撃力を与え、微粒子を磁性樹脂キャリヤ中に打ち込むようにして固定することにより行われる。この場合、微粒子は、磁性樹脂キャリヤ中に完全に埋設されるのではなく、その一部を磁性樹脂キャリヤ表面から突き出すようにして固定される。
【0061】
帯電性微粒子としては、有機、無機の絶縁性材料が用いられる。具体的には、有機系としては、ポリスチレン、スチレン系共重合物、アクリル樹脂、各種アクリル共重合物、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂及びこれらの架橋物などの有機絶縁性微粒子を用いることができ、帯電レベル及び極性については、素材、重合触媒、表面処理等により、希望するレベルの帯電及び極性を得ることができる。また、無機系としては、シリカ、二酸化チタン等の負帯電性の無機微粒子や、チタン酸ストロンチウム、アルミナ等の正帯電性の無機微粒子などが用いられる。
【0062】
一方、コート型キャリヤは磁性体からなるキャリヤコア粒子に樹脂コートがなされてなるキャリヤであり、コート型キャリヤにおいてもバインダー型キャリヤ同様、キャリヤ表面に正または負帯電性の帯電性微粒子を固着させたりできる。コート型キャリヤの極性等の帯電特性は、表面コーティング層の種類や帯電性微粒子により制御することができ、バインダー型キャリヤと同様の材料を用いることができる。特にコート樹脂はバインダー型キャリヤのバインダー樹脂と同様の樹脂が使用可能である。
【0063】
トナーとキャリヤの混合比は所望のトナー帯電量が得られるよう調整されれば良く、トナー混合比はトナーとキャリヤとの合計量に対して3〜50質量%、好ましくは6〜30質量%が適している。
【0064】
(現像装置2aの構成と動作)
図1を参照して本実施形態に係る現像装置2aの詳細な構成例と動作例を説明する。
【0065】
<装置構成>
現像装置2aにおいて使用する現像剤24は、既述したようにトナーとキャリヤからなり、現像剤槽16に収容される。
【0066】
現像剤槽16は、ケーシング19により形成されており、通常は内部に混合撹拌部材17、18を収納している。混合撹拌部材17、18は、現像剤24を混合・撹拌し、トナー供給用現像剤担持体11へ現像剤24を供給する。ケーシング19の混合撹拌部材18に対向する位置には、好ましくは、トナー濃度検出用のATDC(Automatic Toner Density Control)センサ20が配設されている。
【0067】
現像装置2aは通常、現像領域6で消費される分のトナーを現像剤槽16内に補給するための補給部10を有している。補給部10において、補給トナー23を収納した図示しないホッパから送られた補給トナー23が現像剤槽16内へ補給される。ATDCセンサ20の出力に基づいて補給動作が制御されるようにすればよい。
【0068】
現像装置2aはまた、トナー供給用現像剤担持体11上の現像剤量を規制するための現像剤薄層化用の規制部材(規制ブレード)15を有している。
【0069】
トナー供給用現像剤担持体11は、固定配置された磁石体13と、これを内包する回転自在なスリーブローラ12とから構成され、画像形成時には、トナー担持体25へとトナーを供給するためのトナー供給バイアスが、トナー供給用現像剤担持体用バイアス電源32により印加される。
【0070】
磁石体13は、スリーブローラ12の回転方向に沿ってN1、S1、N2、N3、S2の5つの磁極を有する。これらの磁極のうち、主磁極N1は、トナー担持体25と対向するトナー供給領域7の位置に配されている。
【0071】
トナー回収用現像剤担持体26も同様に、固定配置された磁石体28と、これを内包する回転自在なスリーブローラ27とから構成され、トナー担持体25上の現像残トナーを回収するための回収バイアスが、トナー回収用現像剤担持体用バイアス電源33により印加される。
【0072】
磁石体28は、スリーブローラ27の回転方向に沿ってN4、S3、N5、S4、N6の5つの磁極を有する。これらの磁極のうち、主磁極S3は、トナー担持体25と対向するトナー回収領域8の位置に配されている。
【0073】
また、スリーブローラ27上の現像剤24を剥離するための反発磁界を発生させる同極部N6、N4が、現像剤槽16内部に対向した位置に配置されている。
【0074】
すなわちN6極上部分でキャリヤが反発磁界によって剥離されるため、同極部N6〜N4間ではキャリヤ及びキャリヤに拘束されたトナーからなる現像剤24が表面に存在しない。トナー回収用現像剤担持体26におけるこの同極部がキャリヤ剥離部40として機能する。なお、この同極部を設ける代わりに、トナー回収用現像剤担持体26から現像剤24を受け渡される更なる現像剤担持体を配置してキャリヤ剥離部としてもよい。
【0075】
またキャリヤ剥離部40のキャリヤ剥離後の位置に、スリーブローラ27に当接して除電部材41が配設されている。除電部材41は、トナー回収用現像剤担持体26表面に付着したトナーを除電し、表面から離脱させるための部材である。除電部材41の詳細については後述する。
【0076】
さらに、現像装置2aにおいては、トナー供給用現像剤担持体11上の現像剤24をトナー回収用現像剤担持体26へと受け渡すために、それぞれのS1極とN4極がトナー供給用現像剤担持体11とトナー回収用現像剤担持体26の対向部に配されている。トナー供給用現像剤担持体11のS1磁極側からトナー回収用現像剤担持体26のN4磁極側へ、現像剤24は受け渡され、搬送されていく。
【0077】
トナー担持体25はトナー供給用現像剤担持体11、トナー回収用現像剤担持体26及び像担持体1のそれぞれに対向するように配され、像担持体1上の静電潜像を現像するための現像バイアスがトナー担持体用バイアス電源31により印加されている。
【0078】
トナー担持体25は上記電圧を印加可能な限りいかなる材料からなっていてもよく、例えば、アルマイト等の表面処理を施したアルミローラが挙げられる。その他アルミ等の導電性基体上に、例えば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポルスルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の樹脂コートやシリコーンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム、天然ゴム、イソプレンゴム等のゴムコーティングを施したものを用いてもよい。コーティング材料としては、これに限定されるものではない。
【0079】
さらに上記コーティングのバルクもしくは表面に導電剤が添加されていてもよい。導電剤としては、電子導電剤もしくはイオン導電剤が挙げられる。電子導電剤として、ケッチンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック等のカーボンブラックや、金属粉、金属酸化物の微粒子等が挙げられるが、これに制約されない。イオン導電剤として、4級アンモニウム塩等のカチオン性化合物や、両性化合物、その他イオン性高分子材料が挙げられるが、これにこだわらない。さらに、アルミ等の金属材料からなる導電性ローラであっても構わない。
【0080】
<装置の動作>
図1を参照して現像装置2aの動作例について詳しく説明する。
【0081】
現像剤槽16内の現像剤24は、混合撹拌部材17、18の回転により混合撹拌され、摩擦帯電すると同時に現像剤槽16内で循環搬送され、現像剤担持体11表面のスリーブローラ12へと供給される。
【0082】
この現像剤24は、トナー供給用現像剤担持体11内部の磁石体13の磁力によってスリーブローラ12の表面側に保持され、スリーブローラ12とともに回転移動して、トナー供給用現像剤担持体11に対向して設けられた規制部材15で通過量を規制される。
【0083】
その後、現像剤24はトナー担持体25と対向するトナー供給領域7へと搬送される。
【0084】
トナー供給領域7では磁石体13の主磁極N1の磁力によって現像剤穂立ちが形成され、トナー担持体25に印加された現像バイアスとトナー供給用現像剤担持体11に印加されたトナー供給バイアスにより形成された電界がトナーに与える力により、現像剤24中のトナーがトナー担持体25側へ供給される。
【0085】
通常、トナー担持体25には直流電圧に交流電圧を重畳したバイアスが加えられ、トナー供給用現像剤担持体11には直流電圧のみ、もしくは直流電圧に交流電圧を重畳したバイアスが加えられ、トナー供給領域7には直流電界に交番電界が重畳された電界が供給電界として形成される。
【0086】
この供給電界によりトナー担持体25に供給されたトナー層は、トナー担持体25の回転に伴って現像領域6へと搬送され、現像バイアスと像担持体1上の潜像電位とによって形成される現像電界により潜像が顕像へと現像される。現像方式は反転現像方式であってもよいし、または正規現像方式であってもよい。
【0087】
現像領域6でトナーを消費したトナー層(現像残トナー)は、さらにトナー回収用現像剤担持体26と対向するトナー回収領域8へと搬送される。
【0088】
一方、トナー供給領域7においてトナー担持体25へとトナーを供給した残りの現像剤24は、トナー回収用現像剤担持体26との対向部まで搬送され、トナー供給用現像剤担持体11の磁極S1とトナー回収用現像剤担持体26の磁極N4により形成される磁界によって、トナー回収用現像剤担持体26へと受け渡される。
【0089】
トナー回収用現像剤担持体26へと受け渡された現像剤24はトナー回収用現像剤担持体26のスリーブローラ27とともに回転移動して、トナー担持体25と対向するトナー回収領域8まで搬送される。
【0090】
トナー回収領域8では磁石体28の主磁極S3の磁力によって現像剤穂立ちが形成され、トナー担持体25に印加された現像バイアスとトナー回収用現像剤担持体26に印加されたトナー回収バイアスにより形成された電界がトナーに与える力により、トナー担持体25上の現像残トナーがトナー回収用現像剤担持体26側へ回収される。
【0091】
通常、トナー担持体25には直流電圧に交流電圧を重畳したバイアスが加えられ、またトナー回収用現像剤担持体26には直流電圧のみ、もしくは直流電圧に交流電圧を重畳したバイアスが加えられ、トナー回収領域8でも直流電界に交番電界が重畳された電界が回収電界として形成される。
【0092】
このトナー回収領域でのバイアス設定など、回収条件の詳細については後述する。
【0093】
トナー回収用現像剤担持体26上に回収されたトナーを含む現像剤24は、スリーブ27の回転とともに現像剤槽16に向けて搬送され、磁石体28の同極部N6、N4の反発磁界によってトナー回収用現像剤担持体26上から剥離され、現像剤槽16内へと回収される。
【0094】
図示しない補給制御部が、ATDCセンサ20の出力値から、現像剤24中のトナー濃度が画像濃度確保のための最低トナー濃度以下になったことを検出すると、図示しないトナー補給手段によってホッパ内に貯蔵された補給トナー23がトナー補給部10を介して現像剤槽16内へ供給される。
【0095】
(トナー回収領域での問題と除電部材の設定)
トナー回収領域でのトナー回収能力の問題と、その原因であるトナー回収用現像剤担持体表面のトナー蓄積、そしてそれを抑制するために表面付着トナーを除電する除電部材の設定について説明する。
【0096】
以下、まず従来の、本発明に係る除電部材41を設けていない場合を例にとって、トナー回収能力の問題について説明する。
【0097】
<バイアス設定とトナー回収について>
トナー回収領域8では、トナー担持体25に現像バイアスが加えられ、またトナー回収用現像剤担持体26にはトナー回収用のバイアスが加えられ、回収電界が形成される。この回収電界によりトナー担持体25からトナー回収用現像剤担持体へと現像残トナーが移動し、回収される。
【0098】
トナー担持体25に印加する電圧が、トナー回収用現像剤担持体26に印加する電圧との相対関係においてトナーと同極性側である場合、すなわちトナーをトナー回収用現像剤担持体26の方へ引き付ける方向のバイアスが印加される場合は、当然トナー回収領域8のトナーにはトナー担持体25上からトナー回収用現像剤担持体26側へ回収される力が加わる。
【0099】
しかし、この関係が逆方向である場合や、両者が同電位に設定されている場合でも、現像残トナーの回収は行われ得る。それは、トナー担持体25に印加する電圧に非画像部現像後の現像残トナーの電位も加えたトナー担持体25表面電位が、トナー回収用現像剤担持体26に印加する電圧との相対関係においてトナーと同極性側である場合である。
【0100】
その場合には、トナー回収領域8にはトナー担持体25上のトナーがトナー回収用現像剤担持体26側へ回収される方向の電界が形成され、現像残トナーの回収が行われる。
【0101】
なお、トナー担持体25あるいはトナー回収用現像剤担持体26に印加する電圧に交流電圧が含まれる場合には、電圧の相対関係は1周期の平均電位を基準に比較することでトナー回収領域8に回収電界が形成されるかどうかを判断できる。
【0102】
<トナーの蓄積と回収能力の低下>
トナー回収領域8では、このように回収電界によるトナーの回収が行われるが、同時にこの電界によって、トナー回収用現像剤担持体26表面に搬送されている現像剤中にも回収電界が形成される。この電界はキャリヤに付着し、搬送されているトナーにも、トナー回収用現像剤担持体26表面へと移動する向きの力を与える。
【0103】
すなわち、この回収電界が強いとトナー回収領域8で現像剤(穂立ち)中のトナーがキャリヤから分離され、トナー回収用現像剤担持体26表面へトナーが移動し、表面でのトナーの偏在が生じてくることが起こる。
【0104】
このようにトナーが表面に偏在した状態では、既述したようにトナー回収用現像剤担持体26から現像剤24を一旦除去する際に、偏在したトナーがそのままトナー回収用現像剤担持体26表面に残留する。その結果、繰り返し使用によってトナー回収用現像剤担持体26上にトナーの蓄積が生じる。
【0105】
帯電したトナーの蓄積は、トナー回収領域8での回収電界を阻害し、トナー回収能力を低下させてしまう。このため、現像残トナーの回収能力が長期間持続せず、画像形成の繰り返しとともにゴースト発生が問題となってくる。
【0106】
本実施形態では、トナー回収領域8での回収電界によるトナー回収用現像剤担持体26表面へのトナーの偏在が生じるのを防止するため、トナー回収用現像剤担持体26表面のキャリヤ剥離部40のキャリヤ剥離後の位置に当接して、付着したトナーを除電するための除電部材を設けている。
【0107】
<除電部材の機能動作について>
以下、本発明に係る除電部材41を設けた現像装置2aの例に戻って説明する。
【0108】
現像装置2aは、トナー供給用とトナー回収用の2つの現像剤担持体を設けたハイブリッド現像装置である。トナー回収用現像剤担持体26上には、現像剤24を分離して現像剤槽16へ戻すための同極部、すなわち現像剤24のキャリヤをその表面から剥離する部分であるキャリヤ剥離部40を設けている。
【0109】
そのキャリヤ剥離部40によるキャリヤ剥離後の位置に、トナーの電荷を除電するための除電部材41を設ける。除電部材41は、この位置に配設することで、上述したように回収動作時にトナー回収用現像剤担持体26表面に付着したトナーに対し、キャリヤを含む現像剤24に妨害されることなく直接作用することができる。
【0110】
トナー回収用現像剤担持体26表面に付着したトナーは主として静電的な力で付着しているが、除電部材41と摩擦帯電することでトナーの荷電低下が起こり、付着力が大きく低下してトナー回収用現像剤担持体26表面から比較的容易に離脱される状態になる。
【0111】
このトナーは、除電部材41による除電後、現像剤24が搬送される領域で再びキャリヤを含む現像剤24と接触するが、除電された効果で容易にキャリヤ中へと取り込まれるようになっている。そのため、除電部材41がない場合に発生し、回収能力低下の原因となっていた、トナー回収用現像剤担持体26上へのトナーの付着・蓄積が連続稼働中も発生しない。
【0112】
これにより、長期に渡ってトナー回収用現像剤担持体26のトナー回収能力が維持されることになり、現像残トナーの回収を確実に行うことができる。結果としてゴーストが発生しない高画質な現像装置及び画像形成装置を提供することができる。
【0113】
(除電部材の構成)
除電部材の構成について述べる。現像装置2aにおいて、除電部材41は、スリーブローラ27(すなわちトナー回収用現像剤担持体26)上のキャリヤ剥離部40のキャリヤ剥離後の位置に当接するように設けられる。
【0114】
除電部材41は少なくともトナー回収用現像剤担持体26との当接部表面が帯電系列上でトナーを除電するような極性の材料からなる。
【0115】
具体的にはトナーの正規帯電極性がマイナスの場合には、除電部材41はトナーよりもさらにマイナス極性の材料を、トナーの正規帯電極性がプラスの場合には、除電部材41はトナーよりもさらにプラス極性の材料を選択すればよい。
【0116】
このような材料の例として、例えばトナーの正規帯電極性がマイナスの場合には四弗化エチレン樹脂等のフッ素系樹脂などを例示でき、トナーの正規帯電極性がプラスの場合にはポリアミド(ナイロン)、シリコン系樹脂などを例示できる。
【0117】
また、除電部材41に適度な導電性を持たせると、トナーから除電した電荷を随時逃がして除電機能の低下を回避することができ好ましい。
【0118】
前記帯電系列上でトナーを除電するような極性の材料が絶縁性の場合には、導電性の良好な材料をこの中に分散させることで導電性を持たせることができる。これら材料に分散させる導電性良好な材料としては、カーボン、各種導電性金属粒子等の他、適当な荷電制御物質も例示できる。なお、この「分散」は荷電制御物質等を塗布することも含む概念である。
【0119】
またこのように除電部材41に導電性を持たせると、別の利点として除電部材41にバイアスを印加して使うことができる。除電バイアスは除電部材用バイアス電源34によって印加される。
【0120】
除電バイアスとしてはトナー回収用現像剤担持体26と同電位となるように同じ電圧を印加してもよいし、除電性をさらに高めるため、トナーを除電部材41の方へ引き付ける方向のバイアスを印加してもよい。すなわち、トナーがマイナス極性ならトナー回収用現像剤担持体26の電圧よりプラスの、トナーがプラス極性ならトナー回収用現像剤担持体26の電圧よりマイナスの電圧を印加してもよい。
【0121】
除電バイアスの波形としては、トナー回収用現像剤担持体26の電圧に一定の直流電圧をオフセットさせた波形でもよいし、さらにそれに交流電圧を重畳したバイアスを印加してもよい。トナー回収用現像剤担持体26と除電部材41との間のバイアスは、前者の場合には直流バイアスになり、後者の場合には直流バイアスに交流バイアスを重畳したものとなる。
【0122】
除電部材41の導電性は、バイアスが部材全体に均一に印加される程度の導電性を有していればよい。但し、トナー回収用現像剤担持体26と除電部材41との間で電位差を設ける場合には、抵抗値が低すぎるとリークの懸念があるため、表面抵抗率で10〜1010Ω/□程度の抵抗を与えておくとより好ましい。
【0123】
これ以外の別のリーク対策として、例えばトナー回収用現像剤担持体26の表面に抵抗層を設けるなどの方策を採ることも可能であり、その場合には除電部材41の導電性は先の範囲より低抵抗領域まで許容できるようになる。
【0124】
除電部材41の形態としては、スリーブローラ27と当接する形態であれば特に限定されないが、例えば図2(a)〜図2(f)に示すように種々の形態が考えられる。
【0125】
図2(a)は、可撓性を有するフィルム状の除電部材41aを片持ち支持させた形態であり、フィルムの弾性を利用してトナー回収用現像剤担持体に当接させている。トナー回収用現像剤担持体26と除電部材41aとの間で電位差を設ける場合にはフィルムの弾性の他、バイアスによる静電吸着力を当接力として働かせることができる。
【0126】
図2(b)は、同じく可撓性を有するフィルム状の除電部材41bを、両端のみを固定し当接部近傍を円弧状に張るように支持して当接させたものである。
【0127】
図2(c)は、フィルムの裏面から弾性を有する部材42、例えば発泡ウレタンフォームなどで除電部材41cを押圧して、トナー回収用現像剤担持体に当接させたものである。
【0128】
図2(d)は、金属などでできたローラの表面にトナーを除電する材料をコーティングした除電部材41dをトナー回収用現像剤担持体26に当接したものである。ローラはトナーの除電ができれば非回転でもよいし、トナー回収用現像剤担持体26によって従動でもよいし、専用の駆動源を設けて速度差を設けて回転させてもよい。
【0129】
図2(e)は、同じくローラ状の除電部材41eを用いたものであるが、図2(4)との違いはローラに弾性層を設けたことである。弾性層によって除電のための接触面積を確保し、また当接部でのストレスを低減できる。
【0130】
図2(f)は、片持ちにした金属などの板バネの自由端側に除電性を有する材料をコーティングし、その部分で除電部材41fをトナー回収用現像剤担持体と当接させたものである。
【0131】
以上、除電部材41の形態としていくつか例示したが、ここに挙げたものに限定されるものではない。
【0132】
(現像装置2bの構成と動作)
次に、本発明の別の実施形態による画像形成装置の主要部構成例を図3に示す。図3において図1と同様の働きをする部材には図1と同じ符号を付し、詳細説明は省略する。
【0133】
図3を参照して、別の実施形態に係る現像装置2bの構成と動作例を説明する。
【0134】
現像装置2bでは、除電部材としてトナーを除電する材料を当接する代わりに、放電によりトナーを除電する。従って、現像装置2aとは除電部材の構成、形態が異なるのみである。
【0135】
図3において除電部材51はコロトロン帯電器である。図示しない電源によりシールド電圧とワイヤ電圧が印加される。ワイヤには交流電圧が印加されており、コロナ放電によって正負両方の電荷を発生させる。この電荷がトナーの電荷を打ち消すように付着することによってトナーの除電が行われる。ワイヤに印加する電圧は必要に応じて直流電圧を重畳しても良い。
【0136】
図3ではコロナ帯電器としてコロトロン帯電器を用いた。図4(a)に除電部材51aとして示してある。
【0137】
また、図4(b)のように、除電部材51bとしてスコロトロン帯電器を用いてもよい。またコロナ帯電器以外でも放電による除電が可能なものは本発明に含まれる。
【0138】
例えば図4(c)に示すように、導電性のローラをトナー回収用現像剤担持体26に近接あるいは当接させて配設し、電圧を印加して放電を発生させトナーを除電する除電部材51cを用いてもよい。この場合印加する電圧としてはトナー回収用現像剤担持体26に対してトナーと逆極性の直流電圧、あるいは交流電圧、あるいは直流電圧と交流電圧を重畳した電圧が利用できる。
【0139】
別の例として、例えば図4(d)に示すように、導電性のフィルムをトナー回収用現像剤担持体26に当接させて配設し、トナーと逆極性の電圧を印加して当接部近傍での放電現象を利用する除電部材51dも例として挙げられる。
【0140】
上述のように、本実施形態に係る現像装置及び画像形成装置によれば、トナー回収用現像剤担持体によってトナー担持体上の現像残トナーの回収を確実に行い、またトナー回収用現像剤担持体へのトナーの蓄積を回避できるため、常にトナー担持体上に安定したトナー層が供給される。これにより、トナー回収能力が持続し、ゴーストの問題が発生しない高画質の画像を長期に渡って得ることができる。
【0141】
なお、上述の実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】本発明の一実施形態による現像装置2a及びそれを備えた画像形成装置の主要部の構成例を示す断面図である。
【図2】現像装置2aにおける除電部材の各形態例を示す断面図である。
【図3】別の実施形態に係る現像装置2b及びそれを備えた画像形成装置の主要部の構成例を示す断面図である。
【図4】現像装置2bにおける除電部材の各形態例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0143】
1 像担持体
2a、2b 現像装置
3 帯電部材
4 転写ローラ
5 クリーニングブレード
6 現像領域
7 トナー供給領域
8 トナー回収領域
11 トナー供給用現像剤担持体
12 スリーブローラ
13 磁石体
16 現像剤槽
24 現像剤
25 トナー担持体
26 トナー回収用現像剤担持体
27 スリーブローラ
28 磁石体
40 キャリヤ剥離部
41、51 除電部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーとキャリヤとを含む現像剤を収容する現像剤槽と、
前記現像剤槽から前記現像剤の供給を受けて担持搬送するトナー供給用現像剤担持体と、
前記トナー供給用現像剤担持体から前記トナーの供給を受けて担持搬送し、像担持体上の潜像を現像するトナー担持体と、
前記トナー担持体から現像残トナーを回収するトナー回収用現像剤担持体と、を備えた現像装置であって、
前記トナー回収用現像剤担持体は、その表面から前記キャリヤを剥離するキャリヤ剥離部を有し、
前記トナー回収用現像剤担持体の前記キャリヤ剥離部によるキャリヤ剥離後に、前記トナー回収用現像剤担持体の表面に付着しているトナーを除電する除電部材を備える
ことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記除電部材は、前記トナー回収用現像剤担持体に当接して配設され、
前記除電部材の少なくとも当接面は、接触帯電によってトナーを除電する材料からなる
ことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記除電部材は導電性を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記除電部材と前記トナー回収用現像剤担持体との間には、トナーを前記除電部材の方へ引き付ける向きのバイアス電圧が印加される
ことを特徴とする請求項3に記載の現像装置。
【請求項5】
前記トナー担持体と前記トナー回収用現像剤担持体との間には、トナーを前記トナー回収用現像剤担持体の方へ引き付ける向きのバイアス電圧が印加される
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の現像装置。
【請求項6】
前記除電部材の抵抗値は、
前記除電部材と前記トナー回収用現像剤担持体との間に印加するバイアスによって局所的なリークが発生しないように設定される
ことを特徴とする請求項4または5に記載の現像装置。
【請求項7】
前記トナー回収用現像剤担持体の抵抗値は、
前記除電部材と前記トナー回収用現像剤担持体との間に印加するバイアスによって局所的なリークが発生しないように設定される
ことを特徴とする請求項4または5に記載の現像装置。
【請求項8】
前記除電部材は、前記トナー回収用現像剤担持体と対向あるいは当接するように配設され、放電によってトナーを除電する
ことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項9】
前記除電部材は、コロナ放電によってトナーを除電する
ことを特徴とする請求項8に記載の現像装置。
【請求項10】
前記除電部材は導電性のローラである
ことを特徴とする請求項8に記載の現像装置。
【請求項11】
前記除電部材は導電性のフィルムである
ことを特徴とする請求項8に記載の現像装置。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか1項に記載された現像装置を備えた
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−282108(P2009−282108A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−131714(P2008−131714)
【出願日】平成20年5月20日(2008.5.20)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】