説明

生体内留置用ステントおよび生体器官拡張器具

【課題】ステントを構成する線材の交差部に起因する血栓形成、血液凝固因子の活性化を招くおそれが少ない生体内留置用ステントおよびそれを用いた生体器官拡張器具を提供する。
【解決手段】ステント1は、生体内への留置操作時に変形することにより生体内組織に密着する生体内留置用ステントである。そして、ステント1は、ステント1の中心軸に対して斜めに延びる複数本の線材31,32により織られたあるいは編まれた筒状体である。さらに、ステント1は、ステントの軸方向に対して斜めに線材31,32が交差する多数の交差部5を備え、少なくとも一部の交差部5における少なくとも一方の線材32の当接面は、平坦面32aとなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管、胆管、気管、食道、尿道等の生体管腔内に生じた狭窄部、もしくは閉塞部の改善に使用される生体内留置用ステントおよび生体器官拡張器具に関する。
【背景技術】
【0002】
生体内留置用ステントは、血管あるいは他の生体内管腔が狭窄もしくは閉塞することによって生じる様々な疾患を治療するために、その狭窄もしくは閉塞部位を拡張し、その内腔を確保するためにそこに留置する一般的には管状の医療用具である。
ステントは、体外から体内に挿入するため、そのときは直径が小さく、目的の狭窄もしくは閉塞部位で拡張させて直径を大きくし、かつその管腔をそのままで保持する物である。
【0003】
ステントとしては、金属線材、あるいは金属管を加工した円筒状のものが一般的である。カテーテルなどに細くした状態で装着され、生体内に挿入され、目的部位で何らかの方法で拡張させ、その管腔内壁に密着、固定することで管腔形状を維持する。ステントは、機能および留置方法によって、セルフエクスパンダブルステントとバルーンエクスパンダブルステントに区別される。バルーンエクスパンダブルステントはステント自体に拡張機能はなく、ステントを目的部位に挿入した後、ステント内にバルーンを位置させてバルーンを拡張させ、バルーンの拡張力によりステントを拡張(塑性変形)させ目的管腔の内面に密着させて固定する。このタイプのステントでは、上記のようなステントの拡張作業が必要になる。
ステント留置の目的は、PTCA等の手技を施した後に起こる再狭窄の予防、およびその低減化を図るものである。このため、ステントは、均一な拡張保持力を有することが望ましい。
【0004】
ステントとしては、従来より、ファイバーを編むもしくは織ることにより筒状に形成したものがある。そのようなタイプのステントとしては、例えば、特開2002−200176号公報(特許文献1)のように、生体吸収性繊維の編み物または組紐状織物であり、繊維の端部を有しない筒状の生体管路ステントがある。また、特許文献1には、合成水溶性高分子、天然水溶性高分子、合成生体吸収性高分子、あるいは天然生体吸収性高分子により交差点が接着されていること、また、縮径時に繊維の交差点を接合あるいは接着することが開示されている。
また、特開2007−195945号公報(特許文献2)のような自己拡張式形状記憶合金ステント80も提案されている。このステントは、超弾性形状記憶合金からなる第1及び第2ワイヤ10、11からなり、第1ワイヤ10はそれ自身との絡み合いなしにステント80の最上端から最下端まで下向きに延長し、それ自身と絡み合いながらステントの最下端から最上端まで上向きに延長して複数の菱形空間を形成する。同様に、第2ワイヤ11はそれ自身との絡み合いなしにステント80の最上端から最下端まで下向きに延長し、それ自身と絡み合いながらステントの最下端から最上端まで上向きに延長して、第1ワイヤによって形成された菱形空間を四つの小菱形空間に分割することになる。第1ワイヤ及び第2ワイヤは、第2ワイヤが交差点で第1ワイヤの上下に交互に通るように、織り合わされている。
【特許文献1】特開2002−200176号公報
【特許文献2】特開2007−195945号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1および2のステントでは、ファイバーおよびワイヤの交差部では、ファイバーもしくはワイヤからなるステント形成素材が重なるため、交差部以外とは、物性、形態が大きく異なるものとなっている。特に、ファイバーもしくはワイヤの交差により肉厚部が形成され、また、交差部におけるファイバーもしくはワイヤの狭小な隙間が形成され、これらが、血栓形成の原因もしくは血液凝固因子の活性化を招くおそれが危惧される。
本発明の目的は、ステントを構成する線材の交差部に起因する血栓形成、血液凝固因子の活性化を招くおそれが少ない生体内留置用ステントおよびそれを用いた生体器官拡張器具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するものは、以下のものである。
(1) 生体内への留置操作時に変形することにより生体内組織に密着する生体内留置用ステントであって 前記ステントは、該ステントの中心軸に対して斜めに延びる複数本の線材により織られたあるいは編まれた筒状体であり、さらに、前記ステントは、該ステントの軸方向に対して斜めに前記線材が交差する多数の交差部を備え、少なくとも一部の交差部における少なくとも一方の前記線材の当接面は、平坦面となっている生体内留置用ステント。
(2) 前記多数の交差部のすべてもしくは半数を超える交差部における少なくとも一方の前記線材の当接面は、平坦面となっている上記(1)に記載の生体内留置用ステント。
(3) 前記多数の交差部のすべてもしくは半数を超える交差部における両方の前記線材の当接面は、平坦面となっている上記(1)に記載の生体内留置用ステント。
(4) 前記ステントの留置操作前の状態において前記当接面となる部分および前記ステントの留置操作による変形後の生体内組織密着状態において前記交差部の前記当接面となる部分とを合わせた部分が、平坦面となっている上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
(5) 前記ステントの留置操作による変形後の生体内組織密着状態において前記交差部の前記当接面となる部分が、平坦面となっている上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
【0007】
(6) 前記ステントの留置操作前の状態において前記交差部の前記当接面となる部分が、平坦面となっている上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
(7) 前記多数の交差部のすべての交差部における少なくとも一方の前記線材の当接面は、平坦面となっている上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
(8) 前記線材の前記平坦面となっている部分の厚さは、該線材の平坦面となっていない部分の直径のほぼ半分である上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
(9) 前記交差部の厚さは、該交差部ではない部分の前記線材の直径とほぼ同じものとなっている上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
(10) 前記平坦面は、高摩擦表面となっている上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
(11) 前記線材は、前記交差部以外は、外面が曲面となっている(1)ないし(10)のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
(12) 前記線材は、前記平坦面となっている交差部の周縁部により形成された段差を有している上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
(13) 前記交差部には、交差状態保持部材が設けられている上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
(14) 前記交差状態保持部材は、造影性を有している上記(13)に記載の生体内留置用ステント。
【0008】
(15) 前記線材は、生理活性物質を担持している上記(1)ないし(14)のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
(16) 前記生理活性物質は、内膜肥厚を抑制する薬剤、抗癌剤、免疫抑制剤、抗生物質、抗リウマチ剤、抗血栓薬、HMG−CoA還元酵素阻害剤、ACE阻害剤、カルシウム拮抗剤、抗高脂血症剤、抗炎症剤、インテグリン阻害薬、抗アレルギー剤、抗酸化剤、GPIIbIIIa拮抗薬、レチノイド、フラボノイドおよびカロチノイド、脂質改善薬、DNA合成阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、抗血小板薬、血管平滑筋増殖抑制薬、生体由来材料、インターフェロンおよび遺伝子工学により生成される上皮細胞より選択された少なくとも一種のものである上記(15)に記載の生体内留置用ステント。
(17) 前記線材は、ファイバーもしくはワイヤである上記(1)ないし(16)のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
(18) 前記線材は、生分解材料にて形成されている上記(1)ないし(17)のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
(19) 前記ステントは、略管状体に形成され、生体内管腔への挿入のための直径を有し、該ステントの内部より半径方向に広がる力が付加されたときに拡張するものである上記(1)ないし(18)のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
(20) 前記ステントは、略円筒形状に形成され、生体内挿入時には中心軸方向に圧縮され、生体内留置時には外方に拡張して圧縮前の形状に復元するものである上記(1)ないし(18)のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
【0009】
また、上記目的を達成するものは、以下のものである。
(21) チューブ状のシャフト本体部と、該シャフト本体部の先端部に設けられた折り畳みおよび拡張可能なバルーンと、折り畳まれた状態の前記バルーンを被包するように装着され、かつ該バルーンの拡張により拡張される上記(19)に記載のステントとを備える生体器官拡張器具。
(22) シースと、該シースの先端部内に収納された上記(20)のステントと、該シース内を摺動可能に挿通し、前記ステントを前記シースの先端より押し出すための内管とを備える生体器官拡張器具。
【発明の効果】
【0010】
本発明の生体内留置用ステントは、ステントの中心軸に対して斜めに延びる複数本の線材により織られたあるいは編まれた筒状体であり、さらに、ステントの軸方向に対して斜めに線材が交差する多数の交差部を備え、少なくとも一部の交差部における少なくとも一方の線材の当接面は、平坦面となっている。
このため、交差部において、線材の交差に起因する肉厚化ならびに狭小な隙間の形成を抑制し、ステントを構成する線材の交差部に起因する血栓形成、血液凝固因子の活性化を招くおそれを低減する。
また、本発明の生体内留置用ステントは、留置操作前の状態において前記当接面となる部分および前記ステントの留置操作による変形後の生体内組織密着状態において前記交差部の前記当接面となる部分とを合わせた部分が、平坦面となっていることが好ましい。
このため、留置操作前の縮小状および変形後の拡張状態の両者において安定した形態を有するものとなる。さらに、留置操作前の縮小状態から変形後の拡張状態となるまでの変形がすべて平坦部となっている部分にて行われるため、留置操作前の縮小状態から変形後の拡張状態となるまでの交差部の変形がスムースであり、良好な変形が行われる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の生体内留置用ステントについて以下の好適実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例の生体内留置用ステントの留置操作後(拡張状態)の正面図である。図2は、図1の生体内留置用ステントの展開図である。図3は、図2の部分拡大図である。図4は、図3の交差部付近を説明するための拡大図である。図5は、図4のA−A線拡大断面図である。図6は、図4より一方の線材を取り除いた状態を説明するための説明図である。 図7は、本発明の他の実施例の生体内留置用ステントの留置操作後(拡張状態)における交差部付近を説明するための拡大図である。図8は、図7のB−B線拡大断面図である。図9は、図7に示した一方の線材の背面を説明するための説明図である。図10は、図1に示した生体内留置用ステントの留置操作前(縮径化状態)の正面図である。図11は、図10の展開図である。図12は、図11の交差部付近を説明するための拡大図である。図13は、本発明の他の実施例の生体内留置用ステントの留置操作前(縮径化状態)における交差部付近を説明するための拡大図である。
本発明の生体内留置用ステント1は、生体内への留置操作時に変形することにより生体内組織に密着する生体内留置用ステントである。そして、ステント1は、ステント1の中心軸に対して斜めに延びる複数本の線材3(31,32)により織られたあるいは編まれた筒状体である。さらに、ステント1は、ステントの軸方向に対して斜めに線材3(31,32)が交差する多数の交差部5を備え、少なくとも一部の交差部5における少なくとも一方の線材32の当接面は、平坦面32aとなっている。
【0012】
ステント1は、ステント1の中心軸に対して斜めに延びる複数本の線材3により織られたあるいは編まれたものである。ステント1は、ステント1の軸方向に対して斜めに線材が交差する多数の交差部5を備える。
また、この実施例のステントは、略管状体に形成され、生体内管腔への挿入のための外径を有し、かつ、内部より半径方向に広がる力が付加されることにより拡張し、生体内組織に密着するバルーン拡張型ステントである。なお、ステントとしては、このようなバルーン拡張型ステントに限定されるものではなく、いわゆる自己拡張型ステントであってもよい。
この実施例のステント1は、線材3により筒状に織られたあるいは編まれた筒状物である。ステント1は、図1ないし図3に示すように、螺旋状(ステント1の中心軸に対して斜め)に巻かれた複数本の線材3により構成されている。そして、この実施例のステント1は、螺旋状に同一方向に巻かれた(言い換えれば、ほぼ平行となるように巻かれた)複数の線材31と、この複数の線材31と逆方向に巻かれるとともに、上記の線材と織られた複数の線材32により構成されている。そして、ステントは、線材が交差する多数の交差部5を備えている。そして、線材3が螺旋状(ステント1の中心軸に対して斜め)に巻かれているため、交差部5は、ステント1の軸方向に対して斜めに線材が交差する交差部となっている。なお、ステントとしては、上記のように線材により編まれたものであることが好ましいが、網状のものであってもよい。
【0013】
そして、隣り合う線材間の間隔としては、例えば外径4mm程度のステントであれば、0.05〜2mmであることが好ましい。また、最も近い交差部間の距離としては、0.1〜4mmであることが好ましい。また、ステントの周方向に隣り合う交差部間の距離としては、0.1〜2mmであることが好ましい。
そして、この実施例のステント1は、拡張状態および圧縮前状態では、図1および図2に示すような形態となっており、圧縮状態(縮径化状態)では、図10および図11に示すような形態を有するものとなっている。
このステント1では、ステント1の中心軸に対して少なくとも3つの交差部5がほぼ環状となるようにならんだ環状交差部列をステント1の軸方向に多数有している。特に、図示するステント1では、各環状交差部列は、複数(具体的には、8つ)の交差部5をステント1の中心軸に対してほぼ等角度となるように有している。環状交差部列における交差部5の数としては、3〜16程度が好ましく、特に、6〜12が好ましい。そして、ステント1は、この環状交差部列をステント1の軸方向にほぼ平行に多数(具体的には、40)有している。ステント1における環状交差部列の数としては、10〜60程度が好適である。好ましくは、20〜40である。そして、隣り合う環状交差部列では、交差部が、ステントの周方向にずれたものとなっている。また、一つおきの環状交差部列では、各交差部5は、ステントの軸方向にほぼ直線状に並ぶものとなっている。また、ステント1では、隣り合う交差部では交差する線材の上下位置が交互となっており、いわゆる織られた状態となっている。
【0014】
そして、図4ないし図6に示すように、多数の交差部5のすべてもしくは半数を超える交差部5における他方の線材32の一方の線材31との当接部は、平坦面32aとなっている。特に、図1ないし図3に示すように、ステント1の生体内への留置操作後の変形状態(言い換えれば、変形後の生体内組織密着状態、拡張状態)において、線材31と当接部となる部分が、平坦面32aとなっている。つまり、ステントの留置操作による変形後の生体内組織密着状態において、交差部5の当接面となる部分が、平坦面32aとなっている。また、この実施例では、図6に示すように、線材32に形成された平坦面32aは、線材32の長手方向に直交する2辺を有する矩形状のものとなっている。また、線材32の平坦面32aとなっている部分の厚さは、図5にも示すように、線材32の平坦面となっていない部分の直径のほぼ半分程度、具体的には、2/5〜3/5程度であることが好ましい。また、平坦面32aの線材32の長手方向に直交する2辺間の距離は、交差する線材31の直径(言い換えれば、幅)とほぼ等しいもしくは若干大きいものとなっている。このため、図5に示すように、交差する線材31は、この平坦面形成部分に入り込んだ状態となっている。 また、線材32は、交差部以外は、外面が曲面となっている。具体的には、線材32は、平坦面32aとなっている部分を除き、断面が略円形(真円、楕円、長円)となっている。また、線材32は、平坦面32aとなっている交差部の周縁部により形成された段差を有している。つまり、平坦面32aは、その他部分より削られた状態(肉薄部)となっており、段差部を形成するものとなっている。また、線材32は、平坦面32aとなっている交差部の周縁部より徐々に肉が厚くなっていく傾斜部となっていてもよい。この場合には、明確な段差部を形成されないものとなる。
そして、この実施例のステント1では、すべての交差部5における少なくとも一方の線材の当接面(具体的には、線材32の当接面)は、平坦面となっている。このようにすべての交差部5において一方の線材の当接面が平坦面となっていることが好ましいが、一部の交差部のみの少なくとも一方の線材の当接面(具体的には、線材32の当接面)は、平坦面となっているものであってよい。好ましくは、半数を超える交差部(特に、好ましくは、交差部の80%以上、より望ましくは、90%以上)において、一方の線材の当接面が平坦面となっているものであってもよい。
【0015】
そして、図10および図11に示す生体内留置用ステントの留置操作前(縮径化状態)では、図12に示すように、ステント1の交差部5において、線材31は、線材32の平坦面32aとかみ合わないものとなっている。
さらに、図7ないし図9に示す実施例のステント10のように、多数の交差部5のすべてもしくは半数を超える交差部5における両方の線材31,32の当接部は、平坦面31a,32aとなっていることが好ましい。この実施例のステント10においても、ステント10生体内への留置操作後の変形状態(言い換えれば、変形後の生体内組織密着状態、拡張状態)において、交差部5にて当接する線材31および線材32の両者の当接部が平坦面となっている。
この実施例のステント10では、上述したステント1と同様、図6に示すように、線材32に形成された平坦面32aを有する、また、線材32に形成された平坦面32aは、線材32の長手方向に直交する2辺を有する矩形状のものとなっている。また、線材32の平坦面32aとなっている部分の厚さは、図8に示すように、線材32の平坦面となっていない部分の直径のほぼ半分程度、具体的には、2/5〜3/5程度であることが好ましい。また、平坦面32aの線材32の長手方向に直交する2辺間の距離は、交差する線材31の直径(言い換えれば、幅)とほぼ等しいもしくは若干大きいものとなっている。さらに、この実施例のステント10では、図9に示すように、線材31にも平坦面31aが設けられている。線材31に形成された平坦面31aは、線材31の長手方向に直交する2辺を有する矩形状のものとなっている。また、線材31の平坦面31aとなっている部分の厚さは、図8に示すように、線材31の平坦面となっていない部分の直径のほぼ半分程度、具体的には、2/5〜3/5程度であることが好ましい。また、平坦面31aの線材31の長手方向に直交する2辺間の距離は、交差する線材32の直径(言い換えれば、幅)とほぼ等しいもしくは若干大きいものとなっている。このため、図8に示すように、交差部5における線材31と線材32は、両者に形成された平坦面31a、32a部分にてかみ合った状態となっている。そして、このステント10では、交差部5の厚さは、交差部ではない部分の線材の直径とほぼ同じものとなっており、交差部に起因する突出部(言い換えれば、膨出部)が実質的に形成されないものとなっている。なお、この実施例のステント10においても、図13に示すように、ステント1の交差部5において、線材31の平坦面31aと線材32の平坦面32aとは、かみ合わないものとなっている。
【0016】
さらに、図14ないし図16に示す実施例のステント20のように、ステントの留置操作前の状態(縮径化状態)において交差部5の当接面となる部分およびステントの留置操作による変形後の生体内組織密着状態(拡張時)において交差部5の当接面となる部分とを合わせた部分が、平坦面となっていることが好ましい。
図14は、本発明の他の実施例の生体内留置用ステントの留置操作前(縮径化状態)における交差部付近を説明するための拡大図である。図15は、図14より一方の線材を取り除いた状態を説明するための説明図である。
このステント20では、図14ないし図16に示すように、ステントの留置操作前の状態において、一方の線材が、線材交差部5の当接面となる部分およびステントの留置操作による変形後の生体内組織密着状態において交差部5の当接面となる部分とを合わせた部分が、平坦面となっている。具体的には、ステント20は、上述したステント1と同様に、多数の交差部5のすべてもしくは半数を超える交差部5における他方の線材32の一方の線材31との当接部は、平坦面32bとなっている。この平坦面32bは、図14ないし図16に示すように、ステント20の生体内への留置操作後の変形状態(言い換えれば、変形後の生体内組織密着状態、拡張状態)において、線材31と当接部となる部分(上述した平坦面32a)のみならず、図11,図12および図14に示すステントの留置操作前の状態(圧縮時、縮径時)において、当接する部分も平坦面となっている。具体的には、線材32に形成された平坦面32bは、線材32の長手方向に直交する2辺を有する矩形状の上述した平坦面32aをベースとし、図14に示すステントの留置操作前の状態(圧縮時、縮径時)においても当接する部分をも加えてたものとなっており、平坦面32bは、平坦面32aの線材32の長手方向に直交する2辺の一方より、線材32の側面に沿って伸びる直角三角形状の第1の延出平坦部32cと平坦面32aの線材32の長手方向に直交する2辺の他方より、線材32の側面に沿って伸びる直角三角形状の第2の延出平坦部32dを有する形態となっている。特に、この実施例のステント20では、第1の延出平坦部32cは、平坦面32aの線材32の長手方向に直交する2辺の一方の全長ではない所定長部分より線材32の側面に沿って伸びる直角三角形状のものとなっており、同様に第2の延出平坦部32dも平坦面32aの線材32の長手方向に直交する2辺の他方の全長ではない所定長部分より線材32の側面に沿って伸びる直角三角形状のものとなっている。また、線材32の平坦面32bとなっている部分の厚さは、線材32の平坦面となっていない部分の直径のほぼ半分程度、具体的には、2/5〜3/5程度であることが好ましい。また、平坦面32aの線材32の長手方向に直交する2辺間の距離は、交差する線材31の直径(言い換えれば、幅)とほぼ等しいもしくは若干大きいものとなっている。さらに、第1の延出平坦部32cの頂点32eと第2の延出平坦部32dの頂点32f間の距離L2は、図14に示すステントの留置操作前の状態(圧縮時、縮径時)の線材31と線材32の交差部の最長頂点間距離L1とほぼ等しいもしくは若干大きいものとなっている。このため、図14に示すように、交差する線材31は、線材32の平坦面形成部分に入り込んだ状態となっている。そして、ステントの留置操作による変形後の生体内組織密着状態においても、図16に示すように、交差する線材31は、線材32の平坦面形成部分に入り込んだ状態を維持する。この実施例のステント20では、線材32の平坦面形成部分に入り込んだ状態において、ステントの変形操作が行われるものとなる。
そして、この実施例のステント20においても、すべての交差部5における少なくとも一方の線材の当接面(具体的には、線材32の当接面)は、平坦面となっている。このようにすべての交差部5において一方の線材の当接面が平坦面となっていることが好ましいが、半数を超える交差部(交差部の80%以上、望ましくは、90%以上)において、一方の線材の当接面が平坦面となっているものであってもよい。
【0017】
さらに、図17ないし図19に示す実施例のステント30のように、一方の線材32は、ステントの留置操作前の状態(縮径化状態)において交差部5の当接面となる部分およびステントの留置操作による変形後の生体内組織密着状態(拡張時)において交差部5の当接面となる部分とを合わせた部分が、平坦面となっており、かつ、他方の線材31もステントの留置操作による変形後の生体内組織密着状態(拡張時)において交差部5の当接面となる部分が、平坦面となっているものであることが好ましい。
図17は、本発明の他の実施例の生体内留置用ステントの留置操作前(縮径化状態)における交差部付近を説明するための拡大図である。図18は、図17より一方の線材を取り除いた状態を説明するための説明図である。 図19は、図17に示す生体内留置用ステントの留置操作後(拡張状態)における交差部付近を説明するための拡大図である。
つまり、上述したステント20のようなタイプのステントにおいても、図17ないし図19、特に、図18に示すように、多数の交差部5のすべてもしくは半数を超える交差部5における両方の線材31,32の当接部は、平坦面31a,32bとなっていることが好ましい。この実施例のステント30では、線材31にも平坦面31aが設けられている。線材31に形成された平坦面31aは、線材31の長手方向に直交する2辺を有する矩形状のものとなっている。また、線材31の平坦面31aとなっている部分の厚さは、線材31の平坦面となっていない部分の直径のほぼ半分程度、具体的には、2/5〜3/5程度であることが好ましい。また、平坦面31aの線材31の長手方向に直交する2辺間の距離は、交差する線材32の直径(言い換えれば、幅)とほぼ等しいもしくは若干大きいものとなっている。このため、交差部5における線材31と線材32は、両者に形成された平坦面31a、32b部分にてかみ合った状態となっている。そして、このステント30では、交差部5の厚さは、交差部ではない部分の線材の直径とほぼ同じものとなっており、交差部に起因する突出部(言い換えれば、膨出部)が実質的に形成されないものとなっている。
【0018】
そして、上述したすべての実施例において、線材に形成される平坦面は、高摩擦表面となっているものであってもよい。高摩擦表面は、波状表面とすること、また、エンボス加工することなどにより形成できる。
そして、上述したすべての実施例において、線材3としては、ファイバーもしくはワイヤが使用される。ファイバーとしては、合成繊維もしくは天然繊維さらにはそれらの混合繊維を用いることができる。合成繊維としては、有機合成繊維(例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、炭素繊維)、無機合成繊維(例えば、ガラス繊維、セラミック繊維)などが好ましい。ワイヤとしては、金属ワイヤが好ましく、例えば、ステンレス鋼細線、超弾性金属細線、アモルファス 金属細線などが使用できる。
そして、線材3は、単線材、複数本の細線材束または複数本の細線材の撚線であることが好ましい。細線材束の場合には、2〜3本の細線材の束であることが好ましい。また、細線材の撚線の場合には、2〜3本の細線材の撚線であることが好ましい。さらに、線材3(3a、3b)は、断面形状が真円状もしくは略楕円状であるであることが好ましい。また、線材は、断面に短軸を有する場合には、短軸がステントの中心軸方向を向くものであることが好ましい。
また、線材3は、生分解性材料により形成してもよい。
生分解性材料としては、生分解性金属もしくは生分解性ポリマーが好適に使用される。
生分解性金属としては、純マグネシウムまたはマグネシウム合金、カルシウム、亜鉛、リチウムなどが使用される。好ましくは、純マグネシウムまたはマグネシウム合金である。マグネシウム合金としては、マグネシウムを主成分とし、Zr、Y、Ti、Ta、Nd、Nb、Zn、Ca、Al、Li、およびMnからなる生体適合性元素群から選択される少なくとも1つの元素を含有するものが好ましい。
マグネシウム合金としては、例えば、マグネシウムが50〜98%、リチウム(Li)が0〜40%、鉄が0〜5%、その他の金属または希土類元素(セリウム、ランタン、ネオジム、プラセオジム等)が0〜5%であるものを挙げることができる。また、例えば、マグネシウムが79〜97%、アルミニウムが2〜5%、リチウム(Li)が0〜12%、希土類元素(セリウム、ランタン、ネオジム、プラセオジム等)が1〜4%であるものを挙げることができる。また、例えば、マグネシウムが85〜91%、アルミニウムが2%、リチウム(Li)が6〜12%、希土類元素(セリウム、ランタン、ネオジム、プラセオジム等)が1%であるものを挙げることができる。また、例えば、マグネシウムが86〜97%、アルミニウムが2〜4%、リチウム(Li)が0〜8%、希土類元素(セリウム、ランタン、ネオジム、プラセオジム等)が1〜2%であるものを挙げることができる。また、例えば、アルミニウムが8.5〜9.5%、マンガン(Mn)が0.15〜0.4%、亜鉛が0.45〜0.9%、残りがマグネシウムであるものを挙げることができる。また、例えば、アルミニウムが4.5〜5.3%、マンガン(Mn)が0.28〜0.5%、残りがマグネシウムであるものを挙げることができる。また、例えば、マグネシウムが55〜65%、リチウム(Li)が30〜40%、その他の金属および/または希土類元素(セリウム、ランタン、ネオジム、プラセオジム等)が0〜5%であるものを挙げることができる。
【0019】
また、生分解性ポリマーとしては、生体内で酵素的、非酵素的に分解され、分解物が毒性を示さないものであれば特に限定されないが、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸−ポリカプロラクトン共重合体、ポリオルソエステル、ポリホスファゼン、ポリリン酸エステル、ポリヒドロキシ酪酸、ポリリンゴ酸、ポリα−アミノ酸、コラーゲン、ゼラチン、ラミニン、ヘパラン硫酸、フィブロネクチン、ビトロネクチン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ポリヒドロキシブチレイト吉草酸、ポリサリチル酸、ポリペプチド、多糖類、キチン、キトサンなどが使用できる。
また、上述したすべての実施例のステントにおいて、線材3は、生理活性物質を担持していもよい。線材への生理活性物質の担持方法としては、線材表面への塗布、線材形成材料中への添加などにより行うことができる。
生理活性物質としては、内膜肥厚を抑制する薬剤、抗癌剤、免疫抑制剤、抗生物質、抗リウマチ剤、抗血栓薬、HMG−CoA還元酵素阻害剤、ACE阻害剤、カルシウム拮抗剤、抗高脂血症剤、抗炎症剤、インテグリン阻害薬、抗アレルギー剤、抗酸化剤、GPIIbIIIa拮抗薬、レチノイド、フラボノイドおよびカロチノイド、脂質改善薬、DNA合成阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、抗血小板薬、血管平滑筋増殖抑制薬、生体由来材料、インターフェロンおよび遺伝子工学により生成される上皮細胞などが使用される。そして、上記の薬剤等の2種以上の混合物を使用してもよい。
【0020】
抗癌剤としては、例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、イリノテカン、ピラルビシン、パクリタキセル、ドセタキセル、メトトレキサート等が好ましい。免疫抑制剤としては、例えば、シロリムス、タクロリムス、アザチオプリン、シクロスポリン、シクロホスファミド、ミコフェノール酸モフェチル、グスペリムス、ミゾリビン等が好ましい。抗生物質としては、例えば、マイトマイシン、アドリアマイシン、ドキソルビシン、アクチノマイシン、ダウノルビシン、イダルビシン、ピラルビシン、アクラルビシン、エピルビシン、ペプロマイシン、ジノスタチンスチマラマー等が好ましい。抗リウマチ剤としては、例えば、メトトレキサート、チオリンゴ酸ナトリウム、ペニシラミン、ロベンザリット等が好ましい。抗血栓薬としては、例えば、ヘパリン、アスピリン、抗トロンビン製剤、チクロピジン、ヒルジン等が好ましい。HMG−CoA還元酵素阻害剤としては、例えば、セリバスタチン、セリバスタチンナトリウム、アトルバスタチン、ニスバスタチン、イタバスタチン、フルバスタチン、フルバスタチンナトリウム、シンバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン等が好ましい。ACE阻害剤としては、例えば、キナプリル、ペリンドプリルエルブミン、トランドラプリル、シラザプリル、テモカプリル、デラプリル、マレイン酸エナラプリル、リシノプリル、カプトプリル等が好ましい。カルシウム拮抗剤としては、例えば、ニフェジピン、ニルバジピン、ジルチアゼム、ベニジピン、ニソルジピン等が好ましい。抗高脂血症剤としては、例えば、プロブコールが好ましい。抗アレルギー剤としては、例えば、トラニラストが好ましい。レチノイドとしては、例えば、オールトランスレチノイン酸が好ましい。フラボノイドおよびカロチノイドとしては、例えば、カテキン類、特にエピガロカテキンガレート、アントシアニン、プロアントシアニジン、リコピン、β−カロチン等が好ましい。チロシンキナーゼ阻害剤としては、例えば、ゲニステイン、チルフォスチン、アーブスタチン等が好ましい。抗炎症剤としては、例えば、デキサメタゾン、プレドニゾロン等のステロイドが好ましい。生体由来材料としては、例えば、EGF(epidermal growth factor)、VEGF(vascular endothelial growth factor)、HGF(hepatocyte growth factor)、PDGF(platelet derived growth factor)、bFGF(basic fibroblast growth factor)等が好ましい。
【0021】
そして、上述したすべての実施例のステントにおいて、図20に示すステント40のように、交差部5に交差状態保持部材6を設けてもよい。交差状態保持部材6は、すべての交差部に設けてもよく、また、半数を超える交差部に設けてもよく、さらには、一部のみの交差部に設けてもよい。
そして、交差部固定部材6は、線材3の形成材料より塑性変形性の高い材料により形成され、ステント40の拡張時に交差部5の変形に追従し塑性変形し、かつ、交差部5の変形形態を保持可能であることが好ましい。
交差部固定部材6の形成材料としては、線材3の形成材料より易塑性変形性を有する金属もしくは樹脂であることが好ましい。
易塑性変形性金属としては、例えば、ステンレス鋼、タンタルもしくはタンタル合金、プラチナもしくはプラチナ合金、金もしくは金合金、コバルトベース合金、コバルトクロム合金、チタン合金、ニオブ合金等が考えられる。またステント形状を作製した後に貴金属メッキ(金、プラチナ)をしてもよい。ステンレス鋼としては、最も耐腐食性のあるSUS316Lが好適である。
易塑性変形性樹脂としては、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレンとポリエチレンもしくはポリブテンの混合物)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリアミド(例えば、6ナイロン,66ナイロン)、ポリカーボネート、アクリル樹脂(例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体等)、スチレン系樹脂(例えば、ポリスチレン、メタクリレート−スチレン共重合体、メタクリレート−ブチレン−スチレン共重合体)などが使用でき。さらに、塑性変形性を有する生分解性ポリマー、例えばポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、セルロース、ポリヒドロキシブチレイト吉草酸、およびポリオルソエステルからなる群から選択される少なくとも1つ、もしくは、これらの共重合体、混合物、または複合物であってもよい。
【0022】
さらに、交差部固定部材6は、造影性を有することが好ましい。造影性としては、X線造影性、超音波造影性のいずれでもよい。造影性の付与は、例えば、交差部固定部材の形成材料を造影性を有する材料にて形成すること、交差部固定部材の形成材料中に造影性を有する材料を添加すること、交差部固定部材の表面に造影性を有する材料にて被膜を形成することなどにより行うことができる。造影性材料としては、プラチナもしくはプラチナ合金、金もしくは金合金などの造影性金属、硫酸バリウム、酸化ビスマス 、タングステン粉末などの造影剤が使用される。
そして、上述したすべての実施例のステントにおいて、ステントの非拡張時の直径は、0.35〜3.0mm程度が好適であり、特に、0.5〜1.5mmがより好ましい。また、ステントの非拡張時の長さは、8〜200mm程度が好適である。また、ステントの拡張時の直径は、1.0〜10mm程度が好適である。また、ステントの拡張時の長さは、8〜200mm程度が好適である。
【0023】
次に、本発明の血管拡張器具を図面に示す実施例を用いて説明する。
図21は、本発明の実施例の生体器官拡張器具の正面図である。図22は、図21に示した生体器官拡張器具の先端部の拡大図である。図23は、本発明の実施例の生体器官拡張器具の作用を説明するための説明図である。
本発明の生体器官拡張器具100は、チューブ状のシャフト本体部102と、シャフト本体部102の先端部に設けられた折り畳みおよび拡張可能なバルーン103と、折り畳まれた状態のバルーン103を被包するように装着され、バルーン103の拡張により拡張されるステント1とを備える。
そして、ステント1としては、上述したステント1ならびに上述したすべての実施例のステントを用いることができる。また、ステントとしては、略管状体に形成され、生体内管腔への挿入のための直径を有し、ステントの内部より半径方向に広がる力が付加されたときに拡張するいわゆるバルーン拡張型ステントが用いられる。
この実施例の生体器官拡張器具100は、上述したステント1と、ステント1が装着されたチューブ状の生体器官拡張器具本体101とからなる。
【0024】
生体器官拡張器具本体101は、チューブ状のシャフト本体部102と、シャフト本体部の先端部に設けられた折り畳みおよび拡張可能なバルーン103とを備え、ステント1は、折り畳まれた状態のバルーン103を被包するように装着され、かつバルーン103の拡張により拡張されるものである。
ステント1としては、上述したすべての実施例のステントを用いることができる。なお、ここで使用されるステントは、生体内管腔への挿入のための直径を有し、管状体の内部より半径方向に広がる力が付加されたときに拡張可能ないわゆるバルーン拡張型ステントが用いられる。
この実施例の生体器官拡張器具100では、図23に示すように、シャフト本体部102は、シャフト本体部102の先端にて一端が開口し、シャフト本体部102の後端部にて他端が開口するガイドワイヤルーメン115を備えている。
この生体器官拡張器具本体101は、シャフト本体部102と、シャフト本体部102の先端部に固定されたステント拡張用バルーン103とを備え、このバルーン103上にステント1が装着されている。シャフト本体部102は、内管112と外管113と分岐ハブ110とを備えている。
内管112は、図22に示すように、内部にガイドワイヤを挿通するためのガイドワイヤルーメン115を備えるチューブ体である。内管112としては、長さは、100〜2500mm、より好ましくは、250〜2000mm、外径が、0.1〜1.0mm、より好ましくは、0.3〜0.7mm、肉厚10〜250μm、より好ましくは、20〜100μmのものである。そして、内管112は、外管113の内部に挿通され、その先端部が外管113より突出している。この内管112の外面と外管113の内面によりバルーン拡張用ルーメン116が形成されており、十分な容積を有している。外管113は、内部に内管112を挿通し、先端が内管112の先端よりやや後退した部分に位置するチューブ体である。
外管113としては、長さは、100〜2500mm、より好ましくは、250〜2000mm、外径が、0.5〜1.5mm、より好ましくは、0.7〜1.1mm、肉厚25〜200μm、より好ましくは、50〜100μmのものである。
【0025】
この実施例の生体器官拡張器具100では、外管113は、先端側外管113aと本体側外管113bにより形成され、両者が接合されている。そして、先端側外管113aは、本体側外管113bとの接合部より先端側の部分において、テーパー状に縮径し、このテーパー部より先端側が細径となっている。
先端側外管113aの細径部での外径は、0.50〜1.5mm、好ましくは0.60〜1.1mmである。また、先端側外管113aの基端部および本体側外管113bの外径は、0.75〜1.5mm、好ましくは0.9〜1.1mmである。
そして、バルーン103は、先端側接合部103aおよび後端側接合部103bを有し、先端側接合部103aが内管112の先端より若干後端側の位置に固定され、後端側接合部103bが外管の先端に固定されている。また、バルーン103は、基端部付近にてバルーン拡張用ルーメン116と連通している。
内管112および外管113の形成材料としては、ある程度の可撓性を有するものが好ましく、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体など)、ポリ塩化ビニル、ポリアミドエラストマー、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂、シリコーンゴム、ラテックスゴム等が使用でき、好ましくは上記の熱可塑性樹脂であり、より好ましくは、ポリオレフィンである。
バルーン103は、図22に示すように、折り畳み可能なものであり、拡張させない状態では、内管112の外周に折り畳まれた状態となることができるものである。バルーン103は、図22に示すように、装着されるステント1を拡張できるようにほぼ同一径の筒状部分(好ましくは、円筒部分)となった拡張可能部を有している。略円筒部分は、完全な円筒でなくてもよく、多角柱状のものであってもよい。そして、バルーン103は、上述のように、先端側接合部103aが内管112にまた後端側接合部103bが外管113の先端に接着剤または熱融着などにより液密に固着されている。また、このバルーン103では、拡張可能部と接合部との間がテーパー状に形成されている。
バルーン103は、バルーン103の内面と内管112の外面との間に拡張空間103cを形成する。この拡張空間103cは、後端部ではその全周において拡張用ルーメン116と連通している。このように、バルーン103の後端は、比較的大きい容積を有する拡張用ルーメンと連通しているので、拡張用ルーメン116よりバルーン内への拡張用流体の注入が確実である。
【0026】
バルーン103の形成材料としては、ある程度の可撓性を有するものが好ましく、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、架橋型エチレン−酢酸ビニル共重合体など)、ポリ塩化ビニル、ポリアミドエラストマー、ポリウレタン、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、ポリアリレーンサルファイド(例えば、ポリフェニレンサルファイド)等の熱可塑性樹脂、シリコーンゴム、ラテックスゴム等が使用できる。特に、延伸可能な材料であることが好ましく、バルーン103は、高い強度および拡張力を有する二軸延伸されたものが好ましい。
バルーン103の大きさとしては、拡張されたときの円筒部分(拡張可能部)の外径が、2〜4mm、好ましくは2.5〜3.5mmであり、長さが10〜300mm、好ましくは20〜250mmである。また、先端側接合部103aの外径が、0.9〜1.5mm、好ましくは1〜1.3mmであり、長さが1〜5mm、好ましくは1〜1.3mmである。また、後端側接合部103bの外径が、1〜1.6mm、好ましくは1.1〜1.5mmであり、長さが1〜5mm、好ましくは、2〜4mmである。
そして、この生体器官拡張器具100は、図22および図23に示すように、拡張されたときの円筒部分(拡張可能部)の両端となる位置のシャフト本体部の外面に固定された2つのX線造影性部材117、118を備えている。なお、ステント1の中央部分の所定長の両端となる位置のシャフト本体部102(この実施例では、内管112)の外面に固定された2つのX線造影性部材を備えるものとしてもよい。さらに、ステントの中央部となる位置のシャフト本体部の外面に固定された単独のX線造影性部材を設けるものとしてもよい。
X線造影性部材117、118は、所定の長さを有するリング状のもの、もしくは線状体をコイル状に巻き付けたものなどが好適であり、形成材料は、例えば、金、白金、タングステンあるいはそれらの合金、あるいは銀−パラジウム合金等が好適である。
そして、バルーン103を被包するようにステント1が装着されている。ステントは、ステント拡張時より小径かつ折り畳まれたバルーンの外径より大きい内径に作製される。そして、作製されたステント内にバルーンを挿入し、ステントの外面に対して均一な力を内側に向けて与え縮径させることにより製品状態のステントが形成される。つまり、上記のステント1は、バルーンへの圧縮装着により完成する。
【0027】
内管112と外管113との間(バルーン拡張用ルーメン116内)には、線状の剛性付与体(図示せず)が挿入されていてもよい。剛性付与体は、生体器官拡張器具100の可撓性をあまり低下させることなく、屈曲部位での生体器官拡張器具100の本体部102の極度の折れ曲がりを防止するとともに、生体器官拡張器具100の先端部の押し込みを容易にする。剛性付与体の先端部は、他の部分より研磨などの方法により細径となっていることが好ましい。また、剛性付与体は、細径部分の先端が、本体部外管113の先端部付近まで延びていることが好ましい。剛性付与体としては、金属線であることが好ましく、線径0.05〜1.50mm、好ましくは0.10〜1.00mmのステンレス鋼等の弾性金属、超弾性合金などであり、特に好ましくは、ばね用高張力ステンレス鋼、超弾性合金線である。
この実施例の生体器官拡張器具100では、図21に示すように、基端に分岐ハブ110が固定されている。分岐ハブ110は、ガイドワイヤルーメン115と連通しガイドワイヤポートを形成するガイドワイヤ導入口109を有し、内管112に固着された内管ハブと、バルーン拡張用ルーメン116と連通しインジェクションポート111を有し、外管113に固着された外管ハブとからなっている。そして、外管ハブと内管ハブとは、固着されている。この分岐ハブ110の形成材料としては、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリサルホン、ポリアリレート、メタクリレート−ブチレン−スチレン共重合体等の熱可塑性樹脂が好適に使用できる。
なお、生体器官拡張器具の構造は、上記のようなものに限定されるものではなく、生体器官拡張器具の中間部分にガイドワイヤルーメンと連通するガイドワイヤ挿入口を有するものであってもよい。
【0028】
次に、本発明の生体器官拡張器具を図面に示す実施例を用いて説明する。
図24は、本発明の他の実施例の生体器官拡張器具の部分省略正面図である。図25は、図24に示した生体器官拡張器具の先端部付近の拡大縦断面図である。
この実施例の生体器官拡張器具200は、シース202と、シース202の先端部内に収納されたステント201と、シース202内を摺動可能に挿通し、ステント201をシース202の先端より放出するための内管204とを備える。
ステント201としては、円筒形状に形成され、生体内挿入時には中心軸方向に圧縮され、生体内留置時には外方に拡張して圧縮前の形状に復元可能である上述した自己拡張型ステントが使用される。
この実施例の生体器官拡張器具200は、図24に示すように、シース202、自己拡張型ステント201、内管204を備えている。
【0029】
シース202は、図24および図25に示すように、管状体であり、先端および後端は開口している。先端開口は、ステント201を体腔内の狭窄部に留置する際、ステント201の放出口として機能する。ステント201は、この先端開口より放出されることにより応力負荷が解除されて拡張し圧縮前の形状に復元する。シース202の先端部は、ステント201を内部に収納するステント収納部位222となっている。また、シース202は、収納部位222より基端側に設けられた側孔221を備えている。側孔221は、ガイドワイヤを外部に導出するためのものである。
シース202の外径としては、1.0〜4.0mm程度が好ましく、特に、1.5〜3.0mmが好ましい。また、シース202の内径としては、1.0〜2.5mm程度が好ましい。シース202の長さは、300〜2500mm、特に、300〜2000mm程度が好ましい。
また、シース202の基端部には、図24に示すように、シースハブ206が固定されている。シースハブ206は、シースハブ本体と、シースハブ本体内に収納され、内管204を摺動可能、かつ液密に保持する弁体(図示せず)を備えている。また、シースハブ206は、シースハブ本体の中央付近より斜め後方に分岐するサイドポート261を備えている。また、シースハブ206は、内管204の移動を規制する内管ロック機構を備えていることが好ましい。
内管204は、図24および図25に示すように、シャフト状の内管本体部240と、内管本体部240の先端に設けられ、シース202の先端より突出する先端部247と、内管本体部240の基端部に固定された内管ハブ207とを備える。
先端部247は、シース202の先端より突出し、かつ、図25に示すように、先端に向かって徐々に縮径するテーパー状に形成されていることが好ましい。このように形成することにより、狭窄部への挿入を容易なものとする。また、内管204は、ステント201よりも先端側に設けられ、シースの先端方向への移動を阻止するストッパーを備えることが好ましい。内管204の先端部247の基端は、シース202の先端と当接可能なものとなっており、上記のストッパーとして機能している。
【0030】
また、内管204は、図25に示すように、自己拡張型ステント201を保持するための2つの突出部243,245を備えている。突出部243,245は、環状突出部であることが好ましい。内管204の先端部247の基端側には、ステント保持用突出部243が設けられている。そして、このステント保持用突出部243より所定距離基端側には、ステント放出用突出部245が設けられている。これら2つの突出部243,245間にステント201が配置される。これら突出部243,245の外径は、後述する圧縮されたステント201と当接可能な大きさとなっている。このため、ステント201は、突出部243により先端側への移動が規制され、突出部245により基端側への移動が規制される。さらに、シース202が基端側に移動すると、突出部245によりステント201はその位置にとどまり、シース202より露出し、排出される。さらに、ステント放出用突出部245の基端側は、図25に示すように、基端側に向かって徐々に縮径するテーパー部246となっていることが好ましい。同様に、ステント保持用突出部243の基端側は、図25に示すように、基端側に向かって徐々に縮径するテーパー部244となっていることが好ましい。このようにすることにより、内管204をシース202の先端より突出させ、ステント201をシースより放出した後に、内管204をシース202内に再収納する際に、突出部がシースの先端に引っかかることを防止する。また、突出部243,245は、X線造影性材料により別部材により形成されていてもよい。これにより、X線造影下でステントの位置を的確に把握することができ、手技がより容易なものとなる。
内管204は、図25に示すように、先端より少なくともシース202のステント収納部位222より基端側まで延びるルーメン241と、ルーメン241とステント収納部位より基端側において連通する内管側孔242とを備えている。この実施例の生体器官拡張器具200では、ルーメン241は、側孔242形成部位にて終端している。ルーメン241は、生体器官拡張器具200の先端よりガイドワイヤの一端を挿入し、内管内を部分的に挿通させた後、内管側面より外部に導出するためのものである。そして、内管側孔242は、シース側孔221より、生体器官拡張器具200の若干先端側に位置している。内管側孔242の中心は、シース側孔221の中心より、0.5〜10mm先端側となっていることが好ましい。
なお、生体器官拡張器具としては、上述のタイプのものに限定されるものではなく、上記のルーメン241は、内管の基端まで延びるものであってもよい。この場合には、シースの側孔221は不要となる。
そして、内管204は、シース202内を貫通し、シース202の後端開口より突出している。内管204の基端部には、図24に示すように、内管ハブ207が固着されている。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、本発明の一実施例の生体内留置用ステントの留置操作後(拡張状態)の正面図である。
【図2】図2は、図1の生体内留置用ステントの展開図である。
【図3】図3は、図2の部分拡大図である。
【図4】図4は、図3の交差部付近を説明するための拡大図である。
【図5】図5は、図4のA−A線拡大断面図である。
【図6】図6は、図4より一方の線材を取り除いた状態を説明するための説明図である。
【図7】図7は、本発明の他の実施例の生体内留置用ステントの留置操作後(拡張状態)における交差部付近を説明するための拡大図である。
【図8】図8は、図7のB−B線拡大断面図である。
【図9】図9は、図7に示した一方の線材の背面を説明するための説明図である。
【図10】図10は、図1に示した生体内留置用ステントの留置操作前(縮径化状態)の正面図である。
【図11】図11は、図10の展開図である。
【図12】図12は、図11の交差部付近を説明するための拡大図である。
【図13】図13は、本発明の他の実施例の生体内留置用ステントの留置操作前(縮径化状態)における交差部付近を説明するための拡大図である。
【図14】図14は、本発明の他の実施例の生体内留置用ステントの留置操作前(縮径化状態)における交差部付近を説明するための拡大図である。
【図15】図15は、図14より一方の線材を取り除いた状態を説明するための説明図である。
【図16】図16は、図14に示す生体内留置用ステントの留置操作後(拡張状態)における交差部付近を説明するための拡大図である。
【図17】図17は、本発明の他の実施例の生体内留置用ステントの留置操作前(縮径化状態)における交差部付近を説明するための拡大図である。
【図18】図18は、図17より一方の線材を取り除いた状態を説明するための説明図である。
【図19】図19は、図17に示す生体内留置用ステントの留置操作後(拡張状態)における交差部付近を説明するための拡大図である。
【図20】図20は、本発明の他の実施例の生体内留置用ステントの留置操作後(拡径状態)における部分拡大図である。
【図21】図21は、本発明の実施例の生体器官拡張器具の正面図である。
【図22】図22は、図15に示した生体器官拡張器具の先端部の拡大図である。
【図23】図23は、本発明の実施例の生体器官拡張器具の作用を説明するための説明図である。
【図24】図24は、本発明の他の実施例の生体器官拡張器具の部分省略正面図である。
【図25】図25は、図24に示した生体器官拡張器具の先端部付近の拡大縦断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 生体内留置用ステント
3,31,32 線材
31a,32a 平坦面
5 交差部
6 交差部固定部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体内への留置操作時に変形することにより生体内組織に密着する生体内留置用ステントであって
前記ステントは、該ステントの中心軸に対して斜めに延びる複数本の線材により織られたあるいは編まれた筒状体であり、さらに、前記ステントは、該ステントの軸方向に対して斜めに前記線材が交差する多数の交差部を備え、少なくとも一部の交差部における少なくとも一方の前記線材の当接面は、平坦面となっていることを特徴とする生体内留置用ステント。
【請求項2】
前記多数の交差部のすべてもしくは半数を超える交差部における少なくとも一方の前記線材の当接面は、平坦面となっている請求項1に記載の生体内留置用ステント。
【請求項3】
前記多数の交差部のすべてもしくは半数を超える交差部における両方の前記線材の当接面は、平坦面となっている請求項1に記載の生体内留置用ステント。
【請求項4】
前記ステントの留置操作前の状態において前記当接面となる部分および前記ステントの留置操作による変形後の生体内組織密着状態において前記交差部の前記当接面となる部分とを合わせた部分が、平坦面となっている請求項1ないし3のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
【請求項5】
前記ステントの留置操作による変形後の生体内組織密着状態において前記交差部の前記当接面となる部分が、平坦面となっている請求項1ないし3のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
【請求項6】
前記ステントの留置操作前の状態において前記交差部の前記当接面となる部分が、平坦面となっている請求項1ないし3のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
【請求項7】
前記多数の交差部のすべての交差部における少なくとも一方の前記線材の当接面は、平坦面となっている請求項1ないし6のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
【請求項8】
前記線材の前記平坦面となっている部分の厚さは、該線材の平坦面となっていない部分の直径のほぼ半分である請求項1ないし7のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
【請求項9】
前記交差部の厚さは、該交差部ではない部分の前記線材の直径とほぼ同じものとなっている請求項1ないし8のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
【請求項10】
前記平坦面は、高摩擦表面となっている請求項1ないし9のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
【請求項11】
前記線材は、前記交差部以外は、外面が曲面となっている請求項1ないし10のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
【請求項12】
前記線材は、前記平坦面となっている交差部の周縁部により形成された段差を有している請求項1ないし11のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
【請求項13】
前記交差部には、交差状態保持部材が設けられている請求項1ないし12のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
【請求項14】
前記交差状態保持部材は、造影性を有している請求項13に記載の生体内留置用ステント。
【請求項15】
前記線材は、生理活性物質を担持している請求項1ないし14のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
【請求項16】
前記生理活性物質は、内膜肥厚を抑制する薬剤、抗癌剤、免疫抑制剤、抗生物質、抗リウマチ剤、抗血栓薬、HMG−CoA還元酵素阻害剤、ACE阻害剤、カルシウム拮抗剤、抗高脂血症剤、抗炎症剤、インテグリン阻害薬、抗アレルギー剤、抗酸化剤、GPIIbIIIa拮抗薬、レチノイド、フラボノイドおよびカロチノイド、脂質改善薬、DNA合成阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、抗血小板薬、血管平滑筋増殖抑制薬、生体由来材料、インターフェロンおよび遺伝子工学により生成される上皮細胞より選択された少なくとも一種のものである請求項15に記載の生体内留置用ステント。
【請求項17】
前記線材は、ファイバーもしくはワイヤである請求項1ないし16のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
【請求項18】
前記線材は、生分解材料にて形成されている請求項1ないし17のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
【請求項19】
前記ステントは、略管状体に形成され、生体内管腔への挿入のための直径を有し、該ステントの内部より半径方向に広がる力が付加されたときに拡張するものである請求項1ないし18のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
【請求項20】
前記ステントは、略円筒形状に形成され、生体内挿入時には中心軸方向に圧縮され、生体内留置時には外方に拡張して圧縮前の形状に復元するものである請求項1ないし18のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
【請求項21】
チューブ状のシャフト本体部と、該シャフト本体部の先端部に設けられた折り畳みおよび拡張可能なバルーンと、折り畳まれた状態の前記バルーンを被包するように装着され、かつ該バルーンの拡張により拡張される請求項19に記載のステントとを備えること特徴とする生体器官拡張器具。
【請求項22】
シースと、該シースの先端部内に収納された請求項20のステントと、該シース内を摺動可能に挿通し、前記ステントを前記シースの先端より押し出すための内管とを備えることを特徴とする生体器官拡張器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2010−82012(P2010−82012A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−251778(P2008−251778)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】