説明

球状体搭載装置、球状体搭載方法、球状体搭載済基板および電子部品搭載済基板

【課題】搭載対象体に加わる球状体一つ当りの圧力を調整する作業の効率を向上させる。
【解決手段】半田ボール300を保持する吸着ヘッド2と、吸着ヘッド2を支持する支持部3と、支持部3を移動させる移動機構4とを備え、基板400の端子401に半田ボール300を搭載可能に構成され、支持部3は、移動機構4によって移動させられる第1支持体31と、吸着ヘッド2が固定されて第1支持体31に対してスライド可能に第1支持体31に連結された第2支持体32とを備えて構成され、第1支持体31から第2支持体32を押圧する動作を実行可能に構成されると共に押圧する動作における駆動力を変更可能に構成されて半田ボール300の搭載時において半田ボール300から端子401に加わる半田ボール300一つ当りの圧力を調整するための圧力調整機構5をさらに備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、球状体を保持した保持ヘッドを搭載対象体に対して近接する向きに移動させて球状体を搭載対象体に搭載する球状体搭載装置および球状体搭載方法、その球状体搭載装置または球状体搭載方法を用いて製造される球状体搭載済基板、並びにその球状体搭載済基板に電子部品が搭載された電子部品搭載済基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の球状体搭載装置として、特開2011−40704号公報において出願人が開示した球状体搭載装置が知られている。この球状体搭載装置は、吸着ヘッド、搬送機構、および制御部などを備えて、半田ボールを基板の端子(搭載対象体)に搭載可能に構成されている。この球状体搭載装置では、搬送機構が、半田ボールを吸着している吸着ヘッドを基板の上方に搬送する。次いで、搬送機構は、吸着ヘッドによって吸着されている半田ボールの先端部が基板の端子に近接する位置まで吸着ヘッドを降下させる。続いて、吸着ヘッドが吸着を解除する。これにより、基板の端子上に半田ボールが搭載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−40704号公報(第6−11頁、第7−10図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記の球状体搭載装置には、改善すべき以下の課題がある。すなわち、この球状体搭載装置では、吸着ヘッドによって吸着されている半田ボールの先端部が基板の端子に近接する位置まで搬送機構が吸着ヘッドを降下させ、その状態で吸着ヘッドが吸着を解除することで、端子上に半田ボールを搭載している。一方、搭載された半田ボールはリフロー処理が行われることで、端子上において溶融される。この場合、端子上において溶融された半田ボールの溶融体と端子とを電気的に確実に接続させ、かつ溶融体による隣接する端子同士の短絡を防止するためには、半田ボールの搭載時において、半田ボールを変形させることなく半田ボールと端子とを確実に接触させる必要がある。そのためには、半田ボールを介して端子に加わる半田ボール一つ当りの圧力を予め決められた範囲内とする必要がある。しかしながら、従来の球状体搭載装置には、このような圧力を調整する機能が備えられていないため、半田ボールを変形させることなく半田ボールと端子とを確実に接触させるような搭載処理がやや困難であるという課題が存在する。
【0005】
上記の課題を改善すべく、発明者は、図16に示すように、移動機構504、第1支持体531、第2支持体532およびバネ551を備えた球状体搭載装置501を既に開発している。この場合、移動機構504は、第1支持体531を上下方向に移動させる。また、第2支持体532は、先端部に吸着ヘッド2を固定可能に構成されると共に、第1支持体531に対して上下方向にスライド可能に第1支持体531に連結されている。また、バネ551は、第1支持体531側から第2支持体532を牽引する。この球状体搭載装置501では、図17に示すように、移動機構504が第1支持体531を下向きに移動させて、第2支持体532に固定された吸着ヘッド2によって吸着されている半田ボール300の先端部を搭載対象体としての基板400の端子401に接触させる。次いで、図18に示すように、第2支持体532の上端部が第1支持体531の上端部から離間するまで移動機構504が第1支持体531を下向きにさらに移動させる。この状態では、第2支持体532の重量、吸着ヘッド2の重量、および半田ボール300の重量を全て加算した総重量からバネ551の牽引力(引っ張り力)を差し引いた値に相当する力が半田ボール300を介して基板400の端子401に加わることとなる。このため、この球状体搭載装置501では、バネ551の牽引力(バネ551のばね定数)を調整することで、端子401に加わる半田ボール300一つ当りの圧力を予め決められた範囲内とすることが可能となっている。
【0006】
しかしながら、発明者が既に開発している上記の球状体搭載装置501にも改善すべき課題がある。すなわち、この球状体搭載装置501では、上記したように、バネ551の牽引力を調整することで、端子401に加わる半田ボール300一つ当りの圧力を調整している。この場合、搭載対象体としての基板400を変更するときには、吸着ヘッド2もその基板400に対応する吸着ヘッド2に交換することとなり、吸着ヘッド2によって吸着される半田ボール300の数も変わることとなる。このように、基板400が変更となったときには、第2支持体532の重量および半田ボール300の合計の重量が変わることとなるため、バネ551も交換する必要がある。また、半田ボール300を搭載する際には、端子401にフラックスを塗布する必要があるが、フラックスの厚みや粘度によっても、端子401に加わる半田ボール300一つ当りの圧力が異なることとなる。このため、フラックスの厚みや粘度が変化したときにも、それに応じてバネ551を交換する必要がある。したがって、この球状体搭載装置501には、端子401に加わる半田ボール300一つ当りの圧力を調整する作業が煩雑で作業効率の向上が困難であるという課題が存在し、この点の改善が望まれている。
【0007】
本発明は、かかる改善すべき課題に鑑みてなされたものであり、搭載対象体に加わる球状体一つ当りの圧力を調整する作業の効率を向上し得る球状体搭載装置および球状体搭載方法、その球状体搭載装置または球状体搭載方法を用いて製造される球状体搭載済基板、並びにその球状体搭載済基板を用いて製造される電子部品搭載済基板を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成すべく請求項1記載の球状体搭載装置は、球状体を保持する保持ヘッドと、当該保持ヘッドを支持する支持部と、前記支持部を移動させる移動機構とを備え、搭載対象体に対して近接する向きに前記支持部を移動させて前記保持ヘッドによって保持されている前記球状体を当該搭載対象体に当接させた状態で保持を解除させて当該搭載対象体に搭載する球状体搭載装置であって、前記支持部は、前記移動機構によって移動させられる第1支持体と、前記保持ヘッドが固定されると共に前記第1支持体に対して予め決められた長さだけスライド可能に当該第1支持体に連結された第2支持体とを備えて構成され、前記第1支持体および前記第2支持体の一方から他方を押圧する動作および牽引する動作の少なくとも一方を実行可能に構成されると共に当該少なくとも一方の動作における駆動力を変更可能に構成されて前記球状体の搭載時において当該球状体から前記搭載対象体に加わる当該球状体一つ当りの圧力を調整するための圧力調整機構をさらに備えて構成されている。
【0009】
また、請求項2記載の球状体搭載装置は、請求項1記載の球状体搭載装置において、前記圧力調整機構は、制御指示に従い、前記押圧する動作および前記牽引する動作のいずれか任意の一方を実行可能に構成されている。
【0010】
また、請求項3記載の球状体搭載装置は、請求項1または2記載の球状体搭載装置において、前記圧力調整機構は、エアシリンダを備えて構成されている
【0011】
また、請求項4記載の球状体搭載方法は、保持ヘッドに球状体を保持させ、前記保持ヘッドを支持している支持部を搭載対象体に対して近接する向きに移動させ、前記保持ヘッドによって保持されている前記球状体を前記搭載対象体に当接させた状態で保持を解除させて当該搭載対象体に搭載する球状体搭載方法であって、第1支持体と、前記保持ヘッドが固定されると共に前記第1支持体に対して予め決められた長さだけスライド可能に当該第1支持体に連結された第2支持体とを備えた前記支持部を用い、前記第1支持体および前記第2支持体の一方から他方を押圧する動作および牽引する動作の少なくとも一方を実行可能な圧力調整機構をさらに用いて当該一方の動作を実行する際に、当該一方の動作における駆動力を前記保持ヘッドによって保持されている前記球状体の重量および当該保持ヘッドの重量に応じて変更し、前記球状体の搭載時において前記球状体を介して前記搭載対象体に加わる当該球状体一つ当りの圧力を調整する。
【0012】
また、請求項5記載の球状体搭載済基板は、請求項1から3のいずれかに記載の球状体搭載装置によって前記搭載対象体としての基板の端子に搭載された前記球状体が溶融されて当該端子に固着されている。
【0013】
また、請求項6記載の球状体搭載済基板は、請求項4記載の球状体搭載方法によって前記搭載対象体としての基板の端子に搭載された前記球状体が溶融されて当該端子に固着されている。
【0014】
さらに、請求項7記載の電子部品搭載済基板は、請求項5または6記載の球状体搭載済基板に固着された前記球状体の溶融体を介して接続された電子部品が当該球状体搭載済基板に搭載されている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の球状体搭載装置、および請求項4記載の球状体搭載方法によれば、第1支持体および第2支持体の一方から他方を押圧する動作および牽引する動作の少なくとも一方を実行可能でかつその一方動作における駆動力を変更可能な圧力調整機構を用いることにより、その駆動力を変更するだけで、球状体の搭載時における搭載対象体に加わる球状体一つ当りの圧力を調整することができる。このため、この球状体搭載装置および球状体搭載方法によれば、例えば、保持ヘッドの交換によって保持ヘッドおよび保持ヘッドに吸着される球状体の重量が変わったり、搭載対象体に塗布される半田フラックスの厚みや粘度が変化したりした場合において、球状体一つ当りの圧力を容易に調整することができる結果、調整作業の効率を十分に向上させることができる。
【0016】
また、請求項2記載の球状体搭載装置によれば、押圧する動作および牽引する動作のいずれか任意の一方を制御指示に従って実行可能に圧力調整機構を構成したことにより、例えば、第2支持体の重量、保持ヘッドの重量、および保持ヘッドによって吸着される球状体の重量を全て加算した総重量が大きく、球状体の搭載時における搭載対象体に加わる球状体一つ当りの圧力を予め決められた規定値(規定範囲)内に収めることができない(圧力が規定値を超える)ときには、牽引する動作を実行させるように制御指示を行うことで、球状体一つ当りの圧力を規定値内に収めることができる。このため、この球状体搭載装置によれば、吸着する球状体の数が異なったり、大きさや重量が異なったりする数多くの種類の保持ヘッドを交換して球状体を搭載する場合において、球状体一つ当りの圧力を調整する作業の効率をさらに向上させることができる。
【0017】
また、請求項3記載の球状体搭載装置によれば、エアシリンダを備えた圧力調整機構を用いることにより、エアシリンダに供給する圧縮空気の圧力を変更するだけで駆動力を変更することができるため、搭載対象体に加わる球状体一つ当りの圧力をさらに容易に調整することができる結果、調整作業の効率をさらに向上させることができる。
【0018】
また、請求項5および6記載の球状体搭載済基板では、上記の球状体搭載装置または上記の球状体搭載方法によって基板の端子上に搭載した球状体が溶融されて端子に固着されている。このため、この球状体搭載済基板では、球状体が溶融された全ての溶融体が各端子に電気的に確実に接続し、かつ溶融体による隣接する端子同士の短絡が確実に防止される。
【0019】
また、請求項7記載の電子部品搭載済基板では、上記の球状体搭載済基板に固着された球状体の溶融体を介して電子部品の端子が球状体搭載済基板の端子に接続されている。この場合、上記の球状体搭載済基板では、全ての溶融体が球状体搭載済基板の各端子に電気的に確実に接続されている。このため、この電子部品搭載済基板によれば、電子部品における全ての端子と球状体搭載済基板の各端子とが溶融体を介して電気的に確実に接続される。また、上記の球状体搭載済基板では、球状体搭載済基板における隣接する端子同士が溶融体を介して短絡する事態が確実に防止されている。このため、この電子部品搭載済基板によれば、電子部品の端子同士の短絡が確実に防止されている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】半田ボール搭載装置1の構成を示す構成図である。
【図2】吸着ヘッド2の構成を示す断面図である。
【図3】吸着ヘッド2、支持部3、移動機構4および圧力調整機構5の構成を示す構成図である。
【図4】供給部6およびマスク7の構成を示す断面図である。
【図5】吸着ヘッド2の底板22およびマスク7の構成を示す断面図である。
【図6】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第1の説明図である。
【図7】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第2の説明図である。
【図8】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第3の説明図である。
【図9】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第4の説明図である。
【図10】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第5の説明図である。
【図11】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第6の説明図である。
【図12】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第7の説明図である。
【図13】半田搭載済基板600の構成を示す断面図である。
【図14】電子部品搭載済基板700の構成を示す断面図である。
【図15】圧力調整機構105の構成を示す構成図である。
【図16】球状体搭載装置501の動作を説明する第1の説明図である。
【図17】球状体搭載装置501の動作を説明する第2の説明図である。
【図18】球状体搭載装置501の動作を説明する第3の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る球状体搭載装置、球状体搭載方法、球状体搭載済基板および電子部品搭載済基板の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0022】
最初に、図1に示す半田ボール搭載装置1の構成について説明する。半田ボール搭載装置1は、球状体搭載装置の一例であって、同図に示すように、吸着ヘッド2、支持部3、移動機構4、圧力調整機構5、供給部6、マスク7、吸気機構8、搬送機構9および制御部10を備えて、球状体搭載方法に従い、球状体の一例としての微小な球状体である半田ボール(マイクロボール)300(図3〜図5参照)を搭載対象体としての基板400の端子401上(図3参照)に搭載(載置)可能に構成されている。
【0023】
この場合、半田ボール300は、直径L1(図5参照)が80μm程度の球状に構成されている。また、半田ボール300は、図13に示すように、半田ボール搭載装置1によって基板400の各端子401上にそれぞれ搭載された後に加熱溶融されて、半球状(同図に示す半田301)となった状態で各端子401上に固着されてボールグリッドアレイ(BGA)を構成し、これによって半田搭載済基板(球状体搭載済基板)600が製造される。また、図14に示すように、このようにして製造された半田搭載済基板600には、集積回路等の電子部品701が搭載され、その電子部品701における図外の端子が半田搭載済基板600の端子401上に固着された半田ボール300(半田301)を介して端子401に接続され、これによって電子部品搭載済基板700が製造される。
【0024】
吸着ヘッド2は、保持ヘッドの一例であって、図2に示すように、一例として、底板22、側板23および天板24を備えて、内部に空隙21が形成された箱状に構成されている。また、図2,5に示すように、吸着ヘッド2の底板22には、底板22の外面(吸着面として機能する面であって、以下「吸着面22a」ともいう)に開口すると共に空隙21と連通する吸気孔25が、底板22の厚み方向に沿って複数(両図では、そのうちの一部のみを図示している)形成されている。なお、吸着面22aにおける吸気孔25の開口部を以下、「吸気口25a」ともいう。
【0025】
この場合、図5に示すように、吸気孔25(つまり、吸気口25a)の直径L2は、半田ボール300の直径L1(この例では、80μm)よりも短い40μm程度に規定されている。また、図2に示すように、吸着ヘッド2の天板24には、空隙21内の空気を排気するための排気孔24aが形成されている。この吸着ヘッド2では、空隙21内の空気の排気によって空隙21内が負圧状態となり、それに伴って吸気口25aからの吸気が行われることにより、吸着ヘッド2の吸着面22aにおける吸気口25aの縁部に半田ボール300を吸着して保持することが可能となっている(図5参照)。
【0026】
支持部3は、図3に示すように、第1支持体31および第2支持体32を備え、吸着ヘッド2を支持可能に構成されている。
【0027】
第1支持体31は、図3に示すように、本体部31a、連結部31bおよび固定板31cを備えて構成されている。本体部31aは、後述する移動機構4のボールねじ42に係合する係合部61が形成され、ボールねじ42の回転に伴って上下方向(搭載対象体としての基板400の端子401に対して近接する向きおよび離反する向き)に移動させられる。
【0028】
連結部31bは、図3に示すように、本体部31aにおける第2支持体32に対向する側面に配設されている。また、連結部31bには、後述する圧力調整機構5のバネ51の一端部(同図における上端部)が固定される。また、連結部31bには、後述する第2支持体32の連結部32cが係合する係合溝63が上下方向に沿って形成されている。固定板31cは、本体部31aの上部に配設されており、この固定板31cに、後述する圧力調整機構5のエアシリンダ53が固定される。また、固定板31cには、エアシリンダ53のロッド53aを挿通させるための挿通孔62が形成されている。
【0029】
第2支持体32は、図3に示すように、本体部32a、突起部32bおよび連結部32cを備えて構成されている。本体部32aは、同図に示すように、L字型(逆L字型)に形成され、長尺部分の先端部(同図における下端部)に吸着ヘッド2を固定可能に構成されている。
【0030】
突起部32bは、図3に示すように、本体部32aから突出するように配設されている。また、突起部32bの先端部には、圧力調整機構5のバネ51の他端部(同図における下端部)が固定される。連結部32cは、本体部32aから突出するように配設されている。また、連結部32cは、第1支持体31の連結部31bに形成されている係合溝63に係合し、係合溝63に沿った(つまり、上下方向に沿った)スライドが可能となっている。
【0031】
この場合、図3に示すように、第1支持体31における固定板31cの下端部と連結部31bの上端部との間に第2支持体32における本体部32aの短尺部分が位置し、第2支持体32の上下方向への移動がこの間の距離A(予め決められた長さ)だけに限定される。つまり、第2支持体32は、第1支持体31に対して相対的にこの距離Aだけスライド可能に第1支持体31に連結されている。
【0032】
移動機構4は、図3に示すように、モータ41およびボールねじ42を備えて構成されている。モータ41は、制御部10の制御に従ってボールねじ42を回転させることにより、ボールねじ42に係合している支持部3における第1支持体31の本体部31aを上下方向に移動させる。
【0033】
圧力調整機構5は、図3に示すように、バネ51、空気圧調整器52およびエアシリンダ53を備えて構成されている。バネ51は、一端部(上端部)が支持部3における第1支持体31の連結部31bに固定され、他端部(下端部)が支持部3における第2支持体32の突起部32bに固定されて、第1支持体31側から第2支持体32を上向きに牽引している。
【0034】
空気圧調整器52は、図外の空気圧縮機(エアコンプレッサ)から送り出される圧縮空気の圧力を任意に設定した圧力に調整することが可能に構成されている。この場合、空気圧調整器52によって設定圧力に調整された圧縮空気は、給気管52aを介して給気口53b(図3参照)からエアシリンダ53内に供給される。
【0035】
エアシリンダ53は、図3に示すように、支持部3における第1支持体31の固定板31cの上面に固定されている。また、エアシリンダ53のロッド53aは、固定板31cに形成されている挿通孔62を挿通して固定板31cの下面から突出しており、その先端部が支持部3における第2支持体32の本体部32aの上部に固定されている。この場合、エアシリンダ53は、給気口53bからの圧縮空気の供給によってロッド53aに接続されている第2支持体32を第1支持体31側から下向きに押圧する動作(第1支持体および第2支持体の一方から他方を押圧する動作の一例)を実行する。また、エアシリンダ53は、空気圧調整器52によって圧縮空気の圧力が調整されることにより、押圧力(駆動力)を変更することが可能となっている。
【0036】
この圧力調整機構5では、バネ51が第2支持体32を上向きに牽引する牽引力と、エアシリンダ53が第2支持体32を下向きに押圧する押圧力とにより、搭載時における半田ボール300を介して端子401に加わる半田ボール300一つ当りの圧力を調整することが可能となっている。なお、以下の説明において、吸着ヘッド2、支持部3および圧力調整機構5を合わせて「吸着部200」ともいう。
【0037】
供給部6は、図4に示すように、収容容器12、吸着保持部13、および吸引部14を備えて吸着ヘッド2に対して半田ボール300を供給可能に構成されている。収容容器12は、容器本体12cと、容器本体12cの両側部に配設された2枚の側壁(図示せず)とを備えて、収容部12a内に半田ボール300を収容可能に構成されている。
【0038】
吸着保持部13は、図4に示すように、基端部13b側から先端部13aに至る吸気経路13cが内部に形成されて、収容容器12の収容部12a内に収容されている半田ボール300をその先端部13aで吸着して保持可能に構成されている。また、吸着保持部13は、基端部13bを中心として回動可能に配設されている。吸引部14は、2枚の区画壁14a,14bと収容容器12の側壁とによって形成される吸引経路14c(同図参照)を介して半田ボール300を吸引可能に構成されている。
【0039】
吸気機構8は、吸気管8a(図1参照)を介して、吸着ヘッド2の排気孔24a、供給部6における吸着保持部13の吸気経路13cに連通する吸気管13d、および供給部6における吸引部14の吸引経路14cに繋がれた吸気ポンプ(図示せず)を備えて構成されている。また、吸気機構8は、排気孔24aと吸気ポンプとの間、吸気管13dと吸気ポンプとの間、および吸引経路14cと吸気ポンプとの間(つまり、各吸気管8aの途中)にそれぞれ配設された電磁バルブ(図示せず)を備えて構成されている。この場合、吸気機構8は、各電磁バルブが制御部10の制御に従って作動することにより、吸着ヘッド2の空隙21内を負圧状態とすることによる吸気口25aからの吸気、吸着保持部13における吸気経路13cからの吸気、および吸引部14における吸引経路14cからの吸気を個別に行うことが可能となっている。
【0040】
マスク7は、吸着ヘッド2による余剰な半田ボール300の吸着を規制する機能を有しており、供給部6の配設位置の上方の位置に配設されている。また、マスク7には、図5に示すように、吸着ヘッド2の吸着面22aと上面7aとが接触(または近接)している装着状態において吸着ヘッド2の吸気口25aに対向する位置に挿通孔7cが形成されている。この場合、挿通孔7cの直径L4は、半田ボール300が通過可能な95μm程度に規定されている。また、同図に示すように、マスク7の厚みL3は、装着状態において吸気口25aの縁部に吸着された半田ボール300の先端部が下面(他面)17bからやや突出する75μm程度に規定されている。
【0041】
搬送機構9は、制御部10の制御に従い、マスク7の配設位置(半田ボール300が供給される位置)の上方の位置と、基板400の配設位置の上方の位置との間で、吸着ヘッド2、支持部3、移動機構4および圧力調整機構5を搬送する。制御部10は、半田ボール搭載装置1を構成する各部および各機構を制御する。
【0042】
次に、半田ボール搭載装置1を用いて半田ボール300を搭載対象体としての基板400の各端子401に搭載する方法(球状体搭載方法)について、図面を参照して説明する。なお、基板400における各端子401の表面には、図11に示すように、半田フラックス800が塗布されているものとする。
【0043】
半田ボール300を搭載する搭載処理の開始に先立ち、搭載時において半田ボール300を介して端子401に加わる半田ボール300一つ当りの圧力を調整する。具体的には、圧力調整機構5の空気圧調整器52を操作して、エアシリンダ53に供給する圧縮空気の圧力を設定する。
【0044】
ここで、支持部3の第2支持体32の重量、吸着ヘッド2の重量、および吸着ヘッド2によって吸着される各半田ボール300の重量を全て加算した総重量をWとし、バネ51が第2支持体32を上向きに牽引する牽引力をF1、エアシリンダ53が第2支持体32を下向きに押圧する押圧力をF2とすると、各半田ボール300を介して各端子401に加わる合計の圧力Ftは、次の式(1)で表される(図10参照)。
Ft=W−F1+F2・・・式(1)
また、吸着ヘッド2に吸着される半田ボール300の数をNとすると、1つの半田ボール300を介して1つの端子401に加わる圧力(端子401に加わる半田ボール300一つ当りの圧力)Fiは、次の式(2)で表される。
Fi=Ft/N・・・式(2)
【0045】
この半田ボール搭載装置1では、半田ボール300が変形することなく端子401に確実に接触するのに必要な半田ボール300一つ当りの圧力の許容範囲としての規定値Fnが予め決められている。このため、上記した空気圧調整器52に対する圧縮空気の圧力の設定操作に際しては、上記した圧力Fiがこの規定値Fn内となるように(規定値Fn内に収まる)ように設定を行う。
【0046】
これにより、図外の空気圧縮機から送り出される圧縮空気が、空気圧調整器52によって設定圧力に調整されて、給気管52aを介して給気口53bからエアシリンダ53内に供給される。また、エアシリンダ53が、圧縮空気の供給によってロッド53aに接続されている第2支持体32を第1支持体31側から下向きに押圧する。
【0047】
次いで、半田ボール300の搭載処理の開始を指示する。これに応じて、制御部10が、移動機構4を制御して、図4に示すように、吸着ヘッド2の吸着面22aとマスク7の上面7aとが接触(近接)するように吸着部200(吸着ヘッド2、支持部3および圧力調整機構5)を下向きに移動させ、吸着ヘッド2に対してマスク7を装着させる(装着状態とさせる)。
【0048】
続いて、制御部10は、吸気機構8の電磁バルブを制御して、吸着ヘッド2の排気孔24aからの吸気を開始させる。この際に、吸着ヘッド2の空隙21内が負圧状態となって吸気口25aからの吸気が開始される。また、制御部10は、吸気機構8の電磁バルブを制御して、吸着保持部13における吸気経路13cからの吸気、および吸引部14における吸引経路14cからの吸気を開始させる。
【0049】
次いで、吸着保持部13における吸気経路13cからの吸気に伴い、収容容器12の収容部12aに収容されている半田ボール300が吸着保持部13の先端部13aに吸着されて保持される。続いて、制御部10は、図外の駆動機構を制御して、吸着保持部13の基端部13bに取り付けられている吸気管13dを回転させることにより、図6に示すように、基端部13bを中心として吸着保持部13を回動させる。次いで、制御部10は、吸着保持部13の先端部13aがマスク7の下面7bに対向した時点で、図外の駆動機構を制御して、吸気管13dの回転を停止させる。
【0050】
続いて、制御部10は、駆動機構を制御して、図7に示すように、マスク7の下面7bに向けて供給部6を移動させ、次いで、先端部13aを下面7bに近接させた状態で供給部6を下面7bに沿って移動させる。この際に、先端部13aに保持されている半田ボール300が、吸着ヘッド2の吸引力によって吸着保持部13の吸引力に抗して吸着ヘッド2に引き寄せられて吸着ヘッド2に供給され、供給された半田ボール300の一部がマスク7の各挿通孔7cを通って吸着ヘッド2の吸着面22aにおける各吸気口25aの縁部に1つずつ吸着される。
【0051】
次いで、制御部10は、図外の駆動機構を制御して、図8に示すように、供給部6をマスク7の下面7bに沿ってさらに移動させる。この際に、同図に示すように、吸着保持部13に続いて吸引部14が移動させられて、吸引部14における吸引経路14cからの吸気によって余剰な半田ボール300が吸引されて除去される。
【0052】
続いて、制御部10は、移動機構4を制御して、吸着ヘッド2がマスク7から離反するように吸着部200(吸着ヘッド2、支持部3および圧力調整機構5)を上向きに移動させる。次いで、制御部10は、搬送機構9を制御して、図3に示すように、吸着ヘッド2が基板400の配設位置の上方に位置するように、吸着ヘッド2、支持部3、移動機構4および圧力調整機構5を搬送させる。
【0053】
続いて、制御部10は、移動機構4を制御して、図9に示すように、吸着部200を下向きに移動させる。この際に、図11に示すように、吸着ヘッド2によって吸着されている半田ボール300の先端部が、基板400の端子401に塗布されている半田フラックス800に接触する。
【0054】
次いで、制御部10は、移動機構4を制御して、図10に示すように、第2支持体32の本体部32aにおける短尺部分の下面が第1支持体31における連結部31bの上端部から離間するまで(一例として、同図に示す距離Bだけ離間するまで)、吸着部200を下向きにさらに移動させる。この状態では、上記した式(1)で表される圧力Ftに相当する力が作用し(図10参照)、図12に示すように、各半田ボール300の先端部が半田フラックス800を押しのけるようにして各端子401にそれぞれ接触する。この場合、上記した空気圧調整器52に対する圧縮空気の圧力設定操作において、圧力Fiが規定値Fn内となるように圧縮空気の圧力が設定されている。このため、各半田ボール300が変形することなく各端子401に確実に接触する。
【0055】
続いて、制御部10は、吸気機構8の電磁バルブを制御して、吸着ヘッド2における吸気口25aからの吸気を停止させる。この際に、吸着ヘッド2による吸着が解除されて、半田ボール300が基板400における端子401上に搭載される。次いで、制御部10は、移動機構4を制御して、吸着部200を上方に向けて移動させた後に、搬送機構9を制御して移動機構4および吸着部200を初期位置に搬送させる。以上により、基板400への半田ボール300の搭載が完了する。
【0056】
続いて、半田ボール300の搭載が完了した基板400は、図外の取り出し装置によって取り出されて、図外の搭載状態検査装置に搬送され、搭載状態検査装置によって半田ボール300が過不足なく搭載されているか否かの搭載状態検査が行われる。この場合、搭載状態検査において不良と判別された基板400は、不良品のストック場所に搬送される。
【0057】
また、搭載状態検査において良好と判別された基板400は、図外のリフロー処理装置に搬送される。リフロー処理装置では、基板400に対してリフロー処理(溶融処理)が行われ、これにより、図13に示すように、基板400の端子401に搭載された各半田ボール300が溶融されて半球状(同図に示す半田301:溶融体の一例)となった状態で、基板400の表面(図外の端子上)に固着する。なお、端子401に塗布されていた半田フラックス800は、リフロー処理において熱分解される。また、固着された半田301によって基板400上にボールグリッドアレイ(BGA)が構成される。以上により、同図に示すように、半田搭載済基板(球状体搭載済基板)600が製造される。
【0058】
この場合、この半田ボール搭載装置1では、エアシリンダ53を有する圧力調整機構5を備えたことで、端子401に加わる半田ボール300一つ当りの圧力Fiを規定値Fn内に収めることが可能となっており、これによって各半田ボール300が変形することなく各端子401に確実に接触している。このため、リフロー処理によって溶融された全ての半田301が各端子401に電気的に確実に接続し、かつ半田301による隣接する端子401同士の短絡が確実に防止されている。
【0059】
続いて、半田搭載済基板600は、図外の電子部品搭載装置に搬送され、次いで、電子部品搭載装置によって半田搭載済基板600に電子部品701が搭載される。続いて、例えばリフロー処理により、半田搭載済基板600における基板400の端子401に固着された半田ボール300(半田301)が溶融されることで、搭載された電子部品701における図外の端子が、溶融された半田ボール300(半田301)を介して基板400の端子401に接続される。これにより、図14に示すように、電子部品搭載済基板700が製造される。この場合、上記したように、この半田搭載済基板600では、全ての半田301が各端子401に電気的に確実に接続されている。このため、この電子部品搭載済基板700では、電子部品701の端子と端子401とが電気的に確実に接続されている。また、この半田搭載済基板600では、半田301による隣接する端子401同士の短絡が確実に防止されているため、電子部品701の端子同士の短絡が確実に防止されている。
【0060】
次に、上記した基板400とは異なる種類の新たな基板400の端子401に半田ボール300を搭載するときには、新たな基板400に対応する新たな吸着ヘッド2を支持部3の第2支持体32における本体部32aの先端部に固定する(吸着ヘッド2を交換する)。次いで、空気圧調整器52に対する圧縮空気の圧力の設定操作を行うことにより、半田ボール300の搭載時において端子401に加わる半田ボール300一つ当りの圧力Fiが規定値Fn内となるように調整を行う。この場合、吸着ヘッド2の交換に伴い、新たな吸着ヘッド2の重量、および新たな吸着ヘッド2によって吸着される各半田ボール300の重量が変化する分、上記した総重量Wが変化する。このため、それに応じて、圧縮空気の圧力を変更し、これによってエアシリンダ53の押圧力F2(駆動力)を変更する。
【0061】
この場合、この半田ボール搭載装置1では、上記したように、吸着ヘッド2の重量、および吸着ヘッド2によって吸着される各半田ボール300の重量に応じて、圧縮空気の圧力、つまりエアシリンダ53の押圧力F2(駆動力)を変更するだけで、端子401に加わる半田ボール300一つ当りの圧力Fiが規定値Fn内となるように調整を行うことができる。このため、この半田ボール搭載装置1では、吸着ヘッド2の重量および吸着ヘッド2によって吸着される各半田ボール300の重量に応じてバネ51を交換する従来の構成および方法と比較して、圧力Fiを十分容易に調整することが可能となっている。
【0062】
続いて、搭載処理の開始を指示する。これに応じて、制御部10が上記した各処理(制御)を実行することにより、新たな基板400への半田ボール300の搭載が行われる。
【0063】
このように、この半田ボール搭載装置1および球状体搭載方法によれば、第1支持体31側から第2支持体32を下向きに押圧する動作における駆動力(押圧力)を変更可能な圧力調整機構5を用いることにより、その駆動力を変更するだけで、半田ボール300の搭載時における搭載対象体としての基板400の端子401に加わる半田ボール300一つ当りの圧力Fiを調整することができる。このため、この半田ボール搭載装置1および球状体搭載方法によれば、例えば、吸着ヘッド2の交換によって吸着ヘッド2および吸着ヘッド2に吸着される半田ボール300の重量が変わったり、半田フラックス800の厚みや粘度が変化したりした場合において、上記の圧力Fiを容易に調整することができる結果、調整作業の効率を十分に向上させることができる。
【0064】
また、この半田ボール搭載装置1および球状体搭載方法によれば、エアシリンダ53を備えた圧力調整機構5を用いることにより、エアシリンダ53に供給する圧縮空気の圧力を変更するだけで駆動力を変更することができるため、端子401に加わる半田ボール300一つ当りの圧力Fiをさらに容易に調整することができる結果、調整作業の効率をさらに向上させることができる。
【0065】
また、この半田搭載済基板600では、上記の半田ボール搭載装置1を用いて上記の球状体搭載方法によって基板400の端子401上に搭載した半田ボール300が溶融されて端子401に固着されている。このため、この半田搭載済基板600では、各半田ボール300が溶融された全ての半田301が各端子401に電気的に確実に接続し、かつ半田301による隣接する端子401同士の短絡が確実に防止されている。
【0066】
また、この電子部品搭載済基板700では、上記の半田搭載済基板600に固着された半田301を介して電子部品701の端子が半田搭載済基板600の端子401に接続されている。この場合、上記の半田搭載済基板600では、全ての半田301が各端子401に電気的に確実に接続されている。このため、この電子部品搭載済基板700によれば、電子部品701における全ての端子と端子401とが半田301を介して電気的に確実に接続される。また、上記の半田搭載済基板600では、半田301による隣接する端子401同士の短絡が確実に防止されている。このため、この電子部品搭載済基板700によれば、電子部品701の端子同士の短絡が確実に防止されている。
【0067】
なお、球状体搭載装置および球状体搭載方法は、上記の構成および方法に限定されない。例えば、図15に示すように、上記したエアシリンダ53に代えてエアシリンダ153を有し、上記した空気圧調整器52に代えて空気圧調整器152を有する圧力調整機構105を備えた球状体搭載装置、およびこの球状体搭載装置を用いた球状体搭載方法を採用することもできる。なお、以下の説明において、上記した半田ボール搭載装置1と同じ構成要素については、同じ符号を付して、重複する説明を省略する。このエアシリンダ153は、2つの給気口53b,53cを備え、給気口53bから圧縮空気が供給されたときに、ロッド53aに接続されている第2支持体32を第1支持体31側から下向きに押圧する動作(第1支持体および第2支持体の一方から他方に対する押圧の一例)を実行し、給気口53cから圧縮空気が供給されたときに、ロッド53aに接続されている第2支持体32を第1支持体31側から上向きに牽引する動作(第1支持体および第2支持体の一方から他方に対する牽引の一例)を実行する。また、空気圧調整器152は、エアシリンダ153に対する給気口53bからの圧縮空気の供給、および給気口53cからの圧縮空気の供給を、例えばレバー操作やダイヤル操作などの切り替え操作(制御指示の一例)に応じて切り替えることが可能に構成されている。つまり、この圧力調整機構105では、第2支持体32を押圧する動作および第2支持体32を牽引する動作のいずれか任意の一方を、制御指示の一例としての切り替え操作に従って実行することが可能となっている。
【0068】
この圧力調整機構105を備えた構成では、例えば、総重量Wが大きく、バネ51による牽引力F1だけでは半田ボール300一つ当りの圧力Fiを規定値Fn内に収めることができない(圧力Fiが規定値Fnを超える)ときには、エアシリンダ153における給気口53cからの圧縮空気の供給によって第2支持体32を上向きに牽引させることで、圧力Fiを規定値Fn内に収めることができる。このため、この構成では、吸着する半田ボール300の数Nや大きさが異なる数多くの種類の吸着ヘッド2を交換して半田ボール300を搭載する場合において、圧力Fiを調整する作業の効率をさらに向上させることができる。
【0069】
また、エアシリンダ53,153に代えて、上記した給気口53cだけが形成された(給気口53bが形成されていない)エアシリンダを有して、第2支持体32を第1支持体31側から上向きに牽引する動作(第1支持体および第2支持体の一方から他方に対する牽引の一例)だけを実行する圧力調整機構を備えた球状体搭載装置、およびこの球状体搭載装置を用いた球状体搭載方法を採用することもできる。
【0070】
また、エアシリンダ53やエアシリンダ153を第1支持体31に配設して、第1支持体31から第2支持体32を押圧や牽引する構成および方法について上記したが、エアシリンダ53やエアシリンダ153を第2支持体32に配設する構成およびその構成を用いる方法を採用することもできる。この構成および方法では、上記した構成および方法において第1支持体31から第2支持体32を押圧する動作に代えて、第2支持体32から第1支持体31を押圧する動作を実行し、上記した構成および方法において第1支持体31から第2支持体32を牽引する動作に代えて、第2支持体32から第1支持体31を牽引(引っ張る)する動作を実行する。
【0071】
また、エアシリンダ53やエアシリンダ153を備えて圧力調整機構5や圧力調整機構105を構成した例について上記したが、エアシリンダ53,153に代えて、リニアモータ型のアクチュエータを採用することもできる。また、上記の例では、バネ51を備えて圧力調整機構5を構成したが、バネ51は補助的な構成要素であるため、バネ51を備えていない構成を採用することもできる。
【0072】
また、基板400における端子401の表面に半田フラックス800を塗布する構成および方法について上記したが、吸着ヘッド2によって吸着された半田ボール300の先端部をトレイに収容した半田フラックス800に浸してその先端部に半田フラックス800を付着させた後に、半田フラックス800が塗布されていない端子401の上にその半田ボール300を載置する構成および方法を採用することもできる。また、4つの半田ボール300を吸着する吸着ヘッド2を用いる例について上記したが、1または4つ以外の複数の半田ボール300を保持する吸着ヘッド2を用いることができるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0073】
1 半田ボール搭載装置
2 吸着ヘッド
3 支持部
4 移動機構
5,105 圧力調整機構
31 第1支持体
32 第2支持体
52,152 空気圧調整器
53,153 エアシリンダ
300 半田ボール
400 基板
401 端子
600 半田搭載済基板
700 電子部品搭載済基板
701 電子部品
Fi 圧力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
球状体を保持する保持ヘッドと、当該保持ヘッドを支持する支持部と、前記支持部を移動させる移動機構とを備え、搭載対象体に対して近接する向きに前記支持部を移動させて前記保持ヘッドによって保持されている前記球状体を当該搭載対象体に当接させた状態で保持を解除させて当該搭載対象体に搭載する球状体搭載装置であって、
前記支持部は、前記移動機構によって移動させられる第1支持体と、前記保持ヘッドが固定されると共に前記第1支持体に対して予め決められた長さだけスライド可能に当該第1支持体に連結された第2支持体とを備えて構成され、
前記第1支持体および前記第2支持体の一方から他方を押圧する動作および牽引する動作の少なくとも一方を実行可能に構成されると共に当該少なくとも一方の動作における駆動力を変更可能に構成されて前記球状体の搭載時において当該球状体から前記搭載対象体に加わる当該球状体一つ当りの圧力を調整するための圧力調整機構をさらに備えて構成されている球状体搭載装置。
【請求項2】
前記圧力調整機構は、制御指示に従い、前記押圧する動作および前記牽引する動作のいずれか任意の一方を実行可能に構成されている請求項1記載の球状体搭載装置。
【請求項3】
前記圧力調整機構は、エアシリンダを備えて構成されている請求項1または2記載の球状体搭載装置。
【請求項4】
保持ヘッドに球状体を保持させ、前記保持ヘッドを支持している支持部を搭載対象体に対して近接する向きに移動させ、前記保持ヘッドによって保持されている前記球状体を前記搭載対象体に当接させた状態で保持を解除させて当該搭載対象体に搭載する球状体搭載方法であって、
第1支持体と、前記保持ヘッドが固定されると共に前記第1支持体に対して予め決められた長さだけスライド可能に当該第1支持体に連結された第2支持体とを備えた前記支持部を用い、
前記第1支持体および前記第2支持体の一方から他方を押圧する動作および牽引する動作の少なくとも一方を実行可能な圧力調整機構をさらに用いて当該一方の動作を実行する際に、当該一方の動作における駆動力を前記保持ヘッドによって保持されている前記球状体の重量および当該保持ヘッドの重量に応じて変更し、前記球状体の搭載時において前記球状体を介して前記搭載対象体に加わる当該球状体一つ当りの圧力を調整する球状体搭載方法。
【請求項5】
請求項1から3のいずれかに記載の球状体搭載装置によって前記搭載対象体としての基板の端子に搭載された前記球状体を溶融して当該端子に固着させた球状体搭載済基板。
【請求項6】
請求項4記載の球状体搭載方法によって前記搭載対象体としての基板の端子に搭載された前記球状体を溶融して当該端子に固着させた球状体搭載済基板。
【請求項7】
請求項5または6記載の球状体搭載済基板に固着された前記球状体の溶融体を介して接続された電子部品が当該球状体搭載済基板に搭載されている電子部品搭載済基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−244020(P2012−244020A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114271(P2011−114271)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(000227180)日置電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】