説明

現像装置、画像形成装置

【課題】球形に近いトナーを使用した場合でも、経時的にトナー供給ローラによる現像ローラからのトナー掻取り性が低下しない画像形成装置を提供する。
【解決手段】像担持体上に形成されている静電潜像に一成分トナーを供給して可視化せしめる弾性体からなる現像ローラ73と、トナーを現像ローラ73に供給するトナー供給ローラ72と、現像ローラ73に当接して現像ローラ73上のトナー層を薄層とするドクターブレード74と、を有する画像形成装置において、一成分トナーの粒子を平面に投影したとき、投影面積の等しい相当円の周囲長/トナー粒子の周囲長、で定義される円径度の平均値が0.95〜1.0の範囲にあり、トナー供給ローラは発泡体からなり、発泡体の密度が150〜200kg/mであることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、FAXなどに用いられる現像装置及びこれを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カラープリンタのカラー出力に対して高速化の要求が強まり、複数色の作像ユニットを並列に配置してカラー画像を形成する構成の画像形成装置が増加している。従来の画像形成装置の例を図9に示す。この画像形成装置は、一次転写部で像担持体500から中間転写ベルト501にカラー画像を転写し、二次転写部502で転写紙にカラー画像を転写する構成である。勿論、直接転写紙上に像担持体500からカラー画像を転写する構成も可能である。画像形成装置の1つであるカラープリンタでは、ユーザーがユニット交換しやすいように現像ユニット503と像担持体ユニット511を一体化する構成が多く用いられている。現像ユニット503に一成分現像装置を用いることにより装置の小型化・低コスト化を図ることができる。現像ユニット503を縦に長い構成にすることにより、必要な量のトナーを収容可能であり、図中の横幅方向のマシン幅を短くすることができる。図8では、帯電ローラ504で像担持体500を帯電した後に図示されていない書込み光学系により露光して潜像を形成し、一成分現像装置によりトナー像を形成して中間転写ベルト501に転写する。中間転写ベルト501上で各色のトナー像が重ね合わされ、二次転写部502で図示されていない紙搬送ユニットにより搬送されてきた転写紙に転写され、定着ユニット505でトナー像が転写紙に定着する。
【0003】
次に、現像ユニット503について説明する。図10に示す現像ユニット503の現像容器506内には、所定量の非磁性一成分のトナーTが収容されており、現像容器下部に配置されている発泡体からなるトナー供給ローラ507にトナーが供給される。トナー供給ローラ507と現像ローラ508は図の矢印の方向に所定の線速比で回転し、トナー供給ローラ507から現像ローラ508にトナーを供給する。現像ローラ508は弾性を有しており、また、粗い粒子を表層に付着させたり、あるいは表層自体を粗すことによりトナーの搬送性を持たせてある。現像ローラ508に付着したトナーは、トナー層規制部材であるドクターブレード509と現像ローラ508とのニップ部(ドクターニップ部)で摩擦帯電し、マイナス極性になる。そして、ニップ部を通過したトナーは、現像ローラ508上に所定厚さのトナー層を形成する。ニップ部の手前では必要な量より多いトナーが現像ローラ508に付着しているので、余分なトナーがドクターブレード509に遮られてトナー供給ローラ507側に戻る。このとき、トナーの重さが現像ローラ508側に加わるとドクターブレード509の手前でのトナーの循環性が低下する。そのため、図9の現像ユニット503では、ドクターブレード509の手前部分でトナーの重さが現像ローラ508に加わらないようにトナーを逃がすための圧逃がし板510が設けられている。
【0004】
ドクターニップ部通過後の現像ローラ508上の一様なトナー層により現像ニップ部で像担持体上の静電潜像が現像される。現像に用いられなかったトナーは、トナー供給ローラ507とのニップ部で現像ローラ508から掻き取られる。この掻取り効果が少ないと現像ローラ508上のトナー層に現像の履歴が残り、ドクターブレード通過後まで前の現像での履歴が残るため、現像ローラ508のピッチの残像が問題になる。また、掻き取られずに残ったトナーは現像ローラ508に強く付着しているので再びドクターブレード509を通過し、画像がない部分のトナーは現像ローラ508に付着したままになってドクターブレード509でのストレスを受け続け、劣化してブレード固着や現像ローラフィルミング等の原因となる。
【0005】
また、小型で低コスト化に向いている一成分現像装置を用いたカラー画像形成装置では、最近、高画質化の要求が強くなっている。そのため、一成分現像装置では、トナーを小粒径化して高画質化を図ることが必要となっている。そして、重合トナーによるトナーの小粒径化が主流として行われており、粒径分布を粉砕トナーよりもシャープにすることができる。また、重合トナーは粉砕トナーと比較して球形に近いため、添加剤を最適化することにより転写率が高くなるというメリットがある。しかし、球形に近いトナーを一成分現像装置で使用する場合、現像ローラ508のトナー搬送性を高める必要があり、現像ローラ表層を粗くする必要がある。現像ローラ508の表層を粗くすると、逆にトナー供給ローラ507でのトナーの掻取り性が低下するという問題がある。特に初期よりも経時の方がトナーの掻取り性が低下しやすい。
【0006】
トナー供給ローラ507としては、スポンジローラまたはブラシローラが用いられている。スポンジローラとブラシローラとでは、材料、帯電特性、表面抵抗及び負荷トルクなどが異なる特性を示し、且つ効果も異なる。ブラシローラを改良して経時的に掻取り性能を維持させた発明として、特許文献1に開示されるものが知られている。この特許文献1には、トナーが現像ローラとトナー供給スポンジローラとの接触圧により、徐々にスポンジ内部にトナーが入り込み、スポンジが肥大して現像ローラとの圧力が変わり、駆動負荷トルクが上昇する旨が記載されている。
【0007】
【特許文献1】特開2005−189405号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その課題は、球形に近いトナーを使用した場合でも、経時的にトナー供給ローラによる現像ローラからのトナー掻取り性が低下しない現像装置及びこれを備える画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する手段である本発明の特徴を以下に挙げる。
本発明の現像装置は、像担持体上に形成されている静電潜像に一成分トナーを供給して可視化せしめる弾性体からなる現像ローラと、トナーを現像ローラに供給するトナー供給ローラと、現像ローラに当接して現像ローラ上のトナー層を薄層とするトナー層規制部材と、を有する画像形成装置において、一成分トナーの粒子を平面に投影したとき、投影面積の等しい相当円の周囲長/トナー粒子の周囲長、で定義される円径度の平均値が0.95〜1.0の範囲にあり、トナー供給ローラは発泡体からなり、発泡体の密度が150〜200kg/mであることを特徴とする。
また、本発明の現像装置は、さらに、前記トナー層規制部材は、金属製の平板であり曲げ部分を有し、該曲げ部分は現像ローラに当接し、現像ローラの径方向断面におけるトナー層規制部材の現像ローラとの当接部の曲率半径をRとすると、R≧0.5であることを特徴とする。
また、本発明の現像装置は、さらに、前記現像ローラ表面の算術平均粗さRaは1.5〜2.5であることを特徴とする。
また、本発明の現像装置は、さらに、前記発泡体の材質は、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスルホン酸樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、スチレン樹脂、ナイロン樹脂、ポリ塩化ビニル、アルキド樹脂、シリコーン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フッ素樹脂等の樹脂、また、ポリブタジエン、ブタジエンスチレンゴム、ブタジエンアクリロニトリルゴム、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、クロルスルホン化ポリエチレン、ポリイソブチレン、イソブチレンイソプレンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、多硫化系合成ゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム等の合成ゴムから選択される少なくとも1種又は複数の共重合体であることを特徴とする。
また、本発明の現像装置は、さらに、前記発泡体には極性制御剤が含まれていることを特徴とする。
また、本発明の現像装置は、さらに、極性制御剤は、カップリング剤、カップリング剤で変性した樹脂、イオン性の染顔料や有機金属化合物、樹脂、及び変性シリコーンオイルから選択される少なくとも1種であることを特徴とする。
本発明の画像形成装置は、上記のいずれかに記載の現像装置を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上記解決する手段としての現像装置及びこれを備える画像形成装置では、一成分トナーの個々の粒子を平面に投影したとき、投影面積の等しい相当円の周囲長/各粒子の周囲長、で定義される円径度の平均値が0.95〜1.0の範囲にあり、トナー供給ローラは発泡体からなり、発泡体の密度を150〜200kg/mとしたので、球形に近いトナーを使用した場合でも、経時的にトナー供給ローラによる現像ローラからのトナー掻取り性を維持することができる。ひいては、ブレード固着や現像ローラフィルミングが発生しない。また、ドクターブレードの曲げRを0.5mm以上にすると、平均円形度が0.95以上のトナーに対しても現像ローラ表面の粗さを然程大きくすることなく十分なトナー搬送性を確保することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明における最良の形態の例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
【0012】
図1は、本発明の現像装置の一実施形態を備える画像形成装置を示している。画像形成装置本体の内部には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)用の像担持体(感光体ともいう)1Y,M,C,Kが並行して配設されている。すなわち、この画像形成装置は、タンデム型のカラーレーザー複写機である。画像形成装置本体は、プリンタ部100と、プリンタ部100を載せる給紙装置200とを備えている。圧板開閉式スキャナは、プリンタ部100の上に固定されたスキャナ部本体300と、スキャナ部本体300に回動自在に設けられた自動原稿送り装置400とを備えている。
上記プリンタ部100は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を形成するための4個のプロセスカートリッジ18Y,M,C,Kからなる画像形成ユニット20を備えている。各符号の数字の後に付されたY,M,C,Kは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック用の部材であることを示している。プロセスカートリッジ18Y,M,C,Kの他には、光書込ユニット21、中間転写ユニット17、二次転写装置22、及びベルト定着方式の定着装置25などが配設されている。
【0013】
原稿をコピーする際には、ユーザーは、例えばシート原稿の束を自動原稿送り装置400の原稿台30にセットする。または、1枚の原稿をコンタクトガラス32の上に載置する。1枚ずつコンタクトガラス32の上に載置する場合、先ず、スキャナ部本体300に対して自動原稿送り装置400を上方へ回動させ、コンタクトガラス32を露出させる。この後、コンタクトガラス32に原稿を載置し、次いで自動原稿送り装置400を下方へ回動させてコンタクトガラス32との間に原稿を挟み込む。
【0014】
このようにして原稿をセットした後、コピースタートスイッチを押下すると、スキャナ部本体300による原稿読取動作がスタートする。ただし、自動原稿送り装置400にシート原稿をセットした場合には、この原稿読取動作に先立って、自動原稿送り装置400が作動してシート原稿をコンタクトガラス32まで移動させる。原稿読取動作では、先ず、第1走行体33と第2走行体34とがともに走行を開始し、第1走行体33に設けられた光源から光が発射される。そして、原稿面からの反射光は、第2走行体34内に設けられたミラーで反射し、次いで、結像レンズ35を通過し、最後に読取センサ36に入射する。読取センサ36は、入射光に基づいて画像情報を構築する。シート原稿が自動原稿送り装置400によりコンタクトガラス32上に載置された場合には、シート原稿は原稿排紙部31に排紙される。
このような原稿読取動作と併行して、各プロセスカートリッジ18Y,M,C,K内の各機器、中間転写ユニット17、二次転写装置22、及び定着装置25がそれぞれ駆動を開始する。そして、読取センサ36によって構築された画像情報に基づいて、光書込ユニット21が駆動制御されて、各像担持体1Y,M,C,K上に、Y,M,C,Kトナー像が形成される。これらのトナー像は、中間転写ベルト110上に重ね合わせて転写され、4色トナー像となる。
【0015】
また、原稿読取動作の開始とほぼ同時に、給紙装置200は給紙動作を開始する。この給紙動作では、複数の給紙ローラ42のうちの1個が選択的に回転させられ、ペーパーバンク43内に多段に設けられた給紙カセット44のうちの1つから転写紙が送り出される。転写紙が送り出される際、分離ローラ45で1枚ずつ転写紙が分離されて1枚ずつ転写紙が給紙路46に進入する。その後、搬送ローラ対47によって二次転写ニップに向けて搬送される。一方、給紙カセット44からの給紙に代えて、手差しトレイ51からの給紙が行われる場合がある。この場合、手差し給紙ローラ50が選択的に回転させられ、手差し給紙ローラ50によって転写紙が画像形成装置内に送り出される。その際、複数枚の転写紙が相互の摩擦力により一体として搬送されようとするが、分離ローラ52があるので、転写紙は1枚ずつ搬送されることになる。このようにして1枚ずつ転写紙がプリンタ部100の手差し給紙路53に給紙される。
【0016】
以下、画像形成装置の構成要素(光書込ユニット21、中間転写ユニット17、二次転写装置22及び定着装置25)について説明する。なお、フルカラー画像を形成する場合を前提として説明する。
先ず、光書込ユニット21について説明する。光書込ユニット21は、図示しない光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラーなどを有し、画像データに基づいて像担持体1の表面にレーザー光を照射する。すると、帯電装置によって一様帯電された像担持体1は、レーザー光が照射された部分について表面電位が減衰する。この減衰により、像担持体1の表面に静電潜像が形成される。このようにして形成された静電潜像は現像ユニット7Y,M,C,Kによって現像されてトナー像となる。
なお、像担持体1に形成されたトナー像は、中間転写ベルト110に一次転写される。一次転写後の像担持体1の表面にはトナーが残っているため、クリーニング装置によって像担持体1の表面がクリーニングされる。そして、潤滑剤塗布装置を経た後、除電器によって除電され、帯電装置によって一様帯電され、初期状態に戻る。
【0017】
次いで、中間転写ユニット17について説明する。中間転写ユニット17は、中間転写ベルト110とベルトクリーニング装置90を有している。また、中間転写ユニット17は、従動ローラ14、駆動ローラ15、二次転写ローラ16、及び4個の一次転写ローラ62Y,M,C,Kを有している。中間転写ベルト110は、従動ローラ14を含む複数のローラによって張架されている。そして、中間転写ベルト110は、モータによって駆動される駆動ローラ15の回転によって無端移動する。4個の一次転写ローラ62Y,M,C,Kは、それぞれ中間転写ベルト110の内周面に接触するようにして配設され、図示しない電源から一次転写バイアス電圧が印加される。また、一次転写ローラ62Y,M,C,Kは、中間転写ベルト110をその内周面側から像担持体1Y,M,C,Kに向けて押圧して一次転写ニップを形成する。そして、一次転写バイアス電圧の影響により、像担持体1Y,M,C,Kと一次転写ローラ62Y,M,C,Kとの間(一次転写ニップ)に一次転写電界が形成される。
【0018】
像担持体1Y上に形成されたYトナー像は、この一次転写電界やニップ圧の影響によって中間転写ベルト110に一次転写される。このYトナー像には、像担持体1M,C,Kに形成されたM,C,Kトナー像が順次重ね合わされる。この重ね合わせにより、中間転写ベルト110には多重トナー像である4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
中間転写ベルト110に転写された4色トナー像は、二次転写ニップで転写紙に転写される。二次転写ニップ通過後にトナーが表面に残留した中間転写ベルト110は、従動ローラ14とベルトクリーニング装置90との間に挟み込まれ、ここでベルトクリーニング装置90によってクリーニングされる。
【0019】
次いで、二次転写装置22について説明する。二次転写装置22は、中間転写ユニット17の下方に設けられている。また、二次転写装置22は、2個の張架ローラ23によって張架された紙搬送ベルト24を備えている。紙搬送ベルト24は、少なくともいずれか一方の張架ローラ23の回転駆動に伴って、無端移動する。2個の張架ローラ23のうち、図中右側に配設された張架ローラ23は、二次転写ローラ16と対になって、中間転写ベルト110及び紙搬送ベルト24を挟み込んでいる。この挟込みにより、中間転写ベルト110と紙搬送ベルト24とが接触して二次転写ニップが形成される。そして、この右側の張架ローラ23には、トナーと逆極性の二次転写バイアス電圧が印加される。この二次転写バイアス電圧の印加により、二次転写ニップにおいて中間転写ベルト110から張架ローラ23側に向けてトナーが静電移動する二次転写電界が形成される。そして、中間転写ベルト110に転写された4色トナー像に同期するようにレジストローラ対49によって二次転写ニップに送り込まれた転写紙に、二次転写電界及びニップ圧の影響により4色トナー像が転写される。なお、張架ローラ23に二次転写バイアス電圧を印加する方式に代えて、帯電チャージャで転写紙を非接触状態で帯電させる方式を採用してもよい。
【0020】
画像形成装置本体の下部に設けられた給紙装置200には、複数の転写紙を束の状態にして収容可能な給紙カセット44が、鉛直方向に間隔を置いて複数配設されている。給紙カセット44の一番上の転写紙には、給紙ローラ42が押し当てられている。そして、給紙ローラ42を回転させることにより、一番上の転写紙は給紙路46に向けて送り出される。
【0021】
給紙カセット44から送り出された転写紙を受け入れる給紙路46には、複数の搬送ローラ対47と、給紙路46の末端付近に設けられたレジストローラ対49とが設けられている。転写紙は、搬送ローラ対47を介してレジストローラ対49に向けて搬送される。レジストローラ対49に向けて搬送された転写紙は、レジストローラ対49のローラ間に挟まれる。一方、中間転写ベルト110上に形成された4色トナー像は、ベルトの無端移動に伴って二次転写ニップに進入する。レジストローラ対49は、二次転写ニップにおいて4色トナー像を転写させることができるタイミングでローラ間に挟み込んだ転写紙を送り出す。これにより、二次転写ニップでは、中間転写ベルト110上の4色トナー像が転写紙に転写される。このようにしてフルカラー画像が印刷された転写紙は、紙搬送ベルト24の無端移動に伴って移動し、次いで紙搬送ベルト24から定着装置25に送られる。
【0022】
最後に、定着装置25について説明する。定着装置25は、定着ベルト26を2個のローラによって張架させながら無端移動させる装置であるベルトユニットと、定着ベルト26を押圧する加圧ローラ27とを備えている。定着ベルト26と加圧ローラ27とは互いに当接して定着ニップを形成しており、紙搬送ベルト24から受け取った転写紙をここに挟み込む。ベルトユニットにおける2個のローラのうち、加圧ローラ27に押圧される方のローラは、内部に図示しない熱源を備えており、このローラの発熱によって定着ベルト26を加熱する。加熱された定着ベルト26は、定着ニップに挟み込まれた転写紙を加熱する。この加熱やニップ圧の影響により、フルカラー画像が転写紙に定着する。
定着装置25で定着処理が施された転写紙は、プリンタ筐体の図中左側板から突設したスタック部57に排紙されるか、もう一方の面にもトナー像を形成するために二次転写ニップに戻されるかする。
【0023】
図2は、現像ユニット7の詳細を示している。図2に示す現像ユニット7の現像容器71内には、所定量の非磁性一成分のトナーTが収容されており、現像容器71の下部に配置されている発泡体からなるスポンジ状のトナー供給ローラ72にトナーTが供給される。トナー供給ローラ72と現像ローラ73は図中、矢印方向に所定の線速比で回転し、トナー供給ローラ72から現像ローラ73にトナーが供給される。現像ローラ73の表層は弾性を有する部材からなり、この弾性部材に粗い粒子を付着させたり弾性部材自体を粗すことによりトナーの付着性を高めている。現像ローラ73に付着したトナーは、トナー層規制部材であるドクターブレード74と現像ローラ73とのニップ部で摩擦帯電し、マイナス極性になる。そして、ブレードニップ部を通過したトナーにより、現像ローラ73上に所定厚さのトナー層が形成される。ブレードニップ部の手前では必要な量より多いトナーが現像ローラ73に付着しているので、余分なトナーがドクターブレード74に遮られてトナー供給ローラ72側に戻る。このとき、トナーの重さが現像ローラ73側に加わるとドクターブレード74の手前でのトナーの循環性が低下する。そのため、本実施形態の現像ユニット7では、ドクターブレード74の手前部分にトナーの重さが現像ローラ73に加わらないようにトナーを現像ローラ表面から逃がすための圧逃がし板75が設けられている。
【0024】
ドクターブレード74は、金属製の平板であり曲げ部分を有し、該曲げ部分は現像ローラ73に当接し、現像ローラ73の径方向断面におけるドクターブレード74の現像ローラ73との当接部の曲率半径をRとすると、R≧0.5とされている。
一成分トナー粒子を平面に投影したとき、
投影面積の等しい相当円の周囲長/トナー粒子の周囲長
で定義される円径度の平均値が0.95〜1.0の範囲にあり、トナー供給ローラ72は発泡体からなり、発泡体の密度が150〜200kg/mとされている。150kg/m以上としたのは、トナーの掻取り性能が経時で維持されるからである。200kg/m以下としたのは、経時でもセルがトナーによって埋まりにくく、掻取り性能が維持されるからである。
【0025】
トナー供給ローラ72のスポンジ状の表層剤としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスルホン酸樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、スチレン樹脂、ナイロン樹脂、ポリ塩化ビニル、アルキド樹脂、シリコーン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フッ素樹脂等の樹脂、また、ポリブタジエン、ブタジエンスチレンゴム、ブタジエンアクリロニトリルゴム、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、クロルスルホン化ポリエチレン、ポリイソブチレン、イソブチレンイソプレンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、多硫化系合成ゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム等の合成ゴムを用いることができる。これらを単独で用いることができるのは勿論、これらの樹脂の構成成分をモノマー単位で共重合させたものでもよく、さらには、ウレタンとアクリルを組み合わせて成る高分子物質のように2種類以上組み合わせて用いることもできる。これらの表層樹脂は、適当な溶媒に溶解・分散させ塗料としてコートする方法の他に、押し出し機などを用いてチューブ化したものを被覆する方法でもよい。
【0026】
また、トナー供給ローラ72の表層には、転写での電荷注入や放電により逆極性となったトナーを負極性に制御するための極性制御剤を付与するとよい。極性制御剤は、ローラ表層に分散混合する方法、ローラ表層にディッピングなどの手段でコートする方法などにより付与することができる。このような極性制御剤としては、例えば、カップリング剤、カップリング剤で変性した樹脂、イオン性の染顔料や有機金属化合物、樹脂、変性シリコーンオイルなどが挙げられるが、なかでも長期的な電荷制御性が安定しているカップリング剤が好適である。
カップリング剤としては、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤などであるが、以下に具体例を示す。
シラン系カップリング剤としては、例えば、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシランなどが挙げられる。
【0027】
図2で示した現像ユニット7に対して、次の2種のトナーをある条件で入れて、約30秒装置を駆動したときの現像ローラ73上の単位面積当たりに付着しているトナー量の測定値を図3に示す。
トナーの1種類は(トナーAと呼ぶ)粉砕法により製造した平均粒径5.8μmのトナーで、もう1種類は(トナーBと呼ぶ)重合法により製造した平均粒径5.3μmのトナーである。また、各トナーの平均円形度は、トナーA:0.93、トナーB:0.96である。平均円形度1.0は投影面が完全円形の形状で、円形度の値が小さい程球形から異なる。粉砕トナーは通常、平均円形度が0.93以下の形状であるが、重合トナーでは平均円形度が0.95以上のトナーを製造することができる。
【0028】
図3の横軸のパラメータには、現像ローラ表面の算術平均粗さRaを採っている。図から分かるように、トナーAとトナーBを比較すると、同じRa値の場合、円形度の高いトナーBの方が現像ローラ上のトナー付着量が低下する。
一般に、球形に近いトナーでは、所望のトナー付着量を得るために現像ローラの表面を粗くしてトナー搬送力を大きくする必要がある。しかし、現像ローラの表面粗さが大きくなると、トナー供給ローラによる現像ローラ上のトナーの掻取り性能が低下する。すなわち、トレードオフの関係にある。本発明では、後述する実験結果から確認されるように、球形に近いトナーでも現像ローラに十分なトナーを付着させることができる条件を見出した。
重合トナー(トナーB)は、懸濁重合法 や乳化重合法などを用いて作製することができる。以下、これらのトナー製造方法、及び該製造方法において用いる材料、添加剤等について説明する。
【0029】
(懸濁重合法)
油溶性重合開始剤、重合性単量体中に着色剤、離型剤等を分散し、界面活性剤、その他固体分散剤等が含まれる水系媒体中で後に述べる乳化法によって乳化分散する。その後重合反応を行い粒子化し、余剰にある界面活性剤等を洗浄除去してトナー粒子を得る。
重合性単量体としてアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミン、メタクリル酸ジメチルアミノエチルなどのアミノ基を有すアクリレート、メタクリレートなどを一部用いることによってトナー粒子表面に官能基を導入できる。
また、使用する分散剤として酸基や塩基性基を有すものを選ぶことよって粒子表面に分散剤を吸着残存させ、官能基を導入することができる。
【0030】
(乳化重合凝集法)
水溶性重合開始剤、重合性単量体を水中で界面活性剤を用いて乳化し、通常の乳化重合の手法によりラテックスを合成する。別途着色剤、離型剤等を水系媒体中分散した分散体を用意し、混合の後にトナーサイズまで凝集させ、加熱融着させることによりトナーを得る。
ラテックスとして懸濁重合法 に使用されうる単量体と同様なものを用いればトナー粒子表面に官能基を導入できる。
【0031】
(界面活性剤)
いずれのトナー製造方法に共通して、その粒子形成の際には、界面活性剤、樹脂微粒子等の分散安定剤が適宜加えられる。これらは、トナー粒径制御等を目的として添加されるものである。
このうち、粒子形成後のトナーの帯電性に影響を与えるものとしては、界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
【0032】
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果を挙げることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
【0033】
また、カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族1級、2級もしくは2級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−121(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキンエ業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
また特に、一般式(1)にて示される含フッ素四級アンモニウム塩化合物を用いることにより、環境変動時における帯電量変化が少なく安定した現像剤を得ることができる。
【0034】
【化1】

【0035】
(式中、X、Y、R1〜R4、r及びsは、それぞれ以下のものを表す。X:−SO2−または−CO−、R1,R2,R3,R4:水素原子、炭素数1〜10の低級アルキル基またはアリール基、Y:IまたはBr、r,s:1〜20の整数。)
【0036】
本発明は、上記界面活性剤がトナー粒子中に残存する量を、一定値以下となるように洗浄温度を規定することで、その帯電特性を安定化させることができる。
本発明に係るトナーは、その母体粒子が、例えば以下のような原料、並びに製造方法によって製造される。
【0037】
(変性ポリエステル)
本発明に係るトナーは結着樹脂として変性ポリエステル(i)を含む。変性ポリエステル(i)としては、ポリエステル樹脂中にエステル結合以外の結合基が存在したり、またポリエステル樹脂中に構成の異なる樹脂成分が共有結合、イオン結合などで結合した状態を指す。具体的には、ポリエステル末端に、カルボン酸基、水酸基と反応するイソシアネート基などの官能基を導入し、さらに活性水素含有化合物と反応させ、ポリエステル末端を変性したものを指す。
【0038】
変性ポリエステル(i)としては、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との反応により得られるウレア変性ポリエステルなどが挙げられる。イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)としては、多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の重縮合物で、且つ活性水素基を有するポリエステルを、さらに多価イソシアネート化合物(PIC)と反応させたものなどが挙げられる。上記ポリエステルの有する活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられ、これらのうち好ましいものはアルコール性水酸基である。
【0039】
ウレア変性ポリエステルは、以下のようにして生成される。
多価アルコール化合物(PO)としては、2価アルコール(DIO)及び3価以上の多価アルコール(TO)が挙げられ、(DIO)単独、または(DIO)と少量の(TO)との混合物が好ましい。2価アルコール(DIO)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコール及びビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、及びこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上の多価アルコール(TO)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0040】
多価カルボン酸(PC)としては、2価カルボン酸(DIC)及び3価以上の多価カルボン酸(TC)が挙げられ、(DIC)単独、及び(DIC)と少量の(TC)との混合物が好ましい。2価カルボン酸(DIC)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸及び炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上の多価カルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族多価カルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、多価カルボン酸(PC)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いて多価アルコール(PO)と反応させてもよい。
【0041】
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
【0042】
多価イソシアネート化合物(PIC)としては、脂肪族多価イソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアネート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;及びこれら2種以上の併用が挙げられる。
【0043】
多価イソシアネート化合物(PIC)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、ウレア変性ポリエステルを用いる場合、そのエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0044】
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の多価イソシアネート化合物(PIC)構成成分の含有量は、通常0.5〜40wt%、好ましくは1〜30wt%、さらに好ましくは2〜20wt%である。0.5wt%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40wt%を超えると低温定着性が悪化する。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有されるイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0045】
次に、ポリエステルプレポリマー(A)と反応させるアミン類(B)としては、2価アミン化合物(B1)、3価以上の多価アミン化合物(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、及びB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。
2価アミン化合物(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);及び脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1及びB1と少量のB2の混合物である。
【0046】
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2を超えたり1/2未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。また、ウレア変性ポリエステル中には、ウレア結合とともにウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0047】
本発明で用いられる変性ポリエステル(i)は、ワンショット法、プレポリマー法により製造される。変性ポリエステル(i)の重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。このときのピーク分子量は1000〜10000が好ましく、1000未満では伸長反応しにくくトナーの弾性が少なくその結果耐ホットオフセット性が悪化する。また10000を超えると定着性の低下や粒子化や粉砕において製造上の課題が高くなる。変性ポリエステル(i)の数平均分子量は、後述の変性されていないポリエステル(ii)を用いる場合は特に限定されるものではなく、前記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。(i)単独の場合は、数平均分子量は、通常20000以下、好ましくは1000〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。20000を超えると低温定着性及びフルカラー装置に用いた場合の光沢性が悪化する。
変性ポリエステル(i)を得るためのポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との架橋および/または伸長反応には、必要により反応停止剤を用い、得られるウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、及びそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
【0048】
(未変性ポリエステル)
本発明においては、前記変性されたポリエステル(i)単独使用だけでなく、この(i)と共に、未変性ポリエステル(ii)を結着樹脂成分として含有させることもできる。(ii)を併用することで、低温定着性及びフルカラー装置に用いた場合の光沢性が向上し、単独使用より好ましい。(ii)としては、前記(i)のポリエステル成分と同様な多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)との重縮合物などが挙げられ、好ましいものも(i)と同様である。また、(ii)は無変性のポリエステルだけでなく、ウレア結合以外の化学結合で変性されているものでもよく、例えばウレタン結合で変性されていてもよい。(i)と(ii)は少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、(i)のポリエステル成分と(ii)は類似の組成が好ましい。(ii)を含有させる場合の(i)と(ii)の重量比は、通常5/95〜80/20、好ましくは5/95〜30/70、さらに好ましくは5/95〜25/75、特に好ましくは7/93〜20/80である。(i)の重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
【0049】
(ii)のピーク分子量は、通常1000〜10000、好ましくは2000〜8000、さらに好ましくは2000〜5000である。1000未満では耐熱保存性が悪化し、10000を超えると低温定着性が悪化する。(ii)の水酸基価は5以上であることが好ましく、さらに好ましくは10〜120、特に好ましくは20〜80である。5未満では耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。(ii)の酸価は1〜5が好ましく、より好ましくは2〜4である。ワックスに高酸価ワックスを使用するため、結着樹脂成分は低酸価の方が帯電性や高体積抵抗につながるので二成分系現像剤に用いるトナーにはマッチしやすい。
【0050】
結着樹脂のガラス転移点(Tg)は通常35〜70℃、好ましくは55〜65℃である。35℃未満ではトナーの耐熱保存性が悪化し、70℃を超えると低温定着性が不十分となる。ウレア変性ポリエステルは、得られるトナー母体粒子の表面に存在しやすいため、本発明のトナーにおいては、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。
【0051】
(着色剤)
着色剤としては、公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。
【0052】
着色剤は樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造、またはマスターバッチとともに混練されるバインダ樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体、あるいはこれらとビニル化合物との共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
【0053】
(荷電制御剤)
荷電制御剤としては公知のものが使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSY
VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。このうち、特にトナーを負極性に制御する物質が好ましく使用される。荷電制御剤の使用量は、バインダ樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダ樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を超える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、荷電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電気的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。
【0054】
(離型剤)
離型剤としては、融点が50〜120℃の低融点のワックスが、バインダ樹脂との分散の中でより離型剤として効果的に定着ローラとトナー界面との間で働き、これにより定着ローラにオイルの如き離型剤を塗布することなく高温オフセットに対し効果を示す。このようなワックス成分としては、以下のものが挙げられる。ロウ類及びワックス類としては、カルナバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス、オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス、及びパラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス等が挙げられる。また、これら天然ワックスの外に、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス、エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス等が挙げられる。さらに、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド及び、低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ−n−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等)等、側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子等も用いることができる。
荷電制御剤、離型剤はマスターバッチ、バインダ樹脂とともに溶融混練することもできるし、勿論、有機溶剤に溶解、分散する際に加えてもよい。
【0055】
(外添剤)
外添剤としては、金属酸化物、金属炭化物、金属窒化物、金属炭酸化物等の無機微粒子を用いることができる。具体的には、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。
さらに、外添剤としては、有機微粒子を用いることができる。具体的には、高分子系微粒子、例えばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子を用いてもよい。
【0056】
また、本発明のトナーに用いる外添剤は、表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止することができる。例えば、アルキル基、フッ化アルキル基等を含むことのあるシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等のカップリング剤、シリコーンオイル、高級脂肪酸、フッ素化合物などが好ましい表面処理剤として挙げられる。
特に、カップリング剤の一例であるシランカップリング剤は、疎水化度、流動性の向上のために使用される。具体的には、シランカップリング剤としては、クロロシラン、アルコキシシラン、シラザン、特殊シリル化剤等を使用することができ、さらに、アルコキシシランが好ましい。アルコキシシランとしては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、I−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−ドデシルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
シリコーンオイルとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン等を使用することができ、さらに、フッ素を含有するシロキサン等を用いてもよい。
また、フッ素化合物としては、フッ素原子を有する有機ケイ素化合物が好ましく、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルトリクロロシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジクロロシラン、ジメトキシメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルメチルジクロロシラン等が挙げられる。
さらに、高級脂肪酸としては、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、リノール酸を挙げることができ、これら高級脂肪酸の金属塩を用いてもよい。具体的には、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸銅、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、オレイン酸亜鉛、オレイン酸マンガン、パルミチン酸亜鉛、リノール酸亜鉛、リノール酸カルシウム等が挙げることができる。
【0057】
また、本発明のトナーでは、外添剤は、疎水性シリカ微粉末等の無機/有機微粒子をガラスビーズ等の混合媒体とともに混合機内で外添処理する乾式混合を用いる。外添剤の混合は一般の混合機が用いられるがジャケット等装備して、内部の温度を調節できることが好ましい。外添剤の添加は、最初または途中で適宜添加する。混合機の例としては、V型混合機、ロッキングミキサー、レーディゲミキサー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサーなどが挙げられる。
また、水系および/またはアルコール系の溶媒中でトナーに外添処理する湿式 混合を用いる。この湿式 混合は、水系溶媒中に分散させたトナーに、外添剤を投入し、トナー表面に付着させる。また、この外添剤が疎水化処理されている場合は、少量のアルコールなどを併用して界面張力を下げて濡れやすくしてから分散させてもよい。その後、加熱して溶媒を除去して固定して、脱離を防止することができる。これによって、外添剤をトナー表面上に均一に分散させることができる。また、水系溶媒中にトナー、外添剤を分散させたときに、界面活性剤添加することにより、トナー表面に均一に外添剤が分散させることができる。さらに、外添剤又はトナーと逆極性の界面活性剤を使用することが好ましい。
【0058】
次に、トナーの製造方法について説明する。ここでは、好ましい製造方法について示すが、これに限られるものではない。
(トナーの製造方法)
1)着色剤、未変性ポリエステル、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー、離型剤を有機溶媒中に分散させトナー材料液を作る。
有機溶媒は、沸点が100℃未満の揮発性であることが、トナー母体粒子形成後の除去が容易である点から好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組み合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒及び塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。有機溶媒の使用量は、ポリエステルプレポリマー100重量部に対し、通常0〜300重量部、好ましくは0〜100重量部、さらに好ましくは25〜70重量部である。
【0059】
2)トナー材料液を界面活性剤、樹脂微粒子の存在下、水系媒体中で乳化させる。
分散乳化に使用する水系媒体は、水単独でもよいし、アルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などの有機溶媒を含むものであってもよい。
トナー材料液100重量部に対する、分散乳化に使用する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー材料液の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。20000重量部を超えると経済的でない。
【0060】
また、分散乳化に使用する水系媒体中の分散を良好にするために、界面活性剤、樹脂微粒子等の分散剤を適宜加える。
界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
【0061】
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果を挙げることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
【0062】
また、カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族1級、2級もしくは2級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−121(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキンエ業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
また特に、一般式(1)にて示される含フッ素四級アンモニウム塩化合物を用いることにより、環境変動時における帯電量変化が少なく安定した現像剤を得ることができる。
【0063】
【化2】

【0064】
(式中、X、Y、R1〜R4、r及びsは、それぞれ以下のものを表す。X:−SO2−または−CO−、R1,R2,R3,R4:水素原子、炭素数1〜10の低級アルキル基またはアリール基、Y:IまたはBr、r,s:1〜20の整数)
【0065】
樹脂微粒子は、水性分散体を形成しうる樹脂であればいかなる樹脂も使用でき、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよい。例えばビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。樹脂としては、上記の樹脂を2種以上併用しても差し支えない。
このうち好ましいのは、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られやすい点から、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂及びそれらの併用が好ましい。例えばビニル系樹脂としては、ビニル系モノマーを単独重合また共重合したポリマーで、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等の樹脂が挙げられる。樹脂微粒子の平均粒径は5〜200nm、好ましくは20〜300nmである。また、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等の無機化合物分散剤も用いることができる。
【0066】
上記の樹脂微粒子、無機化合物分散剤と併用して使用可能な分散剤として、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させてもよい。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸−β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−β−ヒドロキシエチル、アクリル酸−β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの含窒素化合物、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
【0067】
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。この中でも、分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。
【0068】
3)乳化液の作製と同時に、アミン類(B)を添加し、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)との反応を行わせる。
この反応は、分子鎖の架橋および/または伸長を伴う。反応時間は、ポリエステルプレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)との反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
【0069】
4)反応終了後、乳化分散体(反応物)から有機溶媒を除去し、洗浄、乾燥してトナー母体粒子を得る。
有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に層流の攪拌状態で昇温し、一定の温度域で強い攪拌を与えた後、脱溶媒を行うことでトナー母体粒子が作製できる。また、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能なものを用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、トナー母体粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
洗浄の終点は、乾燥前の濾過ケーキを少量採取し、トナーのTgの1℃以上で、10℃以下、より好ましくは、1℃以上で、5℃以下のイオン交換水を加え、TKホモミキサー(回転数12,000rpmで10分間)で混合した後、減圧濾過し、濾液の比電導度が、60μS/cm以下、さらに好ましくは、35μS/cm以下となるまで、水洗を行い、乾燥を行う。
【0070】
5)上記で得られたトナー母体粒子に、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子等の無機微粒子を外添させ、トナーを得る。
無機微粒子の外添は、ミキサー等を用いた公知の方法によって行われる。
これにより、小粒径であって、粒径分布のシャープなトナーを容易に得ることができる。さらに、有機溶媒を除去する工程で強い攪拌を与えることで、真球状からラクビーボール状の間の形状を制御することができ、さらに、表面のモフォロジーも滑らかなものから梅干形状の間で制御することができる。
【0071】
(平均円形度)
さらに、本実施形態のトナーBは、平均円形度が0.95以上である。円形度の高いトナーは、現像電界の影響を受けやすく、静電潜像の電界に沿って忠実に現像される。微小な潜像ドットを再現する際には緻密で均一な現像がされることで細線再現性が高くなる。また、円形度の高いトナーは、その表面は滑らかで適度な流動性を持つために電界の影響を受けやすく、電界に沿って忠実に転移しやすいために転写率が高くなり、高品位の画像を得ることができる。しかし、トナーの平均円形度が0.95未満では、忠実な現像、転写率の高い転写ができなくなるため、平均円形度は0.95以上が好ましい。
【0072】
次に、トナー供給ローラによるトナーの掻取り性能について説明する。全ベタ画像出力中では現像ローラ上のトナー層は、図4に示すように像担持体1と現像ローラ73のニップ部でほぼ100%のトナーが像担持体1上に移動する。
図中、斜線の部分がトナー層で、実際には非常に薄い層であるが、図4では模式図として分かりやすいように厚い層で示している。矢印で示したBの位置にトナーは殆ど残っていないので、矢印で示したAの位置のトナー層はトナー供給ローラ72から供給されて1回だけドクターブレード74を通過したトナーとなる。それに対し、白紙部で現像ローラ73が回転しているときは図5に示すように、Bの位置ではトナーが付着したままでトナー供給ローラ72により一旦掻き取られ、また別のトナーが供給される。このとき、トナー供給ローラ72でほぼ100%トナーが掻き取られていれば、全ベタを出力しているときと同じようにAの位置のトナーはトナー供給ローラ72から供給されたトナーのみになり、Aの位置の現像ローラ73上のトナー付着量を測定すると、全ベタ出力時と白紙時はほぼ一致する。これに対し、トナー供給ローラ72での掻取り性が低いと、掻き取られずに現像ローラ73上に付着したままのトナーに新たに供給されたトナーが加わるので、Aの位置でのトナー付着量は全ベタ出力時より増加し、掻取り性が低い程その差が大きくなる。
【0073】
図6に重合法で製造した平均円形度が0.96のトナーを用いて、ある現像ユニット条件で白紙駆動を1時間行ったときの白紙時と全ベタ出力時の現像ローラ上のトナー付着量を示す。図に示すように1時間駆動後の白紙時と全ベタ出力時のトナー付着量の差が非常に大きくなり、経時でトナー供給ローラによる掻取り性が低下したのが分かる。この原因は、発泡体であるトナー供給ローラの表面のセルに経時でトナーがかなり詰まった状態になり、現像ローラのトナーを掻き取りにくくなったためであると考えられる。そのため、白紙時と全ベタ出力時の現像ローラ上のトナー付着量が初期及び経時で一致し、且つ変動が少ないときが経時でも掻取り性が低下しない条件と考えられ、誤差因子を白紙時と全ベタ出力時及び初期と経時とし、制御因子として掻取り性に効く可能性がある因子を設定し、直交実験を行い品質工学の望目特性で現像ローラ上のトナー付着量を評価した。その結果を解析すると、SN比の要因効果図が図7の結果となった。
【0074】
図7で、因子A,B,Cのそれぞれにおいて水準については1番目、2番目、3番目の水準と記している。トナー供給ローラのスポンジ部分の密度の水準は、100kg/m、150kg/m、200kg/mである。図から分かるように、トナー供給ローラのスポンジ部分の密度の効果が他の因子の効果と比較して大きく、密度を150kg/mとすることによって、大きな利得が得られることが分かる。発泡体の密度が大きいということは、セル径が小さく且つ単位体積当たりのセルが多いということであり、経時でもセルがトナーによって埋まりにくく、掻取り性能が維持されるものと考えられる。
【0075】
図3から分かるように、円形度が0.95以上のトナーBでも現像ローラ表面を粗くすることで所望のトナー付着量を得ることができる。しかし、接触現像では、現像ローラ表面の粗さが大きいとその影響により、ハーフトーン部の粒状性が低下する。そのため、あまり現像ローラ表面の粗さを大きくしないで所望の現像ローラにトナーを付着させなければならない。
そのため、初期の白紙後トナー付着量の特性として、前記のトナーと現像ユニットを用い、制御因子としてトナー付着量に効く可能性がある因子を設定し、直交実験を行ってトナー付着量の工程平均を求めた。図8にその結果を示す。
因子D、Eの水準については1番目、2番目、3番目の水準と記している。現像ローラ表面粗さRaが最も有意差があるが、ブレード曲げRにも有意差があることが分かる。粉砕トナーでは、その他の因子でもトナー付着量に対して有意差があるが、円形度の高いトナーに対してはその他の因子の効果は小さい。そのため、円形度が高いトナーに対してもブレード曲げRを0.5mm以上とすることにより現像ローラの粗さをあまり大きくすることなく所望のトナー付着量を得ることができる。
【0076】
すなわち、上述した実施形態では、一成分トナーの個々の粒子を平面に投影したとき、 投影面積の等しい相当円の周囲長/各粒子の周囲長 で定義される円径度の平均値が0.95〜1.0の範囲にあり、トナー供給ローラは発泡体からなり、発泡体の密度が150〜200kg/mとしたので、球形に近いトナーを使用した場合でも、経時的にトナー供給ローラによる現像ローラからのトナー掻取り性を維持することができる。ひいては、ブレード固着や現像ローラフイルミングが発生しない。また、ドクターブレードの曲げRを0.5mm以上にすると、平均円形度が0.95以上のトナーに対しても現像ローラ表面の粗さを然程大きくすることなく十分なトナー搬送性を確保することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】図1は、本発明の画像形成装置の第1実施形態を示す説明図である。
【図2】図2は、図1の現像ユニットの詳細を示す説明図である。
【図3】図3は、2種のトナーを用いて現像ローラ上のトナー付着量を測定した結果を示すグラフである。
【図4】図4は、現像ローラから像担持体へトナーが移動する場合のトナーの搬送の流れを示す説明図である。
【図5】図5は、現像ローラから像担持体へトナーが移動しない場合のトナーの搬送の流れを示す説明図である。
【図6】図6は、白紙時とベタ画像時とにおける初期時と経時との現像ローラへのトナー付着量を示す説明図である。
【図7】図7は、現像ローラ上のトナー付着量望目特性SN比と各因子との関係を示すグラフである。
【図8】図8は、初期の現像ローラ上のトナー付着量工程平均と各因子との関係を示すグラフである。
【図9】図9は、従来の画像形成装置の要部を示す説明図である。
【図10】図10は、従来の現像装置を示す説明図である。
【符号の説明】
【0078】
1 像担持体
7 現像ユニット
71 現像容器
72 トナー供給ローラ
73 現像ローラ
74 ドクターブレード
75 圧逃がし板
14 従動ローラ
15 駆動ローラ
16 二次転写ローラ
17 中間転写ユニット
18 プロセスカートリッジ
20 画像形成ユニット
21 光書込ユニット
22 二次転写装置
23 張架ローラ
24 紙搬送ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
30 原稿台
31 原稿排紙部
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読取センサ
42 給紙ローラ
43 ペーパーバンク
44 給紙カセット
45 分離ローラ
46 給紙路
47 搬送ローラ対
49 レジストローラ対
50 手差し給紙ローラ
51 手差しトレイ
52 分離ローラ
53 手差し給紙路
57 スタック部
62 一次転写ローラ
90 ベルトクリーニング装置
100 プリンタ部
110 中間転写ベルト
200 給紙装置
300 スキャナ部本体
400 自動原稿送り装置
500 像担持体
501 中間転写ベルト
502 二次転写部
503 現像ユニット
504 帯電ローラ
505 定着ユニット
506 現像容器
507 トナー供給ローラ
508 現像ローラ
509 ドクターブレード
510 圧逃がし板
511 像担持体ユニット
T トナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体上に形成されている静電潜像に一成分トナーを供給して可視化せしめる弾性体からなる現像ローラと、
トナーを現像ローラに供給するトナー供給ローラと、
現像ローラに当接して現像ローラ上のトナー層を薄層とするトナー層規制部材と、
を有する現像装置において、
一成分トナーの粒子を平面に投影したとき、
投影面積の等しい相当円の周囲長/トナー粒子の周囲長
で定義される円径度の平均値が0.95〜1.0の範囲にあり、
トナー供給ローラは発泡体からなり、発泡体の密度が150〜200kg/mである
ことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の現像装置において、
前記トナー層規制部材は、金属製の平板であり曲げ部分を有し、
該曲げ部分は現像ローラに当接し、
現像ローラの径方向断面におけるトナー層規制部材の現像ローラとの当接部の曲率半径をRとすると、
R≧0.5である
ことを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1に記載の現像装置において、
前記現像ローラ表面の算術平均粗さRaは1.5〜2.5である
ことを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項1に記載の現像装置において、
前記発泡体の材質は、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスルホン酸樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、スチレン樹脂、ナイロン樹脂、ポリ塩化ビニル、アルキド樹脂、シリコーン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フッ素樹脂等の樹脂、また、ポリブタジエン、ブタジエンスチレンゴム、ブタジエンアクリロニトリルゴム、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、クロルスルホン化ポリエチレン、ポリイソブチレン、イソブチレンイソプレンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、多硫化系合成ゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム等の合成ゴムから選択される少なくとも1種又は複数の共重合体である
ことを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項4に記載の現像装置において、
前記発泡体には極性制御剤が含まれている
ことを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項5に記載の現像装置において、
極性制御剤は、カップリング剤、カップリング剤で変性した樹脂、イオン性の染顔料や有機金属化合物、樹脂、及び変性シリコーンオイルから選択される少なくとも1種である
ことを特徴とする現像装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の現像装置を備えている
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−282265(P2009−282265A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−133890(P2008−133890)
【出願日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】