説明

現像装置及びそれを備えた画像形成装置

【課題】簡単な構成で、安定して余剰現像剤を現像容器から排出し、現像容器内の現像剤量を精度よく所望の量に保つ小型である現像装置、及びそれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】現像装置2は、第1螺旋状羽根44aと、第1螺旋状羽根44aと同じ羽根ピッチで形成される第2螺旋状羽根43aと、余剰の現像剤を排出する現像剤排出口22hと、第1螺旋状羽根44aに対して逆位相に形成される逆螺旋状羽根52と備える。近接部55が連通部22fに対向する位置にある場合、第2螺旋状羽根43aの羽根頂点部43cは、連通部22fの下流側端面部22f1に対向した位置から近接部55に対向する直前の位置の範囲にあるように配置され、第1及び第2の撹拌部材44、43は、夫々同じ回転速度、または一方が他方に対して整数倍となる回転速度で駆動させられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置に用いる現像装置及びそれを備えた画像形成装置に関し、特に、トナーとキャリアとからなる2成分現像剤の補給を行うとともに余剰現像剤を排出する現像装置及びそれを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置においては、感光体等からなる像担持体上に形成した潜像を、現像装置により現像しトナー像として可視化することを行っている。このような現像装置の一つとして、2成分現像剤を用いる2成分現像方式が採用されている。この種の現像装置は、現像容器内にキャリアとトナーとからなる現像剤を収容し、像担持体に現像剤を供給する現像ローラーを配設するとともに、現像容器内の現像剤を撹拌、搬送しながら現像ローラーへと供給する撹拌部材を配設している。
【0003】
この現像装置では、トナーは現像動作によって消費されていく一方、キャリアは消費されずに現像容器内に残る。従って、現像容器内でトナーとともに撹拌されるキャリアは撹拌頻度が多くなるにつれて劣化し、その結果、トナーに対するキャリアの帯電付与性能が徐々に低下してしまう。
【0004】
そこで、現像容器内にキャリアを含む現像剤を補給するとともに、余剰となった現像剤を排出することで、帯電性能の低下を抑制するようにした現像装置が提案されている。
【0005】
例えば、特許文献1では、回転軸とその外周に螺旋状に形成される螺旋状羽根とを有する2つの撹拌部材が各搬送路内に平行に配置されている。各搬送路の間には仕切り部材が設けられ、仕切り部材の両端部には、現像剤を受け渡す連通部が設けられている。そして、現像剤搬送方向において搬送路の下流側に現像剤排出口が形成され、撹拌部材の螺旋状羽根と現像剤排出口との間には、螺旋状羽根とは逆向きで螺旋状に形成される逆螺旋状羽根が規制部として撹拌部材の回転軸に設けられている。この構成において、現像剤が現像容器内に補給されると、撹拌部材の回転により現像剤が撹拌されながら搬送路の下流側まで搬送される。逆螺旋状羽根が撹拌部材と同方向に回転すると、逆螺旋状羽根によって、撹拌部材による現像剤搬送方向とは逆方向の搬送力が現像剤に付与される。この逆方向の搬送力によって、搬送路の下流側では現像剤が塞き止められて嵩高となることから、余剰の現像剤が逆螺旋状羽根(規制部)を乗り越えて現像剤排出口に移動し外部へ排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−265098号公報(段落[0020]〜[0024]、[0028]、第4図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した先行技術では、撹拌部材の回転にともなって、螺旋状羽根と逆螺旋状羽根とが最も近接する近接部が連通部に周期的に対向し、これによって、嵩高になった現像剤が連通部に向かって周期的に搬送されることになり、現像剤排出口側に移動する現像剤量が変動し、その結果、現像剤の排出量が不安定になるという問題があった。
【0008】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、簡単な構成で、安定して余剰現像剤を現像容器から排出し、現像容器内の現像剤量を精度よく所望の量に保つ小型である現像装置、及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために第1の発明は、現像剤を撹拌、搬送し、撹拌した現像剤を現像ローラーに供給する現像装置であって、回転軸の周りに軸方向に沿って延びる第1螺旋状羽根を有する第1の撹拌部材と、回転軸の周りに軸方向に沿って延び前記第1螺旋状羽根と同じ羽根ピッチで形成される第2螺旋状羽根を有する第2の撹拌部材と、前記第1螺旋状羽根によって現像剤が上流側から下流側に搬送される第1の搬送路と、前記第2螺旋状羽根によって現像剤が上流側から下流側に搬送されるとともに前記第1の搬送路に隣接して平行に延びる第2の搬送路と、前記第1及び第2の搬送路を仕切る仕切り部材と、前記第1及び第2の搬送路内を現像剤が循環するように前記仕切り部材の長手方向の両端部側を切り欠いて形成される連通部と、前記搬送路内に現像剤を補給する現像剤補給口と、前記第1の搬送路の下流側端部に形成されて余剰の現像剤を排出する現像剤排出口と、前記現像剤排出口に対向するとともに前記第1螺旋状羽根に隣接するように前記第1の撹拌部材の回転軸に設けられ、前記第1螺旋状羽根に対して逆位相に形成される規制部材と、を備え、前記第1螺旋状羽根と規制部材とが最も近接する近接部部が前記連通部に対向する位置にある場合には、前記第2螺旋状羽根の、前記仕切り部材あるいは連通部に近接して対向する羽根頂点部は、前記連通部の下流側の端面部に対向した位置から位相が進行して前記近接部に対向する直前の位置に到達するまでの範囲にあるように配置され、前記第1及び第2の撹拌部材は、夫々同じ回転速度、もしくは一方が他方に対して整数倍となる回転速度で駆動させられることを特徴としている。
【0010】
また、第2の発明では、上記の構成の現像装置を備えた画像形成装置である。
【発明の効果】
【0011】
第1の発明によれば、第1螺旋状羽根の近接部が連通部に対向した回転位置にある場合には、第2螺旋状羽根の羽根頂点部が連通部の下流側端面部から第1螺旋状羽根の近接部に対向する直前の位置の範囲にあるように、第1及び第2の撹拌部材を回転駆動させているために、第1螺旋状羽根の近接部が連通部に対向していない回転位置にある場合と略同じ現像剤量が現像剤排出口側に移動し、その結果、第1螺旋状羽根の回転位置にかかわらず、現像剤の排出量が安定することなる。
【0012】
詳しくは、第1螺旋状羽根の近接部が連通部に対向する位置にある場合には、連通部に向かって現像剤が多量に搬送される一方、現像剤排出口に搬送される現像剤が減少する。この状態おいて、第2螺旋状羽根の羽根頂点部は、連通部の下流側端面部に対向した位置から第1螺旋状羽根の近接部に対向する直前の位置の範囲にあるように配置されると、第2螺旋状羽根が第2の搬送路内で下流側に現像剤を搬送するとともに、羽根頂点部が羽根の外周側に現像剤を押し広げる。従って、羽根の外周側に押し広げられた現像剤によって、第1螺旋状羽根の近接部によって連通部に向かって搬送される現像剤は、第1の搬送路側へ押し戻され、現像剤排出口側に移動し易くなる。その結果、近接部が連通部に対向していない場合と略同じ現像剤量が現像剤排出口側に移動することなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る現像装置が搭載された画像形成装置を示す図
【図2】実施形態に係る現像装置を示す断面図
【図3】実施形態に係る現像装置の撹拌部を示す平面断面図
【図4】実施形態に係る撹拌部材の要部を模式的に示す平面図
【図5】実施形態に係る撹拌部材の第1螺旋状羽根と第2螺旋状羽根の配置を模式的に示す平面図
【図6】実施形態に係る撹拌部材の第1螺旋状羽根と第2螺旋状羽根の別の配置を模式的に示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明するが、本発明は、この実施形態に限定されない。また発明の用途やここで示す用語等はこれに限定されるものではない。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る現像装置が搭載された画像形成装置の構成を示す図である。画像形成装置1はタンデム型のカラープリンタであり、回転自在である感光体11a〜11dは、感光層を形成する感光材料として、有機感光体(OPC感光体)が用いられ、ブラック、イエロー、シアン、及びマゼンタの各色に対応させて配設される。各感光体11a〜11dの周囲に、現像装置2a〜2d、露光ユニット12、帯電器13a〜13d及びクリーニング装置14a〜14dが配設される。
【0016】
現像装置2a〜2dは、感光体11a〜11dの右方に夫々対向して配置され、感光体11a〜11dにトナーを供給する。帯電器13a〜13dは、感光体回転方向に対し現像装置2a〜2dの上流側であって感光体11a〜11dの表面に対向して配置され、感光体11a〜11d表面を一様に帯電させる。
【0017】
露光ユニット12は、パーソナルコンピュータ等から画像入力部(図略)に入力された文字や絵柄などの画像データに基づいて、各感光体11a〜11dを走査露光するためのものであり、現像装置2a〜2dの下方に設けられる。露光ユニット12には、レーザ光源、ポリゴンミラーが設けられ、各感光体11a〜11dに対応して反射ミラー及びレンズが設けられる。レーザ光源から出射されたレーザ光が、ポリゴンミラー、反射ミラー及びレンズを介して、帯電器13a〜13dの感光体回転方向下流側から、各感光体11a〜11dの表面に照射される。照射されたレーザ光により、各感光体11a〜11d表面には静電潜像が形成され、この静電潜像が各現像装置2a〜2dによりトナー像に現像される。
【0018】
無端状の中間転写ベルト17は、テンションローラー6、駆動ローラー25及び従動ローラー27に張架されている。駆動ローラー25は図示しないモータによって回転駆動され、中間転写ベルト17は駆動ローラー25の回転によって循環駆動させられる。
【0019】
この中間転写ベルト17に接触するように各感光体11a〜11dが中間転写ベルト17の下方で回転方向(図1の矢印方向)に沿って隣り合うように配列されている。1次転写ローラー26a〜26dは、中間転写ベルト17を挟んで感光体11a〜11dと対向し、中間転写ベルト17に圧接して1次転写部を形成する。この1次転写部において、中間転写ベルト17の回転とともに所定のタイミングで各感光体11a〜11dのトナー像が中間転写ベルト17に順次転写される。これにより、中間転写ベルト17表面にはマゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの4色のトナー像が重ね合わされたトナー像が形成される。
【0020】
2次転写ローラー34は、中間転写ベルト17を挟んで駆動ローラー25と対向し、中間転写ベルト17に圧接して2次転写部を形成する。この2次転写部において、中間転写ベルト17表面のトナー像が用紙Pに転写される。転写後に、ベルトクリーニング装置31が中間転写ベルト17に残存するトナーを清掃する。
【0021】
画像形成装置1内の下方には、用紙Pを収納する給紙カセット32が配設され、給紙カセット32の右方には、手差しの用紙を供給するスタックトレイ35が配設される。給紙カセット32の左方には、給紙カセット32から繰り出された用紙Pを中間転写ベルト17の2次転写部に搬送する第1用紙搬送路33が配設される。また、スタックトレイ35の左方には、スタックトレイ35から繰り出された用紙を2次転写部に搬送する第2用紙搬送路36が配設される。更に、画像形成装置1の左上方には、画像が形成された用紙Pに対して定着処理を行う定着部18と、定着処理の行われた用紙を用紙排出部37に搬送する第3用紙搬送路39とが配設される。
【0022】
給紙カセット32は、装置の外部(図1の紙面表側)に引き出すことにより用紙の補充を可能にしたもので、収納されている用紙Pがピックアップローラー33b及び捌きローラー33aにより1枚ずつ第1用紙搬送路33側に繰り出される。
【0023】
第1用紙搬送路33と第2用紙搬送路36とはレジストローラー33cの手前で合流しており、レジストローラー33cにより、中間転写ベルト17における画像形成動作と給紙動作とのタイミングを取って、用紙Pが2次転写部に搬送される。2次転写部に搬送された用紙Pは、バイアス電位が印加された2次転写ローラー34によって、中間転写ベルト17上のトナー像を2次転写され、定着部18に搬送される。
【0024】
定着部18は、ヒータにより加熱される定着ベルトと、定着ベルトに内接する定着ローラーと、定着ベルトを挟んで定着ローラーに圧接して配設された加圧ローラー等とを備え、トナー像が転写された用紙Pを加熱及び加圧することにより定着処理を行う。用紙Pは、トナー像が定着部18で定着された後、必要に応じて第4用紙搬送路40で反転されて用紙の裏面にも2次転写ローラー34でトナー像が2次転写され、定着部18で定着される。トナー像が定着された用紙は第3用紙搬送路39を通って、排出ローラー19aにより用紙排出部37に排出される。
【0025】
図2は、上述の画像形成装置1に用いられる現像装置の構成を示す断面図である。なお、以下の説明では、図1に示す感光体11aに対応する現像装置2aの構成及び動作について説明するが、現像装置2b〜2dの構成及び動作については現像装置2aと同様であり、説明を省略し、また各色の現像装置及び感光体を示すa〜dの符号を省略する。
【0026】
現像装置2は、現像ローラー20と、磁気ローラー21と、規制ブレード24と、撹拌部42、及び現像容器22等により構成されている。
【0027】
現像容器22は、現像装置2の外郭を構成し、その下部で仕切り部材22bによって第1の搬送路22dと第2の搬送路22cに仕切られている。第1の搬送路22d及び第2の搬送路22cには、キャリアとトナーからなる現像剤が収容される。また、現像容器22は、撹拌部42と磁気ローラー21及び現像ローラー20を回転可能に保持している。更に、現像容器22には、現像ローラー20を感光体11に向けて露出させる開口22aが形成されている。
【0028】
現像ローラー20は、感光体11に対向し、一定の間隔を設けて感光体11の右方に配設される。また、現像ローラー20は、感光体11に接近した対向位置において、感光体11にトナーを供給する現像領域Dを形成している。磁気ローラー21は、一定の間隔を設けて現像ローラー20に対向し、現像ローラー20の右斜め下方に配設される。また、磁気ローラー21は、現像ローラー20に接近した対向位置において、現像ローラー20にトナーを供給する。規制ブレード24は磁気ローラー21の左斜め下方にて現像容器22に固定保持されている。撹拌部42は磁気ローラー21の略下方に配設される。
【0029】
撹拌部42は、第1の撹拌部材44と第2の撹拌部材43との2本で構成される。第1の撹拌部材44が磁気ローラー21の下方で、第1の搬送路22d内に設けられ、第2の撹拌部材43が第1の撹拌部材44の右方に隣接して、第2の搬送路22c内に設けられる。
【0030】
第1及び第2の撹拌部材44、43は現像剤を撹拌して現像剤中のトナーを所定のレベルに帯電させる。これによりトナーはキャリアに保持される。また、第1の搬送路22dと第2の搬送路22cを仕切る仕切り部材22bの長手方向(図2の紙面表裏方向)の両端部側には、連通部(図略)が設けられており、第2の撹拌部材43が回転すると、帯電した現像剤が仕切り部材22bに設けた一方の連通部から第1の搬送路22d内に搬送され、第1の搬送路22d内と第2の搬送路22c内とを循環する。そして、第1の撹拌部材44から磁気ローラー21に現像剤が供給される。
【0031】
磁気ローラー21は、ローラー軸21aと磁極部材M及び非磁性材からなる回転スリーブ21bを備え、第1の撹拌部材44により供給された現像剤を担持し、担持した現像剤からトナーのみを現像ローラー20に供給するものである。磁極部材Mは、断面扇形に形成された外周部の極性の異なる複数の磁石からなり、ローラー軸21aに接着等により固着される。ローラー軸21aは、回転スリーブ21b内で、磁極部材Mと回転スリーブ21bの間に所定の間隔を設けて、現像容器22に回転不能に支持される。回転スリーブ21bは、図示しないモータと歯車からなる駆動機構により、現像ローラー20と同方向(図2の時計回り方向)に回転し、また直流電圧56aに交流電圧56bを重畳したバイアス56を印加される。回転スリーブ21b表面において、帯電した現像剤は磁極部材Mの磁力によって磁気ブラシを形成して担持され、磁気ブラシは規制ブレード24によって所定の高さに調節される。
【0032】
回転スリーブ21bの回転によって、磁気ブラシは、磁極部材Mによって回転スリーブ21b表面に担持されて搬送され、現像ローラー20に設けた磁極部材20bにて磁気ブラシが立ち上がり現像ローラー20に接触すると、磁気ブラシのトナーのみが、回転スリーブ21bに印加されたバイアス56に応じて、現像ローラー20に供給される。
【0033】
現像ローラー20は、固定軸20aと、磁極部材20bと、非磁性の金属材料で円筒状に形成される現像スリーブ20c等を備えて構成されている。
【0034】
固定軸20aは現像容器22に回転不能に支持される。この固定軸20aには、現像スリーブ20cが回転自在に保持され、更に、磁石よりなる磁極部材20bが磁気ローラー21と対向する位置に現像スリーブ20cと所定の間隔を設けて、接着等により固着される。現像スリーブ20cは、図示しないモータと歯車からなる駆動機構により、図2の矢印方向(時計回り方向)に回転させられる。また、現像スリーブ20cには、直流電圧57aに交流電圧57bを重畳した現像バイアス57が印加される。
【0035】
現像バイアス57が現像スリーブ20cに印加されると、現像バイアス電位と感光体11の露光部位の電位との電位差により、現像スリーブ20c表面に担持されたトナーが現像領域Dにおいて感光体11に向けて飛翔する。飛翔したトナーは矢印A方向(反時計回り方向)に回転する感光体11上の露光部位に順次付着し、感光体11上の静電潜像が現像される。
【0036】
次に、図3を用いて現像装置の撹拌部について詳しく説明する。図3は撹拌部を上側から見た断面平面図である。
【0037】
現像容器22には、前述のように、第1の搬送路22dと、第2の搬送路22cと、仕切り部材22bと、連通部22e、22fが形成され、その他に、現像剤補給口22gと、現像剤排出口22hとが形成されている。
【0038】
仕切り部材22bは、現像容器22の長手方向に延びて第1の搬送路22dと第2の搬送路22cとを並列させるように仕切っている。仕切り部材22bの長手方向の右側端部は、側壁部22iの内壁部とともに連通部22eを形成し、一方、仕切り部材22bの長手方向の左側端部は、側壁部22jの内壁部とともに連通部22fを形成している。そして現像剤は、第2の搬送路22cと、連通部22eと、第1の搬送路22d、及び連通部22f内を反時計回り方向に循環することが可能である。
【0039】
現像剤補給口22gは、現像容器22の上部に設けられた現像剤補給容器(図略)から新たなトナー及びキャリアを現像容器22内に補給するための開口であり、第2の搬送路22cの上流側(図2の左側)に配置される。
【0040】
現像剤排出口22hは、現像剤の補給によって、第1及び第2の搬送路22d、22c内で余剰となった現像剤を排出するための開口であり、側壁部22jに形成される。従って、現像剤排出口22hは第1の搬送路22dの下流側で第1の搬送路22dの奥まった位置に設けられる。
【0041】
第1の搬送路22d内には第1の撹拌部材44が配設され、第2の搬送路22c内には第2の撹拌部材43が配設されている。
【0042】
第2の撹拌部材43は、回転軸43bと、回転軸43bに一体に設けられ、回転軸43bの軸方向に一定のピッチで螺旋状に形成される第2螺旋状羽根43aとを有する。また、第2螺旋状羽根43aは、第2の搬送路22cの長手方向の両端部側まで延び、連通部22e及び連通部22fにも対向して設けられている。回転軸43bは現像容器22の側壁部22iと側壁部22jに回転可能に軸支されている。
【0043】
第1の撹拌部材44は、回転軸44bと、回転軸44bに一体に設けられる第1螺旋状羽根44aとを有する。第1螺旋状羽根44aは回転軸44bの軸方向に第2螺旋状羽根43aと同じピッチで第2螺旋状羽根43aとは逆方向を向く(逆位相の)羽根で螺旋状に形成される。また、第1螺旋状羽根44aは、磁気ローラー21の軸方向長さ以上の長さを有し、連通部22eに対向して設けられている。回転軸44bは、回転軸43bと平行に配置され、現像容器22の側壁部22iと側壁部22jに回転可能に軸支されている。
【0044】
また、回転軸44bには、第1螺旋状羽根44aとともに規制部材である逆螺旋状羽根52及び排出羽根53が一体に配設されている。
【0045】
逆螺旋状羽根52は、第1の搬送路22d内で下流側に搬送された現像剤を塞き止め、連通部22fに現像剤を搬送し、且つ、第1の搬送路22d内で所定量以上になった現像剤を現像剤排出口22hに搬送することを可能にするものである。
【0046】
つまり、逆螺旋状羽根52は、第1螺旋状羽根44aと逆方向を向く(逆位相の)羽根で螺旋状に形成され、且つ、第1螺旋状羽根44aよりピッチが小さい2〜3巻きの羽根で形成されている。そして、逆螺旋状羽根52は、現像剤排出口22hに対向するとともに第1螺旋状羽根44aの一端に隣接して形成される。逆螺旋状羽根52と第1螺旋状羽根44aとの隣接部は、連通部22fに対向する位置に設けられている。この隣接部を連通部22fに対向させて配置することによって、現像剤排出部を設けても、軸方向に装置を小型にすることができる。
【0047】
また、逆螺旋状羽根52は、その外縁が側壁部22jにおける第1の搬送路22dの内周面と所定の間隔を有して配設される。従って、逆螺旋状羽根52が回転すると、逆螺旋状羽根52によって、第1螺旋状羽根44aによる現像剤搬送方向とは逆方向の搬送力が現像剤に付与され、現像剤が塞き止められる。塞き止められた現像剤は、連通部22fに搬送されるとともに、余剰の現像剤として逆螺旋状羽根52の外縁を乗り越えて現像剤排出口22hに排出することになる。
【0048】
回転軸44bは現像剤排出口22hから更に延びて形成される。現像剤排出口22hから延びた回転軸44bには排出羽根53が設けられている。排出羽根53は、第1螺旋状羽根44aと同じ方向を向く螺旋状の羽根からなるが、第1螺旋状羽根44aよりピッチが小さく、また羽根の外径が第1螺旋状羽根44aより小さくなっている。従って、回転軸44bが回転すると、排出羽根53も回転し、逆螺旋状羽根52を乗り越えて現像剤排出口22hに搬送された余剰現像剤は、図3の左側に送られて、現像容器22外に排出される。尚、排出羽根53と逆螺旋状羽根52及び第1螺旋状羽根44aは合成樹脂によって回転軸44bと一体に樹脂成型される。
【0049】
現像容器22の外壁には、歯車61〜64が配設されている。歯車61、62は回転軸43bに固着され、歯車64は回転軸44bに固着され、歯車63及び図示しない歯車は、現像容器22に回転可能に保持されて、歯車62、64に噛合している。
【0050】
従って、現像時には、モータ等の駆動源によって、歯車61が回転すると、回転軸43bとともに第2螺旋状羽根43aが回転し、現像剤は、第2螺旋状羽根43aにて第2の搬送路22c内で矢印P方向に撹拌されながら搬送され、その後、連通部22eを通って第1の搬送路22d内に搬送される。更に、回転軸43bと連動する回転軸44bが回転すると、現像剤は、第1螺旋状羽根44aにて第1の搬送路22d内で矢印Q方向に撹拌されながら搬送される。第1螺旋状羽根44aの回転によって、現像剤は第1の搬送路22d内を搬送されるが、逆螺旋状羽根52にて塞き止められ逆螺旋状羽根52を乗り越えることなく、連通部22fを通って第2の搬送路22cに搬送される。
【0051】
このように現像剤は、第2の搬送路22cから、連通部22e、第1の搬送路22d、及び連通部22fと循環しながら撹拌されて、撹拌された現像剤が磁気ローラー21に供給される。
【0052】
次に、現像剤補給口22gから現像剤が補給される場合について説明する。現像によってトナーが消費されると、現像剤補給口22gから第2の搬送路22c内にキャリアを含む現像剤が補給される。
【0053】
補給された現像剤は、現像時と同様に、第2螺旋状羽根43aによって、第2の搬送路22c内を矢印P方向に撹拌されながら搬送され、その後、連通部22eを通って第1の搬送路22d内に搬送される。更に、第1螺旋状羽根44aによって、現像剤は第1の搬送路22d内を矢印Q方向に撹拌されながら搬送される。回転軸44bの回転にともなって逆螺旋状羽根52が回転すると、逆螺旋状羽根52近傍の現像剤が逆螺旋状羽根52にて塞き止められ、連通部22fの方向に搬送されるとともに、補給されて増加したために、現像剤が逆螺旋状羽根52近傍にて逆螺旋状羽根52より嵩高となり、余剰の現像剤が逆螺旋状羽根52を乗り越えて現像剤排出口22hに排出される。
【0054】
余剰現像剤の排出及び現像剤の連通部22fへの搬送について、図4を用いて詳しく説明する。図4は、上側から見た連通部22f付近の第1及び第2の撹拌部材44、43を模式的に示す平面図である。
【0055】
第1の撹拌部材44が回転すると、現像剤が矢印Qの方向に撹拌されながら搬送され、前述のように、逆螺旋状羽根52近傍の現像剤が、連通部22fの方向に搬送されるとともに、現像剤排出口22hの方向に搬送される。ここで、逆螺旋状羽根52と第1螺旋状羽根44aとが隣接して配置されるが、逆螺旋状羽根52と第1螺旋状羽根44aが互いに逆位相であるために、回転軸44bの周りの位置で逆螺旋状羽根52と第1螺旋状羽根44aが徐々に近接し、最も近接する近接部55を有する。この近接部55では、逆螺旋状羽根52にて塞き止められた現像剤は、回転軸44b周りの他の位置に比べて、一層嵩高となる。近接部55は、第1の撹拌部材44の回転にともなって、連通部22fに対向する回転位置や、連通部22fの反対側に向く等の他の回転位置となる。
【0056】
近接部55の回転位置に応じて逆螺旋状羽根52近傍の現像剤の嵩が変化するため、逆螺旋状羽根52を乗り越えて現像剤排出口22h側に搬送される現像剤量が変化する。近接部55が連通部22fに対向する回転位置にある場合(図4の場合)には、連通部22fの反対側に向く等の他の回転位置にある場合に比べると、逆螺旋状羽根52近傍の現像剤が一層嵩高となるために、連通部22f側に搬送される現像剤が多くなる一方、現像剤排出口22h側に搬送される現像剤が少なくなる。
【0057】
第2の撹拌部材43が回転すると、第2螺旋状羽根43aの羽根頂点部43cは位相が進行して右側(実線位置から破線位置へ)に移動し、現像剤が矢印Pの方向に撹拌されながら搬送される。尚、羽根頂点部43cは、第2螺旋状羽根43aの羽根の山部が仕切り部材22bあるいは連通部22fに最も近づいた状態で対向する羽根の山部のことである。また、図4では、第2の撹拌部材43が90度回転すると、羽根頂点部43cが実線位置から破線位置に移動するものとしている。
【0058】
従って、羽根頂点部43cは、実線位置(0°)で連通部22fの略中央部で第1螺旋状羽根44aの近接部55に対向し、この状態から第2の撹拌部材43が90度回転すると、羽根頂点部43cは、(90°)位置にあり、連通部22fの下流側端面部22f1に対向する。次に、第2の撹拌部材43が180度回転すると、羽根頂点部43cは、(180°)位置にあり、連通部22fに対向することがない。さらに、第2の撹拌部材43が270度回転すると、羽根頂点部43cは、(270°)位置にあり、連通部22fの上流側端面部22f2に対向し、そして、第2の撹拌部材43が1回転すると、羽根頂点部43cは、(0°)位置に戻ることなる。
【0059】
尚、羽根頂点部43cと近接部55との対向する位置は、連通部22fの略中央部に限らず、連通部22f内であればよい。また、第2の撹拌部材43が180度回転する間に、羽根頂点部43cは連通部22fの上流側端面部22f2から下流側端面部22f1に移動するように、連通部22fの幅を設定する構成を示したが、これに限らず、第1の搬送路22dから第2の搬送路22cへ搬送する現像剤量に応じて、連通部22fの幅を上記構成より長くしてもよいし、また、上記構成より短くしてもよい。
【0060】
また、第2の撹拌部材43の回転にともなって、第2螺旋状羽根43aは、現像剤を矢印Pの方向に搬送するとともに、現像剤を第2螺旋状羽根43aの羽根の外周側に押し広げる。羽根頂点部43cが現像剤を仕切り部材22bあるいは連通部22f側に最も押し広げることになり、羽根頂点部43cの移動方向の後方(羽根頂点部43cの左側)では、羽根頂点部43cによって現像剤が押し広げられたために、現像剤量が少なくなっている。即ち、羽根頂点部43cが(0°)位置から(90°)位置までの範囲では、現像剤量が少なく、第2螺旋状羽根43aの羽根の外周側に現像剤が押し広げられていないことになる。
【0061】
従って、第1螺旋状羽根44aの近接部55が連通部22fに対向した回転位置にある場合には、連通部22f側に搬送される現像剤が多くなる一方、第2螺旋状羽根43aの羽根頂点部43cが(0°)位置から(90°)位置までの範囲にあると、その範囲の領域では第2螺旋状羽根43a周りの現像剤量が少なくなっているために、第1螺旋状羽根44aによって連通部22f側に搬送される現像剤がその領域に入り込むことになる。その結果、現像剤排出口22h側に搬送される現像剤が少なくなる。
【0062】
一方、第1螺旋状羽根44aの近接部55が連通部22fに対向した回転位置にあり、連通部22f側に搬送される現像剤が多くなっても、第2螺旋状羽根43aの羽根頂点部43cが(90°)位置から(0°)の直前の位置の範囲にあると、現像剤を第2螺旋状羽根43aの羽根の外周側に押し広げるために、第1螺旋状羽根44aによって連通部22f側に搬送される現像剤が第1の搬送路22d側へ押し戻され、第2の搬送路22cに入り込むのを抑えられる。
【0063】
このことから、第1螺旋状羽根44aの近接部55が連通部22fに対向した回転位置にある場合には、第2螺旋状羽根43aの羽根頂点部43cが(90°)位置から(0°)の直前の位置の範囲にあるように、第1及び第2の撹拌部材44、43を回転駆動させると、第1螺旋状羽根44aの近接部55が連通部22fに対向していない回転位置にある場合と略同じ現像剤量が現像剤排出口22h側に移動し、その結果、現像剤の排出量が安定することなる。
【0064】
そこで、第1及び第2の撹拌部材44、43を現像容器22(図3参照)に組み込む際に、第1螺旋状羽根44aの近接部55を連通部22fに対向する位置に配置し、一方、第2螺旋状羽根43aの羽根頂点部43cを(90°)位置から(0°)の直前の位置の所定範囲にあるように配置する。次に、第1及び第2の撹拌部材44、43を上記の状態を保持して、歯車61(図3参照)を図示しないモータの駆動歯車に噛合わせる。第1の撹拌部材44に設けた歯車64(図3参照)と、第2の撹拌部材43に設けた歯車62(図3参照)とは同じ歯数にて構成し、モータの回転駆動によって、第1の撹拌部材44と第2の撹拌部材43が同じ速度で回転するようにしておくと、第1螺旋状羽根44aの近接部55が連通部22fに対向する回転位置に来る時には、第2螺旋状羽根43aの羽根頂点部43cは上記の所定範囲の回転位置に来ている。これによって、第1螺旋状羽根44aの回転位置にかかわらず、余剰現像剤の排出量が安定することなる。また、前記所定範囲の幅が広く、この所定範囲内で第2螺旋状羽根43aの羽根頂点部43cを設定すると、歯車間の取り付け位置に若干のズレがあっても、現像剤の排出量が安定するために、第1及び第2の撹拌部材44、43の組み立てが容易になる。
【0065】
尚、第1及び第2の撹拌部材44、43の一方が他方に対して整数倍となる回転速度で回転駆動するようにしてもよい。例えば、歯車64(図3参照)の歯数に対して、歯車62(図3参照)の歯数を2倍として、第2の撹拌部材43の回転速度を第1の撹拌部材44の回転速度に対して1/2倍に設定する。この場合には、第1の撹拌部材44が2回転する毎に、第1螺旋状羽根44aの近接部55が連通部22fに対向する回転位置に来る時には、第2螺旋状羽根43aの羽根頂点部43cは上記の所定範囲の回転位置に来ていることになり、余剰現像剤の排出量が安定する。
【0066】
上記実施形態によれば、現像装置2は、第1螺旋状羽根44aを有する第1の撹拌部材44と、第1螺旋状羽根44aと同じ羽根ピッチで形成される第2螺旋状羽根43aを有する第2の撹拌部材43と、第1及び第2の搬送路22d、22c内を現像剤が一方向に循環するように切り欠いて形成される連通部22fと、余剰の現像剤を排出する現像剤排出口22hと、第1螺旋状羽根44aに対して逆位相に形成される逆螺旋状羽根52と、備える。第1螺旋状羽根44aの近接部55が連通部22fに対向する位置にある場合には、第2螺旋状羽根43aの羽根頂点部43cは、連通部22fの下流側端面部22f1に対向した位置から近接部55に対向する直前の位置の範囲にあるように配置され、第1及び第2の撹拌部材44、43は、夫々同じ回転速度、もしくは一方が他方に対して整数倍となる回転速度で駆動させられる。
【0067】
この構成によると、近接部55が連通部22fに対向する位置にある場合には、連通部22fに向かって現像剤が多量に搬送される一方、現像剤排出口22hに搬送される現像剤が減少する。この状態おいて、第2螺旋状羽根43aの羽根頂点部43cは、連通部22fの下流側端面部22f1に対向した位置から第1螺旋状羽根44aの近接部55に対向する直前の位置の範囲にあるように配置されると、第2螺旋状羽根43aが第2の搬送路22c内で下流側に現像剤を搬送するとともに、羽根頂点部43cが羽根の外周側に現像剤を押し広げる。従って、羽根の外周側に押し広げられた現像剤によって、第1螺旋状羽根44aの近接部55によって連通部22fに向かって搬送される現像剤は、第1の搬送路22d側へ押し戻され、現像剤排出口22h側に移動し易くなる。その結果、近接部55が連通部22fに対向していない場合と略同じ現像剤量が現像剤排出口22h側に移動することなる。
【実施例】
【0068】
以下に本発明を実施例により更に具体的に説明する。なお、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。図5及び図6は、上側から見た連通部22f付近の第1及び第2の撹拌部材44、43の配置を模式的に示す平面図である。図5(a)は比較例Aを示し、図5(b)は実施例1を示す。図6(c)は実施例2を示し、図6(d)は実施例3を示す。
【0069】
実施例1〜3及び比較例Aに用いる現像ローラー20は、外径が20mm、回転数が282rpmであり、磁気ローラー21は、外径が20mm、回転数が282rpmである。第1の撹拌部材44は、第1螺旋状羽根44aの外径が16mmであり、羽根ピッチが30mm(1条巻き)であり、更に、回転軸44bの軸径が8mmであり、回転数が315rpmである。逆螺旋状羽根52の外径が16mmであり、羽根ピッチが5mmで、2.5巻きである。一方、第2の撹拌部材43は、第2螺旋状羽根43aの外径が16mmであり、羽根ピッチが30mm(1条巻き)であり、更に、回転軸43bの軸径が8mmであり、第1螺旋状羽根44aと同じ方向に回転し、その回転数が315rpmである。現像容器22の連通部22fの開口幅は15mmである。
【0070】
現像容器22内のトナーは平均粒径6.8μmであり、キャリアは平均粒径35μmで、キャリアに対するトナーの重量比率は9%である。現像容器22内に補給した新現像剤のトナーに対するキャリアの重量比率は10%とした。
【0071】
上記の構成において、比較例A及び実施例1〜3では、第1螺旋状羽根44aの近接部55を連通部22fに対向した状態に設定した。そして、比較例A(図5(a))では、第2螺旋状羽根43aの羽根頂点部43cが第1螺旋状羽根44aの近接部55に対向する位置に設定した。また、実施例1(図5(b)では、第2螺旋状羽根43aの羽根頂点部43cが連通部22fの下流側端面部22f1に対向する位置に設定した。また、実施例2(図6(c))では、第2螺旋状羽根43aの羽根頂点部43cが連通部22fに対向しない位置に設定した。また、実施例3(図6(d))では、第2螺旋状羽根43aの羽根頂点部43cが連通部22fの上流側端面部22f2に対向する位置に設定した。
【0072】
比較例A及び実施例1〜3を上記のように設定した状態で、新現像剤を現像容器22に補給した後、第1及び第2螺旋状羽根44a、43aを10分間だけ回転させた後に、余剰現像剤が排出される一方、現像容器22内に適量の現像剤(適量の残存現像剤量;380g±5g)が残っているか否を測定した。
【0073】
比較例A及び実施例1〜3の残存現像剤量は表1の結果となった。
【表1】

【0074】
表1の結果より、比較例Aは、残存現像剤量が適量の残存現像剤量に対して極めて多くなる一方、余剰現像剤の排出量が極めて少なかった。実施例1は、残存現像剤量が適量の残存現像剤量に対して僅かに多くなったが、余剰現像剤の排出量が略適量の範囲であった。実施例2、3は、残存現像剤量が適量の残存現像剤量の範囲にあり、余剰現像剤の排出量が適量であった。以上より、第1螺旋状羽根44aの近接部55は、連通部22fの下流側端面部22f1に対向した位置から第1螺旋状羽根44aの近接部55に対向する直前の位置の範囲にあると、余剰現像剤が適量だけ排出量されることになる。より望ましくは、第1螺旋状羽根44aの近接部55は、連通部22fの下流側端面部22f1に対向した位置を越えて第1螺旋状羽根44aの近接部55に対向する直前の位置の範囲にあるのがよい。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、電子写真方式を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置に用いる現像装置及びそれを備えた画像形成装置に利用することができ、特に、トナーとキャリアとからなる2成分現像剤の補給を行うとともに余剰現像剤を排出する現像装置及びそれを備えた画像形成装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0076】
1 画像形成装置
2a〜2d、2 現像装置
11a〜11d、11 感光体
20 現像ローラー
22 現像容器
22b 仕切り部材
22c 第2の搬送路
22d 第1の搬送路
22e、22f 連通部
22f1 下流側端面部
22f2 上流側端面部
22g 現像剤補給口
22h 現像剤排出口
22i、22j 側壁部
42 撹拌部
43 第2の撹拌部材
43a 第2螺旋状羽根
43b、44b 回転軸
43c 羽根頂点部
44 第1の撹拌部材
44a 第1螺旋状羽根
52 逆螺旋状羽根(規制部材)
55 近接部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を撹拌、搬送し、撹拌した現像剤を現像ローラーに供給する現像装置であって、
回転軸の周りに軸方向に沿って延びる第1螺旋状羽根を有する第1の撹拌部材と、
回転軸の周りに軸方向に沿って延び前記第1螺旋状羽根と同じ羽根ピッチで形成される第2螺旋状羽根を有する第2の撹拌部材と、
前記第1螺旋状羽根によって現像剤が上流側から下流側に搬送される第1の搬送路と、
前記第2螺旋状羽根によって現像剤が上流側から下流側に搬送されるとともに前記第1の搬送路に隣接して平行に延びる第2の搬送路と、
前記第1及び第2の搬送路を仕切る仕切り部材と、
前記第1及び第2の搬送路内を現像剤が循環するように前記仕切り部材の長手方向の両端部側を切り欠いて形成される連通部と、
前記搬送路内に現像剤を補給する現像剤補給口と、
前記第1の搬送路の下流側端部に形成されて余剰の現像剤を排出する現像剤排出口と、
前記現像剤排出口に対向するとともに前記第1螺旋状羽根に隣接するように前記第1の撹拌部材の回転軸に設けられ、前記第1螺旋状羽根に対して逆位相に形成される規制部材と、を備え、
前記第1螺旋状羽根と規制部材とが最も近接する近接部が前記連通部に対向する位置にある場合には、
前記第2螺旋状羽根の、前記仕切り部材あるいは連通部に近接して対向する羽根頂点部は、前記連通部の下流側の端面部に対向した位置から位相が進行して前記近接部に対向する直前の位置に到達するまでの範囲にあるように配置され、
前記第1及び第2の撹拌部材は、夫々同じ回転速度、もしくは一方が他方に対して整数倍となる回転速度で駆動させられることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の現像装置を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−145729(P2012−145729A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3605(P2011−3605)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】