現像装置、画像形成装置
【課題】トナーと現像剤を効率良く余計なストレスをかけずに混合撹拌し、現像剤の帯電量を外乱条件によらず効率的に調整し、適切なトナー濃度と帯電量を持った現像剤を必要な量だけ連続的に供給可能とする。
【解決手段】イオン化気流により現像部からの排出現像剤の帯電量を調整(低減)し、補給トナーの分散性を向上させ、余計なストレスをかけずに適正な帯電量に速やかに調整することが可能とする。スクリュ43で下から上に持ち上げられた現像剤は、撹拌部材44の回転で下方に運動し、再びスクリュ47の周囲に寄せ集められる対流をなす。これで現像剤撹拌部40内全体が均一に混合される。現像剤が対流することで接触確率が上がり、現像剤へのダメージも少ない。イオン化気流により撹拌前に帯電量を低減させる際には、均一にトナー帯電量を適正な値まで立ち上げ得る。
【解決手段】イオン化気流により現像部からの排出現像剤の帯電量を調整(低減)し、補給トナーの分散性を向上させ、余計なストレスをかけずに適正な帯電量に速やかに調整することが可能とする。スクリュ43で下から上に持ち上げられた現像剤は、撹拌部材44の回転で下方に運動し、再びスクリュ47の周囲に寄せ集められる対流をなす。これで現像剤撹拌部40内全体が均一に混合される。現像剤が対流することで接触確率が上がり、現像剤へのダメージも少ない。イオン化気流により撹拌前に帯電量を低減させる際には、均一にトナー帯電量を適正な値まで立ち上げ得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複写機等の二成分現像剤を用いた現像装置と、これを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
二成分現像剤を用いた現像装置は、トナーとキャリアからなる二成分現像剤を用いて像担持体(感光体等)上に形成された静電潜像をトナーにより現像して可視化する装置である。
【0003】
このような装置では、現像領域で現像処理を終了してトナーが消費された現像剤は回収され、補給されるトナーと混合、撹拌され、再び現像に供されることが多い。従って、このような構成の現像装置に用いられる現像剤は、安定したトナー画像を得るために、一定のトナー濃度と帯電量を維持する必要がある。トナー濃度は現像で消費したトナーと補給トナー量により調整され、帯電量はキャリアとトナーとの混合時の摩擦帯電により付与されるからである。そこで、この種の現像装置では、トナーとキャリアからなる二成分現像剤の撹拌を充分に行い、トナー濃度分布を均一化するとともに、トナーに帯電を付与し、トナー画像の安定化を行っている。
【0004】
しかし、トナーの帯電量は様々な要因によって変化し、同一の撹拌条件でも帯電量が異なる。例えば、前記要因とは、周囲の環境(温湿度)、経時のキャリアの帯電性能低下、出力画像面積によるトナー帯電量の変化、すなわち、トナーの滞留時間による帯電量の差などである。また、新たに補給されるトナー量により、帯電量にばらつきが生じる。トナー量が多い場合は、混合撹拌に時間がかかるからである。
【0005】
従来、一般的なこの種の現像装置では、補給されたトナーが現像スリーブに汲み上がるまでのわずかな時間の間に2本のスクリュの回転による撹拌効果を利用してトナーの分散・帯電付与を行っているため、特にトナーの収支が多い場合、補給されたトナーが充分に分散せずに、現像スリーブに汲み上がり、地汚れ、トナー飛散といった品質課題が発生する。
【0006】
このような混合撹拌不足に伴うトナー飛散や画像欠陥を防止するために、現像装置内の混合撹拌部材を多数設けて混合撹拌性を向上させたものが提案されているが、これによって初期の問題は解決されたものの、一方では現像剤の撹拌ストレスを増加させ、現像剤の経時劣化による帯電能力低下を引き起こし、結果として帯電量が安定せず、経時でのトナー飛散や地肌汚れ等の課題が残されている。なお、現像剤にストレスを与えると、キャリアのコート膜の削れによる帯電能力低下、トナーの添加剤埋没度による帯電能力低下、流動性変化などが起こる。流動性の変化によっても帯電能力の変化や転写率変化による画質低下の原因になる。
【0007】
これらを解決するために、特許文献1では、現像部から離れた場所に別途に撹拌部を設け、現像部と撹拌部を循環手段によって接続し、現像剤の状態に応じた撹拌を撹拌部で行い、トナー濃度、帯電量を適切に調整した現像剤を現像部に供給する現像装置が提案されている。特許文献1の撹拌部は同文献の図14に示す構成を有し、複数の撹拌部材を設けた回転軸を回転させることで撹拌を行っている。このような撹拌方式は幅広く用いられているが、撹拌動作が単一になりやすく、容器内全体を撹拌するためには、時間がかかる。従って、撹拌部を大きくし、滞留する現像剤量を増やし、長く撹拌部に留める必要があった。また短時間に撹拌するために、撹拌の回転速度を増加させると、現像剤へのダメージが懸念される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこのような従来技術にかんがみてなしたもので、補給されたトナーと現像剤を短時間に効率良く、余計なストレスをかけることなく混合撹拌を行うとともに、現像剤の帯電量を外乱条件(使用条件)によらず、効率的に調整し、現像部に適切なトナー濃度と帯電量を持った現像剤を現像に必要な量だけ連続的に供給することが可能な現像装置、画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の現像装置のうち請求項1に係るものは、トナーとキャリアからなる二成分現像剤を用いた現像装置であって、現像部と、現像剤撹拌部を別体にして備えるとともに、イオン化気流発生手段を備え、前記現像部と前記現像剤撹拌部を現像剤が循環する現像装置において、前記現像剤が循環する経路中に、トナー及びキャリアの帯電量を調整するためのイオン化気流の導入口を備えてなることを特徴とする。
【0010】
同請求項2に係るものは、請求項1記載の現像装置において、前記現像部から前記現像剤撹拌部への排出経路中にイオン化気流の導入口を備えていることを特徴とする。
【0011】
同請求項3に係るものは、請求項1記載の現像装置において、前記現像剤撹拌部から前記現像部への供給経路中にイオン化気流の導入口を備えていることを特徴とする。
【0012】
同請求項4に係るものは、請求項1記載の現像装置において、前記現像剤撹拌部にイオン化気流の導入口を備えていることを特徴とする。
【0013】
同請求項5に係るものは、請求項1乃至4のいずれかに記載の現像装置において、前記イオン化気流発生手段の動作を任意にオン/オフ可能とし、また正イオンと負イオンのイオンバランスを任意に制御可能としてなることを特徴とする。
【0014】
同請求項6に係るものは、請求項1乃至5のいずれかに記載の現像装置において、前記イオン化気流の導入口に、少なくともキャリアが通過できないメッシュ、多孔質板もしくはそれらと同等の機能を有する手段を配してなることを特徴とする。
【0015】
同請求項7に係るものは、請求項1から6のいずれかに記載の現像装置において、前記現像剤の循環中において、現像剤の循環方向に対向する向きからイオン化気流を導入することを特徴とする。
【0016】
同請求項8に係るものは、請求項1から7のいずれかに記載の現像装置において、前記トナーの補給口を前記現像部から前記現像剤撹拌部への排出経路中でかつ前記イオン化気流の導入口に対して前記トナーの搬送方向上流側に設けてなることを特徴とする。
【0017】
同請求項9に係るものは、請求項1から8のいずれかに記載の現像装置において、前記現像剤撹拌部の撹拌部材の回転数を任意に制御可能としてなることを特徴とする。
【0018】
同請求項10に係るものは、請求項1から9のいずれかに記載の現像装置において、前記現像剤を循環させる手段が、前記イオン化気流によるエア搬送であることを特徴とする。
【0019】
同請求項11に係るものは、請求項1から10のいずれかに記載の現像装置において、前記トナー及びキャリアの帯電量の調整が、帯電量の低減であることを特徴とする。
【0020】
同請求項12に係るものは、請求項2に記載の現像装置において、前記排出経路の上部に前記イオン化気流の導入口を介して前記イオン化気流発生手段を設け、前記イオン化気流発生手段は、ケースと、ケース内部に配置される共にケースとの間にバイアス電圧が印加されたワイヤ部材を備えてなり、バイアス電圧の印加による放電に起因して発生するイオンを前記ケース内に送気される気流で搬送しイオン化気流となし、前記イオン化気流の導入口から前記排出経路内にイオン化気流を導入することを特徴とする。
【0021】
同請求項13に係るものは現像剤を担持して搬送する現像ローラと、長手方向に現像剤を搬送しながら、該現像ローラに現像剤を供給する第1搬送スクリュと、該第1搬送スクリュの現像剤搬送方向とは逆方向に現像剤を搬送する第2搬送スクリュとを備えた現像装置において、該第2搬送スクリュの現像剤搬送方向上流側にトナーを補給するトナー補給口と、該トナー補給口よりも現像剤搬送方向下流側であって、該第2搬送スクリュの下部にイオン化気流を導入するイオン化気流導入口とを配置したことを特徴とする現像装置である。
【0022】
同請求項14に係るものは、請求項1から14のいずれかに記載の現像装置を備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、補給されたトナーと現像剤を短時間に効率良く、余計なストレスをかけることなく混合撹拌を行え、現像剤の帯電量を外乱など使用条件によらずに効率的に調整でき、現像部に適切なトナー濃度と帯電量を持った現像剤を現像に必要な量だけ連続的に供給し得る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施対象となる画像形成装置の一例の全体構成を示す図
【図2】本発明の実施例の現像部、現像剤撹拌部、ロータリフィーダ部、エアポンプの構成を詳細に示す斜視図
【図3】現像部の内部の構成を示す図
【図4】イオン化気流発生手段であるイオナイザの構成図
【図5】現像部から現像剤撹拌部への現像剤排出流路中にイオン化気流導入口を設け、イオナイザからのイオン化気流を流路を通して現像剤排出流路へと送る状態の断面図
【図6】図5のメカニズムの模式図
【図7】現像剤撹拌部及びロータリフィーダ部の断面及び詳細を示す図
【図8】本発明の第2の実施例を示す斜視図
【図9】本発明の第3の実施例を示す断面図
【図10】本発明の第4の実施例を示す断面図
【図11】本発明の第5の実施例を示す断面図
【図12】本発明の第5の実施例に使用するプレ混合部を示す図
【図13】本発明の第5の実施例の現像部、現像剤撹拌部、ロータリフィーダ部、エアポンプの構成を詳細に示す斜視図
【図14】本発明の第5の実施例の変形例を示す断面図
【図15】本発明の第6の実施例を示す断面図
【図16】イオン化気流による帯電量制御の実験例を示す図
【図17】円筒状容器が円筒軸方向に回転し、その回転運動と容器側面からの磁力により、容器内部の現像剤(トナー及びキャリア)が撹拌される状態を示す図
【図18】本発明の第7の実施例を示す断面図
【図19】本発明の第8の実施例を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、トナーとキャリアからなる二成分現像剤を用いる装置であって、現像部と、現像剤撹拌部を別体にして備えるとともに、イオン化気流発生手段を備え、前記現像部と前記現像剤撹拌部を現像剤が循環する現像装置を、前記現像剤が循環する経路中に、トナー及びキャリアの帯電量を調整するためのイオン化気流の導入口を備えて構成するものとしている。また、イオン化気流の導入口は、現像部から現像剤撹拌部への排出経路中、現像剤撹拌部から現像部への供給系路中、現像剤撹拌部に設けることとしている。そして、イオン化気流発生手段の動作を任意にオン/オフ可能とし、また正イオンと負イオンのイオンバランスを任意に制御可能とすると共に、イオン化気流の導入部には、キャリアが通過できないメッシュ、多孔版板もしくはそれらと同等の機能を有する手段を配し、現像剤の循環方向に対向する向きからイオン化気流を導入するものとする。
【実施例1】
【0026】
図1は本発明の実施対象となる画像形成装置の一例の全体構成を示す図である。この装置は、カラーの画像形成装置であり、図中81は装置本体で、中間転写ベルト85の下方にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色に対応する作像ユニットが配置される。各色作像ユニットの構成は同様であり、感光体1、帯電部82、現像部2、一次転写部84、クリーニング部83などで構成される。
【0027】
動作は、まず、感光体1は帯電部82によって一様な帯電を与えられ、次に図示しない光書込みユニットによって、作成する画像に対応した静電潜像が感光体1表面に形成され、現像部2によって潜像が現像されて、トナーの像が感光体1上に形成される。このようにして各作像ユニットでできた各色のトナー像は一次転写部84によって中間転写ベルト85の表面に順に転写される。これによって中間転写ベルト85上にはフルカラーのトナー像が形成される。このフルカラートナー像は給紙カセット87から供給される転写紙に二次転写部88によって転写され、次に定着部89を通過することで、熱によってトナーが解けて転写紙にカラー画像が定着される。90は作成された画像を排出する排紙部である。なお図中91はエア吸引口、92は外部空気吸引路、93は除湿装置、94は空気取り入れ口である。
【0028】
本発明の構成では、現像部2に特徴があり、通常は現像に用いられる現像剤(トナーとキャリアの混合体)は現像ユニットの中で撹拌混合されるのみであるが、本発明の構成では、現像部2と離れた場所に現像剤撹拌部40を設け、この現像剤撹拌部40は現像剤の撹拌を確実に行い、従来以上にトナーの帯電を安定して行い、これによって安定した画像形成を行うことを可能とする。
【0029】
その動作を説明する。現像部2で現像を行った後の現像剤は現像剤排出流路3によって現像部2から排出されて現像剤撹拌部40に送り込まれる。次に現像剤撹拌部40では新しいトナーの補給も行われて、図示しない撹拌フィンによって充分に撹拌され、その後図示しないロータリフィーダによって定量ずつ排出される。排出される現像剤はエアポンプ60により送られるエアの圧力によって搬送されて、現像剤供給流路4を通って現像部2に戻される仕組みである。新しいトナーの補給はトナーホッパー30から少量ずつトナーを排出することで行われる。
【0030】
図2は本発明の実施例の現像部2、現像剤撹拌部40、ロータリフィーダ部、エアポンプの構成を詳細に示す斜視図である。図中1は感光体ドラムであり、図示しない帯電器及び光書込み装置によって表面に静電潜像が形成される。2は現像部である(内部の構成は図3に示す)。また40は現像剤撹拌部の全体を示す。現像部2の現像剤排出部から排出される現像剤は現像剤排出流路3の中を自重により落下し、現像剤撹拌部40内部に投入される。
【0031】
現像剤撹拌部40において、撹拌部材44を設けた軸は、撹拌用モータ45によりギア46を介して回転駆動される。また現像剤撹拌部40にはトナーの消費に伴いトナーホッパー30より新しいトナーが補給される。トナー補給は駆動用モータ32により、トナー供給路31内部を通って補給される。図2(b)に示すように、トナー供給路31内部には小型の搬送スクリュ(オーガ)35が配置されてトナーを一定量搬送することができる構成となっている。図中41は後述するロータリフィーダ50へのトナーの出口開口である。
【0032】
ロータリフィーダ50は、内部の羽根車を回転させて撹拌された現像剤を一定量ずつ排出する働きをする。図中55はロータリフィーダ駆動用のモータである。
【0033】
ロータリフィーダ50より定量排出される現像剤は、エアポンプ60より供給される空気圧により、現像剤供給流路4の内部をエアによって搬送されて、現像部の現像剤投入部5に戻される。なお図中99はイオナイザ、103はイオン化気流導入口である。
【0034】
図3は現像部2の内部の構成を示す図である。図中20は現像ローラであり、内部に磁石を配置し、現像剤を吸着搬送して感光体1表面の静電潜像にトナーを付着させる働きをする。図中21、22は搬送スクリュであり、搬送スクリュ21はその長手方向(図の紙面垂直方向)中央位置に設けられた現像剤投入部5から供給された現像剤を図中手前方向と奥方向に向かって分割搬送するように駆動される。搬送スクリュ22では現像剤が図中奥から手前に向かって搬送されるように回転駆動される。また、搬送スクリュ22の手前側には現像剤を外部に排出するための現像剤排出部が設けられている。図中25は現像スリーブに付着する現像剤を一定量に均すためのドクターブレード、23は現像部をカバーするケーシングである。
【0035】
次に本発明の特徴である、イオン化気流及び、撹拌部について説明する。図4はイオン化気流発生手段であるイオナイザ99の構成図である。イオナイザ99内部には電極針100が設けられ、電極針100に正負のパルス状高電圧を印加してコロナ放電させることにより、両電極針から正負のイオンを発生させる。生成した正イオンと負イオンは気流口101を通じて、プロペラやエアポンプなどから送られてくる気流に乗ることで、イオン化気流となりイオン化気流導入口へと運ばれる。また、正負のイオンバランスを変化させるためには図4のようにイオン化気流の流路内に電極102を設け、そこに電位を設定することで、反対の極性のイオンが引き付けられる(図4(B)では負電位にすることで正イオンが電極に引き付けられている)ことで、一方のイオンバランスに偏ったイオンを発生することも可能である。この他、イオナイザ99には電極針に直流電圧を印加することで、正又は負のどちらかのイオンを発生するものや、軟X線や真空紫外線を用いてイオンを発生することで、オゾンの発生を抑制するタイプなどもあり、本発明では適宜用途に合うものを使用することができる。
【0036】
図5は現像部から現像剤撹拌部への現像剤排出流路中にイオン化気流導入口を設け、イオナイザからのイオン化気流を流路を通して現像剤排出流路へと送る状態の断面図である。図2及び図5に示す例では、現像部2から現像剤撹拌部40への現像剤排出流路3中にキャリアが通過できないメッシュ又は多孔質板104を介してイオン化気流導入口103が設けられ、イオナイザ99からのイオン化気流がイオン化気流導入口103及びメッシュ又は多孔質板104を通して現像剤排出流路3へと送られている。イオン化気流は、図5に示すように、現像剤排出流路3中を移動する現像剤へと吹きかけられ、現像剤中のトナー又はキャリアにイオンが引き付けられることで現像剤の帯電量が変化(低減)する。
【0037】
図6は上述のメカニズムの模式図であり、例えば正のイオンはマイナスに帯電したトナーへと引き付けられ、トナー電荷は減少し、プラスに帯電したキャリアは負イオンが引き付けられることで電荷が減少する。現像部から排出された現像剤全体に対して、連続的にイオン化気流を吹きかけることで、現像剤の帯電量は均一に低下する。
【0038】
一般的に、トナーの帯電量は、様々な要因によって変化し、同一の撹拌条件でも帯電量が異なる。例えば、前記要因とは、周囲の環境(温湿度)、経時のキャリアの帯電性能低下、出力画像面積によるトナー帯電量の変化、すなわち、トナーの滞留時間による帯電量の差などがある。さらに、帯電量の違いにより静電的な付着力にも差が生じ、現像装置内に滞留したトナーと新たに補給されるトナーではそれらの差が顕著である。しかしながら、本発明では撹拌前のトナー間帯電量差を低減させることで、静電的付着力の差がなくなり、補給トナーと現像装置内に滞留していたトナーを均一に現像剤中に分散させることが可能で、また、トナー帯電量自体も安定化させることができる。
【0039】
図7は他の例に係る現像剤撹拌部40及びロータリフィーダ50の断面及び詳細を示す図である。現像剤撹拌部40では現像剤の撹拌、トナー帯電を行い、適切なトナー濃度と帯電量を持った現像剤を連続的に安定して供給する役割がある。そのため、短時間に効率良く現像剤を撹拌する必要があり、かつ現像剤に与えるストレスが少ないことが望まれる。
【0040】
現像剤撹拌部40は逆円錐型など排出口に向かうほど径が細くなる形状をしており、その上面には現像剤補給口33が、下面には排出口34が設けられている。中心には下から上に剤を搬送するスクリュ43、その外側には回転可能な板状部材44が2本設けられており、これらの撹拌部材44の回転動作によって現像剤が混合される。外側の撹拌部材44とスクリュ43は撹拌用モータ45によって回転する。スクリュ43はモータと直結されており、外側撹拌部材44は、ギア46a〜46dを介して、回転する(減速している)。現像剤撹拌部40での補給口から、排出口までの搬送は重力を利用している。現像剤撹拌部40にはバッファとして常に現像剤が存在するため、未混合の現像剤がそのまま排出されることはない。
【0041】
トナー供給路31内には螺旋形状のオーガ35が設けられ、駆動源である駆動用モータ32にその一端が接続され(図2参照)、回転駆動される。これによりトナーが搬送され現像剤溜まり中に補給され、補給されたトナーは現像剤ととともに板状部材である撹拌部材44により、速やかに混合撹拌される。
【0042】
本発明では上記したように、イオン化気流により現像部からの排出現像剤の帯電量を調整(低減)することで、補給トナーの分散性が向上しているため、余計なストレスをかけずに適正な帯電量に速やかに調整することが可能である。
【0043】
スクリュ43の回転によって下から上に持ち上げられた現像剤は、外側を回転する撹拌部材44の回転に伴い下方に運動し、再びスクリュ47の周囲に寄せ集められる。このように現像剤撹拌部40内の収容部では絶えず現像剤が対流している。この対流により、現像剤撹拌部40内全体が、均一に混合される仕組みである。トナーの帯電はトナーとキャリアの摩擦によって付与されるため、帯電量をすばやく得るためにはトナーとキャリアの接触確率を上げることが重要である。本願発明者らの検討によって、現像剤撹拌部40の収容部内で現像剤が対流することにより接触確率が上がり、かつ、現像剤へのダメージも少ないことがわかった。本発明のようにイオン化気流により撹拌前に帯電量を低減させる際には、均一にトナー帯電量を適正な値まで立ち上げることが可能である、本構成の撹拌機が適している。
【0044】
現像剤撹拌部40の下方にはロータリフィーダ50が接続されている。内部には羽根車51が図のように配置され回転することによって一定量ずつの現像剤が下方に排出される構成である。ロータリフィーダ50より排出される現像剤はエアポンプ60より送られてくるエアにより、図中で左から右に送られ空気流に乗って現像部まで搬送されるものである。エアポンプ60から空気取り入れ口までの構成は図2と同様である。
【実施例2】
【0045】
図8は本発明の第2の実施例を示す斜視図である。この例では、現像剤循環経路の現像剤撹拌部40から現像部2への供給経路である現像剤供給流路4中にイオン化気流導入口103を備えている。周囲の環境(例えば湿度)などの要因で撹拌部内において現像剤の帯電量が上昇しすぎてしまった場合や、現像剤が劣化などの影響で帯電量にばらつきがある(帯電量分布がブロード)場合の際は、撹拌後の現像剤にイオン化気流を吹きかけてやることで、帯電量が高すぎるために現像に使われることがないトナーや、弱帯電・逆帯電トナーなどの帯電量を調整することが可能となる。この際、正イオンや負イオンのイオンバランスを調整することで、より適正な帯電量に調整することが可能である。また、撹拌された現像剤の帯電量が適正な場合はイオナイザをOFFすることで無駄にエネルギーを使ってイオンを生成することもなくなる。適正な帯電量かを検知する手段としては、現像部に設けたトナー濃度センサや中間転写ベルト85(図1参照)上のトナー付着量を検知する光学センサなどの関係から間接的に予想することが可能である。
【0046】
さらに、現像剤撹拌部40の撹拌部材44の回転数を制御可能とすることで、使用条件(環境や出力画像)により、トナー帯電量が低い際は回転数を上げ、高い際は回転数を下げる(トナー補給がない場合は停止させる)とともに、イオン化気流で帯電量を低減させることで、適正なトナー帯電量を得ることが可能となり、トナー帯電量のばらつきによる、濃度むらや地汚れなどといった画像品質問題が起こることを無くすことができる。また、イオン化気流導入口を現像剤循環経路の現像剤排出流路3、現像剤供給流路4の両方に備えることで、トナー帯電量制御をより精度良く行うことができる。
【実施例3】
【0047】
図9は本発明の第3の実施例を示す断面図である。この例では、第2の実施例と同様の構成を備えた現像剤撹拌部40にイオン化気流導入口103を備えており、図8で説明した効果が同様に得られるようになっている。さらに、現像剤撹拌部40にイオン化気流を導入すると、現像剤撹拌部40内の現像剤を流動化させ、撹拌によるストレスを低減すると伴に、現像剤のトナー濃度、帯電量を均一にすることが可能である。
【実施例4】
【0048】
図10は本発明の第4の実施例を示す断面図である。この例では、イオン化気流導入口103にキャリアが通過できないメッシュ又は多孔質板104を備えることで、導入口への現像剤の逆流や導入口の詰まりを抑制することが可能である。また、多孔質板104を現像剤の流れに対して傾斜して配置し、現像剤の移動方向に対抗した向きからイオンを導入するようにしている。図5に示した例のように単純に現像剤移動方向に対して横方向からイオン化気流を導入してしまうと、循環する現像剤の一部にのみイオンが導入されてしまい、現像剤に対するイオンの導入が不十分となることがあるのに対して、本例のように現像剤の移動方向に対抗した向きからイオンを導入すれば、移動する現像剤にむらなく均一にイオンを導入することができる。
【実施例5】
【0049】
図11は本発明の第5の実施例を示す断面図、図12は本発明の第5の実施例に使用されるプレ混合部を示す図、図13は本発明の第5の実施例の構成を詳細に示す斜視図である。本例では、図13に示すように、現像剤排出流路3は、プレ混合部200を介して現像剤撹拌部40に接続されている。プレ混合部200にはイオン化気流導入口103が接続されてイオン化気流が導入され、現像剤排出流路3内の現像剤をイオン化している。プレ混合部200は、図11及び図12に示すように、円筒形をなした筐体210内に、現像剤分散部材105と、メッシュ104とを配置したものである。メッシュ104は、円筒形の筐体210内に逆円錐形状であり、イオン化気流は現像剤の循環方向に対向する向きから導入できるようになっている。また、現像剤分散部材105は、現像剤の移動方向(この場合は落下方向)に対して2つの斜面を上部でつきあわせた屋根型をなす部材を配置したもので、効果的に現像剤を分散してイオン化気流に当てることができる。
【0050】
本例では、これによりメッシュ104の側面側に分散された現像剤がメッシュ104上を移動する際に、メッシュ104が流動床の役割を果たし、イオン化気流を現像剤全体に導入できる。
【0051】
図14は本発明の第5の実施例の変形例を示す断面図である。この例では、現像剤分散部材105を頂点が上方に向いた円錐形状の形状をなしている。この例のように、現像剤分散部材105を円錐形状とすると、現像剤を均一に分散しやすいため、イオン化気流が現像剤に均一に吹き付けることができる。なお、現像剤分散部材105は円錐形の他、3角錐、4角錐などの角錐形とすることができる。
【実施例6】
【0052】
図15は本発明の第6の実施例を示す断面図である。トナー補給口が現像部から撹拌部への排出経路の途中、イオン化気流導入口の上流側に設けられていて、螺旋形状のオーガ35が回転することで、トナー供給路31からトナーが補給される。補給されたトナーは現像部から排出された現像剤と伴に循環経路中を移動し、イオン化気流導入部で現像剤中に分散される。イオンは帯電しているトナーやキャリアに優先的に引き付けられて、その帯電量を低減させ、新たに補給されたトナーが分散しやすい状態になる。また、プレ混合の役割を果たすため、この後の撹拌部での混合・撹拌も容易に行えるため、撹拌部での現像剤へのストレスを抑制することも可能である。
【0053】
なお、前記第5及び第6の実施例に示したプレ混合部200を使用する場合、現像剤分散部材105は、金属製あるいは樹脂製とすることができる。また、現像剤に吹き付けられる当たる前にイオン同士が打ち消しあったり、容器側面に吸収されたりするのを防ぐため、現像剤分散部材105にバイアス電圧を印加し、イオンにエアの他に電気的な駆動力を与えることができる。さらに、現像剤分散部材105を重力方向に垂直な回転軸により回転させ、撹拌効果を向上させることができる。また、上記例ではイオン化気流導入口103は一個所としているが、イオン化気流導入口103を多数個所に設け、現像剤により均一にイオン化気流を吹きかけることができる。
【0054】
また、上記したように、図2(図8も同様)ではロータリフィーダ50から排出される現像剤はエアポンプ60より送られてくるエアにより、図中で左から右に送られ空気流に乗って現像部まで搬送されている。この現像剤の搬送を、エアポンプ60の変わりにイオナイザ99からのイオン化気流で行うことにより、別途ポンプを設ける必要がなく、現像装置の簡素化も可能である。
【0055】
図16はイオン化気流による帯電量制御の実験例を示すグラフ、図17は図16に示した実験に用いた円筒状容器及び側面磁石を示す図である。
実験条件は、
現像剤:トナー粒径6μm、キャリア粒径35μm
撹拌装置:円筒状容器106が円筒軸を軸として回転し、その回転運動と容器側面に配置された側面磁石107からの磁力により、容器内部の現像剤(トナー及びキャリア)が撹拌される(図17)
円筒状容器:直径φ30mm、高さ40mm、回転数180rpm、
側面磁石:1000G、3000G
【0056】
図16(A)はトナー濃度4wt%の現像剤5gを3000Gの側面磁石を取り付けた上記撹拌装置で20分間撹拌し、撹拌後イオン化気流を吹きかけない現像剤(イオナイザ処理前)と、撹拌後イオン化気流を吹きかけた現像剤(イオナイザ処理後)を帯電量測定装置(商品名E−spartアナライザ)によりトナーの帯電量分布を測定した結果である。撹拌したままの現像剤は強撹拌を行ったために、高帯電側にブロードな分布を持っている。このような現像剤は、トナーとキャリアの付着力が強いために現像部で現像されないために画像濃度が薄くなる問題が生じる。一方で、イオン化気流を吹きかけた現像剤は、帯電量が低減し、さらに帯電量分布がシャープになっているため、現像する際に適正な帯電量に調整されていることがわかり、現像の効率も向上すると考えられる。
【0057】
図16(B)は上記の2種類の現像剤(イオナイザ未処理剤、イオナイザ処理剤)4gにトナー濃度が7wt%になるようにNEWトナーを補給し、側面磁石1000Gを取り付けた撹拌装置で1分間にわたり撹拌を行った結果である。イオナイザ未処理の現像剤と比較してイオナイザ処理を行った現像剤は高帯電側にシフトしていて、帯電が速やかに起こっていることがわかる。これは、強撹拌により強いストレスを受けたトナー(現像剤)中に補給トナーが速やかに分散し、イオナイザ未処理剤と比較して撹拌が良好に行われたためだと考えられる。
【0058】
このように、撹拌前にイオン化気流を吹きかけると、補給トナーの分散性が向上し、撹拌後にイオン化気流を吹きかけることで、不適当な帯電量のトナーを適正な帯電量に調整することが可能であることを確認できた。
【実施例7】
【0059】
図18は本発明の第7の実施例を示す断面図である。図18(A)は現像部の軸方向からの断面を、図18(B)は上方向からの断面を示す。
【0060】
図中20は現像ローラであり、内部に磁石を配置し、現像剤を吸着搬送して感光体1の表面の静電潜像にトナーを付着させる働きをする。図中21は第1搬送スクリュ、22は第2搬送スクリュであり、第1搬送スクリュ21は図18(B)中の長手方向右側から左側へ搬送するように駆動され、現像ローラ20へと現像剤を供給し、第2搬送スクリュ22は現像剤が左側から右側へ搬送されるように回転駆動され、搬送中に図18(B)中(a)部に補給されたトナーを混合・撹拌しながら現像剤の搬送を行う。
【0061】
図中25は現像スリーブに付着する現像剤を一定量に均すためのドクターブレード、23は現像部をカバーするケーシングである。さらに本発明ではイオン化気流導入口が撹拌を行う第2搬送スクリュ22の下に設けられている。現像剤は、図中(a)部の上方からトナーが補給され、同(b)部で下から流入したイオン化気流とメッシュ104によって流動化され、イオンが導入される(導入された気流は上部に設けられたフィルタ24から外部へと排出される)。イオンが導入された現像剤は、帯電量が低減し(補給トナーと現像剤中のトナーとでトナー/キャリア間での静電的付着力に差がなくなることになり)、補給トナーが現像剤中に混合・分散されやすい状態になる。また、帯電量自体のばらつきも低減され、トナー濃度・帯電量が均一化された現像剤は第2搬送スクリュ22によって搬送され、第1搬送スクリュ21によって現像ローラ20へと供給される。このとき、トナー濃度と帯電量が適正化されているため、画像濃度を経時で安定して保つことができる。
【0062】
ここで、イオン化気流導入口103をトナー補給口よりもやや下流に設けているのは、補給トナーがイオン化気流により舞い上がることを防ぐためである。トナーと現像剤では比重が異なるため、多量のトナーが補給されると補給トナーが現像剤と混ざらず、上滑りが発生することになるが、トナー補給口の真下に導入口があると、気流によりこれをさらに助長してしまうと考えられるからであり、この構成により上滑りを防止することができる。
【0063】
図19は本発明の第8の実施例を示す模式図である。図19(A)は現像部、現像剤撹拌部、ロータリフィーダ部、エアポンプの構成を示す模式図、(B)は除電器の構成を示す模式図、(C)は除電器の構成を示す断面図である。
【0064】
本例では、現像部2と現像剤撹拌部40との間に配置される現像剤排出流路340の上部に多孔質板330を介して帯電チャージャ300を配置し、現像剤排出流路350内を通過する現像剤に帯電チャージャ300で発生したイオン化気流を送出するようにしている。帯電チャージャ300は、エアが導入されるケース310内にケーブル320を配置し、ケース310とケーブル320との間に例えば3kV以上のバイアス電圧を印加し、放電によって発生するイオンを前記エアにより送出するものである。なお、図中350は現像剤搬送用のスクリュを示している。
【0065】
発明者の実験によれば、一般的なイオナイザよりも本例に係る帯電チャージャを用いた場合、イオンの発生量が多く、単位時間あたりの除電効果が高いという結果が得られた。
【0066】
以上説明したように、トナーとキャリアからなる二成分現像装置であり、現像部と、現像剤撹拌部が別体に設けられ、該現像部と該撹拌部を現像剤が循環し、イオン化気流発生手段を有する現像装置において、前記現像剤循環経路の現像部から現像剤撹拌部への排出経路中に、トナー及びキャリアの帯電量を調整(低減)するためのイオン化気流の導入口を備えることで、補給トナーの分散性向上、撹拌性向上、トナー帯電量安定化を図れる。すなわち、従来の電子写真の現像ユニット内では、消費されることなく現像ユニット内でストレスを受けたトナーと、新たに補給されたフレッシュなトナーがある(ユニット内の剤中トナーの履歴はそれぞれ異なっている)。このような状態の異なるトナー(トナーの添加剤が埋没したり離脱するなどして状態が異なったりするなど)が存在する状態で補給トナーの混合・撹拌を行うと、帯電量の違いや、それに伴う静電的付着力の違いにより、現像に用いられない強帯電トナーや画像品質に悪影響を及ぼす弱帯電トナーが発生してしまう。このような課題に対して、撹拌する前のトナー帯電量を調整し、補給トナーと現像装置内のトナーの帯電量を均一にする(例えば帯電量を低減させてやる)ことで、トナー/キャリア間の静電的付着力の差が小さくなり、補給トナーの混合・分散性の向上や撹拌後のトナー帯電量分布の安定化により、画像品質を安定に保つことが可能となる。また、帯電量を調整する手段としてイオン化気流を流入させることで、現像剤中に均一にイオンを導入することが可能となる。
【0067】
また、本発明は、トナーとキャリアからなる二成分現像装置であり、現像部と、現像剤撹拌部が別体に設けられ、該現像部と該撹拌部を現像剤が循環し、イオン化気流発生手段を有する現像装置において、前記現像剤循環経路の撹拌部から現像部への供給経路中、撹拌部の少なくとも一方に、トナー及びキャリアの帯電量を調整(低減)するためのイオン化気流の導入口を備え、トナー帯電量分布の安定化を図れる。すなわち、現像装置内を繰り返し循環し、過度な撹拌により帯電量が高くなりすぎたり、また使用条件(周囲の環境変化や出力する画像面積)の違いから同条件の撹拌を行っても帯電量は変化したりすることから、トナー(現像剤)の帯電量をイオン化気流により調整(低減)することで、現像に用いられることがない強帯電トナーの割合を減少させることが可能である。また、帯電量分布がシャープにすることもできるため、経時で安定した画像品質を保つことができる。
【0068】
またイオン化気流の発生手段の動作は任意にON/OFF可能であり、また正イオンと負イオンのイオンバランスが任意に制御可能であるようにすると、適正な帯電量調整が図れ、現像装置内の現像剤の状態(トナー濃度や帯電量)に応じてイオナイザを動作させたり、そのイオンバランスを変化させたりすることで、無駄にイオンを現像剤に導入することなく適正な帯電量に保つことができる。
【0069】
また、イオン化気流導入口に少なくともキャリアが通過できないメッシュ、多孔質板もしくはそれに代替するものを備えることで、現像剤への均等なイオン導入を図れる。キャリアが通過できないメッシュや多孔質板を備えることで、導入口への現像剤の逆流を防ぐことができ、また、現像剤へ均一にイオン導入することが可能となるのである。
【0070】
さらに、現像剤循環中において、現像剤の循環方向に対抗する向きからイオン化気流を導入することで、イオン化気流を現像剤の循環方向の側面から流入させると、イオンが現像剤の一部にしか導入されないが、対抗する向きから気流を送ることで、全体にむらなく送ることができる。また、メッシュ、多孔質板との組み合わせにより、現像剤を流動状態にすることができ、より均一にイオンを分散させることができる。
【0071】
さらに、トナー補給口を現像部から現像剤撹拌部への排出経路中かつ、イオン化気流導入口の上流に設けることでトナー分散性、撹拌性の向上を図り、補給されたトナーをイオン化気流で現像剤とプレ混合することで、現像剤中に均一に分散させることが可能となり、その後の撹拌を効率良く行うことができる。
【0072】
またさらに、撹拌部の撹拌部材の回転数を任意に制御可能とすることでトナー帯電量の安定化を図り、帯電量が低い場合には撹拌部材の回転数を上げることで帯電量を上昇させ、逆に高い場合はイオナイザにより帯電量を低下させてやることで、必要に応じた適切な帯電量を安定して得ることが可能となる。
【0073】
そして、現像剤循環手段をイオン化気流による(エア)搬送とすることで装置の簡素化を図り、現像剤の循環手段にエア搬送などを用いる場合は、搬送のためのエアと、イオンを送るためのエア(気流)を一つのポンプにより共通化することで、装置構成を簡素化することを可能とする。
【0074】
なお、本発明は、トナーとキャリアからなる二成分現像装置において、イオン化気流発生手段を有し、イオン化気流排出口を現像剤(トナー)の撹拌部に設けることで補給トナーの分散性向上、撹拌性向上、トナー帯電量安定化を図り、撹拌部と現像部が別体に設けられていない構成においても現像剤の撹拌時にイオン化気流を吹きかけることで、補給トナーの分散性や帯電量の調整を行うことを可能とするものである。すなわち、現像部と撹拌部を別体に設けなくとも(例えば、スクリュで搬送しながら撹拌を行う従来の現像装置)、所望の効果を得ることを可能とするものである。
【符号の説明】
【0075】
1:感光体
2:現像部
3:現像剤排出流路
4:現像剤供給流路
5:現像剤投入部
20:現像ローラ
21:第1搬送スクリュ
22:第2搬送スクリュ
23:ケーシング
24:フィルタ
25:ドクターブレード
30:トナーホッパー
31:トナー供給路
32:駆動用モータ
33:現像剤補給口
34:排出口
35:搬送スクリュ(オーガ)
40:現像剤撹拌部
41:トナーの出口開口
43:スクリュ
44:撹拌部材(板状部材)
45:撹拌用モータ
46:ギア
46a〜46d:ギア
47:スクリュ
50:ロータリフィーダ
51:羽根車
55:ロータリフィーダ駆動用のモータ
60:エアポンプ
81:装置本体
82:帯電部
83:クリーニング部
84:一次転写部
85:中間転写ベルト
87:給紙カセット
88:二次転写部
89:定着部
90:排紙部
91:エア吸引口
92:外部空気吸引路
93:除湿装置
94:空気取り入れ口
99:イオナイザ
100:電極針
101:気流口
102:電極
103:イオン化気流導入口
104:多孔質板又はメッシュ
105:現像剤分散部材
106:円筒状容器
107:側面磁石
200:プレ混合部
210:筐体
300:帯電チャージャ
310:ケース
320:ケーブル
330:多孔質板
340:現像剤排出流路
350:スクリュ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0076】
【特許文献1】特開2008−003560号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は複写機等の二成分現像剤を用いた現像装置と、これを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
二成分現像剤を用いた現像装置は、トナーとキャリアからなる二成分現像剤を用いて像担持体(感光体等)上に形成された静電潜像をトナーにより現像して可視化する装置である。
【0003】
このような装置では、現像領域で現像処理を終了してトナーが消費された現像剤は回収され、補給されるトナーと混合、撹拌され、再び現像に供されることが多い。従って、このような構成の現像装置に用いられる現像剤は、安定したトナー画像を得るために、一定のトナー濃度と帯電量を維持する必要がある。トナー濃度は現像で消費したトナーと補給トナー量により調整され、帯電量はキャリアとトナーとの混合時の摩擦帯電により付与されるからである。そこで、この種の現像装置では、トナーとキャリアからなる二成分現像剤の撹拌を充分に行い、トナー濃度分布を均一化するとともに、トナーに帯電を付与し、トナー画像の安定化を行っている。
【0004】
しかし、トナーの帯電量は様々な要因によって変化し、同一の撹拌条件でも帯電量が異なる。例えば、前記要因とは、周囲の環境(温湿度)、経時のキャリアの帯電性能低下、出力画像面積によるトナー帯電量の変化、すなわち、トナーの滞留時間による帯電量の差などである。また、新たに補給されるトナー量により、帯電量にばらつきが生じる。トナー量が多い場合は、混合撹拌に時間がかかるからである。
【0005】
従来、一般的なこの種の現像装置では、補給されたトナーが現像スリーブに汲み上がるまでのわずかな時間の間に2本のスクリュの回転による撹拌効果を利用してトナーの分散・帯電付与を行っているため、特にトナーの収支が多い場合、補給されたトナーが充分に分散せずに、現像スリーブに汲み上がり、地汚れ、トナー飛散といった品質課題が発生する。
【0006】
このような混合撹拌不足に伴うトナー飛散や画像欠陥を防止するために、現像装置内の混合撹拌部材を多数設けて混合撹拌性を向上させたものが提案されているが、これによって初期の問題は解決されたものの、一方では現像剤の撹拌ストレスを増加させ、現像剤の経時劣化による帯電能力低下を引き起こし、結果として帯電量が安定せず、経時でのトナー飛散や地肌汚れ等の課題が残されている。なお、現像剤にストレスを与えると、キャリアのコート膜の削れによる帯電能力低下、トナーの添加剤埋没度による帯電能力低下、流動性変化などが起こる。流動性の変化によっても帯電能力の変化や転写率変化による画質低下の原因になる。
【0007】
これらを解決するために、特許文献1では、現像部から離れた場所に別途に撹拌部を設け、現像部と撹拌部を循環手段によって接続し、現像剤の状態に応じた撹拌を撹拌部で行い、トナー濃度、帯電量を適切に調整した現像剤を現像部に供給する現像装置が提案されている。特許文献1の撹拌部は同文献の図14に示す構成を有し、複数の撹拌部材を設けた回転軸を回転させることで撹拌を行っている。このような撹拌方式は幅広く用いられているが、撹拌動作が単一になりやすく、容器内全体を撹拌するためには、時間がかかる。従って、撹拌部を大きくし、滞留する現像剤量を増やし、長く撹拌部に留める必要があった。また短時間に撹拌するために、撹拌の回転速度を増加させると、現像剤へのダメージが懸念される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこのような従来技術にかんがみてなしたもので、補給されたトナーと現像剤を短時間に効率良く、余計なストレスをかけることなく混合撹拌を行うとともに、現像剤の帯電量を外乱条件(使用条件)によらず、効率的に調整し、現像部に適切なトナー濃度と帯電量を持った現像剤を現像に必要な量だけ連続的に供給することが可能な現像装置、画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の現像装置のうち請求項1に係るものは、トナーとキャリアからなる二成分現像剤を用いた現像装置であって、現像部と、現像剤撹拌部を別体にして備えるとともに、イオン化気流発生手段を備え、前記現像部と前記現像剤撹拌部を現像剤が循環する現像装置において、前記現像剤が循環する経路中に、トナー及びキャリアの帯電量を調整するためのイオン化気流の導入口を備えてなることを特徴とする。
【0010】
同請求項2に係るものは、請求項1記載の現像装置において、前記現像部から前記現像剤撹拌部への排出経路中にイオン化気流の導入口を備えていることを特徴とする。
【0011】
同請求項3に係るものは、請求項1記載の現像装置において、前記現像剤撹拌部から前記現像部への供給経路中にイオン化気流の導入口を備えていることを特徴とする。
【0012】
同請求項4に係るものは、請求項1記載の現像装置において、前記現像剤撹拌部にイオン化気流の導入口を備えていることを特徴とする。
【0013】
同請求項5に係るものは、請求項1乃至4のいずれかに記載の現像装置において、前記イオン化気流発生手段の動作を任意にオン/オフ可能とし、また正イオンと負イオンのイオンバランスを任意に制御可能としてなることを特徴とする。
【0014】
同請求項6に係るものは、請求項1乃至5のいずれかに記載の現像装置において、前記イオン化気流の導入口に、少なくともキャリアが通過できないメッシュ、多孔質板もしくはそれらと同等の機能を有する手段を配してなることを特徴とする。
【0015】
同請求項7に係るものは、請求項1から6のいずれかに記載の現像装置において、前記現像剤の循環中において、現像剤の循環方向に対向する向きからイオン化気流を導入することを特徴とする。
【0016】
同請求項8に係るものは、請求項1から7のいずれかに記載の現像装置において、前記トナーの補給口を前記現像部から前記現像剤撹拌部への排出経路中でかつ前記イオン化気流の導入口に対して前記トナーの搬送方向上流側に設けてなることを特徴とする。
【0017】
同請求項9に係るものは、請求項1から8のいずれかに記載の現像装置において、前記現像剤撹拌部の撹拌部材の回転数を任意に制御可能としてなることを特徴とする。
【0018】
同請求項10に係るものは、請求項1から9のいずれかに記載の現像装置において、前記現像剤を循環させる手段が、前記イオン化気流によるエア搬送であることを特徴とする。
【0019】
同請求項11に係るものは、請求項1から10のいずれかに記載の現像装置において、前記トナー及びキャリアの帯電量の調整が、帯電量の低減であることを特徴とする。
【0020】
同請求項12に係るものは、請求項2に記載の現像装置において、前記排出経路の上部に前記イオン化気流の導入口を介して前記イオン化気流発生手段を設け、前記イオン化気流発生手段は、ケースと、ケース内部に配置される共にケースとの間にバイアス電圧が印加されたワイヤ部材を備えてなり、バイアス電圧の印加による放電に起因して発生するイオンを前記ケース内に送気される気流で搬送しイオン化気流となし、前記イオン化気流の導入口から前記排出経路内にイオン化気流を導入することを特徴とする。
【0021】
同請求項13に係るものは現像剤を担持して搬送する現像ローラと、長手方向に現像剤を搬送しながら、該現像ローラに現像剤を供給する第1搬送スクリュと、該第1搬送スクリュの現像剤搬送方向とは逆方向に現像剤を搬送する第2搬送スクリュとを備えた現像装置において、該第2搬送スクリュの現像剤搬送方向上流側にトナーを補給するトナー補給口と、該トナー補給口よりも現像剤搬送方向下流側であって、該第2搬送スクリュの下部にイオン化気流を導入するイオン化気流導入口とを配置したことを特徴とする現像装置である。
【0022】
同請求項14に係るものは、請求項1から14のいずれかに記載の現像装置を備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、補給されたトナーと現像剤を短時間に効率良く、余計なストレスをかけることなく混合撹拌を行え、現像剤の帯電量を外乱など使用条件によらずに効率的に調整でき、現像部に適切なトナー濃度と帯電量を持った現像剤を現像に必要な量だけ連続的に供給し得る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施対象となる画像形成装置の一例の全体構成を示す図
【図2】本発明の実施例の現像部、現像剤撹拌部、ロータリフィーダ部、エアポンプの構成を詳細に示す斜視図
【図3】現像部の内部の構成を示す図
【図4】イオン化気流発生手段であるイオナイザの構成図
【図5】現像部から現像剤撹拌部への現像剤排出流路中にイオン化気流導入口を設け、イオナイザからのイオン化気流を流路を通して現像剤排出流路へと送る状態の断面図
【図6】図5のメカニズムの模式図
【図7】現像剤撹拌部及びロータリフィーダ部の断面及び詳細を示す図
【図8】本発明の第2の実施例を示す斜視図
【図9】本発明の第3の実施例を示す断面図
【図10】本発明の第4の実施例を示す断面図
【図11】本発明の第5の実施例を示す断面図
【図12】本発明の第5の実施例に使用するプレ混合部を示す図
【図13】本発明の第5の実施例の現像部、現像剤撹拌部、ロータリフィーダ部、エアポンプの構成を詳細に示す斜視図
【図14】本発明の第5の実施例の変形例を示す断面図
【図15】本発明の第6の実施例を示す断面図
【図16】イオン化気流による帯電量制御の実験例を示す図
【図17】円筒状容器が円筒軸方向に回転し、その回転運動と容器側面からの磁力により、容器内部の現像剤(トナー及びキャリア)が撹拌される状態を示す図
【図18】本発明の第7の実施例を示す断面図
【図19】本発明の第8の実施例を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、トナーとキャリアからなる二成分現像剤を用いる装置であって、現像部と、現像剤撹拌部を別体にして備えるとともに、イオン化気流発生手段を備え、前記現像部と前記現像剤撹拌部を現像剤が循環する現像装置を、前記現像剤が循環する経路中に、トナー及びキャリアの帯電量を調整するためのイオン化気流の導入口を備えて構成するものとしている。また、イオン化気流の導入口は、現像部から現像剤撹拌部への排出経路中、現像剤撹拌部から現像部への供給系路中、現像剤撹拌部に設けることとしている。そして、イオン化気流発生手段の動作を任意にオン/オフ可能とし、また正イオンと負イオンのイオンバランスを任意に制御可能とすると共に、イオン化気流の導入部には、キャリアが通過できないメッシュ、多孔版板もしくはそれらと同等の機能を有する手段を配し、現像剤の循環方向に対向する向きからイオン化気流を導入するものとする。
【実施例1】
【0026】
図1は本発明の実施対象となる画像形成装置の一例の全体構成を示す図である。この装置は、カラーの画像形成装置であり、図中81は装置本体で、中間転写ベルト85の下方にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色に対応する作像ユニットが配置される。各色作像ユニットの構成は同様であり、感光体1、帯電部82、現像部2、一次転写部84、クリーニング部83などで構成される。
【0027】
動作は、まず、感光体1は帯電部82によって一様な帯電を与えられ、次に図示しない光書込みユニットによって、作成する画像に対応した静電潜像が感光体1表面に形成され、現像部2によって潜像が現像されて、トナーの像が感光体1上に形成される。このようにして各作像ユニットでできた各色のトナー像は一次転写部84によって中間転写ベルト85の表面に順に転写される。これによって中間転写ベルト85上にはフルカラーのトナー像が形成される。このフルカラートナー像は給紙カセット87から供給される転写紙に二次転写部88によって転写され、次に定着部89を通過することで、熱によってトナーが解けて転写紙にカラー画像が定着される。90は作成された画像を排出する排紙部である。なお図中91はエア吸引口、92は外部空気吸引路、93は除湿装置、94は空気取り入れ口である。
【0028】
本発明の構成では、現像部2に特徴があり、通常は現像に用いられる現像剤(トナーとキャリアの混合体)は現像ユニットの中で撹拌混合されるのみであるが、本発明の構成では、現像部2と離れた場所に現像剤撹拌部40を設け、この現像剤撹拌部40は現像剤の撹拌を確実に行い、従来以上にトナーの帯電を安定して行い、これによって安定した画像形成を行うことを可能とする。
【0029】
その動作を説明する。現像部2で現像を行った後の現像剤は現像剤排出流路3によって現像部2から排出されて現像剤撹拌部40に送り込まれる。次に現像剤撹拌部40では新しいトナーの補給も行われて、図示しない撹拌フィンによって充分に撹拌され、その後図示しないロータリフィーダによって定量ずつ排出される。排出される現像剤はエアポンプ60により送られるエアの圧力によって搬送されて、現像剤供給流路4を通って現像部2に戻される仕組みである。新しいトナーの補給はトナーホッパー30から少量ずつトナーを排出することで行われる。
【0030】
図2は本発明の実施例の現像部2、現像剤撹拌部40、ロータリフィーダ部、エアポンプの構成を詳細に示す斜視図である。図中1は感光体ドラムであり、図示しない帯電器及び光書込み装置によって表面に静電潜像が形成される。2は現像部である(内部の構成は図3に示す)。また40は現像剤撹拌部の全体を示す。現像部2の現像剤排出部から排出される現像剤は現像剤排出流路3の中を自重により落下し、現像剤撹拌部40内部に投入される。
【0031】
現像剤撹拌部40において、撹拌部材44を設けた軸は、撹拌用モータ45によりギア46を介して回転駆動される。また現像剤撹拌部40にはトナーの消費に伴いトナーホッパー30より新しいトナーが補給される。トナー補給は駆動用モータ32により、トナー供給路31内部を通って補給される。図2(b)に示すように、トナー供給路31内部には小型の搬送スクリュ(オーガ)35が配置されてトナーを一定量搬送することができる構成となっている。図中41は後述するロータリフィーダ50へのトナーの出口開口である。
【0032】
ロータリフィーダ50は、内部の羽根車を回転させて撹拌された現像剤を一定量ずつ排出する働きをする。図中55はロータリフィーダ駆動用のモータである。
【0033】
ロータリフィーダ50より定量排出される現像剤は、エアポンプ60より供給される空気圧により、現像剤供給流路4の内部をエアによって搬送されて、現像部の現像剤投入部5に戻される。なお図中99はイオナイザ、103はイオン化気流導入口である。
【0034】
図3は現像部2の内部の構成を示す図である。図中20は現像ローラであり、内部に磁石を配置し、現像剤を吸着搬送して感光体1表面の静電潜像にトナーを付着させる働きをする。図中21、22は搬送スクリュであり、搬送スクリュ21はその長手方向(図の紙面垂直方向)中央位置に設けられた現像剤投入部5から供給された現像剤を図中手前方向と奥方向に向かって分割搬送するように駆動される。搬送スクリュ22では現像剤が図中奥から手前に向かって搬送されるように回転駆動される。また、搬送スクリュ22の手前側には現像剤を外部に排出するための現像剤排出部が設けられている。図中25は現像スリーブに付着する現像剤を一定量に均すためのドクターブレード、23は現像部をカバーするケーシングである。
【0035】
次に本発明の特徴である、イオン化気流及び、撹拌部について説明する。図4はイオン化気流発生手段であるイオナイザ99の構成図である。イオナイザ99内部には電極針100が設けられ、電極針100に正負のパルス状高電圧を印加してコロナ放電させることにより、両電極針から正負のイオンを発生させる。生成した正イオンと負イオンは気流口101を通じて、プロペラやエアポンプなどから送られてくる気流に乗ることで、イオン化気流となりイオン化気流導入口へと運ばれる。また、正負のイオンバランスを変化させるためには図4のようにイオン化気流の流路内に電極102を設け、そこに電位を設定することで、反対の極性のイオンが引き付けられる(図4(B)では負電位にすることで正イオンが電極に引き付けられている)ことで、一方のイオンバランスに偏ったイオンを発生することも可能である。この他、イオナイザ99には電極針に直流電圧を印加することで、正又は負のどちらかのイオンを発生するものや、軟X線や真空紫外線を用いてイオンを発生することで、オゾンの発生を抑制するタイプなどもあり、本発明では適宜用途に合うものを使用することができる。
【0036】
図5は現像部から現像剤撹拌部への現像剤排出流路中にイオン化気流導入口を設け、イオナイザからのイオン化気流を流路を通して現像剤排出流路へと送る状態の断面図である。図2及び図5に示す例では、現像部2から現像剤撹拌部40への現像剤排出流路3中にキャリアが通過できないメッシュ又は多孔質板104を介してイオン化気流導入口103が設けられ、イオナイザ99からのイオン化気流がイオン化気流導入口103及びメッシュ又は多孔質板104を通して現像剤排出流路3へと送られている。イオン化気流は、図5に示すように、現像剤排出流路3中を移動する現像剤へと吹きかけられ、現像剤中のトナー又はキャリアにイオンが引き付けられることで現像剤の帯電量が変化(低減)する。
【0037】
図6は上述のメカニズムの模式図であり、例えば正のイオンはマイナスに帯電したトナーへと引き付けられ、トナー電荷は減少し、プラスに帯電したキャリアは負イオンが引き付けられることで電荷が減少する。現像部から排出された現像剤全体に対して、連続的にイオン化気流を吹きかけることで、現像剤の帯電量は均一に低下する。
【0038】
一般的に、トナーの帯電量は、様々な要因によって変化し、同一の撹拌条件でも帯電量が異なる。例えば、前記要因とは、周囲の環境(温湿度)、経時のキャリアの帯電性能低下、出力画像面積によるトナー帯電量の変化、すなわち、トナーの滞留時間による帯電量の差などがある。さらに、帯電量の違いにより静電的な付着力にも差が生じ、現像装置内に滞留したトナーと新たに補給されるトナーではそれらの差が顕著である。しかしながら、本発明では撹拌前のトナー間帯電量差を低減させることで、静電的付着力の差がなくなり、補給トナーと現像装置内に滞留していたトナーを均一に現像剤中に分散させることが可能で、また、トナー帯電量自体も安定化させることができる。
【0039】
図7は他の例に係る現像剤撹拌部40及びロータリフィーダ50の断面及び詳細を示す図である。現像剤撹拌部40では現像剤の撹拌、トナー帯電を行い、適切なトナー濃度と帯電量を持った現像剤を連続的に安定して供給する役割がある。そのため、短時間に効率良く現像剤を撹拌する必要があり、かつ現像剤に与えるストレスが少ないことが望まれる。
【0040】
現像剤撹拌部40は逆円錐型など排出口に向かうほど径が細くなる形状をしており、その上面には現像剤補給口33が、下面には排出口34が設けられている。中心には下から上に剤を搬送するスクリュ43、その外側には回転可能な板状部材44が2本設けられており、これらの撹拌部材44の回転動作によって現像剤が混合される。外側の撹拌部材44とスクリュ43は撹拌用モータ45によって回転する。スクリュ43はモータと直結されており、外側撹拌部材44は、ギア46a〜46dを介して、回転する(減速している)。現像剤撹拌部40での補給口から、排出口までの搬送は重力を利用している。現像剤撹拌部40にはバッファとして常に現像剤が存在するため、未混合の現像剤がそのまま排出されることはない。
【0041】
トナー供給路31内には螺旋形状のオーガ35が設けられ、駆動源である駆動用モータ32にその一端が接続され(図2参照)、回転駆動される。これによりトナーが搬送され現像剤溜まり中に補給され、補給されたトナーは現像剤ととともに板状部材である撹拌部材44により、速やかに混合撹拌される。
【0042】
本発明では上記したように、イオン化気流により現像部からの排出現像剤の帯電量を調整(低減)することで、補給トナーの分散性が向上しているため、余計なストレスをかけずに適正な帯電量に速やかに調整することが可能である。
【0043】
スクリュ43の回転によって下から上に持ち上げられた現像剤は、外側を回転する撹拌部材44の回転に伴い下方に運動し、再びスクリュ47の周囲に寄せ集められる。このように現像剤撹拌部40内の収容部では絶えず現像剤が対流している。この対流により、現像剤撹拌部40内全体が、均一に混合される仕組みである。トナーの帯電はトナーとキャリアの摩擦によって付与されるため、帯電量をすばやく得るためにはトナーとキャリアの接触確率を上げることが重要である。本願発明者らの検討によって、現像剤撹拌部40の収容部内で現像剤が対流することにより接触確率が上がり、かつ、現像剤へのダメージも少ないことがわかった。本発明のようにイオン化気流により撹拌前に帯電量を低減させる際には、均一にトナー帯電量を適正な値まで立ち上げることが可能である、本構成の撹拌機が適している。
【0044】
現像剤撹拌部40の下方にはロータリフィーダ50が接続されている。内部には羽根車51が図のように配置され回転することによって一定量ずつの現像剤が下方に排出される構成である。ロータリフィーダ50より排出される現像剤はエアポンプ60より送られてくるエアにより、図中で左から右に送られ空気流に乗って現像部まで搬送されるものである。エアポンプ60から空気取り入れ口までの構成は図2と同様である。
【実施例2】
【0045】
図8は本発明の第2の実施例を示す斜視図である。この例では、現像剤循環経路の現像剤撹拌部40から現像部2への供給経路である現像剤供給流路4中にイオン化気流導入口103を備えている。周囲の環境(例えば湿度)などの要因で撹拌部内において現像剤の帯電量が上昇しすぎてしまった場合や、現像剤が劣化などの影響で帯電量にばらつきがある(帯電量分布がブロード)場合の際は、撹拌後の現像剤にイオン化気流を吹きかけてやることで、帯電量が高すぎるために現像に使われることがないトナーや、弱帯電・逆帯電トナーなどの帯電量を調整することが可能となる。この際、正イオンや負イオンのイオンバランスを調整することで、より適正な帯電量に調整することが可能である。また、撹拌された現像剤の帯電量が適正な場合はイオナイザをOFFすることで無駄にエネルギーを使ってイオンを生成することもなくなる。適正な帯電量かを検知する手段としては、現像部に設けたトナー濃度センサや中間転写ベルト85(図1参照)上のトナー付着量を検知する光学センサなどの関係から間接的に予想することが可能である。
【0046】
さらに、現像剤撹拌部40の撹拌部材44の回転数を制御可能とすることで、使用条件(環境や出力画像)により、トナー帯電量が低い際は回転数を上げ、高い際は回転数を下げる(トナー補給がない場合は停止させる)とともに、イオン化気流で帯電量を低減させることで、適正なトナー帯電量を得ることが可能となり、トナー帯電量のばらつきによる、濃度むらや地汚れなどといった画像品質問題が起こることを無くすことができる。また、イオン化気流導入口を現像剤循環経路の現像剤排出流路3、現像剤供給流路4の両方に備えることで、トナー帯電量制御をより精度良く行うことができる。
【実施例3】
【0047】
図9は本発明の第3の実施例を示す断面図である。この例では、第2の実施例と同様の構成を備えた現像剤撹拌部40にイオン化気流導入口103を備えており、図8で説明した効果が同様に得られるようになっている。さらに、現像剤撹拌部40にイオン化気流を導入すると、現像剤撹拌部40内の現像剤を流動化させ、撹拌によるストレスを低減すると伴に、現像剤のトナー濃度、帯電量を均一にすることが可能である。
【実施例4】
【0048】
図10は本発明の第4の実施例を示す断面図である。この例では、イオン化気流導入口103にキャリアが通過できないメッシュ又は多孔質板104を備えることで、導入口への現像剤の逆流や導入口の詰まりを抑制することが可能である。また、多孔質板104を現像剤の流れに対して傾斜して配置し、現像剤の移動方向に対抗した向きからイオンを導入するようにしている。図5に示した例のように単純に現像剤移動方向に対して横方向からイオン化気流を導入してしまうと、循環する現像剤の一部にのみイオンが導入されてしまい、現像剤に対するイオンの導入が不十分となることがあるのに対して、本例のように現像剤の移動方向に対抗した向きからイオンを導入すれば、移動する現像剤にむらなく均一にイオンを導入することができる。
【実施例5】
【0049】
図11は本発明の第5の実施例を示す断面図、図12は本発明の第5の実施例に使用されるプレ混合部を示す図、図13は本発明の第5の実施例の構成を詳細に示す斜視図である。本例では、図13に示すように、現像剤排出流路3は、プレ混合部200を介して現像剤撹拌部40に接続されている。プレ混合部200にはイオン化気流導入口103が接続されてイオン化気流が導入され、現像剤排出流路3内の現像剤をイオン化している。プレ混合部200は、図11及び図12に示すように、円筒形をなした筐体210内に、現像剤分散部材105と、メッシュ104とを配置したものである。メッシュ104は、円筒形の筐体210内に逆円錐形状であり、イオン化気流は現像剤の循環方向に対向する向きから導入できるようになっている。また、現像剤分散部材105は、現像剤の移動方向(この場合は落下方向)に対して2つの斜面を上部でつきあわせた屋根型をなす部材を配置したもので、効果的に現像剤を分散してイオン化気流に当てることができる。
【0050】
本例では、これによりメッシュ104の側面側に分散された現像剤がメッシュ104上を移動する際に、メッシュ104が流動床の役割を果たし、イオン化気流を現像剤全体に導入できる。
【0051】
図14は本発明の第5の実施例の変形例を示す断面図である。この例では、現像剤分散部材105を頂点が上方に向いた円錐形状の形状をなしている。この例のように、現像剤分散部材105を円錐形状とすると、現像剤を均一に分散しやすいため、イオン化気流が現像剤に均一に吹き付けることができる。なお、現像剤分散部材105は円錐形の他、3角錐、4角錐などの角錐形とすることができる。
【実施例6】
【0052】
図15は本発明の第6の実施例を示す断面図である。トナー補給口が現像部から撹拌部への排出経路の途中、イオン化気流導入口の上流側に設けられていて、螺旋形状のオーガ35が回転することで、トナー供給路31からトナーが補給される。補給されたトナーは現像部から排出された現像剤と伴に循環経路中を移動し、イオン化気流導入部で現像剤中に分散される。イオンは帯電しているトナーやキャリアに優先的に引き付けられて、その帯電量を低減させ、新たに補給されたトナーが分散しやすい状態になる。また、プレ混合の役割を果たすため、この後の撹拌部での混合・撹拌も容易に行えるため、撹拌部での現像剤へのストレスを抑制することも可能である。
【0053】
なお、前記第5及び第6の実施例に示したプレ混合部200を使用する場合、現像剤分散部材105は、金属製あるいは樹脂製とすることができる。また、現像剤に吹き付けられる当たる前にイオン同士が打ち消しあったり、容器側面に吸収されたりするのを防ぐため、現像剤分散部材105にバイアス電圧を印加し、イオンにエアの他に電気的な駆動力を与えることができる。さらに、現像剤分散部材105を重力方向に垂直な回転軸により回転させ、撹拌効果を向上させることができる。また、上記例ではイオン化気流導入口103は一個所としているが、イオン化気流導入口103を多数個所に設け、現像剤により均一にイオン化気流を吹きかけることができる。
【0054】
また、上記したように、図2(図8も同様)ではロータリフィーダ50から排出される現像剤はエアポンプ60より送られてくるエアにより、図中で左から右に送られ空気流に乗って現像部まで搬送されている。この現像剤の搬送を、エアポンプ60の変わりにイオナイザ99からのイオン化気流で行うことにより、別途ポンプを設ける必要がなく、現像装置の簡素化も可能である。
【0055】
図16はイオン化気流による帯電量制御の実験例を示すグラフ、図17は図16に示した実験に用いた円筒状容器及び側面磁石を示す図である。
実験条件は、
現像剤:トナー粒径6μm、キャリア粒径35μm
撹拌装置:円筒状容器106が円筒軸を軸として回転し、その回転運動と容器側面に配置された側面磁石107からの磁力により、容器内部の現像剤(トナー及びキャリア)が撹拌される(図17)
円筒状容器:直径φ30mm、高さ40mm、回転数180rpm、
側面磁石:1000G、3000G
【0056】
図16(A)はトナー濃度4wt%の現像剤5gを3000Gの側面磁石を取り付けた上記撹拌装置で20分間撹拌し、撹拌後イオン化気流を吹きかけない現像剤(イオナイザ処理前)と、撹拌後イオン化気流を吹きかけた現像剤(イオナイザ処理後)を帯電量測定装置(商品名E−spartアナライザ)によりトナーの帯電量分布を測定した結果である。撹拌したままの現像剤は強撹拌を行ったために、高帯電側にブロードな分布を持っている。このような現像剤は、トナーとキャリアの付着力が強いために現像部で現像されないために画像濃度が薄くなる問題が生じる。一方で、イオン化気流を吹きかけた現像剤は、帯電量が低減し、さらに帯電量分布がシャープになっているため、現像する際に適正な帯電量に調整されていることがわかり、現像の効率も向上すると考えられる。
【0057】
図16(B)は上記の2種類の現像剤(イオナイザ未処理剤、イオナイザ処理剤)4gにトナー濃度が7wt%になるようにNEWトナーを補給し、側面磁石1000Gを取り付けた撹拌装置で1分間にわたり撹拌を行った結果である。イオナイザ未処理の現像剤と比較してイオナイザ処理を行った現像剤は高帯電側にシフトしていて、帯電が速やかに起こっていることがわかる。これは、強撹拌により強いストレスを受けたトナー(現像剤)中に補給トナーが速やかに分散し、イオナイザ未処理剤と比較して撹拌が良好に行われたためだと考えられる。
【0058】
このように、撹拌前にイオン化気流を吹きかけると、補給トナーの分散性が向上し、撹拌後にイオン化気流を吹きかけることで、不適当な帯電量のトナーを適正な帯電量に調整することが可能であることを確認できた。
【実施例7】
【0059】
図18は本発明の第7の実施例を示す断面図である。図18(A)は現像部の軸方向からの断面を、図18(B)は上方向からの断面を示す。
【0060】
図中20は現像ローラであり、内部に磁石を配置し、現像剤を吸着搬送して感光体1の表面の静電潜像にトナーを付着させる働きをする。図中21は第1搬送スクリュ、22は第2搬送スクリュであり、第1搬送スクリュ21は図18(B)中の長手方向右側から左側へ搬送するように駆動され、現像ローラ20へと現像剤を供給し、第2搬送スクリュ22は現像剤が左側から右側へ搬送されるように回転駆動され、搬送中に図18(B)中(a)部に補給されたトナーを混合・撹拌しながら現像剤の搬送を行う。
【0061】
図中25は現像スリーブに付着する現像剤を一定量に均すためのドクターブレード、23は現像部をカバーするケーシングである。さらに本発明ではイオン化気流導入口が撹拌を行う第2搬送スクリュ22の下に設けられている。現像剤は、図中(a)部の上方からトナーが補給され、同(b)部で下から流入したイオン化気流とメッシュ104によって流動化され、イオンが導入される(導入された気流は上部に設けられたフィルタ24から外部へと排出される)。イオンが導入された現像剤は、帯電量が低減し(補給トナーと現像剤中のトナーとでトナー/キャリア間での静電的付着力に差がなくなることになり)、補給トナーが現像剤中に混合・分散されやすい状態になる。また、帯電量自体のばらつきも低減され、トナー濃度・帯電量が均一化された現像剤は第2搬送スクリュ22によって搬送され、第1搬送スクリュ21によって現像ローラ20へと供給される。このとき、トナー濃度と帯電量が適正化されているため、画像濃度を経時で安定して保つことができる。
【0062】
ここで、イオン化気流導入口103をトナー補給口よりもやや下流に設けているのは、補給トナーがイオン化気流により舞い上がることを防ぐためである。トナーと現像剤では比重が異なるため、多量のトナーが補給されると補給トナーが現像剤と混ざらず、上滑りが発生することになるが、トナー補給口の真下に導入口があると、気流によりこれをさらに助長してしまうと考えられるからであり、この構成により上滑りを防止することができる。
【0063】
図19は本発明の第8の実施例を示す模式図である。図19(A)は現像部、現像剤撹拌部、ロータリフィーダ部、エアポンプの構成を示す模式図、(B)は除電器の構成を示す模式図、(C)は除電器の構成を示す断面図である。
【0064】
本例では、現像部2と現像剤撹拌部40との間に配置される現像剤排出流路340の上部に多孔質板330を介して帯電チャージャ300を配置し、現像剤排出流路350内を通過する現像剤に帯電チャージャ300で発生したイオン化気流を送出するようにしている。帯電チャージャ300は、エアが導入されるケース310内にケーブル320を配置し、ケース310とケーブル320との間に例えば3kV以上のバイアス電圧を印加し、放電によって発生するイオンを前記エアにより送出するものである。なお、図中350は現像剤搬送用のスクリュを示している。
【0065】
発明者の実験によれば、一般的なイオナイザよりも本例に係る帯電チャージャを用いた場合、イオンの発生量が多く、単位時間あたりの除電効果が高いという結果が得られた。
【0066】
以上説明したように、トナーとキャリアからなる二成分現像装置であり、現像部と、現像剤撹拌部が別体に設けられ、該現像部と該撹拌部を現像剤が循環し、イオン化気流発生手段を有する現像装置において、前記現像剤循環経路の現像部から現像剤撹拌部への排出経路中に、トナー及びキャリアの帯電量を調整(低減)するためのイオン化気流の導入口を備えることで、補給トナーの分散性向上、撹拌性向上、トナー帯電量安定化を図れる。すなわち、従来の電子写真の現像ユニット内では、消費されることなく現像ユニット内でストレスを受けたトナーと、新たに補給されたフレッシュなトナーがある(ユニット内の剤中トナーの履歴はそれぞれ異なっている)。このような状態の異なるトナー(トナーの添加剤が埋没したり離脱するなどして状態が異なったりするなど)が存在する状態で補給トナーの混合・撹拌を行うと、帯電量の違いや、それに伴う静電的付着力の違いにより、現像に用いられない強帯電トナーや画像品質に悪影響を及ぼす弱帯電トナーが発生してしまう。このような課題に対して、撹拌する前のトナー帯電量を調整し、補給トナーと現像装置内のトナーの帯電量を均一にする(例えば帯電量を低減させてやる)ことで、トナー/キャリア間の静電的付着力の差が小さくなり、補給トナーの混合・分散性の向上や撹拌後のトナー帯電量分布の安定化により、画像品質を安定に保つことが可能となる。また、帯電量を調整する手段としてイオン化気流を流入させることで、現像剤中に均一にイオンを導入することが可能となる。
【0067】
また、本発明は、トナーとキャリアからなる二成分現像装置であり、現像部と、現像剤撹拌部が別体に設けられ、該現像部と該撹拌部を現像剤が循環し、イオン化気流発生手段を有する現像装置において、前記現像剤循環経路の撹拌部から現像部への供給経路中、撹拌部の少なくとも一方に、トナー及びキャリアの帯電量を調整(低減)するためのイオン化気流の導入口を備え、トナー帯電量分布の安定化を図れる。すなわち、現像装置内を繰り返し循環し、過度な撹拌により帯電量が高くなりすぎたり、また使用条件(周囲の環境変化や出力する画像面積)の違いから同条件の撹拌を行っても帯電量は変化したりすることから、トナー(現像剤)の帯電量をイオン化気流により調整(低減)することで、現像に用いられることがない強帯電トナーの割合を減少させることが可能である。また、帯電量分布がシャープにすることもできるため、経時で安定した画像品質を保つことができる。
【0068】
またイオン化気流の発生手段の動作は任意にON/OFF可能であり、また正イオンと負イオンのイオンバランスが任意に制御可能であるようにすると、適正な帯電量調整が図れ、現像装置内の現像剤の状態(トナー濃度や帯電量)に応じてイオナイザを動作させたり、そのイオンバランスを変化させたりすることで、無駄にイオンを現像剤に導入することなく適正な帯電量に保つことができる。
【0069】
また、イオン化気流導入口に少なくともキャリアが通過できないメッシュ、多孔質板もしくはそれに代替するものを備えることで、現像剤への均等なイオン導入を図れる。キャリアが通過できないメッシュや多孔質板を備えることで、導入口への現像剤の逆流を防ぐことができ、また、現像剤へ均一にイオン導入することが可能となるのである。
【0070】
さらに、現像剤循環中において、現像剤の循環方向に対抗する向きからイオン化気流を導入することで、イオン化気流を現像剤の循環方向の側面から流入させると、イオンが現像剤の一部にしか導入されないが、対抗する向きから気流を送ることで、全体にむらなく送ることができる。また、メッシュ、多孔質板との組み合わせにより、現像剤を流動状態にすることができ、より均一にイオンを分散させることができる。
【0071】
さらに、トナー補給口を現像部から現像剤撹拌部への排出経路中かつ、イオン化気流導入口の上流に設けることでトナー分散性、撹拌性の向上を図り、補給されたトナーをイオン化気流で現像剤とプレ混合することで、現像剤中に均一に分散させることが可能となり、その後の撹拌を効率良く行うことができる。
【0072】
またさらに、撹拌部の撹拌部材の回転数を任意に制御可能とすることでトナー帯電量の安定化を図り、帯電量が低い場合には撹拌部材の回転数を上げることで帯電量を上昇させ、逆に高い場合はイオナイザにより帯電量を低下させてやることで、必要に応じた適切な帯電量を安定して得ることが可能となる。
【0073】
そして、現像剤循環手段をイオン化気流による(エア)搬送とすることで装置の簡素化を図り、現像剤の循環手段にエア搬送などを用いる場合は、搬送のためのエアと、イオンを送るためのエア(気流)を一つのポンプにより共通化することで、装置構成を簡素化することを可能とする。
【0074】
なお、本発明は、トナーとキャリアからなる二成分現像装置において、イオン化気流発生手段を有し、イオン化気流排出口を現像剤(トナー)の撹拌部に設けることで補給トナーの分散性向上、撹拌性向上、トナー帯電量安定化を図り、撹拌部と現像部が別体に設けられていない構成においても現像剤の撹拌時にイオン化気流を吹きかけることで、補給トナーの分散性や帯電量の調整を行うことを可能とするものである。すなわち、現像部と撹拌部を別体に設けなくとも(例えば、スクリュで搬送しながら撹拌を行う従来の現像装置)、所望の効果を得ることを可能とするものである。
【符号の説明】
【0075】
1:感光体
2:現像部
3:現像剤排出流路
4:現像剤供給流路
5:現像剤投入部
20:現像ローラ
21:第1搬送スクリュ
22:第2搬送スクリュ
23:ケーシング
24:フィルタ
25:ドクターブレード
30:トナーホッパー
31:トナー供給路
32:駆動用モータ
33:現像剤補給口
34:排出口
35:搬送スクリュ(オーガ)
40:現像剤撹拌部
41:トナーの出口開口
43:スクリュ
44:撹拌部材(板状部材)
45:撹拌用モータ
46:ギア
46a〜46d:ギア
47:スクリュ
50:ロータリフィーダ
51:羽根車
55:ロータリフィーダ駆動用のモータ
60:エアポンプ
81:装置本体
82:帯電部
83:クリーニング部
84:一次転写部
85:中間転写ベルト
87:給紙カセット
88:二次転写部
89:定着部
90:排紙部
91:エア吸引口
92:外部空気吸引路
93:除湿装置
94:空気取り入れ口
99:イオナイザ
100:電極針
101:気流口
102:電極
103:イオン化気流導入口
104:多孔質板又はメッシュ
105:現像剤分散部材
106:円筒状容器
107:側面磁石
200:プレ混合部
210:筐体
300:帯電チャージャ
310:ケース
320:ケーブル
330:多孔質板
340:現像剤排出流路
350:スクリュ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0076】
【特許文献1】特開2008−003560号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーとキャリアからなる二成分現像剤を用いた現像装置であって、現像部と、現像剤撹拌部を別体にして備えるとともに、イオン化気流発生手段を備え、前記現像部と前記現像剤撹拌部を現像剤が循環する現像装置において、
前記現像剤が循環する経路中に、トナー及びキャリアの帯電量を調整するためのイオン化気流の導入口を備えてなることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1記載の現像装置において、
前記現像部から前記現像剤撹拌部への排出経路中にイオン化気流の導入口を備えていることを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1記載の現像装置において、
前記現像剤撹拌部から前記現像部への供給経路中にイオン化気流の導入口を備えていることを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項1記載の現像装置において、
前記現像剤撹拌部にイオン化気流の導入口を備えていることを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の現像装置において、 前記イオン化気流発生手段の動作を任意にオン/オフ可能とし、また正イオンと負イオンのイオンバランスを任意に制御可能としてなることを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の現像装置において、 前記イオン化気流の導入口に、少なくともキャリアが通過できないメッシュ、多孔質板もしくはそれらと同等の機能を有する手段を配してなることを特徴とする現像装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の現像装置において、 前記現像剤の循環中において、現像剤の循環方向に対向する向きからイオン化気流を導入することを特徴とする現像装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の現像装置において、 前記トナーの補給口を前記現像部から前記現像剤撹拌部への排出経路中でかつ前記イオン化気流の導入口に対して前記トナーの搬送方向上流側に設けてなることを特徴とする現像装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の現像装置において、 前記現像剤撹拌部の撹拌部材の回転数を任意に制御可能としてなることを特徴とする現像装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の現像装置において、 前記現像剤を循環させる手段が、前記イオン化気流によるエア搬送であることを特徴とする現像装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載の現像装置において、 前記トナー及びキャリアの帯電量の調整が、帯電量の低減であることを特徴とする現像装置。
【請求項12】
請求項2に記載の現像装置において、
前記排出経路の上部に前記イオン化気流の導入口を介して前記イオン化気流発生手段を設け、
前記イオン化気流発生手段は、ケースと、ケース内部に配置される共にケースとの間にバイアス電圧が印加されたワイヤ部材を備えてなり、バイアス電圧の印加による放電に起因して発生するイオンを前記ケース内に送気される気流で搬送しイオン化気流となし、前記イオン化気流の導入口から前記排出経路内にイオン化気流を導入することを特徴とする現像装置。
【請求項13】
現像剤を担持して搬送する現像ローラと、
長手方向に現像剤を搬送しながら、該現像ローラに現像剤を供給する第1搬送スクリュと、
該第1搬送スクリュの現像剤搬送方向とは逆方向に現像剤を搬送する第2搬送スクリュとを備えた現像装置において、
該第2搬送スクリュの現像剤搬送方向上流側にトナーを補給するトナー補給口と、
該トナー補給口よりも現像剤搬送方向下流側であって、該第2搬送スクリュの下部にイオン化気流を導入するイオン化気流導入口とを配置したことを特徴とする現像装置。
【請求項14】
請求項1から14のいずれかに記載の現像装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
トナーとキャリアからなる二成分現像剤を用いた現像装置であって、現像部と、現像剤撹拌部を別体にして備えるとともに、イオン化気流発生手段を備え、前記現像部と前記現像剤撹拌部を現像剤が循環する現像装置において、
前記現像剤が循環する経路中に、トナー及びキャリアの帯電量を調整するためのイオン化気流の導入口を備えてなることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1記載の現像装置において、
前記現像部から前記現像剤撹拌部への排出経路中にイオン化気流の導入口を備えていることを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1記載の現像装置において、
前記現像剤撹拌部から前記現像部への供給経路中にイオン化気流の導入口を備えていることを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項1記載の現像装置において、
前記現像剤撹拌部にイオン化気流の導入口を備えていることを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の現像装置において、 前記イオン化気流発生手段の動作を任意にオン/オフ可能とし、また正イオンと負イオンのイオンバランスを任意に制御可能としてなることを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の現像装置において、 前記イオン化気流の導入口に、少なくともキャリアが通過できないメッシュ、多孔質板もしくはそれらと同等の機能を有する手段を配してなることを特徴とする現像装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の現像装置において、 前記現像剤の循環中において、現像剤の循環方向に対向する向きからイオン化気流を導入することを特徴とする現像装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の現像装置において、 前記トナーの補給口を前記現像部から前記現像剤撹拌部への排出経路中でかつ前記イオン化気流の導入口に対して前記トナーの搬送方向上流側に設けてなることを特徴とする現像装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の現像装置において、 前記現像剤撹拌部の撹拌部材の回転数を任意に制御可能としてなることを特徴とする現像装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の現像装置において、 前記現像剤を循環させる手段が、前記イオン化気流によるエア搬送であることを特徴とする現像装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載の現像装置において、 前記トナー及びキャリアの帯電量の調整が、帯電量の低減であることを特徴とする現像装置。
【請求項12】
請求項2に記載の現像装置において、
前記排出経路の上部に前記イオン化気流の導入口を介して前記イオン化気流発生手段を設け、
前記イオン化気流発生手段は、ケースと、ケース内部に配置される共にケースとの間にバイアス電圧が印加されたワイヤ部材を備えてなり、バイアス電圧の印加による放電に起因して発生するイオンを前記ケース内に送気される気流で搬送しイオン化気流となし、前記イオン化気流の導入口から前記排出経路内にイオン化気流を導入することを特徴とする現像装置。
【請求項13】
現像剤を担持して搬送する現像ローラと、
長手方向に現像剤を搬送しながら、該現像ローラに現像剤を供給する第1搬送スクリュと、
該第1搬送スクリュの現像剤搬送方向とは逆方向に現像剤を搬送する第2搬送スクリュとを備えた現像装置において、
該第2搬送スクリュの現像剤搬送方向上流側にトナーを補給するトナー補給口と、
該トナー補給口よりも現像剤搬送方向下流側であって、該第2搬送スクリュの下部にイオン化気流を導入するイオン化気流導入口とを配置したことを特徴とする現像装置。
【請求項14】
請求項1から14のいずれかに記載の現像装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2010−33001(P2010−33001A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−29384(P2009−29384)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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