説明

環境データ収集解析装置

【解決手段】データ収集装置1のA/D変換器7では騒音検出信号や振動検出信号に関する特定環境データ信号をアナログ信号からデジタル信号に変換する。データ収集装置1に対し分離されて通信可能にした情報処理装置11のファイル作成手段15では、特定環境データ信号に基き、演算されたL値と、測定時間範囲と騒音レベルまたは振動レベルとの関係を示すグラフと、測定場所及び測定日時とを記録したファイルを作成し、そのファイルをディスプレイ13で表示し、印刷機14で印刷し、その際に測定対象外の環境データ信号を視認し得るようにグラフラインの属性を変え得る。
【効果】測定場所及び測定日時とL値とグラフ等を含む所定書式の書面や画面として自動的に表示して騒音や振動に関する測定データの解析を容易に行うとともに測定対象外の環境データ信号を指定して表示されたグラフラインでその測定対象外と測定対象とを容易に区別することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、騒音や振動に関する特定環境データ信号を収集解析して印刷書面や画面に表示することができる環境データ収集解析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、騒音や振動に関する測定データは、数値として収集され、その後に測定場所及び測定日時とL値とグラフなどを騒音や振動の計量証明として足り得る所定書式で適宜整理されていたに過ぎなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そのため、騒音や振動に関する測定データの解析に大変な手間を必要としていた。
この発明は、騒音や振動に関する測定データを収集解析し、騒音や振動の計量証明として足り得る所定書式で測定場所及び測定日時とL値とグラフなどを含むファイルとして自動的に表示可能にすることにより、騒音や振動に関する測定データの解析を容易にするとともに、車などの測定対象外の環境データ信号を指定して表示されたグラフラインでその測定対象外と測定対象とを容易に区別可能にすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
後記実施形態の図面(図1〜3に示す第1実施形態、図4に示す第2実施形態)の符号を援用して本発明を説明する。
請求項1の発明にかかる環境データ収集解析装置は、第1,2実施形態に対応し、下記のA/D変換手段7とファイル作成手段15と画面表示手段13と印刷手段14とを備えている。A/D変換手段7では、騒音センサ2aからの騒音検出信号と振動センサ3aからの振動検出信号とのうち少なくともいずれかの信号に関する特定環境データ信号をアナログ信号からデジタル信号に変換する。ファイル作成手段15では、A/D変換された特定環境データ信号に基き、L値演算手段16により演算されたL値と、グラフ作成手段17により作成されて測定時間範囲と騒音レベルまたは振動レベルとの関係を示すグラフと、入力手段13により設定された測定場所及び測定日時とをそれぞれ少なくとも記録したファイルを作成する。画面表示手段13では、前記ファイル作成手段15からの信号に基づき測定場所及び測定日時とL値とグラフとを表した画面を表示する。印刷手段14では、前記ファイル作成手段15からの信号に基づき測定場所及び測定日時とL値とグラフとを表した書面を印刷する。前記ファイル作成手段15においては、測定対象外の環境データ信号を指定する除外信号指定手段19により指定された測定対象外の環境データ信号を識別するフラグを記録し得るとともに、測定対象外の環境データ信号を視認し得るようにグラフラインの属性を入力手段13により設定して変え得る。
【0005】
請求項1の発明を前提とする請求項2の発明(第1,2実施形態に対応)において、前記A/D変換手段7はデータ収集装置1に備えられ、前記ファイル作成手段15はこのデータ収集装置1に対し分離された情報処理装置11に備えられ、このデータ収集装置1と情報処理装置11とを有線または無線により通信可能にした。例えば、このデータ収集装置1は、騒音センサ2aからの騒音検出信号と振動センサ3aからの振動検出信号とのうち少なくともいずれかの信号に関する特定環境データ信号を増幅するデータ信号増幅手段5と、増幅された特定環境データ信号を対数積分するデータ信号対数積分手段6と、対数積分された特定環境データ信号をアナログ信号からデジタル信号に変換するA/D変換手段7とを備えている。
【0006】
請求項2の発明を前提とする請求項3の発明(第1,2実施形態に対応)において、前記データ収集装置1と情報処理装置11とはインターネットまたはリムーバブルメディアにより通信可能にした。
【0007】
請求項2または請求項3の発明を前提とする請求項4の発明(第1,2実施形態に対応)において、前記データ収集装置1は、商用電源である外部電源8と接続し得る接続部9を有しているとともに、交換可能な電池またはバッテリである内部電源10を搭載している。
【0008】
請求項2または請求項3または請求項4の発明を前提とする請求項5の発明(第1,2実施形態に対応)において、前記データ収集装置1は、前記騒音センサ2aを備えた騒音計2と前記振動センサ3aを備えた振動計3とのうち少なくともいずれかを接続し得る複数の接続部4を有している。
【0009】
請求項5の発明を前提とする請求項6の発明(第2実施形態のみに対応)において、前記データ収集装置1は、温度センサ20aを備えた温度計20と圧力センサ21aを備えた圧力計21と流量センサ22aを備えた流量計22と濃度センサ23aを備えた濃度計23とのうち少なくともいずれかを接続し得る複数の接続部24を有している。例えば、このデータ収集装置1は、騒音センサ2aからの騒音検出信号と振動センサ3aからの振動検出信号とのうち少なくともいずれかの信号に関する特定環境データ信号に加えて、温度センサ20aからの温度検出信号と圧力センサ21aからの圧力検出信号と流量センサ22aからの流量検出信号と濃度センサ23aからの濃度検出信号とのうち少なくともいずれかの信号に関する他の環境データ信号をアナログ信号からデジタル信号に変換するA/D変換手段7を備えている。
【0010】
請求項5または請求項6の発明を前提とする請求項7の発明(第2実施形態のみに対応)において、前記データ収集装置1は、映像機器25と音声機器26とのうち少なくともいずれかを接続し得る複数の接続部27を有している。例えば、このデータ収集装置1は、騒音センサ2aからの騒音検出信号と振動センサ3aからの振動検出信号とのうち少なくともいずれかの信号に関する特定環境データ信号に加えて、映像機器25からの信号または音声機器26からの信号に関する他の環境データ信号をアナログ信号からデジタル信号に変換するA/D変換手段7を備えている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明では、騒音や振動に関する測定データを収集解析し、騒音や振動の計量証明として足り得る所定書式で測定場所及び測定日時とL値とグラフなどを含むファイルとして自動的に表示にして騒音や振動に関する測定データの解析を容易に行うことができる。また、車などの測定対象外の環境データ信号を指定して表示されたグラフラインでその測定対象外と測定対象とを容易に区別することができる。
【0012】
請求項2の発明では、環境データを収集する現場で使用するデータ収集装置1と、収集した環境データを解析する情報処理装置11とを分けたので、データ収集装置1と情報処理装置11とを互いに近接してまたは遠隔地間で配置して通信することができる。従って、場所的制約をなくして環境データ収集条件に応じた環境データの収集と解析とを効率良く行うことができる。
【0013】
請求項3の発明では、インターネットまたはリムーバブルメディアにより通信機能を高めることができる。
請求項4の発明では、データ収集装置1において外部電源8と内部電源10とを併用することができる。従って、停電時などの非常時にも対処することができる。
【0014】
請求項5の発明では、複数の騒音計2を、または、複数の振動計3を、または。騒音計2と振動計3とを組み合わせて、データ収集装置1に対し同時に接続することができる。従って、騒音や振動に関する特定環境データ信号を効率的に収集することができる。
【0015】
請求項6の発明では、複数の温度計20を、または、複数の圧力計21を、または、複数の流量計22を、または、複数の濃度計23を、または、温度計20と圧力計21と流量計22と濃度計23とを組み合わせて、データ収集装置1に対し同時に接続することができる。従って、温度や圧力や流量や濃度に関する環境データ信号を効率的に収集することができる。
【0016】
請求項7の発明では、複数の映像機器25を、または、複数の音声機器26を、または。映像機器25と音声機器26とを組み合わせて、データ収集装置1に対し同時に接続することができる。従って、映像や音声に関する環境データ信号を効率的に収集することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
まず、本発明の第1実施形態にかかる環境データ収集解析装置について図1〜3を参照して説明する。
図1に示すように、データ収集装置1は、騒音センサ2aを備えた騒音計2と振動センサ3aを備えた振動計3とのうち少なくともいずれかを接続し得る複数の接続部4を有している。このデータ収集装置1は、騒音センサ2aからの騒音検出信号と振動センサ3aからの振動検出信号とのうち少なくともいずれかの信号に関する特定環境データ信号を各接続部4毎にリアルタイムで収集して増幅するデータ信号増幅手段としての増幅器5と、増幅された特定環境データ信号を対数積分するデータ信号対数積分手段としての対数積分器6と、対数積分された特定環境データ信号をアナログ信号からデジタル信号に変換するA/D変換手段としてのA/D変換器7とを備え、商用電源である外部電源8と接続し得る接続部9を有しているとともに、交換可能な電池またはバッテリである内部電源10を搭載している。
【0018】
このデータ収集装置1に対し近接してまたは遠隔地間で分離された情報処理装置11(コンピューター)は、このデータ収集装置1と有線または無線、例えばインターネットやリムーバブルメディアなどの通信手段12により通信可能になっている。この情報処理装置11は、画面表示手段及び各種入力手段としてのディスプレイ13と、印刷手段としての印刷機14とに接続されている。
【0019】
この情報処理装置11に備えたファイル作成手段15は、A/D変換された特定環境データ信号(リアルタイム信号)に基き、L値演算手段16により演算されたL値(騒音レベルや振動レベルの度合いを表す値)と、グラフ作成手段17により作成されて測定時間範囲と騒音レベルまたは振動レベルとの関係を示すグラフと、ディスプレイ13に表示された設定画面に対する操作により設定された測定場所及び測定日時とをそれぞれ少なくとも記録したファイルを作成する。このファイル作成手段15においては、ディスプレイ13に表示された解析信号指定手段18における設定画面に対する操作により測定対象(隣接工場やショベルやバックホウや重機など)の特定環境データ信号を指定することができるとともに、ディスプレイ13に表示された除外信号指定手段19における設定画面に対する操作により測定対象外(車や鳥や突発音やリフトや人など)の環境データ信号を指定することができ、この除外信号指定手段19により指定された測定対象外の環境データ信号を識別するフラグを記録し、ディスプレイ13に表示された設定画面に対する操作によりグラフラインの属性(測定対象に対応させた黄等の色や実線等の形状など、測定対象外に対応させた赤等の色や破線等の形状など)を設定して変えることができる。
【0020】
印刷機14では、ディスプレイ13に表示された設定画面に対する操作により、例えば図2または図3に示すように、前記ファイル作成手段15からの信号に基づき、測定場所及び測定日時とL値とグラフなどを騒音や振動の計量証明として足り得る所定書式で表した書面を印刷する。また、ディスプレイ13では、それに表示された設定画面に対する操作により、前記ファイル作成手段15からの信号に基づき、この印刷書面と同様に測定場所及び測定日時とL値とグラフなどを表した所定書式の画面を表示する。そのほか、ディスプレイ13に表示された設定画面に対する操作により、各種の条件設定を変更したり、ディスプレイ13に測定場所及び測定日時やL値やグラフなどに関する個別画面を表示したり、印刷機14からそれらの個別書面を印刷することができる。
【0021】
次に、本発明の第2実施形態にかかる環境データ収集解析装置について第1実施形態との相違点を中心に図4を参照して説明する。
データ収集装置1は、騒音センサ2aを備えた騒音計2と振動センサ3aを備えた振動計3とのうち少なくともいずれかを接続し得る複数の接続部4のほかに、温度センサ20aを備えた温度計20と圧力センサ21aを備えた圧力計21と流量センサ22aを備えた流量計22と濃度センサ23aを備えた濃度計23とのうち少なくともいずれかを接続し得る複数の接続部24と、映像機器25と音声機器26とのうち少なくともいずれかを接続し得る複数の接続部27とを有している。このデータ収集装置1は、騒音センサ2aからの騒音検出信号と振動センサ3aからの振動検出信号とのうち少なくともいずれかの信号に関する特定環境データ信号に加えて、温度センサ20aからの温度検出信号と圧力センサ21aからの圧力検出信号と流量センサ22aからの流量検出信号と濃度センサ23aからの濃度検出信号とのうち少なくともいずれかの信号に関する他の環境データ信号と、映像機器25からの信号または音声機器26からの信号に関する他の環境データ信号とを各接続部24,27毎にリアルタイムで収集して増幅する増幅器5と、増幅された他の環境データ信号を対数積分する対数積分器6と、対数積分された他の環境データ信号をアナログ信号からデジタル信号に変換するA/D変換器7とを備えている。これらの他の環境データ信号も前記特定環境データ信号と同様に情報処理装置11で処理されて所定書式の印刷書面やディスプレイ13の画面として出力される。
【0022】
本実施形態は下記の効果を有する。
* 騒音や振動に関する測定データを収集解析し、測定場所及び測定日時とL値とグラフなどを含む所定書式の書面や画面として自動的に表示することができる。従って、騒音や振動に関する測定データの解析を容易に行うことができる。
【0023】
* ディスプレイ13に表示された解析信号指定手段18における設定画面に対する操作により測定対象の特定環境データ信号を指定することができるとともに、ディスプレイ13に表示された除外信号指定手段19における設定画面に対する操作により測定対象外の環境データ信号を指定することができる。
【0024】
* ディスプレイ13に表示された設定画面に対する操作によりグラフラインの色等の属性を設定して変えることができる。従って、グラフラインでその測定対象外と測定対象とを容易に区別することができる。
【0025】
* 環境データを収集する現場で使用するデータ収集装置1と、収集した環境データを解析する情報処理装置11とを分けたので、場所的制約をなくしてデータ収集装置1と情報処理装置11とを互いに近接してまたは遠隔地間で配置して通信することができる。
【0026】
なお、データ収集装置1と情報処理装置11とを分離せずに一体化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1実施形態にかかる環境データ収集解析装置を概略的に示すブロック図である。
【図2】騒音に関する印刷画面を示す正面図である。
【図3】振動に関する印刷画面を示す正面図である。
【図4】第2実施形態にかかる環境データ収集解析装置を概略的に示すブロック図である。
【符号の説明】
【0028】
1…データ収集装置、2…騒音計、2a…騒音センサ、3…振動計、3a…振動センサ、4…騒音計及び振動計に対するデータ収集装置の接続部、7…データ収集装置内のA/D変換器、8…外部電源、9…外部電源に対するデータ収集装置の接続部、10…データ収集装置内の内部電源、11…情報処理装置、13…画面表示手段及び入力手段としてのディスプレイ、14…印刷手段としての印刷機、15…情報処理装置内のファイル作成手段、16…ファイル作成手段内のL値演算手段、17…ファイル作成手段内のグラフ作成手段、19…ファイル作成手段内の除外信号指定手段、20…温度計、20a…温度センサ、21…圧力計、21a…圧力センサ、22…流量計、22a…流量センサ、23…濃度計、23a…濃度センサ、24…温度計や圧力計や流量計や濃度計に対するデータ収集装置の接続部、25…映像機器、26…音声機器、27…映像機器及び音声機器に対するデータ収集装置の接続部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
騒音センサからの騒音検出信号と振動センサからの振動検出信号とのうち少なくともいずれかの信号に関する特定環境データ信号をアナログ信号からデジタル信号に変換するA/D変換手段と、
A/D変換された特定環境データ信号に基き、L値演算手段により演算されたL値と、グラフ作成手段により作成されて測定時間範囲と騒音レベルまたは振動レベルとの関係を示すグラフと、入力手段により設定された測定場所及び測定日時とをそれぞれ少なくとも記録したファイルを作成するファイル作成手段と、
前記ファイル作成手段からの信号に基づき測定場所及び測定日時とL値とグラフとを表した画面を表示する画面表示手段と、
前記ファイル作成手段からの信号に基づき測定場所及び測定日時とL値とグラフとを表した書面を印刷する印刷手段と
とを備え、
前記ファイル作成手段においては、測定対象外の環境データ信号を指定する除外信号指定手段により指定された測定対象外の環境データ信号を識別するフラグを記録し得るとともに、測定対象外の環境データ信号を視認し得るようにグラフラインの属性を入力手段により設定して変え得る
ことを特徴とする環境データ収集解析装置。
【請求項2】
前記A/D変換手段はデータ収集装置に備えられ、前記ファイル作成手段はこのデータ収集装置に対し分離された情報処理装置に備えられ、このデータ収集装置と情報処理装置とを有線または無線により通信可能にしたことを特徴とする請求項1に記載の環境データ収集解析装置。
【請求項3】
前記データ収集装置と情報処理装置とはインターネットまたはリムーバブルメディアにより通信可能にしたことを特徴とする請求項2に記載の環境データ収集解析装置。
【請求項4】
前記データ収集装置は、商用電源である外部電源と接続し得る接続部を有しているとともに、交換可能な電池またはバッテリである内部電源を搭載していることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の環境データ収集解析装置。
【請求項5】
前記データ収集装置は、前記騒音センサを備えた騒音計と前記振動センサを備えた振動計とのうち少なくともいずれかを接続し得る複数の接続部を有していることを特徴とする請求項2または請求項3または請求項4に記載の環境データ収集解析装置。
【請求項6】
前記データ収集装置は、温度センサを備えた温度計と圧力センサを備えた圧力計と流量センサを備えた流量計と濃度センサを備えた濃度計とのうち少なくともいずれかを接続し得る複数の接続部を有していることを特徴とする請求項5に記載の環境データ収集解析装置。
【請求項7】
前記データ収集装置は、映像機器と音声機器とのうち少なくともいずれかを接続し得る複数の接続部を有していることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の環境データ収集解析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−78369(P2010−78369A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−244630(P2008−244630)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(507206332)富士電設株式会社 (1)
【Fターム(参考)】