説明

生ゴミの脱塩脱水方法

【課題】
本発明は、生ゴミを粉砕し、短時間で塩分類を均一に低濃度まで脱塩することより、次工程となる乾燥、コンポスト化及び炭化処理の原料となる高品質の生ゴミを提供できる脱塩脱水方法を提供することを目的とするものである。
【解決手段】
本発明は、生ゴミを水と共に粉砕し、生ゴミを遠心脱水装置部のバスケットを第一の所定回転数で回転させることにより脱塩及び脱水し、遠心脱水により脱離した液を循環させ、生ゴミを吸水させながら脱水し、脱離した液の導電率(EC)の変化率を計測し、その変化率が所定の値以下に達した時に遠心脱水装置部への循環を停止し、遠心脱水装置部のバスケット回転速度を第一の所定回転数よりも速い第二の所定回転数に切り替えることを特徴とする脱塩脱水方法とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食店、食品加工工場、学校等から出る生ゴミ(食品残渣)を粉砕し、塩分類を除去する脱塩脱水方法に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
現在、生ゴミ等のような有機廃棄物を乾燥、コンポスト化及び炭化処理する場合、粉砕し、脱水したものをそのまま乾燥、コンポスト化及び炭化の原料として利用している。
【0003】
特許文献1及び特許文献2に記載されているように、生ゴミを脱塩処理及び脱水処理することのできる生ゴミの処理方法という発明も公開されている。
【特許文献1】特許公開2002−186944
【特許文献2】特許公開2001−10883
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の発明は、粉砕工程がなく生ゴミを粉砕することなく、生ゴミと水(洗浄水)を装置に別々に投入し、生ゴミと水との接触面積及び接触時間がすくないため、脱塩処理が長時間になること及び脱塩処理が不十分になることがある。また、脱塩処理が十分行われたことを判断することができず、脱塩処理が不十分な場合及び過剰な場合がある。
【0005】
また、特許文献2に記載の発明は、粉砕した生ゴミをピストンにより脱水し、次に水を生ゴミに吸水させ、再度脱水し、この脱水と吸水を繰り返すことにより、脱塩脱水を行うため脱塩処理が長時間になること、及びピストンによる脱塩脱水であるため、生ゴミと水との接触面積及び接触時間に生ゴミ内で差ができ、塩分類を均一に低濃度まで除去することは困難である。
【0006】
そこで、本発明は、ディスポーザにより、生ゴミを水と共に粉砕することで生ゴミと水との接触面積を増やし、遠心脱水装置部により、生ゴミを吸水させながら脱水も同時にすることで脱塩脱水し、脱離液(循環液)を計測し回転速度を制御することにより、生ゴミの脱塩脱水処理を短時間で、塩分類を均一に低濃度まで除去する脱塩脱水方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
生ゴミを水と共に粉砕し、生ゴミを遠心脱水装置部のバスケットを第一の所定回転数で回転させることにより脱塩及び脱水し、遠心脱水により脱離した液を循環させ、生ゴミを吸水させながら脱水し、脱離した液の導電率(EC)の変化率を計測し、その変化率が所定の値以下に達した時に遠心脱水装置部への循環を停止し、遠心脱水装置部のバスケット回転速度を第一の所定回転数よりも速い第二の所定回転数に切り替えることを特徴とする生ゴミの脱塩脱水方法1aの構成とした。
【0008】
また、第2の方法は、生ゴミを水と共に粉砕し、粉砕した生ゴミを給水させながら遠心脱水装置部のバスケットを第一の所定回転数で回転させることにより脱塩及び脱水し、脱離した液の導電率(EC)を計測し、その導電率(EC)が所定の値以下に達した時に遠心脱水装置部への循環を停止し、遠心脱水装置部のバスケット回転速度を第一の所定回転数よりも速い第二の所定回転数に切り替えることを特徴とする生ゴミの脱塩脱水方式15aの構成とした。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、以上の構成であることから以下の効果が得られる。第1に、ディスポーザを利用することにより、生ゴミを水と共に粉砕でき、生ゴミと水との接触面積を増すことにより、生ゴミに残留している塩分類の溶出を短時間で行うことができる。
【0010】
第2に、生ゴミ投入終了後においても遠心脱水装置部に脱離した液を循環すること又は給水することにより、生ゴミを吸水させながら脱水も同時にすることができ、短時間で生ゴミの脱塩脱水及び塩分類を均一に低濃度まで除去することができる。
【0011】
第3に、遠心脱水装置部により粉砕された生ゴミから脱離した液の導電率(EC)の変化率を計測し、所定の値以下に達した時に脱離した液の循環を停止し、遠心脱水装置のバスケット回転速度を第一の所定回転数よりも速い第二の所定回転数に迅速に切り替えることで、過度の脱塩処理を防ぎ処理時間の短縮を行うことができる。尚、遠心脱水装置部に給水する方法の場合は、導電率(EC)の値を計測し、所定の値以下に達した時に給水を停止し、遠心脱水装置のバスケット回転速度を第一の所定回転数よりも速い第二の所定回転数に迅速に切り替えることで、過度の脱塩処理を防ぎ処理時間の短縮を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
生ゴミに残留している塩分類の除去処理時間の短縮と、塩分類を均一に低濃度まで除去し脱水した生ゴミの生成方法を、ディスポーザ部により水と共に粉砕し、遠心脱水装置部で生ゴミを吸水させながら脱水も同時にすることで脱塩脱水させ、脱離した液の導電率(EC)の変化率又は値により制御するように脱塩脱水方法を構成することで実現した。
【0013】
以下に、添付図面に基づいて、本発明である生ゴミの脱塩脱水方法について詳細に説明する。
【実施例1】
【0014】
脱塩式遠心脱水装置1は、テーパー状に下側が細くなったホッパー2aから生ゴミが水と共に流入し、ディスポーザ2eで粉砕し搬送するディスポーザ部2と、前記ディスポーザ部2から搬送し、粉砕された生ゴミを含んだ水(以下、粉砕生ゴミ含有水とする)を脱塩脱水する遠心脱水装置部3と、前記遠心脱水装置部3から排出される循環水4bの導電率(EC)の変動率を導電率電極4cと導電率計4dにより計測し、計測した値から循環水4bの循環停止及びバスケット3cの回転速度の切り替えを判断すると共に再びディスポーザ2eに循環水4bを注入する計測タンク部4とからなる。
【0015】
図1は、本発明である脱塩脱水方法の脱塩式遠心脱水装置の全体図である。脱塩式遠心脱水装置1は、ディスポーザ部2、遠心脱水装置部3、計測タンク部4からなり、生ゴミ2bをディスポーザ部2で水と共に粉砕し、遠心脱水装置部3で脱塩脱水する。尚、計測タンク部4では、装置内の調整及び確認を行う。
【0016】
ディスポーザ部2は、計測タンク部4の側面に設置され、生ゴミ2bを計測タンク部4から注入される循環水4bと共にディスポーザ2eにより粉砕し、ポンプ2gで遠心脱水装置部3に搬送する。
【0017】
遠心脱水装置部3は、ディスポーザ部2から水と共に搬送された粉砕生ゴミ含有水を遠心力により、脱塩及び脱水し、脱塩脱水した生ゴミ及び脱離液4bをそれぞれの経路に排出する。
【0018】
計測タンク部4は、遠心脱水装置部3の側面に設置され、遠心脱水装置部3から排出された循環水4bの導電率(EC)の変化率を導電率電極4c及び導電率計4dにより計測し、変化率が所定の値以下になった時点で循環水4bの循環停止とバスケット3cの回転速度の切り替えを判断する。
【0019】
図2は、本発明である脱塩脱水方法による脱塩式遠心脱水装置のディスポーザ部の拡大図である。ディスポーザ部2は、ホッパー2a、ディスポーザ2e及びポンプ2gなどからなる。
【0020】
ホッパー2aは、テーパー状に下側が細くなった容器である。側面には、計測タンク部4からの第1循環水注入経路2cが設けられてあり、循環水4bの注入量が第1循環水注入経路バルブ2iにより調整できる。
【0021】
ホッパー2aの下面には、生ゴミ投入口2lが設けられてあり、生ゴミ2bと循環水4bをディスポーザ2eに流入する。
【0022】
ディスポーザ2eは、ホッパー2aの下面に設けられてあり、生ゴミを水と共に粉砕し排出できる構造であり、生ゴミと水との接触面積が大きくなることにより、粉砕した生ゴミに含まれている塩分類の水への溶出量が増える。尚、ディスポーザ2eの側面には、循環水4bの追加を行うための第2循環水注入経路2dが設けられてあり、循環水4bの注入量が第2循環水注入経路バルブ2jにより調整できる。
【0023】
ポンプ2gは、粉砕生ゴミ含有水を遠心脱水装置部3に搬送するポンプである。また、搬送能力の高いポンプを使用することにより、粉砕した生ゴミと水とが効率よく攪拌され、生ゴミに含まれている塩分類の水への溶出量が増える。尚、ディスポーザ2eと遠心脱水装置部3をつなぐ経路である粉砕生ゴミ含有水搬送経路2fには、バイパス経路2hとバイパス経路バルブ2kが設けられてあり、搬送能力の高いポンプを使用しても、遠心脱水装置部3への粉砕生ゴミ含有水搬送量をバイパス経路バルブ2kにより調整することができる。
【0024】
図3は、本発明である脱塩脱水方法による脱塩式遠心脱水装置の遠心脱水装置部の拡大図である。遠心脱水装置部3は、注入パイプ3a、散水盤3d、バスケット3c、モーター3e及びかきとり機3bなどからなる。
【0025】
注入パイプ3aは、粉砕生ゴミ含有水を搬送できるパイプの太さで、散水盤3dに注入する。尚、注入パイプ3aは、散水盤3dに注入する位置を変えることのできる構造になっている。
【0026】
散水盤3dは、バスケット3cのほぼ中央に設置されてあり、モーター3eにより回転し、注入パイプ3aから注入された粉砕生ゴミ含有水をバスケット3cに散水する。尚、散水盤3dの回転数は、粉砕生ゴミ含有水が注入している工程(第1低速回転脱塩脱水工程7)及び循環水のみを注入している工程(第2低速回転脱塩脱水工程8)では約400から800rpmまでの低速回転(第一の所定回転数)である。
【0027】
バスケット3cは、パンチングしたステンレス板をドラム状にしたもので、内側にろ布を取り付けられる構造になっている。また、バスケット3cはモーター3eにより回転し、散水盤3dから散水した粉砕生ゴミ含有水の粉砕生ゴミをろ布に付着させ、遠心力により粉砕生ゴミ含有水から脱離した液はろ布及びバスケット3cのパンチングを通過し、排水パイプ3hに流出する。
【0028】
第1低速回転脱塩脱水工程7のバスケット3cの回転速度は、約400から800rpmまでの低速回転であり、ろ布に付着した粉砕生ゴミが散水盤3dから散水する粉砕生ゴミ含有水の注入により生ゴミを吸水させながら脱水も同時にすることで、ろ布に付着した粉砕生ゴミに含ませている塩分類の溶出量を増すことができる。
【0029】
また、ディスポーザ部2に生ゴミ2bの投入を終了し、循環水4bのみを遠心脱水装置部3に注入することにより、ろ布に付着した粉砕生ゴミを吸水させながら脱水も同時に行い、塩分類の溶出量をよりいっそう増す脱塩脱水を行うこができる第2低速回転脱塩脱水工程8がある。
【0030】
高速回転脱水工程11のときは、循環水4bの注入を停止し、バスケット3cを約1000から1600rpmまでの高速回転(第二の所定回転数)に設定することで遠心力により、ろ布に付着した粉砕生ゴミに含まれる水分量をよりいっそう低下することができる。
【0031】
かきとり機3bは、上下左右に動く板とそれを固定する取付具からなり、バスケット3cを数回転することと上下左右に動く板をバスケット3cに近づけることで、ろ布に付着した粉砕生ゴミをかきとり、生ゴミ排出経路3gに落とすことができる。
【0032】
図4は、本発明である脱塩脱水方法による脱塩式遠心脱水装置の計測タンク部の拡大図である。計測タンク部4は、計測タンク4a及び導電率計4dなどからなる。
【0033】
計測タンク4aは、プラスチック容器であり、側面に第1循環水注入経路2c及び第2循環水注入経路2dが設置されてあり、循環水4bをディスポーザ部2に注入することができる。また、計測タンク4aは上面に脱離液搬送経路3iが設置されてあり、遠心脱水装置部3から流出する脱離液4bを貯水することができる。尚、計測タンク4aには、脱塩式遠心脱水装置1の運転前に水を貯水しておく。
【0034】
導電率計4dは、計測タンク4aの上面に設置されてあり、循環水4bの導電率(EC)を計測するための導電率電極4cが接続してある。尚、導電率電極4cは、計測タンク4aの循環水4b中に浸漬してある。
【0035】
脱塩脱水処理が始まると、導電率計4dの値は、生ゴミの脱塩が進むにつれて値が増加し、脱塩がほぼ完了に近づくと値の変化が小さくなり、脱塩終了時点ではほぼフラット状になる。
【0036】
脱塩脱水処理時の循環水4bの導電率(EC)の変化率を計測することで、生ゴミ2bに含まれている塩分類の水への溶出量の状況が把握でき、変化率の値が所定の値以下に達したとき循環水4bの循環停止の判断と第2低速回転脱塩脱水工程8から高速回転脱水工程11への切り替えの判断ができる。
【0037】
図5は、本発明である脱塩脱水方法の脱塩式遠心脱水装置の導電率(EC)の値の変化を示すグラフであり、横軸は脱塩脱水時間、縦軸は導電率(EC)である。
【0038】
図5に示すように、生ゴミ2bから溶出してくる塩分類が循環水4bに濃縮されるため、導電率(EC)の変化率は、最初は低い値で、溶出が進むにつれて変化率が増加し、溶出がなくなり脱塩が完了に近づくと変化率が小さくなるようなS字型の曲線13を描く。
【0039】
ポイント13aは塩分類の溶出が始まって導電率(EC)の変化率が上昇し始めた時点であり、ポイント13bは生ゴミ2bのディスポーザ部2への投入が終了した第1低速回転脱塩脱水工程7の終了時点であり、ポイント13cは循環水4bのみを循環させて塩分類の溶出がなくなり脱塩が完了して導電率(EC)の変化率の上昇がほとんどなくなった第2低速回転脱塩脱水工程8の終了時点である。
【0040】
尚、循環水4bの重金属イオンの濃度を原子吸光分析装置、ICP発光光度分析装置及びパックテスト(簡易水質検査器具)などで計測し、生ゴミ2bに重金属類が含まれていたことの有無が判断でき、重金属を含まない生ごみのみを次工程である乾燥、コンポスト化及び炭化などの原料として利用できる。
【0041】
図6は、本発明である脱塩脱水方法の脱塩式遠心脱水装置1で脱塩脱水処理時間の変化により生成した生ゴミの溶出試験の結果14を示す表である。尚、原料となる生ゴミ2bは全て同一のものを使用している。
【0042】
図5のグラフのポイント13aで脱塩脱水処理を終了して高速回転脱水工程をおこなった場合の生ゴミ生成物A、ポイント13bで脱塩脱水処理を終了して高速回転脱水工程をおこなった場合の生ゴミ生成物B、ポイント13cで脱塩脱水処理を終了して高速回転脱水工程をおこなった場合の生ゴミ生成物Cついて、生ゴミ生成物の溶出試験の結果14の内容である。
【0043】
生ゴミ生成物の溶出試験の結果14は、生ゴミ生成物A、生ゴミ生成物B及び生ゴミ生成物Cの溶出液の導電率(EC)の値であり、生ゴミ生成物Aの場合2.07mS/cm、生ゴミ生成物Bの場合0.69mS/cm、生ゴミ生成物Cの場合0.27mS/cmであった。
【0044】
また、導電率(EC)は、生ゴミの塩分類濃度の程度を判定する指標として利用することができる。導電率の値が高いと作物が枯死しやすくなり塩害を生じやすくなる。
【0045】
生ゴミ生成物Cの生ゴミの導電率(EC)は、生ゴミ生成物A、B、Cの中では最も低く、土壌に散布しても塩害を生じることが少ないことから乾燥、コンポスト化及び炭化の原料として適している。
【0046】
導電率(EC)の変化率を参考に第2低速回転脱塩脱水工程8の完了時間を決定することにより、過度の脱塩処理を防ぐことができ、短時間で塩分類が少ない均一した乾燥、コンポスト化及び炭化の原料となる生ゴミの生成ができる。
【0047】
図7は、本発明である脱塩脱水方法の流れを示すフローチャートである。脱塩脱水方法1aは、生ゴミ投入工程5、生ゴミ粉砕工程6、第1低速回転脱塩脱水工程7、第2低速回転脱塩脱水工程8、導電率判定工程9、循環水停止工程10、高速回転脱水工程11及び脱塩脱水処理後の生ゴミ排出工程12からなる。
【0048】
生ゴミ投入工程5は、主としてディスポーザ部2における作業であり、生ゴミ2bを循環水4bと共にホッパー2aに投入する。
【0049】
生ゴミ粉砕工程6は、主としてディスポーザ部2における作業であり、生ゴミ2bを循環水4bと共にディスポーザ2eで粉砕する。
【0050】
第1低速回転脱塩脱水工程7は、主として遠心脱水装置部3における作業であり、粉砕生ゴミ含有水を遠心力により、粉砕生ごみと脱離液4bとを分離し、脱塩と脱水を行うことができる。
【0051】
第2低速回転脱塩脱水工程8は、主として遠心脱水装置部3における作業であり、生ゴミの投入終了後、循環水4bのみを注入することで、生ゴミに含まれる塩分類を均一に低濃度まで除去することができる。
【0052】
導電率判定工程9は、主として計測タンク部4における作業であり、循環水4bの導電率(EC)の変化率を計測し続け、変化率が所定の値以下に達した時に、循環水4bの循環の停止合図及びバスケット3cの低速回転から高速回転への切り替え合図を出す。尚、導電率(EC)の変動率が所定の値以下に達していない場合は、第2低速回転脱塩脱水工程8を継続して行う。
【0053】
循環水停止工程10は、主としてディスポーザ部2における作業であり、導電率判定工程9の合図によりポンプ2gの稼動を休止し、循環水4bの循環を停止する。
【0054】
高速回転脱水工程11は、主として遠心脱水装置部3における作業であり、導電率判定工程9の合図により、バスケット3cの高速回転を開始することで、生ゴミに含まれる水分量をよりいっそう低下することができる。
【0055】
脱塩脱水処理後の生ゴミ排出工程12は、主として遠心脱水装置部3における作業であり、かきとり機3bにより、脱塩脱水処理後の生ゴミを脱塩式遠心脱水装置1から取出す作業である。
【実施例2】
【0056】
給水型脱塩式遠心脱水装置15は、脱塩式遠心脱水装置1の水の循環方式を給水方式にしたものであり、脱塩式遠心脱水装置1の第1循環水注入経路2cと第2循環水注入経路2dを水道水蛇口などと接続する第1給水経路16aと第2給水経路16bとして、水の給水を行う方式に変更した給水型ディスポーザ部16と、脱塩式遠心脱水装置1の計測タンク部4に排水口18aを設けて脱離液を排出することのできる方式の給水型計測タンク部18に変更したものからなる。
【0057】
図8は、本発明である脱塩脱水方法による給水型脱塩式遠心脱水装置の図である。給水型脱塩式遠心脱水装置15は、給水型ディスポーザ部16、給水型遠心脱水装置部17、給水型計測タンク部18からなり、生ゴミを給水型ディスポーザ部16で水と共に粉砕し、給水型遠心脱水装置部17で脱塩脱水する。尚、給水型計測タンク部18では、装置内の調整及び確認を行う。
【0058】
給水型ディスポーザ部16は、給水型計測タンク部18の側面に設置され、生ゴミを第1給水経路16aと第2給水経路16bから給水される水と共にディスポーザにより粉砕し、ポンプで遠心脱水装置部17に搬送する。
【0059】
給水型遠心脱水装置部17は、給水型ディスポーザ部16から水と共に搬送された粉砕生ゴミ含有水を遠心力により、脱塩及び脱水し、脱塩脱水した生ゴミ及び脱離液をそれぞれの経路に排出する。
【0060】
給水型計測タンク部18は、給水型遠心脱水装置部17の側面に設置され、給水型遠心脱水装置部17から排出された脱離液の導電率(EC)を導電率電極及び導電率計により計測し、所定の値以下になった時点で第1給水経路16aと第2給水経路16bからの給水の停止とバスケットの回転速度の切り替えを判断する。尚、導電率(EC)の計測の終わった脱離液は、給水型計測タンク部18の排水口18aから排出する。また、排水口18aには、排水口バルブ18bにより脱離液の排出量を調整できる。
【0061】
図9は、本発明である脱塩脱水方法の給水型脱塩式遠心脱水装置の導電率(EC)の値の変化を示すグラフであり、横軸は脱塩脱水時間、縦軸は導電率(EC)である。
【0062】
図9に示すように、給水型の場合、給水型計測タンク部18に排出される塩分類の推移が現れるため、導電率(EC)の値の変化は、最初は低い値で、脱塩が進むにつれて値が増加し、脱塩が完了に近づくと値が減少し、元の低い値に戻るようなピークを有する曲線19を描く。
【0063】
ポイント19aは塩分類の溶出が始まって導電率(EC)の値が上昇し始めた時点であり、ポイント19bは生ゴミの給水型ディスポーザ部16への投入が終了した時点であり、ポイント19cは給水を続けて、塩分類の溶出がなくなり脱塩が完了して導電率(EC)の値が元に戻った時点である。
【0064】
尚、曲線13と曲線19とでは、グラフは異なるが、原料である生ゴミが同じであれば、ポイント13a、13b、13cで脱塩脱水される生ゴミと、ポイント19a、19b、19cで脱塩脱水される生ゴミとは同じ溶出試験の結果となる。
【0065】
図10は、本発明である脱塩脱水方式15aの流れを示すフローチャートである。脱塩脱水方式15aは、生ゴミ投入工程20、生ゴミ粉砕工程21、第1低速回転脱塩脱水工程22、第2低速回転脱塩脱水工程23、導電率判定工程24、給水停止工程25、高速回転脱水工程26及び脱塩脱水処理後の生ゴミ排出工程27からなる。
【0066】
生ゴミ投入工程20は、主として給水型ディスポーザ部16における作業であり、生ゴミを給水した水と共にホッパーに投入する。
【0067】
生ゴミ粉砕工程21は、主として給水型ディスポーザ部16における作業であり、生ゴミを給水した水と共にディスポーザで粉砕する。
【0068】
第1低速回転脱塩脱水工程22は、主として給水型遠心脱水装置部17における作業であり、粉砕生ゴミ含有水を遠心力により、粉砕生ごみと脱離液とを分離し、脱塩と脱水を行うことができる。
【0069】
第2低速回転脱塩脱水工程23は、主として給水型遠心脱水装置部17における作業であり、生ゴミの投入終了後、給水を続けることで、生ゴミに含まれる塩分類を均一に低濃度まで除去することができる。
【0070】
導電率判定工程24は、主として給水型計測タンク部18における作業であり、脱離液の導電率(EC)の値を計測し続け、値が所定の値以下に達した時に、給水の停止合図及びバスケットの低速回転から高速回転への切り替えの合図を出す。尚、導電率(EC)の値が所定の値以下に達していない場合は、第2低速回転脱塩脱水工程23を継続して行う。
【0071】
給水停止工程25は、主として給水型ディスポーザ部16における作業であり、導電率判定工程24の合図により、給水の停止とポンプの稼動を休止する。
【0072】
高速回転脱水工程26は、主として給水型遠心脱水装置部17における作業であり、導電率判定工程24の合図により、バスケットの高速回転を開始することで、生ゴミに含まれる水分量をよりいっそう低下することができる。
【0073】
脱塩脱水処理後の生ゴミ排出工程27は、主として給水型遠心脱水装置部17における作業であり、かきとり機により、脱塩脱水処理後の生ゴミを給水型脱塩式遠心脱水装置15から取出す作業である。
【産業上の利用可能性】
【0074】
生ゴミ中の塩分類を短時間で均一に低濃度まで脱塩することで、短時間で塩害の少ない高品質の乾燥、コンポスト化及び炭化の原料となる生ゴミの生成が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明である脱塩脱水方法による脱塩式遠心脱水装置の全体図である。
【図2】本発明である脱塩脱水方法による脱塩式遠心脱水装置のディスポーザ部の拡大図である。
【図3】本発明である脱塩脱水方法による脱塩式遠心脱水装置の遠心脱水装置部の拡大図である。
【図4】本発明である脱塩脱水方法による脱塩式遠心脱水装置の計測タンク部の拡大図である。
【図5】本発明である脱塩脱水方法による脱塩式遠心脱水装置の導電率値の変化を示すグラフである。
【図6】本発明である脱塩脱水方法の脱塩式遠心脱水装置で脱塩脱水処理した生ゴミの溶出試験の結果を示す表である。
【図7】本発明である脱塩脱水方法1aの流れを示すフローチャートである。
【図8】本発明である脱塩脱水方法による給水型脱塩式遠心脱水装置の図である。
【図9】本発明である脱塩脱水方法の給水型脱塩式遠心脱水装置で脱塩脱水処理した生ゴミの溶出試験の結果を示す表である。
【図10】本発明である脱塩脱水方式15aの流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0076】
1 脱塩式遠心脱水装置
1a 脱塩脱水方法
2 ディスポーザ部
2a ホッパー
2b 生ゴミ
2c 第1循環水注入経路
2d 第2循環水注入経路
2e ディスポーザ
2f 粉砕生ゴミ含有水搬送経路
2g ポンプ
2h バイパス経路
2i 第1循環水注入経路バルブ
2j 第2循環水注入経路バルブ
2k バイパス経路バルブ
2l 生ゴミ投入口
3 遠心脱水装置部
3a 注入パイプ
3b かきとり機
3c バスケット
3d 散水盤
3e モーター
3f 架台
3g 生ゴミ排出経路
3h 排水パイプ
3i 脱離液搬送経路
4 計測タンク部
4a 計測タンク
4b 循環水又は脱離液
4c 導電率電極
4d 導電率計
5 生ゴミ投入工程
6 生ゴミ粉砕工程
7 第1低速回転脱塩脱水工程
8 第2低速回転脱塩脱水工程
9 導電率判定工程
10 循環水停止工程
11 高速回転脱水工程
12 脱塩脱水処理後の生ゴミ排出工程
13 曲線
13a ポイント
13b ポイント
13c ポイント
14 生ゴミ生成物の溶出試験の結果
15 給水型脱塩式遠心脱水装置
15a 脱塩脱水方式
16 給水型ディスポーザ部
16a 第1給水経路
16b 第2給水経路
17 給水型遠心脱水装置部
18 給水型計測タンク部
18a 排水口
18b 排水口バルブ
19 曲線
19a ポイント
19b ポイント
19c ポイント
20 生ゴミ投入工程
21 生ゴミ粉砕工程
22 第1低速回転脱塩脱水工程
23 第2低速回転脱塩脱水工程
24 導電率判定工程
25 給水停止工程
26 高速回転脱水工程
27 脱塩脱水処理後の生ゴミ排出工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生ゴミを水と共に粉砕し、生ゴミを遠心脱水装置部のバスケットを第一の所定回転数で回転させることにより脱塩及び脱水し、遠心脱水により脱離した液を循環させ、生ゴミを吸水させながら脱水し、脱離した液の導電率(EC)の変化率を計測し、その変化率が所定の値以下に達した時に遠心脱水装置部への循環を停止し、遠心脱水装置部のバスケット回転速度を第一の所定回転数よりも速い第二の所定回転数に切り替えることを特徴とする生ゴミの脱塩脱水方法。
【請求項2】
生ゴミを水と共に粉砕し、粉砕した生ゴミを給水させながら遠心脱水装置部のバスケットを第一の所定回転数で回転させることにより脱塩及び脱水し、脱離した液の導電率(EC)を計測し、その導電率(EC)が所定の値以下に達した時に遠心脱水装置部への循環を停止し、遠心脱水装置部のバスケット回転速度を第一の所定回転数よりも速い第二の所定回転数に切り替えることを特徴とする生ゴミの脱塩脱水方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−305418(P2006−305418A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−128311(P2005−128311)
【出願日】平成17年4月26日(2005.4.26)
【出願人】(503420464)有限会社栃木浄水 (2)
【Fターム(参考)】