説明

現像装置及び画像形成装置

【課題】 トナーとキャリアとを含む現像剤を現像剤担持体により像担持体に搬送させて現像を行う現像装置において、現像後の現像剤が現像剤担持体の表面から適切に離脱されるようにする。
【解決手段】 トナーとキャリアとを含む現像剤Dを現像剤担持体21により像担持体10に導いて現像を行った後、現像剤担持体の内周側に設けたマグネット部材21aの隣り合う同極性の磁極S1,S2間において、現像後の現像剤を現像剤担持体から離脱させて装置本体20a内に戻すにあたり、現像剤担持体の回転方向上流側の磁極S1部分に、現像剤担持体と間隔を介して対向する現像剤案内部28を設け、磁極S1による現像剤担持体の接線方向に向かう磁力Bθが最大となる位置における現像剤担持体との間隔を、現像剤担持体の法線方向に向かう磁力Brが最大となる位置における現像剤担持体との間隔より小さくした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ及びこれらの複合機等の画像形成装置において像担持体に形成された静電潜像を現像するのに使用する現像装置及びこのような画像形成装置に関するものである。特に、装置本体内に収容されたトナーと磁性キャリアとを含む現像剤を、複数の磁極を有するマグネット部材が内周側に固定して設けられた現像剤担持体の下部側の表面に保持させ、この現像剤担持体を回転させて、上記の現像剤を像担持体と対向する現像領域に導いて現像を行い、現像後における現像剤を現像剤担持体により装置本体内に戻し、装置本体内に戻された現像後の現像剤を、上記のマグネット部材に設けられた隣り合う同極性の磁極間において現像剤担持体の表面から離脱させて、現像剤担持体の下方に導くようにした現像装置において、装置本体内に戻された現像後の現像剤が、マグネット部材に設けられた隣り合う同極性の磁極間において現像剤担持体の表面から適切に離脱されて、装置本体内に収容された現像剤中に適切に戻されるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、複写機、プリンタ、ファクシミリ及びこれらの複合機等の画像形成装置においては、像担持体に形成された静電潜像を現像するのに様々な現像装置が使用されており、このような現像装置としては、現像剤にトナーだけを使用した1成分現像方式の現像装置の他に、トナーと磁性キャリアとを含む現像剤を使用した2成分現像方式の現像装置が知られている。
【0003】
そして、このような2成分現像方式の現像装置としては、装置本体内に収容されたトナーと磁性キャリアとを含む現像剤を、回転する供給部材により内周側に複数の磁極を有するマグネット部材が固定して設けられた現像剤担持体の表面に供給し、この現像剤担持体を回転させて、現像剤を像担持体と対向する現像領域に導き、現像剤中のトナーを像担持体に供給して現像を行うと共に、現像後における現像剤を装置本体内に戻すようにしたものが広く使用されている。
【0004】
ここで、このような現像装置において、上記のようにトナーが供給された現像後の現像剤が現像剤担持体の表面に保持されたままの状態で、像担持体と対向する現像領域に導かれて再度現像に使用されると、像担持体に十分なトナーが供給されなくなって、形成される画像に濃度むら等が発生するという問題が生じた。
【0005】
このため、このような現像装置においては、上記のマグネット部材に同極性になった一対の磁極を隣り合うように設け、この隣り合う同極性の磁極間における反発磁力により、装置本体内に戻された現像後の現像剤を、この隣り合う同極性の磁極間において現像剤担持体の表面から離脱させることが行われている。
【0006】
しかし、このようにマグネット部材に設けられた隣り合う同極性の磁極間において、現像後の現像剤を現像剤担持体の表面から離脱させるようにした場合においても、現像後の現像剤が現像剤担持体の表面から十分に離脱されずに残ったり、離脱された現像後の現像剤が再度現像剤担持体の表面に供給されたりして、現像後の現像剤が再度現像に使用されるという問題が依然として存在した。
【0007】
特に、現像装置を小型化させて、装置本体内に収容された現像剤を、現像剤担持体の下方に設けた供給部材により現像剤担持体の下部側の表面に供給するようにした場合、現像剤を現像剤担持体に供給する位置と、現像剤担持体から現像後の現像剤を離脱させる位置とが近接し、現像後の現像剤が十分に現像剤担持体の表面から離脱されず、また離脱された現像後の現像剤が再度現像剤担持体の表面に供給されるようになり、現像後の現像剤が再度現像に使用されることが多くなるという問題があった。
【0008】
そして、従来においては、特許文献1に示されるように、上記の隣り合う同極性の磁極と上記の供給部材との間において、上記の現像剤担持体と対向するように磁性体を設け、上記の磁極によりこの磁性体を誘導磁化させて、現像後の現像剤を現像剤担持体の表面から十分に離脱させるようにしたものが提案されている。
【0009】
しかし、このように隣り合う同極性の磁極と上記の供給部材との間において、現像剤担持体と対向するように磁性体を設けた場合、現像剤がこの磁性体にあたって現像剤の流れが阻害されたり、この磁性体が変形したりするおそれがあり、また上記のように磁性体を誘導磁化させるだけでは、現像後の現像剤を現像剤担持体の表面から十分に離脱させることが困難になる等の問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平6−194962号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、装置本体内に収容されたトナーと磁性キャリアとを含む現像剤を、内周側に複数の磁極を有するマグネット部材が固定して設けられた現像剤担持体の下部側の表面に供給し、この現像剤担持体を回転させて、現像剤を像担持体と対向する現像領域に導き、現像剤中のトナーを像担持体に形成された潜像に供給して現像を行うと共に、現像後における現像剤を装置本体内に戻し、装置本体内に戻された現像後の現像剤を、上記のマグネット部材に設けた隣り合う同極性の磁極間において現像剤担持体の表面から離脱させて現像剤担持体の下方に導くようにした現像装置における上記のような問題を解決することを課題とするものである。
【0012】
すなわち、本発明においては、上記の現像装置において、装置本体内に戻された現像後の現像剤が、上記のマグネット部材に設けられた隣り合う同極性の磁極間において現像剤担持体の表面から適切に離脱され、このように離脱された現像後の現像剤が、適切に現像剤担持体の下方に導かれて現像剤担持体に再度供給されないようにし、現像剤担持体に新たな現像剤が適切に供給されて、濃度むら等の発生のない良好な画像が安定して形成されるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の現像装置においては、上記のような課題を解決するため、装置本体内に収容されたトナーと磁性キャリアとを含む現像剤を、複数の磁極を有するマグネット部材が内周側に固定して設けられた現像剤担持体の下部側の表面に供給し、この現像剤担持体を回転させて、上記の現像剤を像担持体と対向する現像領域に導いて現像を行い、現像後における現像剤を装置本体内に戻し、装置本体内に戻された現像後の現像剤を、上記のマグネット部材に設けられた隣り合う同極性の磁極間において現像剤担持体の表面から離脱させて現像剤担持体の下方に導く現像装置において、上記の同極性の磁極で現像剤担持体の回転方向上流側の磁極部分における現像剤担持体と間隔を介して対向するように現像剤案内部を設け、この現像剤案内部において、上記の現像剤担持体の回転方向上流側の磁極による現像剤担持体の接線方向に向かう磁力Bθが最大となる位置における現像剤担持体との間隔が、現像剤担持体の法線方向に向かう磁力Brが最大となる位置における現像剤担持体との間隔より小さくなるようにした。
【0014】
ここで、上記の現像剤案内部において、上記の現像剤担持体の回転方向上流側の磁極による現像剤担持体の接線方向に向かう磁力Bθが最大となる位置における現像剤担持体との間隔を、現像剤担持体の法線方向に向かう磁力Brが最大となる位置における現像剤担持体との間隔より小さくするにあたっては、上記の現像剤担持体の接線方向に向かう磁力Bθが最大となる位置における現像剤担持体と対向する現像剤案内部の部分に、現像剤担持体側に突出した凸条を現像剤担持体の軸方向に設けるようにすることができる。なお、この凸条の形状は特に限定されず、例えば、四角柱状や三角柱状等の様々な形状にすることができる。
【0015】
また、上記のようにマグネット部材に設けられた隣り合う同極性の磁極間において、現像剤担持体の表面から現像後の現像剤が適切に離脱されて現像剤担持体の下方に導かれるようにするためには、上記の現像剤担持体の接線方向に向かう磁力Bθが最大となる位置における磁力Bθmaxが、上記の磁力Bθが最大となる位置における現像剤担持体の法線方向に向かう磁力Brよりも大きくなるようにすることが好ましい。
【0016】
また、本発明の画像形成装置においては、像担持体に形成された静電潜像を現像装置によって現像するにあたり、上記のような現像装置を用いるようにした。
【発明の効果】
【0017】
本発明の現像装置においては、上記のようにマグネット部材に設けられた隣り合う同極性の磁極間において、現像後の現像剤を現像剤担持体の表面から離脱させるにあたり、上記の同極性の磁極で現像剤担持体の回転方向上流側の磁極部分における現像剤担持体と間隔を介して対向するように現像剤案内部を設け、この現像剤案内部において、上記の現像剤担持体の回転方向上流側の磁極による現像剤担持体の接線方向に向かう磁力Bθが最大となる位置における現像剤担持体との間隔を、現像剤担持体の法線方向に向かう磁力Brが最大となる位置における現像剤担持体との間隔より小さくしたため、現像剤担持体の接線方向に向かう磁力Bθが最大となる位置において、現像剤担持体によって搬送される現像後の現像剤が抑止されるようになる。
【0018】
このため、現像剤担持体の接線方向に向かう磁力Bθが最大となる位置においては、現像後の現像剤が現像剤担持体の接線方向に搬送される力が減少し、現像剤担持体によって搬送される現像後の現像剤が、現像剤担持体の回転方向下流側における同極性の磁極に導かれるのが防止されると共に、現像剤担持体の法線方向に向かう磁力Brも減少して、現像後の現像剤を現像剤担持体の表面に保持させる力も減少し、上記の同極性の磁極間において、現像後の現像剤が現像剤担持体の表面から適切に離脱されて現像剤担持体の下方に導かれ、現像後の現像剤が現像剤担持体に再度供給されるのが防止されるようになる。
【0019】
この結果、上記の現像装置においては、現像後の現像剤が現像剤担持体の表面から適切に離脱されて、現像剤担持体に新たな現像剤が適切に供給されるようになり、この現像装置を用いた画像形成装置においては、濃度むら等の発生のない良好な画像が安定して得られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る現像装置を使用した画像形成装置の概略説明図である。
【図2】上記の画像形成装置に使用した本発明の一実施形態に係る現像装置を示した概略説明図である。
【図3】上記の実施形態に係る現像装置において、現像剤担持体の内周側に設けられたマグネット部材の磁極による現像剤担持体の接線方向に向かう磁力Bθと現像剤担持体の法線方向に向かう磁力Brとが変化する状態を示すと共に、現像剤担持体と間隔を介して対向する現像剤案内部に凸条を設ける位置との関係を示した部分説明図である。
【図4】上記の実施形態に係る現像装置において、現像剤案内部に設ける凸条の形状を変更させた変更例の概略説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、本発明の実施形態に係る画像形成装置及び現像装置を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明に係る画像形成装置及び現像装置は、下記の実施形態に示したものに限定されず、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
【0022】
この実施形態に係る画像形成装置においては、図1に示すように、4つの感光体ドラム(像担持体)10に対応させて、トナーと磁性キャリアとを含む現像剤を収容させた4つの現像装置20を設けている。
【0023】
そして、各現像装置20においては、感光体ドラム10に現像剤を搬送するローラ状になった現像剤担持体21を、それぞれ対応する感光体ドラム10と対向するように設けると共に、各現像装置20においては、それぞれの現像剤におけるトナーの色彩を異ならせて、黒色,黄色,マゼンダ色,シアン色のトナーを用いている。
【0024】
そして、この画像形成装置によりフルカラーの画像形成を行うにあたっては、上記の各感光体ドラム10を回転させて、各感光体ドラム10の表面をそれぞれ帯電装置11によって帯電させ、このように帯電された各感光体ドラム10に対して、それぞれ潜像形成装置12により画像形成情報に従った露光を行い、各感光体ドラム10の表面にそれぞれ静電潜像を形成するようにしている。
【0025】
次いで、このように静電潜像が形成された各感光体ドラム10に対して、それぞれ対応する現像装置20における現像剤担持体21により現像剤を感光体ドラム10と対向する位置に導き、所定の色彩のトナーを各感光体ドラム10の静電潜像に供給して現像を行い、各感光体ドラム10の表面にそれぞれの色彩のトナー像を形成するようにしている。
【0026】
そして、このように各感光体ドラム10に形成された各色彩のトナー像を、ローラ13aに架け渡されて駆動される無端ベルト状になった中間転写体13に、それぞれローラ状になった一次転写装置14により順々に一次転写させて、この中間転写体13の上にフルカラーのトナー像を形成するようにしている。一方、上記の中間転写体13に転写されずに各感光体ドラム10の表面に残留しているトナー等の残留物を、それぞれ第1クリーニング装置15によって除去するようにしている。
【0027】
次いで、上記のように中間転写体13の上に形成されたフルカラーのトナー像を、この中間転写体13によりローラ状になった二次転写装置16と対向する位置に導くと共に、この画像形成装置の下部に収容された記録シート19を中間転写体13と二次転写装置16との間に導き、上記の二次転写装置16により中間転写体13の上に形成されたフルカラーのトナー像をこの記録シート19に二次転写させるようにしている。
【0028】
その後、フルカラーのトナー像が転写された記録シート19を定着装置17に導いて、転写されたフルカラーのトナー像を記録シート19に定着させた後、このようにフルカラーのトナー像が定着された記録シート19を排紙させるようにしている。一方、記録シート19に転写されずに上記の中間転写体13に残ったトナー等の残留物を、第2クリーニング装置18によって中間転写体13から除去させるようにしている。
【0029】
ここで、この実施形態における上記の現像装置20においては、図2に示すように、その装置本体20aの上部に、感光体ドラム10と所要間隔を介して対向するように現像剤担持体21を回転可能に設けると共に、この現像剤担持体21の内周側に、複数の磁極N,S,…が設けられたマグネット部材21aを固定して設けている。
【0030】
また、トナーと磁性キャリアとを含む現像剤Dを収容させた上記の装置本体20a内に、上記の現像剤担持体21の軸方向に沿った隔壁27を設け、この隔壁27により装置本体20a内を、上記の現像剤担持体21に現像剤Dを供給する第1の搬送部22と、この第1の搬送部22との間で現像剤Dを循環させて搬送させる第2の搬送部23とに分離させている。
【0031】
また、上記の第1の搬送部22内に、回転して現像剤Dを搬送させると共に上記の現像剤担持体21に現像剤Dを供給する第1のスクリュウ部材24を設けると共に、上記の第2の搬送部23内に、回転して現像剤Dを搬送させる第2のスクリュウ部材25を設けている。
【0032】
そして、第1の搬送部22と第2の搬送部23とに設けられた第1のスクリュウ部材24と第2のスクリュウ部材25とを回転させて、現像剤Dを第1の搬送部22と第2の搬送部23とで逆方向に搬送させ、上記の隔壁13の両端部に設けられた循環口(図示せず)を通して現像剤Dを、この第1の搬送部22と第2の搬送部23との間で循環させると共に、上記の第1のスクリュウ部材24により、第1の搬送部22における現像剤Dをその上部側に位置する上記の現像剤担持体21の下部側の表面に供給するようにしている。
【0033】
そして、このように現像剤担持体21の下部側の表面に供給された現像剤Dを、上記のマグネット部材21aの磁力により現像剤担持体21の表面に保持させるようにしている。
【0034】
次いで、このように現像剤Dを表面に保持させた現像剤担持体21を回転させ、この現像剤担持体21によって現像剤Dを上記の感光体ドラム10と対向する現像領域に搬送させる途中の位置において、この現像剤担持体21と所要間隔を介して対向するように規制部材26を設け、現像剤担持体21の表面に保持されて現像領域に搬送される現像剤Dの量をこの規制部材26によって規制するようにしている。
【0035】
そして、このように規制部材26により規制された現像剤Dを、現像剤担持体21により感光体ドラム10と対向する現像領域に導き、この現像剤D中におけるトナーを、感光体ドラム10に形成された静電潜像の部分に供給して、感光体ドラム10に形成された静電潜像を現像するようにしている。
【0036】
また、このようにして感光体ドラム10に形成された静電潜像を現像した後、現像剤担持体21の表面に保持された現像後の現像剤Dを、この現像剤担持体21によって装置本体20a内に戻すようにしている。
【0037】
ここで、この実施形態の現像装置20においては、上記のマグネット部材21aに隣り合う一対の同極性の磁極S1,S2を設け、装置本体20a内に戻された現像後の現像剤Dをこの一対の同極性の磁極S1,S2間において現像剤担持体21の表面から離脱させるようにすると共に、現像剤担持体21の回転方向上流側における上記の磁極S1部分において、上記の現像剤担持体21と間隔を介して対向するように、現像後の現像剤Dを装置本体20a内に案内する現像剤案内部28を設けている。
【0038】
また、この現像装置20においては、図2及び図3に示すように、上記の一対の同極性の磁極S1,S2における現像剤担持体21の回転方向上流側における磁極S1において、現像剤担持体21の接線方向に向かう磁力Bθが最大となる位置と対向する現像剤案内部28の部分に、現像剤担持体21に向けて突出した四角柱状になった凸条28aを現像剤担持体21の軸方向に沿って設け、現像剤担持体21の接線方向に向かう磁力Bθが最大となる位置における現像剤担持体21と凸条28aが設けられた現像剤案内部28との間隔が、上記の磁極S1による現像剤担持体21の法線方向に向かう磁力Brが最大となる位置における現像剤担持体21と現像剤案内部28との間隔より小さくなるようにしている。
【0039】
このようにすると、上記の磁極S1による現像剤担持体21の接線方向に向かう磁力Bθが最大となる位置において、現像剤担持体21によって搬送される現像後の現像剤Dが上記の凸条28aにより抑止され、現像後の現像剤Dが現像剤担持体21の接線方向に搬送される力が減少し、現像剤担持体21により搬送される現像後の現像剤Dが、現像剤担持体21の回転方向下流側における同極性の磁極S2に導かれるのが防止される。
【0040】
また、この現像装置20においては、上記の磁極S1による現像剤担持体21の接線方向に向かう磁力Bθが最大となる位置における磁力Bθmaxよりも、上記の磁力Bθが最大となる位置における現像剤担持体21の法線方向に向かう磁力Brが小さくなって、現像後の現像剤Dを現像剤担持体21の表面に保持される力も弱くなっている。
【0041】
この結果、上記の同極性の磁極S1,S2間において、現像剤担持体21の表面から離脱された現像後の現像剤Dが、現像剤担持体21の回転方向下流側における同極性の磁極S2に導かれることがなく、離脱された現像後の現像剤Dが重力により現像剤担持体21の下方に導かれて、装置本体20a内に収容された現像剤Dに取り込まれるようになり、現像後の現像剤Dが現像剤担持体21に再度供給されるのが防止される。
【0042】
そして、このように現像後の現像剤Dが離脱された現像剤担持体21の表面に、上記の第1のスクリュウ部材24により新たな現像剤Dが供給されて現像に使用されるようになり、濃度むら等の発生のない良好な画像が安定して得られるようになる。
【0043】
なお、この実施形態の現像装置20においては、上記の磁極S1による現像剤担持体21の接線方向に向かう磁力Bθが最大となる位置と対向する現像剤案内部28の部分に、四角柱状になった凸条28aを現像剤担持体21の軸方向に沿って設けるようにしたが、凸条28aの形状はこのようなものに限定されない。例えば、図4に示すように、三角柱状になった凸条28aを設けるようにすることも可能である。
【0044】
また、このような凸条28aを設けるにあたっては、この凸条28aを現像剤案内部28の部分に取り付けるようにする他、現像剤案内部28自体をこのような形状に形成することもできる。
【符号の説明】
【0045】
10 感光体ドラム(像担持体)
11 帯電装置
12 潜像形成装置
13 中間転写体
13a ローラ
14 一次転写装置
15 第1クリーニング装置
16 二次転写装置
17 定着装置
18 第2クリーニング装置
19 記録シート
20 現像装置
20a 装置本体
21 現像剤担持体
21a マグネット部材
22 第1の搬送部
23 第2の搬送部
24 第1のスクリュウ部材
25 第2のスクリュウ部材
26 規制部材
27 隔壁
28 現像剤案内部
28a 凸条
D 現像剤
S1,S2 隣り合う同極性の磁極
Bθ 現像剤担持体の接線方向に向かう磁力
Bθmax 磁極S1による現像剤担持体の接線方向に向かう最大の磁力
Br 現像剤担持体の法線方向に向かう磁力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体内に収容されたトナーと磁性キャリアとを含む現像剤を、複数の磁極を有するマグネット部材が内周側に固定して設けられた現像剤担持体の下部側の表面に供給し、この現像剤担持体を回転させて、上記の現像剤を像担持体と対向する現像領域に導いて現像を行い、現像後における現像剤を装置本体内に戻し、装置本体内に戻された現像後の現像剤を、上記のマグネット部材に設けられた隣り合う同極性の磁極間において現像剤担持体の表面から離脱させて現像剤担持体の下方に導く現像装置において、上記の同極性の磁極で現像剤担持体の回転方向上流側の磁極部分における現像剤担持体と間隔を介して対向するように現像剤案内部を設け、この現像剤案内部において、上記の現像剤担持体の回転方向上流側の磁極による現像剤担持体の接線方向に向かう磁力Bθが最大となる位置における現像剤担持体との間隔を、現像剤担持体の法線方向に向かう磁力Brが最大となる位置における現像剤担持体との間隔より小さくしたことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の現像装置において、上記の現像剤担持体の接線方向に向かう磁力Bθが最大となる位置における現像剤担持体と対向する現像剤案内部の部分に、現像剤担持体側に突出した凸条を現像剤担持体の軸方向に設けたことを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の現像装置において、上記の現像剤担持体の接線方向に向かう磁力Bθが最大となる位置における磁力Bθmaxが、上記の磁力Bθが最大となる位置における現像剤担持体の法線方向に向かう磁力Brよりも大きいことを特徴とする現像装置。
【請求項4】
像担持体に形成された静電潜像を現像装置によって現像する画像形成装置において、上記の請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の現像装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−276696(P2010−276696A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−126597(P2009−126597)
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】