説明

現品置場管理システム

【課題】フレキシブルな置場運用を実現しつつ、現品の物理的な位置管理を自動で行うことができる、現品置場管理システムを提供することを目的とする。
【解決手段】置場内で現品を固定するための、前記置場内に複数配置された、移動可能な置台毎に装着され、当該置台を識別する置台番号データを保持するRFIDタグと、前記現品を移動させるための移送手段に配設され、前記RFIDタグと無線通信を行って、保持された置台番号データを読取り、読取った置台番号データを送信するRFIDリーダと、現品番号を特定した置場受払い指示データを前記移送手段の運転者用端末機に送信するとともに、該置場受払い指示に基づいて行なわれた移送作業により前記RFIDリーダから送信された置台番号データを受信し、前記現品番号データと受信した置台番号データとを照合する照合処理手段とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄鋼板等のコイル、またはその他コイル状の物品を、倉庫内あるいは工場内等で保管する場合の置場管理を行う現品置場管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
これまでの現品置場管理の技術としては、薄鋼板等のコイル、またはその他コイル状の物品(以降、コイル、製品または製品コイルの何れかと称する)を置く場所(以降、製品置場または単に置場の何れかと称する)に設置された天井クレーンの位置をレーザー距離計などの距離計を使用して測定し、走行方向(建屋長さ方向)をX、横行方向(建屋巾方向)をYとしてX-Y座標を置場番地に紐付けして置場管理するものがある。すなわち、各置場番地にはスキッドと呼ばれるコイルのすべり止めが固定して設置されており、製品コイルをこのスキッド上に置くことで製品コイルと置場が紐付けされている。
【0003】
スキッドの位置をレーザー距離計で測定しX-Y座標に割り当て、天井クレーンによる置場の受払い実績を自動でビジコンに伝送する。すなわち、各製品コイルは、置場番地とともにビジコン内に現品情報として登録し、管理されるというものである。
【0004】
また、例えば、特許文献1または特許文献2には、置場区画にあらかじめRFID(Radio Frequency IDentification「電波による個体識別」の略)タグを埋め込み、および/または、コイルにRFIDタグを添付し、コイルの位置移動に際して、前記RFIDタグの情報を読取り、コイルの置場管理を行なう技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−246278号公報
【特許文献2】特開2008−94504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
置場床面に固定して設置したスキッドは、一旦座標管理システムに位置情報を登録すると、移動・変更が面倒であり、倉庫内のコイルサイズ(巾、外径)の構成が変化しても、スキッドの配置換えは困難であるという課題がある。この点、特許文献1または特許文献2に開示された技術でも、置場床面にRFIDタグを設置しているため、同様に置場レイアウトを自由に変更できないといった課題がある。
【0007】
また、前述のレーザー距離計を使用して位置検出する技術では、クレーンの走行、横行の検出に少なくとも2系統のレーザー位置検出装置を設置する必要があり、位置検出システムの設置コストが比較的高価になってしまう。このため、以下のような倉庫(置場)ではその適用が遅れていた。
(1) 天井クレーンが遠隔操作(テレコン操作)の倉庫は倉庫要員が1名であるなど、位置検出システム設置による省力化メリットが希薄な倉庫
(2) 各品種置場能力逼迫時のバッファ倉庫として使用され、スキッドの配置換えが頻繁に発生する倉庫
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、フレキシブルな置場運用を実現しつつ、現品の物理的な位置管理を自動で行うことができる、現品置場管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は次の発明により解決される。
【0009】
[1]置場における現品の置場受払い管理を行う現品置場管理システムであって、置場内で現品を固定するための、前記置場内に複数配置された、移動可能な置台毎に装着され、当該置台を識別する置台番号データを保持するRFIDタグと、前記現品を移動させるための移送手段に配設され、前記RFIDタグと無線通信を行って、保持された置台番号データを読取り、読取った置台番号データを送信するRFIDリーダと、現品番号を特定した置場受払い指示データを前記移送手段の運転者用端末機に送信するとともに、該置場受払い指示に基づいて行なわれた移送作業により前記RFIDリーダから送信された置台番号データを受信し、前記現品番号データと受信した置台番号データとを照合する照合処理手段とを具備することを特徴とする現品置場管理システム。
【0010】
[2]上記[1]において、前記現品に貼られた、現品番号データを保持するバーコード又はRFIDタグを読み込むとともに、その読み込んだ現品番号データを前記照合処理手段に送信する現品情報入力手段を具備することを特徴とする現品置場管理システム。
【0011】
[3]上記[1]または[2]において、前記移送手段の位置検出を行う位置検出装置を具備し、置台番号データ、置台番号データ、および物理位置データを紐付けして置場登録を行い、置場管理を自動で行うことができる現品置場管理システム。
【0012】
[4]上記[1]ないし[3]のいずれかにおいて、前記現品はコイル状物品であり、前記移送手段はクレーンであり、前記RFIDリーダは前記クレーンの吊上げ装置であるリフターに配設されていることを特徴とする現品置場管理システム。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、位置計測をすることなく置場における現品管理を行うことができるため、投資効果がこれまで低かった置場にも適用対象を広げることができる。また、置台に設置したRFIDタグをクレーンの吊具に設置したRFIDリーダで読み取ることでコイル現品現品番号と置台番号を紐付け管理しているので、置台の自由なレイアウト変更や製品コイルのサイズ構成変化にも迅速に対応することができる。
【0014】
さらに、位置検出装置と組み合わせることで置場登録を容易にするとともに、現品の物理的な位置管理を自動で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態1に係るシステム構成例を示す図である。
【図2】置台上に設置した製品コイルを示す図である。
【図3】置台上に設置した製品コイル(大径・大幅)を示す図である。
【図4】RFIDリーダによる読取りの様子を示す図である。
【図5】本発明の実施形態1における管理作業(入庫)の処理フロー例を示す図である。
【図6】本発明の実施形態1における管理作業(出庫)の処理フロー例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態2に係るシステム構成例を示す図である。
【図8】本発明の実施形態2における管理作業(入庫)の処理フロー例を示す図である。
【図9】本発明の実施形態2における管理作業(出庫)の処理フロー例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
現品としては種々のものが考えられるが、以下、コイル状物体の一例として製品コイルを例に挙げて説明する。ここで、製品コイルとは、例えば鋼板、非金属板、紙、フィルムなど板状・箔状のものを巻いたものの他、線状のものを巻いたものも含まれる。なお、製品コイルとの概念には、製品として完成されたコイルに限られず、製造工程の途中にある、すなわち未完成のコイルも含まれる。
【0017】
[実施形態1]
図1は、本発明の実施形態1に係るシステム構成例を示す図である。図中、1は製品コイル、2は置台、3は天井クレーン、4はリフター、5はRFIDリーダ、6はRFIDタグ、7は無線中継機、8は移送手段の運転者用端末機、9はテレコン操作卓、および10は照合処理手段をそれぞれ表す。
【0018】
置場エリア内にある置台2の上に、置場エリア外からの製品コイル1を運び込む(入庫)、又は逆に置台2上にある製品コイル1を吊上げて、置場エリア外へ排出する(出庫)などといった移送作業を、遠隔操作(テレコン操作)する天井クレーン3でハンドリングする場合の例を示している。
【0019】
図2は、置台上に設置した製品コイルを示す図である。(a)ならびに(b)は、それぞれ正面図、側面図を現しており、置台2の上に小径・小幅の製品コイル1が載っている様子を表している。本発明における置台とは、製品コイルが転がって置場の床に設置しないようにする置台であり、すべり止め部(スキッド)とこれを固定する設置台とが一体に形成されている。置台2自体は、置場エリア内を自由に移動可能であり、このことにより置場レイアウトを自由に変更することが可能である。
【0020】
図1に示すそれぞれの置台2には、それぞれを識別するための置台番号を保持するRFIDタグ6が装着されている。また、天井クレーン3の吊上げ装置であるリフター4には、前記RFIDタグ6と無線通信を行って、置台番号を読み取るRFIDリーダ5が配設されている。
【0021】
RFIDリーダ5で読み込まれた置台データは、無線中継機7を介して照合処理手段10(以降は、ホストとも略記する)に置場受払い実績として送られる。照合処理手段10では、予め用意された入出庫計画と受信した置場受払い実績に基づいて、置場受払い指示をこれも無線中継機7を介して、移送手段の運転者用端末機8に送信する。移送手段の運転者用端末機8としては、例えば、PDA(Personal Digital Assistants、携帯情報端末)を用いるようにすれば良い。
【0022】
そして、移送手段の運転者用端末機8に表示された置場受払い指示に基づいて、作業者はテレコン操作卓9により天井クレーン3を遠隔操作して、製品コイル1の置場受払い(入出庫)を行う。
【0023】
これまでの置場管理システムでは、クレーン位置計測による座標データと置場番地を紐付けし、さらに置場番地とコイル現品を紐付けして管理しているが、本発明では、位置を検出することはせず、置台に設置したRFIDタグをクレーンの吊具に設置したRFIDリーダで読み取ることでコイル現品と番地情報を紐付け管理している。
【0024】
すなわち、各置台の置台番号と現品番号を現品入庫時にホスト内で紐付けしデータとして格納し、現品出庫時に格納データと照合することにより現品識別管理をしている。本発明による処理の様子を、移送作業と対応して次に説明をする。
【0025】
本発明では、図1に示したシステム構成に、コイル現品認識のために入出庫要求用の現品情報入力手段の利用を付加している。なお、コイルは幅、径ともに2000mm程度の範囲内で種々のサイズがある。
【0026】
図3は、置台上に設置した製品コイル(大径・大幅)を示す図である。図2に示した製品コイル(小径・小幅)の場合と比べれば、図3の場合は、製品コイルが置台をはみ出してしまうことが分る。これにより、置台本体に直接RFIDタグを付けただけでは、製品コイルが邪魔になりRFIDリーダによる読込みができなくなってしまう。
【0027】
そこで、図4に示すように、最小・最大幅コイルのハンドリング時においてもRFIDリーダ5による読込みが可能なように、置台2にRFIDタグ用張出し部11を設けてRFIDタグ6を配設するような工夫を施している。
【0028】
図5は、本発明の実施形態1における管理作業(入庫)の処理フロー例を示す図である。先ず始めに、入出力端末からホストにコイルの入荷計画が事前に伝送される(step100)。入荷計画には、作業計画番号順に対象となるコイルの現品番号や車上積載情報(どの車両の何番目に積載されているかなど)が入っている。そして、コイルが到着し入庫要求がホストに出されると、ホストから移送手段の運転者用端末機に入庫要求伝送がなされる。
【0029】
この例では、入出庫要求用の現品情報入力手段を利用する。車両で運ばれてきたコイル現品に貼られた現品番号が入ったバーコードを現品情報入力手段内蔵のバーコードリーダで読み込み現品確認を行うとともに、ホストに現品番号データが送られる。これが、ホストへの入庫請求(step101)という処理スタートのトリガーとなり、ホストからクレーンを遠隔操作する作業者が保持している移送手段の運転者用端末機(図では、ハンディと表示)に入庫要求伝送(step102)がなされる。
【0030】
なお、バーコードリーダで読み込む際には、例えば、車上の最後尾のコイル1本目のバーコードを読んで入庫要求をかけ、その後2本目を読むというように、読み順をルール化するようにすると良い。また、現品番号の情報は、バーコードに代えて、RFIDタグに保持(記憶)させて、RFIDリーダで読込んでも良い。
【0031】
移送手段の運転者用端末機画面上に現品番号が特定された入庫要求が表示されると、遠隔操作でクレーンを操作して車上から対象となる現品の降し作業を行う。リフターが対象となる現品を掴んで吊上げようとするリフターに装着した在荷センサがONとなり在荷検知し(step103)、ホストに吊上げ実績伝送する(step104)。
【0032】
クレーンを操作して置台上まで吊上げた現品を移送し、置台に現品を降ろすと、吊上げ時とは逆に在荷センサがOFFとなりリフターに付けられたRFIDリーダがRFIDタグに保持された置台番号を読みにいく(step105)。なお、step104およびstep105では、在荷検知という共通の言葉を用いているが、在荷センサの状態変化(ONからOFF、またはOFFからON)を捕えるいう意味である。以下の図の説明でも同様とする。
【0033】
読み込まれた置台番号は、ホストに置場実績データとして伝送される(step106)。この時点で、置台データと現品データとが紐付け認識(置台番号XXの置台上に、現品番号YYのコイル現品が載っている)される。このように、それぞれの現品入庫作業終了と同時に、置台番号と現品番号とが一意に紐付けされたデータとしてホスト内に格納される。以上で、入庫時の一連の処理を終了する。
【0034】
図6は、本発明の実施形態1における管理作業(出庫)の処理フロー例を示す図である。先ず始めに、入出力端末からホストにコイルの出荷計画が事前に伝送される(step200)。出荷計画には、作業計画番号順に対象となるコイルの現品番号や車上積載情報(どの車両の何番目に積載されるかなど)が入っている。そして、積み込むための車両が到着し積込み要求がホストに出されると、ホストから移送手段の運転者用端末機に積込指示要求伝送がなされる。
【0035】
この例では、入庫作業と同様に現品情報入力手段からホストへの積込み請求(step201)というトリガーを発する。すると、ホストからクレーンを遠隔操作する作業者が保持している移送手段の運転者用端末機(図では、ハンディと表示)に積込指示伝送(step202)がなされる。
【0036】
移送手段の運転者用端末機画面上に現品番号が特定された積込指示が表示されると、遠隔操作でクレーンを操作して置場から置台上の対象となる現品の吊上げ作業を行う。リフターが対象となる現品を掴んで吊上げようとするリフターに装着した在荷センサがONとなり在荷検知し、RFIDリーダが起動してRFIDタグに保持された置台番号を読込み(step203)、ホストに吊上げ実績伝送する(step204)。
【0037】
するとホストでは、前述の入庫作業で作成され、ホスト内に格納された紐付けされたデータと照合して、(置台番号XXの置台上にある現品番号YYのコイル現品が吊上げられた)と認識する。
【0038】
さらに、クレーンを操作して積込みを行う車両上まで吊上げた現品を移送し、車両の荷台に現品を降ろすと、吊上げ時とは逆に在荷センサがOFFとなり(step205)、対象現品の出庫が完了したという出庫実績をホストに伝送する(step206)。ホストでは、出庫が完了した紐付けされた置台データと現品データとを移送手段の運転者用端末機に確認用として伝送する(step207)とともに、ホスト内に格納されていた当該紐付けデータを消し込むという作業を行う。以上で、出庫時の一連の処理を終了する。
【0039】
なお、置場内での配置替えの作業においては、上述の出庫時処理と入庫時処理とを組み合わせる。すなわち、始めに元の置台からコイル現品を吊上げるまでの作業は、出庫時処理での(step203)ならびに(step204)を行い、次に新しい置台にコイル現品を降ろす作業で、入庫時処理での(step105) ならびに(step106)を行うとともに、ホストでは古い紐付けデータを消し込み、新しい紐付けデータを格納する。
【0040】
以上説明したように本実施形態1を用いることにより、位置計測をすることなく置場における現品管理を行うことができるため、投資効果がこれまで低かった置場にも適用対象を広げることができる。また、置台に設置したRFIDタグをクレーンの吊具に設置したRFIDリーダで読み取ることでコイル現品現品番号と置台番号を紐付け管理しているので、置台の自由なレイアウト変更や製品コイルのサイズ構成変化にも迅速に対応することができる。
【0041】
[実施形態2]
図7は、本発明の実施形態2に係るシステム構成例を示す図である。図中、21は横行位置検出レーザー、22は横行位置検出用反射板、23は走行位置検出レーザー、および24は走行位置検出用反射板をそれぞれ表す。その他の符号1〜10は、図1と同じである。
【0042】
横行位置検出レーザー21と横行位置検出用反射板22のペアで、天井クレーン3の横行方向での位置(例えば、建屋内置場の幅方向位置ZZ)を測定する。同様に、走行位置検出レーザー23と走行位置検出用反射板24のペアで、天井クレーン3の走行方向での位置(例えば、建屋内置場の長手方向位置WW)を測定することで、天井クレーン3の2次元的な物理位置を把握することができる。
【0043】
なお、ここでは位置検出装置としてレーザーを用いたが、天井クレーンの2次元的な物理位置を把握できるものであれば、誘導無線方式などいかなる方式のものを用いても良い。
【0044】
図8は、本発明の実施形態2における管理作業(入庫)の処理フロー例を示す図である。先ず始めに、入出力端末からホストにコイルの入荷計画が事前に伝送される(step300)。入荷計画には、作業計画番号順に対象となるコイルの現品番号や車上積載情報(どの車両の何番目に積載されているかなど)が入っている。そして、コイルが到着し入庫要求がホストに出されると、ホストから移送手段の運転者用端末機に入庫要求伝送がなされる。
【0045】
ここでも実施形態1と同様に、入出庫要求用の現品情報入力手段を利用する。車両で運ばれてきたコイル現品に貼られた現品番号が入ったバーコードを現品情報入力手段内蔵のバーコードリーダで読み込み現品確認を行うとともに、ホストに現品番号データが送られる。これが、ホストへの入庫請求(step301)という処理スタートのトリガーとなり、ホストからクレーンを遠隔操作する作業者が保持している移送手段の運転者用端末機(図では、ハンディと表示)に入庫要求伝送(step302)がなされる。
【0046】
なお、バーコードリーダで読み込む際には、例えば、車上の最後尾のコイル1本目のバーコードを読んで入庫要求をかけ、その後2本目を読むというように、読み順をルール化するようにすると良い。また、現品番号の情報は、バーコードに代えて、RFIDタグに保持(記憶)させて、RFIDリーダで読込んでも良い。
【0047】
移送手段の運転者用端末機画面上に現品番号が特定された入庫要求が表示されると、遠隔操作でクレーンを操作して車上から対象となる現品の降し作業を行う。リフターが対象となる現品を掴んで吊上げようとするリフターに装着した在荷センサがONとなり在荷検知し(step303)、ホストに吊上げ実績伝送する(step304)。
【0048】
クレーンを操作して置台上まで吊上げた現品を移送し、置台に現品を降ろすと、吊上げ時とは逆に在荷センサがOFFとなりリフターに付けられたRFIDリーダがRFIDタグに保持された置台番号を読みにいくと同時に、位置検出レーザーによるクレーンの位置情報(物理位置)を読みにいく(step305)。
【0049】
読み込まれた置台番号は置場実績データとして、クレーンの位置情報(物理位置)は実績座標として、ホストに伝送される(step306)。この時点で、置台データと現品データと物理位置とが紐付け認識(物理位置[ZZ、WW]にある置台番号XXの置台上に、現品番号YYのコイル現品が載っている)される。このように、それぞれの現品入庫作業終了と同時に、置台番号と現品番号と物理位置とが一意に紐付けされたデータとしてホスト内に格納される。以上で、入庫時の一連の処理を終了する。
【0050】
図9は、本発明の実施形態2における管理作業(出庫)の処理フロー例を示す図である。先ず始めに、入出力端末からホストにコイルの出荷計画が事前に伝送される(step400)。出荷計画には、作業計画番号順に対象となるコイルの現品番号や車上積載情報(どの車両の何番目に積載されるかなど)が入っている。そして、積み込むための車両が到着し積込み要求がホストに出されると、ホストから移送手段の運転者用端末機に積込指示要求伝送がなされる。
【0051】
この例では、入庫作業と同様に現品情報入力手段からホストへの積込み請求(step401)というトリガーを発する。すると、ホストからクレーンを遠隔操作する作業者が保持している移送手段の運転者用端末機(図では、ハンディと表示)に、コイルNo.,置台No.,置場位置などの積込指示伝送(step402)がなされる。
【0052】
移送手段の運転者用端末機画面上に現品番号が特定された積込指示(例えば、物理位置[ZZ、WW]にある置台番号XXの置台上にある、現品番号YYのコイル現品を積込め)が表示されると、遠隔操作でクレーンを操作して置場から置台上の対象となる現品の吊上げ作業を行う。リフターが対象となる現品を掴んで吊上げようとするリフターに装着した在荷センサがONとなり在荷検知し、RFIDリーダが起動してRFIDタグに保持された置台番号を読込むと同時に、位置検出レーザーによるクレーンの位置情報(物理位置)を読みにいく(step403)、そしてホストに吊上げ実績(置台番号、物理位置)が伝送される(step404)。
【0053】
するとホストでは、前述の入庫作業で作成され、ホスト内に格納された紐付けされたデータ(置台番号、物理位置、現品番号)と照合する。ホスト内に格納された紐付けされたデータと吊上げ実績が一致しない場合(例えば、物理位置が大きく異なるなど)は、照合不一致として確認・是正指示を運転者用端末機(ハンディ)に送る(step404’)。
【0054】
照合がOKであれば(是正措置によりOKの場合も含む)、クレーンを操作して積込みを行う車両上まで吊上げた現品を移送し、車両の荷台に現品を降ろすと、吊上げ時とは逆に在荷センサがOFFとなり(step405)、対象現品の出庫が完了したという出庫実績をホストに伝送する(step406)。ホストでは、出庫が完了した紐付けされた置台データと現品データとを移送手段の運転者用端末機に確認用として伝送する(step407)とともに、ホスト内に格納されていた当該紐付けデータを消し込むという作業を行う。以上で、出庫時の一連の処理を終了する。
【0055】
なお、置場内での配置替えの作業においては、上述の出庫時処理と入庫時処理とを組み合わせる。すなわち、始めに元の置台からコイル現品を吊上げるまでの作業は、出庫時処理での(step403)ならびに(step404)を行い、次に新しい置台にコイル現品を降ろす作業で、入庫時処理での(step305) ならびに(step306)を行うとともに、ホストでは古い紐付けデータを消し込み、新しい紐付けデータを格納する。
【0056】
以上説明したように本実施形態2を用いることにより、スキッドに取り付けられたRFIDとレーザ距離計等の位置検出装置を組合せ、あらかじめスキッドの位置情報を登録することで、受入コイルの属性に合致したコイル置場を自動決定し、自動化クレーンにより自動受け入れしたり、手動クレーンではオペレータガイダンス表示可能である。また、払出時には払出コイルを自動クレーンで払出たり、オペレータにガイダンスすることが可能である。つまり、置場管理を自動化することができる。
【0057】
これまで、現品として製品コイルを例に挙げて説明を行ってきたが、本発明はこれに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の対象物変更が可能であることは勿論である。例えば、鋼管を現品とし、ラックに入れて置場管理を行う場合などがある。
【0058】
また、製品コイルの移送手段としてテレコン操作する天井クレーンを例に挙げて説明を行ってきたが、例えば、機上操作の天井クレーンなど、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の移送手段の変更が可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 製品コイル
2 置台
3 天井クレーン
4 リフター
5 RFIDリーダ
6 RFIDタグ
7 無線中継機
8 移送手段の運転者用端末機
9 テレコン操作卓
10 照合処理手段
11 RFIDタグ用張出し部
21 横行位置検出レーザー
22 横行位置検出用反射板
23 走行位置検出レーザー
24 走行位置検出用反射板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
置場における現品の置場受払い管理を行う現品置場管理システムであって、
置場内で現品を固定するための、前記置場内に複数配置された、移動可能な置台毎に装着され、当該置台を識別する置台番号データを保持するRFIDタグと、
前記現品を移動させるための移送手段に配設され、前記RFIDタグと無線通信を行って、保持された置台番号データを読取り、読取った置台番号データを送信するRFIDリーダと、
現品番号を特定した置場受払い指示データを前記移送手段の運転者用端末機に送信するとともに、該置場受払い指示に基づいて行なわれた移送作業により前記RFIDリーダから送信された置台番号データを受信し、前記現品番号データと受信した置台番号データとを照合する照合処理手段とを具備することを特徴とする現品置場管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の現品置場管理システムにおいて、
前記現品に貼られた、現品番号データを保持するバーコード又はRFIDタグを読み込むとともに、その読み込んだ現品番号データを前記照合処理手段に送信する現品情報入力手段を具備することを特徴とする現品置場管理システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の現品置場管理システムにおいて、
前記移送手段の位置検出を行う位置検出装置を具備し、
置台番号データ、置台番号データ、および物理位置データを紐付けして置場登録を行い、置場管理を自動で行うことができる現品置場管理システム。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の現品置場管理システムにおいて、
前記現品はコイル状物品であり、前記移送手段はクレーンであり、前記RFIDリーダは前記クレーンの吊上げ装置であるリフターに配設されていることを特徴とする現品置場管理システム。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図1】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−195583(P2010−195583A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−275976(P2009−275976)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】